以下、本発明の実施形態に係る切替装置、及び報知装置について図面を参照しつつ説明する。
本発明は、RFIDタグがアクティブ状態であることをヒトが視認しやすいように印付けすると同時に電子的に検知できる技術に関する。
RFIDタグ、なかでも、それ自体に電源を内蔵する必要がなく受信した電波を電源として、あらかじめ決められた信号を送り返すパッシブ型のRFIDタグは広く活用されており量産効果で価格は低廉である。RFIDタグは電波媒体を使うので直接視認できない隠れた場所にあっても機能する。
RFIDタグの構成はアンテナブロック、制御回路ブロック、メモリーブロックからなり、個々のRFIDタグの応答はメモリーブロックに保存されたデータによって任意の値を選択できる。このブロック間の接続回路を接続および切断するスイッチで可逆的に回路機能をアクティブ化したり非アクティブ化する提案が多くなされている。
ピッキング作業における収納棚など多数の管理対象が存在する環境では、実際にピッキングに従事する者がストック残数減少など作業中に気付いた事象を他の従事者あるいは管理する人またはシステムに知らせる情報共有を必要とする事態が発生する。業務で情報共有の持つ意味は大きい。古くは医療機関における紙カルテが挙げられる。医師が看護師に対する指示を記載し、記載したという事象があることを示す支持棒をカルテに挟んでラックに戻すことで看護師に「チェックすべき要件アリ」の状況を知らせる。指示を受ける看護師は支持棒を目印として的確に指示の存在場所にたどり着くことができる。この仕組みで看護師は指示の有無を見つけるために全てのカルテの全ページを調べる必要がない。この支持棒手法は入院病棟ナースステーションにおけるカルテラックのように対象物が一カ所に集積していて、かつ一目で全数を見渡せる状況下では良好に機能する。逆にデスク上で他の書類の下にあると、指示は見逃されてしまう。検索対象は目視の及ぶ範囲に限り良好に検出される。
RFIDタグ、なかでも、それ自体に電源を内蔵する必要がなく受信した電波を電源として、あらかじめ決められた信号を送り返すパッシブ型のRFIDタグは広く活用されており量産効果で価格は低廉である。RFIDタグは電波媒体を使うので直接視認できない隠れた場所にあっても機能する。
RFIDタグの構成はアンテナブロック、制御回路ブロック、メモリーブロックからなり、個々のRFIDタグの応答はメモリーブロックに保存されたデータによって任意の値を選択できる。このブロック間の接続回路を接続および切断するスイッチで可逆的に回路機能をアクティブ化したり非アクティブ化する提案が多くなされている。また導電線であるアンテナブロックを密封容器の封印と一体化封入することで封印開封に伴うアンテナ機能喪失で生じる応答信号消失を検出することで電子的に封印開封を検知する発案も存在する。この破綻検知はスイッチ接点を介さないのでスイッチの接点不良などによる不具合とは無縁であるが、それ以外の電気的スイッチ接点によって状態を可逆的に変化させる方法では電気接点の接触不良は避けることのできない故障であり、そのRFIDタグの信号が表す事象によっては動作不良が重大な結果を招きかねない。またスイッチ機能付のRFIDタグは通常品とはことなる製造工程を要するので部品単価も高価であり、実装に際しても電気的配線工程が必要で複雑化することが多くコストも増加する。
扉のロックなど、状態確認ができると有用な場面がある。例えば列車のトイレ利用状況が客室内に表示されることで乗客はトイレが使用されていないことを認識した上で、席を立つことができる。このようにトイレやロッカーなど共同利用資源の利用状況を把握できると便利であるが、既存の施設、設備に検出機構を追加する場合、電気的配線が必要であり施工が複雑になる。また全面ガラス製の自動ドアにボタン式の開閉スイッチを備える場合には、内蔵電池電源で駆動する検出用無線子機を使用することになり定期的な電池交換が必要である。定期的に電池交換が必要な対象が多数する場合、メンテナンス作業は膨大な労力を要する。
本発明では、個々の対象物に1個以上のパッシブ型RFIDタグを用意する。それぞれは出し入れが可能な電波遮蔽材でできた格納容器に入っている。容器に格納した状態では電波が遮蔽されるのでRFIDリーダーが発する電波はRFIDタグに到達しない。仮にRFIDリーダーの電波が強くて遮蔽通過で減衰した時点の強度でRFIDタグが受信できたとしても、RFIDタグが送出できる応答電波は微弱であり、格納容器の遮蔽を通り抜けた段階でRFIDリーダーで検知できる強度を大きく下回るので適切な閾値を設定することで格納状態にあるRFIDタグからの信号は排除できる。RFIDタグに割り当てられた運用上の状態変化が生じた際に、RFIDタグを格納容器から取り出す。この時点でRFIDタグはRFIDリーダーからの電波を通常受信できるようになり、通常の応答信号を発信できる。RFIDリーダーから見るとRFIDタグの存在を確認できるようになる。
本発明では前項で記したRFIDタグを格納容器から出し入れする動作と同時に作業者が状態を視認できる機構を提供する。別の視点から表現すると視認用フラグを立てるという動作で作業者は意識せずにRFIDタグを格納容器から取り出す、あるいは格納容器に収納することになる機構を提供する。複数の実装方法が考えられるが、もっとも単純な機構は図1に示す方法で文字通りフラグ(旗)を立てることでRFIDタグを格納容器から取り出すものである。
このほかにもラジオボタン型(図3)やスライドスイッチ型(図4)あるいはダイヤル型(図2)などメカニカルスイッチの形状を模した機械機構で1個以上のRFIDタグの電波的露出と電波遮蔽を切り替えることができる。図3のラジオボタン型の場合にはRFIDは必ずしも択一である必要はなく、複数のRFIDタグのアクティブ状態または非アクティブ状態を任意に混在させることが可能である。電気導通を接続、切断することでRFIDのアクティブ状態のオン・オフを切り替える電気的スイッチと異なり、小型とはいえRFIDという完結した回路を容器から物理的に出し入れ移動するだけなので回路故障頻度は少ない。
トイレドアなどのロック機構として使われる表示付、スライドラッチあるいは回転式の引戸掘込カマ錠の「空き」「使用中」表示部分にRFIDタグを内蔵することで表示とロック機能の同期に加えて、電気的な検出機能が実現できる。ロッカー、レジスターなどのロック機構に組み込むことで従来のロック機能と状態表示に加えて、非接触でロック状態を検知することが可能になる。もちろん電池交換などのメンテナンスは不要である。
本発明の応用範囲は多岐にわたる。小売あるいはそれに近い物流業の倉庫では大量のピッキング作業が発生すると同時に在庫管理、なかでも物品補充は重要である。システムでの数値的管理もさることながらピッキング作業者が、ピッキング対象の残数減少に気付いた場合、その場で補充が必要というフラグを立てて本来業務であるピッキング作業を続けることができる。対象物品ストックスペース近隣の対象外の物品について補充が必要である事態に気づいた場合など本来割り当てられた仕事と異なる周辺への気配り、目配りをして必要であればシステムに通知としたとしても作業効率はほとんど影響をうけない。要補充の信号を受けた別の担当者は必要に応じて現場をチェックし、補充物品を発注し、納品された物品をストックスペースに補充し、フラグを倒して電波送受信ができないようにして一連の作業が終了する。システムは補充が必要という信号が消えたことを検知する。
本発明は調剤薬局の薬剤棚にも前項と同様に適用できる。ピッキング作業者Aが残数減少に気付いてフラグを立ててピッキング作業を続行、別のピッキング作業者Bも同じく残数減少に気付くが、すでにフラグが立てられていることが視認できるので、ことさら何もせずにピッキング作業を継続する。発注担当者はRFIDシステムから要補充のフラグが立てられている通知を受け取り、必要があれば現場を確かめ発注し補充、そしてフラグを倒す。システムは要補充状態を受信しなくなる。
本発明はシステム停止時にも人的作業に役立つとともに、システム再起動時にはオフライン状態での変化を検知可能とする。調剤薬局の地域が何らかの事情で長時間停電となりシステムが稼働できない状態で職員が手作業でピッキング作業を続けている場合、物品補充が必要と判断した棚のフラグを立てておく。他の作業者も要補充であることに気付くが、すでに誰かが認識してシステムに通知していることを目視で知ることができる。やがて電源が復旧し稼働し始めるとシステムはRFIDタグを認識し、対象物品の補充が必要であるという職員からの通知を受領する。
鉄道駅、空港、競技場など多人数があつまる施設でトイレ個室は警備対象として重要である。不特定多数をターゲットとするテロリズム対策として周囲の視線から隔絶された空間での作業を監視することは必要だが、社会通念上、視覚センサーによる監視は敬遠される。不自然なまでに長時間にわたるトイレ個室のロック状態はこのようなテロリズムのみならず、重病人発生という事態も懸念される。本発明のロック機構を使用すると、既存のドアであってもロック機能、「使用中」か「空き」かの表示に加えて、その状態が電子的に検知可能となる。RFIDタグ設置に関してドアに電源などは不要であり、メンテナンスフリーである。
