JP2019124062A - 係留システム及び係留システムの製造方法 - Google Patents

係留システム及び係留システムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ライザー管を船上に引き上げて船上の装置に接続し、二酸化炭素の圧入を開始するまでに必要な作業時間を短縮する。【解決手段】係留システムは、水面付近に位置するように、水底に緊張係留される浮体構造物と、前記浮体構造物に第1ロープを介して接続されると共に、水中に設置される下部ライザー管及び上部ライザー管を有するライザー管システムとを備え、前記ライザー管システムは、前記上部ライザー管の一端部に接続された第1浮体と、前記第1浮体に第2ロープを介して接続された第2浮体と、前記下部ライザー管の端部と前記上部ライザー管の他端部とに接続された第3浮体とを備え、前記ライザー管システムにおいて、前記第1浮体及び前記第2浮体の少なくとも一方が、前記第1ロープを介して前記浮体構造物に接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、ライザー管システムを備える係留システム、及びライザー管システムを備える係留システムの製造方法に関する。
地球温暖化対策として、温室効果ガスである二酸化炭素(CO)を火力発電所から分離回収し、地中及び海洋に貯留する技術である、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の開発が進められている。
二酸化炭素を海底に貯留するシステムとして、例えば、特許文献1には、水中に設置された下部ライザー管と、下部ライザー管と連通する上部ライザー管とを備えるライザー管装置が記載されている。この下部ライザー管の下端は、二酸化炭素が送り込まれる海底坑口と接続されている。また、上部ライザー管の一方の端部は、水中浮体に接続され、他方の端部は浮遊浮体によって水中に保持されている。下部ライザー管の上端は、水中において水中浮体により係留され、下部ライザー管と上部ライザー管とが水中浮体を介して連通している。また、水面に浮揚する捕捉用浮体は、ロープを介して浮遊浮体に接続されている。
特開2016−84630号公報
特許文献1の係留システムにおいては、二酸化炭素を積載した船が貯蔵地付近まで移動し、水面に浮揚する捕捉用浮体(ピックアップブイ)をフックによって拾得している。このとき、捕捉用浮体を目視によって発見する必要があるが、捕捉用浮体の位置が一定ではないため、発見に時間がかかってしまうことがある。例えば、捕捉用浮体の発見・拾得作業には、30分〜60分程度の時間が予定されるが、この時間よりも長い時間がかかってしまう。その結果、ライザー管を引き上げて船上の装置に接続し、二酸化炭素の圧入を開始するまでに、長い作業時間が必要となる。CCSにおいては、二酸化炭素の圧入を連日行うことが予定されているため、作業時間をより短縮する必要がある。
上記課題を解決するため、本発明の一例としての係留システムは、水面付近に位置するように、水底に緊張係留される浮体構造物と、前記浮体構造物に第1ロープを介して接続されると共に、水中に設置される下部ライザー管及び上部ライザー管を有するライザー管システムとを備え、前記ライザー管システムは、前記上部ライザー管の一端部に接続された第1浮体と、前記第1浮体に第2ロープを介して接続された第2浮体と、前記下部ライザー管の端部と前記上部ライザー管の他端部とに接続された第3浮体とを備え、前記ライザー管システムにおいて、前記第1浮体及び前記第2浮体の少なくとも一方が、前記第1ロープを介して前記浮体構造物に接続されている、ことを特徴とする。
また、本発明の他の例としての係留システムの製造方法は、水底坑口から離れた水底に、緊張係留ライン及びアンカーによって、浮体構造物を係留し、前記水底坑口にライザー管システムを接続し、前記ライザー管システムの上部ライザー管の一端部に接続された第1浮体と、前記第1浮体に第2ロープを介して接続された第2浮体との少なくとも一方と、前記浮体構造物とを第1ロープを介して接続する、ことを特徴とする。
これにより、水面上の浮体をより短時間で発見することができる。そのため、ライザー管を船上に引き上げて船上の装置に接続し、二酸化炭素の圧入を開始するまでに必要な作業時間をより短縮できる。
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
本発明の第1実施形態に係る係留システムの概略構成図である。 係留システムにおける移動可能範囲を説明する。 第1実施形態に係る係留システムの圧入フローである。 係留システムの配置フローである。 本発明の第2実施形態に係る係留システムの概略構成図である。 二酸化炭素の圧入中の係留システムの概略構成図である。 第2実施形態に係る係留システムの圧入フローである。
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、上下とは重力方向における上方向と下方向とにそれぞれ対応する。
[第1実施形態]
概略構成図である図1を参照して、第1実施形態の係留システム100について説明する。係留システム100は、半潜水状態で海面付近に位置するように、水底に緊張係留された浮体構造物としてのTLP110(Tension Leg Platform)と、TLP110に第1ロープ121を介して接続されたライザー管システム120とを備えている。このライザー管システム120は、水中に設置された下部ライザー管126及び上部ライザー管125を有している。また、TLP110は、圧入作業時に発見できればよいので、満潮時には水面下に位置するように水底に緊張係留されていてもよい。
さらに、ライザー管システム120は、第1浮体としての浮遊浮体131と、第2浮体としてのピックアップブイ132と、第3浮体としての水中浮体133とを有している。浮遊浮体131は、上部ライザー管125の一端部に接続され、ピックアップブイ132は浮遊浮体131に第2ロープ122を介して接続されている。また、水中浮体133は、下部ライザー管126の端部と上部ライザー管125の他端部とに接続されている。さらに、第1実施形態のピックアップブイ132は、第1ロープ121を介してTLP110に接続されている。なお、説明の便宜上、図1においては、引き上げ開始後の第2ロープ122を実線で示し、引き上げ開始前の第2ロープ122を点線で示している。
