JP2019119654A - 電気化学式水素ポンプ - Google Patents

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Hidenobu Wakita
英延 脇田
山本 恵一
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恵一 山本
貴司 大戸
Takashi Oto
貴司 大戸
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Abstract

【課題】電気化学式水素ポンプのフラッディング軽減により水素圧縮動作の効率を向上すること。【解決手段】電気化学式水素ポンプは、電解質膜22と、電解質膜の一方の主面に設けられたアノード触媒層23と、電解質膜の他方の主面に設けられたカソード触媒層24と、アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層35と、アノードガス拡散層上に設けられたアノードセパレータ36と、アノード触媒層とカソード触媒層との間に電圧を印加する電圧印加器とを備える。アノードガス拡散層は、アノード触媒層よりも面積が大きく、かつアノード触媒層に対向する第1の部分35Aの方がアノード触媒層に対向していない第2の部分35Bよりも撥水性が高い。アノードセパレータに設けられたアノードガス流路は、第1の部分上および第2の部分上に設けられている。【選択図】図1A

Description

本開示は電気化学式水素ポンプに関する。
近年、燃費向上、カーボンフリー燃料の利用の観点から、燃料電池により発電された電力でモーターを駆動して走行する燃料電池車が注目を集めており、発売が開始されている。しかし、燃料電池車の普及にあたっては、燃料となる水素ガス供給のインフラストラクチャを整え、全国に水素ステーションをいかに多く広範囲に設置できるかが課題となっている。これまで、水素ステーションとして、圧力スイング吸着法(PSA)で、水素を精製および圧縮する方法などが行われてきたが、装置の大型化および膨大な設置コストなどが、水素ステーションの全国展開の障害となっている。
来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素ガスを高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用し得る技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及の促進には、燃料供給インフラを整備する必要がある。また、燃料供給インフラに水素を安定的に供給するために、高純度の水素ガスを精製および昇圧する様々な提案が行われている。
例えば、特許文献1には、電解質膜が挟持されたアノードとカソードとの間の電圧印加によって、水素ガスの精製および昇圧が行われる水素精製昇圧システムが記載されている。具体的には、アノードとカソードとの間に電流が流れるとき、アノードの水素がプロトンになり、プロトンがアノードからカソードへと、水分子を同伴しながら電解質膜を移動する。なお、アノード、電解質膜およびカソードの積層構造体を膜電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
また、固体高分子形の電解質膜を備えるMEAのアノードとカソード間に電圧をかけて、アノード側に供給された水を電気分解することで、アノード側で酸素、カソード側で水素を製造する高圧水素製造装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。そして、この高圧水素製造装置には、電解質膜およびアノード給電体の変形に対して、カソード給電体を電解質膜に密着させるための皿バネまたはコイルバネが設けられている。
特開2015−117139号公報 特開2006−70322号公報
水素エネルギーを高効率で利用することが従来から望まれているので、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作における効率向上が重要である。
ここで、従来例では、電気化学式水素ポンプの触媒層と給電体との間の電気的接触の視点から水素圧縮動作の効率を向上することが検討されているが、電気化学式水素ポンプのフラッディング軽減の視点から水素圧縮動作の効率を向上することは検討されていない。
本開示の一態様(aspect)は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アノードガス拡散層のフラッディングを軽減することで、従来よりも水素圧縮動作を高効率で安定に行い得る電気化学式水素ポンプを提供する。
本開示の一態様の電気化学式水素ポンプは、電解質膜と、前記電解質膜の一方の主面に設けられたアノード触媒層と、前記電解質膜の他方の主面に設けられたカソード触媒層と、前記アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層と、前記アノードガス拡散層上に設けられたアノードセパレータと、前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に電圧を印加する電圧印加器とを備え、前記アノードガス拡散層は、前記アノード触媒層よりも面積が大きく、かつ前記アノード触媒層に対向する第1の部分の方が前記アノード触媒層に対向していない第2の部分よりも撥水性が高く、前記アノードセパレータに設けられたアノードガス流路は、前記第1の部分上および前記第2の部分上に設けられている。
本開示の一態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層のフラッディングを軽減することで、従来よりも水素圧縮動作を高効率で安定に行い得る。
図1Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図1Bは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図2は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードガス拡散層の一例を示す図である。 図3は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードセパレータの一例を示す図である。 図4は、第1実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプのアノードセパレータの一例を示す図である。 図5は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図6は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードガス拡散板の一例を示す図である。 図7は、第3実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図8は、第4実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図9は、第4実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードセパレータの一例を示す図である。 図10は、第5実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードガス拡散層の一例を示す図である。
