JP2019125034A - 薬液管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 水などの溶媒と薬液との混合溶液を用いて処理槽で処理する工程において、品質を一定に保つことができる。【解決手段】 溶媒及び薬液を含有する処理液が貯留された処理槽の薬液成分の濃度を制御する薬液濃度制御装置と、薬液濃度制御装置と通信可能に接続されて薬液濃度制御装置を管理する管理装置と、を備え、薬液濃度制御装置は、処理槽から処理液を採取して薬液成分の濃度を測定する薬液濃度測定手段と、薬液成分の濃度に基づいて処理槽に薬液を供給する供給薬液量を決定する供給薬液量決定手段と、を有し、薬液濃度制御装置をローカルモード又は遠隔操作モードのうちの少なくともいずれか一方の動作モードで動作させる動作可能であり、前記ローカルモードは、薬液濃度制御装置が前記処理液の薬液成分の濃度を自身で制御するモードであり、前記遠隔操作モードは、管理装置が、処理槽の濃度の制御に関する情報を薬液濃度制御装置に供給する遠隔操作モードである、動作モード決定手段を有する。【選択図】 図9

Description

本発明は、金属または非金属の表面処理用組成物として適用される薬液成分の濃度を管理するとともに、その表面処理の品質を管理するシステムに関する。
金属又は非金属の表面処理を行うための薬液として、例えば金属においては脱脂や化成皮膜剤に代表される前処理薬剤が一般的であるが、そのほかにも、対象物を薬液成分に接触させた後に乾燥させることで皮膜を形成させる塗布型皮膜剤などもあり、この場合は非金属への適用も可能であり、その種類は多岐にわたる。これらは共通して、処理層に貯留された薬液成分を含有する処理液に対象物を接触させることが前提であり、その手段としては、対象物を処理液へ浸漬したり、対象物に処理液をスプレーしたりすることで行われることが多い。
こういった表面処理が行われる度に、薬液が消費されていくため、薬液の量を常に監視する必要があり、薬液が蓄えられている薬液槽の液面の位置を検出して、液面の位置に応じて薬液を補給するシステムがあった(特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2002−293432号公報
特開2002−2898公報
前述した補給システムは、処理槽に薬液を供給するために薬液が蓄えられている薬液槽に貯留されている薬液の量(液面)を検出するもので、薬液槽は処理槽とは別に設けられており、処理槽の薬液の状態を直接に検出するものではなかった。
しかしながら、化成処理などでは、水などの溶媒と薬液とが混合された混合溶液が処理液として処理槽で用いられることが多い。混合溶液を用いる場合には、混合溶液の量(液面)が一定であっても、溶媒と薬液との比率が変化して濃度が異なってくる状況も想定される。濃度が変化した場合には、処理の程度や処理速度も異なってくるため、品質を一定に保つことが困難であった。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水などの溶媒と薬液との混合溶液を処理液として用いて処理槽で処理する工程において、品質を一定に保つことができる管理システムを提供することにある。
本発明による濃度管理システムの特徴は、
溶媒及び薬液を含有する処理液が貯留された処理槽の薬液成分の濃度を制御する薬液濃度制御装置と、前記薬液濃度制御装置と通信可能に接続されて前記薬液濃度制御装置を管理する管理装置と、を備え、
前記薬液濃度制御装置は、
前記処理槽から処理液を採取して薬液成分の濃度を測定する薬液濃度測定手段と、
薬液成分の濃度に基づいて前記処理槽に薬液を供給する供給薬液量を決定する供給薬液量決定手段と、を有し、
前記薬液濃度制御装置をローカルモード又は遠隔操作モードのうちの少なくともいずれか一方の動作モードで動作可能であり、
前記ローカルモードは、前記薬液濃度制御装置が前記処理液の薬液成分の濃度を自身で制御するモードであり、
前記遠隔操作モードは、前記管理装置が、前記処理液の薬液成分の濃度の制御に関する情報を前記薬液濃度制御装置に供給する遠隔操作モードである、動作モード決定手段を有することである。
水などの溶媒と薬液との混合溶液を処理液として用いて処理槽で処理する工程において、ローカルモードと遠隔操作モードとを生産環境や生産条件などに応じて適宜に切り替えて濃度を制御することができ、生産環境や生産条件などに影響されることなく品質を一定に保つことができる。
薬液の濃度管理システム10の構成を示す概略図である。 製品製造業者の生産設備における表面処理工程の概略を示す概略図である。 濃度制御装置110の構成を示すブロック図である。 濃度制御装置110の記憶部に記憶される各種の値を示すブロック図である。 ローカルモードでの濃度制御装置110の濃度制御処理を示すフローチャートである。 ローカルモードでの濃度制御装置110の濃度制御処理を示すフローチャートである。 オンオフ制御によって、処理液の薬液成分の濃度が調整される例を示すタイムチャートである。 統合管理装置120で実行される動作モード変更処理を示すフローチャートである。 濃度制御装置110で実行される動作モード変更処理を示すフローチャートである。 遠隔操作モードでの濃度制御装置110の濃度制御処理を示すフローチャートである。 遠隔操作モードでの濃度制御装置110の濃度制御処理を示すフローチャートである。 遠隔操作モードにおいて、濃度制御装置110から送信された濃度等の情報を受信してバルブ116の開度を決定するための処理を示すフローチャートである。 濃度制御装置110から送信された濃度等の情報からバルブ116の開度を決定するための処理を示すフローチャートである。 統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行されるオンオフ制御処理を示すフローチャートである。 統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行されるPID制御処理を示すフローチャートである。 統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行されるテーブル参照制御処理を示すフローチャートである。 PID制御からオンオフ制御処理に切り替えて、処理槽の処理液の薬液成分の濃度を制御する例を示すタイムチャートである。 統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行される測定制御モード・非測定制御モードを決定する処理を示すフローチャートである。 統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行される管理情報受信処理を示すフローチャートである。 濃度制御装置110から統合管理装置120にメンテナンス情報を送信する処理を示すフローチャート(A)と、濃度制御装置110から送信されたメンテナンス情報を受信する処理を示すフローチャート(B)とである。 は、濃度制御装置110から統合管理装置120に生産条件情報を送信する処理を示すフローチャート(A)と濃度制御装置110から送信された生産条件情報を受信する処理を示すフローチャート(B)とである。 オンオフ制御、PID制御、テーブル参照制御の制御方式で用いるパラメータを更新する処理を示すフローチャートである。 消耗品の補給の時期を報知する処理を示すフローチャートである。 遠隔操作モードにおいて、濃度制御装置110と統合管理装置120との間で通信可能なパラメータの一覧を示す図である。 遠隔操作モードにおいて、濃度制御装置110と統合管理装置120との間で通信可能なパラメータの一覧を示す図である。
<<<<本実施の形態の概要>>>>
<<第1の実施の態様>>
第1の実施の態様によれば、
溶媒及び薬液を含有する処理液が貯留された処理槽(例えば、後述する処理槽1ないし処理槽3など)の薬液成分の濃度を制御する薬液濃度制御装置(例えば、後述する濃度制御装置110など)と、前記薬液濃度制御装置と通信可能に接続されて前記薬液濃度制御装置を管理する管理装置(例えば、後述する統合管理装置120など)と、を備え、
前記薬液濃度制御装置は、
前記処理槽から処理液を採取して薬液成分の濃度を測定する薬液濃度測定手段(例えば、後述する濃度制御装置110の濃度測定部やpHセンサや比色センサなど)と、
薬液成分の濃度に基づいて前記処理槽に薬液を供給する供給薬液量を決定する供給薬液量決定手段(例えば、後述する濃度制御装置110の流量調整部やバルブ116など)と、を有し、
前記薬液濃度制御装置をローカルモード又は遠隔操作モードのうちの少なくともいずれか一方の動作モードで動作可能であり、
前記ローカルモードは、前記薬液濃度制御装置が前記処理液の薬液成分の濃度を自身で制御するモードであり、
前記遠隔操作モードは、前記管理装置が、前記処理液の薬液成分の濃度の制御に関する情報(例えば、後述するバルブ116の開度や、制御最大値や制御最小値などの判断パラメータの値や、図13〜図16などに示した開度を決定するためのプログラムなど)を前記薬液濃度制御装置に供給するモードである、濃度管理システムが提供される。
薬液濃度制御装置は、溶媒及び薬液を有する処理液が貯留された処理槽の薬液成分の濃度を制御するための装置である。管理装置は、この薬液濃度制御装置を管理する装置である。薬液濃度制御装置と管理装置とは、通信可能に接続されている。薬液濃度制御装置と管理装置とは、データやコマンドなどの各種の情報を互いに送受信できるように接続されていればよい。
薬液濃度制御装置は、薬液濃度測定手段と供給薬液量決定手段とを有する。薬液濃度測定手段は、処理槽から処理液を採取し採取した処理液から薬液成分の濃度を測定する。供給薬液量決定手段は、測定された薬液成分の濃度に基づいて処理槽に薬液を供給する供給薬液量を決定する。供給薬液量は、例えば、単位時間あたりに薬液を供給する量などにすることができる。
前述した薬液濃度制御装置は、ローカルモード又は遠隔操作モードのうちの少なくともいずれか一方の動作モードで動作可能である。すなわち、薬液濃度制御装置は、ローカルモードのみでも、遠隔操作モードのみでも、ローカルモード又は遠隔操作モードで選択的に切り替えて動作することもできる。
ローカルモードは、薬液濃度制御装置が処理槽の濃度を自身で制御するモードである。すなわち、薬液濃度制御装置が、薬液成分の濃度を測定し、測定した薬液成分の濃度に基づいて薬液の供給薬液量を決定して、処理槽の濃度制御するモードである。このように、ローカルモードでは、薬液成分の濃度の測定と、薬液の供給薬液量の決定との双方を実行するモードである。
一方、遠隔操作モードは、管理装置が、処理槽の濃度の制御に関する情報を薬液濃度制御装置に供給するモードである。処理槽の濃度の制御に関する情報には、後述するバルブ116の開度や、制御最大値や制御最小値などの判断パラメータの値や、図13〜図16などに示した開度を決定するためのプログラムなどがあり、処理槽の濃度の制御するための情報であればよく、濃度制御用のデータでも、濃度制御用のコマンドでも、濃度制御用のプログラムでもよい。
このように、薬液濃度制御装置は、ローカルモード又は遠隔操作モードのうちの少なくともいずれか一方の動作モードで動作可能であるので、生産環境や生産条件などに応じて、ローカルモードと遠隔操作モードとのいずれかのモードで濃度を制御することで、品質を一定に保つことができる。
<<第2の実施の態様>>
第2の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記ローカルモード又は前記遠隔操作モードのいずれか一方の動作モードを決定するための動作モード決定手段(例えば、後述する統合管理装置120の動作モード変更受信処理(図9)など)を、さらに備えるように構成される。
動作モード決定手段を設けることで、ローカルモード又は遠隔操作モードを容易に選択することができ、生産環境や生産条件の変更や新規な設定に応じて柔軟に対応させることができる。
<<第3の実施の態様>>
第3の実施の態様は、第1の実施の態様又は第2の実施の態様において、
前記管理装置は、前記薬液濃度制御装置を測定制御モード又は非測定制御モードのいずれか一方の制御モードで動作させる制御モード決定手段であって、前記測定制御モードは、薬液成分の濃度を測定し薬液成分の濃度に応じて前記供給薬液量を決定するモードであり、前記非測定制御モードは、薬液成分の濃度を測定せずに前記供給薬液量を決定するモードである、制御モード決定手段(例えば、後述する統合管理装置120の測定制御モード・非測定制御モード決定処理(図18)など)を有するように構成される。
管理装置は、薬液濃度制御装置を測定制御モード又は非測定制御モードのいずれか一方で動作させる。測定制御モードは、薬液成分の濃度を測定し、測定した薬液成分の濃度に応じて供給薬液量を決定するモードである。一方、非測定制御モードは、薬液成分の濃度を測定せずに供給薬液量を決定するモードである。測定制御モードにすることで、濃度が急激に変化するような生産条件や処理環境であっても、適切に濃度を管理することができ、品質を一定に保つことができる。非測定制御モードは、薬液成分の濃度の測定をしないので、分析用試薬や純水などの消耗品の消費を抑えたり、センサを使用しないので、電極や光源などの部品の寿命も伸ばしたりすることができる。
<<第4の実施の態様>>
第4の実施の態様は、第1の実施の態様ないし第3の実施の態様において、
前記薬液濃度制御装置は、薬液の供給に関する情報及び薬液成分の濃度の測定に用いる分析用試薬の供給に関する情報を前記管理装置に送信し(例えば、後述する濃度制御装置110のメンテナンス情報送信処理(図20A)など)、
前記管理装置は、薬液の供給や分析用試薬の供給の時期を報知するように構成される(例えば、後述する統合管理装置120の消耗品補給処理(図23)など)。
薬液の供給に関する情報及び薬液成分の濃度の測定に用いる分析用試薬の供給に関する情報によって、統合管理装置120は、消耗品を補給すべき処理槽やタイミングを総括的に管理することができ、消耗品を安定的に供給することで、消耗品の欠乏による処理の中断などを未然に防止して、薬液濃度制御装置を定常的に稼動させることによって、濃度を安定的に制御することができる。
