JP2019101120A - コンタクトレンズ用溶液 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、これら複雑に入り組んだ構造部分には溶液が溜まりやすく、溶液が溜まった箇所では細菌が発生する危険性が高くなっている。特に、コンタクトレンズケースの洗浄を怠っているユーザーのケース内では、溶液が溜まった部分において細菌が繁殖する可能性がより高まっている。
一方、内壁にリブや溝を設けたコンタクトレンズケースを用いた場合であっても細菌の付着等を抑制することができるコンタクトレンズケア用品も検討されているが、実用的な製品は未だ開発されていない。
すなわち、本発明は次の[1]〜[4]である。
(前記一般式(1a)及び一般式(1b)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数3〜18の炭化水素基を示す。前記共重合体(P)中における構成単位(1a)は10〜90モル%であり、構成単位(1b)は90〜10モル%である。)
[2]前記多糖類及びその誘導体がセルロース誘導体である、上記[1]に記載のコンタクトレンズ用溶液。
[3]前記増粘剤(Q)が多糖類及びその誘導体の2種以上を併用したものである、上記[1]又は[2]に記載のコンタクトレンズ用溶液。
[4]コンタクトレンズを収容するためのレンズ収容部を有するコンタクトレンズケースの前記レンズ収容部に、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のコンタクトレンズ用溶液を注入したコンタクトレンズ保存用具であり、前記収容部の少なくとも一部が多面体で構成されたコンタクトレンズ保存用具。
[コンタクトレンズ用溶液]
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、下記一般式(1a)及び一般式(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が10,000〜5,000,000である共重合体(P)、ビニル合成高分子、多糖類及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の増粘剤(Q)を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.5w/v%、前記増粘剤(Q)の濃度が0.001〜10w/v%であるコンタクトレンズ用溶液である。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、濃度や重量平均分子量の範囲)を段階的に記載した場合、各下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは90以下」という記載において、「好ましい下限値:10」と「より好ましい上限値:90」とを組み合わせて、「10以上90以下」とすることができる。また、例えば、「好ましくは10〜100、より好ましくは20〜90」という記載においても、同様に「10〜90」とすることができる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いられる共重合体(P)は、下記一般式(1a)及び一般式(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体である。
本発明で用いられる共重合体(P)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、すなわち、ホスホリルコリン構造を有する構成単位(以下、「PC構成単位」ともいう。)を有する。共重合体(P)がPC構成単位を有することにより、共重合体(P)に細菌付着抑制効果が付与され、コンタクトレンズケース内壁表面への細菌付着抑制効果を発現する。
(一般式(1a)中、R1は水素原子又はメチル基を示す。)
(一般式(1a’)中、R1は一般式(1a)中のR1と同義である。)
前述の観点から、共重合体(P)中のPC構成単位の含有量は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは35モル%以上、より更に好ましくは45モル%以上、より更に好ましくは55モル%以上、より更に好ましくは65モル%以上、より更に好ましくは70モル%以上であり、そして、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
本発明で用いられる共重合体(P)は、下記一般式(1b)で表される構成単位(以下、「疎水性構成単位」ともいう)を有する。共重合体(P)が疎水性構成単位を有することにより共重合体へ親油性を付与することができ、共重合体(P)のコンタクトレンズケース内壁表面への密着性を高め、コンタクトレンズケース内壁への細菌付着抑制効果を向上させることができる。
なお、「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
前述の観点から、共重合体(P)中の疎水性構成単位の含有量は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは75モル%以下、より更に好ましくは70モル%以下、より更に好ましくは65モル%以下、より更に好ましくは55モル%以下、より更に好ましくは45モル%以下、より更に好ましくは35モル%以下である。
共重合体(P)における各構成単位を前記組合せとすると、コンタクトレンズケース内壁表面への細菌付着抑制効果を向上させることができる。
共重合体(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記PC構成単位、及び疎水性構成単位以外のその他の構成単位を含んでいてもよいが、前記PC構成単位及び疎水性構成単位のみからなることが好ましい。