電気化学式水素ポンプのフラッディング軽減の視点から水素圧縮動作の効率を向上するための検討が行われ、以下の知見が得られた。
電気化学式水素ポンプが、例えば、固体高分子形の電解質膜を備える場合、電気化学的に水素を精製および昇圧する際に、電気化学式水素ポンプの電解質膜の湿潤状態、電極における水の状態によりポンプ性能(過電圧を指標とする効率性能)が左右される。
具体的には、例えば、電気化学式水素ポンプの電解質膜の水分が不足する場合、電解質膜のプロトン伝導性が低下する可能性がある。すると、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作時の電気エネルギーが大きくなるので、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作の効率が低下する。
逆に、例えば、電気化学式水素ポンプの電解質膜の水分が過剰である場合、アノードガス中の水蒸気が凝縮することで、凝縮水により電気化学式水素ポンプのガス流路の閉塞が発生する可能性がある。すると、電気化学式水素ポンプの水素拡散性が阻害されやすくなる。この場合も、所望のプロトン移動を確保するためのポンプ動作に必要な電力が増加するので、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作の効率が低下する。
特に、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作時には、アノードからカソードにプロトンと同伴して移動(浸透)した水が、カソードおよびアノード間の差圧によってカソードからアノードに逆流(逆浸透)する。これにより、アノードガス拡散層においてフラッディング(水によるガス流路の閉塞現象)を引き起こすことが多い。
そこで、発明者らは、アノードガス拡散層のフラッディングを軽減すべく鋭意検討を行い、アノードガス拡散層の撥水性を調整するという着想に到達した。そして、以下の本開示の一態様を完成させるに至った。
すなわち、本開示の第1態様の電気化学式水素ポンプは、以上の知見に基づいて案出できたものであり、電解質膜と、電解質膜の一方の主面に設けられたアノード触媒層と、電解質膜の他方の主面に設けられたカソード触媒層と、アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層と、アノードガス拡散層上に設けられたアノードセパレータと、アノード触媒層とカソード触媒層との間に電圧を印加する電圧印加器とを備え、アノードガス拡散層は、アノード触媒層よりも面積が大きく、かつアノード触媒層に対向する第1の部分の方がアノード触媒層に対向していない第2の部分よりも撥水性が高く、アノードセパレータに設けられたアノードガス流路は、第1の部分上および第2の部分上に設けられている。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層のフラッディングを軽減することで、従来よりも水素圧縮動作を高効率で安定に行い得る。
具体的には、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層の第1の部分(例えば、中央部分)の方が、アノードガス拡散層の第2の部分(例えば、周辺部分)よりも撥水性が高いので、アノードガス拡散層の第1の部分に存在する水は、第1の部分から第2の部分に移動しやすい傾向がある。よって、第1の部分に水が滞留する状態を改善することができる。そして、第2の部分に移動した水は、アノードガス流路を第2の部分上にも設けているので、かかるアノードガス流路を通じて外部に適切に排水することができる。
このようにして、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層の第1の部分においてフラッディングを引き起こす状態を軽減することができる。そして、仮に、アノードガス拡散層の第1の部分においてフラッディングが発生した場合、電気化学式水素ポンプの水素拡散性が阻害され、これにより、電気化学式水素ポンプの過電圧が上昇する可能性、電圧が変動する可能性などがあるが、本態様の電気化学式水素ポンプは、以上の構成により、このような可能性を低減できる。
本開示の第2態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様の電気化学式水素ポンプにおいて、アノードガス拡散層と電解質膜との間に、複数の通気孔を備えるアノードガス拡散板を備え、複数の通気孔は、アノードガス拡散層の第2の部分上よりもアノードガス拡散層の第1の部分上に多く設けられており、第2の部分に対向するアノードガス拡散板上に、電解質膜を介してシール部材が設けられていてもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層と電解質膜との間にアノードガス拡散板を設けた場合であっても、アノードガス拡散層の第1の部分に対向するアノードガス拡散板の通気孔を通じて、アノード触媒層とアノードガス拡散層との間でアノードガスを通過可能に構成できる。そして、アノードガス拡散層の第1の部分に対向するアノードガス拡散板の部分に比べてアノードガス拡散層の第2の部分に対向するアノードガス拡散板の部分では通気孔が少ないので、アノードガス拡散板の後者の部分は、前者の部分に比べて平坦面を構成しやすくなる。すると、シール部材およびアノードガス拡散板の後者の部分を用いて、電気化学式水素ポンプのカソードを適切にシールすることができる。
本開示の第3態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様の電気化学式水素ポンプにおいて、アノードガス流路は、アノードガスがアノードガス拡散層の第1の部分上を流れた後、アノードガス拡散層の第2の部分上を流れるように形成されており、かつアノードガス流路に供給されるアノードガスの露点がセル温度と同じであってもよい。
