以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を具体的に説明する。
まず、図1を参照しつつ、本発明に係る土壌浄化システム1の全体構成を説明する。土壌浄化システム1は、土壌洗浄分級部2と、キレート剤再生部3と、キレート剤回収部4と、すすぎ水生成部5と、キレート剤補充部6と、洗浄水供給部7とを備えている。さらに、土壌浄化システム1は、図1中では詳しくは示していないが、混合槽43(図3、図7参照)を備えている。
土壌洗浄分級部2は、礫と砂と細粒土とを含みかつ有害金属等(有害金属及び/又はその化合物)ないしはこれらのイオンで汚染された土壌を、キレート剤を含む洗浄水で洗浄して浄化するとともに、礫と砂と細粒土とに分級する。キレート剤再生部3は、土壌洗浄分級部2から排出された洗浄水中の有害金属等を捕捉しているキレート剤から有害金属等を除去してキレート剤を再生する。キレート剤回収部4は、土壌洗浄分級部2から排出された礫、砂及び/又は細粒土をすすぎ水で洗浄することにより、礫、砂及び/又は細粒土に付着しているキレート剤を除去・回収する。
混合槽43は、キレート剤再生部3から排出された洗浄水と、キレート剤回収部4において礫、砂及び/又は細粒土の洗浄により生じた洗浄廃水とを受け入れて混合する。すすぎ水生成部5は、混合槽43内の洗浄水と洗浄廃水の混合水を受け入れて逆浸透膜により、キレート剤が濃縮された濃縮水とキレート剤を含まない透過水とに分離する逆浸透膜分離装置110(図7参照)を有し、透過水をすすぎ水としてキレート剤回収部4に供給する。洗浄水供給部7は、すすぎ水生成部5から排出された濃縮水を洗浄水として土壌洗浄分級部2に供給(返送)する。キレート剤補充部6は、キレート剤が目減りしたときには、目減り分のキレート剤を、土壌洗浄分級部2に供給(返送)される洗浄水に補充・供給し、洗浄水のキレート剤濃度を予め設定された値に維持する。
より詳しく説明すれば、土壌洗浄分級部2は、混合装置11と、第1分級装置12と、第2分級装置13と、沈降分離装置14と、濾過装置15とを有する。ここで、混合装置11は、礫と砂と細粒土とを含む土壌と、洗浄水とを混合して攪拌し、土壌に付着している有害金属等を該土壌から離脱させてキレート剤に捕捉させる。第1分級装置12は、混合装置11から排出された土壌と洗浄水の混合物を受け入れ、該混合物から礫を分離する。第2分級装置13は、第1分級装置12から排出された砂と細粒土と洗浄水の混合物を受け入れ、該混合物から砂を分離する。沈降分離装置14は、第2分級装置13から排出された細粒土を含む洗浄水を、沈降分離により、上澄水と、細粒土を含むスラッジとに分離する。濾過装置15は、沈降分離装置14から排出されたスラッジを濾過して濾過ケークと濾液を生成する(細粒土を分離する)。
キレート剤再生部3は、キレート剤より錯生成力が高く沈降分離装置14から排出された上澄水と接触したときに該上澄水中の有害金属等を吸着する固相吸着材を有し、上澄水中のキレート剤から有害金属等を除去して該上澄水を洗浄水として再生するキレート剤再生装置41(図3参照)を備えている。固相吸着材は、担体に環状分子を担持させ、該環状分子にキレート配位子を修飾した配位結合及び水素結合による多点相互作用を有するとともに有害金属等ないしはこれらのイオンを選択的に取り込むものである。なお、固相吸着材に吸着された有害金属等ないしはこれらのイオンは、酸液(例えば、希硝酸、希硫酸)により除去することができるので、固相吸着材を再生して再使用し、あるいは繰り返し使用するのは容易である。
キレート剤回収部4は、第1分級装置12で分離された礫にすすぎ水を散布又は噴射して該礫に保持されているキレート剤を除去・回収する礫すすぎ装置16と、第2分級装置13で分離された砂にすすぎ水を散布又は噴射して該砂に保持されているキレート剤を除去・回収する砂すすぎ装置17と、濾過装置15で生成された濾過ケーク(細粒土)を解砕した上でこれにすすぎ水を散布又は噴射して細粒土に保持されているキレート剤を除去・回収する細粒土すすぎ装置18とを備えている。
土壌浄化システム1において、すすぎ水生成部5は、後で説明するように逆浸透膜分離装置110(図7参照)を有する。逆浸透膜分離装置110は、混合槽43内の洗浄水と洗浄廃水の混合水を受け入れ、逆浸透膜により透過水と濃縮水に分離する。そして、すすぎ水生成部5は、逆浸透膜分離装置110から排出された透過水をすすぎ水としてキレート剤回収部4に供給する。逆浸透膜分離装置110から排出された濃縮水は、洗浄水供給部7によって、土壌洗浄分級部2に洗浄水として供給(返送)される。なお、洗浄水供給部7は、逆浸透膜分離装置110から排出された濃縮水を洗浄水として一時的に貯留する貯留槽と111と、貯留槽111内の洗浄水を土壌洗浄分級部2に供給(返送)するポンプ112及び管路113とを有している(図7参照)。