前記その他の構成単位は、例えば、前記以外の直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレート、酸基含有単量体、窒素含有基含有単量体、アミノ基含有単量体、及びカチオン性基含有単量体から選ばれる重合性単量体が挙げられる。
環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、及びクロロメチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、及びブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等が挙げられる。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びスチレンスルホン酸(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸等が挙げられる。
窒素含有基含有単量体としては、例えば、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
カチオン性基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
共重合体(P)の重量平均分子量は10,000〜5,000,000であり、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、更に好ましくは50,000以上、より更に好ましくは80,000以上、より更に好ましくは100,000以上、より更に好ましくは110,000以上、より更に好ましくは130,000以上、より更に好ましくは200,000以上、より更に好ましくは400,000以上、より更に好ましくは500,000以上であり、そして、好ましくは4,000,000以下、より好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,500,000以下、より更に好ましくは2,000,000以下、より更に好ましくは1,500,000以下、より更に好ましくは1,000,000以下、より更に好ましくは800,000以下である。
重量平均分子量が10,000未満であると親油性が低下し、共重合体(P)のコンタクトレンズケース内壁表面への吸着力が十分でなく、細菌付着抑制効果を見込めないおそれがある。重量平均分子量が5,000,000を超える場合は、粘度が増大して取扱いが困難となるおそれがある。
共重合体(P)は、例えば、特開平11−035605号公報、及び特開2004−196868号公報に記載されている方法に従って前記単量体の共重合を行うことにより調製することができ、通常はランダム共重合体であるが、各構成単位が規則的に配列された交互共重合体やブロック共重合体であってもよく、一部にグラフト構造を有してもよい。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロピル)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
直鎖又は環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブ、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、水及びアルコールの混合溶媒が好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用溶液中の共重合体(P)の濃度は0.001w/v%以上であり、好ましくは0.002w/v%以上、より好ましくは0.003w/v%以上、更に好ましくは0.005w/v%以上であり、そして、5.5w/v%以下であり、好ましくは5.0w/v%以下、より更に好ましくは4.0w/v%以下、更に好ましくは3.5w/v%以下、より更に好ましくは3.0w/v%以下、より更に好ましくは1.0w/v%以下、より更に好ましくは0.5w/v%以下である。共重合体(P)の濃度が0.001w/v%未満であると、コンタクトレンズケース内壁表面への十分な吸着効果が得られず、コンタクトレンズケース内壁への細菌付着抑制効果を得られない。一方、5.5w/v%を超えると、配合量に見合った効果が得られないために経済的に不利である。
なお、本発明において、「w/v%」は、100mlの溶液中のある成分の質量をグラム(g)で表したものである。例えば、「本発明の溶液が1.0w/v%の共重合体(P)を含有する」とは、100mlの溶液が1.0gの共重合体(P)を含有していることを意味する。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、増粘剤を含むコンタクトレンズ用溶液であっても、眼感染症を引き起こす細菌等がコンタクトレンズケース内壁へ付着しにくく、また、コンタクトレンズケース内におけるバイオフィルムの形成を抑制することができるものである。
本発明に用いる増粘剤(Q)としては、ビニル合成高分子、多糖類及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記ビニル高分子の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは15,000〜300,000、更に好ましくは20,000〜180,000、より更に好ましくは20,000〜150,000である。重量平均分子量が10,000未満であるとコンタクトレンズの装用感が低下する。一方、重量平均分子量が500,000を超える場合は、粘度が増大して取扱いが困難となるおそれがある。
