最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る放送再送信装置は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる放送再送信装置であって、放送波に含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行うTLV分割部と、前記TLV分割部によって分割された所定数の前記TSパケットを格納したIPパケットを生成して送信するIP変換部とを備え、前記TLV分割部は、前記分割処理において、前記TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットの一部または全部を前記TSパケットに格納しないヌルデータ処理を行い、前記IP変換部は、前記ヌルデータ処理が行われた場合、前記ヌルデータ処理より前に前記TLV分割部によって分割された前記TSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて前記所定数とした前記IPパケットを生成して送信する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する構成により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する構成により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送受信装置における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
(2)好ましくは、1つの前記TLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納される際、分割される各データの間へのヌルデータの挿入が許容されない。
このような構成により、TLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納され、分割された各データ間へのヌルデータの挿入が許容されない処理において、送信データ量の低減、ならびにTLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送受信装置における伝送遅延時間の揺らぎの抑制を実現することができる。
(3)好ましくは、前記TLV分割部は、前記分割処理において、前記所定長以上の前記TLVヌルパケットの前のTLVパケットのデータが格納されるTSパケットの末尾側に前記TLVヌルパケットの一部または全部を格納する。
このような構成により、TLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納され、当該TSパケットの末尾側にヌルデータが格納されることが許容される処理において、送信データ量の低減、ならびにTLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送受信装置における伝送遅延時間の揺らぎの抑制を実現することができる。
(4)本発明の実施の形態に係る放送再送信装置は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる放送再送信装置であって、放送波に含まれるストリームを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記ストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成した前記TSパケットを格納したIPパケットであって所定数の前記TSパケットを格納したIPパケットを生成して送信するパケット処理部とを備え、前記パケット処理部は、前記分割処理において、前記TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットのデータの前記TSパケットへの格納を抑制するヌルデータ処理を行い、前記パケット処理部は、前記ストリームのデータの前記放送再送信装置における遅延時間の揺らぎが所定値以下となるように、前記ヌルデータ処理より前に生成した前記TSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて前記所定数とした前記IPパケットを生成して送信する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する構成により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する構成により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送受信装置における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
(5)本発明の実施の形態に係る放送再送信方法は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる放送再送信装置における放送再送信方法であって、放送波に含まれるストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行うステップと、生成した前記TSパケットを格納したIPパケットであって所定数の前記TSパケットを格納したIPパケットを生成して送信するステップとを含み、前記分割処理を行うステップにおいては、前記TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットの一部または全部を前記TSパケットに格納しないヌルデータ処理を行い、前記IPパケットを送信するステップにおいては、前記ヌルデータ処理が行われた場合、前記ヌルデータ処理より前に前記分割処理によって生成した前記TSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて前記所定数とした前記IPパケットを生成して送信する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する方法により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する方法により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送受信装置における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
(6)本発明の実施の形態に係る放送再送信方法は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる放送再送信装置における放送再送信方法であって、放送波に含まれるストリームを取得するステップと、取得した前記ストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成した前記TSパケットを格納したIPパケットであって所定数の前記TSパケットを格納したIPパケットを生成して送信するステップとを含み、前記IPパケットを送信するステップにおいては、前記分割処理において、前記TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットのデータの前記TSパケットへの格納を抑制するヌルデータ処理を行い、前記ストリームのデータの前記放送再送信装置における遅延時間の揺らぎが所定値以下となるように、前記ヌルデータ処理より前に生成した前記TSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて前記所定数とした前記IPパケットを生成する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する方法により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する方法により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送受信装置における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