図1は前後左右の側壁4方向と底面に電波遮蔽を施した格納容器10とヒンジ26でつながる表示板20を示す。表示板20はヒンジ26を回転軸として用手的に回転が可能である。表示板20の表面には目視可能な様式で状態を表す表示24が記されている。表示板20は電波を遮蔽しない素材である。表示板20は裏面または内部にRFIDタグ22を収納している。表示板20のひとつの面25は電波遮蔽素材を貼付してある。表示板20を矢印27方向に回転させて長辺を垂直方向にした時、目視用表示は目視できる状態となる。この時、RFIDタグ22は周囲に電波遮蔽の存在しない状態となりRFIDリーダーからの電波に応答信号を返す。表示板20を矢印28方向に回転させて長辺を水平方向にした時、RFIDタグ22は格納容器内に収まり、目視用表示24も目視できなくなる。この時、格納容器上面は表示板20の電波遮蔽素材部分40によって蓋をされるので、容器内のRFIDタグ22は外部の電波から遮蔽された状態となる。
図2は左右両側面と奥面の5面に電波遮蔽を施した格納容器100が筒状の表示機構120を内蔵したものを示す。表示機構120の一部は格納容器100から露出している。表示機構120の外表面は電波を遮蔽しない素材で作られており、目視可能な様式で状態を示す表示124が記されている。回転用操作面128を指で操作することで表示機構120を回転させることができる。表示機構120の内部は電波遮蔽材からなる内壁140で複数区画に区分されている。図2では120度ずつ3区画に分割した様子を示している。それぞれの区画には1個あるいは複数のRFIDタグ122が収められている。システム上、意味を成す場合、区画はRFIDタグを収めない事もある。図2の状態の場合、作業者は「要補充」状態であることを目視確認できる。この時、手前に向いている区画内で「要補充」表示の裏面に位置するRFIDタグ122は電波を遮蔽されることなく受信できるので、応用信号を返す。すなわち作業者の目視とシステムでの電子検知が一致する。
図3は左右両側面と奥面の5面に電波遮蔽を施した格納容器200が3個の押しボタン220を備えた様子を示す。各ボタンの手前面と奥面および格納容器200の手前面も電波遮蔽が施されている。ボタン220は押し込むと、その状態でラッチされ、再度押すとラッチがリリースされバネで手前に突出してくる。ボタン220の左右上下の4面は電波を遮蔽しない素材で作られている。ボタン220の内部にはRFIDタグ222が収められている。ボタン220が押し込まれた状態ではRFIDタグは周囲を電波遮蔽されてしまい、応答できない。ボタン220が手前に飛び出た状態ではRFIDタグは電波を受信できる状態なので応答信号を返せる。複数のボタンは互いに独立して状態を任意に変化させることもできるし、ラジオボタンのように択一ボタンの押し下げを許諾することも可能である。後者の場合、あるボタンが押し下げられると、他の押し下げられていたボタンはリリースされてせり出してくる。
図4は左右前後4面と天地2面に電波遮蔽を施した格納容器300に窓があいており、引き戸のようなシャッター340が左右にスライドできる様子を示す。シャッター340は格納容器300と同様に電波遮蔽素材でできている。シャッター340を格納容器の前面に開けられた窓を塞ぐ左方向にスライドさせた時、シャッター340の表面に記された表示342が目視できる。図4では「充足」の表示が目視できる。シャッター340を右方向にスライドさせると窓の奥板320が露出する。奥板320は電波を遮蔽しない素材で作られていて、表面には表示内容が記されている。奥板320の裏面にはRFIDタグ322が貼付されている。シャッター340が開いた時、奥板320の表示が目視できると同時にRFIDタグ322は電波を送受信できる状態となり機能する。シャッター340が閉じた時、奥板320の表示は隠れて目視できなくなり、代わりにシャッター表面の表示342が目視できるようになると同時にRFIDタグ322は電波を送受信できなくなり機能を停止する。
図5は左右前後4面と天地2面に電波遮蔽を施した格納容器400に窓があいており、引き戸のようなシャッター440が左右にスライドできる様子を示す。シャッター440には手指での操作利便性のためにつまみ444が一体になっている。シャッター440は格納容器400と同様に電波遮蔽素材でできている。図5左側で格納容器400の左側面を貫いている閂(かんぬき)露出している部分452aと露出していない部分452bは一体でありシャッター440と接合部454で一体となっている。閂452a,452bはシャッター440と一体として左右にスライドする。シャッター440を格納容器の前面に開けられた窓を塞ぐ右方向にスライドさせた時、シャッター440の表面に記された表示が目視できる。図5では「空き」の表示が目視できる。シャッター440を左方向にスライドさせると窓の奥板420が露出する。奥板420は電波を遮蔽しない素材で作られていて、表面には表示内容が記されている。奥板420の裏面にはRFIDタグ422が貼付されている。シャッター440が開いた時、奥板420の表示が目視できると同時にRFIDタグ422は電波を送受信できる状態となり機能する。さらにこの時、閂452a,452bは最も格納容器から露出し、閂としてロックを提供する。シャッター440が閉じた時、奥板420の表示は隠れて目視できなくなり、代わりにシャッター440表面の表示が目視できるようになると同時にRFIDタグ422は電波を送受信できなくなり機能を停止する。さらにこの時、閂452a,452bは最も格納容器に収納されて、閂としてのロックは解除される。
各対象物に本発明の表示機能付きRFIDタグ格納容器が取り付けられている事。使用するRFIDタグの応答能力に応じた距離内に配置されることを条件とするRFIDリーダーが設置されている事で各対象物に対応したRFIDタグの状態を把握することが可能になる。
調剤薬局の各ストック棚に図1に示す格納容器にセットしたRFIDタグを貼付する。検知対象RFIDタグとの更新可能であることを条件としてRFIDリーダーを設置する。薬剤師がピッキング作業に従事し、ストック物品残数が少なくなったことに気付くと当該ストック棚のRFIDタグ格納容器の表示板を縦方向に起こして残りのピッキング作業を続ける。システム管理者はストック残数減少を自分のパソコンの表示で報知され、必要に応じて現場を確認した後、発注する。物品が納品されると、担当者は当該ストックスペースに補充した後に格納容器の表示板を横方向に倒して補充が必要な状態でないことを作業者が目視できるようにすると同時にシステムも要補充状態であることを検出しなくなる。
スタジアムなど不特定多数が利用する施設のトイレ個室の各ドアに本発明、図5で示すスライドラッチを設置しトイレエリア内をサービスエリアとするRFIDリーダーを設置することで、数秒毎に各トイレ個室ドアの施錠状態を把握できる。トイレ個室の使用が終わって施錠が解除されヒトが個室外に出て、次の利用者がトイレ個室に入り施錠するまでに施錠が解除された状態が検知できる。仮に特定のトイレ個室ドアが長時間にわたって継続的に施錠状態であることがシステムで検知されたとすると、トイレ個室内の人は体調不良を起こしているかも知れないし、なんらかの想定外行動を行っているかも知れない。何れにしても通常ではない状態として警備担当者がチェックする対象となる。トイレは監視用カメラを設置しにくい空間であり、犯罪準備に悪用されることが懸念される。国際的イベントにおいては保安上の盲点となり得るので、本発明の利用は保安上も利用可能性がある。
本発明はRFIDタグの応答性制御のために電気的スイッチを使用しない。そのため電気接点の接触不良やノイズ混入などのトラブルは発生しない。また汎用品のRFIDタグおよびRFIDリーダーを改変することなく使用できるのでコストを抑えることができる。
本発明は就業時間外や停電などシステム停止状態においても目視用フラグ機能は利用可能である。またシステム再起動時には何ら特別な手順を要することなく、目視フラグの状態がシステムに反映される。同様に目視用フラグはシステムダウンに際しても状態は維持され、RFIDタグのアクティブ、非アクティブ状態も失われることなく維持される。
本発明を利用すると例えば列車トイレ個室ドアのロック状態を非接触で検知できる。「空き」と「使用中」の2状態を表示できるスライド式のロック機構にRFIDタグの電波遮蔽機構を応用すると、ドアロック機構を操作することで表示が切り替わり、電気的にも状態を把握できる。旧来の方法でドアにロック状態センサーを組み込むのは配線の取り回しが面倒であるし無線発信式のスイッチを用いるとバッテリーの交換など定期メンテナンスを必要とする。本発明の技法は配線もバッテリー交換も不要であり初期費用およびランニングコストを抑制できる。
前項と同様に本発明をドアロック状態の検出に用いると、観覧車ゴンドラやロープウェイゴンドラなどのドアロックがなされているかを新たに配線を追加することなく実現できる。発着場の適切な場所にRFIDリーダーを設置しておくとロック状態をチェックできる。
