JP2019099139A - 制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】接触部材を車輪に圧接する力を必要とせず、接触部材を車輪に接触させる調整が容易であり、摩擦力を安定して車輪に付与することができると共に、回転している車輪の制動に好適な制動装置や、さらに使い勝手の良い制動装置を提供する。【解決手段】車輪Tの回転を制動する制動装置2において、偏心した位置の軸部材31を中心に回動可能に設けられ、自重によって曲面状の外周面3aが車輪Tに接触するものであって、接触状態において、車輪Tの回転に伴い回動して車輪Tに圧接し、回動することで軸部材31と車輪Tに接触する箇所との間隔が大きくなり車輪Tに付与される摩擦力も大きくなる接触部材3と、接触状態の接触部材3を磁力によって吸着させ離間状態に回動させる吸着部材4と、離間状態の接触部材3を吸着部材4から離し、接触状態に戻すソレノイド5と、を備えたものである。【選択図】図4

Description

車椅子等の車輪の回転を制動する制動装置に関する。
歩行が困難な人が移動するために使用する車椅子や、歩行が不安定な人が歩行の補助と荷物の運搬のために使用する手押車など、車輪の回転によって移動する様々なものが用いられている。車輪の回転によって移動するものは、停止している際に外力が加わることで車輪が回転して不用意に移動してしまい、不都合を生じさせてしまう場合がある。例えば車椅子では、座部に着座している利用者が立ち上がる際に、肘掛等を押したり、身体の一部が車椅子に触れてしまうことで、車椅子が不用意に後方に移動してしまうことがある。以下、車椅子に着座した利用者の後方に移動することを後進と称することがあり、車椅子に着座した利用者の前方に移動することを前進と称することがある。
車椅子が後進してしまうと、利用者が立ち上がりきれず再び腰をおろしてしまう場合や、車椅子が後進したことを利用者が知らずに車椅子に座ろうとした場合に、安全に着座することができない虞がある。このため、利用者が立ち上がる際に、車椅子が不用意に移動してしまうことを抑えるものとして、本出願人は「制動装置」を提案している(特許文献1参照)。
特許文献1に記載された制動装置は、偏心した位置の軸を中心に回動可能に設けられ、曲面状の外周面を自重により車輪に接触させる接触部材を備えている。接触部材は、車輪に接触した状態から、車輪の回転に伴い回動して車輪に圧接し、摩擦力を付与するものである。この特許文献1に記載された制動装置を例えば車椅子に適用すれば、車椅子の前進は許容しつつ、利用者が立ち上がる際に車椅子が僅かに後進すると車輪の回転が制動され、車椅子の不用意な移動を阻止することができる。さらに、この制動装置は、接触部材を車輪に圧接するための力を必要とせず、また、接触部材を車輪に接触させる調整が容易であり、摩擦力を安定して付与することができる、といった極めて優れた効果を奏するものである。
特開2017−030736号公報
本発明者は、特許文献1に記載された制動装置について、更なる使い勝手の向上および適用場面の拡大を図るため、鋭意検討を重ねた。具体的には、特許文献1に記載された制動装置における、接触部材を車輪に圧接する力を必要とせず、接触部材を車輪に接触させる調整が容易であり、摩擦力を安定して車輪に付与することができるといった優れた効果を維持しつつ、回転している車輪の制動に好適な制動装置や、さらに使い勝手の良い制動装置の開発に取り組んだ。
本発明は上記事情に鑑み、接触部材を車輪に圧接する力を必要とせず、接触部材を車輪に接触させる調整が容易であり、摩擦力を安定して車輪に付与することができると共に、回転している車輪の制動に好適な制動装置や、さらに使い勝手の良い制動装置を提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明の制動装置は、車輪の回転を制動する制動装置において、
偏心した位置の軸を中心に回動可能に設けられ、自重によって曲面状の外周面が前記車輪に接触するものであって、該車輪に接触した接触状態において、該車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、回動することで該軸と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる接触部材と、
前記接触状態の前記接触部材を磁力によって吸着させ、該車輪から離間した離間状態に回動させる吸着部材と、
前記離間状態の前記接触部材を該吸着部材から離し、前記接触状態に戻す復帰部材と、を備えたものであることを特徴とする。
ここで、前記吸着部材と前記接触部材は、共に磁石を有し、これらの磁石の磁力によって吸着するものであってもよい。また、前記吸着部材と前記接触部材は、一方が磁石を有するもの又は磁石で構成されたものであり、他方が鉄等の強磁性体を有するもの又は強磁性体で構成されたものであってもよい。さらに、前記復帰部材は、電気的に作動するものであってもよいし、利用者又は介助者が手動で動かすものであってもよい。またさらに、前記復帰部材は、吸着した前記接触部材と前記吸着部材との間に挿入されることで、該接触部材を該吸着部材から離すものであってもよい。
本発明の制動装置によれば、前記接触部材が前記吸着部材に吸着した前記離間状態では、前記車輪は前記接触部材による摩擦力が付与されない状態で回転する。前記復帰部材によって前記接触部材が前記接触状態に戻されると、該接触部材が、前記車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、回動することで前記軸と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる。これにより、回転している前記車輪を制動することができる。さらに、前記軸の位置や前記接触部材の大きさを調整することで、前記車輪に付与される摩擦力の大きさを調整することもできる。
また、前記車輪を制動した後、該車輪を反対方向に回転させることで前記接触部材も反対方向に回動し、やがて該接触部材と該車輪との圧接が解除されると、前記吸着部材によって該接触部材が前記離間状態に回動する。これにより、前記接触部材に制動されることなく前記車輪を回転させることができる。なお、前記車輪が回転していない状態で、前記接触部材が前記離間状態から前記接触状態に戻っても、該接触部材は回動せず該車輪に圧接しない。このとき、前記吸着部材によって前記接触部材が前記離間状態に回動する態様としてもよいし、該接触部材は該接触状態を維持する態様としてもよい。前記接触部材が前記接触状態を維持する態様では、該接触状態において、前記車輪の反対方向の回転に伴い前記接触部材が僅かに回動すれば、該接触部材は、回動する力と磁力とによって前記吸着部材に吸着し、前記離間状態に回動する。
さらに、本発明の制動装置は、前述の特許文献1に記載された制動装置における優れた効果を維持している。具体的には、前記接触部材を前記接触状態に戻せば、回転する前記車輪によって該接触部材が回動して前記軸と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる。したがって、前記接触部材を前記車輪に圧接させる力が不要になる。さらに、前記接触部材は、自重により前記車輪に接触するものであるため、該接触部材を該車輪に接触させる調整が容易である。またさらに、前記接触部材と前記車輪との接触にバネ等の付勢力を用いていないため、前記接触状態を維持しやすく、長期間使用を続けても使用開始当初と同等の摩擦力を安定して付与することが可能になる。
本発明の制動装置において、前記吸着部材は、外周部分に磁石を有し、回動可能に設けられたものであり、
前記接触部材は、前記磁石の磁力によって前記離間状態に回動して初期姿勢の前記吸着部材に吸着するものであり、
前記復帰部材は、前記初期姿勢の前記吸着部材を、吸着した前記接触部材から前記磁石が遠ざかる第2姿勢に回動させることで該接触部材を該吸着部材から離すものであることが好ましい。
