JP2019120791A - 光学素子、撮像装置、および、光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、撮像装置、および、光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の角度の拡散特性を制御可能な方位対称性の高い光学素子を提供する。【解決手段】基板(1)と基板の上に設けられた表面層(2)とを有する光学素子(10)であって、表面層は、少なくとも二つの周期P1、P2(μm)(P1>P2)の成分を含む凹凸形状を有し、凹凸形状の高さに対するパワースペクトルは、空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれにおいて極大値を有し、空間周波数1/P1、1/P2のパワースペクトルの50%以上のパワースペクトルを示す空間周波数に対応する周期範囲をそれぞれΔP1、ΔP2、空間周波数1/(P1+ΔP1)〜1/(P1−ΔP1)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE1、空間周波数1/(P2+ΔP2)〜1/(P2−ΔP2)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE2、凹凸形状の高さをH(μm)とするとき、所定の条件式を満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、ピント板などの光学素子および撮像装置に関する。
特許文献1には、微細な凹凸形状を有する光学素子(光拡散板)に関し、円やドットのランダム配置をシードとして周波数空間でフィルタ処理を行うことで、特定の周期のランダムパターンを作成する方法が開示されている。特許文献2には、特定の周期のランダム凹凸形状を有する光学素子光学ローパスフィルタが開示されている。特許文献1や特許文献2では、ランダム凹凸形状の周期を適切に制御することにより、ランダムでありながら特定の周期を含む形状を実現している。
特開2011−118328号公報 特開2016−212333号公報
特許文献1や特許文献2には、特定の周期の凹凸形状を利用して拡散性を制御する方法が開示されているが、異なる複数の周期を局所的に選択する方法、および、凹凸形状の高さの選択方法については開示されていない。このため、特許文献1や特許文献2に開示された光学素子の凹凸形状では、複数の角度の拡散特性を適切に制御することができず、良好な光学特性を得ることが難しい。
そこで本発明は、複数の角度の拡散特性を制御して良好な光学特性を得ることが可能な光学素子、撮像装置、および、光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての光学素子は、基板と該基板の上に設けられた表面層とを有する光学素子であって、前記表面層は、少なくとも二つの周期P1、P2(μm)(P1>P2)の成分を含む凹凸形状を有し、前記凹凸形状の高さに対するパワースペクトルは、空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれにおいて極大値を有し、前記空間周波数1/P1、1/P2のパワースペクトルの50%以上のパワースペクトルを示す空間周波数に対応する周期範囲をそれぞれΔP1、ΔP2、空間周波数1/(P1+ΔP1)〜1/(P1−ΔP1)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE1、空間周波数1/(P2+ΔP2)〜1/(P2−ΔP2)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE2、前記凹凸形状の前記高さをH(μm)とするとき、所定の条件式を満足する。
本発明の他の側面としての撮像装置は、前記光学素子と、該光学素子からの光を受光する撮像素子とを有する。
本発明の他の側面としての光学素子の製造方法は、基板の上に少なくとも二つの周期P1、P2(μm)(P1>P2)の成分を含む凹凸形状を有する表面層を形成するステップを有し、前記所定の条件を満足する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
