以下、本発明に係る認証システム及び携帯端末プログラムをハンズフリーの入退室管理システムに適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は図面又は以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1は、本発明の一実施形態に係る入退室管理システム1の全体構成図である。
図1に示すように、入退室管理システム1は、携帯端末10、認証装置20、扉30、及び管理装置40を有する。扉30の表側の部屋Aと扉30の裏側の部屋Bとは隣接しており、扉30や壁によって分離される。部屋Aは公共エリア又は第1エリアと称することがあり、部屋Bはセキュリティエリア又は第2エリアと称することがある。
携帯端末10は、利用者(人やロボットなど)に携帯されて利用者とともに移動するスマートフォンなどの移動情報処理装置である。携帯端末10は、携帯端末10自身の動きの静止を検知し、認証装置20と無線通信を行うことができる。携帯端末10は、認証装置20から出力された判定音を集音して音圧レベル(判定音における周波数ごとの強度)を測定し、判定音を解析することができる。図1には、携帯端末10に関して、扉30の表側の部屋Aに存在する携帯端末10−1と、扉30の裏側の部屋Bに存在する携帯端末10−2と、が示されているが、携帯端末10の位置はこれに限定されない。認証装置20の周囲の一定の範囲内に位置する携帯端末10は、認証装置20と一定以上の信号強度で無線通信を行うことができる。
携帯端末10は、携帯端末10を携帯する利用者が静止したことを検知すると、携帯端末10、又は携帯端末10を携帯する利用者を一意に識別する識別情報を含むトリガ信号を認証装置20に無線で送信した後、所定期間周囲の音を集音する。携帯端末10は、集音した収集音の音圧レベルが一定以上であれば、識別情報を含む通行要求信号(認証要求信号)を認証装置20に無線で送信する。
認証装置20は、携帯端末10と無線通信を行い、判定音を出力し、携帯端末10の利用者の認証を行う情報処理装置である。認証装置20は、扉30の表側の一定の範囲内に一定の音圧レベル以上で届く第1判定音を、扉30の裏側の一定の範囲内に一定の音圧レベル以上で届く第2判定音を出力できる。しかし、これらの判定音は扉30をほとんど透過しないので、扉30の反対側へは当該一定の音圧レベルで届かない。また、認証装置20は、扉30の電気錠31の開閉を制御可能なように電気錠31と通信接続されている。さらに、認証装置20は、ローカル及び/又は広域ネットワーク90を介して管理装置40に接続される。
認証装置20は、携帯端末10からトリガ信号を無線で受信すると、所定のパターンの第1判定音を扉30の表側へ、他の所定のパターンの第2判定音を扉30の裏側へ出力する。
認証装置20は、携帯端末10から送信された音の解析結果が、認証装置20が出力した判定音と一致するか否かを判定する。判定音の判定結果に基づいて、認証装置20は、携帯端末10の利用者が部屋A及び部屋Bのどちらに存在するかを判定する。認証装置20は、携帯端末10から識別情報を含む通行要求信号を受信し、通行要求信号に含まれる識別情報が登録された利用者の正当なものであれば、携帯端末10の利用者が部屋Bへの入場が可能な正当な利用者であると判定する。音の解析結果が認証装置20が出力した判定音と一致し、かつ、携帯端末10の利用者が部屋Bへの入場が可能な正当な利用者である場合、認証装置20は、携帯端末10の利用者を部屋A又は部屋B内に存在する正当な利用者として認証する。
携帯端末10の利用者が認証された場合、認証装置20は、扉30の電気錠31に解錠信号を送信して解錠させることにより利用者の通行を物理的に許可する。利用者の通行を許可する場合、認証装置20は、通行を許可したことを携帯端末10に通知し、携帯端末10の利用者の部屋Bへの入場記録を広域ネットワーク90を介して管理装置40に送信する。
扉30は、部屋Aと部屋Bとの間に設置され、電気錠31を解錠又は施錠することによって部屋Aと部屋Bとの間の利用者の通行を物理的に規制する。扉30は、常時、電気錠31を施錠状態に保つことによって利用者による部屋Aと部屋Bとの間の通行を物理的に禁止し、認証装置20から解錠信号を受信すると、電気錠31を所定期間だけ解錠して利用者が扉30を通行することを許可する。なお、扉30の表側の部屋Aから裏側の部屋Bへ、又はその逆方向に届く音の音圧レベルは、音の透過性が電波に比べて低いため一定以上減少するが、この場合、部屋Aと部屋Bとの間で音が遮られると表現する。
管理装置40は、所定の建物全体における各利用者の各部屋への入退場記録を管理するサーバなどの情報処理装置である。管理装置40は、有線/無線通信のローカル及び/又は広域ネットワーク90を介して認証装置20とでデータを送受信できる。管理装置40は、認証装置20から利用者の部屋Bに関する入退場記録を受信して、受信した入退場記録に基づいて各部屋における利用者の入退場を管理する。
以上説明した様に、本発明の一実施形態に係る入退室管理システム1においては、携帯端末10の利用者が正当であると判定され、且つ、携帯端末10の集音した音が第1判定音又は第2判定音である場合に、携帯端末10の利用者は第1エリア又は第2エリアに存在する正当な利用者であると認証される。ここで、第1エリアと第2エリアに同じタイミングで同じ判定音を出力してしまうと、第1エリア又は第2エリアのどちらのエリアに対して出力された判定音を携帯端末が集音したのか不明なため、利用者が第1エリアにいるのか第2エリアにいるのかを判定することが困難である。また、判定音を双方のエリアに出力することもせず単に片方の第1エリアに対してのみ判定音を出力して、利用者が第1エリア又は第2エリアのどちらのエリアに存在するのかを認証しようとすると、第1エリアの扉30の遠方から判定音を集音したのか、それとも第2エリアの扉30の近傍から判定音を集音したのか不明なため、利用者が第1エリアにいるのか第2エリアにいるのかを判定することが困難である。上記入退室管理システム1によれば、認証対象となる利用者の位置を正確に判定することができる。
<第1実施形態>
図2は、本発明の一実施形態に係る携帯端末10の構成図の一例である。図2に示すように、携帯端末10は、無線通信部11、動き検出部12、集音部13、操作・表示部14、記憶部15、及び制御部16を有する。
<携帯端末10のハードウェア>
