以下の説明では、本開示の概念が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細事項を提示している。本開示の概念は、これらの詳細事項のうちのいくつか又はすべてが無くとも実施可能である。他の例において、本開示が不必要に不明瞭になることを避けるため、周知の動作については詳細な説明を省略している。いくつかの概念は特定の実施例に関連づけて説明するが、これらの実施例が限定を意図するものではないことは理解されよう。むしろ、これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の精神及び範囲に含まれうる代替例、変形例及び均等物を包含することを意図するものである。
例えば、本開示の技術的特徴を、外板パネルなどの航空機の特定の構造に関連づけて説明するが、本開示の技術特徴及び機構は、様々な他の輸送体又は建物における他の様々なパネルアセンブリに適用可能である。以下の説明では、本開示が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細事項を提示している。本開示の特定の実施形態の例は、これらの詳細事項のうちのいくつか又はすべてが無くとも実施可能である。他の例において、本開示が不必要に不明瞭になることを避けるため、周知の動作については詳細な説明を省略している。本開示の様々な技術的特徴及び機構は、明瞭性のために単数形で記載する場合があるが、実施形態によっては、そのような技術的特徴を複数使用したり、そのような機構を複数設けることを含む場合があることは理解されよう。
本開示は、航空機及びその他の輸送体、あるいは、産業システムに用いられる新規な補強ストリンガパネル(stiffened stringer panel)アセンブリについて記載する。本開示において、「ストリンガ」、「ロンジロン」、「スティフナ」、「支持構造」及び「支持部材」は、同義に用いられる場合がある。本開示に記載の補強ストリンガパネルは、積層スタック(laminated stack)から成る位置決め部(index)を一体的に備える。
各位置決め部は、第1積層スタックと第2積層スタックから成る一対の積層スタックを含む。各積層スタックは、パネルの外板部材の内表面に形成された複合材料の複数のプライで構成されている。本明細書において、位置決め部を構成する積層スタックにおける複合材料のプライを、「位置決めプライ」を呼ぶ場合がある。第1積層スタック及び第2積層スタックは、両積層スタックの間に特定の断面形状を有する位置決め溝を画成する。積層スタックは、成形用マンドレルなどの支持ツールを保持するよう構成されている。支持ツールは、位置決め溝の断面形状に適合する断面形状を含み、支持ツールにおける1つ以上の面が積層スタックと面接触する構成であってもよい。
支持ツールは、補強ストリンガパネルの形成プロセスにおいて様々な支持構造の形状を支持するために用いられ、例えば、内部が空洞のスティフナを硬化させるプロセスにおいて用いられる。適切な構造強度を有する適切な形状の支持構造を正しい位置に形成するためには、支持ツールを適切にアライメントしなければならない。
従来の補強ストリンガパネルの作製では、支持ツールの配置を手動で行うので、労力及びツールへの依存度が非常に高くなりうる。従来のシステムには、光レーザによるテンプレートなどの複雑な誘導システムを備えることで、支持ツールをパネルに手動で配置する際の誘導を実現するものがある。また、誘導システムに基づいて支持ツールを配置する自動ピックアンドプレースシステムを利用することも可能であるが、アイテム(ツール、ストリンガ、及び、その他のパネル部材)を適切に配置するように自動化システムをプログラムするには、保持・載置作業並びに測定テストを繰り返し行うため、コストと労力を要する可能性がある。このように、支持ツール又はストリンガの正確な配置を実現するには、労力及び作業時間の増加が伴う。
また、部材の大きさ及び柔軟性に起因して、部材の搬送、配置、及び、アライメントには、手間や時間がかかるとともに、大型の機器と広い床面積が必要である。例えば、長さ110フィートのストリンガは、同じ長さの支持ツールを必要としうる。そのような大型の支持ツールを取り扱うことにより、コストが増加し、製造のスループットが低下する。
本明細書によれば、一体的な位置決め溝に支持ツールを配置することによって、支持ツールは補強ストリンガパネルに対して適切にアライメントされる。例えば、一体的な位置決め部は、支持ツールを適切にアライメントさせる誘導構造として機能する。加えて、この構成によれば、支持ツールを補強ストリンガパネルに安全に配置することができ、これにより、製造プロセス全体を通じて適切なアライメントを保証することができる。また、位置決め部の積層スタックは、硬化プロセスにおいて、支持ツールによって支持されるストリンガをさらに支持するとともに、パネルに構造的な支持を付加する。一体的な位置決め溝を自動ピックアンドプレースシステムと併せて用いれば、製造プロセスにおける支持ツールの配置及びアライメントを完全に自動化することができる。加えて、この一体的な位置決め溝によれば、自動テープ配置プロセスを利用して、高精度にツールをアライメントさせることができる。
したがって、本明細書のシステム及びアセンブリによれば、支持ツールの配置及びアライメントを手動で行って構造的支持部材を製造する従来のシステムを改良することができる。本開示に記載のアセンブリによれば、支持ツールのアライメントを、従来のシステムよりも正確に、効率よく、自動で行うことができるので、労力の低減を可能にし、大規模なツールや取り扱い機器を不要にすることができる。
本開示の様々な実施形態おいて提供することができる補強ストリンガパネル100の一実施例について、図1を参照して説明する。図1に示すように、パネル100は、横軸(X軸)、長手軸(Y軸)、及び、垂直軸(Z軸)によって規定される。いくつかの実施形態では、パネル100は、航空機の胴体外殻の一部である。ただし、他の実施形態では、パネル100は、様々な他の構造の一部であってもよい。例えば、様々なパネルは、外板パネルの一部であってもよいし、あるいは、垂直及び水平安定板の構造又は操縦翼面の構造の一部であってもよい。
