JP2019092842A - 医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鼓膜に留置した鼓膜チューブ等の医療器具の脱落を防止可能な医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置を提供する。【解決手段】本発明に係る鼓膜チューブ1の留置方法は、耳の鼓膜Eを切開し、中空の円筒部2と、円筒部の軸方向xにおける一方の端部に形成されたフランジ部4と、円筒部の外表面に配置されフランジ部に接近又は離間可能な移動部7と、を備える鼓膜チューブを鼓膜における切開した部位に挿通させてフランジ部を鼓膜よりも耳の内側に配置するとともに移動部を鼓膜よりも耳の外側に配置し、移動部を鼓膜の内側に配置したフランジ部に接近させてフランジ部と移動部とによって鼓膜を挟持する。【選択図】図1
Description
本発明は、医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置に関する。
滲出性中耳炎に対して鼓膜チューブと呼ばれる医療器具を用いた治療が行われている。鼓膜チューブは、中空の略円筒形状の部材で構成している。鼓膜チューブを用いた治療では、鼓膜を切開してそこから鼓膜チューブを挿入し、所定期間留置することで中耳腔に溜まる滲出液を外部に排出する(特許文献1参照)。
特許文献1では、鼓膜において切開された穴状の部位に中空の略円筒形状に形成された鼓膜チューブを単に差し込む程度で留置している。そのため、上述した鼓膜の切開部位に留置したとしても、留置中に鼓膜チューブが何らかの振動などによって留置位置が変わり、脱落するおそれがある。
そこで本発明は、鼓膜に留置した鼓膜チューブ等の医療器具の脱落を防止可能な医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療器具の留置方法は、耳の鼓膜を切開し、中空の円筒部と、前記円筒部の軸方向における少なくとも一方の端部に形成されたフランジ部と、前記円筒部の外表面に配置され前記フランジ部に接近又は離間可能な移動部と、を備える医療器具を前記鼓膜における切開した部位に挿通させて前記フランジ部を前記鼓膜よりも耳の内側に配置するとともに前記移動部を前記鼓膜よりも耳の外側に配置し、前記移動部を前記鼓膜の内側に配置した前記フランジ部に接近させて、前記フランジ部と前記移動部とで前記鼓膜を挟持する。
また、本発明に係る医療器具は、中空の円筒部と、前記円筒部の軸方向における少なくとも一方の端部に形成されたフランジ部と、前記円筒部の外表面に配置されフランジ部に接近又は離間可能な移動部と、を備える。
また、本発明に係る鼓膜チューブの留置装置は、前記医療器具における前記移動部を前記フランジ部に接近させる変位部を備える。
本発明に係る医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置では、鼓膜において切開した部位に医療器具を挿入する。そして、フランジ部と移動部とで鼓膜を挟持することによって鼓膜に対して医療器具をしっかりと固定できる。そのため、耳からの医療器具の脱落を防止することができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
なお、以下では図面を用いた説明にあたり、図面に直交座標系と円筒座標系を図示する。直交座標系のx方向は、後述する略円筒形状の鼓膜チューブ1の軸方向に相当する。y方向とz方向は、軸方向xに直交する方向であり、y方向を便宜上、水平方向と称し、z方向を垂直方向と称する。rは、略円筒形状の鼓膜チューブ1の径方向又は放射方向に相当する。θは、略円筒形状の鼓膜チューブ1の回転方向、周方向、又は角度方向に相当する。本明細書において鼓膜チューブ1は医療器具に相当する。
(鼓膜チューブ)
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る鼓膜チューブ1の説明に供する図である。鼓膜チューブ1は、例えば、滲出性中耳炎等の治療において図3に示す鼓膜Eに留置され、中耳側に溜まった内分泌液を外部に放出するために用いられる。なお、中耳側に溜まった内分泌液を外部に放出でき、後述する構成を備えていれば、医療器具の具体的な名称は鼓膜チューブに限定されない。
