JP2019098269A - 反応方法 - Google Patents
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【課題】本発明は、管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層における局所的異常高温部の発生を抑制することにより当該触媒層の反応効率を改善する反応方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る反応方法は、管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層に原料流体を供給する工程を含み、上記触媒層が、活性の異なる触媒Aおよび触媒Bが、上記反応管の入口から出口方向に向けて触媒B−触媒A−触媒Bの順に積層化されたものであり、上記触媒Bの活性は上記触媒Aの活性よりも高く、上記触媒Aの層に、一方の端部から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する反応熱制御用充填物が、その最小端部が上記反応管の出口方向に向けて設置されていることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層における局所的異常高温部の発生を抑制することにより当該触媒層の反応効率を改善する反応方法に関するものである。
不均一系固体触媒に反応原料気体を連続的に接触させて行う気相接触反応において、その反応が発熱を伴う場合には、通常、熱交換型反応器が用いられる。特に、発熱の大きい気相酸化反応を工業的に実施する際には、主に管式熱交換型反応器が用いられている。発熱の大きい気相酸化反応としては、例えば、エチレンの酸化によるエチレンオキサイドの製造、プロピレンの酸化によるアクロレインおよびアクリル酸の製造、イソブチレンの酸化によるメタクロレインおよびメタクリル酸の製造、ベンゼンの酸化による無水マレイン酸の製造などが挙げられる。
工業的に用いられる管式熱交換型反応器は、固体触媒が充填された内径20〜50mm、長さ1〜20mの反応管が熱媒体と接触することによって反応に係る熱の除去をおこなう仕組みとなっている。通常、管式熱交換型反応器の熱媒体は反応管が接触する全域で可能な限り均一温度になる様に設計されているため、反応原料濃度の高い反応管入口付近の触媒への負荷が大きくなり、反応管入口から出口にかけて触媒の劣化度合いに大きな偏りが生じ、所望の反応成績を維持できなくなる時期が早まる場合がある。発熱の大きい反応の場合は反応管入口付近の除熱が不充分となり、触媒層温度が上昇し、副反応の増加を招くばかりでなく触媒の損傷や反応の暴走を招く危険性もある。
このような局所的異常高温部の発生を防ぐ方法として、特許文献1には反応管内部に、端部および/または途中から他方の端部に向けて連続的、不連続的および/または段階的に体積が減少する形状を有する反応管用充填物を触媒と共に用いる方法が開示されている。
本発明は、管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層における局所的異常高温部の発生を抑制することにより当該触媒層の反応効率を改善する反応方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、管式熱交換型反応器を用いて行う発熱を伴う固定床流通反応に関して、反応管内触媒層において反応ガス入口側から出口側に向けての転化率変化を詳細に調べた結果、反応管入口近傍および出口近傍の反応割合が相対的に低いという知見を得た。また、局所的異常高温部の発生を防ぐ効果を有する反応管用充填物を触媒と共に用いる際には、反応管入口近傍の反応割合が更に低くなるという知見も得た。
これら知見に基づいて、反応割合が相対的に低い領域の反応割合を増加させれば、副反応割合を増加させることなく、反応管容積あたりの生産性が向上するとの着想に至った。
以下、本発明を示す。
これら知見に基づいて、反応割合が相対的に低い領域の反応割合を増加させれば、副反応割合を増加させることなく、反応管容積あたりの生産性が向上するとの着想に至った。
以下、本発明を示す。
[1] 管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層に原料流体を供給する工程を含み、
上記触媒層が、活性の異なる触媒Aおよび触媒Bが、上記反応管の入口から出口方向に向けて触媒B−触媒A−触媒Bの順に積層化されたものであり、
上記触媒Bの活性は上記触媒Aの活性よりも高く、
上記触媒Aの層に、一方の端部から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する反応熱制御用充填物が、その最小端部が上記反応管の出口方向に向けて設置されていることを特徴とする反応方法。
