以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1から図6は、水陸両用車両の第1実施形態として、本発明の水陸両用車両を、不整地運搬車に適用した例を示すものである。
図1は不整地運搬車を示す概略側面図、図2は不整地運搬車の概略正面図である。図3は、不整地運搬車におけるエンジンルームを拡大して示す切断側面図である。図4は、不整地運搬車におけるエンジンルームを拡大して示す切断平面図である。図5は、図3のA−A方向矢視図である。図6は、水位センサで検出するレベルの設定について説明する図である。
本実施形態の水陸両用車両としての不整地運搬車1は、図1、図2に示すように、車体となる下部走行体として、たとえば、履帯(クローラ)式の下部走行体2を備えた構成とされている。
ここで、説明の便宜上、本実施形態の不整地運搬車1が水平な地面に配置されている状態を、本実施形態の不整地運搬車1の直立姿勢という。なお、本実施形態の不整地運搬車1については、直立姿勢の状態で、接地している水平な地面に対し、該地面の垂線方向に沿い車体としての下部走行体2が位置している側を、本実施形態の不整地運搬車1における上側といい、その逆側を、本実施形態の不整地運搬車1における下側という。また、本実施形態の不整地運搬車1については、直立姿勢の状態で、水平な地面に沿う走行方向の前方向を前といい、その逆の方向を後という。更に、本実施形態の不整地運搬車1については、直立姿勢の状態で、後方から前方を見て、右手側を本実施形態の不整地運搬車1の右側といい、その逆側である左手側を、本実施形態の不整地運搬車1の左側という。したがって、以下の本実施形態の不整地運搬車1の構成の説明における上下、前後、左右の各方向に関する記載は、特に断らない限りは、本実施形態の不整地運搬車1に固定された3次元直交座標系の方向に関する記載である。
本実施形態の不整地運搬車1は、図3、図4、図5に示すように、隔壁4a,4b,4c,4d,4eにより構成されたエンジンルーム3と、エンジンルーム3に収納された下部走行体2のエンジン5、ラジエータ6およびラジエータファン7と、を備え、更に、エンジンルーム3内の下部に配置された吸込部8と、吸込部8と連通するポンプ10と、エンジンルーム3の外部に配置されてポンプ10に接続された吐出部9と、エンジンルーム3内における水面とラジエータファン7の接近に伴いポンプ10に指令を与える制御部11とを備えた構成とされている。
図1、図2に示すように、下部走行体2は、前後方向に延びるラダー型のメインフレーム12と、メインフレーム12の左右両側に取り付けられた左右一対の履帯(クローラ)13とを備えた構成とされている。
メインフレーム12の前端寄りには、上側にエンジンルーム3が設けられている。本実施形態では、エンジンルーム3は、下部走行体2の前端側から後方に延びる配置とされている。
エンジンルーム3は、図3、図4、図5に示すように、左右一対の隔壁4a,4bと、上部の隔壁4cと、底部の隔壁4dとで形成された前後方向に延びる筒状の構造を有し、その筒状構造の後端側が、後部の隔壁4eで閉塞された箱形の構造を備えている。隔壁4a,4b,4c,4d,4e同士は水密に接合されている。
隔壁4a,4b,4c,4dにより形成された筒状構造の前端側は、前方に向けて開口する吸気用開口部14とされている。なお、図示しないが、エンジンルーム3は、前部の隔壁を備えると共に、その前部の隔壁に設けた開口を吸気用開口部14とする構成としてもよいことは勿論である。
更に、エンジンルーム3は、吸気用開口部14の前側に接続された吸気用シュノーケル15を備えている。
本実施形態の不整地運搬車1には、図1に示すように、使用可能な水深Dが設定されている。吸気用シュノーケル15は、上端側が設定された水深Dよりも上方となる高さ位置に配置されるように、図3に示すように、上下方向に延びる形状を備えていて、下端側の後側壁に後向きに備えた出口16が、吸気用開口部14の前側に連通接続されている。
吸気用シュノーケル15は、内部空間の下部寄りの部分が、隔壁4a,4b,4c,4d,4eにより形成された空間と同様の高さレベルに配置されている。
吸気用シュノーケル15には、設定された水深Dよりも上方となる高さ位置に吸気口17が設けられている。吸気口17の上方には、蓋18を備えた構成としている。吸気口17は、蓋18により上側からの異物、雨水の侵入が抑制されている。
また、吸気口17は、メッシュ状あるいはルーバー状などのスクリーン部材19を備えている。吸気口17は、スクリーン部材19により、ごみなどの異物やしぶきのような水滴の侵入が抑制される。
しかしながら、吸気口17では、スクリーン部材19、蓋18を備えていても水が侵入することがある、吸気口17から侵入した水は、エンジンルーム3における隔壁4a,4b,4c,4d,4eに囲まれた内側に形成された空間と、その前方に繋がる吸気用シュノーケル15の内部空間とから構成される空間に達する。
エンジンルーム3は、上部の隔壁4cにおける後端側に、排気用開口部20が設けられている。これにより、エンジンルーム3は、吸気口17と吸気用シュノーケル15を経て取り入れられた空気21が、吸気用開口部14から排気用開口部20まで、流れを折り返すことなく流通する空気21の流路となっている。
