JP2019119875A - 農業環境調和材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】担持体表面での発酵物の形成を確保し、担持体と発酵物との分離を抑制することができる農業環境調和材を提供すること。【解決手段】多孔質の担持体と、担持体の表面に、土壌微生物、培養材、及びミネラル粒子が凝集して堆積した凝集堆積層と、を有し、凝集堆積層は発酵物となっている農業環境調和材。【選択図】図13

Description

本発明は、微生物の農業環境への定着性を高め、拮抗作用・自己防御作用とミネラル成分の定常補給作用と土壌改良作用と発酵作用を高効率的に発揮する農業環境調和材とその製造方法に関する。
循環型の農業生産を実現するために健全な農業環境を維持することは作物の安心安全安定生産にとって極めて重要であるが、近年、農薬と化成肥料の投入によって農地の生産性は飛躍的に増大した反面、農産物の一元集荷、加工により作物の収穫物残渣が農地に還元されなくなり、農地における有機物の物質循環が閉塞し、その結果として、地力の減退が問題となっている。失われた地力を補うためには有機物を堆肥などのかたちで施用することが望ましいとされているが、堆肥の発生地である酪農地帯と堆肥が欲しい畑作地帯とが地理的に隔絶され、堆肥自体の取扱性の不都合により、流通およびコストの面から堆肥の移動が制限されてきた。
農薬が土壌生態系を破壊し良い農地が減少している。その原因として、ここ数年の天候不順や酸性雨など地球規模の環境問題が盛んに論議されているが、案外見逃されているのが土壌環境の悪化である。人類が生活していく上で、不可欠な食糧を生み出してくれる土地は、農薬と化学肥料の大量使用によって土の中にすむ微生物の機能が少しずつ弱くなり自力で更正できないほど衰えている。
従って、農薬と化学肥料の過度の利用により微生物が係っている物質循環のバランスが崩れかけているので、農薬と化学肥料に依存しないオーガニック農業の取り組みの中で農業環境を壊す害虫や植物病害菌に対する拮抗微生物担持体が提案されている。非特許文献1によれば、微生物担持体とは、微生物がすみかとして利用できる構造物で、表面に微生物を保持することのできるキャリアーであり、微生物資材とも呼ばれる。土壌改良の場合、有用菌を直接土壌に投入しても、もともと土壌に生息している土壌微生物が非常に多いために、有用菌は機能する前に死滅してしまう。しかし、微生物担持体に有用菌を保持した後に土壌に投入すると、効率的に機能を発揮することが知られ、菌類による病害などに対する拮抗微生物である乳酸菌などを担持体に保持して利用する病害防除が報告されている。土壌に使用される微生物担持体としては、モンモリナイト、カオリナイト、ベントナイトなどの粘土鉱物、バーミキュライト、ゼオライト等の多孔質鉱物、木炭、カニ殻、菌核などが知られている。
また、特許文献1では、複合微生物資材は、微生物を担持体に担持させることによって製造され、このような目的に用いる担持体としては、炭、活性炭、軽石、ひる石、貝化石、米糠、コーヒーかす、石膏、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、大谷石、石灰石、バーミキュライトなどが挙げられる。これらのうち、炭、軽石、ひる石、貝化石、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、バーミキュライトなどの多孔性物質が好ましく、炭、活性炭および(焼成)ケイソウ土が特に好ましい。炭としては、木材を炭化させたもの、あるいは、樹皮、オガクズ、ヤシ殻、バーク、モミ殻などを炭化させたものであってよく、粉末状のものが開示されている。
更に、特許文献1では、複合微生物資材は、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌と粘性物質を生産する微生物を個々に培養および製剤化し、その後に混合および複合化してよく、また、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌と粘性物質を生産する微生物を同時に培養および製剤化、もしくは、複合微生物資材は、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および粘性物質を生産する微生物またはそれらの培養物を担体に含有させることが開示されている。更に、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌は、ストレプトミセス属、スポリキタヤ属およびストレプトバーティシリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの微生物であることが開示されている。
特許文献2では、耐熱性と保存性に優れた土壌菌であるバチルスコーアグランス或いはバチルスサーアクランスのいずれか一方又は両方の菌体を炭化物に担持させた土壌菌担持炭化物であり、これによって効果的な土壌改良効果と発酵処理効果を期待して、畜産・農業・漁業・食品系廃棄物リサイクル用及び工業用を含む環境浄化用微生物資材へ用途適用可能な土壌菌担持炭化物を目指していて。実施例において、バチルスコーアグランス或いはバチルスサーアクランスのいずれか一方又は両方の菌体の培養では培地を使用した。そして37℃×2日間の振蕩培養を行い、芽胞形成を顕微鏡で確認して種菌とした。炭化処理を行った製紙スラッジの炭化物を土壌菌支持体として利用したことが開示されている。
また、特許文献3では、土壌微生物が増殖した培養材を炭化処理物である支持体に担持していて、その土壌微生物が拮抗微生物である放線菌と糸状菌であり、その培養材がキチン系物質の粉と腐植土であり、土壌微生物がキチン系物質の粉としてカニ殻やエビ殻やキトサンの中から1種以上から構成される培養材を分解し増殖する際にキチナーゼまたはグルカナーゼを生成して増殖している。その支持体はセルロース繊維および平均粒子径が0.1〜10μmの填料であるカルサイトとカオリンとタルクとチタニアの1種以上の粉末及び鉄系無機凝集剤を含む製紙スラッジと肥料ミネラル鉱物粉末から構成される配合物の600℃〜950℃の炭化処理物であり、その直径が2mmから4mm、長さが10mm以下のペレットで、その炭化処理物の中に直径が1μmから30μm、長さが10mm以下、含有量が10重量%以上から30重量%以下の製紙スラッジ由来の炭素質ファイバーによって絡まった構造体を形成し、その合間に平均粒子径0.1〜10μmの填料由来の粒子が仮焼結状態で存在し、炭化処理物の気孔率が50〜86%であることが開示されている。
特開2003−277212号公報 特開2002−360244号公報 特開2017−25271号公報
野々山弥、東京工業大学学位論文、甲第8025号、森林土壌中の菌核における微生物相の解析と微生物担持体としての有効性評価に関する研究
しかしながら、上記先行技術を採用して、担持体の表面に発酵物を担持させた農業環境調和材を得る場合にも、担持体から発酵物が分離してしまうことがある。そうすると、農業環境調和材を土壌に鋤き込んでも、土壌の中に発酵物を充分に留まらせることが困難となる。つまり、土壌微生物が増殖した発酵物とそれがない担持体が資材の中に存在することによって、効果が出るところが斑になるなどの課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、担持体表面での発酵物の形成を確保し、担持体と発酵物との分離を抑制することができる農業環境調和材及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、多孔質の担持体と、