以下、図2を参照しつつ、土壌洗浄分級部2の具体的な構成及びその機能を説明する。土壌洗浄分級部2においては、有害金属等(有害金属及び/又はその化合物)ないしはこれらのイオンで汚染された地盤の掘削等により採取された土壌(汚染土壌)が、投入ホッパ21に受け入れられる。そして、投入ホッパ21内の土壌は混合器22に導入され、混合器22内でキレート剤を含む洗浄水と混合される。ここで、土壌は、礫と砂と細粒土(例えば、粒径が0.075mm以下のシルト又は粘土)とを含むものである。混合器22内では、土壌に付着している有害金属等ないしはこれらのイオンが該土壌から離脱させられ、キレート剤によって捕捉される。
混合器22で生成された土壌と洗浄水の混合物(以下「土壌・洗浄水混合物」という。)は湿式のミルブレーカ23に移送される。ミルブレーカ23としては、例えばロッドミルを用いることができる。ミルブレーカ23は、礫あるいは砂に衝撃力、剪断力、摩擦力等を加える。その際、礫あるいは砂に付着し又は含まれている有害金属等は剥離又は除去され、洗浄水中に離脱する。土壌の表面から離脱した有害金属等ないしはこれらのイオンは、洗浄水中のキレート剤によって捕捉される。なお、混合器22及びミルブレーカ23は、図1中の混合装置11に相当する。
キレート剤としては、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、HIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)、IDS(2,2’−イミノジコハク酸)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、EDDS(エチレンジアミンジ酢酸)又はGLDA(L−グルタミン酸ジ酢酸)のナトリウム塩などを用いることができる。キレート剤は、土壌に付着している有害金属等ないしはこれらのイオンを捕捉する(キレートする)。土壌を処理する際には、土壌に含まれる有害金属等の種類に応じて、該処理に適したキレート剤が選択される。洗浄水中のキレート剤の濃度は、高ければ高いほど有害金属等ないしはこれらのイオンの捕捉量が増えるが、実用上は0.005〜0.1モル/リットルの範囲、好ましくは0.01〜0.05モル/リットルの範囲に設定される。
ミルブレーカ23から排出された土壌・洗浄水混合物はトロンメル24に導入される。詳しくは図示していないが、トロンメル24は、洗浄水を貯留することができる受槽と、水平面に対して傾斜して配置された略円筒形のドラムスクリーンとを有する湿式の篩分装置であって、ドラムスクリーンは、モータによりその中心軸まわりに回転することができる。また、ドラムスクリーン内に、洗浄水をスプレー状で噴射することができる。なお、トロンメル24は、図1中の第1分級装置12に相当する。
トロンメル24の回転しているドラムスクリーンの内部を土壌・洗浄水混合物が流れる際に、ドラムスクリーンの網目より細かい土壌粒子は、洗浄水とともにドラムスクリーンの網目を通り抜け、ドラムスクリーン外に出て受槽内に入る。他方、ドラムスクリーンの網目より粗い土壌粒子は、ドラムスクリーンの下側の開口端を経由して、ドラムスクリーン外に排出される。トロンメル24内では、土壌・洗浄水混合物中の土壌粒子同士が互いに擦れ合うので、土壌粒子の表面に残留・付着している有害金属等が剥離され、洗浄水中に離脱させられる。洗浄水中に離脱した有害金属等ないしはこれらのイオンは、洗浄水中のキレート剤によって捕捉される。
この実施形態では、トロンメル24のドラムスクリーンの網目の分級径(目開き)は、粒径が2mm未満の土壌粒子がドラムスクリーンの網目を通り抜けるように設定されている。したがって、このトロンメル14では、粒径が2mm以上の土壌粒子すなわち礫が土壌・洗浄水混合物から分離ないしは回収される。トロンメル24で分離された礫は礫すすぎ装置16(図1、図4参照)に移送される。なお、トロンメル24のドラムスクリーンの網目の寸法(目開き)は前記のものに限定されるわけではなく、得ようとする比較的粒径が大きい土壌粒子の粒径に応じて、任意に設定することができる。
トロンメル24の受槽内に収容された粒径が2mm未満の土壌粒子と洗浄水とを含む土壌・洗浄水混合物はサイクロン25(液体サイクロン)に導入される。サイクロン25は、土壌・洗浄水混合物を、比較的粒径が小さい細粒土(例えば0.075mm未満)と洗浄水の混合物と、比較的粒径が大きい土壌粒子(例えば0.075mm以上)とに分離する。そして、細粒土と洗浄水の混合物(以下「細粒土含有水」という。)はサイクロン25の上端部から排出され、比較的粒径が大きい土壌粒子はサイクロン25の下端部から排出される。細粒土含有水に含まれる細粒土は、例えばその粒径が0.075mm未満のシルト又は粘土である。なお、サイクロン25は、図1中の第2分級装置13に相当する。
