本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による蓄電システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による蓄電システム10は、蓄電ユニット1〜3と、電力変換器4と、コンデンサ5と、配線6〜8と、出力端子9とを備える。
蓄電ユニット1〜3は、配線6と配線7との間に電気的に並列に接続される。そして、蓄電ユニット1は、電力変換器4に最も近い位置に配置され、蓄電ユニット2は、電力変換器4に2番目に近い位置に配置され、蓄電ユニット3は、電力変換器4から最も遠い位置に配置される。
蓄電ユニット1〜3の各々は、後述する方法によって充電され、電力を蓄電するとともに電力を配線6,7を介して電力変換器4へ供給する。そして、蓄電ユニット1〜3は、後述する方法によって、負荷に電力を供給する蓄電ユニットを相互間で切り換え、蓄電ユニット1〜3のいずれかが電力を負荷に供給する。
電力変換器4は、配線6と配線7との間に接続され、例えば、インバータおよびDC−DC変換器等からなる。電力変換器4は、蓄電ユニット1〜3のいずれかから配線6,7を介して受けた電力を変換し、その変換した電力をコンデンサ5を介して負荷に供給する。
コンデンサ5は、電力変換器4から電力を受け、その受けた電力を蓄積するとともに出力端子9を介して負荷に電力を供給する。
配線6は、蓄電ユニット1〜3および電力変換器4の正極に接続される配線である。配線7は、蓄電ユニット1〜3および電力変換器4の負極に接続され、接地電位GNDを有する配線である。配線8は、蓄電ユニット1〜3にわたって配置される。そして、配線8は、一方端が電力変換器4内で配線7に接続される。その結果、配線8は、接地電位GNDを有する。接地電位GNDは、電力変換器4内に配置される。出力端子9は、負荷に接続される端子である。
図2は、図1に示す蓄電ユニット1の概略図である。図2を参照して、蓄電ユニット1は、切換装置11と、電池ユニット12と、入力端子13と、出力端子14と、充電端子15と、フューズ16と、配線17,18とを備える。なお、配線6,7,8は、蓄電ユニット1中に配置されている。
切換装置11は、後述する方法によって、しきい値Vth1以下の電圧Vaを検出すると、蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3が負荷に電力を供給する(即ち、放電する)のを禁止した状態で蓄電ユニット1の電池ユニット12のモードを負荷に電力を供給する給電モードに切り換える。また、切換装置11は、後述する方法によって、蓄電ユニット1の残存容量が放電に適さなくなると、蓄電ユニット2,3が負荷に電力を供給するのを許可した状態で、蓄電ユニット1の電池ユニット12のモードを負荷への電力の供給を停止する給電停止モードに切り換える。なお、しきい値Vth1以下の電圧Vaを検出することは、負荷に電力を供給する(即ち、放電する)ことが許可されたことを検出することに相当する。
電池ユニット12は、例えば、4個のリチウムイオン二次電池121が直列に接続された構成からなる。そして、電池ユニット12は、正極端子が配線17に接続され、負極端子が配線18に接続される。なお、電池ユニット12は、4個のリチウムイオン二次電池121に限らず、1個以上のリチウムイオン二次電池121を含んでいればよい。
入力端子13は、配線6,7,8の一方端に配置され、蓄電ユニット1に隣接する蓄電ユニット2を蓄電ユニット1に接続するための端子である。
出力端子14は、配線6,7,8の他方端に配置され、蓄電ユニット1を電力変換器4または他の蓄電ユニットに接続するための端子である。
充電端子15は、充電器20を蓄電ユニット1に接続するための端子である。フューズ16は、配線17中に配置される。配線17は、一方端が配線6に接続され、他方端が電池ユニット12の正極端子に接続される。配線18は、一方端が電池ユニット12の負極端子に接続され、他方端が配線7に接続される。
切換装置11は、制御部111と、切換ユニット112〜114と、スイッチ検出器115と、放電検出器116と、電池監視回路117と、電源回路118と、充電検出器119と、配線110,120と、スイッチSW1と、ダイオードD1〜D4と、抵抗R1とを含む。
この発明の実施の形態においては、しきい値Vth1〜Vth6を設定する。しきい値Vth1は、蓄電ユニット1〜3のいずれかに放電を許可するか否かを判定するための基準である。しきい値Vth2は、充電器20が接続されているか否かを判定するための基準である。しきい値Vth3は、スイッチSW1がオンされているか否かを判定するための基準である。しきい値Vth4は、蓄電ユニット1〜3のいずれかに放電が許可されている場合に、他の蓄電ユニットが放電しているか否かを判定するための基準である。しきい値Vth5は、電池ユニット12が放電に適した電圧を有するか否かを判定するための基準である。しきい値Vth6は、電池ユニット12を充電する際、充電の完了を判定するための基準である。そして、しきい値Vth1は、例えば、制御部111の電源電圧が5Vであるとき、2.0Vに設定され、しきい値Vth2は、例えば、14.0Vに設定され、しきい値Vth3は、例えば、制御部111の電源電圧が5Vであるとき、4.0Vに設定され、しきい値Vth4は、例えば、10.0Vに設定され、しきい値Vth5は、例えば、10.0Vに設定され、しきい値Vth6は、例えば、14.6Vに設定される。
ダイオードD1は、電流が配線120のノードN6からノードN5へ流れるようにノードN6とノードN5との間に接続される。ダイオードD2は、電流がスイッチSW1からノードN5へ流れるようにスイッチSW1とノードN5との間に接続される。ダイオードD3は、電流がノードN6から切換ユニット114へ流れるようにノードN6と切換ユニット114との間に接続される。ダイオードD4は、電流が配線110のノードN2からノードN1へ流れるようにノードN2とノードN1との間に接続される。抵抗R1は、電源回路118とノードN2との間に接続される。
ダイオードD1〜D4は、逆流防止のために設けられ、抵抗R1は、配線8が接地されていない(配線7に接続されていない)場合にフローティングとならず、しきい値Vth1以上の電位をノードN2に与えるために設置されている。
切換ユニット112は、リレー112Aと、駆動回路112Bとを含む。切換ユニット113は、リレー113Aと、駆動回路113Bとを含む。切換ユニット114は、リレー114Aと、駆動回路114Bとを含む。
制御部111は、電源回路118から受けた電力によって駆動される。制御部111は、ノードN2における電圧Vaを検出し、電圧Vaがしきい値Vth1以下であるか否かを判定する。制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であると判定したとき、蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3の放電を禁止した状態で蓄電ユニット1が放電するのを許可されていると判定する。一方、制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1よりも大きいと判定したとき、蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3の放電を許可した状態で蓄電ユニット1が放電するのを禁止されていると判定する。