該担持体の表面に、土壌微生物、培養材、及びミネラル粒子が凝集して堆積した凝集堆積層と、を有し、
該凝集堆積層は発酵物となっていることを特徴とする農業環境調和材にある。
本発明の他の態様は、上記農業環境調和材を製造する方法であって、
上記担持体、上記土壌微生物の種菌、培養材、及びミネラル粒子を、水と共に混合して混合物を得、
上記混合物を発酵させて、発酵した上記凝集堆積層を上記担持体の表面に形成することを特徴とする、農業環境調和材の製造方法にある。
上記農業環境調和材は、上記担持体の表面に、上記土壌微生物、培養材、及びミネラル粒子が凝集して堆積し、発酵物となった凝集堆積層を有する。これにより、発酵物が強固に、担持体の表面に担持されることとなる。それゆえ、担持体と発酵物との分離を抑制することができる。
上記農業環境調和材の製造方法によれば、容易に、担持体と発酵物との分離を抑制できる農業環境調和材を得ることができる。
以上のように、上記態様によれば、担持体表面での発酵物の形成を確保し、担持体と発酵物との分離を抑制することができる農業環境調和材及びその製造方法を提供することができる。
実験1における、担持体の粉末X線回折測定結果を示す線図。 実験1における、担持体の外観写真と破砕面のFESEM写真。 実験2における、比較例1及び比較例4の発酵物の発酵状態のFESEM写真。 実験3と実験4における、100kg傾胴型ミキサー機と、実験5における、4tコンクリートミキサー車の写真。 実験4における、農業環境調和材の製造フローチャート。 実験4における、実施例1及び実施例2の発酵に伴う時間的温度変化を示す線図。 実験4における、実施例3及び実施例4の発酵に伴う時間的温度変化を示す線図。 実験4における、実施例5及び実施例6の発酵に伴う時間的温度変化を示す線図。 実験4における、実施例4の発酵物の外観写真。 実験2の比較例4(A)、及び実験4の実施例4(B)における、発酵物の外観写真。 実験4における、実施例4の発酵物表面のFESEM写真。 実験5における、実施例11の凝集堆積前後の外観写真。 実験5における、凝集堆積層を担持体表面に形成・発酵した発酵物の模式図。 実験6における、発酵物の害虫への拮抗性の効果を示す写真。 実験7の実施例15における、発酵物の表面と断面のFESEM写真。 実験8の実施例17における、担持体の表面に凝集堆積層が形成された状態を示す写真。 実験8の実施例19における、担持体の表面に凝集堆積層が形成された状態を示す写真。 実験9の実施例20における、担持体の表面に凝集堆積層が形成された状態を示す写真。 実験10の実施例15における、発酵物の害虫への拮抗性の効果を示す写真。
ある観点においては、次の3つの課題を挙げることができる。1つ目として、微生物の増殖に必要な栄養源を含有する固体培地には、炭素源(エネルギー源)、窒素源、ミネラル源、ビタミン類などがあり、これらの固体培地組成は培養対象とする生物種やその培養目的によって設計されるが、非特許文献1及び特許文献1ではこの栄養源の観点が不足している。粘土鉱物や多孔質鉱物には表面に凹凸があっても栄養物が無いため、微生物の増殖が進まない。特に、木炭の破断面は栄養物がなく、かつ撥水性のため微生物の定着が低い。
2つ目として、固体培地以外に細胞の増殖に影響を及ぼす因子として、温度、水分、酸素濃度、pH、酸化還元電位、浸透圧などがあるが、特許文献2と特許文献3に開示されている多孔質の担持体の空隙率が80%とすると、担持体の重量と同程度の吸水があって、発酵するための水分不足が発生するにも関わらず水分の記載がない。
3つ目として、特許文献1と特許文献2と特許文献3において、微生物と固体培地を担持体に担持したことが開示されているが、微生物/固体培地/担持体との構造検討が不足していた。微生物が担持体の上で確実に増殖できるか不確かであるので、発酵部分と担持体とが分離してしまう恐れがあった。農業環境調和材を土壌に鋤き込む場合、土壌微生物の担持されていない担持体が多量に含まれることになる。
循環型の農業生産を実現するために農業環境を健全に維持することは、美味作物の安心安全安定生産のため重要であるが、従来の微生物資材では農業環境を壊す害虫や植物病害菌に対する拮抗性の効果は不均一であった。その原因の1つとして、微生物/固体培地/担持体との構造と含水率の検討が不足していた。微生物が担持体の上で確実に増殖できるか不確かであるので、発酵部分と担持体とが分離してしまう恐れがあった。
微生物の農業環境への定着性を高め、拮抗作用・自己防御作用とミネラル成分の定常補給作用と土壌改良作用と発酵作用を高効率的に発揮させるため、例えば、微生物担持体は鉱物粒子と植物セルロース由来のファイバーから構成される成形体とすることができる。農業環境調和材は、土壌微生物と培養材とミネラル粒子から成る凝集堆積層を担持体表面に形成・発酵した発酵物とすることができる。すなわち、(微生物、固体培地)/担持体の構造として、凝集堆積層/担持体の構造を提案した。
大気・土壌・微生物・植物・動物における農業環境に農業環境調和材を投入して健全な状態を構築し、限られた資源である物質を永続的に循環させる農業生産を実現することが出来る。
また、上記凝集堆積層は、さらに結合材を含有することが好ましい。この場合には、凝集堆積層をより強固に担持体に担持させることができる。
また、上記凝集堆積層は、厚みが0.1mm以上であるものとすることができる。この場合にも、凝集堆積層をより強固に担持体に担持させることができる。
また、上記凝集堆積層は、上記担持体の表面の5%以上を被覆しているものとすることができる。この場合には、充分な量の土壌微生物を担持体に担持させることができる。なお、上記凝集堆積層は、上記担持体の表面の10%以上を被覆していることが、さらに好ましい。担持体の表面の被覆が5%未満では、場合によっては、発酵物を取り扱う過程で、凝集堆積層が剥離しやすくなることが懸念される。
また、上記土壌微生物は、放線菌、糸状菌、乳酸菌、バチルス属細菌、光合成細菌、及び酵母の中から選ばれる1つ以上の菌を含むものとすることができる。この場合には、有機物の発酵の促進や、有害な菌や虫などの増殖を効果的に抑制できる。
また、上記糸状菌は、VA菌根菌、アスペルギルス属真菌、及びトリコデルマ属真菌の中から選ばれる一つ以上の糸状菌であるものとすることができる。この場合には、植物の活性化や、農業害虫及び線虫等の防除が一層期待できる。
また、上記農業環境調和材は、含水率が20重量%以下であるものとすることができる。この場合には、農業環境調和材の微生物による発酵の進行を途中で止めやすい。これにより、発酵途中の農業環境調和材を農地等へ供給しやすくなり、農地等での土壌微生物の増殖を促すことができる。なお、含水率は、対象物(例えば、農業環境調和材)を120℃で30分間乾燥させ、乾燥前後の重量を測定することで求めることができる。乾燥前後の重量の差を、対象物に含まれていた水分量と考え、乾燥前の重量に対する当該水分量の割合を、「含水率」として算出することができる。
また、農業環境調和材は、顆粒状であって、各顆粒は、短軸方向の平均直径が0.3〜5mm、長軸方向の平均長さが0.5〜10mmであるものとすることができる。この場合には、農業環境調和材が上記の寸法を有する顆粒状であることにより、一定重量当たりの農業環境調和材の表面積が広くなり、農地等に鋤き込んだ場合、凝集堆積層を効果的に機能させることができる。