図1は、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、放送再送信システム301は、放送再送信装置101と、複数のIP放送受信装置202とを備える。
なお、放送再送信システム301は、複数のIP放送受信装置202を備える構成に限らず、1つのIP放送受信装置202を備える構成であってもよい。
放送再送信装置101およびルータ121は、たとえば、IPTVセンター251に設けられる。
ONU(Optical Network Unit)122、STB131、TV受像機132およびTVモニタ133は、加入者宅に設けられる。STB131およびTV受像機132は、IP放送受信装置202を含む。
放送再送信装置101には、たとえば、外部アンテナ81が接続されている。放送再送信装置101は、たとえばストリームを含む放送波を受信する。
ストリームは、番組の情報等を含む。番組の情報は、たとえば、音声情報、映像情報、EPG(Electronic Program Guide)情報、SI情報(Service Information)および字幕情報等を含む。
音声情報および映像情報は、たとえば、所定の方式に従って、圧縮および暗号化が施されている。
放送再送信装置101は、たとえば、放送局からのストリームを中継するための、図示しない高度広帯域衛星デジタル放送用の放送衛星から送信された放送波を外部アンテナ81経由で受信する。
なお、放送再送信装置101は、たとえば、電波塔から送信された放送波を外部アンテナ81経由で受信してもよい。
図2は、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムにおいて、放送波によって伝送されるデータのプロトコルスタックの一例を示す図である。図2では、TLVパケットを用いるプロトコルスタックが示されている。
図2を参照して、TLVパケットは、たとえば、2160pまたは4320p等の規格に従う、4K UHDTV(Ultra High Definition Television)または8K UHDTV等の送信に用いられることが多い。
図2に示す例では、放送波は、たとえば、TMCC情報、AC情報およびTLVパケットを含む。
図3は、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムにおいて、放送波によって伝送されるTLVパケットの一例を示す図である。図3には、データ種別を示す情報が格納されたヘッダを有するパケットの一例である、非特許文献2(International Telecommunication Union Radiocommunications Sector、”Recommendation ITU−R BT.1869”、2010年3月、[online]、[平成29年10月12日検索]、インターネット〈URL:http://www.itu.int/dms_pubrec/itu−r/rec/bt/R−REC−BT.1869−0−201003−I!!PDF−E.pdf〉)の規格に従うTLVパケットのフォーマットが示されている。
TLVパケットは、TLVヘッダと、TLVペイロードとを含む。TLVヘッダは、「01」の値が格納された「スタートコード」のフィールド、「将来予約」のフィールド、「パケットタイプ」のフィールド、および「長さ」のフィールドを含み、これらのフィールドの長さは、それぞれ2ビット、6ビット、8ビットおよび16ビットである。
「パケットタイプ」のフィールドには、「0x01」、「0x02」、「0x03」または「0xFF」等の値が格納される。ここで、「0x」で始まる数字は、「0x」以降の数字が16進数で表されていることを意味する。
「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0x01」が格納される場合、TLVパケット61は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるIPv4パケットを含む。
また、「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0x02」が格納される場合、TLVパケット62は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるIPv6パケットを含む。
また、「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0x03」が格納される場合、TLVパケット63は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるIPパケットを含む。圧縮IPパケットは、たとえばIPヘッダが圧縮されたIPパケットである。
また、「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0xFF」が格納される場合、TLVパケット64は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるヌルデータを含む。以下、TLVペイロードにおいてヌルデータを含むTLVパケットを、TLVヌルパケットとも称する。
再び図2を参照して、たとえば、時刻同期用のNTP(Network Time Protocol)データ、IP−SIデータ、時刻情報、MMTパケット、またはデータ伝送方式は、UDP(User Datagram Protocol)/IPパケットに格納される。MMTパケットには、映像情報、音声情報、MMT−SIデータ、および他の情報が格納される。
TLVパケット61〜63(以下、TLV情報パケットとも称する。)は、このようなUDP/IPパケットを格納する。
図4は、放送波によって伝送されるデータのプロトコルスタックの他の例を示す図である。図4では、TS(Transport Stream)パケットを用いるプロトコルスタックが示されている。
図4を参照して、TSパケットは、たとえば、1080i、720pまたは480p等の規格に従う、HDTVまたはSDTV(Standard Definition Television)等の送信に用いられることが多い。なお、TSパケットは、4K UHDTVまたは8K UHDTV等の送信に用いられることもある。
図4に示す例では、放送波は、たとえば、TMCC情報、AC情報およびTSパケットを含む。
図5は、放送波によって伝送されるTSパケットの一例を示す図である。図5には、TSパケットのフォーマットが示されている。
TSパケットは、TSヘッダと、TSペイロードとを含む。TSヘッダは、「0x47」の値が格納された「同期バイト」のフィールドおよび「PID(Packet ID)等」を格納するためのフィールドを含み、これらのフィールドの長さは、それぞれたとえば1オクテットおよび3オクテットである。TSペイロードは、たとえば、PES(Packetized Elementary Stream)の全部もしくは一部、またはセクションの全部もしくは一部を格納するための「ペイロード」のフィールドを含む。このフィールドの長さは、たとえば184オクテットである。