本発明によれば、複数の角度の拡散特性を制御して良好な光学特性を得ることが可能な光学素子、撮像装置、および、光学素子の製造方法を提供することができる。
各実施例における光学素子の斜視図である。 実施例1における凹凸部の2次元パワースペクトルを示す図である。 実施例1における凹凸部の1次元パワースペクトルを示す図である。 実施例1における凹凸部の光拡散特性である。 凹凸部の光拡散特性の比較図である。 実施例1における光学素子の上面図である。 実施例1における凹凸部の形状高さ分布である。 実施例2における光学素子の上面図である。 実施例2における凹凸部の2次元パワースペクトルを示す図である。 実施例2における凹凸部の1次元パワースペクトルを示す図である。 実施例2における凹凸部の光拡散特性である。 実施例3における撮像装置の概略図である。 実施例3における撮像装置の観察光学系の配置図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
微細な凹凸形状を有する光拡散板は、種々の光学機器に用いられている。例えば撮像装置において、被写体像をファインダーで観察する観察光学系の焦点板として、適切に光を拡散するために微細な凹凸形状を有する光学素子が用いられる。その光学素子の形状の高さや幅を制御することにより、入射する光線を接眼光学系や測光部へ導くため、または電子ビューファインダとして画像を重畳して表示するため、透過光や反射光の拡散性を制御する。本実施形態は、適切な光拡散性を得るための微細な凹凸形状を有する光学素子に関する。
まず、図1を参照して、本実施形態における光学素子について説明する。図1は、光学素子10の斜視図である。光学素子10は、基板(透明基板)1と、基板1の上に直接形成された微細な凹凸部(表面層)2とを備えて構成される。凹凸部2は、複数かつ特定範囲の周期(凹凸周期)のみを有意に含む形状を有する。図1に示される例では、凹凸部2は互いに異なる少なくとも二つの周期(周期成分)を有する。凹凸部2の二つの周期(構造ピッチ)をP1、P2(P1>P2)とすると、凹凸部2は周期P1の凹凸形状と周期P2の凹凸形状とを重ね合わせた形状を有する。また凹凸部2の凹凸形状は、規則的または周期的に配置されているものではなく、ランダム性を有する。凹凸部2は、厳密に周期P1および周期P2の成分のみを有するのではなく、周期P1、P2の近傍のある範囲内の周期成分を多く含むことを意味する。このため、周期P1、P2は平均値であり、例えば特定領域内で算出される形状周期の平均値として求められる。ここで特定領域は、周期P1に対して凹凸部2の一辺の約5〜10倍のサイズ範囲であり、形状取得の分解能は周期P2に対して1/5〜1/10程度である。図1の例は、一辺が200μm四方の凹凸形状であって、分解能400nmとして取得された範囲の一部を切り出して示している。
規則的に配列された凹凸形状の場合、凸部または凹部の形状の極値を取り、その間の距離に基づいて凹凸形状の周期を算出することができる。しかし、複数の周期が含まれる凹凸形状やランダム形状の形状周期に対しては、前述のような幾何的な形状周期および平均値の算出が困難である。このため、特定領域内で取得した形状高さに対してフーリエ変換を行い、得られたパワースペクトルのピーク位置における空間周波数から求めた値を周期P1、P2等とする方法を用いる。すなわち、凹凸部2の高さ(形状高さ、基準面(最下面)からの距離)に対してフーリエ変換を行って得られたパワースペクトルは、空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれにおいて極大値を有する。ここで、空間周波数1/P1、1/P2において極大値を有するとは、厳密に空間周波数1/P1、1/P2において極大値を有する場合に限定されるものではなく、空間周波数1/P1、1/P2の近傍に極大値を有する場合を含む意味である。
凹凸部2は、周期P1、P2のみを主に含む形状である。このため、周期P1に対応するパワースペクトルの積分値E1、周期P2に対応するパワースペクトルの積分値E2とするとき、積分値E1+E2が占める割合は50%以上となり、以下の条件式(1)を満足する。
0.50≦E1+E2≦0.99 … (1)
