JP2019088420A - 脊椎手術用リファレンスフレーム体固定具 - Google Patents

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【課題】頸椎部を椎体側から手術する際に、リファレンスフレームを好適に固定する固定具を提供する。【解決手段】一方向に延伸したアーム111の先端にてリファレンスフレームを取り付け固定するアーム体11と、アーム体11を保持する保持体12と、により構成され、保持体12は、椎間開大器20の軸21に取り付け、かつ、継手部52の配向方向である軸21に対する仰角を所望角度にて固定する基台部51と、仰角を赤緯とした場合の赤経の方向に取付部53を首振可能かつ所望方向にて固定する継手部52と、アーム体11の基端側を取り付け固定する取付部53と、を有することを特徴とするフレーム体固定具10。【選択図】図1

Description

本発明は、ナビゲーションシステムを利用して脊椎、特に頸椎またはその近傍を前側(椎体側)から手術する際に、リファレンスフレームを好適に固定する固定具に関する。
従来、頸椎またはその近傍を手術する際、メスその他の手術器具の進入深さや進入角度を正確に知るため、いわゆるナビゲーションシステムが利用されている。これは、手術器具の3次元空間上の位置や向きを計測すると共に、ターゲットとする頸椎の3次元空間上の位置や向きを、当該頸椎から延伸して固定した基準点を計測することにより、相互の相対位置関係を把握するシステムである。特に、近年では、O−Arm(メドトロニック社の登録商標)との併用により、患者の頸椎部分の高精細な3D画像と手術器具の先端位置や向き等をリアルタイムで把握可能となっている。
より具体的には、概ね同一平面上に広がったフレーム体に基準点を複数配置したリファレンスフレームが用いられる(図4a)。リファレンスフレームは、アーム体の先端に取り付けられ、基端側はクランプ状になっており(図4b)、これが棘突起を挟持し全体を固定する。手術中に腹臥位となった患者の首が動くようなことがあっても、リファレンスフレームは相対的な位置関係を保ったまま頸椎の動きに追従するので、手術部位の正確な位置関係を持続的に把握可能となる。
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
従来、頸椎手術についてアーム体は、棘突起を挟持するものしかなく、首の後ろ側からの手術しかナビゲーションシステムが使えないという問題点があった。また、クランプは、表面に凹凸が設けてあり強力に棘突起を挟持するが、それでも棘突起の表面形状は千差万別であり、十分挟持させたとおもっていても手術中にずれてしまうことがあり、再度の固定や0点調整ないし同期に時間がかかり患者の負担が大きくなるという問題点があった。
特開2002−345840
力武正浩ら「側頭骨領域ナビゲーション手術のための低侵襲リファレンスフレーム」第10回耳鼻咽喉科ナビゲーション研究会 耳鼻咽喉科展望Vol.52(2009),No.5,P344−346
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、椎骨特に頸椎部を椎体側から手術する際に、リファレンスフレームを好適に固定する固定具を提供することを目的とする。
請求項1に記載のフレーム体固定具は、椎間開大器に対して固定されるフレーム体の基準点を計測することにより手術部位の位置を把握するナビゲーションシステムに適用するフレーム体固定具であって、椎間開大器は、椎骨に刺入したスクリューを包持する足体二本の一方が軸体に固定され、他方が当該軸体に対してスライドすることにより足体が離間して椎骨を開大するものであって、一方向に延伸したアームの先端にてフレーム体を取り付け固定するアーム体と、アーム体を保持する保持体と、により構成され、保持体は、椎間開大器の軸体に取り付け、かつ、継手部の配向方向である前記軸体に対する仰角を所望角度にて固定する基台部と、仰角を赤緯とした場合の赤経の方向に保持部を首振可能かつ所望方向にて固定する継手部と、アーム体の基端側を取り付け固定する取付部と、を有することを特徴とする。
