[情報処理システムの構成]
図1は、情報処理システム10の全体構成を示す図である。図1に示す情報処理システム10は、例えば、利用者にサービスを提供するための業務システムである。そして、図1に示す情報処理システム10は、調査用VM3cが生成される管理装置1と、運用VM3aが生成される情報処理装置2と、インターネット等のネットワークを介して管理装置1及び情報処理装置2とアクセスを行う複数台の事業者端末5とを有する。
管理装置1及び情報処理装置2は、それぞれ1台以上の物理マシンから構成される。各物理マシンは、CPU(Central Computing Unit)と、メモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)と、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)とを有する。
管理装置1の仮想化ソフトウエア4bは、図1に示すように、管理装置1の物理リソースを割り当てることによって1台以上の調査用VM3cを生成する。また、情報処理装置2の仮想化ソフトウエア4aは、図1に示すように、情報処理装置2の物理リソースを割り当てることによって1台以上の運用VM3aを生成する。
そして、管理装置1及び情報処理装置2は、所定のタイミングにおいて運用VM3aと調査用VM3cとの同期を行う。具体的に、管理装置1は、例えば、情報処理装置2から運用VM3aが有するデータの送信が行われるごとに、管理装置1において新たな調査用VM3cを生成し、情報処理装置2から送信されたデータを反映する。これにより、管理装置1は、調査用VM3cにアクセスすることで、現在の運用VM3aについてのみでなく、過去の状態の運用VM3aについても調査を行うことが可能になる。
しかしながら、運用VM3aが有するデータの量が膨大である場合、管理装置1に対するデータの送信に伴う情報処理装置2の処理負担や、新たな調査用VM3cの生成に伴う管理装置1の処理負担が増大する。そのため、事業者は、運用VM3aと調査用VM3cとの同期を行うためのデータの送信を効率的に行う必要がある。
そこで、本実施の形態における管理装置1は、運用VM3a(以下、第1仮想マシン3aとも呼ぶ)から、複数の期間のそれぞれにおける運用VM3aに関する複数の監視データを取得する。そして、管理装置1は、取得した複数の監視データに基づいて、運用VM3aの動作状態の変化傾向を算出する。
その後、管理装置1は、算出した変化傾向に基づいて、運用VM3aが有するデータと、調査用VM3c(以下、第2仮想マシン3cとも呼ぶ)が有するデータとの差分データを、調査用VM3cに送信するか否かを判定する。そして、管理装置1は、差分データを送信すると判定した場合、調査用VM3cに対する差分データの送信を指示する。
すなわち、管理装置1は、運用VM3aと調査用VM3cとの同期を行う場合、情報処理装置2の仮想化ソフトウエア4aに対し、運用VM3aが有するデータのうち、調査用VM3cに対する送信が行われていないデータ(差分データ)のみの送信を指示する。また、管理装置1は、この場合、運用VM3aから取得した監視データに基づいて算出した変化傾向が所定の条件を満たした場合にのみ、調査用VM3cに対する差分データの送信を指示する。
これにより、管理装置1は、運用VM3aが調査用VM3cの記憶領域に送信するデータ量及びデータの送信頻度を抑制することが可能になる。そのため、管理装置1は、調査用VM3cの記憶領域に対するデータの送信に伴う情報処理装置2の処理負担を軽減させることが可能になる。
なお、仮想化ソフトウエア4aは、例えば、管理装置1から差分データの送信の指示を受け付けた場合、調査用VM3cがアクセス可能な記憶領域(以下、単に調査用VM3cの記憶領域とも呼ぶ)に対して差分データの送信を行う。そして、管理装置1は、例えば、事業者から指示を受け付けたことに応じて、調査用VM3cの記憶領域に記憶された差分データの少なくとも一部を反映させた調査用VM3cを生成することにより、所定の世代に対応する運用VM3aと調査用VM3cとの同期を行う。
これにより、管理装置1は、同時に生成される調査用VM3cの数を抑制することが可能になる。そのため、管理装置1は、調査用VM3cの生成に伴う管理装置1の処理負担を軽減させることが可能になる。
[情報処理システムのハードウエア構成]
次に、情報処理システム10のハードウエア構成について説明する。図2は、管理装置1のハードウエア構成を説明する図である。また、図3は、情報処理装置2のハードウエア構成を説明する図である。
管理装置1は、図2に示すように、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、外部インターフェース(I/Oユニット)103と、記憶媒体(ストレージ)104と、各種情報を表示する表示装置105とを有する。各部は、バス106を介して互いに接続される。
