JP2019099451A - ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、OSDAを用いない従来の製造方法ではAl含有量が少なく(SiO2/Al2O3モル比が高く)、結晶性が高く、副生成物(例えば、目的のゼオライト以外のゼオライト)が少ないゼオライトが得られにくいという課題を解決したものである。【解決手段】有機構造規定剤を用いないゼオライトの製造方法であって、種結晶となるゼオライト、結晶系が前記種結晶とは異なるゼオライト、アルカリ源、および水を混合して反応スラリーを調製する反応スラリー調製工程と、前記反応スラリーを加熱する加熱処理工程と、を含み、前記加熱処理工程において、前記反応スラリーの組成を変化させることを特徴とするゼオライトの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、Al含有量が少なく(SiO/Alモル比が高く)、結晶性が高く、副生成物(例えば、目的のゼオライト以外のゼオライト)が少ないゼオライトの製造方法に関する。
ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩および結晶性メタロケイ酸塩の総称である。ベータ型ゼオライトは、Si及びAlを含む結晶性アルミノケイ酸塩の1種であって、酸素12員環の細孔を含む3次元の細孔構造を有している。このような特徴的な細孔構造を有するベータ型ゼオライトは、種々の分野で幅広く使用されている。例えば、水素化脱ろう用、クメン合成用、窒素酸化物の浄化用触媒として使用されている。
ベータ型ゼオライトの製造方法は、有機構造規定剤(テンプレートまたはOSDAともいう)を用いる製造方法と、これを用いない製造方法に大別することができる。OSDAを用いる方法は、OSDAが高価であり、また、ベータ型ゼオライトを合成する際に有機物を含む廃液が発生し環境負荷が大きい。そのため、近年、OSDAを用いない製造方法が注目されている。
OSDAを用いない製造方法として、例えば、特許文献1〜3に記載されているように、種結晶のベータ型ゼオライト、Si源、Al源、アルカリ源、および水を含む混合物を水熱処理する方法が知られている。また、非特許文献1に記載されているように、種結晶のベータ型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、アルカリ源、および水を含む混合物を水熱処理する方法も知られている。しかし、これらの方法では、Al含有量が少ないベータ型ゼオライト、例えば、SiとAlとのモル比が、SiO/Al換算で15以上のベータ型ゼオライトであって、結晶性が高く、副生成物が少ないものを合成することは困難であった。
特開2011−126768号公報 特表2013−526406号公報 特開2015−205277号公報
Microporpus and Mesoporous Materials 142(2011)161-167
本発明は、OSDAを用いない従来の製造方法では、Al含有量が少なく(SiO/Alモル比が高く)、かつ結晶性が高く、しかも副生成物(例えば、目的のゼオライト以外のゼオライト)が少ないゼオライトを合成するのが難いという課題を解決したものである。具体的には、本発明は、例えば、SiO/Alモル比が15以上であり、結晶性が高く、副生成物が少ないベータ型ゼオライトを合成することができる製造方法を提供する。また、本発明は、ベータ型ゼオライトのみでなく、SiおよびAlを含むゼオライトであれば、例えば、チャバザイト型ゼオライト(以下、CHA型ゼオライトともいう)では、SiO/Alモル比が高くかつ結晶性の高いCHA型ゼオライトを合成することができる製造方法を提供する。
本発明は、種結晶となるゼオライト、結晶系が種結晶とは異なるゼオライト、アルカリ源、および水を混合して得られる反応スラリーを加熱処理する製造方法において、加熱処理中の反応スラリーの組成を変化させることによって、Al含有量が少なく、結晶性が高く、副生成物が少ないゼオライトを合成できることを見出した。
本発明は、前記知見に基づいて従来の課題を解決したものであり、以下の構成を有するゼオライトの製造方法である。
〔1〕有機構造規定剤を用いないゼオライトの製造方法であって、
種結晶となるゼオライト、結晶系が前記種結晶とは異なるゼオライト、アルカリ源、および水を混合して反応スラリーを調製する反応スラリー調製工程と、
前記反応スラリーを加熱する加熱処理工程と、を含み、
前記加熱処理工程において、前記反応スラリーの組成を徐々に変化させることを特徴とするゼオライトの製造方法。
本発明の製造方法において、加熱処理工程で反応スラリーの組成を変化させるとは、例えば、反応スラリーのSiO/Alモル比、あるいはMO/SiOモル比(Mはアルカリ金属)を加熱処理の間に変化させることである。これらのモル比を変化させる方法は、例えば、これらのモル比が加熱処理している反応スラリーとは異なる反応スラリーを加熱処理中に添加すればよい。
反応スラリーの上記モル比の変化は、例えば、SiO/Alモル比を加熱前より高くし、あるいはMO/SiOモル比を加熱前より低くすることを含む。反応スラリーのSiO/Alモル比を加熱前より高くするには、加熱前より高いSiO/Alモル比の反応スラリーを添加すればよい。反応スラリーのMO/SiOモル比を加熱前より低くするには、加熱前より低いMO/SiOモル比の反応スラリーを添加すればよい。
本発明の製造方法によれば、OSDAを用いないゼオライトの製造方法において、Al含有量が少なく、かつ結晶性が高く、副生成物が少ないベータ型ゼオライトを合成することができる。具体的には、例えば、SiO/Alモル比が15以上、結晶性90%以上であって、モルデナイト等の副生成物のないベータ型ゼオライトを合成することができる。