電解質膜を十分な湿潤状態に維持する観点からMEAに供給するアノードガスの露点はセル温度とほぼ同じ温度に調整することが望ましい。この場合でも、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層の撥水性を適切に調整することで、アノードガス拡散層の第1の部分においてフラッディングを引き起こす状態を軽減することができる。
本開示の第4態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様の電気化学式水素ポンプにおいて、アノードガス流路は、アノードガスがアノードガス拡散層の第2の部分上を流れた後、アノードガス拡散層の第1の部分上を流れるように形成されており、かつアノードガス流路に供給されるアノードガスの露点がセル温度より低くてもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガスの露点がセル温度より低い場合、アノードガスが、撥水性が低い第2の部分上、および、撥水性が高い第1の部分上をこの順番に流れることで、アノードガスの加湿に第2の部分に存在する水を効果的に利用できる。また、第2の部分に存在する水をアノードガスの加湿に利用することで、第1の部分から第2の部分への水の移動を促進することができる。
本開示の第5態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様の電気化学式水素ポンプにおいて、アノードガス拡散層の第1の部分は、中心部から外周部に向けて、撥水性が低下していてもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、第1の部分が、中心部から外周部に向けて撥水性を低下することで、アノードガス拡散層の第1の部分のうち、撥水性が高い中心部に存在する水を撥水性が低い外周部に効果的に移動させることができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、本態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において同じ符号が付いたものは説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
(第1実施形態)
[装置構成]
図1Aおよび図1Bは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図1Bには、図1Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図が示されている。
図1Aおよび図1Bに示す例では、電気化学式水素ポンプ100は、電解質膜22と、アノード触媒層23と、カソード触媒層24と、電圧印加器21と、アノードガス拡散層35と、アノードセパレータ36と、を備える。
なお、図1Aでは、便宜上、アノード触媒層23およびカソード触媒層24が設けられている電解質膜22と、アノードガス拡散層35と、アノードセパレータ36とが分離したように描かれているが、実際は、これらの部材は、図1Aの一点鎖線で示された配置関係で一体的に配置されている。
具体的には、例えば、アノードガス拡散層35は、アノードセパレータ36の凹部36Aに収納されている。また、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aの周縁部35Gがアノード触媒層23の端部と一致するように、両者が接合されている。
電解質膜22は、プロトン(H)伝導性を備える電解質膜である。電解質膜22はプロトン伝導性を備える電解質膜であれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜22として、フッ素系高分子電解質膜などを挙げることができる。具体的には、電解質膜22として、例えば、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができるが、これらに限定されない。
アノード触媒層23は、電解質膜22の一方の主面に設けられている。アノード触媒層23は、例えば、触媒金属として白金(Pt)などを含んでもよいが、これに限定されない。なお、図1Aおよび図1Bでは図示を省略しているが、平面視において、アノード触媒層23の周囲を囲むようにシール部材が設けられ、アノードガスが、このシール部材で適切にシールされている。
カソード触媒層24は、電解質膜22の他方の主面に設けられている。カソード触媒層24は、例えば、触媒金属としてPtなどを含んでもよいが、これに限定されない。なお、図1Aおよび図1Bでは図示を省略しているが、平面視において、カソード触媒層24の周囲を囲むようにシール部材が設けられ、カソードガスが、このシール部材で適切にシールされている。
カソード触媒層24もアノード触媒層23も、触媒の調製方法としては、種々の方法を挙げることができるので、特に限定されない。例えば、触媒の担体としては、導電性の酸化物粉末、炭素系粉末などを挙げることができる。炭素系粉末としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、電気導電性を有する活性炭などの粉末を挙げることができる。カーボンなどの担体に、白金若しくは他の触媒金属を担持する方法は、特に限定されない。例えば、粉末混合または液相混合などの方法を用いてもよい。後者の液相混合としては、例えば、触媒成分コロイド液にカーボンなどの担体を分散させ、吸着させる方法などが挙げられる。また、必要に応じて活性酸素除去材を担体として、白金若しくは他の触媒金属を上記と同様の方法で担持することができる。白金などの触媒金属の担体への担持状態は、特に限定されない。例えば、触媒金属を微粒子化し、高分散で担体に担持してもよい。
アノードガス拡散層35は、アノード触媒層23上に設けられている。アノードガス拡散層35は、例えば、多孔質体などで構成され、耐腐食性、導電性およびガス拡散性を備える。また、アノードガス拡散層35は、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作時に電気化学式水素ポンプ100のアノードおよびカソードの間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制し得る高剛性材料で構成する方が望ましい。なお、電気化学式水素ポンプ100のアノード(電極)は、アノード触媒層23およびアノードガス拡散層35で構成されている。電気化学式水素ポンプ100のカソード(電極)は、カソード触媒層24およびカソードガス拡散層(図1Aでは図示せず)で構成されている。
ここで、アノードガス拡散層35は、撥水性が高い第1の部分35Aと、撥水性が低い第2の部分35Bを備えるが、かかるアノードガス拡散層35の詳細な構成の一例は後で説明する。
アノードセパレータ36は、アノードガス拡散層35上に設けられている。アノードガス拡散層35は、上記のとおり、アノードセパレータ36の中央部分の凹部36A内に収納されている。