ここで、前記接触部材は、前記外周面に、前記吸着部材の前記磁石と引き合う、第2の磁石を有するものであり、該磁石と該第2の磁石双方の磁力によって該吸着部材に吸着するものであってもよい。前記吸着部材は、前記初期姿勢に復帰させる、錘又は付勢部材を有し、前記復帰部材が作動しなくなると、前記第2姿勢から該初期姿勢に戻るものであってもよい。
また、本発明の制動装置において、前記復帰部材は、サーボ機構あるいはエアシリンダ等で構成されたものであってもよいが、本発明の制動装置において、前記復帰部材は、プランジャを有するソレノイドによって構成され、該プランジャを駆動することで前記吸着部材を前記初期姿勢から前記第2姿勢に回動させるものものであることが好ましい。
ここで、前記吸着部材は、前記プランジャが当接する被当接部を有し、該プランジャが駆動して該被当接部に当接すると回動するものであってもよい。また、前記復帰部材は、前記吸着部材と前記プランジャとを接続する接続部材を有し、該プランジャが駆動すると該接続部材を介して該吸着部材を回動させるものであってもよい。
さらに、本発明の制動装置において、前記車輪は車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
前記車椅子の前方又は後方のうち少なくとも一方に位置する障害物を検知する障害物検知手段と、
前記障害物検知手段が前記障害物を検知すると、前記復帰部材を作動させる制御手段と、を備えたものである態様が好ましい。
この態様を採用すれば、前記接触部材を前記離間状態として前記車椅子を前進又は後進させている際に、前方又は後方に位置する障害物を前記障害物検知手段が検知すると前記制御手段によって前記復帰部材が作動し、該離間状態の該接触部材を前記接触状態に戻すことができる。これにより、前記車輪が制動され、前記車椅子の利用者や介助者の、前記障害物との接触を避ける動作を補助することが可能になる。子供用の車椅子など、近年、座面の高さ位置を調整できる車椅子が登場し、このような車椅子において座面の位置を高く設定した場合などは、車椅子の前方や足下が利用者や介助者に見えにくい場合もある。このような、車椅子の前方等が見えにくい場合に、特に好適な態様である。
さらに、前記障害物検知手段によって、前方又は後方における、右側に位置する障害物を検知する右側障害物検知手段と、左側に位置する障害物を検知する左側障害物検知手段を備える態様を採用してもよい。この態様において、例えば、該右側障害物検知手段によって、前方の右側に位置する障害物を検知した場合に、前記制御手段によって左側の前記制動装置における前記復帰手段を作動させる。これにより、左側の前記車輪を制動し、前記車椅子の進行方向を左方向に向け、前記障害物を避けるといった制御も可能になる。
また、本発明の制動装置において、前記車輪は車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
前記車椅子の傾きを検知する傾斜検知手段と、
前記傾斜検知手段が検知した前記車椅子の傾きに応じて、前記復帰部材を作動させる制御手段と、を備えたものであってもよい。
こうすることで、例えば、右側が下方に傾斜した斜面を前記車椅子がその傾斜方向と交差する方向に前進し、前記傾斜検知手段が該車椅子の傾きを検知した場合に、前記制御手段によって左側の前記制動装置における前記復帰手段を作動させる。これにより、左側の前記車輪を制動し、右側の前記車輪による推進力が相対的に高まる。この結果、右側に傾斜した斜面を登る方向の推進力が高まり、前記車椅子が斜面の傾斜方向に落ちていこうとする力に抗して、傾斜方向と交差する方向に前進することを補助する制御が可能になる。
さらに、本発明の制動装置において、前記車輪は車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
前記車椅子に着座した利用者又は前記車椅子を移動させる介助者が操作する操作スイッチと、
前記操作スイッチの操作に応じて、前記復帰部材を作動させる制御手段と、を備えたものである態様としてもよい。
この態様を採用すれば、前記利用者又は前記介助者が前記操作スイッチを操作することで前記復帰部材が作動し、利用者又は介助者が意図するタイミングで前記車輪を制動することができる。
また、本発明の制動装置において、前記車輪は、利用者が着座する座部を有する車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
前記接触部材は、前記接触状態において、前記車椅子が後方に移動する方向の前記車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、前記軸と該車輪に接触する箇所との間隔が回動することで大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなるものであり、
前記復帰部材は、前記利用者が着座し前記座部に力がかかった状態から該座部に力がかからない状態に変化すると作動するものであってもよい。
ここで、前記座部にかかる力を検知する接触センサと、該接触センサの検知結果に基づき、前記復帰部材を作動させる制御手段とを備えたものであってもよい。
こうすることで、利用者が立ち上がる際や、落とした物を拾おうとして前記座部から腰を浮かせた際等には、該座部に力がかからなくなり前記復帰部材が作動し、前記接触部材が前記接触状態に戻る。前記接触状態で前記車椅子がわずかに後進すると、前記接触部材は、該車椅子が後方に移動する方向の前記車輪の回転に伴い回動することで該車輪に付与される摩擦力も大きくなる。これにより、前記車輪の回転を制動することができる。したがって、利用者が立ち上がる際や、利用者が落とした物を拾おうとして該座部から腰を浮かせた際等に、わずかな後進に抑え前記車椅子が不用意に移動してしまうことを阻止することができる。
上記目的を解決する本発明の第2の制動装置は、車輪の回転を制動する制動装置において、
偏心した位置の軸を中心に回動可能に設けられ、自重によって曲面状の外周面が前記車輪に接触するものであって、該車輪に接触した接触状態において、該車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、回動することで該軸と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる接触部材と、
外周部分に磁石を有し、基本姿勢と第2の姿勢との間で回動可能に設けられた離間部材と、
前記離間部材を前記基本姿勢から前記第2の姿勢に回動させる回動機構と、を有し、
前記接触部材は、前記離間部材が前記基本姿勢の状態では前記接触状態となり、該離間部材が前記回動機構によって前記第2の姿勢に回動すると、前記磁石の磁力によって該車輪から離間した離間状態に回動するものであることを特徴とする。
ここで、前記第2の制動装置の前記接触部材は、前記制動装置の前記接触部材と同様に第2磁石を有し、該第2磁石は前記離間部材の前記磁石と引き合うものであってもよいし、鉄等の強磁性体を有するもの又は強磁性体で構成されたものであってもよい。また、前記接触部材は、前記離間状態において、前記離間部材に接触してもよいし、該離間部材と隙間を空けた状態になるものであってもよい。また、前記離間部材は、前記制動装置の前記吸着部材と同様の構成を有するものであってもよい。また、前記回動機構は、前記離間部材に接続し、該離間部材を引っ張る又は押すことで該離間部材を回動させるものであってもよいし、該離間部材に当接することで、該離間部材を回動させるものであってもよい。また、前記車輪は座部を有する車椅子の一対の車輪であって、前記第2の制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、前記回動機構は、該座部に力がかかると作動して前記離間部材を前記基本姿勢から前記第2の姿勢に回動させ、これによって、前記接触部材を、前記離間状態に回動させるものであってもよい。また、前記回動機構は、利用者又は介助者が手動で動かすものであってもよい。例えば、車椅子のハンドル部に設けられた操作部を有し、前記回動機構は、介助者が該操作部を操作することで作動するものであってもよい。また、前記回動機構は、電気的に作動するものであってもよい。例えば、前記回動機構は、電磁石、ソレノイド、サーボ機構あるいはエアシリンダ等を有し、電気的に作動して前記離間部材を回動させるものであってもよい。また、前記接触部材は、自重によって前記車輪に接触する際の圧力を増加させる重りを有するものであってもよい。また、前記回動機構は、前記離間部材を前記第2の姿勢から前記基本姿勢に復帰させる付勢部材を有し、該回動機構が作動しなくなると、該離間部材は、該第2の姿勢から該基本姿勢に戻るものであってもよい。また、前記離間部材は、前記第2の姿勢から前記基本姿勢に復帰する錘等を有し、前記回動機構が作動しなくなると、該第2の姿勢から該基本姿勢に戻るものであってもよい。