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る鼓膜チューブ1の説明に供する図である。鼓膜チューブ1は、例えば、滲出性中耳炎等の治療において図3に示す鼓膜Eに留置され、中耳側に溜まった内分泌液を外部に放出するために用いられる。なお、中耳側に溜まった内分泌液を外部に放出でき、後述する構成を備えていれば、医療器具の具体的な名称は鼓膜チューブに限定されない。
鼓膜チューブ1は、図1、図2に示すように、中空の円筒部2と、円筒部2の軸方向xにおける両端部に設けられるフランジ部3、4と、円筒部2に移動可能に挿通される移動部7と、を有する。
円筒部2は、図1、図2に示すように中空の略円筒状に形成されている。円筒部2は、図3に示す人体の耳において予め切開された鼓膜Eを挿通して留置するように用いられる。円筒部2は、図1、図2に示すように小径部5と、小径部5と同軸であって小径部5に対して軸方向xに連なって配置された大径部6と、小径部5及び大径部6を挿通するように形成された中空部位8と、を備える。
小径部5は、移動部7に設けられた穴部7aと嵌合する程度の大きさの径として構成している。大径部6は、小径部5よりも径を大きく形成し、移動部7の穴部7aよりも径を大きく形成している。中空部位8は、小径部5及び大径部6の略中央を軸方向xに沿って貫通するように形成されている。中空部位8には、後述する留置装置100の規制部40(図4参照)を挿通できるように構成している。
移動部7は、円筒部2の外表面に配置される。移動部7は、円筒部2に配置された状態においてフランジ部4に接近又は離間可能に構成している。移動部7は、中空の略円板形状に形成し、フランジ部4とともに円筒部2を鼓膜Eに挿通した状態において図3に示すように鼓膜Eを挟んでフランジ部4とは反対側から鼓膜Eを押圧する。
移動部7には円筒部2を挿通させる穴部7aが設けられている。移動部7の穴部7aの回転方向θにおける周囲には、図1に示すようにスリット9を設けている。スリット9は、移動部7を円筒部2の大径部6に対して嵌合できるように移動部7の板形状の放射方向における内方を拡開可能にする。鼓膜チューブ1の留置方法については後述する。
(留置装置)
次に鼓膜チューブ1の留置装置100について説明する。図4、図7〜図13は鼓膜チューブ1の留置装置100について示す図である。留置装置100は、図4等を参照して概説すれば、鼓膜チューブ1の移動部7をフランジ部4に接近させる変位部10を有する。留置装置100は、移動部7をフランジ部4に接近させる際にフランジ部4が移動部7から離間しないようにフランジ部4の位置を規制する規制部40を有する。留置装置100は、規制部40と変位部10を動作可能に取り付ける筐体70を有する。以下、詳述する。
次に鼓膜チューブ1の留置装置100について説明する。図4、図7〜図13は鼓膜チューブ1の留置装置100について示す図である。留置装置100は、図4等を参照して概説すれば、鼓膜チューブ1の移動部7をフランジ部4に接近させる変位部10を有する。留置装置100は、移動部7をフランジ部4に接近させる際にフランジ部4が移動部7から離間しないようにフランジ部4の位置を規制する規制部40を有する。留置装置100は、規制部40と変位部10を動作可能に取り付ける筐体70を有する。以下、詳述する。
(変位部)
変位部10は、図4等に示すように、鼓膜チューブ1の軸方向xに進退移動可能かつ軸方向xに平行な軸を回転軸として回転可能な長尺状の軸部材20と、軸部材20を操作する操作部30と、を備える。
変位部10は、図4等に示すように、鼓膜チューブ1の軸方向xに進退移動可能かつ軸方向xに平行な軸を回転軸として回転可能な長尺状の軸部材20と、軸部材20を操作する操作部30と、を備える。
軸部材20は、図4に示すように、軸部材20の先端に設けられ、鼓膜チューブ1の移動部7をフランジ部4に向けて押圧可能な押圧部21と、回転によって押圧部21の位置を変位させる回転レバー22と、を備える。