エンジンルーム3は、排気用開口部20の上側に、排気用シュノーケル22を備えている。
排気用シュノーケル22は、吸気口17が配置された高さよりも上方となる高さ位置に上端側が配置されるように、上下方向に延びる形状を備えている。本実施形態では、排気用シュノーケル22は、上下に延びる角筒形状とされ、下端側の入口23が、排気用開口部20に連通接続されている。
排気用シュノーケル22は、上端側で且つ吸気口17よりも高所となる個所に、排気口24を備えている。排気口24の上方には、蓋25を備えている。排気口24は、蓋25により上側からの異物、雨水の侵入が抑制されている。
更に、排気口24は、平面視で、吸気用シュノーケル15が設けられている方向とは異なる方向に向けて設けられていることが好ましい。これは、エンジンルーム3を流通した後に排気口24より大気中に排出される昇温した空気21が、吸気口17から再び吸気されることを抑制するためである。
排気口24には、ごみなどの異物やしぶきのような水滴の侵入を抑制するために、吸気口17と同様にスクリーン部材26を備えることが好ましい。
ラジエータ6は、エンジンルーム3の前端側における吸気用開口部14の内側となる位置に、ラジエータ6の前面が下部走行体2の前方を向くように取り付けられている。本実施形態では、ラジエータ6の前面の面積は、吸気用開口部14の開口面積とほぼ同様とされている。
エンジンルーム3におけるラジエータ6の後側には、通風用のラジエータファン7と、エンジン5とが前方より順に配置されて収納されている。この際、エンジン5は、排気用開口部20よりも前方に配置されるか、あるいは、エンジン5の後部側が排気用開口部20にかかる配置で収納されていることが好ましい。これは、エンジン5を、エンジンルーム3内で吸気用開口部14から排気用開口部20に向けて流通する空気21の流れの中に配置するためである。
ラジエータファン7は、エンジン5の動力の一部を取り出す回転軸27に接続されている。
吸込部8は、本実施形態では、エンジンルーム3内にて、前後方向の配置が、ラジエータ6よりも後方で且つエンジン5よりも前方とされ、更に、左右方向のほぼ中央部に配置されている。これにより、本実施形態では、吸込部8は、ラジエータファン7のほぼ真下となる位置に配置されている。
ポンプ10は、水中へ浸漬した状態での使用が可能な水中ポンプ形式のものを使用してもよいし、浸漬使用はできない一般的な形式のものを使用してもよい。
水中ポンプ形式のポンプ10を使用する場合は、ポンプ10は、図3、図5に示すように、エンジンルーム3の内側の下部位置に、ラジエータ6やラジエータファン7やエンジン5と干渉しない配置で設けるようにすればよい。
更に、エンジンルーム3内におけるポンプ10の配置は、ポンプ10が、エンジン5、ラジエータ6、エンジンルーム3内を流通する空気21から、ポンプ10の耐熱性能に比して過剰な熱を受けることがないように定められる。
以上のような観点から、本実施形態では、図3、図4、図5に示すように、水中ポンプ形式のポンプ10を、前記した吸込部8の位置に対して左右方向の一側で、エンジンルーム3の側方の隔壁4a,4bのうち、たとえば、左の隔壁4aに接触あるいは近接させて設けた場合の構成例を示している。
このように、前記した吸込部8の位置から離れた位置にポンプ10を設置する場合は、ポンプ10の吸入側に吸水管28の一端側を接続し、この吸水管28の他端側を吸込部8として、前記した所定の位置に配置するようにすればよい。
なお、図示しないが、水中ポンプ形式のポンプ10は、ラジエータ6やラジエータファン7やエンジン5と干渉しないサイズや形状であれば、前記した吸込部8の位置に設置してもよい。この場合は、ケーシングの下端側に吸込部8を一体に備える形式のポンプ10を採用すればよい。
一方、一般的な形式のポンプ10を使用する場合は、図3、図5に二点鎖線で示すように、エンジンルーム3内にて上部となる位置にポンプ10を設置するようにすればよい。 このポンプ10は、吸入側に吸水管28の一端側を接続し、吸水管28の他端側を吸込部8として、前記所定の位置に配置する点は、前記した水中ポンプ形式のポンプ10を使用する場合と同様である。ポンプ10をエンジンルーム3内の上部に設置するのは、エンジンルーム3内に入った水にポンプ10が浸かることを抑制するためである。
更に、一般的な形式のポンプ10を使用する場合は、図示しないが、ポンプ10を、防水型のケースに収納した状態で、エンジンルーム3の外部のデッキ上などに設ける構成としてもよい。
ポンプ10は、水中ポンプ形式、一般的な形式のいずれの場合も、吐出側に、排水管29の一端側が接続されている。この排水管29は、他端側が吐出部9としてエンジンルーム3の外部に取り付けられている。なお、排水管29の経路は、エンジンルーム3の左右や天井部や後部の隔壁4a,4b,4c,4eに設けた図示しない壁貫通形式のコネクタを経由してエンジンルーム3の外部へ導くように配置してもよいし、エンジンルーム3に備えられている排気用開口部20や吸気用開口部14を通してエンジンルーム3の外部へ導くように配置してもよい。図3では、排水管29が、後部の隔壁4eに貫通して配置された例を示している。