ビニル高分子の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による値をいう。具体的には、溶離液としてクロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メタノール及びこれらの溶媒を組み合わせた液のいずれかを用いて測定したポリエチレングリコール換算の分子量をいう。
増粘剤(Q)は、細菌等のコンタクトレンズケース内壁へ付着を抑制する観点、コンタクトレンズケース内におけるバイオフィルムの形成を抑制する観点から、前記増粘剤を2種以上用いてもよく、ビニル高分子と多糖類及びその誘導体との併用、多糖類及びその誘導体の2種以上の併用が好ましく、多糖類及びその誘導体の2種以上の併用がより好ましく、具体的にはヒアルロン酸ナトリウム、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの併用が更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は溶媒として水を用いることが好ましく、水の他、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノール等のアルコールを用いることができる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、共重合体(P)、及び水に加えて、更に必要に応じて添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、従来のコンタクトレンズ用途等に使用されているものを挙げることができ、ビタミン類、アミノ酸類、糖類、清涼化剤、無機塩類、有機酸塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤、キレート剤、緩衝剤等が挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸等が挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル等が挙げられる。
酸としては、例えば、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、ホウ酸、塩酸等が挙げられる。
塩基としては、例えば、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、グリシン等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド、パラベン、クロロブタノール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、共重合体(P)、増粘剤(Q)、及び必要に応じて水、その他の成分を混合して攪拌する、一般的なコンタクトレンズ用溶液の製造方法により製造することができる。なお、得られたコンタクトレンズ用溶液は必要に応じて無菌ろ過等の操作を行ってもよい。
本発明のコンタクトレンズ用溶液のpHは、コンタクトレンズ装着時装用感を向上させる観点から、好ましくは3〜9、より好ましくは3〜8、更に好ましくは4〜8、より更に好ましくは4〜7.4である。
なお、本明細書におけるコンタクトレンズ用溶液のpHは、第17改正日本薬局方 一般試験法 2.54 pH測定法に従って測定した値をいう。
本発明のコンタクトレンズ用溶液の浸透圧は、コンタクトレンズ装着時の装用感を向上させる観点から、好ましくは200〜400mOsm、より好ましくは210〜350mOsm、更に好ましくは220〜340mOsmであり、浸透圧比は好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3、更に好ましくは0.8〜1.2である。
なお、本明細書におけるコンタクトレンズ用溶液の浸透圧は、第17改正日本薬局方 一般試験法 2.47 浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)に従って測定した値をいい、浸透圧比は得られた浸透圧の値を0.9質量%生理食塩水の浸透圧の値(286mOsm)で除した値を指す。
本発明のコンタクトレンズ用溶液の具体的な製品形態としては、例えば、コンタクトレンズケア用品、コンタクトレンズ用消毒液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用洗浄保存液、コンタクトレンズ用消毒洗浄保存液、及びコンタクトレンズ用装着液等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ保存用具は、コンタクトレンズを収容するためのレンズ収容部を有するコンタクトレンズケースの前記レンズ収容部に、本発明のコンタクトレンズ用溶液を注入したコンタクトレンズ保存用具であり、前記収容部の少なくとも一部が多面体で構成されたコンタクトレンズ保存用具である。
前述のとおり本発明のコンタクトレンズ用溶液は、増粘剤を含むコンタクトレンズ用溶液であっても細菌等がコンタクトレンズケース内壁へ付着しにくく、また、コンタクトレンズケース内におけるバイオフィルムの形成を抑制することができるため、前記収容部が多面体で構成されているコンタクトレンズケースを用いた場合であっても前述の細菌の付着等の問題を生じにくくすることができる。
具体的に、図1に示すコンタクトレンズケースは、2つのレンズ収容部(1)と、これらをつなぐ基台からなるケース本体(2)と、レンズ収容部(1)の上部を密閉できる蓋部(図示略)とを有する。
