JP2019118912A - 溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】板厚比が高い溶接対象を溶接する場合でも、精度良く溶接を行うことを目的とする。【解決手段】溶接中の電極の冷却を、総板厚に対する再外板厚に応じて制御する。そのため、溶接対象の板厚比が高い場合には、電極に電流を印加している間に電極の冷却を低減または停止することが可能となる。これにより、電極の変形を抑制しながら、溶接中に電極の発熱が必要以上に低減されることを抑制し、電極が低温になりすぎてナゲットの成長が不十分になることを抑制することにより、板厚比が高い溶接対象を溶接する場合でも、十分な接合を行うことが可能となる。【選択図】図4

Description

本発明は、被溶接材を溶接する溶接装置等に関する。
複数枚の板材等を重ねて接合する場合、スポット溶接により接合される場合がある。スポット溶接は、抵抗発熱を利用して金属の接合を行う抵抗溶接法の一種である。スポット溶接では、被溶接材を重ね合わせた状態で、電極により被溶接材を加圧し、さらに電極から電流を印加し、溶接部を抵抗発熱によって加熱して局部的に被溶接材を溶融させて、被溶接材を冶金的に接合する。スポット溶接において、溶融凝固した部分は、「ナゲット」と称され、ナゲットにおいて溶接対象が接合される。
スポット溶接に用いられる溶接装置は、向かい合う一対の電極と、電極を保持するガンと、電極に冷却水を流通させて電極を冷却する冷却装置とを備える。電極は、溶接対象を一対の電極間に挟み込んで加圧可能なように、互いの間隔を変化させる方向に相対的に移動できる構成である。また、電極は、圧接される溶接対象に任意の電流を印加することが可能な構成である。そして、電流を印加中の電極を冷却するために、冷却装置は電極に冷却水を流通させて電極を冷却する。ここで、電極は、電流を印加する際に、電極自身を流れる電流により高温となる。そのため、電極は、やがて溶融して軟化し、溶接対象を加圧することと相まって、電極の先端形状が変形する。これを抑制するために、電極に電流を印加する際には、同時に、電極を冷却装置により冷却していた。
このように、従来のスポット溶接は、重ね合わせた複数の被溶接材を電極で挟んで加圧した状態で、電極を冷却しながら電極間に電流を流通させることにより、被溶接材間を溶融接合するものである。
特開2013−202683号公報
しかしながら、従来のスポット溶接では、板厚比の高い溶接対象を溶接する際に、溶接不良が発生するという問題点があった。
ここで、板厚比は、最外部の被溶接材の厚さ(以下、再外板厚とも称す)に対する全被溶接材の合計厚さ(以下、総板厚とも称す)の比を示し、総板厚を再外板厚で除した値である。つまり、「板厚比が高い」とは、溶接される溶接対象の合計の厚さに対して、最外部の被溶接材の厚さが薄い状態をいう。
スポット溶接では、電極間の中央部付近からナゲットが成長する。そのため、溶接対象の板厚比が高いと、ナゲットが最外部の被溶接材に到達することが困難になる。特に、電極を冷却すると、溶接部の発熱が低減し、ナゲットの成長が阻害されることになる。そのため、電極を冷却することによりナゲットの成長が十分に行われないスポット溶接において、最外部の被溶接材の厚さが薄い溶接対象の溶接を行うと、ナゲットが最外部の被溶接材に到達しない場合が生じ、板厚比の高い溶接対象を溶接する際に、溶接不良が発生する場合があった。
上記問題点を解決するために、本発明の溶接装置は、板厚比が高い溶接対象を溶接する場合でも、精度良く溶接を行うことを目的とする。
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討したところ、溶接に用いる電極の冷却を制御することにより、溶接に伴い溶接対象に形成されるナゲットの成長を制御できるとの知見に至った。具体的には、電極の変形を抑制するとの観点からすると、溶接時には電極を十分に冷却することが望ましい。しかしながら、溶接中に電極を過剰に冷却してしまうと、電極が低温になりすぎてナゲットの成長が不十分となり、溶接不良の原因になりかねないとの知見に至った。かかる検討を繰り返し鋭意検討するうち、本発明者らは、電極の冷却制御を行うことにより、ナゲットの成長方向を制御できることを見いだした。