そして、アノードセパレータ36のアノードガス拡散層35に接する主面には、例えば、アノードガス拡散層35にアノードガスを供給するためのサーペンタイン状のアノードガス流路37が形成されている。なお、アノードガス流路37は、アノードセパレータ36とは別の板部材にサーペンタイン状のスリット孔に設け、両者を一体的に接合することで形成してもよいし、アノードセパレータ36の主面にサーペンタイン状の流路溝を加工することで形成してもよい。アノードセパレータ36の詳細については後で説明する。
電圧印加器21は、アノード触媒層23とカソード触媒層24との間に電圧を印加する装置である。
電圧印加器21は、アノード触媒層23とカソード触媒層24との間に電圧を印加することができれば、どのような構成であってもよい。具体的には、電圧印加器21の高電位側端子が、アノード触媒層23に接続され、電圧印加器21の低電位側端子が、カソード触媒層24に接続されている。これにより、電圧印加器21を用いて、アノード触媒層23およびカソード触媒層24の間で通電が行われる。
電圧印加器21として、例えば、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータなどを挙げることができる。DC/DCコンバータは、電圧印加器21が、バッテリなどの直流電源と接続された場合に用いられ、AC/DCコンバータは、電圧印加器21が、商用電源などの交流電源と接続された場合に用いられる。
ここで、図1Aおよび図1Bには示されていないが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作において必要となる部材および機器は適宜、設けられる。
例えば、電気化学式水素ポンプ100は、MEA、アノードセパレータ36およびカソードセパレータで構成される単セルを10〜200個程度、積み重ねて積層体を構成し、この積層体を、集電板および絶縁板を介して端板で挟み、両端板を締結ロッドなどで締結してもよい。なお、このような単セルの個数は、電気化学式水素ポンプ100の運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。このとき、高圧ガスが電気化学式水素ポンプ100から外部へリークしないように、MEAの両側からOリング、ガスケットなどのシール部材が設けられ、MEAと一体化して予め組み立てられていてもよい。そして、MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するMEA同士を互いに電気的に直列に接続するための上記の導電性のアノードセパレータ36およびカソードセパレータが配置されている。
また、所定の供給圧を有する外部のアノードガス供給源から電気化学式水素ポンプ100にアノードガスが供給されてもよい。外部のアノードガス供給源として、例えば、ガス貯蔵器(例えば、ガスボンベ)、ガス供給インフラなどを挙げることができる。アノードガスとして、例えば、水素ガスを挙げることができる。この場合、水素ガスは、例えば、水電解装置などで生成されてもよい。
また、電気化学式水素ポンプ100のカソードから導出された水素は、適宜の水素需要体に供給することができる。水素需要体として、例えば、家庭用または自動車用の燃料電池などを挙げることができる。
なお、以上の図示しない様々な部材および機器は例示であって、本例に限定されない。
[アノードガス拡散層の構成]
図2は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードガス拡散層の一例を示す図である。図2には、図1のアノードガス拡散層35を平面視した図が示されている。
アノードガス拡散層35は、上記のとおり、撥水性が高い第1の部分35Aと、撥水性が低い第2の部分35Bを備える。
具体的には、図1および図2に示すように、アノードガス拡散層35の面積は、アノード触媒層23の面積よりも大きく、かつアノード触媒層23に対向する第1の部分35Aの方がアノード触媒層23に対向していない第2の部分35Bよりも撥水性が高い。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、平面視において、第1の部分35Aが、アノードガス拡散層35の中央部分に相当し、第2の部分35Bが、第1の部分35Aの周縁部35Gを環状に囲むアノードガス拡散層35の周辺部分に相当する。
アノードガス拡散層35は、白金メッキが施されたチタン(Ti)粉末焼結体などの耐腐食性および導電性を備える多孔質体で構成されているが、これに限定されない。
ここで、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aは、チタン粉末焼結体をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)溶液中に浸み込ませて焼成することにより撥水処理が平面内でほぼ均等に施されている。具体的には、図2の拡大図で示すように、多孔質構造のチタン粉末焼結体の表面上には、適量のPTFE粒子35Pが付着している。これにより、第1の部分35Aにおいて撥水性が発現されている。なお、このような第1の部分35Aの撥水処理は例示であって、本例に限定されない。
一方、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bは、上記の撥水処理が施されていない。具体的には、図2の拡大図で示すように、多孔質構造のチタン粉末焼結体の表面には、PTFE粒子35Pが付着していない。
以上のアノードガス拡散層35は例示であって、本例に限定されない。例えば、平面視において、第1の部分35Aの形状は円盤状であり、第2の部分35Bの形状が円環状であるが、これらに限定されない。第1の部分35Aの平面視の形状が矩形状であり、第2の部分35Bの平面視の形状が矩形環状であってもよい。また、アノードガス拡散層35の撥水性の他の例は、第5実施形態で説明する。
[アノードセパレータの構成]
図3は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードセパレータの一例を示す図である。図3には、図1のアノードセパレータ36を平面視した図が示されている。なお、図3では、便宜上、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aの周縁部35Gに対応するラインを二点鎖線で描いている。
アノードガス流路37は、アノードガス拡散層35の第1の部分35A上および第2の部分35B上に設けられている。