なお、ポンプ10は、逆流防止機能を備える形式のものを用いることが好ましい。また、ポンプ10が逆流防止機能を備えていない場合は、排水管29が、その途中位置、または、吐出部9に、図示しない逆止弁を備えた構成とすることが好ましい。これは、吐出部9が水没、あるいは、波を受けるような状況でも、吐出部9側から排水管29、ポンプ10、吸水管28を経てエンジンルーム3内へ水が逆流することを防ぐためである。
なお、吸水管28と排水管29は、それぞれ、柔軟性を有するホース状のものであってもよいし、パイプ状のものであってもよい。
吸込部8には、図示しないフィルタが設けられていて、エンジンルーム3に溜まった水に含まれるごみや錆などがポンプ10へ吸入されることを抑制している。
エンジンルーム3の内側には、エンジンルーム3内に溜まる水の水面と、ラジエータファン7との接近を検知するセンサとして、水位センサ30が設けられている。
図3、図4、図5では、水位センサ30は、ラジエータファン7のほぼ真下で、且つ吸込部8のほぼ真上となる位置に配置された例を示している。この場合、水位センサ30は、エンジンルーム3の底部の隔壁4dや、天井部の隔壁4cや、左右の隔壁4a,4b、あるいは、ラジエータ6の図示しないフレームや、エンジン5などのエンジンルーム3に固定されている部材に、図示しない取付部材を介して取り付けられている。
水位センサ30は、エンジンルーム3内の水位が、図5に示す第1の検知レベルとしてのポンプ運転開始用のレベルHであることを検出する機能と、それより低い水位である第2の検知レベルとしてのポンプ運転停止用のレベルLであることを検出する機能と、レベルHの水位検出信号、および、レベルLの水位検出信号を、図3に示す制御部11へ送る機能と、を備えている。
ここで、ポンプ運転開始用のレベルH、および、ポンプ運転停止用のレベルLの設定について説明する。
先ず、エンジンルーム3内に溜まった水は、不整地運搬車1の走行時の加減速や、振動などの影響を受けて水面が波立つことがある。
このエンジンルーム3内での水面の波立ちについては、エンジンルーム3の形状や、エンジンルーム3内における各機器の配置、エンジンルーム3内に溜まった水の量などの影響を考慮した試験や計算により、エンジンルーム3内のどの位置にどの程度の大きさの波が生じるかを推定することができる。
そこで、本実施形態では、エンジンルーム3内におけるラジエータファン7が配置されている位置について、水面が波立ったときに、平静時の水面に比して最も上昇する量を、波立ち上昇分xとして推定する。
次に、ラジエータファン7と水面との接触の防止を図るためのマージンとなる或る値αを設定する。
次いで、図6(a)に示すように、ラジエータファン7の下端から、波立ち上昇分xと或る値αとを足した寸法分、低い位置に、仮想のレベルH0を設定する。この仮想のレベルH0は、平静状態の水面がこの仮想のレベルH0にある状態で、水面に波立ちが生じても、ラジエータファン7の下端が水面Wに接触することが抑制されると想定されるレベルである。
ところで、本実施形態の不整地運搬車1は、勾配のある環境で使用されることがある。一般に、本実施形態の不整地運搬車1のような車両は、使用可能な地面の勾配の条件が、仕様で決められている。そこで、本実施形態における不整地運搬車1では、使用可能な地面の勾配の条件が、たとえば、10%に設定されているとする。
図6(a)は、本実施形態の不整地運搬車1が水平な地面に配置されている直立姿勢のときのエンジンルーム3と、エンジンルーム3内の水面Wを示している。
本実施形態の不整地運搬車1は、直立姿勢から、図6(b)に示すように、10%勾配の地面で前上がりの傾斜姿勢になると、エンジンルーム3も10%勾配で前上がりの傾斜姿勢となる。このとき、エンジンルーム3内の水面Waは、水平に保持されるので、この水面Waは、図6(a)に一点鎖線で示すように、エンジンルーム3を基準とすると、相対的に、10%の前下がりの傾斜となる。
一方、本実施形態の不整地運搬車1が、直立姿勢から、図6(c)に示すように、10%勾配の地面で前下がりの傾斜姿勢になると、エンジンルーム3も10%勾配で前下がりの傾斜姿勢となる。このとき、エンジンルーム3内の水面Wbは、水平に保持されるので、この水面Wbは、図6(a)に二点鎖線で示すように、エンジンルーム3を基準とすると、相対的に、10%の前上がりの傾斜となる。
本実施形態では、ラジエータファン7は、前後方向に延びるエンジンルーム3内で、前端寄りに配置されている。そのため、本実施形態の不整地運搬車1が、10%勾配の地面を走行しているときに、たとえば、向きを変えて図6(b)に示した如き前下がりの傾斜姿勢から、図6(c)に示した如き前上がりの傾斜姿勢になると、エンジンルーム3内のラジエータファン7が配置されている位置では、図6(a)に一点鎖線で示した水面Waが、二点鎖線で示した水面Wbまで相対的に上昇することになる。
