以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、被処理物を熱処理するための熱処理装置として広く適用することができる。
[熱処理装置の概略構成]
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理装置1の模式的な平面図であり、一部を破断した状態を示している。図2は、図1のII−II線に沿って熱処理装置1を正面視した状態を示す図であり、一部を破断した状態を示している。図3は、熱処理装置1について一部の部品の図示を省略した側面図であり、一部を破断した状態を示している。図4は、図1の一部を拡大した図である。図5は、図2の一部を拡大した図である。図6は、図3の一部を拡大した図である。なお、以下では、熱処理装置1を図2に示す正面から見た状態を基準として、上下、左右、および、前後をいう。
図1〜図3を参照して、熱処理装置1は、被処理物100の表面に熱処理を施すことが可能に構成されている。この熱処理として、CVD(Chemical Vapor Deposition)処理、拡散処理、アニール処理、半導体デバイスの製造処理、太陽電池の製造処理などを例示することができる。本実施形態では、被処理物100は、半導体ウェハである。熱処理装置1は、被処理物100を、反応性ガスの雰囲気下で熱処理することにより、被処理物100の表面に薄膜を形成する。また、熱処理装置1は、横型熱処理装置である。被処理物100は、熱処理装置1に対して出し入れされる際に、水平方向に移動される。熱処理装置1は、半導体製造工場などの工場の建物内に設置される。
熱処理装置1は、ドア2を含む横型炉3と、横型炉3内の雰囲気を加熱するためのヒータ4と、横型炉3の前部9を収容するための収容室5と、ドア2を開閉するための開閉機構6と、を有している。
横型炉3は、被処理物100を収納するために設けられている。また、横型炉3は、当該横型炉3内に収納された被処理物100を、加熱された雰囲気下で熱処理するために設けられている。横型炉3は、中空に形成されている。横型炉3は、水平方向(前後方向)に細長く延びており、当該横型炉3の長手方向における一端部が、横向き(前方)に開放されている。
横型炉3は、ドア2と、横型炉本体7と、を有している。
横型炉本体7は、たとえば、石英(SiO2)などを用いて円筒状(中空状)に形成されており、本実施形態では、前後に細長く延びている。横型炉本体7の後端部は、閉じられている。横型炉本体7の前端部には、横向きに配置された開口部7aが形成されている。開口部7aは、前方に向けて開放されたフランジ状に形成されている。すなわち、開口部7aは、横型炉本体7における長手方向中間部に対して、横型炉本体7の径方向外方に張り出した形状を有している。
開口部7aは、被処理物100を通過させることが可能な大きさに形成されている。被処理物100は、開口部7aを通して、横型炉本体7に出し入れされる。被処理物100は、たとえば、支持台12に乗せられた状態で、横型炉本体7の外側から、開口部7aを通して、横型炉本体7内に挿入される。この開口部7aは、ドア2によって開閉される。
ドア2は、開口部7aを開閉するために設けられている。ドア2は、たとえば、石英(SiO2)を用いて形成されている。ドア2は、横型炉本体7内で被処理物100の熱処理が行われている間、所定の閉位置P3に配置されることで横型炉本体7の開口部7aを閉じる。これにより、ドア2は、横型炉本体7内の熱エネルギーおよび熱処理用ガスの流出を防止する。そして、ドア2は、横型炉本体7に対する被処理物100の出し入れの際、所定の開位置P2に配置されることで横型炉本体7の開口部7aを開く。これにより、ドア2は、横型炉本体7に対する被処理物100の出し入れ作業の邪魔にならないように配置される。
ドア2は、略円板状に形成されており、所定の厚みを有している。ドア2の外周部は、ドア2が閉位置P1にあるときに開口部7aの端面に接触するように構成されている。上記の構成を有する横型炉3の前部9(横型炉本体7の前部およびドア2)は、収容室5に収容されている。
収容室5は、横型炉3の前部9を収容する空間を形成するために設けられている。また、収容室5は、横型炉3の前部9の周囲に冷却用ガスの気流F1を発生させるために設けられている。この気流F1が生じることにより、収容室5の前部9は、気流F1によって冷却される、その結果、前部9の過熱が抑制される。また、横型炉3の内部から放出されるガスが気流F1によって排出される。
収容室5は、本実施形態では、略直方体状に形成されている。本実施形態では、収容室5は、平面視において横型炉3の前部を取り囲むように配置された4つの支柱10に金属パネルなどの壁形成部材が設置された構成を有している。
収容室5は、外郭部11と、外郭部11内において気流F1の通路を形成するためのスカベンジャー部12と、を有している。
外郭部11は、収容室5の外郭部を形成する部分として設けられている。外郭部11内に、横型炉3の前部9、および、開閉機構6が収容されている。
外郭部11は、支柱10と、底壁13と、天壁14と、左右一対の側壁としての左側壁15および右側壁16と、後壁17と、前壁18と、を有している。