図3に示す例では、アノードガス流入口37INおよびサーペンタイン状に延伸するアノードガス流路37の部分が、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aに接触するアノードセパレータ36の主面に形成されている。また、第1の部分35Aの周縁部35Gを横切った後、周縁部35Gの周囲を囲むように円状に延伸するアノードガス流路37の部分およびアノードガス流出口37OUTが、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに接触するアノードセパレータ36の主面に形成されている。
アノードセパレータ36は、例えば、金属部材などで構成され、耐腐食性および導電性を備える。アノードセパレータ36の材質として、例えば、白金メッキが施されたチタンなどを用いることができるが、これに限定されない。
以上のアノードセパレータ36は例示であって、本例に限定されない。例えば、アノードセパレータ36の形状は、有底の円筒体であるが、これに限定されない。アノードセパレータ36の形状は、有底の矩形筒体であってもよい。但し、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100の如く、アノードセパレータ36を円筒体で構成することにより、これを矩形筒体で構成する場合に比べ、アノードセパレータ36のガス圧力に対する耐性を向上させることができる。
また、アノードセパレータ36のアノードガス流路の他の例は第1実施形態の変形例で説明する。
[動作]
以下、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作について、図面を参照しながら説明する。
以下の動作は、例えば、図示しない制御器の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部または全部の動作を行ってもよい。
まず、アノードガス流路37を通じて電気化学式水素ポンプ100のアノードに水素含有ガスが供給されるとともに、電圧印加器21の電力が電気化学式水素ポンプ100に給電される。
すると、電気化学式水素ポンプ100のアノードのアノード触媒層23において、酸化反応で水素分子が水素イオン(プロトン)と電子とに分離する(式(1))。プロトンは、図1Bに示すように、電解質膜22内を伝導してカソード触媒層24に移動する。電子は電圧印加器21を通じてカソードのカソード触媒層24に移動する。
そして、カソードのカソード触媒層24において、還元反応で水素分子が再び生成される(式(2))。
このとき、図1Bに示すように、プロトンが電解質膜22中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノードからカソードにプロトンと同伴して移動することが知られている。この水は、例えば、室温に保たれた適宜の水凝縮トラップ(図示せず)などにより、一部は電気化学式水素ポンプ100のカソードで導出された水素ガスから除去される。
ここで、電気化学式水素ポンプ100のカソードで導出された水素ガスが流通するガス導出経路(図示せず)に設けられた流量調整器(例えば、図示しない配管に設けられた背圧弁、調整弁など)を用いて、ガス導出経路の圧損を増加させることにより、カソードで生成された水素ガスを昇圧することができる。よって、高圧状態の水素ガスを、例えば、図示しない水素貯蔵器に貯蔵することができる。
アノード:H(低圧)→2H+2e ・・・(1)
カソード:2H+2e→H(高圧) ・・・(2)
ところで、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作時には、電気化学式水素ポンプ100のアノードからカソードにプロトンと同伴して移動(浸透)した水が、図1Bの点線で示す如く、カソードおよびアノード間の差圧によってカソードからアノードに逆流(逆浸透)する。すると、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aにおいてフラッディング(水によるガス流路の閉塞現象)を引き起こすことが多い。
例えば、固体高分子形の電解質膜22は、一般に、水分が不足する場合、プロトン伝導性が低下するので、湿潤状態のアノードガスが、電気化学式水素ポンプ100のアノードに供給される。このとき、アノードガス中の水素は、全量もしくは一部が、電気化学式水素ポンプ100のカソードで圧縮される。なお、アノードガス流出口37OUTから排出したアノードガスは、リサイクルガスとしてアノードガス流入口37INに戻される。
ここで、電気化学式水素ポンプ100のアノードからカソードにプロトンが移動するときに、同伴水として水が移動するが、アノードガス中の水素が全量、カソードで圧縮される場合、アノードにおいて水分が蓄積されていく。
また、アノードガスの一部をリサイクルガスとして排出したとしても、アノードに逆浸透した水により、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aはフラッディング状態になりやすい。この理由は、上記のとおり、電解質膜22を十分な湿潤状態に維持する観点から電気化学式水素ポンプ100のアノードに供給するアノードガスの露点はセル温度とほぼ同じ温度に調整することが望ましいからである。
以上により、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作時に、カソードを高圧に保つ場合、アノードでは、凝縮水によりガス流路の閉塞が発生することで、水素拡散性が阻害されやすくなる。
そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層35の第1の部分35A(ここでは、中央部分)の方が、アノードガス拡散層35の第2の部分35B(ここでは、周辺部分)よりも撥水性が高くなるように構成されている。また、アノードセパレータ36のアノードガス流路37を、第1の部分35A上および第2の部分35B上に設けるように構成されている。
これにより、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aのフラッディングを軽減することで、従来よりも水素圧縮動作を高効率で安定に行い得る。
具体的には、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層35の第1の部分35A(ここでは、中央部分)の方が、アノードガス拡散層35の第2の部分35B(ここで、周辺部分)よりも撥水性が高いので、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aに存在する水は、第1の部分35Aから第2の部分35Bに移動しやすい傾向がある。よって、第1の部分35Aに水が滞留する状態を改善することができる。