また、上記担持体は顆粒状であり、該担持体の各顆粒は、植物セルロース由来のファイバーを10〜35乾燥重量%含有し、該ファイバーが絡まった構造を有し、上記担持体の顆粒は、空隙率が51〜84%、見かけ密度が0.5〜1.5g/cm3、圧縮破壊強度が0.2〜0.6kgf/cm2であるものとすることができる。この場合には、空隙があることや親水性であることにより、約50重量%の含水率となる場合があるため、微生物の増殖に必要な水の供給源や、微生物の住み家の確保ができる。また、圧縮破壊しやすいため、担持体を容易に小型化・細粉化できる。
また、上記農業環境調和材の製造方法において、土壌微生物の種菌、培養材、ミネラル粒子、担持体、及び水を含む上記混合物は、上記培養材100乾燥重量%に対する上記土壌微生物の種菌及び上記ミネラル粒子の混合量を、それぞれ、上記土壌微生物の種菌:0.1〜20乾燥重量%、上記ミネラル粒子:10〜500乾燥重量%、とすることができる。この場合には、貴重な土壌微生物の種菌を少量添加した場合であっても、農業環境調和材を効果的かつ均一に発酵させることができる。つまり、土壌微生物の種菌を、添加量の多い培養材やミネラル粒子とともに混合させることで、培養材やミネラル粒子に種菌を付着させる。そして、種菌が付着した培養材やミネラル粒子を用いて農業環境調和材を製造する。その結果、少量の種菌を用いた場合であっても、担持体の表面に効果的かつ均一に凝集堆積層を形成させることができる。ミネラル粒子は、担持体の粉砕粒、又はCa・Mg・Si・Feなどを含有するミネラル鉱物粒とすることができる。なお、それぞれの原材料を120℃で30分間乾燥させ、その乾燥後の重量を「乾燥重量」とした。そして、その乾燥重量の割合を、乾燥重量%として表す。
また、上記混合物を得るにあたっては、上記担持体、上記土壌微生物の種菌、上記培養材、及び上記ミネラル粒子を混合し、その後、結合材を加えた水を添加することができる。この場合には、結合材と水をあらかじめ混合し、その後、担持体、種菌、培養材、及びミネラル粒子を混合したものに加え、混ぜ合わせることで、農業環境調和材を効率よく製造できる。
また、上記混合物は、上記担持体100乾燥重量%に対する、上記土壌微生物の種菌、上記培養材、結合材、及び水の混合量を、それぞれ、上記土壌微生物の種菌:0.01〜1乾燥重量%、上記培養材:10〜30乾燥重量%、結合材:0.1〜3乾燥重量%、水:80〜110重量%、とすることができる。この場合には、凝集堆積層を低コスト、かつ効果的に形成させることができる。貴重な土壌微生物の種菌が0.01乾燥重量%未満では、種菌の数が不足するため、均一な発酵ができず、1乾燥重量%を超すとコスト高となり生産効率の点において不利となりやすい。また、培養材に関しては、10乾燥重量%未満では種菌由来の土壌微生物の増殖が充分でなく、30乾燥重量%を超すと担持体に担持されない培養材が多くなり、無駄となりやすい。また、結合材に関しては、0.1乾燥重量%未満では凝集堆積層の強度向上効果が低くなることが懸念され、3乾燥重量%を超すと過剰となるおそれがある。また、水に関しては、80重量%未満では発酵が進みにくくなるおそれがあり、110重量%を超すと、混合時に担持体が崩れやすくなるおそれがある。
また、上記混合物を発酵させる際、発酵温度を30〜80℃とし、発酵時の環境相対湿度を60%RH以上に調整することができる。この場合には、発酵が促進されることで、凝集堆積層を効果的に形成させることができる。
また、上記混合物の含水率を25〜50重量%に維持しながら発酵させることができる。この場合には、発酵が促進されることで、凝集堆積層を効果的に形成させることができる。
農業環境調和材は、土壌微生物の種菌と培養材とミネラル粒子から成る凝集堆積層を担持体表面に形成・発酵した発酵物であることとすることができる。
凝集堆積層において、培養材100乾燥重量%に対して、1から20乾燥重量%の土壌微生物の種菌、10から500乾燥重量%のミネラル粒子である担持体由来の粒子より構成されるものとすることができる。
土壌微生物は、培養材上で胞子(胞子嚢)や菌糸などのかたちで存在し、その周辺を粉砕された担持体等で固めるため、凝集堆積層の厚みは0.1mm以上とすることができる。また、凝集堆積層の厚みは、0.1から2.0mmとすることができる。
発酵物を含水率10重量%以下に乾燥させた保存物を土壌微生物の種菌に用いることができる。
上記発酵物は、担持体100乾燥重量%に対して、0.1から1.0乾燥重量%の土壌微生物の種菌、10から30乾燥重量%の培養材、80から110重量%の水分より調整され、発酵温度が30から80℃、発酵湿度が60から90%RHで得られた発酵物とすることができる。
上記発酵物の発酵前の含水率が25から50重量%であり、当該発酵物を乾燥・解砕により、含水率が10から20重量%で、短軸方向の平均直径が0.3〜5mm、長軸方向の平均長さが0.5〜10mmの顆粒状の発酵物であることとすることができる。
上記担持体は、平均粒子径0.1から10μmの鉱物粒子と長さ0.01から1mmの植物セルロース由来のファイバーにより構成された成形体であることとすることができる。
鉱物粒子はカルサイトとカオリンとタルクとチタニアとヘマタイトとシリカと絹雲母とイライトとクロライトと石膏とドロマイトとベントナイトとゼオライトから2つ以上で選択された混合粉体で、当該鉱物粒子と長さ0.01から1mmの植物セルロース由来のファイバーにより構成された成形体であることとすることができる。
成形体は、植物セルロース由来のファイバーが10から35乾燥重量%、カルサイトとして軽質炭酸カルシウムが20から40乾燥重量%、カオリンが15から35乾燥重量%、タルクが5から20乾燥重量%、ヘマタイトが5から10乾燥重量%、チタニアが0から2乾燥重量%、イライトとクロライトと石膏とドロマイトが0から2乾燥重量%により構成された成形体であることとすることができる。
成形体が200から950℃の加熱処理物で、その直径が2mmから4mm、長さが20mm以下のペレットであり、当該成形体の中に10から35乾燥重量%の植物セルロース由来のファイバーによって絡まった構造体を形成し、その合間に鉱物粒子が緩い結合状態で存在し、当該成形体の空隙率が51から84%で、見掛け密度が1.46から0.47g/cm3で、圧縮破壊強度が0.6から0.2kgf/cm2であることとすることができる。
加熱処理物中の植物セルロース由来のファイバーが親水性であることとすることができる。
土壌微生物は、放線菌と糸状菌と乳酸菌と酵母菌と枯草菌と光合成細菌の中から1つ以上であることとすることができる。
土壌微生物は、ストレプトミセス属とスポリキタヤ属とストレプトバーティシリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの放線菌、または、トリコデルマ属とアスペルギルス属とペニシリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの糸状菌、または、ラクトバチルス属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの乳酸菌、または、バチルス属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの枯草菌、または、紅色硫黄細菌と紅色非硫黄細菌からなる群より選ばれる少なくとも1つの光合成細菌、または、酵母菌類から1つ以上から選択されるものとすることができる。