ここで、E1は空間周波数1/(P1+ΔP1)〜1/(P1−ΔP1)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値であり、E2は空間周波数1/(P2+ΔP2)〜1/(P2−ΔP2)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値である。積分値E1、E2はそれぞれ、各空間周波数のパワースペクトルを前述の空間周波数の範囲内において積分して得られる。ここで、P1±ΔP1、P2±ΔP2は、厳密にはピーク位置である空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれのパワースペクトル(強度)をガウス分布でフィッティングしたときの半値幅である。また、ΔP1、ΔP2は、周期P1、P2のピーク強度比50%以上の範囲である。ここで、周期P1、P2のピーク強度比50%以上の範囲とは、空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれのパワースペクトル(ピーク強度)の50%以上のパワースペクトル(強度)を示す空間周波数に対応する周期範囲である。ただし、実際には周期P1、P2のピーク値の20%の範囲を目安としている。なお、厳密な形状の周期は、ピーク値の近傍に分布するパワースペクトルの重み付け平均値を用いて算出される。
図2は、凹凸部2の2次元パワースペクトルを示す図であり、凹凸部2の形状高さに対する2次元パワースペクトルを空間周波数として示している。図3は、凹凸部2の1次元パワースペクトルを示す図であり、図2の2次元パワースペクトルに関して、横軸を空間周波数、縦軸を強度としてその総和が1となるように1次元プロットしたグラフを示す。
図2および図3からわかるように、2つの周期に対応した空間周波数にパワースペクトルが集中している。図3におけるパワースペクトルのピーク付近の積分値をE1、E2とすると、積分値E1+E2は全体の50%以上となっている。なお、形状取得の際やフーリエ変換において予期しないピーク等が発生する場合もあるが、本実施形態では、ピーク位置における規格化パワースペクトルの積分値が5%に満たない成分は形状周期として考慮しない。本実施形態の凹凸部2は、特定の周期の構造のみを有意に含むことで光拡散性を制御するため、例えば積分値が5%に満たない微小なピークが複数存在する形状等は光拡散への寄与は小さい。
凹凸部2は、特定の方向に対する周期の偏りが小さい。図2からわかるように、パワースペクトルは特定の方位に強度が偏ることなく等方的に、各方位に均等に分布している。これは、凹凸部2が特定の周期を有しつつも規則的に配列することなく、形状全体で考えると基本形状が各方位にランダムに配列していることを示している。すなわち凹凸部2の凹凸形状は、繰り返し周期性を有しないランダム凹凸形状である。
図4は、凹凸部2の形状高さ(PV値)が1600nmの場合において平行光が入射したときの光拡散特性(角度分布)である。図4の縦軸、横軸はそれぞれ互いに直交する2方向の角度degを示し、それぞれ±15degの範囲を示している。光拡散特性は、0次項成分、周期P1(平均周期P1AV)に由来する1次回折成分、および、周期P2(平均周期P2AV)に由来する1次回折成分に集中しており、その他の角度への拡散は低く抑制されている。その結果、周期P1に由来する回折角度近傍および周期P2に由来する回折角度近傍のみに光拡散性を有する光学素子10が得られる。
次に、凹凸部2の高さ(形状高さ)について説明する。本実施形態の光学素子10は、凹凸部2が特定の周期を有し、かつ、凹凸部2の形状高さにより光拡散特性を制御する。凹凸部2の周期は拡散角度に対するパラメータであるのに対し、形状高さは光拡散特性の強度に対するパラメータである。光学素子10において、凹凸部2の形状高さ(PV値)をH(μm)とするとき、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.5≦H≦3.0 … (2)
条件式(2)を満足することにより、制御された形状周期に対応した光拡散特性を有する光学素子10を得ることができる。凹凸部2の形状高さHが0.5μm以下の場合、光拡散性が著しく低下し、好ましくない。一方、凹凸部2の形状高さHが3.0μm以上の場合、凹凸形状に由来したブロードな光拡散特性となり、好ましくない。なお、形状高さHは凹凸部2の最大高さと最小高さとの差(PV値)であるが、測定上検出されるスパイクや意図しない形状など前述の周期から大きく外れた周波数の構造を除外することができる。