<<<<本実施の形態の詳細>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
<<<薬液成分の濃度管理システムの構成>>>
図1は、薬液成分の濃度管理システム10の構成を示す概略図である。
薬液の濃度管理システム10は、主に、通信ネットワーク100と濃度制御装置110と統合管理装置120と外部オペレーター端末130とを有する。本実施の形態では、濃度制御装置110は、複数あり、複数の濃度制御装置110と統合管理装置120と外部オペレーター端末130とは、通信ネットワーク100を介して互いに通信可能に接続されている。
<<通信ネットワーク100>>
通信ネットワーク100は、インターネットのほか、社内LAN(Local Area Network)などデータやコマンドを送受信できる回線であればよく、有線でも無線でもよい。
<<濃度制御装置110>>
濃度制御装置110は、処理槽の薬液成分の濃度を制御するための装置である。濃度制御装置110は、製品製造業者(例えば、自動車製造業者など)の生産設備に設置されている。生産設備には、少なくとも一つの濃度制御装置110が設置されている。
複数の濃度制御装置110が設置されている場合には、複数の濃度制御装置110の各々は、互いに識別可能な識別情報(濃度制御装置識別情報)が割り当てられており、自己の濃度制御装置識別情報を送信することができる。後述するように、統合管理装置120は、濃度制御装置110から送信された濃度制御装置識別情報を受信することで、濃度制御装置110の各々を特定して各種の処理を実行することができる。
濃度制御装置110は、各々に対応する処理槽の濃度を測定し、測定した濃度を統合管理装置120に送信する。さらに、濃度制御装置110は、各種のデータを統合管理装置120に送信する。統合管理装置120は、濃度制御装置識別情報と濃度とを受信して記憶する。なお、濃度制御装置110の詳細な構成については後述する。
<<統合管理装置120>>
統合管理装置120は、通信ネットワーク100を介して少なくとも一つの濃度制御装置110を制御する装置である。一般に、統合管理装置120は、薬液製造業者や薬液提供業者の管理下にある装置で、薬液製造業者や薬液提供業者の事業所の建物や工場に設置される。
統合管理装置120は、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)、I/F(通信インターフェース装置)や入力操作装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)などを備えたパーソナルコンピュータ、タブレット側コンピュータ、携帯型端末装置など、各種の演算処理及びデータ処理や、濃度制御装置110や外部オペレーター端末130との通信処理などが可能な装置である。
さらに、統合管理装置120は、データベースマネジメントシステム(以下、DBMSと称する)を介してアクセス可能なデータベースを有する。データベースは、HDDの記録媒体の所定の領域に読み書き可能に形成されている。データベースには、濃度制御装置110から送信された濃度などのデータが、濃度制御装置110の濃度制御装置識別情報や測定日時等と関連付けて記憶されている。さらに、データベースには、濃度制御装置110から受信したデータを解析した解析結果なども記憶される。
また、統合管理装置120の本体の記憶装置(RAM、ROM、HDDなど)には、各種のプログラムが記憶されている。例えば、通信ネットワーク100を介して濃度制御装置110や外部オペレーター端末130と通信を行うためのプログラムや、DBMSを介してデータベースにデータを入出力するためのプログラムや、濃度制御装置110から送信された濃度からバルブ116の開度を決定するためのプログラムや、濃度制御装置110から送信された濃度を解析するためのプログラムや、その他の各種計算等を行うためのプログラム等の各種プログラムである。
さらにまた、統合管理装置120のCPUは、上述した各種のプログラムを実行する。
<外部オペレーター端末130>
外部オペレーター端末130は、処理槽の薬液の補給に関する業務を行う薬液製造業者の管理下にある。外部オペレーター端末130は、オペレーター(以下、外部オペレーターよって操作される。なお、外部オペレーターには、営業担当者なども含まれる。外部オペレーター端末130は、通信ネットワーク100を介して統合管理装置120と通信可能であればよく、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータの他、携帯情報端末や携帯電話等にすることができる。
<<<表面処理工程の概略>>>
図2は、製品製造業者の生産設備における表面処理工程の概略を示す概略図である。
<<処理槽1、処理槽2及び処理槽3>>
図2に示す例では、表面処理をするための処理槽1、処理槽2及び処理槽3が設置されている。処理槽1、処理槽2及び処理槽3には、薬液が供給される薬液用配管114が接続されている。処理槽1、処理槽2及び処理槽3は、処理ライン(例えば、自動車の塗装前処理ライン)に設置されている。薬液用配管114には薬液補給ポンプ(図示せず)が配設されている。この薬液補給ポンプの駆動によって、薬液用配管114を介して薬液タンク(図示せず)から処理槽1、処理槽2、処理槽3に薬液が供給される。
処理槽1には、水と第1の薬液とが混合された第1の処理液が貯留されており、処理槽1では、第1の表面処理が行われる。第1の表面処理として、例えば、脱脂処理がある。
処理槽2には、水と第2の薬液とが混合された第2の処理液が貯留されており、処理槽2では、第2の表面処理が行われる。第2の表面処理として、例えば、表面調整処理がある。
処理槽3には、水と第3の薬液とが混合された第3の処理液が貯留されており、処理槽3では、第3の表面処理が行われる。第3の表面処理として、例えば、化成処理がある。
前述した例では、第1の表面処理〜第3の表面処理は、互いに異なる表面処理であるが、同一の表面処理が含まれていてもよい。この場合には、異なる処理槽で、同一の表面処理が実行される。
対象物は、移動可能に保持されて、処理槽1、処理槽2、処理槽3の順に搬送されることができる。対象物は処理槽1の処理液、処理槽2の処理液、処理槽3の処理液に浸漬されつつ移動することで、各々の処理槽1、処理槽2、処理槽3において表面処理が実行される。
濃度制御装置110には、濃度測定用配管112が接続されている。濃度測定用配管112の吸入口は、処理槽1、処理槽2、処理槽3の処理液を吸入可能に位置づけられている。濃度制御装置110は、濃度測定用配管112の吸入口から処理槽1、処理槽2、処理槽3の処理液を吸入して、処理液の薬液成分の濃度を測定することができる。
前述したように、生産設備には、薬液タンクから処理槽1、処理槽2、処理槽3に薬液を供給するための薬液用配管114が接続されている。薬液用配管114には、供給する薬液の流量を調節するためのバルブ116が設けられている。バルブ116は、濃度制御装置110に電気的に接続されており、濃度制御装置110によって、バルブ116の開度が制御される。濃度制御装置110は、処理槽1、処理槽2、処理槽3に貯留されている処理液の薬液成分の濃度を測定し、測定した濃度に基づいてバルブ116の開度を決定して、処理槽1、処理槽2、処理槽3に供給する薬液の流量を調整する。
図2に示した例は、処理槽1、処理槽2、処理槽3の3つの処理槽毎に濃度制御装置110に設けられ、処理槽1の処理液の薬液成分の濃度と、処理槽2の処理液の薬液成分の濃度と、処理槽3の処理液の薬液成分の濃度とを別個に測定する場合を示したが、単一の濃度制御装置110で処理槽1〜の処理槽3の処理液の薬液成分の濃度の全てを測定するように構成してもよい。
前述した例では、3つの処理槽が表面処理工程に設置されている場合を示したが、処理槽の数は、これに限られず、1つ以上の処理槽にすることができる。処理槽の数は、表面処理工程における対象物に対する処理の種類に応じて適宜に定めることができる。また、処理槽による処理だけでなく、必要に応じて、処理槽による処理の後に対象物を水で洗う水洗の処理を設けてもよい。水洗の処理も、対象物に対する処理の種類に応じて適宜に定めることができる。
<<<濃度制御装置110の構成の詳細>>>
濃度制御装置110は、前述したように、主に、濃度測定部と流量調整部と時間管理部と制御・判断部とを有する。なお、以下で説明する濃度制御装置110の構成は一例であり、処理槽に貯留されている処理液の薬液成分の濃度を測定し、測定した濃度に応じて処理槽に供給する薬液の量を決定し、処理槽に薬液を供給する構成であればよい。
<<濃度測定部>>
濃度測定部は、処理液抽出駆動部とセンサ制御部と処理槽選択部と電磁弁制御部と処理液排出駆動部とセンサ校正部とを有する。濃度測定部は、処理槽1、処理槽2、処理槽3に貯留されている処理液の薬液成分の濃度を測定する。
<処理液抽出駆動部>
処理液抽出駆動部は、濃度測定用配管112の吸入口から処理槽1、処理槽2、処理槽3の処理液を吸入し、各々の処理槽の処理液を、濃度制御装置110の内部に設けられている濃度測定用セル(図示せず)に案内する。処理液抽出駆動部は、例えば、流体を流動させるためのポンプなどの駆動装置からなり、駆動装置の駆動によって処理槽の処理液が濃度測定用セルに導かれる。処理液抽出駆動部は、ポンプなどの駆動装置を駆動することによって、処理槽の処理液を濃度測定用セルに案内できればよく、ポンプなどの駆動装置の種類は問わない。駆動装置の種類は、濃度測定用セルの容量や、測定に要する時間や、薬液成分の種類や、単位時間当たりの流量などに応じて適宜に定めればよい。
<センサ制御部>
センサ制御部は、濃度を測定するセンサを制御する。濃度を測定するセンサとして、pHセンサや、比色センサなどがある。
<pHセンサ>
pHセンサは、一般に、原理としてガラス電極法が用いられる。薄いガラス膜を介して第1の溶液と第2の溶液とを接触させると、第1の溶液のpHと第2の溶液のpHとの差に応じた電位差がガラス膜に生ずる。第1の溶液内に第1の電極を浸漬し、第2の溶液内に第2の電極を浸漬することで、第1の電極の電位と第2の電極の電位との差(以下、第1の電極と第2の電極との電位差と称する。)が、ガラス膜の電位差となる。この第1の電極と第2の電極との電位差を測定することで、第1の溶液のpHと第2の溶液のpHとの差を得ることができる。例えば、既知のpHを有する溶液を第1の溶液に用いることで、第1の溶液を基準の溶液(標準液)とすることができ、第2の溶液のpHを得ることができる。第1の電極と第2の電極との電位差を増幅するための増幅器(図示せず)に電源を供給することで、第1の電極と第2の電極との電位差を示す信号を出力可能にする。後述するように、pHセンサを構成する第1の電極及び第2の電極(以下、単に電極と称する)は、溶液によって腐食したり作業によって汚染されたりする。このため、電極の交換作業を要する。
<比色センサ>
特定波長の光が溶液を透過する割合(透過率)は、溶液の濃度及び溶液での光路長に比例する(ランベルト・ベールの法則)。したがって、特定波長の光の透過率を測定することで溶液の濃度を得ることができる。比色センサ(比色計(吸光光度計))は、光の透過率から溶液の濃度を得るためのセンサである。このように、比色センサは、溶液に照射するための光を発する光源を有する。センサ制御部は、光源から所定の波長の光を発するように光源(図示せず)を制御する。センサの種類は、判断に必要とする濃度の種類や薬液成分の種類などに応じて適宜に定めればよい。比色センサの光源には、所望する強度及び波長で光を発することができる寿命があるため、後述するように、光源の交換作業を要する。
<処理槽選択部>
処理槽選択部は、一の濃度制御装置110に複数の処理槽が接続されている場合に、複数の処理槽から、濃度を測定する一の処理槽を選択する。処理槽選択部は、複数の処理槽に接続されている配管を選択的に切り替えることができる切替バルブや切替弁などを用いれば、濃度測定用セルの容量や、薬液成分の種類などに応じて適宜に定めればよい。切替バルブや切替弁などは、制御信号によって駆動される。後述する制御・判断部から、複数の処理槽のうちの一の処理槽を示す選択制御信号が発せられる。処理槽選択部は、選択制御信号を受信して、選択制御信号が示す一の処理槽を選択するように、配管を切り替える。複数の処理槽のうち、処理槽選択部によって選択された一の処理槽の処理液が濃度測定用セルに案内される。
<電磁弁制御部>
複数の種類の濃度を測定する場合には、濃度の種類に対応した分析用試薬を用いる。濃度制御装置110には、複数の分析用試薬タンク(図示せず)が設けられており、複数の分析用試薬タンクの各々には、複数の種類の濃度に応じた分析用試薬が貯留されている。電磁弁制御部は、複数の分析用試薬タンクのうちの一の分析用試薬タンクを電磁弁によって選択し、選択した一の分析用試薬タンクから分析用試薬を濃度測定用セルに案内する。
電磁弁は、制御信号によって駆動される。後述する制御・判断部から、複数の分析用試薬タンクのうちの一の分析用試薬タンクを示す選択制御信号が発せられる。電磁弁制御部は、選択制御信号を受信して、選択制御信号が示す一の分析用試薬タンクを選択する。なお、複数の分析用試薬タンクから一の分析用試薬タンクを選択的に切り替えて濃度測定用セルに案内できる制御であればよく、電磁弁を用いた制御には限られない。
<処理液排出駆動部>
処理液排出駆動部は、濃度の測定のために濃度測定用セルに案内した処理液及び分析用試薬を排出する。処理液排出駆動部は、ポンプなどからなり、ポンプを駆動することで、処理液及び分析用試薬を濃度測定用セルから排出できる。処理液排出駆動部は、流体を流動させるためのポンプなどの駆動装置からなり、駆動装置を駆動することによって、濃度測定用セルから処理液及び分析用試薬を排出できればよく、ポンプなど駆動装置の種類は問わない。駆動装置の種類は、濃度測定用セルの容量や、排出に要する時間や、薬液成分の種類などに応じて適宜に定めればよい。
<センサ校正部>
センサ校正部は、濃度を測定するためのセンサの校正をする。所定のタイミングでpHセンサや比色センサなどの校正をする。校正をすることで、適切な濃度を検出することができる。
<<流量調整部>>