[2] 上記触媒Aと上記触媒Bが同一の組成を有し、且つ、上記触媒Bの大きさが上記触媒Aよりも小さい上記[1]に記載の反応方法。
[3] 上記原料流体が不飽和炭化水素および分子状酸素を含むものである上記[1]または[2]に記載の反応方法。
上記触媒層が、活性の異なる触媒Aおよび触媒Bが、上記反応管の入口から出口方向に向けて触媒B−触媒A−触媒Bの順に積層化されたものであり、
上記触媒Bの活性は上記触媒Aの活性よりも高く、
上記触媒Aの層に、一方の端部から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する反応熱制御用充填物が、その最小端部が上記反応管の出口方向に向けて設置されていることを特徴とする反応方法。
[2] 上記触媒Aと上記触媒Bが同一の組成を有し、且つ、上記触媒Bの大きさが上記触媒Aよりも小さい上記[1]に記載の反応方法。
[3] 上記原料流体が不飽和炭化水素および分子状酸素を含むものである上記[1]または[2]に記載の反応方法。
本発明により、反応管内部に形成された触媒層における局所的異常高温部の発生をより一層効果的に抑制することにより当該触媒層の反応効率を改善することができ、反応管容積あたりの生産性を向上することが可能になる。
本発明において用いられる局所的異常高温部の発生を防ぐ効果を有する反応熱制御用充填物は、WO2015/068640に開示された様に、反応管に設置したときに、原料流体が導入される側の端部から他方の端部に向けて体積が減少する形状を有しておればどの様な外形でもよく、その体積変化は連続的または段階的でもよい。また、反応熱制御用充填物は、その内部から外表面方向に原料流体が通過可能な開孔部を有することが好ましい。
反応熱制御用充填物は底面部といえる部分を有する。かかる底面部は、充填物の高さ方向に直交する方向で最も大きな断面積を有する端部である。例えば充填物が側面部に加えてさらに上面部を有する場合には、底面部は上面部よりも大きな面積を有する。当該充填物を、当該底面部が反応管の触媒層における原料流体入口側に存在するよう反応管内に設置した場合、当該底面部の面積に応じて反応管触媒層の原料流体入口側における触媒量を減らし、触媒層入口側における局所的異常高温部や局所的異常低温部の発生を抑制することが可能になる。かかる底面部は完全な面である必要はなく、凹凸を有していたり、或いは触媒が内部に侵入しない範囲で孔を有していたり網目状になっていてもよい。
反応熱制御用充填物は、端部から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有することを特徴とする。上記の「端部」は、上記底面部に相当し、充填物の高さ方向に直交する方向の断面積が最も大きな端部をいう。なお、ここでの「充填物の高さ方向」とは、充填物のある端部からその反対側の端部までの長さが最も長い方向をいうものとする。「他方の端部」は、上記底面部の反対側の端部であり、例えば、充填物が上面部を有する場合は上面部をいい、充填物が錐体である場合は頂点をいう。一方の端部から他方の端部に向けて段階的に体積が減少する場合、体積が減少し始める充填物の高さ方向における底面部からの位置としては、充填物の高さ方向において底面部の位置を0%、他方の端部の位置を100%とした場合に、70%以下、60%以下または50%以下が好ましく、40%以下、30%以下または20%以下がより好ましく、15%以下または10%以下が特に好ましい。
上記の「連続的に体積が減少する形状」とは、充填物の高さ方向に直交する方向の断面積が、充填物の底面部からの距離が大きいほど小さくなる形状をいう。また、「段階的に体積が減少する形状」とは、充填物の底面部面積に比べて他方の端部における面積が小さく、且つ、充填物の高さ方向に直交する方向の断面積が、底面部からの距離が異なる位置において同一である箇所が1以上存在するが、底面部からの距離がより大きな位置における当該断面積がより小さな位置に比べて大きいことはない形状をいう。即ち、上記の「体積」は、充填物の高さ方向に直交する方向の断面積に相当する。
反応熱制御用充填物の材質は、反応温度において耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、金属やセラミックスを用いることができる。
本発明に係る充填物の大きさは、使用する反応管の大きさや反応の種類などに応じて適宜決定すればよい。一般的には、例えば、底面部の円相当直径が5mm以上、40mm以下程度、高さを20mm以上、10m以下程度とすることができる。より具体的には、充填物の大きさは、充填物を挿入すべき反応管中の触媒層に応じて適宜決定すればよい。例えば、反応管の内部断面積、即ち触媒層の断面積に対する充填物の最大断面積、即ち充填物の底面部の面積の割合としては、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。当該割合が10%以上であれば、反応管の入口側、即ち触媒層の原料流体入口側における触媒への負荷をより確実に軽減することができる。また、当該割合としては、100%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。後述するように充填物の底面部に開孔部を設ければ、当該割合が100%であっても、触媒層へ原料流体を導入することができる。