本発明の第2の制動装置によれば、前記接触部材は、前記離間部材が前記回動機構によって前記第2の姿勢に回動すると前記離間状態に回動する。すなわち、前記第2の制動装置は、前記車輪の回転を制動することができる前記接触状態を基本とするものである。このため、例えば、前記第2の制動装置を車椅子に設け、該車椅子の座部に力がかかると前記回動機構を作動させる態様を採用すれば、利用者が着座し該座部に力ががかかると前記接触部材が前記離間状態となる。この結果、利用者が前記座部に着座した状態で前記車椅子を後進させることができ、使い勝手を向上させることができる。また、前記座部に力がかからなくなると前記離間部材が前記基本姿勢に戻り前記接触部材を前記接触状態に戻す態様を採用すれば、利用者が立ち上がる際や、落とした物を拾おうとして該座部から腰を浮かせた際等には、該座部に力がかからなくなり該接触部材が該接触状態に戻る。この状態で前記車椅子が後進すると、前記接触部材は、該車椅子が後方に移動する方向の前記車輪の回転に伴い回動することで、前記軸部材と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる。これにより、前記車輪の回転を制動することができる。したがって、利用者が立ち上がる際や、利用者が落とした物を拾おうとして該座部から腰を浮かせた際等に、該車椅子が不用意に移動してしまうことを阻止することができる。
本発明によれば、接触部材を車輪に圧接する力を必要とせず、接触部材を車輪に接触させる調整が容易であり、摩擦力を安定して車輪に付与することができると共に、回転している車輪の制動に好適な制動装置や、さらに使い勝手の良い制動装置を提供することができる。
本発明の制動装置が適用される車椅子の一般的な構成を説明するための斜視図である。 本発明の制動装置を取り付けた車椅子を左側から見た側面図である。 (a)は、図2に示すメインユニットと、車輪の外周部分の一部を抜き出して示す図であり、(b)は、(a)を前方から見た図である。 本発明の制動装置における回路構成の一例を示すブロック図である。 前進する方向に回転している車輪を制動する様子を段階的に示す図である。 接触部材による車輪の制動を解除する様子を示す図である。 第1変形例の制動装置を説明するための図である。 第2変形例の制動装置におけるメインユニットが、後進する方向に回転している車輪を制動する様子を段階的に示す図である。 第3変形例の制動装置におけるメインユニットを示す図である。 第2実施形態の制動装置を取り付けた車椅子を左側から見た側面図である。 第2実施形態の制動装置における回路構成の一例を示すブロック図である。 (a)は、第3実施形態の制動装置を取り付けた車椅子を前方から見た正面図であり、(b)は、(a)を上方から見た平面図である。 第3実施形態の制動装置における回路構成の一例を示すブロック図である。 第4実施形態の制動装置を取り付けた車椅子を左側から見た側面図である。 第4実施形態の制動装置における回路構成の一例を示すブロック図である。 図15に示す第4実施形態の制動装置におけるメインユニットの変形例を示す図である。 (a)は、第2の制動装置と、車輪の外周部分の一部を抜き出して示す図である。(b)は、(a)を後方から見た図である。 図17(a)に示す、第2の制動装置の第2の接触部材が離間状態に回動した様子を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の制動装置は、例えば、車椅子、手押車、子供用自転車などの子供用乗り物、三輪自転車、荷物運搬台車、リヤカー、買物カートあるいはキャスター等の車輪の制動装置として採用することができる。以下の説明では、本発明における制動装置の一実施形態を車椅子に適用した態様を例にあげて説明する。
初めに、本発明の制動装置が適用される車椅子について説明する。
図1は、本発明の制動装置が適用される車椅子の一般的な構成を説明するための斜視図である。以下の説明では、前後あるいは左右の用語は、車椅子1に着座した利用者を基準にして用いている。すなわち、車椅子1に着座した利用者の前方を前とし、後方を後とし、左手側を左とし、右手側を右としている。したがって、図1では、左斜め下方が前になり、右斜め上方が後になり、右斜め下方が左になり、左斜め上方が右になる。また、前進とは車椅子1に着座した利用者の前方に移動することをいい、後進とは車椅子1に着座した利用者の後方に移動することをいう。図2以降においても、図1における前後左右を基準に説明する。
図1に示すように、車椅子1は、車椅子本体10と、車椅子本体10の左右それぞれに回転自在に設けられた車輪T及び補助車輪T1を備えている。車椅子本体10は、利用者が着座する座部11と、この座部11に着座した利用者がもたれかかる背もたれ16と、車体を構成するパイプ状のフレーム12と、左右一対の肘掛13とを備えている。本実施形態の車椅子1は、車椅子本体10の後方側にハンドル部14が設けられている。このハンドル部14は、例えば、介助者などが車椅子1を移動させる際に掴む部分である。本実施形態では、路面や床面に接する外周部分がゴムで構成された車輪Tを採用しており、これら一対の車輪Tが回転することで車椅子1が前進又は後進し、これら一対の車輪Tの回転を停止させることで車椅子1の移動が停止し、これら一対の車輪Tの回転を制動し停止した状態を維持することで車椅子1の停止状態が維持されるものである。
図2は、本発明の制動装置を取り付けた車椅子を左側から見た側面図である。この図2では、紙面の横方向が前後方向になり、紙面と直交する方向が左右方向になる。なお、図2では、図面を簡略化するため、車輪Tのハンドリムやスポークを省略する等、車椅子1を大幅に簡略化して示している。
図2に示すように、制動装置2は、車輪Tの上方に配置されたメインユニット20と、フレーム12における前側の縦フレーム122に取り付けられた制御ボックス71と、図2では後ろ側の縦フレーム121に隠れている背もたれ16(図1参照)の後ろ側に配置されたバッテリー83とを備えている。なお、バッテリー83は、例えば、背もたれ16の後ろ側に設けられているポケット等に収容されている。図2では、車椅子1の左側に設けられた、メインユニット20と制御ボックス71を示しているが、車椅子1の右側にも同一構成の、メインユニット20と制御ボックス71が設けられている。
メインユニット20は、接触部材3と、吸着部材4と、ソレノイド5とを備えており、接触部材3と吸着部材4が矩形状のベース板61に取り付けられ、このベース板61に固定されたL型金具62にソレノイド5が取り付けられている。ベース板61は取付金具63に固定され、この取付金具63が固定バンド64によって後ろ側の縦フレーム121に固定されることで、メインユニット20が車輪Tの上方に配置されている。なお、本実施形態では、メインユニット20が、車輪Tの前後方向の中心よりもやや後ろ側に配置されているが、メインユニット20の位置は車輪Tの周囲であれば特に限定されるものではなく、車輪Tの前後方向の中心よりも前側に配置してもよい。
制御ボックス71には、赤外線センサ81と制御部82(図4参照)が収容されており、制御ボックス71の前面に、赤外線センサ81の発光部811と受光部812が設けられている。