制御部111は、充電検出器119から電圧Vcを受け、電圧Vcがしきい値Vth2よりも大きいか否かを判定する。制御部111は、電圧Vcがしきい値Vth2よりも大きいと判定したとき、充電器20が蓄電ユニット1に接続されていると判定する。一方、制御部111は、電圧Vcがしきい値Vth2以下であると判定したとき、充電器20が蓄電ユニット1に接続されていないと判定する。
制御部111は、スイッチ検出器115から電圧Vdを受け、電圧Vdがしきい値Vth3よりも大きいか否かを判定する。制御部111は、電圧Vdがしきい値Vth3よりも大きいと判定したとき、スイッチSW1がオンされていると判定する。一方、制御部111は、電圧Vdがしきい値Vth3以下であると判定したとき、スイッチSW1がオフされていると判定する。
制御部111は、放電検出器116から電圧Veを受け、電圧Veがしきい値Vth4よりも大きいか否かを判定する。制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4よりも大きいと判定したとき、蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3が放電していると判定する。一方、制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4以下であると判定したとき、蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3が放電していないと判定する。
制御部111は、電池監視回路117から電圧Vfを受け、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいか否かを判定する。制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいと判定したとき、電池ユニット12が放電可能であると判定する。一方、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5以下であると判定したとき、電池ユニット12が放電できないと判定する。
制御部111は、上述したように、充電器20が接続されていると判定し、電池ユニット12の電圧Vfがしきい値Vth6以下であり、かつ、電圧Vcが電圧Vfを上回っていると判定したとき、電池ユニット12を充電する必要があると判定する。一方、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth6よりも大きいと判定したとき、電池ユニット12の充電が不要であると判定する。
切換ユニット112は、ノードN1よりも負荷から遠い側に配置される。即ち、切換ユニット112は、ノードN1よりも入力端子13側(即ち、負荷から遠い側)に配置される。
切換ユニット112は、配線8を導通または不導通に切り換える。より具体的には、切換ユニット112は、制御部111に電源が供給されていないとき、またはL(ロー)レベルの電圧Vbを制御部111から受けたとき、配線8を導通させ、H(ハイ)レベルの電圧Vbを制御部111から受けると、配線8を不導通にする。更に詳細には、切換ユニット112のリレー112Aは、配線8中に配置され、駆動回路112Bが停止されているとき、配線8を導通させ、駆動回路112Bが駆動されると、配線8を不導通にする。また、駆動回路112Bは、制御部111からのLレベルの電圧Vbに応じて、駆動を停止し、制御部111からのHレベルの電圧Vbに応じて、駆動する。
切換ユニット113は、配線17を導通または不導通に切り換える。より具体的には、切換ユニット113は、Hレベルの電圧Vgを制御部111から受けると、配線17を導通させ、Lレベルの電圧Vgを制御部111から受けると、配線17を不導通にする。更に詳細には、切換ユニット113のリレー113Aは、配線17中に配置され、駆動回路113Bが停止されているとき、配線17を不導通にし、駆動回路113Bが駆動されると、配線17を導通させる。また、駆動回路113Bは、制御部111からのLレベルの電圧Vgに応じて、駆動を停止し、制御部111からのHレベルの電圧Vgに応じて、駆動する。
切換ユニット114は、配線120を導通または不導通に切り換える。より具体的には、切換ユニット114は、Hレベルの電圧Vhを制御部111から受けると、配線120を導通させ、Lレベルの電圧Vhを制御部111から受けると、配線120を不導通にする。更に詳細には、切換ユニット114のリレー114Aは、配線120中に配置され、駆動回路114Bが停止されているとき、配線120を不導通にし、駆動回路114Bが駆動されると、配線120を導通させる。また、駆動回路114Bは、制御部111からのLレベルの電圧Vhに応じて、駆動を停止し、制御部111からのHレベルの電圧Vhに応じて、駆動する。
スイッチ検出器115は、ノードN4における電圧Vdを検出し、その検出した電圧Vdを制御部111へ出力する。
放電検出器116は、配線6のノードN3における電圧Veを検出し、その検出した電圧Veを制御部111へ出力する。
電池監視回路117は、4個のリチウムイオン二次電池121の各々の両端の電圧を検出し、その検出した4個の電圧の和を電圧Vfとして制御部111へ出力する。つまり、電池監視回路117は、電池ユニット12の出力電圧(=電圧Vf)を検出し、その検出した出力電圧(=電圧Vf)を制御部111へ出力する。また、電池監視回路117は、4個のリチウムイオン二次電池121の各々について、リチウムイオン二次電池121が正常であるか否かを判定し、その判定結果を制御部111へ出力する。
電源回路118は、ノードN5から電力を受けると駆動し、充電器20または電池ユニット12から供給された電力を制御部111およびノードN2へ供給する。
充電検出器119は、配線120のノードN7における電圧を検出し、その検出した電圧を電圧Vcとして制御部111へ出力する。
配線120は、正極側の充電端子15と配線17のノードN8との間に接続される。配線110は、配線8のノードN1と電源回路118との間に接続される。
電源回路118は、充電器20が充電端子15に接続されているとき、充電器20からの電力をダイオードD1を介してノードN5から受け、その受けた電力によって駆動される。また、電源回路118は、充電器20が充電端子15に接続されていないとき、スイッチSW1がオンされると、電池ユニット12からの電力をスイッチSW1およびダイオードD2を介してノードN5から受け、その受けた電力によって駆動される。なお、スイッチSW1は、蓄電システム10の使用者によってオン/オフされる。このように、電源回路118は、充電器20が充電端子15に接続されているか否かに拘わらず駆動される。
制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であり、電圧Vdがしきい値Vth3よりも大きく、電圧Veがしきい値Vth4以下であり、更に、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいと判定したとき、Hレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、かつ、Hレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力する。