反応管の内部断面積、即ち触媒層の断面積に対する充填物の最小断面積、即ち充填物の底面部の反対側端部の断面積の割合としては、0%以上、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。当該割合が0%の場合は、充填物の底面部の反対側端部の断面積がゼロであり、充填物の形状は錐体などである。また、当該割合が50%以下であれば、反応効率の低下をより確実に抑制することができる。
充填物の高さとしては、反応管中の触媒A層の長さに対して10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。当該割合が10%以上であれば、反応管の入口部、即ち触媒層の原料流体入口側における触媒への負荷をより確実に軽減することができる。一方、当該割合としては、90%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。当該割合が90%以下であれば、反応効率の低下をより確実に抑制できる。
反応熱制御用充填物は、中空であり、その内部から外表面方向に原料流体が通過可能な開孔部を有することが好ましい。開孔部を有した構造にすることにより、原料流体が通過し得るとした場合は、原料流体は分散して当該充填物周囲の触媒と接触するため、更に反応割合の偏りを抑制できる。この場合、当該充填物は触媒層の空隙率を向上させる効果を有し、触媒層の圧力損失を低減することができる。
充填物の内部から外表面方向に原料流体が通過可能な開孔部を有する構造とした場合、例えば反応管の入口と出口の間で圧力損失が大きいと、充填物の内部空間を通過する原料流体の量が必要以上に多くなるおそれがあり得る。その場合には、充填物内部に不活性固体を充填することで通気抵抗を生じさせ、原料流体の充填物内部空間の通過量を調節することが可能である。不活性固体としては、例えば、金属球やセラミックボールなどを挙げることができる。
反応熱制御用充填物の好ましい一様態として、例えば、径の異なる複数の円管を、中心軸および底面を同じくし、大径管の内部に小径管を挿入して同心円状に配置し、管径が小さくなるに連れて管長が長くなる構造を有する多重管を挙げることができる。この場合、外周部から中心部に向けて径が段階的に減少し、且つ内側に設置した円管の外壁と、隣接して外側に配置した円管の内壁との間に空隙ができ、開孔部を有する構造となる。かかる円管を構成する管の壁厚は、通常、0.05mm以上、0.3mm以下とすることができる。
本発明で用いる触媒の材質は特に制限されず、目的とする反応を促進するものを選択すればよい。例えば、プロピレンをアクロレインおよび/またはアクリル酸に酸化するための触媒の活性成分としては、以下の組成を有するものを挙げることができる。活性成分は、担体に担持してもよい。
Mo12BiaFebAcBdCeDfOx
[式中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはコバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Bはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Cはタングステン、ケイ素、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Dはリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、砒素および亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Oは酸素を表し、a、b、c、d、e、fおよびxはそれぞれBi、Fe、A、B、C、D及びOの原子比を表し、0<a≦10、0<b≦20、2≦c≦20、0<d≦10、0≦e≦30、0≦f≦4であり、xは各元素の酸化状態により定まる。]
Mo12BiaFebAcBdCeDfOx