<第一実施形態の切替装置の動作、及び報知システムについて>
本発明の第一実施形態に係る格納容器10(切替装置)の動作、及び報知システム60について、図1及び図6を参照しつつ説明する。格納容器10(切替装置)は、例えば、複数種類の物品を保管する在庫棚などに設置して用いられる。
格納容器10は、表示板20(標識体)、容器本体30(格納体、遮断体)、電波遮蔽素材部分40(閉塞体、遮断体)を有している。
表示板20(標識体)は、板状の部材である。表示板20には、RFIDタグ22、及び表示24が設けられている。また、表示板20には、電波遮蔽素材部分40が設けられている。
本実施形態のRFIDタグ22は、バッテリー(駆動源)を備えず、RFIDリーダー70(読取り装置)などの外部機器から送信される電波を駆動源として作動する、いわゆる「パッシブ型」のRFIDタグである。そのため、格納容器10は、RFIDタグ22を作動させるためのバッテリーや、電気を供給するための構成を要しない。また、格納容器10は、設置するための電気配線工事や電池交換などを要さず、維持管理等のメンテナンス作業に要する労力を低減させることができる。
表示24は、文字など視認可能とされた情報である。図1及び図6に示すとおり、本実施形態の表示24は、商品の補充が必要であることを示す「要補充」の文字とされている。なお、本発明の切替装置(格納容器)に設けられる表示は、本実施形態のように「文字」を表示させるもののほか、記号や図形など、視認可能なものであればいかなるものであってもよい。また、本実施形態や以下に説明する実施形態における表示は一例であり、表示として設けられる文字や図形の内容は限定されない。
容器本体30(格納体、遮断体)は、電波を遮断する機能を備える容器である。図1及び図6に示すとおり、容器本体30は、正面視において略矩形の外観を有している。容器本体30には、開口34が設けられている。容器本体30は、開口34を介して内部に表示板20を出し入れ可能とされている。
容器本体30は、電波遮断が施されている。なお、容器本体30は、電波を遮断する素材により構成されていてもよいし、あるいは電波を遮断しない素材により容器を構成して当該容器に電波遮断が施されたものであってもよい。容器本体30は、電波遮断が施されることにより、内部に電波を遮断可能とする遮断領域32が形成されている。
格納容器10は、表示板20を容器本体30に対して出し入れ可能とされている。より具体的には、格納容器10は、ヒンジ26を介して表示板20及び容器本体30を連結した構成とされている。表示板20は、ヒンジ26を回転軸として容器本体30に対して揺動されると、開口34を介して容器本体30の内部(遮断領域32)に格納された位置と、容器本体30の遮断領域32から外れた位置とに変位する。
例えば、図6(a)に示すとおり、表示板20及び容器本体30が、双方の長手方向が略一致するように配置されると、表示板20は容器本体30の遮断領域32(内部空間)に格納される。また、表示板20及び容器本体30が双方の長手方向が略一致するように配置されると、電波遮蔽素材部分40(閉塞体)が開口34と接触して開口34を閉塞するように配置される。
格納容器10は、表示板20が遮断領域32に格納された状態では、表示板20に設けられたRFIDタグ22は交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。より具体的には、表示板20が遮断領域32に格納された状態では、容器本体30の遮断領域32(容器本体30の内部空間)は、電波遮断性を備える素材により周囲を取り囲まれた状態となる。これにより、遮断領域32に格納されたRFIDタグ22は、容器本体30の外部から送信された電波が遮断され、あるいは容器本体30の内部から送信する電波が遮断されて交信ができない状態(交信不能状態)となる。
一方、図6(b)に示すとおり、表示板20及び容器本体30が、双方の長手方向が交差するように配置されると、表示板20が容器本体30の内部空間から取り出されて遮断領域32から外れた位置となる。
格納容器10は、表示板20が容器本体30の遮断領域32から外れた位置となる状態では、RFIDタグ22は交信が可能な状態(交信可能状態)となる。
このように、格納容器10は、容器本体30に対して表示板20を出し入れすることにより、RFIDタグ22が遮断領域32に配置されてRFIDタグ22の交信が遮断される交信不能状態と、RFIDタグ22が遮断領域32から外れた位置となりRFIDタグ22の交信が可能となる交信可能状態との切り替え(交信状態の切り替え)が行われる。
格納容器10は、それ自体が完結した回路を有するRFIDタグ22(パッシブ型RFIDタグ)を、容器本体30に対して出し入れすることによりRFIDリーダー70との交信を接続及び遮断の切り替えを行うことができる。そのため、格納容器10は、回路の接続及び切断により交信状態の切り替えを行う「スイッチ機能付きのRFIDタグ」と比較して、RFIDタグ22の故障のリスクを低減させることができる。
図6(a)に示すとおり、表示板20が容器本体30の遮断領域32に格納された状態では、表示板20に設けられた表示24(「要補充」の文字)は、容器本体30に遮蔽されて視認できない状態(非表示状態)となる。言い換えれば、格納容器10は、RFIDタグ22の交信ができない状態(交信不能状態)では、表示24(「要補充」の文字)が視認できない状態(非表示状態)となる。
一方、図6(b)に示すとおり、格納容器10は、表示板20が容器本体30から取り出された状態では、表示板20に設けられた表示24(「要補充」の文字)が視認可能な状態となる。言い換えれば、格納容器10は、RFIDタグ22の交信が可能である状態(交信可能状態)では、表示24(「要補充」の文字)が視認可能とされる状態(表示状態)となる。
このように、格納容器10は、交信状態の切り替えに連動して、表示24が視認できない状態(非表示状態)と視認可能となる状態(表示状態)とが切り替えられる。
続いて、本発明の報知システム60の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る報知システム60は、格納容器10の交信状態を検知して、当該状態に基づいて所定の情報を報知する。
報知システム60は、上述した格納容器10に加え、RFIDリーダー70(読取り装置)、及び表示装置80(報知装置)を有している。
RFIDリーダー70(読取り装置)は、RFIDタグ22と信号の送受信を行うためのものである。RFIDリーダー70は、いかなる形状のものであってもよい。例えば、RFIDリーダー70は、読み取り機能を備えることに加え、書き込み機能を備えるもの(RFIDリーダライター)であってもよい。
表示装置80(報知装置)は、RFIDリーダー70が受信した信号に基づき、所定の報知情報を表示させるためのものである。表示装置80は、RFIDリーダー70と接続可能なものであればいかなるものであってもよい。例えば、表示装置80は、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の端末装置であってもよいし、電光掲示板等の表示機であってもよい。また、表示装置80とRFIDリーダー70との通信方式は、有線通信であるか無線通信であるかを問わず、いかなる方式であってもよい。なお、本実施形態では、表示装置80の一例として、パーソナルコンピュータを表示装置80として用いられる例を挙げて説明する。
図6(a)に示すとおり、表示板20が容器本体30に格納された状態では、表示24(「要補充」の文字)が視認できない状態(非表示状態)となる。
また、表示板20が容器本体30に格納された状態では、RFIDタグ22の交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。交信不能状態では、RFIDタグ22はRFIDリーダー70と交信することができない。この場合には、図6(a)に一例として示すように、表示装置80に物品の補充が必要である旨を報知する内容が表示されない。
このように、容器本体30に表示板20が格納された状態では、遮断領域32において電波が遮断されるため、RFIDリーダー70から送信される電波は遮断領域32に配置されたRFIDタグ22に到達しない。仮に、RFIDリーダー70の電波が強く、RFIDリーダー70から送信された電波が容器本体30を通過してRFIDタグ22に到達したとしても、容器本体30を通過して遮断領域32に到達した電波の強度は微弱であり、RFIDタグ22が反射して送信することができる電波はごく弱いものとなる。そのため、遮断領域32に配置されたRFIDタグ22から反射された電波は、再び容器本体30の外部に通り抜けた段階でRFIDリーダー70により検知できる強度を大きく下回る。このように、RFIDリーダー70から送信される電波の強度などを適切に設定することで、遮断領域32に配置されたRFIDタグ22からの信号を排除することができる。