図1において、液化二酸化炭素を輸送する船140は、海面上に停泊している。この船140は、例えば、液化二酸化炭素を貯留するタンク(複数可)と、当該タンクから二酸化炭素を海底の貯留層へ充填する圧入ポンプ(昇圧装置)と、二酸化炭素の昇温装置とを備えている。このタンクの合計容量は、例えば、1,000m〜12,000mに設定できる。また、船140は、フック、ウィンチ141及び巻き込みドラムを含む、ライザー管の引き上げシステムを備えている。
さらに、船140は、自身の海上位置を自動制御するために、DPS(Dynamic Positioning System)を備えている。DPSは、GPS衛星からの送信電波を受信して船140の海上位置を測定し、スラスタの推進方向を自動的に変更して、船140の海上位置を一定に維持する。これにより、風、波及び潮流によって船140の位置が二酸化炭素の圧入の最適位置から変化してしまっても、自動的に船140を最適位置に移動させることができる。二酸化炭素の圧入時に、船140が水中浮体133に近づき過ぎると、上部ライザー管125が過度に屈曲してしまう。一方、船140が水中浮体133から離れ過ぎると、上部ライザー管125に加わる張力が増大してしまう。そのため、DPSは、上部ライザー管125の傾斜角度(又は巻き上げ長さ)に応じて、船140の位置を変化させる。
一例として、DPSは、最適位置を基準に、水中浮体133に近づく方向及び水中浮体133から離れる方向に、それぞれ100mよりも長く移動しないように、船140を制御する。また、DPSは、最適位置を基準に、水中浮体133に近づく方向に70mよりも長く移動しないように、且つ水中浮体133から離れる方向に60mよりも長く移動しないように船140を制御してもよい。さらに、DPSは、最適位置を基準に、水中浮体133に近づく方向及び水中浮体133から離れる方向に、それぞれ35mよりも長く移動しないように船140を制御してもよい。
TLP110には、第1ロープ121を介してライザー管システム120が接続されている。ライザー管システム120は、それぞれ可撓性ライザー管である上部ライザー管125及び下部ライザー管126を備えている。この可撓性ライザー管は、例えば、インターロック管と、インターロック管の外側に配置された樹脂製の被覆層と、被覆層の外側に配置された内圧補強層と、内圧補強層の外側に配置された軸力補強層と、軸力補強層の外側に配置された外部シースとを備えている。さらに、可撓性ライザー管は、水中で浮力を生じさせるための浮力層を備えていてもよい。
インターロック管は、ステンレス製の帯鋼を螺旋状に成形して得ることができる。また、被覆層及び外部シースは、高密度ポリエチレン樹脂を押し出し成形して得ることができる。また、内圧補強層は、上下一対の金属補強条をコイル巻きして得ることができる。また、軸力補強層は、上下二層の鋼線材を螺旋巻きして得ることができる。そして、浮力層は、可撓性ライザー管の外周部に樹脂テープを巻きつけて得ることができる。
上部ライザー管125の海面側の端部(以下、上端部という)には、浮遊浮体131が接続されている。この上端部には、船140上の圧力ポンプに接続されている嵌合部に嵌合されるカップリング(不図示)が設けられている。一例として、カップリングは、円錐型カバーに覆われており、嵌合部の円錐型のガイド穴に挿入され且つ固定される。浮遊浮体131は、上部ライザー管125の上端部の位置を水中で一定に維持するような浮力を発生させている。また、浮遊浮体131は、図1において点線で示す第2ロープ122としてのピックアップワイヤーを介して、ピックアップブイ132に接続されている。このピックアップワイヤーの長さは、一例として、浮遊浮体131の水深の1.5倍に設定されている(水深200mの場合、長さは300mに設定できる)。
上部ライザー管125の海底側の端部(以下、下端部という)は、水中浮体133に接続されている。この水中浮体133は、上部ライザー管125の下端部の位置を水中で一定に維持するような浮力を発生させている。また、水中浮体133は、継手構造を有しており、下部ライザー管126の海面側の端部にも接続されている。そして、上部ライザー管125及び下部ライザー管126は、水中浮体133を介して互いに流体連通している。そのため、上部ライザー管125が嵌合部を介して船140上の圧力ポンプに接続された状態では、上部ライザー管125に圧入された二酸化炭素が、水中浮体133を通って下部ライザー管126に流入する。
水中浮体133は、海底に設置された重力式の係留アンカー134に、合成繊維製の係留ロープ135によって係留されている。そのため、水中浮体133は、係留アンカー134を中心とする円内において揺動可能である。したがって、上部ライザー管125の下端部及び下部ライザー管126の海面側の端部も、係留アンカー134を中心とする円内において揺動可能である。
下部ライザー管126の海底側の端部は、二酸化炭素が圧入される海底坑口150(水底坑口)に接続されている。この海底坑口150が位置する水深WD1は、一例として、100m〜2000mである。また、水中浮体133が位置する水深WD2は、一例として、30m〜100mである。また、浮遊浮体131が位置する水深WD3は、一例として、20m〜50mである。水深200mの場合、上部ライザー管125及び下部ライザー管126の合計長さは、例えば、500mに設定される。これは、二酸化炭素の圧入時にかかる荷重を分散するように、上部ライザー管125及び下部ライザー管126を撓ませた状態で保持するからである。
TLP110は、標識灯用の小型TLPであり、内部に中空空間が形成された鋼製又はコンクリート製の浮体構造を備えている。そして、太陽電池LEDシステムを備える小型標識灯が浮体構造上に搭載されている。この小型標識灯は、航行する船140から視認可能なように、海面上に露出する位置に設置されている。また、太陽電池LEDシステムは、太陽電池とメンテナンスフリー蓄電池とを有しており、定期的な保守及び点検作業を除いて、保守及び点検作業を行う必要がない。TLP110は、太陽電池に代えて、又はこれに加えて波浪発電等の他の方式の発電システムを備えていてもよい。