図1に示すように、パネル100は、内表面110−Aを有する外板部材110を含む。様々な実施形態において、パネル100は、フレーム106を有する構造である。パネル100は、例えば、パネル100の内表面110−Aに沿ってストリンガ120を接合するなど、1つ以上の補強支持構造によって強化することができる。いくつかの実施形態では、ストリンガ120は、図1に示すY軸と平行な飛行方向105とストリンガ120の長さ方向が実質的に平行な配置になるように構成されている。ただし、様々な実施形態において、補強支持構造は、主構造体の荷重及びたわみを低減するために、荷重経路及びたわみ方向に基づいて様々な他の角度で配置することができる。加えて、補強支持構造には、例えば、配線用ブラケットの取り付け、あるいは、ストリンガを介したガス抜きなどに必要な箇所など、他の機能に必要な他の配向のものも含まれる。
ストリンガ120は、異なる構造特性に合わせた様々な断面形状を有するように構成することができる。ストリンガの種類としては、ハット型のストリンガなど、閉塞された断面形状を有するもの、あるいは、L型ストリンガなど、開放された断面形状を有するものが含まれる。その他の成形ストリンガの種類としては、ブレード型ストリンガ(blade stringer)、Z型ストリンガ、C型ストリンガ、などがある。図2は、従来のストリンガパネルアセンブリ構造200の一例を示す断面図である。いくつかの実施形態では、構造200は、パネル100であって、図2は、当該パネルを長手軸に対応するA−A視点(図1に示す)から見た断面を示している。
図示のように、パネル200は、外板部材210を含み、ハット型ストリンガ220が内表面210−Aに沿って設けられている。いくつかの実施形態では、ストリンガ220は、構造的及び製造的な品質のために必要であれば、ベース材(base charge)211上に配置される。ただし、他の実施形態では、ストリンガ220は、外板部材210上に直接配置される。
様々な実施形態のパネルアセンブリにおいては、ストリンガの硬化あるいは配置に際して、支持ツールを用いてストリンガを構造的、あるいは、位置的に支持する必要がある。支持ツール230としては、例えば、成形用マンドレルが含まれる。成形用マンドレルは、中実のゴム製マンドレル(solid rubber mandrel)、発泡ゴム製マンドレル(expanding rubber mandrel)、粘土や粉体で形成されたウォッシュアウト式マンドレル(washout mandrel)、及び、フライアウェイ式発泡マンドレル(flyaway foam mandrel)などの様々な種類のマンドレルのうちの任意のものである。他の実施形態では、支持ツールは、膨張袋型(inflatable bladder type)であってもよい。いくつかの実施形態では、ヌードル(noodle)240などの様々なアール付フィラー(radius filler)240を含むことができる。これらは、ストリンガ220と、支持ツール230と、ベース材211又は外板部材210と、の間の隙間を充填するよう機能して、硬化の際に樹脂だまりの形成を防止することができる。
ストリンガパネルアセンブリにおいては、ストリンガの位置に加え、ストリンガの姿勢及び形状を正確に制御するために、支持ツールを外板部材又はベース材上で正確にアライメントする必要がある。従来のパネルアセンブリでは、支持ツール及び/又はストリンガの配置及び/又はアライメントを行う際に、通常、大型のツールを用いて、支持ツールを持ち上げ、移動させ、配置する。加えて、正確な配置を実現するには、例えば、レーザによるテンプレートを利用してレーザで示される境界線に沿って手作業での配置を誘導するなど、様々な方法を用いる。様々な他のアライメント機構も、手作業での支持ツールの配置の誘導に用いる場合がある。手作業による支持ツールのアライメントを正確に実行しようとすると、必要な労力及び製造時間が増加することになる。
加えて、支持ツールは、一般的に長尺であり、ストリンガと同じ長さのものもある。上述したように、777X型航空機のストリンガは、110フィートにも及ぶ。例えば、長さ110フィートの中実のゴム製マンドレルは、かなりの重量になる。また、そのような大型の支持ツールは、支持ツールの成形、配置、及び、搬送にも大型の取り扱いツール及び機器を必要とする。例えば、そのようなツールの搬送及び操作には、ピックアンドプレース機器を用いるが、その大きさのため、支持ツールの配置に際して寸法的なばらつきも発生しうる。これは、製造効率に影響するとともに、作業時間及び製造スループットのコストを増加させる要因となりうる。
パネルの外板部材に積層スタックを一体的に設けることによって、支持ツールを自動でアライメントする位置決め構造をパネルの内表面に沿って一体的に構成することができる。図3A及び図3Bを参照すると、1つ以上の実施形態における補強ストリンガパネル300の一実施例の断面が示されており、位置決め積層スタックが一体化されている。様々な実施形態において、補強ストリンガパネル300は、外板部材310を有し、支持ツール位置決め部350が外板部材310の内表面310−Aに配置されている。いくつかの実施形態では、外板部材310は、複合材料の複数のプライ又はレイヤを含む。本明細書において、複合材料のプライは、外板部材を構成するものであり、「外板部材プライ」又は「パネルプライ」とも称する。いくつかの実施形態では、外板部材310に加えて、あるいは、その代わりに、ベース材、又は、その他の構造が上層に設けられていてもよい。
様々な実施形態において、位置決め部350は、積層スタック351及び積層スタック352を含む。各積層スタックは、プリプレグなどの複合材料で形成された位置決めプライの複数のプライ又はレイヤを含む。この詳細については、図5A、図5B、図5Cを参照して後述する。各積層スタックは、外表面及び内表面を有する。積層スタック351は、内表面351−A及び外表面351−Bを有し、積層スタック352は、内表面352−A及び外表面352−Bを有する。