[式中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはコバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Bはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Cはタングステン、ケイ素、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Dはリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、砒素および亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素、Oは酸素を表し、a、b、c、d、e、fおよびxはそれぞれBi、Fe、A、B、C、D及びOの原子比を表し、0<a≦10、0<b≦20、2≦c≦20、0<d≦10、0≦e≦30、0≦f≦4であり、xは各元素の酸化状態により定まる。]
本発明の触媒層は、触媒活性が異なる2種類の触媒Aおよび触媒Bを用意し、管式熱交換型反応器の反応管内部に原料流体の入口側から触媒B−触媒A−触媒Bの順で積層化し、上記反応熱制御用充填物を、その最小端面を反応管の出口方向に向け、触媒Aの層に設置することによって成る。
触媒の触媒活性序列は、同一の反応温度および触媒体積において、同一組成の原料を同一流量で触媒に供給し、原料転化率を比較して、原料転化率の高い方を触媒B、原料転化率の低い方を触媒Aと決定することができる。原料転化率の計算は、基本的には反応した原料のモル数を供給した原料のモル数で除したもので表される。なお、触媒Bの転化率は触媒Aの転化率よりも、0.5%以上、好ましくは1.0%以上、より好ましくは2%以上高くする。
触媒Aよりも触媒活性が大である触媒Bの組成は、触媒Aと同じでも異なっていてもよい。具体的には以下の従来公知の方法で触媒Bを得ることができる。例えば、反応物質の触媒表面への吸着、或いは反応生成物の触媒表面からの脱離を制御することにより触媒活性の制御が可能であるため、触媒の酸塩基量/強度の制御を目的として、触媒へのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の添加量を調整することは広く用いられる手法である。更に簡便には、同じ組成で触媒Bの大きさを触媒Aより小さくすること、あるいは触媒Aの焼成温度よりも触媒Bの焼成温度を低くすることによっても触媒Bを得ることができる。
触媒の形状は特に限定されず、ペレット、リング、球、サドルなど、反応特性に応じて従来公知の形状から選択すればよい。触媒の大きさは反応管と反応熱制御用充填物との空隙に充填可能なサイズであれば特に限定されることはない。なお、触媒Aおよび触媒Bにおいて、それぞれ形状の異なる触媒を選択した場合、等体積球相当直径に換算して大きさを比較することができる。触媒の大きさは、等体積球相等直径で1mm以上9mm以下とすることができる。等体積球相等直径は、例えば、目的の触媒の体積を触媒の形状から種々の立体体積を算出する公式に当て嵌め算出した後、体積と等しい体積を占める球の直径を算出することによって導出することができる。
本発明の触媒層の形成は通常の方法、即ち、反応管上部から触媒を注ぐ方法で実施できる。具体的には、所定量の触媒Bを充填した上に、反応熱制御用充填物を反応管の軸中心部と反応熱制御用充填物の軸中心をほぼ一致させる位置に設置し、そこに反応熱制御用充填物を包囲する状態となる様に触媒Aを注ぎ入れ、その上に触媒Bを注ぎ入れることによって形成される。
反応管入口側の触媒Bは相対的に低い反応割合を増加させられるだけの層長があればよい。具体的には、反応管中の触媒層長さに対して5%以上30%以下であればよい。反応管入口側の触媒Bの層長が5%未満であれば相対的に低い反応割合を増加させることができない。一方、30%を上回れば必要以上に反応割合が高まり、触媒層前半の温度が過剰に上昇し選択性低下や暴走反応、さらには触媒損傷のおそれもある。
触媒Aの層長は少なくとも反応熱制御用充填物の高さと同等であればよい。触媒Aの層長が反応熱制御用充填物長さと同じである場合、反応熱制御用充填物側面が触媒Aに、底面部および上面部または頂点が触媒Bに接した状態となる。触媒Aの層長が反応熱制御用充填物の長さを上回る場合、1)反応熱制御用充填物の外表面が全て触媒Aに接した状態、2)該充填物の底面部が触媒Bに、それ以外の外表面が触媒Aに接した状態、3)該充填物の上面または頂点が触媒Bに、それ以外の外表面が触媒Aに接した状態、1)ないし3)の何れかの状態となる。触媒層Aの層長が反応熱制御用充填物の高さより短い場合、触媒Aでの反応割合が減少し、触媒Aに続く反応管出口側の触媒Bにおいて反応割合が増加するため異常高温部が発生し、選択性の悪化や暴走反応、さらには触媒Bの損傷が懸念される。
反応管出口側の触媒層Bは相対的に低い反応割合を増加させられるだけの層長があればよい。具体的には、反応管中の全触媒層長さに対して5%以上50%以下であればよい。出口側触媒Bの層長割合が5%未満であれば相対的に低い反応割合を増加させることができない。一方、50%を上回れば触媒Bにおいて必要以上に反応割合が高まり、異常高温部が発生し選択性の悪化や暴走反応、さらには触媒Bの損傷が懸念される。