図6(b)に示すとおり、物品の補充が必要であると作業者が判断した場合には、当該作業者が表示板20を容器本体30から取り出す動作を行うことができる。表示板20が容器本体30から取り出された状態では、表示24(「要補充」の文字)が視認可能な状態(表示状態)となる。これにより、他の作業者が表示24(「要補充」の文字)を視認して、物品の補充が必要であることを認識することができる。
このように、格納容器10は、表示板20を容器本体30から出し入れする動作に連動して、当該動作を行った作業者や他の作業者が「在庫対象製品の補充が必要であるか否か」といった在庫の状態を視認して当該状態の情報を共有することができる。別の視点から表現すると、作業者は、容器本体30から表示板20を取り出す動作を「視認用フラグを立てる」という動作として、「RFIDタグを取り出す」ことを特段意識せずに行うことができる。
また、表示板20が容器本体30から取り出された状態では、RFIDタグ22の交信が遮断されず、RFIDタグ22とRFIDリーダー70との間で信号の送受信が可能となる(交信可能状態)。交信可能状態では、RFIDリーダー70がRFIDタグ22の信号を受信することに基づいて、表示装置80に所定の情報が表示される。
例えば、図6(b)に示すとおり、格納容器10が交信可能状態であることに連動した情報として、RFIDタグが設けられた物品を特定する情報(例えば在庫対象物を特定する製品番号など)や、物品の補充が必要であることを知らせる報知情報(例えば「補充が必要です」等の文字)を表示装置80に表示することができる。
このように、報知システム60は、格納容器10が設けられた場所において所定の情報を視認可能として複数の者の間で情報を共有可能とするとともに、格納容器10から離れた場所(例えば物品の在庫管理を行う事務所など)において格納容器10の交信状態と連動した情報を報知することができる。
また、格納容器10及び報知システム60によれば、多数の種類の物品が管理されている現場において、物品の在庫数が少なくなっていることなど、ピッキング作業を行う者が作業中に気付いたことを、他のピッキング作業者あるいは管理者に報知して、これらの者の間で情報を共有することができる。
格納容器10及び報知システム60は、多岐の分野で好適に用いることができる。小売業や物流業の倉庫では、多数のピッキング作業が随時発生している。在庫管理に関して、物品の在庫数を維持してピッキング作業を円滑に行うためにも、物品の補充はとりわけ重要な業務である。
格納容器10によれば、ピッキング作業者がピッキング作業中に物品の在庫数量が少なくなっており、物品の補充が必要であることに気付いた場合、当該作業者がその場で容器本体30から表示板20を取り出して表示24(「要補充」の文字)を表示させる。これにより、格納容器10は、設置された現場(在庫棚が置かれた倉庫など)において、他の作業者等に当該物品の補充が必要である旨を知らせ、現場で作業を行う者の間で情報を共有することができる。
また、ピッキング作業者は、単に容器本体30から表示板20を取り出すという簡単な動作により、「物品の補充が必要であること」を他の者に知らせることができる。そのため、格納容器10は、所定の情報(本実施形態では「物品の補充が必要であること」)を知らせるための作業(本実施形態では「容器本体30から表示板20を取り出す動作」)が、ピッキング作業をほとんど妨げない。
さらに、報知システム60によれば、現場の在庫棚に設けられた格納容器10を容器本体30から表示板20を取り出すことにより、RFIDタグ22とRFIDリーダー70との交信が可能な状態(交信可能状態)となり、RFIDリーダー70がRFIDタグ22からの信号を受信することに基づいて、所定の報知情報(本実施形態では「物品の補充が必要であること」)が表示装置80により表示される。そのため、報知システム60によれば、現場で作業者を行う者が、物品の補充を要することを管理者にわざわざ知らせる必要がない。表示装置80により報知された「物品の補充が必要であること」を確認した担当者は、現場のチェック、補充対象物品の発注、納品された物品のストックスペースへの補充、格納容器10の表示板20を容器本体30に格納する等、必要な作業を行う。これにより、在庫物品の補充に関する一連の作業が終了する。
なお、格納容器10及び報知システム60は、調剤薬局の薬剤棚にも好適に活用することができる。例えば、格納容器10が設けられた薬剤棚にて、ピッキング作業者Aが当該薬剤の残数が少なくなっていることに気付いた場合、表示板20を容器本体30から取り出した上で(フラグを立てた上で)、ピッキング作業を続行することができる。また、この場合において、別のピッキング作業者Bが同様に当該薬剤の残数が少なくなっていることに気付いた場合、すでにフラグが立てられていることが視認できるためピッキング作業を継続することができる。言い換えれば、格納容器10は、複数の作業者がピッキング作業などを行う現場において、一の物品の補充が必要であることの連絡が重複することを抑制することができる。さらに、発注担当者は報知システム60により「要補充」の旨が報知された内容を確認して、必要があれば現場を確かめて薬剤を発注する、あるいは薬剤を補充する等を行うことができる。
さらに、格納容器10は、報知システム60のRFIDリーダー70や表示装置80が何らかの理由(例えば停電など)で稼働を停止した場合であっても、現場でのピッキング作業等の人的な作業に貢献することができる。また、報知システム60は、一旦停止したシステムが復旧して再起動した際には、オフラインの状態で格納容器10の交信不能状態及び交信可能状態を検知することができる。そのため、報知システム60は、例えば、調剤薬局が何らかの事情で長時間停電となり、報知システム60等のシステムが稼働できない状態の中、職員等の作業者が手作業でピッキング作業を続けている場合には、格納容器10を機能させて薬剤等の補充の要否などに関する情報を担当者間で共有することができる。
具体的には、停電等の理由により報知システム60のRFIDリーダー70や表示装置80が機能できない状況下で行われるピッキング作業では、作業者が物品の補充が必要であると判断した場合、薬剤等の棚に設けられた格納容器10の表示板20を容器本体30から取り出しておく(フラグを立てておく)。他の作業者がピッキング作業を行っている際に、同様に薬剤の残数が少なくなっていることに気付いた場合、当該担当者は容器本体30から取り出された表示板20の表示24(「要補充」の文字)を目にして、「すでに誰かが薬剤補充が必要であること気付いている」ことを認識することができる。その後、電源が復旧して報知システム60が稼働し始めると、RFIDリーダー70はRFIDタグ22との交信が可能となり、RFIDタグ22が「交信可能状態」である場合に対象物品の補充が必要であることを示す報知情報が表示装置80に表示される。これにより、管理担当者は、現場作業者の動作に起因して通知される「要補充」の合図を認識することができる。これにより、報知システム60は、通電の停止及び復旧後を通じて、円滑なピッキング作業や在庫管理に貢献することができる。
<第二実施形態の切替装置の動作>
本発明の第二実施形態に係る格納容器100(切替装置)について、図2及び図7を参照しつつさらに説明する。
格納容器100は、表示機構120(標識体)、容器本体130(格納体、遮断体)、内壁140(閉塞体、遮断体)を有している。
表示機構120(標識体)は、筒状の部材である。図7に示すとおり、表示機構120には、複数(本実施形態では3つ)のRFIDタグ122、表示124、及び回転用操作面128が設けられている。また、表示機構120には、内壁140(閉塞体)が設けられている。
表示機構120の筒状とされた本体部分は、電波をほとんど遮断しない素材により構成されている。これに対して、内壁140は、電波を遮断する素材により構成されている。
図7に示すとおり、内壁140は、表示機構120の内部領域121を複数の領域に区画するように設けられている。具体的には、内壁140は、表示機構120の内部領域121を、第一内部領域121a、第二内部領域121b、及び第三内部領域121cの3つに区画するように設けられている。
図7に示すとおり、第一内部領域121aには、RFIDタグ122aが収容されている。第二内部領域121bには、RFIDタグ122bが収容されている。第三内部領域121cには、RFIDタグ122cが収容されている。また、表示機構120の周面は、3つに区画された内部領域121に対応するように3つに区画される。具体的には、表示機構120の周面は、第一内部領域121aに対応する第一表面領域126aと、第二内部領域121bに対応する第二表面領域126bと、第三内部領域121cに対応する第三表面領域126cとに区画されている。
表示124は、視認可能とされた文字である。図2及び図7に示すとおり、本実施形態の表示124は、商品の補充が必要であることを示す「要補充」の文字された表示124aや、商品が充足していることを示す「充足」の文字とされた表示124bとされている。表示124は、表示機構120の周面に設けられている。図7(a)に示すとおり、表示124a(「要補充」の文字)は第一表面領域126aに設けられている。図7(b)に示すとおり、表示124b(「充足」の文字)は第二表面領域126bに設けられている。