無線通信部11は、認証装置20と無線通信を行う無線通信インターフェイスである。無線通信部11は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、ZigBee(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)など、認証装置20の無線通信プロトコルに対応するプロトコルにより通信可能である。無線通信部11は、制御部16から受け取ったデータ又は信号を変換して電波に載せて認証装置20に送信し、認証装置20から受信した電波をデータ又は信号に変換して制御部16に渡す。また、無線通信部11は、受信した電波の電界強度に基づく信号強度を制御部16に渡す。
動き検出部12は、加速度センサやジャイロセンサなどを有し、携帯端末10の動きを検出するセンサである。動き検出部12は、検出した携帯端末10の動きに関する動き情報を制御部16に渡す。
集音部13は、可聴音を集音可能なマイクロホンを有し、携帯端末10の周囲の音を集音する。集音部13は、判定音を集音可能であり、マイクロホンに代えて、又はマイクロホンと共に、可聴音より高い音を集音する超音波検出器などを有してもよい。集音部13は、集音した音を制御部16に送る。
操作・表示部14は、タッチパッドと液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの画面とを組み合わせたタッチパネルなどを有する。操作・表示部14は、ボタン、キー、マイクなどを有してもよい。操作・表示部14は、利用者が携帯端末10に指示やデータを入力する操作部と、携帯端末10の動作状態や処理結果などを利用者に示す表示部と、を有するが、操作部と表示部とは別個の装置でもよい。操作・表示部14は、利用者が行った操作に関する情報を制御部16に渡し、制御部16から受け取ったデータを画面などに表示する。
記憶部15は、携帯端末10において実行されるコンピュータプログラムのコード及びデータを記憶する。例えば、記憶部15は、RAM、ROM、EPROMなどの半導体メモリを有する。記憶部15は、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置などの任意のタイプの記憶装置を有してもよい。
制御部16は、プロセッサ及び周辺回路を有し、当該プロセッサは、記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって携帯端末10が行う種々の動作を実現する。制御部16が実行するコンピュータプログラムは、記憶部15に予め記憶されてもよく、フラッシュメモリ、磁気記憶媒体、光学記憶媒体などのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、又は通信回線によって提供されて記憶部15に記憶されてもよい。記憶部15の少なくとも一部及び制御部16はマイクロコントローラで構成されてもよい。
記憶部15は、携帯端末識別情報151、及び集音判定音パターン情報152を記憶する。携帯端末識別情報151及び集音判定音パターン情報152は、携帯端末10の利用者又は入退室管理システム1の管理者によって設定され、記憶部15に予め記憶される。携帯端末識別情報151及び集音判定音パターン情報152は、任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は通信回線を介して提供されて、記憶部15に予め記憶されてもよい。
携帯端末識別情報151は、携帯端末10、又は携帯端末10を携帯する利用者を一意に識別する識別情報である。例えば、携帯端末識別情報151は、携帯端末10固有に付与されるシリアル番号もしくは識別番号、又は携帯端末10を携帯する利用者個人に付与される社員番号もしくは個人番号などの識別情報を含む。この識別情報は、トリガ信号及び通行要求信号によって認証装置20に送信され、認証装置20において携帯端末10を携帯する利用者の正当性を認証するために用いられる。
集音判定音パターン情報152は、認証装置20が出力する判定音のパターンを表す情報である。携帯端末10は、集音判定音パターン情報152を用いて、集音した収集音に判定音が含まれるか否かを判定できる。ここで、認証装置20が出力する判定音は特定の周波数を用いた合成音であり、集音判定音パターン情報152は、例えばこの合成音を解析して得られる周波数スペクトルである。本実施形態では、認証装置20が第1エリアに出力する第1判定音と第2エリアに出力する第2判定音には異なる合成音が用いられ、記憶部15は、第1判定音および第2判定音のそれぞれの判定音のパターンに対応する周波数スペクトルを集音判定音パターン情報152として記憶する。なお、判定音として特定のメロディを用いる場合は、そのメロディを表す一連の音符からなる判定音パターンを集音判定音パターン情報152とする。集音判定音パターン情報152は、判定音のパターンと、判定音のパターンを識別可能な判定音識別子との組を複数有してもよい。
制御部16は、静止検知手段161、トリガ送信手段162、集音手段163、音解析手段165、及び通行要求送信手段166(認証要求送信手段)を有する。これらの各手段は、記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムを制御部16が有するプロセッサ上で実行することによって実装される機能モジュールである。
<携帯端末10のソフトウェア>
静止検知手段161は、動き検出部12から携帯端末10の動きに関する動き情報を受け取り、受け取った動き情報に基づいて、携帯端末10を携帯する利用者が静止状態であるか、歩行状態であるかを検知する。例えば、静止検知手段161は、動き検出部12から受け取った携帯端末10の動き情報が、1秒などの所定の静止期間以上静止していることを示した場合、利用者の静止状態を検知して、トリガ送信手段162に通知する。それ以外の場合、静止検知手段161は、通行者が歩行中である歩行状態を検知する。静止検知手段161が携帯端末10の静止を検知する基準となる所定の静止期間は、利用者によって任意に変更されてもよい。
トリガ送信手段162は、記憶部15に記憶された携帯端末識別情報151の識別情報を読み出し、この識別情報を含むトリガ信号を生成して無線通信部11を介して認証装置20に無線送信する。
集音手段163は、集音部13を制御して、所定期間に音を集音する。集音手段163は、認証装置20が出力する判定音を集音可能である。