記憶媒体104は、記憶媒体104内のプログラム格納領域(図示しない)に、運用VM3aに関する資料を採取する処理(以下、調査資料採取処理とも呼ぶ)を行うためのプログラム110を記憶する。記憶媒体104は、例えば、HDDであってよい。
また、記憶媒体104は、例えば、調査資料採取処理を行う際に用いられる情報を記憶する情報格納領域130(以下、記憶部130とも呼ぶ)を有する。なお、調査用VM3cの記憶領域は、例えば、情報格納領域130に対応する。
CPU101は、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラム110を実行して調査資料採取処理を行う。
外部インターフェース103は、情報処理装置2及び事業者端末5と通信を行う。
そして、情報処理装置2は、図3に示すように、プロセッサであるCPU201と、メモリ202と、外部インターフェース(I/Oユニット)203と、記憶媒体(ストレージ)204と、各種情報を表示する表示装置205とを有する。各部は、バス206を介して互いに接続される。
記憶媒体204は、記憶媒体204内のプログラム格納領域(図示しない)に、各種処理を行うためのプログラム210を記憶する。記憶媒体204は、例えば、HDDであってよい。
また、記憶媒体204は、例えば、調査資料採取処理を行う際に用いられる情報を記憶する情報格納領域230(以下、記憶部230とも呼ぶ)を有する。
CPU201は、記憶媒体204からメモリ202にロードされたプログラム210を実行して調査資料採取処理を行う。
外部インターフェース203は、管理装置1及び事業者端末5と通信を行う。
[情報処理システムのソフトウエア構成]
次に、情報処理システム10のソフトウエア構成について説明する。図4は、管理装置1の機能ブロック図である。
管理装置1は、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラム110とが有機的に協働することにより、図4に示すように、VM生成指示部111と、監視データ取得部112と、変化傾向算出部113と、送信判定部114と、送信指示部115と、情報蓄積部116とを含む各種機能を実現する。
また、図2で説明した情報格納領域130には、図4に示すように、監視データ131と、履歴データ132と、差分データ133とが記憶される。
VM生成指示部111は、情報処理装置2の仮想化ソフトウエア4aに対し、管理装置1における調査用VM3cの生成を指示する。また、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4aに対し、運用VM3aが有するデータの情報格納領域130(調査用VM3cの記憶領域)に対する送信を指示する。具体的に、VM生成指示部111は、この場合、運用VM3aのメモリ(情報処理装置2が有するメモリ202の一部)に記憶されたデータと、運用VM3aのCPU(情報処理装置2が有するCPU201の一部)のコンテキストとの送信を指示する。すなわち、VM生成指示部111は、調査用VM3cを生成したことに伴い、運用VM3aが有するデータと調査用VM3cが有するデータとの同期を行う。なお、以下、VM生成指示部111からの指示によって情報格納領域130に送信されるデータを初回送信データとも呼ぶ。
監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aから、複数の期間のそれぞれにおける運用VM3aの複数の監視データ131を取得する。監視データ131は、例えば、運用VM3aのCPU(情報処理装置2が有するCPU201の一部)における動作時間を含むデータであってよい。また、監視データ131は、例えば、運用VM3aのCPUに対して割り込みが行われてから応答があるまでの時間を含むデータであってよい。さらに、監視データ131は、例えば、運用VM3aのCPUに対する割り込みの回数を含むデータであってよい。そして、監視データ取得部112は、取得した監視データ131を情報格納領域130に記憶する。
なお、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aに対して監視データ131の送信指示を送信するものであってよい。そして、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aから送信された監視データ131を取得するものであってもよい。
変化傾向算出部113は、監視データ取得部112が取得した複数の監視データ131に基づいて、運用VM3aの動作状態の変化傾向を算出する。