また、本発明の製造方法によれば、OSDAを用いないゼオライトの製造方法において、ベータ型ゼオライト以外のゼオライト、例えばCHA型ゼオライトについても、Al含有量が少なく、かつ結晶性が高く、副生成物が少ないゼオライトを得ることができる。具体的には、例えば、SiO/Alモル比が8以上であって結晶性100%以上のCHA型ゼオライトを合成することができる。
以下、本発明の製造方法について具体的に説明する。
本発明は、有機構造規定剤(OSDA)を用いないゼオライトの製造方法に関する。すなわち、本発明の製造方法は、種結晶となるゼオライト、結晶系が種結晶とは異なるゼオライト、アルカリ源、および水を混合して反応スラリーを調製する反応スラリー調製工程と、反応スラリーを加熱する加熱処理工程を有する製造方法において、加熱工程中に反応スラリーの組成徐々にを変化させることを特徴とする製造方法である。
なお、本発明では、各工程でOSDAを用いていない。種結晶となるゼオライトについて、その製造方法によっては、ゼオライトの細孔構造内にOSDAが残留していることもありうるが、このようなゼオライトを種結晶として用いても、OSDAを工程中で用いていないものとみなすことができる。種結晶とは異なるゼオライトについても同様である。
〔本発明の製法と従来のOSDAを用いない製法との相違〕
従来のOSDAを用いない製造方法は、アルカリ源および水の存在下で、Si源、Al源、および種結晶を含むスラリーを加熱処理することによって、Si源とAl源から供給されるSiとAlによって、種結晶であるゼオライトを成長させる方法である(特許文献1〜3)。
一方、非特許文献1には、ベータ型ゼオライトと同様の酸素12員環の細孔を有するゼオライトであるフォージャサイト型ゼオライトをSi源およびAl源とするベータ型ゼオライトの製造方法が開示されている。この製造方法では、ベータ型ゼオライトに近い細孔構造を有するゼオライトをSi源およびAl源として用いることによって、ベータ型ゼオライトに近い細孔構造を維持した状態でSiとAlが種結晶に供給され、この種結晶が成長してベータ型ゼオライトが製造される。
しかし、これらの製造方法では、SiO/Alモル比が15以上のベータ型ゼオライトを合成しようとすると、種結晶として用いたベータ型ゼオライトが一部残留するのみで、しかも残留したベータ型ゼオライトもアルカリによって溶解するなどのために、合成されたゼオライトの結晶性が低い。
一方、ゼオライトの合成において、SiO/Alモル比の高いゼオライトを得るために、反応スラリー中のSiO/Alモル比を高くすること、またはMO/SiOモル比(Mはアルカリ金属)を低くすることが知られている。しかし、OSDAを用いない従来のベータ型ゼオライト製造方法では、予めSiO/Alモル比の高い反応スラリーを用い、あるいは、予めMO/SiOモル比の低い反応スラリーを用いており、このためベータ型ゼオライト以外の結晶系のゼオライトが副生成物として多く生成するようになり、また種結晶が成長せずに無定形シリカアルミナが生成するので、最終的に得られるベータ型ゼオライトの結晶性が低下する。このように、OSDAを用いない従来のベータ型ゼオライトの製造方法では、SiO/Alモル比が高く、かつ結晶性が高く、しかも副生成物が少ないベータ型ゼオライトを製造するのは困難である。また、従来のOSDAを用いない製造方法では、CHA型ゼオライトについても同様の問題がある。
一方、本発明の製造方法では、加熱処理中の反応スラリーの組成を徐々に変えることによって、SiO/Alモル比が高く、かつ結晶性が高く、副生成物が少ないベータ型ゼオライトを合成することができる。このような反応スラリーの組成を変化させる本発明のゼオライトの製造方法は、ベータ型ゼオライトに限らず、従来公知のゼオライト、例えば、CHA型ゼオライトの製造方法にも適用することができる。
具体的には、本発明の製造方法では、加熱処理中の反応スラリーに追加スラリーを少量づつ添加して反応スラリーの組成を徐々に変えることによって、反応スラリーのSiO/Alモル比を徐々に高くし、あるいはMO/SiOモル比を徐々に低くし、この組成変化によって、SiO/Alモル比が15以上であって、結晶性が高く、副生成物が少ないベータ型ゼオライトを合成することができる。また、この組成変化によって、SiO/Alモル比が8以上であって、結晶性が高く、副生成物が少ないCHA型ゼオライトを合成することができる。
このように、本発明の製造方法では、反応初期において反応スラリーのSiO/Alモル比をゼオライトの生成しやすい範囲に整え、加熱処理が進むに従って、SiO/Alモル比が高くてゼオライトが生成しにくい範囲に反応スラリーの組成を次第に変化させることによって、最終的にSiO/Alモル比が高いゼオライトでも合成することができるようにした。
また、本発明の製造方法では、MO/SiOモル比について、ゼオライトが生成しやすい範囲から、次第にこのモル比を小さくしてゼオライトが生成しにくい範囲に変化させることによって、最終的にSiO/Alモル比が高いゼオライトを合成することができるようにした。なお、MO/SiOモル比を低くすることによって、反応スラリー中のSiがゼオライトの成分として取り込まれるのが促されるので、SiO/Alモル比の高いゼオライトになる。
また、本発明の製造方法では結晶性が高いゼオライトが得られる。本発明の製造方法では、ゼオライトが生成しやすい範囲を出発点としてゼオライトを生成・成長させるので、反応初期に結晶性の高いゼオライトになり、そして反応スラリー中の組成を変化させてゼオライトを成長させる間、この高い結晶性が維持されるので、最終的に結晶性の高いゼオライトになる。
以下、本発明の製造方法の各工程について詳述する。
〔反応スラリー調製工程〕