他方、サイクロン25の下端部から排出された比較的粒径が大きい土壌粒子はサンドクリーン26(すすぎ洗浄装置)に導入される。この比較的粒径が大きい土壌粒子は、例えばその粒径が0.075〜2mmの砂である。サンドクリーン26は、所定の圧力及び水量で洗浄水を流動させて、比較的粒径が大きい土壌粒子すなわち砂にすすぎ洗浄処理を施すとともに、残留している浮遊物ないしは異物を除去する。すすぎ洗浄処理が施された比較的粒径が大きい土壌粒子すなわち砂は、砂すすぎ装置17(図1、図5参照)に移送され、付着しているキレート剤が除去される。この砂は再生砂として使用され、あるいは販売される。
サイクロン25から排出された細粒土含有水はPH調整槽27に導入される。また、サンドクリーン26から排出された洗浄水もPH調整槽27に導入され、細粒土含有水に混合される。そして、PH調整槽27では、細粒土含有水のpH(水素指数)が、pH調整剤、例えば酸性液(例えば、硫酸、塩酸等)及びアルカリ性液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液等)を用いて、ほぼ中性又は所定のpH(例えば、pH7〜8)となるように調整される。
PH調整槽27でpHが調整された細粒土含有水は凝集槽28に導入される。凝集槽28では、細粒土含有水にポリ塩化アルミニウム液(PAC)と、高分子凝集剤と、pH調整剤(酸性液又はアルカリ性液)とが添加される。これにより、凝集槽28内に非水溶性の金属水酸化物と細粒土とが混在する多数のフロックが生成される。その際、洗浄水中の水質汚濁物質がフロックに吸着され又はフロックに付着する。なお、ポリ塩化アルミニウム液及び高分子凝集剤を、凝集槽28ではなく、PH調整27で細粒土含有水に添加してもよい。
凝集槽28内の細粒土含有水は、浮遊物回収装置29により浮遊物が除去された後、シックナ30に導入される。シックナ30は、細粒土含有水がほぼ静止している状態で非水溶性のフロックないしは細粒土を重力により沈降させ、下部に位置するスラッジ層(固形分の比率:5〜10%)と、上部に位置しほとんどフロックないしは細粒土を含まない上澄水(洗浄水)とを形成する。上澄水の表面に浮遊している浮上油は、少量の上澄水をシックナ30の上部から溢流させることにより除去される。なお、シックナ30は、図1中の沈降分離装置14に相当する。
シックナ30の下部に滞留ないしは沈殿しているスラッジは、スラッジポンプ等により引き抜かれて中間タンク31に移送され、中間タンク31内に一時的に貯留される。そして、中間タンク31内のスラッジは、間欠的に又は連続的に、フィルタプレス32に移送される。フィルタプレス32は、中間タンク31から受け入れたスラッジを加圧濾過し、濾過ケークと濾液とを生成する。フィルタプレス32の濾過圧力は、例えば濾過ケークの含水率が30〜40%となるように設定される。フィルタプレス32の濾液はシックナ30に戻される。フィルタプレス32から排出された濾過ケークすなわち細粒土は細粒土すすぎ装置18(図1、図6参照)に移送され、付着しているキレート剤が除去される。なお、フィルタプレス32は、図1中の濾過装置15に相当する。
他方、シックナ30内の上澄水(洗浄水)は、洗浄水槽33に導入され貯留される。洗浄水槽33が満杯になったときには予備水槽34が使用される。洗浄水槽33に貯留されている洗浄水はキレート剤再生部3(図1、図3参照)に導入される。なお、洗浄水槽33に貯留されている洗浄水が蒸発等により減少したときには、適宜に洗浄水槽33に水道水、工業用水等が補給される。
以下、図3を参照しつつキレート剤再生部3の具体的な構成及び機能を説明する。キレート剤再生部3には、キレート剤ないしは洗浄水を再生する手段として、その内部に固相吸着材粒子、又は固相吸着材が固定された充填物(パッキング)が充填された充填塔形式のキレート剤再生装置41が設けられている。また、キレート剤再生部3には、酸液を貯留する酸液貯槽44と、水を貯留する水貯槽45とが設けられている。
そして、キレート剤ないしは洗浄水を再生するときに、洗浄水槽33に貯留された洗浄水をキレート剤再生装置41に移送する一方、キレート剤再生装置41で再生された洗浄水を混合槽43に移送するためのポンプ46及び一連の複数の管路47〜50が設けられている。なお、混合槽43へは、キレート剤回収部4から排出された洗浄廃水も移送される。また、混合槽43に貯留された洗浄水と洗浄廃水の混合水を、すすぎ水生成部5の構成要素である逆浸透膜分離装置110(図7参照)に供給するために、ポンプ51及び管路52が設けられている。
さらに、キレート剤再生部3には、固相吸着材を再生する際に酸液貯槽44に貯留された酸液をキレート剤再生装置41に移送する一方、キレート剤再生装置41から排出された酸液を酸液貯槽44に戻すためのポンプ53及び複数の管路54、55が設けられている。また、キレート剤再生部3には、酸液で再生された固相吸着材を水洗する際に、水貯槽45に貯留された水をキレート剤再生装置41に移送する一方、キレート剤再生装置41から排出された水を水貯槽45に戻すためのポンプ56及び複数の管路57、58が設けられている。