この2つの積層スタック351及び352の内表面351−Aと352−Aとの間に、溝354が形成される。いくつかの実施形態では、溝354は、内表面351−A、内表面352−A、及び、外板部材310の内表面310−Aによって形成される。ただし、他の実施形態では、溝354は、図3D及び図3Eに示すように、積層スタックの内表面によってのみ形成されうる。さらに他の実施形態では、図5Bに示すように、溝は、ベース材、又は、その他の上層構造(higher level assembly structure)によって形成される。いくつかの実施形態では、溝の形状は、マンドレルなどの支持ツールの一部分の形状に対応する。よって、積層スタック351及び352は、図3Bに示す支持ツール330のように、溝354で支持ツールを保持するよう構成されている。いくつかの実施形態では、支持ツール330は、支持ツール230である。いくつかの実施形態では、支持ツール330は、内側プライラップ(inner ply wrap)332で包まれている。例えば、様々な支持ツールとしては、通気性の白繊維(breather white fabric)やプラスチックシートなどの調製材料(prepped material)が含まれる。
いくつかの実施形態では、支持ツールの表面は、各積層スタックの内表面と面接触する。いくつかの実施形態では、支持ツールの底面も、外板部材310の内表面310−A、又は、ベース材などのその他の上層構造と面接触する。様々な実施形態において、支持ツール330は、溝354に配置されることで、位置決め部350においてパネル300に対して自動的にアライメントされる。加えて、このような構成によって、配置後の支持ツール330の移動を防ぎ、よって、適切なアライメントを維持できるように、より安全に支持ツール330を配置する構成が提供される。
支持ツール330が位置決め部350に配置されてアライメントされると、次いで、ストリンガ320がパネル300に配置される。様々な実施形態において、ストリンガ320は、丸み付けされたストリンガであり、丸み付けされたキャップ部322を有する。本明細書において「丸み付けされたストリンガ」との用語は、「丸み付けされたハット形状のストリンガ」あるいは「オメガ型ストリンガ(omega stringer)」と同義に用いられる場合がある。ただし、本明細書に記載の実施形態は、対応する支持ツールの形状に依存して、様々なストリンガ形状を用いて実現することが可能である。ストリンガ320のキャップ部322は、一方の積層スタック351から他方の積層スタック352に跨って延び、外板部材310の内表面310−Aに位置するフランジ部324を形成する。図3Bにおいては、説明のためフランジ部324に影をつけて示している。いくつかの実施形態では、ストリンガ320は、複数のストリンガプライを含む被覆積層体(cover laminate)から成る。いくつかの実施形態では、ストリンガプライは、複合材料で形成されている。いくつかの実施形態では、ストリンガプライを構成する複合材料は、パネルプライ又は積層スタック351及び352の位置決めプライを構成する材料と同じである。
支持ツール330の上面の形状は、ストリンガ320のキャップ部の形状に対応する。したがって、ストリンガ320のキャップ部は、支持ツール330と面接触する。加えて、積層スタック351及び352は、アール付フィラーと同様に機能して、支持ツール330と協働して、ストリンガ320の形状及び構造を支持することができる。積層スタック351及び352などのスタックは、パネル自体の剛性及び保全性にも寄与する。
いくつかの実施形態では、支持ツールと、積層スタックと、ストリンガの間に空間370又は隙間が空いている。これは、積層スタックを形成するのに用いられる複合材料の厚みに対する制限により生じうる。ただし、そのような空間370は、積層スタックが支持ツール330と協働してストリンガ320を支持する機能に影響を与えるものではなく、無視しても構わない。そのような空間は、パネルアセンブリが未焼成で硬化されていない状態においてのみ存在する。共硬化、又は、共結合プロセスを行うと、部材が収縮し、また、樹脂が流れることによって、空間370は消滅する。
いくつかの実施形態では、アール付フィラー240などの追加のフィラーを積層スタックの上に配置して、そのような空間を充填することができる。図3Bに示すように、アール付フィラー340を積層スタック351の最上層プライの上に配置して、支持ツール330と、積層スタック351と、ストリンガ320との間の空間を充填している。いくつかの実施形態では、別のフィラーを用いて空間370を充填してもよい。他の実施形態では、支持ツール330は、空間370を充填するように構成されており、ストリンガとの接触面積が大きくなっている。この詳細は、図3Cを参照して後述する。このようなアール付フィラーは、プリプレグ樹脂と炭素繊維の比率を変えたものを用いて、あるいは、類似の材料特性を有する他の材料を用いて予め作製しておくことができる。
いくつかの実施形態では、積層スタックは、様々な他の支持ツールの形状に対応する様々な断面形状の溝を形成するように構成されている。図3A及び図3Bに示すように、底部に丸みをつけたマンドレルが、積層スタック351及び352によって支持されている。図3Cは、位置決め用積層スタックを一体化した補強ストリンガパネル300−Aの別の例を示す断面図である。図3Cに示すパネル300−Aは、外板部材311を含み、これは、外板部材311の内表面311−Aに設けられた積層スタック361−A及び362−Aから成る位置決め部360−Aを含む。図示のように、積層スタック361−A及び362−Aの内表面は、支持ツール330−Aの底部の形状に対応した矩形断面を有する溝364−Aを形成する。
ただし、このような矩形の構成においては、積層スタックと支持ツールとの間の形状公差が厳密であることが要求される。これにより、両積層スタックが適切に離間しており、支持ツールが両積層スタックの間に適切に嵌り込む大きさであることが保証される。したがって、この構成は、積層スタックの壁と支持ツールとの寸法差が正確であって、支持ツールの方がわずかに小さく、積層スタックの方がわずかに大きいことを要件とする。一例では、支持ツールの幅は、2インチに対して+0.000インチ、−0.002インチであり、溝の幅は、2インチに対して+0.002インチ、−0.000インチである。