操作部30は、図4に示すように使用者に把持されるトリガー31と、トリガー31に連動して略軸方向xに移動するリンクロッド32と、リンクロッド32の移動を伝達する弾性変形可能な付勢部材33と、を備える。操作部30は、付勢部材33からの弾発力を軸部材20に伝達するスプリングロッド34と、付勢部材33がスプリングロッド34を支持できるように付勢部材33を支持するストッパ35と、を備える。操作部30は、軸部材20を回転可能かつ並進移動可能に支持するベアリング36、37と、軸部材20の軸方向xにおける位置を規制するロックピン38と、を備える。
軸部材20は、軸方向xに延在する長尺状の部材で構成し、ベアリング36、37に回転可能に支持される。軸部材20の回転レバー22は、押圧部21を鼓膜チューブ1に対して押圧可能な状態(図8参照)と鼓膜チューブ1から退避した状態(図12参照)を切り替えるために設けられる。回転レバー22は、使用者の手指によって把持され、軸部材20を軸方向xを回転軸として回転することで押圧部21の回転方向θにおける位置を変化させる。
押圧部21は、図4等に示すように軸部材20の先端に設けられる。押圧部21は、軸部材20の回転によって鼓膜チューブ1の移動部7を押圧可能な位置と鼓膜チューブ1から退避した位置とに変位可能に構成している。押圧部21は、図12、図13に示すように鼓膜チューブ1の移動部7と接触する接触部23と、回転により押圧部21を退避可能にする切り欠き部24と、備える。
トリガー31は、使用者の手指によって加圧される加圧部に相当する。トリガー31は、図4に示すように軸31aを基準として回転可能に構成される。リンクロッド32は、図4、図8に示すようにトリガー31の回転運動を受けて、略軸方向xに並進移動可能に構成される。リンクロッド32は、留置装置100の先端側(図4の右側)に移動することによって付勢部材33を軸方向xに圧縮する。本明細書においてリンクロッド32は加圧部による回転運動を並進運動に変換する変換機構に相当する。
付勢部材33は、図4に示すようにリンクロッド32とスプリングロッド34の間に配置される。付勢部材33は、リンクロッド32が先端側へ移動すると、付勢部材33は軸方向xに圧縮し、復元力をスプリングロッド34に付与する。スプリングロッド34は、付勢部材33の復元力(弾発力)を受け、軸部材20を先端側に並進移動させる。
ストッパ35は、リンクロッド32が付勢部材33を先端側に向けて押圧していない状態(図4参照)において付勢部材33を軸方向xにおける基端側で支持するために設けられる。ロックピン38は、軸部材20が先端側に過度に移動することを防止するために設けられる。
(規制部)
規制部40は、図4に示すように鼓膜チューブ1のフランジ部4を押さえる押さえ部50と、押さえ部50を操作するハンドル60と、を有する。
規制部40は、図4に示すように鼓膜チューブ1のフランジ部4を押さえる押さえ部50と、押さえ部50を操作するハンドル60と、を有する。
押さえ部50は、鼓膜チューブ1の円筒部2の中空部位8に挿通可能に構成されるとともに鼓膜チューブ1を支持する支持部材51と、変形によって鼓膜チューブ1の軸方向xにおける外方からフランジ部4の位置を規制する変形部材52と、を備える。押さえ部50は、支持部材51の先端に配置される先端部材53と、支持部材51を挿通させるとともに変形部材52の基端を取り付ける挿通部材54と、を備える。
ハンドル60は、図4に示すように、使用者により押圧されるレバー61と、レバー61の押圧により回転するギア62と、ギア62と噛み合うピニオン63と、ピニオン63と噛み合い並進移動するラック64と、を備える。ハンドル60は、ベアリング65、66と、レバー61の回転方向における位置を保持する保持部材67と、を備える。
支持部材51は、図1に示す鼓膜チューブ1の中空部位8に挿通可能に構成され、留置装置100における規制部40の先端において鼓膜チューブ1を支持する。支持部材51は、長尺状に構成され、ベアリング65、66によって軸方向xに移動可能に支持されている。また、支持部材51は、ラック64に取り付けられてラック64とともに軸方向xに移動するように構成している。
変形部材52は、先端部材53及び挿通部材54に取り付けられる。先端部材53は、支持部材51とともに軸方向xに移動し、変形部材52は、先端部材53と挿通部材54の間隔に応じて形状が変化する。図4に示すように先端部材53が先端側に配置されるにつれて変形部材52は、支持部材51と同様に略直線的な形状に変形する。上記とは逆に、先端部材53が基端側に向かって移動するにつれて、図7に示すように先端部材53と挿通部材54との間隔が狭まる。これにより、変形部材52は、放射方向rに向けて突出するように撓み変形する。