これによって、切換ユニット112の駆動回路112Bは、Hレベルの電圧Vbに応じて駆動され、リレー112Aの接点を開く。その結果、配線8は、不導通になり、接地電位GNDを蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3に伝達しない。つまり、蓄電ユニット2,3の放電が禁止される。そして、蓄電ユニット2,3の放電が禁止された状態で、切換ユニット113の駆動回路113Bは、Hレベルの電圧Vgに応じて駆動され、リレー113Aの接点を閉じる。その結果、配線17は、導通され、電池ユニット12は、電力を配線17,18および配線6,7を介して電力変換器4へ供給する。
電圧Veがしきい値Vth4以下である場合、電池ユニット12の放電が許可されるのは、蓄電ユニット2,3のいずれかが故障して、蓄電ユニット1と、故障した蓄電ユニット(蓄電ユニット2,3のいずれか)とが同時に放電し、大電流が流れるのを防止するためである。そして、万一、大電流が流れた場合に、大電流が流れることによる悪影響を防止するために、コンデンサ5が設けられている。但し、電圧変換器4を要しないモータおよび放熱器が負荷である場合、コンデンサ5を設けなくてもよい。
このように、制御部111は、蓄電ユニット2,3の放電を禁止した状態で、スイッチSW1がオンされていること、および蓄電ユニット1以外の蓄電ユニット2,3が放電していないことを確認したときに、電池ユニット12のモードを給電モードに切り換える。従って、蓄電ユニット1のみが放電するように蓄電ユニット1を制御できる。
なお、この発明の実施の形態においては、制御部111は、スイッチSW1がオンされていることを確認せずに、Hレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、かつ、Hレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力してもよい。
また、制御部111は、電池ユニット12が放電するように制御した後、電池監視回路117から受けた電圧Vfがしきい値Vth5以下になると、Lレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、Lレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力する。駆動回路112Bは、Lレベルの電圧Vbに応じて駆動を停止し、リレー112Aの接点を閉じる。その結果、配線8は、導通し、接地電位GNDを蓄電ユニット2,3へ伝達し、蓄電ユニット2,3の放電を許可する。また、駆動回路113Bは、Lレベルの電圧Vgに応じて駆動を停止し、リレー113Aの接点を開く。その結果、電池ユニット12の電力は、電圧変換器4へ供給されない。このように、制御部111は、電池ユニット12の出力電圧(=電圧Vf)がしきい値Vth5以下であることを検出すると、蓄電ユニット2,3の放電を許可した状態で電池ユニット12のモードを給電停止モードに切り換える。
更に、制御部111は、電圧Vcがしきい値Vth2よりも大きく、かつ、電圧Vfがしきい値Vth6以下であり、尚且つ、電圧Vfが電圧Vcよりも小さいと判定したとき(即ち、充電器20が接続されており、電池ユニット12を充電する必要があると判定したとき)、Hレベルの電圧Vhを切換ユニット114の駆動回路114Bへ出力する。駆動回路114Bは、Hレベルの電圧Vhに応じてリレー114Aの接点を閉じる。その結果、配線120は、導通され、電池ユニット12は、充電器20によって充電される。なお、充電は、電圧Vfがしきい値Vth6に達した時点で完了する。この場合、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth6に達したことを検出すると、Lレベルの電圧Vhを駆動回路114Bへ出力し、駆動回路114Bは、Lレベルの電圧Vhに応じてリレー114Aの接点を開く。これによって、電池ユニット12の充電が終了する。
更に、制御部111は、電圧Vcがしきい値Vth2以下であると判定したとき(即ち、充電器20が接続されていないと判定したとき)、電圧Vaがしきい値Vth1以下であり、かつ、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きければ、上述した方法によって、蓄電ユニット2,3の放電を禁止した状態で電池ユニット12が放電するように制御する。従って、制御部111は、充電器20が接続されているか否かに拘わらず、電圧Vaがしきい値Vth1以下であり、かつ、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きければ、電池ユニット12のモードを給電モードに切り換える。
更に、蓄電ユニット2の電源回路118は、蓄電ユニット2よりも負荷に近い位置で負荷に接続された蓄電ユニット1において配線8が不導通になっているとき(蓄電ユニット1のリレー112Aの接点が開いているとき)、蓄電ユニット2においてノードN2における電圧Vaがしきい値Vth1よりも大きくなるようにノードN2へ電流を供給する。これによって、蓄電ユニット2の制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1よりも大きいと判定するので、蓄電ユニット1の放電中に蓄電ユニット2が放電することはない。同様に、蓄電ユニット3の電源回路118は、蓄電ユニット3よりも負荷に近い位置で負荷に接続された蓄電ユニット1または蓄電ユニット2において配線8が不導通になっているとき(蓄電ユニット1または蓄電ユニット2のリレー112Aの接点が開いているとき)、蓄電ユニット3においてノードN2における電圧Vaがしきい値Vth1よりも大きくなるようにノードN2へ電流を供給する。これによって、蓄電ユニット3の制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1よりも大きいと判定するので、蓄電ユニット1または蓄電ユニット2の放電中に蓄電ユニット3が放電することはない。従って、複数の蓄電ユニットが同時に放電するのを防止できる。なお、ノードN2は、配線8上の電位に起因する電位を有するノードである。
なお、図1に示す蓄電ユニット2,3の各々は、図2に示す蓄電ユニット1の構成と同じ構成を有する。
図3は、図1に示す蓄電ユニット1の動作を説明するためのフローチャートである。図3を参照して、蓄電ユニット1の動作が開始されると、蓄電ユニット1が初期化される(ステップS1)。ステップS1では、例えば、しきい値Vth1〜Vth6の具体的な値が設定され、駆動回路112B,113B,114Bが初期化される(即ち、電圧Vb,Vg,VhがLレベルに設定される)。