丸み付けされた溝の利点の1つとして、丸み付けされた底部を有する支持ツールを溝で安定して保持することが比較的容易である。よって、図3A及び図3B、あるいは、後述する図3Eに示すような曲線の実施形態によれば、支持ツールと溝を互いに中心線でアライメントすることができる。また、曲面の構成によれば、支持ツールと位置決め部との間に生じうる隙間を小さくしたり、あるいは、無くしたりすることが可能である。
図3Dは、位置決め用積層スタックを一体化した補強ストリンガパネル300−Bの別の実施例を示す断面図である。図3Dに示すパネル300−Bは、外板部材311を含み、これは、外板部材311の内表面311−Aに設けられた積層スタック361−B及び362−Bから成る位置決め部360−Bを含む。図示のように、積層スタック361−B及び362−Bの内表面は、支持ツール330−Bの形状に対応したひし形の断面形状を有する溝364−Bを形成している。このようなひし形の構成によっても、支持ツール330−Bをひし形の溝364−Bで安定して保持して、支持ツールと溝をそれぞれの中心線でアライメントさせることができる。積層スタックは、異なる支持ツールを収用する様々な断面形状に構成することができる。
図3Cに示すように、支持ツール330−Aは、積層スタック361−A及び362−Aの頂面と接触する面を形成する段部(ledge)334−A及び335−Aを含むように構成することができる。この段部によって、支持ツール330−Aがさらに支持されるので、適切なアライメントを確実にすることができる。加えて、段部を有することによって、支持ツールの形状が最適化されて、隙間を可能な限り充填することができる。例えば、段部を有することによって、支持ツール330−Aの表面を積層スタックの外表面とほぼ連続させることができるので、位置決め部と、支持ツールと、ストリンガとの間に生じうる空間370などの空間や隙間を小さくしたり、無くしたりすることができる。
図3Eは、1つ以上の実施形態における、位置決め用積層スタックを一体化した補強ストリンガパネル300−Cの別の実施例を、対応する支持ツールと共に示す断面図である。図3Eに示すように、パネル300−Cは、位置決め部360−Cを含み、これを構成する積層スタック361−C及び362−Cは、全体が曲面である溝364−Cを形成する。位置決め部360−Cは、対応する形状の底部を有する支持ツール330−Cが嵌るように構成されている。支持ツール330−Cは、段部335−Cを1つのみ有する。この構成によれば、支持ツール330−Cを1つの積層スタック、即ち積層スタック362−Cに当接させて位置決めすることができる。具体的には、支持ツールを溝364−C内で回転して当該積層スタック362−Cに当接させることで、溝364−Cで安定して保持することができる。様々な実施形態において、記載した補強ストリンガパネル及び支持ツールは、異なる組み合わせの段部及び底部形状の構成を含んでもよく、これにより、上述したような所望の位置決め特性を備えるようにできる。
したがって、記載の補強ストリンガパネルによれば、より簡易且つ合理的に航空機及びその他の輸送体又は構造体の部材を製造することが可能になる。パネルが位置決め機構を一体的に備えるので、支持ツールの配置を不正確な手作業で行ったり、適切なアライメントのために複雑な誘導機構や取り扱い機器を使用したりする必要がなくなる。したがって、補強ストリンガパネルをより精度よく構成することができ、パネルを適切にアライメントして、品質を向上させることができる。加えて、既存のシステムにおいて、高価な取り扱い機器を用いて支持ツールを搬送し、取り付けるために要していた労力及び時間を大幅に低減することができる。よって、パネルが備える位置決め機構を利用して製造がおこなわれるので、支持ツールを取り扱うための労力及び時間を低減することができる。全体として、製造に要する時間及びコストを低減しつつ、質の高いパネルを製造することができる。
上述したように、位置決め部350の積層スタックは、複合材料の複数のレイヤ又はプライを含む。様々な実施形態において、複合材料は,エポキシなどの熱硬化性のポリマーマトリックス材料又は樹脂系(resin system)を予備含浸させた複合ファイバなど、様々な予備含浸複合材料(又は、「プリプレグ」)を含む。例えば、樹脂系(通常は、エポキシ)は、適切な硬化剤を既に含んでいる。したがって、プリプレグは、樹脂を一切追加しなくても、そのまま、金型に配置したり、あるいは、外板部材310などの表面に配置することが可能である。いくつかの実施形態では、複合材料は、樹脂を注入した、あるいは、熱成形されたものである。
いくつかの実施形態では、位置決め部350の積層スタックは、外板部材310と共硬化、又は、共接合される。例えば、積層スタックは、共接合プロセスによって外板部材310に接合する前に、予め作製し、硬化しておくことができる。そのような実施例では、外板部材310は、共接合プロセスの前に予め硬化しておいてもよいし、硬化しておかなくてもよい。別の実施例では、積層スタックを予め作製しておき、硬化済みの外板部材310上に配置して、共接合してもよい。別の実施例では、積層スタックを予め作製しておき、これを外板部材310上に配置して、一緒に硬化してもよい。外板部材310に接合する前に積層スタックを予め作製しておくような実施形態では、積層スタックを手作業で外板部材310に配置することも可能である。ただし、積層スタックを手作業によって配置する場合には、支持ツールとの正確なアライメントを保証するために、正確な測定及び誘導が必要になる。