底壁13、天壁14、左側壁15、右側壁16、後壁17、および、前壁18は、金属板などのパネル状部材を用いて形成されている。底壁13は、外郭部11の四隅に配置された4つの支柱10の下部に固定されており、横型炉3の前部9を下側から覆っている。一方、天壁14は、4つの支柱10の上部に固定されており、横型炉3の前部9を上側から覆っている。また、左側壁15は、4つの支柱10のうち左側の2つの支柱10に固定されており、横型炉3の前部9を左側から覆っている。
右側壁16は、4つの支柱10のうち右側の2つの支柱10に固定されており、横型炉3の前部9を右側から覆っている。後壁17は、4つの支柱10のうち後側の2つの支柱10に固定されており、横型炉3の前部9を後側から覆っている。後壁17には、横型炉本体7が貫通する貫通孔17aが形成されている。貫通孔17aは、横型炉3の外周面の形状に対応する形状に形成されており、横型炉本体7と後壁17との間から気体が漏れることは、抑制されている。
前壁18は、4つの支柱10のうちの前側の2つの支柱10の間に配置されており、横型炉3の前部9を前側から覆っている。前壁18は、左右一対の固定壁18aL,18aRと、左右一対の可動壁18bL,18bRと、を有している。左側の固定壁18aLは、左前側の支柱10に固定され、右側に向けて延びている。右側の固定壁18aRは、右前側の支柱10に固定され、左側に向けて延びている。これら左右一対の固定壁18aL,18aRに隣接して、左右一対の可動壁18bL,18bRが配置されている。
可動壁18bL,18bRは、固定壁18aL,18aRに対して左右に変位することで、収容室5の扉として機能するように構成されている。各可動壁18bL,18bRは、開口部7aに向かい合った閉位置P3と、左右方向における閉位置P3の外側の位置であって開口部7aを収容室5の前方に開放させるための開位置P4と、の間を変位可能に構成されている。閉位置P3における一対の可動壁18bL,18bRは、一対の固定壁18aL,18aRと協働して、横型炉3の前部9を前側から覆っている。一方、開位置P4における一対の可動壁18bL,18bRは、対応する固定壁18aL,18aRと前後に重なるように配置され、横型炉3のドア2を前方に露呈させる。可動壁18bL,18bRは、電動モータなどを含む駆動装置19によって、開閉動作される。
上記の構成により、底壁13、天壁14、左右一対の側壁15,16、後壁17、および、前壁18は、協働して直方体状の箱部分を形成している。これら底壁13、天壁14、左右一対の側壁15,16、後壁17、および、前壁18によって、横型炉3の前部9の周囲が取り囲まれている。上記の構成を有する外郭部11内に、スカベンジャー部12が配置されている。
スカベンジャー部12は、横型炉3の開口部7aの周囲を取り囲むとともに、開口部7aの周囲に気流F1を発生させるために設けられている。スカベンジャー部12は、本実施形態では、横型炉3の長手方向である前後方向に沿って延びる空間を形成している、また、スカベンジャー部12は、左右方向における収容室5の中間部で且つ上下方向における収容室5の中間部に配置されている。
本実施形態では、スカベンジャー部12は、開口部7aの右側方からスカベンジャー部12内に冷却用ガス(本実施形態では、空気)を導入し、開口部7aの周囲を通過させた後、冷却用ガスを開口部7aの左側方からスカベンジャー部12の外部に排出するように構成されている。これにより、開口部7aの周囲が過熱することを抑制している。また、ドア2が開いたときなどに横型炉3内のガスが開口部7aから収容室5の外部に不用意に漏れることを抑制している。
スカベンジャー部12は、底壁23と、天壁24と、左右一対の側壁25,26と、後壁17と、前壁18と、を有している。すなわち、スカベンジャー部12の一部としての前壁18および後壁17は、収容室5の一部としての前壁18および後壁17によって形成されている。
底壁23、天壁24、左側壁25、および、右側壁26は、矩形状の金属板などのパネル状部材を用いて形成されている。底壁23の前部は、たとえば、前壁18の左右一対の固定壁18aL,18aRに固定されている。また、底壁23の後部は、後壁17に固定されている。この底壁23は、横型炉3の前部9を下側から覆っている。また、天壁24の前部は、たとえば、前壁18の左右一対の固定壁18aL,18aRに固定されている。また、天壁24の後部は、後壁17に固定されている。天壁24は、横型炉3の前部9を上側から覆っている。これら底壁23および天壁24は、収容室5の底壁13および天壁14に上下に挟まれるように配置されている。
また、左側の側壁25の前部は、たとえば、前壁18の固定壁18aLに固定されている。また、左側の側壁25の後部は、後壁17に固定されている。左側壁15は、横型炉3の前部9を左側から覆っている。
右側の側壁26は、側壁本体27と、側壁本体27に対して着脱可能な支持部材28と、を有している。
側壁本体27および支持部材28は、矩形状に形成されている。側壁本体27の前部は、たとえば、前壁18の右側の固定壁18aRに固定されている。また、側壁本体27の後部は、後壁17に固定されている。側壁本体27の前寄り部分には、貫通孔27aが形成されている。貫通孔27aは、矩形状に形成された貫通孔である。