この工程では、種結晶となるゼオライト、結晶系が種結晶とは異なるゼオライト(以下、種結晶とは異なるゼオライトともいう)、アルカリ源、および水を混合して反応スラリーを調製する。種結晶となるゼオライトとして、最終的に得たいゼオライトと同一の結晶系のゼオライトを用いることが好ましい。例えば、ベータ型ゼオライトを合成したい場合は、種結晶としてベータ型ゼオライトを用いる。種結晶となるゼオライトは、従来公知のベータ型ゼオライトを用いることができる。例えば、OSDAを用いない製造方法で合成されたベータ型ゼオライトでもよく、OSDAを用いた製造方法で合成されたベータ型ゼオライトでもよく、何れも好適に用いることができる。
CHA型ゼオライトを合成する場合には種結晶としてCHA型ゼオライトを用いることができる。なお、CHA型ゼオライトを種結晶として用いなくても、CHA型ゼオライトを合成することができる。種結晶としてCHA型ゼオライトを用いる場合は、OSDAを用いない製造方法で合成されたCHA型ゼオライトでもよく、OSDAを用いた製造方法で合成されたCHA型ゼオライトでもよい。
種結晶となるゼオライトは、SiとAlとのモル比が、SiO/Al換算で、5≦SiO/Al≦100の範囲にあることが好ましい。更に、種結晶となるゼオライトとしてベータ型ゼオライトを用いる場合は、そのSiとAlのモル比は10≦SiO/Al≦30の範囲にあることが好ましい。SiとAlのモル比が10よりも低いベータ型ゼオライトは種結晶として好ましくない。また、SiとAlのモル比が30よりも高いベータ型ゼオライトを用いると、加熱処理中にベータ型ゼオライトが、MFI型ゼオライトやモルデナイト型ゼオライトなどの結晶系が異なるゼオライトに相転移することがあるので好ましくない。また、種結晶となるゼオライトとしてCHA型ゼオライトを用いる場合には、そのSiとAlのモル比は、4≦SiO/Al<10の範囲にあることが好ましい。
種結晶とは異なるゼオライトとしては、種結晶に近い細孔構造を有する結晶系のゼオライトを用いることが好ましい。例えば、酸素12員環の細孔を有するベータ型ゼオライトを種結晶として用いた場合、同様に酸素12員環の細孔を有するフォージャサイト型ゼオライト(FAU型ゼオライトともいう。)を種結晶とは異なるゼオライトとして用いることが好ましい。このように、種結晶に近い細孔構造を有するゼオライトを用いることによって、最終的に得られるゼオライト以外の副生成物が少なくなる。また、FAU型ゼオライトは、CHA型ゼオライトを合成する際にも、種結晶とは異なるゼオライトとして使用できる。
種結晶とは異なるゼオライトは、SiとAlとのモル比が、SiO/Al換算で、4≦SiO/Al≦100の範囲にあることが好ましい。具体的には、種結晶とは異なるゼオライトとしてFAU型ゼオライトを用いてベータ型ゼオライトを合成する場合には、SiとAlのモル比が、10≦SiO/Al≦60の範囲にあることが好ましい。SiとAlのモル比がこの範囲にあるFAU型ゼオライトを用いると、加熱処理中にFAU型ゼオライトが壊れ難くなるためか、最終的に得られるゼオライト以外の不純物が少なくなる。また、種結晶とは異なるゼオライトとしてFAU型ゼオライトを用いてCHA型ゼオライトを合成する場合は、そのSiとAlとのモル比は4≦SiO/Al<10の範囲にあることが好ましい。これは、FAU型ゼオライトをナノパーツまで分解する必要があるので、SiとAlとのモル比が低いほうが好ましい。
アルカリ源として、Na、Kなどの従来公知のアルカリ金属Mを含む化合物を用いることができる。例えば、ベータ型ゼオライトを合成する場合は、Naを含む化合物を用いることが好ましい。Naを含む化合物として、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等の水に溶解しやすい化合物が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ源は合成したいゼオライトの種類によって変わり、例えば、CHA型ゼオライトを合成する場合は、アルカリ源としてKを含む化合物を用いることが好ましい。
例えば、SiとAlとのモル比が15以上であるベータ型ゼオライトを合成する場合は、反応スラリーの組成は下記範囲が好ましい。組成がこのような範囲にある反応スラリーを用いると、ベータ型ゼオライトが生成しやすい。
20≦SiO/Al≦60
0.22≦MO/SiO≦0.3
10≦HO/SiO≦30
また、SiとAlとのモル比が5≦SiO/Al<10の範囲にあるCHA型ゼオライトを合成する場合は、反応スラリーの組成は下記範囲が好ましい。組成がこのような範囲にある反応スラリーを用いると、CHA型ゼオライトが生成しやすい。
5≦SiO/Al<10
0.15≦MO/SiO≦0.25
20≦HO/SiO≦40
反応スラリーに含まれる種結晶となるゼオライトの量は、反応スラリーに含まれるSi量を基準にして、その1〜30モル%の範囲になる量が好ましい。例えば、反応スラリーに1モルのSiが含まれている場合、このうち0.01〜0.3モルのSiが種結晶由来となる量が好ましい。具体的には、反応スラリー調製の際に、種結晶となるゼオライトの仕込量と、種結晶とは異なるゼオライトの仕込量の合計Si量に対して、種結晶由来のSi量が0.01〜0.3モルの範囲になるように各仕込量を定めればよい。
種結晶となるゼオライトの量が少なすぎると、最終的に得られるゼオライトの収率が低下し、また副生成物等が生成することがあるので好ましくない。一方、種結晶の量が多すぎると、種結晶となるゼオライトの仕込量に対して、得られるゼオライトの生成量が少なくなるので好ましくない。
種結晶とは異なるゼオライトの量は、前述の反応スラリーのSiO/Alモル比、MO/SiOモル比及びHO/SiOモル比の範囲となるように調整される。
〔加熱処理工程〕
上記反応スラリーを加熱処理する。反応スラリーの加熱温度は、80℃≦反応スラリーの温度≦180℃の範囲が好ましく、特に100℃≦反応スラリーの温度≦160℃の範囲が好ましい。反応スラリーの温度が低すぎると、種結晶となるゼオライトが成長するまでに長時間を要するので経済性が低下する。また、反応スラリーの温度が高すぎると、副生成物が生成することがあるので好ましくない。なお、この加熱処理は、反応スラリーの温度にもよるが、おおむね1〜200時間程度行うことが好ましい。
