JP2019103037A - 円偏波共用平面アンテナ - Google Patents

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【課題】高い周波数に適正に対応可能で、かつ、小型軽量化が可能な円偏波共用平面アンテナを提供する。【解決手段】互いに直交する2つの偏波信号を送受信する2つの給電素子232b、216bがそれぞれマトリクス状に同配列された、上層給電素子基板232と下層給電素子基板216が積層された直線偏波平面アンテナ2と、直線偏波平面アンテナ2の放射面側に積層され、メアンダーラインポラライザ312、322、332、342、352で構成されて、2つの偏波信号の一方を左旋円偏波に変換し他方を右旋円偏波に変換する偏波変換器3と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、互いに直交する直線偏波の電波を放射する直線偏波共用平面アンテナに、円偏波変換器を積層することで、2つの円偏波信号を送受信可能な円偏波共用平面アンテナに関する。
衛星通信では、アップリンクとダウンリンクとで周波数および偏波を変えて、通信を行う方法が一般に採られている。また、地上でのユーザは移動体通信を目的とし、そのアンテナの向きが変化するため、この変化に対応できるように円偏波が用いられている。すなわち、送信と受信とで周波数を変えるとともに、その円偏波も右旋円偏波と左旋円偏波との2つの円偏波を用いている。
そして、円偏波を送受信するためには、例えば、右旋円偏波用アンテナと左旋円偏波用アンテナを横並べに配置することが考えられるが、これでは、放射方向に直角な面における占有面積が大きくなる。このため、小型軽量化が可能な円偏波共用アンテナが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。この円偏波共用アンテナは、2つのマイクロストリップアレイアンテナをそれぞれの偏波面が直交するように重ねた直交2直線偏波アンテナに、偏波変換器を重ねたものである。また、偏波変換器は、導体からなる偏波線と格子を付着させた誘電体の偏波偏向シートの間に、比誘電率と厚さが空間インピーダンスに広帯域整合するように設定された誘電体シートを挿入したものである。
特開2004−88185号公報
ところで、近年、高周波数化が進んでいるが、特許文献1に記載の技術では、高い周波数に対応することが実質上困難となる場合がある。すなわち、特許文献1に記載の技術では、周波数が高くなるに従って偏波線の幅などを小さくする必要があるが、周波数の高さによっては偏波線などを形成することが困難な場合が生じる。例えば、周波数が30GHzの場合、偏波線の最小幅が0.045mm(0.0045λ)となり、形成、生産することが困難となる。
そこで本発明は、高い周波数に適正に対応可能で、かつ、小型軽量化が可能な円偏波共用平面アンテナを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、互いに直交する2つの偏波信号を送受信する2つの給電素子がそれぞれマトリクス状に同配列された、上層給電素子基板と下層給電素子基板が積層された直線偏波平面アンテナと、前記直線偏波平面アンテナの放射面側に積層され、メアンダーラインポラライザで構成されて、前記2つの偏波信号の一方を左旋円偏波に変換し他方を右旋円偏波に変換する偏波変換器と、を備えることを特徴とする円偏波共用平面アンテナである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の円偏波共用平面アンテナであって、前記上層給電素子基板の上側に、前記給電素子と同配列に無給電素子が配列された無給電素子基板が積層されている、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の円偏波共用平面アンテナであって、前記上層給電素子基板と前記無給電素子基板との間に、前記無給電素子基板の高さ位置を調整する誘電体が積層されている、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の円偏波共用平面アンテナであって、前記無給電素子は、絶縁性基板に設けられた導電箔の無給電パッチからなり、前記2つの給電素子のうち少なくとも一方の給電素子の励振方向に沿って延びている、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、偏波変換器がメアンダーラインポラライザで構成されているため、高い周波数に適正に対応することが可能で、かつ、小型軽量化が可能となる。すなわち、高い周波数であっても、偏波偏向シートの場合に比べて線幅を大きくすることができ、実質的に製作することが可能となり、また、積層構造のため占有面積が小さくなって小型軽量化が可能となる。一方、偏波信号が直交しているため、アイソレーションが高い円偏波共用平面アンテナが得られる。
