この発明のゴルフボールは、柔らかいフィーリングを有しながら、所望の競技特性を犠牲にすることなく発泡体中間層を耐久性を維持しながら組み込んでいる。この発明のゴルフボールの構造は、発泡体中間層中のコア/サブアセンブリの中心位置づけを容易にし、その上に外側層を成形する際に発泡体層が壊れたり裂けたりする、先の傾向を低減し、熱硬化性および熱可塑性の発泡体組成物等とともに採用して良い。
1実施例において、この発明のゴルフボールは、1.700インチ以上の外側直径、1.620オンス以下の規則準拠の重量、少なくとも0.700のCORを具備し、また、1.0g/ccより大きい第1の比重を具備し、ゴム組成物を有するコアと;約1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性ポリウレタン組成物からなり、1.0g/cc未満の第2の比重を有する中間層と;ポリウレタン組成物を有し、1.0g/ccより大きい第3の比重を具備するカバー層とを有し;上記第1の比重が上記第3の比重よりも小さい。
1つのそのような具体的な実施例において、上記コアの直径が1.580インチ以上であって良い。
いくつかの実施例において、上記中間層の上記発泡性ポリウレタン組成物が熱硬化性材料であって良い。他のいくつかの実施例において、上記カバー層の上記ポリウレタン組成物が熱可塑性材料であって良い。
1実施例において、上記中間層が外側表面硬度(Houter surface of IL)および内側表面硬度(Hinner surface of IL)を具備し、上記Houter surface of ILが上記Hinner surface of ILより大きく正の硬度勾配を実現して良い。1つのそのような実施例において、上記コアが外側表面硬度(Hinner core surface)および中心硬度(Hcore center)を具備し、上記Hinner core surfaceが上記Hcore centerより大きく正の硬度勾配を実現して良い。代替的な実施例において、上記コアが外側表面硬度(Hinner core surface)および中心硬度(Hcore center)を具備し、上記Hinner core surfaceが上記Hcore centerと等しいか、小さく、ゼロまたは負の硬度勾配を実現して良い。
異なる実施例において、上記中間層が外側表面硬度(Houter surface of IL)および内側表面硬度(Hinner surface of IL)を具備し、上記Houter surface of ILが上記Hinner surface of ILと等しいか、または小さく、ゼロまたは負の硬度勾配を実現して良い。
いくつかの具体的な実施例において、発泡体中間層の正の硬度勾配は、少なくとも2ショアD単位、または少なくとも3ショアD単位、または少なくとも5ショアD単位であって良い。いくつかの異なる実施例において、発泡体中間層の負の硬度勾配は、少なくとも2ショアD単位、または少なくとも3ショアD単位、または少なくとも5ショアD単位であって良い。発泡体中間層の負の硬度勾配または正の硬度勾配が10またはそれ以上のショアD硬度ポイントであり実施例が実際に想定される。
1実施例において、Houter surface of ILは50ショアDより大きくて良い。他の実施例において、Houter surface of ILは50ショアD以下であって良い。
具体的な実施例において、上記第3の比重が上記第1の比重より大きくて良い。1つのそのような実施例において、上記第2の比重が上記第1の比重および上記第3の比重の各々と、約0.20g/ccから約0.30g/ccだけ異なっていて良い。
いくつかの実施例において、上記中間層の外側直径が約1.68より大きく、または、約1.69インチ以上であって良い。
他の構成において、この発明のゴルフボールは、1.620オンス以下の重量、少なくとも1.720インチの外側直径、少なくとも0.700のCORを具備し、また、1.0g/cc未満の第1の比重を具備し、ゴム組成物を有する内側コア層と;1.2g/cc未満の第2の比重を具備し、非発泡性の高度に中和された(HNP)組成物を有する外側コア層と;1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性HNP組成物からなり、1.0g/cc未満の第3の比重を有する中間層と;アイオノマー組成物を有し、1.0g/cc未満の第4の比重を具備するカバー層とを有して良い。
具体的な実施例において、上記内側コア層の直径が0.500インチ以上であり、上記外側コア層の外側直径が1.62インチ以下であり、上記カバー層の外側直径が1.720インチ以上であって良い。
1つのそのような実施例において、上記第1の比重および上記第3の比重は実質的に類似であり、上記第2の比重および上記第4の比重より小さくて良い。いくつかのそのような実施例において、上記第2の比重および上記第4の比重は実質的に類似であって良い。また、その一方で、上記第1の比重および上記第3の比重は、多くて、約0.35g/ccだけ異なって良い。
1実施例において、上記中間層が外側表面硬度(Houter surface of IL)および内側表面硬度(Hinner surface of IL)を具備し、上記Houter surface of ILが上記Hinner surface of ILより大きく正の硬度勾配を実現して良い。具体的なそのような実施例において、上記外側コア層が外側表面硬度(Hcore surface)を具備し、上記内側コア層が中心硬度(Hcore center)を具備し、上記Hcore surfaceが上記Hcore centerより大きく、負の硬度勾配を実現して良い。代替的なそのような実施例において、上記外側コア層が外側表面硬度(Hcore surface)を具備し、上記内側コア層が中心硬度(Hcore center)を具備し、上記Hcore surfaceが上記Hcore centerより大きく、正の硬度勾配を実現して良い。
異なる実施例において、上記中間層が外側表面硬度(Houter surface of IL)および内側表面硬度(Hinner surface of IL)を具備し、上記Houter surface of ILが上記Hinner surface of ILと等しいか、または小さく、ゼロまたは負の硬度勾配を実現して良い。
1実施例において、上記Houter surface of ILが50ショアDより大きくて良い。他の実施例において、上記Houter surface of ILが50ショアD以下であって良い。具体的な実施例において、上記Houter surface of ILは、50ショアD〜約75ショアD、または55ショアDから約75ショアD、または60ショアDから約75ショアD、または65ショアDから約75ショアD、または70ショアDから約75ショアDの間であって良い。代替的には、上記Houter surface of ILは、約20ショアDから50ショアDまで、または約25ショアDから50ショアD、または約30ショアDから50ショアD、または約35ショアDから50ショアD、または約40ショアDから50ショアD、または約45ショアDから50ショアDであって良い。
いくつかの実施例において、上記中間層の外側直径が1.68インチより大きくて良い。他の実施例において、上記中間層の外側直径が1.69インチ以上であって良い。
さらに他の構造において、この発明のゴルフボールは、1.620オンス以下の重量、少なくとも1.750インチの外側直径、少なくとも0.700のCORを具備し、また、1.0g/ccより大きい第1の比重を具備し、ゴム組成物を有するコアと;1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性HNP組成物からなり、1.0g/cc未満の第2の比重を具備する中間層と;アイオノマー組成物を有し、1.0g/ccより小さい第3の比重を具備する内側カバー層と;アイオノマー組成物を有し、1.0g/ccより小さい第4の比重を具備するカバー層とを有して良い。
具体的な実施例において、上記コアの直径が1.50インチ以下であって良い。
1実施例において、上記第1の比重は上記第4の比重より小さく、上記第2の比重は上記第3の比重より小さくて良い。
そのような具体的な実施例において、上記第1の比重および上記第4の比重は、多くて、0.10g/ccだけ異なり、かつ上記第2の比重および上記第3の比重は、多くて、0.35g/ccだけ異なって良い。
1実施例において、上記中間層が外側表面硬度(Houter surface of IL)および内側表面硬度(Hinner surface of IL)を具備し、上記Houter surface of ILが上記Hinner surface of ILより大きく正の硬度勾配を実現して良い。
1つのそのような実施例において、上記コアが外側表面硬度(Hinner core surface)および中心硬度(Hcore center)を具備し、上記Hinner core surfaceが上記Hcore centerより大きく正の硬度勾配を実現して良い。
いくつかの実施例において、上記中間層の外側直径が1.68インチより大きくて良い。他の実施例において、上記中間層の外側直径が1.69インチ以上であって良い。
さらに他の構成において、この発明のゴルフボールは、1.620オンス以下の重量、少なくとも1.720インチの外側直径、少なくとも0.700のCORを具備し、また、1.0g/ccより小さい第1の比重を具備し、HNP組成物を有するコアと;1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性HNP組成物からなり、1.0g/cc未満の第2の比重を具備する中間層と;アイオノマー組成物を有し、1.0g/ccより小さい第3の比重を具備するカバー層とを有して良い。
具体的な実施例において、上記コアの直径が1.60インチ以上であり、上記カバーの外側直径が1.720インチ以上であって良い。
1実施例において、上記第1の比重および上記第3の比重は実質的に類似であり、上記第2の比重より大きくて良い。具体的なそのような実施例において、上記第1の比重は上記第2の比重および上記第3の比重の各々に対して、多くて、約0.35g/ccだけ異なって良い。
具体的な実施例において、上記中間層が外側表面硬度(Houter surface of IL)および内側表面硬度(Hinner surface of IL)を具備し、上記Houter surface of ILが上記Hinner surface of ILより大きく正の硬度勾配を実現して良い。1つのそのような実施例において、上記コアが外側表面硬度(Hinner core surface)および中心硬度(Hcore center)を具備し、上記Hinner core surfaceが上記Hcore centerより大きく正の硬度勾配を実現して良い。
いくつかの実施例において、発泡体中間層が周りに形成される複数の層を集合的に「サブアセンブリ」と呼ぶことがある。特定の1実施例において、サブアセンブリの外径は1.66インチ以下であって良い。異なる1実施例において、サブアセンブリの外径は1.66インチより大きくて良い。さらに他の実施形例において、サブアセンブリの外径は約1.66インチであって良い。さらに他の実施例において、サブアセンブリの外径は1.66インチであってもよい。これらの実施例のそれぞれにおいて、発泡体中間層は、一方で、少なくとも約1.68インチ、または少なくとも1.68インチ、または約1.68約インチより大きく、または1.68インチより大きく、または約1.69インチ以上、または1.69インチより大きい外径を有して良い。
この発明に従って、様々な構造を有するゴルフボールを製造して良い。例えば、ゴルフボールは、少なくとも3つの層(少なくとも3つの部分)を有するが、その代わりに、4つの部分または5つの部分などの構造を有してもよい。一方、サブアセンブリは、単一の球状センタからなり、代替的には、2つ以上の層を有する多層であって良い。
本明細書で使用される「層」という用語は、一般的には、ゴルフボールの任意の球形部分を意味する。ゴルフボールが基準準拠の重量、少なくとも1.70インチの全体直径を伴ない、また、少なくとも約1.68インチ、または少なくとも1.68インチ、または約1.68インチより大きい、または1.68インチより大きい、まあは約1.69インチ以上、または1.69インチ以上の外側直径を具備する発泡体中間層を伴う限り、種々の層の直径および厚さは、硬度および圧縮のような特性とともに、ゴルフボールの構造および所望の競技特性に応じて左右されて良い。
この発明のゴルフボールの特定の構造では、サブアセンブリ(ゴム製コア)、発泡体中間層(発泡性ポリウレタン組成物)、およびカバー(非発泡性ポリウレタン組成物)の外側直径は、それぞれ1.58インチ、1.68インチ、および1.70インチである。この実施例において、発泡体中間層の外側直径に対するサブアセンブリの外側直径の比は、1.58:1.68、すなわち0.94:1.0であり、他方、発泡体中間層の外側直径に対するカバーの外側直径の比は1.70:1.68、すなわち1.01:1.0である。(1.68−1.58)/2すなわち0.05インチの厚さを有する発泡体中間層は、直径1.58インチのサブアセンブリの周りに耐久性を維持して形成して良い。その一方、発泡体中間層の周囲に設けられるカバーの厚さは、(1.70−1.68)/2、すなわち0.01インチである。
他の特定の実施例において、サブアセンブリ(HNP外側コア層によって包囲されたゴム製内側コア)、発泡体中間層(発泡性HNP組成物)、およびカバー(非発泡性アイオノマー組成物)の外側直径は、それぞれ、0.500インチ、1.62インチ、1.720インチであり、サブアセンブリの外側直径に対する発泡体中間層の外側直径の比は1.62:1.68、すなわち0.96:1.0であり、発泡体中間層の外側直径に対するカバーの外側直径の比は1.720:1.68、すなわち1.02:1.0である。この実施例において、(1.68−1.62)/2、すなわち0.03インチの厚さを有する発泡体中間層は、直径1.62インチのサブアセンブリの周りに耐久性を保持して形成して良い。その一方、発泡体中間層の周囲に設けられるカバーの厚さは、(1.720−1.68)/2すなわち、0.04インチである。
さらに他の特定の実施例において、サブアセンブリ(ゴム製センタ)、発泡体中間層(発泡性HNP組成物)、内側カバー(非発泡性アイオノマー組成物)および外側カバー(非発泡性ポリウレタン組成物)の外側直径は、それぞれ、1.500インチ、1.68インチ、1.72インチ、および1.750インチであり、サブアセンブリの外側直径に対する発泡体中間層の外側直径の比は1.500:1.68、すなわち0.89:1.0であり、内側カバーの外側直径に対する発泡体中間層の外側直径の比は1.720:1.68、すなわち1.02:1.0であり、外側カバーの外側直径に対する発泡体中間層の外側直径の比は、1.750:1.68、すなわち1.04:1.0である。この実施例において、(1.68−1.500)/2、すなわち0.09インチの厚さを有する発泡体中間層は、直径1.62インチのサブアセンブリの周りに耐久性を維持して形成されて良い。他方、発泡体中間層の周囲に設けられるカバーの厚さは、(1.720−1.68)/2、すなわち0.04インチである。
さらに他の特定の実施例において、サブアセンブリ(球状HNPコア)、発泡体中間層(発泡性HNP組成物)およびカバー(非発泡性アイオノマー組成物)の外側直径は、それぞれ1.62インチ、1.68インチおよび1.720インチであり、発泡体中間層の外側直径に対するサブアセンブリの外側直径の比は、1.62:1.68、すなわち0.96:1.0であり、発泡体中間層の外側直径に対するカバーの外側直径の比は、1.720:1.68、すなわち1.02:1.0である。この実施例において、(1.68−1.62)/2、すなわち0.03インチの厚さを有する発泡体中間層は、直径1.62インチのサブアセンブリの周りに耐久性を維持して形成して良い。他方、発泡体中間層の周囲に設けられるカバーの厚さは、(1.720−1.68)/2、すなわち0.04インチである。
サブアセンブリの全体の直径は、下限が0.500または1.000または1.300または1.400または1.500または1.580または1.600または1.610または1.620インチで、上限が1.600または1.610または1.620または1.630または1.640または1.650または1.66または1.660より大きい範囲であり、ただし、上限は下限より大きい(例えば、下限が1.610インチである場合、上限は1.620,1.630,1.640,1.650,1.660または1.660インチよりも大きい)。
具体的な実施例において、サブアセンブリは、1.450インチまたは1.500インチまたは1.500インチまたは1.530インチまたは1.550インチまたは1.570インチまたは1.580インチまたは1.590インチまたは1.600インチまたは1.610インチまたは1.620または1.640または1.66インチの、または1.66インチより大きい全体の直径を有する、単一または多層コアであって良い。
他方、サブアセンブリは常に発泡体中間層の内面に隣接して形成されている。
[発泡体中間層組成物]
一般的に、発泡体組成物は、気体の泡をフォーミング(発泡)剤を用いてポリマー混合物中に形成することにより製造される。泡が形成されるときに、混合物が膨らんで、発泡体組成物が形成され、これが開放状、または閉止状のセル構造を具備するエンドユースの製品へとモールドできる。柔軟性のある発泡体は、一般的には開放上のセル構造を具備し、このセル構造においてセル壁は不完全であり、小さな穴を含み、これら穴を介して液体および空気が通り抜ける。そのような柔軟性のある発泡体は自動車シート、クッション、マットレス、その他にしょうされる。堅固な発泡体は一般的には閉止状のセル構造を伴い、このセル構造においてセル壁は連続的で完璧であり、自動車パネルおよび部品、建築断熱材、その他に使用される。
この発明において、発泡体中間層は、比較的硬い発泡体から顕著に柔らかい発泡体まで含む軽量な発泡性熱可塑性または熱硬化性組成物を有する。広範囲の種々の熱可塑性および熱硬化性材料をこの発明の発泡体組成物を形成するために使用されて良く、これは、例えば、ポリウレタン;ポリ尿素;ポリウレタンおよびポリ尿素のコポリマー、ブレンド、およびハイブリッド;オレフィンをベースにしたコポリマーアイオノマー樹脂(例えば、DuPontから商業的に入手可能な、Surlyn(商標)アイオノマー樹脂およびDuPont HPF(商標)1000およびHPF(商標)2000;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Iotek(商標)アイオノマー;Dow Chemical Companyから商業的に入手可能な、エチレンアクリ酸コポリマーのAmplify(商標)IOアイオノマー;および、A.Schulman Incから商業的に入手可能な、Clarix(商標)アイオノマー樹脂);例えば、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;ゴム強化オレフィンポリマー;例えばポリ(メタ)アクリル酸で、アイオノマーコポリマーの一部とならない酸コポリマー;プラストマー;フレクソマー;スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー;スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー;動的加硫エラストマー;エチレンおよびビニルアセテートのコポリマー;エチレンおよびメチルアクリレートのコポリマー;ポリビニルクロライド樹脂;ポリアミド、ポリ(アミド−エステル)エラストマー、およびアイオノマーおよびポリアミドのグラフトコポリマー(例えば、Arkema Incから商業的に入手可能な、Pebax熱可塑性ポリエーテルブロックアミド);架橋トランス−ポリイソプレンおよびこれらのブレンド;DuPontから商業的に入手可能なHytel(商標)、Ticona Engineeringから商業的に入手可能なRiteFlexのようなポリエステルをベースにした熱可塑性エラストマー;BASFから商業的に入手可能なElastollanのようなポリウレタンをベースにした熱可塑性エラストマー;合成または天然の加硫ゴム;およびこれらの組み合わせを含む。
キャスト可能なポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素のハイブリッドが特に好ましく、なぜならば、これらの材料は以下にさらに検討するように競技性能特性が良好なゴルフボールを製造するのに使用できるからである。用語「ポリウレタンおよびポリ尿素のハイブリッド」は、これらのコポリマーおよびブレンドを含むことを意味する。
基本的には、ポリウレタンは、ウレタン結合を含み、これらウレタン結合は、2またはそれ以上のNCO記を含む多官能性イソシアネートを、2またはそれ以上のヒドロキシル基(OH−−−−−OH)と、しばしば、触媒および他の添加物の存在化で反応させることにより形成される。一般的には、ポリウレタンは単一ステップ(ワンショット)または2ステップでプレポリマーまたは準プレポリマーを通じて製造できる。ワンショット法では、すべての要素が一度に組み合わされ、すなわち、すべての生の成分が反応ベッセル中に付加されて反応が起こる。プレポリマー法は過剰なポリイソシアネートが最初に所定の量のポリオールと反応させられてプレポリマーを形成し、このプレポリマーが反応性のNCOを含む。このプレポリマーはつぎに鎖延長剤または硬化剤ポリオールと反応させられて最終的なポリウレタンを形成する。ポリ尿素組成物は先に説明したポリウレタンとは区別され、これらも製造できる。一般的には、ポリ尿素組成物は尿素結合を含み、この尿素結合はイソシアネート基(−N=C=O)をアミン基(NHまたはNH2)と反応させて形成される。ポリ尿素はポリウレタンと類似な態様で1ショットまたはプレポリマー法のいずれかで製造できる。ポリ尿素ポリマーを形成するには、ポリオールが適切なポリアミンに置換される。ウレタンおよび尿素結合を含むハイブリッド組成物も製造できる。例えば、鎖延長ステップにおいて、ポリウレタンプレポリマーをアミン末端硬化剤と反応させるときに、プレポリマー中の任意の過剰なイソシアネートは硬化剤中のアミン基と反応する。この結果生成されたポリウレタン−尿素組成物はウレタンおよび尿素結合を含み、ハイブリッドと呼ばれて良い。他の例において、ハイブリッド組成物は、ポリ尿素プレポリマーをヒドロキシル末端硬化剤と反応させるときに、製造されて良い。広範囲の種々のイソシアネート、ポリオール、および硬化剤を使用してポリウレタン、およびポリ尿素組成物を製造して良く、これはさらに以下に検討される。
発泡体中間層は、しばしば内層の周りに鋳造形成される。鋳造は、発泡性ウレタン、尿素またはウレタン/尿素ハイブリッド外側層を、コアまたは他のサブアセンブリの周りに製造する一般的な方法である。ゴルフボール層をサブアセンブリの周りに鋳造することの所望の利点は、得られる層が実質的に均一な厚さを有することである。
鋳造プロセスでは、鋳造可能な組成物が所与の一対のハーフシェルの第1の金型キャビティに導入される。次いで、コア/サブアセンブリを組成物に直接配置するか、または金型キャビティ対の球状センタになるところにある材料に接触させるために(例えば、突き出た真空または吸引装置によって)所定位置に保持する。鋳造可能な組成物が少なくとも部分的に硬化されると(例えば、コアが実質的に移動しない点まで)、追加の鋳造可能な組成物が各対の第2のキャビティに導入され、金型が閉じられる。次いで、閉じた金型に熱および圧力を加えて組成物を硬化させ、それによってコアの周りに外層を形成する。金型キャビティは、なめらかの表面を有して良く、または、例えば鋳造層がカバーである場合、鋳造プロセスの間に組成物にディンプルを付与するために、または反転したディンプルパターンを含んで良い。
中心づけされていないコア/サブアセンブリは、望ましくない競技特性を生じさせることがあるため、金型半体を嵌合する前に、金型キャビティ内で鋳造可能組成物中でコア/サブアセンブリを心出しして配置することが重要である。その結果、コア/サブアセンブリを中心づけするために、鋳造可能な組成物の十分な硬化が生じるまで、ピンなどの支持装置がコア/サブアセンブリを支持するために一般に使用される。
したがって、発泡体組成物の立ち上がり時間(発泡体組成物を金型中に供給してから発泡体組成物がその最大の高さすなわち厚さに達するまでの時間)と、心出しのための十分な硬化及び粘度の構築とを調整して、発泡体組成物が厚くなっていく間は、コア/サブアセンブリが移動し続けることがなく、もって、当該発泡体層、ならびに、この発泡体層の周りに形成された外側層に関連して、コア/サブアセンブリが、製品ゴルフボールの中心に配置される。