かかる知見に基づいて提供される本発明の溶接装置は、溶接対象を挟んで加圧すると共に前記溶接対象に電流を印加する複数の電極と、前記電極を駆動させる駆動装置と、前記電極に電流を印加する電源供給装置と、前記電極を冷却可能な冷却装置と、前記駆動装置、前記電源供給装置および前記冷却装置の動作を制御する制御装置とを有し、前記制御装置により前記冷却装置による前記電極の冷却を制御を行うことにより、前記溶接対象に形成されるナゲットの成長方向を制御できることを特徴とする。
かかる構成によれば、冷却装置による電極の冷却を制御装置で制御することで、溶接対象に形成されるナゲットの成長方向を制御可能な溶接装置を提供できる。
本発明者らがさらに鋭意検討を重ねた結果、溶接対象を挟み込む各電極について個別に冷却制御を行うことにより、ナゲットの成長方向を任意に制御できるとの知見に至った。具体的には、例えば一対の電極を用いて溶接する場合、一方の電極が他方よりも低温になるように冷却制御を行うと、低温になっている電極の側よりも、高温になっている電極の側にナゲットが成長しやすい傾向にあることを見いだした。
かかる知見に基づけば、前記制御装置は、前記電極の内の少なくとも1つの電極に対する冷却を個別に制御可能であっても良い。
かかる構成によれば、電極の冷却制御を行うことにより、ナゲットの成長方向を制御可能となる。そのため、上述した構成によれば、例えば板厚比が高い溶接対象を溶接する場合のように、溶接が難しい溶接対象に対して溶接を行う場合であっても、高精度に十分な接合を行うことが可能となる。
また、上記溶接装置において、前記制御装置は、前記溶接対象の板厚比が所定の値以上となることを条件として、前記電極への電流の印加中に冷却を停止するように前記冷却装置を制御しても良い。
このように、溶接対象の板厚比が高い場合に、電極の冷却を停止することにより、電極の温度が低減しすぎることを抑制し、より確実に、最外部の被溶接材にナゲットが成長することを促進することができ、板厚比が高い溶接対象を溶接する場合でも、十分な接合を行うことが可能となる。
また、上記溶接装置において、前記冷却装置は、冷却水を前記電極に流通させることにより、前記電極を冷却しても良い。
このように、冷却水を流通させることで電極を冷却することにより、冷却水の流通量で冷却度を調整することができ、容易に冷却の制御を行うことができる。
また、上記溶接装置において、前記電極の温度を測定する温度測定器をさらに有し、前記制御装置は、電極温度に応じて前記冷却装置の動作を制御しても良い。
このように、電極の温度に応じて電極の冷却を制御することにより、電極の温度が低下してナゲットの成長が阻害されている場合のみ電極の冷却を低減させることができる。そのため、必要に応じて冷却を抑制してナゲットの成長を促すことができ、電極の変形を最大限抑制しながら、板厚比が高い溶接対象を溶接する場合でも、十分な接合を行うことが可能となる。
以上のように、板厚比が高い溶接対象を溶接する場合でも、精度良く溶接を行うことができる。
本発明の溶接装置の概略構成を例示する図 本発明の溶接装置における電極の構成例を説明する断面図 溶接対象におけるナゲットの成長を説明する図 本発明の溶接装置における冷却工程を説明する図
まず、図1を用いて本発明の溶接装置の構成例について説明する。
図1は本発明の溶接装置の概略構成を例示する図である。
図1に例示するように、本発明の溶接装置1は、電極4と、電極4を保持するガン6と、電極4およびガン6を備えるロボット8と、電極4に電流を印加するトランス10と、トランス10に印加する電流を制御するタイマー12と、電極4の冷却を行う冷却装置14と、タイマー12、冷却装置14およびロボット8の動作を制御する制御装置16とを備える。なお、このような溶接装置1は、トランス10とガン6とを備えることから、トラガンとも称される。
溶接装置1において、溶接対象18を挟持しながら加圧すると共に、溶接対象18に電流を流通させることができるように、一対の電極4を備えたガン6が設けられる。溶接対象18は、複数の被溶接材が重ねられたものである。溶接対象18において、隣り合う被溶接材間が溶接により接合される。
電極4およびガン6の詳細については後述するが、大略は次の通りである。すなわち、ガン6には一対の電極4が保持されると共に、電極4が互いに接近または離間する方向に移動可能とされている。電極4は、溶接対象18を加圧すると共に、溶接対象18に所定の電流を流通させることにより、電極間の溶接対象18を加熱・溶融させて溶接対象18を溶接する。電極4に印加される電流の電流量は、溶接対象18の厚さや、被溶接材それぞれの厚さ、必要な溶接強度等に応じて定めることができ、トランス10によって調整される。