図3(a)は、図2に示すメインユニット20と、車輪Tの外周部分TOの一部を抜き出して示す図であり、図3(b)は、同図(a)を前方から見た図である。この図3では、図面を簡略化するため、図2に示す、取付金具63、固定バンド64、後ろ側の縦フレーム121等は省略している。また、ベース板61やL型金具62に形成されている固定用のボルト挿通孔、固定用のボルトやナット等も省略している。この図3(a)では、左側が前側になり、車輪Tが反時計回りに回転して左側に進むことで前進することになる。また、右側が後側になり、車輪Tが時計回りに回転して右側に進むことで後進することになる。なお、図3(a)に示すメインユニット20は、図2に示す車椅子1の左側に設けられたものであるが、車椅子1の右側に設けられたメインユニット20も同じ構成であるため説明は省略する。
図3(a)及び同図(b)に示すように、メインユニット20は、ベース板61に固定された軸部材31によって回動自在に支持された接触部材3と、ベース板61に固定され接触部材3の回動を規制するストッパ65と、ベース板61に固定された第2軸部材42によって回動自在に支持された吸着部材4と、L型金具62に取り付けられたソレノイド5とを備えたものである。このメインユニット20は、前進する方向の車輪Tの回転を制動するものである。
接触部材3は、樹脂等の磁性体以外の素材によって構成された円盤状のものであり、円筒状の外周面3a、すなわち曲面状の外周面3aを有している。また、接触部材3は、外周面3aにおける周方向の一部であって、図3(b)に示すように、左右方向の中央部分には、網掛けで示した第2磁石32が埋め込まれている。なお、接触部材3の外周面3aには、滑り止めのためのローレット加工等を施してもよい。接触部材3は、水平方向(図3(a)では紙面に直交する方向)に延在した軸部材31を回動中心として回動自在に配置されている。すなわち、軸部材31は、本発明にいう軸の一例に相当する。軸部材31は、接触部材3の中心からズレた偏心位置に設けられている。軸部材31が接触部材3の偏心位置に設けられているため、外周面3aにおける周方向の部位によって軸部材31からの間隔が相違する。
吸着部材4は、円柱状の本体部41と、ベース板61に固定されて水平方向に延在し本体部41を回動自在に支持する第2軸部材42と、突出片43と、錘44とを備え、接触部材3の上方に配置されている。本体部41は、樹脂等の磁性体以外の素材によって構成され、接触部材3よりも小径であって、図3(b)に示すように左右方向の長さが長いものである。また、本体部41にも、接触部材3と同様に、外周面における周方向の一部であって、左右方向の中央部分には、網掛けで示した磁石411が埋め込まれ、円筒状のカバー412によって被覆されている。
錘44は、本体部41の周方向における、磁石411が設けられた位置と同じ位置(図5(a)等参照)であって、図3(b)に示すように接触部材3よりも右側の、接触部材3との接触を避けた位置に設けられている。突出片43は、本体部41の周方向における、磁石411と対向する部分から突出した矩形状の板材であり、左右方向に延在したものである。この吸着部材4は、錘44の重さによって、第2軸部材42を中心に、錘44が設けられた部分、すなわち磁石411が埋め込まれた部分が下方に位置するように回動するものである。
ソレノイド5は、ボックス状のソレノイド本体52と、プランジャ51とを備えたものである。図3(a)は、プランジャ51が駆動する前の状態のソレノイド5を示しており、プランジャ51が駆動すると、一端部51aが前方に突出する。
図3(a)に示す、プランジャ51が駆動する前の状態では、吸着部材4が、錘44の重さによって時計回りに回動し、突出片43がプランジャ51の一端部51aに当接して停止している。以下、吸着部材4における、突出片43がプランジャ51の一端部51aに当接して停止した状態の姿勢を初期姿勢と称する。なお、図3(b)に示すように、プランジャ51の一端部51aは、突出片43の中央部分に当接している。また、吸着部材4の磁石411と接触部材3の第2磁石32との磁力によって、接触部材3が車輪Tから持ち上げられ、吸着部材4に接触部材3が吸着している。これにより、車輪Tと接触部材3との間には隙間Cが生じている。すなわち、接触部材3は、自重によって外周面3aが車輪Tに接触すると共に、磁力によって吸着部材4に吸着され、車輪Tから離間した状態に回動する。以下、接触部材3が車輪Tに接触した状態を接触状態と称し、図3(a)に示す、接触部材3が車輪Tから離間した状態を離間状態と称する。この離間状態では、車輪Tが制動されない状態で、車椅子1を前進及び後進させることができる。
図4は、本発明の制動装置2における回路構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御ボックス71には、ソレノイド制御回路等を備えた制御部82と、この制御部82と電気的に接続された赤外線センサ81が収容されており、制御部82には、電源を供給するバッテリー83が接続されている。また、制御部82には、ソレノイド5が電気的に接続されている。赤外線センサ81が、車椅子1の前方に障害物を検知すると、制御部82が赤外線センサ81から信号を受け取る。信号を受け取った制御部82のソレノイド制御回路は、ソレノイド5を作動させる。なお、本実施形態では、左右一対の制御部82は、それぞれ一対のソレノイド5に接続されており、左右一対の赤外線センサ81のうち一方が障害物を検知した場合には、一対のソレノイド5の両方が作動する回路に構成されている。
図5は、前進する方向に回転している車輪Tを制動する様子を段階的に示す図である。この図5では、車輪Tが反時計回りに回転している。
図5(a)は、図4に示す赤外線センサ81が車椅子1の前方の障害物を検知し、制御部82によってソレノイド5が作動した様子を示している。ソレノイド5が作動して、図5(a)の直線の矢印で示すように、プランジャ51の一端部51aがソレノイド本体52から前方に駆動すると、吸着部材4は、突出片43がプランジャ51の一端部51aに押されて、図3(a)に示す初期姿勢から鎖線の円弧状の矢印で示す反時計回りに回動する。これにより、吸着部材4は、磁石411が接触部材3から遠ざかる第2姿勢に回動する。この結果、磁力によって吸着していた接触部材3は、吸着部材4から離れ、その自重によって、実線の円弧状の矢印で示す時計回りに回動し、離間状態から、その外周面3aが車輪Tの外周部分TOに接触した接触状態に変化する。以下、接触部材3の外周面3aにおける、車輪Tに接触している箇所を接触部と称することがあり、Dを付して両矢印で示す、軸部材31から接触部までの間隔を接触部間隔と称することがある。
図5(b)に示すように、接触状態の接触部材3は、車輪Tの回転に伴い、図では円弧状の矢印で示す時計回りに接触部材3が回動する。接触部材3が回動するにつれて接触部間隔Dは次第に大きくなり、接触部材3は車輪Tに圧接し車輪Tに食い込んでいく。この結果、接触部材3によって車輪Tの外周部分TOに摩擦力が付与され、この摩擦力が次第に増加していく。なお、直線状の矢印で示すように、ソレノイド5は、プランジャ51の一端部51aが後退し、吸着部材4は、錘44の重さによって、鎖線の円弧状の矢印で示す時計回りに回動し、第2姿勢から初期姿勢に戻っていく。
接触部材3が時計回りにさらに回動していき、図5(c)に示すように、やがて接触部材3がストッパ65に当接し、接触部材3の回動が規制される。本実施形態では、接触部間隔Dが最大になる状態で接触部材3の回動が規制されようにストッパ65の位置が調整され、車輪Tの外周部分TOに付与される摩擦力も最大になる。これにより、左右一対のうちの一方の赤外線センサ81が、車椅子1の前方の障害物を検知すると、左右一対の接触部材3により、前進する方向に回転する車輪Tが制動される。この結果、車椅子1の利用者や介助者の、障害物との接触を避ける動作を補助することが可能になる。すなわち、本発明の制動装置2は、回転している車輪Tの制動に好適なものである。また、接触部材3は自重により車輪Tに接触するため、接触部材3を車輪Tに圧接するための力を必要とせず、また、接触部材3を車輪Tに接触させる調整が容易であり、摩擦力を安定して付与することができる。
