JP2019087672A - パワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制できるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供する。【解決手段】絶縁基板11と、回路層12と、金属層13とを有するパワーモジュール用基板10と、パワーモジュール用基板10の回路層12の絶縁基板11とは反対側の面に接合層2を介して接合された半導体素子3と、を備えたパワーモジュールであって、回路層12は、厚さが0.5〜10mmの範囲にあり、接合層2は、銀粒子の焼結体と、銀粒子の焼結体に分散されているシリコーン粒子とを含む複合体であって、銀粒子の焼結体は相対密度が60〜90%の範囲にある多孔質体であり、シリコーン粒子は、平均粒径が0.5〜50μmの範囲にあって、接合層2のシリコーン粒子の含有量が5〜70体積%の範囲にあり、接合層2の厚さが10〜500μm以下の範囲にあるパワーモジュール。【選択図】図1
Description
本発明は、パワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法に関するものである。
インバータ等に用いられるパワー半導体素子は、作動時の発熱量が大きい。このため、パワー半導体素子を実装する基板としては、高耐熱性で絶縁性が高い絶縁基板と、この絶縁基板の一方の面に形成された回路層と、絶縁基板の他方の面に形成された金属層とを備えたパワーモジュール用基板が用いられる。絶縁基板としては、セラミックス基板や樹脂基板が用いられている。このパワーモジュール用基板では、回路層に、はんだ材を介して、パワー半導体素子を実装することが一般に行われている(特許文献1)。
特許文献1には、パワーモジュール用基板の回路層と半導体素子とを接合するためのはんだ材として、Sn−Ag系、Sn−In系、Sn−Ag−Cu系のはんだ材が記載されている。
半導体素子を実装したパワーモジュールでは、半導体素子で発生する熱を回路層に効率よく拡散させるために、回路層を厚膜化することが検討されている。しかしながら、回路層を厚膜化すると、パワーモジュール用基板の絶縁基板が回路層を拘束する効果が低下して、回路層表面と半導体素子との線膨張係数の差が拡大する。その結果、半導体素子のON/OFFなどによって引き起される冷熱サイクルが長期間にわたって負荷されると、回路層と半導体素子との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力がはんだ材に蓄積して、はんだ材にボイド(空洞)が多量に発生し、回路層と半導体素子とが剥離し易くなることがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のパワーモジュールは、絶縁基板と、該絶縁基板の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁基板の他方の面に形成された金属層とを有するパワーモジュール用基板と、前記パワーモジュール用基板の前記回路層の前記絶縁基板とは反対側の面に接合層を介して接合された半導体素子と、を備えたパワーモジュールであって、前記回路層は、厚さが0.5mm以上10mm以下の範囲内にあり、前記接合層は、銀粒子の焼結体と、前記銀粒子の焼結体に分散されているシリコーン粒子とを含む複合体であって、前記銀粒子の焼結体は、相対密度が60%以上90%以下の範囲内にある多孔質体であり、前記シリコーン粒子は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあって、前記接合層の前記シリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲内にあり、前記接合層の厚さが10μm以上500μm以下の範囲内にあることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のパワーモジュールによれば、パワーモジュール用基板の回路層は、厚さが0.5mm以上10mm以下の範囲内とされているので、半導体素子で発生する熱を回路層に効率よく拡散させることができる。また、接合層は、銀粒子の焼結体と、前記銀粒子の焼結体に分散されているシリコーン粒子とを含む複合体であって、銀粒子の焼結体は、相対密度が60%以上90%以下の範囲内にある多孔質体であり、前記シリコーン粒子は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあって、前記接合層の前記シリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲内にあり、前記接合層の厚さが10μm以上500μm以下の範囲内とされているので、冷熱サイクル負荷時に、回路層と半導体素子との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力が緩和され、接合層にボイドが発生しにくくなる。よって、本発明のパワーモジュールは、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができる。
ここで、本発明のパワーモジュールにおいては、前記絶縁基板が、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のセラミックスを含むセラミックス基板であってもよい。
この場合、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムは高い絶縁性と耐熱性とを有するので、これらを含む絶縁基板は、冷熱サイクルの負荷によって変形や破損が起こりにくい。よって、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって確実に抑制することができる。
この場合、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムは高い絶縁性と耐熱性とを有するので、これらを含む絶縁基板は、冷熱サイクルの負荷によって変形や破損が起こりにくい。よって、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって確実に抑制することができる。
また、本発明のパワーモジュールにおいては、前記絶縁基板が、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びポリイミドアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む樹脂基板であってもよい。
この場合、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びポリイミドアミド樹脂は高い絶縁性と耐熱性とを有するので、これらを含む絶縁基板は、冷熱サイクルの負荷によって変形や破損が起こりにくい。よって、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって確実に抑制することができる。
この場合、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びポリイミドアミド樹脂は高い絶縁性と耐熱性とを有するので、これらを含む絶縁基板は、冷熱サイクルの負荷によって変形や破損が起こりにくい。よって、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって確実に抑制することができる。