挿通部材54は、支持部材51を挿通させるとともに、先端側において変形部材52を取り付ける。挿通部材54は、図4に示すように先端において鼓膜チューブ1のフランジ部3と接触可能に構成している。
レバー61、ギア62、及びピニオン63は、図4に示すように、筐体70に回転可能に取り付けられる。レバー61は、筐体70に取り付けられた保持部材67によって回転方向の位置が保持されている。レバー61は、使用者の手指によって加圧される加圧部に相当する。
ギア62は、レバー61からの動力が伝達されるようにレバー61に隣接して配置される。ピニオン63は、ギア62からの動力が伝達されるようにギア62に隣接して配置される。ラック64は、ピニオン63からの動力が伝達されるようにピニオン63に隣接して配置される。
レバー61、ギア62、ピニオン63、及びラック64を上記のように配置することによって、使用者がレバー61を手指を用いて押圧することによってギア62が回転する。ギア62が回転すると、ギア62の回転はピニオン63に伝達され、ピニオン63の回転がラック64に伝達されてラック64が軸方向xに並進移動する。
ラック64は、上述のように支持部材51と一体的に構成しており、ラック64の並進移動に伴って支持部材51は軸方向xに並進移動する。ピニオン63及びラック64は、加圧部による回転運動を並進運動に変換する変換機構に相当する。
保持部材67は、上記のように、レバー61の回転方向における位置をスプリング(図示省略)とともに固定する。
(筐体)
筐体70は、図4に示すように使用者によって把持される把持部71と、上述した規制部40及び変位部10の部品群を少なくとも一部幅方向yから被覆する被覆部72と、を有する。筐体70は、いわゆる銃の筐体部分と同様に形成しているが、使用者が把持でき、規制部40及び変位部10を動作可能に収容できれば、具体的な形状は上記に限定されない。
筐体70は、図4に示すように使用者によって把持される把持部71と、上述した規制部40及び変位部10の部品群を少なくとも一部幅方向yから被覆する被覆部72と、を有する。筐体70は、いわゆる銃の筐体部分と同様に形成しているが、使用者が把持でき、規制部40及び変位部10を動作可能に収容できれば、具体的な形状は上記に限定されない。
(留置方法)
次に鼓膜チューブ1の留置方法について説明する。図5〜図14は、鼓膜チューブ1の留置方法の説明に供する図である。図5を参照して上記留置方法について概説すれば、鼓膜Eの切開(ST1)と、鼓膜チューブ1の挿入(ST2)と、フランジ部4の移動規制(ST3)と、移動部7の移動(ST4)と、留置装置100の抜去(ST5)と、を有する。以下、詳述する。
次に鼓膜チューブ1の留置方法について説明する。図5〜図14は、鼓膜チューブ1の留置方法の説明に供する図である。図5を参照して上記留置方法について概説すれば、鼓膜Eの切開(ST1)と、鼓膜チューブ1の挿入(ST2)と、フランジ部4の移動規制(ST3)と、移動部7の移動(ST4)と、留置装置100の抜去(ST5)と、を有する。以下、詳述する。
まず、図6に示すような鼓膜切開用のメスMを用いて鼓膜Eの付近に鼓膜チューブ1を挿入できるように切開部位を形成する(ST1)。鼓膜切開用のメスについては公知の器具を想定しているため、詳細な説明を省略する。
次に、図4に示すように、留置装置100における規制部40の先端に鼓膜チューブ1をセットした状態で留置装置100を用いて鼓膜チューブ1を鼓膜Eの切開した部位から鼓膜Eに挿入する。鼓膜チューブ1はフランジ部4を鼓膜Eよりも耳の内側に配置し、移動部7を鼓膜Eよりも耳の外側に配置する程度に挿入する(ST2)。この時点では、留置装置100における規制部40の変形部材52は、図4に示すように撓み変形しておらず、変位部10のトリガー31は基端側に位置していない。
次に、留置装置100の規制部40におけるレバー61を押圧し、これによりギア62を図7における反時計周りに回転させる。これにより、ピニオン63は、時計回りに回転し、ラック64は、留置装置100において基端側に並進移動する。これにより、支持部材51、変形部材52の先端、及び先端部材53が基端側に移動する。