培養材として、カニ殻やエビ殻や蚕の脱皮殻から少なくとも1つ以上のキチン系物質、または米糠や大豆粕や菜種粕やビール粕や胡麻粕や落花生粕やひまわり粕やとうもろこし粕から少なくとも1つ以上の油粕、または魚粉やフィッシュミールから少なくとも1つ以上の魚粕から、土壌微生物に適合する培養材が選択されるものとすることができる。
土壌微生物の種菌が北海道天塩郡の遠別町と天塩町に生息する拮抗微生物であり、培養材がカニ殻やエビ殻や蚕の脱皮殻から少なくとも1つ以上のキチン系物質であり、加熱処理物がセルロース繊維及び填料であるカルサイトとカオリンとタルクとチタニアの1種以上及び鉄系無機凝集剤を含む製紙スラッジと秩父系古生層小佛統を含む山梨県東北部周辺で産出する石墨片石・緑色片石・石墨千枚岩からなる肥料ミネラル鉱物との配合物の加熱処理物であるものとすることができる。
例えば、以下の第1工程〜第8工程を経ることにより、土壌微生物と培養材とミネラル粒子から成る凝集堆積層を担持体表面に形成・発酵させることができる。
<第1工程(種菌分散液の作製)>
原料となる担持体と培養材と土壌微生物の種菌それぞれの含水率を求め、担持体100乾燥重量%に対して、0.01から1.0乾燥重量%の種菌、1から10乾燥重量%の培養材、0〜5乾燥重量%のミネラル粒子を乾式粉砕・混合した種菌混合粉を作製後、更に当該種菌混合粉に対して100から300重量%の水を追加して湿式混合して培養材・種菌・ミネラル粒子・水の種菌分散液を作製する。
<第2工程(担持体の表面に培養材・種菌・ミネラル粒子の付与)>
担持体に水を追加しながら撹拌して含水率を20から40重量%にした担持体を得た後に、第1工程で作製した培養材・種菌・ミネラル粒子・水の種菌分散液を徐々に追加しながら全体を撹拌し、担持体の表面に培養材・種菌・ミネラル粒子を付与する。
<第3工程(培養材の追加・撹拌)>
次に、担持体100乾燥重量%に対して、5から22乾燥重量%の培養材を徐々に追加しながら撹拌する。
<第4工程(含水率調整により凝集堆積層の形成)>
次に、混合物中の含水率が25から50重量%になるように水を徐々に追加しながら撹拌し、種菌と培養材とミネラル粒子から構成される凝集堆積層が担持体表面に凝集造粒した粒子体を形成させる。
<第5工程(発酵と切り返し)>
撹拌機から容器に移した凝集造粒した粒子体の堆積した高さが5から50cmで、混合物中の含水率が25から50重量%に調節し、発酵温度が30から80℃、発酵湿度が60から90%RHで発酵させ、発酵温度が50から80℃になった時点で粒子体を切り返し、引き続き発酵させる。
<第6工程(解砕と乾燥と保管)>
発酵温度が30℃以下になったら、発酵物を1から30mmの大きさに解砕し、含水率を10から20重量%に乾燥した後に保管する。
<第7工程(液体肥料の抽出)>
発酵物に対して、水分量を5から20倍に調製し、緩い撹拌後、固液分離した抽出液は液体肥料とする。
<第8工程(環境調和材の製造に再利用)>
抽出済み沈殿物は土壌改良資材もしくは第3工程(培養材の追加・撹拌)からの農業環境調和材の製造に再利用される。
以下において、添付の図面と表を参照しながら、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
〔実験1〕(担持体の検討)
再生紙工場内で循環した用水中の製紙スラッジを鉄系凝集剤で沈殿させ、脱水して得た水分量57%の製紙スラッジを造粒して2〜5cmの円柱状に成形し、長さが2cm以下に切断した。ロータリーキルンで水分量10%まで乾燥した。製紙スラッジは、セルロースファイバーおよび平均粒子径が0.1〜10μmの填料であるカルサイトとカオリンとタルクとチタニアの粉末及び鉄系無機凝集剤を含む製紙スラッジから構成される配合物である。填料用途のカルサイト、カオリン、タルク、チタニアの粒子サイズは次のとおりである。カルサイトは石灰石を焼成した生石灰に炭酸ガスを反応させて作る軽質炭酸カルシウムでその平均粒子径が0.1〜3μm、カオリンの平均粒子径が1〜3μm、タルクはその平均粒子径が9〜15μm、チタニアの平均粒子径が2μm以下。この乾燥した製紙スラッジ造粒物を連続式の外熱型ロータリーキルンで、炉内温度900℃で加熱処理し、15分間滞留させた。焼成が完全に終了した時点で、炭化処理物の温度を下げて、その冷却途中に空気に接触させることにより黒灰色の加熱処理物を得た。図1に900℃加熱処理物のX線回折プロファイルを示したが、填料由来のカルサイトとカオリンとタルクのヘマタイトのピークが観察される。
また、成分の品質を維持するため、再生紙工場内で、リサイクルにならなかったセルロースファイバー100乾燥重量%に対して、カルサイトとして軽質炭酸カルシウム100乾燥重量%、カオリン86乾燥重量%、タルク23乾燥重量%、ヘマタイト20乾燥重量%、チタニア3乾燥重量%、イライト1乾燥重量%、クロライト1乾燥重量%、石膏1乾燥重量%を水と一緒に混合撹拌し、スクリュープレスで脱水して得た水分量50%の混合物をホッパーに投入し、スクリューフィーダーによって一定量ずつ連続的に押出し成型機に投入する。任意の底面直径を持つ直径5mm、長さ20〜30mmの円柱状に成形された後、乾燥工程へ送られる。乾燥工程では、後の焼成炉で発生する熱によってロータリーキルンによって水分量3〜40%程度まで乾燥される。乾燥によって収縮したペレットを、さらに、連続式の乾留炭化炉において、乾留温度900℃、滞留時間15分で炭化焼成した。
土壌改良材として使用される木炭を土壌に鋤き込んだとしても降雨により土壌から分離する問題がある。セルロース繊維を炭化処理だけにすると炭素質のファイバーが撥水性のため同様な問題が発生する。さらに親水性の微生物やカニ殻などを担持させるときの障害となる。加熱処理物の中の炭素質ファイバーが炭化処理後に400℃で酸化処理を施すことにより炭素質ファイバーの表面を親水性にした。
900℃の加熱処理物、担持体の粉体X線回折プロファイルを図1に示した。ピーク位置からヘマタイト、カルサイト、カオリン、タルクが同定された。セルロース由来のファイバーは炭素質ではあるが、非晶質のため検出されなかった。
次に、担持体の外観写真を図2−Aに示した。直径が4mm、長さが10mm前後の円柱体である。破砕面の日本電子(JEOL)製の走査電子顕微鏡JSM−7001FによるFESEM写真を図2−Bと図2−Cに示した。直径が1μmから30μm、長さが1mm以下のセルロース由来のファイバーが複雑に絡んだ構造体を形成し、その合間に平均粒子径0.1〜10μmの填料由来の粒子、特にカルサイトCaCOが仮焼結状態で存在していることが判った。言い換えると、平均粒子径0.1〜10μmの填料由来の鉱物粒子の仮焼結状態を、炭素質ファイバーによって強化した構造体を形成しているので、農業作業中でも構造を維持できる程度の強度を持たせることが可能である。因みに、JSM−7001F付属のEDS分析によって、ファイバーはカーボンで、カルサイト粒子はカルシウムで、タルク粒子はマグネシウムで、カオリン粒子はアルミニュームとして検出された。また、担持体は顆粒状であり、担持体の各顆粒は、植物セルロース由来のファイバーを10〜35乾燥重量%含有し、ファイバーが絡まった構造を有し、担持体の顆粒は、空隙率が51〜84%、見かけ密度が0.47〜1.46g/cm3、圧縮破壊強度が0.2〜0.6Kgf/cm2であってもよい。