キレート剤再生装置41に洗浄水、酸液又は水を移送するための管路47、48、54、57には、それぞれ、対応する管路を開閉するバルブ61、62、63、64が介設されている。他方、キレート剤再生装置41から洗浄水、酸液又は水を排出するための管路49、50、55、58には、それぞれ、対応する管路を開閉するバルブ65、66、67、68が介設されている。これらのバルブ61〜68の開閉状態を切り換えることにより、キレート再生装置41に対して、洗浄水、酸液又は水のいずれかを給排することができる。なお、これらのバルブ61〜68の開閉は、図示していないコントローラによって自動的に制御される。
以下、キレート剤再生部3の運転手法の一例を説明する。なお、以下で説明する運転手法は単なる例示であって、本発明に係るキレート剤再生部3の運転手法が以下のものに限定されるものではないのはもちろんである。キレート剤ないしは洗浄水を再生する際には、管路47〜50に介設されたバルブ61、62、65、66が開かれる一方、他のバルブ63、64、67、68が閉じられ、ポンプ46が運転される。これにより、洗浄水槽33内の洗浄水が、キレート剤再生装置41内を流通して混合槽43に移送される。
かくして、キレート剤再生装置41内では、有害金属等を捕捉しているキレート剤を含む洗浄水が、キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材(固相吸着材粒子)と接触させられる。その結果、キレート剤に捕捉されている有害金属等がキレート剤から離脱させられ、固相吸着材に吸着ないしは抽出される。これにより、洗浄水から有害金属等が除去・回収される一方、キレート剤は再び有害金属等を捕捉することができる状態となり、洗浄水が再生される。
キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材は、例えばゲル等の固体状のものであり、一般に、金属を捕捉しているキレート剤を含む水溶液と接触したときに、キレート剤と配位結合している金属イオンをキレート剤から離脱させて該固相吸着材に移動させることができる程度の共有結合以外の強い結合力を有しているものである。このような固相吸着材としては、例えばシリカゲルや樹脂等の担体に環状分子を密に担持させ、この環状分子にキレート配位子を修飾させたものなどが挙げられる。このような固相吸着材を用いる場合、隣り合う環状分子及びキレート配位子により、配位結合、水素結合などの複数の様々な結合や相互作用が生じて多点相互作用が生じ、金属イオンに対してキレート剤よりも強い化学結合が生じるとともに環状分子の性状により金属イオンを選択的に取り込むことができる。
このような洗浄水の再生に伴って、固相吸着材における有害金属等の吸着量は経時的に増加してゆくが、固相吸着材の吸着能力には上限がある。このため、固相吸着材における有害金属等の吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したときに、固相吸着材は再生される。すなわち、洗浄水が排除された状態でキレート剤再生装置41内に酸液(例えば、希硝酸、希硫酸等)を流し、固相吸着材に吸着された有害金属等を酸液により除去して固相吸着材を再生する。かくして、有害金属等が酸液によって回収される一方、固相吸着材は再生されて再び有害金属等ないしはこれらのイオンを吸着又は抽出することが可能な状態となる。なお、固相吸着材は、酸液によって再生された後に水洗され、固相吸着材に付着している微量の酸液が除去される。
キレート剤再生装置41内の固相吸着材の有害金属等の吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達して固相吸着材を酸液で再生する際には、管路54、48、49、55に介設されたバルブ63、62、65、67が開かれる一方、他のバルブ61、64、66、68が閉じられ、ポンプ53が運転される。これにより、酸液貯槽44内の酸液が、キレート剤再生装置41内を流通して酸液貯槽44に還流する。固相吸着材の再生操作を開始する前には、キレート剤再生装置41内の洗浄水は排除される。なお、複数のキレート剤再生装置41を並列に配設すれば、一部のキレート剤再生装置41への洗浄水の供給が停止されているときでも、洗浄水を連続的に再生することができる。固相吸着材の有害金属吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したか否かは、キレート剤再生装置41から排出された洗浄水中の有害金属等の含有量を検出することにより判定することができる。
キレート剤再生装置41内に酸液を流す時間は、キレート剤再生装置41の寸法ないしは形状、固相吸着材粒子の寸法等に応じて好ましく設定される。酸液は、酸液貯槽44とキレート剤再生装置41との間を循環して流れる。その際、キレート剤再生装置41内の固相吸着材は酸液と接触し、固相吸着材に吸着されている有害金属等が酸液中に離脱させられる。すなわち、有害金属等が酸液によって回収される一方、固相吸着材は再生されて再び有害金属等を吸着することが可能な状態となる。