他の実施形態では、位置決め部350の積層スタックは、複合材料の条材(strip)を外板部材310に積層し、後に共硬化又は共接合することで形成することもできる。いくつかの実施形態では、複合材料の条材は、ロボットアームによって、あるいは、エンドエフェクタを備えるガントリ機構によって自動積層することができる。例えば、複合材料の条材を回転リールに蓄積しておき、これを送出してアセンブリ構造の上に成形、及び/又は、積層する。このように、複合材料の条材を自動で積層して位置決め部の積層スタックを形成することで、補強ストリンガパネルにおける人為的なミスを排除して、精密さ及びアライメントを向上させることができる。他の実施例では、複合材料の幅を一層ずつ変えながら積層することができる自動の繊維積層機、又は、その他の積層機器を用いて、位置決め部350の積層スタックを直接積層することができる。
図4は、本開示の様々な実施形態で利用可能な、複合材料の条材を示す図である。複合条材400は、1つ以上の材料層を含む。図4に示すように、複合条材400は、第1レイヤ410、第2レイヤ412、及び、第3レイヤ414を含む。ただし、様々な実施形態において、複合条材400は、任意の数のレイヤを含むことができる。いくつかの実施形態では、これらのレイヤは、同じ材料及び構成のものでもよいし、異なるものでもよい。いくつかの実施形態では、複合材料の条材400に複数のレイヤを含ませることにより、上層構造に対する積層速度を最適化してもよい。例えば、1つの複合条材400が複数のレイヤを含むことにより、各積層スタックを所望の厚さにすることができる。また、複数のレイヤを含むことによって、材料を追加で積層する必要が少なくなるので、製造中のエラーの可能性を低減することができる。複合材料の条材は、積層後、エンドエフェクタから切り離され、あるいは、分離される。いくつかの実施形態では、パネルに条材を追加で積層して、重なり合うプライ、連続するプライ、又は、不連続のプライを形成することができる。いくつかの実施形態では、1つの位置決め部のプライが、互いに重なる位置決めプライ、又は、不連続な位置決めプライを含むことができる。いくつかの実施形態では、各積層スタックのプライは、複合条材400の1つのレイヤとして個々に積層される。
ただし、他の実施形態では、複数のレイヤを積層に先立って組み合わせたり、予め積層しておくことができる。いくつかの実施形態では、様々な所望の機械的特性を得るため、複数のレイヤを組み合わせる。例えば、隣り合うレイヤにおいて一方のレイヤの繊維が他方のレイヤの繊維に直交するように構成して、複合材料全体の強度を高めることができる。いくつかの実施形態では、各レイヤの幅を変えて、様々な設計特性又は形状の積層スタックを構成することができる。一例では、図4に示すように、第1レイヤ410の幅は、第2レイヤ412より広く、また、第2レイヤの幅は、第3レイヤ414より広い。これらのレイヤは、エッジ420でアライメントされている。この複合材料の条材を外板部材310の内表面310−Aに積層すれば、この条材で積層スタック361−Aの最初の3層を形成することができる。次いで、より幅の狭いレイヤを条材400上にさらに積層すれば、積層スタック361−Aを完成することができる。
いくつかの実施形態では、複合材料400には裏当て基材402が裏張りされていてもよい。これにより、貯蔵リールやロボットアーム機構の他の部材に複合材料400が張り付くことを防止できる。様々な実施形態において、裏当て基材は、紙、プラスチック、フィルム、布などの様々な材料で構成することができる。樹脂を注入した材料については、裏当て基材402は不要である。様々な実施形態において、裏当て基材は、複合材料をパネルに配置する前に除去される。
様々な実施形態において、外板部材310の1つ以上のプライも、上述した複合材料の条材を用いて作成することができる。いくつかの実施形態では、ストリンガ320の1つ以上のプライも、上述した複合材料の条材を用いて作成することができる。例えば、支持ツール330を位置決め部350に適切にアライメント配置した後、ロボットアーム機構によって、複合条材400などの複合材料の条材を一層以上のストリンガプライとして積層して、被覆積層体であるストリンガ320を付着形成する。いくつかの実施形態では、ストリンガ320は、積層スタック及び/又は外板部材と共に硬化される。他の実施形態では、ストリンガ320は、積層スタック及び/又は外板部材と共に接合される。
図5A、図5B、及び、図5Cは、1つ以上の実施形態による、補強ストリンガパネルの実施例のさらに別の構成を示す図である。いくつかの実施形態では、ストリンガ320のフランジ部324は、位置決め部350の一部の上に位置するよう構成されている。例えば、図5Aは、補強ストリンガパネル500−Aの一実施例を示す断面図であり、延出ベースプライ(elongated base ply)を含む積層スタックで構成された位置決め部550が設けられている。各延出ベースプライは、各積層スタックに含まれる位置決めプライのうちの最下層のプライであってもよい。図示のように、位置決め部550は、延出ベースプライ551−Aを有する積層スタック551、及び、延出ベースプライ552−Aを有する積層スタック552を含む。延出ベースプライ551−A及び552−Aは、外板部材510の内表面510−Aにそれぞれ積層されており、その上に追加のプライが積層されている。いくつかの実施形態では、これらの積層スタックは、複数の延出ベースプライを含む。
図示のように、位置決め部550は、位置決め部350と同様に、支持ツール330を保持するよう構成されている。支持ツール330がパネル500−Aの位置決め部550に配置されると、次いで、ストリンガ320がパネル500−Aに配置される。図3Bと同様、ストリンガ320のキャップ部322は、一方の積層スタック551から他方の積層スタック552に跨って延び、フランジ部324を形成する。図示のように、ストリンガ320のキャップ部322は、支持ツール330及び位置決め部550の積層スタックによって支持される。ただし、ストリンガ320のフランジ部324は、延出ベースプライ551−A及び552−Aに積層されており、外板部材510の内表面510−Aには直接には接していない。
このような実施形態は、補強ストリンガパネルを構成するために使用した材料及び接合方法に依存して実現することができる。例えば、ストリンガ320は、共接合によってパネル500−Aに結合させることが望ましい。外板部材510は、予め形成し、硬化させておいてもよい。したがって、積層スタック551及び552を外板部材510に積層して、ストリンガ320と共硬化させることができる。