加熱処理は、反応スラリーの温度が100℃未満の場合は反応容器を解放したまま加熱してもよく、一方、反応スラリーの温度が100℃以上の場合は、反応容器を密閉して加熱することが好ましい。なお、反応容器を密閉して行う加熱処理(水熱処理)には反応容器としてオートクレーブを用いることが好ましい。
加熱処理中の反応スラリーに、追加スラリーを徐々に添加して、種結晶が成長しやすい組成(SiO/Alモル比、MO/SiOモル比等)から種結晶が成長し難い組成へ反応スラリーの組成を徐々に変化させる。
例えば、SiとAlとのモル比が15以上であるベータ型ゼオライトを合成する場合には、加熱処理中の反応スラリーに、この反応スラリーよりもSiO/Alモル比の高い追加スラリーを添加し、反応スラリーのSiO/Alモル比を徐々に高くし、あるいは、加熱処理中の反応スラリーに、この反応スラリーよりもMO/SiOモル比の低い追加スラリーを添加し、反応スラリーのMO/SiOモル比を徐々に低くする。なお、MO/SiOモル比を下げれば、SiO/Alモル比は変更しなくともよい。
ベータ型ゼオライトを合成する場合、追加スラリーを添加した後の反応スラリーの組成は下記範囲が好ましい。
10≦SiO/Al≦60
0.1≦MO/SiO<0.22
SiとAlとのモル比が5≦SiO/Al<10の範囲にあるCHA型ゼオライトを合成する場合は、加熱処理中の反応スラリーに、追加スラリーを添加して反応スラリーの組成を変化させ、例えば、SiO/Alモル比を徐々に高くし、あるいはMO/SiOモル比を徐々に低くするとよい。なお、MO/SiOモル比を下げれば、SiO/Alモル比は変更しなくともよい。
CHA型ゼオライトを合成する場合、追加スラリーを添加した後の反応スラリーの組成は下記範囲が好ましい。
5≦SiO/Al<10
0.1≦MO/SiO<0.15
ベータ型ゼオライトおよびCHA型ゼオライトの何れについても、結晶性が高く副生成物の少ないゼオライトが生成する組成の範囲は限られており、上記組成範囲を外れると結晶性が低いゼオライトになりやすい。
追加スラリーは、反応スラリーと同じ原料を用いて調製することができる。追加スラリーを添加した後の反応スラリーの組成が上記範囲になるように、追加スラリーに含まれる原料の含有量を調節するとよい。なお、追加スラリーの原料は、反応スラリーの原料以外のものを用いて調製してもよい。
追加スラリーは、少なくとも1時間以上かけて反応スラリーに少量ずつ添加してスラリーの組成を徐々に変えることが好ましい。短い時間で追加スラリーを反応スラリーに添加すると、反応スラリー中の組成が急激に変化するので、副生成物等が発生する場合があり、最終的に得られるゼオライトの結晶性が低下することがあるので好ましくない。なお、加熱処理後の反応スラリーに追加スラリーを添加して再び加熱処理する二段階合成を行うと副生成物が生成するので好ましくない(例えば、比較例3)。
加熱処理後の反応スラリーに含まれるゼオライトは、ろ過、遠心分離、乾燥等の従来公知の方法を用いて、反応スラリーから分離することができる。また、これらの分離操作を行う前に、水、酸溶液、アルカリ溶液等を用いて、ゼオライトを洗浄することによって、ゼオライトに残留する未反応の原料成分を除去することができる。これらの操作は、必要によって行えばよい。ただし、目的のゼオライトとは別のゼオライトが副生成物として生成している場合は、これらの操作では分離することが困難である。
本発明の製造方法では、本発明の製造方法により得られたゼオライトをイオン交換する工程を含んでいてもよい。ベータ型ゼオライトやCHA型ゼオライトなどは、各ゼオライトのイオン交換サイトを種々の元素で置換することによって、おのおの異なった機能性を発現することができる。例えば、ベータ型ゼオライトやCHA型ゼオライトのイオン交換サイトの一部をCuまたはFeで置換すると、排ガス浄化触媒としての機能を発現する。なお、イオン交換の方法については、従来公知の方法でイオン交換することができ、例えば、イオン交換したいイオンを含む溶液にゼオライトを浸漬する方法等を用いることができる。
〔スラリー粉砕工程〕
本発明では、反応スラリー調製工程に、スラリー粉砕工程を設けてもよい。すなわち、種結晶となるゼオライト、種結晶とは異なるゼオライト、および水を混合して原料スラリーを調製した後に、この原料スラリーを粉砕して粉砕スラリーにする工程(スラリー粉砕工程と云う)、この粉砕スラリーにアルカリ源を添加して反応スラリーを調製する工程を含むことができる。このスラリー粉砕工程を含むことによって、最終的に得られるゼオライトの結晶性をより高めることができる。
スラリー粉砕工程では、種結晶となるゼオライト、種結晶とは異なるゼオライト、および水を混合して原料スラリーを調製した後、この原料スラリーを粉砕することによって、スラリーの中で、種結晶となるゼオライトと種結晶とは異なるゼオライトが細かく分散した状態になり、この細かく分散したゼオライト粒子が粉砕後に再び凝集し、種結晶とは異なるゼオライトの凝集体の中に、種結晶となるゼオライト粒子が取り込まれた状態の再凝集体が形成される。
このような再凝集体を含むスラリーに、アルカリ源を加えて反応スラリーにし、これを加熱処理することによって、さらに結晶性が高いゼオライトを得ることができる。アルカリ源は、粉砕する前に加えることもできるが、粉砕後に加えることが好ましい。例えば、ベータ型ゼオライトを合成する場合、粉砕する前にアルカリ源を加えると、粉砕によって局所的に発生する熱によって、アルカリが種結晶とは異なるゼオライトの一部が溶解してしまうことがあるので上記再凝集体を作り難くなる。