すなわち、請求項1にかかる発明は、汎用の椎間開大器を利用してフレーム体を所望の位置および姿勢に固定できる。
フレーム体とはいわゆるリファレンスフレームをいい、基準点の計測方法、すなわちトラッキング方法としては光学式を挙げることができるが、これに限定されない。ナビゲーションシステムは医療用ナビゲーションシステム、すなわち、手術中の患者位置と手術器具の位置関係を表示することを目的とした医療機器をいう。
椎間開大器の軸体には、滑り防止の歯形または開大調整のための歯形ないしレールが形成されていても良い。足体の一方が軸体に固定され、とは、必ずしも固着を意味せず、スクリューに対する足体の挿通包持の便のために回動機構や首振機構が基端側に備わっていても良い。同機構は足体の中途に備わっていても良く、また、他方の足体にも同様に備わっていても良いものとする。
スクリューとはネジということもできる。刺入も、椎骨に配した状態を表現するのであれば特に限定されず、螺入、打ち込む、と表現しても良い。
アームとは、一方に長く延伸した棒体であればよく、中途で曲がっていても、全体的にアーチを描くように曲がっていても良く、手術の際に邪魔にならない程度に長手が確保されていれば太さや厚みは特に限定されない。先端は先端側を意味し、必ずしも端部自体が取り付け固定機構となっていなくても良い。
仰角を決定する軸と首振りの軸とは直交する関係にあり、基台部と継手部との関係は赤道儀の可動機構に類する。
なお、請求項に挙げる固定方法は特に限定されず、たとえば、ノブ付螺合ネジであっても、レバーロックすなわち回動レバーによる押しつけ固定であってもよい。
請求項2に記載のフレーム体固定具は、請求項1に記載のフレーム体固定具において、基台部は、椎間開大器の軸体に挿通して軸方向に移動可能かつ所望位置に固定することを特徴とする。
すなわち、請求項2にかかる発明は、軸体を利用した強固かつ安定的な固定が可能となる。
基台部には、軸体に挿通する孔と、固定機構(ネジ)などを設ける。
請求項3に記載のフレーム体固定具は、請求項1または2に記載のフレーム体固定具において、取付部は、アーム体の基端側を挿通しまたはアーム体の基端側に挿通し、アーム体を挿通方向の所望の延伸長さにて固定することを特徴とする。
すなわち、請求項3にかかる発明は、フレームの配置自由度をより高めることができる。
アーム体の基端側を挿通しまたはアーム体の基端側に挿通し、とは、軸通させるにあたり、アーム体側が軸(取付部側に挿通孔)または取付部側が軸(アーム体側に挿通孔)となっていることを意味する。
請求項4に記載のフレーム体固定器具は、請求項1、2または3に記載のフレーム体固定具と椎間開大器とにより構成されるフレーム体固定器具である。
すなわち、請求項4にかかる発明は、各固定機構を統一し、また、軸体の長さをフレーム体固定器具の取付を前提として設計でき、操作性、取扱性に優れる。
本発明によれば、汎用の椎間開大器を用いて、リファレンスフレームを好適に固定でき、ナビゲーションシステムを用いた椎骨手術、特に、頸椎前側からの手術を実現できる。
本発明のフレーム体固定器具の外観構成を示した説明図である。 本発明のフレーム体固定具を中心に示した説明図である。 リファレンスフレームに本発明のフレーム体固定具を装着して使用した様子を示した写真である。 従来のリファレンスフレームの頸椎への固定方法について説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、頸椎の前側すなわち椎体にスクリューを刺入し、首の前側から手術するためにフレーム体固定器具を配する例について説明する。
図1は、本発明のフレーム体固定器具の外観構成を示した説明図である。図2は、このうち、フレーム体固定具を中心に示した説明図である。このうち図2aは、椎間開大器の軸に垂直は方向から、図2bは当該軸方向から示した図である。図3は、リファレンスフレームに本発明のフレーム体固定具を装着して使用した様子を示した写真である。