送信判定部114は、変化傾向算出部113が算出した変化傾向に基づいて、運用VM3aが有するデータのうち、調査用VM3cに送信していないデータである差分データ133を情報格納領域130に送信させるか否かを判定する。
送信指示部115は、差分データ133を送信すると判定した場合、仮想化ソフトウエア4aに対し、情報格納領域130に対する差分データ133の送信を指示する。そして、仮想化ソフトウエア4aは、この場合、例えば、メモリ202に記憶されたデータのうち、情報格納領域130に対して差分データ133の送信が前回行われた後に更新されたデータ(以下、Dirtyデータとも呼ぶ)を特定し、特定したDirtyデータを差分データ133として情報格納領域130に送信する。具体的に、仮想化ソフトウエア4aは、この場合、データが更新されたか否かの情報を所定サイズのデータごとに管理するフラグ(以下、Dirtyフラグとも呼ぶ)を参照することにより、メモリ202に記憶されたデータからDirtyデータの特定を行う。
なお、Dirtyフラグは、例えば、メモリ202内に位置するフラグであって、仮想化ソフトウエア4aによって情報の設定が行われるフラグである。具体的に、Dirtyフラグには、対応するデータが運用VM3aによる処理に応じて更新されたことに応じて、データの更新が行われたことを示す情報(情報格納領域130に送信する必要があることを示す情報)が設定される。また、Dirtyフラグには、対応するデータ(Dirtyデータ)が情報格納領域130に送信されたことに応じて、データが更新されていないことを示す情報(情報格納領域130に送信する必要がないことを示す情報)が設定される。
情報蓄積部116は、仮想化ソフトウエア4aが送信した差分データ133を受信する。そして、情報蓄積部116は、受信した差分データ133を情報格納領域130に記憶する。この場合、情報蓄積部116は、例えば、仮想化ソフトウエア4aから送信された差分データ133を世代別に区分けして記憶する。また、情報蓄積部116は、例えば、監視データ取得部112が取得した監視データ131の識別情報と、情報蓄積部116が受信した差分データ133の識別情報とを含む履歴データ132を情報格納領域130に記憶する。
なお、以下、差分データ133には、VM生成指示部111からの指示によって情報格納領域130に送信されたデータ(初回送信データ)が含まれるものとして説明を行う。
[第1の実施の形態の概略]
次に、第1の実施の形態の概略について説明する。図5は、第1の実施の形態における調査資料採取処理の概略を説明するフローチャートである。図6から図8は、第1の実施の形態における調査採取処理の概略を説明する図である。図6から図8を参照しながら、図5に示す調査資料採取処理の概略について説明を行う。
管理装置1は、図5に示すように、監視データ取得タイミングになるまで待機する(S1のNO)。監視データ取得タイミングは、例えば、1分ごと等の定期的なタイミングであってよい。
そして、監視データ取得タイミングになった場合(S1のYES)、管理装置1は、図6に示すように、複数の期間のそれぞれにおける運用VM3aに関する複数の監視データ131を取得する(S2)。具体的に、管理装置1は、情報処理装置2の仮想化ソフトウエア4aから、複数の監視データ131の取得を行う。そして、管理装置1は、取得した複数の監視データ131を情報格納領域130に記憶する。
続いて、管理装置1は、図6に示すように、S2の処理で取得した複数の監視データ131に基づいて、運用VM3aの動作状態の変化傾向を算出する(S3)。そして、管理装置1は、図7に示すように、S3の処理で算出した変化傾向に基づいて、運用VM3aが有するデータと、運用VM3aと同期を行う調査用VM3cが有するデータとの差分データ133を、調査用VM3c(情報格納領域130)に送信させるか否かを判定する(S4)。
その結果、差分データ133を調査用VM3cに送信させると判定した場合(S5のYES)、管理装置1は、図7に示すように、差分データ133の送信指示を行う(S6)。具体的に、管理装置1は、この場合、仮想化ソフトウエア4aに対し、差分データ133の送信指示を行う。一方、差分データ133を調査用VM3cに送信しないと判定した場合(S5のNO)、管理装置1は、S6の処理を行わない。
その後、仮想化ソフトウエア4aは、図8に示すように、情報処理装置2のメモリ202に記憶されたデータのうちのDirtyデータを、差分データ133として調査用VM3cに送信する。具体的に、仮想化ソフトウエア4aは、差分データ133を管理装置1の仮想化ソフトウエア4bに対して送信する。そして、仮想化ソフトウエア4bは、仮想化ソフトウエア4aから送信された差分データ133を受信した場合、受信した差分データ133を情報格納領域130に記憶する。