反応熱制御用充填物の反応管内部への設置位置は、全触媒層の原料流体入口側端部を0%、原料流体出口側端部を100%として、該充填物の底面が全触媒層の5%以上35%以下の区間の任意の位置とすればよい。
反応熱制御用充填物の設置方法の一様態としては、例えば該充填物が多重管である場合、該充填物の最小管径より小さい外径を有し、設置する反応管の長さよりも50〜100mm長い金属棒状体の端から、他方の端に向けて全触媒層長の5%以上35%以下の位置および当該位置よりもさらに充填物全長に30〜50mm加えた位置に、反応管内壁に届く2〜4本の等長枝を等角度で設けた充填物設置用治具で該充填物を支持したのち、反応管内部の任意の位置に挿入する。ここで、前記した等長枝とは、反応管内壁に届く長さを有し、線径が0.1〜1mmの金属線からなる構造体である。該等長枝は、最も簡便には、2本の針金の中心部で該金属棒状体を直交するように挟み込み、該針金の両端を捻って該金属棒状体を締め付けた後、捻られた針金の金属棒状態から出た長さを等しく切り揃えることで該金属棒状体に固定することができる。該等長枝はまた、反応熱制御用充填物の内部を通過可能な形状を有し、該充填物の内部を通過後に形状を復元可能なバネ弾性を有することが好ましい。
そして、反応熱制御用充填物を反応管内部に挿入した後、触媒を該充填物の下部、側部および上部に偏りなく充填する。あるいは、該充填物の下部に必要量を先に充填した後に該充填物を反応管上部より挿入し、残りの触媒を充填してもよい。充填物設置用治具は、反応管内部に残置することも除去することもできる。反応熱制御用充填物は、その周囲に触媒が充填されると所定位置に固定されるので、必要に応じて充填物設置用治具を引き抜くことで除去することができる。引き抜く場合、予め等長枝は金属棒状体から容易に取り外すことができる程度で固定しておき、引き抜いた後に反応管内部に残るようにしてもよい。また、充填物設置用治具に用いる金属棒状体は片末端を閉じた金属パイプでもよく、温度計保護管を兼用することもできる。
反応熱制御用充填物が多重管以外の形状であっても、上記設置用治具を適宜利用し、所望の位置に該充填物を設置することができる。
上記の設置方法は、反応流体が上方向流の場合の説明であるが、反応流体が下方向流の場合も同様にして設置位置を決定した後、反応熱制御用充填物の底面と反応管内壁の間隙から触媒を充填すれば所望の充填状態にすることできる。
本発明の触媒層を備えた管式熱交換型反応器は、化合物を工業的に製造する場合に好適に使用することができる。本発明の反応方法では、管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層に原料流体を供給する。なお、本発明の管式熱交換型反応器における反応管の本数は特に制限されず、反応管数が1本の単管式熱交換型反応器であってもよいし、数百から数千本の多管式熱交換型反応器であってもよい。
本発明の触媒層に供給される原料流体は、不飽和炭化水素および分子状酸素を含むガスが好ましく、供給されたガスは触媒層で発熱を伴う気相酸化反応を起こす。不飽和炭化水素は好適にはベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブチレンであり、分子状酸素は好適には、空気中の酸素分子が用いられる。具体的には、ベンゼンの酸化による無水マレイン酸の製造、エチレンの酸化によるエチレンオキシドの製造、プロピレンの酸化によるアクロレインおよびアクリル酸の製造またはイソブチレンの酸化によるメタクロレインおよびメタクリル酸の製造など、発熱の大きい気相酸化反応を挙げることができる。また、原料流体は上記の不飽和炭化水素および分子状酸素の他、不活性な窒素、二酸化炭素、水蒸気、メタン、エタン、プロパンなどの飽和炭化水素を含んでいてもよい。
本発明の触媒層を用いる気相接触反応は従来と同様の条件で行うことができる。例えば、プロピレンの酸化反応であれば、プロピレン4〜12容量%、分子状酸素2〜20容量%、水蒸気0〜25容量%、残りは窒素、二酸化炭素などの不活性ガスおよびプロパンなどからなる混合ガスを熱媒体温度280〜450℃、空間速度(GHSV)300〜5000h-1、反応圧力0.1〜1.0MPaで触媒層を通過させることによって行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、プロピレン転化率とCO2+CO選択率の定義は、それぞれ次のとおりである。
プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
CO2+CO選択率(モル%)=[{(生成したCO2のモル数+生成したCOのモル数)/3}/(反応したプロピレンのモル数)]×100
CO2+CO選択率(モル%)=[{(生成したCO2のモル数+生成したCOのモル数)/3}/(反応したプロピレンのモル数)]×100