容器本体130(格納体、遮断体)は、電波を遮断する機能を備える箱状の容器である。図2及び図7に示すとおり、容器本体130は、正面視において略矩形の外観を有している。容器本体130には、略矩形の開口134が設けられている。
容器本体130は、外側に露出する面(外表面)に電波遮断が施されている。なお、容器本体130は、電波を遮断する素材により構成されていてもよいし、あるいは電波を遮断しない素材により容器を構成して当該容器に電波遮断が施されたものであってもよい。
容器本体130は、外表面に電波遮断が施されることにより、内部に電波を遮断可能とする遮断領域132が形成されている。
容器本体130には、表示機構120が収容される。より具体的には、容器本体130には、表示機構120の一部を開口234から容器本体130の外部に露出させるように表示機構120を収容している。
格納容器100は、表示機構120を容器本体130に対する相対位置を変位可能とされている。より具体的には、格納容器100は、図示を省略した回転軸により支持された状態で容器本体130に収容されている。そのため、回転用操作面128が操作されると、表示機構120は、姿勢を維持しつつ容器本体130から露出する周面が変化するように回転して、容器本体130に対して変位する。
また、表示機構120が、第一表面領域126a、第二表面領域126b、及び第三表面領域126cのうちいずれかが開口134を介して容器本体130の外側に露出されると、露出された表面領域126に対応する内部領域121は電波が遮断されない状態となり、他の内部領域121は電波を遮断する内壁140及び容器本体130に取り囲まれて電波が遮断された状態となる。さらに詳細に説明すると、露出された表面領域126に対応する内部領域121以外の内部領域121は、容器本体130の遮断領域132のうち開口134が内壁140により閉塞されて電波が遮断された状態の遮断領域132内に配置されている状態となる。
そのため、露出された表面領域126に対応する内部領域121に収容されているRFIDタグ122は交信が可能な状態(交信可能状態)となり、他のRFIDタグ122は交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。
さらに、格納容器100は、容器本体130に対して表示機構120を回転させることにより、露出させる表面領域126を変化させることができる。言い方を換えれば、格納容器100は、容器本体130に対して表示機構120の相対位置を変化させることにより、交信可能状態となるRFIDタグ122を変化させることができる。
例えば、図7(a)及び図7(b)に示すとおり、格納容器100は、表示機構120を回転させることにより、第一表面領域126aが露出する状態から露出しない状態へと変化させ、これに伴ってRFIDタグ122aを交信可能状態から交信不能状態へと切り替えることができる。
このように、本実施形態の格納容器100は、容器本体130に対して表示機構120を変位させることにより、電波が遮断された状態の遮断領域132に一のRFIDタグ122が配置されて当該一のRFIDタグ122の交信が遮断される交信不能状態と、当該一のRFIDタグ122の交信が可能となる通信状態とを切り替え可能とされている。
また、図7(a)に示すとおり、第一表面領域126aが露出する状態では、表示124a(「要補充」の文字)が視認可能となる(表示状態)。図7(a)に示す状態から表示機構120を回転させて、第二表面領域126bが露出する状態に表示機構120を変位させると、表示124a(「要補充」の文字)が視認できない状態(非表示状態)となる一方、表示124b(「充足」の文字)が視認可能な状態となる。
このように、格納容器100は、一のRFIDタグ122の交信状態の切り替えに連動して、一の表示124が視認できない状態(非表示状態)と視認可能となる状態(表示状態)とが切り替えられる。
<第三実施形態の切替装置の動作>
続いて、本発明の第二実施形態に係る格納容器200(切替装置)について、図3及び図8を参照しつつさらに説明する。
図3に示すとおり、格納容器200(切替装置)は、複数の押圧式のボタン220(標識体)を備えるスイッチ装置である。格納容器200は、複数のボタン220(標識体)、及び容器本体230(格納体、遮断体)を有している。
格納容器200は、容器本体230に複数の押圧式のボタン220を格納した構成とされている。ボタン220は、容器本体230に格納された状態において押圧操作されると、容器本体230から突出するように変位可能とされている。また、ボタン220は、容器本体230から突出した状態において押圧操作されると、容器本体230に格納された状態に変位する。なお、ボタン220を容器本体230に対して変位させるバネ等の弾性部材や係止部材等の構造については詳細な説明及び図示を省略する。
ボタン220(標識体)は、上述のとおり、押圧式のボタンである。本実施形態の格納容器200では、複数のボタン220が設けられている。より具体的には、格納容器200には、ボタン220a、ボタン220b、及びボタン220cが設けられている。
また、図8に示すとおり、ボタン220の手前面226(突出方向の面)及び奥面228(後退方向の面)は、電波遮断が施された電波遮蔽面240(閉塞体)とされている。
図8に示すとおり、各ボタン220には、RFIDタグ222及び表示224がそれぞれ設けられている。具体的には、ボタン220aには、RFIDタグ222a及び表示224a(「着払い」の文字)が設けられている。また、ボタン220bには、RFIDタグ222b及び表示224b(「書留」の文字)が設けられている。さらに、ボタン220cには、RFIDタグ222c及び表示224c(「速達」の文字)が設けられている。RFIDタグ222は、ボタン220の内部に収容されている。
なお、本実施形態の格納容器200では、3つのボタン220が設けられた例を挙げて説明するが、本発明の格納容器(切替装置)に設けられるボタン(標識体)及びRFIDタグの数はこれに限定されない。
容器本体230(格納体、遮断体)は、電波を遮断する機能を備える容器である。図3及び図8に示すとおり、容器本体230は、正面視において略矩形の外観を有している。容器本体230には、開口234が設けられている。容器本体230は、開口234を介してボタン220を出し入れ可能とされている。容器本体230の内部には、電波を遮断可能とする遮断領域232が形成されている。
上述のとおり、格納容器200は、ボタン220(標識体)を容器本体230(格納体、遮断体)に対して出し入れ可能とされている。より具体的には、格納容器200は、ボタン220を容器本体230から突出させた状態(取り出した状態)と、ボタン220を後退させた状態(容器本体230の内部に格納された状態)とに変位可能とされている。
図8(a)に示すとおり、ボタン220が容器本体230に格納された状態では、開口234がボタン220の手前面226に閉塞されて、遮断領域232は電波遮断が施された容器本体230及び手前面226に取り囲まれて電波が遮断された状態となる。また、ボタン220に収容されたRFIDタグ222は、電波が遮断された状態の遮断領域232に配置される。言い方を換えれば、ボタン220が容器本体230に格納された状態では、ボタン220に収容されたRFIDタグ222は、電波を遮断するように閉塞された遮断領域232に格納されて交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。
一方、図8(b)に示すとおり、ボタン220が容器本体230から突出した状態(取り出された状態)では、ボタン220の手前面226が開口234から離間して、遮断領域232が開放された状態となる。そのため、ボタン220が容器本体230から突出した状態では、ボタン220に収容されたRFIDタグ222の交信が可能な状態(交信可能状態)となる。
例えば、図8(a)に示すとおり、ボタン220a,220b,220cが後退した状態(容器本体230に格納された状態)では、開口234が手前面226a,226b,226cにより閉塞されて、遮断領域232の電波が遮断された状態となる。この状態では、ボタン220aに設けられたRFIDタグ222a、ボタン220bに設けられたRFIDタグ222b、及びボタン220cに設けられたRFIDタグ222cは、電波が遮断された状態の遮断領域232に配置されて交信が遮断された状態となる。
図8(b)に示すとおり、ボタン220aが容器本体230から突出した状態(取り出された状態)では、RFID222aが遮断領域232から外れた位置となり、交信可能状態となる。また、ボタン220b,220cが後退した状態(容器本体30に格納された状態)では、ボタン220bに設けられたRFIDタグ222b、及びボタン220cに設けられたRFIDタグ222cは、遮断領域232に配置された状態となる。この場合において、開口234は、ボタン220bの手前面226b及びボタン220cの手前面226cに加え、ボタン220aの奥面228aにより閉塞される。そのため、遮断領域232は電波が遮断された状態となり、遮断領域232に配置されているRFIDタグ222b,222cは交信不能状態となる。