本発明のパワーモジュールの製造方法は、上述のパワーモジュールの製造方法であって、前記パワーモジュール用基板の前記回路層の前記絶縁基板とは反対側の面および前記半導体素子のうちの少なくとも一方の表面に、溶媒と、平均粒径が0.1μm以上1μm以下の範囲内にある銀粒子と、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあるシリコーン粒子とを含むペースト状接合材組成物の層であって、前記溶媒と前記銀粒子とを質量比で30:70〜5:95の割合で含む層を形成するペースト状接合材組成物層形成工程と、前記パワーモジュール用基板と前記半導体素子とを、前記ペースト状接合材組成物の層を介して積層する積層工程と、積層された前記パワーモジュール用基板と前記半導体素子とを、積層方向に1MPa以下の圧力下で、150℃以上300℃以下の温度にて加熱する加熱工程と、を備えることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のパワーモジュールの製造方法によれば、パワーモジュール用基板と半導体素子とを、溶媒と、平均粒径が0.1μm以上1μm以下の範囲内にある銀粒子と、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあるシリコーン粒子とを含むペースト状接合材組成物の層であって、前記溶媒と前記銀粒子とを質量比で30:70〜5:95の割合で含む層を介して積層した積層体を、積層方向に1MPa以下の圧力下で、150℃以上300℃以下の温度にて加熱するので、銀粒子を過剰に緻密化させずに、かつ確実に焼結させることができる。これにより、パワーモジュール用基板の回路層と半導体素子との間に、銀粒子の焼結体と、銀粒子の焼結体に分散されているシリコーン粒子とを含む複合体であって、銀粒子の焼結体は、相対密度が60%以上90%以下の範囲内にある多孔質体であり、シリコーン粒子は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあって、前記接合層のシリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲内にある接合層を生成させることが可能となる。
本発明によれば、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
図1は、発明の一実施形態であるパワーモジュール用基板を説明する断面図であり、図2は、図1の要部(接合層2)拡大断面図である。
図1は、発明の一実施形態であるパワーモジュール用基板を説明する断面図であり、図2は、図1の要部(接合層2)拡大断面図である。
図1において、パワーモジュール1は、パワーモジュール用基板10と、パワーモジュール用基板10の一方側(図1において上側)の面に接合層2を介して接合された半導体素子3とを備えている。
パワーモジュール用基板10は、絶縁基板11と、絶縁基板11の一方の面に形成された回路層12と、絶縁基板11の他方の面に形成された金属層13とを有する。
絶縁基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、セラミックス基板もしくは樹脂基板で構成されている。セラミックス基板の材料の例としては、AlN(窒化アルミニウム)、Si3N4(窒化ケイ素)、Al2O3(酸化アルミニウム)等を挙げることができる。これらのセラミックスは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。また、樹脂基板の材料の例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びポリイミドアミド樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。また、絶縁基板11が、セラミックス基板である場合、絶縁基板11の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.635mmに設定されている。また、絶縁基板11が樹脂基板である場合、絶縁基板11の厚さは、0.05mm以上1mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.3mmに設定されている。
回路層12は、絶縁基板11の一方の面(図1において上面)に、銅あるいは銅合金からなる銅板またはアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板が接合されることにより形成されている。銅板としては、無酸素銅および純度99.9999質量%以上の高純度銅(6N−Cu)を用いることができる。アルミニウム板としては、純度99質量%以上のアルミニウム(A1050、A1080等)および純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム(4N−Al)を用いることができる。回路層12には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面12Aとされている。なお、本実施形態では、回路層12の搭載面12Aおよび半導体素子3の回路層12に接合される面に、銀めっき膜(図示なし)が設けられていてもよい。
回路層12は、厚さが0.5mm以上10mm以下の範囲内に設定されている。回路層12の厚さが0.5mm未満であると、半導体素子3にて発生した熱が回路層12に拡散しにくくなるおそれがある。一方、回路層12の厚さが10mmを超えると、回路層12と半導体素子3との線膨張係数の差が大きくなりすぎて、回路層12と半導体素子3との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力が接合層2に蓄積し易くなるおそれがある。
金属層13は、絶縁基板11の他方の面(図1において下面)に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板が接合されることにより形成されている。アルミニウム板としては、純度99質量%以上のアルミニウム(A1050、A1080等)および純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム(4N−Al)を用いることができる。金属層13の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.3mmに設定されている。
接合層2は、パワーモジュール用基板10の回路層12と半導体素子3とを接続するためのものである。接合層2は、図2に示すように、銀粒子焼結体21と、銀粒子焼結体21に分散されているシリコーン粒子22とを含む複合体である。
銀粒子焼結体21は、微細な銀粒子の焼結体で構成されている。微細な銀粒子は比較的低温で焼結するが、その銀粒子の焼結体は熱的な安定性が向上し、通常のパワー半導体素子で発生する熱では溶融しない。また、銀粒子焼結体21は、多数の気孔を有する多孔質体であり、相対密度が60%以上90%以下の範囲内、好ましくは60%以上88%以下の範囲内とされている。このため、銀粒子焼結体21は、バルクの銀に比べて弾性率が低くなり、冷熱サイクル負荷時に、回路層12と半導体素子3との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力が緩和される。よって、接合層2は、冷熱サイクル負荷時にボイドが発生しにくくなる。相対密度が60%未満であると、銀粒子焼結体21の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時に、接合層2に破損が生じるおそれがある。一方、相対密度が90%を超えると、銀粒子焼結体21の弾性率がバルクの銀と同程度になり、銀粒子焼結体21による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下するおそれがある。なお、銀粒子焼結体21の相対密度は、銀の真密度に対する銀粒子焼結体21の密度の百分率である。
シリコーン粒子22は弾性体であって、冷熱サイクル負荷時に、回路層12と半導体素子3との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力を緩和させる機能を有する。シリコーン粒子22としては、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、及びこれらの混合物を用いることができる。
シリコーン粒子22は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内とされている。平均粒径が0.5μm未満であると、シリコーン粒子22による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下するおそれがある。一方、平均粒径が50μmを超えると、接合層2の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時に、接合層2に破損が生じるおそれがある。
