JP2019102364A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉛蓄電池に対して電極板の積層方向に振動が加わることによる極柱の破損の発生を抑制し得る、鉛蓄電池を提供すること。【解決手段】 セル室を有し、上面が開口している電槽と、電極端子を有し、開口を閉じる蓋と、複数の電極板、及び、該複数の電極板のうち、同極性の電極板同士を連結するストラップを有し、セル室に収容された極板群と、蓋から電槽内に延び、ストラップを電極端子に電気的に接続する極柱と、を備え、複数の電極板の積層方向に振動させたときの極柱の共振周波数が38Hz以上である、鉛蓄電池。【選択図】図1

Description

本発明は鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は車両のエンジン始動用及びバックアップ電源用といった様々な用途に用いられている。特に車両のエンジン始動用鉛蓄電池は、エンジン始動用セルモータへの電力供給とともに、車両に搭載された各種電気及び電子機器へ電力を供給する。近年、環境保護及び燃費改善の取り組みとして、例えば、エンジンの動作時間を少なくするアイドリングストップ車(以下、「ISS車」という)、エンジンの動力によるオルタネータの発電を低減する発電制御車等のマイクロハイブリッド車への鉛蓄電池の応用が検討されている。
ところで、鉛蓄電池を車両に搭載して用いる場合、車両の振動に伴い、鉛蓄電池に強い振動が加わることがある。この場合、鉛蓄電池の構成物品の一つである極柱に直接応力が加わり、極柱が破損するおそれがある。これに対し、特許文献1は、鉛合金よりなる極柱の内部に、極柱母材よりも電気抵抗の低い筒状体を存在させることで、上記振動に伴う極柱の破損の発生を抑制することを提案している。
特開2009−252625号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、極柱の材料及び構成の変更を必要とするものであり、製造コストの上昇につながるため、極柱の構成を変更することなく、極柱の破損の発生を抑制し得る新たな技術の開発が求められる。また、本発明者らの検討の結果明らかになったことであるが、鉛蓄電池に対して電極板の積層方向に振動が加わった場合、極柱の破損が発生しやすくなり、特許文献1に開示されている技術では極柱の破損の発生を充分に抑制し得ない。
そこで、本発明は、鉛蓄電池に対して電極板の積層方向に振動が加わることによる極柱の破損の発生を抑制し得る、鉛蓄電池を提供することを目的とする。
本発明の一側面の鉛蓄電池は、セル室を有し、上面が開口している電槽と、電極端子を有し、開口を閉じる蓋と、複数の電極板、及び、該複数の電極板のうち、同極性の電極板同士を連結するストラップを有し、セル室に収容された極板群と、蓋から電槽内に延び、ストラップを電極端子に電気的に接続する極柱と、を備える。この鉛蓄電池を複数の電極板の積層方向に振動させたときの極柱の共振周波数は38Hz以上である。
上記鉛蓄電池によれば、鉛蓄電池に対して電極板の積層方向に振動が加わることによる極柱の破損の発生を抑制し得る。
上記鉛蓄電池において、複数の電極板の積層方向に1Gの加速度を加えて振動させたときの極柱の最大加速度は5.5G以下であってよい。この場合、極柱の破損の発生が更に抑制される傾向がある。
極板群は、隣り合う電極板間にシート状のスペーサを有していてよい。この場合、鉛蓄電池を電極板の積層方向に振動させたときの極柱の最大加速度を低減することができ、極柱の破損の発生が更に抑制される傾向がある。
本発明によれば、鉛蓄電池に対して電極板の積層方向に振動が加わることによる極柱の破損の発生を抑制し得る、鉛蓄電池が提供される。
図1は一実施形態に係る鉛蓄電池の全体構成及び内部構造を示す斜視図である。 図2は、図1の鉛蓄電池に用いられる電槽を示す斜視図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、第1のセル室に収容される極板群の一例を示す斜視図である。 図5は、第2のセル室に収容される極板群の一例を示す斜視図である。 図6は、電極板の正面図である。 図7は、図5の極板群を電極板の積層方向から視た正面図である。 図8は袋状のセパレータと、袋状のセパレータに収容される電極板とを示す図である。 図9(a)はセパレータの一例を示す図であり、図9(b)は図9(a)のIb−Ib線における断面図である。 図10はセパレータ、スペーサ及び電極板の配置の一例を示す断面図である。 図11(a)は極板群を電槽のセル室に収容する工程を示す図であり、図11(b)は極板群が電槽のセル室に収容された状態を示す図である。
<鉛蓄電池>
図1は、一実施形態の鉛蓄電池の全体構成を示す斜視図である。図1に示す鉛蓄電池1は液式鉛蓄電池である。図1に示すように、本実施形態に係る鉛蓄電池1は、上面が開口している電槽2と、電槽2の開口を閉じる蓋3と、電槽2に収容された極板群4及び希硫酸等の電解液(図示せず。)と、蓋3から電槽2内に延びる極柱5(正極柱及び負極柱5b)と、を備えている。
(蓋)
図1に示すように、蓋3は、電極端子6(正極端子6a及び負極端子6b)と、蓋3に設けられた注液口を閉塞する液口栓7と、を備えている。正極端子6aは正極柱(図示せず。)の一端に接続され、負極端子6bは、負極柱5bの一端に接続されている。蓋3は、例えば、ポリプロピレンで形成されている。
(電槽)
図2は、図1の鉛蓄電池に用いられる電槽を示す斜視図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図2及び図3に示すように、電槽2は直方体状を呈しており、長方形状の底面部と、底面部の長辺部に隣接する一対の長手側面部と、底面部の短辺部に隣接する一対の短手側面部とからなる。以下では、底面部の長辺部に沿う方向及び底面部の短辺部に沿う方向をそれぞれ電槽2の長手方向及び短手方向とする。電槽2は、例えばポリプロピレンで形成されている。