そこで、本実施形態では、エンジンルーム3のモデルを用いた試験や計算により、先ず、エンジンルーム3が、本実施形態の不整地運搬車1の使用可能な環境として設定された最大値の勾配で前下がり姿勢となる状態のときに、水面Wbが前記した仮想のレベルH0に位置する量の水がエンジンルーム3に入っている状態を設定する。次いで、その状態から、エンジンルーム3が前記最大値の勾配で前上がり姿勢となった状態のときに、水面Waが位置する個所に、ポンプ運転開始用のレベルHを設定するようにしてある。
図6(a)に示すように、エンジンルーム3におけるラジエータファン7の位置が、エンジンルーム3の前後方向の中間部から前方へ離れる距離をL[mm]とすると、ポンプ運転開始用のレベルHは、仮想のレベルH0に対して、概算で(L×0.2)[mm]の寸法分低い位置に設定される。
なお、実際には、エンジンルーム3にはエンジン5やラジエータ6やその他の機器が設けられていることや、吸気用シュノーケル15の水平断面形状が高さ位置に応じて変化することなどに起因して、エンジンルーム3内で水が入る空間の形状は、高さ位置ごとに変化している。そのため、エンジンルーム3が前後方向に傾斜するときには、水が入る空間の高さ方向の増減も水位の変化に影響する。したがって、エンジンルーム3内におけるラジエータファン7の位置で相対的な水位が最も低くなる状態や、相対的な水位が最も高くなる状態は、エンジンルーム3が最大値の勾配よりも小さい勾配で生じることも考えられる。
したがって、このような場合は、エンジンルーム3内におけるラジエータファン7の位置で相対的な水位が最も高くなるときに、水面が仮想のレベルH0に位置する量の水がエンジンルーム3内に入っている状態を想定し、その量の水がラジエータファン7の位置で相対的な水位が最も低くなるときの水面の位置に、ポンプ運転開始用のレベルHを設定するようにすればよい。
これにより、エンジンルーム3内に溜まる水について、平静状態での水面がポンプ運転開始用のレベルHに達した状態では、本実施形態の不整地運搬車1が10%勾配の前上がりの姿勢から10%勾配の前下がりの姿勢に姿勢変化したり、エンジンルーム3内の水が波立ったりしても、ラジエータファン7の下端側が水面に接する可能性は小さく抑えられる。
また、本実施形態では、エンジンルーム3内における吸込部8が配置されている位置について、水面が波立ったときに、平静時の水面に比して最も下降する量を、波立ち下降分yとして推定する。そして、本実施形態では、図6(a)に示すように、吸込部8の上端の位置から、波立ち下降分yに余裕分βを足した寸法分、上方となる位置に、ポンプ運転停止用のレベルLを設定している。
これにより、エンジンルーム3内に溜まる水について、平静状態での水面Wがポンプ運転停止用のレベルLにある状態では、その状態からエンジンルーム3内で水面Wに波立ちが生じるとしても、吸込部8が水面から露出する可能性は小さいものとなる。よって、この状態では、ポンプ10が吸込部8から空気を吸い込んで空運転されることは抑制される。
制御部11は、水位センサ30から、ポンプ運転開始用のレベルHの水位検出信号を受け取ると、ポンプ10に運転指令を送る機能を備えている。
ポンプ10は、この制御部11からの運転指令に従って運転が開始される。このポンプ10の運転により、本実施形態の不整地運搬車1では、エンジンルーム3内の水が、吸込部8と吸水管28とを経てポンプ10に吸入された後、排水管29と吐出部9とを経てエンジンルーム3の外部へ排出される。これにより、本実施形態の不整地運搬車1では、エンジンルーム3内の水の水位が低下するため、ラジエータファン7が水面Wに接触することが抑制される。
また、制御部11は、ポンプ10に対する運転指令を発した後に、水位センサ30から、ポンプ運転停止用のレベルLの水位検出信号を受け取ると、ポンプ10に運転停止指令を送る機能を備えている。
ポンプ10は、この運転停止指令を制御部11から受け取ると、運転を停止する。これにより、本実施形態の不整地運搬車1では、エンジンルーム3内の水の外部への排出が停止される。よって、この場合は、ポンプ10が吸込部8から空気を吸い込んで空運転になる前に、ポンプ10の運転が停止される。
ところで、前記のように水位センサ30によりポンプ運転開始用のレベルHでの水位の検出が行われたときには、ポンプ10の運転によるエンジンルーム3内からの排水が開始される。しかし、外部からエンジンルーム3内に入る水の量がポンプ10の排水能力を上回る場合は、エンジンルーム3内の水位が、ポンプ運転開始用のレベルHよりも上昇する可能性がある。
この場合、平静状態での水位が、ポンプ運転開始用のレベルHに対して、マージンとして設定した或る値αを超えて上昇すると、本実施形態の不整地運搬車1の前後方向の角度姿勢の変化や、エンジンルーム3内で生じる水面の波立ちにより、ラジエータファン7の下端側が水面に対して接する可能性が高くなる。
この点に鑑みて、本実施形態では、前記したポンプ運転開始用のレベルHよりも有意に高い位置、たとえば、図5に示すように、ポンプ運転開始用のレベルHより前記した或る値α分、高い位置に、第3の検知レベルとしてのファン運転停止用のレベルHHを設定している。