流量調整部は、バルブ駆動部とバルブ開度検出部と流量検出部とを有する。なお、以下で説明するように、本実施の形態では、バルブ116によって薬液の流量を調整する例を示したが、バルブ116ではなく、処理槽に薬液を供給するためのポンプなどの駆動装置によって薬液の流量を調整してもよい。ポンプなどの駆動装置の単位時間当たりの排出量(処理量)を調整することで、処理槽に供給する薬液の流量を調整することができる。ポンプの種類は、ダイヤフラムポンプなどの容積式ポンプや、渦巻きポンプなどの非容積式ポンプなどを、単位時間当たりの供給量(処理能力)や、薬液の種類などに応じて適宜に定めることができる。また、バルブ116やポンプなどのほか、処理槽に供給する薬液の流量を調整できる装置であれば適宜に用いることができる。
<バルブ駆動部>
バルブ駆動部は、薬液用配管114に設けられているバルブ116のモータやソレノイド(図示せず)を駆動する。バルブ駆動部は、決定された開度に応じた駆動信号を生成し、バルブ116のモータやソレノイドに供給する。このように、バルブ116の開度を、決定された開度にすることで、測定した濃度に対応する流量の薬液を処理槽1、処理槽2、処理槽3に供給することができる。
<バルブ開度検出部>
バルブ開度検出部は、バルブ116の開度を検出する。例えば、ロータリーエンコーダなどをバルブ116と連動させて設けることで、ロータリーエンコーダから出力される信号からバルブ116の開度を検出することができる。バルブ116の開度を検出することで、決定された開度になったか否かを判断することができる。
<流量検出部>
流量検出部は、薬液用配管114を介して処理槽1、処理槽2、処理槽3に供給される薬液の流量を検出する。薬液の流量を検出することで、処理槽1、処理槽2、処理槽3に供給した薬液の総量を産出することができる。
<<時刻管理部>>
時刻管理部は、時刻情報生成部と時刻情報出力部とを有する。
<時刻情報生成部及び時刻情報出力部>
時刻情報生成部は、時刻情報を生成する。時刻情報出力部は、時刻情報生成部によって生成された時刻情報を出力する。濃度制御装置110は、処理槽1、処理槽2、処理槽3の処理液の薬液成分の濃度を測定したときに、時刻管理部から出力された時刻情報を得ることで、測定したときの時刻情報に、測定した濃度を対応付けて記憶したり送信したりすることができる。
時刻管理部は、濃度制御装置110が通信ネットワーク100に通信可能に接続されている場合には、NTP(Network Time Protocol)サーバから正しい時刻情報を取得することができ、濃度を測定したときの正しい時刻情報を得ることができる。
<<制御・判断部>>
制御・判断部は、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、I/F(通信インターフェース装置)や入力操作装置(キーボード、タッチパネル、ディスプレイなど)など(図示せず)を有する。
図3に示すように、制御・判断部は、演算部と、入出力部と、通信部と、記憶部とを有する。
<演算部>
演算部は、主に、CPU(中央処理装置)などからなる。演算部の演算処理によって、濃度からバルブ116の開度を決定することができる。
<入出力部>
入出力部は、主に、入力操作装置(キーボード、タッチパネル、ディスプレイなど)などからなる。入出力部は、操作者によって操作可能なキーボードやタッチパネルなどを有する。入出力部は、操作者が視認可能なタッチパネルやディスプレイなどを有する。
<通信部>
通信部は、主に、I/F(通信インターフェース装置)などからなる。濃度制御装置110は、通信部によって、通信ネットワーク100を介して統合管理装置120と通信することができる。通信部によって、測定した濃度を統合管理装置120に送信することができる。また、通信部によって、統合管理装置120によって決定されたバルブ116の開度が濃度制御装置110に送信される。
さらに、通信部によって、各種のパラメータが濃度制御装置110と統合管理装置120との間で送受信することができる。
<記憶部>
記憶部は、主に、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)などからなる。
図4に示すように、記憶部には、識別情報、測定時刻、濃度種類、測定値、目標値、上限値・下限値、測定間隔、測定モード、薬液種類、薬液残量、薬液供給流量、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度、センサ稼動時間、試薬使用量、純水使用量、処理槽体積、処理時間、処理対象表面積、薬液供給日時、薬液供給量、センサ交換日時、センサ種類、分析用試薬供給日時、分析用試薬種類、純水供給日時、制御動作モードなどの各種のパラメータの値が更新可能に記憶される。記憶部に記憶された値は、通信部によって、統合管理装置120に出力することができる。これらのパラメータについては後述する。
<<<ローカルモード及び遠隔操作モード>>>
本実施の形態の濃度制御装置110は、動作モードとして、ローカルモードと遠隔操作モードとを有する。ローカルモードは、統合管理装置120によって管理されることなく濃度制御装置110が単独で動作するモードである。遠隔操作モードは、統合管理装置120によって管理されるモードであり、通信ネットワーク100を介して接続されている統合管理装置120との通信によって動作するモードである。なお、ローカルモードと遠隔操作モードとの切り替え処理については、後述する。
<<<ローカルモードでの濃度制御装置110の濃度制御処理>>>
図5及び図6は、ローカルモードでの濃度制御装置110の濃度制御処理を示すフローチャートである。図5及び図6に示す濃度制御処理のためのプログラムは、濃度制御装置110の記憶部に予め記憶され、演算部(CPU)によって呼び出されて実行される。図5及び図6に示す濃度制御処理は、濃度制御装置110がローカルモードであるときに実行され、統合管理装置120と通信をすることなく、測定した処理液の薬液成分の濃度からバルブ116の開度を決定することで、処理槽に供給する薬液の流量を定め、処理液の薬液成分の濃度を調整する。
最初に、濃度制御装置110のCPUは、処理槽(処理槽1〜処理槽3)に貯留されている処理液を抽出するタイミングであるか否かを判断する(ステップS511)。濃度制御装置110のCPUは、処理液を抽出するタイミングでないと判別したときには(NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。一方、ステップS511の判断処理で、処理液を抽出するタイミングであると判別された場合には、後述するステップS513以降の処理が実行される。
濃度制御装置110のCPUは、処理液を抽出するタイミングであると判別したときには(YES)、処理液抽出駆動部を駆動する(ステップS513)。処理液抽出駆動部を駆動することによって、処理槽に貯留されている処理液を濃度測定用セルに導くことができる。
次に、濃度制御装置110のCPUは、所定量の処理液を濃度測定用セルに導くことができたか否かを判断する(ステップS515)。
濃度制御装置110のCPUは、所定量の処理液を濃度測定用セルに導くことができていないと判断したときには(NO)、ステップS515に処理を戻す。
一方、濃度制御装置110のCPUは、所定量の処理液を濃度測定用セルに導くことができたと判断したときには(YES)、処理液抽出駆動部を停止する(ステップS517)。
次に、濃度制御装置110のCPUは、センサ制御部によってpHセンサや比色センサを駆動する(ステップS519)。具体的には、pHセンサの増幅器に電源を供給したり、比色センサの光源から光を発したりする。
次に、濃度制御装置110のCPUは、pHセンサや比色センサによって濃度を測定する(ステップS521)。
次に、濃度制御装置110のCPUは、センサ制御部によってpHセンサや比色センサを停止する(ステップS523)。pHセンサの増幅器への電源を停止したり、比色センサの光源からの発光を停止したりする。さらに、濃度測定用セルに純水を導いて濃度測定用セルを洗浄する。
次に、濃度制御装置110のCPUは、時間管理部によって、測定時刻を取得する(ステップS525)。pHセンサや比色センサによって濃度を測定された濃度は、測定時刻と濃度の種類(pH測定、中和滴定、キレート滴定、酸化還元滴定など)とに対応付けられて記憶部に記憶される。
次に、濃度制御装置110のCPUは、測定した濃度が下限値より低いか否かを判断する(ステップS527)。なお、下限値は、濃度の種類(pH測定、中和滴定、キレート滴定、酸化還元滴定など)毎に定められている。
濃度制御装置110のCPUは、測定した濃度が下限値より低いと判断したときには(YES)、バルブ116の開度が最大であるか否かを判断する(ステップS529)。
濃度制御装置110のCPUは、バルブ116の開度が最大であると判別したときには(YES)、バルブ116の開度を制御できないことを示す制御不可エラーを出力し(ステップS531)、本サブルーチンを終了する。処理液の薬液成分の濃度を高くするために供給する薬液を増やす必要があっても、バルブ116の開度が既に最大となっており、バルブ116の開度を大きくすることができないときには、バルブ116の開度を制御することができない旨のエラーを出力する必要がある。エラーの出力により、ディスプレイやタッチパネルなどにエラーが表示される。
一方、濃度制御装置110のCPUは、バルブ116の開度が最大でないと判別したときには(NO)、制御範囲を超えたことを示す制御範囲外エラーを出力し(ステップS533)、本サブルーチンを終了する。バルブ116の制御は可能ではあるが、処理液の薬液成分の濃度が低いために適切な表面処理ができない場合に、制御範囲外エラーとする。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS527の判断処理で、測定した濃度が下限値以上であると判断したときには(NO)、測定した濃度が上限値より高いか否かを判断する(ステップS535)。なお、上限値も、濃度の種類(pH測定、中和滴定、キレート滴定、酸化還元滴定など)毎に定められている。
濃度制御装置110のCPUは、測定した濃度が上限値より高いと判断したときには(YES)、バルブ116の開度が最小であるか否かを判断する(ステップS537)。
濃度制御装置110のCPUは、バルブ116の開度が最小であると判別したときには(YES)、バルブ116の開度を制御できないことを示す制御不可エラーを出力し(ステップS539)、本サブルーチンを終了する。処理液の薬液成分の濃度を低くするために供給する薬液を減らす必要があっても、バルブ116の開度が既に最小となっており、バルブ116の開度を小さくすることができないときには、バルブ116の開度を制御することができない旨のエラーを出力する必要がある。エラーの出力により、ディスプレイやタッチパネルなどにエラーが表示される。
一方、濃度制御装置110のCPUは、バルブ116の開度が最小でないと判別したときには(NO)、制御範囲を超えたことを示す制御範囲外エラーを出力し(ステップS541)、本サブルーチンを終了する。バルブ116の制御は可能ではあるが、処理液の薬液成分の濃度が高いために適切な表面処理ができない場合に、制御範囲外エラーとする。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS535の判断処理で、測定した濃度が上限値以下であると判断したときには(NO)、濃度が制御最小値以下であるか否かを判断する(ステップS611)。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS611の判断処理で、濃度が制御最小値以下であると判別したときには(YES)、バルブ116の開度を第1の開度に決定する(ステップS613)。一方、濃度制御装置110のCPUは、ステップS611の判断処理で、濃度が制御最小値より高いと判別したときには(NO)、濃度が制御最大値以上であるか否かを判断する(ステップS615)。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS615の判断処理で、濃度が制御最大値以上であると判別したときには(YES)、バルブ116の開度を第2の開度に決定する(ステップS616)。
前述した制御最小値及び制御最大値は、濃度の種類(pH測定、中和滴定、キレート滴定、酸化還元滴定など)毎に定められている。ステップS611及びS615の判断は、特定の濃度についてのみ判断しても全ての濃度について判断するようにしてもよい。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS613の処理及びステップS616の処理を実行したとき、ステップS615の判断処理で、濃度が制御最大値より低いと判別したときには(YES)、処理をステップS617に移す。
前述した第1の開度は、第2の開度よりも大きい開度である。したがって、バルブ116の開度を第1の開度に決定した場合には、処理槽に供給する薬液の流量を増やすことになる。一方、バルブ116の開度を第2の開度に決定した場合には、処理槽に供給する薬液の流量を減らすことになる。第2の開度は、第1の開度よりも小さければよく、バルブ116を完全に閉じた状態にしてもよい。バルブ116を完全に閉じたときには、処理槽に供給する薬液の流量はゼロとなり、処理槽に薬液が全く供給されない状態となる。このように、いわゆるオンオフ制御によってバルブ116の開度を制御して、処理槽に供給する薬液の流量を調整することができる。
次に、濃度制御装置110のCPUは、ステップS615で決定された開度となるように、バルブ駆動部によってバルブ116を駆動する(ステップS617)。
次に、濃度制御装置110のCPUは、流量検出部によって処理槽に供給する薬液の流量を検出する(ステップS619)。
次に、濃度制御装置110のCPUは、流量検出部によって検出された薬液の流量が、所定の流量範囲であるか否かを判断する(ステップS621)。