ここで、形状高さ依存性の説明のために、簡略化した例として平均周期10μmのみのランダム凹凸形状を考える。2つの周期P1、P2の重ね合わせの場合、それぞれの形状高さを独立に考慮すればよい。図5(a)は、平均周期10μm、形状高さ1200nmの凹凸部2の遠方での光拡散特性である。図5(b)、(c)は、形状高さを図5(a)の1/2である600nmにした場合と、図5(a)の2倍である2400nmにした場合の光拡散特性である。
図5(a)では、周期10μmに由来する1次回折光が同心円状に分布していることがわかる。形状高さが低い図5(b)の場合、拡散分布は大きくは変化しないが、回折光の強度が低下して0次光(素通し)成分が増大する。一方、形状高さが高い図5(c)の場合、拡散分布特性自体が変化し、次数に依存しないブロードな拡散特性が支配的となる。
これは、凹凸部2のランダム性に起因すると考えられる。特定の周期による回折が効率よく生じるためには、広範囲で均一な周期かつ隣り合う形状の高さ(位相差)が一様に揃っていることが好ましい。それにより、特定の方向への強め合いが生じて回折光が生じる。しかし、凹凸部2において、近傍の凹凸間の距離(周期)は一定に保たれているが、ランダム性により3〜5周期以上の距離に対する周期性は著しく低下する。加えて、形状高さは正規分布的になっている。凹凸部2の形状高さが低い(凹凸で生じる位相差が小さい)場合、高さ分布を有しつつも所定の周期により一定の割合で回折が生じる。凹凸部2の形状高さが増大していくと、凹凸形状の段差で生じる位相差のばらつきも増大する。これは、強め合いと弱めあいが同時に含まれる度合いが増大することを意味し、構造による回折効率は低下する。その結果、回折ではなく凹凸形状をマイクロレンズとみなしたような拡散分布特性となる。
この場合、光拡散性は、実質的には凹凸部2の表面形状の曲率により制御される。なお、本実施形態の凹凸部2は、所定の範囲に制御された形状周期と形状高さを有するため、表面形状の曲率もある一定の範囲に抑制される。ブロードな光拡散性を得たい場合、そのような形状でもよいが、複数の形状の周期に応じて光拡散性を制御するには、凹凸部2の形状高さHは条件式(2)の範囲内に収まるように設定することが好ましい。条件式(2)の下限値を下回る場合、凹凸部2により得られる光拡散性が著しく低下する。一方、(2)式の上限値を上回る場合、2つの周期が均等な形状高さで足し合わされたとしてもブロードな拡散特性が支配的となり、本発明の目的にそぐわない。
条件式(2)の形状高さHはPV値(最大高さと最小高さとの差)であるが、より好ましくは、凹凸部2の高さ(形状高さH)の平均値(平均高さ)をHAV(μm)とするとき、以下の条件式(3)を満足する。
0.25≦HAV≦1.50 … (3)
本実施形態の凹凸部2は、凹凸形状の周波数制御の性質上、正弦波的な形状に近づくため、形状高さも正規分布的な分布を示す。平均値HAVは形状高さH(PV値)の略半分となるため、形状高さHの1/2の値であることが好ましい。
凹凸部2の周期P1、P2については様々な値を選択すればよい。好ましくは、異なる拡散角度分布を制御する観点から、周期P1、P2の比P1/P2は、2.0≦P1/P2≦10.0の範囲にあることが好ましい。ただし、同様に単一周期の規則形状をフーリエ変換することにより現れる2倍の周期の成分などは本発明の構成には含まない。より具体的には、周期P1(μm)は、8.0≦P1≦18.0の範囲にあることが好ましく、周期P2(μm)は2.5≦P2≦6.0の範囲にあることが好ましい。周期P2を2.5μmよりも小さくすると、拡散角度と効率のバランスがとりにくいことに加えて、形状高さの増大によりアスペクト比が高くなり製造難度が増大する。一方、周期P1を18μmよりも大きくすると、局所的なばらつきの影響が増大する。特にスクリーンやピント板(焦点板)のように画像の結像位置に配置される場合、局所的なばらつきがムラとして視認され、品位が低下する懸念がある。
光学素子10の凹凸部2の凹凸形状の設計においては、様々な手法を用いて設計することができる。ランダム性を有しつつ、かつ特定の周期のみを有意に含む形状を作成する方法としては、例えば乱数(2次元乱数分布)に対して周波数フィルタリングを施す方法がある。または、特定の形状がランダムに配置されることにより与えられるデジタルデータのランダム配列に対するフィルタリング関数を利用してもよい。