電槽2の内部は、5枚の隔壁21によって6区画に分割されており、電槽2の長手方向に沿って並ぶように第1〜第6のセル室22a〜22f(以下、場合により、「セル室22」と総称する。)が形成されている。セル室22は極板群4が挿入される空間である。極板群4は、電極板8の積層方向が電槽2の長手方向となるように、電槽2の各セル室22に収容されている。
図2及び図3に示すように、隔壁21の両側面と、電槽2の隔壁21と対向する一対の内壁面23とには、電槽2の高さ方向(開口面に垂直な方向)に延びる複数のリブ(リブ部)24が設けられていてよい。すなわち、隔壁21は、平坦部25と、平坦部25から隆起した電槽2の高さ方向に延びる複数のリブ24と、を有していてよい。リブ24は、セル室22に挿入された極板群を、電極板8の積層方向において適切に加圧(圧縮)する機能を有する。
各セル室22の幅X(電極板8の積層方向における長さ)は、リブ24の高さ等によって調整することができる。複数のセル室22の幅は同一でも異なっていてもよい。なお、本明細書において、セル室の幅Xは、隔壁21がリブ24を有しない場合、対向する隔壁21間の最短距離、又は、隔壁21と該隔壁21に対向する電槽2の内壁面23との間の最短距離(以下、「壁間距離Xa」という。)と定義される。隔壁21及び/又は電槽2の内壁面23がリブを有する場合、セル室の幅Xは、壁間距離Xaから、最も高いリブの高さHaを引いた値と定義される(図3参照。)。例えば、対向する2つの隔壁21のリブの高さHaが同一である場合、セル室の幅Xは、[壁間距離Xa]−(2×[リブの高さHa])となる。
(極板群)
極板群4は、単電池とも呼ばれており、起電力は2Vである。自動車用の電装品は、直流電圧12Vを昇圧又は降圧して駆動するため、6個の極板群4を直列に接続して、2V×6=12Vとしている。そのため、鉛蓄電池1を自動車用の電装品として用いる場合、セル室は6個必要となる。なお、鉛蓄電池1を他の用途で用いる場合は、セル室の数は6個に限定されるものではない。
図4は、第1のセル室22aに収容される第1の極板群4aを示す斜視図である。図5は、第2のセル室22bに収容される第2の極板群4bを示す斜視図である。以下では、図4及び図5を参照して、極板群4の構成について説明する。なお、図示はないが、第6のセル室22fに収容される第6の極板群は、第1の極板群4aと同様の構造を有している。また、第3〜第5のセル室22c,22d,22eに収容される第3〜第5の極板群は第2の極板群4bと同様の構成を有している。
図4及び図5に示すように、極板群4は、複数の電極板8(正極板8a及び負極板8b)の積層体であり、板状の正極(正極板)8aと、板状の負極(負極板)8bと、正極板8aと負極板8bとの間に配置されたセパレータ9及びスペーサ10と、を備えている。
極板群4は、正極板8a及び負極板8bが、セパレータ9及びスペーサ10を介して、電槽2の長手方向に交互に積層された構造を有している。すなわち、正極板8a及び負極板8bは、それらの主面が電槽2の開口面と垂直方向に広がるように配置されている。極板群4は、電極板8の積層方向から視て、電槽2の高さ方向が短手方向となり、電槽2の短手方向が長手方向となる、矩形状を呈している。電極板8も同様である。
電極板8(正極板8a及び負極板8b)は、電極活物質充填部11(正極活物質充填部11a及び負極活物質充填部11b)と、集電体12(正極集電体12a及び負極集電体12b)と、集電体の短手方向の一端から突出した耳部13(正極耳部13a及び負極耳部13b)と、を有している。電極活物質充填部11は電極活物質で構成されている。すなわち、電極活物質は、集電体12に保持されて電極活物質充填部11を構成している。集電体12は電極活物質への電流の導電路を構成している。なお、本明細書では、正極板から正極集電体を除いたものを「正極活物質」と称し、負極板から負極集電体を除いたものを「負極活物質」と称する。
集電体12及び耳部13は、例えば、鉛−カルシウム−錫合金、鉛−カルシウム合金及び鉛−アンチモン合金が挙げられる。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより耳部13が設けられた集電体12を得ることができる。
図4及び図5に示すように、極板群4は、同極性の電極板同士(負極板8b同士,正極板8a同士)を連結するストラップ14(正極側ストラップ14a,負極側ストラップ14b)を有する。具体的には、複数の正極板8aの耳部13a同士が、正極側ストラップ14aで集合溶接されており、複数の負極板8bの耳部13b同士が、負極側ストラップ14bで集合溶接されている。これにより、極板群4は、厚さ(電極板の積層方向の長さ)Y1を有している。正極側ストラップ14a及び負極側ストラップ14bの少なくとも一方は、セル間接続部15を有しており、該セル間接続部15を介して隣り合うセル室22に収容された極板群4における極性の異なるストラップ14(正極側ストラップ14a又は負極側ストラップ14b)に接続されている。図4に示す第1の極板群4aでは、正極側ストラップ14aにセル間接続部15が設けられ、負極側ストラップ14bが負極柱5bを介して負極端子6bに電気的に接続されている。また、図示はないが、第6の極板群では、負極側ストラップにセル間接続部が設けられ、正極側ストラップが正極柱を介して正極端子6aに電気的に接続されている。
ストラップ14は、その上面(耳部13と溶接された面とは反対側の面)において連結部材16の一端に溶接されている。連結部材16の他端は、極柱5の下端(電槽2側の端)に溶接され、ストラップ14と極柱5とを互いに電気的に接続している。連結部材16は、例えば、板状であり、鉛及び/又は鉛合金で構成されている。