本実施形態では、ストッパ65の位置によって車輪Tの外周部分TOに付与される摩擦力を調整することができる。例えば、図5(b)の一点鎖線で示すように、接触部間隔Dが最大になる前に接触部材3の回動が規制されるようにストッパ65の位置を調整すれば、車輪Tの外周部分TOに付与される摩擦力を弱く設定することができる。また、図5(c)の一点鎖線で示すように、接触部間隔Dが最大になる状態を超えた状態で接触部材3の回動が規制されるようにストッパ65の位置を設定してもよい。この態様によれば、接触部材3は、ストッパ65に当接した一点鎖線で示す状態からストッパ65とは反対の方向、すなわち反時計回りに回動しようとすると、車輪Tの外周部分TOに付与される摩擦力が最大になる状態までは接触部間隔Dが大きくなり、車輪Tに付与される摩擦力も増加する。このため、ストッパ65に当接した状態から接触部材3を反時計回りに回動させるためには、増加する摩擦力に抗する力が必要になり、この力が付与されない限り、接触部材3はストッパ65に接触した状態で安定する。これにより、車輪Tに摩擦力が付与され、車輪Tの回転が制動された状態が維持される。この結果、車輪Tにブレーキがかかったロック状態になり、図1に示す車椅子1の移動を阻止することが可能になる。これらのように、前進させる方向に回転する車輪Tに対して、弱い摩擦力を付与する態様から、ロック状態として制動させる態様までの調整が可能になる。
図6は、接触部材3による車輪Tの制動を解除する様子を示す図である。
図1に示す車椅子1を後進させる方向(時計回り)に車輪Tを回転させ、あるいは反動により後進させる方向に車輪Tが回転すると、車輪Tの回転に伴い接触部材3が反時計回りに回動し、接触部材3が自重によって車輪Tに接触する接触状態となる。これによって、車輪Tに付与されていた摩擦力が消滅し、車輪Tの回転の制動が解除される。接触部材3は、磁石411と第2磁石32との磁力によってさらに反時計回りに回動して一点鎖線で示すように吸着部材4に吸着され、図3(a)に示す離間状態に戻る。これにより、車輪Tが制動されない状態で、車椅子1を前進及び後進させることができる。
本実施形態では、磁石411と第2磁石32との磁力によって、接触部材3が接触状態から離間状態に戻る態様としている。このため、車輪Tが回転していない状態において、図4に示す赤外線センサ81が車椅子1の前方の障害物を検知し、ソレノイド5が作動して、接触部材3が接触状態になっても、すぐに離間状態に戻り車輪Tは制動されない。なお、車輪Tが後進する方向に回転する力が加わった場合に、接触部材3が接触状態から離間状態に戻るように、磁石411と第2磁石32との磁力を調整してもよい。この態様の場合には、車輪Tが回転していない状態において、接触部材3が離間状態から接触状態になると、接触部材3は接触状態を維持し、車輪Tの後進する方向の回転に伴い離間状態に戻る。
また、上記実施形態では、復帰部材としてソレノイド5を用い、プランジャ51を駆動させることで吸着部材4を回動させる、いわゆる電気的な態様を採用しているが、この態様と併せて、あるいはこの態様に代えて、利用者や介助者が操作する、いわゆる機械的又は機構的な構造によって吸着部材4を回動させてもよい。このような構造は特に限定されるものではないが、例えば、図5(a)において二点鎖線で示すように、吸着部材4の突出片43に紐Wを設け、利用者や介助者が紐Wを引っ張ることで吸着部材4を回動させる態様を例示できる。
次に、図2〜図6に示す第1実施形態の制動装置2の変形例及び他の実施形態について説明する。以下に説明する変形例及び他の実施形態においては、図2〜図6に示す第1実施形態との相違点を中心に説明し、図2〜図6に示す第1実施形態における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
図7は、第1変形例の制動装置2を説明するための図である。この図7は、第1変形例の制動装置2が設けられた車椅子1を上方から見た平面図であり、上方が車椅子1の前進する方向になる。また、図面を簡略化するため、左右一対のメインユニット20を塗りつぶして示すとともに、赤外線センサ81(図4参照)の発光部811から発光される赤外線を、模式的に網掛けで示している。
図7に示すように、本変形例の制動装置2は、左側の制御ボックス71に収容された制御部82(図4参照)は、右側のメインユニット20のソレノイド5(図2参照)に接続され、右側の制御ボックス71に収容された制御部82(図4参照)は、左側のメインユニット20のソレノイド5(図2参照)に接続されている。
本変形例では、例えば図7に示すように、前進している車椅子1における、左側の赤外線センサ81(図4参照)が、車椅子1の前方の左側に障害物Hを検知すると、右側のメインユニット20のソレノイド5が作動し、右側の車輪Tの回転が制動される。これにより、一点鎖線で示すように、車椅子1の進行方向が右側に向き、車椅子1の利用者や介助者の、障害物Hとの接触を避ける動作を補助することが可能になる。一方、右側の赤外線センサ81が、車椅子1の前方の右側に障害物Hを検知した場合には、左側のメインユニット20のソレノイド5が作動することで左側の車輪Tの回転が制動され、車椅子1の進行方向が左側に向く。また、車椅子1の前方の中央に障害物Hがある場合には、左右一対の赤外線センサ81で検知し、左右の車輪Tを制動させて車椅子1の進行方向を変えずに停止させる態様としてもよい。
図8は、第2変形例の制動装置におけるメインユニットが、回転している車輪を制動する様子を段階的に示す図である。この図8では、車輪Tが時計回りに回転しており、本変形例の制動装置は、後進する方向に回転している車輪Tを制動するものである。
図8(a)に示すように、本変形例のメインユニット20’は、第1実施形態に対して、ソレノイド5が反対向きにL型金具62に固定され、プランジャ51の他端部51bと、吸着部材4の突出片43とが、紐53によって接続されている。また、図示は省略するが、本変形例の制動装置2は、赤外線センサ81(図4参照)が車椅子1の後方の障害物を検知するように、制御ボックス71(図2参照)が車椅子1の後方に向けて設けられている。
赤外線センサ81が車椅子1の後方の障害物を検知すると、ソレノイド5が作動して、図8(b)の直線の矢印で示すように、プランジャ51の他端部51bがソレノイド本体52側に駆動(後退)し、吸着部材4は、同図(a)に示す初期姿勢から、突出片43が紐53に引っ張られて鎖線の円弧状の矢印で示す時計回りに回動する。これにより、吸着部材4は、磁石411が、接触部材3から遠ざかる第2姿勢に回動する。この結果、磁力によって吸着していた接触部材3は、吸着部材4から離れ、その自重によって、実線の円弧状の矢印で示す反時計回りに回動し、離間状態から、その外周面3aが車輪Tの外周部分TOに接触した接触状態に変化する。
図8(c)に示すように、接触状態の接触部材3は、車輪Tの回転に伴い、図では円弧状の矢印で示す時計回りに回動する。接触部材3が回動するにつれて接触部間隔Dは次第に大きくなり、接触部材3は車輪Tに圧接し車輪Tに食い込んでいく。この結果、接触部材3によって車輪Tの外周部分TOに摩擦力が付与され、この摩擦力が次第に増加していく。これにより、赤外線センサ81が、車椅子1の後方の障害物を検知すると、左右一対の接触部材3により、車椅子1が後進する方向に回転する車輪Tを制動することができる。なお、直線状の矢印で示すように、ソレノイド5は、プランジャ51の他端部51bがソレノイド本体52から突出し、吸着部材4は、錘44の重さによって、鎖線の円弧状の矢印で示す反時計回りに回動し、第2姿勢から初期姿勢に戻る。
図9は、第3変形例の制動装置におけるメインユニットを示す図である。