貫通孔27aの上端部は、横型炉本体7の上端部の近傍に位置している。また、貫通孔27aの下端部は、横型炉本体7の下端部の近傍に位置している。また、前後方向において、貫通孔27aの長さは、側壁本体27の長さの半分以下程度に設定されている。この貫通孔27aの大部分は、支持部材28によって塞がれている。
支持部材28は、開閉機構6を支持するために、より具体的には、開閉機構6の後述するリンク機構35および直動アクチュエータ34を一括して支持するために設けられている。支持部材28の外周部は、たとえば、ねじなどの固定部材を用いて、側壁本体27における貫通孔27aの外周縁部に固定されている。支持部材28は、横型炉本体7の開口部7aおよびドア2と左右に向かい合うように配置されている。支持部材28は、側壁本体27の外側面に接触している。この構成により、作業員は、支持部材28を、スカベンジャー部12の外側の比較的広い空間においてスカベンジャー部12に取り付けることができる。
上記の構成により、右側壁26は、横型炉3の前部9を右側から覆っている。これら左右一対の側壁25,26は、外郭部11の左右一対の側壁15,16に左右に挟まれるように配置されている。また、底壁23、天壁24、および、左右一対の側壁25,26は、前後方向と直交する断面において、全体として矩形状に形成されている。すなわち、外郭部11の内部において、スカベンジャー部12は、前壁18と後壁17との間に、底壁23、天壁24、および、左右一対の側壁25,26で囲まれた直方体状の空間を形成している。この空間に、横型炉3の前部9が収容されている。
スカベンジャー部12の左右一対の側壁25,26には、冷却用開口部8が形成されている。冷却用開口部8は、スカベンジャー部12内に冷却用ガスを通過させるため(気流F1を発生させるため)に設けられている。本実施形態では、冷却用開口部8に、開閉機構6の少なくとも一部が配置されている。
冷却用開口部8は、気流F1の向きの成分が、左右方向、上下方向、および、前後方向の少なくとも一つを含むように構成されている。本実施形態では、冷却用開口部8は気流F1が、左右方向に沿って流れるとともに、上下方向に沿って流れ、さらに、前後方向にも沿って流れるように構成されている。これにより、冷却用開口部8は、スカベンジャー部12内におけるガスの滞留を抑制し、スカベンジャー部12内の温度をより確実に低下させる。また、横型炉3からスカベンジャー部12内に放出されたガスをより確実に回収することが意図されている。
図1〜図3および図6を参照して、冷却用開口部8は、冷却用ガスをスカベンジャー部12内に導入するための導入部31と、冷却用ガスをスカベンジャー部12内から排出するための排出部32と、を有している。
導入部31は、本実施形態では、スカベンジャー部12の右側壁26に形成されている。より具体的には、導入部31は、右側壁26の支持部材28に形成されている。導入部31は、支持部材28を貫通する孔部として形成されている。導入部31は、支持部材28の前下側に形成されている。上下方向において、導入部31の位置は、ドア2の下部寄りの部分の位置と揃えられている。この場合のドア2の下部とは、上下方向において、ドア2の中心部2aの位置よりも下側の部分をいう。
また、前後方向において、導入部31の位置は、閉位置P1にあるドア2の前方の位置に設定されている。導入部31は、本実施形態では、前後方向に細長い矩形状に形成されている。このように、側壁本体27から取外し可能で且つ側壁本体27の形状よりも小さい形状の支持部材28に導入部31を形成することで、導入部31を形成する作業を、より容易に行うことができる。
本実施形態では、上下方向における導入部31の長さは、前後方向における導入部31の半分程度に設定されている。導入部31には、たとえば、送風ファン29によって、収容室5の外郭部11のうちスカベンジャー部12の右外側を流れる冷却用ガスが、スカベンジャー部12内に導入される。導入部31とは上下方向の位置、前後方向の位置、および、左右方向の位置の少なくとも1つ(本実施形態では、3つとも)が異なるようにして、排出部32が配置されている。
排出部32は、スカベンジャー部12内を通過した冷却用ガスをスカベンジャー部12の外部へ排出するために設けられている。排出部32は、左側壁25に接続されたダクトとして形成されている。排出部32は、前後方向において、導入部31の後方に配置されている。排出部32は、左側壁25の後上側に形成されている。上下方向において、排出部32の位置は、ドア2の上部寄りの部分の位置と揃えられている。この場合のドア2の上部とは、上下方向において、ドア2の中心部2aの位置よりも上側の部分をいう。また、前後方向において、排出部32の位置は、横型炉本体7の中間部の位置に設定されている。このように、導入部31と排出部32とは、ドア2を挟むようにして離隔して配置され、且つ、前後方向(横型炉3の長手方向)において、離隔して配置されている。
排出部32には、たとえば、図示しない配管が接続されている。排出部32および配管は、吸引ファン30によって負圧が生じており、スカベンジャー部12内を流れた冷却用ガスは、排出部32を通して配管に吸引され、フィルタなどを通して大気に放出される。
上記の構成により、冷却用ガスは、導入部31からスカベンジャー部12内に進入し、気流F1を生じながら、ドア2および開口部7aの周囲を通過し、その後、左後上方に進み、排出部32からスカベンジャー部12の外部に排出される。このスカベンジャー部12に、開閉機構6が設置されている。