そして、制御部111は、電圧Vcがしきい値Vth2以下であるか否かを判定することによって充電器20が蓄電ユニット1に接続されているか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2において、充電器20が蓄電ユニット1に接続されていると判定されたとき、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth6以下であるか否かを判定することによって蓄電ユニット1の電池ユニット12の充電が必要であるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3において、電池ユニット12の充電が必要でないと判定されたとき、蓄電ユニット1の動作は、ステップS5へ移行する。
一方、ステップS3において、電池ユニット12の充電が必要であると判定されたとき、制御部111は、Hレベルの電圧Vhを切換ユニット114の駆動回路114Bへ出力し、駆動回路114Bは、Hレベルの電圧Vhに応じて駆動され、リレー114Aの接点を閉じる(ステップS4)。これによって、蓄電ユニット1の電池ユニット12は、充電器20によって充電される。
そして、ステップS3において、電池ユニット12の充電が必要でないと判定されたとき、またはステップS4の後、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいか否かを判定することによって蓄電ユニット1の電池ユニット12が使用可能であるか否かを判定する(ステップS5)。この場合、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいとき、電池ユニット12が使用可能であると判定し、電圧Vfがしきい値Vth5以下であるとき、電池ユニット12が使用可能でないと判定する。
ステップS5において、電池ユニット12が使用可能であると判定されると、制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であるか否かを判定することによって、蓄電ユニット1の放電が許可されているか否かを判定する(ステップS6)。この場合、制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であるとき、蓄電ユニット1の放電が許可されていると判定し、電圧Vaがしきい値Vth1よりも大きいとき、蓄電ユニット1の放電が許可されていないと判定する。
ステップS6において、蓄電ユニット1の放電が許可されていると判定されたとき、制御部111は、電圧Vdがしきい値Vth3よりも大きいか否かを判定することによってスイッチSW1がオンされているか否かを判定する(ステップS7)。この場合、制御部111は、電圧Vdがしきい値Vth3よりも大きいとき、スイッチSW1がオンされていると判定し、電圧Vdがしきい値Vth3以下であるとき、スイッチSW1がオンされていないと判定する。
ステップS7において、スイッチSW1がオンされていると判定されたとき、制御部111は、Hレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、駆動回路112Bは、Hレベルの電圧Vbに応じてリレー112Aの接点を開き、配線8を不導通にする。これによって、配線8の接地電位GNDが蓄電ユニット2,3に伝達されず、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3)の放電が禁止される(ステップS8)。
そして、制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4よりも大きいか否かを判定することによって他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)が放電中であるか否かを判定する(ステップS9)。この場合、制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4よりも大きいとき、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)が放電中であると判定し、電圧Veがしきい値Vth4以下であるとき、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)が放電中でないと判定する。
ステップS9において、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)が放電中でないと判定されると、制御部111は、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3)の放電を禁止した状態で、Hレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Hレベルの電圧Vgに応じてリレー113Aの接点を閉じ(ステップS10)、配線17を導通させる。これによって、蓄電ユニット1の電池ユニット12は、放電する(ステップS11)。
そして、ステップS6において、蓄電ユニット1の放電が許可されていないと判定されたとき、またはステップS7において、スイッチSW1がオンされていないと判定されたとき、またはステップS11の後、蓄電ユニット1の動作は、ステップS2へ移行する。
一方、ステップS2において、充電器20が蓄電ユニット1に接続されていないと判定されたとき、制御部111は、上述した方法によって、スイッチSW1がオンされているか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、スイッチSW1がオンされていると判定されると、制御部111は、上述した方法によって、蓄電ユニット1の電池ユニット12が使用可能であるか否かを判定する(ステップS13)。
ステップS13において、蓄電ユニット1の電池ユニット12が使用可能であると判定されると、制御部111は、上述した方法によって、蓄電ユニット1の放電が許可されているか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14において、蓄電ユニット1の放電が許可されていないと判定されたとき、蓄電ユニット1の動作は、ステップS2へ移行する。
一方、ステップS14において、蓄電ユニット1の放電が許可されていると判定されたとき、制御部111は、ステップS8と同じ動作によって、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3)の放電を禁止する(ステップS15)。
その後、制御部111は、上述した方法によって、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)が放電中であるか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16において、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)が放電中でないと判定されたとき、制御部111は、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)の放電を禁止した状態で、ステップS10の動作と同じ動作によってリレー113Aの接点を閉じる(ステップS17)。これによって、蓄電ユニット1の電池ユニット12は、放電する(ステップS18)。その後、蓄電ユニット1の動作は、ステップS2へ移行する。