一方、挿通部材54の位置は変位しないため、先端部材53と挿通部材54の間隔が狭まり、変形部材52は図7に示すように、放射方向rに撓み変形する。これにより、変形部材52の撓み変形した部位が鼓膜チューブ1の軸方向xにおける外方からフランジ部4の移動を規制し、フランジ部4の移動部7に対する離間が規制される(ST3)。なお、本明細書における「規制」とは、規制部40によってフランジ部4が全く動かないことを意味するだけでなく、フランジ部4と移動部7とで鼓膜Eを挟持するまでに鼓膜チューブ1が鼓膜Eから抜けきらない程度に移動することをも含む。
次に、図8に示すように留置装置100の変位部10におけるトリガー31を手指により押圧する。これにより、トリガー31は、図8に示すように軸31aを回転軸として回転する。トリガー31の回転によって、リンクロッド32は先端側に並進移動する。リンクロッド32が並進移動することによって、付勢部材33は、軸方向xに圧縮される。
付勢部材33は、圧縮変形によって軸方向xにおける弾発力をスプリングロッド34に付与する。スプリングロッド34は、付勢部材33からの弾発力を受け、先端側に移動する。スプリングロッド34の移動に伴い、軸部材20は先端側に並進移動する。軸部材20の移動に伴い、軸部材20の先端に設けられた押圧部21は先端側に移動し、鼓膜チューブ1の移動部7と接触する。
移動部7は、押圧部21によって先端側に押圧され、図8に示すようにフランジ部4と移動部7の軸方向xにおける間隔が小さくなる。これにより、移動部7は、鼓膜Eを挟んでフランジ部4と反対側から鼓膜Eに接近する。以上により、図3に示すようにフランジ部4と移動部7とによって鼓膜Eが挟持され、鼓膜チューブ1が鼓膜Eに固定される(ST4)。なお、本明細書において「固定」とは、鼓膜チューブ1の位置が鼓膜Eに対して全く移動しない場合を含むだけでなく、脱落しない程度に位置が変化する場合をも含む。
鼓膜チューブ1が鼓膜Eに固定されたら、次に鼓膜チューブ1を留置装置100から離脱させる。まず、変位部10のトリガー31を軸31aを基準に図9における反時計周りに回転させる。これにより、リンクロッド32は、先端側から基端側に移動し、付勢部材33の圧縮変形が緩和される。
付勢部材33の圧縮変形が緩和されることによって、スプリングロッド34に対する押圧力が減少し、スプリングロッド34は基端側へ移動する。スプリングロッド34の移動に合わせて軸部材20は基端側へ移動する。軸部材20の移動に伴い、軸部材20の先端に設けられた押圧部21は基端側へ移動する。これにより、押圧部21は、図9に示すように鼓膜チューブ1の移動部7から離間する。
次に、規制部40のレバー61を手指によって押圧し、ギア62を図10における時計周りに回転させる。これにより、ピニオン63は、図10において反時計回りに回転し、ラック64はピニオン63の回転に合わせて先端側へ並進移動する。これにより、支持部材51、変形部材52の先端、及び先端部材53は、ともに先端側へ移動する。
その結果、先端部材53と挿通部材54との間隔が広がり、変形部材52の撓み変形は図10に示すように緩和され、変形部材52は支持部材51と同様にほぼ直線状に変形する。これにより、押圧部21と変形部材52の撓み変形による鼓膜チューブ1の挟持が解除される。
規制部40及び変位部10による鼓膜チューブ1の挟持が解除できたら、軸方向xを回転軸として回転レバー22によって軸部材20を回転させる。これにより、押圧部21が移動部7を押圧可能な状態から図12、図13に示すように鼓膜チューブ1から回転方向θに退避した状態となる。
次に、図14に示すように回転レバー22を把持して軸部材20を軸方向xにおける基端側へ移動させる。これにより、押圧部21は、軸方向xにおいて鼓膜チューブ1から離間する。次に、図14の状態で留置装置100を耳から引き抜く。これによって、留置装置100が鼓膜Eから抜去される(ST5)。
以上、説明したように、本実施形態に係る鼓膜チューブ1の留置方法では、耳の鼓膜Eを切開し、鼓膜チューブ1を鼓膜Eにおける切開部位から挿通させてフランジ部4を鼓膜Eの内側に配置するとともに移動部7を鼓膜Eの外側に配置する。そして、移動部7を鼓膜Eの内側に配置したフランジ部4に接近させて、フランジ部4と移動部7とで鼓膜Eを挟持するように構成している。鼓膜チューブ1は、中空の円筒部2と、円筒部2の軸方向xにおける端部に形成されたフランジ部4と、円筒部2の外表面に配置されフランジ部4に接近又は離間可能な移動部7と、を備える。