図6は、電極板8の正面図である。なお、電極板の正面とは、電極板を、該電極板の積層方向から視た面である。図6に示すように、電極板8の耳部13が、電極板8の正面から視て電極板8の中央側に位置する。そのため、本実施形態の鉛蓄電池は、優れた充放電特性を示す傾向がある。
電極板8(集電体12)における耳部13は、図6に示す電極板8(集電体12)の長手方向の中央Cからの最短距離aが0mm以上となるように集電体12の一端から突出するように設けられていてよい。上記最短距離aは、充放電特性に優れる観点から、6mm以下、又は0mm以下であってよい。最短距離aは、集電体12の長手方向の中央であって、集電体12の短手方向の一端に位置する点Cから、耳部13の根元(耳部13と集電体12との接続部分)までの最短距離を測定することで得られる。
上述した極板群4の厚さY1は、特に限定されず、電極板8(負極板8b及び正極板8a)の厚さ、セパレータ9の厚さ、スペーサ10の厚さ、極板間距離等によって調整することができる。なお、本明細書において、極板群の厚さY1とは、極板群4に対して電槽2からの圧縮力が加わっていない状態での極板群の厚さを意味し、化成後の極板群の厚さを意味する。
極板群4の厚さY1の測定方法について図7を参照して具体的に説明する。図7は、極板群4を電極板8の積層方向から視た正面図である。極板群4の厚さは、極板群4の最も外側にある電極板8(図7においては負極板8b)の電極活物質充填部11(図7においては負極活物質充填部11b)と、該電極板が有する集電体の耳部側に位置するフレーム部分との境界より短手方向に±3mmの範囲rにおいて、極板群4の長手方向の中央P1で1点、中央より右側の任意の位置P2で1点、中央より左側の任意の位置P3で1点の計3点で測定した極板群4の厚さの平均値と定義される。ここで、図7のように、極板群4の最も外側にセパレータが配置された構成の場合、該セパレータのリブ91の高さは極板群4の厚さには含めない。すなわち、極板群4の最も外側にセパレータ9が配置された構成の場合、該セパレータ9におけるリブ91を支持する部分(ベース部)92の位置で極板群4の厚さを測定する。ただし、電槽2の隔壁51がリブ53を有しない場合等、極板群の最も外側に配置されたセパレータのリブ42が電槽2の隔壁51又は内壁面50に接触する場合には、当該リブ42の高さHを極板群の厚さに含めるものとする。化成後の鉛蓄電池における極板群4の厚さY1は、例えば、化成後の極板群4を取り出し1時間水洗をし、硫酸の取り除かれた極板群4を酸素の存在しない系において充分に乾燥させた後に測定することができる。
極板群4におけるセパレータ9を介して隣り合う負極板8bと正極板8aとの距離(極板間距離)は、浸透短絡を抑制できる観点から、好ましくは0.4mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上であり、更に好ましくは0.55mm以上である。極板間距離は、極柱の共振周波数を高周波数側にシフトさせることができると共に、最大加速度を低減することができ、極柱の破損の発生を更に抑制することができる観点から、好ましくは0.8mm以下であり、より好ましくは0.75mm以下であり、更に好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.65mm以下であり、特に好ましくは0.6mm以下である。これらの観点から、極板間距離は、好ましくは0.4〜0.8mmであり、より好ましくは0.4〜0.75mmであり、更に好ましくは0.5〜0.7mmであり、更により好ましくは0.55〜0.65mmであり、特に好ましくは0.55〜0.6mmである。なお、極板間距離は、極板群4に対して電槽2からの圧縮力が加わっていない状態での極板間距離を意味する。
電極板8とセパレータ9とが接している場合、及び、電極板8とスペーサ10とが接している場合には、例えば、極板群4から、すべてのセパレータ9及びスペーサ10を抜き取り、抜き取った全てのセパレータ9及びスペーサ10について、該セパレータ9及びスペーサ10の上端(短手方向における耳部側の端部)から下端(短手方向における耳部側とは反対側の端部)に向かって約8mmの箇所で厚さを測定し、セパレータ9についての測定値の平均値と、スペーサ10についての測定値の平均値との和を極板間距離とすることができる。セパレータ9がリブ91を有する場合、セパレータ9の厚さは、ベース部92の厚さとリブ91の高さの和である。例えば、セパレータ9の長手方向に複数本形成されたリブ91のうち、最も外側に配置された2本のリブ上及びそれらの中点に配置されたリブ上の計3点で測定した厚さの平均値をセパレータ9の厚さとする。セパレータ9がリブ91を有しない場合、セパレータ9の長手方向の中央で1点、中央より右側の任意の位置で1点、中央より左側の任意の位置で1点の計3点で測定した厚さの平均値をセパレータ9の厚さとする。なお、セパレータ9が袋状である場合、セパレータ9を展開して厚さを測定する。また、化成後の鉛蓄電池1における、極板群4に圧縮力が加わっていない状態での極板間距離は、化成後の鉛蓄電池1より極板群4を取り出し1時間水洗をし、電解液(例えば硫酸)の取り除かれた極板群4を酸素の存在しない系において充分に乾燥させた後に、上記方法によって測定することができる。