なお、各図において必ずしも縮尺は統一しておらず、また、説明ないし描画の便宜上、適宜構成を省略してある。
フレーム体固定器具1は、フレーム体固定具10と椎間開大器20とにより構成される。
椎間開大器20は、軸21と、固着足22と、スライド足23とにより構成される。固着足22とスライド足23は、略同型の棒体であって中途で概ね直角に折れ曲がりスクリュー包持部221,231を形成している。このスクリュー包持部221,231は円柱状すなわち内部が空洞であって、ここに椎体に刺入したスクリューを差し入れ包持する。
固着足22の基端側は固着足22の延伸方向に直交するように、長手の四角柱である軸21の片端が固着されている。スライド足23の基端側、ちょうど固着足22の軸21との固着位置に対応した部分には軸通孔232があけてあり、軸21に対してスライド足23を挿通できるようにしている。軸通孔232の孔形状は軸21の断面形状と同様の四角形であり、スライド足23が固着足22に対してぶれないようにしている。
軸21の一面には山切歯形211が形成され、ペグねじ233の回転により内部の螺合ネジ(図示せず)が回転し、スライド足23が軸21に対して開大する(または狭められる)。
椎間開大器20は、椎体に予め打たれたスクリュー2本にスクリュー包持部221,231をはめ込み、軸21およびペグねじ233を介してスライド足23を固着足22から所定長さ離間させて図示しない固定ネジで固定し、これにより椎体を開大する。
なお、椎間開大器としては、軸をスライドさせ足を離間させるものであれば汎用のものを用いることができる。ただし、汎用品は軸に更に他のものを取り付けることを想定していないので、位置決め自由度を高めるべく、椎間開大器20は軸長を汎用品より長くしてある。
次に、フレーム体固定具10について説明する。
フレーム体固定具10は、アーム体11と、アーム体11を(従ってリフレンスフレーム30を)所望の姿勢に保持する保持体12と、により構成される。
アーム体11は、アーム111とフレーム固定ネジ112とからなる。
アーム111は全長約12cmで先端4cmが約40°曲げられた「くの字」の円柱であり、フレーム固定ネジ112がアーム111先端に固着されている。リファレンスフレーム30は、手術部位に従った取付用のアタッチメントが各種提供されているが、フレーム固定ネジ112は、当該アタッチメントと同一の合着構造を有し、リファレンスフレーム30を十全に取り付ける。
なお、アーム体11は、リファレンスフレーム30の供給元の仕様に従ってあらゆる合着構造を採用し、複数本用意するようにする。これにより、各社のリファレンスフレームを取り付けることができる。なお、ここでは、便宜的にネジと表現したが、必ずしも螺合して合着させる構造に限定されない。
保持体12は、椎間開大器20の軸21への取り付けを担う基台部51と、フレーム体固定具10を取り付ける取付部53と、基台部51と取付部53との間に介在する継手部52と、により構成される。
基台部51は、椎間開大器20の軸21を挿通させる軸通孔511があけられている。軸通孔511は、軸通孔232と略同形の四角孔であって、内側部分には山切歯形211ど同形の歯形(図示せず)が形成されており、六角ネジ(図示せず)により、基台部51を軸21上の所望位置にて強固に固定できるようにしている。
基台部51の上部には、軸21の軸方向と軸21上面の法線方向とに直交する方向に、ねじ溝が切られた軸孔513が設けられている。ここに、ノブねじ514を挿通螺合させることにより継手部52が所望の仰角にて固定される。
継手部52は、下方に軸孔(図示せず)が設けてあり、上述したようにノブねじ514を挿通螺合し、基台部51に対して継手部52を所定仰角にて固定する。
継手部52の上方には、軸孔513の軸方向に直交し軸21の軸方向と同一平面にある、ねじ溝が切られた軸孔(図示せず)が設けられている。ここに、ノブねじ523を挿通螺合させることにより取付部53が所望の方向に首振りして固定される。