次に、濃度制御装置110のCPUは、流量検出部によって検出された薬液の流量が、所定の流量範囲であると判別したときには(YES)、適切に動作しているとして、本サブルーチンを終了する。一方、濃度制御装置110のCPUは、流量検出部によって検出された薬液の流量が、所定の流量範囲でないと判別したときには(NO)、制御範囲外エラーであるとして、本サブルーチンを終了する。例えば、バルブ116の不具合などによって、バルブ116を所望する開度に制御できない場合などには、薬液の流量が、予定している範囲を超えることも想定される。このような場合に、制御範囲外エラーを出力することで、不良品の発生を未然に防止することができる。
前述したように、この図5及び図6に示す濃度制御処理は、濃度制御装置110がローカルモードであるときに実行され、濃度制御装置110が、単独で処理液の薬液成分の濃度を調整することができる。後述する遠隔操作モードでは、濃度制御装置110は、統合管理装置120によって管理され、バルブ116の開度は統合管理装置120で決定される。遠隔操作モードでの処理については後述する。
<<<処理槽(処理槽1〜処理槽3)に貯留されている処理液の薬液成分の濃度の調整の例>>>
図5及び図6に示す濃度制御処理によって、処理槽(処理槽1〜処理槽3)に貯留されている処理液の薬液成分の濃度が調整される。図7は、オンオフ制御によって、処理液の薬液成分の濃度が調整される例を示すタイムチャートである。
図7に示すタイムチャートは、横軸を時刻にし縦軸を濃度にして、処理液の薬液成分の濃度の時間変化を示すグラフである。
時刻t1では、濃度が目標値よりも低い制御最小値となっており、時刻t1で、バルブ116の開度が広くなるようにバルブ116を制御する(第1の開度)。この制御により、オン状態となり、単位時間当たりに処理槽に供給する薬液の流量が増え、その後、時間の経過とともに徐々に濃度が高くなる。
時刻t2では、濃度が目標値よりも高い制御最大値となる。この時刻t2で、バルブ116の開度が狭くなるようにバルブ116を制御する(第2の開度)。この制御により、オフ状態となり、単位時間当たりに処理槽に供給する薬液の流量が減り、その後、時間の経過とともに徐々に濃度が低くなる。
時刻t3では、再び、濃度が目標値よりも低い制御最小値となる。この時刻t3で、バルブ116の開度が広くなるようにバルブ116を制御する(第1の開度)。この制御により、オン状態となり、単位時間当たりに処理槽に供給する薬液の流量が増え、その後、時間の経過とともに徐々に濃度が高くなる。
時刻t4では、再び、濃度が目標値よりも高い制御最大値となる。この時刻t4で、バルブ116の開度が狭くなるようにバルブ116を制御する(第2の開度)。この制御により、オフ状態となり、単位時間当たりに処理槽に供給する薬液の流量が減り、その後、時間の経過とともに徐々に濃度が低くなる。
図7に示すように、バルブ116の開度をオンオフ制御した場合には、濃度は、単調に増加する期間と単調に減少する期間とが交互に繰り返され、目標値を跨いで濃度が増減するように制御することができ、大よそ濃度が目標値となるようにすることができる。この例では、t1〜t3やt2〜t4で一周期となるように濃度を調整している。単位時間当たりの薬液の流量を変更することで一周期の長さを調整することができる。図7に示すように、処理槽の状態が安定しているときには、一周期は、一定の期間(t1〜t3やt2〜t4)にすることができる。
<<<ローカルモードと遠隔操作モードとの切り替え処理>>>
前述したように、濃度制御装置110は、ローカルモード又は遠隔操作モードのいずれかの動作モードで動作する。濃度制御装置110は、統合管理装置120から送信されたコマンドを受信することによって、ローカルモード又は遠隔操作モードが選択されて動作する。なお、本実施の形態の濃度制御装置110は、ローカルモードであっても、統合管理装置120が通信ネットワーク100を介して接続されている場合には、動作モードを変更するためのコマンドを受信することができ、受信したコマンドによって動作モードを切り替えることができる。また、ローカルモードであっても、統合管理装置120が通信ネットワーク100を介して接続されている場合には、薬液の残量や各種のエラーなどの重要な情報は、統合管理装置120に送信されるようにすることができる。
図8は、統合管理装置120で実行される動作モード変更処理である。図9は、濃度制御装置110で実行される動作モード変更処理である。図8に示す動作モード変更処理は、統合管理装置120のHDDなどに記憶されており、操作者の操作に応じて呼び出されて実行される。図9に示す動作モード変更処理は、記憶部に記憶されており、割り込み処理などの所定のタイミング毎に呼び出されて実行される。
<統合管理装置120で実行される動作モード変更処理>
図8に示すように、統合管理装置120のCPUは、最初に、動作モードを変更するか否かを判断する(ステップS711)。動作モードの変更は、統合管理装置120の操作者が、キーボードやマウスやタッチパネルなどの入力装置を操作することによって行うことができる。また、濃度制御装置110から送信された情報、例えば、エラー情報などを受信したことを契機に、ローカルモードから遠隔操作モードに変更するコマンドを送信するように構成してもよい。
統合管理装置120のCPUは、ステップS711の判断処理で、動作モードを変更しないと判別したときには(NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。一方、統合管理装置120のCPUは、ステップS711の判断処理で、動作モードを変更すると判別したときには(YES)、ローカルモードから遠隔操作モードに変更するか否かを判断する(ステップS713)。
統合管理装置120のCPUは、ステップS713の判断処理で、ローカルモードから遠隔操作モードに変更すると判別したときには(YES)、濃度制御装置110に遠隔操作モードコマンドを送信し(ステップS715)、本サブルーチンを終了する。濃度制御装置110は、この遠隔操作モードコマンドを受信することで、ローカルモードから遠隔操作モードに変更する。
統合管理装置120のCPUは、ステップS713の判断処理で、ローカルモードから遠隔操作モードに変更しないと判別したときには(NO)、濃度制御装置110にローカルモードコマンドを送信し(ステップS715)、本サブルーチンを終了する。濃度制御装置110は、このローカルモードコマンドを受信することで、遠隔操作モードからローカルモードに変更する。
<濃度制御装置110で実行される動作モード変更処理>
図9に示すように、濃度制御装置110のCPUは、最初に、統合管理装置120から送信されたローカルモードコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS811)。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS811の判断処理で、統合管理装置120からローカルモードコマンドを受信したと判別したときには(YES)、動作モードが、現在、遠隔操作モードであるか否かを判断する(ステップS813)。濃度制御装置110のCPUは、動作モードが、現在、遠隔操作モードであると判別したときには(YES)、動作モードをローカルモードに変更し(ステップS815)、本サブルーチンを終了する。
一方、濃度制御装置110のCPUは、動作モードが、現在、遠隔操作モードでないと判別したときには(NO)、不適切なコマンドを受信したとして、エラーを濃度制御装置110のディスプレイなどに表示したり、統合管理装置120に送信したりして(ステップS817)、本サブルーチンを終了する。このように、その時点における動作モードに応じて適切なコマンドを受信したか否かを判断することによって、濃度制御装置110の誤動作を防止することができる。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS811の判断処理で、統合管理装置120からローカルモードコマンドを受信していないと判別したときには(NO)、統合管理装置120から送信された遠隔操作モードコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS819)。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS819の判断処理で、統合管理装置120から遠隔操作モードコマンドを受信したと判別したときには(YES)、動作モードが、現在、ローカルモードであるか否かを判断する(ステップS821)。濃度制御装置110のCPUは、動作モードが、現在、ローカルモードであると判別したときには(YES)、動作モードを遠隔操作モードに変更し(ステップS823)、本サブルーチンを終了する。
一方、濃度制御装置110のCPUは、動作モードが、現在、ローカルモードでないと判別したときには(NO)、不適切なコマンドを受信したとして、エラーを濃度制御装置110のディスプレイなどに表示したり、統合管理装置120に送信したりして(ステップS817)、本サブルーチンを終了する。このように、その時点における動作モードに応じて適切なコマンドを受信したか否かを判断することによって、濃度制御装置110の誤動作を防止することができる。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS819の判断処理で、統合管理装置120から遠隔操作モードコマンドを受信していないと判別したときには(NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。
<ハードウエアで動作モードを切り替える構成>
なお、図8及び図9に示した例は、統合管理装置120から送信された切り替えコマンドによって、ローカルモード又は遠隔操作モードがソフトウエアで選択される場合を示したが、操作者が操作可能な切替スイッチ(例えば、トグルスイッチやディップスイッチなど)を濃度制御装置110に設けて、操作者が切替スイッチを手動で操作することで、ローカルモード又は遠隔操作モードをハードウエアで選択できるようにしてもよい。
<<<遠隔操作モードでの濃度制御装置110の濃度制御処理>>>
図10及び図11は、遠隔操作モードでの濃度制御装置110の濃度制御処理を示すフローチャートである。図10及び図11に示す濃度制御処理のためのプログラムは、濃度制御装置110の記憶部に予め記憶され、演算部(CPU)によって呼び出されて実行される。図10及び図11に示す濃度制御処理は、濃度制御装置110が遠隔操作モードであるときに実行され、測定した処理液の薬液成分の濃度を統合管理装置120に送信し、統合管理装置120がバルブ116の開度を決定することで、処理槽に供給する薬液の流量を定め、処理液の薬液成分の濃度を調整する。
なお、図10は、ローカルモードの図5に対応し、図11は、ローカルモードの図6に対応する。図10及び図11に示すフローチャートにおいて、図5及び図6と共通する処理については、共通の符号を付した。図10においては、ステップS511〜S541は、図5と同様の処理である。また、図11においては、ステップS619〜S623は、図6と同様の処理である。以下では、共通する処理については説明を省略する。
まず、濃度制御装置110のCPUは、濃度制御モードが測定制御モードであるか否かを判断する(図10のステップS1011)。本実施の形態では、濃度の制御モードとして、測定制御モードと非測定制御モードとがある。測定制御モードは、濃度を測定し、測定した濃度に応じてバルブ116の開度を決定するモードである。測定制御モードは、処理槽の状態が安定しない(濃度の時間変化が大きいような状態)ようなときに、選択される制御モードである。一方、非測定制御モードは、濃度を測定せずに、バルブ116の開度を決定するモードである。非測定制御モードは、処理槽の状態が安定している(濃度の時間変化が小さいような状態)ようなときに、選択される制御モードである。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS1011の判断処理で、濃度制御モードが測定制御モードであると判別したときには(YES)、ステップS511に処理を移す。このようにすることで、ステップS511〜S525の処理によって、濃度が測定される。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS1011の判断処理で、濃度制御モードが測定制御モードでないと判別したとき、すなわち、濃度制御モードが非測定制御モードであるときには(NO)、図11に示すステップS1127に処理を移す。このようにすることで、濃度を測定することなく、直ちにバルブ116の開度が決定される。
濃度制御装置110のCPUは、図10に示すステップS535の判断処理で、測定した濃度が上限値以下であると判断したときには(NO)、統合管理装置120に、濃度制御装置識別情報を送信し(ステップS1111)、処理槽番号を送信し(ステップS1113)、測定時刻を送信し(ステップS1115)、濃度種類を送信し(ステップS1117)、処理槽液温を送信し(ステップS1119)、処理室温度を送信し(ステップS1121)、処理室湿度を送信し(ステップS1113)、濃度を送信する(ステップS1125)。これらのパラメータは、処理槽や製造設備の環境などの生産条件を示すパラメータである。パラメータの詳細については後述する。統合管理装置120は、これらのパラメータの値が示す生産条件に基づいて、バルブ116の開度を算出し、濃度制御装置110に送信する。
濃度制御装置110のCPUは、統合管理装置120から開度を受信したか否かを判断する(ステップS1127)。濃度制御装置110のCPUは、統合管理装置120から開度を受信していないと判別したときには(NO)、ステップS1127に処理を戻す。
濃度制御装置110のCPUは、統合管理装置120から開度を受信したと判別したときには(YES)、受信した開度を記憶し(ステップS1129)、受信した開度に応じてバルブ116を駆動する(ステップS1131)。
次に、濃度制御装置110のCPUは、ステップS619〜S623の処理を実行する(図5と同様の処理を実行する)。