スラリー粉砕工程では、上記再凝集体を形成するほかに、種結晶とは異なるゼオライトの構造をある程度壊すことも重要である。種結晶とは異なるゼオライトをある程度壊した状態で種結晶となるゼオライトに供給することによって、種結晶の成長をより促進することができる。種結晶とは異なるゼオライトの破壊程度は、種結晶とは異なるゼオライトをX線回折測定して得られる回折パターンから算出することができる。
具体的には、この回折パターンに含まれるピークの中で強度の高いピーク上位3本を選び、これらのピーク強度(ピークの最大値からバックグラウンドの値を差し引いた強度)の和を求め、これを粉砕前と粉砕後で比較し、その差に基づいて粉砕程度を判断することができる。例えば、粉砕前のピーク強度の和をH、粉砕後のピーク強度の和をHとし、下記式から構造維持率として求め、粉砕の程度を判断することができる。
構造維持率[%]=H/H×100
スラリー粉砕工程では、種結晶とは異なるゼオライトの構造維持率が15%〜40%の範囲になるまで粉砕すると良く、最終的に得られるゼオライトの結晶性がより向上する。しかし、構造維持率が0%に近い状態まで種結晶とは異なるゼオライトを粉砕すると、この種結晶とは異なるゼオライトの構造が過度に崩壊してしまい、種結晶となるゼオライトの成長速度が低下することがあるので好ましくない。
原料スラリーを粉砕する方法は、スラリーのままで粉砕することができる方法であれば、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ビーズミル、サンドミル、ボールミル等を用いて原料スラリーを粉砕することができる。ボールミルやビーズミルを用いる場合は、粉砕効率が高いジルコニアビーズを用いて粉砕することが好ましい。また、ビーズの径は、原料スラリーに含まれる種結晶、および種結晶とは異なるゼオライトの粒度にもよるが、0.5〜5mmφのビーズを用いることができる。
スラリー粉砕工程では、メジアン径の変動がなくなるまで、スラリーを粉砕することが好ましい。スラリーに含まれる種結晶となるゼオライトおよび種結晶とは異なるゼオライトが粉砕されるに伴い、スラリーのメジアン径が小さくなる。そして、スラリーのメジアン径がある一定の値に到達すると、メジアン径がこれ以上変動しなくなるので、このメジアン径を粉砕の指標とするとよい。このような状態でスラリーの粉砕を終了すると、スラリー中で粉砕された種結晶となるゼオライトおよび種結晶とは異なるゼオライトが再凝集をはじめ、種結晶とは異なるゼオライトの凝集体の中に種結晶となるゼオライトが取り込まれた再凝集体を得ることができる。
この再凝集体が生成しているか否かは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、超音波処理を行った場合と超音波処理を行わない場合のメジアン径を比較することによって判別することができる。例えば、再凝集体が生成している場合は、超音波処理を行うと凝集体がほぐれてメジアン径が小さくなる。一方、再凝集体が生成していない場合は、超音波処理を行ってもメジアン径は変わらない。
以下、本発明の製造方法を実施例によって具体的に示す。なお、本発明の製造方法は以下の実施例に限定されない。これらの実施例では、以下のX線回折測定方法、組成の測定方法、結晶性の評価方法、メジアン径の測定方法、および構造維持率の測定方法に基づき、各工程の中間体や最終的に得られたゼオライトを評価した。
〔X線回折測定〕
得られたゼオライトについて、以下の条件でX線回折測定を行い、ゼオライトの種類を確認した。
<X線回折測定条件>
装置 :MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 :2θ/θ
線源 :CuKα
測定方法 :連続式
電圧 :40kV
電流 :15mA
開始角度 :2θ=5°
終了角度 :2θ=50°
サンプリング幅:0.020°
スキャン速度 :10.000°/min
<判断基準>
上記測定により得られるX線回折パターンから、得られたゼオライトの種類を判断した。例えば、X線回折(101)、(205)、(302)のミラー指数に帰属されるピークをすべて有している場合、ベータ型ゼオライトであると判断した。なお、X線回折パターンのピークの位置は、±1°程度の誤差を含みうる。更に、このX線回折パターンから、副生成物の有無を判断した。例えば、モルデナイトに帰属されるピークが確認された場合は、副生成物としてモルデナイトが生成しているものとした。
また、CHA型ゼオライトの場合では、上記測定により得られるX線回折パターンが、(100)、(200)、(20−1)、(21−1)、(211)、(3−1−1)、(310)、(3−1−2)のミラー指数に帰属されるピークをすべて有している場合、チャバザイト構造(CHA)を有していると判断した。
〔組成の測定〕
得られたゼオライトについて、以下の条件でSiとAlとのモル比を測定した。
<SiとAlとのモル比の測定方法>
得られたゼオライトについて、Si、Alの含有量を、下記の条件で測定した。各成分の含有量は、酸化物換算で質量%として算出した。また、各成分の含有量をモル比に換算して、SiO2/Al23モル比として算出した。
<Si、Al含有量測定>
測定方法:ICP発光分析
装置 :ICP730−ES(株式会社VARIAN製)
試料溶解:酸溶解
〔結晶性の評価〕
得られたゼオライトについて、以下の条件でその結晶性を評価した。
<X線回折測定条件>
装置 :MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 :2θ/θ
線源 :CuKα
測定方法 :連続式
電圧 :40kV
電流 :15mA
開始角度 :2θ=5°
終了角度 :2θ=50°
サンプリング幅:0.020°
スキャン速度 :10.000°/min
<結晶性-BEA>
上記X線回折測定により得られたX線回折パターンから、ベータ型ゼオライトのミラー指数(302)に帰属されるピークの高さを求め、次式によって結晶性を求めた。
結晶性[%]=H/H×100
H :実施例で得られたベータ型ゼオライトのピークの高さ