従来の組成物がコア/サブアセンブリを動かないようにセンタリングするために金型内で十分な粘度または硬化度を発揮しながら、コア/サブアセンブリを中心位置に保持するために、成形装置内には固定手段(ピンなど)が典型的に設けられる。そのようなピン金型は、一般に、充分な硬化の前に、コア/サブアセンブリを層組成物内の適所に同心的に固定するように設計された一連の突出ピンを含む。所定のショット重量がピン金型に供給され、コア/サブアセンブリが直ちに突き刺され、2つの金型半体が嵌合する。ピンは、組成物が完全に硬化する間、コア/アセンブリを正しい位置に保持するように設計され、それによって、外側層によって取り囲まれた同心円状に配置されたゴルフボールコア/サブアセンブリが製造される。
この発明のゴルフボールの構造は、発泡体中間層材料内にコアまたは他のサブアセンブリをより良好に中心づけするので、得られたゴルフボールにおいて、サブアセンブリは、発泡中間層に対して、さらに、当該発泡体中間層の周りに形成される層(複数)との関係で、適切に中心づけされる。同時に、発泡体中間層の周りに外側層を成形する際に、発泡体中間層の吹き出しの既知の事例を著しく減少させて、発泡体中間層の周りに耐久性のある外側層を形成することができる。
一方、高度に中和された組成物(HNP)を、この発明のゴルフボールに組み込んで良く、これは、酸個ポリマ、非酸性ポリマー、有機酸またはその塩を有し、オプションとしてカチオン減を有し、以下の1または複数の特性を有する。
(a)酸コポリマーは軟化モノマーを含まない。
(b)酸コポリマーの酸が、アクリル酸およびメタクリル酸から選択される。
(c)酸コポリマーの酸は、酸コポリマーの総重量に基づいて15モル%〜30モル%の量だけ酸コポリマー中に存在する。
(d)非酸性ポリマーは、エチレン−アルキルアクリレートおよびエチレン−アルキルメタクリレートから選択されるアルキルアクリレートゴムである。
(e)非酸性ポリマーが、酸コポリマーと非酸性ポリマーとの合計重量を基準にして50重量%を超える量だけ存在する。
(f)非酸性ポリマーが高度に中和された組成物の全重量を基準にして20重量%以上の量で存在する。
(g)非酸性ポリマーが、酸コポリマーと非酸性ポリマーとの合計重量を基準にして50重量%未満の量で存在する。
(h)高度に中和されたポリマー組成物は、40以下のソリッド球圧縮および0.820以上の反発係数を有する。
(i)高度に中和されたポリマー組成物は、100以上のソリッド球圧縮および0.860以上の反発係数を有する。
(j)有機酸塩がオレイン酸の金属塩である。
(k)有機塩はオレイン酸マグネシウムである。
(l)有機塩が、酸コポリマーおよび非酸コポリマーを合わせた100部あたり30部以上の量だけ存在する。
(m)カチオン源は、組成物中に存在する全酸基の110%以上を中和するのに十分な量だけ存在する。
発泡性のポリウレタン、ポリ尿素、または他のポリマー組成物を準備するために、フォーミング剤がポリマー調合に導入される。一般的には2つのタイプのフォーミング剤、すなわち、物理的フォーミング剤および化学的フォーミング剤がある。
物理的フォーミング剤
これらフォーミング剤は典型的には高圧力化でポリマー組成物中に直接に導入される気体である。クロロフルオロカーボン(CFC)および部分的にハロゲン化されたクロロフルオロカーボンは効率がよいけれども、多くの国で、環境上の悪影響の点から使用が禁止されている。代替的に、脂肪族または環状の炭化水素の気体、例えばイソブテンおよびペンタンが使用されて良い。不活性気体、例えば、二酸化炭素および窒素も適切である。
化学的フォーミング剤
これらフォーミング剤は典型的には粉末、ペレット、または液体の形態であり、組成物に添加され、加熱時に分解または反応して気体状態の副産物(例えば、窒素または二酸化炭素)を生成する。気体は組成物中に分散して補足され、発泡性とされる。
好ましくは、化学的フォーミング剤を使用してこの発明の発泡体組成物を準備する。化学発泡剤は、無機のもの、例えば、炭酸アンモニウム、およびアルカリ金属の炭酸塩であって良く、または、有機のもの、例えば、アゾまたはジアゾ化合物、具体的には窒素をベースにしたアゾ化合物であって良い。適切なアゾ化合物は、これに限定されないが、2,2'−アゾビス(2−シアノブタン)、2,2'−アゾビス(メチルブチロニトリル)、アゾジカルボナミド、p,p'−オキシビス(ベンセンフルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルフドラジドを含む。他のフォーミング剤は、Crompton Chemical Corporationから販売されるCelogens(商標)の任意のもの、および、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジン、有機酸のアジドおよびそのアナログ、トリアジン、トリ−およびテトラゾール誘導体、スルホニルセミカルバジド、尿素誘導体、グアニジン誘導体、およびアクロキシボロキシンのようなエステルを含む。また、酸および金属の混合物、有機酸および無機炭酸塩の混合物、ニトリルおよびアンモニア塩の混合物のような成分間の化学反応や、尿素の加水分解の結果として気体を放出するフォーミング剤を使用して良い。水は好ましいフォーミング剤である。水は、ポリウレタン調合に添加されるときに、イソシアネート基と反応してカルバミン酸の中間体を形成する。カルバミン酸は容易にカルボキシル基を分解してアミンおよび二酸化炭素を生成する。新たに生成されたアミンは、つぎに、他のイソシアネート基と反応して尿素結合を形成でき、二酸化炭素は泡を形成して発泡体を製造する。
所定の化学的フォーミング剤の分解反応中には、その反応に必要とされるより多くの熱およびエネルギーが放出される。分解が開始されると、これは比較的長期間続く。これらフォーミング剤が使用されると、長期の冷却期間が一般に必要となる。イリドラジドおよびアゾをベースにした化合物はしばしば発熱性フォーミング剤として使用される。他方、吸熱性フォーミング剤は分解にエネルギーを必要とする。このため、気体の放出は、熱を組成物への供給が停止すると直ちに終了する。これらフォーミング剤を使用して組成物を生成する場合には、必要な冷却期間は短くなる。重炭酸塩およびクエン酸をベースにしたフォーミング剤は発熱性フォーミング剤として使用できる。
他の適切なフォーミング剤は膨張可能な気体含有ミクロ球を含む。事例的なマイクロ球は、イソペンタン気体のような揮発性気体をカプセル化するアクリロニトリルポリマーシェルを有する。この気体は宮中に発泡剤として含まれる。非膨張の状態で、これは空洞の球の径は10から17μmの範囲であり、真の実度は1000から1300kg/m3である。加熱されたとき、シェルの内部の気体がその圧力を増大させ、熱可塑性シェルは柔らかくなり、この結果マイクロ球の体積が劇的に増大する。充分に膨張すると、マイクロ球の体積は40倍(典型的には径の値は10から40μmに増大する)を越えて増大し、この結果、真の密度は30kg/m3(0.25ポンド/ガロン)になる。典型的な膨張温度は80〜190°C(176〜374°F)である。そのような膨張可能なマイクロ球はスウェーデンのExpancelまたはAkzo Nobelから商業的に入手可能である。
上述したような化学的または物理的フォーミング剤の代わりに、またはこれに加えて、組成物の比重を低減させる他のタイプのフィラーをこの発明に従って使用して良い。例えば、密度が0.1から1.0g/ccで、平均粒子寸法が10から250ミクロンで、ポリマー、セラミック、およびガラスの未充填マイクロ球が組成物の比重を低下させるのを支援するのに使用され所望の密度および物理特定を達成する。
さらに、Cellasto(商標)およびElastocell(商標)の商標名で販売されているBASFポリウレタン材料、閉止セルポリウレタン堅固性フォームであるマイクロセルポリウレタン、Elastopor(商標)H、Elastoflex(商標)W柔軟性フォーミングシステム、Elastoflex(商標)E準柔軟性フォーミングシステム、Elastofoam(商標)柔軟性一体スキンシステム、Elastolit(商標)D/K/R一体堅固性フォーム、Elastopan(商標)S、Elastollan(商標)熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、その他をこの発明に従って使用して良い。Bayerは、また、種々の材料を製造しており、これらは、Texin(商標)TPU、Baytec(商標)およびVulkollan(商標)商標エラストマー、Baymer(商標)堅固性フォーム、Baydur(商標)一体スキンフォーム、Bayfit(商標)柔軟性フォームであり、キャスト可能なもの、RIMグレード、噴霧可能なもの、その他として利用可能であり、これらを利用できる。ここで利用することができる、付加的な発泡体材料は、ポリイソシアヌレートフォームおよび種々の「熱可塑性」フォームを含み、これらは、フリーラジカル(例えばペルオキシド)または照射架橋(例えばUV、IR、ガンマー、EB照射)により種々の程度に架橋されて良い。また、フォームは、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリオレフィン(メタローセンおよび他のシングルサイト触媒ポリマーを含む)、エチレンビニルアセテート(EVA)、アクリレートコポリマー、例えばEMA、EBA、Nucrel(商標)タイプの酸コポリマーまたはターポリマー、エチレンプロピレンゴム(例えばEPR、EPDM、おより任意のエチレンコポリマー)、スチレン−ブタジエン、およびSEBS(任意のKraton−タイプ)、PVC、PVDC、CPE(塩素化ポリエチレン)から準備されて良い。エポキシフォーム、尿素−ホルムアルデヒドのフォーム、ラテックスフォーム、およびスポンジ、シリコーンフォーム、フルオロポリマーフォーム、およびシンタクチックフォーム(充填された空洞球)も利用できる。
ポリマーおよびフォーミング剤に加えて、発泡体組成物は、例えば、架橋剤、鎖延長剤、表面活性剤、色素および顔料、着色剤、蛍光剤、吸着剤、安定化剤、柔軟化剤、衝撃改良剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤等の、他の成分も含んで良い。この発明のポリウレタン発泡体組成物を準備するために使用される調合は、好ましくは、ポリオール、ポリイソシアネート、水、アミンまたはヒドロキシ効果剤、表面活性剤、および触媒を含み、これは以下にさらに説明する。
1つの好ましい態様では、発泡体組成物は、ナノクレー粒子、より好ましくは、第4級アンモニウムナノ粘土粒子を含む。いかなる理論にも縛られることを望まないが、ナノクレーをフォーム組成物に添加することは、フォームセル構造および形態を改善するのに役立つと考えられる。ナノクレーが発泡体組成物中に分散されるので、より多くのより小さなサイズの発泡体セルを作り出すのに役立つ。かくして、発泡体セルはいっそう緊密に詰め込まれ、セル密度が増加する。マトリックスを横切る発泡体セルの寸法および幾何学的形状は、より均一になる傾向がある。ナノクレーは、空気がセル壁を通って拡散するのを防ぐのに役立つので、セル構造が維持される。得られる発泡体材料は、より大きな圧縮強度および弾性率を有する。好ましくは、発泡体組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.25〜約2%、より好ましくは約0.25〜約0.75%のナノクレー粒子を含有する。ナノクレーの添加は、ポリウレタン発泡体を製造するために使用される反応物の反応速度に触媒作用を有し得るので、ナノクレーが硬化工程の間に添加されることが好ましい。
[ポリウレタンフォームの特性]
この発明のポリウレタンフォーム組成物は、多くの化学的および物理的な特性を有し、これら特性により、これら組成物が、ゴルフボールのコア組立体に使用して適切なものとなっている。例えば、イソシアネートおよびポリオール成分および発泡剤の反応に関連する特性があり、具体的には、「クリーム時間」、「ゲル時間」、「ライズ時間」、「タックフリー時間」、および「フリーライズ密度」である。一般的には、クリーム時間は、原料の成分を一緒に混合した時点から混合物が外見上濁り始め、または色を変化させ、所期状態から上昇する点までの時間間隔を指す。通常、この発明の発泡体組成物のクリーム時間は、約20から約240秒の範囲内である。一般的に、ゲル時間は、原料成分を一緒に混合した時点から、膨張したフォームが重合化またはゲル化を開始する時点までの時間間隔を指す。ライズ時間は、一般的には、原料成分を一緒に混合した時点から、反応されたフォームが最も大きな体積または最も大きな高さに達した時点までの時間間隔を指す。この発明の発泡体組成物のライズ時間は典型的には約60から約360秒の範囲内である。タックフリー時間は、反応済みフォームが粘着性を喪失する世に要する時間を指し、この発明の発泡体組成物のタックフリー時間は通常では約60から約3600秒である。フリーライズ密度はカバーやトップを金型に配置すること無しに何の制約なく増大することが許容されたときの、生成されたフォームの密度を指す。
フォームの密度は重要な特性であり、重量単位当たりの体積として定義され(典型的にはg/cm3)、ASTM D−1622に従って測定できる。フォームの硬度、合成、および負荷負担能力はフォームの密度と独立であるけれども、大きな密度のフォームは典型的には大きな硬度および合成を有する。通常、大きな密度のフォームは大きな圧縮強度を有する。驚くべきことに、この発明に従ってゴルフボールの内側コアを製造するために使用される発泡体組成物は、比較的小さな密度を持つけれども、フォーム自体は硬い。引っ張り応力、引き裂き抵抗、および伸長は、一般的にはフォームの破壊または引き裂けに対する抵抗能力を指し、これら特性はASTM D−1623に従って測定できる。フォームの耐久性は重要であり、これは、フィラーは他の添加物を発泡体組成物中に導入するとフォームが破棄され避ける傾向が大きくなるからである。一般的には、この発明の発泡体組成物の引っ張り強度は約20から約1000psi(フォームのライズ方向に平行)、および、約50から約1000psi(フォームのライズ方向に垂直)の範囲であり、これはASTM D−1623に従って23°C、50%の相対湿度(RH)で測定した。他方、この発明のフォームの曲げ弾性率は一般的には約5から約45kPaの範囲内であり、これはASTM D−790で測定され、フォームは一般的には200から50000psiの圧縮弾性率を有する。
他の試験において、圧縮強さがASTM D−1621に従うInstron機器により測定される。フォームがブロックに切断され、ブロックを10%だけ圧縮するのに必要な力として圧縮強さが測定される。一般的には、この発明の発泡体組成物の圧縮強さは、23°Cで、50%の相対湿度(RH)で、ASTM D−1621に従い測定して、約100から約1800psi(フォームのライズに対して平行および垂直)である。試験は、フォームのライズに対して垂直に、または平行に行われる。圧縮セットのパーセンテージ(%)も使用できる。これは、フォームサンプルを2つの金属板の間で、制御された時間および温度の条件下で(標準は、70°C(158°F)で22時間)、圧縮した後のフォームサンプルの永久的な変形を測定したものである。フォームは「セット」に残された元の厚さの所定のパーセンテージとして設定される厚さまで圧縮される。好ましくは、フォームの圧縮セットは10パーセント(%)より小さく、すなわち、フォームは元の厚さの90%またはそれ以上の点まで回復する。
[発泡体組成物の準備方法]
この発明の発泡体組成物は種々の方法を用いて準備して良い。1つの好ましい実施例では、この方法は、ポリイソシアネート、ポリオール、水、硬化剤、表面活性剤、および触媒の反応性混合物を有するキャスティング可能な組成物を準備することを含む。モータ付き混合機を用いて出発成分を一緒に混合して反応性液体混合物を形成して良い。代替的には成分を手作業で混合して良い。成分を一緒に混合するときに発熱反応が起こり、これは反応性混合物を金型キャビティ(金型反対または金型カップとも呼ばれる)中に注入するときに継続して起こる。金型反対は第1および第2、または上側または下側、金型キャビティとも呼ばれて良い。金型キャビティは、好ましくは、例えば真鍮または珪素青銅のような金属から製造する。
[ポリウレタンフォームを製造するためのポリイソシアネートおよびポリオール]
先に検討したように、1つの好ましい実施例において、発泡性ポリウレタン組成物を利用して内側コアを形成する。全般的には、ポリウレタン組成物は、イソシアネート基(−N=C=O)をヒドロキシル基(OH)と反応させて形成されたウレタン結合を含む。ポリウレタンは、2つ、またはそれ以上のイソシアネート基を含む他官能性イソシアネートを2またはそれ以上のヒドロキシル基を含むポリオールと反応させて製造される。調合は、触媒、表面活性剤、および他の添加物を含んでも良い。
具体的には、この発明の発泡体内側コアは、芳香族ポリウレタンを有する組成物から準備されて良く、これは、好ましくは、芳香族ジイソシアネートをポリオールと反応させて形成される。この発明に従って使用されて良い適切な芳香族ジイソシアネートは、例えば、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6−ジイソシアネート(TDI)、4,4'−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4'−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m−フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン、1,5−ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン2,4−ジイソシアネート(NDI)、p−キシレンジイソシアネート(XDI)、および、これらのホモポリマーおよびコポリマーおよびブレンドを含む。芳香族イソシアネートはヒドロキシルまたはアミン化合物を反応して、融点が高く、耐久性があり、丈夫なポリマーを製造できる。できたポリウレタンは一般的には機械強度および引き裂き抵抗が良好である。
代替的には、内側コアの発泡体組成物は脂肪族ポリウレタンを有する組成物から準備されて良く、これは、好ましくは、脂肪族ジイソシアネートをポリオールと反応させて製造される。この発明に従って使用されて良い適切な脂肪族ジイソシアネートは、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H12MDI」)、メタテトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI)、トランス−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;および、これらのホモポリマーおよびコポリマーおよびブレンドを含む。できたポリウレタンは全般的には良好な光および熱安定性を有する。好ましい多官能性イソシアネートは、2.0から3.5、より好ましくは2.2から2.5の範囲の官能性を有する、4,4'−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4'−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、および、ポリメリックMDIである。
任意の適切なポリオールを用いて、この発明に従ってポリイソシアネートと反応させて良い。事例的なポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的/充分にハロゲン化された誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールを含む。1つの好ましい実施例において、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。例は、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、およびこれらの混合物を含む。炭化水素鎖は、飽和または不飽和結合、および置換または非置換芳香族および環状基を具備して良い。好ましくはこの発明のポリオールはPTMEGを含む。
以下にされに検討するように、鎖延長剤(硬化剤)を混合物に添加してポリウレタンポリマーの分子量を大きくできる。全般的には、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびこれらの混合物を利用する。
触媒を用いてイソシアネートおよびポリオール化合物の間の反応を促進して良い。適切な触媒は、これに限定されないが、ビスマス触媒;亜鉛オクトエート;錫触媒、例えば、ビス−ブチル錫ジラウレート、ビス−ブチル錫ジアセテート、スタンナンオクトエート;錫(II)クロライド、錫(IV)クロライド、ビス−ブチル錫ジメトキシド、ジメチル−ビス[1−オキソンデシルオキシ]スタンナン、ジ−n−オクチル錫ビス−イソオクチルメルカプトアセテート;アミン触媒、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザ(2,2,2)ビシクロオクタン、テトラメチルブタンジアミン、ビス[2−ジメチルアミノエチル]エーテル、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、ジエタノールアミン、ジメチエタノールアミン、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルエタノールアミノ、N−エチルモルホリン、3−ジメチルアミノ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、およびN,N',N"−ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン;有機酸、例えばオレイン酸およびアセチル酸;遅延触媒;およびこれらの混合物を含む。ジルコニウムをベースにした触媒、例えば、具体的には、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル;亜鉛錯体およびアミン化合物の混合物、例えば、King Industriesから入手可能なKKAT(商標)XK614;およびアミン触媒、例えば、Momentive Specialty Chemicals Incから入手可能なNiax(商標)A−2およびA−33が、とくに好ましい。触媒は好ましくは反応性混合物中の化合物の反応を触発するのに充分な量だけ添加される。1つの実施例において、触媒は、組成物の重量に対して、約0.001パーセントから約1パーセント、好ましくは、0.1から0.5パーセントの量だけ存在する。
1つの好ましい実施例において、上述したように、水がフォーミング剤として使用される。水はポリイソシアネート化合物を反応して二酸化炭素ガスを生成し、これが混合物のフォーミングを誘発する。水とポリイソシアネート化合物との反応の速度はフォームがどれだけ速く形成されるかに影響を与え、これは、フォームのクリーム時間、ゲル時間、およびライズ時間のような反応ポリフィール特性によって把握される。
ヒドロキシ鎖延長剤(硬化剤)は好ましくはつぎのグループから選択される。そのグループは、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−メチル−1,4−ブタンジオール;モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチルオール;トリイソプロパノール;N,N,N',N'−テトラ−(2−ヒドロキシルプロピル)−エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス−(アミノプロピル)エーテル;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4−シクロヘキシルジメチルオール;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;トリメチロールプロパン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG、好ましくは約250〜約3900の分子量を持つもの);およびこれらの混合物からなる。ジ−、トリ−、およびテトラ−官能性ポリカプロラクトンジオール、例えば、1、4−ブタンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ポロパンジオール、または2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールを伴って開始された2−オキセパノンポリマーを利用して良い。