このように、格納容器200は、容器本体230に対してボタン220を出し入れすることにより、RFIDタグ222が遮断領域232に配置されるとともに開口234が手前面226(閉塞体)に閉塞されてRFIDタグ222の交信が遮断される交信不能状態と、遮断領域232が開放されてRFIDタグ22の交信が可能となる交信可能状態とを切り替え可能とされている。
<第四実施形態の切替装置の動作>
本発明の第四実施形態に係る格納容器300(切替装置)について、図4及び図9を参照しつつさらに説明する。
格納容器300は、奥板320(標識体)、容器本体330(格納体、遮断体)、シャッター340(閉塞体、遮断体)を有している。
格納容器300(切替装置)は、箱状の容器本体330に奥板320(標識体)を設け、容器本体330に対してシャッター340(閉塞体)を変位させることにより、RFIDタグ322の交信状態の切り替え行うことができる。
容器本体330(格納体、遮断体)は、電波を遮断する機能を備える容器である。図4及び図9に示すとおり、容器本体330は、正面視において略矩形の外観を有している。容器本体330には、開口334が設けられている。容器本体330の開口334の縁部には、シャッター340を変位させるガイドとして機能するシャッター用レール336が設けられている。
容器本体330は、電波遮断が施されている。なお、容器本体330は、電波を遮断する素材により構成されていてもよいし、あるいは電波を遮断しない素材により容器を構成して当該容器に電波遮断が施されたものであってもよい。容器本体330は、電波遮断が施されることにより、内部に電波を遮断可能とする遮断領域32が形成されている。
シャッター340(閉塞体、遮断体)は、開口334を閉塞するに足りる大きさを有し、容器本体330の開口334を閉塞及び開放する引き戸として機能する。また、シャッター340は、電波を遮断する素材により形成されている。シャッター340には、つまみ344が設けられている。シャッター340は、後述する奥板320に設けられた表示324(「要補」の文字)を遮蔽可能とする遮蔽板として機能する。また、シャッター340には、表示342(「充足」の文字)が設けられている。
奥板320(標識体)は、電波を遮断する機能がほとんどない板状の部材である。奥板320には、RFIDタグ322、及び表示324(「要補」の文字)が設けられている。奥板320は、容器本体330に設けられている。より具体的には、奥板320は、容器本体330の開口334を覆うように、容器本体330の内側に設けられている。また、RFIDタグ322は、容器本体330の遮断領域332側に配置されるように奥板320に取り付けられている。
格納容器300は、シャッター340が容器本体330に対して変位可能とされている。より具体的には、シャッター340は、容器本体330に対してシャッター用レール336に沿ってスライド可能とされている。シャッター340は、開口334を閉塞する位置(奥板320が遮蔽される位置)と、開口334から外れた位置(奥板320を露出させる位置)とに容器本体330に対して変位可能とされている。
例えば、図9(a)に示すとおり、シャッター340が開口334を閉塞する位置に配置されると、遮断領域332は電波が遮断されるように閉鎖されて電波が遮断された状態となる。そのため、シャッター340が開口334を塞ぐ位置に配置されると、遮断領域332に配置されているRFIDタグ322は、交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。
また、図9(b)に示すとおり、シャッター340が開口334から外れた位置に配置されると、開口334が開放されて遮断領域332が外部と連通する状態となる。そのため、シャッター340が開口334から外れた位置に配置されると、RFIDタグ322は、交信が可能な状態(交信可能状態)となる。
このように、格納容器300は、容器本体330に対してシャッター340を変位させることにより、開口334がシャッター340に閉塞されてRFIDタグ322の交信が遮断される交信不能状態と、シャッター340が開口334から外れた位置となりRFIDタグ322の交信が可能となる交信可能状態とを切り替え可能とされている。
また、図9(a)に示すとおり、格納容器300は、シャッター340が開口334を閉塞している状態では、奥板320がシャッター340に遮蔽されて表示324(「要補」の文字)が視認できない状態となる。すなわち、格納容器300は、シャッター340が開口334を閉塞している交信不能状態では、表示324(「要補」の文字)がシャッター340に遮蔽されており視認できない状態(非表示状態)となる。なお、この状態では、シャッター340に設けられた表示342(「充足」の文字)が視認可能となる。
一方、図9(b)に示すとおり、格納容器300は、シャッター340が開口334から外れた位置となるように配置されている状態では、表示324(「要補」の文字)が開口334から露出して視認可能な状態(表示状態)となる。言い換えれば、格納容器300は、RFIDタグ322の交信が可能な状態(交信可能状態)では、表示324(「要補」の文字)が視認可能な状態(表示状態)となる。
このように、格納容器300は、交信状態の切り替えに連動して、表示324(「要補」の文字)を表示させる状態(表示状態)と表示させない状態(非表示状態)とが切り替えられる。
<第五実施形態の切替装置の動作、及び報知システムについて>
本発明の第五実施形態に係る格納容器400(切替装置)について、図5及び図10を参照しつつさらに説明する。
格納容器400は、奥板420(標識体)、容器本体430(格納体、遮断体)、シャッター440(閉塞体、遮断体)を有している。また、格納容器400は、閂452(係止体、進退部)を有している。
格納容器400は、箱状の容器本体430に奥板420を設け、容器本体430に対してシャッター440を変位させることにより、RFIDタグ422の交信状態の切り替えを行うことができる。
また、格納容器400は、容器本体430に対して閂452を突出させた状態において「施錠状態」とされ、容器本体430に対して閂452を後退させた状態において「解錠状態」とされる施錠装置450を構成する。
容器本体430(格納体、遮断体)は、電波を遮断する機能を備える容器である。図5及び図10に示すとおり、容器本体430は、正面視において略矩形の外観を有している。容器本体430には、開口434が設けられている。また、容器本体430の開口434の縁部には、シャッター440を変位させるガイドとして機能するシャッター用レール436が設けられている。さらに、容器本体430には、閂452を出し入れするための挿通口438が設けられている。
上述のとおり、容器本体430には、電波遮断が施されている。なお、容器本体430は、電波を遮断する素材により構成されていてもよいし、あるいは電波を遮断しない素材により容器を構成して当該容器に電波遮断が施されたものであってもよい。容器本体430の内部には、開口434が閉塞されることにより電波が遮断される遮断領域432が形成されている。
シャッター440(閉塞体、遮断体)は、開口434を閉塞するに足りる大きさを有し、容器本体430の開口434を閉塞及び開放する引き戸として機能する。また、シャッター440は、電波を遮断する素材により形成されている。シャッター440には、つまみ344が設けられている。シャッター440は、後述する奥板420に設けられた表示424(「使用中」の文字)を遮蔽可能とする遮蔽板として機能する。また、シャッター440には、表示442(「空き」の文字)が設けられている。
閂452(係止体、進退部)は、容器本体430に対して突出及び後退可能に設けられている。また、閂452は、接合部454においてシャッター440に対して連結されている。そのため、閂452は、シャッター440の変位に伴って、容器本体430から突出する位置と、容器本体430の内部に後退する位置とに変位する。
奥板420(標識体)は、電波を遮断する機能がほとんどない板状の部材である。奥板420には、RFIDタグ422、及び表示424(「使用中」の文字)が設けられている。奥板420は、容器本体430に設けられている。より具体的には、奥板420は、容器本体430の開口434を覆うように、容器本体430の内側に設けられている。また、RFIDタグ422は、容器本体430の遮断領域432側に配置されるように奥板420に取り付けられている。
格納容器400は、シャッター440が容器本体430に対して変位可能とされている。より具体的には、シャッター440は、容器本体430に対してシャッター用レール436に沿ってスライド可能とされている。シャッター440は、開口434を閉塞する位置(奥板420が遮蔽される位置)と、開口434から外れた位置(奥板420を露出させる位置)とに容器本体430に対して変位可能とされている。