音解析手段165は、集音手段163によって集音された収集音を解析する。音解析手段165は、解析した収集音のパターンが集音判定音パターン情報152の有する判定音のパターンと一致するか否かを判定し、一致した判定音のパターンに対応する判定音識別子を解析結果として出力する。具体的には、音解析手段165は、集音部13によって集音されたアナログ音をデジタル音に変換してフーリエ変換により周波数ごとの強度を求めるスペクトル解析を行い、第1判定音および第2判定音に対応する周波数の強度を検出する。そして、第1判定音に対応する周波数の強度が所定の閾値以上であれば収集音に第1判定音が含まれると判定し、第1判定音を示す判定音識別子を解析結果として出力する。また、第2判定音に対応する周波数の強度が所定の閾値以上であれば収集音に第2判定音が含まれると判定し、第2判定音を示す判定音識別子を解析結果として出力する。なお、音解析手段165は、第1判定音および第2判定音の双方に対応する周波数で閾値以上の強度が検出された場合には、それぞれの強度を比較して高い強度の判定音のみが収集音に含まれているものと判定する。
音圧レベルの閾値は、扉30の周囲の所定の範囲内に位置する携帯端末10が、認証装置20からの判定音を集音可能な音圧レベルの値に基づいて予め定められる。音圧レベルの閾値は、携帯端末10が、認証装置20との間に扉30などの障害物がない状態で、認証装置20から集音した判定音の音圧レベルが取り得る最小値に基づいて定められてもよい。所定の範囲は、扉30からの距離が3m以下、より好ましくは1m以下である。
通行要求送信手段166は、記憶部15に記憶された携帯端末識別情報151の識別情報及び音解析手段165による解析結果を有する通行要求信号を生成して無線通信部11を介して認証装置20に無線送信する。
通行要求送信手段166は、通行要求信号では音解析手段165による解析結果を送信せず、通行要求信号とは異なる解析結果信号により音解析手段165による解析結果を認証装置20に無線送信してもよい。解析結果信号により解析結果を無線送信する場合、通行要求信号及び解析結果信号の少なくとも一方の信号は他方の信号を一意に識別可能な識別子を有し、認証装置20が双方の信号を関連付けて処理できるようにすることが好ましい。
図3は、本発明の一実施形態に係る認証装置20の構成図の一例である。図3に示すように、認証装置20は、無線通信部21、通信部22、音出力部23、電気錠I/F部24、記憶部25、及び制御部26を有する。
<認証装置20のハードウェア>
無線通信部21は、携帯端末10と無線通信を行う無線通信インターフェイスである。無線通信部21は、BLE、ZigBee、Wi−Fiなど、携帯端末10の無線通信プロトコルに対応するプロトコルにより通信可能である。無線通信部21は、制御部26から受け取ったデータ又は信号を変換して電波に載せて携帯端末10に送信し、携帯端末10から受信した電波をデータ又は信号に変換して制御部26に渡す。また、無線通信部21は、受信した電波の電界強度に基づく信号強度を制御部26に渡す。
通信部22は、認証装置20が接続されるローカルエリアネットワーク(Local Area Network;LAN)及び/又は広域ネットワーク90を介して管理装置40と通信を行う通信インターフェイスである。例えば、通信部22は、認証装置20が接続されるLANを介して有線/無線通信を行い、このLANが接続されるインターネットなどの広域ネットワークを介して管理装置40とデータの送受信を行うことができる。この場合、通信部22は、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))、WiFiなど、認証装置20が接続されるLANの有線/無線通信プロトコルにより通信可能である。認証装置20と管理装置40との間の通信は、互いにデータを送受信できればいかなる通信形態で行われてもよい。通信部22は、制御部26から受け取ったデータを管理装置40に送信し、管理装置40から受信したデータを制御部26に渡す。
音出力部23は、扉30の表側、即ち公共エリアと、扉30の裏側、即ちセキュリティエリアへ音を出力する。本実施形態では、音出力部23が認証装置20に組み込まれている例を示すが、認証装置20から分離して、扉30の前面や扉30周辺の壁に設置されてもよい。この場合、音出力部23は、認証装置20と有線/無線通信で通信可能である。
音出力部23は、第1音出力部231及び第2音出力部232を有する。第1音出力部231はスピーカを有し、扉30の表側、即ち公共エリアへ音を出力する。第2音出力部232はスピーカを有し、扉30の裏側、即ちセキュリティエリアへ音を出力する。スピーカは可聴音を出力可能である。第1音出力部231及び/又は第2音出力部232は、スピーカに代えて、又はスピーカと共に、可聴音より高い周波数の音を出力する超音波発生器などを有してもよい。
電気錠I/F部24は、扉30の電気錠31と有線/無線通信で接続され、電気錠31に解錠信号又は施錠信号を送信するインターフェイスである。
記憶部25は、認証装置20において実行されるコンピュータプログラムのコード及びデータを記憶する。例えば、記憶部25は、RAM、ROM、EPROMなどの半導体メモリを有することができる。また、記憶部25は、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置などの任意のタイプの記憶装置を有してもよい。
制御部26は、プロセッサ及び周辺回路を有し、当該プロセッサは、記憶部25に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって認証装置20が行う種々の動作を実現する。制御部26が実行するコンピュータプログラムは、記憶部25に予め記憶されてもよく、フラッシュメモリ、磁気記憶媒体、光学記憶媒体などのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、又は通信回線によって提供されて記憶部25に記憶されてもよい。記憶部25の少なくとも一部及び制御部26はマイクロコントローラで構成されてもよい。
記憶部25は、認証対象識別情報251、出力判定音パターン情報252、登録利用者情報253、及び入退場記録情報254を記憶する。出力判定音パターン情報252及び登録利用者情報253は、入退室管理システム1の管理者によって設定され、記憶部15に予め記憶される。出力判定音パターン情報252及び登録利用者情報253は、任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は通信回線を介して提供されて、記憶部25に記憶されてもよい。