ポリウレタンプレポリマーを鎖延長するのに採用できる、適切なアミン鎖延長剤(硬化剤)は、これに限定されないが:不飽和ジアミン、例えば、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(すなわち4,4'−メチレン−ジアニリンまたは"MDA")、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)ベンゼン,3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−)トルエンジアミンまたは"DETDA"、3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−5,5'−字メチル4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4'−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチル−ベンゼンアミノ)、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(すなわち4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)または"MOCA")、3,3'5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン))、2,2'−ジクロロ−3,3'5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち4,4'−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)または"MCDEA")、3,3'−ジエチル−5,5'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタンまたは"MDEA"、3,3'−ジクロロ−2,2',6,6'−テトラエチル−4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−ジフェニルメタン、4,4'−メチレン−ビス(2,3−ジックロロアニリン)(すなわち2,2',3,3'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタンまたは"MDCA"、4,4'−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、N,N'−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン、トリメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリエチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);飽和アミン、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−エキサンジアミン、イミノ−ビス(プロピルアミン)、イミド−ビス(プロピルアミン)、メチルイミノ−ビス(プロピルアミン)(すなわちN−(3−アミノプロピル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロキシ)ブタン(すなわち3,3'−[1,4−ブタンジイルビス−(オキシ)ビス]−1−プロパンアミン)、ジエチレングリコール−ビス(プロピルアミン)(すなわちジエチレングリコール−ジ(アミノプロピル)エーテル)、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、1−メチル−2,6−ジアミノ−シクロヘキサン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアミン,1,3−または1,4−ビス(メチルアミノ)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、N,N'−ジイソプロピル−イソホロンジアミン、4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、N,N'−ジアルキルアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシエチレンジアミン、3,3'−ジエチル−5,5'−ジメチル−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシプロピルジアミン、3,3'−ジエチル−5,5'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(すなわち、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアミノシクロヘキサン))、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、2,2'−ジクロロ−3,3',5,5'−テトラエチル−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、(エチレンオキシド)−キャップドポリオキシプロプレンエーテルジアミン、2,2',3,3'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、4,4'−ビス(sec−ブチルアミノ)ジシクロヘキシルメタン;トリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、(プロピレンオキシド)ベースのトリアミン(すなわち、ポリオキシプロピレントリアミン)、N−(2−アミノエチル−1,3−プロピレンジアミン(すなわちN3−アミン)、N−(アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(アミノプロピルブチレンジアミン、N−(アミノエチル)ヘキサメチレンジアミン、N−(アミノプロピル)ヘキサメチレンジアミン、トリメチロールプロパンベースのトリアミン、グリセリンベースのトリアミン、(すべて飽和);テトラアミン、例えば、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(すなわち、N4アミン)(双方飽和)、トリメチレンテトラアミン;および他のポリアミン、例えば、テトラエチレンペンタミン(飽和)を含む。1つの適切なアミン末端鎖延長剤はEthecure(商標、ジメチルチオトルエンジアミンまたは2,6−ジアミノ−3,5−ジメチルチオトルエンおよび2,4−ジアミノ−3,5−ジメチルチオトルエンの混合物)である。鎖延長剤として使用されるアミン硬化剤は環状構造を有し、その分子量は小さい(250以下)。
ヒドロキシ末端硬化剤を使用するとき、できたポリウレタン組成物はウレタン結合を含む。他方、アミン末端硬化剤を使用するとき、任意の過剰なイソシアネート基が硬化剤中のアミン基と反応する。できたウレタン組成物はウレタン結合および尿素結合を含み、ポリウレタン/尿素ハイブリッドと呼ばれて良い。
層を製造するために使用して良い、適切な熱硬化性ゴム材料は、天然および合成ゴムであり、これは、非限定的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレン−プロピレン−ジエン(「EPDM」)ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンブロックコポリマーゴム(例えば、SI、SIS、SB、SBS、SIBS、その他、ただし「S」はスチレン、「I」はイソブチレン、「B」はブタジエンである)、ポリアルケナマ、例えば、ポリオクテナマー、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ尿素エラストマー、メタローセン触媒エラストマー、およびプラストマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、ブタジエンのアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩化イソプレンゴム、およびこれらの2以上の組み合わせを含む。好ましくは、外側コア層はポリブタジエンゴム組成物から形成される。
熱硬化性ゴム組成物は、慣用的な硬化プロセスを用いて硬化して良い。適切な硬化プロセスは、例えば、過酸化物硬化剤、硫黄硬化剤、高エネルギー照射、およびこれらの組み合わせを含む。好ましくは、ゴム組成物は、有機過酸化物、遊離基を生成できる高エネルギー照射ソース、およびこれらの組み合わせから選択された遊離基開始剤を含む。1つの好ましいバージョンでは、ゴム組成物は過酸化物硬化処理される。適切な有機過酸化物は、これに限定されないが、ジクミルペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;ジ−t−ブチルペルオキシド;ジ−t−アミルペルオキシド;t−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;ジ(2−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ジラウリルペルオキシド;ジベンゾイルペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド;およびそれらの組み合わせを含む。好ましい実施例においては、遊離基開始剤はジクミルペルオキシドであり、これは、非限定的には、Akzo Nobel社から商業的に入手可能なPerkadox(商標)BCである。過酸化物遊離基開始剤は、一般的には、ゴム組成物注に、ゴム全体の重量で100部に対して少なくとも0.05部の量だけ存在し、または、下限がゴム全体の重量で100部に対して0.05部、または0.1部、または1部、または1.25部、または1.5部、または2.5部、または5部で、上限がゴム全体の重量で100部に対して2.5部、または3部、または5部、または6部、または10部、または15部の範囲の量だけ存在する。濃度は、とくに断らない限り、パーツパーハンドレッド(100部に対する部、phr)である。ここで使用されるように、用語「パーツパーハンドレッド」は、ポリマー成分の重量100部に対する、混合物中に存在する特定の成分の重量部の数として定義される。数学的には、ポリマーの総重量で成分の重量を割って、100のファクタを掛けたものとして表される。
ゴム組成物はさらに反応性架橋コエージェントを含んで良い。適切な反応性コエージェントは、これに限定されないが、3〜8この炭素原子を具備する不飽和カルボン酸の金属塩;不飽和ビニル化合物および多価モノマー(例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート);フェニレンビスマレイミド;およびこれらの組み合わせを含む。適切な金属塩の具体的な例は、これに限定されないが、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、およびジメタクリレートの1または複数の金属塩であり、ここで、金属がマンガン、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、およびニッケルである。具体的な実施例では、コエージェントはアクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、およびジメタクリレートの亜鉛塩から選択される。他の具体的な実施例では、エージェントは亜鉛ジアクリレート(ZDA)である。コエージェントが亜鉛ジアクリレートおよび/または亜鉛ジメタクリレートであるときには、コエージェントは典型的にはゴム組成物中に、下限がゴム全体の重量100部に対して1または、5、または10、または15、または19、または20部で、上限がベースゴムの重量100部に対して24、または25、または30、または35、または40、または45、または50、または60部の範囲で存在する。
ハロゲン化有機硫黄、有機ジスルフィド、または無機ジスルフィド化合物のような遊離基捕捉剤がゴム組成物中に添加されて良い。これら化合物は「柔軟化および高速化剤」として機能しても良い。ここで用いられるように「柔軟化および高速化剤」はコアを(1)一定の「反発係数」(COR)においてより柔軟にできる、および/または(2)柔軟化および高速化剤なしで透過に準備されたコアと較べたときにより高速にできる(等しい圧縮でより大きなCORを得る)任意のエージェントまたはそれらのブレンドを意味する。好ましいハロゲン化硫黄化合物は、これに限定されないが、ペンタクロロチオフェノール(PCTP)およびPCTPの塩、例えばZnPCTPである。ゴルフボールの内部コアにPCTPおよびZNPCTPを採用することにより柔らかくて速い内部コアを実現する。PCTPおよびZnPCTP化合物はコアの弾力性および反発係数を増大させるのに役立つ。具体的な実施例では、柔軟化および高速化剤は、ZnPCTP、PCTP、ジトリルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジキシルジスルフィド、2−ニトロリソルシノールおよびこれらの組み合わせである。
ゴム組成物は、フィラー、例えば、カーボンブラック、ナノクレイ(例えば、Southern Clay Product社から商業的に入手可能なCloisite(商標)およびNanofil(商標)ナノクレイ、Nanocor社から商業的に入手可能なNanomax(商標)およびNanomer(商標)ナノクレイ)、タルク(例えばLuzenac America社から商業的に入手可能なLuzenacHAR(商標)高アスペクト比タルク)、ガラス(例えば、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびマイクロガラス)、雲母および雲母ベースの顔料(例えばThe Merck Groupから商業的に入手可能なIriodin蛍光発色顔料)およびこれらの組み合わせから選択されるフィラーも含む。例えば、銅、スチール、真鍮、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、モリブデン、コバルト、ニッケル、鉄、鉛、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、青銅、銀、金、およびプラチナ、ならびにこれらの合金および組み合わせのような金属フィラーもゴム組成物に添加されて組成物の比重を適宜に調整しても良い。
さらに、ゴム組成物はエラストマーの破壊を阻止するために酸化防止剤を含んで良い。また、プロセス助剤、例えば、高分子量の有機酸またはその塩を組成物に添加してよい。適切な有機酸は、脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、マルチ不飽和モノ−官能性有機酸、およびそれらのダイマー化された誘導体である。適切な有機酸の例は、これに限定されないが、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、安息香酸、パルミチン酸、フェニルアセチル酸、ナフタレン酸、およびこれらのダイマー化された誘導体を含む。有機酸は、脂肪族、モノ−官能性(飽和した、不飽和の、又は多不飽和の)有機酸である。これらの有機酸の塩も使用することができる。この発明の有機酸の塩は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はカルシウムの塩、脂肪酸の塩、特にステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸又はこれらのダイマー化された誘導体の塩を含む。この発明の有機酸及び塩は相対的に非移行性(常圧下でポリマーの表面にブルーミングを生じないこと)でありかつ非揮発性(メルトブレンドに必要な温度で蒸発しないこと)であることが好ましい。促進剤(例えば、テトラメチルチウラム)、プロセス助剤、色素および顔料、湿潤剤、表面活性剤、可塑剤、発色剤、蛍光剤、化学発泡剤およびフォーミング剤、消泡剤、安定化剤、柔軟化剤、衝撃修正剤、オゾン劣化防止剤のような他の成分を、この業界で知られている他の添加物と同様に、ゴム組成物に添加して良い。
この発明に従って利用することができる商業的に入手可能なポリブタジエンゴムの例は、これに限定されないが、タイ王国、バンコクのBSTエラストマーズから入手可能なBR01およびBR1220、ミシガン州ミッドランドのDOWケミカル社から入手可能なSE BR1220LA、およびSE BR1203、オハイオ州、アクロンのGoodyear社から入手可能なBUDENE1207、1207s、1208、および1280、日本国、東京の日本合成ゴム社(JSR)から入手可能なBR 01、51、および730、ペンシルバニア州、ピッツバーグのLanxess社から入手可能なBuna CB21、CB22、CB23、CB24、CB25、CB29 MES、CB60、CBNd60、CB55NF、CB70B、CBKA8967、およびCB1221、韓国、ソウルのLGケミカル社から入手可能なBR1208、日本国、東京のUBE Industry社から入手可能なUBEPOL BR130B、BR150、BR150B、BR150L、BR230、BR360L、BR710、およびBCR617、イタリア、ローマのPolimeri Europaから入手可能なEUROPRENE NEOCIS BR60、INTENE 60AF、およびP30AF、南アフリカ、BrumaのKarbochem(PTY)社から入手可能なAFDENE 50およびNEODENE BR40、BR45、BR50、およびBR60、韓国、ソウルのKumho Petrochemical社から入手可能なKBR 01、NdBr40、NdBr−45、NdBr60、NdBr710S、KBR710H、およびKBR750、オハイオ州、アクロンのFirestone社から入手可能なDIENE 55NF、70AC、および320AC、およびタタールスタン共和国のニゼネカムスキのNizhnecamskneftekhim社から入手可能なPBR−Nd グループII、およびグループIIIを含む。
ポリブタジエンゴムは、組成物の総重量を基にして、重量で、少なくとも約5%の量だけ使用され、一般的には、約5%から約100%の量だけ、または、下限が5%、または10%、または20%、または30%、または40%、または50%で、上限が55%、または60%、または70%、または80%、または90%、または95%、または100%の範囲の量だけ存在する。好ましくは、ポリブタジェンゴムの濃度は約40から約95重量%である。必要な場合には、より少ない量の他の熱硬化性材料をベースゴムに組み入れても良い。そのような材料は、先に検討したゴム、例えば、シス−ポリイソプレン、トランス−ポリイソプレン、バラタ、ポリクロロプレン、ポリノルボルネン、ポリオクタナマ、ポリペンテナマ、ブチルゴム、EPR、EPDM、スチレン−ブタジエン、その他を含む。
層を形成するための適切な熱可塑性材料は、これに限定されないが、少なくとも部分的に中和された酸基を含むアイオノマー組成物を含む。適切なアイオノマー組成物は、部分的に中和されたアイオノマーおよび高度に中和されたアイオノマー(HNP)を含み、これらは、2またはそれ以上の部分的に中和されたアイオノマーのブレンド、2またはそれ以上の高度に中和されたアイオノマーのブレンド、および1または複数の部分的に中和されたアイオノマーおよび1または複数の高度の中和されたアイオノマーのブレンドを含む。この開示の目的において、「HNP」は、組成物中のすべての酸基の少なくとも70%が中和された後の酸コポリマーを指す。好ましいアイオノマーは、O/XおよびO/X/Yタイプの酸コポリマーの塩であり、ここで、Oはα−オレフィン、XはC3−C8α,βエチレン系不飽和カルボン酸、Yは軟化モノマーである。Oは好ましくはエチレンおよびプロピレンから選択される。Xは好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、およびイタコン酸から選択される。メタクリル酸およびアクリル酸がとくに好ましい。Yは好ましくは(メタ)アクリレートおよびアクリル(メタ)アクリレートであり、アクリル基は1〜8の炭素原子を含み、これに限定されないが、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、およびエチル(メタ)アクリレートを含む。
好ましいO/XおよびO/X/Yタイプのコポリマーは、これに限定されないが、エチレン酸コポリマー、例えば、エチレン/(メタ)アクリル酸、エチレン/(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物、エチレン/(メタ)アクリル酸/マレイン酸モノ−エステル、エチレン/マレイン酸、エチレン/マレイン酸モノ−エステル、エチレン/n−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/イソブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/エチル(メタ)アクリレートターポリマー、その他を含む。用語「コポリマー」は、ここで使用されるように、二種類のモノマーを具備するポリマー、3種類のモノマーを具備するポリマー、4以上の種類のモノマーを具備するポリマーを含む。好ましいα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸は(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸である。(メタ)アクリル酸が最も好ましい。ここで使用されるように、「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。
アイオノマー組成物を形成するために適切な酸コポリマーは、また、すでに部分的に中和されている酸コポリマーを含む。適切な部分的に中和された酸コポリマーの例は、これに限定されないけれども、E.I.DuPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なSurlyn(商標)アイオノマー;Honeywell International Inc.から商業的に入手可能なAclyn(商標)アイオノマー;およびExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマーを含む。E.I.DuPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なDuPont(商標)HPF1000およびDuPont(商標)HPF2000アイオノマー材料も適切である。いくつかの実施例において、超低弾性率アイオノマー(「VLMI−」)型のエチレン酸コポリマーはHNPを形成するのに最適であり、これは例えばE.I.DuPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なSurlyn(商標)6320、Surlyn(商標)8120、Surlyn(商標)8320、およびSurlyn(商標)9320である。
α−オレフィンは、O/XまたはO/X/Yタイプのコポリマー中に、酸コポリマーの総重量を基準にして、典型的には、15wt%以上、または、25wt%以上、または40wt%以上、または60wt%以上の鑞だけ存在する。酸は典型的には酸コポリマー中に、酸コポリマーの総重量を基準にして、6wt%以上、または9wt%以上、または10wt%以上、または11wt%以上、または15wt%以上、または16wt%以上の量だけ、あるいは、下限が1または4または5または6または8または10または11または12または15wt%で上限が15または16または17または19または20または20.5または21または25または30または35または40wt%の範囲内の量だけ存在する。オプションの軟化モノマーは、酸コポリマーの総重量を基準にして、典型的には、下限が0または1または3または5または11または15または20wt%で、上限が23または25または30または35または50wt%の範囲内の量だけ存在する。
さらには、適切なアイオノマーは、例えば、米国特許第5,691,418号、同第6,562,906号、同第6,653,382号、同第6,777,472号、同第6,762,246号、同第6,815,480号、および同第6,953,820号、並びに、米国特許出願公開第2005/0148725号、同第2005/0049367号、同2005/0020741号、同第2004/0220343号、および同第2003/0130434号に開示されており、これらの内容は参照してここに組み入れる。
O/XまたはO/X/Y型共重合体は、オプションとして高分子量有機酸、例えば、米国特許第6,756,436号に開示されているもの(その開示内容は参照してここに組み込む)の存在下、カチオン源で少なくとも部分的に中和され、もって、存在するすべての酸基の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは100%が中和される。具体的な実施例において、カチオン源は、理論的には、組成物中に存在するすべての酸基の100%、または105%以上、または110%以上、または115%以上、または120%以上、または125%以上、または200%以上、または250%以上を中和させるのに十分な量だけ存在する。酸コポリマーは、オプションの高分子量有機酸およびカチオン源と、カチオン源の添加と同時に、またはカチオン源の添加前に反応させることができる。