トランス10は、タイマー12を介して印加された電流を、所定の電流値に変換した上、電極4に変換された電流を印加する。例えば、タイマー12を介して印加された400Vで数Aの電流を、3〜5Vで15000Aの電流に変換して電極4に印加する。タイマー12は、トランス10を介して電極4に電流を印加するタイミングを制御する。トランス10は、制御装置16により制御され、制御装置16はタイマー12を介してトランス10を制御することもできる。
冷却装置14は、電極4を冷却する装置であり、電極4から溶接対象18に電流を印加する際に電極4を冷却する。溶接の際には、電極4に電流が流れるので、電極が加熱されて軟化する。この際、電極4は溶接対象18を加圧しているので、軟化された電極4は溶接対象18からの力を受ける。そのため、電極4の先端は、溶接を繰り返すことにより、変形したり破損したりする。電極4の先端形状は、溶接対象18と接する面積により、溶接対象18に印加される電流の電流密度や溶接対象18への加圧力に影響を及ぼす。電流密度や加圧力は溶接精度に影響を及ぼすため、通常、溶接装置1では、電極4の先端形状を一定の範囲内に維持するため、定期的に電極4の先端を削って先端形状を調整したり、電極4自体を交換したりしていた。さらに、電極4の変形を抑制するため、溶接中に電極4を冷却している。冷却は、例えば、電極4中に冷却水を流通させることにより行うことができる。以下の説明では、冷却水を用いた冷却装置14を例として説明するが、電極4を冷却できれば、冷却装置14の構成は任意である。
ロボット8は、電極4、ガン6およびロボットアーム20を含んで構成される。ロボット8はロボットアーム20により、ガン6を所定の範囲内で任意の位置に移動させることが可能な構成であり、ガン6を所定の溶接位置に移動させる。また、上述のように、ガン6は電極4を移動させる。
制御装置16は、ロボット8の動作を制御すると同時に、タイマー12の動作を制御する。さらに、制御装置16は、冷却装置14の動作を制御する。上述のように、従来の溶接装置では、電極4から溶接対象18に電流を印加して溶接を実施する際に、電極4を常時冷却する。本発明の溶接装置1は、溶接対象18が高板厚比の場合には、電流の印加中に電極4を冷却する冷却水の供給を停止または低減することができる。例えば、溶接対象18の板厚比が4以上である場合、作業者によりその情報が制御装置16に入力され、制御装置16は、電極4へ電流を印加する際に冷却水の供給を停止するように冷却装置14を制御する。なお、冷却水の供給を停止または低減する際の条件は、溶接対象18が高板厚比である場合に限らず、高板厚比であることに代えて、あるいは高板厚比であることに加えて、再外板厚が所定の厚さより薄いこと等の他の条件を設けても良く、これらのナゲットの成長が不足する状況を条件とすることができる。制御装置16等は、電極4への電流の印加に用いられる電源とは異なる、より低電圧の電源から電力が印加される。
詳細な説明については後述するが、電極4が冷却されて電極4が低温になることにより、溶接対象18内部でのナゲットの成長が阻害される傾向にある。溶接対象18の板厚比が高い場合、最外部の被溶接材の厚さ(再外板厚)が薄いため、ナゲットが成長しても最外部の被溶接材に到達しない場合がある。そのため、最外部の被溶接材が接合されず、溶接不良となる場合があった。これに対して、詳細な説明については後述するが、本発明の溶接装置1では、電極4からの電流の印加中に、冷却水を停止するため、電極4の加熱が継続され、電極4が冷却される場合に比べて高温になる。そのため、ナゲットの成長が促進され、最外部の被溶接材にナゲットが到達する。これにより、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、高い確実性で溶接を行うことが可能となり、精度良く溶接を行うことができる。
なお、電極4は一対に限らず、溶接対象18を挟持し、溶接対象18に電流を流通させることが可能な構成であれば、3以上の電極4が用いられても良い。
また、上記説明ではトランス10により、電極4に印加する電流量を調整したが、所定の電流を電極4に印加できれば、トランス10以外の装置から電流を印加することもできる。また、外部から所定の電流を電極4に直接印加できれば、トランス10等は不要である。
また、図1では、電極4への電流の印加に係るタイマー12と、制御装置16等とを、別の電源から電力を印加する構成として例示しているが、共通の電源から電力を印加しても良く、また、各機器それぞれが、必要に応じて別電源から電力の印加を受けても良い。