濃度制御装置110のCPUは、ステップS621の判断処理で、流量検出部によって検出された薬液の流量が、所定の流量範囲であると判別したときには(YES)、統合管理装置120に、濃度制御装置識別情報を送信し(ステップS1133)、薬液残量を送信し(ステップS1135)、センサ稼動時間を送信し(ステップS1137)、分析用試薬使用量を送信し(ステップS1139)、純水使用量を送信し(ステップS1141)、本サブルーチンを終了する。統合管理装置120は、これらのパラメータは、表面処理に要する消耗品(薬液)や、濃度の測定に要する消耗品(分析用試薬や)や、センサの寿命(センサ稼動時間)に関するパラメータである。これらのパラメータの値から消耗品の消費量や残量や寿命を算出して、消耗品を供給するタイミングを決定することができる。
<<<濃度受信処理>>>
図12は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて、濃度制御装置110から送信された濃度等の情報を受信してバルブ116の開度を決定するための処理である。
最初に、統合管理装置120のCPUは、濃度制御装置識別情報を受信したか否かを判断する(ステップS1211)。
統合管理装置120のCPUは、濃度制御装置識別情報を受信したと判別したときには(YES)、処理槽番号を受信し(ステップS1213)、測定時刻を受信し(ステップS1215)、濃度種類を受信し(ステップS1217)、処理槽液温を受信し(ステップS1219)、処理室温度を受信し(ステップS1221)、処理室湿度を受信し(ステップS1213)、濃度を受信し(ステップS1225)、受信したこれらの値をRAMやHDDなどに記憶する(ステップS1227)。
次に、統合管理装置120のCPUは、後述するバルブ開度決定処理のサブルーチンを呼び出して実行し(ステップS1229)、本サブルーチンを終了する。
前述したステップS1211の処理で濃度制御装置識別情報を受信することで、統合管理装置120に通信可能に接続されている複数の濃度制御装置110のうちの一の濃度制御装置110を特定し、特定した一の濃度制御装置110に対して開度などの情報を送信することができる。
また、統合管理装置120のCPUは、ステップS1213の処理で処理槽番号を受信することで、一の濃度制御装置110に複数の処理槽が接続されている場合に、複数の処理槽のうちの一の処理槽を特定することができ、特定した一の処理槽の濃度を測定して薬液を供給することができる。
さらに、統合管理装置120のCPUは、濃度制御装置識別情報と処理槽番号とによって、薬液の種類を特定することができる。後述するように、生産条件を変更する際に処理槽の薬液の種類を変更した場合には、変更した薬液の種類が濃度制御装置110から統合管理装置120に送信される(図21AのステップS2111A及び図21BのステップS2111B)。統合管理装置120は、薬液の種類が変更されたときには、濃度制御装置識別情報及び処理槽番号に対応付けて薬液の種類をHDDなどに記憶する。このため濃度制御装置識別情報及び処理槽番号を指定することで薬液の種類を読み出して特定することができる。
なお、統合管理装置120のCPUは、一の濃度制御装置110に一の処理槽のみが接続されている場合には、濃度制御装置識別情報のみを指定することで薬液の種類を特定することができる。一方、統合管理装置120のCPUは、一の濃度制御装置110に複数の処理槽が接続されている場合には、濃度制御装置識別情報及び処理槽番号との双方を指定することで薬液の種類を特定することができる。
<<<バルブ開度決定処理>>>
図13は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて、濃度制御装置110から送信された濃度等の情報からバルブ116の開度を決定するための処理である。
最初に、統合管理装置120のCPUは、バルブ116の開度をオンオフ制御によって決定するか否かを判断する(ステップS1311)。
統合管理装置120のCPUは、バルブ116の開度をオンオフ制御によって決定すると判別したときには(YES)、後述するオンオフ制御のサブルーチンを呼び出して実行する(ステップS1313)。
統合管理装置120のCPUは、バルブ116の開度をオンオフ制御によって決定しないときには(NO)、バルブ116の開度をPID制御(Proportinal(比例)、Integral(積分)、Differential(微分))によって決定するか否かを判断する(ステップS1315)。
統合管理装置120のCPUは、バルブ116の開度をPID制御によって決定すると判別したときには(YES)、後述するPID制御のサブルーチンを呼び出して実行する(ステップS1317)。
統合管理装置120のCPUは、バルブ116の開度をPID制御によって決定しないと判別したときには(NO)、後述するテーブル参照制御のサブルーチンを呼び出して実行する(ステップS1319)。
統合管理装置120のCPUは、前述したステップS1313、S1317及びS1319の処理を実行したときには、これらの処理で決定したバルブ116の開度を濃度制御装置110に送信する(ステップS1321)。このステップS1321の処理では、統合管理装置120に通信可能に接続されている複数の濃度制御装置110のうち、図12のステップS1211の処理で受信した濃度制御装置識別情報が示す一の濃度制御装置110に対してバルブ116の開度を送信する。
<<<オンオフ制御処理>>>
図14は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行されるオンオフ制御処理である。この処理は、前述したステップS1313の処理で呼び出されて実行される。なお、このオンオフ制御処理には、前述した図6のステップS611〜S616と同様の処理を含み、同様の処理には同じ符号を付した。
最初に、統合管理装置120のCPUは、制御最小値及び制御最大値をHDDから読み出す(ステップS1411)。制御最小値及び制御最大値は、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)に対応付けられて、制御最小値及び制御最大値対応テーブルとして予め規定されてHDDに記憶されている(後述する図22のステップS2213及びS2215参照)。ステップS1411の処理では、ステップS1213〜S1225で受信してステップS1227で記憶されている各値を用いて制御最小値及び制御最大値対応テーブルを検索して、該当する制御最小値及び制御最大値をHDDから読み出す。
次に、統合管理装置120のCPUは、第1の開度及び第2の開度をHDDから読み出す(ステップS1413)。第1の開度及び第2の開度は、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)に対応付けられて、第1の開度及び第2の開度対応テーブルとして予め規定されてHDDに記憶されている(後述する図22のステップS2217及びS2219参照)。ステップS1413の処理では、ステップS1213〜S1225で受信してステップS1227で記憶されている各値を用いて第1の開度及び第2の開度対応テーブルを検索して、該当する第1の開度及び第2の開度をHDDから読み出す。
次に、統合管理装置120のCPUは、HDDから読み出した制御最小値及び制御最大値並びに第1の開度及び第2の開度を用いて、ステップS611〜S616の処理を実行し、第1の開度又は第2の開度のいずれか一方をバルブ116の開度として決定する。
オンオフ制御によってバルブ116の開度を制御することにより、処理槽に供給する薬液の流量を、オン状態では所定の流量にし、オフ状態ではゼロにするようにバルブの開度を制御したり、オン状態では所定の第1の流量にし、オフ状態では第1の流量よりも低い第2の流量にするようにバルブの開度を制御したりすることができる。オンのタイミングとオフのタイミングとを短時間にすることで、処理槽の処理液の薬液成分の濃度を一定に近づけることができる。
<<<PID制御処理>>>
図15は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行されるPID制御処理である。この処理は、前述したステップS1317の処理で呼び出されて実行される。
PID制御は、Proportinal(比例)の項と、Integral(積分)の項と、Differential(微分)の項との和によって規定され、Proportinal(比例)の係数Kpと、Integral(積分)の係数Kiと、Differential(微分)の係数Kdとを適宜に定めることで、測定した濃度を入力値にし、バルブ116の開度を出力値として決定することができる。PID制御でバルブ116の開度を制御することにより、濃度が目標値から大きく偏倚しているような場合であっても、濃度の変動を少なくしつつ迅速に目標値に近づけることができる。
最初に、統合管理装置120のCPUは、係数Kpと係数Kiと係数KdとをHDDから読み出す(ステップS1511)。係数Kp、係数Ki、係数Kdが、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)に対応付けられて、係数対応テーブルとして予め規定されてHDDに記憶されている(後述する図22のステップS2221及びS2223参照)。ステップS1511の処理では、ステップS1213〜S1225で受信してステップS1227で記憶されている各値を用いて係数対応テーブルを検索して、該当する係数をHDDから読み出す。
次に、統合管理装置120のCPUは、読み出した係数Kp、係数Ki、係数Kdと測定した濃度を用いてバルブ116の開度を出力値として算出し(ステップS1513)、本サブルーチンを終了する。
なお、本実施の形態では、フィードバック制御の一つとしてPID制御を採用したが、濃度を測定してバルブ116の開度をフィードバック制御によって決定できるものであれば他の制御でもよい。また、マルコフ過程などの確率過程によって濃度の変化の予測をしてバルブ116の開度を制御するものでもよい。
<<<テーブル参照制御処理>>>
図16は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行されるテーブル参照制御処理である。この処理は、前述したステップS1319の処理で呼び出されて実行される。
テーブル参照制御は、バルブ116の開度が、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)に対応付けられて、開度対応テーブルとして予め規定されてHDDに記憶されている(後述する図22のステップS2225参照)。例えば、これまでに行われた処理によって、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)が、十分に蓄えられている場合には、これらの値から、開度対応テーブルとして整理することができる。これまでの実績のある値から決定された開度対応テーブルであるので、これまでと同様の条件で表面処理をする場合には、信頼性を高くしてバルブの開度を決定することができる。
最初に、統合管理装置120のCPUは、ステップS1511の処理では、ステップS1213〜S1225で受信してステップS1227で記憶されている各値から一の開度対応テーブルを選択する(ステップS1611)。
次に、統合管理装置120のCPUは、選択した一の開度対応テーブルから、測定した濃度に対応する開度を読み出し(ステップS1613)、本サブルーチンを終了する。
<<<PID制御とオンオフ制御処理との切り替え>>>
前述した例では、PID制御とオンオフ制御処理とを別個に選択してバルブ116の開度を制御する場合を示したが、PID制御とオンオフ制御処理とを切り替えて制御することもできる。
図17は、PID制御からオンオフ制御処理に切り替えて、処理槽の処理液の薬液成分の濃度を制御する例を示すタイムチャートである。
処理槽の処理液の薬液成分の濃度が目標値から大きく偏倚している場合、例えば、制御最大値よりも大きい場合や制御最小値よりも小さい場合などでは、PID制御によってバルブ116の開度を制御する。PID制御を用いることによって、オーバーシュートを起こしにくくして処理槽の処理液の薬液成分の濃度を目標値に迅速に近づけることができる。
図17に示す例では、PID制御によってバルブ116の開度を制御した後に濃度の変動が安定し、時刻t1で濃度が制御最小値以下となったときに、PID制御からオンオフ制御に切り替える。このように、オンオフ制御に切り替えることで、濃度の測定頻度を低くして分析用試薬や純水などの消耗品の消費を抑えることができる。
<<<PID制御とオンオフ制御処理とテーブル参照制御の選択や切り替え>>>
前述したように、遠隔操作モードで濃度制御装置110を制御する場合には、統合管理装置120が、処理槽の処理液の薬液成分の濃度からバルブ116の開度を決定し、濃度制御装置110は、統合管理装置120が決定した開度となるようにバルブ116を駆動する。
このように、統合管理装置120が、バルブ116の開度を決定する。開度の決定は、オンオフ制御だけでなく、PID制御やテーブル参照制御などの各種の制御方式を採用して決定することができる。
これらの複数の制御方式は、薬液の種類や処理槽体積など処理条件に応じて、予め一の制御方式を固定的に選択して開度を決定するようにしても、処理槽の処理液の薬液成分の濃度や濃度の変動などの状況に応じて、一の制御方式から他の制御方式に動的に切り替えて開度を決定するようにしてもよい。
このように、遠隔操作モードで濃度制御装置110を制御するように構成することで、統合管理装置120は、複数の制御方式のうちのいずれか一の制御方式を選択してバルブ116の開度を決定したり、一の制御方式から他の制御方式に切り替えてバルブ116の開度を決定したりすることができる。また、新たな制御方式を導入したり、制御方式を更新したりする際に、遠隔操作モードで濃度制御装置110を制御するようにすることで、複数の濃度制御装置110の全てでプログラムを変更することなく、統合管理装置120のプログラムのみを変更すればよく、バージョンアップなどの更新作業を簡便にすることができる。
<<<測定制御モード・非測定制御モード決定処理>>>
図18は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行される測定制御モード・非測定制御モードを決定する処理である。