再び図4を参照して、PCR(Program Clock Reference)データは、たとえばTSパケットに格納される。また、たとえば、映像情報、音声情報、字幕情報およびタイムラインは、PESパケットに格納される。
また、たとえば、PSI−SIデータ、およびAIT(Application Information Table)の一部はセクションに含まれる。また、データカルーセル方式で伝送される、AITの残り、アプリHTMLSおよびコンテンツダウンロードは、セクションに含まれる。
再び図1を参照して、放送再送信装置101は、放送波から番組の情報を取得し、取得した番組の情報をIPパケットに格納する。そして、放送再送信装置101は、番組の情報を含むIPパケット(以下、配信用IPパケットとも称する。)を各加入者宅へ送信する。
ここでは、放送再送信装置101は、たとえば、配信用IPパケットの宛先を、複数の加入者宅へ到達するようなIPマルチキャストアドレスに設定してルータ121へ送信する。
ルータ121は、たとえば、IPマルチキャストルータであり、放送再送信装置101から配信用IPパケットを受信すると、受信した配信用IPパケットを、通信回線の一例であるIPTV伝送網(CDN:Content Delivery Network)451へ送信する。IPTV伝送網451では、たとえば、IPプロトコルに従って、配信用IPパケットが伝送される。なお、通信回線は、インターネット等の他の通信回線であってもよい。
また、IPTVセンター251には、ルータ121の代わりにOLT(Optical Line Terminal)が設けられてもよい。
ONU122は、たとえば、FTTH(Fiber To The Home)の通信サービスにより放送再送信装置101から伝送される配信用IPパケットを受信する。
より詳細には、ONU122は、たとえば、GPON(Gigabit Passive Optical Network)およびGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標)−PON)等における宅側装置である。
ONU122は、光通信回線経由でIPTV伝送網451から配信用IPパケットを受信すると、受信した配信用IPパケットをSTB131およびTV受像機132へ送信する。
STB131におけるIP放送受信装置202は、ONU122から配信用IPパケットを受信すると、受信した配信用IPパケットから番組の情報を取得し、取得した番組の情報に基づいて音声情報および映像情報をデコードし、デコード後の音声情報および映像情報をTVモニタ133へ送信する。
TVモニタ133は、STB131から受信した音声情報および映像情報に基づいて番組を再生する。
また、TV受像機132におけるIP放送受信装置202は、同様にデコードした音声情報および映像情報を用いて、自己のTV受像機132におけるスピーカモジュールおよびディスプレイモジュールにおいて番組を再生する。
ここで、放送波では、当該放送波の送出装置に合わせて固定ビットレートにするために、ビットレート調整用のTLVヌルパケット(図3参照)が挿入されている。このため、放送波においてTLVパケットによって伝送されるデータ量は、番組の情報のデータ量に比べて増加している。
IP再送信サービスでは、放送波と異なり帯域を専有できないので、伝送するデータ量が少ないことが求められる。
そこで、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムでは、以下のような構成および動作により、上記問題を解決する。
図6は、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムにおける放送再送信装置の構成を示す図である。
図6を参照して、放送再送信装置101は、復調部(取得部)11と、TLV分割部12と、IP変換部13と、高確度発振器15と、カウンタ16と、NTPパケット取得部17と、換算部18とを備える。TLV分割部12は、削除部21と、TS化部22とを含む。IP変換部13は、TTS化部23と、ブロック化部24と、IPパケット化部25と、IP送信部26とを含む。
TLV分割部12およびIP変換部13は、パケット処理部として、復調部11によって取得されたストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成したTSパケットを格納したIPパケットであって所定数のTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。
すなわち、TLV分割部12は、放送波に含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行う。
IP変換部13は、TLV分割部12によって分割された所定数のTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。図6に示す例では、IP変換部13は、TSパケットに基づくTTSパケットをIPパケットに格納して送信する。
放送再送信装置101において、高確度発振器15は、たとえば、送信側基準クロックを生成する。より詳細には、高確度発振器15は、たとえば、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波に含まれる時刻情報に同期した、27メガヘルツの高精度なクロックパルスを生成する発振器である。高確度発振器15は、生成したクロックパルスをカウンタ16へ出力する。
なお、高確度発振器15は、OCXO(Oven Controlled Oscillator)およびルビジウム発振器等を用いて高精度なクロックパルスを生成する構成であってもよい。
カウンタ16は、たとえば、高確度発振器15において生成された送信側基準クロックのタイミングに従って、送信側カウント値を更新する。
より詳細には、カウンタ16は、高確度発振器15からのクロックパルスをカウントし、カウントした値である送信側カウント値を保持する。
送信側カウント値は、たとえば、協定世界時を27メガヘルツの精度で表すことが可能である。
放送再送信システム301における放送波は、たとえば、上述のTLVヌルパケット、番組の情報を含むTLVパケットであるTLV番組パケット、および協定世界時を用いて装置間における時刻合わせを行うための時刻合わせ情報等を含み、かつMMT方式に従う。NTPデータは、時刻合わせ情報の一例である。
復調部11は、放送波に含まれるストリームを取得する。より詳細には、復調部11は、放送波を受信し、受信した放送波を復調することによりTLVヌルパケット、TLV番組パケット、および時刻合わせ情報等を含むストリームを生成する。
より詳細には、復調部11は、放送波を外部アンテナ81経由で受信して、受信した放送波を復調することにより、複数のTLVパケットによって構成されるストリームを生成し、TLV分割部12およびNTPパケット取得部17へ出力する。ストリームでは、たとえば、33ミリ秒ごとにNTPデータが伝送される。
TLV分割部12は、復調部11から受けたストリームに含まれるTLVパケットを分割して固定長の複数の分割パケットを生成する。
NTPパケット取得部17は、復調部11からストリームを受けて、受けたストリームからNTPデータを含むIPパケット(以下、NTPパケットとも称する。)を取得し、取得したNTPパケットを換算部18へ出力する。
換算部18は、たとえば、放送波に含まれるNTPデータを用いて、カウンタ16に対して時刻合わせを行う。
より詳細には、換算部18は、NTPパケット取得部17からNTPパケットを受けて、受けたNTPパケットに含まれるNTPデータからNTP長形式の協定世界時(Coordinated Universal Time:UTC)を取得する。
NTP長形式は、秒単位を示す32ビットのフィールドと、1秒以下を示す32ビットのフィールドとを有する。