実施例1
(1)反応熱制御用充填物の作製
反応熱制御用充填物は、第1管として外径12mm、内径11.4mm、長さ200mm、第2管として外径8mm、内径7.4mm、長さ300mm、第3管として外径6mm、内径5.4mm、長さ350mmの各サイズのステンレス管を外周部から中心部に向けて管径が段階的に減少し管長が段階的に増大する順序で下端を同一面に揃え、同心円状に配置後、各管をねじ固定して作成した。
(1)反応熱制御用充填物の作製
反応熱制御用充填物は、第1管として外径12mm、内径11.4mm、長さ200mm、第2管として外径8mm、内径7.4mm、長さ300mm、第3管として外径6mm、内径5.4mm、長さ350mmの各サイズのステンレス管を外周部から中心部に向けて管径が段階的に減少し管長が段階的に増大する順序で下端を同一面に揃え、同心円状に配置後、各管をねじ固定して作成した。
(2)反応熱制御用充填物の設置
反応熱制御用充填物設置用治具の金属棒状体として、長さ1400mm、内径2mm、外径3mmのステンレス製管の下端を溶封し、下端部に触媒支持用目皿を設けた熱電対保護管を用いた。該熱電対保護管を反応熱制御用充填物の第3管内に貫通させ、目皿上面より上方向100mmの位置に設けた2本の等長枝に該充填物の下端を接触固定し、目皿より450mm上方にも同じ等長枝を設けた。該等長枝は、線径0.7mm長さ40mmのステンレス製針金2本の中心部で該金属棒状体を直交するように挟み込み、該針金の両端を捻って該金属棒状体を締め付けた後、捻られた針金の金属棒状体から出た長さを12mmに等しく切り揃えることで、上記所定の位置に固定した。
その後、反応熱制御用充填物を設置した治具を、反応熱制御用充填物の最大径管が存在する側の端部を下にして、内径30mm、全長1300mmのステンレス製反応管の上部より下端に到達する位置まで挿入した。
反応熱制御用充填物設置用治具の金属棒状体として、長さ1400mm、内径2mm、外径3mmのステンレス製管の下端を溶封し、下端部に触媒支持用目皿を設けた熱電対保護管を用いた。該熱電対保護管を反応熱制御用充填物の第3管内に貫通させ、目皿上面より上方向100mmの位置に設けた2本の等長枝に該充填物の下端を接触固定し、目皿より450mm上方にも同じ等長枝を設けた。該等長枝は、線径0.7mm長さ40mmのステンレス製針金2本の中心部で該金属棒状体を直交するように挟み込み、該針金の両端を捻って該金属棒状体を締め付けた後、捻られた針金の金属棒状体から出た長さを12mmに等しく切り揃えることで、上記所定の位置に固定した。
その後、反応熱制御用充填物を設置した治具を、反応熱制御用充填物の最大径管が存在する側の端部を下にして、内径30mm、全長1300mmのステンレス製反応管の上部より下端に到達する位置まで挿入した。
(3)触媒調製
プロピレン酸化用触媒として特開2014−069128号公報の実施例1記載の方法に準じて球状アルミナ担持触媒を調製した。得られた触媒の外径は6mmであった。一方、押出成形触媒として、同公報の実施例4記載の方法に準じて外径3mm、内径1mm、長さ3mmのリング状触媒を調製した。該触媒の等体積球相当直径は約3.3mmであった。なお、両触媒の触媒成分のみの金属元素組成は原子比でMo12Bi1.4Fe1.1Co5.8Ni1.7K0.09で同一となるよう、各原料の仕込み量を調整した。
内径25mmのステンレス製U字型反応管に上記の触媒を50mlを充填した後、反応管を300℃の溶融塩浴に浸した。反応管にプロピレン2容量%、空気58容量%、水蒸気40容量%からなる混合ガスを67.5NL/hの速度で供給することによってプロピレンの酸化を行った。原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は球状アルミナ担持触媒が93.9%、リング状触媒が98.3%であり、前者を触媒A、後者を触媒Bとした。
プロピレン酸化用触媒として特開2014−069128号公報の実施例1記載の方法に準じて球状アルミナ担持触媒を調製した。得られた触媒の外径は6mmであった。一方、押出成形触媒として、同公報の実施例4記載の方法に準じて外径3mm、内径1mm、長さ3mmのリング状触媒を調製した。該触媒の等体積球相当直径は約3.3mmであった。なお、両触媒の触媒成分のみの金属元素組成は原子比でMo12Bi1.4Fe1.1Co5.8Ni1.7K0.09で同一となるよう、各原料の仕込み量を調整した。
内径25mmのステンレス製U字型反応管に上記の触媒を50mlを充填した後、反応管を300℃の溶融塩浴に浸した。反応管にプロピレン2容量%、空気58容量%、水蒸気40容量%からなる混合ガスを67.5NL/hの速度で供給することによってプロピレンの酸化を行った。原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は球状アルミナ担持触媒が93.9%、リング状触媒が98.3%であり、前者を触媒A、後者を触媒Bとした。