いくつかの実施形態では、位置決め部の複合プライは、ベース材上に形成して、ベース材に位置決め溝が配置されるようにしてもよい。図5Bは、補強ストリンガパネル500−Bの一実施例を示す断面図であり、位置決め部550−Bを構成する積層スタック551及び552は、ベース材553上に形成されている。いくつかの実施形態では、ベース材553と積層スタック551及び552とは、一体構造である。
他の実施形態では、積層スタックは、外板部材に一体化された部材である。例えば、位置決め部の積層スタックは、外板部材に含まれる積層パネルプライに設けられており、これらパネルプライが途切れた部分が位置決め溝を形成している。図5Cは、補強ストリンガパネル500−Cの一実施例を示す断面図であり、位置決め部550の積層スタックは、外板部材510内に形成されている。いくつかの実施形態では、位置決め部560の積層スタック561及び562は、外板部材510の一部分として構成される。換言すると、積層スタックプライは、即ち、外板部材510のパネルプライである。いくつかの実施形態では、積層スタック561及び562の1つ以上のプライは、外板部材510のパネルプライの長さに沿って連続するプライである。いくつかの実施形態では、積層スタックプライは、外板部材510と同じ材料で構成されている。そのような実施例は、位置決め部560及び外板部材510が予め一体に組み立てられている。
次いで、支持ツール530が位置決め部560に配置されて、アライメントされる。空間370と同様に、積層スタックの間、あるいは、積層スタックと支持ツールとの間に空間570が存在する。しかしながら、そのような空間570は、位置決め部が支持ツール530に十分に接触して、これを支持する機能に影響を与えるものではなく、無視しても構わない。
次いで、ハット型のストリンガ520がパネル500−Cに積層される。図5Cにおいては、説明のため、ストリンガ520のフランジ部524に影をつけて示している。図5Cに示すように、いくつかの実施形態では、ストリンガ520のキャップ部522の全体が、支持ツール530によって支持される。ストリンガ520のフランジ部524は、外板部材510の積層スタック561及び562に積層される。よって、いくつかの実施形態では、位置決め部の積層スタックは、ストリンガ520の形状及び/又は位置を支持には寄与しない。
補強複合パネルの作製方法も提供される。図6を参照すると、1つ以上の実施形態による補強複合パネルの作製方法600の一実施例が示されている。様々な実施形態において記載した様々な構造は、複合材料の自動配置を行うロボットのエンドエフェクタを用いて自動で形成及び積層することができ、ツール関連の手間を最小限にすることができる。
ステップ610において、外板部材を用意する。いくつかの実施形態では、外板部材は、内表面310−Aを有する外板部材310である。いくつかの実施形態では、外板部材は、複数のパネルプライを積層して形成されている。次いで、ステップ620において、外板部材の内表面に第1積層スタックを積層する。いくつかの実施形態では、第1積層スタックは、積層スタック351である。ステップ630において、外板部材の内表面に第2積層スタックを積層する。いくつかの実施形態では、第2積層スタックは、積層スタック352である。
いくつかの実施形態では、ステップ620とステップ630は、同時に、あるいは、連続して、あるいは、並行して実行することができる。例えば、ステップ620において、一連の位置決めプライを積層して第1積層スタックを形成し、その後、ステップ630において、一連の位置決めプライを積層して第2積層スタックを形成する。別の実施例では、第1積層スタックの各位置決めプライと第2積層スタックの各位置決めプライを両方同時に外板部材に積層して、第1積層スタック及び第2積層スタックを同時に形成する。さらに別の例では、各積層スタックの1つの位置決めプライをそれぞれ順に積層し、次いで、各積層スタックの次の位置決めプライをそれぞれ順に積層する。
上述したように、1つの積層スタックは、位置決めプライを一度に1つずつ積層して形成することができる。ただし、いくつかの実施形態では、ステップ620又は630の各々で、複数の位置決めプライを積層することも可能である。例えば、各積層スタックについて、一度に2つ以上の位置決めプライを積層することができる。一例として、そのような予め積層された位置決めプライは、例えば、Fives Forest−LineのATLAS又はACCESSなどの積層機器を利用して作製することができる。
様々な実施形態において、追加の積層スタックを外板部材の内表面に形成することができる。例えば、積層スタックを6つ形成すれば、3つの位置決め溝を設けることができる。このような追加の積層スタックは、ステップ620及びステップ630について既に記載したように、第1積層スタック及び第2積層スタックと同時に、あるいは、連続して、あるいは、並行して形成することができる。
次いで、積層スタックを、外板部材の積層パネルプライと共に硬化あるいは接合することができる。積層スタックと外板部材を一緒に接合するような実施形態においては、積層スタックと外板部材との間に接着フィルムを配置して、外板部材への積層スタックの接合を促進することができる。
いくつかの実施形態では、第1積層スタックと第2積層スタックの間に位置決め溝を有する位置決め部が形成される。このように形成された位置決め溝は、位置決め部350の溝354、又は、位置決め部360−Aの溝364−Aに相当する。よって、第1及び第2積層スタックは、支持ツール330などの支持ツールを、位置決め溝で保持するよう構成されている。上述したように、位置決め部の積層スタックは、様々な断面形状の溝を形成するように構成することができる。したがって、これに対応する形状の底部を有する支持ツールであれば、位置決め溝におい自動的に複合パネルとアライメントされる。
ステップ640において、サポートツールを位置決め溝に配置する。支持ツールの底部は、位置決め部に確実に嵌り込むように、溝の断面形状に適合した断面形状を有する。いくつかの実施形態では、支持ツールの1つ以上の面が、積層スタックの表面の一部に面接触する。