また、TLP110は、GPS(Global Positioning System)機能を有している。具体的に、TLP110は、GPS衛星からの送信電波を受信する受波ユニットと、TLP110の位置を測定して船140及び陸上のコントロールセンターに位置情報を送信する送信ユニットとを備えている。
TLP110はピックアップブイ132よりも大きく、且つ小型標識灯及びGPS機能を備えている。そのため、航行する船140からTLP110を発見することが容易であり、船140からTLP110のおおよその方位又は位置を把握することもできる。そのため、発見したTLP110から第1ロープ121を辿ることによって、海面上のピックアップブイ132をより短時間で発見できる。また、TLP110を基準にピックアップブイ132が存在し得る範囲を特定できる。そのため、ピックアップブイ132が進行の邪魔になる範囲を避けて航行でき、ピックアップブイ132が船140に衝突することを避けて、安全に圧入作業を行うことができる。
さらに、TLP110は、第1ロープ121(例えば、50m〜100mの合成繊維製の浮遊性ロープ)を介して、ピックアップブイ132に接続されている。そして、浮遊浮体131は、第2ロープ122(例えば、30m〜100m鋼製のチェイン又はワイヤー)を介して、ピックアップブイ132に接続されている。これにより、第1ロープ121を介して、TLP110がピックアップブイ132の水平方向の移動を制限する。そのため、第1ロープ121と第2ロープ122との絡み合いを防止できる。また、TLP110は、ピックアップブイ132と、第1ロープ121及び第2ロープ122とを介して、浮遊浮体131の水平方向の移動を制限できる。これにより、上部ライザー管125と第2ロープ122との絡み合いを防止して、上部ライザー管125の損傷を抑制できる。
ピックアップブイ132は、第2ロープ122を着脱可能に接続する接続部を有している。一例として、ピックアップブイ132には、略リング状の接続部が形成されている。そして、第2ロープ122に取り付けられたシャックルを、この接続部に着脱可能に接続できる。代替的に、ピックアップブイ132に取り付けられたシャックルを、接続部として用いることもできる。さらに、ピックアップブイ132には、浮遊性ロープを介して、発光灯を有するピックアップフロートが接続されていてもよい。この場合、ピックアップブイ132は、ピックアップフロートを介して第1ロープ121に接続される。すなわち、ピックアップブイ132は、第1ロープ121、ピックアップフロート及び浮遊性ロープを介して、TLP110に接続される。
TLP110は、複数の緊張係留ライン111と重力式のアンカー112とによって、海底に係留されている。すなわち、TLP110は、その略直下に設置されたアンカー112に対して、垂直緊張係留されている。また、TLP110が小型である場合等は、特許文献1に記載の斜め緊張係留方式によってTLP110を係留してもよい。ただし、斜め緊張係留方式によって、TLP110を係留した場合、TLP110が大きく揺動して、緊張係留ライン111にスラック(弛み)が発生してしまう可能性がある。この場合、緊張係留ライン111が緊張する際に、すなわち、発生したスラックが解消する際に、緊張係留ライン111に過大なショックロードが加わる可能性がある。そのため、TLP110は、垂直緊張係留することがより好ましい。
緊張係留ライン111は、2本以上であり、より好ましくは3本又は3セットである。例えば、2本の緊張係留ラインからなる1セットの緊張係留ライン111を、合計3セット(合計6本)配置することができる。これにより、1セットの緊張係留ライン111内の緊張係留ライン1本が破断したときの冗長性を保持することができ、安定して圧入作業を行うことができる。また、3本又は3セットの緊張係留ライン111で係留することにより、TLP110の傾斜を制限できる。一方、緊張係留ライン111が1本であると、緊張係留ライン111の切断時にTLP110が流失してしまう。また、緊張係留ライン111が4本又は4セット以上であると、いずれかの緊張係留ライン111にスラックが発生してしまう可能性がある。また、緊張係留ライン111をできる限り少なくすることによって、安価にTLP110を係留できる。例えば、緊張係留ライン111は鋼製のチェイン、合成繊維ロープ又はワイヤーから構成され、アンカー112は鉄筋コンクリート又は鋼材から構成される。
TLP110は、各種情報を収集して送信する機能をさらに有していてもよい。すなわち、TLP110は、観測機器への電力供給と、観測機器と陸上の通信とを行うコミュニケーションブイとして活用できる。例えば、TLP110は、海底坑口150に関する情報(二酸化炭素の温度、流量及び圧力)、海象情報(波高、波向、波周期及び海水温)、地震情報(微小震動)、気象情報(風向、風速、気温、湿度、気圧及び雨量)、位置情報(座標位置、及び垂直又は水平方向の揺動量)、及び太陽電池の発電量を、観測して船140及び陸上のコントロールセンターに送信できる。
[移動可能範囲]
図2を参照して、上部ライザー管125の最大移動範囲と、第2ロープ122の最大移動範囲について説明する。図2は、海面から海底側を見た場合における、上部ライザー管125の最大移動範囲に第2ロープ122の最大移動範囲を加えた移動可能範囲を実線で示している。そして、図1に示すTLP110は、係留アンカー134を中心とする、この移動可能範囲の外側に係留されている。
上部ライザー管125の下端部に接続された水中浮体133は、海底に設置された係留アンカー134に係留されている。そのため、水中浮体133は、係留アンカー134を中心として点線で示した円R1に囲まれた範囲で移動できる。したがって、点線で示した円R1が上部ライザー管125の下端部及び水中浮体133の移動範囲である。また、上部ライザー管125の上端部に接続された浮遊浮体131は、水中浮体133を中心として一点鎖線で示した円R2に囲まれた範囲で移動できる。したがって、一点鎖線で示した円R2が上部ライザー管125の上端部及び浮遊浮体131の移動範囲である。よって、上部ライザー管125の下端部の移動範囲に上部ライザー管125の上端部の移動範囲を加えた、二点鎖線で示した円MR1に囲まれた範囲で、上部ライザー管125は移動できる。すなわち、二点鎖線で示した円MR1が上部ライザー管125の最大移動範囲である。