すなわち、管理装置1は、運用VM3aと調査用VM3cとの同期を行う場合、情報処理装置2の仮想化ソフトウエア4aに対し、調査用VM3cに対する送信が行われていない差分データ133のみの送信を指示する。また、管理装置1は、この場合、差分データ133よりもデータ量が少ない監視データ131を仮想化ソフトウエア4aから取得し、取得した監視データ131に基づいて算出した変化傾向が所定の条件を満たした場合にのみ、調査用VM3cに対する差分データ133の送信を指示する。
これにより、管理装置1は、運用VM3aが調査用VM3cに送信するデータ量及びデータの送信頻度を抑制することが可能になる。そのため、管理装置1は、調査用VM3cに対するデータの送信に伴う運用VM3aの負荷を抑制することが可能になる。
なお、図5から図8で説明した例では、仮想化ソフトウエア4aが、メモリ202に記憶されたデータのうちのDirtyデータを差分データ133として送信する場合について説明を行った。これに対し、仮想化ソフトウエア4aは、メモリ202に記憶されたデータのうちのDirtyデータだけでなく、記憶媒体204に記憶されたデータのうちのDirtyデータを差分データ133として送信するものであってもよい。
[第1の実施の形態の詳細]
次に、第1の実施の形態の詳細について説明する。図9から図18は、第1の実施の形態における調査資料採取処理の詳細を説明するフローチャートである。また、図19から図26は、第1の実施の形態における調査資料採取処理の詳細を説明する図である。図19から図26を参照しながら、図9から図18に示す調査資料採取処理を説明する。
[監視開始時の調査資料採取処理]
初めに、運用VM3aの監視が開始される際に行われる調査資料採取処理(以下、監視開始時の調査資料採取処理とも呼ぶ)について説明を行う。図9及び図10は、監視開始時の調査資料採取処理の具体例を説明するフローチャートである。
管理装置1のVM生成指示部111は、図9に示すように、VM監視開始タイミングになるまで待機する(S11のNO)。VM監視開始タイミングは、例えば、事業者によって運用VM3aの監視を開始する旨の情報が入力されたタイミングであってよい。
そして、VM監視開始タイミングになった場合(S11のYES)、VM生成指示部111は、情報処理装置2の仮想化ソフトウエア4aに対し、運用VM3aと調査用VM3cとの間におけるデータの同期を指示する(S12)。具体的に、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4aに対し、運用VM3aが有するデータ(初回送信データ)の情報格納領域130に対する送信を指示する。
続いて、管理装置1の監視データ取得部112は、運用VM3aと調査用VM3cとの間におけるデータの同期が完了するまで待機する(S13のNO)。そして、運用VM3aと調査用VM3cとの間におけるデータの同期が完了した場合(S13のYES)、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aに対し、監視データ131の送信指示を送信する(S14)。
その後、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aから監視データ131を受信するまで待機する(S15のNO)。すなわち、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aが情報処理装置2のCPU201等から必要なデータを取得して監視データ131を生成し、生成した監視データ131を管理装置1に送信するまで待機する。以下、監視データ131の具体例について説明を行う。
[監視データの具体例]
図19及び図22は、監視データ131の具体例を説明する図である。なお、以下、監視データ131が情報処理装置2のCPU201における単位時間あたりの動作時間を含むものとして説明を行う。
図19等に示す監視データ131は、監視データ131に含まれる各データを識別する「項番」と、各データの識別情報が設定される「識別情報」と、仮想化ソフトウエア4aによる各データの生成時刻が設定される「生成時刻」とを項目として有している。また、図19等に示す監視データ131は、運用VM3aのCPU(情報処理装置2が有するCPU201の一部)の動作時間の累計が設定される「累計動作時間」と、前回監視データ131が生成された後における運用VM3aのCPUの動作時間が設定される「動作時間増加量」とを項目として有している。