換算部18は、NTP長形式の協定世界時を送信側カウント値に換算するための式(以下、送信側換算式とも称する。)を保持している。
送信側カウント値に基づく時刻と協定世界時とのずれは、たとえば、500ナノ秒程度まで許容可能である。送信側カウント値の1カウントは、約37ナノ秒に相当するので、送信側カウント値が10カウント程度ふらついても、許容範囲に収まる。
たとえば、高確度発振器15の周波数確度が1ppmである場合、約37ミリ秒ごとに送信側カウント値が1カウントずれると考えられるので、NTPデータ10個分、すなわち330ミリ秒ごとに送信側カウント値を校正すれば、送信側カウント値に基づく時刻を十分な精度で協定世界時に同期させることができる。
この例では、換算部18は、NTPパケット取得部17からNTPパケットを受けるごとに、すなわち33ミリ秒ごとに、送信側換算式を用いて協定世界時を送信側カウント値へ変換し、変換後の送信側カウント値をカウンタ16にセットする。
TLV分割部12において、削除部21は、復調部11によって生成されたストリームからTLVヌルパケットを削除する。
より詳細には、削除部21は、復調部11から受けるストリームを監視し、TLVヘッダにおけるスタートコードの検出を試みる(図3参照)。
削除部21は、スタートコードを検出すると、当該スタートコードの後方のパケットタイプのフィールドに格納された値を確認する。
削除部21は、上記フィールドに格納された値が0xFFである場合、当該スタートコードを含むTLVパケットがTLVヌルパケットであると判断し、ストリームから当該TLVパケットを削除する。
一方、削除部21は、上記フィールドに格納された値が0xFF以外の値である場合、当該スタートコードを含むTLVパケットがTLVヌルパケットでないと判断し、当該TLVパケットをTS化部22へ出力する。
図7は、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置において行われるTLVパケットの分割方法の一例を示す図である。
図7には、非特許文献3(”JCTEA STD−002−6.0 デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置”、一般社団法人 日本CATV技術協会)に記載された、TLVパケットを複数のTSパケットに格納する方法が示されている。
図8は、図7に示すTSパケットのフォーマットの一例を示す図である。
図6〜図8を参照して、TS化部22は、ストリームに含まれるTLVパケットが分割されたデータをそれぞれ含む、所定サイズを有する複数の固定パケットを生成する。ここで、TSパケットは、188バイトのサイズを有し、固定パケットの一例である。
より詳細には、TS化部22は、たとえば、未格納データを保持するためのバッファを有する。
TS化部22は、たとえば、バッファに未格納データが保存されていない場合において、削除部21からTLVパケット1(図7参照)を受けると、たとえば、受けたTLVパケット1の先頭から184バイトまでのデータを分割データとして取得する。
TS化部22は、取得した分割データに、3バイトのTSヘッダ、および、TLVヘッダが存在する場合には1バイトの先頭TLV指示を付加することで、分割データがペイロードに格納されたTSパケット(以下、TLV格納TSパケットとも称する。)を生成し、生成したTLV格納TSパケットをTTS化部23へ出力する。
同様に、TS化部22は、TLVパケット1の残りのデータの先頭から185バイトのデータを分割データとして取得するごとに、TLV格納TSパケットを生成してTTS化部23へ出力する。
また、TS化部22は、取得したデータのサイズが185バイトに満たない場合、取得したデータを未格納データとしてバッファに保存する。
そして、TS化部22は、後続のTLVパケット2(図7参照)を削除部21から受けると、バッファに未格納データが保存されているので、184バイトから未格納データのサイズを差し引いたサイズのデータを、TLVパケット2の先頭から取得する。
TS化部22は、取得したデータの先頭に未格納データを付加し、先頭TLV指示およびTLVパケット2のデータを配置して分割データを生成した後、バッファにおける上記未格納データを破棄する。
TS化部22は、生成した分割データにTSヘッダを付加してTLV格納TSパケットを生成し、生成したTLV格納TSパケットをTTS化部23へ出力する。
このように、TSパケットを用いる構成により、MPEG2−TSの技術体系で活用した、TSoverIPの記録装置、測定装置および監視装置等を利用することができる。
図6を参照して、TTS化部23は、たとえば、TLV格納TSパケットの送信タイミングを示す送信時刻情報を当該TLV格納TSパケットに付加する。
詳細には、TTS化部23は、TLV格納TSパケットの送信タイミングを送信側カウント値によって示す送信時刻情報を当該TLV格納TSパケットに付加する。
より詳細には、TTS化部23は、TS化部22からTLV格納TSパケットを受けると、カウンタ16から送信側カウント値を取得し、取得した送信側カウント値を、当該TLV格納TSパケットのTSヘッダの前にタイムスタンプとして付加する。
以下、タイムスタンプが付加されたTLV格納TSパケットを、TLV格納TTS(Time−stamped TS)パケットとも称する。
タイムスタンプのサイズは、所定の大きさ、たとえば4バイトである。したがって、TLV格納TTSパケットのサイズは、固定長の192バイトである。
TTS化部23は、生成したTLV格納TTSパケットをブロック化部24へ出力する。
ブロック化部24は、TTS化部23から受けたTLV格納TTSパケットを所定数蓄積する。ブロック化部24は、TLV格納TTSパケットが所定数蓄積されるまで待機する。
より詳細には、MTUサイズとして、たとえば1500バイトがよく用いられており、この場合、7つのTLV格納TTSパケットを1つのIPパケットで一括伝送すると、IPTV伝送網451における伝送効率を高めることができる。
この例では、ブロック化部24は、7つのTLV格納TTSパケットを蓄積した後、これら7つのTLV格納TTSパケットを1つのブロックデータとしてIPパケット化部25へ出力する。TTSパケットが格納される構成により、複数のTSパケットを1つのIPパケットに格納しても、IPパケットの受信側において各TSパケットのタイミングを容易に認識することができる。
なお、ブロック化部24は、ブロックデータに基づいて、たとえば、SMPTE 2022規格(pro MPEG COP3)に従って、前方誤り訂正用のFEC(Forward Error Correction)パケットを追加のブロックデータとして追加するFEC処理を行ってもよい。
IPパケット化部25は、ブロック化部24からブロックデータを受けると、受けたブロックデータに、たとえば、RTP(Real−time Transport Protocol)ヘッダ、UDP(User Datagram Protocol)ヘッダおよびIPヘッダを付加することによりIPパケットすなわち配信用IPパケットを生成する。
IPヘッダにおける宛先のIPマルチキャストアドレス、およびUDPヘッダにおける宛先ポート番号は、事業者において任意の値を設定することが可能である。IPパケット化部25は、生成した配信用IPパケットをIP送信部26へ出力する。
IP送信部26は、削除部21によってTLVヌルパケットが削除されたストリームをIPTV伝送網451経由でIP放送受信装置202へ送信する。
より詳細には、IP送信部26は、IPパケット化部25から受けた配信用IPパケットをルータ121へ送信する。