図1、図2および図4〜図6を参照して、開閉機構6は、ドア2を開閉動作させるために設けられている。前述したように、開閉機構6の少なくとも一部は、冷却用開口部8の導入部31内に配置されている。また、本実施形態では、開閉機構6の略全部に気流F1が当たるように構成されている。開閉機構6は、本実施形態では、スカベンジャー部12内の右側領域、および、スカベンジャー部12の右外側に配置されている。
開閉機構6は、ステーユニット33と、直動アクチュエータ34と、リンク機構35と、を有している。
ステーユニット33は、直動アクチュエータ34およびリンク機構35を支持するために設けられている。ステーユニット33は、支持部材28に隣接して配置されており、この支持部材28に固定されている。ステーユニット33は、支持部材28の右方および左方に延びている。また、ステーユニット33は、冷却用開口部8の導入部31に隣接して配置されている。
ステーユニット33は、第1ステー部36と、第2ステー部37と、を有している。
第1ステー部36は、リンク機構35の後述するリンク部材45を支持するために設けられている。第1ステー部36は、スカベンジャー部12内に配置されている。第1ステー部36は、後述する第1軸線S1回りに揺動可能にリンク部材45を支持し、支持部材28に保持されている。第1ステー部36は、ベースプレート36aと、上下一対の第1延伸部36bと、を有している。
ベースプレート36aは、たとえば、略矩形の平板状に形成されている。ベースプレート36aは、支持部材28のうちスカベンジャー部12の内側を向く内側面に受けられており、ねじ部材などの固定部材36cを用いて、支持部材28に保持(固定)されている。より具体的には、ベースプレート36aには、上下方向に延びる長孔部36dがベースプレート36aの四隅に形成されている。各長孔部36dは、固定部材36cに貫通されている。固定部材36cによるベースプレート36aと支持部材28の互いの固定が解除されている状態において、固定部材36cに対するベースプレート36aの位置を調整することで、上下方向における第1ステー部36の位置を調整することができる。
ベースプレート36aの上部および下部から、第1延伸部36bが延びている。各第1延伸部36bは、水平に延びる板状に形成されており、ベースプレート36aから左前方に向けて延びる形状に形成されている。前後方向において、第1延伸部36bの前端部は、ベースプレート36aの前端部の前方に配置されている。第1ステー部36の右方に、第2ステー部37が配置されている。
第2ステー部37は、リンク機構35の後述する直動アクチュエータ34を支持するために設けられている。第2ステー部37は、スカベンジャー部12の右外側において、外郭部11内に配置されている。第2ステー部37は、後述する第3軸線S3回りに揺動可能に直動アクチュエータ34を支持し支持部材28に保持されている。第2ステー部37の位置は、第1ステー部36の位置よりも低く設定されている。第2ステー部37は、ベースプレート37aと、上下一対の第2延伸部37bと、を有している。
ベースプレート37aは、たとえば、略矩形の平板状に形成されている。本実施形態では、ベースプレート36,37のベースプレート36a,37aは、前後方向の位置が揃えられている。ベースプレート37aは、支持部材28のうちスカベンジャー部12の外側を向く外側面に受けられており、ねじ部材などの固定部材37cを用いて、支持部材28に保持(固定)されている。より具体的には、ベースプレート37aには、上下方向に延びる長孔部37dがベースプレート37の四隅に形成されている。各長孔部37dは、固定部材37cに貫通されている。固定部材37cによるベースプレート37aと支持部材28の互いの固定が解除されている状態において、固定部材37cに対するベースプレート37aの位置を調整することで、上下方向における第2ステー部37の位置を調整することができる。
ベースプレート37aの上部および下部から、第2延伸部37bが延びている。各第2延伸部37bは、水平に延びる板状に形成されており、ベースプレート37aから右前方に向けて延びる形状に形成されている。前後方向において、第2延伸部37bの前端部は、ベースプレート37aの前端部の前方に配置されている。上記の構成を有するステーユニット33によって、開閉機構6(直動アクチュエータ34およびリンク機構35)が支持されている。
直動アクチュエータ34は、ドア2を開閉する駆動力を発生するためのアクチュエータとして設けられている。直動アクチュエータ34は、たとえば、流体圧シリンダである。流体圧シリンダとして、空気圧シリンダ、および、油圧シリンダを例示することができる。直動アクチュエータ34は、本実施形態では、水平に配置されている。
また、直動アクチュエータ34は、冷却用開口部8の導入部31を貫通するように配置されている。すなわち、直動アクチュエータ34は、収容室5内において、スカベンジャー部12の外部と内部にまたがって配置されている。また、直動アクチュエータ34の高さ位置(上下方向の位置)は、ドア2の中心部2aの高さ位置よりも低く設定されている。これにより、横型炉3内のガスが開口部7aからスカベンジャー部12内において横型炉3の外部に流れたときに、高温のガスの対流が直動アクチュエータ34に到達することを抑制できる。