具体的に、図19に示す監視データ131において、「項番」が「1」であるデータには、「識別情報」として「A001」が設定され、「生成時刻」として「5:12:26」が設定され、「累計動作時間」として「171953.29(秒)」が設定され、「動作時間増加量」として「+0.00(秒)」が設定されている。すなわち、S15の処理において監視データ取得部112が受信する監視データ131は、運用VM3aの監視が開始されてから最初に受信される監視データ131である。そのため、図19に示す監視データ131の「動作時間増加量」には、「+0.00(秒)」が設定されている。
図9に戻り、仮想化ソフトウエア4aから監視データ131を受信した場合(S15のYES)、監視データ取得部112は、例えば、S15の処理で受信した監視データ131の識別情報と、S15の処理で受信した監視データ131の識別情報を含む履歴データ132とを情報格納領域130に記憶する(S16)。以下、履歴データ132の具体例について説明を行う。
[履歴データの具体例]
図20、図21及び図23から図26は、履歴データ132の具体例を説明する図である。
図20等に示す履歴データ132は、履歴データ132に含まれる各データを識別する「項番」と、各データの生成日時が設定される「生成日時」と、各データの生成タイミングが設定される「トリガ」とを項目として有する。また、図20等に示す履歴データ132は、監視データ131の識別情報が設定される「監視データ」と、監視データ131に基づいて算出される変化傾向が設定される「変化傾向」と、仮想化ソフトウエア4aから送信される差分データ133の識別情報が設定される「差分データ」とを項目として有する。
具体的に、監視データ取得部112は、S16の処理において、図20に示すように、「項番」が「1」であるデータにおける「生成日時」として「5/20 05:12:26」を設定し、「監視データ」として「A001」を設定する。また、監視データ取得部112は、「項番」が「1」であるデータにおける「トリガ」として、監視開始時の調査資料採取処理において生成された履歴データ132であることを示す「初回同期」を設定する。さらに、監視データ取得部112は、「項番」が「1」であるデータにおける「変化傾向」及び「差分データ」に、情報が設定されていないことを示す「(Null)」を設定する。
図10に戻り、管理装置1の送信指示部115は、仮想化ソフトウエア4aに対し、差分データ133の送信指示を送信する(S21)。そして、管理装置1の情報蓄積部116は、仮想化ソフトウエア4aから差分データ133を受信するまで待機する(S22のNO)。すなわち、情報蓄積部116は、送信指示部115が送信した送信指示を受信した仮想化ソフトウエア4aが、差分データ133を送信するまで待機する。
その後、差分データ133を受信した場合(S22のYES)、情報蓄積部116は、S22の処理で受信した差分データ133を情報格納領域130に記憶する(S23)。
また、情報蓄積部116は、この場合、S22の処理で受信した差分データ133の識別情報を、S15の処理で受信した監視データ131の識別情報を含む履歴データ132の一部として情報格納領域130に記憶する(S24)。
具体的に、情報蓄積部116は、図21に示すように、例えば、図20で説明した履歴データ132における「項番」が「1」であるデータの「差分データ」に、S22の処理で受信した差分データ133の識別情報である「Tag_000」を設定する。
これにより、情報蓄積部116は、運用VM3aの監視開始時において仮想化ソフトウエア4aから送信された監視データ131と、運用VM3aの監視開始時において仮想化ソフトウエア4aから差分データ133とを対応付けることが可能になる。
[監視実行中の調査資料採取処理]
次に、運用VM3aの監視が開始された後に行われる調査資料採取処理(以下、監視実行中の調査資料採取処理とも呼ぶ)について説明を行う。図11から図13は、監視実行中の調査資料採取処理の具体例を説明するフローチャートである。
監視データ取得部112は、図11に示すように、同期実行タイミングになるまで待機する(S31のNO)。同期実行タイミングは、例えば、定期的でタイミングや、事業者が調査資料採取処理を行う旨の入力を行ったタイミングである。また、同期実行タイミングは、例えば、事業者によって運用VM3aの動作に関する調査(調査用VM3cを用いて行われるデバッグを伴う調査)が行われる前後のタイミングであってよい。さらに、同期実行タイミングは、例えば、運用VM3aの監視を終了するタイミングであってよい。
そして、同期実行タイミングになった場合(S31のYES)、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aに対し、監視データ131の送信指示を送信する(S32)。