更に、水位センサ30は、エンジンルーム3内の水位が、レベルHHであることを検出する機能と、レベルHHの水位検出信号を制御部11へ送る機能と、を備えている。
制御部11は、水位センサ30からレベルHHの水位検出信号を受け取ると、回転軸27を介してラジエータファン7の回転駆動を行っているエンジン5に対し、運転停止の指令を送る機能を備えている。
この運転停止の指令に従いエンジン5の運転が停止されると、エンジン5による回転軸27を介したラジエータファン7の回転駆動も停止される。
このように、ラジエータファン7の回転駆動が停止されている状態であれば、たとえラジエータファン7がエンジンルーム3内に溜まる水の水面Wに接触しても、ラジエータファン7が水から急に大きな反力を受けることはない。よって、この場合は、ラジエータファン7が水面に接触しても、ラジエータファン7に羽根の変形や破損などの損傷が生じる虞を抑制することができる。
なお、本実施形態の不整地運搬車1は、エンジン5の運転を停止することに伴い、下部走行体2による移動は停止した状態になり、エンジン5に付設された図示しない発電機による発電も行われなくなる。よって、この場合は、エンジン5の運転中に充電しておいた図示しないバッテリーからポンプ10へ電力供給を行って、ポンプ10の運転によるエンジンルーム3内の水の排水処理を継続して行うようにすればよい。
エンジンルーム3内の水の排水処理が継続されて、エンジンルーム3内の水位がファン運転停止用のレベルHHよりも低下すれば、水位センサ30によるレベルHHの水位検出は行われなくなる。
しかし、本実施形態の不整地運搬車1では、水位センサ30によるレベルHHの水位検出が行われなくなった後、直ちにエンジン5の運転を再開して、移動を再開すると、不整地運搬車1が動くことに伴うエンジンルーム3内の水位の変動で、再び水位センサ30によるレベルHHの水位検出が行われる可能性がある。このように水位センサ30によりレベルHHの水位検出が行われると、制御部11からの指令により、エンジン5の強制的な停止が再度行われるようになる。よって、この処理では、エンジン5の運転の再開と、運転停止とが繰り返される可能性がある。
そこで、本実施形態の不整地運搬車1では、水位センサ30によるレベルHHの水位検出に起因してエンジン5の運転の停止が行われた場合は、エンジン5の運転の再開や、移動の再開は、水位センサ30によるレベルHHの水位検出が行われなくなることではなく、エンジンルーム3内の水位が、レベルHHよりも有意に低くなることを確認して行うようにすればよい。この確認は、たとえば、水位センサ30によるレベルHの検出や、水位センサ30によるレベルLの検出を基に行うようにすればよい。
なお、前記確認は、図示しないが、レベルHHよりも低い位置であって、且つレベルLとは異なる高さ位置に、エンジン運転再開用のレベルを別途設定して、水位センサ30によりこのエンジン運転再開用のレベルの水位が検出されると、エンジン5の運転を再開するという制御を採用してもよいことは勿論である。
また、水位センサ30によりレベルHHの水位検出が行われるか、否かに応じてエンジン5の運転停止と、運転の再開とが繰り返されることを防ぐための別の対策としては、たとえば、水位センサ30によりレベルHHの水位検出と非検出とが繰り返し行われるときには、その周波数から、波立ちの影響の有無を判断する処理を行うようにしてもよい。また、制御部11では、水位センサ30によるレベルHHの水位検出の持続時間を考慮する処理や、水位センサ30により計測される水位の平均を取る処理によって、水面の波立ちの影響を排除するようにしてもよい。
なお、図1、図2において、31,32は、メインフレーム12の前端寄りの左右両側に、各履帯13の上方で左右方向に張り出すように設けられた左右のデッキ、33は、左右のデッキ31,32のうちのいずれか一方、たとえば、左側のデッキ31の上側に設けられた運転室、34は、メインフレーム12の後端寄りの上側に設けられたダンプ式の荷台である。
また、図示しないが、エンジンルーム3におけるエンジン5の後方には、油圧ポンプが設けてあり、この油圧ポンプがエンジン5の出力側に接続されている。この油圧ポンプから、履帯13の駆動輪に取り付けられた油圧モータへ圧油を供給することにより、履帯13の駆動を行うようにしてある。
以上の構成としてある、本実施形態の不整地運搬車1は、浅海域での使用中に、たとえば、波を受けるなどして、吸気用シュノーケル15の吸気口17などから、エンジンルーム3内に水が入った場合は、水位センサ30によりエンジンルーム3内の水位がレベルHに達したことが検出された時点で、ポンプ10の運転による排水処理を開始することができる。
更に、この排水処理によってもエンジンルーム3内の水位がレベルHを超えて上昇する場合は、水位センサ30によりレベルHHの水位が検出された時点で、ラジエータファン7の回転を停止させることができる。
したがって、本実施形態の不整地運搬車1では、エンジンルーム3内に水が入ったとしても、回転状態のラジエータファン7が水面に接することを防ぐことができるため、ラジエータファン7の損傷を抑制することができる。