また、電極4およびガン6の駆動は、制御装置16の指示を受けてロボット8が駆動装置として機能して行われる。例えば、電極4が互いに接近し、また離間する動作は、ガン6により駆動され、ガン6の移動はロボットアーム20により行われる。
また、タイマー12およびトランス10は、電極4に電流を印加する電源供給装置として機能する。電源供給装置は、電極4に所定の電流量を印加できれば、これ以外の構成とすることもできる。
あらためて、図1,図2を用いて電極およびガンの構成についてより詳細に説明する。
図2は本発明の溶接装置における電極の構成例を説明する断面図であり、電極およびガンの内部の要部構造を模式的に示している。
前述のようにガン6は、一対の電極4を備えている。具体的には、ガン6は、2つの先端部が互いに離間して向かい合う構成である。2つの先端部には、それぞれ電極4が保持されている。ガン6は、電極4が互いに近接・離間し、電極4間に配置された溶接対象18を加圧することが可能なように、電極4を突出させ、没入させることが可能な構成である。また、ガン6には、内部に電源線22が設けられている。電源線22は、電極4とトランス10とに接続され、トランス10から印加される電流を電極4に流通させる。また、ガン6には、内部に冷却水管24が設けられている。冷却水管24は、電極4と冷却装置14とに接続され、冷却装置14からそれぞれの電極4に冷却水を循環させる構成である。冷却水管24は、2重の管状構造であり、内部に給水管26が挿通されている。冷却水管24において、冷却装置14から供給された冷却水は、給水管26を通り、電極4の内部で排出される。排出された冷却水により電極4が冷却され、冷却水は、給水管26の周囲の冷却水管24内部を通って冷却装置14に循環される。また、ガン6は、ロボットアーム20により、3次元方向に自在に移動可能であり、作業位置に応じて移動される。
それぞれの電極4は、銅等の導電性を有する金属等から構成される。電極4は、電源線22と接続されており、電源線22を介して、トランス10から電流が印加される。一対の電極4間に電流が印加されることにより、電極4に挟持された溶接対象18に電流が流れる。流れる電流により、電極4は加熱される。同時に、流れる電流により溶接対象18が加熱され、電極4から伝わる熱と相まって、被溶接材が溶融接合される。それぞれの電極4は内部が中空構造であり、冷却水管24が挿入される。給水管26から導入された冷却水は、電極4の内部の中空構造内流入し、電極4を冷却する。電極4を冷却した冷却水は、給水管26周囲の冷却水管24内部に流入し、冷却装置14に循環される。溶接を行う際には、一対の電極4は、互いに近接する方向に突出することにより、溶接対象18を挟持すると共に溶接対象18を加圧する。この状態で、電極4に電流を流通させて溶接対象18に電流を流通させ、電極4と溶接対象18とを加熱し、溶接対象18にナゲットを形成して、被溶接材を接合する。通常、電極4に電流を印加する際には、冷却装置14から電極4に冷却水を流通させて電極4を冷却する。本発明の溶接装置1においては、溶接対象18の板厚比が一定の値以上の場合、電極4への電流の印加中に、電極4への冷却水の流通を停止することが可能である。電極4の冷却を停止することにより、電極4が加熱されて、ナゲットの成長が促進され、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、確実に被溶接材を接合することが可能となる。
次に、図1〜図3を用いて、前述したナゲットの形成と被溶接材の接合との関係について、一般論に基づく説明を交えつつ、本実施形態の溶接装置1にて行われる接合方法について詳細に説明する。
図3は溶接対象におけるナゲットの成長を説明する図である。
図3(a)において、溶接対象18の最外部の内のより薄い被溶接材28が十分厚く、溶接対象18の板厚比=ta/Taは十分に低い。この場合、従来の溶接装置においても、良好な溶接が可能である。すなわち、電極4に電流を印加中に電極4の冷却を継続しても、ナゲット30が被溶接材28に到達でき、溶接対象18の溶接が十分に行われる。
図3(b)において、溶接対象18の最外部の内のより薄い被溶接材32が薄く、溶接対象18の板厚比=tb/Tbが所定の値以上となるとする。例えば、板厚比が4以上であったとする。この場合、従来の溶接装置においては、ナゲット34が被溶接材32に到達せず、被溶接材32は接合されず、溶接対象18は溶接不良となる。これは、電極4に電流を印加中に電極4の冷却を継続するため、ナゲット34の成長が阻害され、ナゲット34が被溶接材32に到達しないためである。