その後、監視データ取得部112は、仮想化ソフトウエア4aから監視データ131を受信するまで待機する(S33のNO)。すなわち、監視データ取得部112は、監視開始時の調査資料最初処理の場合と同様に、仮想化ソフトウエア4aが情報処理装置2のCPU201等から必要なデータを取得して監視データ131を生成し、生成した監視データ131を管理装置1に送信するまで待機する。
続いて、仮想化ソフトウエア4aから監視データ131を受信した場合(S33のYES)、監視データ取得部112は、S33の処理で受信した監視データ131の識別情報と、S33の処理で受信した監視データ131の識別情報とを含む履歴データ132を情報格納領域130に記憶する(S34)。以下、S34の処理で情報格納領域130に記憶される監視データ131及び履歴データ132の具体例について説明を行う。
[S34の処理で記憶される監視データ及び履歴データの具体例]
図22は、S34の処理で情報格納領域130に記憶される監視データ131の具体例である。また、図23は、S34の処理で情報格納領域130に記憶される履歴データ132の具体例である。なお、図22及び図23に示す例は、S34の処理において「項番」が「13」であるデータが新たに記憶された場合の例である。
具体的に、図22に示す監視データ131における「項番」が「1」であるデータには、図19で説明した監視データ131が設定されている。また、図22に示す監視データ131における「項番」が「13」であるデータには、「識別情報」として「A013」が設定され、「生成時刻」として「5:12:38」が設定され、「累積動作時間」として「171955.45(秒)」が設定されている。そして、図22に示す監視データ131における「項番」が「13」であるデータには、「動作時間増加量」として、「項番」が「13」であるデータの「累計動作時間」に設定された時間である「171955.45(秒)」と、「項番」が「12」であるデータ(「項番」が「13」であるデータの直前のデータ)の「累計動作時間」に設定された時間である「171955.24(秒)」との差分時間である「+0.21(秒)」が設定されている。図22に含まれる他のデータについては説明を省略する。
続いて、図23に示す履歴データ132における「項番」が「1」であるデータには、図21で説明した履歴データ132が設定されている。また、図23に示す履歴データ132における「項番」が「13」であるデータには、「生成日時」として「5/20 05:12:38」が設定され、「監視データ」として「A013」が設定されている。そして、図23に示す履歴データ132における「項番」が「13」であるデータには、「トリガ」として、監視実行中の調査資料採取処理において生成された履歴データ132であることを示す「定期監視」が設定されている。さらに、「項番」が「13」であるデータにおける「変化傾向」及び「差分データ」には、情報が設定されていないことを示す「(Null)」が設定されている。図23に含まれる他のデータについては説明を省略する。
図11に戻り、管理装置1の変化傾向算出部113は、情報格納領域130に記憶された履歴データ132のうち、所定数の履歴データ132を取得する(S35)。具体的に、変化傾向算出部113は、この場合、生成日時が新しい方から順に所定数の履歴データ132を取得する。なお、情報格納領域130に所定数の履歴データ132が記憶されていない場合、変化傾向算出部113は、所定数の履歴データ132が情報格納領域130に記憶されるまで、監視実行中の調査資料採取処理を行わないものであってよい。
そして、変化傾向算出部113は、S35の処理で取得した所定数の履歴データ132を用いて、変化傾向を算出する(S36)。以下、S36の処理の詳細について説明を行う。
[S36の処理の詳細]
図18は、S36の処理の詳細を説明するフローチャートである。
変化傾向算出部113は、図18に示すように、S35の処理で取得した監視データ131のそれぞれから、運用VM3aのCPU(CPU201の一部)の動作時間増加量を抽出する(S101)。そして、変化傾向算出部113は、S101の処理で抽出した動作時間増加量の平均値を算出する(S102)。その後、変化傾向算出部113は、S102の処理で算出した平均値を時間で微分した値を変化傾向として算出する(S103)。
具体的に、変化傾向算出部113は、例えば、図22で説明した監視データ131を参照し、「項番」が「6」から「13」であるデータの「動作時間増加量」に設定された値である「+0.16(秒)」、「+0.17(秒)」、「+0.21(秒)」、「+0.17(秒)」、「+0.13(秒)」、「+0.19(秒)」、「+0.18(秒)」及び「+0.21(秒)」を取得する。そして、変化傾向算出部113は、取得した値の平均値である「+0.1775(秒)」を算出する(S101、S102)。