ここで、TLV分割部12およびIP変換部13は、分割処理において、TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、当該TLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制するヌルデータ処理を行う。
そして、TLV分割部12およびIP変換部13は、ストリームのデータの放送再送信装置101における遅延時間の揺らぎが所定値以下となるように、ヌルデータ処理より前に生成したTSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて上記所定数としたIPパケットを生成して送信する。
具体的には、放送再送信装置101は、復調部11から受けたストリームにTLVヌルパケットが含まれていない場合、図7および図8を用いて説明した方法により、TLVパケットを分割してTLV格納TSパケットを生成し、これに基づくTLV格納TTSパケットを生成する。そして、放送再送信装置101は、7つのTLV格納TTSパケットが格納された配信用IPパケットを生成し、IPTV伝送網451経由でIP放送受信装置202へ送信する。
一方、放送再送信装置101は、復調部11から受けたストリームにTLVヌルパケットが含まれている場合、上記方法とともに、以下のような方法により配信用IPパケットを生成する。
図9は、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置によるTLVヌルパケットの処理方法の一例を示す図である。図9では、入力ストリームおよび出力ストリームの時間軸は合わせておらず、データの対応関係に着目した処理のイメージを示している。
TLV分割部12は、分割処理において、TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、TLVヌルパケットの一部または全部をTSパケットに格納しないヌルデータ処理を行う。たとえば、TLV分割部12は、TLVヌルパケットのデータの一部または全部をTSパケットに格納せずに廃棄するヌルデータ処理を行う。
また、たとえば、TLV分割部12は、分割処理において、上記所定長以上のTLVヌルパケットの前のTLVパケットのデータが格納されるTSパケットの末尾側にTLVヌルパケットの一部または全部を格納する。
また、たとえば、TLV分割部12は、分割処理において、TLVパケットが上記所定長未満のTLVヌルパケットである場合、TLVヌルパケットを削除する。
すなわち、放送再送信システム301では、1つのTLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納される際、分割される各データの間へのヌルデータの挿入が許容されず、また、TSパケットの末尾側にヌルデータが格納されることが許容される。
具体的には、図9を参照して、TLV分割部12は、たとえば、通常のTLVパケットA、TLVヌルパケット1、通常のTLVパケットB、TLVヌルパケット2、および通常のTLVパケットCをこの順番で含むストリームを復調部11から受けたとする。通常のTLVパケットは、たとえば上述のTLV情報パケットである。
たとえば、通常のTLVパケットのデータ長は最大で1.5kバイト程度であり、TLVヌルパケットのデータ長は最大で5kバイト程度である。
図9に示す例において、放送再送信装置101における削除部21は、復調部11から受けたストリームからTLVヌルパケット1,2を削除し、削除後のストリームをTS化部22へ出力する。
ここで、削除部21は、TLVヌルパケット2のデータ長が所定の閾値より大きいことから、削除通知をTS化部22およびブロック化部24へ出力する。
上述のように、TS化部22は、TLVヘッダが含まれるか否かに応じて184バイトまたは185バイトのデータを分割データとしてTLVパケットから取得し、取得した分割データがペイロードに格納されたTSパケットを生成する。
一方、上述のように、TS化部22は、TLVパケットから取得したデータのサイズが184バイトまたは185バイトに満たない場合、当該データの後ろに、後続のTLVパケットから取得したデータを付加して分割データを生成し、TSパケットを生成する。
図9に示す例において、TS化部22は、削除部21からストリームを受けて、TLVパケットAから取得したデータA1が格納されたTSパケットA1を生成し、TLVパケットAの残りのデータA2、およびTLVパケットBから取得したデータB1が格納されたTSパケット(A2+B1)を生成し、TLVパケットBの残りのデータの一部であるデータB2が格納されたTSパケットB2を生成する。
次に、TS化部22は、TLVパケットBの残りのデータであるデータB3が185バイトに満たない状況において、TLVパケットBの次のTLVヌルパケット2について削除部21から削除通知を受けていることから、TS終端処理を行う。
すなわち、TLV分割部12は、分割処理において、上記所定長以上のTLVヌルパケットのデータが格納されるTSパケットの残り領域がTLVヌルパケットのヘッダ長以下である場合、TSパケットの次のTSパケットとしてTLVヌルパケットのヌルデータを含むTSパケットを追加する。
より詳細には、TS化部22は、データB3が格納されるTSパケットのペイロードの残データ長が所定の閾値以上、すなわちTLVヌルパケットの形式のデータを保存可能な値である場合、残データ長分のTLVヌルパケットをデータB3の後ろに付加して分割データを生成し、TSパケットB3を生成する。具体的には、たとえば、上述のようにTLVヘッダのデータ長が4バイトである場合、当該閾値は5バイトとなる。
一方、TS化部22は、データB3が格納されるTSパケットのペイロードの残データ長が不足し、TLVヌルパケットの形式のデータを保存できない場合、TLVヌルパケットのヘッダの一部または全部をデータB3の後ろに付加して分割データを生成し、TSパケットB3を生成する。また、TS化部22は、TLVヌルパケットのヘッダの残りおよびヌルデータにより構成されるか、またはヌルデータのみで構成される分割データを生成し、TSパケットN1を生成する。
このように、TLVヌルパケットの形式のデータを最大2つのTSパケットに格納する構成により、IP放送受信装置202においてTLVヌルパケットを認識できないためにエラーが生じることを防ぐことができる。
次に、TS化部22は、削除部21からストリームを受けて、TLVパケットCから取得したデータC1が格納されたTSパケットC1を生成し、TLVパケットCの残りのデータC2とともに格納すべき次のTLVパケットを待つ。
IP変換部13は、ヌルデータ処理が行われた場合、ヌルデータ処理より前にTLV分割部12によって分割されたTSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて上記所定数としたIPパケットを生成して送信する。
具体的には、ブロック化部24は、たとえば、新たなブロックデータを生成する状況において、TTSパケットA1、TTSパケット(A2+B1)、TTSパケットB2およびTTSパケットB3をTTS化部23から受けたか、またはこれらに加えてTTSパケットN1を受けた場合、TLVパケットBの次のTLVヌルパケット2について削除部21から削除通知を受けていることから、IP強制送信処理を行う。
すなわち、ブロック化部24は、7つのTLV格納TTSパケットが蓄積されるまで待つことなく、蓄積しているTLV格納TTSパケットと合わせて7つのパケットとなるように、TLVヌルパケットが格納された1または複数のTLV格納TTSパケットを生成する。そして、ブロック化部24は、生成したTTSパケットを含む7つのTLV格納TTSパケットを1つのブロックデータとしてIPパケット化部25へ出力する。