また、浮遊浮体131に第2ロープ122を介して接続されたピックアップブイ132は、浮遊浮体131を中心として一点鎖線で示した円R3に囲まれた範囲で移動できる。したがって、実線で示した円MR2が第2ロープ122及びピックアップブイ132の最大移動範囲である。そして、上部ライザー管125の最大移動範囲に第2ロープ122の最大移動範囲を加えた範囲を、ライザー管システム120における移動可能範囲(実線で示した円MR2)とすると、TLP110は、この移動可能範囲の外側に係留されている。より具体的に、TLP110は、移動可能範囲の外側に設置されたアンカー112に係留されている。
これにより、第2ロープ122又は上部ライザー管125が、緊張係留ライン111に絡まることを防止できる。ここで、水中浮体133の移動範囲は、係留ロープ135の長さに応じて定まり、浮遊浮体131の移動範囲は、上部ライザー管125の長さに応じて定まる。また、ピックアップブイ132の移動範囲は、第2ロープ122の長さに応じて定まる。
[二酸化炭素の圧入]
図3のフローを参照して、二酸化炭素の圧入について説明する。液化二酸化炭素を積載した船140は、TLP110から受信した位置情報に基づいて、TLP110付近まで移動する。そして、乗船している作業員は、TLP110の小型標識灯を目印として、TLP110を目視で発見する(S101)。続いて、作業員は、TLP110に接続された第1ロープ121を辿ってピックアップブイ132を目視で発見する(S102)。次に、作業員は、フックを海面に投げ込んで、ピックアップブイ132又は第1ロープ121をフックに引っ掛けて船140に手繰り寄せる。
その後、作業員は、ピックアップブイ132及び第2ロープ122を船140上に引き上げて(S103)、第2ロープ122からピックアップブイ132を取り外す。そして、作業員は、第2ロープ122を船140上のウィンチ141に連結し、ピックアップブイ132を海上に投下する(S104)。投下されたピックアップブイ132は、第1ロープ121によってTLP110に接続されているため、流失してしまうことはない。また、TLP110に接続されたピックアップブイ132が海上にあるため、船140の作業位置が第1ロープ121の長さによって制限されることもない。代替的に、作業員は、回収用ロープをピックアップブイ132の接続部に接続した状態で、ピックアップブイ132を海上に投下してもよい。これにより、二酸化炭素の圧入後に、ピックアップブイ132の再引き上げを容易に行うことができる。
そして、作業員は、ウィンチ141によって第2ロープ122を巻き上げる(S105)。このとき、DPSは、第2ロープ122が海面に対して傾斜して巻き上げられるように、船140の位置を自動的に変更する。第2ロープ122を巻き上げると、作業員は、上部ライザー管125の上端部を覆う円錐型カバーを、嵌合部の円錐型のガイド穴に挿入して固定する。そして、作業員は、円錐型カバーを外して、上部ライザー管125の上端部のカップリングを嵌合部に嵌合し、圧入ポンプと接続する。続いて、作業員は、タンク内の液化二酸化炭素を上部ライザー管125、水中浮体133及び下部ライザー管126を介して海底坑口150に圧入する(S107)。
二酸化炭素の圧入作業が完了すると(S108でYES)、作業員は、カップリングの接続を解除する(S109)。そして、作業員は、ピックアップブイ132を再発見して(S110)、フックを用いて船140に引き上げる(S111)。続いて、作業員は、巻き上げた第2ロープ122をゆるめて、浮遊浮体131及び水中浮体133が配置時の深さに位置するように、上部ライザー管125を海中に沈める(S112)。その後、作業員は、ピックアップブイ132を第2ロープ122に接続して、海面に投下する(S113)。
ピックアップブイ132とTLP110とを接続する第1ロープ121は、破断することがある。この場合であっても、ピックアップブイ132は第2ロープ122を介して浮遊浮体131に接続されている。そのため、TLP110に対するピックアップブイ132の移動は狭い範囲に制限される。したがって、海面上のピックアップブイ132を発見すれば、ピックアップブイ132及び第2ロープ122を船140上に引き上げることができる。その後は、上述の圧入作業と同様に、二酸化炭素を圧入できる。二酸化炭素の圧入作業が完了すると、作業員は、新たな第1ロープ121によってピックアップブイ132とTLP110とを接続する。その後、作業員は、新たな第1ロープ121に接続されたピックアップブイ132を第2ロープ122に接続して、海面に投下する。
[係留システムの配置]
次に、図4のフローを参照して、係留システム100の配置方法(製造方法)について説明する。係留システム100を配置するに際しては、まず、海底を掘削して二酸化炭素を圧入するための海底坑口150を形成する(S121)。一例として、掘削は、ライザー掘削方式を用いて行うことができる。そして、形成された海底坑口150から離れた海底に、緊張係留ライン111を介してTLP110が接続されたアンカー112を設置する。これにより、緊張係留ライン111及びアンカー112によって、TLP110を海底に係留する(S122)。このとき、アンカー112の設置位置は、図2の円MR2で示す移動可能範囲の外側に位置するように設定される。また、TLP110は、垂直方向において、アンカー112の略直上に位置するように係留される。
続いて、ライザー管システム120を海底坑口150に接続する(S123)。上述したように、ライザー管システム120は、上部ライザー管125及び下部ライザー管126と、上部ライザー管125の一端部に接続された浮遊浮体131と、浮遊浮体131に第2ロープ122を介して接続されたピックアップブイ132と、下部ライザー管126の端部と上部ライザー管125の他端部とに接続された水中浮体133とを備えている。このライザー管システム120を海底坑口150に接続する際には、下部ライザー管126の海底側の端部を海底坑口150に接続する。