ステップ650において、ストリンガを、外板部材、第1及び第2積層スタック、並びに、支持ツールの上に配置する。いくつかの実施形態では、このストリンガは、1つ以上のストリンガプライを含むストリンガ320である。上述したように、ストリンガは、第1積層スタックから第2積層スタックに跨って延びる湾曲したキャップ部を有する。キャップ部は、支持ツール及び位置決め部の積層スタックによって支持される。ただし、いくつかの実施形態では、キャップ部は、支持ツールのみに支持される。キャップ部の各端部は、位置決め部又は外板部材まで延在して、フランジ部324などのフランジ部を形成する。
上述したように、ストリンガは、複数のストリンガプライを含みうる。いくつかの実施形態では、このようなストリンガは、上述したように、外板部材、積層スタック、及び、支持ツールに配置する前に、予め作製しておくことができる。ただし、他の実施形態では、1つ以上のストリンガプライは、ステップ650において順次積層される。任意の構成として、例えば、ヌードル240などの1つ以上のフィラーを、各積層スタックの頂部に配置することができる。これにより、ストリンガの形状に対する支持を補助するとともに、支持ツール又は外板部材とストリンガとの間の空間を充填することができる。
ステップ660において、外板部材のパネルプライとストリンガプライを接合する。上述したように、外板部材とストリンガは、共硬化あるいは共接合することが可能である。共硬化又は共接合のプロセスでは、積層スタックの位置決めプライも外板部材及び/又はストリンガプライに結合することができる。いくつかの実施形態では、外板部材及びストリンガを含むパネルを減圧バッグ内に配置して、圧力を加えて、硬化又は接合において複合レイヤを固定して保持することができる。
本開示の実施例は、図7に示す航空機700、及び、図8に示す航空機製造及び使用方法800に関連させて説明することができる。図7は、1つ以上の実施形態において、本開示の補強ストリンガパネルを備えることができる航空機700の模式図である。図7に示すように、航空機700は、内装770を備える機体750を含む。航空機700は、機体750に連結された翼720を含む。航空機700は、また、翼720に支持されたエンジン730も含む。航空機700は、補強ストリンガパネル100など、記載のシステム及び方法を実現し、実行することが可能な、例示的な実施形態による輸送体の一例である。航空産業に用いた場合を例として説明したが、本明細書において開示した原理は、例えば自動車産業などの他の産業にも適用可能である。したがって、本明細書に記載の原理は、航空機700だけでなく、例えば、陸上車両、船舶、宇宙船などの他の輸送体にも適用可能である。
図8は、本明細書に記載の方法及びアセンブリを利用可能な航空機の製造及び使用方法を示すブロック図である。製造開始前の工程として、例示的な方法800は、航空機700の仕様決定及び設計(ブロック804)並びに材料調達(ブロック806)を含む。製造において、航空機700の部品及び小組立品(subassembly)の製造(ブロック808)及びシステム統合(ブロック810)が行われる。開示した装置、及び、対応する方法は、航空機700の仕様決定及び設計(ブロック804)、材料調達(ブロック806)、航空機700の部品及び小組立品の製造(ブロック808)及びシステム統合(ブロック810)のいずれの工程においても実施可能である。
その後、航空機700は認証及び納品(ブロック812)を経て、使用(ブロック814)の工程に入る。使用期間中は、航空機700は、定例の整備及び保守のスケジュールに組み込まれる(ブロック816)。定例の整備及び保守は、航空機700の1つ又は複数のシステムの変更、再構成、改装などを含みうる。開示した装置、及び、対応する方法は、認証及び納品(ブロック812)、使用(ブロック814)、及び/又は、定例の整備及び保守(ブロック816)のいずれの工程おいても実施可能である。
例示的な方法800の各工程は、検査システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。説明のために言及すると、検査システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム(majority-system)下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
さらに、本開示は、以下に列挙する付記に記載の実施例も包含する。
A1.内表面(310−A)を有する外板部材(310)と、前記内表面に支持ツール(330)を配置するための位置決め部(350)と、キャップ部(322)を有するストリンガ(320)と、を含み、前記位置決め部は、第1積層スタック(351)及び第2積層スタック(352)を含み、前記第1積層スタック及び第2積層スタックは、両積層スタックの間に溝(354)を形成するように前記内表面に接合されているとともに、当該溝で支持ツールを保持するよう構成されており、前記キャップ部は、前記第1積層スタックから前記第2積層スタックに跨がって延びており、前記外板部材の前記内表面上に前記キャップ部から繋がる第1フランジ部(324)及び第2フランジ部(324)が形成されている、複合パネル(300)。
A2.前記ストリンガは、複数のストリンガプライ(410、412、414)を含む被覆積層体(400)である、A1に記載の複合パネル。
A3.前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックは、前記支持ツールが各積層スタックの一部と面接触する状態で前記支持ツールを保持するよう構成されている、A1又はA2に記載の複合パネル。
A4.前記位置決め部と前記外板部材は、共硬化される、A1、A2、又は、A3に記載の複合パネル。
A5.前記位置決め部と前記外板部材は、共接合される、A1〜A4のいずれか1つに記載の複合パネル。
A6.前記支持ツールは、成形用マンドレルである、A1〜A5のいずれか1つに記載の複合パネル。