例えば、まずデジタルデータとして2次元乱数分布を用意する。この分布は、広帯域に渡って一様な強度の周波数を含む。この分布に対してバンドパスフィルタ演算を行い、特定周波数のみ抽出するフィルタリング処理を行う。この演算は、周波数空間上の積演算で行っても、実空間で畳み込みを行う方法でもよい。これにより、元の2次元乱数分布に含まれる周波数成分のうち特定周波数の成分のみを抽出することができる。その結果、特定周波数を有しつつランダム、すなわち方位依存性のない2次元分布が得られる。異なる複数の周期を含む形状を得る方法としては、周波数フィルタリングを施す際に2つの周波数帯域のバンドパスとなるようにする方法がある。または、周期P1の形状および周期P2の形状をそれぞれ用意し、これらの2つの形状を足し合わせることで得ることもできる。異なる周期のパワースペクトルを制御する場合、周期P1の凹凸形状および周期P2の凹凸形状をそれぞれ規格化し、係数をかけて足し合わせることで簡易に作成可能である。このように本実施形態において、凹凸形状(ランダム凹凸形状)は、乱数、または特定の形状がランダムに配置されることにより与えられるデジタルデータのランダム配列に対するフィルタリング関数のバンドパスフィルタ演算により形成することができる。
また、前述の処理は光学素子10の全体に対して行うことも可能であるが、凹凸形状の周期と光学素子10のサイズにより、用意すべき乱数データのサイズが大き過ぎる場合がある。そのような場合、特定の領域サイズの凹凸形状を繰り返し並べて敷き詰めるように配置してもよい。このとき、1つの繰り返し領域(単位領域)は周期P1に対して十分大きなサイズであることが好ましい。凹凸部2の凹凸形状は、周期P1の5倍以上の単位領域の繰り返しであることがより好ましい。上記のサイズにすることにより、周期P1のランダム性を十分に確保することができる。また、繰り返し領域の接続部が滑らかに接続されていることが好ましい。ここで、滑らかに接続されているとは、具体的には周期P2の1/10のサイズ内で凹凸形状の形状高さHの10%以上の段差が生じないことを意味する。接続が滑らかに行われないと、段差により設計にない周波数が生じるだけでなく、目視でも繰り返し構造が視認されて光学素子の品位を損なう場合がある。ランダムな凹凸形状において領域を滑らかに接続するには、例えば、予め用意したランダムデータ配列を単位領域の上下左右斜めの隣接部に繰り返し配置し、前述のフィルタリング処理を行った上で、元の単位領域を抽出する方法がある。フィルタリング処理の時点で乱数分布に繰り返し性を持たせておくことで、単位構造の境界を滑らかに接続することができる。境界の平滑化は上記方法以外でもよいが、凹凸形状を繰り返し配列して光学素子を形成する際は、境界面で滑らかに接続されていることが好ましい。
本実施形態の光学素子10の凹凸部2は、任意の材料で作成することができるが、例えばフォトリソグラフィやナノインプリントで作製されることが好ましい。また、凹凸部2の材質は限定されるものではなく、簡易さの観点からはフォトリソグラフィのフォトレジスト材料をそのまま用いることや、型を用い、熱やUVで硬化する材料を用いて成型法により作成する方法がある。反りや耐久性などの観点を重視する場合、無機材料であることが好ましい。用途に応じて最適な製法や構成を選択すればよく、前述の各製法は一例に過ぎず、本発明の効果を限定するものではない。
次に、本発明の実施例1における光学素子(ピント板)10について説明する。図1は、本実施例における光学素子10の斜視図である。図6は、光学素子10の上面図であり、±100μmの範囲を示している。図1に示されるように、光学素子10は、基板(透明基板)1と、基板1の上面に設けられた凹凸部(表面層)2とを備えて構成される。基板1の裏面には、フレネルレンズや反射防止膜など仕様に応じた構成が付与される(不図示)。凹凸部2は、15μmの周期P1(平均周期P1AV)と3.5μmの周期P2(平均周期P2AV)とが重ね合わされたランダム構造を有する。図7は、凹凸部2の形状高さ分布(ヒストグラム)である。図7において、横軸は形状高さ、縦軸は度数をそれぞれ示す。凹凸部2の最大高さと最小高さとの差(PV値)は1.6μmである。また、形状高さは正規分布的に分布しており、平均高さは0.8μmである。