本実施形態に係る鉛蓄電池1において、電槽2におけるセル室22の幅X(単位:mm)と極板群4の厚さY1(単位:mm)の差(クリアランス:X−Y1)は、1.2mm未満であってよい。クリアランス(X−Y1)を1.2mm未満とすることで、極柱の共振周波数を高周波数側にシフトさせることができると共に、最大加速度を低減することができ、極柱の破損の発生を抑制することができる。上記効果が顕著となる観点から、クリアランス(X−Y1)は、好ましくは0.9mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更に好ましくは0.6mm以下であり、更により好ましくは0.4mm以下であり、特に好ましくは0mm以下であり、特により好ましくは0mm未満であり、極めて好ましくは−0.4mm以下である。クリアランス(X−Y1)は、短絡を抑制できる観点から、−1.0mm以上、−0.4mm以上、0mm以上、又は0.4mm以上であってよい。これらの観点から、クリアランス(X−Y1)は、−1.0mm以上1.2mm未満、−1.0〜0.9mm、−1.0〜0.7mm、−1.0〜0.6mm、−1.0〜0.4mm、−1.0〜0mm、−1.0mm以上0mm未満、−1.0〜−0.4mm、−0.4mm以上1.2mm未満、−0.4〜0.9mm、−0.4〜0.7mm、−0.4〜0.6mm、−0.4〜0.4mm、−0.4〜0mm、−0.4mm以上0mm未満、0mm以上1.2mm未満、0〜0.9mm、0〜0.7mm、0〜0.6mm、0〜0.4mm、0.4mm以上1.2mm未満、0.4〜0.9mm、0.4〜0.7mm又は0.4〜0.6mmであってよい。
極板群4は、クリアランス(X−Y1)を1.2未満とすること等により、極板群4をセル室に挿入する際に電槽2の開口に垂直な方向に1.0N以上の加圧が必要となるように構成されていてよい。この場合、極柱の共振周波数を高周波数側にシフトさせることができると共に、最大加速度を低減することができ、極柱の破損の発生を抑制することができる。極板群4は、極柱の破損の発生を抑制する観点では、極板群4をセル室に挿入する際に電槽2の開口に垂直な方向に5.0N以上又は11.0N以上の加圧が必要となるように構成されていてよい。なお、上記セル室22に挿入する前の極板群4は未化成の極板群である。
次に、極板群4を構成するセパレータ9及びスペーサ10について説明する。
[セパレータ]
本実施形態に係るセパレータ9は、例えば、ガラス、パルプ、及び合成樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含んでいてよい。また、本実施形態に係るセパレータ9は、可撓性を有するセパレータであってよい。セパレータ9の中でも、短絡をより抑制できる観点及び可撓性を有することにより極板群4の圧縮が容易である観点から、合成樹脂を用いることが好ましい。更に、合成樹脂の中でも特に、ポリオレフィン(例えばポリエチレン)が好ましい。以下、本実施形態のセパレータ9について図8及び図9を用いて説明する。
図8は、本実施形態のセパレータ9と、本実施形態のセパレータ9に収容される電極板8(例えば負極板8b)とを示す図面である。図8に示すように、本実施形態では、セパレータ9が袋状をなしており、負極板8bが袋状のセパレータ9に収容されている。
図9(a)は、袋状のセパレータ9の作製に用いるセパレータ90を示す正面図であり、図9(b)は、セパレータ90の断面図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、セパレータ90は、長尺のシート状に形成されている。セパレータ90は、平板状のベース部92と、凸状(例えば線状)の複数のリブ91と、ミニリブ93とを備えている。ベース部92は、リブ91及びミニリブ93を支持している。セパレータ90がリブ91を有する場合、極板間距離をより厳密に設定することができるとともに、電極板の表面と電解液との接触性を向上させることができる。リブ91は、セパレータ90の幅方向における中央において、セパレータ90の長手方向に延びるように複数(多数本)形成されている。複数のリブ91は、セパレータ90の一方面90aにおいて互いに略平行に配置されている。リブ91の間隔は、例えば3〜15mmである。リブ91の高さ方向の一端はベース部92に一体化している。セパレータ90の他方面90bにはリブは配置されておらず、セパレータ90の他方面90bは平坦面となっている。
ミニリブ93は、セパレータ90の幅方向における両側において、セパレータ90の長手方向に延びるように複数(多数本)形成されている。ミニリブ93は、鉛蓄電池1が横方向(電極板8の積層方向、電槽2の長手方向)に振動した際に、電極の角がセパレータを突き破って短絡することを防止するためにセパレータ強度を向上させる機能を有する。なお、ミニリブ93の高さ、幅及び間隔は、何れもリブ91よりも小さいことが好ましい。また、ミニリブ93の断面形状は、リブ91と同一であってもよく、異なっていてもよい。ミニリブ93の断面形状は、半円型であることが好ましい。また、セパレータ90においてミニリブ93は形成されていなくてもよい。
ベース部92の厚さTは、正極板と負極板との短絡を防止する観点、並びに、優れた充電受入性及び放電特性を得る観点から、0.25mm以下、0.2mm以下又は0.15mm以下であってよい。ベース部92の厚さTは、クリアランス(X−Y1)を上述した範囲内に調整しやすい観点及び短絡の抑制効果に優れる観点から、0.05mm以上又は0.1mm以上とすることができる。
リブ91の高さHは、正極板によるベース部の酸化劣化を抑制する観点及び優れた充電受入性を得る観点から、1.25mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.75mm以下が更に好ましい。リブ91の高さHは、クリアランス(X−Y1)を上述した範囲内に調整しやすい観点及び正極での酸化劣化を抑制する観点から、例えば、0.3mm以上であり、0.4mm以上又は0.5mm以上であってもよい。