前述したように、遠隔操作モードにおける制御モードとして、測定制御モードと非測定制御モードとからなる。測定制御モードは、処理液の薬液成分の濃度を測定し、測定した濃度からバルブ116の開度を決定して薬液の流量を調整するモードである。一方、非測定制御モードは、処理液の薬液成分の濃度を測定せずにバルブ116の開度を決定して薬液の流量を調整するモードである。
最初に、統合管理装置120のCPUは、所定の期間に亘って濃度の変動が安定しているか否かを判断する(ステップS1811)。例えば、濃度変化の周期(図7参照)が、複数回(例えば5回など)の全て一定であるか否かを判断する。具体的には、所定の時間に亘って、濃度が一定の周期で変動しかつ一の周期における濃度の最大値及び最小値が一定であるか否かを判断する。
統合管理装置120のCPUが、ステップS1811の判断処理で、所定の期間に亘って濃度の変動が安定していると判別したときには(YES)、非測定制御モードに決定する(ステップS1813)。濃度の変動が安定しているので、非測定制御モードにしても、的確に濃度を管理することができる。非測定制御モードにすることで、処理槽の処理液の薬液成分の濃度を測定しないので、分析用試薬や純水などの消耗品の消費を抑えることができる。また、センサを使用しないので、電極や光源などの部品の寿命も伸ばすことができる。
一方、統合管理装置120のCPUが、ステップS1811の判断処理で、所定の期間に亘って濃度の変動が安定していないと判別したときには(NO)、測定制御モードに決定する(ステップS1815)。濃度の変動が安定していないので、所定のタイミングで濃度を測定してバルブ116の開度を調整する必要があり、バルブ116の開度を調整する頻度を高めることで、処理槽の処理液の薬液成分の濃度を迅速に安定化させることができる。
<<<管理情報受信処理>>>
図19は、統合管理装置120によって実行される処理であり、遠隔操作モードにおいて実行される管理情報受信処理である。この処理は、図11のステップS1133〜S1141の処理に対応する処理である。なお、ここで、管理情報は、薬液残量、センサ稼動時間、分析用試薬使用量、純水使用量などである。
最初に、統合管理装置120のCPUは、濃度制御装置識別情報を受信したか否かを判断する(ステップS1911)。
統合管理装置120のCPUは、ステップS1911の判断処理で、濃度制御装置識別情報を受信したと判別したときは(YES)、薬液残量を受信し(ステップS1913)、センサ稼動時間を受信し(ステップS1915)、分析用試薬使用量を受信し(ステップS1917)、純水使用量を受信し(ステップS1919)、各受信値を記憶し(ステップS1921)、本サブルーチンを終了する。
統合管理装置120のCPUは、ステップS1911の判断処理で、濃度制御装置識別情報を受信していないと判別したときは(NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。
上述した各種の管理情報を受信して記憶することで、これらの管理情報の変化や推移を算出することで、薬液や分析用試薬や純水などの消耗品の消費量や残量を管理することができ、薬液や分析用試薬や純水を、製品製造業者(例えば、自動車製造業者など)の生産設備に適切なタイミングで供給することができる。
また、センサ稼動時間を管理することにより、電極や光源などの部品を交換時期や校正の時期などを適切に判断し、製品製造業者(例えば、自動車製造業者など)に報知したり、電極や光源などの部品を適切なタイミングで供給したりすることができる。なお、統合管理装置120のCPUが、センサの校正が必要なタイミングであると判別したときには、センサ校正コマンドを濃度制御装置110に送信する。
<<<メンテナンス情報の送受信処理>>>
製品製造業者では、定期的に生産設備のメンテナンスが行われる。メンテナンスの実行によって、濃度制御装置110や処理槽などに関する各種の情報(以下、メンテナンス情報と称する)を取得することができる。
図20Aは、濃度制御装置110から統合管理装置120にメンテナンス情報を送信する処理を示すフローチャートである。
濃度制御装置110のCPUは、薬液供給日時を送信し(ステップS2011A)、薬液供給量を送信し(ステップS2013A)、センサ交換日時を送信し(ステップS2015A)、センサ種類を送信し(ステップS2017A)、分析用試薬供給日時を送信し(ステップS2019A)、分析用試薬量を送信し(ステップS2021A)、分析用試薬種類を送信し(ステップS2023A)、純水供給日時を送信し(ステップS2025A)、本サブルーチンを終了する。
図20Bは、濃度制御装置110から送信されたメンテナンス情報を受信する処理を示すフローチャートである。
濃度制御装置110のCPUは、薬液供給日時を受信し(ステップS2011B)、薬液供給量を受信し(ステップS2013B)、センサ交換日時を受信し(ステップS2015B)、センサ種類を受信し(ステップS2017B)、分析用試薬供給日時を受信し(ステップS2019B)、分析用試薬量を受信し(ステップS2021B)、分析用試薬種類を受信し(ステップS2023B)、純水供給日時を受信し(ステップS2025B)、各受信値を記憶し(ステップS2027B)、本サブルーチンを終了する。
センサ交換日時及びセンサ種類を受信することで、センサの部品を交換した日時とそのセンサの種類(pHセンサや比色センサなど)を管理することができる。このようにすることで、次の交換時期を予測することができる。
また、分析用試薬供給日時、分析用試薬量、分析用試薬種類を受信することで、メンテナンスで新たに供給した分析用試薬の種類と日時と量と管理することができる。このようにすることで、次の供給時期を予測することができる。
さらに、純水供給日時を受信することで、純水の次の供給時期を予測することができる。
<<<生産条件情報の送受信処理>>>
製品製造業者では、定期的にラインの変更などの生産設備の生産条件を変更する。生産条件の変更の実行によって、濃度制御装置110や処理槽などに関する各種の情報(以下、生産条件情報と称する)を取得することができる。
図21Aは、濃度制御装置110から統合管理装置120に生産条件情報を送信する処理を示すフローチャートである。
濃度制御装置110のCPUは、薬液種類を送信し(ステップS2111A)、処理槽体積を送信し(ステップS2113A)、処理時間を送信し(ステップS2115A)、処理対象表面積を送信し(ステップS2117A)、本サブルーチンを終了する。
図21Bは、濃度制御装置110から送信された生産条件情報を受信する処理を示すフローチャートである。
濃度制御装置110のCPUは、薬液種類を受信し(ステップS2111B)、処理槽体積を受信し(ステップS2113B)、処理時間を受信し(ステップS2115B)、処理対象表面積を受信し(ステップS2117B)、各受信値を記憶し(ステップS2119B)、本サブルーチンを終了する。
<<<制御用のパラメータ更新処理>>>
前述したように本実施の形態では、オンオフ制御、PID制御、テーブル参照制御の制御方式によってバルブ116の開度を決定している。いずれの制御方式でも、生産条件に応じて制御方式で用いるパラメータを変更する必要がある。パラメータは、オンオフ制御の場合には、制御最大値及び制御最小値、並びに制御最小値及び制御最大値であり、PID制御の場合には、係数Kp、Ki、Kd算であり、テーブル参照制御の場合には、対応関係を記憶したテーブルの値である。新たな生産条件が加わった場合には、これらのパラメータを順次更新し、生産条件に対応できるようにする必要がある。
図22は、オンオフ制御、PID制御、テーブル参照制御の制御方式で用いるパラメータを更新する処理を示すフローチャートである。この処理は、統合管理装置120において、定期的に、例えば、一週間ごとなどに呼び出されて実行され、各種の生産条件に対応できる更新される。
最初に、統合管理装置120のCPUは、生産条件を示すパラメータをHDDから読み出す(ステップS2211)。ここで、生産条件を示すパラメータとして、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度、濃度(目標値)がある。
次に、統合管理装置120のCPUは、読み出したパラメータから、オンオフ制御で用いる制御最大値及び制御最小値を算出し(ステップS2213)、算出した制御最大値及び制御最小値を記憶する(ステップS2215)。制御最大値及び制御最小値は、前述したように、図6や図14のステップS611やS615の判断処理で用いられる。
次に、統合管理装置120のCPUは、読み出したパラメータから、オンオフ制御で用いる第1の開度及び第2の開度を算出し(ステップS2217)、算出した第1の開度及び第2の開度を記憶する(ステップS2219)。第1の開度及び第2の開度は、前述したように、図6や図14のステップS613やS616の処理で用いられる。
次に、統合管理装置120のCPUは、読み出したパラメータから、PID制御で用いる係数Kp、Ki、Kdを算出し(ステップS2221)、算出した係数Kp、Ki、Kdを係数対応テーブルに記憶させて係数対応テーブルを更新する(ステップS2223)。係数Kp、Ki、Kdは、前述したように、図15のステップS1513の処理で用いられる。
次に、統合管理装置120のCPUは、読み出したパラメータから、テーブル参照制御で用いる開度対応テーブルを更新し(ステップS2225)、本サブルーチンを終了する。開度対応テーブルは、前述したように、図16のステップS1613の処理で用いられる。
開度対応テーブルは、バルブ116の開度が、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)などの生産条件を示す各種のパラメータと対応付けられたテーブルであり、これまでに行われた表面処理の各種の生産条件が整理されて記憶されているテーブルである。同一の生産条件については、統計処理などによって最も適切な値に徐々に更新されてテーブルに記憶される。また、これまでになかった新たな生産条件については、追加されてテーブルに記憶される。これまでに実際に行われた生産条件の値を用いることで、信頼を高くしてバルブ116の開度を決定することができる。
<<<消耗品補給予測処理>>>
図23は、消耗品の補給を予測する処理を示すフローチャートである。この処理は、統合管理装置120において、定期的に、例えば、一日ごとなどに呼び出されて実行されて判断される。
最初に、統合管理装置120のCPUは、これまでの供給時期や供給量などの供給条件を示すパラメータをHDDから読み出す(ステップS2311)。ここで、供給条件を示すパラメータとして、薬液供給日時、薬液供給量、センサ交換日時、センサ種類、分析用試薬供給日時、分析用試薬量、分析用試薬種類、純水供給日時がある。
次に、統合管理装置120のCPUは、薬液供給日時及び薬液供給量に基づいて、薬液供給時期であるか否かを判断する(ステップS2313)。統合管理装置120のCPUは、薬液供給時期であると判別したときには(YES)、薬液の供給時期であることを報知する(ステップS2315)。
薬液の供給時期であることの報知は、統合管理装置120のディスプレイ(図示せず)にメッセージを表示するようにしても、薬液の供給時期であることを示す情報を濃度制御装置110に送信し、濃度制御装置110のディスプレイやタッチパネルに表示するようにしてもよい。また、濃度制御装置110に設けられているエラー用のランプなど(図示せず)を点灯するようにしてもよい。
統合管理装置120のCPUは、ステップS2313の判断処理で、薬液供給時期でないと判別したときには(NO)、センサ交換日時及びセンサ種類に基づいて、センサ部品の交換時期であるか否かを判断する(ステップS2317)。統合管理装置120のCPUは、センサ部品の交換時期であると判別したときには(YES)、センサ部品の交換時期であることを報知する(ステップS2319)。
センサ部品の交換時期であることの報知も、統合管理装置120のディスプレイ(図示せず)にメッセージを表示するようにしても、薬液の供給時期であることを示す情報を濃度制御装置110に送信し、濃度制御装置110のディスプレイやタッチパネルに表示するようにしてもよい。また、濃度制御装置110に設けられているエラー用のランプなど(図示せず)を点灯するようにしてもよい。
統合管理装置120のCPUは、ステップS2317の判断処理で、センサ部品の交換時期でないと判別したときには(NO)、分析用試薬供給日時、分析用試薬量及び分析用試薬種類に基づいて、分析用試薬の供給時期であるか否かを判断する(ステップS2321)。統合管理装置120のCPUは、分析用試薬の供給時期であると判別したときには(YES)、分析用試薬の供給時期であることを報知する(ステップS2323)。
分析用試薬の供給時期であることの報知も、統合管理装置120のディスプレイ(図示せず)にメッセージを表示するようにしても、薬液の供給時期であることを示す情報を濃度制御装置110に送信し、濃度制御装置110のディスプレイやタッチパネルに表示するようにしてもよい。また、濃度制御装置110に設けられているエラー用のランプなど(図示せず)を点灯するようにしてもよい。
統合管理装置120のCPUは、ステップS2321の判断処理で、分析用試薬の供給時期でないと判別したときには(NO)、純水供給日時に基づいて、純水の供給時期であるか否かを判断する(ステップS2325)。統合管理装置120のCPUは、純水の供給時期であると判別したときには(YES)、純水の供給時期であることを報知する(ステップS2327)。
純水の供給時期であることの報知も、統合管理装置120のディスプレイ(図示せず)にメッセージを表示するようにしても、薬液の供給時期であることを示す情報を濃度制御装置110に送信し、濃度制御装置110のディスプレイやタッチパネルに表示するようにしてもよい。また、濃度制御装置110に設けられているエラー用のランプなど(図示せず)を点灯するようにしてもよい。
統合管理装置120のCPUは、ステップS2321の判断処理で、純水の供給時期でないと判別したとき(NO)、又はステップS2327の処理を実行した後、本サブルーチンを終了する。