車輪Tの、前進する方向の回転と後進する方向の回転との双方を制動させるためには、前進する方向に回転する車輪Tを制動する、第1実施形態のメインユニット20と、後進する方向に回転する車輪Tを制動する、第2変形例のメインユニット20’とを、それぞれ設けることも可能である。ただし、図9に示す本変形例のメインユニット20’’のように、1つのベース板61に、それぞれの、接触部材3、吸着部材4及びソレノイド5を設けることで、装置の小型化及び部材の共通化を図ることができる。なお、本変形例では、1つのストッパ65によって、両者のストッパ機能を兼用する態様を採用している。
図10は、第2実施形態の制動装置2を取り付けた車椅子1を左側から見た側面図である。
図10に示すように、本実施形態の制動装置2は、図2に示す第1実施形態の制動装置2における、制御ボックス71及びバッテリー83に代えて、操作スイッチ84と、第2制御ボックス72とを備えている。操作スイッチ84は、肘掛13とハンドル部14それぞれに設けられ、肘掛13に設けられた操作スイッチ84は、利用者が操作するものであり、ハンドル部14に設けられた操作スイッチ84は、介助者が操作するものである。なお、操作スイッチ84は、肘掛13とハンドル部14のうち、いずれか一方に設けてもよい。第2制御ボックス72は、背もたれ16(図1参照)の後ろ側に配置されている。
図11は、第2実施形態の制動装置2における回路構成の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、第2制御ボックス72には、制御部82と、この制御部82に接続されたバッテリー83が収容されており、制御部82には、操作スイッチ84が電気的に接続されている。また、制御部82には、ソレノイド5が電気的に接続されている。利用者又は介助者によって操作スイッチ84が操作されると、制御部82が操作スイッチ84から信号を受け取る。信号を受け取った制御部82のソレノイド制御回路は、ソレノイド5を作動させ、車輪Tを制動することができる。
図12(a)は、第3実施形態の制動装置2を取り付けた車椅子1を前方から見た正面図であり、同図(b)は、同図(a)を上方から見た平面図である。本実施形態の制動装置2は、図12(a)に示すような傾斜面を、その傾斜方向と交差する方向に進行する際の補助作用を奏するものである。なお、図12(b)では、図の下側が車椅子1の前進方向になる。また、図13は、第3実施形態の制動装置2における回路構成の一例を示すブロック図である。
図12(a)及び同図(b)に示すように、本実施形態の制動装置2は、背もたれ16の後ろ側に配置された第3制御ボックス73を備えている。図13に示すように、第3制御ボックス73には、制御部82と、この制御部82に接続されたバッテリー83と、制御部82に電気的に接続された傾斜センサ85が収容されている。傾斜センサ85は、車椅子1の左右の傾きを検知するものである。また、制御部82には、ソレノイド5が電気的に接続されている。傾斜センサ85によって車椅子1の傾きが検知されると、制御部82が傾斜センサ85から信号を受け取る。信号を受け取った制御部82のソレノイド制御回路は、車椅子1の傾きが所定角度以上の場合には、ソレノイド5を駆動させ、車輪Tを制動する。具体的には、図12(a)に示すように、左側が下方に傾斜した斜面を車椅子1がその傾斜方向と交差する方向に前進する場合には、制御部82は、右側のメインユニット20におけるソレノイド5を作動させる。これにより、右側の車輪Tが制動され、点線の矢印で概念的に示す、右側の車輪Tによる推進力に比べて、実線の矢印で概念的に示す、左側の車輪Tによる推進力が相対的に高まる。この結果、左側に傾斜した斜面を登る方向の推進力が高まり、車椅子1が斜面の傾斜方向に落ちていこうとする力に抗して、傾斜方向と交差する方向に前進することを補助する制御が可能になる。
図14は、第4実施形態の制動装置2を取り付けた車椅子1を左側から見た側面図である。
図14に示すように、本実施形態の制動装置2は、接触センサ86と、第2制御ボックス72とを備え、後進する方向に回転する車輪Tを制動するメインユニット20’が設けられている。接触センサ86は、座部11(図1参照)の下面に設けられ、座部11にかかる力を検知するものである。利用者が立ち上がる際や、落とした物を拾おうとして座部11から腰を浮かせた際等には、座部11に力がかからなくなり、接触センサ86により検知される。なお、接触センサ86に代えて、ピエゾ抵抗式のひずみセンサやリミットスイッチ、あるいは、利用者の着座の有無を光学的に検知する赤外線センサを採用してもよい。
図15は、第4実施形態の制動装置2における回路構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、第2制御ボックス72に収容された制御部82には、接触センサ86が電気的に接続されている。また、制御部82には、ソレノイド5が電気的に接続されている。利用者が立ち上がる等して座部11に力がかからなくなると、制御部82が接触センサ86から信号を受け取る。信号を受け取った制御部82のソレノイド制御回路は、ソレノイド5を作動させ、車輪Tを制動することができる。これにより、利用者が立ち上がる際や、利用者が落とした物を拾おうとして座部11から腰を浮かせた際等に、車椅子1がわずかに後進すると、車輪Tを制動し、不用意な車椅子1の移動を阻止することができる。
図16は、図15に示す第4実施形態の制動装置2におけるメインユニット20’の変形例を示す図である。
図16に示すように、メインユニット20’は、図14に示すソレノイド5が省略され、ベース板61に固定されたガイド金具66と、そのガイド金具66の挿通孔661に挿通された状態で立設したリンク部材91とを備えている。リンク部材91の上端部分には、取付ピン911が設けられ、吸着部材4における本体部41の側面には、第2取付ピン45が設けられている。また、これら取付ピン911と第2取付ピン45とが、引張ばね92によって連結されている。
図示は省略するが、本変形例では、座部11(図1参照)に力がかかった状態から座部11に力がかからない状態に変化すると、図16の太い直線の矢印で示すように、リンク部材91を持ち上げるリンク機構を備えている。リンク部材91が持ち上がると、図の細い直線の矢印で示すように引張ばね92に引っ張られ、破線の円弧状の矢印で示すように吸着部材4が時計回りに回転する。これにより、接触部材3は、吸着部材4から離れて接触状態に変化し、後進する方向に回転する車輪Tを制動することができる。本変形によっても、利用者が立ち上がる際や、利用者が落とした物を拾おうとして座部11から腰を浮かせた際等に、車椅子1がわずかに後進すると、車輪Tを制動することができる。
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、吸着部材4と接触部材3の双方に磁石を設けているが、吸着部材4に磁石を設けると共に、接触部材3を鉄等の強磁性体で構成する、あるいは接触部材3の一部に鉄等の強磁性体を設けてもよい。また、上記実施形態では、吸着部材4を回動させることで、吸着部材4に吸着した接触部材3を離す態様としているが、吸着部材4と接触部材3との間に挿入可能な挿入部材を復帰部材として採用してもよい。この態様では、挿入部材を吸着部材4と接触部材3との間に挿入させることによって、吸着部材4から接触部材3が離れ、接触部材3が接触状態に戻る。この挿入部材は、センサ等の検知結果に応じて電気的に駆動するものであってもよいし、利用者又は介助者が手動で動かすものであってもよい。なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
次いで、本発明の第2の制動装置2’の実施形態について説明する。以下に説明する第2の制動装置の実施形態においては、これまで説明してきた、図2〜図16に示す制動装置2との相違点を中心に説明し、図2〜図16に示す制動装置2における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