認証対象識別情報251は、認証装置20が認証対象としている携帯端末10に関する情報を一時的に記憶したもので、携帯端末10から無線通信部21によって受信されたトリガ信号が有する識別情報を含む。
出力判定音パターン情報252は、第1音出力部231及び第2音出力部232が出力する判定音のパターンを有する情報である。出力判定音パターン情報252は、携帯端末10の集音判定音パターン情報152と同一の合成音、メロディなどのパターンを表す情報を有する。出力判定音パターン情報252は、判定音のパターン、判定音のパターンを識別可能な判定音識別子、及び当該判定音を出力するエリア、即ち公共エリア又はセキュリティエリア、の組を複数有してもよい。
登録利用者情報253は、セキュリティエリアへの入場を許可される正当な利用者に関する情報を予め登録したものである。登録利用者情報253は、携帯端末10の携帯端末識別情報151と対応して、正当な利用者の社員番号もしくは個人番号、又は、正当な利用者が所持する携帯端末10のシリアル番号もしくは識別番号などの識別情報を含む。
入退場記録情報254は、認証装置20によって公共エリアからセキュリティエリアへの通行が許可されて入場した利用者、及びセキュリティエリアから公共エリアに退場した利用者が、入場及び退場と対応付けて記録される情報である。
制御部26は、トリガ受信手段261、判定音出力手段262、通行要求受信手段263、判定音判定手段264、正当性照合手段265、存在認証手段266、通行許可手段267、位置判定手段268、通行方向判定手段269、及び入退場記録手段270を有する。これらの各手段は、記憶部25に記憶されたコンピュータプログラムを制御部26が有するプロセッサ上で実行することによって実装される機能モジュールである。
<認証装置20のソフトウェア>
トリガ受信手段261は、携帯端末10から無線通信部21を介してトリガ信号を受信する。受信したトリガ信号の強度が予め定められた閾値以上であれば、トリガ信号が有する識別情報を記憶部25に認証対象識別情報251として記憶させる。信号強度の閾値は、認証装置20が扉30の周囲の所定の範囲内に位置する携帯端末10から受信する無線信号の強度の値に基づいて設定される。所定の範囲は、携帯端末10と扉との距離が3m以下、より好ましくは1m以下の所定の範囲である。
判定音出力手段262は、トリガ受信手段261が閾値以上の強度のトリガ信号を受信すると、記憶部25に記憶された出力判定音パターン情報252で示されるパターンの判定音を、音出力部23によって所定期間出力する。判定音出力手段262は、公共エリアに第1判定音を出力する第1判定音出力手段2621と、第2エリアに第2判定音を出力する第2判定音出力手段2622とを有する。判定音出力手段262が出力する各判定音の音圧レベル及び方向は、扉30から所定の範囲内に位置する携帯端末10が、認証装置20からの判定音を予め定められた閾値以上の音圧レベルで集音できるように設定される。所定の範囲は、3m又は1m以下等である。なお、判定音出力手段262は、判定音を複数回出力してもよい。第1判定音出力手段2621と第2判定音出力手段2622とはそれぞれ異なるパターンの判定音を出力する。
通行要求受信手段263は、無線通信部21が携帯端末10から通行要求信号を受信したことを存在認証手段266に通知する。受信した通行要求信号の強度が閾値以上であり、携帯端末10の音解析手段165による解析結果を有する場合、通行要求受信手段263は、当該解析結果を通行要求信号から抽出する。解析結果が通行要求信号とは別に解析結果信号により送信される場合、通行要求受信手段263は、解析結果を解析結果信号から抽出し、抽出した解析結果を通行要求信号と関連付けて処理する。
判定音判定手段264は、携帯端末10の集音した収集音が認証装置20の出力したどの判定音であるかを、携帯端末10から送信された音解析手段165の解析結果に基づいて判定する。例えば、判定音判定手段264は、通行要求受信手段263により抽出された解析結果と出力判定音パターン情報252とを比較する。解析結果が判定音識別子であれば、判定音判定手段264は、解析結果を出力判定音パターン情報252の判定音識別子と比較する。比較した結果、解析結果が出力判定音パターン情報252の情報と一致する場合、その情報に対応する判定音識別子を判定結果とする。どちらの情報とも一致しない場合、判定音なしを判定結果とする。
正当性照合手段265は、通行要求信号に含まれる識別情報を記憶部25に記憶された登録利用者情報253の識別情報と照合して、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が許可される正当な利用者であるか否かを判定する。正当性照合手段265は、通行要求信号が有する識別情報が登録利用者情報253の識別情報と一致した場合、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が許可される正当な利用者であると判定する。
存在認証手段266は、正当性照合手段265により携帯端末10の利用者が正当であると判定され、集音手段163が集音した音が第1判定音である場合に、携帯端末10の利用者は公共エリアに存在するか正当な利用者であると判定する。存在認証手段266は、正当性照合手段265により携帯端末10の利用者が正当であると判定され、集音手段163が集音した音が第2判定音である場合に、携帯端末10の利用者はセキュリティエリアに存在するか正当な利用者であると判定する。その他の場合、存在認証手段266は、携帯端末10の利用者が公共エリア又はセキュリティエリア内に存在する正当な利用者ではないと判定する。
位置判定手段268は、判定音判定手段264の判定結果に基づいて、携帯端末10の利用者の位置が公共エリアかセキュリティエリアかを判定する。例えば、位置判定手段268は、出力判定音パターン情報252を参照して、判定音判定手段264の判定結果である判定音識別子と対応付けられたエリアが携帯端末10の利用者の位置であると判定する。
通行許可手段267は、存在認証手段266による認証結果に基づいて、扉30の電気錠31の解錠及び施錠の制御を行う。例えば、存在認証手段266が、携帯端末10の利用者は公共エリア内又はセキュリティエリア内に存在する正当な利用者であると認証した場合、通行許可手段267は、解錠信号を電気錠I/F部24を介して扉30の電気錠31に送信する。解錠信号を受信した電気錠31は、扉30の電気錠31を解錠するので、利用者の通行が物理的に許可される。存在認証手段266が、携帯端末10の利用者は公共エリア又はセキュリティエリアに存在する正当な利用者であると認証しなかった場合、通行許可手段267は解錠信号を電気錠31に送信しない。この場合、扉30の電気錠31は施錠されたままであり、利用者の通行は物理的に禁止される。