そのため、鼓膜チューブ1を使用者の鼓膜Eにフィットするようにしっかりと固定できる。そのため、鼓膜チューブ1が鼓膜Eから脱落することを防止できる。
また、鼓膜チューブ1の留置方法では、フランジ部4を鼓膜Eよりも耳の内側に配置した後に、フランジ部4が移動部7から離間しないようにフランジ部4の位置を規制している。そのため、フランジ部4と移動部7とによって鼓膜Eを挟持し、鼓膜チューブ1を鼓膜Eにしっかりと留置することができる。
また、留置装置100は、鼓膜チューブ1における移動部7をフランジ部4に接近させる変位部10を有するように構成している。そのため、移動部7をフランジ部4に接近させて移動部7とフランジ部4とで鼓膜Eをしっかりと挟持し、鼓膜チューブ1が鼓膜Eから脱落することを防止できる。
また、留置装置100は、移動部7をフランジ部4に接近させる際にフランジ部4が移動部7から離間しないようフランジ部4の位置を規制する規制部40を有する。そのため、上記と同様にフランジ部4が移動部7から離間することを防止してフランジ部4と移動部7とによって鼓膜Eを挟持し、鼓膜チューブ1が鼓膜Eから脱落することを防止できる。
また、変位部10は、鼓膜チューブ1の軸方向xに進退移動可能かつ軸方向xに平行な軸を回転軸として回転可能な長尺状の軸部材20を備える。軸部材20は、軸部材20の先端に設けられ、鼓膜チューブ1の移動部7をフランジ部4に向けて押圧可能な押圧部21と、回転によって移動部7を押圧する位置と押圧しない位置とに押圧部21を変位させる回転レバー22と、を備える。そのため、回転レバー22の回転によって、移動部7を押圧する状態と押圧しない状態とを簡単に切り替えることができる。よって、留置装置100の操作性を向上できる。
また、規制部40は、使用者の手指に押圧可能なレバー61と、レバー61による押圧を並進運動に変換して移動部7をフランジ部4に接近させるピニオン63及びラック64を有する。また、変位部10は、使用者の手指によって加圧されるトリガー31と、トリガー31による押圧力を並進運動に変換し、押圧部21を移動部7に接近させるリンクロッド32を備える。そのため、手指による簡単な操作でフランジ部4の位置を規制するとともに移動部7をフランジ部4に向けて移動させることができる。
なお、本発明は上述した特許請求の範囲に限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では、鼓膜チューブ1がフランジ部3、4と移動部7を有する実施形態について説明したが、フランジ部3及び移動部7には図15、図16に示すように湾曲変形が可能な長尺状の糸状部材3a、7bを設けてもよい。これにより、糸状部材3a、7bを耳の外方に延在させた状態で上述のようにフランジ部4と移動部7とで鼓膜Eを挟持し、糸状部材3a、7bを把持して引っ張ることによって鼓膜チューブ1を鼓膜Eから容易に抜去することができる。
1 鼓膜チューブ(医療器具)、
2 円筒部、
3、4 フランジ部、
7 移動部、
3a、7b 糸状部材、
8 中空部位、
10 変位部、
22 回転レバー、
31 トリガー(加圧部)、
32 リンクロッド(変換機構)、
40 規制部、
61 レバー(加圧部)、
63 ピニオン(変換機構)、
64 ラック(変換機構)、
E 鼓膜。
2 円筒部、
3、4 フランジ部、
7 移動部、
3a、7b 糸状部材、
8 中空部位、
10 変位部、
22 回転レバー、
31 トリガー(加圧部)、
32 リンクロッド(変換機構)、
40 規制部、
61 レバー(加圧部)、
63 ピニオン(変換機構)、
64 ラック(変換機構)、
E 鼓膜。
Claims (8)
- 耳の鼓膜を切開し、
中空の円筒部と、前記円筒部の軸方向における少なくとも一方の端部に形成されたフランジ部と、前記円筒部の外表面に配置され前記フランジ部に接近又は離間可能な移動部と、を備える医療器具を前記鼓膜における切開した部位に挿通させて前記フランジ部を前記鼓膜よりも耳の内側に配置するとともに前記移動部を前記鼓膜よりも耳の外側に配置し、