シリコーン粒子22は、含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲内とされている。含有量が5体積%未満であると、シリコーン粒子22による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下するおそれがある。一方、含有量が70体積%を超えると、接合層2の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時に、接合層2に破損が生じるおそれがある。なお、シリコーン粒子22の含有量は、接合層2の銀の体積と、シリコーン粒子22の体積との合計体積量に対するシリコーン粒子22の体積の百分率である。銀の体積は、接合層2中の銀の含有量を銀の真密度で除することによって求めることができる。
接合層2は、厚さが10μm以上500μm以下の範囲内とされている。接合層2の厚さが10μm未満であると、冷熱サイクル負荷時の接合層2内の内部応力の緩和能力が低下し、接合層2にボイドが発生し易くなるおそれがある。一方、接合層2の厚さが500μmを超えると、接合層2の機械強度が低下して、冷熱サイクル負荷時に接合層2にボイドが発生し易くなるおそれがある。
次に、本実施形態であるパワーモジュールの製造方法について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の一実施形態であるパワーモジュールの製造方法のフロー図である。本発実施形態であるパワーモジュールの製造方法は、ペースト状接合材組成物層形成工程S01と、積層工程S02と、加熱工程S03と、を備える。
図3は、本発明の一実施形態であるパワーモジュールの製造方法のフロー図である。本発実施形態であるパワーモジュールの製造方法は、ペースト状接合材組成物層形成工程S01と、積層工程S02と、加熱工程S03と、を備える。
(ペースト状接合材組成物層形成工程S01)
ペースト状接合材組成物層形成工程S01では、パワーモジュール用基板10の回路層12の絶縁基板11とは反対側の面(搭載面12A)および半導体素子3のうちの少なくとも一方の表面に、ペースト状接合材組成物の層を形成する。ペースト状接合材組成物の層を形成する方法としては、塗布法、浸漬法などの方法を用いることができる。後述の加熱工程S03において、ペースト状接合材組成物層が加熱されることによって接合層2が生成する。
ペースト状接合材組成物層形成工程S01では、パワーモジュール用基板10の回路層12の絶縁基板11とは反対側の面(搭載面12A)および半導体素子3のうちの少なくとも一方の表面に、ペースト状接合材組成物の層を形成する。ペースト状接合材組成物の層を形成する方法としては、塗布法、浸漬法などの方法を用いることができる。後述の加熱工程S03において、ペースト状接合材組成物層が加熱されることによって接合層2が生成する。
ペースト状接合材組成物は、溶媒と、銀粒子と、シリコーン粒子とを含む。
ペースト状接合材組成物の溶媒は、後述の加熱工程S03において、蒸発除去できるものであれば特に制限はない。溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アセテート系溶媒、炭化水素系溶媒、アミン系溶媒を用いることができる。アルコール系溶媒の例としては、α−テルピネオール、イソプロピルアルコールが挙げられる。グリコール系溶媒の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールが挙げられる。アセテート系溶媒の例としては、酢酸ブチルトールカルビテートが挙げられる。炭化水素系溶媒の例としては、デカン、ドデカン、テトラデカンが挙げられる。アミン系溶媒の例としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミンが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
ペースト状接合材組成物の溶媒は、後述の加熱工程S03において、蒸発除去できるものであれば特に制限はない。溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アセテート系溶媒、炭化水素系溶媒、アミン系溶媒を用いることができる。アルコール系溶媒の例としては、α−テルピネオール、イソプロピルアルコールが挙げられる。グリコール系溶媒の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールが挙げられる。アセテート系溶媒の例としては、酢酸ブチルトールカルビテートが挙げられる。炭化水素系溶媒の例としては、デカン、ドデカン、テトラデカンが挙げられる。アミン系溶媒の例としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミンが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
銀粒子としては、平均粒径が0.1μm以上1μm以下の範囲にあるものを用いる。銀粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、ペースト状接合材組成物層の厚さを厚くするのが難しく、また、後述の加熱工程S03において、銀粒子の焼結が進み易くなり、生成する接合層2の相対密度が高くなりすぎるおそれがある。一方、銀粒子の平均粒径が1μmを超えると、後述の加熱工程S03において、銀粒子の焼結が進みにくくなり、生成する接合層2の相対密度が低くなりすぎるおそれがある。
銀粒子は、酸化および凝集を防止するための保護材で被覆されていてもよい。保護材としては、炭素数が2以上8以下の有機物を用いることができる。有機物はカルボン酸であることが好ましい。カルボン酸の例としては、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸が挙げられる。保護材の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
シリコーン粒子としては、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲とあるものを用いる。シリコーン粒子としては、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、及びこれらの混合物を用いることができる。
ペースト状接合材組成物中の溶媒と銀粒子の配合量は、質量比で30:70〜5:95の割合とされている。銀粒子の割合が少なくなりすぎると、ペースト状接合材組成物の粘度が低くなりすぎて、ペースト状接合材組成物層の厚さを厚くするのが難しく、また、後述の加熱工程S03において、銀粒子の焼結が進みにくくなり、生成する接合層2の相対密度が低くなりすぎるおそれがある。一方、銀粒子の割合が多くなりすぎると、ペースト状接合材組成物の粘度が高くなりすぎて、ペースト状接合材組成物層を形成しにくくなるおそれがある。
ペースト状接合材組成物中のシリコーン粒子の配合量は、後述の加熱工程S03での加熱条件により生成する接合層2のシリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲の量となる量である。
ペースト状接合材組成物の調製方法には、特に制限はない。例えば、溶媒と銀粒子の混合物にシリコーン粒子を加えて混練してもよいし、溶媒とシリコーン粒子の混合物に銀粒子を加えて混練してもよいし、銀粒子とシリコーン粒子の混合物に溶媒を加えて混練してもよいし、溶媒と銀粒子とシリコーン粒子を同時加えて混練してもよい。
ペースト状接合材組成物層の厚さは、ペースト状接合材組成物の銀粒子およびシリコーン粒子の平均粒径や配合量によって異なるため、一律に定めることはできないが、後述の加熱工程S03での加熱により生成する接合層2の厚さが10μm以上500μm以下の範囲となる厚さであればよい。
