JP2019087210A - 自律移動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業の効率化を図ることが可能な自律移動装置を提供する。【解決手段】自律移動装置(10)は、走行機構部(30)と、環境認識部(70)と、制御部(80)とを備える。走行機構部は、動力を発生し、通路(1)を走行可能とする。環境認識部は、自律移動装置の進行方向における後方に存在し通路を自律移動装置と同じ方向に移動する他移動体を検出する。制御部は、環境認識部の検出信号に基づき自律移動装置の後方に他移動体が検出され、自律移動装置の速度が他移動体の速度よりも小さい場合には、他移動体が通路を走行可能な幅を確保する位置まで自律移動装置が退避移動するように走行機構部を制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、通路を自律走行する自律移動装置に関する。
従来、例えば特許文献1に記載されるように、自律して走行することが可能な自律移動装置が知られている。特許文献1に記載される自律移動装置は、人や多種ロボットが行き交う中をスムーズに移動するため、他移動体を検出し、他移動体を回避する経路を生成する。そして、進行方向に障害物が存在する場合に、その都度停止することなく障害物を回避しながら移動する。
自律移動装置は、自動車用部品の生産ラインなどの現場において、部品などの搬送物を搬送する装置としても利用される。工場で部品を搬送する際、例えば人や人の運転する牽引車、フォークリフト等、自律移動装置よりも高速に移動できる移動体が後方に存在する際には、道を譲った方が良いことがある。こうした場合、上記特許文献1に記載の自律移動装置のように進行方向に存在する移動体を回避するだけでは、かえって作業効率が悪い場合があった。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、作業の効率化を図ることが可能な自律移動装置を提供することにある。
本発明の自律移動装置は、所定の領域内の通路(1)を自律移動する自律移動装置である。自律移動装置は、走行機構部(30)と、環境認識部(70)と、制御部(80)とを備える。走行機構部は、動力を発生し、通路を走行可能とする。環境認識部は、自律移動装置の進行方向における後方に存在し通路を自律移動装置と同じ方向に移動する他移動体(2,3)を検出する。制御部は、環境認識部の検出信号に基づき自律移動装置の後方に他移動体が検出され、自律移動装置の速度が他移動体の速度よりも小さい場合には、他移動体が通路を走行可能な幅を確保する位置まで自律移動装置が退避移動するように走行機構部を制御する。
本発明の自律移動装置によれば、後方からの速度の速い他移動体に追い越されることで、作業の効率化を図ることができる。また、自律移動装置は、他移動体が通路を走行可能な幅まで幅を広げるように移動するため、他移動体の走行安全性を確保することができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
〈第1実施形態〉
[構成]
本発明の第1実施形態の構成について、図1を参照しつつ説明する。本実施形態の自律移動装置10は、例えば自動車用部品の生産ラインなどで部品の搬送に採用される搬送車である。
〈第1実施形態〉
[構成]
本発明の第1実施形態の構成について、図1を参照しつつ説明する。本実施形態の自律移動装置10は、例えば自動車用部品の生産ラインなどで部品の搬送に採用される搬送車である。
なお、以下の説明において、自律移動装置10の進行方向を「前」とし、進行方向とは反対側を「後」とする。前後方向は、通路1の幅方向に垂直な方向と一致する。自律移動装置10の後から見て右側を「右」とし、自律移動装置10の後から見て左側を「左」とする。左右方向は、通路1の幅方向に一致する。自律移動装置10の進行方向から見て上側を「天」とし、自律移動装置10の進行方向から見て下側を「地」とする。図1に示す自律移動装置10のハード構成は、下記の複数の実施形態において共通である。
図1に示すように、自律移動装置10は、積載部20、走行機構部30、フレーム40、モニタ50、操作部60、環境認識部70、及び制御部80等を備えている。
積載部20は、平面視において矩形状(本実施形態では正方形)をなす外枠21を有し、外枠21の周囲には、図示しない囲い板等が設けられている。図1では、制御部80の所在を明確にするため、積載部20の囲い板等の記載を省略している。板等の上に部品などの搬送物を積載可能である。自律移動装置10の進行方向長さWrと通路幅方向の長さである幅Wsは略同じである。
