JP2019102718A - コイルモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型でありながら、PMA方式とWPC方式の両方の非接触充電における電力伝送を可能とする、コイルモジュールを提供することを目的とする。【解決手段】非接触充電の電力送信に用いられる平面コイルと、前記平面コイルの磁路を形成する第一磁性体からなり、厚みが10〜300μmであり、かつ中央部に空孔を有する磁性シートと、前記空孔に隣接して配置された反磁性部とを備える、コイルモジュール。【選択図】図2

Description

本発明は、NFC(Near Field Communication)やWPC(Wireless Power Consortium)が策定したQi、及びPMA(Power Matters Alliance)が策定したPowermatなどのワイヤレス給電などを搭載したアンテナモジュールや非接触充電モジュールなどに用いられるコイルモジュールに関するものである。
ユビキタス社会を支えるRFID(Rasio Frequency IDentification)は、様々な分野で実用化が進み、その一例として非接触ICカード機能の携帯端末への搭載がある。
現在では、13.56MHz帯のNFCを携帯端末に搭載する動きが加速しているが、近年、NFCだけではなく非接触充電モジュールを携帯端末に搭載し、携帯端末の充電を非接触充電にて行うことも提案されている。これは、充電器側に送信用コイル、携帯端末側に受信コイルを配し、例えば、WPCであれば、100〜205kHz帯の周波数において両コイル間に電磁誘導を生じさせ、携帯端末を充電させる技術である。
NFCは、13.56MHz帯の周波数を用いて電磁誘導により通信を行う近距離無線通信であり、一方、非接触充電は、100kHz帯の周波数を用いてコイルの電磁誘導により電力伝送を行うものである。したがって、NFCのアンテナと非接触充電コイルを同一のモジュールに構成しようとした場合、NFCアンテナの共振周波数13.56MHz帯と非接触充電コイルの共振周波数100kHz帯の共振周波数が異なることから、特性の異なる2種類の磁性体を積層することによって、NFCの通信効率と非接触充電の電力伝送効率の双方を向上させる手段が提案されている。(例えば特許文献1)。
また、非接触充電モジュールにおいて、WPCでは上述のように100〜205kHz帯の周波数において両コイル間に電磁誘導を生じさせ、携帯端末を充電させるが、PMAでは特殊な検知作動の環境を整える必要があり、200〜400kHz帯の周波数が用いられている。
このようにワイヤレス充電方式の種類によって周波数帯が異なっているため、これまでWPC用のモジュールとPMA用のモジュールでは、それぞれ異なるモジュールが使用されていた。しかし、最近では、WPCのQi規格にもPMAのPowermat規格にも両方対応できるいわゆるコンボ型のモジュールが開発されつつある。
現在、実施されつつあるコンボ型モジュールは、図1に示すように、放熱層5(通常は、グラファイトなどのカーボン)、コイル2と基板3からなるFPC(Flexible Printed Circuit)6、高透磁率(μ')を有する磁性体材料からなる磁性シート1、並びに、高飽和磁束密度を有する磁性体材料からなる磁性シート4を備えていることが知られている。
特開2013−121248号公報
しかしながら、高透磁率(μ’)や高飽和密度(Bs)の磁性体材料に種類の異なるアモルファス等の金属系を採用した場合、磁気飽和が早くなり発熱が発生するおそれがある。この発熱により、電送速度が遅くなる為、充電効率が悪化するという問題が生じる。
一方、磁性体材料として透滋率の高いフェライトを使用することも考えられるが、フェライトはアモルファス等の金属系磁性体材料と比較すると飽和磁束密度が低い。よって、磁性シートの厚みを薄くすると良好なPMA検知動作を得ることができず、携帯電話などに使用されるモジュールの薄型化の要望に対し、十分に応えられないという問題があった。
上記に鑑み、本発明は、薄型でありながら、PMA方式とWPC方式の両方の非接触充電における電力伝送を可能とする、コンボ型のコイルモジュールを提供することを目的とする。
本発明らは、鋭意検討した結果、下記構成を有するモジュールによって上記課題が解決し得ることを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