適切なカチオン源には、これに限定されないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および希土類元素の化合物のような金属イオン源;アンモニウム塩およびモノアミン塩;およびそれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、鉛、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロム、リチウムおよび希土類金属の化合物である。アイオノマー、およびアイオノマーがベースとする酸ポリマーを調製する方法は、例えば、米国特許第3,264,272号および第4,351,931号、および米国特許出願公開第2002/0013413号に開示されている。
適切な高分子量有機酸は、脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和一官能性有機酸、不飽和一官能性有機酸、多不飽和一官能性有機酸およびそれらの二量体化誘導体である。適切な有機酸の特定の例としては、これらに限定されないが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、安息香酸、パルミチン酸、フェニル酢酸、ナフタレン酸、それらの二量体化誘導体、およびそれらの組み合わせが挙げられる。高分子量有機酸の塩は、塩、特にバリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウムおよびカルシウム塩、脂肪族有機酸、酸、飽和一官能性有機酸、不飽和一官能性有機酸、多不飽和一官能性有機酸、それらの二量化誘導体、およびそれらの組み合わせを含む。適切な有機酸およびその塩は、例えば、米国特許第6,756,436号に詳しく記載されており、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、HNP組成物は、20phr以上、または25phr以上、または30phr以上、または35phr以上、または40phr以上の量の有機酸塩を含む。
アイオノマー組成物は、オプションとして、以下のものから選択された少なくとも1つの付加的なポリマー要素を有し、これは、例えば、米国特許出願公開第2006/0128904号(その開示内容は参照してここに組み入れる)に開示されているような部分的に中和されたイオノマー;米国特許出願公開第2004/0220343号および米国特許第6,562,906号、同第6,762,246号、同第7,273,903号、同第8,193,283号、同第8,410,219号および同第8,410,220号(その開示内容は参照してここに組み入れる)に開示されているようなバイモーダルアイオノマー、とくに、EI du Pont de Nemours and Companyから市販されているAD1043、1092および1022アイオノマー樹脂;米国特許出願公開第2005/0020741号(その開示内容は参照してここに組み入れる)に開示されているような、ロジンで変性されたアイオノマー;米国特許出願公開第2003/0114565号(その開示内容は参照してここに組み入れる)に開示されているもののような柔軟で弾力のあるエチレンコポリマー;例えば直鎖状、分岐状または環状のC2〜C40オレフィンのようなポリオレフィン、とくに、1つ以上のC2〜C40オレフィン、C3〜C20α−オレフィン、またはC3〜C10α−オレフィンと共重合されたエチレンまたはプロピレンを含むポリマー;ポリアミド;ポリエステル;ポリエーテル;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリアセタール;ポリラクトン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;スチレン−アクリロニトリル樹脂;スチレン無水マレイン酸;ポリイミド;芳香族ポリケトン;イオノマーおよびアイオノマー前駆体、酸コポリマー、ならびに米国特許第6,756,436号、同第6,894,098号、および同第6,953,820号その開示内容は参照してここに組み入れる)に開示されているものなどの従来のHNP;ポリウレタン;単一サイト触媒重合ポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオンイオノマー、およびそれらの組み合わせなどのグラフト化および非グラフトメタロセン触媒ポリマー;天然および合成ゴムであり、これは、限定的ではないが、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレンプロピレンジエンゴム(「EPDM」)、スチレン系ブロックコポリマーゴム(例えば、SI、SIS、SB、SBS、SIBS等、ここで、「S」がスチレンであり、「I」がイソブチレンであり、「B」がブタジエンである)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンとのコポリマー、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンのアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム(例えば、エチレン−アルキルアクリレートおよびエチレン−アルキルメタクリレート、より具体的にはエチレン−エチルアクリレート、エチレン−メチルアクリレート、およびエチレン−ブチルアクリレート)、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(シスおよびトランス)である。追加の好適なブレンドポリマーには、米国特許第5,981,658号、例えば第14欄第30〜56行に記載されているものが含まれ、その全開示は参照してここに組み入れる。ブレンドは、ポスト・リアクタのブレンドによって製造されて良く、また、リアクタをシリアルに接続してリアクタブレンドを形成することによって製造されて良く、また同一のリアクタにおいて複数の触媒を用いてフック数の主のポリマーを製造することによって製造されて良い。ポリマーは、押出機に入れる前に混合してもよく、または押出機中で混合してもよい。具体的な実施例において、アイオノマー組成物は、酸コポリマーおよび追加のポリマー成分を含み、ここで、追加のポリマー成分は、50wt%を超える量だけ存在し、または、下限が50または55または60または65または70で、上限が80または85または90の範囲内の量だけ存在する非酸性ポリマーであり、これは、酸コポリマーと非酸性ポリマーとの合計重量に基づくものである。他の具体的な実施例において、アイオノマー組成物は、酸コポリマーおよび追加のポリマー成分を含み、ここで追加のポリマー成分は、50wt%未満の量だけ存在し、または、下限が10または15または20または25または30で、上限が40または45または50の範囲の量だけ存在する非酸ポリマーであり、これは、酸コポリマーと非酸性ポリマーとの合計重量に基づくものである。
この発明に従って利用できる、適切な商業的に入手可能なアイオノマーおよび他の熱可塑性材料の非制限的な例は、E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なSyrlyn(商標)アイオノマー、DuPont(商標)HPF1000およびHPF2000高中和アイオノマー;A.Schulman,Incから商業的に入手可能なClarix(商標)アイオノマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAmplify(商標)IOアイオノマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAmplify(商標)GR官能性ポリマーおよびAmplify(商標)TY官能性ポリマー;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なFusabond(商標)官能化ポリマー(;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なExxelor(商標)無水マレイン酸ドラフト化ポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なExxonMobile(商標)PPシリーズポリプロピレンインパクトコポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Vistamaxx(商標)プロピレンベースのエラストマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Exact(商標)プラストマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なSantoprene(商標)熱可塑性加硫エラストマー;Kraton Performance Polymer Incから商業的に入手可能な、Kraton(商標)スチレンブロックコポリマー;Kuraray Co., Ltdから商業的に入手可能な、Septon(商標)スチレンブロックコポリマー;Arkema Corporationから商業的に入手可能な、Lotader(商標)エチレンアクリレートベースのポリマー;Chemtura Corporationから商業的に入手可能な、Polybond(商標)グラフト化ポリエチレンおよびポリプロピレン;Arkema Inc.から商業的に入手可能なPebax(商標)ポリエーテルおよびポリエステルアミド;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Hytrel(商標)のようなポリエステルベースの熱可塑性エラストマー、およびTiconaから商業的に入手可能なRiteflex(商標)ポリエステルエラストマー;The Lubrizol Corporationから商業的に入手可能な、Estane(商標)熱可塑性ポリウレタン;EMS Grivoryから商業的に入手可能な、Grovory(商標)ポリアミドおよびGrilamid(商標)ポリアミド;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Zytel(商標)ポリアミド樹脂およびElvamide(商標)ナイロンマルチポリマー樹脂;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Elvaloy(商標)アクリレートコポリマー樹脂;BASFから商業的に入手可能なElastollan(商標)ポリウレタンベースの熱可塑性エラストマー;SABIC innovative Plasticから商業的に入手可能なXylex(商標)ポリカーボネート/ポリエステルブレンド;およびこれらの2以上の組み合わせである。
先に検討したように、酸は、O/XまたはO/X/Yタイプのコポリマー中に6wt%以上の量だけ典型的には存在する。「低酸」および「高酸」アイオノマーコポリマーが、それらのアイオノマーのブレンドと同様に、使用できる。一般的には、低酸アイオノマーは、16wt%以下の酸部分を含むものと考えられ、他方、高酸アイオノマーは、16wt%を越える酸部分を含むものと考えられている。酸コポリマー中の酸基はカチオン源により部分的にまたは充分に中和される。適切なカチオン源は金属カチオン、その塩、有機アミン化合物、アンモニウム、およびこれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は、例えば、金属カチオンおよびその塩を含み、ここで、金属は好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅、またはこれらの組み合わせである。金属カチオン塩はエチレン酸コポリマー中のカルボン酸、および、存在する場合には脂肪酸を、以下にさらに検討するように中和する(種々のレベルで)ことができるカチオンを供給する。これらは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅の硫酸塩、炭酸塩、アセテート、酸化物、または水酸化物、または、これらの組み合わせを含む。大表面面積カチオン粒子、例えば、マイクロまたはナノ−スケールのカチオン粒子が好ましい。この組成物で使用されるカチオンの量は所望の中和レベルに基づいて容易に決定できる。
例えば、約10%以上の酸基が中和されているオレフィン酸コポリマーアイオノマー系樹脂を用いて良い。1つのアイオノマー組成物において、酸基は部分的に中和される。すなわち、中和レベルは、約10%から約70%、より好ましくは20%から60%、最も好ましくは30から50%である。これらアイオノマー組成物は、70%以下だけ中和された酸基を含み、これは比較的低い中和レベルまたは部分中和のアイオノマーと呼ばれて良い。他方、アイオノマー組成物は高度に、または充分に中和された酸基を含んでも良い。これらHNPにおいて、中和レベルは70%より大きく、好ましくは少なくとも90%であり、より好ましくは少なくとも100%である。他の実施例において、過剰な量の中和剤、すなわち、酸基を中和するのに必要とされる化学量論的量より多くの量が用いられて良い。すなわち、酸基は、100%以上、例えば110%または120%以上まで中和されてよい。
α−オレフィンがエチレンのとき、そのようなコポリマーはここではE/Xタイプコポリマーと呼ばれ、柔軟化モノマーが含まれるときには、そのようなコポリマーはここではE/X/Y−タイプコポリマーと呼ばれ、ここで、Eはエチレン、XはC3からC8のα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸、かつYは柔軟化コモノマーである。柔軟化モノマーは典型的にはアクリル(メタ)アクリレートであり、ここでアクリル基は1から8個の炭素原子を含む。好ましいE/X/Y−タイプコポリマーは、Xが(メタ)アクリル酸であり、および/または、Yが(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、およびエチル(メタ)アクリレートから選択された場合のE/X/Y−タイプコポリマーである。より好ましい、E/X/Y−タイプコポリマーは、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチルアクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/エチルアクリレートである。
E/XおよびE/X/Yタイプの酸コポリマー中のエチレンの量は、典型的には、コポリマーの総重量を基礎にして、少なくとも15wt%、好ましくは少なくとも25wt%、さらに好ましくは少なくとも40wt%、より好ましくは少なくとも60wt%である。エチレン酸コポリマー中のα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸の量は、典型的には、コポリマーの総重量を基礎にして、1wt%から35wt%、好ましくは、5wt%から30wt%、より好ましくは、5wt%から25wt%、さらに好ましくは10wt%から20wt%である。エチレン酸コポリマー中のオプションの柔軟化コモノマーの量は、典型的には、コポリマーの総重量を基礎にして、0wt%から50wt%、好ましくは、5wt%から40wt%、より好ましくは、10wt%から35wt%、さらに好ましくは20wt%から30wt%である。先に検討したように、「低酸」および「高酸」アイオノマー系ポリマーは、それらアイオノマーのブレンドと同様に、採用できる。一般的には、低酸アイオノマーは16wt%以下の酸部分を含むものであり、他方、高酸アイオノマーは16wt%より多くの酸部分を含むものである。
先に検討したように、E/XおよびE/X/Yタイプのコポリマーアイオノマー中の酸基はカチオン源により部分的にまたは完全に中和される。適切なカチオン源は金属カチオン、その塩、有機アミン化合物、アンモニウム、およびこれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は、例えば、金属カチオンおよびその塩を含み、ここで、金属は好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅、またはこれらの組み合わせである。金属カチオン塩はエチレン酸コポリマー中のカルボン酸、および、存在する場合には脂肪酸を、以下にさらに検討するように中和する(種々のレベルで)ことができるカチオンを供給する。これらは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅の硫酸塩、炭酸塩、アセテート、酸化物、または水酸化物、または、これらの組み合わせを含む。大表面面積カチオン粒子、例えば、マイクロまたはナノ−スケールのカチオン粒子が好ましい。この組成物で使用されるカチオンの量は所望の中和レベルに基づいて容易に決定できる。
例えば、約10%以上の酸基が中和されているエチレンン酸コポリマーを用いて良い。1つのエチレン酸コポリマー組成物において、酸基は部分的に中和される。すなわち、中和レベルは、約10%から約70%、より好ましくは20%から60%、最も好ましくは30から50%である。これらエチレン酸コポリマー組成物は、70%以下だけ中和された酸基を含み、これは比較的低い中和レベルまたは部分中和のアイオノマーと呼ばれて良い。他方、エチレン酸コポリマー組成物は高度に、または充分に中和された酸基を含んでも良い。これらHNPにおいて、中和レベルは70%より大きく、好ましくは少なくとも90%であり、より好ましくは少なくとも100%である。他の実施例において、過剰な量の中和剤、すなわち、酸基を中和するのに必要とされる化学量論的量より多くの量が用いられて良い。すなわち、酸基は、100%以上、例えば110%または120%以上まで中和されてよい。1つの好ましい実施例において、約10〜20wt%のメタクリル酸またはアクリル酸を含有する高酸エチレン酸コポリマーは亜鉛またはナトリウムのカチオンで95%の中和レベルまで中和される。
「イオン性可塑剤」、例えば、有機酸または有機酸の塩、具体的には脂肪酸が、必要に応じて、アイオノマー樹脂に添加されて良い。そのようなイオン性可塑剤は慣用的なアイオノマー組成物をより処理可能なようにするために使用され、これは米国特許第6,756,436号(Rajagopalan、その他)に説明され、その内容は参照してここに組み入れる。1つの好ましい実施例において、熱可塑性アイオノマー組成物は、70%以下だけ中和された酸基を含み、これは、脂肪酸、またはその塩、またはどのような他のイオン性可塑剤も含まない。他方、70%を超える分だけ中和された酸基を含む可塑性アイオノマー組成物は、イオン性可塑剤、具体的には、脂肪酸またはその塩を含む。イオン性可塑剤は、0.5から10pphの量だけ、さらに好ましくは1から5pphの量だけ添加されて良い。有機酸は、脂肪族、モノ−またはマルチ−官能性(飽和した、不飽和の、又はマルチ不飽和の)有機酸である。これらの有機酸の塩も使用することができる。適切な脂肪酸塩は、例えば、金属ステアリン酸エステル、ラウリン酸エステル、オレイン酸エステル、パルチミン酸エステル、ペラルゴン酸エステル、および、その他を含む。例えば、脂肪酸塩、具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、その他が利用できる。脂肪酸の塩は一般的には金属イオンで中和された脂肪酸である。金属カチオン塩は、脂肪酸のカルボン酸基を中和する(種々のレベルで)ことが可能なカチオンを供給する。例は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はカルシウムのような金属の硫酸塩、炭酸塩、アセテート、および水酸化塩、およびこれらのブレンドを含む。有機酸及び塩は相対的に非移行性(常圧下でポリマーの表面にブルーミングを生じないこと)でありかつ非揮発性(メルトブレンドに必要な温度で蒸発しないこと)であることが好ましい。
先に記述したように、最終的なアイオノマー組成物は、例えば、少量のイオン性可塑剤のような付加的な材料を含んでよく、これは高度に中和されたアイオノマーの加工性を改良するのに特に有益である。例えば、イオン性可塑剤は0.5から10pphの量だけ、より好ましくは、1から5pphの量だけ添加されて良い。上述の脂肪酸および脂肪酸の塩に加えて、他の適切なイオン性可塑剤は、例えば、ポリエチレングリコール、ワックス、ビス−ステアリン酸アミド、ミネラル、および、フタル酸エステルを含む。他の実施例において、アミンおよびピリジン化合物が、好ましくは、金属カチオンに加えて用いられて良い。適切な例は、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、タート−ブチルアミン、ドデシルアミン、および、その他を含む。
アイオノマー組成物は幅広い種類のフィラーを含んで良く、これらフィラーのいくつかは必要に応じて組成物の比重を調整するのに用いて良い。アイオノマー中の酸基と親和性がある大表面面積フィラーを採用して良い。具体的には、アイオノマーの中和にも貢献するようなカチオン性を伴う、粒子、繊維、またはフレークのようなフィラーが適切である。例えば、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物、錫酸化物、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、タングステン、タングステンカーバイド、および珪酸鉛のフィラーを採用して良い。また、シリカ、フームドシリカ、または沈降シリカ、例えばPPG Industries社からHISILの商標で販売されているもの、カーボンブラック、カーボンファイバ、およびナノ−スケール材料、例えば、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノフィラー、またはナノクレイが使用されて良い。比較的重量の大きなフィラーもアイオノマー組成物に添加して良く、これに限定されるものではないが、粒子、粉末、ファイバ、およびフレークの重金属、例えば、銅、ニッケル、タングステン、真鍮、スチール、マグネシウム、モリブデン、コバルト、鉛、錫、銀、金、および白金、ならびにこれらの合金を含む。スチール材料も添加できる。他の例において、比較的軽量な金属、例えばチタン、およびアルミニウム、ならびにこれらの合金を添加することが好ましい。他の添加物およびフィラーは、これに限定されないが、化学発泡およびフォーミング剤、光学的光沢剤、発色剤、蛍光剤、白色化剤、UV吸収剤、光安定化剤、消泡剤、プロセス助剤、酸化防止剤、安定化剤、柔軟化剤、香料成分、可塑剤、衝撃改質剤、二酸化チタン、酸コポリマーワックス、表面活性剤、ゴムリグリンド(リサイクルコア材料)、クレイ、雲母、タルク、ナノフィラー、カーボンブラック、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびこれらの混合物を含む。適切な添加剤は、例えば、米国特許出願公開第2003/0225197号(Rajagopalan、その他)により充分に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。具体的な実施例において、最終的な熱可塑性アイオノマー組成物中に存在する添加物およびフィラーの量は、アイオノマー組成物の総重量を基礎にして、25重量%以下、または20重量%以下、または15重量%以下、または12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下である。
酸コポリマーは組成物の総重量を基準にして少なくとも約5%の量だけ使用され、一般的には、約5%から約100%の量だけ存在し、または下限が5%または10%または20%または30%または40%または50%で上限が55%または60%または70%または80%または90%または95%または100%の範囲内の量だけ存在する。好ましくは、酸コポリマーの濃度は約40から約95重量パーセントである。
具体的な実施例において、HNP組成物は、酸ポリマー、非酸ポリマー、カチオン源、および脂肪酸またはその金属塩をブレンドすることにより形成される。この考案の説明において、無水マレイン酸修正ポリマーは、HNP組成物を生成するためのポリマー処理の間に酸形態へと開環できる無水物基を有するけれども、ここでは、非酸ポリマーとして定義される。無水マレイン酸基は、ポリマーにグラフト化され、比較的顕著に低いレベルしか存在せず、酸ポリマーの場合のようには、ポリマー主鎖を構成しない。これはもっぱら、エチレンおよび酸のE/XおよびE/X/Yコポリマーであり、特にメタクリル酸およびアクリル酸とのコポリマーである。
この実施例の具体的な側面において、酸ポリマーは、オプションとして、n−ブチルアクリレートおよびイソ−ブチルアクリレートから選択された軟化モノマーうぃ含有する、エチレン−アクリル酸およびエチレン−メタクリル酸コポリマーから選択される。酸ポリマーは、好ましくは、下限が2または10または15または16モル%で上限が20または25または26または30モル%の範囲で酸を含有する。とくに適切な商業的に入手可能な酸ポリマーは、これに限定されないが、以下の表1Aに示されるものを含む。