走行機構部30は、動力を発生し、通路を走行可能とする機構部である。走行機構部30は、積載部20の下に配され、電動機31と、4つの車輪32とを有している。電動機31は、モータであり、通電されることにより回転可能である。車輪32は、積載部20の外枠21の地側に設けられている。また、車輪32は、メカナムホイールであり、4つ以上の複数の円筒33を含む。円筒33は、樽型であり、車輪32において円周上に設けられている。また、円筒33は、円筒33の軸が車輪32の軸に対して回転可能に45度傾くように設けられている。
電動機31は、各車輪32に接続されている。電動機31により、各車輪32はそれぞれ回転可能である。車輪軸の回転と円筒33による動きとのコンビネーションにより、自律移動装置10は、前後左右斜め等の通路上の全方向に移動可能である。
フレーム40は、積載部20の前側に位置し、積載部20から上方に延びて形成されている。モニタ50は、フレーム40に、ねじや固定爪等により固定されている。モニタ50は、画面51を有する。モニタ50は、他移動体2(図3参照)への指示または自律移動装置10の情報を画面51に表示可能である。「自律移動装置10の情報」は、自律移動装置10の走行速度や停止、位置情報等の動作状態や走行ルート、積載部20に積載されている搬送物の名称、状態等の情報を含む。「他移動体への指示」は、「追い越してください」や「停止スイッチを押してください」等のメッセージを、文字や図面などで表記されたものを含む。
操作部60は、例えば、非常停止スイッチまたはティーチングペンダント等である。操作部60は、制御部80による制御を変更可能である。操作部60が操作されることにより、自律移動装置10が停止される。または、操作部60が操作されることにより、自律移動装置10の走行ルートが変更される。操作部60は、モニタ50と一体になっている。モニタ50は、タッチパネルである。なお、モニタ50と操作部60とは、別体であってもよい。
環境認識部70は、積載部20の後方略中央に設けられる第1センサ71と、前方の幅方向両端に一つずつ設けられる第2センサ72,第3センサ73との合計3つで構成されている。各センサ71,72,73は、例えばレーザレーダやソナーなどであり、自律移動装置10の周囲の他移動体2を検出可能である。他移動体2は、通路1を通行しており、例えば、フォークリフト、搬送台車、歩行者等であり、自律移動装置10とは別の移動体である。また、環境認識部70は、例えば部品などを積載時における自律移動装置10の通路幅方向の幅を検出することも可能である。
環境認識部70は、例えば、電波、音波または光を送受信することによって、自律移動装置10から他移動体2までの距離、角度および相対速度を検出可能である。環境認識部70は、自律移動装置10から他移動体2までの距離、角度および相対速度ならびに他移動体2の位置を位置情報として取得する。
自律移動装置10から他移動体2までの距離は、適当な変調が与えられた送信信号の振幅、周波数または位相と受信信号との相関から抽出される送受間の時間差によって、測定される。自律移動装置10から他移動体2までの角度は、電波、音波または光の送受信を限られた方位に限定し、電波、音波または光を走査することによって、測定される。自律移動装置10に対する他移動体2の相対速度は、ドップラ効果により反射された電波、音波または光に生じる周波数偏移を抽出することによって、測定される。
制御部80は、マイコンを主体として構成されており、CPU、RAM、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部80の各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
制御部80は、バッテリ、ジャイロセンサまたは加速度センサ等を有する。また、制御部80は、車輪32および電動機31を制御可能であり、自律移動装置10の速度や向きを変更可能である。制御部80は、環境認識部70からの他移動体2の位置情報等の検出信号に基づき、他移動体2の進行方向の速度を演算することが可能である。また、メモリ装置に記憶されたデータにより先の通路幅Wv(図3参照)や退避領域M(図7参照)の有無を読み出すことが可能である。
さらに、制御部80は、環境認識部70が他移動体2を検出し、自律移動装置10の進行方向の速度が他移動体2の進行方向の速度よりも小さい場合には、他移動体2が通路1を走行可能な幅を確保する位置まで自律移動装置10が退避移動するように走行機構部30を制御する。こうした制御部80による詳細な制御について、以下フローチャートを参照して述べる。