すなわち、本発明の一局面に関するコイルモジュールは、非接触充電の電力送信に用いられる平面コイルと、前記平面コイルの磁路を形成する第一磁性体からなり、厚みが10〜300μmであり、かつ中央部に空孔を有する磁性シートと、前記空孔に隣接して配置された反磁性部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、薄型でありながら、安定的なPMA検知作動を可能にするため、WPC(Qi)方式とPMA(Powermat)方式の両方の非接触充電における電力伝送に対応できるコンボ型のコイルモジュールを提供することが可能となる。
図1は、従来のコンボ型コイルモジュールの一例を示す概略断面図である。 図2は、本実施形態のコイルモジュールの一例を示す概略断面図である。 図3は、本実施形態のコイルモジュールのさらに別の一例を示す概略断面図である。 図4は、本実施形態のコイルモジュールに用いる磁性シートの中央部の形状の一例を示す概略平面図である。 図5は、従来のアンテナモジュールの一例を示す概略断面図である。 図6は、本実施形態のアンテナモジュールの一例を示す概略断面図である。
以下、図面等を用いて本発明の実施形態におけるコイルモジュールについて説明するが、本発明のコイルモジュールはこれらに限定されるわけではない。
まず、本実施形態のコイルモジュールについて説明する。
(第1実施形態)
図2は、本実施形態のコイルモジュールの一例を示す概略断面図である。
この図2に示すように、本実施形態のコイルモジュールは、平面コイル2と、中央部に空孔8を有する磁性シート1と、前記空孔に隣接して配置された反磁性部7とを少なくとも備えている。
前記平面コイル2は、基板3の上に配置されている。また、基板3を挟んで2層以上に積層されていてもよい。さらには、本実施形態のコイルモジュールは、2種類以上の平面コイルを備えていてもよく、例えば、非接触充電の電力伝送用に用いられる平面コイルに加えて、近距離無線通信用に用いられる平面コイルを備えていてもよい。
平面コイル2と磁性シート1との間には、必要に応じて、接着層を設けることもできる。
基板3は、比較的薄い絶縁層であれば、特に構成材料の制限はないが、良好な耐熱性や機械特性を有するものが好適に用いられる。特に可撓性を有する絶縁フィルム(シート)等で形成されたフレキシブル基板が好適である。絶縁フィルムの具体例として、ポリイミド、PET、エポキシ樹脂組成物系のフィルムが挙げられる。ガラスクロス等の繊維基材で補強された絶縁基板であってもよい。絶縁フィルム(シート)上に導体回路を平面コイルとして形成したFPC(フレキシブルプリント基板)の形態で用いることもできる。ポリイミド、PETなどを基板にすることで薄くて柔軟性を有するアンテナモジュールを作製することができる。実施形態においては、例えば、厚さが10〜200μmのポリイミドフィルムを用いることが好適である。
本実施形態の平面コイル2は、WPCやPMA等の規格によって、100〜400kHz程度の周波数を用いた電磁誘導により、非接触充電などの非接触充電の電力伝送を行う、いわゆる充電コイルである。充電コイルは、例えば、2つの端子を始端及び終端として、例えば、線幅が800μm、厚みが60μm程度の銅箔をメッキ工程にて形成され、中空部を中心に面上で渦を描くように巻回されていることが好ましい。
さらに近距離無線通信用に用いられる平面コイルを備える場合、当該平面コイルは、例えば、RFIDと呼ばれるある特定の周波数帯を用いた電磁誘導により、近距離無線通信を行うコイルであってもよい。例えば、NFC(Near Field Communication)の場合は、13.56MHzの周波数を用いることができる。NFCアンテナは、13.56MHz帯の周波数を用いて電磁誘導により通信をおこなうアンテナであり、一般的にシートアンテナが用いられる。この場合、単一の基板が2種類の平面コイルを有しているので、多機能で小型化を実現することができる。
平面コイル2は通常、基板3の上に巻回されている。平面コイル2の巻き方の具体例として、いわゆるα巻きが挙げられるが、この巻き方には限定されず、略長方形を含める略短形、略正方形、楕円形、多角形など、どのような形状であってもよい。また、図2では、平面コイル2の巻き数は3巻きであるが、この巻き数には限定されない。平面コイル2を構成する導体の材質、高さ、幅、隣り合う導体間の隙間の間隔は特に限定されない。例えば、導体の材質としては銅箔等の金属箔を使用することができ、導体の高さ、すなわち、平面コイル2の厚みは70〜80μm程度であってもよい。