(積層工程S02)
積層工程S02では、パワーモジュール用基板10と半導体素子3とを、ペースト状接合材組成物層形成工程S01で形成したペースト状接合材組成物層を介して積層する。積層されたパワーモジュール用基板10と半導体素子3との間に介在するペースト状接合材組成物層の厚さは均一であることが好ましい。
積層工程S02では、パワーモジュール用基板10と半導体素子3とを、ペースト状接合材組成物層形成工程S01で形成したペースト状接合材組成物層を介して積層する。積層されたパワーモジュール用基板10と半導体素子3との間に介在するペースト状接合材組成物層の厚さは均一であることが好ましい。
(加熱工程S03)
加熱工程S03では、積層工程S02で積層されたパワーモジュール用基板10と半導体素子3との積層体を加熱する。
積層体の加熱温度は、150℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下の温度である。加熱温度が150℃未満であると、ペースト状接合材組成物層の銀粒子が焼結しにくくなり、接合層2を形成できなくなるおそれがある。一方、加熱温度が300℃を超えると、ペースト状接合材組成物層の銀粒子の焼結が過剰に進行して、生成する接合層2の銀粒子焼結体21の相対密度が高くなりすぎるおそれがある。
加熱工程S03では、積層工程S02で積層されたパワーモジュール用基板10と半導体素子3との積層体を加熱する。
積層体の加熱温度は、150℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下の温度である。加熱温度が150℃未満であると、ペースト状接合材組成物層の銀粒子が焼結しにくくなり、接合層2を形成できなくなるおそれがある。一方、加熱温度が300℃を超えると、ペースト状接合材組成物層の銀粒子の焼結が過剰に進行して、生成する接合層2の銀粒子焼結体21の相対密度が高くなりすぎるおそれがある。
積層体の加熱は、積層方向に1MPa以下の圧力下で行なう。積層体を積層方向に加圧しなくてもよい。積層方向に1MPaを超える圧力で加圧した状態で積層体を加熱すると、銀粒子の焼結が過剰に進行して、生成する接合層2の相対密度が高くなりすぎるおそれがある。
このようして積層体が加熱されることによって、ペースト状接合材組成物層内の銀粒子が焼結して、本実施形態であるパワーモジュール1が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるパワーモジュール1によれば、パワーモジュール用基板10の回路層12は、厚さが0.5mm以上10mm以下の範囲とされているので、半導体素子3で発生する熱を回路層12に効率よく拡散させることができる。また、接合層2は、銀粒子焼結体21と、銀粒子焼結体21に分散されているシリコーン粒子22とを含む複合体であって、銀粒子焼結体21は、相対密度が60%以上90%以下の範囲にある多孔質体であり、シリコーン粒子22は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲にあって、接合層2中のシリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲にあり、接合層2の厚さが10μm以上500μm以下の範囲とされているので、冷熱サイクル負荷時に、回路層12と半導体素子3との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力が緩和され、接合層2にボイドが発生しにくくなる。よって、本実施形態のパワーモジュール1は、冷熱サイクルの負荷による回路層12と半導体素子3の剥離を長期間にわたって抑制することができる。
また、本実施形態であるパワーモジュール1の製造方法によれば、パワーモジュール用基板10と半導体素子3とを、溶媒と、平均粒径が0.1μm以上1μm以下の範囲内にある銀粒子と、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあるシリコーン粒子とを含むペースト状接合材組成物の層であって、溶媒と銀粒子とを質量比で30:70〜5:95の割合で含む層を介して積層した積層体を、積層方向に1MPa以下の圧力下で、150℃以上300℃以下の温度にて加熱するので、銀粒子を過剰に緻密化させずに、かつ確実に焼結させることができる。これにより、パワーモジュール用基板10の回路層12と半導体素子3との間に、銀粒子の焼結体と、銀粒子の焼結体に分散されているシリコーン粒子とを含む複合体であって、銀粒子の焼結体は、相対密度が60%以上90%以下の範囲にある多孔質体であり、シリコーン粒子は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲にあって、接合層2中のシリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲にある接合層2を生成させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態のパワーモジュール1では、回路層12に半導体素子3以外の電子部品、例えば、LEDなどが実装されていてもよい。
例えば、本実施形態のパワーモジュール1では、回路層12に半導体素子3以外の電子部品、例えば、LEDなどが実装されていてもよい。
本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
[本発明例1]
(1)パワーモジュール用基板の作製
セラミックス基板に回路層と金属層とを接合して、パワーモジュール用基板を作製した。セラミックス基板の材質は窒化ケイ素(Si3N4)とした。回路層の材質は無酸素銅とした。金属層の材質は高純度銅(6N−Cu)とした。絶縁基板のサイズは40mm×40mm、回路層のサイズは37mm×37mm、金属層のサイズは37mm×37mmとした。回路層の厚さは4mmとした。
(1)パワーモジュール用基板の作製
セラミックス基板に回路層と金属層とを接合して、パワーモジュール用基板を作製した。セラミックス基板の材質は窒化ケイ素(Si3N4)とした。回路層の材質は無酸素銅とした。金属層の材質は高純度銅(6N−Cu)とした。絶縁基板のサイズは40mm×40mm、回路層のサイズは37mm×37mm、金属層のサイズは37mm×37mmとした。回路層の厚さは4mmとした。
回路層とセラミックス基板との間およびセラミックス基板と金属層との間のそれぞれに、Ag−27.4質量%Cu−2.0質量%Tiからなる活性ろう材を配設した。次いで、回路層、セラミックス基板、金属層をこの順で積層し、得られた積層体を積層方向に49kPa(0.5kgf/cm2)の圧力で加圧した状態で、10−3Paの真空中にて、850℃で10分間加熱することにより接合して、パワーモジュール用基板を作製した。
(2)ペースト状接合材組成物の調製
エチレングリコール(EG)と平均粒径0.5μmの銀粉と平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子とを用意した。用意したEGを15質量部、銀粉を85質量部、シリコーン樹脂粒子を6.0質量部の割合で混合した。得られた混合物を、混練機を用いて混練してペースト状接合材組成物を調製した。混練機による混練は、2000rpmの回転速度で5分間、3回行なった。
エチレングリコール(EG)と平均粒径0.5μmの銀粉と平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子とを用意した。用意したEGを15質量部、銀粉を85質量部、シリコーン樹脂粒子を6.0質量部の割合で混合した。得られた混合物を、混練機を用いて混練してペースト状接合材組成物を調製した。混練機による混練は、2000rpmの回転速度で5分間、3回行なった。
(3)パワーモジュールの製造
半導体素子として、0.4mmのシリコン半導体素子を準備した。
半導体素子として、0.4mmのシリコン半導体素子を準備した。