[作用]
本実施形態の自律移動装置10の制御部80が実行する制御方法について、図2を参照して説明する。図2に示すように、まずステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)で、自律移動装置10の後方に、通路1を自律移動装置10と同じ方向に移動する他移動体2が存在するか否かが検出される。後方とは、環境認識部70により検出可能な範囲であって、例えば自律移動装置10から後方数十m程度に適宜設定される。
本実施形態の自律移動装置10の制御部80が実行する制御方法について、図2を参照して説明する。図2に示すように、まずステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)で、自律移動装置10の後方に、通路1を自律移動装置10と同じ方向に移動する他移動体2が存在するか否かが検出される。後方とは、環境認識部70により検出可能な範囲であって、例えば自律移動装置10から後方数十m程度に適宜設定される。
S1で、後方に他移動体2が存在する場合には、S2で、他移動体2の位置と速度が取得される。そして、S3で、自律移動装置10の進行方向の速度Vs(図中は「自速度Vs」と略記)が、他移動体2の進行方向の速度Vo(図中は「他速度Vo」と略記)より小さいか否かが判断される。
自律移動装置10の速度Vsが、他移動体2の速度Voより小さい場合、すなわち他移動体2が自律移動装置10より高速で進行方向に進んでいる場合には、S4で、想定地点Rでの通路幅Wvと、他移動体2の幅Woが取得される。想定地点Rは、走行を継続した場合に他移動体2に追いつかれると想定される地点である。なお、他移動体2の位置と速度、通路幅Wv、自律移動装置10の幅Ws、及び他移動体の幅Woは、予めメモリ装置に記憶されたデータから読み出しても良いし、環境認識部70からの検出信号に基づいて測定しても良い。
そして、S5で、通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Ws(図中は「自移動体幅Ws」と略記)と他移動体の幅Wo(図中は「他移動体幅Wo」と略記)の和より大きいか否かが判断される。通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Wsと他移動体2の幅Woの和より大きいという条件(Wv>Ws+Wo)を満たす場合は、すなわち通路幅Wvは十分広く、他移動体2が自律移動装置10を追い越すことが可能であることを意味する。なお、他移動体2の幅Wo及び自律移動装置10の幅Wsは、各積載物の幅が装置自体からはみ出して装置の寸法よりも大きいときは、積載物の寸法を含めた最大の通路幅方向の長さとする。
そして、S5で、自律移動装置10の幅Wsと他移動体の幅Woの和より大きい場合には、S6に進み、他移動体2の通行幅が大きくなるように、自律移動装置10が移動され停止される。詳しくは、図3に示すように、自律移動装置10が矢印A1に示すように通路1の右側方に移動され停止される。図3において、実線で示す自律移動装置10は移動前の位置であり、破線で示す自律移動装置10は移動後の位置を示している。
そして、S7で、他移動体2が自律移動装置10の前に移動したか否かが判断される。すなわち、他移動体2が自律移動装置10を追い越したかどうかが判断される。これは、例えば前方の第2センサ72及び第3センサ73からの信号を受信することにより検出可能である。他移動体2が自律移動装置10の前に移動したと判断されるまで、S7のステップが繰り返される。そして、他移動体2が自律移動装置10の前に移動した場合には、追い越しが完了したことを意味するため、本制御処理を終了する。
なお、S1において後方に他移動体2を検出しない場合や、S3で自律移動装置10の速度Vsが、他移動体2の速度Voより小さくない場合には処理を終了する。また、S5で、通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Wsと他移動体2の幅Woの和より大きくない場合(Wv≦Ws+Wo)にも処理を終了する。
[効果]
上記第1実施形態の自律移動装置10では、後方からの速度の速い他移動体2にあえて追い越されることで、工場のラインでの作業効率化を図ることができる。また、S5において、追いつかれると想定される想定地点Rでの通路幅Wvが十分にあるか否かが判断された後に、自律移動装置10は他移動体2が通路1を走行可能な幅を確保する位置まで、幅を広げるように退避移動する。このため、追い越し時の他移動体2の走行安全性を確保することができる。他移動体2は、広げられた通行幅内を矢印A2に示すように安全に走行可能となる。