更に、本実施形態の不整地運搬車1では、エンジンルーム3内での空気21の流れの経路は、隔壁や仕切壁を挟んで折り返すことはなく、下部走行体2の前方から後方へ向けて配置された一連の経路となる。
これにより、本実施形態の不整地運搬車1では、エンジンルーム3に導かれる空気21が、エンジンルーム3内でラジエータ6やエンジン5の冷却に供された後の昇温した空気21と隔壁や仕切壁を介して熱交換することはない。このため、本実施形態の不整地運搬車1は、ラジエータ6やエンジン5の冷却に用いる空気21の温度の低下を図ることができる。
[第2実施形態]
図7から図10は、水陸両用車両としての不整地運搬車の第2実施形態として、第1実施形態の応用例を示すものである。
図7は、本実施形態の不整地運搬車のエンジンルームを示す切断側面図である。図8は、図7のエンジンルームの切断平面図である。図9は、図7のB−B方向矢視図である。図10は吸込部とポンプと水位センサと制御部の関連を示す概要図である。
なお、本実施形態の不整地運搬車1の全体構成は、図1、図2に示した第1実施形態の不整地運搬車1と同様である。また、図7から図10において、第1実施形態と同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の不整地運搬車1は、第1実施形態と同様の構成において、エンジンルーム3内の下部に、ラジエータファン7のほぼ真下となる位置に一つの吸込部8を設けた構成に代えて、ラジエータファン7の回転軸線を含み上下方向に延伸する図9に一点鎖線で示す如き平面P1を挟んで、平面P1の一方側となる個所と、他方側となる個所に、吸込部8aと、吸込部8bをそれぞれ備えている。本実施形態では、ラジエータファン7の回転軸線は前後方向に配置されているので、吸込部8aは、ラジエータファン7の回転軸線の真下となる位置よりも左側に配置され、吸込部8bは、ラジエータファン7の回転軸線の真下となる位置よりも右側に配置されている。
更に、本実施形態の不整地運搬車1は、図8に一点鎖線で示す如きラジエータファン7の回転面P2を挟んで、回転面P2の一方側となる個所と、他方側となる個所に、吸込部8cと、吸込部8dをそれぞれ備えている。本実施形態では、ラジエータファン7の回転面P2が上下方向および左右方向に延伸する平面となるので、吸込部8cは、ラジエータファン7の回転面P2よりも前方側に配置され、吸込部8dは、ラジエータファン7の回転面P2よりも後方側に配置されている。
吸込部8aと吸込部8bは、エンジンルーム3内にて、前後方向の配置が、ラジエータ6よりも後方で且つエンジン5よりも前方とされている。
更に、吸込部8aは、左側の隔壁4aに近付けて設けられている。これにより、本実施形態の不整地運搬車1が左側に傾斜した姿勢になると、吸込部8aは、エンジンルーム3内で左右方向における最も低い位置に寄った配置になる。よって、吸込部8aは、本実施形態の不整地運搬車1が左側に傾斜した姿勢のときに、エンジンルーム3内の水をより低い水位になるまで吸い込むことができる。
吸込部8bは、右側の隔壁4bに近付けて設けられている。これにより、本実施形態の不整地運搬車1が右側に傾斜した姿勢になると、吸込部8bは、エンジンルーム3内で左右方向における最も低い位置に寄った配置になる。よって、吸込部8bは、本実施形態の不整地運搬車1が右側に傾斜した姿勢のときに、エンジンルーム3内の水をより低い水位になるまで吸い込むことができる。
吸込部8cと吸込部8dは、エンジンルーム3内にて、左右方向の配置が、エンジンルーム3の左右方向の中央部とされている。
更に、吸込部8cは、底部の隔壁4dの前端寄りとなる個所、または、吸気用シュノーケル15の内底部に設けられている。図7、図8は、吸込部8cを、吸気用シュノーケル15の内底部に設けた構成が示してある。これにより、本実施形態の不整地運搬車1が前下がりの傾斜姿勢になると、吸込部8cは、エンジンルーム3内で前後方向における最も低い位置に寄った配置になる。よって、吸込部8cは、本実施形態の不整地運搬車1が前下がりの傾斜姿勢のときに、エンジンルーム3内の水をより低い水位になるまで吸い込むことができる。
吸込部8dは、エンジンルーム3の後端寄りとなる個所に設けられている。これにより、本実施形態の不整地運搬車1が前上がりの傾斜姿勢になると、吸込部8dは、エンジンルーム3内で前後方向における最も低い位置に寄った配置になる。よって、吸込部8dは、本実施形態の不整地運搬車1が前上がりの傾斜姿勢のときに、エンジンルーム3内の水をより低い水位になるまで吸い込むことができる。
各吸込部8a,8b,8c,8dは、図10に示すように、個別のポンプ10a,10b,10c,10dに、吸水管28を介して接続されている。
各ポンプ10a,10b,10c,10dの吐出側は、一つの排水管29に合流させて吐出部9に接続されている。なお、図示しないが、各ポンプ10a,10b,10c,10dの吐出側に、個別の吐出部9を個別の排水管29を介して接続した構成としてもよいことは勿論である。
各吸込部8a,8b,8c,8dの設置個所の近傍には、図7から図10に示すように、第1実施形態における水位センサ30と同様の水位センサ30a,30b,30c,30dが、個別に設けられている。