通行許可手段267は、通行を許可したことを携帯端末10が利用者に通知可能にするため、通行許可信号を無線通信部21を介して携帯端末10に送信してもよい。通行許可手段267は、音声やチャイムなどを音出力部23から出力して、通行を許可したことを携帯端末10の利用者に通知してもよい。
通行方向判定手段269は、公共エリア及びセキュリティエリアにおいて携帯端末10の利用者が通行した方向を判定する。通行方向判定手段269は、位置判定手段268が判定した携帯端末10の利用者の位置(例えば公共エリア)から、他の位置(例えばセキュリティエリア)に通行したと判定する。
入退場記録手段270は、トリガ信号又は通行要求信号の識別情報と、入場又は退場を示す入退場情報とを有する入退場記録情報254を生成し、記憶部25に記憶する。入退場記録手段270は、通行方向判定手段269が利用者の通行した方向を判定した結果に基づいて入場又は退場を判定する。通行方向判定手段269の判定結果が、公共エリアからセキュリティエリアへの通行であれば、携帯端末10の利用者はセキュリティエリアへ入場したと判定する。通行方向判定手段269の判定結果が、セキュリティエリアから公共エリアへの通行であれば、携帯端末10の利用者はセキュリティエリアから退場したと判定する。入退場記録手段270は、記憶した入退場記録情報254を通信部22を介して管理装置40に送信する。
図4は、本発明の一実施形態に係る入退室管理システム1における各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。以下、図4に示すシーケンス図を参照しつつ、本実施形態による入退室管理システム1の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のシーケンスは、各装置の記憶部に記憶され、各装置の制御部に読み込まれたプログラムに従って、各装置の制御部により実行される。
携帯端末10の静止検知手段161は、動き検出部12によって利用者の静止状態を検知する。利用者の静止状態を検知すると、トリガ送信手段162は、記憶部15から読み出した携帯端末識別情報151の識別情報(ID1)を含むトリガ信号を生成し、無線通信部11を介して認証装置20に送信する(S101)。
認証装置20のトリガ受信手段261は、携帯端末10から送信されたトリガ信号を無線通信部21を介して受信し(S102)、受信したトリガ信号の強度が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。受信したトリガ信号の強度が閾値以上である場合、トリガ受信手段261は、トリガ信号に含まれる識別情報(ID1)を認証対象識別情報251として記憶部25に記憶する。第1判定音出力手段2621及び第2判定音出力手段2622は、記憶部25の出力判定音パターン情報252で示されるパターンの判定音を、それぞれ第1音出力部231又は第2音出力部232から所定期間出力する(S103)。受信したトリガ信号の強度が閾値未満である場合、トリガ受信手段261は、トリガ信号に含まれる識別情報(ID1)を認証対象識別情報251として記憶部25に記憶せず、第1判定音出力手段2621及び第2判定音出力手段2622は判定音を出力しない。
携帯端末10の集音手段163は、トリガ送信手段162がトリガ信号を認証装置20に送信した後の所定期間(以下、第1所定期間と称する)に、集音部13によって音を集音する。以下、第1所定期間に集音した音を第1収集音と称する。音解析手段165は、第1収集音を測定し、解析する(S104)。
図5は、携帯端末10における音測定及び解析処理(図4のS104)の一例を示すフローチャートである。以下、図5に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態による携帯端末10の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、記憶部15に記憶され、制御部16に読み込まれたプログラムに従って、制御部16によって実行される。
最初に、音解析手段165は、集音手段163が集音部13によって集音した音の音圧レベルを測定する(S201)。音圧レベルが予め定められた閾値以上である場合(S202のY)、音解析手段165は、集音手段163が集音した音を解析する(S203)。解析した音のパターンが集音判定音パターン情報152の示すパターンと一致する場合(S204のY)、音解析手段165は解析結果を生成する(S205)。解析結果は、一致した判定音のパターンに対応する判定音識別子である。
集音部13によって集音された音の音圧レベルが閾値未満の場合(S202のN)、携帯端末10は、図4のS101で送信したトリガ信号に係る一連の処理を終了する(S206)。集音された音が集音判定音パターン情報152のパターンと一致しない場合(S204のN)も、携帯端末10は、図4のS101で送信したトリガ信号に係る一連の処理を終了する(S206)。以上により、図5の説明を終了する。
図4に戻って、通行要求送信手段166は、携帯端末識別情報151の識別情報(ID2)及び音解析手段165による第1収集音の解析結果を有する通行要求信号を生成し、無線通信部11を介して認証装置20に送信する(S105)。
認証装置20の通行要求受信手段263が所定期間内に通行要求信号を受信する(S106)と、位置判定手段268は、判定音判定手段264の判定結果に基づいて、通行要求送信時の携帯端末10の利用者の位置が公共エリアかセキュリティエリアかを判定する(S107)。S107における位置判定手段268の判定結果を、解錠前位置と称する。
存在認証手段266は、通行要求信号が有する識別情報及び第1収集音の解析結果に基づいて、通行要求信号を送信した携帯端末10の利用者を認証する(S108)。通行要求受信手段263が所定期間内に通行要求信号を受信しない場合、認証装置20は、図4のS102で受信したトリガ信号に係る一連の処理を終了する。