2種類の平面コイルを備える場合、そのうちの一方の平面コイルが他方の平面コイルの内側に設けられていることが好ましい。通信の妨害がより少ないという観点では、非接触電力伝送を行う平面コイルが内側に設けられ、近距離無線通信を行う平面コイルが外側に設けられた形態が好ましい。
基板3の表裏をそれぞれ第1面及び第2面とすると、基板3の第1面及び第2面に平面コイル2がそれぞれ設けられている。平面コイル2は、銅めっきスルーホールで電気的に接続されていてもよい。
また、基板の第1面および第2面には平面コイル2を保護するために保護層が設けられていてもよい(図示せず)。保護層の具体例として、液状のソルダーレジストの硬化物、ソルダーレジストフィルム又はカバーレイが挙げられる。保護層は設けられていてもいなくてもよく、また、平面コイル2は、基板3の第1面及び第2面の両方に設けられていてもよく(2層構造)、基板の第1面又は第2面のいずれか片面に設けられていてもよい(1層構造)。
本実施形態の磁性シート1は、前記平面コイル2に接するように配置されている(間に接着層があってもよい)。磁性シート1は、前記平面コイル2の磁路を形成する第一磁性体からなり、厚みは10〜300μmであり、かつ、その中央部に空孔8を有している。
本実施形態で使用される第一磁性体は、フェライト焼結体、アモルファス、ケイ素鋼板等が使用可能であるが、特にフェライト焼結体であることが好ましい。磁性シート1をフェライト焼結体で構成することにより、WPC(Qi)方式とPMA方式の両方に対応することに加えて、コイルモジュール全体の厚みを薄くすることに有効となる。フェライト焼結体として、具体的には、Mn−Zn系フェライトや、用途によっては、Ni−Zn系フェライト、Mn−Ni系フェライト、Mg−Zn系フェライト等の磁性体を使用することができる。
磁性シート1の厚みが10μm未満となると、磁性効果が減少し、有効な磁路になりえない。一方、300μmを超えると、有効な磁路にはなりえるが、モジュールの薄型化に逆行してしまうことになる。近年では、モジュールの薄型化への要望が強く、そのようなニーズに応じるためのより好ましい磁性シートの厚みは、10〜150μmである。
本実施形態の磁性シート1における中央部とは、前記平面コイル2の最内径部分であり且つ、最内径の導体回路に接していない基板3の絶縁層部分のことをいう。
さらに、本実施形態の磁性シート1においては、図4に示すように、空孔8’(上記図2における空孔8と同じ)の周辺部10において、飽和磁性密度が該周辺部10よりも外側の領域と比べて高くなっていることが好ましい。ここで、周辺部10とは、空孔8’の外端から1mm〜1cmくらいの範囲をいう。
この周辺部10において飽和磁性密度を高くするためには、例えば、第一磁性体(フェライト)の当該周辺部にブレイク処理を行うことが考えられる。ブレイク処理とは、磁性シートを作成する際に、磁性体の上下面にPETフィルムによる保護層が形成し、円筒形の剛体にて縦横2方向から圧接する(ブレイク処理)ことである。この工程により保護層内にある磁性体が細分割され、磁性シートがフレキシブルな状態になる。
このようなブレイク処理を周辺部10に施すことにより、その部分の透滋率は低下する傾向にあるが、飽和磁束密度は高くなる。前記周辺部10で、飽和磁束密度が高くなっていると、特にPMAの検知動作が安定するという利点がある。
磁性シート1は、その表側と裏側にそれぞれ保護層(図示せず)を有していてもよい。保護層としては、紫外線硬化型樹脂、可視光硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂、合成ゴム、両面テープ、粘着層、フィルム等を使用することができる。保護層は設けられていなくても良い。
次に、本実施形態のコイルモジュールが備える反磁性部7について説明する。本実施形態において「反磁性部」とは、その周辺の領域(平面視で反磁性部より外側)に比べて反磁性が高い領域のことを意味する。具体的には、反磁性磁化率の数値で表現でき、反磁性磁化率が−1.6×10−5よりも高い値を示す領域をさす。