先ず、上記(1)で作製したパワーモジュール用基板の回路層の接合面と、準備したシリコン半導体素子の接合面にそれぞれ銀めっきを施して、厚さ0.1μmの銀めっき層を形成した。次に、パワーモジュール用基板の回路層の銀めっき層の表面に、(2)で調製したペースト状接合材組成物を塗布して、ペースト状接合材組成物層を形成した。ペースト状接合材組成物層の厚さは、加熱により生成する接合層の厚さが100μmとなる厚さとした。次いで、パワーモジュール用基板のペースト状接合材組成物層の上に、シリコン半導体素子の銀めっき層を搭載して、パワーモジュール用基板とシリコン半導体素子とを積層した。そして、パワーモジュール用基板とシリコン半導体素子の積層体を加熱器に投入し、大気雰囲気中にて、加熱温度が250℃で、積層方向への加圧を行なわない接合条件にて60分間加熱して、パワーモジュールを製造した。
[本発明例2〜17および比較例1〜18]
パワーモジュール用基板の絶縁基板の材質、回路層の材質と厚さ、金属層の材質、ペースト状接合材組成物の接合材およびシリコーン粒子の種類、溶媒と接合材とシリコーン粒子の配合量、接合条件、接合層の厚さを下記の表1、2に示すように変更したこと以外は、本発明例1と同様にしてパワーモジュールを製造した。なお、回路層、金属層の材質としてアルミニウム板を用いた本発明例8、9、13〜15では、セラミックス基板とアルミニウム板を、Al―7.5質量%Siからなるろう材箔を用いて、積層方向に12kgf/cm2で加圧した状態で、10−3Paの真空中にて、650℃で30分間加熱することにより接合した。また、なお、比較例18のペースト状接合材組成物で用いたSACはんだは、Sn−Ag−Cu系はんだ材である。
パワーモジュール用基板の絶縁基板の材質、回路層の材質と厚さ、金属層の材質、ペースト状接合材組成物の接合材およびシリコーン粒子の種類、溶媒と接合材とシリコーン粒子の配合量、接合条件、接合層の厚さを下記の表1、2に示すように変更したこと以外は、本発明例1と同様にしてパワーモジュールを製造した。なお、回路層、金属層の材質としてアルミニウム板を用いた本発明例8、9、13〜15では、セラミックス基板とアルミニウム板を、Al―7.5質量%Siからなるろう材箔を用いて、積層方向に12kgf/cm2で加圧した状態で、10−3Paの真空中にて、650℃で30分間加熱することにより接合した。また、なお、比較例18のペースト状接合材組成物で用いたSACはんだは、Sn−Ag−Cu系はんだ材である。
[評価]
本発明例1〜17および比較例1〜18で製造したパワーモジュールについて、接合層の厚さ、接合層の銀粒子焼結体の相対密度、シリコーン粒子の含有量を下記の方法により測定した。また、パワーモジュールに対して下記の方法により冷熱サイクル試験を行い、冷熱サイクル試験後の接合層のボイド率を測定した。その結果を、表1、2に示す。
本発明例1〜17および比較例1〜18で製造したパワーモジュールについて、接合層の厚さ、接合層の銀粒子焼結体の相対密度、シリコーン粒子の含有量を下記の方法により測定した。また、パワーモジュールに対して下記の方法により冷熱サイクル試験を行い、冷熱サイクル試験後の接合層のボイド率を測定した。その結果を、表1、2に示す。
(接合層の厚さ)
マイクロメーター(精密測長器)を用いて、パワーモジュール用基板とシリコン半導体素子の厚さを予め測長し、接合後のパワーモジュール全体の厚さを測長した。パワーモジュール全体の厚さから予め測長したパワーモジュール用基板とシリコン半導体素子の厚さを差し引いた値を、接合層の厚さとした。
マイクロメーター(精密測長器)を用いて、パワーモジュール用基板とシリコン半導体素子の厚さを予め測長し、接合後のパワーモジュール全体の厚さを測長した。パワーモジュール全体の厚さから予め測長したパワーモジュール用基板とシリコン半導体素子の厚さを差し引いた値を、接合層の厚さとした。
(接合層の銀粒子焼結体の相対密度、シリコーン粒子の含有量)
パワーモジュールから接合層を採取した。採取した接合層のサイズと質量を測定した。測定したサイズと上記の方法により測定した接合層の厚さから採取した接合層の体積を求めた。次いで、その採取した接合層を硝酸に投入し、ろ過してろ液と不溶分とを分離した。不溶分(シリコーン粒子)を水で洗浄し、乾燥して、不溶分を回収した。回収したシリコーン粒子の質量を測定し、この質量とシリコーン粒子の真密度からシリコーン粒子の体積を算出した。
パワーモジュールから接合層を採取した。採取した接合層のサイズと質量を測定した。測定したサイズと上記の方法により測定した接合層の厚さから採取した接合層の体積を求めた。次いで、その採取した接合層を硝酸に投入し、ろ過してろ液と不溶分とを分離した。不溶分(シリコーン粒子)を水で洗浄し、乾燥して、不溶分を回収した。回収したシリコーン粒子の質量を測定し、この質量とシリコーン粒子の真密度からシリコーン粒子の体積を算出した。
接合層の銀粒子焼結体の相対密度は、下記のようにして算出した。
接合層の銀粒子焼結体の質量を、下記式(1)より算出する。
銀粒子焼結体の質量=接合層の質量−シリコーン粒子の質量・・(1)
接合層の銀粒子焼結体の体積を、下記式(2)より算出する。
銀粒子焼結体の体積=接合層の体積−シリコーン粒子の体積・・(2)
そして、接合層の銀粒子焼結体の相対密度を、下記式(3)より算出する。
銀粒子焼結体の相対密度(%)={(銀粒子焼結体の質量/銀粒子焼結体の体積)/銀の理論密度}×100・・(3)
接合層の銀粒子焼結体の質量を、下記式(1)より算出する。
銀粒子焼結体の質量=接合層の質量−シリコーン粒子の質量・・(1)
接合層の銀粒子焼結体の体積を、下記式(2)より算出する。
銀粒子焼結体の体積=接合層の体積−シリコーン粒子の体積・・(2)
そして、接合層の銀粒子焼結体の相対密度を、下記式(3)より算出する。
銀粒子焼結体の相対密度(%)={(銀粒子焼結体の質量/銀粒子焼結体の体積)/銀の理論密度}×100・・(3)
シリコーン粒子の含有量は、下記式(4)より算出した。
シリコーン粒子の含有量(体積%)=(シリコーン粒子の体積/接合層の体積)×100・・(4)
シリコーン粒子の含有量(体積%)=(シリコーン粒子の体積/接合層の体積)×100・・(4)
(冷熱サイクル試験)
冷熱サイクル試験は、パワーモジュールに対して下記の条件にて冷熱サイクルを負荷することにより行った。本実施例では、この冷熱サイクルを1000回実施した。
評価装置:エスペック株式会社製TSB−51
液相:フロリナート
温度条件:−40℃×5分 ←→ 150℃×5分
冷熱サイクル試験は、パワーモジュールに対して下記の条件にて冷熱サイクルを負荷することにより行った。本実施例では、この冷熱サイクルを1000回実施した。
評価装置:エスペック株式会社製TSB−51
液相:フロリナート
温度条件:−40℃×5分 ←→ 150℃×5分
(接合層のボイド率)
ヒートサイクル試験後のパワーモジュールに対して、回路層とシリコン半導体素子との接合層の接合率について超音波探傷装置を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわちシリコン半導体素子の面積とした。超音波探傷像においてボイドは白色部で示されることから、この白色部の面積をボイド面積とした。
接合率(%)=(ボイド面積/初期接合面積)×100
ヒートサイクル試験後のパワーモジュールに対して、回路層とシリコン半導体素子との接合層の接合率について超音波探傷装置を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわちシリコン半導体素子の面積とした。超音波探傷像においてボイドは白色部で示されることから、この白色部の面積をボイド面積とした。
接合率(%)=(ボイド面積/初期接合面積)×100
(接合層の構造)
ヒートシンク付パワーモジュール用基板を、積層方向に沿って切断し、接合層の切断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。
図4に、本発明例4で製造したパワーモジュールの接合層の断面のSEM写真を示す。図4のSEM写真から、接合層は、銀粒子の焼結体とシリコーン粒子とを含む複合体であること、銀粒子の焼結体は、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。なお、本発明例1〜3、5〜17で製造したパワーモジュールの接合層についても同様に、銀粒子の焼結体とシリコーン粒子とを含む複合体であること、銀粒子の焼結体は、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。