図6は、認証装置20の存在認証処理(図5のS108)の一例を示すフローチャートである。以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態による認証装置20の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、記憶部25に記憶され、制御部26に読み込まれたプログラムに従って、制御部26によって実行される。
最初に、判定音判定手段264は、携帯端末10の集音した音が認証装置20の出力したどの判定音であるかを判定する(S301)。判定結果が認証装置20の出力した判定音と一致する場合(S301のY)、存在認証手段266は、記憶部25に記憶されたトリガ信号に含まれる識別情報(ID1)が、受信した通行要求信号に含まれる識別情報(ID2)と一致するか否かを判定する(S302)。
ID1とID2とが一致する場合(S302のY)、正当性照合手段265は、通行要求信号の識別情報(ID2)と登録利用者情報253の識別情報とを照合し、通行要求信号を送信した携帯端末10の利用者の正当性を判定する(S303)。正当な利用者であると判定された場合(S303のY)、存在認証手段266は、携帯端末10の利用者を開錠前位置に存在する正当な利用者として認証する(S304)。すなわち、認証装置20は、トリガ信号に含まれる識別情報(ID1)と通行要求信号に含まれる識別情報(ID2)が一致し、且つ、携帯端末10の集音した音が第1音出力部231から出力された第1判定音である場合、携帯端末10の利用者を第1音出力部231が音を出力した公共エリアに存在する正当な利用者として認証し、または携帯端末10の集音した音が第2音出力部232から出力された第2判定音である場合、携帯端末10の利用者を第2音出力部232が音を出力したセキュリティエリアに存在する正当な利用者として認証する。S301〜S303のいずれかでNに該当する場合、存在認証手段266は、携帯端末10の利用者を開錠前位置に存在する正当な利用者として認証しない(S305)。以上により、図6の説明を終了する。
図4に戻って、認証装置20において、存在認証手段266が携帯端末10の利用者を認証した場合、通行許可手段267は、解錠を指示する解錠信号を電気錠I/F部24を介して扉30の電気錠31に送信する(S109)。認証装置20から解錠信号を受信した(S110)電気錠31は所定期間解錠され(S111)、携帯端末10の利用者が扉30を通行することを物理的に許可する。
存在認証手段266が携帯端末10の利用者を認証した場合、通行許可手段267は、通行許可信号を携帯端末10に送信して携帯端末10の利用者の通行を許可したことを通知する(S112)。通行許可信号を受信した携帯端末10は(S113)、通行が許可されたことを画面に表示する、チャイムや音声を出力する等によって、利用者に通行を促してもよい。通行許可手段267は、音声やチャイムなどを音出力部23から出力して、通行を許可したことを携帯端末10の利用者に通知してもよい。
通行許可手段267が携帯端末10の利用者の通行を許可すると、解錠前位置に基づいて、通行方向判定手段269は、携帯端末10の利用者の通行方向を判定する(S114)。即ち、通行方向判定手段269は、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアに入場したか、セキュリティエリアから退場したかを判定する。
通行方向判定手段269による判定の後に、入退場記録手段270は、通行要求信号の識別情報と、携帯端末10の利用者のセキュリティエリアへの入退場情報とを入退場記録情報254として記憶部25に記憶する。入退場記録手段270は、記憶した入退場記録情報254を通信部22を介して管理装置40に送信する(S115)。管理装置40は、入退場記録情報254を受信し(S116)、利用者の入退場を管理する。
以上説明した本発明に係る入退室管理システム1によれば、認証装置20は、携帯端末10によるトリガ送信に応じて公共エリアとセキュリティエリアとに異なる判定音を出力し、携帯端末10による音の解析結果に基づいて携帯端末の存在する位置を判定する。このため、認証装置20は、携帯端末10の存在する位置に応じて、携帯端末10の利用者が公共エリアとセキュリティエリアとの間を通行できるか否かを決定できる。
また、認証装置20は、携帯端末10から最初に受信したトリガ信号に含まれる識別情報と、その後に受信した通行要求信号に含まれる識別情報とが一致しなければ、携帯端末10の利用者を認証対象としない。これにより、トリガ信号を送信した携帯端末10と通行要求信号を送信した携帯端末10とが同一である場合のみ認証を行うので、認証の精度をさらに向上させ、入退室管理システム1の安全性をさらに向上させることができる。
<第1変形例>
図7〜図10を用いて、第1変形例について説明する。第1変形例では、携帯端末の利用者の通行方向の判定の精度を上げるため、認証装置は扉30が解錠された後に更に判定音を出力し、携帯端末は扉30が解錠された後に音を集音する。扉30が解錠された後の所定期間(以下、第2所定期間と称する)に携帯端末が集音した音を、第2収集音と称する。認証装置は、更に出力した判定音のうちどの判定音が第2収集音に含まれるかに基づいて解錠後の携帯端末の位置を判定し、扉30の解錠前の位置と解錠後の位置とに基づいて携帯端末の利用者の通行方向を判定する。第1変形例において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
図7は、第1変形例に係る携帯端末10´の構成図の一例である。携帯端末10´は、制御部16に通行確認信号送信手段167を更に有する点を除き、携帯端末10と同一である。
通行確認信号送信手段167は、通行要求信号に代えて、携帯端末10´又は携帯端末10´を携帯する利用者の識別情報(ID3)に含まれる通行確認信号を生成し送信する点を除き、通行要求送信手段166と同一の処理を行う。
図8は、第1変形例に係る認証装置20´の構成図の一例である。認証装置20´は、制御部26の判定音出力手段262に第3判定音出力手段2623及び第4判定音出力手段2624を更に有し、通行方向判定手段269が通行方向判定手段269´に置き換わる点を除き、認証装置20と同一である。
第3判定音出力手段2623は、公共エリアに第3判定音を出力する。第4判定音出力手段2624は、セキュリティエリアに第4判定音を出力する。第3判定音は第1判定音と同じ音でもよく、第4判定音は第2判定音と同じ音でもよい。第3判定音及び第4判定音の判定音のパターン、判定音識別子、判定音を出力するエリアの情報は、第1判定音及び第2判定音と同様に、出力判定音パターン情報252が有する。