なお、ブロック化部24は、TLVヌルパケットを新たに生成する構成に限らず、たとえば削除部21がTLVヌルパケット以外のTLVパケットを選択的にTS化部22へ出力し、ブロック化部24が、削除部21においてスキップされたTLVヌルパケットを削除部21から取得して用いる構成であってもよい。
そして、ブロック化部24は、TTS化部23からTTSパケットC1を受けて、TTSパケットC1を新たなブロックデータの先頭、すなわち次のIPパケットに格納される先頭のパケットとして蓄積する。
すなわち、IP変換部13は、上記所定長以上のTLVヌルパケットの後のTLVパケットのデータを、次のIPパケットの1番目に格納すべきTSパケットのデータとする。
図10は、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置が送信するIPパケットの一例を示す図である。
図10を参照して、IPパケット化部25は、TS化部22によって生成された各TSパケットに基づくTTSパケットA1、TTSパケット(A2+B1)、TTSパケットB2、およびTTSパケットB3、ならびにブロック化部24によって生成されたTTSパケットN11〜N13をペイロードに格納し、IPヘッダ、UDPヘッダおよびRTPヘッダを付加したIPパケットを生成する。
なお、TTSパケットN11は、ブロック化部24によって新たに作成されるか、または上述のTSパケットN1から作成されるパケットである。
以上のように、放送再送信装置101では、データ長の小さいTLVヌルパケットは削除し、データ長の大きいTLVヌルパケットについては、TLVヘッダを含むヌルデータの一部を用いて分割データの生成におけるデータの不足分を補い、残りのヌルデータを削除し、さらに、IPパケットの送信が次の通常のTLVパケット待ちとなる場合、IPパケットに格納されるTTSパケットの数を、TLVヌルパケットが格納されたTTSパケットの付加により7つにしてIPパケットを送信する。
このように、TLVヌルパケットを削除する構成により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。
また、データ長の大きいTLVヌルパケットを削除した場合に、TLVヌルパケットが格納されたTTSパケットを付加し、次の通常のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する構成により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置であるIP放送受信装置202におけるバッファ量を削減することができる。
また、データ長の小さいTLVヌルパケットについては、TS終端処理、およびTLVヌルパケットが格納されたTTSパケットの付加を行うことなく単純に削除する構成により、処理負荷の低減とストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎの抑制との良好なバランスを実現することができる。
[動作の流れ]
放送再送信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図11は、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムにおける放送再送信装置が放送波を再送信する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図11を参照して、まず、放送再送信装置101は、放送波を受信し、受信した放送波に含まれる可変長のTLVパケットを取得する(ステップS1)。
次に、放送再送信装置101は、取得したTLVパケットを分割して固定長の複数の分割パケットを生成する。すなわち、放送再送信装置101は、放送波に含まれる1または複数のTLVパケットのデータを分割して格納した固定長の複数の分割パケットを生成する(ステップS2)。
次に、放送再送信装置101は、TLVパケットのデータを格納したIPパケットを生成して送信する。より詳細には、放送再送信装置101は、生成した所定数の分割パケットを格納したIPパケットを生成し(ステップS3)、IPTV伝送網451へ送信する(ステップS4)。
図12は、本発明の実施の形態に係る放送再送信システムにおける放送再送信装置がTLVヌルパケットを処理する際の動作手順を定めたフローチャートである。図12は、図11に示すフローチャートのステップS2およびS3の動作の詳細動作の一部に相当する。
図12を参照して、まず、放送再送信装置101は、放送波に含まれるストリームを取得し、ストリームに含まれるTLVヌルパケットを取得する(ステップS11)。
次に、放送再送信装置101は、取得したTLVヌルパケットのデータ長が所定の閾値以下である場合(ステップS12でYES)、当該TLVヌルパケットを単純に削除し、次のTLVパケットの取得まで待機する(ステップS13)。
この閾値を適切な値に設定することにより、上述のような、処理負荷の低減とストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎの抑制との良好なバランスを実現することができる。
次に、放送再送信装置101は、通常のTLVパケットを取得すると、取得したTLVパケットを分割してTS化する、すなわち分割したデータが格納された1または複数のTLV格納TSパケットを生成する(ステップS14)。
一方、放送再送信装置101は、取得したTLVヌルパケットのデータ長が所定の閾値より大きい場合(ステップS12でNO)、TLVヌルパケットの1つ前のTLVパケットのデータに対応するTSパケットの終端処理を開始する(ステップS15)。
すなわち、放送再送信装置101は、当該TSパケットのペイロードの残データ長が5バイト以上である場合(ステップS16でNO)、TLVヌルパケットの形式のデータを保存可能であることから、当該TSパケットで終端する、すなわちTLVヌルパケットを含めて分割データを生成し、TSパケットを生成する(ステップS18)。
一方、放送再送信装置101は、当該TSパケットのペイロードの残データ長が4バイト以下である場合(ステップS16でYES)、TLVヌルパケットの形式のデータを保存できないことから、次のTSパケットで終端する、すなわちTLVヌルパケットのヘッダの一部または全部を含めて分割データを生成し、TSパケットを生成するとともに、TLVヌルパケットのヘッダの残りおよびヌルデータにより構成されるか、またはヌルデータのみで構成される分割データを生成し、TSパケットを生成する(ステップS17)。
次に、放送再送信装置101は、7つのTTSパケットになるようにヌルデータで埋めてIPパケットを送出する。より詳細には、放送再送信装置101は、7つのTLV格納TTSパケットが蓄積されるまで待つことなく、終端したTTSパケットを含む複数のTTSパケットと合わせて7つのパケットとなるように、TLVヌルパケットが格納された1または複数のTTSパケットを生成し、7つのTTSパケットをIPパケットに格納してIPTV伝送網451経由でIP放送受信装置202へ送信する(ステップS19)。
次に、放送再送信装置101は、TLVヌルパケットの次のTLVパケットのデータをTSパケットの先頭に格納する、すなわち次に送信するIPパケットのペイロードの先頭に当該データを格納する(ステップS20)。