図2および図3は、本実施例の凹凸部2の形状高さに対するパワースペクトルを空間周波数で示す。凹凸部2は、64(mm−1)と310(mm−1)にピークを有し、周期(平均周期P1AV、P2AV)に換算するとそれぞれP1AV=15.6(μm)、P2AV=3.23(μm)となる。それぞれのピークのパワースペクトルに対する、ピーク強度の25%以上の領域内での積分値をE1、E2とすると、E1は0.289、E2は0.337、合計0.626となり、これらの2つの成分でパワースペクトルの50%以上を占めていることがわかる。2つのピーク値および積分値の比は同程度である。すなわち凹凸部2は、2つの周期P1、P2それぞれの形状高さが略均等なランダム構造となっている。
図4は、本実施例の凹凸部2の光拡散特性である。本実施例の凹凸部2は、周期P1による低角度の回折と周期P2による高角度の回折とを重ね合わせた分布を有する。これにより、ファインダーに向かう光と測光センサに向かう光を適切に制御し、ピント板として良好な特性を得ることができる。
次に、本発明の実施例2における光学素子(ピント板)20について説明する。図8は、光学素子20の上面図であり、±100μmの範囲を示している。本実施例の光学素子20は、図1に示される実施例1の光学素子10と略同一の構成であるが、凹凸部2の2つの周期P1、P2の比率が実施例1とは異なる。凹凸部2の最大高さと最小高さとの差(PV値)は1.8μmである。また、凹凸部2の形状高さは正規分布的に分布しており、平均高さは0.9μmである。
図9および図10は、本実施例の凹凸部2の形状高さに対するパワースペクトルを空間周波数で示す。凹凸部2は、64(mm−1)と310(mm−1)にピークを有し、周期(平均周期P1AV、P2AV)に換算すると、それぞれP1AV=15.6(μm)、P2AV=3.23(μm)となる。それぞれのピークのパワースペクトルに対する、ピーク強度の25%以上の領域内での積分値をE1、E2とすると、E1は0.422、E2は0.222、合計0.644となり、これらの2つの成分でパワースペクトルの50%以上を占めていることがわかる。2つの積分値E1、E2の比E1:E2は約2:1である。すなわち凹凸部2は、周期P1に由来する形状高さが周期P2の形状高さに対して約2倍となるランダム構造となっている。本実施形態において、積分値E1、E2は、1.2≦E1/E2≦5.0を満足することが好ましい。
図11は、本実施例の凹凸部2の光拡散特性である。本実施例の凹凸部2は、周期P1による低角度の回折と周期P2による高角度の回折とを重ね合わせた分布を有する。本実施例では、周期P2の占める成分が低減したことにより、実施例1の分布に比べて周期P1に由来する低角度の拡散成分が強まり、周期P2に由来する角度の大きな成分が弱まっている。このように、所定の形状高さの範囲内で2つの周期の(形状高さの)比率を制御することにより、拡散光の強度分布を制御することができる。
次に、本発明の実施例3における撮像装置について説明する。図12は、撮像装置100の概略図である。図13は、撮像装置100のファインダー付近の光学系(観察光学系)の配置図である。
撮像装置100は、被写体からの光を撮像光学系(撮像レンズ)101、可動ミラー102を介して撮像センサ109と光学的に共役な位置に配置されたピント板103に結像させる。ピント板103は、接眼光学系105および測光/測色光学系107のそれぞれに適切に光を拡散させるために設けられている。ピント板103に結像した画像は、ペンタプリズム104で複数回反射した後、接眼光学系(接眼レンズ)105により撮影者の眼106に結像される。また一部の光は、測光/測色光学系107により測光/測色センサ108に導かれる。撮影条件を決定した後、被写体からの光は撮像センサ(撮像素子)109に結像され、画像が得られる。このように撮像センサ109は、撮像光学系101により形成された被写体の像を光電変換して画像データを出力する。撮像装置100において、前述の各実施例の光学素子10、20をピント板(焦点板)103として用いることにより、接眼光学系105および測光/測色光学系107のそれぞれに適切に光を拡散させる。その結果、被写体像を観察しやすく、かつ測光、測色に十分な光量が得られ、品位の高い画像を得ることができる。