:東ソー社製のベータ型ゼオライト(HSZ―920NHA)のピークの高さ
<結晶性-CHA>
国際ゼオライト学会のホームページ(http://www.iza-online.org・synthesis/)または、「WERIFIED SYNTHESES OF ZEOLITIC MATERIALS」H.Robson編、K.P.Lillerud XRD図:2001年発行、第2版、第123頁〜第125頁に記載されたチャバザイト(Chabazite)の合成方法に基づいて標準物質を合成した。
この標準物質と製造したゼオライトについて、下記条件でX線回折測定を行った。得られた各X線回折パターンから、下記算出式に基づき、ゼオライトの結晶性(相対結晶度)を求めた。
上記X線回折測定により得られたX線回折パターンから、ミラー指数(100)、(20−1)、(3−1−1)に帰属される各ピークの高さの合計値を求め、次式によって相対結晶度を求めた。
結晶性[%]=H/H×100
H :実施例で得られたゼオライトの上記各ピークの高さの合計
:標準物質の上記各ピーク高さの合計
〔メジアン径の測定〕
各工程の中間体について、以下の条件でメジアン径を測定した。
<メジアン径測定>
測定装置 :HORIBA LA950V2(株式会社堀場製作所製)
基準 :体積基準
分散剤 :ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液
屈折率 :1.465
超音波処理 :1分間(超音波処理を行わない場合は0)
〔構造維持率〕
粉砕スラリーに含まれる種結晶とは異なるゼオライトについて、以下の条件でその構造維持率を評価した。
<X線回折測定条件>
装置 :MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 :2θ/θ
線源 :CuKα
測定方法 :連続式
電圧 :40kV
電流 :15mA
開始角度 :2θ=5°
終了角度 :2θ=50°
サンプリング幅:0.020°
スキャン速度 :10.000°/min
<構造維持率>
実施例で用いた種結晶とは異なるゼオライトについて、上記の条件でX線回折測定を行った。得られた回折パターンの中で強度の高いピーク上位3本を選び、これらのピーク強度(ピークの最大値からバックグラウンドの値を差し引いた強度)の和Hを求めた。粉砕スラリーを乾燥して得られる粉末についても同様の測定を行い、ピーク強度の和Hを求めた。求めたH及びHを用いて、次式から構造維持率を算出した。
構造維持率[%]=H/H×100
〔実施例1〕
〔FAU型ゼオライトの調製〕
Al濃度22質量%、NaO濃度17質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液0.168kgを、NaOH濃度21.65質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.35kgに撹拌しながら加えて溶解し、30℃まで冷却した。この溶液を撹拌しながら、SiO濃度24質量%、NaO濃度7.7質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.361kgに添加した。このときの溶液の組成は、酸化物換算のモル比で以下のとおりであった。ついで、この溶液を30℃で15時間静置してアルミノシリケート溶液を調製した。
NaO/Al=16
SiO/Al=15
O/Al=330
SiO濃度24質量%、NaO濃度7.7質量%の珪酸ナトリウム水溶液22.78kgに水5.66kgとSiO濃度30質量%シリカゾル(日揮触媒化成社製:Cataloid SI−30:平均粒子径10nm)18.97kgと、上記アルミノシリケート溶液2.88kgを加え、攪拌混合した。これに、Al濃度22質量%、NaO濃度17質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液10.03kgを加え、室温で3時間攪拌熟成して、混合ヒドロゲルスラリーを調製した。このときの混合ヒドロゲルスラリーの組成は、酸化物換算のモル比で以下のとおりであった。
NaO/Al=2.80
SiO/Al3=8.70
O/Al=108
上記混合ヒドロゲルスラリー60.3kgを結晶化槽にて、95℃で35時間、水熱処理を行った。その後、70℃まで冷却し、濾過してNa−Y型ゼオライトのケーキ29.5kgを得た。得られたNa−Y型ゼオライトのケーキを、更に洗浄し、濾過し、乾燥してNa−Y型ゼオライトを調製した。
Na−Y型ゼオライト500g、硫酸アンモニウム280gを含む水溶液5000gを80℃に昇温し、撹拌しながら2時間イオン交換した後、濾過し、洗浄し、乾燥し、550℃で5時間焼成した。更に、上記条件でイオン交換、濾過、洗浄、乾燥の操作を2回行い、NHイオン交換率95%の0.95(NH2O・0.05Na2O・Al・5SiOゼオライト(NH4(95)Y型ゼオライトともいう。)を調製した。
ついで、NH4(95)Y型ゼオライトに水を加えて、50質量%の水分を含むように水分調整した。水分調整したNH4(95)Y型ゼオライトを容器に充填し、600℃に昇温して2時間スチーム処理することによって、超安定性FAU型ゼオライトを調製した。
この超安定性FAU型ゼオライト500gに、濃度25質量%の硫酸1067gを0.5時間で滴下して脱アルミ処理を行い、SiO/Al=30のFAU型ゼオライトを調製した。このFAU型ゼオライトのメジアン径は7.4μmであった。このFAU型ゼオライトを種結晶とは異なるゼオライトとした。
〔反応スラリー調製工程〕
純水840gと、種結晶とは異なるゼオライトとして上記FAU型ゼオライト300gと、種結晶としてベータ型ゼオライト60g(東ソー社製品:HSZ―920NHA、SiO/Alモル比:18、メジアン径8.0μm)とを混合して、スラリーを調製した。このスラリーのSiとAlのモル比率は、SiO/Al換算で、27であった。