一方、ステップS13において、蓄電ユニット1の電池ユニット12が使用可能でないと判定されたとき、制御部111は、Lレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、駆動回路112Bは、Lレベルの電圧Vbに応じて駆動を停止し、リレー112Aの接点を閉じる。これによって、配線8は、導通し、接地電位GNDを蓄電ユニット2,3へ伝達し、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)の放電が許可される(ステップS19)。
その後、制御部111は、他の蓄電ユニット(=蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)の放電を許可した状態で、Lレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Lレベルの電圧Vgに応じて駆動を停止し、リレー113Aの接点を開く(ステップS20)。これによって、配線17は、不導通になり、電池ユニット12は、放電を停止する。そして、蓄電ユニット1の動作が終了する。
図3に示すフローチャートにおいて、ステップS3〜ステップS11は、充電器20が蓄電ユニット1に接続されているときの充電動作および放電動作を示し、ステップS12〜ステップS18は、充電器20が蓄電ユニット1に接続されていないときの放電動作を示す。
そして、ステップS5〜ステップS11の放電動作、およびステップS12〜ステップS18の放電動作においては、他の蓄電ユニット(蓄電ユニット2,3の少なくとも1つ)の放電を禁止した状態で(ステップS8およびステップS15参照)、リレー113Aの接点を閉じて蓄電ユニット1の電池ユニット12が放電する(ステップS10,S11およびステップS17,S18参照)。これによって、蓄電ユニット1のみが放電することを確保できる。
また、蓄電ユニット1の電池ユニット12の放電を停止する場合、他の蓄電ユニット(蓄電ユニット2,3)の放電を許可した状態でリレー113Aの接点を開いて蓄電ユニット1の電池ユニット12の放電を停止する(ステップS19,S20参照)。これによって、蓄電ユニット2,3のいずれか1つ(蓄電ユニット2,3のうち、負荷に近い位置に配置された蓄電ユニット)のみが放電することを確保できる。そして、ステップS19において、他の蓄電ユニット(蓄電ユニット2,3)の放電を許可することは、放電する蓄電ユニットを蓄電ユニット1から蓄電ユニット2,3のいずれか(蓄電ユニット2,3のうち、負荷に近い位置に配置された蓄電ユニット)に切り換えることに相当する。
なお、図3に示すフローチャートは、スイッチSW1がオンされているときに蓄電ユニット1の電池ユニット12の放電を行うという仕様に従った場合のフローチャートである。従って、スイッチSW1がオンされているときに蓄電ユニット1の電池ユニット12の放電を行うという仕様に従わずに蓄電ユニット1の電池ユニット12の放電を行ってもよく、その場合、ステップS7およびステップS12を削除したフローチャートに従って蓄電ユニット1の電池ユニット12の放電が実行される。
また、蓄電ユニット2,3の各々の動作も、図3に示すフローチャートに従って実行される。
図4〜図10は、それぞれ、負荷に電力を供給する蓄電ユニットを複数の蓄電ユニット1〜3間で切り換える動作を説明するための第1から第7の図である。なお、図4から図10においては、図2に示す蓄電ユニット1〜3の構成のうち、負荷に電力を供給する蓄電ユニットを複数の蓄電ユニット1〜3間で切り換える動作を説明するために必要な蓄電ユニット1〜3の構成のみを示す。また、図4から図10においては、蓄電ユニット1は、負荷に最も近い位置に配置され、蓄電ユニット2は、負荷に2番目に近い位置に配置され、蓄電ユニット3は、負荷から最も遠い位置に配置される。
図4を参照して、蓄電ユニット2の出力端子14は、蓄電ユニット1の入力端子13に電気的に接続され、蓄電ユニット3の出力端子14は、蓄電ユニット2の入力端子13に電気的に接続される。その結果、配線6〜8は、蓄電ユニット1〜3にわたって配置される。この状態においては、蓄電ユニット1〜3の各々において、切換ユニット112の駆動回路112Bは、駆動されておらず、蓄電ユニット1〜3の全てにおいて、リレー112Aは、配線8を導通させている。
そして、蓄電ユニット1〜3の各々において、制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいと判定し、電池ユニット12を使用可能であると判定する。その後、蓄電ユニット1の制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であると判定し、蓄電ユニット1の放電が許可されていると判定すると、Hレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、駆動回路112Bは、Hレベルの電圧Vbに応じてリレー112Aの接点を開く。その結果、蓄電ユニット1において、配線8は、不導通になり、接地電位GNDは、蓄電ユニット2,3に伝達されない。つまり、蓄電ユニット1の制御部111は、蓄電ユニット2,3の放電を禁止する(図5参照)。
その後、蓄電ユニット1の制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4以下であると判定することによって他の蓄電ユニット2,3が放電中でないと判定すると、Hレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Hレベルの電圧Vgに応じてリレー113Aの接点を閉じる。つまり、蓄電ユニット1の制御部111は、蓄電ユニット2,3の放電を禁止した状態で配線17を導通させる。その結果、蓄電ユニット1の電池ユニット12は、配線17,18および配線6,7を介して電力を負荷に供給する(図6参照)。
引き続いて、蓄電ユニット1の制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5以下であると判定することによって電池ユニット12を使用できないと判定すると、Lレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、駆動回路112Bは、Lレベルの電圧Vbに応じてリレー112Aの接点を閉じる。その結果、蓄電ユニット1において、配線8は、導通し、接地電位GNDが蓄電ユニット2,3に伝達される。つまり、蓄電ユニット1の制御部111は、蓄電ユニット1以外の他の蓄電ユニット2,3に放電を許可する(図7参照)。
そして、蓄電ユニット1の制御部111は、Lレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Lレベルの電圧Vgに応じてリレー113Aの接点を開く。その結果、蓄電ユニット1において、配線17は、不導通になり、電池ユニット12は、負荷への電力の供給を停止する。つまり、蓄電ユニット1の制御部111は、蓄電ユニット1以外の他の蓄電ユニット2,3に放電を許可した状態で、電池ユニット12のモードを給電停止モードに切り換える(図7参照)。