直動アクチュエータ34は、固定部38と、固定部38に支持された出力部39と、出力部39の先端に固定されたアタッチメント40と、を有している。本実施形態では、固定部38は、シリンダ部によって形成され、出力部39は、シリンダ部から突出するロッドによって形成されている。なお、固定部38がロッドによって形成され、出力部39がシリンダ部によって形成されてもよい。
固定部38は、前述したように、シリンダ部によって形成されており、細長い円柱状に形成されている。固定部38は、図示しないポンプなどに接続されており、ポンプの動作によって生じた流体圧を受けるように構成されている。固定部38は、外郭部11内において、スカベンジャー部12の外部に配置されている。固定部38は、導入部31と左右方向に向かい合うように配置されている。
固定部38の外周部のたとえば一端部には、鉛直方向に延びる第3支軸43が設けられている。第3支軸43は、固定部38のたとえば上端部および下端部に形成されており、第2ステー部37の第2延伸部37bに向けて延びている。各第3支軸43は、第2延伸部37bの先端部に形成された孔部に嵌合されている。これにより、固定部38(直動アクチュエータ34)は、スカベンジャー部12に対して、当該第3支軸43の軸線としての第3軸線S3回りを揺動可能である。
第3軸線S3は、後述する第1軸線S1および第2軸線S2の双方と平行である。また、固定部38は、第3支軸43を介して第2ステー部37に支持されている。すなわち、第2ステー部37は、直動アクチュエータ34を第3軸線S3回りに揺動可能に支持し且つ支持部材28に支持されている。これにより、直動アクチュエータ34は、スカベンジャー部12の右側壁16の支持部材28に支持されている。固定部38の一端部から、出力部39が突出している。
出力部39は、前述したように、ロッドによって形成されており、上記の流体圧を受けて固定部38に対する直線運動を行うように構成されている。出力部39は、固定部38によって当該固定部38に対する固定部38の直線運動が可能に構成されている。出力部39は、スカベンジャー部12の外部に配置された固定部38から冷却用開口部8の導入部31を貫通してスカベンジャー部12内に向けて延びるように配置されている。出力部39の先端部は、雄ねじ部を含んでいる。出力部39の先端部には、アタッチメント40が取り付けられている。
アタッチメント40は、出力部39をリンク機構35に取り付けるために設けられている。アタッチメント40は、棒状に形成されている。アタッチメント40の基端側部分には、雌ねじ部が形成されている。この雌ねじ部の後述するリンク部材45には、出力部39の先端部の雄ねじ部がねじ結合している。これにより、アタッチメント40は、出力部39に対する位置調整可能に出力部39に固定されている。また、出力部39の先端部には、ロックナット44がねじ結合しており、出力部39とアタッチメント40とを互いに固定している。アタッチメント40の先端部は、U字状に形成されており、リンク部材45の後述する入力側アーム部46を挟むように配置されている。アタッチメント40の先端部には、連結部40aが形成されている。
連結部40aは、リンク機構35の後述する第2支軸42が連結される部分として設けられている。本実施形態では、連結部40aは、アタッチメント40を上下に貫通する貫通孔部として形成されている。連結部40aは、スカベンジャー部12内とスカベンジャー部12外との間を移動可能に配置されている。上記の構成を有する直動アクチュエータ34は、リンク機構35に接続されている。
リンク機構35は、直動アクチュエータ34の出力部39とドア2とを連結するために設けられている。より具体的には、リンク機構35は、直動アクチュエータ34の出力部39の直線運動を、ドア2を開閉するための揺動運動に変換するために設けられている。また、本実施形態では、リンク機構35は、スカベンジャー部12の下部寄りに配置された直動アクチュエータ34からの出力を、直動アクチュエータ34の位置よりも上方の位置においてドア2に伝達するように構成されている。このリンク機構35は、ステーユニット33を介してスカベンジャー部12の右側壁26の支持部材28に支持されている。
リンク機構35は、リンク部材45と、第1支軸41と、第2支軸42と、第3支軸43と、リンク部材45をドア2に結合する結合部49と、を有している。
すなわち、第3支軸43は、直動アクチュエータ34の一部であるとともに、リンク機構35の一部でもある。そして、本実施形態では、第1支軸41の中心軸線は第1軸線S1であり、第2支軸42の中心軸線は第2軸線S2であり、第3支軸43の中心軸線は第3軸線S3である。リンク機構35は、直動アクチュエータ34の出力部39の直線運動を、鉛直方向に延びる第1軸線S1回りの揺動運動に変換しこの揺動運動をドア2に伝達する。
リンク部材45は、ドア2と第1軸線S1回りに一体的に揺動可能に構成されている。リンク部材45は、平面視でたとえば、略L字状に形成された部分である。リンク部材45は、第1支軸41を介して第1ステー部36に支持されており、第1軸線S1回りを揺動可能である。リンク部材45は、支持部材28の近傍に配置されており、残りの一部は、外郭部11内においてスカベンジャー部12の外部に配置されている。リンク部材45の大部分は、スカベンジャー部12内に配置されている。リンク部材45は、開口部8の導入部31に隣接する部分から上方に延びている。