上記第1実施形態の自律移動装置10では、後方からの速度の速い他移動体2にあえて追い越されることで、工場のラインでの作業効率化を図ることができる。また、S5において、追いつかれると想定される想定地点Rでの通路幅Wvが十分にあるか否かが判断された後に、自律移動装置10は他移動体2が通路1を走行可能な幅を確保する位置まで、幅を広げるように退避移動する。このため、追い越し時の他移動体2の走行安全性を確保することができる。他移動体2は、広げられた通行幅内を矢印A2に示すように安全に走行可能となる。
また、上記第1実施形態では、車輪32をメカナムホイールで構成している。これにより、自律移動装置10は、左右方向に移動しやすく、全方向に移動できる。このため、自律移動装置10が他移動体2に対して退避移動するとき、自律移動装置10の移動を最短かつ速やかにできる。
〈第2実施形態〉
次に、第2実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態での制御と比較して、S6の制御時において自律移動装置10の向きが変更される。第2実施形態では、図2のS6に代えて「他移動体の通行幅が大きくなるように、かつ、モニタ50及び操作部60が他移動体2に向くように移動させたのち停止」として実行される。
次に、第2実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態での制御と比較して、S6の制御時において自律移動装置10の向きが変更される。第2実施形態では、図2のS6に代えて「他移動体の通行幅が大きくなるように、かつ、モニタ50及び操作部60が他移動体2に向くように移動させたのち停止」として実行される。
図4に示すように、自律移動装置10は、A1方向に退避するとき、モニタ50及び操作部60が他移動体2に向くように90度回転して停止する。例えば、図4に示すように、通路1の右側に寄る場合には左に90度回転する。また、通路1の左側に寄る場合には右に90度回転する。なお、回転方向は、モニタ50及び操作部60が車体の後方に設定されている場合には逆になる。
第2実施形態によれば、他移動体2としての歩行者が矢印A2方向に進んで、モニタ50の画面51に表示される内容を視認することで、自律移動装置10の状態を確認することができる。例えば、図4に示すように、「追い越してください」を意味する矢印を画面51に表示することで、自律移動装置10の移動が故障ではなく退避行動であると把握できる。そして、歩行者は自律移動装置10が退避行動したと確認して、安心かつ安全に自律移動装置10を追い越すことができる。
なお、上記では画面51に表示される画面の一例として矢印を図示して説明したが、画面51にはその他、種々の指示が表示可能である。例えば、「タッチパネルの停止ボタンを押してください」等の操作部60への具体的操作を促すメッセージを表示させても良い。また、画面51の表示内容を切り替えて、複数の指示やメッセージが交代で表示されるようにしても良い。そして、本実施形態では、操作部60は他移動体2に向いているため、他移動体2としての歩行者は操作部60を簡単に操作することができ、操作性を向上させることができる。
〈第3実施形態〉
次に、第3実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について、図5を参照して説明する。なおこれ以下の各実施形態において、第1実施形態と実質同様の制御ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
次に、第3実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について、図5を参照して説明する。なおこれ以下の各実施形態において、第1実施形態と実質同様の制御ステップについては同じ符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、第1実施形態において図2に示したフローチャートのうち、S1〜S5までの処理については同様である。図5に示すように、第3実施形態では、S5で、追い越し想定地点Rでの通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Wsと他移動体の幅Woの和より大きいという条件を満たす場合(Wv>Ws+Wo)に、S51に進む。S51で、通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Ws、他移動体の幅Wo、及び予め設定された通行余裕幅Weの和より小さいか否かが判断される。通行余裕幅Weは、他移動体2が自律移動装置10を追い抜くときに、自律移動装置10が停止することなく走行を継続したままでも十分に安全が確保される幅に設定される。