本発明の第2の制動装置2’も、例えば、車椅子、手押車、子供用自転車などの子供用乗り物、三輪自転車、荷物運搬台車、リヤカー、買物カートあるいはキャスター等の車輪の制動装置として採用することができ、特に、車椅子に好適に用いることができる。以下の説明では、本発明の第2の制動装置2’における一実施形態を、図1に示す車椅子1に適用した態様を例にあげて説明する。
図17(a)は、第2の制動装置2’と、車輪Tの外周部分TOの一部を抜き出して示す図である。なお、図17(a)では、左側が車椅子1(図1および図2参照)の前方になり、右側が車椅子1の後方になる。図17(b)は、同図(a)を後方から見た図である。なお、図17(b)では、図面を簡略化するため、車輪Tを省略するとともに、詳しくは後述する回動機構50については、図17(a)に示すロッド503の途中部分までを示している。
図17(a)および同図(b)に示すように、第2の制動装置2’は、第2の接触部材3’と、離間部材40と、回動機構50とを備えている。第2の接触部材3’と離間部材40は、矩形状のベース板61に取り付けられ、ベース板61は、車椅子1のフレーム12(図2等参照)に取り付けられた取付金具等(不図示)によって、車輪Tの後方における中心よりもやや下方位置に設けられている。これにより、本実施形態では、第2の接触部材3’が車輪Tの外周部分TOにおける中心よりもやや下方の位置に接触する態様を採用している。なお、第2の接触部材3’が車輪Tの外周部分TOに接触する位置は、特に限定されるものではなく、第2の接触部材3’が車輪Tの外周部分TOにおける中心よりも上方の位置に接触する態様を採用することも可能である。
第2の接触部材3’は、図3等に示す、制動装置2の接触部材3と略同様の構成を有しており、ゴムや樹脂、アルミニウム等の磁性体以外の素材によって構成された円盤状のものであって、円筒状の外周面3aを有している。また、第2の接触部材3’も、外周面3aにおける周方向の一部には、網掛けで示した第2磁石32が埋め込まれている。第2の接触部材3’は、水平方向に延在した軸部材31を回動中心として回動自在に配置されている。なお、第2の接触部材3’は、外側に膨出した膨出部3bを有している。これにより、軸部材31の位置を、より外周側に設定して自重によって車輪Tに接触する際の圧力を増加させることができる。また、第2の接触部材3’は、重り(不図示)を取り付けるための取付孔3cを有している。この取付孔3cに重りを取り付けることで、自重によって車輪Tに接触する際の圧力を増加させることもできる。なお、第2の接触部材3’に設ける重りは、外側に張り出す態様に限らず、第2の接触部材3’に埋め込むものであってもよい。
図17(a)は、第2の接触部材3’が、自重によって、その外周面3aが車輪Tの外周部分TOに接触した接触状態を示しており、この状態で車椅子1が後進すると、第2の接触部材3’は、車椅子1が後方に移動する方向の車輪Tの回転(図では時計回りの回転)に伴い回動する。これにより、一点鎖線で示すように、軸部材31と車輪Tに接触する箇所との間隔が大きくなり車輪Tに付与される摩擦力も大きくなり、車輪Tの回転を制動することができる。
図17(a)および同図(b)に示すように、離間部材40は、基部402と、中心が中空となったリング部401とを有している。基部402は、大径の大径部4022と、小径の小径部4021とが一体に構成された段付き形状のものであり、小径部4021にリング部401が嵌め込まれ、不図示のボルト等によって基部402とリング部401とが固定されている。これら基部402とリング部401は、第3軸部材403を中心に回転自在のものである。また、リング部401の、外周面における周方向の一部には、網掛けで示した磁石4011が埋め込まれている。
図17(a)に示すように、回動機構50は、ワイヤー501と、ロッド503と、ばね5021を有しワイヤー501とロッド503とを連結するプルユニット502と、第2ばね504と、第3ばね505とを有している。ワイヤー501は、一端側がプルユニット502に接続し、不図示の他端側は、例えば、図1に示す車椅子1の座部11の下方に設けられたリンク機構に接続されている。このリンク機構の詳細は省略するが、利用者が座部11に着座し、座部11に力がかかるとワイヤー501を引っ張り、利用者が立ち上がって座部11に力がかからなくなるとワイヤー501の引っ張りが解除される公知のリンク機構を採用することができる。なお、ワイヤー501は、不図示の他端側を、車椅子1のハンドル部14に設けられた操作部(不図示)に接続させ、介助者等が操作部を操作することで引っ張られるものであってもよい。
ロッド503は、一端側がプルユニット502に接続し、他端側の端部5031には、第2ばね504の一方の端部が取り付けられている。図17(b)に示すように、第2ばね504の他方の端部は、離間部材40の大径部4022に設けられた取付ピン4022aに取り付けられている。第3ばね505は、その一方の端部が取付ピン4022aに取り付けられ、他方の端部が、ベース板61に設けられた取付ボルト67に取り付けられている。本実施形態では、第3ばね505の弾性力は、第2ばね504の弾性力よりも弱く(例えば、1/2〜1/4程度に)設定されており、第3ばね505は、主として離間部材40の姿勢を安定させる機能を有している。なお、第2ばね504と第3ばね505を省略し、ロッド503を離間部材40に直接取り付ける態様としてもよい。具体的には、ロッド503の他端側の端部5031を、離間部材40の取付ピン4022a等に取り付けてもよい。
図17は、離間部材40が、本発明にいう基本姿勢の状態を示している。離間部材40が基本姿勢の状態では、離間部材40の磁石4011と、第2の接触部材3’の第2磁石32とは、互いに引き合わない程度の間隔、あるいは第2の接触部材3’の自重に抗して第2の接触部材3’を車輪Tから離間させる力よりも弱い力で引き合う程度の間隔を有している。この間隔を、以下、基本姿勢における間隔と称することがある。本実施形態では、第2ばね504と第3ばね505によって離間部材40の姿勢が安定するが、離間部材40が、基部402にリング部401を固定する構成であるため、基部402に対してリング部401を回転させることで磁石4011の位置を変更することができる。これによって、離間部材40の磁石4011と、第2の接触部材3’の第2磁石32との間隔を、基本姿勢における間隔に容易に調整することができる。
図18は、図17(a)に示す、第2の制動装置2’の第2の接触部材3’が離間状態に回動した様子を示す図である。
例えば、図1に示す車椅子1の座部11に利用者が着座することで座部11に力がかかり、ワイヤー501が図では左斜め上方に引っ張られると、ばね5021が縮みプルユニット502によって、ロッド503も左斜め上方に引っ張られる。これにより、第2ばね504を介して、離間部材40が図では反時計回りに回動していく。これにより、離間部材40の磁石4011と、第2の接触部材3’の第2磁石32とが引き合い、第2の接触部材3’が図では時計回りに回動していく。すなわち、離間部材40が、基本姿勢から、本発明にいう第2の姿勢に回動することで、基本姿勢における間隔から徐々に間隔が狭まっていき、車輪Tの外周部分TOと、第2の接触部材3’の外周面3aとの間に隙間Cが生じた離間状態になる。これにより、利用者は、座部11に着座した状態で、車輪Tが制動されることなく車椅子1を移動させることができる。本実施形態では、離間状態において、離間部材40と第2の接触部材3’との間に隙間を空け、第2の接触部材3’が接触状態に戻りやすい態様を採用している。ただし、離間状態において、第2の接触部材3’が離間部材40に接触する態様としてもよい。なお、離間状態において、離間部材40と第2の接触部材3’との間に隙間が生じる態様の場合には、第2の接触部材3’が第2の姿勢を超えて回動してしまう虞がある。このため、ベース板61には、ボルト取付孔61aが形成されており、このボルト取付孔61aに回り止め用のボルトを取り付ければ、第2の接触部材3’の必要以上の回動を阻止することもできる。