その後、蓄電ユニット3よりも負荷に近い位置に配置された蓄電ユニット2の制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であると判定することによって蓄電ユニット2の放電が許可されていると判定すると、Hレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、駆動回路112Bは、Hレベルの電圧Vbに応じてリレー112Aの接点を開く。その結果、蓄電ユニット2において、配線8は、不導通になり、接地電位GNDは、蓄電ユニット3に伝達されない。つまり、蓄電ユニット2の制御部111は、蓄電ユニット3の放電を禁止する(図8参照)。
引き続いて、蓄電ユニット2の制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4以下であると判定し、他の蓄電ユニット3が放電中でないと判定すると、Hレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Hレベルの電圧Vgに応じてリレー113Aの接点を閉じる。つまり、蓄電ユニット2の制御部111は、蓄電ユニット3の放電を禁止した状態で配線17を導通させる。その結果、蓄電ユニット2の電池ユニット12は、配線17,18および配線6,7を介して電力を負荷に供給する(図9参照)。これによって、負荷に電力を供給する蓄電ユニットが蓄電ユニット1から蓄電ユニット2に切り換えられる。
なお、蓄電ユニット2の制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4以下であると判定したとき、他の蓄電ユニットが放電中でないと判定するのは、次の理由による。蓄電ユニット1の電池ユニット12が使用不可能であると判定され、蓄電ユニット2以降に放電を許可した場合でも。蓄電ユニット1が最終的に蓄電ユニット1のリレー113Aの接点を開く(即ち、放電を停止する)までに時間差があり、2つ以上の蓄電ユニットから同時に放電されるのを防止するためと、蓄電ユニット1が蓄電ユニット2以降(蓄電ユニット2以降に複数の蓄電ユニットが接続されている場合)に放電を許可し、蓄電ユニット2および蓄電ユニット3が同時に放電を開始した場合(実際には、放電前に次の蓄電ユニットの放電を禁止するので、複数の蓄電ユニット2,3が同時に放電することはあり得ない)を想定したためである。更に、万一、制御部111が故障し、またはリレー113Aの接点が閉じたままになり、故障となった際に過大電流が流れるのを防止するためである。
蓄電ユニット2の制御部111は、電池ユニット12が使用不可能であると判定すると、図7において説明した蓄電ユニット1の制御部111の動作と同じ動作によって、切換ユニット112のリレー112Aの接点を閉じ、蓄電ユニット2以外の他の蓄電ユニット3に放電を許可する。そして、蓄電ユニット2の制御部111は、蓄電ユニット2以外の他の蓄電ユニット3に放電を許可した状態でLレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Lレベルの電圧Vgに応じてリレー113Aの接点を開く。つまり、蓄電ユニット2の制御部111は、蓄電ユニット2以外の他の蓄電ユニット3に放電を許可した状態で電池ユニット12のモードを給電停止モードに切り換える。
その後、蓄電ユニット3の制御部111は、電圧Vaがしきい値Vth1以下であると判定し、蓄電ユニット3の放電が許可されていると判定すると、Hレベルの電圧Vbを切換ユニット112の駆動回路112Bへ出力し、駆動回路112Bは、Hレベルの電圧Vbに応じてリレー112Aの接点を開く。その結果、蓄電ユニット3において、配線8は、不導通になり、接地電位GNDは、蓄電ユニット3以外の蓄電ユニット(図示せず)に伝達されない。つまり、蓄電ユニット3の制御部111は、蓄電ユニット3以外の蓄電ユニット(図示せず)の放電を禁止する(図10参照)。
引き続いて、蓄電ユニット3の制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4以下であると判定し、蓄電ユニット3以外の蓄電ユニット(図示せず)が放電中でないと判定すると、Hレベルの電圧Vgを切換ユニット113の駆動回路113Bへ出力し、駆動回路113Bは、Hレベルの電圧Vgに応じてリレー113Aの接点を閉じる。つまり、蓄電ユニット3の制御部111は、蓄電ユニット3以外の蓄電ユニット(図示せず)の放電を禁止した状態で配線17を導通させる。その結果、蓄電ユニット3の電池ユニット12は、配線17,18および配線6,7を介して電力を負荷に供給する(図10参照)。これによって、負荷に電力を供給する蓄電ユニットが蓄電ユニット2から蓄電ユニット3に切り換えられる。
なお、蓄電ユニット3の制御部111は、電圧Veがしきい値Vth4以下であると判定したとき、蓄電ユニット3以外の蓄電ユニット(図示せず)が放電中でないと判定するのは、次の理由による。蓄電ユニット2の電池ユニット12が使用不可能であると判定され、蓄電ユニット3以降に放電を許可した場合でも、蓄電ユニット2が最終的に蓄電ユニット2のリレー113Aの接点を開く(即ち、放電を停止する)までに時間差があり、2つ以上の蓄電ユニットから同時に放電されるのを防止するためと、蓄電ユニット2が蓄電ユニット3以降(蓄電ユニット3以降に複数の蓄電ユニットが接続されている場合)に放電を許可し、蓄電ユニット3および他の蓄電ユニットが同時に放電を開始した場合(実際には、放電前に次の蓄電ユニットの放電を禁止するので、複数の蓄電ユニットが同時に放電することはあり得ない)を想定したためである。更に、万一、制御部111が故障し、またはリレー113Aの接点が閉じたままになり、故障となった際に過大電流が流れるのを防止するためである。
上述したように、蓄電システム10においては、負荷に電力を供給する蓄電ユニットを、負荷に最も近い位置に配置された蓄電ユニット1から、負荷から最も遠い位置に配置された蓄電ユニット3に向かって順次切り換えることができる。これは、蓄電ユニット1,2,3の各々において、切換ユニット112は、入力端子13と出力端子14との間の配線8の長さの中間点よりも図1に示す接地電位GNDの位置から遠い位置に配置されており、蓄電ユニット1,2,3の各々は、自己よりも接地電位GNDの位置から遠い位置に配置された蓄電ユニットの放電を禁止した状態で放電するからである。
なお、蓄電ユニット1〜3の各々は、電池ユニット12の放電ができないと判定し、充電が必要であるしきい値Vth5を下回ったと判定したに点灯するランプを備えている。従って、蓄電システム10の使用者が、ランプが点灯した蓄電ユニット1の充電端子15に充電器20を接続することによって、蓄電ユニット2の放電中であっても、蓄電ユニット1の電池ユニット12を充電することができる。同様に、蓄電システム10の使用者が、ランプが点灯した蓄電ユニット2の充電端子15に充電器20を接続することによって、蓄電ユニット3の放電中であっても、蓄電ユニット2の電池ユニット12を充電することができる。
その結果、放電中の蓄電ユニット2の電池ユニット12が使用不可能であると判定されるまでに、蓄電ユニット1の電池ユニット12の充電が完了すれば、蓄電ユニット2の電池ユニット12が使用不可能になったとき、蓄電ユニット2の制御部111は、蓄電ユニット3の放電を禁止しているので、蓄電ユニット1は、上述した方法によって放電する。また、放電中の蓄電ユニット3の電池ユニット12が使用不可能であると判定されるまでに、蓄電ユニット1,2の電池ユニット12の充電が完了すれば、蓄電ユニット3の電池ユニット12が使用不可能になったとき、負荷に最も近い位置に配置された蓄電ユニット1は、蓄電ユニット2,3の放電を禁止した状態で放電する。