そして、S51で、通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Ws、他移動体の幅Wo、及び予め設定された通行余裕幅Weの和より小さい場合には、十分な通行余裕幅Weが存在しないことを意味するため、S6に進み、自律移動装置10を、他移動体2の通行幅が広くなるように移動させ、かつ停止させる。
一方、S51で、通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Ws、他移動体の幅Wo、及び予め設定された通行余裕幅Weの和以上であり、すなわち、通路に十分な余裕がある場合には、S52に進み、自律移動装置10を、他移動体2の通行幅が広くなるように移動させ、かつ走行は継続させる。
上記第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、自律移動装置10が停止することなく走行を継続するため、自律移動装置10の作業効率の低下を極力抑制することができる。また、通行余裕幅Weが存在するか否かを判断しているため、追い越し時における、移動体同士の接触を確実に回避することができ、安全性を向上させることができる。
〈第4実施形態〉
次に、第4実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について、図6,図7を参照して説明する。第4実施形態では、第1実施形態において図2に示したフローチャートのうち、S1〜S5までの処理については同様である。図6に示すように、第3実施形態では、S5で、追い越し想定地点Rでの通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Wsと他移動体の幅Woの和より大きいという条件を満たさない場合、S53に進む。
次に、第4実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について、図6,図7を参照して説明する。第4実施形態では、第1実施形態において図2に示したフローチャートのうち、S1〜S5までの処理については同様である。図6に示すように、第3実施形態では、S5で、追い越し想定地点Rでの通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Wsと他移動体の幅Woの和より大きいという条件を満たさない場合、S53に進む。
S53において、想定地点Rまでの通路側方に退避領域M(図7参照)が有るか否かが判断される。そして、退避領域Mが有る場合には、S54で、走行を継続させて図7に破線で示すように自律移動装置10を退避領域Mへ移動させて停止させる。その後は、S7に進む。退避領域Mは、予めメモリ装置に記憶されたデータから読み出しても良いし、環境認識部70からの検出信号に基づいて測定しても良い。
上記第4実施形態によれば、他移動体2が自律移動装置10を追い越すための通路幅が十分に確保できない場合でも、例えば通路側に退避領域Mが所々に設けられた工場内において、後方に存在する他移動体2に通路を譲ることができる。そして、生産ライン全体としての効率を向上させることができる。また、設備上、すれ違いのために通路1の幅を全長に亘って大きくする必要がなく、より省スペースの生産ラインを組むことができる。
〈第5実施形態〉
次に、第5実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について、図8,図9を参照して説明する。第5実施形態では、第1実施形態において図2に示したフローチャートのうち、S1〜S5までの処理については同様である。
次に、第5実施形態において、自律移動装置10の制御部80が実行する制御について、図8,図9を参照して説明する。第5実施形態では、第1実施形態において図2に示したフローチャートのうち、S1〜S5までの処理については同様である。