酸液による固相吸着材の再生が終了した後に固相吸着材を水洗する際には、管路57、48、49、58に介設されたバルブ64、62、65、68が開かれる一方、他のバルブ61、63、66、67が閉じられ、ポンプ56が運転される。これにより、水貯槽45内の水が、キレート剤再生装置41内を流通して水貯槽45に還流する。このような固相吸着材の水洗操作を開始する前には、キレート剤再生装置41内の酸液は排除される。水は、水貯槽45とキレート剤再生装置41との間を循環して流れる。その際、キレート剤再生装置41内の固相吸着材は水と接触し、固相吸着材に付着している酸液が洗浄される。この後、洗浄水の再生が再開される。
以下、図4〜図6を参照しつつ、キレート剤回収部4の具体的な構成及び機能を説明する。
図4に示すように、キレート剤回収部4の一部をなす礫すすぎ装置16は、ベルトコンベア74と、礫供給装置75と、すすぎ水散布装置76と、洗浄廃水受槽77とを備えている。
ベルトコンベア74は、電動機(図示せず)によって回転駆動されるシャフト78aに同軸に取り付けられた略円柱形の駆動ローラ78と、駆動源には接続されていないシャフト79aに同軸に取り付けられた略円柱形の従動ローラ79と、駆動ローラ78と従動ローラ79とに巻き掛けられた輪状ないしは無端(エンドレス)の搬送ベルト80と、搬送ベルト80を支持ないしは案内する多数の支持ローラ81と、ベルトコンベア74から排出される礫を案内する案内板82とを備えている。礫すすぎ装置16は、土壌洗浄分級部2の一部をなすトロンメル24(図2参照)から排出された礫に、すすぎ水を散布又は噴射して、礫に保持され又は付着しているキレート剤を洗い流して除去する。
駆動ローラ78と従動ローラ79とは、その直径が同一であり、同一の高さの位置に配置されている。搬送ベルト80は、すすぎ水は通過させるが礫は通過させない輪状に湾曲させることが可能な多孔性材料、メッシュ状材料、繊維状材料ないしは布状材料で形成されている。すすぎ水散布装置76は、搬送ベルト80の移動方向に関して所定の長さ(例えば、1〜2m)の領域において、搬送ベルト80によって搬送されている礫にすすぎ水を散布する。すすぎ水散布装置76からのすすぎ水の散布量は、礫に付着している洗浄水をほぼ全部洗い流すことができるように好ましく設定される。例えば、礫に付着している洗浄水の量の2〜3倍の量のすすぎ水が散布される。具体例としては、例えば含水比が15%の礫を1時間あたり20トン(乾燥基準)で搬送する場合は、1時間あたり6〜9トンのすすぎ水を散布することになる。
礫供給装置75は、トロンメル24(図2参照)から排出された礫を、従動ローラ79の近傍で搬送ベルト80の上に所定の流量で供給する。このように供給された礫は、搬送ベルト80によって搬送され、駆動ローラ78に対応する位置で案内板82を経由して下方に落下し、礫貯蔵場(図示せず)に貯蔵される。搬送ベルト80によって搬送されている礫には、すすぎ水散布装置76からすすぎ水が散布され、すすぎ水は礫の粒子の間隙を通って下方に移動し、搬送ベルト80を通過して洗浄廃水受槽77に流下する。
その際、礫に付着しているキレート剤を含む洗浄水は、すすぎ水によって下方に洗い流され、洗浄廃水受槽77に落下ないしは流入するが、すすぎ水の一部は礫の粒子の間隙に保持される。すなわち、礫に保持され又は付着していたキレート剤を含む洗浄水は、キレート剤を含まないすすぎ水と置換される。つまり、礫に含まれ又は付着しているキレート剤は、すすぎ水によって洗い流され、すすぎ水の一部とともに洗浄廃水受槽77に収容される。なお、洗浄廃水受槽77に収容されたキレート剤を含む洗浄廃水は、洗浄廃水槽83(図7参照)に導入される。かくして、礫貯蔵場(図示せず)にはキレート剤及び汚染物質をほとんど含まない清浄な礫が貯蔵される。
図5に示すように、キレート剤回収部4の一部をなす砂すすぎ装置17は、ベルトコンベア84と、砂供給装置85と、すすぎ水散布装置86と、洗浄廃水受槽87とを備えている。ここで、ベルトコンベア84は、電動機(図示せず)によって回転駆動されるシャフト88aに同軸に取り付けられた略円柱形の駆動ローラ88と、駆動源には接続されていないシャフト89aに同軸に取り付けられた略円柱形の従動ローラ89と、駆動ローラ88と従動ローラ89とに巻き掛けられた輪状ないしは無端(エンドレス)の搬送ベルト90と、搬送ベルト90を支持ないしは案内する多数の支持ローラ91と、ベルトコンベア84から排出される砂を案内する案内板92とを備えている。この砂すすぎ装置17は、土壌洗浄分級部2の一部をなすサンドクリーン26(図2参照)から排出された砂に、すすぎ水を散布又は噴射して、該砂に保持され又は付着しているキレート剤を洗い流して除去する。