本実施形態では、各水位センサ30a,30b,30c,30dは、ラジエータファン7の直下位置から離れた位置に配置されている。そのため、エンジンルーム3内の水位が、第1実施形態と同様のラジエータファン7の直下位置におけるポンプ運転開始用のレベルH(図5参照)と、ファン運転停止用のレベルHH(図5参照)に達したことを検出することができるようにしてあれば、個々の水位センサ30a,30b,30c,30dに実際に設定されるレベルは、同一でなくてもよい。たとえば、各水位センサ30a,30b,30c,30dのエンジンルーム3内における配置と、エンジンルーム3が前後左右方向に傾斜した姿勢となるときに、エンジンルーム3内で生じる相対的な水面の傾き、それに伴う水位の変化とを考慮して、適宜設定すればよい。
各水位センサ30a,30b,30c,30dは、図10に示すように、1つの制御部11に接続されている。
制御部11は、いずれかの水位センサ30a,30b,30c,30dから、ポンプ運転開始用のレベルH(図5参照)の水位検出信号を受け取ると、その水位センサ30a,30b,30c,30dに対応する吸込部8a,8b,8c,8dが接続されているポンプ10a,10b,10c,10dに運転指令を送る機能を備えている。
また、制御部11は、いずれかの水位センサ30a,30b,30c,30dから、ポンプ運転停止用のレベルLの水位検出信号を受け取ると、その水位センサ30a,30b,30c,30dに対応する吸込部8a,8b,8c,8dが接続されているポンプ10a,10b,10c,10dに対して、運転停止指令を送る機能を備えている。
更に、制御部11は、いずれかの水位センサ30a,30b,30c,30dから、ファン運転停止用のレベルHHの水位検出信号を受け取ると、エンジン運転停止指令を送る機能を備えている。
制御部11から運転開始指令や運転停止指令を受け取ったポンプ10a,10b,10c,10dにおける処理や、制御部11から運転停止の指令をエンジン5が受け取った場合の処理は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
したがって、本実施形態の不整地運搬車1によっても、第1実施形態と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
更に、本実施形態の不整地運搬車1は、エンジンルーム3の左右位置と前後位置に配置された吸込部8a,8b,8c,8dを備えているので、エンジンルーム3内の水位がより低くなるまで排水処理を行うことができる。
[第3実施形態]
図11は、水陸両用車両としての不整地運搬車の第3実施形態として、第2実施形態の変形例を示すもので、複数の吸入部を1つのポンプに接続した構成例を示す概要図である。
なお、本実施形態の不整地運搬車1の全体構成は、図1、図2に示した第1実施形態の不整地運搬車1と同様である。また、図11において、第2実施形態と同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の不整地運搬車1は、第2実施形態と同様の構成において、各吸込部8a,8b,8c,8dに個別のポンプ10a,10b,10c,10dを接続した構成に代えて、各吸込部8a,8b,8c,8dを、個別の吸水管35a,35b,35c,35dと、各吸水管35a,35b,35c,35dを集合させて接続した集合管36とを介して一つのポンプ10に接続した構成としたものである。
各吸水管35a,35b,35c,35dには、水の流通と流通停止とを操作する開閉弁37a,37b,37c,37dが設けられている。あるいは、図示しないが、各吸水管35a,35b,35c,35dに代えて、各吸込部8a,8b,8c,8dに開閉弁37a,37b,37c,37dを備える構成としてもよいことは勿論である。なお、各開閉弁37a,37b,37c,37dは、常時閉の形式のものを用いる。
制御部11は、本実施形態では、各吸込部8a,8b,8c,8dにそれぞれ対応する水位センサ30a,30b,30c,30dから、レベルHの水位検出信号、および、レベルLの水位検出信号を受け取ると、ポンプ10と、開閉弁37a,37b,37c,37dに指令を送る機能を備えている。
具体的には、制御部11は、いずれかの水位センサ30a,30b,30c,30dから、ポンプ運転開始用のレベルHの水位検出信号を受け取ると、ポンプ10に運転指令を送る機能を備えている。更に、制御部11は、レベルHの水位検出信号を発した水位センサ30a,30b,30c,30dの情報を基に、その水位センサ30a,30b,30c,30dに対応する吸込部8a,8b,8c,8dに接続されている吸水管35a,35b,35c,35dの開閉弁37a,37b,37c,37dを特定し、特定された開閉弁37a,37b,37c,37dに開指令を送る機能を備えている。