リブ91が設けられた部分のセパレータ90の厚さ(ベース部92の厚さHとリブ91の高さTの合計)は、例えば0.4〜0.75mmであり、0.4〜0.7mm、0.4〜0.65mm、0.4〜0.6mm、0.5〜0.75mm、0.55〜0.75mm、0.6〜0.75mm、又は0.6〜0.7mmであってもよい。
ベース部92の厚さTに対するリブ91の高さHの比率H/Tは、優れた充電受入性を得る観点及びセパレータの耐酸化性に優れる観点から、2以上、2.4以上、又は3以上であってよい。比率H/Tが2以上であると、電極板8(例えば正極板8a)と接触しない部分を充分に確保できるため、セパレータの耐酸化性が向上すると推察される。比率H/Tは、優れた充電受入性を得る観点、リブの形状保持性に優れる観点、及び、短絡の抑制効果に優れる観点から、6以下、5以下、4.5以下、又は4以下であってよい。比率H/Tが6以下であると、正極板8aと負極板8bとの間の距離が充分であることから短絡が抑制されると推察される。また、比率H/Tが6以下であると、鉛蓄電池1を組み立てた際にリブが破損することなく、充電受入性等の電池特性が良好に維持されると推察される。
図9(b)に示すリブ91の上底幅Bは、リブの形状保持性及び耐酸化性に優れる観点から、0.1mm以上又は0.2mm以上であってよく、また、2mm以下、1mm以下、又は0.8mm以下であってよい。リブ91の上底幅Bは、例えば、0.2〜0.8mm、0.1〜2mm、0.2〜1mm、又は0.2〜0.8mmであってよい。
図9(b)に示すリブ91の下底幅Aは、リブの形状保持性に優れる観点から、0.2mm以上、0.3mm以上、又は0.4mm以上であってよく、また、4mm以下、2mm以下、又は1mm以下であってよい。リブ91の下底幅Aは、例えば、0.2〜4mm、0.3〜2mm、又は0.4〜1mmであってよい。
上底幅Bと下底幅Aの比率(B/A)は、リブの形状保持性に優れる観点から、0.1以上、0.2以上、又は0.3以上であってよく、また、1以下、0.8以下、又は0.6以下であってよい。比率(B/A)は、例えば、0.1〜1、0.2〜0.8、又は0.3〜0.6であってよい。
セパレータ90を用いて袋状のセパレータ9を作製する方法の一例を以下に示す。まず、上述したセパレータ90を適切な長さに切断し、該セパレータ90のリブ91を設けていない面上の長手方向のおおよそ中央においてU字状又はV字状に折り曲げ、積層シートを得る。続いて、積層シートの両側部をメカニカルシールしメカニカルシール部94を形成する。これにより、図8に示す袋状のセパレータ9が得られる。なお、メカニカルシールにかえて、圧着又は熱溶着を行ってもよい。
得られた袋状のセパレータ9内に電極板8を配置する方法は、上記積層シートの両側部をメカニカルシール、圧着又は熱溶着する前に、電極板を配置する方法であってもよい。生産性に優れる観点から、袋状のセパレータ9を先に作製し、その後、袋状のセパレータ9内に電極板を配置することが好ましい。
[スペーサ]
スペーサ10は、正極板8aとセパレータ9との間に設けられている。本実施形態では、極板群4がスペーサ10を備えるため、鉛蓄電池を電極板8の積層方向に振動させたときの極柱の最大加速度を低減することができ、極柱の破損の発生を更に抑制することができる。図10は、極板群4における袋状のセパレータ9、スペーサ10及び電極板8の配置を示す断面図である。図10に示すように、極板群4において、リブ91の高さ方向の他端は、スペーサ10に接している。ベース部92は、リブ91の高さ方向においてスペーサ10と対向している。セパレータ9の他方面90bは、負極板8bと対向又は接している。
スペーサ10は、例えば、シート状に形成されている。スペーサ10は、例えば多孔性の膜(多孔膜)であり、例えば不織布である。スペーサ10の構成材料は、電解液に対して耐性を有する材料であれば、特に制限されるものではない。スペーサ10の構成材料としては、具体的には、有機繊維、無機繊維、パルプ、無機酸化物粉末等が挙げられる。スペーサ10の構成材料として、無機繊維及びパルプを含む混合繊維を用いてもよく、有機繊維及び無機繊維を含む有機無機混合繊維を用いてもよい。有機繊維としては、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等)、ポリエチレンテレフタレート繊維などが挙げられる。無機繊維としては、ガラス繊維等が挙げられる。極柱の最大加速度を低減し、極柱の破損の発生を更に抑制する観点から、スペーサ10は、好ましくは、ガラス繊維をフェルト状に加工することにより形成されるガラスマットである。ガラス繊維としては、例えば、チョップドストランド、ミルドファイバー等が挙げられる。なお、ガラスマットはガラス繊維のみからなっていてよく、ガラス繊維以外の他の材料(例えば上述の有機繊維等)を含んでいてもよい。
スペーサ10の厚さは、極柱への応力を更に低減する観点から、0.1mm以上、0.5mm以上、又は1.0mm以上であってよい。スペーサ10の厚さは、優れた充放電特性が得られやすい観点から、2.0mm以下、1.0mm以下であってよく、0.5mm以下であってよい。
(極柱)
極柱の組成は特に限定されず、例えば鉛、Sb、As等を含む合金(例えば鉛合金)などが挙げられる。極柱の形状は例えば円柱状であってよく、円錐状であってもよい。
極柱5の高さ(極柱5が延びる方向の長さ)は、極柱の破損の発生が更に抑制される観点から、100mm以下、90mm以下、又は70mm以下であってよい。極柱5の高さは、極板群から端子6a、6bに接続する観点から、50mm以上、60mm以上、又は80mm以上であってよい。