Nucrel(R)酸ポリマーはE.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なである。
Escor(R)酸ポリマーはExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手できる。
A−C(R)酸ポリマーはHoneywell international Incから商業的に入手できる。
Primacor(R)酸ポリマーおよびXUS酸ポリマーはThe Dow Chemical Companyから商業的に入手できる。
この実施例の他の具体的な側面において、非酸ポリマーはエラストマーポリマーである。適切なエラストマーポリマーは、これに限定されないが、
(a)エチレン−アルキルアクリレートポリマー、特にポリエチレン−ブチルアクリレート、ポリエチレン−メチルアクリレート、およびポリエチレン−エチルアクリレート;
(b)メタロセン触媒ポリマー;
(c)エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素ポリマーおよびエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素ポリマー;
(d)ポリエチレン−酢酸ビニル;
(e)硬化部位モノマーを含有するエチレン−アルキルアクリレートポリマー;
(f)エチレン−プロピレンゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム;
(g)オレフィン性エチレンエラストマー、特にエチレン−オクテンポリマー、エチレン−ブテンポリマー、エチレン−プロピレンポリマー、およびエチレン−ヘキセンポリマー;
(h)スチレンブロックコポリマー;
(i)ポリエステルエラストマー;
(j)ポリアミドエラストマー;
(k)ポリオレフィンゴム、特にポリブタジエン、ポリイソプレンおよびスチレン−ブタジエンゴム;および、
(l)熱可塑性ポリウレタン、
を含む。
とくに適切な商業的に入手可能な非酸ポリマーの例は、これに限定されないが、Aekema Corporationから商業的に入手可能な、Lotader(商標)エチレン−アルキルアクリレートポリマーおよびLotyl(商標)エチレン−アルキルアクリレートポリマー、とくに、Lotader(商標)4210、4603、4700、4720、6200、8200、およびAX8900;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Elvaloy(商標)ACエチレン−アルキルアクリレートポリマー、とくにAC1224、AC1335、AC2116、AC3117、AC3427、およびAC34035;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Fusabond(商標)エラストマーポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、メタローセン触媒ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、およびポリプロピレン、とくに、Fusabond(商標)N525、C190、C250、A560、N416、N493、N614、P614、M603、E100、E158、E226、E265、E528、およびE589;Honeywellから商業的に入手可能な、Honeywell A−Cポリエチレンおよび酸化ポリエチレン、例えば、A−C655およびA−C395;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能な、Nordel(商標)IPゴム、Elite(商標)ポリエチレン、Engage(商標)エラストマー、および、Amplify(商標)官能化ポリマー、とくにAmplify(商標)GR207、GR208、GR209、GR213、GR216、GR320、GR380、およびEA100;ExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手可能な、Enable(商標)メタローセンポリエチレン、Exact(商標)プラストマー、Vistmaxx(商標)ポリエチレンベースのエラストマーおよびVistalon(商標)EPDMゴム;LyondellBasellから商業的に入手可能な、Starflex(商標)メタローセン直鎖低密度ポリエチレン;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Elvaloy(商標)HP4051、HP441、HP661、およびHP662エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素ポリマー;Arkema Corporationから商業的に入手可能な、Evatane(商標)という、18から42%のビニルアセテート含有量を具備するエチレン−ビニルアセテートポリマー;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Elvax(商標)という、7.5から40%のビニルアセテート含有量を具備するエチレン−ビニルアセテートポリマー;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Vamac(商標)Gという、エチレン、メタクリレート、および加硫点モノマー(cure site monomaer)のターポリマー;ExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手可能な、Vistalon(商標)EPDMゴム;Kraton Performance Polymers Incから商業的に入手可能な、Kraton(商標)スチレンブロックコポリマー、とくにKraton(商標)FG1901GT、FG1924GT、およびRP6670GT;Kuraray Co. Ltd.から商業的に入手可能な、Septon(商標)スチレンブロックコポリマー;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Hytel(商標)ポリエステルエラストマー、とくにHytel(商標)3078、4069、および5556;Celanese Corporationから商業的に入手可能な、Riteflex(商標)ポリエステルエラストマー;Arkema Incから商業的に入手可能な、Pebax(商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミド、とくにPebax(商標)2533、3533、4033、および5533;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能な、Affinity(商標)およびAffinity(商標)GAエラストマー、Versify(商標)エチレン−プロピレンコポリマーエラストマー、およびInfuse(商標)オレフィンブロックコポリマー;ExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手可能な、Exxelor(商標)ポリマー樹脂、とくにExxelor(商標)PE1040、PO1015、PO1020、VA1202、VA1801、VA1803、およびVA1840;および、Chemtura Corporationから商業的に入手可能な、Royaltuf(商標)EPDM、とくにRoyaltuf(商標)498という、非晶質EPDMをベースにした無水マレイン酸修正ポリオレフィン、およびRoyaltuf(商標)485という、半結晶EPDMをベースにした無水マレイン酸修正ポリオレフィンを含む。
とくに適切な商業的に入手可能なエラストマーポリマーは、これに限定されないが、以下の表1Bに示されるものを含む。
酸ポリマーおよび非酸ポリマーは、混合されてカチオン源と反応させられ、存在するすべての酸基の少なくとも80%が中和させられるようになす。この考案は、酸ポリマー、非酸ポリマー、およびカチオン源の混合の具体的な順番に限定されないことに留意されたい。具体的な実施例において、脂肪酸またはその金属塩は、当該脂肪酸またはその金属塩が、HNP組成物の総重量の基準にして、当該HNP中に10wt%から60wt%、または、下限が10または20または30または40wt%で上限が40または50または60wt%の範囲内の量だけ存在するような量だけ使用される。適切なカチオン源および脂肪酸およびその金属塩はさらに上に開示される。
この実施例の他の具体的な側面において、酸ポリマーは、酸含有量が19wt%以上のエチレン−アクリル酸ポリマーであり、当該非酸ポリマーが、オプションとして無水マレイン酸で修正された、メタローセン触媒エチレン−ブテンコポリマーであり、カチオン源がマグネシウムであり、脂肪酸またはその金属塩が組成物の総重量を基準にして、20〜50wt%だけ組成物中に存在するマグネシウムオレエートである。
層を形成するために使用されて良い他の適切な熱可塑性ポリマーは、これに限定されないが、以下のポリマーを含み、これは、これらのホモポリマー、コポリマー、および誘導体を含む。すなわち、(a)ポリエステル、とくに適合化基、例えば、スルホン酸塩または燐酸塩により改質したポリエステル。これは改質ポリ(エチレンテレフタレート)、改質ポリ(ブチレンテレフタレート)、改質ポリ(プロピレンテレフタレート)、改質ポリ(トリメチレンテレフタレート)、改質ポリ(エチレンナフテネート)、および、米国特許第6,353,050号、同第6,274,298号、および同第6,001,930号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンドを含む。これらの文献の内容は参照してここに組み入れる。
(b)ポリアミド、ポリアミド−エーテル、およびポリアミド−エステル、および米国特許第6,187,864号、同第6,001,930号、および同第5,981,654号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これらの文献の内容は参照してここに組み入れる。
(c)ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド、およびこれらの2以上のブレンド。
(d)フルオロポリマー、例えば米国特許第5,691,066号、同第6,747,110号、および同第7,009,002号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これら文献の内容は参照してここに組み入れる。
(e)ポリスチレン、例えば、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(スチレンスルホネート)、ポリエチレンスチレン、およびこれらのブレンド。
(f)ポリビニルクロライド、グラフト化ポリビニルクロライド、およびこれらの2以上のブレンド。
(g)ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエンスチレンのブレンド、ポリカーボネート/ポリウレタンのブレンド、およびポリカーボネート/ポリエステルのブレンド、およびこれらの2以上のブレンド。
(h)ポリエーテル、例えば、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、アルケン芳香族炭化水素のビニル芳香族炭化水素およびポリ(アミド酸エステル)とのブロックコポリマー、およびこれらの2以上のブレンド。
(i)ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、およびこれらの2以上のブレンド。
(j)ポリカーボネート/ポリエステルコポリマーおよびブレンド。
これらの熱可塑性ポリマーは、それ自体で層を形成するのに使用されて良く、または、上述のポリマーおよびエチレン酸コポリマーアイオノマーを含む熱可塑性ポリマーのブレンドが使用されて良い。アイオノマー組成物は2種以上のアイオノマーのブレンドを含有してもよいことも認識されている。例えば、組成物は、2つの異なる高度に中和されたエチレン/メタクリル酸コポリマーの50/50wt%のブレンドを含んで良い。別の形態では、組成物は、1種以上のイオノマーと無水マレイン酸グラフト非アイオノマーポリマーとのブレンドを含有して良い非アイオノマーポリマーは、メタロセン触媒ポリマーであって良い。別の形態では、組成物は、高度に中和されたエチレン/メタクリル酸コポリマーと無水マレイン酸グラフトメタロセン触媒ポリエチレンとのブレンドを含有する。さらに別の形態では、組成物は、場合により無水マレイン酸グラフト非アイオノマーポリマーとブレンドされた、高度に中和されたアイオノマー;ポリエステルエラストマー;ポリアミドエラストマー;およびそれらの2つ以上の組み合わせからなるグループから選択された材料を含有する。
熱可塑性材料は、ポリマー鎖を架橋して網目構造を形成することによって熱硬化性材料に「変換」することができ、そのような架橋熱可塑性材料を用いて、コアおよび中間層を形成することができることも認識されている。この発明に従う。例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)のような熱可塑性ポリオレフィンは、ポリマー鎖間に結合を形成するように架橋されていてもよい。架橋された熱可塑性材料は、典型的には、特に結晶融点を超える温度で、非架橋熱可塑性樹脂よりも改善された物理的特性および強度を有する。好ましくは、上記のように、部分的または完全に中和されたイオノマーは、それを熱硬化性組成物にするために共有結合架橋される(すなわち、少なくともあるレベルで共有結合して不可逆的な架橋を含む)。熱可塑性ポリウレタンおよびポリウレアはまた、この発明に従って熱硬化性材料に転化することができる。
熱可塑性材料の熱可塑性ポリマー構造の改変は、熱可塑性材料を高エネルギー放射線に暴露すること、または過酸化物を使用する化学プロセスによって暴露することを含む多くの方法によって誘導することができる。放射源には、ガンマ線、電子、中性子、陽子、X線、ヘリウム核などが含まれるが、これらに限定されない。通常は放射性コバルト原子を使用するガンマ線であり、必要に応じてかなりの深度の処理が可能です。より深い浸透深さを必要とするコア層については、電子ビーム加速器またはUVおよびIR光源を使用することができる。有用なUVおよびIR照射方法は、米国特許第6,855,070号および第7,198,576号に開示されている。熱可塑性コア層は、0.05Mrdより大きい、好ましくは1Mrdから20Mrdの範囲、より好ましくは2Mrdから15Mrdの範囲、最も好ましくは4Mrdから10Mrdの範囲の線量で照射することができる。1つの好ましい実施例では、コアを5Mrd〜8Mrdの線量で照射し、別の好ましい実施例では、コアを0.05Mrd〜3Mrd、より好ましくは0.05Mrd〜1.5Mrdの線量で照射する。
熱可塑性材料の熱可塑性ポリマー構造の改変は、熱可塑性材料を高エネルギー放射線に暴露すること、または過酸化物を使用する化学プロセスによって暴露することを含む多くの方法によって誘導することができる。放射源には、ガンマ線、電子、中性子、陽子、X線、ヘリウム核などが含まれるが、これらに限定されない。通常は放射性コバルト原子を使用するガンマ線であり、必要に応じてかなりの深度の処理が可能です。より深い浸透深さを必要とするコア層については、電子ビーム加速器またはUVおよびIR光源を使用することができる。有用なUVおよびIR照射方法は、米国特許第6,855,070号および第7,198,576号に開示されている。熱可塑性コア層は、0.05Mrdより大きい、好ましくは1Mrdから20Mrdの範囲、より好ましくは2Mrdから15Mrdの範囲、最も好ましくは4Mrdから10Mrdの範囲の線量で照射することができる。1つの好ましい実施例では、コアを5Mrd〜8Mrdの線量で照射し、別の好ましい実施例では、コアを0.05Mrd〜3Mrd、より好ましくは0.05Mrd〜1.5Mrdの線量で照射する。
例えば、熱可塑性層は、当該層を含む組立体をチャネルに沿ってゆっくりと移動さ焦ることにより、熱硬化性層に変換して良い。照射ソース、例えばガンマー線からの照射は、層の表面に接触させることができる。ソースは、それらが溝に沿って転がるときに、当該層を含む組立体に対して全体として均一の被爆量を付与するように位置づけられる。当該層を含む組立体が照射ソースを通り抜けるときの当該層を含む組立体の速度は、当該層を含む組立体が確実に十分な被爆量を受け取って所望の硬度勾配を形成するように容易に制御される。当該層を含む組立体は1Mrd以上の被爆量で、より好ましくは2Mrdから15Mrdの被爆量で照射される。被爆量の強さは典型的には1MeVから20MeVの範囲である。反応基を具備する熱可塑性樹脂(例えば、アイオノマー、熱可塑性ウレタン、その他)に対しては、熱可塑性層をイソシアネートまたはアミンの化学溶液中で処理して架橋に作用し、より硬い表面を実現して、もって、硬度勾配を実現する。モールディングまたはフォーミングに先立って、熱可塑性ポリマー中にペルオキシドまたは他の遊離基を導入しても、モールドされた層を熱硬化させて所望の硬度勾配を形成できる。適切な時間/温度を選択することにより、アニーリングプロセスで勾配を形成できる。適切なアニーリングおよび/またはペルオキシド(フィリーラジカル)方法はそれぞれ米国特許第5,274,529号および同第5,356,941号に開示されているようなものであり、その内容は参照してここに組み入れる。さらに、米国特許第7,279,529号に開示されるように、シランまたはアミノ−シランを採用しても良く、その内容も参照してここに組み入れる。当該層を含む組立体は、溶液、例えば、1または複数のイソシアネートを含有する溶液の中で化学的に処理されて所望の「正の硬度勾配」を形成して良い。当該層を含む組立体は、典型的には、イソシアネートを含有する溶液に露呈され、これは、当該層を含む組立体を槽の中に所定の時間だけ特定の温度で浸漬することにより行う。露呈時間は、1分より長く、好ましくは1分から120分、より好ましくは5分から90分、最も好ましくは10分から60分でなければならない。1つの好ましい実施例において、当該層を含む組立体は処理溶液中に15分から45分、より好ましくは20分から40分、最も好ましくは25分から30分の間、浸漬される。
層を含む組立体は、1または複数のイソシアネートを含有する溶液のような溶液中で化学的に処理されて所望の「正の硬度勾配」を形成して良い。層を含む組立体は、典型的には、イソシアネートを含有する溶液に露呈され、これは、層を含む組立体を槽の中に所定の時間だけ特定の温度で浸漬することにより行う。露呈時間は、1分より長く、好ましくは1分から120分、より好ましくは5分から90分、最も好ましくは10分から60分でなければならない。1つの好ましい実施例において、層を含む組立体は処理溶液中に15分から45分、より好ましくは20分から40分、最も好ましくは25分から30分の間、浸漬される。照射および化学方法の双方は、TPポリマー中で、分子結合、または架橋を助長する。照射方法は、仕上げ処理した製品に対してその場で架橋およびグラフト化を可能とし、照射による架橋は化学処理による場合より低い温度で起こる。化学方法は、具体的なポリマー、修正剤の有無、プロセスの変数、例えば、照射のレベルに左右される。熱可塑性材料において顕著な特性の有益性を取得でき、この有益性は、これに限定されないが、改善された熱力学特性、低い透過性、改善された化学耐性、減少したストレスクラック、および物理的な耐久性の全体的な改善を含む。
付加的な実施例は、可塑剤を使用して層を処理し、もってより柔らかい層の外側部分を形成して「負」の硬度勾配を実現するものである。可塑剤は、反応性(例えば、高級アルキルアクリレート)または非反応性(すなわち、フタレート、ジオクチルフタレート、またはステアリン酸アミド等)であって良い。他の適切な可塑剤は、これに限定されないが、イキサ酸、脂肪酸アミン、脂肪酸エステル、フタレート、アジペート、おおびセバケートを含む。オキサ酸が好ましい可塑剤であり、より好ましくは、少なくとも1つまたは2つの酸官能基を具備し、種々の異なる鎖長をともなうオキサ酸である。好ましいオキサ酸は、3,6−ジオキサヘプタン酸、3,6,9−トリオキサデコン酸、オキシ二酢酸、3,6,9−トリオキサウンデカン酸、ポリグリコールジエイシド、および3,6−ジオキサオクタン二酸を含む、これは例えばデラウェア州のWilmingtonのArchimica社から商業的に入手可能なものである。任意の化学劣化手段も「負」の硬度勾配をもたらす。化学改質剤、例えば、エステル化または鹸化剤も熱可塑性層の表面の改質に適切であり、所望の「正」の硬度勾配をもたらすことができる。
[コア構造]
コア部分組立体(内側コアおよび外側コア層)の硬度は重要な特性である。全般的には、比較的大きな硬度値を有するコアはより大きな圧縮を有し、良好な耐久性および弾力性を有する傾向がある。ただし、いくつかの高圧縮ボールは堅固であり、ショット制御やプレースメントに難がある。したがって、コア部分組立体中の硬度の最適なバランスを獲得する必要があり、これは、形成された中間層の硬度および他の特性と調整させて良い。
1つの好ましい実施例において、内側コア(センタ)は「正」の硬度勾配(すなわち、内側コアの外側表面は幾何中心より硬い)を伴い;外側コア層は「正」の硬度勾配(すなわち、外側コア層の外側表面は外側コア層の内側表面より硬い)を伴う。内側コア、および外側コア層の双方が「正」の硬度勾配を伴う場合、外側コア層の外側表面は好ましくは内側コアの幾何中心の硬度より大きい。1つの好ましいバージョンにおいて、内側コアの正の硬度勾配は約2から約40ショアC単位の範囲であり、より好ましくは約10から約25ショアC単位の範囲であり、他方、外側コアの正の硬度勾配は約2から約20ショアCの範囲であり、より好ましくは約3から約10ショアCの範囲である。
代替的なバージョンでは、内側コアが正の硬度勾配を伴い、外側コア層が「ゼロ」の硬度勾配(すなわち、外側コア層の外側表面の硬度値と外側コア層の内側表面の硬度値とが実質的に同一である)、または「負」の硬度勾配(すなわち外側コア層の外側表面が外側コア層の内側表面より柔らかい)を伴う。例えば、1例において、内側コアは正の硬度勾配を有し、外側コア層が約2から約25ショアCの範囲の負の硬度勾配を有する。代替的には、内側コアはゼロまたは負の硬度勾配を有して良く;外側コア層は正の硬度勾配を有して良い。さらに、他の好ましい実施例において、内側コアおよび外側コア層の双方がゼロまたは負の硬度勾配を有する。
全般的には、硬度勾配は、米国特許第7,537,529号、および同第7,410,429号(ともにBulpett、その他)に、さらに説明され、その内容は参照してここに組み入れる。内側コアおよび外側コア層、ならびにゴルフボールの他の層の硬度を測定し、また種々の層の硬度勾配を決定する方法は以下に詳細に説明される。コア層は、内側コアの外側表面(または外側コア層の外側表面)、および、内側コアの中心(または外側コア層の内側表面)へと内側に径方向に向かうところでなされた硬度測定値により定義される、正、負、またはゼロの硬度勾配を伴う。これらの測定は典型的には以下のテスト方法で説明されるように2−mmの増分でなされる。一般的には測定対象の部品の最も内側の部分(例えば、内側コアの中心、または外側コア層の内側表面)の硬度値を、測定対象部品の外側表面(例えば、内側コアの外側表面または外側コア層の外側表面)の硬度値から差し引いて決定される。
正の硬度勾配
例えば、内側コアの外側表面の硬度値が内側コアの幾何中心の硬度値より大きい(すなわち内側コアはその中心より大きな表面硬度を伴う)場合には、硬度勾配は「正」とみなされる(大きな数から小さな数を引くと正の数と等しくなる)。例えば、内側コアの外側表面が67ショアCの硬度を伴い、内側コアの中心が60ショアCの硬度を伴うと、内側コアは7の正の硬度勾配を有する。同様に、外側コア層の外側表面が外側コア層の内側表面より大きな硬度値を有する場合には、所与の外側コア層は正の硬度勾配を有すると考えられる。
負の硬度勾配
他方、内側コアの外側表面の硬度値が内側コアの幾何中心の硬度値より小さい(すなわち内側コアはその中心より柔らかい表面を伴う)場合には、硬度勾配は「負」とみなされる。例えば、内側コアの外側表面が68ショアCの硬度を伴い、内側コアの中心が70ショアCの硬度を伴うと、内側コアは2の負の硬度勾配を有する。同様に、外側コア層の外側表面が外側コア層の内側表面より小さい硬度値を有する場合には、所与の外側コア層は負の硬度勾配を有すると考えられる。
ゼロの硬度勾配
他の例において、内側コアの外側表面の硬度が内側コアの幾何中心の硬度値と実質的に同一である(すなわち内側コアの表面硬度がその中心とほぼ同じである)場合には、硬度勾配は「ゼロ」とみなされる。例えば、内側コアの外側表面および内側コアの中心が各々65ショアCの硬度を伴うと、内側コアはゼロの硬度勾配を有する。同様に、外側コア層の外側表面がコア層の内側表面とほぼ同じ硬度値を有する場合には、外側コア層はゼロの硬度勾配を有すると考えられる。