例えば、図10(a)に示すとおり、シャッター440が開口434を閉塞する位置に配置されると、遮断領域432は電波が遮断されるように閉鎖されて電波が遮断された状態となる。そのため、シャッター440が開口434を塞ぐ位置に配置されると、遮断領域432に配置されているRFIDタグ422は、交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。
図10(a)に示すとおり、格納容器400は、シャッター440が開口434を閉塞している状態では、奥板420に設けられた表示424(「使用中」の文字)が視認できない状態(非表示状態)となる。なお、この場合では、シャッター440に設けられた表示442(「空き」の文字)が視認可能となる。
図10(a)に示すとおり、シャッター440が開口434を塞ぐ位置に配置されると、閂452は容器本体430の内部に後退した状態となり、施錠装置450としての格納容器400は解錠状態とされる。
一方、図10(b)に示すとおり、シャッター440が開口434から外れた位置に配置されると、開口434が開放されて遮断領域432が外部と連通する状態となる。そのため、シャッター440が開口434から外れた位置に配置されると、RFIDタグ422は、交信が可能な状態(交信可能状態)となる。
図10(b)に示すとおり、格納容器400は、シャッター440が開口434から外れた位置に配置されると、遮断領域432が外部と連通する状態となる。そのため、シャッター440が開口434から外れた位置に配置されると、RFIDタグ422は交信が可能な状態(交信可能状態)となる。
図10(b)に示すとおり、シャッター440が開口434から外れた位置に配置されると、閂452は容器本体430から突出した状態となり、施錠装置450としての格納容器400は施錠状態とされる。
このように、格納容器400は、交信不能状態及び交信可能状態の切り替えに連動して、奥板420に設けられた表示424(「使用中」の文字)を表示させる状態(表示状態)と表示させない状態(非表示状態)とが切り替えられるとともに、施錠状態及び解錠状態が切り替えられる。
続いて、上述した格納容器400を備える報知システム460の実施形態について、図10を参照しつつ説明する。報知システム460は、格納容器400のRFIDタグ422の信号を検知して、当該状態に基づいて所定の情報を報知するためのものである。
図10に示すとおり、本実施形態の報知システム460は、格納容器400(施錠装置450)が施錠状態であるか解錠状態であるかに基づき、表示装置480の表示を切り替え可能とされている。本実施形態の報知システム460は、格納容器400をトイレの施錠装置450として用いて、施錠装置450が施錠状態であるか解錠状態であるかに基づいて、表示装置480においてトイレが「使用中」であるか「空き」であるかを報知するものとして用いられる例を挙げて説明する。
報知システム460は、上述した格納容器400に加え、RFIDリーダー70(読取り装置)、及び表示装置480(報知装置)を有している。なお、RFIDリーダー70は、第一実施形態における報知システム60のRFIDリーダー70と同様の構成とされている。そのため、本実施形態の説明では、RFIDリーダー70については第一実施形態において付した符号と同じ符号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
表示装置480(報知装置)は、RFIDリーダー70が受信した信号に基づき、所定の情報を表示させるためのものである。表示装置480は、RFIDリーダー70と接続可能なものであれば、いかなるものであってもよい。例えば、表示装置480は、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の端末装置であってもよいし、電光掲示板等の端末機であってもよい。また、表示装置480とRFIDリーダー70との通信方式は、有線通信であるか無線通信であるかを問わず、いかなる方式であってもよい。なお、本実施形態では、表示装置480として、電光式のサインプレートが用いられる例を挙げて説明する。
図10(a)に示すとおり、シャッター440が開口434を閉塞している状態では、表示424(「使用中」の文字)が表示されない状態(非表示状態)となる。また、この場合ではシャッター440に設けられた表示442(「空き」の文字)が視認可能となる。また、シャッター440が開口434を閉塞している状態では、閂452が容器本体430の内部に後退した「解錠状態」となる。
また、シャッター440が開口434を閉塞している状態では、RFIDタグ422の交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。交信不能状態では、RFIDタグ422の信号をRFIDリーダー70が受信することができない。この場合には、表示装置480に「トイレが空室」であることを報知する内容が表示される。例えば、図10(a)に一例として示すように、表示装置480の「空き」と表示された表示器を点灯させて、「トイレが空室」であることを報知することができる。
図10(b)に示すとおり、シャッター440が開口434から外れた位置となるように配置されている状態では、表示424(「使用中」の文字)が表示される状態(表示状態)となる。また、シャッター440が開口434から外れた位置となるように配置されている状態では、閂452が容器本体430から突出した「施錠状態」となる。
また、シャッター440が開口434から外れた位置となるように配置されている状態では、RFIDタグ422の交信が遮断されず、RFIDタグ422とRFIDリーダー70との交信が可能な状態(交信可能状態)となる。交信可能状態では、RFIDリーダー70がRFIDタグ422の信号を受信することに基づいて、表示装置480に「トイレが使用中」であることを報知する内容が表示される。例えば、図10(b)に一例として示すように、表示装置480の「使用中」と表示された表示器を点灯させて、「トイレが使用中」であることを報知することができる。
このように、報知システム460は、格納容器400が施錠状態であるか解錠状態であるかに連動して、表示装置480に所定の情報を表示させることができる。
本実施形態のように、施錠装置としての機能を有する格納容器(切替装置)とすれば、多数の人が集まる施設のトイレなどに好適に採用することができる。具体的に説明すると、鉄道駅、空港、競技場など多人数があつまる施設のトイレ個室は、警備対象として重要である。不特定多数をターゲットとするテロリズム対策として、周囲の視線から隔絶されたトイレなどの空間で人の動作を監視するが安全上望ましい。しかしながら、社会通念上、視覚センサーによる監視は敬遠される。その一方、不自然なまでに長時間にわたるトイレ個室のロック状態(施錠状態)は、このようなテロリズムのみならず、重病人発生という事態も懸念される。本発明の施錠装置としての切替装置を採用すると、既存のドアであってもロック機能(施錠機能)に加え、「使用中」か「空き」かの表示を行うことができる。さらに、施錠装置としての切替装置を備える報知システムとすれば、切替装置(施錠装置)の状態が電子的に検知可能となる。
また、上述の報知システム460は、列車のトイレなどの利用状況を報知するものとして用いることができる。例えば、上述の報知システム460について、格納容器400をトイレの施錠装置として設け、表示装置480を列車の座席から見やすい位置に設けたることができる。この場合、乗客はトイレが空いているか否かを確認するためにわざわざ席を立つ必要がなく、トイレが空室であることを確認の上席を立つことができる。
<第六実施形態の切替装置の動作について>
本発明の第六実施形態に係る格納容器500(切替装置)について、図11を参照しつつ説明する。
格納容器500は、回転体520(標識体)、容器本体530(格納体、遮断体)、及び閉塞体540を有している。また、格納容器500は、フック体552(係止体)を有している。
格納容器500は、箱状の容器本体530に回転体520を収容し、回転体520を容器本体530に対して変位させることにより、RFIDタグ522の交信状態の切り替えを行うことができる。
格納容器500は、容器本体530とフック体552とが、解錠状態及び施錠状態の切り替えを行うことができる施錠装置550を構成する。施錠装置550(格納容器500)は、フック体552を容器本体530に対して変位させることにより、解錠状態と施錠状態とを切り替えることができる。
具体的には、格納容器500は、フック体552を容器本体530に対して長手方向が略鉛直となる姿勢とされると、フック体552の先端に形成された鉤部552aが図示を省略したストライクの係止穴に進入して「施錠状態」とされる。また、格納容器500は、フック体552を容器本体530に対して長手方向が略水平となる姿勢とされると、フック体552の先端に形成された鉤部552aが図示を省略したストライクの係止穴から退出して「解錠状態」とされる。