そして、第2の部分35Bに移動した水は、アノードガス流路37およびアノードガス流出口37OUTを第2の部分35B上にも設けているので、かかるアノードガス流路37およびアノードガス流出口37OUTを通じて外部に適切に排水することができる。特に、第1の部分35Aの周縁部35Gの周囲を囲むように円状に延伸するアノードガス流路37の部分に流れ込んだ水を、この部分におけるアノードガスの流れの作用によって、アノードガス流出口37OUTから効果的に排水することができる。
このようにして、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aにおいてフラッディングを引き起こす状態を軽減することができる。そして、仮に、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aにおいてフラッディングが発生した場合、電気化学式水素ポンプ100の水素拡散性が阻害され、これにより、電気化学式水素ポンプ100の過電圧が上昇する可能性、電圧が変動する可能性などがあるが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、以上の構成により、このような可能性を低減できる。
(変形例)
図4は、第1実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプのアノードセパレータの一例を示す図である。図4には、図1のアノードセパレータ36を平面視した図が示されている。なお、図4では、便宜上、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aの周縁部35Gに対応するラインを二点鎖線で描いている。
アノードセパレータ36のアノードガス流路137は、アノードガス拡散層35の第1の部分35A上および第2の部分35B上に設けられている。
図4に示す例では、アノードガス流入口137INおよびサーペンタイン状に延伸するアノードガス流路137の部分が、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aに接触するアノードセパレータ36の主面に形成されている。また、第1の部分35Aの周縁部35Gを横切った後のアノードガス流路137の部分およびアノードガス流出口137OUTが、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに接触するアノードセパレータ36の主面に形成されている。
これにより、第2の部分35Bに移動した水は、アノードガス流路137およびアノードガス流出口137OUTを第2の部分35B上にも設けているので、かかるアノードガス流路137およびアノードガス流出口137OUTを通じて外部に排水することができる。但し、第2の部分35Bに移動した水を、アノードガスの流れの作用によってアノードガス流出口37OUTから効果的に排水させるには、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100の如く、第1の部分35Aの周縁部35Gの周囲を囲むように円状にアノードガス流路を延伸させる方が望ましい。
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図5に示す例では、電気化学式水素ポンプ100は、電解質膜22と、アノード触媒層23と、カソード触媒層24と、電圧印加器21(図5では図示せず)と、アノードガス拡散層35と、アノードセパレータ36と、アノードガス拡散板34と、シール部材33と、を備える。
電解質膜22、アノード触媒層23、カソード触媒層24、電圧印加器21、アノードガス拡散層35およびアノードセパレータ36は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
なお、図5では、便宜上、アノード触媒層23およびカソード触媒層24が設けられている電解質膜22と、アノードガス拡散層35と、アノードセパレータ36と、アノードガス拡散板34と、が分離したように描かれているが、実際は、これらの部材は、図5の一点鎖線で示された配置関係で一体的に配置されている。
図6は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードガス拡散板の一例を示す図である。図6には、図5のアノードガス拡散板34を平面視した図が示されている。なお、図6では、便宜上、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aの周縁部35Gに対応するラインを二点鎖線で描いている。
アノードガス拡散板34は、アノードガス拡散層35と電解質膜22との間に設けられており、複数の通気孔を備える。そして、アノードガス拡散板34の複数の通気孔は、アノードガス拡散層35の第2の部分35B上よりもアノードガス拡散層35の第1の部分35A上に多く設けられている。
ここで、「アノードガス拡散板34の複数の通気孔は、アノードガス拡散層35の第2の部分35B上よりもアノードガス拡散層35の第1の部分35A上に多く設けられている」とは、第1の部分35Aに接触するアノードガス拡散板34の部分にのみ通気孔が形成されており、第2の部分35Bに接触するアノードガス拡散板34の部分に通気孔が形成されていない形態を含む。また、第1の部分35Aに接触するアノードガス拡散板34の部分に形成された通気孔の単位面積当たりの個数が、第2の部分35Bに接触するアノードガス拡散板34の部分に形成された通気孔の単位面積当たりの個数よりも多い形態を含む。このとき、シール部材33でカソードをシールするため、第2の部分35Bに接触するアノードガス拡散板34の部分のうち、シール部材33の真上または外側に対応する部分には、通気孔を設けないのが適当である。
アノードガス拡散板34は、例えば、金属板などで構成され、耐腐食性および導電性を備える。アノードガス拡散板34として、例えば、金メッキが施されたステンレス板を用いることができるが、これに限定されない。
図6に示すように、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに接触するアノードガス拡散板34の中央部分には、通気孔34Hが形成されている。これにより、アノード触媒層23とアノードガス拡散層35の第1の部分35Aとの間でアノードガスが通過可能になっている。通気孔34Hは、例えば、数十ミクロンの間隔で開けて均等に設けられた数十ミクロン程度の開口であるが、これに限定されない。このような通気孔34Hは、例えば、レーザー加工などにより形成することができる。一方、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに接触するアノードガス拡散板34の周辺部分には、通気孔が形成されていない。