ヒートシンク付パワーモジュール用基板を、積層方向に沿って切断し、接合層の切断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。
図4に、本発明例4で製造したパワーモジュールの接合層の断面のSEM写真を示す。図4のSEM写真から、接合層は、銀粒子の焼結体とシリコーン粒子とを含む複合体であること、銀粒子の焼結体は、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。なお、本発明例1〜3、5〜17で製造したパワーモジュールの接合層についても同様に、銀粒子の焼結体とシリコーン粒子とを含む複合体であること、銀粒子の焼結体は、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。
銀粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも小さいペースト状接合材組成物を用いて製造した比較例1のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲よりも高くなった。これは、銀粒子が微細であるため、銀粒子の焼結が進行し易くなっためであると推察される。一方、銀粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも大きいペースト状接合材組成物を用いて製造した比較例2、3のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲より低くなった。これは、銀粒子間の隙間が大きくなったためであると推察される。
銀粒子の含有量が本発明の範囲よりも少ないペースト状接合材組成物を用いて製造した比較例4のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲より低くなった。これは、相対的に溶媒の量が多くなったため、銀粒子間に隙間が形成され易くなったためであると推察される。一方、銀粒子の含有量が本発明の範囲よりも多いペースト状接合材組成物を用いた比較例5では、ペースト状接合材組成物層を、回路層の搭載面に形成することができなかった。これは、ペースト状接合材組成物の粘度が高くなりすぎたためであると推察される。
積層体の加熱温度が本発明の範囲よりも低い比較例6では、接合層を形成することができなった。これは、銀粒子が焼結しなかったためである。一方、積層体の加熱温度が本発明の範囲よりも高い接合条件で製造した比較例7についても、接合層を形成することができなった。これは、シリコーン樹脂が高温によって熱分解した結果、ガスが生じたためであると推察される。さらに、積層方向に本発明の範囲よりも大きい圧力を付与する接合条件で製造した比較例8のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲より高くなった。これは、銀粒子同士が強く密着した状態で焼結が進行したためであると推察される。
これに対して、ペースト状接合材組成物の銀粒子の平均粒径と含有量が本発明の範囲内とされ、積層体の加熱温度と積層方向に付与する圧力が本発明の範囲内とされた本発明例1〜17においては、得られたパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲内にあった。
また、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲よりも大きい比較例1、8は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、銀粒子焼結体の弾性率がバルクの銀と同程度になり、接合層による内部応力の緩和機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層の相対密度が本発明の範囲よりも低い比較例2、3、4もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、銀粒子焼結体の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、接合層のシリコーン粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも小さい比較例9は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、シリコーン粒子による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層のシリコーン粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも大きい比較例10もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、接合層のシリコーン粒子の含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例11は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、シリコーン粒子による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層のシリコーン粒子の含有量が本発明の範囲よりも多い比較例12もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、接合層の厚さが本発明の範囲よりも薄い比較例13は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層の厚さが本発明の範囲よりも厚い比較例14もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層の機械強度が低下して、熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、回路層の厚さが本発明の範囲よりも薄い比較例15は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、冷熱サイクル負荷時にシリコン半導体にて発生した熱が接合層に蓄積され、接合層が破損したためであると推察される。一方、回路層の厚さが本発明の範囲よりも厚い比較例16もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、回路層の搭載面とシリコン半導体素子との線膨張係数の差が大きくなりすぎて、接合層に内部応力が蓄積され、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、銀粒子の代わりに銅粒子を用いた比較例17では、350℃の加熱温度では接合層を形成することはできなかった。一方、銀粒子の代わりにSACはんだ粒子を用いた比較例18では、接合層は形成できたが、製造されたパワーモジュールは、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層(SACはんだ)は耐熱性が低く、高温時に機械的強度が低下し、冷熱サイクル負荷時にパワーモジュール用基板とシリコン半導体素子との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力により、接合層が破損したためであると推察される。
これに対して、回路層の厚さ、接合層の銀粒子結体の相対密度とシリコーン粒子の平均粒径および含有量、そして接合層の厚さが本発明の範囲内とされた本発明例1〜17においては、冷熱サイクル後のボイド率が低く抑えられていた。
以上のことから、本発明例によれば、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供することが可能となることが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供することが可能となることが確認された。