反磁性部7は、前記磁性シート1の前記空孔8に隣接して配置されている。また、平面視において、前記反磁性部7は、前記空孔8の領域と同一か領域内に収まる大きさであることが好ましい。
反磁性部7として使用できる材料としては、上述の通り、反磁性特性(反磁性磁化率)の高い材料であれば特に限定なく使用できると考えられるが、具体的には、例えば、熱分解カーボンや銀箔などを使用することができる。熱分解カーボンとは、高熱伝導性を備えた熱拡散材料である。このような熱分解カーボンとして、市販品を用いることもでき、例えば、パナソニック製の「PGS(Pyrolytic Graphite Sheet:熱分解グラファイトシート)」などが挙げられる。
反磁性部7の周辺は支持体等で構成されていてもよいが、好ましくは、本実施形態のコイルモジュールにおいては、前記磁性シート1に隣接(積層)して放熱層5が配置されており、前記反磁性部7がその放熱層5の中央領域を占めていてもよい。
特に、PMA方式の無線充電の場合、受電する携帯電話端末(Rx)側のコイル位置を検出する為に、送電する無線充電器(Tx)にホール素子センサーと磁石を使用している。本実施形態にように放熱層の中央部に反磁性領域が存在することによって、磁石からの磁束が折れ曲がり、磁性シート(磁性体)の方へ磁束が向かうようになると考えられる。このように磁束が変化することによって、PMA検知動作が得られ、充電が起動する。
これに対し、これまで使用されている一般的なカーボンシートを放熱層として備えるだけでは、薄型の磁性シートを用いるコイルモジュールではPMA検知が起こらない。一方で、放熱層として、全ての領域で反磁性を有するシートを使用すると、磁性シートの飽和磁束密度が低下してしまい、PMA検知動作が不安定となる。
また、本実施形態のコイルモジュールでは、放熱層5における反磁性部7の反磁性により、充電の際に放熱層の近くに配置される電池パック(後述)にまで磁束が到達しないため、電池パックの表面に渦電流が生じることがない。したがって、本実施形態によれば、充電の際に電池パックの発熱が抑制されるという利点もある。
本実施形態において、放熱層5は、前記反磁性部7が熱分解カーボンまたは銀箔からなり、反磁性部7の外側の周辺領域は、前記反磁性部7より反磁性磁化率が低い材料で構成されていることが好ましい。前記周辺領域は、より具体的には、グラファイトシートで構成されていることが好ましい。
前記反磁性部7は、放熱層5の中心領域に存在しているが、本実施形態において放熱層の中心領域とは、前記平面コイル2の最内径部分であり且つ、最内径の導体回路に接していない基板3の絶縁層部分の領域をさす。
このように中心領域に反磁性部7が存在することによって、上述した効果をより確実に得ることができる。
本実施形態の放熱層5の厚みは、10〜100μmであることが好ましい。放熱層5の厚みが上記範囲内であれば、比較的薄型化、且つ効率の良い放熱効果を得られるという利点がある。薄型化にて、より好ましい厚みの範囲は、10〜30μmである。
さらに、本実施形態のコイルモジュールは、前記反磁性部7(又は放熱層5)に隣接して配置され、電池パックとして用いられる金属板をさらに備えていてもよい。
本実施形態で電池パックとして使用できる金属板としては、非接触充電に使用される金属板であれば特に限定はされないが、例えば、アルミニウム合金等が挙げられる。
(第2実施形態)
コイルモジュールが備える磁性シートの厚みが130μm未満である場合、図3に示すように、図2における空孔8に、磁性シート1を構成する第一磁性体とは異なる第二磁性体9を有していることが好ましい。当該第二磁性体9としては、第一磁性体よりも高い飽和磁束密度を有する材料を用いることが好ましい。
前記「高い飽和磁束密度を有する材料」とは、飽和磁束密度が1(単位T:テスラ)以上の材料であり、具体的には、例えば、ケイ素鋼板(飽和磁束密度:1.7〜2.1)、電磁軟鉄(飽和磁束密度:2.1〜2.3)、Fe基アモルファス(飽和磁束密度:0.8〜1.8)等が挙げられる。
すなわち、本発明の第2実施形態に係るコイルモジュールは、平面コイル2と、中央部に第二磁性体9を有し、厚みが130μm未満である磁性シート1と、前記第二磁性体9に隣接している反磁性部7(又は、中央領域に反磁性部7を有する放熱層5)を少なくとも備えている。ここで、平面コイル2と反磁性部7(又は放熱層5)は、上述の第1実施形態のコイルモジュールと同じ構成である。さらに、上述したような電池パック用の金属板を備えていてもよい。