そして、係留ロープ135を介して水中浮体133が接続された係留アンカー134を海底に設置する。これにより、係留ロープ135及び係留アンカー134によって、水中浮体133を海底に係留する(S124)。このとき、係留アンカー134は、TLP110がライザー管システム120における移動可能範囲の外側に位置するように、設置される。換言すると、係留アンカー134は、TLP110から移動可能範囲の半径R4(図2)に相当する距離よりも離れて設置される。
続いて、第1ロープ121を介してライザー管システム120をTLP110に接続する(S125)。すなわち、浮遊浮体131に第2ロープ122を介して接続されたピックアップブイ132を、第1ロープ121を介してTLP110に接続する。すなわち、ピックアップブイ132に接続された第1ロープ121を、TLP110に接続する。これにより、係留システム100が配置される。代替的に、TLP110に接続された第1ロープ121を、ピックアップブイ132に接続してもよい。
配置された係留システム100には、再配置の必要が生じる場合も考えられる。例えば、ピックアップブイ132に接続されている第2ロープ122は、波浪変動荷重によって大きく揺動するので破損する可能性がある。そして、ピックアップブイ132と浮遊浮体131とを接続する第2ロープ122が破断した場合、上部ライザー管125のみによって、浮遊浮体131の流失が防止される。この場合には、浮遊浮体131は、TLP110から大きく離れて移動してしまう可能性がある。大きく離れた浮遊浮体131を発見するために、一例として、ROV(Remote Operated Vehicle)を使用できる。
まず、作業員は、破断した第2ロープ122をピックアップブイ132から取り外し、新たな第2ロープ122をピックアップブイ132に接続する。次に、ROVを使用して緊張係留されている水中浮体133を発見する(水中浮体133は、係留ロープ135によって水平方向の移動が制限されている)。続いて、ROVを上部ライザー管125に沿って移動させて、浮遊浮体131を発見する。その後、ROVを使用して、ピックアップブイ132に接続されている新たな第2ロープ122を浮遊浮体131に接続する。または、ROVを使用して、浮遊浮体131を回収する。そして、作業員は、ピックアップブイ132に接続されている新たな第2ロープ122を、回収した浮遊浮体131に接続する。
ピックアップブイ132は、第1ロープ121を介してTLP110に接続されている。そのため、第2ロープ122が破断した場合であっても、ピックアップブイ132の流失を防止できる。これにより、第2ロープ122が破断した場合でも、ピックアップブイ132と浮遊浮体131とを再接続して、容易に係留システム100を再配置できる。
以上説明した第1実施形態によれば、海面上のピックアップブイ132をより短時間で発見できる。そのため、上部ライザー管125を船140上に引き上げて船140上の装置に接続し、二酸化炭素の圧入を開始するまでに必要な作業時間を短縮できる。
また、第1実施形態によれば、ピックアップブイ132及び第1ロープ121を介して、浮遊浮体131及び水中浮体133がTLP110に接続されている。そのため、水中浮体133を係留アンカー134に接続する係留ロープ135が破断してしまった場合であっても、浮遊浮体131及び水中浮体133の流失を防ぐことができる。さらに、第1ロープ121によって、ライザー管システム120がTLP110に接続されているため、水平方向におけるライザー管システム120の移動可能範囲を制限できる。そのため、上部ライザー管125、及び係留ロープ135及びピックアップワイヤー(第2ロープ122)の絡み合い及び損傷を防止できる。
なお、浮遊浮体131が位置する水深が浅い(例えば、水深30m)場合、ROVに代えて又はROVに加えて、ダイバーが浮遊浮体131を発見してもよい。この場合、新たな第2ロープ122を浮遊浮体131に接続する作業、又は浮遊浮体131の回収作業をダイバーが行ってもよい。
[第2実施形態]
図5を参照して第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
第1実施形態においては、引き上げたピックアップブイ132を海面に投下している。この場合であっても、ピックアップブイ132は、第1ロープ121によってTLP110と接続されているので、ピックアップブイ132が流失することはない。しかし、二酸化炭素の圧入作業が完了した後に、船140から離れてしまったピックアップブイ132を再度引き上げる作業が必要になってしまう。そこで、第2実施形態では、第2浮体としての浮遊浮体131が、第1ロープ221を介してTLP110に接続されている。また、第2実施形態の係留システム200においては、1つのTLP110に複数のライザー管システム220が接続されている。
第2実施形態の係留システム200は、半潜水状態で海面付近に位置するように、水底に緊張係留される浮体構造物としての1つのTLP110と、それぞれTLP110に第1ロープ221を介して接続される複数のライザー管システム220とを備えている。図5において、4つのライザー管システム220のそれぞれは、水中に設置される下部ライザー管126及び上部ライザー管125を有している。さらに、各ライザー管システム220は、浮遊浮体131と、ピックアップブイ132と、水中浮体133とを有している。そして、第2実施形態のTLP110には、第1ロープ221を介して浮遊浮体131が接続されている。
図5において、液化二酸化炭素を輸送する複数の船140は、海面上に停泊している。これらの船140も、DPSと、液化二酸化炭素を貯留するタンクと、二酸化炭素の圧入ポンプ(昇圧装置)と、二酸化炭素の昇温装置とを備えている。また、船140は、フック、ウィンチ141及び巻き込みドラムを含む、ライザー管の引き上げシステムを備えている。なお、図5中、左側の船140は二酸化炭素の圧入作業中(第2ロープ222の巻き上げ中)の状態であり、右側の船140は圧入作業前の状態である。
TLP110には、第1ロープ221(例えば、金属製のワイヤー)を介してライザー管システム220が接続されている。具体的に、TLP110は、第1ロープ221を介してライザー管システム220の浮遊浮体131と接続されている。第1ロープ221の長さは、DPSの海上における位置保持性能に応じて設定される。例えば、DPSが200mの範囲内で位置を保持する性能を有している場合、第1ロープ221の長さは少なくとも200mよりも長く設定される。ただし、第1ロープ221が長くなるにつれて、ピックアップブイ132の発見に要する時間も長くなってしまう。そのため、第1ロープ221の長さは、DPSの位置保持性能に応じた範囲内において、できるだけ短いことが好ましい。