図9に示すように、工場内の通路1の右脇には部品置き場4が設けられ、部品置き場4の進行方向先には、組立や溶接などの所定の設備5が設けられる。通路1の左脇であって、設備5に対向する位置には設備6が設けられている。設備5,6は、限られた距離内で組まれており、移動可能終点B3まで移動体が走行可能である。ここで、自律移動装置10の進行方向の速度をV1とし、他移動体3の進行方向の速度をV2とする。本実施形態では、他移動体3は搬送車として例示している。自律移動装置10の現在位置B1から移動可能終点B3までの距離をL1とする。自律移動装置10の現在位置B1と他移動体3の現在位置B2との距離をL2とする。
図8に示すように、第5実施形態では、S5で、追い越し想定地点Rでの通路幅Wvが、自律移動装置10の幅Wsと他移動体の幅Woの和より大きいという条件を満たす場合(Wv>Ws+Wo)に、S55に進む。S55において、下記式(1)を満たすか否かが判断される。
式(1)を満たす場合、すなわち、移動可能終点B3までに、他移動体3が自律移動装置10に追いつくと判断される場合には、S56に進む。S56において、他移動体3の優先度Po及び自律移動装置10の優先度Psが取得される。優先度は、移動体ごとに予め設定されており、通信を介して環境認識部70により認識可能である。優先度は、例えば歩行者であれば低く(例えば「0」)、フォークリフトなどの搬送台車であれば高く(例えば「1」)設定される。他には、各移動体のタクトタイムごとに適宜段階的に設定しても良い。例えば、同じ搬送台車であっても、タクトタイムに余裕がある方から低く、余裕がない方へ順次優先度が高くなるように(例えば「1」〜「5」)設定しても良い。
S56で優先度が取得されると、S57で、優先度が比較され、他移動体3の優先度Poが自律移動装置10の優先度Psよりも高いか否かが判断される。そして、他移動体3の優先度Poの方が自律移動装置10の優先度Psよりも高い場合には、S6に進み、自律移動装置10を、他移動体2の通行幅が広くなるように移動させ、かつ停止させる。
なお、S55で式(1)を満たさない場合、すなわち移動可能終点B3までに、他移動体3が自律移動装置10に追いつかない場合には、本処理を終了する。また、S57で、他移動体3の優先度Poが自律移動装置10の優先度Psよりも低い場合には、本処理を終了する。これは、たとえ後方の他移動体3が高速であっても、自律移動装置10の優先度Psが他移動体3の優先度Poよりも高い場合には、退避移動せずに進行した方が設備全体としての効率が良いためである。
上記第5実施形態によれば、他移動体3の優先度Po及び自律移動装置10の優先度Psを比較して、追い越しをさせた方が良いかどうかを判断している。後方に高速な他移動体3が存在しても、自律移動装置10の優先度が高ければ、退避移動をすることなく走行を継続した方が工場全体としては効率的な場合もある。その点、第5実施形態によれば、優先度を比較することにより自律移動装置10の優先度Psが後方の他移動体3の優先度Poより低い場合にのみ退避移動をする。これにより、工場全体の生産効率を向上させることができる。
〈他の実施形態〉
上記各実施形態において、環境認識部70は、後方に一つの第1センサ71と、前方に二つの第2センサ72,第3センサ73とを有して構成したが、後方の両サイドにセンサを設けても良いし、前方の中央に一つのセンサを設けても良い。特定の周囲を検知できれば良く、環境認識部70の構成はその他種々の形態に変更可能である。また、例えば、カメラによる画像、温度センサによる温度等を用いて他移動体2,3を検出するようにしてもよい。
上記各実施形態において、環境認識部70は、後方に一つの第1センサ71と、前方に二つの第2センサ72,第3センサ73とを有して構成したが、後方の両サイドにセンサを設けても良いし、前方の中央に一つのセンサを設けても良い。特定の周囲を検知できれば良く、環境認識部70の構成はその他種々の形態に変更可能である。また、例えば、カメラによる画像、温度センサによる温度等を用いて他移動体2,3を検出するようにしてもよい。
また、表示装置としてのモニタ50は、フレーム40と併せて車体の後方に設けても良いし、右側または左側に設けても良い。
上記各実施形態において、自律移動装置10の進行方向の長さWrと通路方向の幅Wsとは同じであるとしたが、異なっていても良い。そして、例えば図2に示すフローチャートのS5において、幅Wsの代わりに進行方向の長さWrを採用しても良い。例えば進行方向の長さWrが幅Wsより短く、自律移動装置10の向きを変更すれば追い越しが可能である場合には、第2実施形態の図4に示すように、自律移動装置10が90度回転して停止するように制御される。これにより、他移動体2は自律移動装置10を追い越すことができる。