(4)触媒の充填
先ず、触媒Bを反応熱制御用充填物が設置された反応管の上部から約70mL注ぎ、目皿上面より上方向100mmの位置にある反応熱制御用充填物の下端まで充填した。次いで、触媒Aを反応管の上部から約466mL注ぎ、目皿上面より上方向800mmの位置まで充填した。最後に再び触媒Bを反応管の上部から約212mL注ぎ、目皿上面より上方向1100mmの位置まで充填した。
先ず、触媒Bを反応熱制御用充填物が設置された反応管の上部から約70mL注ぎ、目皿上面より上方向100mmの位置にある反応熱制御用充填物の下端まで充填した。次いで、触媒Aを反応管の上部から約466mL注ぎ、目皿上面より上方向800mmの位置まで充填した。最後に再び触媒Bを反応管の上部から約212mL注ぎ、目皿上面より上方向1100mmの位置まで充填した。
(5)プロピレンの酸化反応
上記の反応管を320℃の溶融塩浴に浸した。プロピレン8容量%、酸素14容量%、水蒸気5容量%、残りは窒素からなる混合ガスを1660NL/hの速度で供給することによってプロピレンの酸化を行った。プロピレン転化率は89.8%、CO2+CO選択率は2.9%であった。
上記の反応管を320℃の溶融塩浴に浸した。プロピレン8容量%、酸素14容量%、水蒸気5容量%、残りは窒素からなる混合ガスを1660NL/hの速度で供給することによってプロピレンの酸化を行った。プロピレン転化率は89.8%、CO2+CO選択率は2.9%であった。
比較例1
実施例1記載の方法に従い、反応熱制御用充填物を製作し、反応管内に設置した。
上記触媒Aのみを反応管の上部から約748mL注ぎ、目皿上面より上方向1100mmの位置まで充填した。
次いで、実施例1記載の方法に従いプロピレンの酸化を行った。プロピレン酸化反応におけるプロピレン転化率は83.9%、CO2+CO選択率は3.4%であった。
実施例1記載の方法に従い、反応熱制御用充填物を製作し、反応管内に設置した。
上記触媒Aのみを反応管の上部から約748mL注ぎ、目皿上面より上方向1100mmの位置まで充填した。
次いで、実施例1記載の方法に従いプロピレンの酸化を行った。プロピレン酸化反応におけるプロピレン転化率は83.9%、CO2+CO選択率は3.4%であった。
実施例1および比較例1は触媒体積が同一であるが、実施例1はプロピレン転化率が高く、副生成物であるCO2+CO選択率が抑制されていた。従って、実施例1は空間を効率的に利用できているといえる。
本発明の反応方法を用いて気相発熱反応を行なうことにより、局所的異常高温部の発生を防ぐ効果を維持したまま、高い生産性で化合物を製造できるので、経済性の面から、その産業上の利用価値は極めて大きい。
1: 反応管入口部
2: 反応管
3: 温度計保護管
4: 反応管出口部
5: 反応熱制御用充填物
6: 目皿
2: 反応管
3: 温度計保護管
4: 反応管出口部
5: 反応熱制御用充填物
6: 目皿
Claims (3)
- 管式熱交換型反応器の反応管内部に形成された触媒層に原料流体を供給する工程を含み、
上記触媒層が、活性の異なる触媒Aおよび触媒Bが、上記反応管の入口から出口方向に向けて触媒B−触媒A−触媒Bの順に積層化されたものであり、
上記触媒Bの活性は上記触媒Aの活性よりも高く、
上記触媒Aの層に、一方の端部から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する反応熱制御用充填物が、その最小端部が上記反応管の出口方向に向けて設置されていることを特徴とする反応方法。 - 上記触媒Aと上記触媒Bが同一の組成を有し、且つ、上記触媒Bの大きさが上記触媒Aよりも小さい請求項1に記載の反応方法。
- 上記原料流体が不飽和炭化水素および分子状酸素を含むものである請求項1または2に記載の反応方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017233342A JP2019098269A (ja) | 2017-12-05 | 2017-12-05 | 反応方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017233342A JP2019098269A (ja) | 2017-12-05 | 2017-12-05 | 反応方法 |
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2017
- 2017-12-05 JP JP2017233342A patent/JP2019098269A/ja active Pending
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