上述した例では、供給時期や交換時期を判断する例を示したが、薬液供給時期の判断は、現時点が供給時期であるか否かの判断でも、将来の供給すべき予測の時期であるか否かの判断でもよい。図19の処理で受信した薬液残量、センサ稼動時間、分析用試薬使用量、純水使用量などから供給時期や交換時期を予測し、予測時期を報知するようにしてもよい。予測時期も統合管理装置120のディスプレイ(図示せず)にメッセージを表示するようにしても、薬液の供給時期であることを示す情報を濃度制御装置110に送信し、濃度制御装置110のディスプレイやタッチパネルに表示するようにしてもよい。予測時期を報知することで、事前に消耗品を準備することができる。
また、上述した例では、統合管理装置120が供給時期や交換時期を判断する例を示したが、濃度制御装置110が判断するように構成してもよい。この場合には、供給時期や交換時期を示す情報を統合管理装置120に送信することで、統合管理装置120が統括的に管理することができる。
<<<遠隔操作モードにおいて通信可能なパラメータ>>>
図24及び図25は、遠隔操作モードにおいて、濃度制御装置110と統合管理装置120との間で通信可能なパラメータの一覧を示す図である。
<<濃度制御装置110から統合管理装置120に送信されるパラメータ>>
<濃度調整時(定常運転時、定常動作時)に送信されるパラメータ>
濃度制御装置110が、定常運転(定常動作)しているときは、主に、濃度を調整する動作状態となっている。この状態を、定常運転時、定常動作時又は濃度調整時などと称する。濃度制御装置110が濃度調整時(定常運転時、定常動作時)であるときに、統合管理装置120に送信されるパラメータには、主に、濃度制御装置識別情報、処理槽番号、測定時刻、濃度種類、測定値、薬液残量、薬液供給流量、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度、センサ稼動時間、試薬使用量、純水使用量などがある。
<濃度制御装置識別情報>
濃度制御装置識別情報は、統合管理装置120が管理する複数の濃度制御装置110の各々を識別するための情報であり、互いに異なる情報が割り当てられている。統合管理装置120は、濃度制御装置識別情報を受信して、濃度制御装置110を識別することができ、識別した濃度制御装置識別情報に対して制御用のコマンドやパラメータなどを送信することができる。
<処理槽番号>
処理槽番号は、一の濃度制御装置110に複数の処理槽が接続されている場合に、複数の処理槽の各々を識別するための番号である。濃度制御装置110は、複数の処理槽のうち処理槽番号によって指定された一の処理槽の濃度を制御することができる。
<測定時刻>
測定時刻は、一の濃度制御装置110が濃度を測定したときの時刻である。時刻は、時刻管理部によって生成される。時刻管理部は、濃度制御装置110が通信ネットワーク100に通信可能に接続されている場合には、NTP(Network Time Protocol)サーバから正しい時刻情報を取得することができ、正しい測定時刻にすることができる。
<濃度種類>
濃度種類は、pH測定、中和滴定、キレート滴定、酸化還元滴定などがある。濃度制御装置110は、処理槽での表面処理の種類や、表面処理の薬液の種類などに応じて、測定すべき濃度の種類を適宜に選択して測定することができる。
<測定値>
測定値は、前述した濃度種類ごとに測定した濃度の測定値である。濃度制御装置110は、濃度種類ごとに濃度を測定し、測定した濃度を濃度種類に対応付けて記憶したり、統合管理装置120に送信したりすることができる。
<薬液残量>
薬液残量は、処理槽に供給する薬液の残量である。薬液は、薬液タンク(図示せず)に貯留されており、ポンプ(図示せず)を駆動することによって、薬液タンクから処理槽に薬液を供給することができる。薬液の残量は、薬液タンクに貯留されている薬液の液面位置や、薬液タンクの重量の測定から求めることができる。また、薬液の残量は、処理槽に供給する薬液の流量や総量から求めてもよい。
<薬液供給流量>
薬液供給流量は、薬液タンク(図示せず)から処理槽へ単位時間当たりに供給する薬液の流量である。前述したように、ポンプ(図示せず)を駆動することによって、薬液タンクから処理槽に薬液を供給することができる。薬液タンクから処理槽に薬液を供給する配管にバルブ116(図2参照)が設けられており、バルブ116の開度によって、流量を変更することができる。
<処理槽液温>
処理槽液温は、処理槽に貯留されている処理液(混合溶液)の液温である。一般に、処理槽液温が高い場合には、表面処理に要する時間が短くなったり、混合溶液の濃度が均一になるまでの時間が短くなったりする。一方、処理槽液温が低い場合には、表面処理に要する時間が長くなったり、混合溶液の濃度が均一になるまでの時間が長くなったりする。
<処理室温度>
処理室温度は、処理槽が設置されている製造建屋や製造室の室温である。処理槽の近くの室温が好ましい。
<処理室湿度>
処理室湿度は、処理槽が設置されている製造建屋や製造室の湿度である。処理槽の近くの湿度が好ましい。
<センサ稼動時間>
センサ稼動時間は、濃度制御装置110に設けられたセンサが、処理液の薬液成分の濃度を測定するために稼動した時間である。濃度制御装置110には、pH測定、中和滴定、キレート滴定、酸化還元滴定などの濃度を測定するための各種のセンサが設けられている。センサ稼動時間は、センサ毎に計測されて記憶される。
<試薬使用量(試薬使残量)>
試薬使用量は、処理液の薬液成分の濃度を測定するために用いられる分析用試薬の量である。処理液の薬液成分の濃度の測定には分析用試薬が用いられ、分析用試薬は、濃度が測定される度に消費される。消費した分析用試薬の量や、分析用試薬の残量を管理することで、分析用試薬を補充するタイミングを適切に定めることができる。
<純水使用量>
純水使用量は、濃度測定で用いるセルを、測定後に洗浄するために用いる純水の量である。純水は、純水タンク(図示せず)に貯留されており、濃度が測定される度に消費される。消費した純水の量や、純水の残量を管理することで、純水を補充するタイミングを適切に定めることができる。
<メンテナンス時などに送信されるパラメータ>
濃度制御装置110において、薬液を薬液タンクに補充(供給)したり、分析用試薬を分析用試薬タンクに補充(供給)したり、純水を純水タンクに補充(供給)したり、センサを交換したり、センサを校正したりするときには、濃度調整時(定常運転時、定常動作時)とは異なるメンテナンス状態となっている。濃度制御装置110がメンテナンス時であるときに、統合管理装置120に送信されるパラメータには、主に、薬液供給日時、薬液供給量、センサ交換日時、センサ種類、分析用試薬供給日時、分析用試薬種類、純水供給日時などがある。
<薬液供給日時>
薬液供給日時は、薬液タンクに薬液が補充(供給)されたときの日時である。薬液が補充(供給)されたときは、主に、薬液を補充(供給)する操作者によって薬液供給日時が入力される。濃度制御装置110は、キーボードや入力パネルなどを有し、操作者がキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に薬液供給日時が入力される。入力された薬液供給日時は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。また、薬液タンクに貯留されている薬液の量が増えたときなどに自動的に薬液供給日時が濃度制御装置110の記憶部に記憶されるように構成してもよい。
<薬液供給量>
薬液供給量は、薬液タンクに補充(供給)された薬液の量(体積、重量など)である。前述したように、薬液が補充(供給)されるときは、主に、薬液を補充(供給)する操作者によって薬液供給日時が入力される。薬液供給日時と同時に、薬液供給量も操作者によって入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に薬液供給量を入力することができる。入力された薬液供給量は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
また、薬液タンクに貯留されている薬液の量が増えたときなどに自動的に薬液供給量が濃度制御装置110の記憶部に記憶されるように構成してもよい。例えば、薬液の補充によって薬液の重量が増えたときに、総重量から薬液供給量に換算して記憶部に記憶するようにしても、薬液タンクに液面センサを設け、薬液の補充によって液面が高くなったときに、液面から薬液供給量に換算して記憶部に記憶するようにしてもよい。
<部品交換センサ種類>
濃度制御装置110で用いるセンサ種類には、pHセンサや、比色センサなどがある。pHセンサは、pHを測定するための電極を有し、電極が汚染された場合などは、正確にpHを測定することができず、電極を交換する必要が生ずる。また、比色センサは、光源を有し、経時的に出力が低下した場合には、各種の濃度を正確に測定することができず、光源を交換する必要が生ずる。部品交換センサ種類は、電極や光源などのセンサ用の部品を交換したセンサの種類である。例えば、電極を交換した場合には、部品交換センサ種類はpHセンサであり、光源を交換した場合には、部品交換センサ種類は比色センサである。
センサ用の部品が交換されたときに、主に、部品を交換する操作者によって部品交換センサ種類が入力される。操作者が、濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に部品交換センサ種類が入力される。
<センサ交換日時>
センサ交換日時は、前述したように、センサを構成する電極や光源などのセンサ用部品は、定期的に交換される。センサ交換日時は、センサ用部品を交換した日時である。部品交換センサ種類と同様に、操作者が、濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110にセンサ交換日時を入力することができる。
<分析用試薬供給日時>
分析用試薬供給日時は、処理液の薬液成分の濃度を測定するために用いられる分析用試薬が補充(供給)されたときの日時である。分析用試薬は、処理液の薬液成分の濃度を測定する度に消費されるため、定期的に補充する必要がある。分析用試薬供給日時は、分析用試薬が補充されたときに、主に、分析用試薬を補充する操作者によって入力される。操作者が、濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に分析用試薬供給日時が入力される。
<分析用試薬量>
分析用試薬量は、試薬タンクに補充(供給)された分析用試薬の量(体積、重量など)である。分析用試薬量は、分析用試薬供給日時と同様に操作者によって入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に分析用試薬量を入力することができる。入力された分析用試薬量は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
また、試薬タンクに貯留されている分析用試薬の量が増えたときなどに自動的に分析用試薬量が濃度制御装置110の記憶部に記憶されるように構成してもよい。例えば、分析用試薬の補充によって分析用試薬の重量が増えたときに、総重量から分析用試薬量に換算して記憶部に記憶するようにしても、試薬タンクに液面センサを設け、分析用試薬の補充によって液面が高くなったときに、液面から分析用試薬量に換算して記憶部に記憶するようにしてもよい。
<分析用試薬種類>
分析用試薬種類は、試薬タンクに補充(供給)された分析用試薬の種類である。分析用試薬種類は、分析用試薬供給日時や分析用試薬量と同様に操作者によって入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に分析用試薬種類を入力することができる。入力された分析用試薬種類は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。なお、前述した分析用試薬供給日時及び分析用試薬量は、分析用試薬種類に対応付けられて濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
<純水供給日時>
純水供給日時は、純水が純水タンク(図示せず)に補充(供給)されたときの日時である。純水は、濃度測定で用いるセルを洗浄するために用いられ、処理液の薬液成分の濃度を測定する度に消費されるため、定期的に補充する必要がある。純水供給日時は、純水が補充されたときに、主に、純水を補充する操作者によって入力される。操作者が、濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に純水供給日時が入力される。
<製造条件の変更時(ライン変更時)などに送信されるパラメータ>
製造条件の変更時、例えば、処理槽1〜処理槽3における表面処理の条件を変更したときなどには、濃度調整時(定常運転時、定常動作時)やメンテナンス時とは異なる状態となる、この状態を、製造条件の変更状態やラインの変更状態などと称する。具体的には、薬液の種類を変更するときや、処理槽の体積を変更するときや、処理時間を変更するときや、処理対象の表面積を変更するときなどに製造条件の変更状態やラインの変更状態などとなる。
<薬液種類>
薬液を構成する成分の種類には、アルカリ、酸、金属成分、酸化剤などがある。例えば、ある製造条件では、処理槽1でアルカリが用いられ、処理槽2で金属成分が用いられ、処理槽3で酸化剤が用いられる。製造条件が変更されると、これらの薬液の種類が変更される。
薬液の種類が変更されたときは、主に、薬液の種類を変更する操作者によって薬液種類が入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に薬液種類が入力される。入力された薬液種類は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
<処理槽体積>
処理槽体積は、濃度制御装置110が濃度の制御をする処理槽1〜処理槽3の体積(処理液の容量)である。処理槽1〜処理槽3の体積は、これらの処理槽で行われる表面処理の種類や、後述する対象物の表面積などによって決定される。