第1ロープ221に接続された浮遊浮体131は、上部ライザー管125の上端部に接続されている。この上端部には、船140上の圧力ポンプに接続されている嵌合部に嵌合されるカップリングが設けられている。また、浮遊浮体131は、第2ロープ222としての浮遊性ロープからなるピックアップワイヤーを介して、ピックアップブイ132に接続されている。さらに、ピックアップブイ132には、浮遊性ロープを介して、発光灯を有するピックアップフロートが接続されていてもよい。この場合、ピックアップブイ132は、ピックアップフロートを介して第2ロープ222に接続される。すなわち、ピックアップブイ132は、第2ロープ222、ピックアップフロート、浮遊浮体131及び第1ロープ221を介して、TLP110に接続される。
上部ライザー管125の下端部は水中浮体133に接続されており、水中浮体133は下部ライザー管126の海面側の端部に接続されている。そして、上部ライザー管125及び下部ライザー管126は、水中浮体133を介して互いに流体連通している。また、水中浮体133は、海底に設置された係留アンカー134に、係留ロープ135によって係留されている。水中浮体133に接続された下部ライザー管126の海底側の端部は、海底坑口150に接続されている。
TLP110は、ピックアップブイ132よりも大きく、浮体構造上に搭載された小型標識灯を備える標識灯用の小型TLPである。また、TLP110は、GPS機能を有しており、船140からTLP110のおおよその方位又は位置を把握できる。そして、発見したTLP110から第1ロープ221及び第2ロープ222を辿ることによって、海面上のピックアップブイ132を短時間で発見できる。また、TLP110を基準にピックアップブイ132が存在し得る範囲を特定できる。そのため、ピックアップブイ132が進行の邪魔になる範囲を避けて航行することができ、ピックアップブイ132が船140に衝突することを避けて、安全に圧入作業を行うことができる。
さらに、浮遊浮体131は、第1ロープ221を介して、TLP110に接続されている。これにより、TLP110が浮遊浮体131の水平方向の移動を制限するため、上部ライザー管125と第2ロープ222との絡み合いを防止して、上部ライザー管125の損傷を抑制できる。
また、浮遊浮体131は、第1ロープ221を着脱可能に接続する接続部を有していてもよい。一例として、浮遊浮体131には、略リング状の接続部が形成されている。そして、第1ロープ221に取り付けられたシャックルを、この接続部に着脱可能に接続できる。代替的に、浮遊浮体131に取り付けられたシャックルを、接続部として用いることもできる。圧入作業時に第1ロープ221を浮遊浮体131から取り外せば、船140の作業位置が第1ロープ221の長さによって制限されることを防止できる。圧入作業時に第1ロープ221を取り外した場合、作業員は、第1ロープ221を海面に投下する。そして、作業員は、圧入作業後に第1ロープ221を船140上に引き上げて、浮遊浮体131に取り付ける。第1ロープ221を海面に投下するときには、第1ロープ221にピックアップイ付の回収用ロープを接続してから投下してもよい。
TLP110は、複数の緊張係留ライン111と重力式のアンカー112とによって、海底に係留されている。すなわち、TLP110は、その略直下に設置されたアンカー112に対して、垂直緊張係留されている。この緊張係留ライン111は、2本以上であり、より好ましくは3本又は3セットである。さらに、TLP110は、各種情報を収集して送信する機能を有している。また、第2実施形態の各TLP110も、係留アンカー134を中心とする、ライザー管システム220における移動可能範囲の外側に係留されている。代替的に、TLP110は、上部ライザー管125の最大移動範囲MR1(図2)の外側であって且つライザー管システム220における移動可能範囲MR2の内側に係留してもよい。この場合、上部ライザー管125が、緊張係留ライン111に絡まることを防止できる。
複数のライザー管システム220は、各ライザー管システム220の水中浮体133(第3浮体)が、上方から見てTLP110を中心とする円R5上にほぼ等間隔に位置するように、TLP110に接続されている。すなわち、各ライザー管システム220の水中浮体133は、図5の円R5上にほぼ等間隔に設置された係留アンカー134に、垂直係留方式によって係留されている。そのため、海面から下方に向かって見た場合に、各ライザー管システム220の水中浮体133は、TLP110を中心とする円R5上にほぼ等間隔に位置している。また、各水中浮体133とTLP110との間の距離は、いずれもほぼ同一である。
これにより、中央に位置するTLP110に複数のライザー管システム220から加わる力が釣り合う。そのため、TLP110がアンカー112に対して傾くことによって、緊張係留ライン111にスラックが生じることを抑制できる。TLP110に加わる力を釣り合わせるために、各ライザー管システム220の上部ライザー管125、下部ライザー管126、水中浮体133、浮遊浮体131、第1ロープ221及び第2ロープ222の合計重量は、いずれも同一であることがより好ましい。
[二酸化炭素の圧入]
図6の概略構成図と、図7のフローとを参照して、二酸化炭素の圧入について説明する。この図6においては、説明の便宜上、1つのライザー管システム220のみを図示している。複数の船140から複数のライザー管システム220へと、二酸化炭素の圧入を行う場合であっても、それぞれの船140において同様の作業が行われる。
液化二酸化炭素を積載した船140は、TLP110から受信した位置情報に基づいて、TLP110付近まで移動する。そして、乗船している作業員は、TLP110の小型標識灯を目印として、TLP110を目視で発見する(S201)。続いて、作業員は、TLP110に接続された第1ロープ221及び第2ロープ222を辿ってピックアップブイ132を目視で発見する(S202)。浮遊浮体131に接続された第1ロープ221が海中に沈んでいる場合、作業員は、TLP110付近に浮遊する浮遊性の第2ロープ222を発見して、第2ロープ222を辿ってピックアップブイ132を目視で発見してもよい。次に、作業員は、フックを海面に投げ込んで、ピックアップブイ132又は第2ロープ222をフックに引っ掛けて船140に手繰り寄せる。