なお、TS化部22は、データ長が所定の閾値より大きいTLVヌルパケットの1つ前のTLVパケットのデータに対応するTSパケットの残データ長がゼロである場合、具体的には、たとえば、図9に示すデータB3が格納されるTSパケットのペイロードの残データ長がゼロであると仮定した場合、必要がないのでTS終端処理は行わない。この場合、当該TLVヌルパケットのデータはすべて削除される。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、削除部21は、TLVヌルパケットのデータ長に関わらずTLVヌルパケットを削除する構成であるとしたが、これに限定するものではない。削除部21は、TLVヌルパケットのデータ長が所定の閾値未満である場合、TLVヌルパケットを削除しない構成であってもよい。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置は、復調部11を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。復調部11が放送再送信装置101の外部に設けられ、放送再送信装置101は、上記ストリームを外部の復調部11から取得する取得部を備える構成であってもよい。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置は、TLV格納TSパケットにタイムスタンプを付加する構成であるとしたが、これに限定するものではない。放送再送信装置101は、TLV格納TSパケットにタイムスタンプを付加せずにIPパケットに含めて送信する構成であってもよい。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置は、27メガヘルツの高確度発振器15と、カウンタ16との組を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。放送再送信装置101は、27メガヘルツ以外の周波数のクロックパルスを生成する発振器、たとえば、非特許文献1に記載の2^nヘルツVCO等と、カウンタとの組を備える構成であってもよい。ここで、「a^b」は、yのx乗を意味する。しかしながら、2^nヘルツVCOと、対応のカウンタとの組を搭載する放送再送信装置はあまり流通していない一方で、27メガヘルツの発振器と、カウンタ16との組は、MPEG2−TS方式用にモジュール化されて広く流通している。このため、27メガヘルツの高確度発振器15と、カウンタ16との組を備える構成が好ましい。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、高確度発振器15は、GPS衛星から送信される電波に含まれる時刻情報に同期する構成であるとしたが、これに限定するものではない。高確度発振器15は、NTPパケットを用いて、協定世界時と送信側カウント値との差を高確度発振器15にフィードバックすることにより、高確度発振器15を27メガヘルツに同期させる構成であってもよい。このフィードバックには、たとえば、アナログPLL(Phase Locked Loop)回路および各種デジタルクロック・シンセサイザの制御等を用いる。
ところで、たとえば、高度広帯域衛星デジタル放送を、IPTV伝送網を介して加入者宅へ送信するIP再送信サービスを行う場合、MMTパケットを含む放送波を受信し、受信したMMTパケットを加入者宅における宅内装置へ再送信する構成が考えられる。このような再送信を行うための優れた技術が望まれる。
これに対して、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、TLV分割部12は、放送波に含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行う。IP変換部13は、TLV分割部12によって分割された所定数のTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。TLV分割部12は、分割処理において、TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、TLVヌルパケットの一部または全部をTSパケットに格納しないヌルデータ処理を行う。IP変換部13は、ヌルデータ処理が行われた場合、ヌルデータ処理より前にTLV分割部12によって分割されたTSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて上記所定数としたIPパケットを生成して送信する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する構成により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。
また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する構成により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、1つのTLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納される際、分割される各データの間へのヌルデータの挿入が許容されない。
このような構成により、TLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納され、分割された各データ間へのヌルデータの挿入が許容されない処理において、送信データ量の低減、ならびにTLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎの抑制を実現することができる。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、TLV分割部12は、分割処理において、上記所定長以上のTLVヌルパケットの前のTLVパケットのデータが格納されるTSパケットの末尾側にTLVヌルパケットの一部または全部を格納する。
このような構成により、TLVパケットのデータが複数のTSパケットに分割されて格納され、当該TSパケットの末尾側にヌルデータが格納されることが許容される処理において、送信データ量の低減、ならびにTLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎの抑制を実現することができる。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、復調部11は、放送波に含まれるストリームを取得する。TLV分割部12およびIP変換部13は、パケット処理部として、復調部11によって取得されたストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成したTSパケットを格納したIPパケットであって所定数のTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。また、TLV分割部12およびIP変換部13は、分割処理において、TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、当該TLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制するヌルデータ処理を行う。そして、TLV分割部12およびIP変換部13は、ストリームのデータの放送再送信装置101における遅延時間の揺らぎが所定値以下となるように、ヌルデータ処理より前に生成したTSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて上記所定数としたIPパケットを生成して送信する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する構成により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。