[本発明例18]
(1)パワーモジュール用基板の作製
樹脂基板に回路層と金属層とを接合して、パワーモジュール用基板を作製した。樹脂基板の材質はエポキシ樹脂とした。回路層の材質は無酸素銅とした。金属層の材質は高純度銅(6N−Cu)とした。樹脂基板のサイズは40mm×40mm、回路層のサイズは37mm×37mm、金属層のサイズは37mm×37mmとした。回路層の厚さは4mmとした。
(1)パワーモジュール用基板の作製
樹脂基板に回路層と金属層とを接合して、パワーモジュール用基板を作製した。樹脂基板の材質はエポキシ樹脂とした。回路層の材質は無酸素銅とした。金属層の材質は高純度銅(6N−Cu)とした。樹脂基板のサイズは40mm×40mm、回路層のサイズは37mm×37mm、金属層のサイズは37mm×37mmとした。回路層の厚さは4mmとした。
樹脂基板の一方の表面に回路層を、他方の表面に金属層をそれぞれ積層した。次いで、得られた積層体を、積層方向に100kPaの圧力で加圧しながら、150℃で60分間加熱することにより接合して、パワーモジュール用基板を作製した。
(2)ペースト状接合材組成物の調製
本発明例1と同様にして、エチレングリコール(EG)15質量部と、平均粒径0.5μmの銀粉85質量部と、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子6.0質量部とを含むペースト状接合材組成物を調製した。
本発明例1と同様にして、エチレングリコール(EG)15質量部と、平均粒径0.5μmの銀粉85質量部と、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子6.0質量部とを含むペースト状接合材組成物を調製した。
(3)パワーモジュール板の製造
半導体素子として、0.4mmのシリコン半導体素子を準備した。
半導体素子として、0.4mmのシリコン半導体素子を準備した。
先ず、上記(1)で作製したパワーモジュール用基板の回路層の接合面と、準備したシリコン半導体素子の接合面にそれぞれ銀めっきを施して、厚さ0.1μmの銀めっき層を形成した。次に、パワーモジュール用基板の回路層の銀めっき層の表面に、(2)で調製したペースト状接合材組成物を塗布して、ペースト状接合材組成物層を形成した。ペースト状接合材組成物層の厚さは、加熱により生成する接合層の厚さが100μmとなる厚さとした。次いで、パワーモジュール用基板のペースト状接合材組成物層の上に、シリコン半導体素子の銀めっき膜を形成した面を搭載して、パワーモジュール用基板とシリコン半導体素子とを積層した。そして、パワーモジュール用基板とシリコン半導体素子の積層体を加熱器に投入し、大気雰囲気中にて、加熱温度が250℃で、積層方向への加圧を行なわない接合条件にて60分間加熱して、パワーモジュールを製造した。
[本発明例19〜34および比較例19〜35]
パワーモジュール用基板の絶縁基板の材質、回路層の材質と厚さ、金属層の材質、ペースト状接合材組成物の接合材およびシリコーン粒子の種類、溶媒と接合材とシリコーン粒子の配合量、接合条件、接合層の厚さを下記の表3、4に示すように変更したこと以外は、本発明例18と同様にしてパワーモジュールを製造した。
パワーモジュール用基板の絶縁基板の材質、回路層の材質と厚さ、金属層の材質、ペースト状接合材組成物の接合材およびシリコーン粒子の種類、溶媒と接合材とシリコーン粒子の配合量、接合条件、接合層の厚さを下記の表3、4に示すように変更したこと以外は、本発明例18と同様にしてパワーモジュールを製造した。
[評価]
本発明例18〜34および比較例19〜35で製造したパワーモジュールについて、接合層の厚さ、接合層の銀粒子焼結体の相対密度、シリコーン粒子の含有量および冷熱サイクル試験後の接合層のボイド率を、本発明例1と同世にして測定した。その結果を、表3、4に示す。
本発明例18〜34および比較例19〜35で製造したパワーモジュールについて、接合層の厚さ、接合層の銀粒子焼結体の相対密度、シリコーン粒子の含有量および冷熱サイクル試験後の接合層のボイド率を、本発明例1と同世にして測定した。その結果を、表3、4に示す。
(接合層の構造)
また、本発明例18〜34で製造したヒートシンク付パワーモジュール用基板については接合層の構造を、本発明例1と同様にして観察した。
図5に、本発明例22で製造したヒートシンク付パワーモジュール用基板の接合層の断面のSEM写真を示す。図5のSEM写真から、接合層は、銀粒子の焼結体であって、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。なお、本発明例18〜21、23〜34で製造したヒートシンク付パワーモジュール用基板の接合層についても同様に、銀粒子の焼結体であって、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。
また、本発明例18〜34で製造したヒートシンク付パワーモジュール用基板については接合層の構造を、本発明例1と同様にして観察した。
図5に、本発明例22で製造したヒートシンク付パワーモジュール用基板の接合層の断面のSEM写真を示す。図5のSEM写真から、接合層は、銀粒子の焼結体であって、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。なお、本発明例18〜21、23〜34で製造したヒートシンク付パワーモジュール用基板の接合層についても同様に、銀粒子の焼結体であって、多数の気孔を有する多孔質体であることが確認された。
銀粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも小さいペースト状接合材組成物を用いて製造した比較例19のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲よりも高くなった。これは、銀粒子が微細であるため、銀粒子の焼結が進行し易くなっためであると推察される。一方、銀粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも大きいペースト状接合材組成物を用いて製造した比較例20、21のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲より低くなった。これは、銀粒子間の隙間が大きくなったためであると推察される。
銀粒子の含有量が本発明の範囲よりも少ないペースト状接合材組成物を用いて製造した比較例22のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲より低くなった。これは、相対的に溶媒の量が多くなったため、銀粒子間に隙間が形成され易くなったためであると推察される。
積層体の加熱温度が本発明の範囲よりも低い比較例23では、接合層を形成することができなった。これは、銀粒子が焼結しなかったためである。一方、積層体の加熱温度が本発明の範囲よりも高い接合条件で製造した比較例24については、基板と銅回路層が剥離して基板を形成することができなった。これは、絶縁基板を構成する樹脂が熱分解した結果、ガスが生じたためであると推察される。さらに、積層方向に本発明の範囲よりも大きい圧力を付与する接合条件で製造した比較例25のパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲より高くなった。これは、銀粒子同士が強く密着した状態で焼結が進行したためであると推察される。
これに対して、ペースト状接合材組成物の銀粒子の平均粒径と含有量が本発明の範囲内とされ、積層体の加熱温度と積層方向に付与する圧力が本発明の範囲内とされた本発明例18〜34においては、得られたパワーモジュールは、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲内にあった。