その後、作業員は、ピックアップブイ132及び第2ロープ222を船140上に引き上げて(S203)、第2ロープ222からピックアップブイ132を取り外す。そして、作業員は、第2ロープ222を船140上のウィンチ141に連結し、ピックアップブイ132を船140上において保管する(S204)。図6の船140上には、圧入作業中に保管されているピックアップブイ132を示している。第2実施形態においては、ピックアップブイ132を船140上において保管するため、二酸化炭素の圧入作業が完了した後にピックアップブイ132を再度引き上げる作業が不要になる。また、図6に示すように、圧入作業の間、浮遊浮体131も船上に保管される。この浮遊浮体131には、第1ロープ221が接続されている。代替的に、浮遊浮体131を船上に引上げるときに、第1ロープ221を浮遊浮体131から取り外してもよい。
そして、作業員は、ウィンチ141によって第2ロープ222を巻き上げる(S205)。このとき、DPSは、第2ロープ222が海面に対して傾斜して巻き上げられるように、船140の位置を自動的に変更する。第2ロープ222を巻き上げると、作業員は、上部ライザー管125の上端部を覆う円錐型カバーを、嵌合部のガイド穴に挿入して固定する。そして、作業員は、円錐型カバーを外して、上部ライザー管125の上端部のカップリングを嵌合部に嵌合し、圧入ポンプと接続する(S206)。続いて、作業員は、タンク内の液化二酸化炭素を上部ライザー管125、水中浮体133及び下部ライザー管126を介して海底坑口150に圧入する(S207)。
二酸化炭素の圧入作業が完了すると(S208でYES)、作業員は、カップリングの接続を解除する(S209)。そして、作業員は、巻き上げた第2ロープ222をゆるめて、浮遊浮体131及び水中浮体133が配置時の深さに位置するように、上部ライザー管125を海中に沈める(S210)。その後、作業員は、ピックアップブイ132を第2ロープ222に接続して、海面に投下する(S211)。
このように、第2ロープ222を介してピックアップブイ132が浮遊浮体131と接続されている。そのため、ライザー管システム220とTLP110とを接続する第1ロープ221が破断した場合であっても、ピックアップブイ132の流失は防止される。これにより、海面上のピックアップブイ132を発見すれば、ピックアップブイ132及び第2ロープ222を船140上に引き上げることができる。その後は、上述の作業と同様に、二酸化炭素を圧入できる。二酸化炭素の圧入作業が完了すると、作業員は、新たな第1ロープ221によって浮遊浮体131とTLP110とを接続する。
ピックアップブイ132と浮遊浮体131とを接続する第2ロープ222が破断した場合には、ピックアップブイ132が流失してしまう。ただし、浮遊浮体131が第1ロープ221を介してTLP110に接続されているため、浮遊浮体131の移動量は、第1実施形態よりも小さい範囲に制限できる。そのため、TLP110に接続されている第1ロープ221に沿ってROVを移動させることにより、浮遊浮体131を比較的容易に発見することできる。発見後は、ROVによって浮遊浮体131に新たな第2ロープ222を接続するか、又は破断した第2ロープ222をROVによって回収する。そして、作業員は、第2ロープ222をフックで船140上に引き上げ、その後は、上述の作業と同様に、二酸化炭素を圧入する。二酸化炭素の圧入作業が完了すると、作業員は、新たなピックアップブイ132を第2ロープ222に接続して、海上に投下する。
ここで、第2ロープ222が破断して第1ロープ221又は上部ライザー管125に絡んでいる場合には、最初にROVによって絡んだ第2ロープ222を切断する。その後に、ROVによって浮遊浮体131に新たな第2ロープ222を接続し、第2ロープ222をフックで船140上に引き上げる。その後は、上述の作業と同様に、二酸化炭素を圧入する。
[係留システムの配置]
係留システム200の配置は、複数のライザー管システム220のそれぞれについて、第1実施形態と同様に行うことができる。具体的には、まず、海底を掘削して二酸化炭素を圧入するための海底坑口150を形成する。そして、形成された海底坑口150から離れた海底に、緊張係留ライン111を介してTLP110が接続されたアンカー112を設置する。これにより、緊張係留ライン111及びアンカー112によって、TLP110を海底に係留する。このとき、アンカー112の設置位置は、ライザー管システム220における移動可能範囲の外側に設定される。また、TLP110は、垂直方向において、アンカー112の略直上に位置するように係留される。
次に、ライザー管システム220を海底坑口150に接続する。すなわち、下部ライザー管126の海底側の端部を海底坑口150に接続する。そして、係留ロープ135を介して水中浮体133が接続された係留アンカー134を海底に設置する。これにより、係留ロープ135及び係留アンカー134によって、水中浮体133を海底に係留する。このとき、係留アンカー134は、TLP110がライザー管システム220における移動可能範囲の外側に位置するように、設置される。さらに、第2実施形態においては、係留アンカー134を、TLP110を中心とする円R5上に設置する(図5)。
続いて、第1ロープ221を介してライザー管システム220をTLP110に接続する。すなわち、浮遊浮体131と、TLP110とを第1ロープ221を介して接続する。その後、このライザー管システム220の配置作業を複数回繰り返して、第2実施形態の係留システム200が配置される。すなわち、複数の海底坑口150を、アンカー112を囲むように掘削すると共に、複数のライザー管システム220を複数の海底坑口150に接続する。そして、第1ロープ221を介して、各ライザー管システム220をTLP110に接続する。このとき、複数のライザー管システム220の水中浮体133は、海面から下方に向かって見た場合に、TLP110を中心とする円R5上にほぼ等間隔に係留される。すなわち、複数のライザー管システム220の係留アンカー134を、TLP110を中心とする円R5上にほぼ等間隔に設置する。