リンク部材45は、入力側アーム部46と、中間軸部47と、出力側アーム部48と、を有している。
入力側アーム部46は、リンク部材45において直動アクチュエータ34の出力部39からの駆動力が入力される板状部分として設けられている。入力側アーム部46は、略水平に延びるアーム状に形成されている。入力側アーム部46は、冷却用開口部8の導入部31の周囲に配置されており、第1軸線S1回りのリンク部材45の揺動に伴って、スカベンジャー部12から導入部31を通ってスカベンジャー部12の外部に突出するように変位する。
入力側アーム部46の先端部は、直動アクチュエータ34側に向けて膨らんだ形状に形成されており、この先端部に、第2支軸42が設けられている。第2支軸42は、鉛直方向に延びる軸部である。第2支軸42は、直動アクチュエータ34のアタッチメント40に連結されている。
なお、第2支軸42は、入力側アーム部46およびアタッチメント40の双方と相対回転可能であってもよいし、入力側アーム部46およびアタッチメント40の何れか一方のみと相対回転可能であってもよい。上記の構成により、リンク部材45は、第2軸線S2回りを直動アクチュエータ34の出力部39と相対回転可能に出力部39に連結されている。入力側アーム部46の基端部は、第1支軸41に連結されている。
第1支軸41は、鉛直方向に延びる軸部である。第1支軸41は、第1ステー部36の上下一対の第1延伸部36bによって上下両端部を支持された構成を有しているとともに、第1延伸部36bから抜けることを規制されるように構成されている。第1支軸41は、第1延伸部36bの先端部に配置されている。第1支軸41の下部は、入力側アーム部46を貫通しており、この入力側アーム部46に連結されている。また、入力側アーム部46の基端部は、中間軸部47に固定されている。
中間軸部47は、鉛直方向に延びる円筒状部分であり、第1ステー部36の上下一対の第1延伸部36bの間に配置されている。中間軸部47に第1支軸41が挿入されており、中間軸部47は、第1支軸41を取り囲んでいる。中間軸部47の上端部に、出力側アーム部48が固定されている。
出力側アーム部48は、リンク部材45のうち直動アクチュエータ34の出力部39からの駆動力をドア2側へ出力する部分として設けられている。出力側アーム部48は、略水平に延びるアーム状に形成されている。出力側アーム部48は、スカベンジャー部12内において、冷却用開口部8の導入部31の上方に配置されている。出力側アーム部48は、中間軸部47からドア2の中心部2aに向けて延びている。
出力側アーム部48は、上部48aと、下部48bと、を有している。
上部48aは、扁平な板状に形成されている。上部48aの基端部は、第1ステー部36の上側の第1延伸部36bと、中間軸部47との間に配置されており、第1支軸41に貫通されている。なお、上部48a、中間軸部47、および、入力側アーム部46は、第1支軸41と第1軸線S1回りを一体に回転してもよいし、第1支軸41とは第1軸線S1回りに相対回転可能であってもよい。上部48aの下面に下部48bが固定されている。
下部48bは、縦向きに配置された細長い板状部分として設けられている。下部48bは、第1支軸41から離隔する方向に直線状に延びている。下部48bは、結合部49に固定されている。すなわち、リンク機構35の出力側アーム部48は、結合部49を介してドア2に固定されている。結合部49は、リンク部材45に対するドア2の位置調整を可能な態様でドア2とリンク部材45とを結合するために設けられている。
図1、図2および図4を参照して、結合部49は、アーム側結合部51と、中間部52と、ドア側結合部53と、を有している。
アーム側結合部51は、出力側アーム部48の下部48bと平行に延びる縦向きの板状に形成されている。アーム側結合部51は、下部48bの前方に配置されている。アーム側結合部51には、アーム側結合部51の長手方向に延びる長孔部51aが形成されている。この長孔部51aを貫通するねじなどの固定部材48dによって、出力側アーム部48と結合部49とが結合されている。アーム側結合部51は、固定部材48dによるアーム側結合部51と下部48bとの固定が解除された状態において、出力側アーム部48の長手方向における結合部49とリンク部材45(ドア2)との相対位置を調整可能である。アーム側結合部51は、当該アーム側結合部51の長手方向に沿って延びる中間部52の基端側部分に固定されている。この中間部52の先端側部分には、ドア側結合部53が固定されている。
ドア側結合部53は、縦向きに配置された板状部分として形成されている。ドア側結合部53のたとえば上部と下部には、上下に延びる長孔部53a,53bが形成されている。各長孔部53a,53bには、雄ねじなどの固定部材53cが貫通している。この固定部材53cは、ドア側結合部53とドア2とを互いに固定している。固定部材53cによるドア側結合部53とドア2との固定が解除されている状態において、上下方向における結合部49(リンク部材45)とドア2との相対位置を調整可能である。