処理槽体積が変更されたときは、主に、処理槽体積を変更する操作者によって処理槽体積が入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に処理槽体積が入力される。入力された処理槽体積は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
<処理時間>
処理時間は、処理槽1〜処理槽3の各々に貯留されている処理液に対象物が浸漬されている時間及び/又は接触している時間である。処理槽1〜処理槽3の各々の処理時間は、これらの処理槽で行われる表面処理の種類や、後述する対象物の表面積などによって決定される。
処理時間が変更されたときは、主に、処理時間を変更する操作者によって処理時間が入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に処理時間が入力される。入力された処理時間は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
<処理対象表面積>
処理対象表面積は、対象物の表面積であり、対象物のうち表面処理の対象となる部分の面積である。例えば、対象物にマスキングなどが施されている場合には、露出して表面処理される部分のみの面積である。
処理対象表面積が変更されたときは、主に、処理対象表面積を変更する操作者によって処理対象表面積が入力される。操作者が濃度制御装置110のキーボードや入力パネルなどを操作することによって、濃度制御装置110に処理対象表面積が入力される。入力された処理対象表面積は、濃度制御装置110の記憶部に記憶され、所定のタイミングで統合管理装置120に送信される。
<<統合管理装置120からに送信されるパラメータ>>
<濃度調整時(定常運転時、定常動作時)に送信されるパラメータ>
後述する目標値、上限値・下限値、測定間隔、制御モードは、濃度調整時(定常運転時、定常動作時)に、統合管理装置120から統合管理装置120に送信される。
<目標値>
目標値は、処理槽1〜処理槽3の各々に貯留されている処理液の目標濃度値である。処理槽1〜処理槽3の各々に規定されている。目標値は、表面処理の種類や、処理槽1〜処理槽3の各々の体積や、処理時間などに応じて規定されている。目標値は、濃度の偏倚を算出するためにも用いる。
<上限値・下限値>
上限値は、処理槽1〜処理槽3の各々に貯留されている処理液の薬液成分の濃度の許容される上限の濃度の値であり、下限値は、処理槽1〜処理槽3の各々に貯留されている処理液の薬液成分の濃度の許容される下限の濃度の値である。処理液の薬液成分の濃度が上限値を超えた場合や下限値を下回った場合にエラーとして処理され、濃度制御装置110の表示装置(図示せず)にエラーを表示したり、統合管理装置120にエラーを送信したりする。
<測定間隔>
測定間隔は、処理槽1〜処理槽3の各々に貯留されている処理液の薬液成分の濃度を測定する時間間隔である。一般的に、処理槽1〜処理槽3の体積が大きく濃度の変化が小さい場合には、測定間隔を長くし、体積が小さい場合には、測定間隔は短くする。また、処理液の薬液成分の濃度を変更した直後は、測定間隔を短くし、処理液の薬液成分の濃度を変更した後にある程度の時間が経過した場合には、測定間隔を長くする。
<制御モード>
制御モードは、測定制御モードと非測定制御モードとからなる。測定制御モードは、処理液の薬液成分の濃度を測定し、測定した濃度からバルブ116の開度を決定して、薬液タンク(図示せず)から処理槽に供給する薬液の流量を調整するモードである。非測定制御モードは、処理液の薬液成分の濃度を測定せずに、バルブ116の開度を決定して、薬液タンク(図示せず)から処理槽に供給する薬液の流量を調整するモードである。例えば、処理液の薬液成分の濃度が所定の時間に亘って一定である場合には、バルブ116の開度を一定にする。また、処理液の薬液成分の濃度が所定の時間に亘って一定の周期で変動しかつ一周期における濃度の最大値及び最小値が一定である場合にもバルブ116の開度を一定にしたり、周期に応じてバルブ116を変動させたりすることができる。
<メンテナンス時に送信されるパラメータ>
後述するセンサ校正コマンドは、メンテナンス時に統合管理装置120から統合管理装置120に送信される。
<センサ校正コマンド>
センサ校正コマンドは、pHセンサや比色センサなどのセンサの校正を実行するコマンドである。濃度制御装置110は、センサ校正コマンドを受信したときに、pHセンサや比色センサなどのセンサの校正を実行する。
<<制御動作モード切替>>
前述したように、濃度制御装置110は、動作モードとして、ローカルモードと遠隔操作モードとを有する。
<ローカルモード>
ローカルモードは、濃度制御装置110が単独で判断して制御するモードである。統合管理装置120が濃度制御装置110にローカルモード動作コマンドを送信することで、濃度制御装置110をローカルモードで動作させることができる。
<遠隔操作モード>
遠隔操作モードは、統合管理装置120によって管理されるモードであり、通信ネットワーク100を介して接続されている統合管理装置120が判断して濃度制御装置110を制御するモードである。統合管理装置120が濃度制御装置110に遠隔操作モード動作コマンドを送信することで、濃度制御装置110を遠隔操作モードで動作させることができる。
<<<変形例1>>>
前述した例では、濃度制御装置110から送信された濃度に基づいて統合管理装置120が開度を算出し、統合管理装置120によって算出された開度によって濃度制御装置110がバルブ116を制御する例を示したが、このような制御には限定されない。
例えば、統合管理装置120は、開度を算出せずに、制御最大値や制御最小値などの判断に必要な判断パラメータの値を管理して記憶しておき、これらの制御最大値や制御最小値などの判断パラメータの値を濃度制御装置110に送信し、濃度制御装置110が、判断パラメータの値に基づいて、自身で判断をしてバルブ116の開度を算出するようにしてもよい。濃度制御装置110の記憶部には、バルブ116の開度を決定するためのプログラムや、統合管理装置120から送信された判断パラメータの値が記憶される。濃度制御装置110は、記憶部に記憶されているプログラムを読み出して実行して、薬液成分の濃度を測定し、記憶部に記憶されている判断パラメータを参照して、バルブ116の開度を算出する。
制御最大値や制御最小値などの判断パラメータの値は、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)などの各種の条件毎に予め定められて統合管理装置120のHDDに記憶させておき、薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)などの生産条件が更新されたり変更されたりしたときに、生産条件に対応する制御最大値や制御最小値などの判断パラメータの値をHDDから読み出して濃度制御装置110に送信するようにすることができる。
このように構成することで、統合管理装置120は、ネットワークを介して通信可能に接続されている全ての濃度制御装置110に対応づけられた処理槽の濃度を管理する必要がなくなり、統合管理装置120の処理の負荷を軽減することができる。さらに、濃度制御装置110から送信された薬液の種類、濃度種類、処理槽液温、処理室温度、処理室湿度及び濃度(目標値)などについて、統合管理装置120が統計処理などの各種の演算を実行して制御最大値や制御最小値などの判断パラメータの値を決定する処理のための時間を確保することができる。また、濃度制御装置110の各々では、バルブの116の開度を決定しバルブの116を制御できるので、統合管理装置120からの開度の送信を待つことなく、濃度に応じて迅速にバルブの116の開度を制御することができる。
<<<変形例2>>>
また、前述した例では、図13〜図16などに示した開度を決定するためのプログラム(以下、開度決定用プログラムと称する)が、統合管理装置120で実行される場合を示したが、これには限定されない。
例えば、前述した開度決定用プログラムは、統合管理装置120では実行されず、統合管理装置120のHDDなどに濃度制御装置110に送信可能に記憶されているように構成することができる。統合管理装置120は、濃度制御装置110が、濃度の測定などの処理を実行していない待機状態や、濃度制御装置110のCPUの稼動状況が低い状態などのときに、濃度制御装置110に開度決定用プログラムを送信する。濃度制御装置110は、統合管理装置120から送信された開度決定用プログラムをHDDなどに実行可能に記憶する。濃度制御装置110は、バルブ116の開度を決定する必要が生じたときに、開度決定用プログラムをHDDから読み出して実行する。このように構成することで、例えば、開度決定用プログラムがバージョンアップ(不具合の修正や機能の追加)などの更新があったときや、生産条件が変更されたときには、ネットワークを介して通信可能に接続されている全ての濃度制御装置110に統合管理装置120から開度決定用プログラムを送信することで、濃度制御装置110は、最新の開度決定用プログラムや、生産条件に適した開度決定用プログラムを実行することができる。
このように構成することで、統合管理装置120は、ネットワークを介して通信可能に接続されている全ての濃度制御装置110が管理すべき全ての処理槽の濃度を管理する必要がなくなり、統合管理装置120における処理の負荷を軽減することができる。また、濃度制御装置110の各々でバルブの116の開度を決定しバルブの116を制御できるので、統合管理装置120からの開度の送信を待つことなく、濃度に応じて迅速にバルブの116の開度を制御することができる。
<<<変形例3>>>
また、前述した変形例2及び3では、バルブの116の開度の算出や決定を濃度制御装置110のみが行う例を示したが、濃度制御装置110と統合管理装置120との双方でバルブの116の開度を算出したり決定したりするようにしてもよい。例えば、統合管理装置120が、バルブ116の開度を決定すべき処理槽の数が同時期に多くなったような場合には、一部の濃度制御装置110に対応する処理槽については、濃度制御装置110がバルブ116の開度を算出したり決定したりし、残りの濃度制御装置110に対応する処理槽については、統合管理装置120がバルブ116の開度を算出したり決定したりするようにできる。このように構成することで、濃度制御装置110と統合管理装置120とに処理を分散させることで、濃度制御装置110における処理の負荷と、統合管理装置120における処理の負荷とのバランスを図ることができる。また、濃度制御装置110と統合管理装置120とのうちのいずれか一方に不具合が生じた場合には、他方でバルブ116の開度を決定することができ、いずれかに不具合が生じた場合でも、濃度を的確に管理することで、不良品の発生を未然に防止して、収率の低下を防止することができる。
<<変形例1ないし変形例3における薬液の流量の調整>>
前述した変形例1ないし変形例3においても、バルブ116によって薬液の流量を調整する例を示したが、バルブ116ではなく、処理槽に薬液を供給するためのポンプなどの駆動装置によって薬液の流量を調整してもよい。ポンプなどの駆動装置の単位時間当たりの排出量(処理量)を調整することで、処理槽に供給する薬液の流量を調整することができる。ポンプの種類は、ダイヤフラムポンプなどの容積式ポンプや、渦巻きポンプなどの非容積式ポンプなどを、単位時間当たりの供給量(処理能力)や、薬液の種類などに応じて適宜に定めることができる。また、バルブ116やポンプなどのほか、処理槽に供給する薬液の流量を調整できる駆動装置であれば適宜に選択して用いることができる。
上述したように、本発明は、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきでない。本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことはもちろんである。
10 処理槽管理システム
100 通信ネットワーク
110 濃度制御装置
116 バルブ
120 統合管理装置
130 外部オペレーター端末

Claims (4)

  1. 溶媒及び薬液を含有する処理液が貯留された処理槽の薬液成分の濃度を制御する薬液濃度制御装置と、前記薬液濃度制御装置と通信可能に接続されて前記薬液濃度制御装置を管理する管理装置と、を備え、
    前記薬液濃度制御装置は、
    前記処理槽から処理液を採取して薬液成分の濃度を測定する薬液濃度測定手段と、
    薬液成分の濃度に基づいて前記処理槽に薬液を供給する供給薬液量を決定する供給薬液量決定手段と、を有し、
    前記薬液濃度制御装置をローカルモード又は遠隔操作モードのうちの少なくともいずれか一方の動作モードで動作可能であり、
    前記ローカルモードは、前記薬液濃度制御装置が前記処理液の薬液成分の濃度を自身で制御するモードであり、
    前記遠隔操作モードは、前記管理装置が、前記処理槽の薬液成分の濃度の制御に関する情報を前記薬液濃度制御装置に供給する遠隔操作モードである、濃度管理システム。
  2. 前記ローカルモード又は前記遠隔操作モードのいずれか一方の動作モードを決定するための動作モード決定手段を、さらに備える請求項1に記載の濃度管理システム。
  3. 前記管理装置は、前記薬液濃度制御装置を測定制御モード又は非測定制御モードのいずれか一方の制御モードで動作させる制御モード決定手段であって、前記測定制御モードは、薬液成分の濃度を測定し薬液成分の濃度に応じて前記供給薬液量を決定するモードであり、前記非測定制御モードは、薬液成分の濃度を測定せずに前記供給薬液量を決定するモードである、制御モード決定手段を有する請求項1又は2に記載の濃度管理システム。
  4. 前記薬液濃度制御装置は、薬液の供給に関する情報及び薬液成分の濃度の測定に用いる分析用試薬の供給に関する情報を前記管理装置に送信し、
    前記管理装置は、薬液の供給や分析用試薬の供給の時期を報知する請求項1ないし3のいずれかの一に記載の濃度管理システム。
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