スラリー粉砕
ビーズミル(アシザワファインテック社製:LMZ015)を用いて、このスラリーをFAU型ゼオライトの構造維持率が20%になるまで湿式粉砕した。この湿式粉砕の条件は、ジルコニアビーズ1.0mm、周速10m/s、ビーズ充填量はベッセルの体積に対して85%とした。
粉砕したスラリー450gに、濃度48質量%のNaOH86gと、純水464gとを添加して、反応スラリーを得た。この反応スラリーのSiO/Alモル比は27、NaO/SiOモル比は0.25、HO/SiOモル比は22であった。
〔加熱処理工程〕
上記反応スラリーの全量をオートクレーブに仕込み、140℃で48時間水熱処理し、この加熱処理中に追加スラリーを添加した。
追加スラリーは、上記反応スラリー調製工程で得られた反応スラリー178gと純水157gを混合することにより調製した。加熱処理中の反応スラリーのNaO/SiOモル比が0.18、HO/SiOモル比が21となるように、この追加スラリーを加熱処理中の反応スラリーに10時間かけて少量ずつ添加した。追加スラリーの添加が終了した後、更に140℃で48時間水熱処理をした。
水熱処理後の反応スラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してゼオライトを得た。得られたゼオライトについて、前述のX線回折測定方法、組成の測定方法、結晶性の評価方法に基づき、評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2:追加スラリー添加時間変更〕
加熱処理中の反応スラリーに追加スラリーを添加する時間を3時間とし、スラリーの粉砕を行わない以外は、実施例1と同様の方法でゼオライトを調製した。得られたゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
〔実施例3:CHA型ゼオライト〕
〔反応スラリー調製〕
実施例1に記載の方法で得られた超安定性FAU型ゼオライト500gに、濃度25質量%の硫酸660gを0.5時間で滴下して脱アルミ処理を行い、SiO/Al=8.9のFAU型ゼオライトを調製した。このFAU型ゼオライトのメジアン径は7.4μmであった。これを種結晶とは異なるゼオライトとした。
〔反応スラリー調製工程〕
純水840gと、種結晶とは異なるゼオライトとして上記FAU型ゼオライト300gと、種結晶として国際ゼオライト学会のホームページ(http://www.iza-online.org・synthesis/)または、「WERIFIED SYNTHESES OF ZEOLITIC MATERIALS」H.Robson編、K.P.Lillerud XRD図:2001年発行、第2版、第123頁〜第125頁に記載されたチャバザイト(Chabazite)の合成方法に基づいて合成されたCHA型ゼオライト(SiO/Alモル比:4.8)とを混合して、スラリーを調製した。このスラリーのSiとAlのモル比率はSiO/Al換算で、8.2であった。
〔スラリー粉砕〕
ビーズミルを用いて、このスラリーをFAU型ゼオライトの構造維持率が20%になるまで湿式粉砕した。この湿式粉砕の条件は、ジルコニアビーズ1.0mm、周速10m/s、ビーズ充填量はベッセルの体積に対して85%とした。
粉砕したスラリー456gに濃度85%のKOH34gと純水510gとを添加して、反応スラリーを得た。この反応スラリーのSiO/Alモル比は8.2、KO/SiOモル比は0.17、HO/SiOモル比は27であった。
〔加熱処理工程〕
上記反応スラリーの全量をオートクレーブに仕込み、150℃で48時間水熱処理し、この加熱処理中に追加スラリーを添加した。
追加スラリーは、上記反応スラリー調製工程で得られた反応スラリー165gと純水152gと濃度85%のKOH5gを混合することにより調製した。加熱処理中の反応スラリーのKO/SiOモル比が0.14、HO/SiOモル比が27となるように、この追加スラリーを加熱処理中の反応スラリーに少量ずつ8時間かけて逐次的に添加した。追加スラリーの添加が終了した後、更に150℃で48時間水熱処理をした。
水熱処理後の反応スラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してゼオライトを得た。得られたゼオライトについて、前述のX線回折測定方法、組成の測定方法、結晶性の評価方法に基づき、評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1:種結晶と異なるゼオライトを用いない、追加スラリーの添加なし〕
SiO:Al:NaO:HO=27.0:1.0:4.8:561.6の組成になるように、SiO濃度30質量%シリカゾル(日揮触媒化成社製:Cataloid SI−30:平均粒子径10nm)590gと、Al濃度22質量%、NaO濃度17質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液51g、48%NaOH溶液を87g、純水を606g添加した後に室温で1時間攪拌して、スラリーを得た。このスラリーを140℃で48時間水熱処理した。水熱処理後のスラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してゼオライトを得た。得られたゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2:追加反応液の添加なし〕
SiO:Al:NaO:HO=27.0:1.0:4.8:561.6の組成になるように、実施例1の反応スラリー633gと、濃度48質量%のNaOH87gと、純水616gとを混合した後、室温で1時間攪拌した。撹拌後、このスラリーをオートクレーブに仕込み、140℃で48時間水熱処理した。水熱処理後のスラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してゼオライトを得た。得られたゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