駆動ローラ88と従動ローラ89とは、その直径が同一であり、同一の高さの位置に配置されている。搬送ベルト90は、すすぎ水は通過させるが砂の粒子は通過させない輪状に湾曲させることが可能な多孔性材料、メッシュ状材料、繊維状材料ないしは布状材料で形成されている。すすぎ水散布装置86は、搬送ベルト90の移動方向に関して所定の長さ(例えば、1〜2m)の領域において、搬送ベルト90によって搬送されている砂にすすぎ水を散布する。すすぎ水散布装置86からのすすぎ水の散布量は、砂に付着している洗浄水をほぼ全部洗い流すことができるように好ましく設定される。例えば、砂に付着している洗浄水の量の2〜3倍の量のすすぎ水が散布される。具体例としては、例えば含水比が20%の砂を1時間あたり35トン(乾燥基準)で搬送する場合は、1時間あたり14〜21トンのすすぎ水を散布することになる。
砂供給装置85は、サンドクリーン26から排出された砂を、従動ローラ89の近傍で搬送ベルト90の上に所定の流量で供給する。このように供給された砂は、搬送ベルト90によって搬送され、駆動ローラ88に対応する位置で案内板92を経由して下方に落下し、砂貯蔵場(図示せず)に貯蔵される。搬送ベルト90によって搬送されている砂には、すすぎ水散布装置86からすすぎ水が散布され、すすぎ水は砂の粒子の間隙を通って下方に移動し、搬送ベルト90を通過して洗浄廃水受槽87に流下する。
その際、砂に付着していたキレート剤を含む洗浄水は、すすぎ水によって下方に洗い流され、洗浄廃水受槽87に落下ないしは流入するが、すすぎ水の一部は砂の粒子の間隙に保持される。すなわち、砂に保持され又は付着していたキレート剤を含む洗浄水は、キレート剤を含まないすすぎ水と置換される。つまり、砂に含まれ又は付着しているキレート剤は、すすぎ水によって洗い流され、すすぎ水の一部とともに洗浄廃水受槽87に収容される。なお、洗浄廃水受槽87に収容されたキレート剤を含む洗浄廃水は、洗浄廃水槽83(図7参照)に導入される。かくして、砂貯蔵場(図示せず)にはキレート剤及び汚染物質をほとんど含まない清浄な砂が貯蔵される。
図6に示すように、キレート剤回収部4の一部をなす細粒土すすぎ装置18は、解砕機93と解砕土洗浄機94とを備えている。解砕機93は、フィルタプレス32(図2参照)から排出された濾過ケーク(細粒土)を解砕して粒状又は粉状の解砕土(細粒土)を生成する。解砕土洗浄機94は、解砕機93によって生成された解砕土にすすぎ水を散布又は噴射して、該解砕土に保持されているキレート剤を除去・回収する。
解砕機93は、フィルタプレス32(図2参照)から排出された濾過ケークを、高速回転するブレード95によって、例えば粒径が数mm(例えば、1〜3mm)の多数の濾過ケーク細片に解砕する。なお、このように濾過ケークを解砕する解砕機93としては、例えば大平洋機工株式会社に係る「脱水ケーキ解砕機」あるいは株式会社氣工社に係る「脱水ケーキリサイクル装置」などを用いることができる。
解砕土洗浄機94は、ベルトコンベア96と、解砕土受入部97と、すすぎ水散布装置98と、洗浄廃水受槽99とを備えている。ここで、ベルトコンベア96は、電動機(図示せず)によって回転駆動されるシャフト100aに同軸に取り付けられた略円柱形の駆動ローラ100と、駆動源には接続されていないシャフト101aに同軸に取り付けられた略円柱形の従動ローラ101と、駆動ローラ100と従動ローラ101とに巻き掛けられた輪状ないしは無端(エンドレス)の搬送ベルト102と、搬送ベルト102を支持ないしは案内する多数の支持ローラ103と、ベルトコンベア96から排出される解砕土を案内する案内板104とを備えている。
駆動ローラ100と従動ローラ101とは、その直径が同一であり、同一の高さの位置に配置されている。搬送ベルト102は、すすぎ水は通過させるが解砕土の粒子は通過させない輪状に湾曲させることが可能な多孔性材料、メッシュ状材料、繊維状材料又は布状材料で形成されている。すすぎ水散布装置98は、搬送ベルト102の移動方向に関して所定の長さ(例えば、1〜2m)の領域において、搬送ベルト102によって搬送されている解砕土にすすぎ水を散布する。すすぎ水散布装置98からのすすぎ水の散布量は、解砕土に付着している洗浄水をほぼ全部洗い流すことができるように好ましく設定される。例えば、解砕土に付着している洗浄水の量の2〜3倍の量のすすぎ水が散布される。具体例としては、例えば含水比が40%の解砕土を1時間あたり25トン(乾燥基準)で搬送する場合は、1時間あたり20〜30トンのすすぎ水を散布することになる。
解砕土受入部97は、解砕機93から排出された解砕土を、従動ローラ101の近傍で搬送ベルト102の上に所定の流量で供給する。このように供給された解砕土は、搬送ベルト102によって搬送され、駆動ローラ100に対応する位置で案内板104を経由して下方に落下し、細粒土貯蔵所(図示せず)に貯蔵される。搬送ベルト102によって搬送されている解砕土には、すすぎ水散布装置98からすすぎ水が散布され、すすぎ水は解砕土の粒子の間隙を通って下方に移動し、搬送ベルト102を通過して洗浄廃水受槽99に流下する。