ここで、図3(a)におけるナゲット30と図3(b)におけるナゲット34は、同じ溶接装置で溶接を行っているため、ほぼ同様である。ナゲット30,34は、溶接対象18の板厚方向の中心付近で形成され、電極4の方向に一定の範囲で成長する。そのため、板厚比が低く、最外部の被溶接材28が十分に厚い場合は、ナゲット30が被溶接材28に到達して、溶接対象18が良好に溶接される。逆に、板厚比が高く、最外部の被溶接材32が薄い場合は、ナゲット34が被溶接材32に到達せず、溶接対象18が溶接不良となる。
一般的に、溶接の強度を高くするためには、溶接対象18を流れる電流の電流密度等が問題になる。具体的には、流れる電流の電流量や、電流が流れる時間、電極4の先端形状、電極4が溶接対象18を加圧する加圧力等により、溶接の強度や溶接範囲が決定される。これに加えて、ナゲット30,34の成長は、電極4の温度にも影響される。例えば、従来の溶接装置では、電極4に電流を印加する際に、電極4の先端形状が変形することを抑制するために電極4を冷却する。そのため、溶接中に電極4が加熱することが抑制され、電極4から溶接対象18に伝わる熱が制限されて溶接対象18の電極4と接する領域の温度が上がらず、溶接対象18の加熱が限定的となる。その結果、溶接対象18は、電極4が冷却されない場合に比べて溶接対象18の温度が上がらず、ナゲット30,34の成長も限定的になる。
以上のことを考慮して、本発明の溶接装置1では、電極4に電流を印加中には、電極4への冷却水の流通を停止して電極4の冷却を行わないようにする。これにより、従来の溶接装置に比べて溶接中の電極4の温度が高くなり、溶接対象18に伝わる熱が増加し、溶接対象18の温度が高くなる。そのため、図3(c)に示すように、溶接対象18で成長するナゲット36が拡大する。
図3(c)において、図3(b)と同様に、溶接対象18の最外部の被溶接材32が薄く、溶接対象18の板厚比=tb/Tbが所定の値以上となるとする。本発明の溶接装置1を用いた場合、電極4に電流を印加中には、電極4への冷却水の流通を停止して電極4の冷却を行わないようにする。そのため、溶接中に電極4の温度が十分に上昇し、電極4と接する領域近傍の溶接対象18の温度も十分に上昇する。結果として、ナゲット36が電極4の方向に十分に成長することができ、ナゲット36が被溶接材32に到達する。従って、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、確実に被溶接材32を接合することが可能となる。
次に、図1〜図4を用いて、本発明の溶接装置1における電流の印加と冷却のタイミングを説明する。
図4は本発明の溶接装置における冷却工程を説明する図である。
図4において、横軸は溶接工程における通電時間をサイクルで表し、縦軸は電極4に印加する電流の電流量および電極4の冷却のために循環させる冷却水の冷却水量を表す。
まず、図4の実線で示すように、電極4の変形を抑制するために電極4に冷却水を流通させる。
次に、電極4に電流を印加する際に、冷却水の流通を停止させて、電極4の冷却を停止する。そして、電極4に所定の電流量の電流を印加する。電流を印加することにより、溶接対象18に電流が流通し、溶接対象18が徐々に溶融してナゲット36が成長していき、溶接対象18の溶接が進行する。この際、上述のように、電極4の冷却を停止しているため、電極4の温度が一定以上に維持される。これにより、電極4から溶接対象18に伝わる熱量が多くなり溶接対象18の温度の上昇を促進すると共に、電極4自体の温度が維持されることにより、電極4と接する領域近傍の溶接対象18の温度が低下することも防止される。その結果、溶接対象18内でナゲット36の成長が促進され、ナゲット36が最外部の被溶接材32に到達することが容易となり、良好に溶接が行われる確度が向上する。
次に、所定の時間電流を印加すると、電極4への電流の印加を停止する。
最後に、電極4への冷却水の流通を再開して、電極4の冷却を再開する。このように、電極4に電流を印加している間のみ、電極4の冷却を停止し、それ以外の期間は電極4を冷却することにより、電極4が必要以上に高温となることを抑制できる。そのため、電極4が軟化することを抑制し、電極4の先端形状が変形することを予防することができる。