図5に示すように、シール部材33は、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに対向するアノードガス拡散板34上に、電解質膜22を介して設けられている。つまり、シール部材33は、平面視において、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bと同様の円環状に形成されている。シール部材33として、例えば、Oリングなどを用いることができるが、これに限定されない。
図5の二点鎖線に示す如く、カソード触媒層24上にカソードガス拡散層31が設けられ、カソードガス拡散層31上にカソードセパレータ32がそれぞれ設けられている。そして、カソードガス拡散層31は、カソードセパレータ32の中央部分の凹部内に収納されている。
カソードガス拡散層31は、例えば、多孔質体などで構成され、耐腐食性、導電性およびガス拡散性を備える。例えば、カソードガス拡散層31は、白金メッキが施されたチタン繊維焼結体などの耐腐食性および導電性を備える多孔質体で構成されているが、これに限定されない。
カソードガス拡散層31は、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作時にアノードおよびカソードの間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に追従し得る座屈しにくい弾性材料で構成する方が望ましい。
カソードセパレータ32は、例えば、金属部材などで構成され、耐腐食性および導電性を備える。カソードセパレータ32の材質として、例えば、白金メッキが施されたチタンなどを用いることができるが、これに限定されない。
ここで、上記のシール部材33は、カソードセパレータ32に設けられている。具体的には、カソードセパレータ32の中央部分には上記のカソードガス拡散層31が収納され、カソードセパレータ32の外周部分は、電解質膜22に接触している。そして、この外周部分の適所に、円環状の溝が形成されており、シール部材33がこの溝に嵌めこまれている。これにより、シール部材33は、電解質膜22を介してアノードガス拡散板34の通気孔が形成されていない周辺部分を押圧している。なお、カソードセパレータ32の適所には、カソードガス拡散層31からの高圧状態の水素ガスを外部へ導出するためのガス導出口32Aが設けられている、
以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層35と電解質膜22との間にアノードガス拡散板34を設けた場合であっても、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aに対向するアノードガス拡散板34の通気孔34Hを通じて、アノード触媒層23とアノードガス拡散層35との間でアノードガスを通過可能に構成できる。
そして、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに対向するアノードガス拡散板34の周辺部分では通気孔34Hがない。つまり、本例では、アノードガス拡散板34の中央部分にのみ、通気孔34Hが形成され、アノードガス拡散板34の周辺部分には通気孔34Hが形成されていない。よって、アノードガス拡散板34の周辺部分では、アノードガス拡散板34の中央部分に比べて平坦面を構成しやすくなる。すると、シール部材33およびアノードガス拡散板34の周辺部分を用いて、電気化学式水素ポンプ100のカソードを適切にシールすることができる。これにより、電気化学式水素ポンプ100は、カソードのガス圧を高圧に維持可能に構成されている。
以上のアノードガス拡散板34およびシール部材33は例示であって、本例に限定されない。例えば、平面視において、アノードガス拡散板34の形状は、アノードガス拡散層35と同形の円盤状であり、シール部材33の形状は円環状であるが、これらに限定されない。アノードガス拡散層35の平面視の形状が矩形状の場合、アノードガス拡散板34の平面視の形状が矩形状であり、シール部材33の平面視の形状が矩形環状であってもよい。
なお、カソードセパレータ32の形状は、有底の円筒体であってもよいし、有底の矩形筒体であってもよい。但し、カソードセパレータ32を円筒体で構成することにより、これを矩形筒体で構成する場合に比べ、カソードセパレータ32のガス圧力に対する耐性を向上させることができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス流路37に供給されるアノードガスの露点を特定したこと以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
つまり、アノードガス流路37は、アノードガスがアノードガス拡散層35の第1の部分35A上を流れた後、アノードガス拡散層35の第2の部分35B上を流れるように形成されており、かつアノードガス流路37に供給されるアノードガスの露点がセル温度と同じである。
上記のとおり、電解質膜22を十分な湿潤状態に維持する観点から電気化学式水素ポンプ100のアノードに供給するアノードガスの露点はセル温度とほぼ同じ温度に調整することが望ましい。この場合でも、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層35の撥水性を適切に調整することで、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aにおいてフラッディングを引き起こす状態を軽減することができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例および第2実施形態のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図9は、第4実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードセパレータの一例を示す図である。図9には、図8のアノードセパレータ36を平面視した図が示されている。なお、図9では、便宜上、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aの周縁部35Gに対応するラインを二点鎖線で描いている。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス流路37に供給されるアノードガスの露点を特定したこと、および、アノードガスの流れ方向を逆にしたこと以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