また、開閉機構6に関連して、ストッパ部55が設けられている。ストッパ部55は、ドア2が横型炉3の開口部7a側に過度に変位することを規制するために設けられている。ストッパ部55は、たとえば、ドア2が閉位置P1にあるときに出力側アーム部48の下部48bに接触するように配置されている。ストッパ部55は、たとえば、ボルトを用いて形成されており、当該ストッパ部55の先端部が、出力側アーム部48に接触する部分である。ストッパ部55は、ブラケット56を介して第1ステー部36に固定されている。
以上が、熱処理装置1の概略構成である。上記の構成を有する熱処理装置1において、被処理物100に熱処理を施すために被処理物100が横型炉3に出し入れされる際、まず、可動壁18bL,18bRが閉位置P3から開位置P4へ変位し、スカベンジャー部12が前方に開放される。そして、直動アクチュエータ34は、出力部39を、固定部38側に向けて直線変位させる。これにより、熱処理装置1における動作の一例を説明するための図である図7に示すように、直動アクチュエータ34は、出力部39を変位させることで、リンク部材45の入力側アーム部46を固定部38側に引き寄せ、リンク部材45を第1軸線S1回りに揺動させる。
このとき、入力側アーム部46の先端部は、冷却用開口部8の導入部31を通ってスカベンジャー部12の内部からスカベンジャー部12の外部へ変位する。また、出力側アーム部48は、結合部49とともにドア2を第1軸線S1回りに変位させ、ドア2を開位置P2まで変位させる。これにより、横型炉3の開口部7aが露呈する。よって、被処理物100を横型炉3に出し入れすることができる。この際、直動アクチュエータ34は、リンク部材45の入力側アーム部46とは第2軸線S2回りを相対回転し、且つ、第2ステー部37(支持部材28)とは第3軸線S3回りを相対回転する。
この際、収容室5の前壁18の可動壁18bL,18bRは、開位置P4に変位しているので、ドア2の一部が収容室5の外部に突出する動作を妨げずに済む。
ドア2が閉じられる際、直動アクチュエータ34は、出力部39を、固定部38から突出する方向に向けて直線変位させる。これにより、出力部39は、リンク部材45の入力側アーム部46をスカベンジャー部12側に揺動させることで、リンク部材45を第1軸線S1回りに変位させる。このとき、入力側アーム部46の先端部は、冷却用開口部8の導入部31を通ってスカベンジャー部12の外部からスカベンジャー部12の内部へ変位する。
また、出力側アーム部48は、結合部49とともにドア2を第1軸線S1回りに変位させ、図1に示すようにドア2を閉位置P1まで変位させる。これにより、横型炉3の開口部7aがドア2によって塞がれる。この際、直動アクチュエータ34は、リンク部材45とは第2軸線S2回りを相対回転し、且つ、第2ステー部37(支持部材28)とは第3軸線S3回りを相対回転する。
ドア2によって開口部7aが閉じられた後、収容室5の前壁18の可動壁18bL,18bRは、閉位置P3まで変位される。これにより、収容室5が閉じられる。
以上説明したように、熱処理装置1によると、スカベンジャー部12は、開閉機構6の直動アクチュエータ34の出力部39およびリンク部材45の入力側アーム部46が配置される冷却用開口部8を含んでいる。この構成によると、開閉機構6は、冷却用開口部8を通過する冷却用ガスに当てられることで冷却される。これにより、開閉機構6が冷却される。すなわち、スカベンジャー部12は、横型炉3内から出てきたガスを排出する機能に加えて、開閉機構6を冷却する機能も有している。このため、開閉機構6を冷却するための専用の冷却装置を設ける必要がなく、熱処理装置1の構成をより簡素にできる。以上の次第で、熱処理装置1において、より簡易な構成で、横型炉3のドア2を開閉するための開閉機構6を冷却することができる。
また、熱処理装置1によると、開閉機構6の直動アクチュエータ34は、第2ステー部37を介してスカベンジャー部12に支持されている。この構成によると、直動アクチュエータ34を冷却用開口部8の導入部31の近傍に配置することができる。これにより、直動アクチュエータ34を、冷却用ガスによってより確実に冷却することができる。さらに、スカベンジャー部12を、直動アクチュエータ34を支持するために用いることができる。これにより、直動アクチュエータ34を支持するための構成を簡素にすることができるので、熱処理装置1の構成をより簡素にできる。
また、熱処理装置1によると、開閉機構6のリンク機構35は、スカベンジャー部12に支持されている。この構成によると、スカベンジャー部12を、リンク機構35の支持にも用いることができる。これにより、スカベンジャー部12を支持するための構成を簡素にすることができるので、熱処理装置1の構成をより簡素にできる。
また、熱処理装置1によると、直動アクチュエータ34は、直線運動可能な出力部39を有している。また、リンク機構35は、ドア2と第1軸線S1回りに一体的に揺動可能なリンク部材45を有している。そして、リンク部材45は、第2軸線S2回りを出力部39と相対回転可能に出力部39に連結されている。この構成によると、リンク部材45を第1軸線S1回りに揺動させる簡易な構成で、ドア2を開閉動作することができる。
また、熱処理装置1によると、開閉機構6における直動アクチュエータ34の出力部39、および、リンク部材45の入力側アーム部46は、少なくとも一時的に冷却用開口部8のうちの導入部31内に配置される。この構成によると、スカベンジャー部12の外部からスカベンジャー部12内に導入されたばかりの、より低温の冷却用ガスによって、開閉機構6をより確実に冷却することができる。