また、接合層の銀粒子焼結体の相対密度が本発明の範囲よりも大きい比較例19、25は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、銀粒子焼結体の弾性率がバルクの銀と同程度になり、接合層による内部応力の緩和機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層の相対密度が本発明の範囲よりも低い比較例20、21、22もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、銀粒子焼結体の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、接合層のシリコーン粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも小さい比較例26は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、シリコーン粒子による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層のシリコーン粒子の平均粒径が本発明の範囲よりも大きい比較例27もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、接合層のシリコーン粒子の含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例28は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、シリコーン粒子による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層のシリコーン粒子の含有量が本発明の範囲よりも多い比較例29もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層の機械強度が低下し、冷熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、接合層の厚さが本発明の範囲よりも薄い比較例30は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層による冷熱サイクル負荷時の内部応力を緩和する機能が低下し、冷熱サイクル負荷時に接合層が破損したためであると推察される。一方、接合層の厚さが本発明の範囲よりも厚い比較例31もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層の機械強度が低下して、熱サイクル負荷時において、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、回路層の厚さが本発明の範囲よりも薄い比較例32は、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、冷熱サイクル負荷時にシリコン半導体にて発生した熱が接合層に蓄積され、接合層が破損したためであると推察される。一方、回路層の厚さが本発明の範囲よりも厚い比較例33もまた、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、回路層の搭載面とシリコン半導体素子との線膨張係数の差が大きくなりすぎて、接合層に内部応力が蓄積され、接合層に破損が生じたためであると推察される。
また、銀粒子の代わりに銅粒子を用いた比較例34では、350℃の加熱温度では接合層を形成することはできなかった。一方、銀粒子の代わりにSACはんだ粒子を用いた比較例35では、接合層は形成できたが、製造されたパワーモジュールは、冷熱サイクル後のボイド率が高くなった。これは、接合層(SACはんだ)は耐熱性が低く、高温時に機械的強度が低下し、冷熱サイクル負荷時にパワーモジュール用基板とシリコン半導体素子との間の線膨張係数の差によって生じる内部応力により、接合層が破損したためであると推察される。
これに対して、回路層の厚さ、接合層の銀粒子結体の相対密度とシリコーン粒子の平均粒径および含有量、そして接合層の厚さが本発明の範囲内とされた本発明例18〜34においては、冷熱サイクル後のボイド率が低く抑えられていた。
以上のことから、本発明例によれば、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供することが可能となることが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、冷熱サイクルの負荷による回路層と半導体素子の剥離を長期間にわたって抑制することができるパワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法を提供することが可能となることが確認された。
1 パワーモジュール
2 接合層
3 半導体素子
10 パワーモジュール用基板
11 絶縁基板
12 回路層
12A 搭載面
13 金属層
21 銀粒子焼結体
22 シリコーン粒子
2 接合層
3 半導体素子
10 パワーモジュール用基板
11 絶縁基板
12 回路層
12A 搭載面
13 金属層
21 銀粒子焼結体
22 シリコーン粒子
Claims (4)
- 絶縁基板と、該絶縁基板の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁基板の他方の面に形成された金属層とを有するパワーモジュール用基板と、前記パワーモジュール用基板の前記回路層の前記絶縁基板とは反対側の面に接合層を介して接合された半導体素子と、を備えたパワーモジュールであって、
前記回路層は、厚さが0.5mm以上10mm以下の範囲にあり、
前記接合層は、銀粒子の焼結体と、前記銀粒子の焼結体に分散されているシリコーン粒子とを含む複合体であって、前記銀粒子の焼結体は、相対密度が60%以上90%以下の範囲にある多孔質体であり、前記シリコーン粒子は、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲にあって、前記接合層の前記シリコーン粒子の含有量が5体積%以上70体積%以下の範囲にあり、前記接合層の厚さが10μm以上500μm以下の範囲にあることを特徴とするパワーモジュール。 - 前記絶縁基板が、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のセラミックスを含むセラミックス基板である請求項1に記載のパワーモジュール。
- 前記絶縁基板が、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びポリイミドアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む樹脂基板である請求項1に記載のパワーモジュール。
- 請求項1に記載のパワーモジュールの製造方法であって、
前記パワーモジュール用基板の前記回路層の前記絶縁基板とは反対側の面および前記半導体素子のうちの少なくとも一方の表面に、溶媒と、平均粒径が0.1μm以上1μm以下の範囲内にある銀粒子と、平均粒径が0.5μm以上50μm以下の範囲内にあるシリコーン粒子とを含むペースト状接合材組成物の層であって、前記溶媒と前記銀粒子とを質量比で30:70〜5:95の割合で含む層を形成するペースト状接合材組成物層形成工程と、
前記パワーモジュール用基板と前記半導体素子とを、前記ペースト状接合材組成物の層を介して積層する積層工程と、
積層された前記パワーモジュール用基板と前記半導体素子とを、積層方向に1MPa以下の圧力下で、150℃以上300℃以下の温度にて加熱する加熱工程と、
を備えることを特徴とするパワーモジュールの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2017215794A JP2019087672A (ja) | 2017-11-08 | 2017-11-08 | パワーモジュールおよびパワーモジュールの製造方法 |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019087672A (ja) |
-
2017
- 2017-11-08 JP JP2017215794A patent/JP2019087672A/ja active Pending
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