その際、解砕土に付着していたキレート剤を含む洗浄水は、すすぎ水によって下方に洗い流され、洗浄廃水受槽99に流下する。ここで、すすぎ水の一部は、解砕土の粒子の間隙に保持される。すなわち、解砕土に保持され又は付着していたキレート剤を含む洗浄水は、すすぎ水と置換される。つまり、解砕土に含まれ又は付着しているキレート剤は、すすぎ水によって洗い流され、すすぎ水(一部)とともに洗浄廃水受槽99に収容される。なお、洗浄廃水受槽99に収容されたキレート剤を含む洗浄廃水は、洗浄廃水槽83(図7参照)に導入される。かくして、細粒土貯蔵所(図示せず)にはキレート剤を含まない細粒土が貯蔵される。
以下、図7を参照しつつ、すすぎ水生成部5及び洗浄水供給部7の構成及び機能を説明する。すすぎ水生成部5は逆浸透膜分離装置110を有する。この逆浸透膜分離装置110へは、混合槽43内の洗浄水と洗浄廃水の混合水が、ポンプ51及び管路52により導入される。なお、この実施形態では、逆浸透膜分離装置110は、キレート剤再生部3から排出された洗浄水をすべて受け入れる。逆浸透膜分離装置110は、導入された混合水を、付設された高圧ポンプ(図示せず)で加圧した上で(例えば0.5〜1.5MPa)逆浸透膜により、キレート剤が濃縮された濃縮水と、キレート剤を含まない透過水とを生成する(分離する)。そして、濃縮水は、管路109を経由して、洗浄水供給部7の一部をなす貯留槽111に導入される。
他方、逆浸透膜分離装置110から排出された透過水は、すすぎ水としてキレート剤回収部4に供給される。具体的には、透過水は、詳しくは図示していないがポンプ及び管路を介して、礫すすぎ装置16のすすぎ水散布装置76と、砂すすぎ装置17のすすぎ水散布装置86と、細粒土すすぎ装置18のすすぎ水散布装置98とにすすぎ水として供給される(図4〜図6参照)。キレート剤回収部4から排出された洗浄廃水は洗浄廃水槽83に導入され、一時的に貯留される。そして、洗浄廃水糟83内の洗浄廃水は、ポンプ116及び管路117により混合槽43に移送される。キレート剤回収部4では、礫、砂又は細粒土が、これらに付着しあるいは保持されている洗浄水の2〜3倍のすすぎ水で洗浄されるので、洗浄廃水のキレート剤濃度は、洗浄水のキレート剤濃度に比べてかなり低くなる(おおむね1/2〜1/3)。
逆浸透膜分離装置110における、混合水(洗浄水及び洗浄廃水)に対する濃縮水のキレート剤の濃縮度合は、逆浸透膜分離装置110に供給される混合水の流量と、逆浸透膜分離装置110によって生成される透過水(ないしは濃縮水)の流量とによって一義的に決まる。例えば、混合水の流量が510m3/hrであり、透過水の流量が60m3/hr(濃縮水の流量は450m3/hr)である場合(図9参照)、濃縮水のキレート剤の濃縮度合は1.13倍(510/450=1.13)となる。このように濃縮水のキレート剤の濃縮度合が非常に小さいので、逆浸透膜の水透過速度が比較的大きくなる。このため、逆浸透膜の面積を比較的小さくすることができ、あるいは混合水の供給圧を比較的低くすることができる。
逆浸透膜分離装置110の逆浸透膜としては、例えばポリエステル不織布(厚さ100〜120μm)の表面に、ポリスルホン支持層と架橋芳香族ポリアミド緻密層とが積層されてなる三層構造のものなどを用いることができる。なお、架橋芳香族ポリアミド緻密層は、孔径がおおむね0.5〜1.5nmである多数の細孔を有し、水は透過させるがキレート剤は透過させない非常に薄い(例えば、0.2〜0.25μm)半透膜である。また、ポリスルホン支持層は、非常に薄い架橋芳香族ポリアミド緻密層を支持ないしは保護してその破損を防止するための比較的厚い(例えば、40〜50μm)多孔質膜である。
逆浸透膜分離装置110はスパイラル型のものであり、スパイラル状に巻かれた逆浸透膜が円筒状の容器内に収容されてなる逆浸透膜エレメントを複数有している。各逆浸透膜エレメントは、例えば全長を1〜2m程度とし、外径を0.2〜0.4m程度とするのが実用的である。例えば、全長が約1mであり、外径が約0.2mである市販のこの種の逆浸透膜エレメント(例えば、岐阜県中津川市の株式会社オーセンテック製)における逆浸透膜の有効膜面積は約40m2である。この逆浸透膜エレメントの場合、キレート剤濃度が1質量%程度の洗浄水を1MPa程度の圧力で供給し、濃縮水のキレート剤の濃縮度合を1.1〜1.2に設定したときの透過水生成量は約1.5m3/hrと推定される。したがって、前記の条件で例えば毎時60m3の透過水を生成する場合は、この逆浸透膜エレメントを40本並列に接続すればよい。逆浸透膜エレメントを多段(例えば、8列5段)で横置きに配置した場合、その設置に要する敷地の面積は10〜20m2程度である。
逆浸透膜分離装置110から排出された濃縮水は、管路109を経由して貯留槽111に洗浄水として導入される。そして、貯留槽111内の洗浄水は、洗浄水供給部7を構成するポンプ112及び管路113により、土壌洗浄分級部2を構成する混合器22とトロンメル24とサンドクリーン26とに供給(返送)される。なお、何らかの事情で洗浄水のキレート剤濃度を高める必要が生じたときには、キレート剤補充部6から貯留槽111にキレート剤が供給(補充)される。