容器本体530(格納体、遮断体)は、電波を遮断する機能を備える容器である。図11に示すとおり、容器本体530は、正面視において略矩形の外観を有している。容器本体530には、開口534が設けられている。また、容器本体530の開口534が設けられた正面530aとは反対側の裏面530bには、軸貫通孔539が設けられている。
上述のとおり、容器本体530には、電波遮断が施されている。なお、容器本体530は、電波を遮断する素材により構成されていてもよいし、あるいは電波を遮断しない素材により容器を構成して当該容器に電波遮断が施されたものであってもよい。容器本体530の内部には、開口534が閉塞されることにより電波が遮断される遮断領域532が形成されている。
フック体552(係止体)は、容器本体530に対して変位可能に設けられている。具体的には、フック体552は、図示を省略した連結軸を軸貫通孔539に挿通させることにより、容器本体530に取り付けられている。そのため、フック体552は、容器本体530に対して軸貫通孔539を揺動軸として、揺動するように変位可能とされている。
回転体520(標識体)は、電波を遮断する機能がほとんどない板状の部材である。回転体520には、RFIDタグ522、及び表示524(「使用中」の文字)が設けられている。回転体520は、容器本体530の内部に収容されており、連結軸を介してフック体552と連結されている。そのため、回転体520は、フック体552の変位に連動して、軸貫通孔539を揺動軸として回転するように変位する。別の言い方をすれば、回転体520は、フック体552と一体的に揺動する。
閉塞体540は、回転体520に設けられている。また、閉塞体540は、電波を遮断する素材により形成されている。また、閉塞体540には、表示542(「空き」の文字)が設けられている。
格納容器500は、フック体552の変位に伴って回転体520が揺動して、回転体520に設けられた閉塞体540が開口534を閉塞する位置と、閉塞体540が開口534から外れた位置とに変化する。
例えば、図11(a)に示すとおり、フック体552が略鉛直に向くような姿勢となる場合には、閉塞体540が開口534を閉塞するように配置される。この場合には、格納容器500は「解錠状態」となる。また、格納容器500は、開口534が閉塞体540に閉塞され、遮断領域532は電波が遮断されるように閉鎖されて電波が遮断された状態となり、遮断領域532に配置されているRFIDタグ522は、交信が遮断された状態(交信不能状態)となる。
図11(a)に示すとおり、格納容器500は、閉塞体540が開口534を閉塞している状態では、回転体520に設けられた表示524(「使用中」の文字)が視認できない状態(非表示状態)となる。具体的には、格納容器500は、閉塞体540が開口534を閉塞している状態では、回転体520に設けられた表示524(「使用中」の文字)が開口534から外れた位置となり、視認できない状態(非表示状態)となる。なお、この場合では、閉塞体540に設けられた表示542(「空き」の文字)が視認可能となる。
一方、図11(b)に示すとおり、フック体552が略水平に向くような姿勢となる場合には、閉塞体540が開口534から外れた位置に配置される。この場合には、格納容器500は「施錠状態」となる。また、格納容器500は、開口534が閉塞体540から開放され、遮断領域532に配置されているRFIDタグ522は、交信が可能な状態(交信可能状態)となる。
図11(b)に示すとおり、格納容器500は、閉塞体540が開口534から外れた位置となると、回転体520に設けられた表示524(「使用中」の文字)が開口534から露出して視認できる状態(表示状態)となる。
このように、格納容器500は、交信不能状態及び交信可能状態の切り替えに連動して、回転体520に設けられた表示524(「使用中」の文字)を表示させる状態(表示状態)と表示させない状態(非表示状態)とが切り替えられるとともに、施錠状態及び解錠状態が切り替えられる。
なお、格納容器500は、第五実施形態において説明した報知システム460の格納容器として採用することができる。
施錠装置を構成する本発明の格納容器(切替装置)は、上述の実施形態に限定されず、種々の構成を採用することができる。具体的には、施錠装置を構成する切替装置は、上述の格納容器400のように、閂452(進退部、係止体)及びシャッター440(閉塞体)が一体的に変位し、これらが容器本体430(遮蔽体、格納体)及び奥板420(標識体)に対して相対的に変位するものであってもよい。また、施錠装置を構成する本発明の切替装置は、上述の格納容器500のように、フック体552(係止体)及び回転体520(標識体)が一体的に変位し、これらが容器本体530(遮蔽体、格納体)に対して相対的に変位するものであってもよい。
施錠装置を構成する本発明の切替装置は、係止体が容器本体に対して直線的に変位するものであってもよいし、係止体が容器本体あるいは標識体に対して回転して変位するものであってもよい。また、施錠装置を構成する本発明の切替装置は、開き扉に用いられるものであってもよいし、引き戸に用いられるものであってもよい。
さらに、施錠装置を構成する本発明の切替装置の構成は、図12に示す格納容器600(施錠装置650)のようなものであってもよい。図12に示す格納容器600は、RFID収納部630a(遮蔽体、格納体)、回転部630b(遮蔽体、格納体)、状態表示部620(標識体)、RFIDタグ622、及びフック体652(係止体)を有している。RFID収納部630a及び回転部630bは、電波遮蔽素材により構成されている。格納容器600は、フック体652及び回転部630bが、RFID収納部630a及び状態表示部620に対して回転して変位するものである。図13(a)及び(b)に示すとおり、格納容器600は、フック体652の変位に伴って、RFIDタグ622の交信状態が切り替えられるとともに、開口638から視認可能となる表示610a,610bの表示状態の切り替えが行われる。
以上、本発明の切替装置、及び報知システムの実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、第一実施形態において説明した報知システム60において、格納容器10に代えて格納容器100,200,300,400のいずれかを用いてもよい。また、第五実施形態において説明した報知システム460において、格納容器400に代えて格納容器10,100,200,300のいずれかを用いてもよい。
また、本発明の切替装置及び報知システムは、薬剤など在庫対象製品の在庫管理や、トイレの空室表示などに用いられるもののほか、いかなるものに用いられるものであってもよい。例えば、本発明の切替装置及び報知システムの管理対象とされる在庫対象製品は、薬剤に限定されず、いかなる製品であってもよい。
さらに、本発明の切替装置に用いられるRFIDタグは、パッシブ型タグのほか、電池を交換可能である場合には、電池が内蔵されたアクティブタグが用いられるものであってもよい。さらに本発明の切替装置に用いられるRFIDタグは、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型など種々選択可能である。
さらに、本発明の切替装置は、第五実施形態で説明したトイレのドアなどの施錠装置のほか、ロッカー、レジスターなどの施錠装置(ロック機構)に用いられるものであってもよい。また、本発明の切替装置は、第五実施形態で説明したような進退部が直線的に変位して容器本体に対して突出及び後退するもののほか、進退部が回転するように変位して容器本体に対して突出及び後退するものであってもよい。
さらに、本発明の切替装置は、RFIDタグが一つ設けられたものであってもよいし、RFIDタグが複数設けられたものであってもよい。また、本発明の切替装置は、複数のRFIDタグを備えるものである場合には、一のRFIDタグが交信可能状態である場合には他のRFIDタグが交信不能状態となるよう構成してもよいし、あるいは一のRFIDタグが交信不能状態である場合には他のRFIDタグが交信可能状態となるよう構成してもよいし、さらには複数のRFIDタグの交信可能状態又は交信不能状態を併存するよう構成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、切替装置(格納容器)に設けられた表示を、文字によるものとした例を示したが、本発明の切替装置及び報知システムはこれに限定されない。すなわち、本発明の切替装置及び報知システムの「表示」は、文字のほか、図形や記号など、視認可能なものであればいかなるものであってもよい。さらに、本発明の報知システムにおいて、報知装置により報知される「報知情報」は、表示装置に文字や図形など視認可能な情報を表示させるもののほか、音(例えば音声)などにより聴覚により認識できる情報により報知されるものであってもよい。