また、原料の担持体の形状は金型のサイズに依存するが、多くのものが、直径3.5〜4.5mmで長さ1〜7mmの円柱状である。用途によって、平均直径4〜5mm、長軸方向の平均長さが1〜7mmであるものと、平均直径が0.5〜2.0mmであるものが考えられる。
担持体の構成成分
担持体の構成成分を種々検討した結果、表1に示すように、植物セルロース由来のファイバーが10から35乾燥重量%、カルサイトとして軽質炭酸カルシウムが20から40乾燥重量%、カオリンが15から35乾燥重量%、タルクが5から20乾燥重量%、ヘマタイトが5から10乾燥重量%、チタニアが0から2乾燥重量%、イライトとクロライトと石膏とドロマイトが0から2乾燥重量%により構成されるものが、ミネラル成分の定常補給作用の観点において、特に適していることが分かった。特に、石灰石を粉砕した重質炭酸カルシウムと比べて、主成分の粒子サイズの小さい軽質炭酸カルシウムが高い肥料効果を示す。
〔実験2〕(比較例1〜比較例8)
特許文献3を参考に、調合量1.3kg、含水率を約20重量%に固定し、種菌の種類と添加量と担持体表面に培養材としてカニ殻粉を事前に付与するコーティングの有無による発酵の状態への影響を調査した。第1ステップとして、実験1で作製した担持体100乾燥重量%に対して、粉砕したカニ殻の粉1.1乾燥重量%とを混合することによって、カニ殻の粉を担持体に担持させた。比較例2と比較例6ではカニ殻粉を事前に付与するコーティングを省略した。
第2ステップとして、担持体と土壌微生物の種菌と培養材と水とを混合した。
種菌としては、以下の製造者が異なる種菌Dと種菌Eとを用いた。種菌Eは、北海道天塩郡の遠別町に生息する拮抗微生物が担持した土壌微生物の種菌(グリーンテック放線菌の種菌)である。種菌Dは種菌Eが担持した土壌微生物の種菌(道栄放線菌の種菌)である。
第1ステップで作製したカニ殻粉付着担持体に表2に記載した調合組成で種菌とカニ殻と水分をポリ袋に入れ手動混合した。
本実験にて作製した比較例1〜8の発酵物作製の調合組成を、表2に示す。
また、各比較例1〜8について、得られた農業環境調和材における、凝集堆積層の状態及び発酵状態を、表3に示す。
表3、及び下記の表5、表7、表9、表11、表13における、発酵状態の評価は、「×」が、殆ど発酵していない状態を示し、「×△」が、発酵部分が30%未満であることを示し、「△」が、発酵部分が30%以上、50%未満であることを示し、「○」が、発酵部分が50%以上、90%未満であることを示し、「◎」が、発酵部分が90%以上であることを示す。
なお、この評価は、美舘イメージング製のCマウント三眼ズーム実体顕微鏡YS05Zによる。
また、「担持体100乾燥重量%に対する割合」における、「水」以外の項目の単位「wt%」は、「乾燥重量%」を意味する。
また、「コート処理」は、混合前における担持体の表面への培養材の事前のコーティングを行うか否かの区別を示し、コーティングを行ったものを「○」、行わなかったものを「×」として示した。
表3から分かるように、比較例1〜比較例8において、発酵温度の上昇が観察されなかったが、これらのうち、比較例1を除いて(比較例2〜8においては)、外観が白色になった。すなわち、部分的な発酵が見られた。図3に比較例1と比較例4の発酵物の発酵状態を示した。(A)の比較例1では、含水率が18重量%と低いため発酵が進行しなかったと考えられる。(B)の比較例4では、含水率が20重量%で発酵が進んだが、不均一な発酵状態であった。混合が不十分であったためと考えられる。また、担持体と発酵部が分離していた。評価は全て「×」であった。
〔実験3〕(比較例9〜比較例14)
実験2で、発酵温度の上昇が観察されなかった原因として、調合量の少ないことと混合不足が考えられた。種菌の種類と添加量、含水率24重量%の条件で表4に記載した内容の調合した後、図4−Aに示した100kg傾胴型ミキサー機を用いて調合量26kgを混合した。傾胴型ミキサー機によれば、乾式及び湿式混合が可能で、傾斜角度を調整することによって担持体の構造の破砕を極力低減しながら混合することが出来る。
本実験にて作製した比較例9〜14の発酵物作製の調合組成を、表4に示す。
また、各比較例9〜14について、得られた農業環境調和材における、凝集堆積層の状態及び発酵状態を、表5に示す。
実験2と比較して、混合状態は大幅に改善されて、発酵温度上昇が若干認められ、発酵が進んだ。しかし、相変わらず不均一な発酵状態の部分も観察され、また、担持体と発酵部が分離していた。評価は全て「×」であった。
〔実験4〕(実施例1〜実施例7)
実験2と実験3を実施したが、担持体と発酵部が分離する課題があった。先行技術文献の3つの課題を挙げたが、1つ目の固体培地を除き、2つ目の発酵するための水分と3つ目の微生物/固体培地/担持体との構造検討不足の課題が残っていた。調合量>22kg、種菌の種類、含水率25〜30重量%の条件で表6に記載した内容の調合をした後、図4−Aに示した100kg傾胴型ミキサー機を用いて混合した。この時、含水率を調整することによって、種菌と培養材とミネラル粒子から構成される凝集堆積層が担持体表面に凝集造粒した粒子体を形成することを試みた。
土壌微生物の種菌と培養材とミネラル粒子から成る凝集堆積層を担持体表面に形成・発酵した発酵物である農業環境調和材の製造フローチャートを図5に示した。製造フローチャート中の原材料を混合した混合物は、培養材100乾燥重量%に対する上記土壌微生物の種菌及び上記ミネラル粒子の混合量を、それぞれ、上記土壌微生物の種菌:0.1〜20乾燥重量%、上記ミネラル粒子:10〜500乾燥重量%としてもよい。また、混合物を得るにあたっては、土壌微生物の種菌、培養材、及びミネラル粒子に、さらに結合材を混合させ、その後、水を添加してもよい。また、混合物は、担持体100乾燥重量%に対する、土壌微生物の種菌、培養材、結合材、及び水の混合量を、それぞれ、土壌微生物の種菌:0.01〜1乾燥重量%、培養材:10〜30乾燥重量%、結合材:0.1〜3乾燥重量%、水:80〜110重量%、としてもよい。
次に、実施例4を例にとり、その製造工程を説明する。
<第1工程(種菌分散液の作製)>
原料となる実験1で作製した担持体、培養材である有限会社錦海化成のカニガラ肥料、種菌Eそれぞれの含水率を求めた。担持体100乾燥重量%に対して、0.1乾燥重量%の種菌E、1.1乾燥重量%のカニ殻、1乾燥重量%のミネラル粒子(担持体を乾式粉砕したもの)を混合することで種菌混合粉を作製後、更にこの種菌混合粉に対して230重量%の水を追加して湿式混合して培養材・種菌・ミネラル粒子・水の種菌分散液を作製した。
<第2工程(担持体の表面に培養材・種菌・ミネラル粒子の付与)>
担持体に水を追加しながら撹拌して含水率20重量%にした担持体を得た後に、第1工程で作製した培養材・種菌・ミネラル粒子・水の種菌分散液を徐々に追加しながら全体を撹拌し、担持体の表面に培養材・種菌・ミネラル粒子を付与する。
<第3工程(培養材の追加・撹拌)>
次に、担持体100乾燥重量%に対して、21.5乾燥重量%の培養材のカニ殻を徐々に追加しながら撹拌する。
<第4工程(含水率調整により凝集堆積層の形成)>
次に、混合物中の含水率が25.3重量%になるように水を徐々に追加しながら撹拌し、種菌Eとカニ殻と担持体の粒子から構成される凝集堆積層が担持体表面に凝集造粒した粒子体を形成させた。