A7.前記積層スタックは、樹脂系を予備含浸させた複合繊維を含む、A1〜A6のいずれか1つに記載の複合パネル。
A8.前記支持ツールは、前記位置決め部において自動的にアライメントされる、A1〜A7のいずれか1つに記載の複合パネル。
A9.各積層スタックは、複数の位置決めプライ(410、412、414)を含み、前記第1積層スタックの第1最上層位置決めプライ(414)上に第1フィラー(340)が配置されており、前記第2積層スタックの第2最上層位置決めプライ(414)上に第2フィラー(370)が配置されている、A1〜A8のいずれか1つに記載の複合パネル。
A10.前記第1フランジ部は、前記第1積層スタックの第1延出ベースプライ(551−A)上に位置し、前記第2フランジ部は、前記第2積層スタックの第2延出ベースプライ(552−A)上に位置し、前記第1延出ベースプライ及び前記第2延出ベースプライは、それぞれ前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックの最下層を構成する、A1〜A9のいずれか1つに記載の複合パネル。
B1.補強複合パネル(300)の製造方法(600)であって、内表面(310−A)を有する外板部材(310)を用意(610)し、前記外板部材の前記内表面に第1積層スタック(351)及び第2積層スタック(352)を積層(620、630)して、前記第1積層スタックと前記第2積層スタックの間に位置決め溝(354)を有する位置決め部(350)を形成し、前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックは、前記位置決め溝で支持ツール(330)を保持するよう構成され、前記サポートツールを前記位置決め溝に配置(640)し、前記支持ツール並びに前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックの上に、1つ以上のストリンガプライ(410、412、414)を積層(650)してストリンガ(320)を形成し、前記外板部材、前記第1積層スタック、前記第2積層スタック、及び、前記ストリンガプライを接合(660)する、方法。
B2.前記ストリンガは、前記第1積層スタックから前記第2積層スタックに跨がって延びるキャップ部(322)を含み、前記外板部材の前記内表面上に前記キャップ部から繋がる第1フランジ部(324)及び第2フランジ部(324)を形成する、B1に記載の方法。
B3.前記位置決め部と前記外板部材は、共硬化又は共接合される、B2に記載の方法。
B4.前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックは、前記支持ツールが各積層スタックの一部と面接触する状態で前記支持ツールを保持するよう構成されている、B1、B2、又は、B3に記載の方法。
B5.前記支持ツールは、成形用マンドレルである、B1〜B4のいずれか1つに記載の方法。
B6.前記積層スタックは、樹脂系を予備含浸させた複合繊維を含む、B1〜B5のいずれか1つに記載の方法。
B7.前記支持ツールは、前記位置決め溝において自動的にアライメントされる、B1〜B6のいずれか1つに記載の方法。
B8.さらに、前記第1積層スタックの第1最上層位置決めプライ(414)上に第1フィラー(340)を配置し、前記第2積層スタックの第2最上層位置決めプライ(414)上に第2フィラー(370)を配置する、B1〜B7のいずれか1つに記載の方法。
B9.前記第1フランジ部は、前記第1積層スタックの第1延出ベースプライ(551−A)上に配置されており、前記第2フランジ部は、前記第2積層スタックの第2延出ベースプライ(552−A)上に配置されており、前記第1延出ベースプライ及び前記第2延出ベースプライは、それぞれ前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックの最下層を構成する、B1〜B8のいずれか1つに記載の方法。
C1.1つ以上の複合パネル(300)を含む航空機(700)であって、前記1つ以上の複合パネルは、内表面(310−A)を有する外板部材(310)と、前記内表面に支持ツール(330)を配置するための位置決め部(350)と、キャップ部(322)を有するストリンガ(320)と、を含み、前記位置決め部は、第1積層スタック(351)及び第2積層スタック(352)を含み、前記第1積層スタック及び第2積層スタックは、両積層スタックの間に溝(354)を形成するように前記内表面に接合されているとともに、当該溝で支持ツールを保持するよう構成されており、前記キャップ部は、前記第1積層スタックから前記第2積層スタックに跨がって延びており、前記外板部材の前記内表面上に前記キャップ部から繋がる第1フランジ部(324)及び第2フランジ部(324)が形成されており、前記第1積層スタック及び前記第2積層スタックは、前記支持ツールが各積層スタックの一部と面接触する状態で前記支持ツールを保持するよう構成されている、航空機。
上述の説明において、本開示の概念が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細事項を提示したが、本開示は、これらの詳細事項のいくつか又はすべてが無くても実施可能である。他の例では、既知の装置及び/又は処理についての詳細を省略して、これは本開示が不必要に曖昧になることを避けている。
本開示は、特定の実施形態に言及することで具体的に図示及び説明されているが、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、開示の実施形態の様式及び詳細についての変更が可能であることは、当業者に明らかであろう。したがって、本開示は、本開示の真の精神及び範囲に含まれるすべての変形例及び均等物を含むものと解釈されることを意図している。したがって、本開示の実施例は、あくまでも例であって、限定ではない。
また、便宜上、多くのコンポーネント及びプロセスを単数形で記載しているが、本開示の技術を実施するために、複数のコンポーネント及び複数回のプロセスを採用しうることは、当業者には明らかであろう。