図9は、第1変形例に係る入退室管理システム1´における各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。以下、図9に示すシーケンス図を参照しつつ、第1変形例による入退室管理システム1´の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のシーケンスは、各装置の記憶部に記憶され、各装置の制御部に読み込まれたプログラムに従って、各装置の制御部により実行される。また、図4に示す各装置の動作シーケンスのS101〜S113の処理は、第1変形例に係る入退室管理システム1´における各装置の動作シーケンスと同一であるため、同一の部分については一部を除いて図9への記載及び説明を省略する。
認証装置20´の通行許可手段267が解錠信号を扉30の電気錠31に送信してから(S109)所定時間が経過した後に、判定音出力手段は第2回目の判定音を出力する(S121)。例えば、第3判定音出力手段2623は公共エリアに第3判定音を出力し、第4判定音出力手段2624はセキュリティエリアに第4判定音を出力する。
携帯端末10´は、通行許可信号を受信した(S113)後、電気錠31が解錠された後の第2所定期間に集音手段163により集音された第2収集音を測定し、集音した第2収集音の解析を行う(S122)。この処理は、対象が第2収集音である点、及び図5のS206で一連の処理の終了を行わない点を除いて、図5に記載の処理、即ち図4のS104の処理と同一である。以下、第2収集音の解析結果を第2収集音解析結果と称する。
携帯端末10´の通行確認信号送信手段167は、携帯端末識別情報151の識別情報及び第2収集音解析結果を有する通行確認信号を生成し、無線通信部11を介して認証装置20に送信する(S123)。
認証装置20´は、第2回目の判定音を出力してから所定期間が経過すると、当該所定期間内に通行確認信号を受信した(S124)か否かに関わらず、携帯端末10´の利用者の通行方向を判定する(S125)。
図10は、認証装置20´における通行方向判定処理(図9のS125)の一例を示すフローチャートである。以下、図10に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態による認証装置20´の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、記憶部25に記憶され、制御部26に読み込まれたプログラムに従って、制御部26により実行される。
最初に、認証装置20´が所定期間内に通行確認信号を受信しなかった場合(S501のN)、通行方向判定手段269´は、携帯端末10´の利用者は他のエリアに通行せず、扉30の周辺から立ち去ったと判定する(S502)。通行確認信号を受信し(S501のY)、通行要求信号に含まれる識別情報(ID2)と通行確認信号に含まれる識別情報(ID3)とが一致しない場合(S503のN)も、通行方向判定手段269´は、利用者は扉30の周辺から立ち去ったと判定する(S502)。
ID2とID3とが一致する場合(S503のY)、判定音判定手段264は、通行確認信号の有する第2収集音解析結果に基づいて、携帯端末10´の集音した音が認証装置20´の出力したどの判定音であるかを判定する(S504)。判定音判定手段264の判定結果、即ち第2収集音解析結果に基づく判定結果に基づいて、位置判定手段268は、携帯端末10´の利用者の位置が公共エリアかセキュリティエリアかを判定する(S505)。以下、S505における位置判定手段268の判定結果を、解錠後位置と称する。
通行方向判定手段269´は、図9のS107で判定した解錠前位置、及び解錠後位置に基づいて、携帯端末10´の利用者が通行した方向を判定する。例えば、通行方向判定手段269´は、解錠前位置と解錠後位置とが同一であるか否かを判定する(S506)。解錠前位置と解錠後位置とが同一である場合、通行方向判定手段269は、携帯端末10´の利用者は他のエリアに通行せず、扉30の近辺に滞留していると判定する(S507)。解錠前位置と解錠後位置とが異なる場合、通行方向判定手段269は、携帯端末10´の利用者は解錠前位置のエリアから解錠後位置のエリアへ通行したと判定する(S508)。以上により、図10の説明を終了する。
図9に戻って、通行方向判定手段269´による判定の後に、入退場記録手段270は、通行要求信号の識別情報と、携帯端末10´の利用者のセキュリティエリアへの入退場情報とを入退場記録情報254として記憶部25に記憶する。入退場記録手段270は、記憶した入退場記録情報254を通信部22を介して管理装置40に送信する(S126)。管理装置40は、入退場記録情報254を受信し(S127)、利用者の入退場を管理する。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、通行許可手段267は、携帯端末10の利用者が公共エリア及びセキュリティエリアのどちらに存在するかに関わらず、正当性照合手段265が正当な利用者であると判定すると扉30の電気錠31を解錠する例について説明した。通行許可手段267は、携帯端末10の利用者が存在するエリアによって、扉30の電気錠31を開錠するか否かを変更してもよい。例えば、携帯端末10の利用者が公共エリアに存在する場合は扉30の電気錠31を解錠するが、セキュリティエリアに存在する場合は扉30の電気錠31を解錠しなくてもよい。これにより、携帯端末10の利用者の位置に応じた通行許可を実現することができる。
上記実施形態では、認証装置が1台の場合について説明したが、公共エリア側に1つ、セキュリティエリア側に1つの様に複数の認証装置を有してもよい。この場合、一方の認証装置が第1音出力部を有し、他方の認証装置が第2音出力部を有し、複数の認証装置が連携して認証を実行してもよい。
上記実施形態では、認証装置の音出力部23は、音を出力するエリア別に第1音出力部231及び第2音出力部232を有しているが、1つの音出力部で音出力の指向性を変更することにより、エリア別の音出力を実現してもよい。