上記第3実施形態では、S54で、自律移動装置10を退避領域Mへ移動させて停止させるようにした。例えば図10に示すように、退避領域M2が進行方向に十分な走行領域を有していれば、停止させずに退避領域M2において進行方向に走行を継続するようにしても良い。なお、図10では、他移動体3を搬送台車として例示してある。
上記各実施形態において、走行機構部30としてメカナムホイールを用いたが、オムニホイールなどその他の機構でも良い。
上記第2実施形態の自律移動装置10は、モニタ50及び操作部60が他移動体に向くように、その向きを変更するようにしたが、例えばモニタ50と操作部60が異なる場所に配置されている場合には、モニタ50と操作部60のうち、より優先したい機器が他移動体2に向くようにしても良い。
上記第5実施形態において、予め優先度が登録されていない高速な他移動体3が近づいてきた場合には、安全を優先して他移動体3の優先度Poは自律移動装置10の優先度Psより高いものと決定して自律移動装置10を退避移動させるようにしても良い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 ・・・通路
2,3 ・・・他移動体
10 ・・・自律移動装置
30 ・・・走行機構部
50 ・・・モニタ(表示装置)
60 ・・・操作部
70 ・・・環境認識部
80 ・・・制御部
2,3 ・・・他移動体
10 ・・・自律移動装置
30 ・・・走行機構部
50 ・・・モニタ(表示装置)
60 ・・・操作部
70 ・・・環境認識部
80 ・・・制御部
Claims (8)
- 所定の領域内の通路(1)を自律移動する自律移動装置であって、
動力を発生し、前記通路を走行可能とする走行機構部(30)と、
前記自律移動装置の進行方向における後方に存在し前記通路を前記自律移動装置と同じ方向に移動する他移動体(2,3)を検出する環境認識部(70)と、
前記環境認識部の検出信号に基づき前記自律移動装置の前記後方に前記他移動体が検出され、前記自律移動装置の速度が前記他移動体の速度よりも小さい場合には、前記他移動体が前記通路を走行可能な幅を確保する位置まで前記自律移動装置が退避移動するように前記走行機構部を制御する制御部(80)と、
を備える自律移動装置。 - 前記制御部は、
前記他移動体が前記自律移動装置に追いつくと想定される想定地点(R)の通路幅(Wv)が、前記他移動体(2)の通路幅方向の長さである幅(Wo)と、前記自律移動装置の前記通路幅方向の長さである幅(Ws)または前記進行方向の長さ(Wr)、との和より大きい場合に、前記自律移動装置が退避移動するように前記走行機構部を制御する請求項1に記載の自律移動装置。 - 前記制御部は、
前記他移動体が前記自律移動装置に追いつくと想定される想定地点(R)での通路幅(Wv)が、前記他移動体(2)の通路幅方向の長さである幅(Wo)と前記自律移動装置の前記通路幅方向の長さである幅(Ws)との和以下であり、かつ、前記想定地点より手前の前記進行方向に退避領域(M)が存在する場合に、前記自律移動装置が前記退避領域に移動するように前記走行機構部を制御する請求項1に記載の自律移動装置。 - 前記制御部は、前記自律移動装置が退避移動した後退避位置で停止するように前記走行機構部を制御する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の自律移動装置。
- 前記制御部は、
前記想定地点での前記通路幅が、前記他移動体の前記幅、前記自律移動装置の前記幅、及び予め設定された通行余裕幅(We)の和より大きい場合に、前記自律移動装置が退避移動した後停止することなく走行を継続するように前記走行機構部を制御する請求項2に記載の自律移動装置。 - 前記他移動体への指示または前記自律移動装置の情報を表示する表示装置(50)をさらに備え、
前記制御部は、前記自律移動装置が退避移動した際に前記表示装置が前記他移動体に向くように前記走行機構部を制御する請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の自律移動装置。 - 前記制御部による制御を外部操作により変更可能な操作部(60)をさらに備え、
前記制御部は、前記自律移動装置が退避移動した際に前記操作部が前記他移動体に向くように前記走行機構部を制御する請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の自律移動装置。
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