以上の構成を備える鉛蓄電池1において、電極板8の積層方向(極板群4の厚さ方向)に振動させたときの極柱5の共振周波数は38Hz以上である。そのため、本実施形態の鉛蓄電池1によれば、鉛蓄電池に対して電極板8の積層方向(極板群4の厚さ方向)に振動が加わることによる極柱の破損の発生を抑制し得る。本実施形態では、クリアランス(X−Y1)等を調整することで、電極板8の積層方向(極板群4の厚さ方向)に振動させたときの極柱5の共振周波数を38Hz以上とすることができる。極柱5の共振周波数は、極柱5の破損の発生を更に抑制する観点から、好ましくは40Hz以上である。極柱5の共振周波数は、共振が収束しやすく、極柱の破損が起こり難い観点から、75Hz以下又は60Hz以下であってよい。これらの観点から、38〜75Hz、38〜60Hz、40〜75Hz、又は40〜60Hzであってよい。
また、本実施形態の鉛蓄電池1において、電極板8の積層方向(極板群4の厚さ方向)に1Gの加速度を加えて振動させたときの極柱5の最大加速度は5.5G以下である。本実施形態では、クリアランス(X−Y1)等を調整することで、上記極柱5の最大加速度を5.5G以下とすることができる。極柱の破損の発生を更に抑制する観点では、極柱5の最大加速度は4.1G以下であってよく、3.6G以下であってよい。外部振動及び、収納された極板群が共振する性質を考慮した場合、極柱5の最大加速度は、例えば、1.0G以上、3.6G以上、又は4.1G以上である。これらの観点から、極柱5の最大加速度は、1.0〜5.5G、1.0〜4.1G、1.0〜3.6G、3.6〜4.1G、3.6〜5.5G又は4.1〜5.5Gであってよい。
以上説明した本実施形態の鉛蓄電池の製造方法は、例えば、上述した電槽2、極板群4(未化成の極板群)、蓋3、極柱5、連結部材16を準備する工程と、電槽2のセル室22に極板群4を収容する工程と、極柱5(正極柱及び負極柱5b)を介して極板群4のストラップ14(正極側ストラップ14a及び負極側ストラップ14b)を電極端子6(正極端子6a及び負極端子6b)に電気的に接続する工程と、蓋3で電槽2の開口を閉じる工程と、電槽2内に電解液を供給する工程と、電解液を供給した後の未化成電池を化成する工程と、を備える。
極板群4を準備する工程は、例えば、未化成の電極板(未化成の正極板及び未化成の負極板)を得る電極板製造工程と、電極板製造工程で得られた未化成の負極板を内部に配置した袋状のセパレータ9、スペーサ10及び未化成の正極板をこの順に積層させ、同極性の電極板の耳部13をストラップ14で連結(溶接等)させて極板群4を得る工程と、を有していてよい。電極板製造工程では、例えば、電極活物質ペースト(正極活物質ペースト及び負極活物質ペースト)を集電体12(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極板を得る。
電極活物質ペーストは、例えば、電極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、他の添加剤を更に含有していてもよい。電極活物質ペーストは、例えば、電極活物質の原料に添加剤(補強用短繊維等)及び水を加えた後、希硫酸を加え、混練することで得られる。
電槽2のセル室22に極板群4を収容する工程は、図11(a)及び図11(b)に示すように、セル室22に極板群4を収容する際、極板群4に対して電槽2の開口に垂直な方向に1.0N以上の圧力を加えて極板群4をセル室22内に押し込む工程であることが好ましい。これにより、電極板8の積層方向の圧縮力を電槽2(例えば隔壁21)から極板群4に付与しながら極板群4を電槽2内に収容することができる。
図11(a)及び図11(b)に示すように、セル室22の幅(電極板8の積層方向の長さ)X(単位:mm)と極板群4(未化成の極板群)の厚さY2(単位:mm)との差であるクリアランス(X−Y2)は、極柱の共振周波数を高周波数側にシフトさせることができると共に、最大加速度を低減することができ、極柱の破損の発生を抑制することができる観点から、1.2mm未満であってよい。同様の観点から、クリアランス(X−Y2)は、好ましくは0.9mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更に好ましくは0.6mm以下であり、更により好ましくは0.4mm以下であり、特に好ましくは0mm以下であり、特により好ましくは0mm未満であり、極めて好ましくは−0.4mm以下である。クリアランス(X−Y2)は、短絡を抑制できる観点から、−1.0mm以上、−0.4mm以上、0mm以上、又は0.4mm以上であってよい。これらの観点から、クリアランス(X−Y2)は、−1.0mm以上1.2mm未満、−1.0〜0.9mm、−1.0〜0.7mm、−1.0〜0.6mm、−1.0〜0.4mm、−1.0〜0mm、−1.0mm以上0mm未満、−1.0〜−0.4mm、−0.4mm以上1.2mm未満、−0.4〜0.9mm、−0.4〜0.7mm、−0.4〜0.6mm、−0.4〜0.4mm、−0.4〜0mm、−0.4mm以上0mm未満、0mm以上1.2mm未満、0〜0.9mm、0〜0.7mm、0〜0.6mm、0〜0.4mm、0.4mm以上1.2mm未満、0.4〜0.9mm、0.4〜0.7mm又は0.4〜0.6mmであってよい。未化成の極板群の厚さY2の測定方法は、化成後の極板群の厚さY1の測定方法と同様である。
なお、本発明者らの知見によれば、クリアランス(X−Y2)が1.2mm以上である場合には極板群4を押し込むことなく、極板群4を自重により電槽2のセル室22内に落とし込むことができるが、クリアランス(X−Y2)が1.2mmより小さい場合には、極板群4に対して圧力Fを加えて、電槽2のセル室22に対して極板群4を押し込む必要がある。クリアランス(X−Y2)が正の値である場合にも、極板群4を電槽2のセル室22に対して押し込む必要がある理由は、明らかではないが、図11(a)に示すように、極板群4が下方に広がった構造を有しているためであると推察される。