そして、キレート剤回収部4において礫、砂及び/又は細粒土の洗浄により生じたキレート剤を含む洗浄廃水は、混合槽43を経由して逆浸透膜分離装置110に導入される。このため、洗浄廃水中のキレート剤は、最終的には濃縮水ないしは洗浄水に随伴して土壌洗浄分級部2に返送され、土壌浄化システム外には排出されない。したがって、キレート剤の土壌浄化システム外への逸失が確実に防止される。また、前記のとおり、混合水に対する濃縮水のキレート剤の濃縮度合が非常に小さいので、逆浸透膜の水透過速度が比較的大きくなり、その分逆浸透膜分離装置110の高圧ポンプの吐出圧を低くすることができ、あるいは逆浸透膜の総表面積を小さくすることができる。なお、逆浸透膜分離装置110、混合槽43、貯留槽111等の設置にはさほど広い敷地を必要としない。
前記のとおり、土壌浄化システム1は、洗浄水を循環使用して、土壌浄化システム外には廃水を排出しない完全クローズドシステムである。また、土壌浄化システム1では、洗浄水に含まれるキレート剤は、土壌浄化システム外には排出されず、再生しつつ繰り返し使用される。このため、土壌浄化システム1のランニングコストを非常に低くすることができる。
図8に、土壌洗浄分級部2において、例えば1.0質量%のキレート剤を含む洗浄水で、1時間あたり100トンの土壌を洗浄・分級する場合における、土壌浄化システム1の要所における土壌、水及びキレート剤の流量の一例を示す。この例では、土壌洗浄分級部2に供給される洗浄水の総流量は450m3/hrであり、100トンの土壌は、20トンの礫と、35トンの砂と、25トンの細粒土と、20トンの水とを含み、その含水比は25%である。また、トロンメル24から排出される礫の含水比は15%であり、サンドクリーン26から排出される砂の含水比は20%であり、フィルタプレス32から排出される細粒土(濾過ケーク)の含水比は40%である。図8から明らかなとおり、この例では、礫、砂及び細粒土によって、1時間あたり0.2トンのキレート剤が、土壌洗浄分級部2から持ち去られる。しかし、これらのキレート剤は、キレート剤回収部4で回収され、混合槽43と、逆浸透膜分離装置110と、洗浄水供給部7とを経由して土壌洗浄分級部2に返送され、土壌浄化システム外には排出されない。
図9に、図8の場合におけるキレート剤回収部4、すすぎ水生成部5等における洗浄水、すすぎ水、洗浄廃水、キレート剤等の流量及びキレート剤濃度の一例を示す。この例では、1MPa程度の圧力でもって510m3/hrで供給される混合水(洗浄水及び洗浄廃水)から60m3/hrの透過水を生成するように設定している。逆浸透膜分離装置110の逆浸透膜の総有効膜面積は約1600m2である。したがって、例えば各逆浸透膜の有効膜面積が約40m2である前記の逆浸透膜エレメント(長さ約1m、外径約0.2m)を40本並列に接続して用いればよい。図9から明らかなとおり、礫、砂及び細粒土によって土壌洗浄分級部2から持ち去られたキレート剤(1時間あたり0.2トン)はすべて土壌洗浄分級部2に返送されている。
以上、本発明に係る土壌浄化システム1によれば、土壌洗浄分級部2から排出された礫、砂及び/又は細粒土は、キレート剤回収部4で逆浸透膜分離装置110の透過水(すすぎ水)で洗浄され、礫、砂及び/又は細粒土に付着しているキレート剤が除去される。したがって、キレート剤を含まない高品質の礫、砂及び/又は細粒土を得ることができる。そして、キレート剤回収部4において礫、砂及び/又は細粒土の洗浄により生じたキレート剤を含む洗浄廃水は土壌浄化システム外には排出されないので、キレート剤の逸失を確実に防止することができる。
一方、逆浸透膜分離装置110、混合槽43、貯留槽111等の設置面積は非常に小さい。したがって、キレート剤の回収設備の設置にさほど広い敷地を必要としない。よって、礫、砂及び/又は細粒土によってキレート剤が土壌浄化システム外に持ち去られるのを防止することができ、かつキレート剤回収のための設備の敷地面積を非常に小さくすることができる。
キレート剤再生部は、土壌洗浄分級部から排出された洗浄水中の有害金属等を捕捉しているキレート剤から有害金属等を除去してキレート剤を再生する。キレート剤回収部は、土壌洗浄分級部で分離された礫をすすぎ水で洗浄することにより、礫に付着しているキレート剤を除去・回収する。混合槽は、キレート剤再生部から排出された洗浄水の全部と、キレート剤回収部において礫の洗浄により生じた洗浄廃水とを受け入れて混合する。すすぎ水生成部は、混合槽内の洗浄水と洗浄廃水の混合水を受け入れて逆浸透膜により、キレート剤が濃縮された濃縮水とキレート剤を含まない透過水とに分離する逆浸透膜分離装置を有し、透過水をすすぎ水としてキレート剤回収部に供給する。洗浄水供給部は、すすぎ水生成部から排出された濃縮水を洗浄水として土壌洗浄分級部に供給(返送)する。