より具体的には、ここで用いられる用語「正の硬度勾配」は正の3ショアC以上の硬度勾配を意味し、好ましくは7ショアC以上、より好ましくは10ショアC以上、さらに好ましくは20ショアC以上を意味する。ここで用いられる用語「ゼロの硬度勾配」は3ショアC未満の硬度勾配を意味し、好ましくは1ショアC未満を意味し、ゼロの値、または負の1から負の10ショアCの値をとって良い。ここで用いられる用語「負の硬度勾配」は、ゼロ未満の硬度勾配、例えば、負の3、負の5、負の7、負の10、負の15、負の20、または負の25を意味する。用語「ゼロの硬度勾配」および「負の硬度勾配」はここでは負の1から負の10の硬度勾配を指すために交換可能に用いられる。
内側コアの幾何中心の硬度(Hinner core center)は、好ましくは、約5ショアD以上である。たとえば、Hinner core centerは、約5から約88ショアDの範囲であって良く、より好ましくは、下限が約5、または10、または18、または20、または26、または30、または34、または36、または38、または42、または48、または50、または52ショアDで、上限が約54、または56、または58、または60、または62、または64、または68、または70、または74、または76、または80、または82、または84、または88ショアDの範囲である。他の例において、内側コアの中心硬度(Hinner core center)は、ショアC単位で測定すると、好ましくは、約10ショアC以上であり、例えば、Hinner core centerは、下限が、約10、または16、または20、または23、または24、または28、または31、または34、または37、または40、または44、または52、または58ショアCであり、上限が、約46、または48、または50、または51、または53、または55、または58、または61、または62、または65、または68、または71、または74、または76、または、78、または79、または80、または84、または90ショアCであって良い。内側コアの外側表面硬度(Hinner core surface)に関しては、その硬度は、好ましくは、約12ショアD以上、または15ショアD以上であり、例えば、Hinner core surfaceは、下限が約12、または15、または18、または20、または22、または23、または26、または30、または34、または36、または38、または42、または48、または50、または52ショアDで、上限が約54、または56、または58、または60、または62、または70、または72、または75、または78、または80、または82、または84、または86、または90ショアDの範囲内に入って良い。1つのバージョンにおいて、内側コアの外側表面硬度(Hinner core surface)は、ショアC単位で測定すると、下限が、約13、または15、または18、または20、または22、または24、または27、または28、または30、または32、または34、または38、または44、または47、または48、または58、または60、または70、または74ショアCであり、上限が、約50、または54、または56、または61、または65、または66、または68、または70、または73、または76、または78、または80、または84、または86、または88、または90、または92ショアCである。他のバージョンにおいて、幾何中心の硬度(Hinner core center)は、約10ショアCから約50ショアCの範囲内であり、外側表面硬度(Hinner core surface)は、約5ショアCから約50ショアCの範囲内、または約5ショアCから約48ショアCの範囲内である。
他方、外側コア層の外側表面の硬度(Houter surface of OC)は、好ましくは、約40ショアD以上であり、より好ましくは、下限が約40、または42、または44、または46、または48、または50、または52で、上限が約54、または56、または58、または60、または62、または64、または70、または74、または78、または80、または82、または85、または87、または88、または90ショアDの範囲である。外側コア層の外側表面の硬度(Houter surface of OC)は、ショアC単位で測定すると、好ましくは、下限が、約40、または42、または43、または45、または48、または50、または54、または58、または60、または63、または65、または67、または70、または72、または73、または76ショアCであり、上限が、約78、または80、または84、または85、または87、または88、または89、または90、または92、または95ショアCである。また、外側コア層の内側表面硬度(Hinner surface of OC)は、好ましくは、約40ショアD以上であり、より好ましくは、下限が約40、または42、または44、または46、または48、または50、または52で、上限が約54、または56、または58、または60、または62、または64、または70、または74、または78、または80、または82、または85、または87、または88、または90ショアDの範囲である。外側コア層の内側表面硬度(Hinner surface of OC)は、ショアC単位で測定すると、好ましくは、下限が、約40、または42、または44、または45、または47、または50、または52、または54、または55、または58、または60、または63、または65、または67、または70、または73、または76ショアCであり、上限が、約78、または80、または85、または87、または88、または89、または90、または92、または95ショアCである。
1つの好ましい実施例において、外側コア層の外側表面の硬度(Houter surface of OC)は、内側コアの外側表面硬度(Hinner core surface)または中間点硬度(Hmidpoint of OC)より少なくとも3ショアC単位だけ小さく、またはより好ましくは少なくとも5ショアCだけ小さい。
第2の好ましい実施例において、外側コア層の外側表面の硬度(Houter surface of OC)は、内側コアの外側表面硬度(Hinner core surface)または中間点硬度(Hmidpoint of OC)より少なくとも3ショアC単位だけ大きく、またはより好ましくは少なくとも5ショアCだけ大きい。
コア構造は、また、コア組立体全体に渡る硬度勾配も有する。1つの実施例において、Hinner core centerは、約10ショアCから約60ショアCの範囲内であり、好ましくは約20ショアCから約50ショアCの範囲内であり、Houter surface of OCは、約40ショアCから約90ショアCの範囲内であり、好ましくは、約43ショアCから約87ショアCの範囲内であり、コア組立体を通じて正の硬度勾配を実現する。他の実施例において、Hinner core centerは、約10ショアCから約60ショアCの範囲内であり、好ましくは、約13ショアCから約55ショアCの範囲内であり、Houter surface of OCは、約65ショアCから約96ショアCの範囲内であり、好ましくは、約68ショアCから約94ショアCの範囲内、または約75ショアCから約93ショアCの範囲内であり、コア組立体を通じて正の硬度勾配を実現する。コア組立体に渡る硬度勾配はいくつかの要因に基づいて変化し、これら要因は、これに限定されないが、内側コア、中間コア、および外側コアの寸法を含む。
上述したように、内側コアは、好ましくは発泡性の熱可塑性または熱硬化性組成物から形成され、より好ましくは発泡ポリウレタンから形成される。そして、外側コア層は、好ましくは発泡性または非発泡性熱硬化性組成物または発泡性または非発泡性熱可塑性組成物から形成される。
内側コアの径は好ましくは約0.100から約1.100インチの範囲内であり、また、その径は1.30インチ以上、または1.40インチ以上、または1.50インチ以上、または1.60インチ以上、または1.70インチ以上、または1.80インチ以上、または1.90インチ以上、または2.00インチ以上、または2.10インチ以上、または2.20インチ以上である。例えば、内側コアの径は約0.100から約0.500インチの範囲内であって良い。他の例では、内側コアの径は約0.300から約8.00インチの範囲内で良い。より具体的には、内側コアの径の寸法は、好ましくは、下限が約0.10、または0.12、または0.15、または0.25、または0.30、または0.35、または0.45、または0.55インチであり、上限が約0.60、または0.65、または0.70、または0.80、または0.90、または1.00、または1.10インチであり、または、内側コアの径の寸法は、1.30インチ以上、または1.40インチ以上、または1.50インチ以上、または1.60インチ以上、または1.70インチ以上、または1.80インチ以上、または1.90インチ以上、または2.00インチ以上、または2.10インチ以上、または2.20インチ以上である。オプションの外側コア層に関しては、これは、好ましくは、約0.100から約0.750インチの範囲の厚さを有する。例えば、下限の厚さは、約0.050、または0.100、または0.150、または0.200、または0.250、または0.300、または0.340、または0.400であって良く、上限は約0.500、または0.550、または0.600、または0.650、または0.700、または0.750インチであって良い。
層の厚さおよび体積を種々のレベルとする二層コア構造はこの発明に従って製造されて良い。例えば、1つのバージョンでは、コア構造の総合的な径が0.20インチで、コア構造の総合的な体積が0.23ccである。より具体的には、この例では、内側コアの径が0.10インチで内側コアの体積が0.10ccであり;他方、外側コアの厚さは0.100インチで外側コアの体積が0.13ccである。他のバージョンでは、総合的なコアの径は約1.55インチであり、その総合的な体積は31.96ccである。このバージョンでは、外側コア層の厚さは約0.400インチでその体積は28.34ccである。他方、内側コアの径は約0.75インチでありその体積は約3.62cmである。1実施例において、外側コア層の体積は内側コアの体積より大きい。他の実施例において、外側コア層の体積は内側コアの体積と等価である。さらに他の実施例において、外側コア層の体積は内側コアの体積より小さい。
種々の厚さおよび体積を有する複数の層を含むコア構造の他の例は以下に表1Cにおいて説明される。
1つの好ましい実施例において、内側コアは、約0.25〜約1.25g/ccの範囲の比重を有する。また、上述したように、内側コアの比重は内側コア構造の異なる点で変化してもよい。すなわち、内側コアに比重勾配が存在する可能性がある。例えば、好ましい一形態では、内側コアの幾何学的中心は、約0.25〜約0.75g/ccの範囲の密度を有し、 内側コアの外皮は、約0.75〜約1.50g/ccの範囲の密度を有する。
一方、外側コア層は、比較的高い比重を有することが好ましい。したがって、内側コア層(SGinner)の比重は、外側コア層(SGouter)の比重より小さいことが好ましい。「外側コア層の比重」(「SGouter」)という用語は、一般に、外側コア層の任意の点で測定される外側コア層の比重を意味する。外側コア層内の異なる点における比重値は変化し得る。すなわち、内側コアと同様に外側コア層に比重勾配が存在することがある。例えば、外側コア層は、下限が約0.50または0.60または0.70または0.75または0.85または0.90または0.95または1.00または1.10または1.25または1.30または1.36または1.40または1.42または1.48または1.50または1.60または1.66または1.75または2.00で、上限が2.50または2.60または2.80または2.90または3.00または3.10または3.25または3.50または3.60または3.80または4.00、4.25または5.00または5.10または5.20または5.30または5.40または6.00または6.20または6.25または6.30または6.40または6.50または7.00または7.10または7.25または7.50または7.60または7.65または7.80または8.00または8.20または8.50または9.00または9.75または10.00g/ccの範囲内の比重を有して良い。
一般的には、物体の各部分の比重は、物体の慣性モーメント(MOI)に影響を及ぼす。与えられた軸に関するボール(または他の物体)の慣性モーメントは、一般に、その軸についてのボールの角運動をどの程度変化させるのが難しいかを指す。ボールの質量が中心に向かって集中している場合(中心部(例えば、内側コア)が外側部分(例えば、外側コア層)よりも高い比重を有する)、回転速度を変更するために必要な力はより少なく、このようなボールでは、質量の大部分がボールの回転軸の近くに配置され、スピンを生成するために必要な力はより少ない。ボールは、一般的には、当該ボールがクラブフェースと衝突してそこから離れるときに大きなスピンレートを有する。逆に、ボールの質量が外側表面に向かって集約されていて、外側部分(例えば、外側コア層)が中心部(例えば、内側コア)よりも高い比重を有するならば、より多くの力がボールの回転速度を変更する必要があり、ボールの慣性モーメントが比較的大きい。すなわちそのようなボールでは、多くの質量が回転軸から離れた場所に位置付けられ、スピンを発生させるためにはより大きな力が必要である。そのようなボールは、当該ボールがクラブフェースと衝突してそこから離れるときに全体的に小さなスピンレートを有する。
より具体的には、米国特許第6,494,795号(Sullivan)および米国特許第7,651,415号(Ladd等)に記載されているように、任意の直径の球に対する慣性モーメントの式は、CRC Standard Mathematical Tables、24版、1976年の20に記載されている(以下CRC参考文献という)。この明細書で使用される「比重」という用語は、通常の慣習的な意味、すなわち4℃での水の密度に対する物質の密度の比を意味し、この温度での水の密度は1g/cm3である。
内側コア層および外側コア層の少なくとも1つがまた発泡される実施例が想定される。1実施例において、内側コアは発泡体組成物でできており、良好な弾力性を有する比較的低いスピンボールを提供するのに役立つ。この発明の内側発泡体コアは、好ましくは約0.300以上、より好ましくは約0.400以上、さらにより好ましくは約0.450以上の反発係数(COR)を有する。この発明により得られる、二重層コア構造および少なくとも一層のカバーを含むボールは、好ましくは約0.700以上、より好ましくは約0.730以上、さらにより好ましくは約0.750〜0.810またはそれ以上のCORを有する。内側発泡体コアは、好ましくは、約50〜約190、より好ましくは約60〜約170の範囲の、以下の試験方法に記載されるようなソフトセンタ偏向指数(Soft Center Deflection Index、「SCDI」)圧縮を有する。
USGAは、ゴルフボールの最大重量45.93g(1.62オンス)を確立している。USGA規則の妥当しないプレーでは、ゴルフボールはより重くて良い。1つの好ましい実施例において、多層コアの重量は約28〜約38グラムの範囲である。また、USGAは、競技で使用されるゴルフボールが少なくとも1.68インチの直径を有することを要求しているけれども、この発明に従って製造されたゴルフボールは、任意のサイズであって良い。米国ゴルフ協会(USGA)規則の妥当しないプレーでは、ゴルフボールはより小さいサイズにすることができる。通常、ゴルフボールは、USGAの要求に従って製造され、約1.68〜約1.80インチの範囲の直径を有する。この発明は、1.70インチ以上、または1.70インチより大きい、または1.80インチ以上、または1.90インチ以上、または2.00インチ以上、または2.10インチ以上、または2.20インチ以上の全体的な直径を有する大径のゴルフボールを提供する。以下にさらに説明するように、ゴルフボールは、カバーを含み、このカバーは多層であって良く、さらに複数の中間(ケーシング)層を含んで良く、これらの層の厚さレベルも考慮する必要がある。したがって、一般に、二重層コア構造は、通常、下限が約1.00または1.20または1.30または1.40インチで、上限が約1.58または1.60または1.62または1.66インチの範囲内の全体直径、好ましくは約1.3〜1.65インチの範囲内の全体直径を有する。1実施例において、コアサブアセンブリの直径は約1.45〜約1.62インチの範囲にある。
[カバー構造]
この発明のゴルフボールコアは1または複数のカバー層で包囲されて良い。1バージョンにおいて、ゴルフボールは内側および外側カバー層を有する多層カバーを含む。内側カバー層は好ましくは1つのアイオノマー、または2以上のアイオノマーのブレンドを有する組成物から形成され、これはボールの堅さを付与するのに役立つ。 1つの具体的な実施例において、内側カバー層は高酸アイオノマーを有する組成物から形成される。とくに適切な高酸アイオノマーはSurlyn8150(商標、Dupont)である。Surlyn8150(商標)は、エチレンおよびメタクリル酸のコポリマーであり、19重量%の酸成分を伴い、その45%がナトリウムで中和されているものである。他の実施例において、内側カバー層は、高酸アイオノマーおよびマレイン酸無水物グラフト化非アイオノマー性ポリマーを有する組成物から形成される。とくに適切なマレイン酸無水物グラフト化ポリマーは、Fusabond 525D(DuPont)であり、これは約0.9重量%のマレイン酸無水物をコポリマーにドラフト化させたマレイン酸無水物ドラフト化、メタローセン触媒のエチレン−ブテンコポリマーである。高酸アイオノマーおよびマレイン酸無水物グラフト化ポリマーのとくに好ましいブレンドは、Surlyn8150(商標)およびFusabond525Dの84重量%/16重量%のブレンドである。高酸アイオノマーのマレイン酸無水物グラフト化ポリマーとのブレンドはさらには例えば米国特許第6,992,135号および同第6,677,401号に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
内側カバー層は、Surlyn(商標)8940/Surlyn(商標)9650/Nucrel(商標)960の50/45/5のブレンドを有する組成物から形成され、とくに好ましい実施例では、その材料硬度は80から85ショアCである。さらに他の具体的な実施例では、内側カバー層は、Surlyn(商標)8940/Surlyn(商標)9650/Surlyn(商標)9910の50/25/25のブレンドを有する組成物から形成され、好ましくは、その材料硬度は約90ショアCである。内側カバー層は、好ましくは、Surlyn(商標)8940/Surlyn(商標)9650の50/50のブレンドを有する組成物から形成され、好ましくは、その材料硬度は約86ショアCである。Surlyn(商標)8940およびSurlyn(商標)7940の50/50のブレンドを有する組成物も使用できる。Surlyn(商標)8940は、MAA酸基がナトリウムイオンで部分的に中和されている、エチレン/メタクリル酸コポリマーである。Surlyn(商標)9650およびSurlyn(商標)9910は、MAA酸基が亜鉛イオンで部分的に中和されている、2つの異なるグレードのエチレン/メタクリル酸コポリマーである。Nucrel(商標)960は、名目上、15重量%のメタクリル酸とともに製造されたエチレン/メタクリル酸コポリマー樹脂であり、DuPont社から入手できる。
広範囲の種類の材料を用いて外側カバーを形成して良く、これは、例えば、ポリウレタン;ポリ尿素;ポリウレタンおよびポリ尿素のコポリマー、ブレンドおよびハイブリッド;オレフィンをベースにしたコポリマーアイオノマー樹脂(例えば、DuPont社から商業的に入手可能なSurlyn(商標)アイオノマー樹脂、およびHPF(商標)1000およびHPF(商標)2000、ExxonMobil Chemical社から商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Company社から商業的に入手可能なAmplify(商標)IOエチレンアクリル酸コポリマーのアイオノマー;および、A. Schulman Incから商業的に入手可能なClarix(商標)アイオノマー樹脂);例えば低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;ゴム強化オレフィンポリマー;アイオノマー性コポリマーの部分を構成しない、酸コポリマー、例えばポリアクリル(メタクリル)酸;プラストマー;フレクソマー;スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー;スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー;動的に加硫したエラストマー;エチレンおよびビニルアセテートのコポリマー;エチレンおよびメチルアクリレートのコポリマー;ポリビニルクロライド樹脂;ポリアミド、ポリ(アミド−エステル)エラストマー、および、例えば、Arkema社から商業的に入手可能なPebax(商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミドを含むアイオノマーとポリアミドのグラフトコポリマー;架橋トランスポリイソプレンおよびそのブレンド;ポリエステルベースの熱可塑性エラストマー、例えば、DuPont社から商業的に入手可能なHytel(商標);ポリウレタンベースの熱可塑性エラストマー、例えば、BASF社から商業的に入手可能なElastollan(商標);合成または天然の加硫ゴム;およびこれらの組み合わせを含む。キャスタブルポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素のハイブリッドは、弾力性および柔らかなフィーリングを伴うゴルフボールを製造する上で役立つように使用できるので、とくに好ましい。用語「ポリウレタンおよびポリ尿素のハイブリッド」はそれらのコポリマーおよびブレンドを含むような意味を有する。
ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン/ポリ尿素のブレンド、コポリマー、およびハイブリッドもとくにカバー層を形成するのに適している。カバー層材料として用いられるときには、ポリウレタンおよびポリ尿素は熱可塑性でも熱硬化性でもよい。熱硬化性材料は、慣用的なキャスティング、または反応性射出成型技術によりゴルフボール層へと形成できる。熱可塑性材料は慣用的な圧縮または射術成型技術でゴルフボール層へと形成できる。
ケーシング(マントル)層およびカバー層を製造するために使用される組成物は広範囲の種類のフィラーおよび添加物を含んでボールの具体的な特性を付与されて良い。例えば、銅、スチール、真鍮、タングステン、チタン、アルミニウム、マグネシウム、モリブデン、コバルト、ニッケル、鉄、鉛、錫、亜鉛、バリウム、ビスマス、青銅、銀、金、およびプラチナならびにこれらの合金および組合せの粒子;粉末;フレーク;および遷移のような、比較的重量のある、および比較的重量のない、金属フィラーを使用してボールの比重を調整して良い。他の添加物およびフィラーは、これに限定されないが、光学的光沢剤、発色剤、蛍光剤、白色化剤、UV吸収剤、光安定化剤、表面活性剤、プロセス助剤、酸化防止剤、安定化剤、柔軟化剤、香料成分、可塑剤、衝撃改質剤、二酸化チタン、クレイ、雲母、タルク、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびこれらの混合物を含む。
内側カバー層は、好ましくは、下限が70または75または80または82ショアCであり、上限が85または86または90または92ショアCの範囲内の材料硬度を有する。中間層の厚さは、好ましくは、0.010または0.015または0.020または0.030インチの下限および0.035または0.045または0.080または0.120インチの上限を有する範囲である。外側カバー層の材料硬度は、好ましくは、85ショアC以下である。外側カバー層の厚さは、好ましくは、0.010または0.015または0.025インチの下限および0.035または0.040または0.055または0.080インチの上限を有する範囲内にある。ゴルフボール中の層の硬度を測定する方法は、以下にさらに詳細に記載される。
単一のカバー、または、好ましくは内側カバー層が、外側コア層の周りに形成される。内側カバー層が存在する場合、内側カバー層上に外側カバー層が形成される。最も好ましくは、内側カバーはアイオノマー材料から形成され、外側カバー層はポリウレタン材料から形成され、外側カバー層は内側カバー層の硬度よりも低い硬度を有する。好ましくは、内側カバーは、約60ショアDより大きい硬度を有し、外側カバー層は、約60ショアD未満の硬度を有する。代替的な実施例では、内側カバー層は、部分的または完全に中和されたアイオノマー、DuPontから市販されているHytrel(登録商標)などの熱可塑性ポリエステルエラストマー、Arkema、Inc.から市販されているPebax(登録商標)などの熱可塑性ポリエーテルブロックアミド、または、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素から成り、外側カバー層はアイオノマー材料から成る。この代替的な実施例では、内側カバー層は約60ショアD未満の硬度を有し、外側カバー層は約55ショアDを超える硬度を有し、内側カバー層硬度は外側カバー層硬度より小さい。