これにより、制御部11から開指令を受け取った開閉弁37a,37b,37c,37dは、その指令に従って開動作する。そのため、エンジンルーム3では、レベルHの水位検出信号を発した水位センサ30a,30b,30c,30dに対応する吸込部8a,8b,8c,8dから、開閉弁37a,37b,37c,37dの開動作が行われた吸水管35a,35b,35c,35dを通してポンプ10への水の吸入が行われる。ポンプ10に吸入された水は、排水管29と吐出部9(図3参照)を経てエンジンルーム3の外部へ排出される。
その後、制御部11は、いずれかの水位センサ30a,30b,30c,30dから、ポンプ運転停止用のレベルLの水位検出信号を受け取ると、レベルLの水位検出信号を発した水位センサ30a,30b,30c,30dの情報を基に、その水位センサ30a,30b,30c,30dに対応する吸込部8a,8b,8c,8dに接続されている吸水管35a,35b,35c,35dの開閉弁37a,37b,37c,37dを特定し、特定された開閉弁37a,37b,37c,37dに閉指令を送る機能を備えている。
更に、制御部11は、以前、開指令を送ったすべての開閉弁37a,37b,37c,37dに対して閉指令を送った時点で、ポンプ10に運転停止の指令を送る機能を備えている。
これにより、制御部11から閉指令を受け取った開閉弁37a,37b,37c,37dは、その指令に従って閉動作する。そのため、エンジンルーム3では、レベルLの水位検出信号を発した水位センサ30a,30b,30c,30dに対応する吸込部8a,8b,8c,8dからの水の吸い込みが停止される。更に、すべての吸込部8a,8b,8c,8dからの水の吸入が停止されると、ポンプ10の運転が停止される。
したがって、本実施形態の不整地運搬車1によっても、第2実施形態と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、前記各実施形態にのみ限定されるものではなく、各図に示した各構成部材の寸法や各構成部材同士の寸法比は、図示するための便宜上のものであり、実際の寸法や寸法比を反映したものではない。
図3、図4、図5、図7、図8に示したエンジンルーム3の形状や、エンジンルーム3内の機器の配置は、図示するための便宜上のものであり、実際のエンジンルーム3の形状や機器の配置を反映したものではない。
第2実施形態では、エンジンルーム3の左側と右側となる位置に配置された2つの吸込部8a,8bの組と、エンジンルーム3の前側と後側となる位置に配置された2つの吸込部8c,8dの組とを共に備えた構成を示した。これに対し、本発明では、図9に一点鎖線で示した平面P1を挟んで、平面P1の一方側と他方側となる位置に配置された2つの吸込部8a,8bの組のみを備えた構成としてもよく、また、図8に一点鎖線で示したラジエータファン7の回転面P2を挟んで、回転面P2の一方側と他方側となる位置に配置された2つの吸込部8c,8dの組のみを備えた構成としてもよい。
図9に一点鎖線で示した平面P1の一方側と他方側となる位置に配置された2つの吸込部8a,8bは、できるだけエンジンルーム3の左右の隔壁4a,4bに近い位置に配置されることが好ましいが、ラジエータファン7の回転軸心の真下となる位置の左右両側となる範囲で、それぞれの左右方向の配置を変更してもよい。
図8に一点鎖線で示したラジエータファン7の回転面P2の一方側と他方側となる位置に配置された2つの吸込部8c,8dは、できるだけエンジンルーム3の前端寄りと後端寄りに配置されることが好ましいが、ラジエータファン7の回転面P2の真下となる位置の前後両側となる範囲で、それぞれの前後方向の配置を変更してもよい。
エンジンルーム3の前側と後側となる位置に配置された2つの吸込部8c,8dは、エンジンルーム3の左右方向の中間部に配置されることが好ましいが、左右のいずれか一方に偏って配置されていてもよいし、平面視で対角配置となるように配置されていてもよい。
エンジンルーム3は、前端側に吸気用シュノーケル15を備えた構成としてあれば、吸気用シュノーケル15は、上部の隔壁4cや左右の隔壁4a,4bに設けた吸気用開口部に接続された構成としてもよい。
排気用シュノーケル22は、吸気用シュノーケル15から離れた後端側であれば、エンジンルーム3の後部の隔壁4eや、左右の隔壁4a,4bに設けた排気用開口部に接続された構成としてもよい。
吸気用シュノーケル15や、排気用シュノーケル22は、流路断面形状が、四角以外の多角形や、円、楕円など、任意の形状であってもよい。また、上下方向で流路断面形状が変化していてもよい。
吸気用シュノーケル15の蓋18や、排気用シュノーケル22の蓋25は、図示した以外の任意の形状、構成としてもよい。
本開示の水陸両用車両は、下部走行体2が履帯13に代えて車輪を備える形式や、下部走行体2が履帯と車輪を併用する形式の水陸両用車両に適用してもよい。
また、本開示の水陸両用車両は、設定された水深Dでの走行を行う場合がある水陸両用車両であれば、不整地運搬車1以外のいかなる種類、形式の建設機械に適用してもよく、更には、下部走行体2を備えていない建設機械以外の水陸両用車両に適用してもよいことは勿論である。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。