本実施形態のコイルモジュールにおいて、第二磁性体9は、その飽和磁束密度が高いことにより、無線充電器(Tx)内蔵の永久磁石からの磁場を受け、携帯電話端末(Rx)内部のコイルモジュール周辺の飽和磁束密度を大きく変化させる役割を果たす。
よって、高い飽和磁束密度を有する第二磁性体9を備えることにより、飽和磁束密度を大きく変化させ、永久磁石直下のホール素子センサーが、その変化を検知し、PMA無線充電を起動させやすいという利点がある。
第二磁性体9は、磁性シート1の中央部に存在していればその大きさは特に限定されないが、磁性シート1の空孔8と同じ形状をしていることが好ましく、空孔8の内部に挿入された格好が好ましい。それにより、コイルモジュールの薄型化がより図れるという利点がある。
また、第二磁性体9の厚みは、磁性シート1の厚みと同等以上であることが好ましい。
(第3実施形態)
前記磁性シート1の厚みが200μm以上であれば、前記磁性シート1の空孔8内は空隙であってもよい(すなわち、前記空孔8内に前記第二磁性体9等を備える必要はない)。
(アンテナモジュール)
本発明にはさらに、非接触充電の電力送信に用いられる平面コイルと、フェライトシートからなる磁性シートと、放熱層とを備えるアンテナモジュールも包含される。本実施形態のアンテナモジュールは、前記磁性シートと前記平面コイルとを直接積層されていること、及び、前記放熱層の接着面によってアンテナ基板に固定されていることを特徴とする。
従来のアンテナモジュールでは、磁性シートにおける磁性体として、Fe系アモルファス金属などを使用している。このような磁性体は導電体であるため、磁性シートとコイルの間に何らかの絶縁体を入れる必要がある。そのため、これまでのアンテナモジュールでは、図5に示すように、磁性シート1の表裏に絶縁体としての役割も果たすような両面テープ11や保護層12が設けられていた。
本実施形態のアンテナモジュールでは、磁性体として絶縁物質であるフェライトを使用しているため、直接コイルと接触させても問題が生じない。したがって、従来必要であった両面テープは保護層を省くことが可能となり、アンテナモジュールのよりいっそうの薄型化および低コスト化を実現できる。
より具体的に説明すると、本実施形態のアンテナモジュールは、図6に示すように、アンテナコイルを有するFPC6と、磁性シート1と、放熱層5がこの順で積層されている。FPC6と磁性シート1は接合せずに直接重ね合せることができる。
磁性シート1と放熱層5とは、両面テープ11を用いて接合されていてもよい。また、磁性シート1の中央部には、磁性シート1とは異なる磁性体からなる磁性シート4を備えていてもよい。
本実施形態のアンテナモジュールに使用する平面コイルを含むFPC6としては、上述したコイルモジュールで使用したものと同じFPCを使用することができる。
また、本実施形態のアンテナモジュールにおいて、磁性シート1を構成する磁性体はフェライト焼結体であり、具体的には、Mn−Zn系フェライトや、用途によっては、Ni−Zn系フェライト、Mn−Ni系フェライト、Mg−Zn系フェライト等の磁性体を使用することができる。
本実施形態の放熱層5はグラファイトシートであることが好ましい。
磁性シート1とは異なる磁性体からなる磁性シート4を構成する磁性体としては、例えば、ケイ素鋼板、電磁軟鉄、アモルファスシート等の飽和磁束密度の高い材料であることが好ましい。
本実施形態のアンテナモジュールは、放熱層5の接着面によって、アンテナ基板に固定される。ここで、接着面とは、FPC6内の平面コイルの最外径の導体回路の外側の余白部分でポリイミドフィルム上や平面コイル以外の導体上のことをいう。
まず、用いた材料について説明する。
・磁性シート:100、120、200μmの厚みを有するフェライトシート
(「MC1900」、パナソニックエクセルプロダクツ株式会社製)
・上記磁性シートと異なる磁性材料:ケイ素鋼板(「GT−100」、日金電磁工業株式会社製)
・反磁性部:熱分解カーボンシート(グラファイトカーボン、「PGS」パナソニック株式会社製)
・放熱シート:一般的なグラファイトシート(反磁性磁化率が−1.6×10−5よりも低いシート、Tanyuan社製「 TGSシリーズ」)
(アンテナモジュールの製造)
両面に50μm厚みの銅箔を有するポリイミドフレキシブル銅張積層板に任意に銅めっきスルホール用の穴を明け、両面に10μm厚みの銅めっきを施した。無線充電用アンテナコイルとして機能するデザイン回路をエッチング法にて形成して平面コイルを得た。