また、開口部から底面までの深さは、本発明のコンタクトレンズ用溶液をコンタクトレンズが浸漬できる程度に十分に注入できる深さがあれば特に制限はないが、10〜30mmが好ましく、15〜25mmがより好ましい。
<共重合体(P)>
MPCポリマー(1):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体[2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ブチルメタクリレートのモル比=80/20、重量平均分子量:600,000]
比較例において、比較用重合体として以下に示す単独重合体(1)、及び(2)を用いた。
〔ポリビニルアルコール〕
ゴーセノールEG−40、日本合成化学工業株式会社製
〔ヒアルロン酸ナトリウム〕
シグマアルドリッチ製
和光純薬工業株式会社製
和光純薬工業株式会社製
メトローズ60SH−4000、信越化学工業株式会社製
〔塩化ナトリウム〕
大塚製薬株式会社製
日医工株式会社製
和光純薬工業株式会社製
和光純薬工業株式会社製
和光純薬工業株式会社製
和光純薬工業株式会社製
イオン交換水
MPCポリマー(1)5gと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1gをそれぞれ量り、これに精製水を加えて全量を100mLとして、攪拌混合し完全に溶解させ、これを実施例1−1のコンタクトレンズ用溶液とした。得られたコンタクトレンズ用溶液について、後述する細菌付着抑制率評価及びバイオフィルム形成抑制率評価を行った。結果を表1に示す。
表1、表2又は表3に示す種類及び量の成分を使用したこと以外は、実施例1−1と同様の手順に従ってコンタクトレンズ用溶液を製造し、それぞれ実施例1−2〜実施例1−13及び比較例1−1〜比較例1−4とした。得られたコンタクトレンズ用溶液について、後述する細菌付着抑制率評価及びバイオフィルム形成抑制率評価を行った。結果を表1、表2及び表3に示す。
以下の手順にしたがって細菌付着抑制率及びバイオフィルム形成抑制率を測定した。評価に使用したDulbecco’s PBS、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地、及びコンタクトレンズケースは以下のものを用いた。
ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(シグマアルドリッチ社製、D1408、10倍濃縮品、配合組成:塩化カリウム;2.0g/L、リン酸二水素カリウム;2.0g/L、塩化ナトリウム;80.0g/L、リン酸水素二ナトリウム;(無水)11/5g/L、精製水;残部)を50mL量り、これに精製水450mLを加えて合計500mLとしてオートクレーブ滅菌(121℃、20分間)を行い、以下の細菌付着抑制率評価及びバイオフィルム形成抑制率評価に用いた。
Soybean−Casein Digest Broth DAIGO(和光純薬工業社製、配合組成:カゼイン製ペプトン;17.0g/30g、大豆製ペプトン;3.0g/30g、リン酸一水素カリウム;2.5g/30g、ブドウ糖;2.5g/30g、塩化ナトリウム;5g/30g)を30g量り、これに精製水1Lを加えて溶解した後、オートクレーブ滅菌(121℃、20分間)を行い、以下の細菌付着抑制率評価及びバイオフィルム形成抑制率評価に用いた。
レニューフレッシュ(ボシュロム・ジャパン株式会社)に付属しているコンタクトレンズケース(レンズ収容部の開口部の外接円の直径が24mmであり、収容部の横断面は12角形である)を使用した。
コンタクトレンズケースの洗浄及び乾燥や定期的な交換を行っていないコンプライアンス不良のコンタクトレンズ装用者のコンタクトレンズケースへ適用することを想定し、本発明のコンタクトレンズ用溶液について、細菌付着抑制率評価を以下の通り行った。
(1)コンタクトレンズケースに実施例又は比較例で調製した保存溶液を3mL加えて、室温で2時間静置した。
(2)2時間後、コンタクトレンズケースから保存溶液を取り出し、2mLのDulbecco’s PBSで2回洗浄した。
(3)Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌、NBRC13275)をソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地にて終夜培養した後、遠心分離操作によってソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地を取り除き、Dulbecco’s PBSをOD660(波長660nmにおける吸光度)が1.0となるように加えて懸濁した。
(4)次いで、コンタクトレンズケースへ(3)の菌懸濁液2mLを添加して37℃で5時間静置し、コンタクトレンズケース内へ細菌を付着させた。
(5)2mLのDulbecco’s PBSでコンタクトレンズケースを3回洗浄することによりコンタクトレンズケースに付着しなかった細菌を取り除いた後、メタノール2mLを添加して緑膿菌をコンタクトレンズケースへ固定した。
(6)コンタクトレンズケースをビクトリアブルー2mLで染色後、脱色液(2%ピクリン酸アルコール溶液)で脱色した。脱色液が完全に取り除かれるまでDulbecco’s PBSでコンタクトレンズケースを洗浄した。次いで、70%イソプロパノール0.4mLを添加してビクトリアブルーを抽出し、抽出液とした。
(7)前記(6)の抽出液について595nmにおける吸光度を測定した。また、精製水を用いた同様の評価を陰性対照として実施した。
(8)評価を行った保存溶液及び陰性対照の595nmにおける吸光度から、下式を用いて細菌付着抑制率を算出した。
AA:実施例又は比較例のコンタクトレンズ用溶液の595nmにおける吸光度
AB:陰性対照の595nmにおける吸光度