<第5工程(発酵と切り返し)>
撹拌機から土嚢袋に移した凝集造粒した粒子体の堆積した高さが30cmで、全体の混合物中の含水率を25.3重量%に調節し、外気温20℃で、約3日後に発酵温度が45℃に到達した。そして、4日後に切り返しにより発酵温度が上昇した。
<第6工程(解砕と乾燥と保管)>
発酵温度が30℃以下になったら、発酵物を0.5から30mmの大きさに解砕し、含水率が20重量%以下になるよう乾燥させた後に保管した。また、発酵物である農業環境調和材を、乾燥後、短軸方向の平均直径が0.5〜5mm、長軸方向の平均長さが0.5〜10mmとなるよう顆粒状に解砕し、保管してもよい。
<第7工程(液体肥料の抽出)>
発酵物に対して、水分量を10倍に調製し、緩い撹拌後、固液分離した抽出液は液体肥料とした。この抽出液のICP元素分析によると、CaとMgとKとNaとSとSiとFeとMnとCuとAlとBが検出された。担持体の主なる鉱物粒子である軽質炭酸カルシウムは石灰岩を粉砕した重質炭酸カルシウムより化学的不安定性があるので、Caが抽出されやすいと考えられる。これに加え、微生物がカニ殻を栄養にして増殖するときに分解したカニ殻の成分がミネラル分の抽出に大きく貢献していると考えられる。
<第8工程(環境調和材の製造に再利用)>
抽出済み沈殿物を第3工程(培養材の追加・撹拌)からの農業環境調和材の製造に再利用した。
本実験にて作製した実施例1〜7の発酵物作製の調合組成を、表6に示す。
また、各実施例1〜7について、得られた農業環境調和材における、凝集堆積層の状態及び発酵状態を、表7に示す。
次に、実施例1〜実施例6で作製した発酵物の発酵に伴う時間的温度変化を調査した。図6では、調合量27kg・含水率25重量%・凝集堆積層あり・外気温20℃の条件で、種菌D(実施例1)と種菌E(実施例2)の比較を行った。図7も、調合量79kg・含水率25重量%・凝集堆積層あり・外気温20℃の条件で、種菌D(実施例3)と種菌E(実施例4)の比較を行った。図8も、調合量27kg・含水率25重量%・凝集堆積層あり・外気温10℃の条件で、種菌D(実施例5)と種菌E(実施例6)の比較を行った。
実験3までの発酵物と比べ、全ての発酵物は40℃以上の温度上昇が得られた。その原因として、含水率25重量%と凝集堆積層の形成によるものと考えられる。また、種菌Eより、種菌Dでは発酵の進行が速く、発酵温度が高くなる傾向が見られる。種菌の添加量が同じでも、種菌分散液を作製した時、種菌Dの担持体が均一に微粉砕して高分散されたからと考えられる。また、図8における実施例5と実施例6の発酵温度の時間的変化に遅れが発生した原因は、初期段階の外気温が10℃だったため発酵が進まなかったと考えられる。発酵の環境温度は20℃以上が好ましい。
実施例4において、凝集堆積層を担持体表面に形成、含水率最適化により、発酵温度が45℃まで上昇した発酵物が得られた。その発酵物の外観写真を図9に示した。そして、図10−Aの実験2における比較例4では凝集堆積層の形成が無く、含水率が不足しているため、担持体と発酵部分と分離しているのに対して、図10−Bの実験4における実施例4では凝集堆積層を担持体表面に形成し、含水率を最適化したことによって、発酵部分が適度な接合強度を持って担持体表面に形成することが出来た。また、実施例4における発酵物表面のFESEM写真を図11に示した。担持体表面に形成した凝集堆積層において、放線菌が全面的に増殖していることが判った。
〔実験5〕(実施例8〜実施例13)
実験3までに得られた100kg傾胴型ミキサー機を用いた農業環境調和材の製造条件をベースに、表8に記載した内容の調合した後、図4−Bに示した4tコンクリートミキサー車により、調合量>850kg・含水率45重量%・凝集堆積層ありの条件でプロセス調整した。
実施例11を例にとってその製造方法を以下に示す。
<第1工程(種菌分散液の作製)>
原料となる実験1で作製した担持体、培養材である有限会社錦海化成のカニガラ肥料、種菌Dそれぞれの含水率を求めた。担持体100乾燥重量%に対して、0.5乾燥重量%の種菌D、4.7乾燥重量%のカニ殻、1乾燥重量%のミネラル粒子(担持体を乾式粉砕したもの)を混合することで、種菌混合粉を作製後、更にこの種菌混合粉に対して230重量%の水を追加して湿式混合して培養材・種菌・ミネラル粒子・水の種菌分散液を作製した。ここでは100kg傾胴型ミキサー機を使用した。次の工程では4tコンクリートミキサー車を使用した。
<第2工程(担持体の表面に培養材・種菌・ミネラル粒子の付与)>
担持体に水を追加しながら撹拌して含水率40重量%にした担持体を得た後に、第1工程で作製した培養材・種菌・ミネラル粒子・水の種菌分散液を徐々に追加しながら全体を撹拌し、担持体の表面に培養材・種菌・ミネラル粒子を付与する。
<第3工程(培養材の追加・撹拌)>
次に、担持体100乾燥重量%に対して、15.4乾燥重量%の培養材のカニ殻を徐々に追加しながら撹拌する。この時の混合物の外観写真を図12−Aに示した。担持体の表面はカニ殻によって研磨されたような状態で、含水率が不足していることにより、培養材・種菌・ミネラル粒子が付着していなかった。
<第4工程(含水率調整により凝集堆積層の形成)>
次に、混合物中の含水率が45.1重量%になるように水を徐々に追加しながら撹拌し、種菌Dとカニ殻と担持体の粒子から構成される凝集堆積層が担持体表面に凝集造粒した粒子体を形成させた。この時の混合物の外観写真を図12−Bに示した。含水率の最適化と微粉砕カニ殻のバインダー作用によって、凝集堆積層が適度な接合強度を持って担持体表面に形成することが出来た。
<第5工程(発酵と切り返し)>
4tコンクリートミキサー車からベルトコンベアで1m×1m×0.5mの容器に搬送し、凝集造粒した粒子体の堆積した高さが30cmで、混合物中の含水率が45.1重量%に調節し、培養室の温度20℃・相対湿度80%RHで、約7日後に発酵温度が55℃に到達したら、切り返し、更に7日間の発酵を行った。また、混合物を発酵させる際に、発酵温度を30〜50℃とし、発酵時の環境相対湿度を60%RH以上に調整してもよい。また、混合物の含水率を25〜50重量%に維持しながら発酵させてもよい。
<第6工程(解砕と乾燥と保管)>
発酵温度が30℃以下になったら、発酵物を1から30mmの大きさに解砕し、含水率を10から20重量%に乾燥した後に保管した。
本実験にて作製した実施例8〜13の発酵物作製の調合組成を、表8に示す。
また、各実施例8〜13について、得られた農業環境調和材における、凝集堆積層の状態及び発酵状態を、表9に示す。
図12−Bの凝集堆積層を担持体表面に形成した混合物の外観写真及び図10−Bの発酵物の外観写真を参照して、凝集堆積層を担持体表面に形成・発酵した発酵物の模式図を図13に示した。土壌微生物と培養材とミネラル粒子から成る凝集堆積層を担持体の凹凸表面にアンカー接合・発酵した発酵物で、そして、担持体は、平均粒子径0.1から10μmの鉱物粒子と長さ0.01から1mmの植物セルロース由来のファイバーにより構成された成形体であることを模式的に表している。
〔実験6〕(発酵物の害虫への拮抗性の効果)
実施例4で作製した発酵物が、農業環境を壊す害虫や植物病害菌に対する拮抗性の効果を示すかどうか調べた。米ぬかに大発生した米蛾(メイガ)の幼虫を害虫のモデルとした。この米ぬかと実施例4の発酵物を混ぜた後、幼虫の挙動を観察した。その様子を、図14に示す。すなわち、同図の(A)〜(C)に示すごとく、(A)12秒後には幼虫が米ぬかと発酵物との混合物から這い出し、(B)44秒後には発酵物の無い壁に逃げ始め、(C)180秒後にはほとんどの幼虫が容器上部に逃げ出してしまった。