極柱5を介して極板群4のストラップ14を電極端子6に電気的に接続する工程では、極柱5と、該極柱5が接続される電極端子6と同極性の耳部を連結するストラップ14と、を連結部材16を介して電気的に接続する。連結部材16と極柱5、及び、連結部材16とストラップ14とは、溶接(例えば貫通溶接)によって接合してよい。
電槽2内に電解液を供給する工程では、上記電槽2のセル室22に極板群4を収容する工程により得られた未化成電池の電槽2内に電解液を供給(注入)する。
未化成電池を化成する工程は、例えば、電解液を供給した後、直流電流を通電して電槽化成する工程であってよい。化成後は、電解液の比重を適切な比重に調整してよい。これにより、化成された鉛蓄電池(液式鉛蓄電池)1が得られる。
化成条件及び硫酸の比重は電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、未化成電池を得た後に実施されることに限られず、電極製造工程における熟成及び乾燥後に実施されてもよい(タンク化成)。
以上、本実施形態の鉛蓄電池及びその製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態に係る鉛蓄電池は液式鉛蓄電池であるが、鉛蓄電池は、例えば、制御弁式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等であってもよい。
また、図4及び図5に示す極板群4における正極板8a及び負極板8bの枚数は、正極板6枚に対し負極板7枚であるが、正極板及び負極板の枚数は、例えば、正極板7枚に対し負極板8枚であってもよく、正極板8枚に対し負極板8枚であってもよく、正極板8枚に対し負極板9枚であってもよい。正極板及び負極板の枚数が増えるほど、サイクル寿命特性(例えばISSサイクル性能)が向上する傾向がある。
また、図4及び図5に示すように、上記実施形態では負極板8bが袋状のセパレータ9に収容されているが、正極板8aを袋状のセパレータ9に収容してもよい。ただし、袋状のセパレータ9を正極板8aに適用した場合、正極集電体12aの伸びにより正極板8aがセパレータ9を貫通する可能性があることから、負極板8bが袋状のセパレータ9に収容されていることが好ましい。また、上記実施形態のセパレータ9は凸状のリブ91,93を有するが、セパレータ9は凸状のリブ91,93を有しなくてもよい。
また、図4及び図5に示すように、上記実施形態では、スペーサ10が正極板8aとセパレータ9との間に配置されているが、スペーサ10は負極板8bとセパレータ9との間に配置されていてもよい。また、スペーサ10の枚数は2枚以上であってよく、0枚であってもよい。セパレータ9と正極板8aとの間にスペーサ10を有しない場合、リブ91の高さ方向の他端が正極板8aに接し、セパレータ9の他方面90bが負極板8bと対向又は接していてよい。また、リブ91の高さ方向の他端が負極板8bに接し、セパレータ9の他方面90bがスペーサ10又は正極板8aと対向又は接していてよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
[電槽の準備]
上面が開放された箱体からなり、内部が隔壁によって6つのセル室に区切られた電槽を準備した。各セル室の幅X([壁間距離Xa]−2×[リブの高さHa])は36.6mmであった。なお、本実施例では、隔壁及び隔壁と対向する電槽の内壁面にはリブは設けられておらず、電槽に収容された極板群の最も外側に位置する負極板の負極活物質充填部と、該負極板が有する集電体の耳部側に位置するフレーム部分との境界より±3mmの高さにおいてセル室の幅Xを測定した。
[袋状のセパレータの作製]
微多孔シートからなり、一方面に複数の線状のリブを有する所定寸法長さのセパレータ(ポリエチレン製、ベース部の厚さT:0.25mm、リブの高さH:0.50mm)を準備し、該セパレータのリブを設けていない面の長手方向のおおよそ中央においてU字状に折り曲げ、積層シートを得た。続いて、積層シートの両側部をメカニカルシールし、袋状のセパレータAを得た。リブの高さが異なること以外は同一のセパレータB(ベース部の厚さT:0.25mm、リブの高さH:0.55mm)、セパレータC(ベース部の厚さT:0.25mm、リブの高さH:0.65mm)及びセパレータD(ベース部の厚さT:0.20mm、リブの高さH:0.35mm)を準備し、同様にして袋状のセパレータB、C及びDを得た。
(実施例1)
[集電体の作製]
鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことによりエキスパンド格子体(集電体)を作製した。この際、集電体の長手方向の中央からの最短距離aが6.0mmとなるように集電体の一端に耳部を設けた。
[電極極板の作製]
鉛粉及び鉛丹(Pb)と、添加剤と、水とを混合して混練し、希硫酸を少量ずつ添加しながら更に混練して、正極活物質ペーストを作製した。同様に、鉛粉と、添加剤と、水とを混合して混練し、希硫酸を少量ずつ添加しながら更に混練して、負極活物質ペーストを作製した。次いで、上記集電体にこの正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストをそれぞれ充填し、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板及び未化成の負極板を得た。
[極板群の作製]
袋状のセパレータA内に未化成の負極板を配置した。袋状のセパレータAに挿入された未化成の負極板8枚と未化成の正極板7枚と、を交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群の厚さY2は、35.9mmであった。
[電池の組み立て]