この配置された係留システム200には、再配置の必要が生じる場合も考えられる。例えば、ピックアップブイ132と浮遊浮体131とを接続する第2ロープ222が破断した場合、ピックアップブイ132は流失してしまう。この場合であっても、TLP110に接続されている第1ロープ221に沿ってROVを移動させることにより、浮遊浮体131は比較的容易に発見することできる。発見後は、ROVによって浮遊浮体131に新たな第2ロープ222を接続するか、又は破断した第2ロープ222をROVによって回収する。そして、新たなピックアップブイ132を第2ロープ222に接続することによって、容易に係留システム200を再配置できる。
また、浮遊浮体131とTLP110とを接続する第1ロープ221が破断した場合であっても、海面上のピックアップブイ132を発見すれば、浮遊浮体131は比較的容易に発見することできる。発見後は、ROVによって浮遊浮体131に新たな第1ロープ221を接続する。そして、浮遊浮体131とTLP110とを新たな第1ロープ221を介して接続することによって、容易に係留システム200を再配置できる。
以上説明した第2実施形態によっても、海面上のピックアップブイ132をより短時間で発見できる。そのため、上部ライザー管125を船140上に引き上げて船140上の装置に接続し、二酸化炭素の圧入を開始するまでに必要な作業時間を短縮できる。さらに、第2実施形態によれば、ピックアップブイ132の再引き上げ作業が不要になる。
また、第2実施形態によれば、第1ロープ221を介して、浮遊浮体131及び水中浮体133がTLP110に接続されている。そのため、水中浮体133を係留アンカー134に接続する係留ロープ135が破断してしまった場合であっても、浮遊浮体131及び水中浮体133の流失を防ぐことができる。さらに、第1ロープ221によって、ライザー管システム220がTLP110に接続されているため、水平方向におけるライザー管システム220の移動可能範囲を制限できる。そのため、ライザー管、係留ロープ135及びピックアップワイヤー(第2ロープ222)の絡み合い及び損傷を防止できる。なお、第2実施形態において、海底坑口150は予め複数形成してもよく、複数のライザー管システム220は複数の海底坑口150を形成した後に配置してもよい。
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
例えば、係留システム100,200を配置する場所は海には限られず、湖又は川であってもよい。この場合、坑口は湖底又は川底等の水底に形成され、TLP110はこれらの水底に緊張係留される。
100:係留システム、110:浮体構造物、111:緊張係留ライン、112:アンカー、120:ライザー管システム、121:第1ロープ、122:第2ロープ、125:上部ライザー管、126:下部ライザー管、131:第1浮体、132:第2浮体、133:第3浮体、200:係留システム、220:ライザー管システム、221:第1ロープ、222:第2ロープ

Claims (10)

  1. 水面付近に位置するように、水底に緊張係留される浮体構造物と、
    前記浮体構造物に第1ロープを介して接続されると共に、水中に設置される下部ライザー管及び上部ライザー管を有するライザー管システムとを備え、
    前記ライザー管システムは、
    前記上部ライザー管の一端部に接続された第1浮体と、
    前記第1浮体に第2ロープを介して接続された第2浮体と、
    前記下部ライザー管の端部と前記上部ライザー管の他端部とに接続された第3浮体とを備え、
    前記ライザー管システムにおいて、前記第1浮体及び前記第2浮体の少なくとも一方が、前記第1ロープを介して前記浮体構造物に接続されている、係留システム。
  2. 前記浮体構造物は、前記上部ライザー管の最大移動範囲に前記第2ロープの最大移動範囲を加えた移動可能範囲の外側に係留されている、請求項1に記載の係留システム。
  3. 前記ライザー管システムを含む複数のライザー管システムが、前記浮体構造物に接続されている、請求項1又は2に記載の係留システム。
  4. 前記複数のライザー管システムの前記第3浮体が上方から見て前記浮体構造物を中心とする円上に等間隔に位置するように、前記複数のライザー管システムが前記浮体構造物に接続されている、請求項3に記載の係留システム。
  5. 前記浮体構造物は、複数の緊張係留ラインとアンカーとによって、緊張係留されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の係留システム。
  6. 前記第2浮体は、前記第2ロープを着脱可能に接続する接続部を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の係留システム。
  7. 前記第1浮体は、前記第1ロープを着脱可能に接続する接続部を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の係留システム。
  8. 水底坑口から離れた水底に、緊張係留ライン及びアンカーによって、浮体構造物を係留し、
    前記水底坑口にライザー管システムを接続し、
    前記ライザー管システムの上部ライザー管の一端部に接続された第1浮体と、前記第1浮体に第2ロープを介して接続された第2浮体との少なくとも一方と、前記浮体構造物とを第1ロープを介して接続する、係留システムの製造方法。
  9. 前記水底坑口を含む複数の水底坑口を、前記アンカーを囲む位置に形成すると共に、前記ライザー管システムを含む複数のライザー管システムを前記複数の水底坑口に接続し、
    前記第1ロープを介して、各ライザー管システムを前記浮体構造物に接続する、請求項8に記載の係留システムの製造方法。
  10. 前記上部ライザー管の最大移動範囲に前記第2ロープの最大移動範囲を加えた移動可能範囲の外側に位置するように、前記アンカーを設置する、請求項8又は9に記載の係留システムの製造方法。
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