従って、蓄電システム10が3個の蓄電ユニット1〜3を備えていれば、負荷に電力を供給する蓄電ユニットを蓄電ユニット1〜3間で切り換えて負荷に電力を供給し続けることができる。そして、一般的には、蓄電システム10が複数の蓄電ユニットを備えていれば、負荷に電力を供給する蓄電ユニットを複数の蓄電ユニット間で切り換えて負荷に電力を供給し続けることができる。
また、蓄電システム10においては、蓄電ユニット1〜3の各々は、入力端子13と出力端子14とを備えているので、4個以上の蓄電ユニットが必要である場合、4個目の蓄電ユニットの出力端子14を蓄電ユニット3の入力端子13に電気的に接続し、5個目の蓄電ユニットの出力端子14を4個目の蓄電ユニットの入力端子13に電気的に接続し、以下、同様にして、必要な個数の蓄電ユニットを電気的に接続すればよい。この場合、新たに接続した蓄電ユニットのリレー112Aは、初期状態において接点が閉じているので、接地電位GNDが、新たに接続された複数の蓄電ユニットに伝達される。その結果、新たに接続された複数の蓄電ユニットの各々において、制御部111が電圧Vaがしきい値Vth1以下であると判定することができる状態である。
図11は、図1に示す蓄電システム10の動作を説明するためのフローチャートである。図11を参照して、蓄電システム10の動作が開始されると、複数の蓄電ユニットのうちの1つの蓄電ユニットが他の蓄電ユニットの放電を禁止した状態で上述した方法によって放電する(ステップS21)。
電力変換器4は、放電中の蓄電ユニットから受けた電力を変換し、その変換した電力をコンデンサ5を介して負荷に供給する(ステップS22)。
そして、放電中の蓄電ユニットの制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5以下であるか否かを判定することによって蓄電ユニットの切換が必要であるか否かを判定する(ステップS23)。この場合、放電中の蓄電ユニットの制御部111は、電圧Vfがしきい値Vth5以下であると判定したとき、蓄電ユニットの切換が必要であると判定し、電圧Vfがしきい値Vth5よりも大きいと判定したとき、蓄電ユニットの切換が必要でないと判定する。
ステップS23において、蓄電ユニットの切換が必要でないと判定されたとき、放電中の蓄電ユニットは、放電を継続する(ステップS24)。その後、蓄電システム10の動作は、ステップS22へ移行し、ステップS23において、蓄電ユニットの切換が必要であると判定されるまで、ステップS22〜ステップS24が繰り返し実行される。
そして、ステップS23において、蓄電ユニットの切換が必要であると判定されると、放電中の蓄電ユニットが他の蓄電ユニットの放電を許可した状態で上述した方法によって放電を停止する(ステップS25)。
その後、放電を停止した蓄電ユニットと異なる蓄電ユニットが他の蓄電ユニットの放電を禁止した状態で上述した方法によって放電する(ステップS26)。
引き続いて、放電中の蓄電ユニットの制御部111は、電圧Vdがしきい値Vth3以下であるか否かを判定することによって(即ち、スイッチSW1がオンされているか否かを判定することによって)、蓄電システム10が負荷への電力の供給を停止するか否かを判定する(ステップS27)。この場合、放電中の蓄電ユニットの制御部111は、電圧Vdがしきい値Vth3以下であると判定したとき(即ち、スイッチSW1がオンされていないと判定したとき)、蓄電システム10が負荷への電力の供給を停止すると判定し、電圧Vdがしきい値Vth3よりも大きいと判定したとき(即ち、スイッチSW1がオンされていると判定したとき)、蓄電システム10が負荷への電力の供給を停止しないと判定する。蓄電システム10による負荷への電力の供給を継続するか否かは、蓄電システム10の使用者が決めるので、蓄電システム10の使用者が複数の蓄電ユニットの全てにおいてスイッチSW1をオフすることによって、蓄電システム10による負荷への電力の供給を停止することにしたものである。
ステップS27において、蓄電システム10が負荷への電力の供給を停止しないと判定されたとき、蓄電システム10の動作は、ステップS22へ移行し、ステップS27において、蓄電システム10が負荷への電力の供給を停止すると判定されるまで、ステップS22〜ステップS27が繰り返し実行される。
そして、ステップS27において、蓄電システム10が負荷への電力の供給を停止すると判定されると、蓄電システム10の動作は、終了する。
蓄電システム10が図11に示すフローチャートに従って動作を行う場合、蓄電システム10の蓄電ユニット1〜3の全てに充電器20が接続されていなくてもよい。蓄電ユニット1〜3の全てに充電器20が接続されていない場合、蓄電ユニット1〜3の全てにおいて、電池ユニット12を充電する必要があるとき、蓄電ユニット1〜3のランプが点灯するので、蓄電システム10の使用者は、蓄電ユニット1〜3の全てにおいてランプが点灯すると、蓄電ユニット1〜3の全てにおいてスイッチSW1をオフする。従って、蓄電ユニット1〜3の全てに充電器20が接続されていなくても、蓄電システム10の動作を図11に示すフローチャートに従って実行できる。
一方、蓄電ユニット1〜3の少なくとも2つに充電器20が接続されている場合、蓄電システム10の使用者が蓄電ユニット1〜3の全てにおいてスイッチSW1をオフするまで、蓄電システム10は、図11に示すフローチャートに従って動作を実行する。この場合、ステップS25において放電を停止した蓄電ユニットの電池ユニット12は、ステップS26において他の蓄電ユニットが放電を開始した後に、充電器20によって充電される。そして、ステップS25において放電を停止した蓄電ユニットは、電池ユニット12の充電が完了した後、自己の放電が許可されれば、ステップS26において放電する。
このように、蓄電システム10は、蓄電ユニット1〜3に充電器20が接続されているか否かに拘わらず、図11に示すフローチャートに従って動作を実行できる。
図12は、別の切換ユニットの概略図である。図12を参照して、切換ユニット130は、トランジスタQ1と、抵抗R2,R3とを備える。
トランジスタQ1は、PNPトランジスタからなる。トランジスタQ1は、エミッタおよびコレクタが配線8に接続されることによって配線8中に配置される。抵抗R2は、一方端がトランジスタQ1のベースに接続され、他方端が制御部111に接続される。抵抗R3は、一方端がトランジスタQ1のベースに接続され、他方端が配線7のノードN9に接続される。そして、トランジスタQ1は、配線8を不導通にする場合、Hレベルの電圧Vbをベースに受け、配線8を導通させる場合、電圧Vbをベースに受けない。
トランジスタQ1が電圧Vbをベースに受けない場合、配線8からのキャリアは、トランジスタのエミッタからベースへ流れ、ベースから抵抗R3を介して配線7へ流れる。その結果、図1に示すように、配線8は、一方端が配線7に接続されているため、配線8は、導通する。
一方、トランジスタQ1がHレベルの電圧Vbをベースに受ける場合、逆方向の電圧がトランジスタQ1の2つのp−n接合に印加されるため、エミッタ−ベース間およびベース−コレクタ間(即ち、エミッタ−コレクタ間)に電流が流れず、配線8は、不導通になる。従って、切換ユニット130は、半導体素子を用いてノーマリーオンを実現できる。