また、熱処理装置1によると、冷却用開口部8において、導入部31と排出部32とは、ドア2を挟むように離隔して配置され、且つ、横型炉3の長手方向において、離隔して配置されている。この構成によると、スカベンジャー部12内において、横型炉3内のガスと混ざった冷却用ガスが導入部31に逆流することを、より確実に抑制できる。これにより、開閉機構6が高温になることを、より確実に抑制できる。
また、熱処理装置1によると、開閉機構6にリンク機構35が設けられていることにより、直動アクチュエータ34を、ドア2の位置からより離隔した位置に配置できる。これにより、直動アクチュエータ34に横型炉3からの高熱が届くことを抑制できる。よって、直動アクチュエータ34へ負荷の低減を通じて開閉機構6の耐久性をより高くできる。また、機械的な構造であるリンク機構35であれば、高熱に起因するリンク機構35の動作不良をより確実に抑制できる。以上の次第で、熱処理装置1において、横型炉3における開閉機構6の耐久性をより高くできる。
また、熱処理装置1によると、直動アクチュエータ34の出力部39の動作に伴って、リンク部材45およびドア2が第1軸線S1回りを揺動する。これにより、ドア2が開閉動作される。この際、直動アクチュエータ34自体も第3軸線S3回りを揺動することで、出力部39のスムーズな直線運動を実現できる。
また、熱処理装置1によると、支持部材28は、リンク機構35および直動アクチュエータ34を一括して支持している。この構成によると、開閉機構6(リンク機構35および直動アクチュエータ34)、および、支持部材28をユニットとして形成することができる。これにより、熱処理装置1の組立時において、リンク機構35および直動アクチュエータ34を別々に取り扱う場合と比べて、リンク機構35および直動アクチュエータ34の取り扱いを、より容易に行うことができる。
また、熱処理装置1によると、支持部材28は、スカベンジャー部12に設けられている。この構成によると、開口部7aの周囲に配置されるスカベンジャー部12を、開閉機構6(リンク機構35および直動アクチュエータ34)を支持するための部材としても用いることができる。したがって、リンク機構35および直動アクチュエータ34を支持するための専用の部材を設ける必要がなく、熱処理装置1の構成を、より簡素にできる。
また、熱処理装置1によると、支持部材28から延びる第1ステー部36、および、支持部材28から延びる第2ステー部37によって、開閉機構6のリンク機構35および直動アクチュエータ34を堅固に支持することができる。また、支持部材28にリンク部材45および直動アクチュエータ34を直接取り付ける場合と比べて、リンク部材45および直動アクチュエータ34のレイアウトの自由度をより高くできる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
(1)上述の実施形態では、開閉機構6の直動アクチュエータ34およびリンク機構35がステーユニット33を介してスカベンジャー部12に支持される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、直動アクチュエータ34およびリンク機構35は、他の構成によって支持されていてもよい。
(2)また、上述の実施形態では、導入部31は、開閉機構6のリンク部材45の一部、および、直動アクチュエータ34の出力部39の一部を収容可能に構成されていた。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、導入部31を十分な長さ、幅および高さを有する胴状に形成し、開閉機構6のより多くの部分(たとえば、開閉機構6の全部)が導入部31内に配置されるようにしてもよい。
(3)また、上述の実施形態では、開閉機構6が、冷却用開口部8の導入部31の周囲に配置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、開閉機構6は、冷却用開口部8の排出部32の周囲に配置されてもよい。この場合、開閉機構6の少なくとも一部は、排出部32内に配置される。
(4)また、上述の実施形態では、リンク機構35に第2支軸42、および、第3支軸43が設けられる形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。たとえば、第2支軸42および第3支軸43に代えて、球面継手などの他の継手が用いられてもよい。
この構成によると、直動アクチュエータの出力部の動作に伴って、リンク部材およびドアが第1軸線回りを揺動する。これにより、ドアが開閉動作される。この際、直動アクチュエータ自体も第3軸線回りを揺動することで、出力部のスムーズな直線運動を実現できる。
さらに、前記リンク部材は、前記出力部からの駆動力が入力される入力側アーム部と、前記駆動力を前記ドア側へ出力する出力側アーム部と、を有し、前記第1軸線が延びる方向に沿って見たときに、前記入力側アーム部と前記出力側アーム部は前記第1軸線を基点として二股に分かれて延びており、前記入力側アーム部の向きと前記出力側アーム部の向きとが互いに異なっている。