請求項2に記載の発明によれば、上層給電素子基板の上側に無給電素子基板が積層されているため、ビームが絞られて正面利得が向上する。また、平面アンテナに用いられる無給電素子は、一般的にフレキシブル基板などの絶縁性基板に導電箔などからなるパッチを設けた薄型、軽量なものであるため、小型軽量化が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、上層給電素子基板と無給電素子基板との間に、無給電素子基板の高さ位置を調整する誘電体が積層されているため、偏波信号の波長に応じて最適な高さ位置に無給電素子基板を配置することができる。すなわち、2つの給電素子のうち、少なくともいずれか一方の給電素子の正面利得に影響する高さ位置、あるいは両方の正面利得に影響する高さ位置などに、無給電素子基板の高さ位置を調節することで、2つの給電素子の正面利得に対して同時にあるいは選択的に改善を施すことが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、2つの給電素子のうち少なくとも一方の給電素子の励振方向に沿って延びるように無給電パッチが設けられているため、2つの給電素子の正面利得に対して選択的に改善を施すことが可能となる。
この発明の実施の形態に係る円偏波共用平面アンテナの積層構造を示す分解斜視図である。 図1の円偏波共用平面アンテナの直線偏波平面アンテナの1素子分を示す分解斜視図である。 図1の円偏波共用平面アンテナの単層メアンダーラインの設計パラメータを示す図である。 図1の円偏波共用平面アンテナの周波数に対する軸比特性を示すグラフである。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1〜図4は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る円偏波共用平面アンテナ1の積層構造を示す分解斜視図である。この円偏波共用平面アンテナ1は、マイクロ波帯の衛星通信において、互いに直交する2つの円偏波信号(右旋円偏波と左旋円偏波)を送受信するアレイアンテナであり、下層から順に、直線偏波平面アンテナ2、偏波変換器3および上カバー体4が積層されている。
直線偏波平面アンテナ2は、互いに直交する2つの偏波信号を送受信する2つの給電素子がそれぞれマトリクス状に同配列された、上層給電素子基板232と下層給電素子基板216が積層されたアンテナである。具体的には、下層から順に、第1の積層部21、第2の積層部22、第3の積層部23、第4の積層部24、第5の積層部25および第6の積層部26が積層されている。
第1の積層部21は、下層から順に、下カバー211、ベース板212、発泡シート(誘電体)213、グランド板214、発泡シート215および下層給電素子基板216が積層されている。発泡シート213、215は、発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレンのシート材で、後述する他の発泡シートについても同様である。また、グランド板214は、シールド用の遮蔽板で導電性を有する薄板、例えばアルミニウム板で構成され、後述する下層スロット板222および上層スロット板242も同様である。
下層給電素子基板216は、偏波信号を受信するための給電素子がマトリクス状に配列された基板であり、図2に示すように、フレキシブル基板などの絶縁性を有する薄い下層給電基板216aと、所定間隔で配列された複数の矩形の下層給電パッチ(給電素子)216bと、この下層給電パッチ216bに給電を行う下層給電線路216cとを備えている。下層給電パッチ216bおよび下層給電線路216cは、銅、アルミニウム、金などの導電箔によって形成されている。また、下層給電線路216cは、所定の方向に沿って延び、下層給電基板216a上で共通の給電幹線に接続されている。
第2の積層部22は、下層から順に、発泡シート221および下層スロット板222が積層されている。下層スロット板222は、下層給電パッチ216bに対面する位置に、矩形のスロット開口222aが設けられている。また、このスロット開口222aには、対角線方向を横切るブリッジ部222bが設けられている。このブリッジ部222bは、後述する上層給電パッチ232bの励振方向と平行に設けられており、上層給電パッチ232bの給電時には、励振に対し強い影響を及ぼして、指向性などのアンテナ特性を改善する。また、下層給電パッチ216bの励振方向と直交し、しかも、その幅が下層給電パッチ216bに比べて十分狭いため、その影響は殆どなく、他のアンテナ特性を劣化させることはない。
第3の積層部23は、下層から順に、発泡シート231および上層給電素子基板232が積層されている。上層給電素子基板232は、偏波信号を送信するための給電素子がマトリクス状に配列された基板であり、フレキシブル基板などの絶縁性を有する薄い上層給電基板232aと、下層給電パッチ216bと同一に配列、配設された複数の矩形の上層給電パッチ(給電素子)232bと、この上層給電パッチ232bに給電を行う上層給電線路232cとを備えている。上層給電パッチ232bおよび上層給電線路232cは、下層給電パッチ216bなどと同様の導電箔によって形成されている。また、上層給電線路232cは、所定の方向(下層給電線路216cに直交する方向)に沿って延び、上層給電基板232a上で共通の給電幹線に接続されている。