この発明の実施の形態においては、蓄電ユニット1〜3の各々において、切換装置11は、切換ユニット112に代えて切換ユニット130を備えていてもよい。
図13は、この発明の実施の形態による別の蓄電システムの概略図である。この発明の実施の形態による蓄電システムは、図13に示す蓄電システム10Aであってもよい。
図13を参照して、蓄電システム10Aは、図1に示す蓄電システム10の蓄電ユニット1,2,3をそれぞれ蓄電ユニット1A,2A,3Aに代え、配線8の一方端が負荷から蓄電ユニット3Aよりも遠い位置で接地電位GNDを有する配線7に接続されるようにしたものであり、その他は、蓄電システム10と同じである。
蓄電ユニット1A,2A,3Aは、配線6と配線7との間に電気的に並列に接続される。そして、蓄電ユニット1Aは、電力変換器4に最も近い位置に配置され、蓄電ユニット2Aは、電力変換器4に2番目に近い位置に配置され、蓄電ユニット3Aは、電力変換器4から最も遠い位置に配置される。
蓄電ユニット1A,2A,3Aの各々は、蓄電ユニット1〜3と同じ方法によって充電され、電力を蓄電するとともに電力を配線6,7を介して電力変換器4へ供給する。そして、蓄電ユニット1A,2A,3Aは、後述する方法によって、電力を電力変換器4に供給する蓄電ユニットを相互間で切り換え、蓄電ユニット1A,2A,3Aのいずれかが電力を電力変換器4に供給する。
図14は、図13に示す蓄電ユニット1Aの概略図である。図14を参照して、蓄電ユニット1Aは、図2に示す蓄電ユニット1の切換装置11を切換装置11Aに代えたものであり、その他は、蓄電ユニット1と同じである。
切換装置11Aは、図2に示す切換装置11において、図13に示す接地電位GNDの位置からノードN1よりも遠い位置に切換ユニット112を配置するように変更したものであり、その他は、切換装置11と同じである。
図13に示す蓄電ユニット2A,3Aの各々は、図14に示す蓄電ユニット1Aと同じ構成からなる。
蓄電ユニット1A,2A,3Aの各々の動作は、図3に示すフローチャートに従って実行される。また、蓄電システム10Aの動作は、図11に示すフローチャートに従って実行される。この場合、接地電位GNDの位置に最も近い位置に配置された蓄電ユニット3Aが最初に放電し、次に、接地電位GNDの位置に2番目に近い位置に配置された蓄電ユニット2Aが放電し、接地電位GNDの位置から最も遠い位置に配置された蓄電ユニット1Aが最も遅く放電する。
これは、蓄電ユニット1A,2A,3Aの各々において、切換ユニット112が図13に示す接地電位GNDの位置からノードN1よりも遠い位置に配置されており、蓄電ユニット1A,2A,3Aの各々は、自己よりも接地電位GNDの位置から遠い位置に配置された蓄電ユニットの放電を禁止した状態で放電するからである。
このように、蓄電システム10Aは、蓄電ユニット1A,2A,3Aの切換ユニット112の配置位置によって蓄電ユニット1A,2A,3Aの放電の順番を蓄電システム10における蓄電ユニット1,2,3の放電の順番と逆にできる。
なお、蓄電システム10Aの蓄電ユニット1A,2A,3Aの各々は、切換ユニット112に代えて図12に示す切換ユニット130を備えていてもよい。
蓄電システム10Aについてのその他の説明は、蓄電システム10についての説明と同じである。
なお、上記においては、電池ユニット12は、リチウムイオン二次電池121からなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、電池ユニット12は、1次電池またはリチウムイオン二次電池以外の二次電池からなっていてもよい。
また、上記においては、切換ユニット113,114は、それぞれ、リレー113A,114Aを含むと説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、切換ユニット113,114は、それぞれ、リレー113A,114Aに代えて、電界効果トランジスタ(FET:Filed Effect Transistor)等の半導体素子を含んでいてもよい。
更に、この発明の実施の形態においては、配線8は、接地電位GNDに限らず、しきい値Vth1以下の電位を有していればよい。
更に、この発明の実施の形態においては、蓄電システム10,10Aの各々は、電力変換器4を備えていなくてもよい。
更に、上記においては、蓄電ユニット1〜3を備える蓄電システム10および蓄電ユニット1A,2A,3Aを備える蓄電システム10Aについて説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、電池ユニット12に代えて太陽電池または燃料電池を備えた電力システムであってもよい。この場合、電力システムは、切換装置11(または切換装置11A)と、太陽電池または燃料電池とを備える電力ユニットを複数個備えた構成からなる。
この発明の実施の形態においては、電池ユニット12、太陽電池および燃料電池等は、負荷に電力を供給および/または蓄電する「電力装置」を構成する。
上述した実施の形態によれば、この発明の実施の形態による切換装置は、負荷に電力を供給する電力ユニットを複数の電力ユニット間で切り換える切換装置であって、第1のしきい値以下の電圧を検出すると、複数の電力ユニットのうちの第1の電力ユニット以外の第2の電力ユニットが負荷に電力を供給するのを禁止した状態で、第1の電力ユニットのモードを負荷に電力を供給する給電モードに切り換える第1の切換処理と、第1の電力ユニットの出力電圧が第2のしきい値以下になると、第2の電力ユニットが負荷に電力を供給するのを許可した状態で、第1の電力ユニットのモードを負荷への電力の供給を停止する給電停止モードに切り換える第2の切換処理とを実行すればよい。
また、この発明の実施の形態による切換装置は、第1のしきい値以下の電位を有し、かつ、各々が負荷に電力を供給および/または蓄電する複数の電力ユニットにわたって配置された第1の配線の導通/不導通を切り換える第1の切換ユニットと、複数の電力ユニットのうちの第1の電力ユニットに含まれ、かつ、負荷に電力を供給および/または蓄電する電力装置の正極端子に接続されると共に電力装置からの電力を負荷に供給する第2の配線の導通/不導通を切り換える第2の切換ユニットと、第1の電力ユニットによる負荷への電力の供給が許可されたことを検出すると、第1の配線を不導通にするように第1の切換ユニットを制御するとともに第2の配線を導通させるように第2の切換ユニットを制御し、第1の電力ユニットの電力装置の出力電圧が第2のしきい値以下になると、第1の配線を導通させるように第1の切換ユニットを制御するとともに第2の配線を不導通にするように第2の切換ユニットを制御する制御部とを備えていればよい。
そして、この発明の実施の形態による電力ユニットは、切換装置を備えていればよく、この発明の実施の形態による電力システムは、複数の電力ユニットを備えていればよい。
この発明の実施の形態による電力ユニットおよび電力システムは、例えば、ハイブリッド自動車および電気自動車に搭載され、上述した方法によって、モータに電力を供給する電力ユニットを切り換える。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。