なお、表1〜4において「P.a.」は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を用いた場合の評価結果を示し、「S.a.」は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いた場合の評価結果を示す。
コンタクトレンズケースの洗浄及び乾燥や定期的な交換を行っていないコンプライアンス不良のコンタクトレンズ装用者のコンタクトレンズケースへ適用することを想定し、本発明のコンタクトレンズ用溶液について、バイオフィルム形成量評価を以下の通り行った。
(1)コンタクトレンズケースに実施例又は比較例で調製した保存溶液を3mL加えて、室温で2時間静置した。
(2)2時間後、コンタクトレンズケースから保存溶液を取り出し、2mLのDulbecco’s PBSで2回洗浄した。
(3)Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌、NBRC13275)をソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地にて終夜培養した後、遠心分離操作によって濃縮した後、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地をOD660が1.0となるように加えて、再懸濁した。
(4)次いで、コンタクトレンズケースへ前記(3)の菌懸濁液2mLを添加して37℃で24時間培養し、バイオフィルムを形成させた
(5)2mLのDulbecco’s PBSで3回洗浄することによりコンタクトレンズケースに付着しなかった細菌を取り除いた後、メタノール2mLを添加して緑膿菌をコンタクトレンズケースへ固定した。
(6)コンタクトレンズケースをビクトリアブルー2mLで染色後、脱色液(2%ピクリン酸アルコール溶液)で脱色した。そして脱色液が完全に取り除かれるまでDulbecco’s PBSでコンタクトレンズケースを洗浄した。次いで、70%イソプロパノール0.4mLによってビクトリアブルーを抽出し、抽出液とした。
(7)前記(6)の抽出液について595nmにおける吸光度を測定した。また、精製水を用いた同様の評価を陰性対照として実施した。
(8)評価を行った保存溶液及び陰性対照の595nmにおける吸光度から、下式を用いて、バイオフィルム形成抑制率を算出した。
AA:実施例又は比較例のコンタクトレンズ用溶液の595nmにおける吸光度
AB:陰性対照の595nmにおける吸光度
なお、表1〜4において「P.a.」は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を用いた場合の評価結果を示し、「S.a.」は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いた場合の評価結果を示す。
表1〜表3から、実施例1−1〜実施例1−13における緑膿菌を用いた細菌付着抑制率は33.0〜49.4%であるのに対し、比較例1−1〜比較例1−4は−5.0〜−3.1%であった。
なお、抑制率がマイナスである場合、陰性対照よりも多く菌が付着した割合を示している。
実施例1−1〜実施例1−13における緑膿菌のバイオフィルム形成抑制率は45.9〜62.3%であるのに対し、比較例1−1〜比較例1−4は−5.5〜−3.3%であった。
更に、実施例1−1〜実施例1−13における黄色ブドウ球菌を用いたバイオフィルム形成抑制率は36.5〜53.7%であるのに対し、比較例1−1〜比較例1−4は−4.7〜−2.9%であった。
表4に記載の処方例にて、本発明のコンタクトレンズ用溶液を用いたコンタクトレンズケア用品を調製した。表4に示す種類及び量を使用したこと以外は実施例1−1と同様に、実施例2−1〜実施例2−6のソフトコンタクトレンズケア用品をそれぞれ調製した。これらのコンタクトレンズケア用品を用いて、細菌付着抑制率評価及びバイオフィルム形成抑制率評価を行った。
2 ケース本体
3 連結板
Claims (4)
- 下記一般式(1a)及び一般式(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が10,000〜5,000,000である共重合体(P)、ビニル合成高分子、多糖類及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の増粘剤(Q)を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.5w/v%、前記増粘剤(Q)の濃度が0.001〜10w/v%であるコンタクトレンズ用溶液。
(前記一般式(1a)及び一般式(1b)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数3〜18の炭化水素基を示す。前記共重合体(P)中における構成単位(1a)は10〜90モル%であり、構成単位(1b)は90〜10モル%である。) - 前記多糖類及びその誘導体がセルロース誘導体である、請求項1に記載のコンタクトレンズ用溶液。
- 前記増粘剤(Q)が多糖類及びその誘導体の2種以上を併用したものである、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ用溶液。
- コンタクトレンズを収容するためのレンズ収容部を有するコンタクトレンズケースの前記レンズ収容部に、請求項1〜3のいずれかに記載のコンタクトレンズ用溶液を注入したコンタクトレンズ保存用具であり、前記収容部の少なくとも一部が多面体で構成されたコンタクトレンズ保存用具。
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