ここで、下層給電素子基板216が上層給電素子基板232よりも低い周波数帯域の偏波信号を受信する場合、下層給電パッチ216bのサイズは、上層給電パッチ232bよりも大きく設定されている。また、この実施の形態では、下層給電素子基板216は、受信偏波面と平行で紙面に垂直な面となる偏波信号を受信する。従って、下層給電素子基板216の励振方向もこの受信偏波面の方向となる。同様に、上層給電素子基板232は、送信偏波面と平行で紙面に垂直な面となる偏波信号を送信する。従って、上層給電素子基板232の励振方向もこの送信偏波面の方向となる。
第4の積層部24は、下層から順に、発泡シート241および上層スロット板242が積層されている。上層スロット板242は、上層給電パッチ232bに対面する位置に、矩形のスロット開口242aが設けられている。
第5の積層部25は、下層から順に、発泡シート251および下層無給電素子基板252が積層されている。下層無給電素子基板252は、無給電素子がマトリクス状に配列された基板であり、フレキシブル基板などの絶縁性を有する薄い下層絶縁基板252aと、上層給電パッチ(給電素子)232bと同一に配列、配設された矩形で導電箔の複数の下層無給電パッチ(無給電素子)252bとを備えている。この下層無給電素子基板252は、その下層の発泡シート251によって、送信用の上層給電素子基板232の指向性に影響を及ぼす高さ位置に設置されており、上層給電素子基板232のビーム幅を狭くして正面利得を向上させる。
第6の積層部26は、下層から順に、発泡シート261および上層無給電素子基板262が積層されている。上層無給電素子基板262は、無給電素子がマトリクス状に配列された基板であり、フレキシブル基板などの絶縁性を有する薄い上層絶縁基板262aと、下層給電パッチ(給電素子)216bと同一に配列、配設された略菱形状で導電箔の複数の上層無給電パッチ(無給電素子)262bとを備えている。この上層無給電素子基板262は、その下層の発泡シート261によって、受信用の下層給電素子基板216に影響を及ぼす高さ位置に設置されている。さらに、下層給電素子基板216の励振方向に沿って延ばされた上層無給電パッチ262bの形状と発泡シート261とによって、下層給電素子基板216の指向性に影響を及ぼし、下層給電素子基板216のビーム幅を狭くして正面利得を向上させる。
偏波変換器3は、図1に示すように、直線偏波平面アンテナ2の放射面側つまり上側に積層され、メアンダーラインポラライザ312、322、332、342、352で構成されて、2つの偏波信号の一方を左旋円偏波に変換し他方を右旋円偏波に変換するものである。この実施の形態では、所定の帯域を得るために下層から順に、5つのメアンダーラインポラライザ312、322、332、342、352が積層され、各メアンダーラインポラライザ312、322、332、342、352の下側には発泡シート311、321、331、341、351が配設されている。
メアンダーラインポラライザ312、322、332、342、352は、絶縁性を有するフレキシブル基板などの上に、導線をクランク状に折り曲げた単層メアンダーライン3aを配置したものであり、メアンダーラインポラライザ312、352が第1の同一構造、メアンダーラインポラライザ322、342が第2の同一構造、メアンダーラインポラライザ332が第3の構造となっている。
ここで、単層メアンダーライン3aの性能、特性は、図3に示すように、ピッチP、高さH、周期D、幅Wの4つの設計パラメータ等に依存し、所望の特性が得られるように設計パラメータが設定されている。この際、所望の軸比特性、円偏波性能が得られるように、メアンダーラインポラライザ312、352のピッチP、高さH、周期D、幅W、メアンダーラインポラライザ322、342のピッチP、高さH、周期D、幅W、メアンダーラインポラライザ332のピッチP、高さH、周期D、幅Wが設定されている。
上カバー体4は、偏波変換器3の上側を覆う積層体であり、図1に示すように、下層から順に、発泡シート41、第1の中カバー42、発泡シート43、第2の中カバー44、発泡シート45および上カバー46が積層されている。
このような構成の円偏波共用平面アンテナ1によれば、偏波変換器3がメアンダーラインポラライザ312、322、332、342、352で構成されているため、高い周波数に適正に対応することが可能で、かつ、小型軽量化が可能となる。すなわち、高い周波数であっても、偏波偏向シートの場合に比べて線幅Wを大きくすることができ、実質的に製作することが可能となり、また、積層構造のため占有面積が小さくなって小型軽量化が可能となる。例えば、周波数が30GHzの場合であっても、単層メアンダーライン3aの最小線幅Wが約0.15mmとなり、エッチングによって容易かつ適正に形成、生産することが可能となる。