1実施例において、内側および外側カバー層を有する多層カバーが形成され、内側カバー層の厚さは約0.01インチから約0.06インチであり、より好ましくは、約0.015から約0.040インチであり、最も好ましくは、約0.020インチから約0.035インチである。このバージョンにおいて、内側カバー層は部分的にまたは十分に中和されたアイオノマーから形成され、そのショアD硬度は約55より大きく、より好ましくは約60より大きく、最も好ましくは約65より大きい。この実施例において、外側カバー層の厚さは約0.015インチから約0.055インチであり、より好ましくは約0.02インチから約0.04インチであり、最も好ましくは約0.025インチから約0.035インチであり、その硬度は約80ショアD以下であり、より好ましくは70以下であり、最も好ましくは60以下である。内側カバー層は外側カバー層より硬い。好ましい外側カバー層はキャスト可能な、または反応性射出成型可能なポリウレタン、ポリ尿素またはこれらのコポリマー、ブレンド、またはハイブリッドであり、そのショアD硬度は約40から約50である。他の多層カバー、二重コアの実施例において、外側カバーおよび内側カバー層の材料および厚さは同一であり、ただし、硬度範囲が逆転している。すなわち、外側カバー層が内側カバー層より硬い。この硬い外側カバー/ソフトな内側カバーの実施例に対しては、先に記述したアイオノマー樹脂を好ましくは外側カバー材料として使用するであろう。
[ゴルフボールの製造]
先に検討したように、発泡体の中間層は好ましくはキャスティング法により形成される。ゴルフボールの外側層を形成するために圧縮または射出成型が採用されて良い。表面処理を採用して1つの層の外側表面と、次の層のとの間の接着性を改善させて良い。そのような表面処理はコアの外側表面を機械的にまたは化学的に摩耗させる処理を含む。他の例は、コアはコロナ放電、プラズマ処理、シラン浸漬、または当業者に知られている他の処理方法である。
カバー層は、例えば、圧縮成型、フリップ成型、射出成型、後退可能ピン射出成型、反応性射出成型(RIM)、液体射出成型、キャスティンング、スプレイ、粉末コーティング、真空フォーミング、フローコーティング、ディッピング、スピンコーティング、その他のような適切な手法を用いて、コアまたはボール部分組立体(コア構造およびこのコアの回りに配される任意の中間層)の上に形成される。好ましくは各カバー層がボール部分組立体の上に別々に形成される。例えば、エチレン酸コポリマーアイオノマー組成物が射出成型されてハーフシェルが形成される。代替的には、アイオノマー組成物が圧縮金型中へ配置されて充分な圧力、温度、時間の下で成型されて半球シェルが形成される。平滑表面処理された半球シェルがつぎに圧縮金型中で、コア部分組立体の回りに配される。充分な加熱および圧力の下で、シェルが一緒に融合して、部分組立体を囲む内側カバー層を形成する。他の方法では、アイオノマー組成物が、後退可能ピン射出成型を用いて、コア上に直接に射出成型される。ボール部分組立体の上のポリウレタンまたはポリ尿素組成物を有する外側カバー層がキャスティングプロセスを用いて形成される。
ゴルフボールが金型から外された後、ゴルフボールは、当業界で知られた手法を用いて、フラッシュトリミング、表面処理、マーキング、コーティング、その他のような仕上げステップを施されてよい。例えば、伝統的な白色ゴルフボールでは、白色顔料カバーが、例えば、コロナ、プラズマ、または紫外線(UV)処理のような適切な方法を用いて表面処理されて良い。この後、商標、シンボル、ロゴ、文字、その他のような印が、パッド印刷、インクジェット印刷、色素昇華、または他の適切なイオン札方法を用いてボールカバー上に印刷されてよい。クリアー表面コーティング(例えば、プライマーまたはトップコート)がカバーに塗布され、これは蛍光白色化剤を含有して良い。得られたゴルフボールは光沢のある耐久性表面仕上げを伴う。
他の仕上げプロセスにおいて、ゴルフボールは1または複数のペイントコーティングで塗布される。例えば、白色ピライマーペイントがはじめにゴルフボールの表面に塗布され、つぎに、プライマーの上に白色トップコートのペイントが塗布される。もちろん、語振るボールは他の色、例えば、赤、青、オレンジ、および黄色でペイントされて良い。先に触れたように、商標およびロゴのようなマーキングをゴルフボールのペイント済みカバーに塗布して良い。最後に、クリアー表面コーティングがカバーの上に塗布されてぴかぴかした外観を付与し、ボールの上にペイントされたロゴやその他のマーキングを防護して良い。
この発明のゴルフボールは、典型的には、50%以上、または60%以上、または65%以上、または70%以上、または75%以上、または80%以上、または85% 以上、または90%以上、または95%以上のディンプル被覆率を有する。
ディンプルは、特定の平面図形に限定されず、一実施例において、ディンプルは、円形、多角形、楕円形、花状ローブ形状、マルチアーム形状、非晶質形状および環状形状から選択される平面図形を有する。
ディンプルは、特定の断面プロフィール形状に限定されず、一実施例では、球形、切頭形状、カテナリー形状、多半径形状、受け皿形状、ディンプルインディンプル形状、円錐形状、および塊状形状から選択されるプロフィール形状を有する。
ディンプルは、特定のディンプル配置に限定されず、一実施例では、ディンプルは、多面体ベースのパターン(例えば、二十面体、八面体、十二面体、八面体、三八面体、および三角形のディプリミド)、鞭毛ベースのパターン、球状タイリングパターン、およびランダム配列から選択された全体的なパターン中に配列される。
具体的な実施例において、ディンプルは、ボール直径の6%〜12%の直径を有し、ディンプル上のファントムボール表面からディンプルの底部までとして測定される表面深さは、0.3%〜1.0%の直径を有する。この実施例の具体的な側面では、ディンプルのエッジ角は13°〜20°である。この実施例の他の具体的な側面では、ファントムボール表面と実際のボール表面との間に囲まれた空間として本明細書で定義される全ディンプル体積は、ファントムボール体積の1.0%〜2.0%である。この実施例の他の具体的な側面では、ディンプル数は300から500である。この実施形例の他の具体的な側面では、ボールの直径は1.68インチから2.00インチである。
他の具体的な実施例において、ディンプルは、ボール直径の3%〜14%の直径、またはボール直径の3%〜9%を有し、ディンプル上のファントムボール表面からディンプルの底部までとして測定される表面深さは、ボール直径の0.2%〜1.5%である。この実施例の具体的な側面では、ディンプルのエッジ角は10°〜25°である。この実施例の他の具体的な側面では、ファントムボール表面と実際のボール表面との間に囲まれた空間としてこの明細書で定義される全ディンプル体積は、ファントムボール体積の0.5%〜3.0%である。この実施例の他の具体的な側面では、ディンプル数は300から700、または500から700である。この実施例の他の具体的な側面では、ボールの直径は2.00インチ以上である。
一般的には、ディンプルの窪みからのボールのディンプルのないランド表面を分割する境界の不明瞭な性質に起因して、ディンプルのエッジ角および直径を定義し測定することは困難であろう。例えば、塗料および/またはディンプル設計自体の影響によって、ランド表面とディンプル側壁との間の接合部が不明瞭になり、ディンプルエッジ角およびディンプル直径の測定が幾分曖昧であるように見える。したがって、以下の方法を使用して、エッジ角度およびディンプル直径を定義および測定することができる。ランド表面を連続させて、ディンプルの上に構築される、ボールのファントム表面を定義する。第1の接線T1は、ファントム表面から半径方向内側に0.003インチだけ離間したディンプル側壁上の点に構築される。T1は公称ディンプルエッジ位置を規定する点P1でファントム表面と交差する。次に、P1におけるファントム表面に接する第2の接線T2が構築される。エッジ角は、T1とT2との間の角度として定義される。ディンプル直径は、P1とディンプル周囲に沿って正反対の等価点との間の距離として定義される。あるいは、ディンプル直径は、中心線に垂直な方向に測定したP1と中心線との間の距離の2倍として定義される。ディンプルパラメータを定義し測定する方法は、例えば、米国特許第6,916,255号(Aoyama等)およびサリバンらの米国特許第8,333,669号(Sullivan等)に記載されており、これらの開示内容は参照によりここに組み込まれる。
[距離の短縮されたゴルフボール]
より具体的には、この発明のさらに他の実施例において、上述の組成物を使用して、従来の高性能ボールと同様の性能を発揮しながら、距離の短いゴルフボールを製造することができる。すなわち、これらの実施例では、ゴルフボールは、飛行軌道、スピンレート、およびフィーリングなどの高い競技特性を有するけれども、ボールは従来の高性能ボールよりも短い距離を達成する。
例えば、1つの好ましい一実施例において、米国特許第8,152,656号(Sullivan等、'656特許)に記載されているようなゴルフボール構造が製造でき、ここでその開示内容は参照してここに組み込まれる。そのようなボールは、好ましくは、1.30〜1,620オンスの重量、1.670〜1.800インチの直径、および125ft/秒の入射ボール速度で測定して約0.500〜約0.790の最大反発係数(COR)を有する。より好ましくは、ボールは、約1.50オンス〜1.60オンスの重量、1.680〜1.720インチの直径、および125フィート/秒の入射ボール速度で測定して約0.625〜0.775のCORを有する。ボールは、約207000のレイノルズ数で約2.4以上の抗力対重量比および約0.095のスピンレートを有する。
'656特許は、また、相対的に高い抗力係数(CD)を有する縮小距離ゴルフボールを記載している。一実施例において、CDは、レイノルズ数が150000、スピンレートが3000RPMで、0.26より大きく、また、レイノルズ数が120000、スピンレートが3000RPMで、0.29より大きい。さらに、この発明により製造されたゴルフボールは、比較的高い揚力係数(CL)を有して良い。1実施例において、CLは、レイノルズ数が150000でスピン速度が3000RPMで、0.21より大きく、レイノルズ数が120000でスピン速度が3000RPMで0.23より大きい。
1実施例において、ゴルフボールは、減少した飛行距離を具備し、それでいて、2つの無次元のパラメータによって定義可能な通常軌道の外観を保持しており、これらパラメータは、ボールの揚力、抗力、サイズおよび重さを説明するおのである。この係数は、以下の式により定義される。すなわり、i)CD/W=FD/W、およびii)CL/W=FL/Wの式である。
飛距離の減少は、ゴルフボールのサイズ、重量、ディンプルパターン、およびディンプルプロフィールを選択して、レイノルズ数およびスピンレシオ(またはスピンレート)の指定された組合せで、特定のCD/WおよびCL/Wの基準を満たすように選択されたときに実現可能であり、唯一の他の残りの変数はCORである。ゴルフボールのサイズはゴルフボールの揚力および抗力に影響を与え、これはこれらの力がボールの表面面積に正比例するからである。ボールの重さは係数CD/WとCL/Wの分母を構成する。ディンプルパターン、例えば、ディンプルカバレッジの百分率および幾何形状は、空気力学的効率を増加または減少させることができる。ディンプルプロフィール、例えば、エッジ角、進入角、および形状(円形、多角形)は、ボールが受ける揚力および/または抗力を増加または減少させることができる。この発明によれば、これらのファクタは、高性能軌道の外観を保持する距離減少ゴルフボールのために、所望のCD/Wおよび/またはCL/Wを得るために選択または組み合わせることができる。
[テスト方法]
硬度
コアの中心硬度は以下の手順に従って得られる。コアは、コアの直径より近似的に若干小さな内部直径の半球ホルダーに静かに押し込まれる、この際、コアは半球ホルダー中に配置され、同時にコアの幾何中心面が露出されるようにする。コアは摩擦でホルダー内に固着され、切断および削り取りステップにおいて移動しないようにし、それでいて、摩擦は、コアの自然な形状が乱されないよう過剰なものでない。コアは、コアの分離線がホルダーの頂部とおおよそ平行になるように取り付けられる。コアの直径は、取り付けに先立って、この方位と80度の角度で測定される。さらに、ホルダーの底からコアの頂部までの測定もなされ、これは将来の計算の基準点を実現する。また、ホルダーの底からコアの頂部までの距離を測定して将来の較正のための基準点を得る。コアの露出された幾何中心の若干上で、コアがこのステップ中にホルダー内で動かないようにしながら、帯ノコまたは他の適切な切断ツールを用いて、大まかに切断する。ホルダー内に依然として保持されているコアの残りの部分が表面研磨機のベース板に固定される。露出されている「粗い」コア表面が平滑で平坦な表面に研磨され、コアの幾何中心が現れるようにし、この幾何中心はホルダーの底からコアの露出表面までの高さを測定して検証できる。これによりコアのオリジナルの高さのちょうど半分が、+−0.004インチの範囲内で除去されたことを確実にする。コアをホルダー内に保持して、コアの中心を芯出し定規で見いだし、注意して印付けし、この中心印で硬度をASTM−D2240に従って測定する。コアの中心から任意の距離での硬度測定を、中心マークから径方向外側に伸びる線を引き、中心から典型的には2mmの増分の距離位置で硬度を測定することにより行う。中心からの具体的な距離における硬度は、180°または90°それぞれ離れる、少なくとも2つ、好ましくは4つ半径の線分に知って測定すべきであり、その後平均がとられる。幾何中心を通る面の上ですべての硬度測定が実行されても、コアは依然としてホルダーの中にあり、その配位が乱されないようにし、測定面がホルダーの底に常に平行になるようにし、また、それゆえに、デュロメータの足に正確に整合するようにする。
ゴルフボール層の外側表面の硬度は、当該層の実際の外側表面上で測定され、対面する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。曲面ゆえに、表面硬度が読み取られる前にゴルフボールまたはゴルフボール組立体をデュロメータインデンタの真下に中心づけられるように配慮する必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータを硬度測定に用いる。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし、自動スタンドの基部に取り付けなければならない。デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
ある実施例では、「正」または「負」の勾配に沿って測定される1点または複数の点はその勾配に適合する線の上または下にあってよく、その最も外側および最も内側の値であってよい。他の好ましい実施例において、具体的なスティープな「正」または「負」の勾配に沿う最も硬い点は、内側コアの最も内側の部分(すなわち幾何中心)または外側コア層(内側表面)の値より大きくても良いけれども、最も外側の点(すなわち内側コアの外側表面)が最も内側の点(すなわち内側コアの幾何中心または外側コア層の内側表面)より大きく(「正」のとき)、または小さく(「負」のとき)、「正」および「負」の勾配を損なわずに維持できるようになっていなければならない。
先に検討したように、ゴルフボール層の硬度勾配の方向は、具体的な層の外側および内側表面において取られた硬度測定値に相違によって定義される。内側コアの中心硬度、および、単一コアボールの内側コアすなわち外側コア層の外側表面の硬度は、先に説明されたテスト手順に従って容易に決定される。二重コアボールの内側コア層(または他のオプションの中間コア層)の外側表面も、当該層を付加的な層を包囲する前に測定を行えば、ゴルフボール層の外側表面を測定するためにここで説明した手順に従って容易に測定される。対象の層を付加的なコア層で一旦包囲すると、いずれの内側または中間層の内側または外側表面の硬度を決定することは困難となるであろう。したがって、この発明の目的の範囲では、コア層の内側または外側表面の硬度が、内側層が他のコア層により包囲された後に、必要なときには、インターフェースから1mmの位置で測定するために先に説明したテスト手順が採用される。同様に、コアまたはカバー層の中間点は、測定対象の層、例えば外側コア層または内側カバー層の、内側表面および外側表面と等距離の点にとられる。1またはそれ以上の層が、関心対象の層を包囲してしまうと、正確な中間点の決定は困難になり、したがって、この発明においては、層の「中間点」硬度の測定は、当該層の測定される中間点のプラス、またはマイナス1mmの範囲で行われる。
また、「材料硬度」および「ゴルフボール上で直接測定される硬度」の間には基本的な相違があることに留意されたい。この発明の説明の範囲では、材料硬度はASTM D2240に従って測定され、材料から製造された平らな「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定することに一般的に関連する。「材料硬度」と「ゴルフボールの表面で直接に測定した硬度」とは、基本的に異なることを理解されたい。ゴルフボール(または他の球面)の表面で直接に測定されるような硬度は、典型的には材料硬度と異なる硬度値をもたらす。硬度値におけるこの相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の素材組成のようないくつかの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、従って、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。ショアC硬度(例えばショアCまたはショアD硬度)はテスト方法D−2240で測定された。
圧縮
Jeff Dalton's Compression by Any Other Name、Science and Golf IV、Proceeding of World Science Congress of Golf(Eric Thain ed.,Routledge、2002)(「J.Dalton」)に開示されるように、いくつかの異なる手法が圧縮を測定するのに用いられ、その中に、Atti圧縮、Riehle圧縮、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏向測定、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏向の測定、および実効弾性係数が含まれる。この発明の目的に関しては、「圧縮」はソフトセンタ偏向指数(Soft Center Deflection Index、「SCDI」)を指す。SCDIは、コアの直径の10%を偏向させるのに必要なポンドを決定することを可能にする動的圧縮機械(Dynamic Compression Machine、「DCM」)に対するプログラム変更である。DCMは、コアまたはボールに荷重を印加して測定荷重においてコアまたはボールが変更したインチ数を測定する装置である。Atti圧縮を表示する数値をもたらすAtti圧縮スケールに合致する、未処理の荷重/変更の曲線が生成される。DCMは、これを荷重セルにより実行し、この荷重セルは静止状態のコアに向けて固定速度(典型的には1.0ft/s)で空気圧でトリガーされる油圧シリンダの底部に取り付けられる。シリンダにはLVDTが取り付けられ、これは、シリンダが試験時間枠の間に進行した距離を測定する。ソフトウェアベースの対数アルゴリズムによって、確実に、試験の初期段階では、少なくとも荷重が連続して5だけ増分するのが検出されるまで、測定が行われないようにする。SCDIはこのセットアップのわずかな修正版である。ハードウェアは同一であるけれども、ソフトウェアおよび出力が変更された。SCDIでは、コアをxのインチだけ変更させるのに必要なポンドに関心がある。その偏向の量はコアの径の10%である。DCMが開始され、シリンダがコアをその直径の10%だけ偏向させ、DCMがコアをその量だけ偏向させるのに必要なポンド(取り付けられた荷重セルから測定される)を返して報告する。表示される値は、ポンドの単位の単一値である。
落下リバウンド
「落下リバウンド」(Drop Rebound)は、この場合では、球の底から測定して高さ72インチから落下させたときに、球がリバウンドするインチ数を意味する。インチの物差しが落下球の経路の直接後方に取り付けられ、球は重くて硬い基礎、例えば、大理石または花崗岩のスラブ(典型的には約1フィートの幅、1フィートの高さ、1フィートの奥行き)の上に落下させられる。試験は約72〜75°Fで約50%RHで行われる。
反発係数(「COR」)
CORは既知の手順で決定され、ここで、ゴルフボールまたはゴルフボール部分組立体(例えば、ゴルフボールコア)を空気砲から2つの所定の速度で打ち出し、125ft/sの速度でのCORを計算することにより決定される。複数の弾道光スクリーンがボール速度を測定するために固定距離で空気砲およびスチール板の間に配置される。ボールがスチール板へ移動するときに、各光スクリーンが活性化され、各光スクリーンにおける時間を測定する。これにより、ボールの入射速度に反比例した入射移行時間が得られる。ボールはスチール板と衝突して複数の光スクリーンを通り抜けてリバウンドし、これが光スクリーン間を移行するのに要する時間間隔を測定する。これにより、ボールの飛び出し速度に反比例した飛び出し移行時間が得られる。CORは飛び出し移行時間間隔の入射移行時間間隔に対する比、COR=Vout/Vin=Tin/Toutとして計算される。
密度
密度は、材料の単位体積あたりの重量を指し(典型的には、g/cm3)、ASTM D−1622に従って測定できる。
この発明を以下の例によってさらに説明するが、これらの例はこの発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
例
この発明は以下の例によりさらに説明されるけれども、これら例はこの発明の範囲を限定するものとして理解すべきではない。
以下の[例]において種々の発泡体調合が、上述の鋳造方法を用いて発泡体中間層(またはコア/サブアセンブリ)を準備するために採用された。種々の調合は以下の表2および表3に説明される。
*Mondur(商標)582(2.5fn):Mayer Material Science社から入手可能な2.5官能性のポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(p−MDI)
**Niax(商標)L−1500:Momentive Specialty Chemicals,Inc.から入手可能なシリコーン系界面活性剤
***KKAT(商標)XK614:King Industries社から入手可能な亜鉛ベースの触媒
得られた球状コアサンプルA(直径0.75インチ)は、上述の試験方法を用いた平均測定値に基づいて0.45g/cm
3の密度、75の圧縮(SCDI)および46%のドロップリバウンドを有していた。
*Desmodur(商標)3900:Bayer Material Science社から入手可能なヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に基づく多官能性脂肪族ポリイソシアネート樹脂
**Polymeg(商標)650:Lyondell Chemical Companyから入手可能なポリテトラメチレンエーテルグリコール
***Ethacure(商標)300:Albemarle Corp.から入手可能な芳香族ジアミン硬化剤
得られた球状コアサンプルB(直径0.75インチ)は、上述の試験方法を用いた平均測定値に基づいて0.61g/cm3の密度、160の圧縮(SCDI)および56%のドロップリバウンドを有していた。
以下の例では、上述の成形方法を用いて異なる発泡体配合物を用いて単一コア試料を調製し、同様に発泡中間層を調製するために使用することができる。異なる配合物は、以下の表4〜8に記載されている。得られた球状コアの密度を測定し、上記の試験方法を用いて圧縮率および反発係数(COR)を試験し、結果を表4〜8に報告する。
別段の指示がない限り、濃度は100(phr)あたりのパーツである。本明細書中で使用される場合、用語「パーツ・パー・ハンドレッド」は、「phr」としても知られ、混合物中に存在する特定の成分の重量部の数をベースゴム成分100重量部に対して定義する。数学的には、これは、成分の重量をポリマーの総重量で割ったものに100倍を掛けたものとして表すことができる。
6.5%MDIプレポリマーは、4,4’−MDIおよびポリテトラメチレングリコールエーテルから製造される。