なお、基台部51と継手部52とはいわば赤道儀と同様の機構であり、基台部51の仰角を赤緯とした場合に、継手部52は取付部53を赤経の方向に首振りさせる構成となっている。
取付部53は、手前側に軸孔531が設けてあり、上述したようにノブねじ523を挿通螺合し、継手部52に対して取付部53を所定の首振り角度にて固定する。
取付部53は全体としては先端が開口した角管であって、中空部532にアーム体11を基端側から挿通し、蝶ねじ533により所望長さにてアーム体11を固定する。
なお、リファレンスフレーム30は、赤外線を発信する光学式の基準点が複数配され、これをトラッキングすることにより、イメージ空間とサージカル空間とを一致させ、手術部位を視認できない部分まで正確に認識可能としている。なお、O−Arm撮像システムと併用すればリアルタイムで術野の詳細を認識できる。なおトラッキングができるのであれば光学式(赤外線式)には限定されない。
手術は特に限定されないが、特に、椎間板ヘルニアや頸椎後縦靱帯骨化症に対する、頸椎前方からの手術に本発明のフレーム体固定器具は好適である。
なお、フレーム体固定器具は上記の態様に限定されない。たとえば、アーム長さを固定し、アーム体11と取付部53が一体となっていても良い。
また、アーム体11の取付部53への取り付け方法や、基台部51の軸21への取付方法は、必ずしも挿通させる態様でなくてもよい。基台部51が軸21の末端に固着されていてもよい。
また、各種の固定方法も、ノブの螺合によらず、たとえば、レバーロックによる回動圧着固定であってもよい。
本発明は、椎体側から使用するのに好適であるが、椎弓側すなわち首の後ろ側から使用することも当然に可能である。頸椎に限定されず、他の椎骨またはその周辺に対しておこなう手術にも適用可能である。
1 フレーム体固定器具
10 フレーム体固定具
11 アーム体
111 アーム
112 フレーム固定ネジ
12 保持体
51 基台部
511 軸通孔
513 軸孔
514 ノブねじ
52 継手部
523 ノブねじ
53 取付部
531 軸孔
532 中空部
533 蝶ねじ
20 椎間開大器
21 軸
211 山切歯形
22 固着足
221 スクリュー包持部
23 スライド足
231 スクリュー包持部
232 軸通孔
233 ペグねじ
30 リファレンスフレーム

Claims (4)

  1. 椎間開大器に対して固定されるフレーム体の基準点を計測することにより手術部位の位置を把握するナビゲーションシステムに適用するフレーム体固定具であって、
    椎間開大器は、椎骨に刺入したスクリューを包持する足体二本の一方が軸体に固定され、他方が当該軸体に対してスライドすることにより足体が離間して椎骨を開大するものであって、
    一方向に延伸したアームの先端にてフレーム体を取り付け固定するアーム体と、
    アーム体を保持する保持体と、
    により構成され、
    保持体は、
    椎間開大器の軸体に取り付け、かつ、継手部の配向方向である前記軸体に対する仰角を所望角度にて固定する基台部と、
    仰角を赤緯とした場合の赤経の方向に保持部を首振可能かつ所望方向にて固定する継手部と、
    アーム体の基端側を取り付け固定する取付部と、
    を有することを特徴とするフレーム体固定具。
  2. 基台部は、椎間開大器の軸体に挿通して軸方向に移動可能かつ所望位置に固定することを特徴とする請求項1に記載のフレーム体固定具。
  3. 取付部は、アーム体の基端側を挿通しまたはアーム体の基端側に挿通し、アーム体を挿通方向の所望の延伸長さにて固定することを特徴とする請求項1または2に記載のフレーム体固定具。
  4. 請求項1、2または3に記載のフレーム体固定具と椎間開大器とにより構成されるフレーム体固定器具。
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