また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する構成により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る放送再送信装置では、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信方法では、まず、放送波に含まれるストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行う。次に、生成したTSパケットを格納したIPパケットであって所定数のTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。そして、分割処理を行う際、TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、TLVヌルパケットの一部または全部をTSパケットに格納しないヌルデータ処理を行う。IPパケットを送信する際、ヌルデータ処理が行われた場合、ヌルデータ処理より前に分割処理によって生成したTSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて上記所定数としたIPパケットを生成して送信する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する方法により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。
また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する方法により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る放送再送信方法では、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る放送再送信方法では、まず、放送波に含まれるストリームを取得する。次に、取得したストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成したTSパケットを格納したIPパケットであって所定数のTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。IPパケットを送信する際、分割処理において、TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、当該TLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制するヌルデータ処理を行い、そして、ストリームのデータの放送再送信装置101における遅延時間の揺らぎが所定値以下となるように、ヌルデータ処理より前に生成したTSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて上記所定数としたIPパケットを生成する。
このように、所定長以上のTLVヌルパケットのデータのTSパケットへの格納を抑制する方法により、たとえば、放送波におけるTLVパケットをそのままインターネット等の通信回線経由で送信する場合と比べて、送信データ量を減らすことができるので、通信回線における通信トラフィックを低減することができる。
また、ヌルパケットであるTSパケットを付加し、次のTLVパケットを待つことなく早期にIPパケットを送信する方法により、TLVヌルパケットの削除に起因するストリーム伝送の遅延および放送再送信装置101における伝送遅延時間の揺らぎを抑制することができる。これにより、たとえば、受信側の装置におけるバッファ量を削減することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る放送再送信方法では、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する構成において、優れたデータ処理を行うことができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる放送再送信装置であって、
放送波に含まれる1または複数のTLV(Type Length Value)パケットのデータが分割されて格納された複数のTS(Transport Stream)パケットを生成する分割処理を行うTLV分割部と、
前記TLV分割部によって分割された所定数の前記TSパケットを格納したIPパケットを生成して送信するIP変換部とを備え、
前記TLV分割部は、前記分割処理において、前記TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットの一部または全部を前記TSパケットに格納しないヌルデータ処理を行い、
前記IP変換部は、前記ヌルデータ処理が行われた場合、前記ヌルデータ処理より前に前記TLV分割部によって分割された前記TSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて前記所定数とした前記IPパケットを生成して送信し、
前記TSパケットの末尾側にヌルデータが格納されることが許容され、
前記TLV分割部は、前記分割処理において、前記TLVパケットが前記所定長未満のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットを削除し、
前記TLV分割部は、前記分割処理において、前記所定長以上の前記TLVヌルパケットのデータが格納されるTSパケットの残り領域が前記TLVヌルパケットのヘッダ長以下である場合、前記TSパケットの次のTSパケットとして前記TLVヌルパケットのヌルデータを含むTSパケットを追加し、
前記IP変換部は、前記所定長以上の前記TLVヌルパケットの後の前記TLVパケットのデータを、次のIPパケットの1番目に格納すべきTSパケットのデータとする、放送再送信装置。
[付記2]
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる放送再送信装置であって、
放送波に含まれるストリームを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記ストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成した前記TSパケットを格納したIPパケットであって所定数の前記TSパケットを格納したIPパケットを生成して送信するパケット処理部とを備え、
前記パケット処理部は、前記分割処理において、前記TLVパケットが所定長以上のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットのデータの前記TSパケットへの格納を抑制するヌルデータ処理を行い、
前記パケット処理部は、前記ストリームのデータの前記放送再送信装置における遅延時間の揺らぎが所定値以下となるように、前記ヌルデータ処理より前に生成した前記TSパケットに、ヌルパケットである1または複数のTSパケットを加えて前記所定数とした前記IPパケットを生成して送信し、
前記TSパケットの末尾側にヌルデータが格納されることが許容され、
前記パケット処理部は、前記分割処理において、前記TLVパケットが前記所定長未満のTLVヌルパケットである場合、前記TLVヌルパケットを削除し、
前記パケット処理部は、前記分割処理において、前記所定長以上の前記TLVヌルパケットのデータが格納されるTSパケットの残り領域が前記TLVヌルパケットのヘッダ長以下である場合、前記TSパケットの次のTSパケットとして前記TLVヌルパケットのヌルデータを含むTSパケットを追加し、
前記パケット処理部は、前記所定長以上の前記TLVヌルパケットの後の前記TLVパケットのデータを、次のIPパケットの1番目に格納すべきTSパケットのデータとする、放送再送信装置。