また、上記のように、単層メアンダーライン3aの設計パラメータを適正値に設定することで、所望の軸比特性が得られる。例えば、図4に示すように、受信周波数が17.7〜20.2GHzで送信周波数が27.5〜30.0GHzの場合において、両周波数帯域において良好な(低い)軸比を得ることが可能となる。さらに、偏波信号が直交しているため、アイソレーションが高い円偏波共用平面アンテナ1が得られる。
一方、給電素子基板216、232の上側に無給電素子基板252、262が積層されているため、ビームが絞られて正面利得が向上する。また、無給電素子基板252、262が、フレキシブル基板などの薄い絶縁基板252a、262aに導電箔などからなる無給電パッチ252b、262bを設けた薄型、軽量なものであるため、小型軽量化が可能となる。
また、給電素子基板216、232と無給電素子基板252、262との間に、無給電素子基板252、262の高さ位置を調整する発泡シート251、261が積層されているため、偏波信号の波長に応じて最適な高さ位置に無給電素子基板252、262を配置することができる。すなわち、給電素子基板216、232の給電素子の正面利得に影響する高さ位置に、無給電素子基板252、262の高さ位置を調節することで、2つの給電素子の正面利得に対して同時に改善を施すことが可能となる。
さらに、下層給電素子基板216(下層給電パッチ216b)の励振方向に沿って延びるように上層無給電パッチ262bが設けられているため、下層給電素子基板216の正面利得に対して改善を施すことが可能となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、無給電素子基板252、262を送信用と受信用で2枚設けたが、1枚の無給電素子基板を送信用および受信用の給電素子基板216、232の両方に影響する高さ位置に設置することにより、1枚の無給電素子基板で同様の効果を得ることも可能である。また、無給電素子基板が送信および受信の両給電素子に影響する高さ位置にある場合でも、無給電素子基板のパッチの形状を対象とする給電素子の励振方向に沿って延ばすことにより、対象とする給電素子に対して影響を及ぼすようにすることも可能である。
1 円偏波共用平面アンテナ
2 直線偏波平面アンテナ
21 第1の積層部
213、215 発泡シート(誘電体)
216 下層給電素子基板
216b 下層給電パッチ(給電素子)
216c 下層給電線路
22 第2の積層部
221 発泡シート(誘電体)
222 下層スロット板
222a スロット開口
222b ブリッジ部
23 第3の積層部
231 発泡シート(誘電体)
232 上層給電素子基板
232b 上層給電パッチ(給電素子)
232c 上層給電線路
24 第4の積層部
241 発泡シート(誘電体)
242 上層スロット板
242a スロット開口
25 第5の積層部
251 発泡シート(誘電体)
252 下層無給電素子基板
252a 下層絶縁基板
252b 下層無給電パッチ(無給電素子)
26 第6の積層部
261 発泡シート(誘電体)
262 上層無給電素子基板
262a 上層絶縁基板
262b 上層無給電パッチ(無給電素子)
3 偏波変換器
311、321、331、341、351 発泡シート
312、322、332、342、352 メアンダーラインポラライザ
3a 単層メアンダーライン
4 上カバー体

Claims (4)

  1. 互いに直交する2つの偏波信号を送受信する2つの給電素子がそれぞれマトリクス状に同配列された、上層給電素子基板と下層給電素子基板が積層された直線偏波平面アンテナと、
    前記直線偏波平面アンテナの放射面側に積層され、メアンダーラインポラライザで構成されて、前記2つの偏波信号の一方を左旋円偏波に変換し他方を右旋円偏波に変換する偏波変換器と、
    を備えることを特徴とする円偏波共用平面アンテナ。
  2. 前記上層給電素子基板の上側に、前記給電素子と同配列に無給電素子が配列された無給電素子基板が積層されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の円偏波共用平面アンテナ。
  3. 前記上層給電素子基板と前記無給電素子基板との間に、前記無給電素子基板の高さ位置を調整する誘電体が積層されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の円偏波共用平面アンテナ。
  4. 前記無給電素子は、絶縁性基板に設けられた導電箔の無給電パッチからなり、前記2つの給電素子のうち少なくとも一方の給電素子の励振方向に沿って延びている、
    ことを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の円偏波共用平面アンテナ。
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