〔比較例3:2段階合成〕
実施例1の反応スラリー450gと、濃度48質量%のNaOH86gと、純水464gとを混合してスラリーを得た。このスラリーのNaO/SiOモル比は0.245、HO/SiOモル比は22であった。このスラリーをオートクレーブに仕込み、140℃で48時間水熱処理した(1回目)。このスラリーを水熱処理した後、室温まで冷却した。
次いで、実施例1の反応スラリー178gと、純水157gとを混合して追加スラリーを調製した。この追加スラリーの全量と、水熱処理後のスラリーの全量とをオートクレーブ中で混合し、140℃48時間水熱処理(2回目)した。このとき、追加スラリーを添加した後のスラリーのNaO/SiOモル比は0.18、HO/SiOモル比は21であった。この比較例3では2回目の加熱処理でスラリーの組成が一気に変化する。水熱処理後のスラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してゼオライトを得た。得られたゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
〔比較例4:追加反応液の添加なし-CHA型ゼオライト〕
SiO:Al:KO:HO=8.2:1.0:1.15:224の組成になるように、実施例3の反応スラリー458gと、濃度85質量%のKOH27gと、純水515gとを混合した後、室温で1時間攪拌した。撹拌後、この反応スラリーをオートクレーブに仕込み、150℃で48時間水熱処理した。水熱処理後のスラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してゼオライトを得た。得られたゼオライトについて、実施例3と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の製造方法によって得たベータ型ゼオライトは(実施例1、2)、SiO/Alモル比が15以上であって結晶性が高く、副生成物が少ない。一方、加熱処理中に追加スラリーを加えない比較例1、2は、SiO/Alモル比は高いものの、非晶質のシリカアルミナ化合物が混在するため結晶性が低いベータ型ゼオライトしか得られなかった。また、一回目の加熱処理中に追加スラリーを加えず、二回目の加熱処理後に追加スラリーを加えて再加熱処理をした比較例3は、SiO/Alモル比が高く、結晶性が高いものの、反応スラリーの組成が急激に変化するため、モルデナイトが副生成物として生成している。また、CHA型ゼオライトについても、本発明の製造方法による実施例3では、SiO/Alモル比が15以上であって、結晶性が高く、副生物のないCHA型ゼオライトが得られる。一方、CHA型ゼオライトについて、追加スラリーを用いない比較例4では、SiO/Alモル比が高く、副生物がないものの、結晶性が極めて低い。
Figure 2019099451

Claims (9)

  1. 有機構造規定剤を用いないゼオライトの製造方法であって、
    種結晶となるゼオライト、結晶系が前記種結晶とは異なるゼオライト、アルカリ源、および水を混合して反応スラリーを調製する反応スラリー調製工程と、
    前記反応スラリーを加熱する加熱処理工程と、を含み、
    前記加熱処理工程において、前記反応スラリーの組成を徐々に変化させることを特徴とするゼオライトの製造方法。
  2. 前記加熱処理工程において、前記反応スラリーのMO/SiOモル比を徐々に低くすることを特徴とする請求項1に記載するゼオライトの製造方法。
  3. 製造したゼオライトがベータ型ゼオライトであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載するゼオライトの製造方法。
  4. 製造したベータ型ゼオライトに含まれるSiとAlとのモル比が、SiO/Al換算で、15以上であることを特徴とする請求項3に記載するゼオライトの製造方法。
  5. 前記加熱処理工程において、前記反応スラリーのMO/SiOモル比を、0.22≦MO/SiO≦0.3の範囲から、0.1≦MO/SiO<0.22の範囲に徐々に変化させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載するゼオライトの製造方法。
  6. 製造したゼオライトがチャバザイト型ゼオライトであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載するゼオライトの製造方法。
  7. 製造したチャバザイト型ゼオライトに含まれるSiとAlとのモル比が、SiO/Al換算で、5≦SiO/Al<10の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載するゼオライトの製造方法。
  8. 前記加熱処理工程において、前記反応スラリーのMO/SiOモル比を、0.15≦MO/SiO≦0.25の範囲から、0.1≦MO/SiO<0.15の範囲に徐々に変化させることを特徴とする請求項6または請求項7に記載するゼオライトの製造方法。
  9. 前記反応スラリー調製工程が、種結晶となるゼオライト、結晶系が前記種結晶とは異なるゼオライト、アルカリ源、および水を混合して原料スラリーを調製する原料スラリー調製工程と、前記原料スラリーを粉砕して粉砕スラリーを得るスラリー粉砕調製工程と、前記粉砕スラリーにアルカリ源を添加して反応スラリーを得る反応スラリー調製工程と、を含むことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のゼオライトの製造方法。
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