〔実験7〕(実施例14〜実施例16)
後掲の表10の調合組成のもと、トンボ工業製回転数可変・傾斜可変コンクリートミキサーNGM−3Eを用いて、実験3に示した製造方法に準じた手順に従い、実施例14と実施例15と実施例16を作製した。本実験において、実験4(実施例1〜実施例7)及び実験5(実施例8〜実施例13)との大きな違いの一つは、混合時における担持体の含水率を実質的に0重量%とした点にある。
図15に、実施例15の発酵物の表面と断面観察結果を示した。図15のFESEM写真によれば、同図のAから、凝集堆積層が0.2mm以上の厚みで担持体表面を約200μmの凝集粒が堆積していることがわかった。そして、凝集堆積層の表面を更に拡大して観察すると、同図のBに示す通り、約1μmの放線菌の胞子嚢が存在していることが分かった。元素のマッピングEDS分析によれば、胞子嚢の部分にCaやPが存在しているので、カニ殻由来のCaとPが検出されることは放線菌がカニ殻を分解して、増殖していることが判った。Cは発酵物の横断面で、直径が約4mmの円柱状の担持体表面に0.5〜1.0mmの凝集堆積層が形成していることがわかった。図15において、白い箇所は放線菌である。
本実験にて作製した実施例14〜16の発酵物作製の調合組成を、表10に示す。なお、同図における種菌の種類、種菌D、Eは、上述の実験2に示した通りであり、種菌Mは、松本微生物研究所製のストレプトミセス属放線菌・バチルス属枯草菌で、有機物の分解促進が期待され、種菌Bは、ビオック製の麹菌で、バイオエタノールを高効率で生成するので、病害虫の表皮への作用が期待される。
なお、麹菌は、アスペルギルス属真菌に含まれるカビであり、麹を作る際に利用される一群のカビである。
また、各実施例14〜16について、得られた農業環境調和材における、凝集堆積層の状態及び発酵状態を、表11に示す。
表11から分かるように、実施例14〜16については、凝集堆積層が、担持体の表面の40%以上に形成され、発酵状態も良好なものが得られた。
〔実験8〕(実施例17〜実施例20)
後掲の表12に示すごとく、実施例17と実施例18と実施例19と実施例20において、調合組成、混合条件の探索各種土壌微生物/培養材の組合せと結合材の外部添加と担持体の大きさの影響を調査した。本実験においては、比較的小型の回転数可変・傾斜可変ドラム型混合器を用いて、担持体、土壌微生物、培養材等の混合を行った。ただし、製造手順は、実験4にて示した手順を基本として、以下の点を変更した。
実験4においては、種菌分散液を作製後、担持体と種菌分散液とを混合した。一方、実験8においては、種菌分散液を作製せず、原材料(種菌、培養材、ミネラル粒子)を乾式混合後、担持体を加え、さらに乾式混合を行った。その後、水に所定の量の結合材を添加した分散液を、担持体と原材料の混合物に散布しながら、湿潤状態で混合した。その他の手順は、実験4と略同様である。
実施例17では、添加した水に対して1.7乾燥重量%の旭化成製のセオラス(登録商標)RC-N30結晶セルロースを結合材として添加した。図16に、担持体の表面に粉砕カニ殻と粉砕担持体が直径で1.0〜1.7mmの凝集堆積層の形成状態を美舘イメージング製のCマウント三眼ズーム実体顕微鏡YS05Zに搭載したCanon製PowerShotA1400デジタルカメラで撮影した写真を示した。実施例18も、同様に、結合材を添加して作製した、農業環境調和材である。
実施例1〜実施例16では、カニ殻由来のファイバーが有する増粘の効果による疑似的な結合材として凝集堆積層の形成に寄与していた。これに対し、実施例17、18は、結合材である結晶セルロースを添加することにより、凝集堆積層が形成され易くなった。結合材の候補として、天然由来のマイクロファイバーは増粘作用、凝集作用、堆積層の接合強度アップが期待される。また、結合材のその他の候補として、トイレットペーパーなどの紙製品、水溶性植物繊維、セルロース誘導体などが考えられる。
実施例19では、培養材として乾燥した玄米を1mm以下に破砕した微粉、土壌微生物として株式会社ビオック製の麹菌、実施例15と同様な製造方法で凝集堆積層を形成した。図17のAに示す担持体表面に、同図のBのように凝集堆積層が形成され、1週間の発酵後、同図のCのように麹菌の菌糸が成長した。
本実験にて作製した実施例17〜19及び、下記の実験8にて作製した実施例20の発酵物作製の調合組成を、表12に示す。
また、各実施例17〜20について、得られた農業環境調和材における、凝集堆積層の状態及び発酵状態を、表13に示す。
表13から分かるように、実施例17〜20は、担持体の表面の全体に、凝集堆積層が形成され、発酵状態も良好なものが得られた。すなわち、結合材を添加した実施例17〜20は、実施例1〜16に比べ、凝集堆積層の面積割合が大きく向上している。つまり、上述のように、原材料の調合組成、混合の順番、水添加のタイミングを適切に設定したうえで、適量の結合材を混合させることによって、効率的に凝集堆積層を形成させることが可能となると考えられる。また、凝集堆積層自体の強度と、凝集堆積層と担持体との接合強度も向上させることができると考えられる。
〔実験9〕(小さなサイズの農業環境調和材の形成)
実施例20では、図18に示すごとく、サイズの小さい担持体で、凝集堆積層の形成に成功した。図18のAの右下に示す線分の長さが、2mmを示す。また、図18のBの右下に示す線分の長さが、1mmを示す。
実施例1〜実施例19で作製した農業環境調和材は、短軸方向の平均直径が4.5mmで長軸方向の平均長さが5から10mmの粒状の発酵物である。このサイズは土壌改良の形状が苦土石灰などの化成肥料の顆粒に類似している。それゆえ、農業環境調和材を畑全体に鋤き込む場合には、その作業性が優れている。
一方で、畑全面に鋤き込むのではなくセルトレイで育苗用の育培土に混合する場合には、2mm以下の小さなサイズが望まれた。そこで、主に、直径3.5〜4.5mmで長さ1〜7mmの大きさの、円柱状の担持体を、圧縮破壊し、2mm目開きの篩で、2mm未満の粉砕粒を分離した。分離した粉砕粒を、さらに0.5mm目開きの篩によって、0.5mm以下の粉砕粒を分離した。0.5〜2mmの大きさの担持体を主とし、0.5mm未満の担持体を粉砕担持体の原材料とすることにより、粒子サイズの小さい農業環境調和材の製造を試みた。その結果、実施例20の農業環境調和材として、平均直径が2mmの粒状の発酵物が得られた。
〔実験10〕(有効性評価2)
実施例15の発酵物を軽く粉砕した評価粒子が有害虫への有効性評価を、以下のように行った。
(1)乾燥ガーゼ/乾燥ガラス面にイチゴ葉ダニを放つ。
(2)(1)の周囲に(評価粒子+水)/湿潤ガーゼの湿潤ゾーンを設置する。
(3)評価粒子にはキチン質分解酵素、放線菌、枯草菌、カニ殻、担持体が存在している。
(4)(1)に居たイチゴ葉ダニが湿潤ゾーンに入り込み、10分後に動かなくなった。
この評価結果によれば、有害虫であるイチゴ葉ダニに対して忌避効果が認められた。
なお、本実験の動画は、美舘イメージング製のCマウント三眼ズーム実体顕微鏡に搭載したYS05ZにCanon製PowerShotA1400デジタルカメラにより撮影した。