Mondur(商標)MR:Bayerから入手可能なポリマーMDI。
Mondur(商標)CD:Bayerから入手可能な改質4,4’−MDI。
Moldur(商標)ML:Bayerから入手可能な2,4および4,4’−MDIのアイソマー混合物。
Poly THF(商標)650:BASFから入手可能な、650分子量のポリエチレングリコールエーテルグリコール(PTMEG)。
CAPA(商標)3031:Perstorpから入手可能な、低分子量三官能性ポリカプロラクトンポリオール。
CAPA(商標)3091:Perstorpから入手可能な、1級ヒドロキシル基を末端基とするポリエステルトリオール。
CAPA(商標)4101:Perstorpから入手可能な、1次ヒドロキシル基を末端基とする四官能性ポリオール。
CAPA(商標)4801:Perstorpから入手可能な、1次ヒドロキシル基を末端基とする四官能性ポリオール。
Niax(商標)L−1500:Momentive Specialty Chemicals、Inc.のシリコーン界面活性剤。
Vanox(商標)MBPC:R.T.Vanderbuilt社の抗酸化剤。
Irganox(商標)1135:BASFから入手可能な酸化防止剤。
Dabco(商標)33LV:Air Productsから入手可能な三級アミン触媒。
Garamite(商標)1958:Southern Clayから入手可能なレオロジー添加剤。
以下の例では、上述の成形方法を使用して、発泡体コアおよび周囲の熱硬化性外側コア層を有する二重コア試料を調製するために、異なる配合物を使用した。サンプルコアの圧縮(DCM)、反発係数(COR)および硬度を上記の試験方法を用いて試験し、その結果を以下の表13に報告する。
別段の指示がない限り、濃度は100(phr)あたりのパーツである。本明細書中で使用される場合、用語「パーツ・パー・ハンドレッド」は、「phr」としても知られ、混合物中に存在する特定の成分の重量部の数をベースゴム成分100重量部に対して定義する。数学的には、これは、成分の重量をポリマーの総重量で割ったものに100倍を掛けたものとして表すことができる。
[サンプルC(0.5"の発泡性センタ)]
このサンプルでは、表9の発泡体処方を用いて、直径0.5インチの内側コアを調製した。
以下のゴム配合物(表10)を発泡性内側コアの周りに成形し、硬化させて熱硬化性ゴム外側コア層を形成した。
*Buna(商標)CB23:Lanxess Corp.から入手可能なポリブタジエンゴム。
**Perkadox(商標)BC:Akzo Nobelから入手可能な過酸化物フリーラジカル開始剤。
サンプルCの二重層コア(センタ直径0.5インチの発泡性センタと熱硬化性ゴムの外側コア層)の硬さを試験し、コアの硬度勾配(コア全体で幾何中心からミリメータ(mm)で測定した)は約21ショアC〜約89ショアCの範囲であることがわかった。幾何中心で測定したコアの硬度は約20ショアCであり、幾何中心から約20mm(すなわち、外側コア層の表面)で測定してコアの硬度は、約89ショアCであった。このコア構造に沿った様々な点で測定された硬度値は、以下の表17に記載され、硬度プロットは、図5に示されている。
[サンプルD(0.5"の発泡性センタ)]
このサンプルでは、表11の発泡体処方を用いて、直径0.5インチの内側コアを調製した。
サンプルCの上記のゴム配合物(表10)をサンプルDの発泡性センタの周りに成形し、硬化させて熱硬化性ゴムの外側コア層を形成した。
[サンプルE(0.5"の発泡性センタ)]
このサンプルでは、表12の発泡体処方を用いて、直径0.5インチの内側コアを調製した。
サンプルCの上述のゴム配合物(表10)をサンプルEの発泡性センタの周りに成形し、硬化させて熱硬化性ゴムの外側コア層を形成した。
[サンプルF(0.75"の発泡性センタ)]
このサンプルでは、表14の発泡体処方を用いて、直径0.5インチの内側コアを調製した。
このサンプルFでは、発泡性内側コアの周りに下記のゴム配合物(表15)を成形し、硬化させて熱硬化性ゴムの外側コア層を形成した。異なる密度を有する異なるコア試料(F1〜F5)を調製し、以下の表17にさらに記載する。
サンプルF1〜F5コアを圧縮(DCM)、反発係数(COR)、および硬度について上述の試験方法を用いた試験し、その結果を以下の表16に報告する。
サンプルF−2の二重層コア(センタ直径0.75インチの発泡性センタと熱硬化性ゴムの外側コア層)の硬さを試験し、コアの硬度勾配(コア全体で幾何中心からミリメータ(mm)で測定した)は約32ショアC〜約86ショアCの範囲であることがわかった。幾何中心で測定したコアの硬度は約32ショアCであり、幾何中心から約20mm(すなわち、外側コア層の表面)で測定してコアの硬度は、約86ショアCであった。このコア構造に沿った様々な点で測定された硬度値は、以下の表17に記載され、硬度プロットは、図5に示されている。
以下に示すものは、熱可塑性層を形成するために特に好適な高度に中和されたポリマー組成物である。以下の商業的に入手可能な材料を以下の例において用いて良い。
Honeywellから商業的に入手可能な、アクリル酸含有量が15%のA−C(商標)5120エチレンアクリル酸コポリマー、アクリル酸含有量が20%のA−C(商標)5180エチレンアクリル酸コポリマー、A−C(商標)395高密度酸化ポリエチレンホモポリマー、およびA−C(商標)575エチレン無水マレイン酸コポリマー;Lanxess Corporationから商業的に入手可能なCB23高シスネオジム触媒ポリブタジエンゴム;Chemical Associatesから商業的に入手可能なCA1700大豆脂肪酸、CA1726リノール酸、およびCA1725共益リノール酸;Arizona Chemicalから商業的に入手可能なCentury(商標)1107分岐および直鎖118脂肪酸の高純度イソステアリン酸混合物;A. Schulman Incから商業的に入手可能な、アクリル酸含有量が13%のClarix(商標)011370−01エチレンアクリル酸コポリマー、および、アクリル酸含有量が15%のClarix(商標)011536−01エチレンアクリル酸コポリマー;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、メチルアクリレート含有量が24wt%のElvaloy(商標)AC1224エチレン−メチルアクリレートコポリマー、メチルアクリレート含有量が35wt%のElvaloy(商標)AC1335エチレン−メチルアクリレートコポリマー、エチルアクリレート含有量が16wt%のElvaloy(商標)AC2116エチレン−エチルアクリレートコポリマー、ブチルアクリレート含有量が27wt%のElvaloy(商標)AC3427エチレン−ブチルアクリレートコポリマー、および、ブチルアクリレート含有量が35wt%のElvaloy(商標)AC34035エチレン−ブチルアクリレートコポリマー;ExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手可能な、Escor(商標)AT−320エチレン酸ターポリマー;ExxonMobil Chemical Companyから商業的に入手可能な、無水マレイン酸で官能化かれたExxelor(商標)VA1803非晶質エチレンコポリマー;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Fusabond(商標)N525メタローセン触媒ポリエチレン、Fusabond(商標)N416化学的に修正されたエチレンエラストマー、Fusabond(商標)C190無水物修正エチレンビニルアセテートコポリマー、およびFusabond(商標)P614官能化ポリプロピレン;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Hytrel(商標)3078超低弾性率熱可塑性ポリエステルエラストマー;Kraton Performance Polymers Incから商業的に入手可能な、Kraton(商標)FG1901GTのポリスチレン含有量が30%のスチレンおよびエチレン/ブチレンをベースにした直鎖トリブロックコポリマー、および、Kraton(商標)FG1924GTのポリスチレン含有量が13%のスチレンおよびエチレン/ブチレンをベースにした直鎖トリブロックコポリマー;Arkema Corporationから商業的に入手可能な、Lotader(商標)4603、4700、および4720のエチレン、アクリル酸エステル、および無水マレイン酸のランダムコポリマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能な、Nordel(商標)IP4770高分子量半結晶性EPDMゴム;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Nucrel(商標)9−1、Nucrel(商標)599、Nucrel(商標)960、Nucrel(商標)0407、Nucrel(商標)0609、Nucrel(商標)1214、Nucrel(商標)2906、Nucrel(商標)2940、Nucrel(商標)30707、Nucrel(商標)31001、およびNucrel(商標)AEの酸コポリマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能な、Primacor(商標)3150、3330、59801、および59901の酸コポリマー;Chemtura Corporationから商業的に入手可能な、Royaltuf(商標)498の非晶質EPDMをベースにした無水マレイン酸修正ポリオレフィン;Arizona Chemicalから商業的に入手可能な。Sylfat(商標)FA2のトールオイル脂肪酸;E.I.du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Vamac(商標)Gのエチレン、メチルアクリレートおよび硬化サイトモノマーのターポリマー;および、The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能な、アクリル酸含有量が13.5%のXUS60758.08Lエチレンアクリル酸コポリマーである。
種々の組成物が、以下の表18に示される成分を用いて溶融ブレンドされた。組成物は、成分1および3の中に存在する酸基の110%を理論上中和するのに十分な量だけカチオン源を添加することにより、中和され、ただし、例72を除く。この例72では酸基の75%を中和するのに十分な量だけカチオン源が添加された。水酸化マグネシウムがカチオン源として利用された。ただし、水酸化マグネシウムおよび水酸化ナトリウムが4:1の当量比で用いられた例68を除く。成分1〜3およびカチオン源に加えて、例71はエチレンオレエート可塑剤を含む。
使用された成分1および成分2の相対量は以下の表IIIに示され、成分1および2の結合重量を基準にしてwt%で報告される。使用された成分3の相対量は以下の表18に示され、組成物の総重量を基準にしたwt%で報告される。
各組成物のソリッド球は射出成型され、生成された球のソリッド球COR、圧縮、ショアD硬度、ショアC硬度が、2週間後に測定された。その結果は以下の表IVに報告される。球の表面硬度は、対面する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。曲面ゆえに、表面硬度が読み取られる前にゴルフボールまたはゴルフボール組立体をデュロメータインデンタの真下に中心づけられるように配慮する必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータを硬度測定に用いる。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし、自動スタンドの基部に取り付けなければならない。デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
**は測定されない。
*球が測定中に破損した。
数値下限および数値上限がここで示されるときには、これらの値に任意の組み合わせが採用できると理解されたい。
ここに引用した全ての特許、刊行物、テスト手順書、および他の参考文献は、さらに優先権ドキュメントも含んで、参照してここに組み入れる。ただし、それは、そのような開示がこの考案と一貫性を有する範囲であり、そのような参照による組み込みを法令が許容する範囲である。
この発明の事例的な実施例が具体的に説明されたが、この発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の他の変形例が当業者に明らかであり、また当業者が容易になすことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲のスコープが上述した例や記載に限定されず、むしろ、特許請求の範囲は、この発明中に内在する特許性のある新規な特徴のすべてを包括するように構成されていることが意図されており、これは当業者が均等として扱うすべての特徴を含む。
この発明の事例的な実施例が具体的に説明されたが、この発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の他の変形例が当業者に明らかであり、また当業者が容易になすことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲のスコープが上述した例や記載に限定されず、むしろ、特許請求の範囲は、この発明中に内在する特許性のある新規な特徴のすべてを包括するように構成されていることが意図されており、これは当業者が均等として扱うすべての特徴を含む。
以下、ここで説明した技術的特徴について列挙する。
[技術的特徴1]
重量が1.620オンス以下で、外側直径が少なくとも1.700インチで、CORが少なくとも0.700であるゴルフボールにおいて、
1.0g/ccより大きい第1の比重を具備し、ゴム組成物を有するコアと、
約1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性ポリウレタン組成物からなり、1.0g/cc未満の第2の比重を有する中間層と、
ポリウレタン組成物を有し、1.0g/ccより大きい第3の比重を具備するカバー層とを有し、
上記第1の比重が上記第3の比重よりも小さいことを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴2]
上記コアの直径が1.580インチ以上である技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴3]
上記中間層の上記発泡性ポリウレタン組成物が熱硬化性材料である技術的特徴2記載のゴルフボール。
[技術的特徴4]
上記カバー層の上記ポリウレタン組成物が熱硬化性材料である技術的特徴3記載のゴルフボール。
[技術的特徴5]
上記カバー層の上記ポリウレタン組成物が熱可塑性材料である技術的特徴3記載のゴルフボール。
[技術的特徴6]
上記中間層の上記発泡性ポリウレタン組成物が熱可塑性材料である技術的特徴2記載のゴルフボール。
[技術的特徴7]
上記中間層が外側表面硬度(H outer surface of IL )および内側表面硬度(H inner surface of IL )を具備し、上記H outer surface of IL が上記H inner surface of IL より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴2記載のゴルフボール。
[技術的特徴8]
上記コアが外側表面硬度(H inner core surface )および中心硬度(H core center )を具備し、上記H inner core surface が上記H core center より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴7記載のゴルフボール。
[技術的特徴9]
上記コアが外側表面硬度(H inner core surface )および中心硬度(H core center )を具備し、上記H inner core surface が上記H core center と等しいか、小さく、ゼロまたは負の硬度勾配を実現する技術的特徴7記載のゴルフボール。
[技術的特徴10]
上記中間層が外側表面硬度(H outer surface of IL )および内側表面硬度(H inner surface of IL )を具備し、上記H outer surface of IL が上記H inner surface of IL と等しいか、または小さく、ゼロまたは負の硬度勾配を実現する技術的特徴2記載のゴルフボール。
[技術的特徴11]
上記H outer surface of IL が50ショアDより大きい技術的特徴7記載のゴルフボール。
[技術的特徴12]
上記H outer surface of IL が50ショアD以下である技術的特徴10記載のゴルフボール。
[技術的特徴13]
上記第2の比重が上記第1の比重および上記第3の比重の各々と、約0.20g/ccから約0.30g/ccだけ異なっている技術的特徴2記載のゴルフボール。
[技術的特徴14]
上記中間層の外側直径が約1.69インチ以上である技術的特徴2記載のゴルフボール。
[技術的特徴15]
重量が1.620オンス以下で、外側直径が少なくとも1.720インチで、CORが少なくとも0.700であるゴルフボールにおいて、
1.2g/cc未満の第1の比重を具備し、ゴム組成物を有する内側コア層と、
1.0g/cc未満の第2の比重を具備し、非発泡性の高度に中和された(HNP)組成物を有する外側コア層と、
1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性HNP組成物からなり、1.0g/cc未満の第3の比重を有する中間層と、
アイオノマー組成物を有し、1.0g/cc未満の第4の比重を具備するカバー層とを有することを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴16]
上記内側コア層の直径が0.500インチ以上であり、上記外側コア層の外側直径が1.62インチ以下であり、上記カバー層の外側直径が1.720インチ以上である技術的特徴15記載のゴルフボール。
[技術的特徴17]
上記第1の比重および上記第3の比重は実質的に類似であり、上記第2の比重および上記第4の比重より小さい技術的特徴16記載のゴルフボール。
[技術的特徴18]
上記第2の比重および上記第4の比重は実質的に類似である技術的特徴17記載のゴルフボール。
[技術的特徴19]
上記第1の比重および上記第3の比重は、多くて、約0.35g/ccだけ異なる技術的特徴18記載のゴルフボール。
[技術的特徴20]
上記中間層が外側表面硬度(H outer surface of IL )および内側表面硬度(H inner surface of IL )を具備し、上記H outer surface of IL が上記H inner surface of IL より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴19記載のゴルフボール。
[技術的特徴21]
上記外側コア層が外側表面硬度(H core surface )を具備し、上記内側コア層が中心硬度(H core center )を具備し、上記H core surface が上記H core center より大きく、負の硬度勾配を実現する技術的特徴20記載のゴルフボール。
[技術的特徴22]
上記外側コア層が外側表面硬度(H core surface )を具備し、上記内側コア層が中心硬度(H core center )を具備し、上記H core surface が上記H core center より大きく、正の硬度勾配を実現する技術的特徴20記載のゴルフボール。
[技術的特徴23]
上記中間層が外側表面硬度(H outer surface of IL )および内側表面硬度(H inner surface of IL )を具備し、上記H outer surface of IL が上記H inner surface of IL と等しいか、または小さく、ゼロまたは負の硬度勾配を実現する技術的特徴19記載のゴルフボール。
[技術的特徴24]
上記H outer surface of IL が50ショアDより大きい技術的特徴20記載のゴルフボール。
[技術的特徴25]
上記H outer surface of IL が50ショアD以下である技術的特徴23記載のゴルフボール。
[技術的特徴26]
上記中間層の外側直径が1.68インチより大きい技術的特徴19記載のゴルフボール。
[技術的特徴27]
上記中間層の外側直径が1.69インチ以上である技術的特徴19記載のゴルフボール。
[技術的特徴28]
重量が1.620オンス以下で、外側直径が少なくとも1.750インチで、CORが少なくとも0.700であるゴルフボールにおいて、
1.0g/ccより大きい第1の比重を具備し、ゴム組成物を有するコアと、
1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性HNP組成物からなり、1.0g/cc未満の第2の比重を具備する中間層と、
アイオノマー組成物を有し、1.0g/ccより小さい第3の比重を具備する内側カバー層と、
アイオノマー組成物を有し、1.0g/ccより小さい第4の比重を具備するカバー層とを有することを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴29]
上記コアの直径が1.50インチ以下である技術的特徴28記載のゴルフボール。
[技術的特徴30]
上記第1の比重および上記第4の比重は、多くて、0.10g/ccだけ異なり、かつ上記第2の比重および上記第3の比重は、多くて、0.35g/ccだけ異なる技術的特徴28記載のゴルフボール。
[技術的特徴31]
上記中間層が外側表面硬度(H outer surface of IL )および内側表面硬度(H inner surface of IL )を具備し、上記H outer surface of IL が上記H inner surface of IL より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴30記載のゴルフボール。
[技術的特徴32]
上記コアが外側表面硬度(H inner core surface )および中心硬度(H core center )を具備し、上記H inner core surface が上記H core center より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴31記載のゴルフボール。
[技術的特徴33]
上記中間層の外側直径が1.68インチより大きい技術的特徴28記載のゴルフボール。
[技術的特徴34]
上記中間層の外側直径が1.69インチ以上である技術的特徴28記載のゴルフボール。
[技術的特徴35]
重量が1.620オンス以下で、外側直径が少なくとも1.720インチで、CORが少なくとも0.700であるゴルフボールにおいて、
1.0g/ccより小さい第1の比重を具備し、HNP組成物を有するコアと、
1.680インチ以上の外側直径を具備し、発泡性HNP組成物からなり、1.0g/cc未満の第2の比重を具備する中間層と、
アイオノマー組成物を有し、1.0g/ccより小さい第3の比重を具備するカバー層とを有することを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴36]
上記コアの直径が1.60インチ以上であり、上記カバーの外側直径が1.720インチ以上である技術的特徴35記載のゴルフボール。
[技術的特徴37]
上記第1の比重および上記第3の比重は実質的に類似であり、上記第2の比重より大きい技術的特徴35記載のゴルフボール。
[技術的特徴38]
上記第1の比重は上記第2の比重および上記第3の比重の各々に対して、多くて、約0.35g/ccだけ異なる技術的特徴36記載のゴルフボール。
[技術的特徴39]
上記中間層が外側表面硬度(H outer surface of IL )および内側表面硬度(H inner surface of IL )を具備し、上記H outer surface of IL が上記H inner surface of IL より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴38記載のゴルフボール。
[技術的特徴40]
上記コアが外側表面硬度(H inner core surface )および中心硬度(H core center )を具備し、上記H inner core surface が上記H core center より大きく正の硬度勾配を実現する技術的特徴39記載のゴルフボール。
[技術的特徴41]
上記中間層の外側直径が1.68インチより大きい技術的特徴35記載のゴルフボール。
[技術的特徴42]
上記中間層の外側直径が1.69インチ以上である技術的特徴35記載のゴルフボール。