利用者が立上り、座部11に力がかからなくなると、ワイヤー501の引っ張りが解除され、ばね5021の弾性力によりプルユニット502が伸張し、ロッド503が右斜め下方に移動する。これにより、離間部材40が図では時計回りに回動していき基本姿勢に戻る。これに伴い、第2の接触部材3’が図では反時計回りに回動していき、接触状態に戻る。これにより、利用者が立ち上がる際や、利用者が落とした物を拾おうとして座部11から腰を浮かせた際等に、車椅子1が不用意に後方に移動してしまうことを阻止することができる。なお、利用者が座部11に着座していなくても、介助者等が車椅子1を移動させる際に、車椅子1のハンドル部14に設けられた操作部を操作することで離間部材40を第2の姿勢に回動させ、第2の接触部材3’を離間状態としてもよい。この態様を採用すれば、利用者が着座していない車椅子1の移動をスムーズに行うことができる。また、本実施形態では、第2ばね504を設けているため、例えば離間部材40に操作部を設け、利用者が座部11に着座した離間状態においても、操作部を操作することで離間部材40を第2ばね504の弾性力に抗して時計回りに回動させることができる。これにより、第2の接触部材3’を接触状態にすることができ、利用者が座部11に着座していても車輪Tを制動させることができる。
本発明の第2の制動装置2’によれば、さらに使い勝手の良い制動装置を提供することができる。
本発明の第2の制動装置も、上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、第2の接触部材3’は、第2磁石32を有しているが、第2の接触部材3’を、鉄等の強磁性体を有するもの又は強磁性体で構成してもよい。また、回動機構50は、押すことで離間部材40を回動させるものであってもよいし、当接することで離間部材40を回動させるものであってもよい。また、回動機構50は、電気的に作動するものであってもよい。例えば、回動機構50は、電磁石、ソレノイド、サーボ機構あるいはエアシリンダ等を有し、電気的に作動して離間部材40を回動させるものであってもよい。また、離間部材40は、第2の姿勢から基本姿勢に復帰する錘等を有し、回動機構50が作動しなくなると、第2の姿勢から基本姿勢に戻るものであってもよい。
なお、制動装置2の各実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、第2の制動装置2’の実施形態に適用してもよい。
1 車椅子
2 制動装置
20,20’,20’’ メインユニット
3 接触部材
3a 外周面
31 軸部材
32 第2磁石
4 吸着部材
411 磁石
5 ソレノイド
51 プランジャ
51a 一端部
51b 他端部
65 ストッパ
81 赤外線センサ
82 制御部
83 バッテリー
84 操作スイッチ
85 傾斜センサ
86 接触センサ
C 隙間
D 接触部間隔
H 障害物
T 車輪
TO 外周部分
2’ 第2の制動装置
3’ 第2の接触部材
40 離間部材
50 回動機構

Claims (8)

  1. 車輪の回転を制動する制動装置において、
    偏心した位置の軸を中心に回動可能に設けられ、自重によって曲面状の外周面が前記車輪に接触するものであって、該車輪に接触した接触状態において、該車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、回動することで該軸と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる接触部材と、
    前記接触状態の前記接触部材を磁力によって吸着させ、該車輪から離間した離間状態に回動させる吸着部材と、
    前記離間状態の前記接触部材を該吸着部材から離し、前記接触状態に戻す復帰部材と、を備えたものであることを特徴とする制動装置。
  2. 前記吸着部材は、外周部分に磁石を有し、回動可能に設けられたものであり、
    前記接触部材は、前記磁石の磁力によって前記離間状態に回動して初期姿勢の前記吸着部材に吸着するものであり、
    前記復帰部材は、前記初期姿勢の前記吸着部材を、吸着した前記接触部材から前記磁石が遠ざかる第2姿勢に回動させることで該接触部材を該吸着部材から離すものであることを特徴とする請求項1記載の制動装置。
  3. 前記復帰部材は、プランジャを有するソレノイドによって構成され、該プランジャを駆動することで前記吸着部材を前記初期姿勢から前記第2姿勢に回動させるものであることを特徴とする請求項2記載の制動装置。
  4. 前記車輪は車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
    前記車椅子の前方又は後方のうち少なくとも一方に位置する障害物を検知する障害物検知手段と、
    前記障害物検知手段が前記障害物を検知すると、前記復帰部材を作動させる制御手段と、を備えたものであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の制動装置。
  5. 前記車輪は車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
    前記車椅子の傾きを検知する傾斜検知手段と、
    前記傾斜検知手段が検知した前記車椅子の傾きに応じて、前記復帰部材を作動させる制御手段と、を備えたものであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の制動装置。
  6. 前記車輪は車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
    前記車椅子に着座した利用者又は前記車椅子を移動させる介助者が操作する操作スイッチと、
    前記操作スイッチの操作に応じて、前記復帰部材を作動させる制御手段と、を備えたものであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の制動装置。
  7. 前記車輪は、利用者が着座する座部を有する車椅子の一対の車輪であって、前記制動装置は、該車椅子の該一対の車輪それぞれに設けられ、該一対の車輪それぞれの回転を制動するものであり、
    前記接触部材は、前記接触状態において、前記車椅子が後方に移動する方向の前記車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、前記軸と該車輪に接触する箇所との間隔が回動することで大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなるものであり、
    前記復帰部材は、前記利用者が着座し前記座部に力がかかった状態から該座部に力がかからない状態に変化すると作動するものであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の制動装置。
  8. 車輪の回転を制動する制動装置において、
    偏心した位置の軸を中心に回動可能に設けられ、自重によって曲面状の外周面が前記車輪に接触するものであって、該車輪に接触した接触状態において、該車輪の回転に伴い回動して該車輪に圧接し、回動することで該軸と該車輪に接触する箇所との間隔が大きくなり該車輪に付与される摩擦力も大きくなる接触部材と、
    外周部分に磁石を有し、基本姿勢と第2の姿勢との間で回動可能に設けられた離間部材と、
    前記離間部材を前記基本姿勢から前記第2の姿勢に回動させる回動機構と、を有し、
    前記接触部材は、前記離間部材が前記基本姿勢の状態では前記接触状態となり、該離間部材が前記回動機構によって前記第2の姿勢に回動すると、前記磁石の磁力によって該車輪から離間した離間状態に回動するものであることを特徴とする制動装置。
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