各実施例によれば、複数の角度の拡散特性を制御して良好な光学特性を得ることが可能な光学素子、撮像装置、および、光学素子の製造方法を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1 基板
2 凹凸部(表面層)
10 光学素子

Claims (10)

  1. 基板と該基板の上に設けられた表面層とを有する光学素子であって、
    前記表面層は、少なくとも二つの周期P1、P2(μm)(P1>P2)の成分を含む凹凸形状を有し、
    前記凹凸形状の高さに対してフーリエ変換を行って得られたパワースペクトルは、空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれにおいて極大値を有し、
    前記空間周波数1/P1、1/P2のパワースペクトルの50%以上のパワースペクトルを示す空間周波数に対応する周期範囲をそれぞれΔP1、ΔP2、空間周波数1/(P1+ΔP1)〜1/(P1−ΔP1)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE1、空間周波数1/(P2+ΔP2)〜1/(P2−ΔP2)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE2、前記凹凸形状の前記高さをH(μm)とするとき、
    0.50≦E1+E2≦0.99
    0.5≦H≦3.0
    なる条件式を満足することを特徴とする光学素子。
  2. 前記凹凸形状は、前記少なくとも二つの周期P1、P2の成分を含むランダム凹凸形状であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記凹凸形状は、前記表面層の一辺が前記周期P1に対して5倍以上の単位領域を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 8.0≦P1≦18.0
    2.5≦P2≦6.0
    2.0≦P1/P2≦10.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 1.2≦E1/E2≦5.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 前記凹凸形状の前記高さの平均値をHAV(μm)とするとき、
    0.25≦HAV≦1.50
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子と、
    撮像光学系により形成された被写体の像を光電変換する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
  8. 前記光学素子はピント板であることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
  9. 基板の上に少なくとも二つの周期P1、P2(μm)(P1>P2)の成分を含む凹凸形状を有する表面層を形成するステップを有し、
    前記凹凸形状の高さに対するパワースペクトルは、空間周波数1/P1、1/P2のそれぞれにおいて極大値を有し、
    前記空間周波数1/P1、1/P2のパワースペクトルの50%以上のパワースペクトルを示す空間周波数に対応する周期範囲をそれぞれΔP1、ΔP2、空間周波数1/(P1+ΔP1)〜1/(P1−ΔP1)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE1、空間周波数1/(P2+ΔP2)〜1/(P2−ΔP2)の範囲内で規格化されたパワースペクトルの積分値をE2、前記凹凸形状の前記高さをH(μm)とするとき、
    0.50≦E1+E2≦0.99
    0.5≦H≦3.0
    なる条件式を満足することを特徴とする光学素子の製造方法。
  10. 前記表面層を形成するステップにおいて、乱数、または特定の形状がランダムに配置されることにより与えられるデジタルデータのランダム配列に対するフィルタリング関数のバンドパスフィルタ演算により、前記凹凸形状を形成することを特徴とする請求項9に記載の光学素子の製造方法。
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