前記移動部を前記鼓膜の内側に配置した前記フランジ部に接近させて、前記フランジ部と前記移動部とで前記鼓膜を挟持する、医療器具の留置方法。 - 前記フランジ部を前記鼓膜よりも耳の内側に配置した後に、前記フランジ部が前記移動部から離間しないように前記フランジ部の位置を規制する、請求項1に記載の医療器具の留置方法。
- 前記医療器具は、湾曲変形が可能な長尺状の糸状部材をさらに備えるとともに、
前記医療器具は、前記糸状部材を耳の外方に向けて延在させた状態で前記フランジ部と前記移動部とによって前記鼓膜を挟持し、
前記糸状部材を引っ張ることによって前記鼓膜に挿通させた前記医療器具を抜去する、請求項1又は2に記載の医療器具の留置方法。 - 中空の円筒部と、前記円筒部の軸方向における少なくとも一方の端部に形成されたフランジ部と、前記円筒部の外表面に配置され前記フランジ部に接近又は離間可能な移動部と、を備える医療器具。
- 請求項4に記載の医療器具における前記移動部を前記フランジ部に接近させる変位部を有する医療器具の留置装置。
- 前記移動部を前記フランジ部へ接近させる際に、前記フランジ部が前記移動部から離間しないように前記フランジ部の位置を規制する規制部をさらに有する、請求項5に記載の医療器具の留置装置。
- 前記変位部は、前記医療器具の前記軸方向に進退移動可能かつ前記軸方向に平行な軸を回転軸として回転可能な長尺状の軸部材を備え、
前記軸部材は、前記軸部材の先端に設けられ、前記医療器具の前記移動部を前記フランジ部に向けて押圧可能な押圧部と、回転によって前記移動部を押圧する位置と押圧しない位置とに前記押圧部を変位させる回転レバーと、を含む、請求項5又は6に記載の医療器具の留置装置。 - 前記変位部及び前記規制部は、使用者の手指によって加圧される加圧部と、前記加圧部による回転運動を並進運動に変換する変換機構を備える、請求項6に記載の医療器具の留置装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017224678A JP2019092842A (ja) | 2017-11-22 | 2017-11-22 | 医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置 |
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JP2017224678A JP2019092842A (ja) | 2017-11-22 | 2017-11-22 | 医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置 |
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JP2017224678A Pending JP2019092842A (ja) | 2017-11-22 | 2017-11-22 | 医療器具の留置方法、医療器具、及び医療器具の留置装置 |
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JP (1) | JP2019092842A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020230815A1 (ja) | 2019-05-16 | 2020-11-19 | 昭和電工株式会社 | 潤滑油組成物の検査方法およびその潤滑油組成物の製造方法 |
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2017
- 2017-11-22 JP JP2017224678A patent/JP2019092842A/ja active Pending
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WO2020230815A1 (ja) | 2019-05-16 | 2020-11-19 | 昭和電工株式会社 | 潤滑油組成物の検査方法およびその潤滑油組成物の製造方法 |
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