つまり、アノードガス流路237は、アノードガスがアノードガス拡散層35の第2の部分35B上を流れた後、アノードガス拡散層35の第1の部分35A上を流れるように形成されており、かつアノードガス流路237に供給されるアノードガスの露点がセル温度より低い。具体的には、図9に示す如く、アノードガス流入口237INおよびアノードガス拡散層35の第1の部分35Aの周縁部35Gの周囲を囲むように円状に延伸するアノードガス流路237の部分が、アノードガス拡散層35の第2の部分35Bに接触するアノードセパレータ36の主面に形成されている。また、第1の部分35Aの周縁部35Gを横切った後、サーペンタイン状に延伸するアノードガス流路237の部分およびアノードガス流出口237OUTが、アノードガス拡散層35の第1の部分35Aに接触するアノードセパレータ36の主面に形成されている。
以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガスの露点がセル温度より低い場合、アノードガスが、撥水性が低い第2の部分35B上、および、撥水性が高い第1の部分35A上をこの順番に流れることで、アノードガスの加湿に第2の部分35Bに存在する水を効果的に利用することができる。また、第2の部分35Bに存在する水をアノードガスの加湿に利用することで、第1の部分35Aから第2の部分35Bへの水の移動を促進することができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態および第3実施形態のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態の電気化学式水素ポンプのアノードガス拡散層の一例を示す図である。図10には、アノードガス拡散層135を平面視した図が示されている。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層135の第1の部分135Aの撥水性を平面内で不均等に施したこと以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
つまり、アノードガス拡散層135の第1の部分135Aは、中心部から外周部に向けて、撥水性が低下している。具体的には、図10に示す如く、アノードガス拡散層135の第1の部分135Aの周辺部では、第1の部分135Aの中心部に比べて、多孔質構造のチタン粉末焼結体の表面に付着したPTFE粒子135Pの付着量が少ない。これにより、第1の部分135Aの周辺部の撥水性を、第1の部分135Aの中心部に比べて低くすることができる。なお、アノードガス拡散層135の第2の部分135Bは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様、多孔質構造のチタン粉末焼結体の表面には、PTFE粒子135Pが付着していない。
以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層135の第1の部分135Aが、中心部から外周部に向けて撥水性を低下させることで、第1の部分135Aにおいて、撥水性が高い中心部に存在する水を撥水性が低い外周部に効果的に移動させることができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態および第4実施形態のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
なお、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態および第5実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
また、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本開示の一態様は、アノードガス拡散層のフラッディングを軽減することで、従来よりも水素圧縮動作を高効率で安定に行い得る電気化学式水素ポンプに利用することができる。
21 :電圧印加器
22 :電解質膜
23 :アノード触媒層
24 :カソード触媒層
31 :カソードガス拡散層
32 :カソードセパレータ
32A :ガス導出口
33 :シール部材
34 :アノードガス拡散板
34H :通気孔
35 :アノードガス拡散層
35A :第1の部分
35B :第2の部分
35G :周縁部
35P :PTFE粒子
36 :アノードセパレータ
36A :凹部
37 :アノードガス流路
37IN :アノードガス流入口
37OUT :アノードガス流出口
100 :電気化学式水素ポンプ
135 :アノードガス拡散層
135A :第1の部分
135B :第2の部分
135P :PTFE粒子
137 :アノードガス流路
137IN :アノードガス流入口
137OUT :アノードガス流出口
237 :アノードガス流路
237IN :アノードガス流入口
237OUT :アノードガス流出口

Claims (5)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の主面に設けられたアノード触媒層と、
    前記電解質膜の他方の主面に設けられたカソード触媒層と、
    前記アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層と、
    前記アノードガス拡散層上に設けられたアノードセパレータと、
    前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に電圧を印加する電圧印加器とを備え、
    前記アノードガス拡散層は、前記アノード触媒層よりも面積が大きく、かつ前記アノード触媒層に対向する第1の部分の方が前記アノード触媒層に対向していない第2の部分よりも撥水性が高く、
    前記アノードセパレータに設けられたアノードガス流路は、前記第1の部分上および前記第2の部分上に設けられている電気化学式水素ポンプ。
  2. 前記アノードガス拡散層と前記電解質膜との間に、複数の通気孔を備えるアノードガス拡散板を備え、前記複数の通気孔は、前記第2の部分上よりも前記第1の部分上に多く設けられており、前記第2の部分に対向するアノードガス拡散板上に、前記電解質膜を介してシール部材が設けられている請求項1記載の電気化学式水素ポンプ。
  3. 前記アノードガス流路は、アノードガスが前記第1の部分上を流れた後、前記第2の部分上を流れるように形成されており、かつ前記アノードガス流路に供給されるアノードガスの露点がセル温度と同じである請求項1記載の電気化学式水素ポンプ。
  4. 前記アノードガス流路は、アノードガスが前記第2の部分上を流れた後、前記第1の部分上を流れるように形成されており、かつ前記アノードガス流路に供給されるアノードガスの露点がセル温度より低い請求項1記載の電気化学式水素ポンプ。
  5. 前記第1の部分は、中心部から外周部に向けて、撥水性が低下している請求項1記載の電気化学式水素ポンプ。
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