以上のように、本発明の溶接装置1では、冷却工程を制御し、電極4に電流を印加している間のみ電極4の冷却を停止し、その前後には電極4の冷却を行う。これにより、電極4に電流を印加中に電極4および溶接対象18の温度を維持することができるため、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、確実に被溶接材32を接合することができ、溶接精度を向上させることができる。同時に、これ以外の期間には電極4の冷却を行い、電極4を十分に冷却することができるため、電極4の先端形状の変形を抑制することができる。
なお、図4においては、電極4に電流を所定の電流量まで一気に印加し、印加する電流量を一定時間保持した後、一気に電流量を低減させている。電流の印加工程はこれに限らず、所定の電流量に印加した後、その電流量を保持し、その後さらに電流量を増加するように、電流量の増加と減少を複数段に分けて行っても良い。例えば、維持する電流量を3段階に増減させる3段通電や、7段階に増減させる7段通電を行うこともできる。
また、冷却の停止は電極4への電流の印加の開始前に行い、冷却の再開は電極4への電流の印加の停止後に行ったが、冷却の停止および再開は、電極4への電流の印加の開始および停止と同時、または所定の間隔で前後しても良い。
また、以上の説明においては、一対の電極4の両方の冷却を制御していたが、一方のみを制御するようにしても良い。例えば、より薄い被溶接材32と接する電極4のみに対して、電極4に電流を印加している間冷却を停止し、他方の電極4に対しては冷却を継続しても良い。これにより、少なくとも冷却を停止した電極4側にはナゲット36
より成長し、より薄い被溶接材32にナゲット36が到達する。また、他方の電極4は冷却が継続されるため、より確実に電極4の先端形状の変形が抑制される。そのため、電極4の先端形状の変形を抑制しながら、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、確実に被溶接材32を接合することができる。
また、本発明の溶接装置1において、電極4の温度を測定する温度測定器をさらに設けても良い。温度測定器により電極4の温度を測定し、制御装置16に温度情報を送信する。そして、溶接対象18の板厚比が所定以上に高い場合、電極4の温度が一定の温度以下に低下した場合のみ、制御装置16により、冷却装置14が冷却水の供給を停止するように制御する。さらに、電極4の温度が一定の温度異常に増加した場合は、制御装置16により、冷却装置14が冷却水の供給を再開する。このように、電極4の温度変化をモニターし、電極4の温度に応じて電極4の冷却を制御する。これにより、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、必要に応じて冷却を停止するため、より効率的、かつ確実に被溶接材32を接合することができる。同時に、必要以上に電極4の加熱を促進することが抑制され、より確実に、電極4の先端形状の変形を抑制することができる。
以上の各溶接装置1において、さらに、溶接対象18を構成する各被溶接材の厚さを測定する板厚測定器を設けても良い。板厚測定器により、各被溶接材の厚さを測定し、制御装置16にそれぞれの厚さを送信する。制御装置16は、受信した各被溶接材の厚さから板厚比を算出する。そして、板厚比が所定の値以上となる場合には、制御装置16は、上述のような、電極4に電流を印加する際の冷却制御を実施する。これにより、板厚比を判断して、自動的に冷却制御を行うことができる。そのため、作業者が板厚比の確認と、溶接装置の操作を行うことなく、簡便に、電極4の先端形状の変形を抑制しながら、溶接対象18の板厚比が高い場合であっても、確実に被溶接材32を接合することができる。
1 溶接装置
4 電極
6 ガン
8 ロボット
10 トランス
12 タイマー
14 冷却装置
16 制御装置
18 溶接対象
20 ロボットアーム
22 電源線
24 冷却水管
26 給水管
28 被溶接材
30 ナゲット
32 被溶接材
34 ナゲット
36 ナゲット

Claims (1)

  1. 溶接対象を挟んで加圧すると共に前記溶接対象に電流を印加する複数の電極と、
    前記電極を駆動させる駆動装置と、
    前記電極に電流を印加する電源供給装置と、
    前記電極を冷却可能な冷却装置と、
    前記駆動装置、前記電源供給装置および前記冷却装置の動作を制御する制御装置と
    を有し、
    前記制御装置により前記冷却装置による前記電極の冷却を制御を行うことにより、前記溶接対象に形成されるナゲットの成長方向を制御できることを特徴とする溶接装置。
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