上述した実験1〜実験6から分かるように、比較例1〜14において、発酵部分が充分に形成されていなかったのに対し、実施例1〜20においては、発酵部分が充分に形成された。そして、比較例1〜14においては、凝集堆積層が充分に形成されなかったのに対し、実施例1〜20においては、凝集堆積層が充分に形成されている。
特に、実施例17〜20は、凝集堆積層が担持体の全面に強固に接合していることが確認された。また、これらの実施例においては、凝集堆積層の全体にわたって発酵していることも確認された。
これらの結果から、特に、結合材を混合することで、より確実に、土壌微生物の発酵部分が担持体に強固に担持された状態にて、農業環境調和材を製造することができることが分かる。
〔土壌微生物と培養材の選択〕
拮抗性を有し、かつ、病原性を有さない有用菌が、本発明の農業環境調和材における土壌微生物として適している。例えば、ストレプトミセス属とスポリキタヤ属とストレプトバーティシリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの放線菌、または、トリコデルマ属とアスペルギルス属とペニシリウム属とVA菌根菌に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの糸状菌、または、ラクトバチルス属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの乳酸菌、または、バチルス属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの枯草菌、または、紅色硫黄細菌と紅色非硫黄細菌からなる群より選ばれる少なくとも1つの光合成細菌、または、酵母菌類が、候補である。
培養材としては、例えば、カニ殻やエビ殻や蚕の脱皮殻から少なくとも1つ以上のキチン系物質、または米糠や大豆粕や菜種粕やビール粕や胡麻粕や落花生粕やひまわり粕やとうもろこし粕から少なくとも1つ以上の油粕、または魚粉やフィッシュミールから少なくとも1つ以上の魚粕が候補である。
土壌微生物と培養材の好ましい組合せとして、例えば、以下の候補がある。以下の表記「A/B」は、土壌微生物としてのAと培養材としてのBとの組み合わせを意味する。
すなわち、好ましい組み合わせの候補として、放線菌/(カニ殻やエビ殻)、(放線菌+酵母菌)/(カニ殻やエビ殻)、(放線菌+糸状菌)/(カニ殻やエビ殻)、(放線菌+乳酸菌)/(カニ殻やエビ殻)、(放線菌+光合成細菌)/(カニ殻やエビ殻)、枯草菌/大豆粕、(枯草菌+乳酸菌)/大豆粕、麹菌/玄米、が考えられる。
土壌微生物の種菌と培養材とミネラル粒子から成る凝集堆積層を担持体の凹凸表面にアンカー接合・発酵した発酵物であることを特徴とする農業環境調和材は、有用菌である土壌微生物と培養材の組合せ候補があり、2種類以上を選択することにより、害虫や植物病害菌に対する拮抗性の適用範囲が拡大出来る。また、牛糞・豚糞・鶏糞の堆肥化において、発酵促進剤となる可能性がある。また、本発明の農業環境調和材以外の産業分野に利用可能である。例えば、脱臭微生物を増殖できる培養材を選択すると持続性のある脱臭剤が考えられる。また、水処理分野やバイオマス分野も考えられる。

Claims (15)

  1. 多孔質の担持体と、
    該担持体の表面に、土壌微生物、培養材、及びミネラル粒子が凝集して堆積した凝集堆積層と、を有し、
    該凝集堆積層は発酵物となっていることを特徴とする農業環境調和材。
  2. 上記凝集堆積層は、さらに結合材を含有することを特徴とする、請求項1に記載の農業環境調和材。
  3. 上記凝集堆積層は、厚みが0.1mm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の農業環境調和材。
  4. 上記凝集堆積層は、上記担持体の表面の5%以上を被覆していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の農業環境調和材。
  5. 上記土壌微生物は、放線菌、糸状菌、乳酸菌、バチルス属細菌、光合成細菌、及び酵母の中から選ばれる1つ以上の菌を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の農業環境調和材。
  6. 上記糸状菌は、VA菌根菌、アスペルギルス属真菌、及びトリコデルマ属真菌の中から選ばれる一つ以上の糸状菌である、請求項5に記載の農業環境調和材。
  7. 含水率が20重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の農業環境調和材。
  8. 顆粒状であって、各顆粒は、短軸方向の平均直径が0.3〜5mm、長軸方向の平均長さが0.5〜10mmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の農業環境調和材。
  9. 上記担持体は顆粒状であり、該担持体の各顆粒は、植物セルロース由来のファイバーを10〜35乾燥重量%含有し、該ファイバーが絡まった構造を有し、上記担持体の顆粒は、空隙率が51〜84%、見かけ密度が0.5〜1.5g/cm3、圧縮破壊強度が0.2〜0.6kgf/cm2であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の農業環境調和材。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の農業環境調和材を製造する方法であって、
    上記担持体、上記土壌微生物の種菌、培養材、及びミネラル粒子を、水と共に混合して混合物を得、
    上記混合物を発酵させて、発酵した上記凝集堆積層を上記担持体の表面に形成することを特徴とする、農業環境調和材の製造方法。
  11. 上記混合物は、上記培養材100乾燥重量%に対する上記土壌微生物の種菌及び上記ミネラル粒子の混合量を、それぞれ、上記土壌微生物の種菌:0.1〜20乾燥重量%、上記ミネラル粒子:10〜500乾燥重量%、とすることを特徴とする、請求項10に記載の農業環境調和材の製造方法。
  12. 上記混合物を得るにあたっては、上記担持体、上記土壌微生物の種菌、上記培養材、及び上記ミネラル粒子を混合し、その後、結合材を加えた水を添加することを特徴とする、請求項10又は11に記載の農業環境調和材の製造方法。
  13. 上記混合物は、上記担持体100乾燥重量%に対する、上記土壌微生物の種菌、上記培養材、結合材、及び水の混合量を、それぞれ、上記土壌微生物の種菌:0.01〜1乾燥重量%、上記培養材:10〜30乾燥重量%、結合材:0.1〜3乾燥重量%、水:80〜110重量%、とすることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の農業環境調和材の製造方法。
  14. 上記混合物を発酵させる際、発酵温度を30〜80℃とし、発酵時の環境相対湿度を60%RH以上に調整することを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載の農業環境調和材の製造方法。
  15. 上記混合物の含水率を25〜50重量%に維持しながら発酵させることを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一項に記載の農業環境調和材の製造方法。
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