そして、下記表1に示すように、上述の磁性シート、反磁性磁化率の高い放熱シート(反磁性部)、放熱シートおよび磁性材料を使用して、実施例1〜3および比較例1のアンテナモジュールを作成した。
(PMA検知および充電)
電池パック(「三星電子株式会社製 GALAXY NOTE FE用電池パック)を用いて、実際のスマートフォンに内蔵中の既存アンテナモジュールを取り外し、本作成のアンテナモジュールを取り付けることによって、PMA検知がなされたかどうか、その後充電がなされたかどうかを確認した。
結果を表1に示す。
Figure 2019102718
表1の結果から、本発明のコイルモジュールを使用することにより、非常に薄型でありながら、PMA検知・充電も可能であることが確認された。
本発明のコイルモジュールは、非常に薄型でありながら、PMA方式とWPC方式の両方の非接触充電における電力伝送を可能とする、いわゆるコンボ型のコイルモジュールである。したがって、本発明は、非接触充電コイルを備えたアンテナ装置、携帯端末、特にスマートフォン、ポータブルオーディオ、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の様々な電子機器に極めて有用である。
1 磁性シート(第一磁性体)
2 平面コイル
3 基板
4 異なる磁性シート
5 放熱層
6 FPC
7 反磁性部
8 空孔
9 第二磁性体
10 周辺部

Claims (15)

  1. 非接触充電の電力送信に用いられる平面コイルと、
    前記平面コイルの磁路を形成する第一磁性体からなり、厚みが10〜300μmであり、かつ中央部に空孔を有する磁性シートと、
    前記空孔に隣接して配置された反磁性部とを備える、コイルモジュール。
  2. 前記反磁性部は、反磁性磁化率が−1.6×10−5よりも高い値を示す、請求項1に記載のコイルモジュール。
  3. 前記反磁性部が、熱分解カーボンまたは銀箔からなる、請求項1または2に記載のコイルモジュール。
  4. 前記磁性シートに隣接する放熱層を備え、前記反磁性部は前記放熱層の中心領域を占める、請求項1〜3のいずれかに記載のコイルモジュール。
  5. 前記放熱層において、前記反磁性部の外側の周辺領域は、前記反磁性部より反磁性磁化率が低い材料で構成されている、請求項4に記載のコイルモジュール。
  6. 前記放熱層において、前記周辺領域がグラファイトシートで構成されている、請求項5に記載のコイルモジュール。
  7. 前記放熱層の厚みが10〜100μmである、請求項4〜6のいずれかに記載のコイルモジュール。
  8. 前記磁性シートの厚みが130μm未満であり、前記磁性シートの空孔中に前記第一磁性体よりも高い飽和磁束密度を有する第二磁性体を備える、請求項1〜7のいずれかに記載のコイルモジュール。
  9. 前記第二磁性体が、ケイ素鋼、電磁軟鉄、アモルファスから選択される少なくとも1つである、請求項8に記載のコイルモジュール。
  10. 平面視において、前記反磁性部は、前記空孔の領域と同一か領域内に収まる大きさであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のコイルモジュール。
  11. 前記磁性シートの厚みが200μm以上であり、前記磁性シートの空孔内は空隙である、請求項1に記載のコイルモジュール。
  12. 前記反磁性部に隣接して配置され、電池パックとして用いられる金属板をさらに備える、請求項1〜11のいずれかに記載のコイルモジュール。
  13. 前記第一磁性体がフェライトである、請求項1〜12のいずれかに記載のコイルモジュール。
  14. 前記磁性シートは、前記空孔の周辺部における飽和磁性密度が該周辺部よりも外側の領域と比べて高い、請求項1〜13のいずれかに記載のコイルモジュール。
  15. 非接触充電の電力送信に用いられる平面コイルと、フェライトシートからなる磁性シートと、放熱層とを備え、
    前記磁性シートと前記平面コイルとを直接積層されていること、及び
    前記放熱層の接着面によってアンテナ基板に固定されていることを特徴とする、アンテナモジュール。
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