電極群を電槽のセル室に収容するととともに、電極板のストラップと極柱とを連結部材を介して接続し、12V電池(JIS D 5301規定のD23サイズに相当)を組み立てた。極板群を電槽のセル室に収容する際には、極板群に対して電槽の開口に垂直な方向に6.5Nの圧力Fを加えて極板群を電槽のセル室に押し込んだ。極柱としては、鉛合金製の極柱を用いた。
この電池に電解液(希硫酸)を注入し、その後、35℃の水槽中、通電電流18.6Aで18時間の条件で化成して液式鉛蓄電池を得た。化成後の極板群の厚さY1は35.9mmであった。本実施例では、化成後の極板群の厚さY1は、化成後の電池より極板群を取り出し1時間水洗をし、電解液の取り除かれた極板群を酸素の存在しない系において十分に乾燥させてから測定した。
[共振周波数及び最大加速度の測定]
電池の組み立て工程で得られた電解液を注入する前の12V電池(JIS D 5301規定のD23サイズに相当)に対し、電極板の積層方向(極板群の厚さ方向)に振動を加えて、極柱の共振周波数及び最大加速度を測定した。測定は、ランダム振動制御システム(i230/SA2M)を用いて行い、10〜100Hzの周波数帯で加速度1Gで振動させた際に加速度が最大となる周波数を共振周波数とした。共振周波数は39.5Hzであり、最大加速度は5.5Gであった。
(実施例2)
セパレータとして、袋状のセパレータBを用い、化成前の極板群の厚さY2及び化成後の極板群の厚さY1が36.7mmとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製し、実施例1と同様にして共振周波数及び最大加速度を測定した。極板群をセル室に収容する際に極板群に対して電槽の開口に垂直な方向に加えた圧力Fは9.5Nであった。共振周波数は45.5Hzであり、最大加速度は4.1Gであった。
(実施例3)
正極板及び負極板の厚さを変更し、セパレータとして、袋状のセパレータCを用い、化成前の極板群の厚さY2及び化成後の極板群の厚さY1が37.5mmとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製し、実施例1と同様にして共振周波数及び最大加速度を測定した。極板群をセル室に収容する際に極板群に対して電槽の開口に垂直な方向に加えた圧力Fは11.0Nよりも大きかった。共振周波数は51.0Hzであり、最大加速度は5.0Gであった。
(実施例4)
正極板及び負極板の厚さを変更し、未化成の負極板を入れた袋状のセパレータと未化成の正極板との間にスペーサとしてガラスマット(商品名:SSP2、日本板硝子株式会社製、厚さ:0.20mm)を配置し、セパレータとして、袋状のセパレータDを用い、化成前の極板群の厚さY2及び化成後の極板群の厚さY1が35.9mmとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製し、実施例1と同様にして共振周波数及び最大加速度を測定した。極板群をセル室に収容する際に極板群に対して電槽の開口に垂直な方向に加えた圧力Fは6.5Nであった。共振周波数は39.5Hzであり、最大加速度は5.5Gであった。
(比較例1)
正極板及び負極板の厚さを変更し、セパレータとして、袋状のセパレータBを用い、化成前の極板群の厚さY2及び化成後の極板群の厚さY1が35.0mmとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製し、実施例1と同様にして共振周波数及び最大加速度を測定した。極板群をセル室に収容する際に極板群に対して電槽の開口に垂直な方向に加えた圧力Fは3.5Nであった。共振周波数は37.5Hzであり、最大加速度は3.6Gであった。
<振動試験>
実施例1〜4及び比較例1の鉛蓄電池に対し、振動試験を行った。具体的には、以下の条件で鉛蓄電池を電極板の積層方向(極板群の厚さ方向)に振動させた。なお、振動試験は振動数を変更して複数回行った。
[条件]
試験装置:ランダム振動制御システム(i230/SA2M)(商品名、IMV株式会社製)
振動数:24.0Hz、37.5Hz、39.5Hz、45.5Hz、51.0Hz
各振動数での振動時間:1200分
試験後の鉛蓄電池の蓋を取り外し、目視により試験後の鉛蓄電池における極柱の破損の発生の有無を確認した。いずれの振動数でも極柱に破損が発生しなかった場合をAとし、いずれかの振動数で極柱に亀裂が発生した場合をB、いずれかの振動数で極柱が破断した場合をCとした。結果を表1に示す。
Figure 2019102364
1…鉛蓄電池、2…電槽、3…蓋、4…極板群、5…極柱、6…電極端子、7…液口栓、8…電極板、9,90…セパレータ、10…スペーサ、11…電極活物質充填部、12…集電体、13…耳部、14…ストラップ、15…セル間接続部、16…連結部材、22…セル室、X…セル室の幅、Y1,Y2…極板群の厚さ。

Claims (3)

  1. セル室を有し、上面が開口している電槽と、
    電極端子を有し、前記開口を閉じる蓋と、
    複数の電極板、及び、該複数の電極板のうち、同極性の電極板同士を連結するストラップを有し、前記セル室に収容された極板群と、
    前記蓋から前記電槽内に延び、前記ストラップを前記電極端子に電気的に接続する極柱と、を備え、
    前記複数の電極板の積層方向に振動させたときの前記極柱の共振周波数が38Hz以上である、鉛蓄電池。
  2. 前記複数の電極板の積層方向に1Gの加速度を加えて振動させたときの前記極柱の最大加速度が5.5G以下である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記極板群が、隣り合う電極板間にシート状のスペーサを有する、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。
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