上記実施形態では、携帯端末10が、測定した判定音の音圧レベルが閾値以上であるか否かを判定して、この判定結果に基づいて通行要求信号を送信することにより携帯端末10の利用者を認証対象とするか否かが決定された。判定音の音圧レベルの判定は携帯端末10が行わなくてもよく、例えば、携帯端末10は、判定音の音圧レベルの測定のみを行い、音圧レベルの測定結果及び携帯端末識別情報151の識別情報を含む通行要求信号を認証装置20へ送信してもよい。認証装置20は、携帯端末10から受信した通行要求信号が有する音圧レベルの測定結果が、予め定められた音圧レベルの閾値以上か否かを判定し、存在認証手段266の認証条件に音圧レベルの測定結果が閾値以上であることを追加してもよい。また、上記実施形態に、存在認証手段266の認証条件に音圧レベルの測定結果が閾値以上であることを追加する場合、通行要求信号又は判定音識別子は携帯端末10が集音した判定音の音圧レベルが閾値以上であると解析された場合に送信されるため、通行要求受信手段263による通行要求信号又は判定音識別子の受信を、携帯端末10が集音した判定音の音圧レベルが閾値以上であったことを意味する測定結果として取得したと判定してもよい。
上記実施形態の図4の動作シーケンスにおいては、携帯端末10の音解析手段165による解析結果が判定音識別子である場合について説明したが、音解析手段165による解析結果は周波数スペクトルであってもよい。この場合、図5の処理において、S204の音のパターンの一致は判定せず、S205で生成する解析結果は判定音識別子に代えて周波数スペクトルを有する。認証装置20は、携帯端末10から受信した周波数スペクトルに、音圧レベルが閾値以上の第1判定音又は第2判定音が含まれているか判定し、その判定結果を解析結果として取得する。これにより、携帯端末は判定音の種類に関する情報を記憶しなくてよいため、判定音の追加及び変更の際に携帯端末の変更が不要となる。
また、判定音が特定のメロディを表す一連の音符によるパターンである場合、音解析手段165は解析の結果から、収集音の所定時間の周波数変化が、集音判定音パターン情報152の有する判定音のパターンと一致するか否かを判定してもよい。
また例えば、携帯端末10は、第1判定音及び第2判定音の音圧レベルが閾値以上であるか否かを判定し、第1判定音及び第2判定音の音圧レベルが閾値以上である場合に、それぞれ第1肯定測定結果及び第2肯定測定結果を認証装置20に無線送信する肯定測定結果送信手段をさらに有し、判定音判定手段264は、肯定測定結果送信手段からの第1肯定測定結果の受信を携帯端末10が音圧レベル閾値以上の第1判定音を集音したという判定結果として取得し、また肯定測定結果送信手段からの第2の肯定測定結果の受信を携帯端末10が音圧レベル閾値以上の第2判定音を集音したという判定結果として取得してもよい。また、携帯端末10は、第1判定音及び第2判定音の音圧レベルを認証装置に無線送信する音圧レベル送信手段をさらに有し、判定音判定手段264は、第1判定音及び第2判定音の音圧レベルが閾値以上であるか否かを判定し、第1判定音及び第2判定音の音圧レベルが閾値以上であると判定されると、この判定結果をそれぞれ第1肯定測定結果及び第2肯定測定結果として取得してもよい。
上記実施形態では、認証装置20は、携帯端末10からトリガ信号を受信した際に記憶した識別情報と通行要求信号を受信した際に有される識別情報とが一致するか否かを判定したが、この判定を行わなくてもよい。例えば、認証装置20は、トリガ信号又は通行要求信号のいずれかに含まれる識別情報が、登録された識別情報と一致するか否かを判定して通行を許可してもよい。例えば、認証装置20は、トリガ信号を受信した際は判定音の出力のみを行い、通行要求信号を受信した際の識別情報が登録された識別情報と一致し、かつ音圧レベルが閾値以上である場合、通行を許可する。この場合、トリガ信号及び通行要求信号のいずれかに識別情報が含まれていればよい。
上記実施形態では、認証装置20は、記憶部25に記憶されたパターンの判定音を出力したが、携帯端末10ごとに異なるパターンの判定音を出力してもよい。この場合、認証装置は、携帯端末10の識別情報ごとに出力する判定音のパターンを記憶部25が予め記憶し、受信したトリガ信号の識別情報に対応して判定音のパターンを記憶部25から読み出し、読み出したパターンの判定音を出力してもよい。携帯端末10は、集音した音のパターンが記憶部15に記憶された自体に固有の判定音のパターンであることを確認し、確認した判定音の音圧レベルを測定した結果に基づいて通行要求信号を認証装置20に送信してもよい。この場合、認証装置20は、トリガ信号の識別情報と通行要求信号の識別情報との一致を判定しなくてもよく、トリガ信号及び通行要求信号の一方のみに識別情報が含まれていればよい。
上記実施形態では、携帯端末10が利用者の静止状態を検知したときトリガ信号を認証装置20に送信したが、トリガ信号が送信される条件はこれに限定されない。例えば、携帯端末10は、利用者から液晶パネルの電気錠解除やアプリのタップなどの操作を受けたとき、又は認証装置20が一定間隔で送信する所定の無線信号を受信したときに、トリガ信号を認証装置20に送信してもよい。携帯端末10は、認証装置20への操作に応じて認証装置20が送信した所定の無線信号を受信したとき、又は認証装置20への操作に応じて認証装置20が出力した所定の判定音を携帯端末10が集音したときに、トリガ信号を認証装置20に送信してもよい。
上記実施形態では、公共エリアとセキュリティエリアとの間には、電気錠31を有する扉30が設置されたが、扉30でなくてもよい。例えば、壁などで物理的に隔てられた2つのエリアに対して、判定音及び無線信号を上記実施形態と同様に用いて、2つのエリアのうちのどちら側に携帯端末10の利用者が存在するかを判別して認証してもよい。これにより、複数のエリアを有する建物の随所に認証装置20を設置して、どの携帯端末10の利用者がどのエリアに存在するかを判定することにより、各利用者の位置を把握できる。判定音の指向性及び出力方向などにより、相互のエリア間で届く判定音の音圧レベルが一定以上減少する場合、エリア間に壁などを設置しなくてもよい。
上記実施形態の図9の動作シーケンスにおいては、第2回目の判定音を出力するさい、第3判定音出力手段2623は公共エリアに第3判定音を出力し、第4判定音出力手段2624はセキュリティエリアに第4判定音を出力する場合について説明したが、携帯端末10が集音した第1回目の判定音の解析結果に基づき、片方の判定音出力手段でのみ第2回目の判定音を出力しても良い。例えば、第1回目の判定音の解析結果により公共エリアに正当な利用者が存在すると判定された場合、第2回目の判定音は、セキュリティエリアのみに出力してもよい。これにより、第2回目の判定音では、扉の両側に設置された判定音出力手段の双方にて判定音を出力することなく、利用者が通行したか否かを判定できる。