また、変化傾向算出部113は、例えば、図22で説明した監視データ131を参照し、「項番」が「5」から「12」であるデータの「動作時間増加量」に設定された値である「+0.15(秒)」、「+0.16(秒)」、「+0.17(秒)」、「+0.21(秒)」、「+0.17(秒)」、「+0.13(秒)」、「+0.19(秒)」及び「+0.18(秒)」を取得する。そして、変化傾向算出部113は、取得した値の平均値である「+0.17(秒)」を算出する。さらに、変化傾向算出部113は、それぞれ算出した「+0.1775(秒)」から「+0.17(秒)」を減算した値である「0.0075(秒)」を算出する。ここで、算出した値である「0.0075(秒)」は、S102の処理で算出した平均値を時間で微分した値に等しい。そのため、変化傾向算出部113は、算出した値である「0.0075(秒)」を変化傾向として算出する(S103)。
図12に戻り、管理装置1の送信判定部114は、S36の処理で算出した変化傾向が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S41)。そして、S36の処理で算出した変化傾向が所定の閾値以上である場合(S42のYES)、管理装置1の送信指示部115は、図13に示すように、S51以降の処理を行う。
すなわち、管理装置1は、この場合、運用VM3aにおいて異常が発生する可能性があると判定し、後述するように、情報格納領域130に対する差分データ133の送信の指示を行う。これにより、事業者は、差分データ133を反映させた調査用VM3cを参照することで、異常が発生した際の運用VM3aの状態把握や運用VM3aに関する情報の取得を行うことが可能になる。
なお、送信判定部114は、S41の処理において、S36の処理で算出した変化傾向が所定の閾値未満であるか否かの判定を行うものであってよい。また、送信判定部114は、S41の処理において、今回行われたS36の処理において算出された変化傾向と、前回行われたS36の処理において算出された変化傾向との積が0よりも小さいか否かの判定を行うものであってもよい。
一方、S36の処理で算出した変化傾向が所定の閾値以上でない場合(S42のNO)、管理装置1の情報蓄積部116は、S36の処理で算出した変化傾向を、S33の処理で受信した監視データ131を含む履歴データ132の一部として情報格納領域130に記憶する(S43)。その後、管理装置1は、監視実行中の調査資料採取処理を終了する。
すなわち、管理装置1は、この場合、運用VM3aにおいて異常が発生する可能性が低いと判定し、情報格納領域130に対する差分データ133の送信の指示を行わない。これにより、管理装置1は、情報格納領域130に対する差分データ133の送信を効率的に行うことが可能になり、情報処理装置2の処理負担を軽減させることが可能になる。
具体的に、例えば、S41の処理における所定の閾値が「0.0625(秒)」である場合、S36の処理で算出した変化傾向である「0.0075(秒)」は、所定の閾値よりも小さい(S42のNO)。そのため、情報蓄積部116は、図24に示す履歴データ132における「項番」が「13」であるデータのように、「変化傾向」に設定された情報を、S36の処理で算出された「0.0075(秒)」に更新する。
なお、この場合、S36の処理で算出した変化傾向が所定の閾値よりも小さく、情報格納領域130に対する差分データ133の送信が行われない。そのため、情報蓄積部116は、図24に示す履歴データ132における「項番」が「13」であるデータのように、「差分データ」に設定された情報の更新を行わない。
これにより、情報蓄積部116は、情報処理装置2から取得した監視データ131の識別情報と、その監視データ131から算出した変化傾向と、その変化傾向に基づいて差分データ133の取得を行わなかったことを示す情報とを対応付けることが可能になる。
図12に戻り、S36の処理で算出した変化傾向が所定の閾値以上である場合(S42YES)、送信指示部115は、図13に示すように、仮想化ソフトウエア4aに対し、差分データ133の送信指示を送信する(S51)。そして、情報蓄積部116は、仮想化ソフトウエア4aから差分データ133を受信するまで待機する(S52のNO)。すなわち、情報蓄積部116は、送信指示を受信した仮想化ソフトウエア4aが、差分データ133を生成して管理装置1に対して送信するまで待機する。
その後、仮想化ソフトウエア4aから差分データ133を受信した場合(S52のYES)、情報蓄積部116は、S52の処理で受信した差分データ133を情報格納領域130に記憶する(S53)。そして、情報蓄積部116は、S36の処理で算出した変化傾向と、S52の処理で受信した差分データ133の識別情報とを、S33の処理で取得した監視データ131を含む履歴データ132の一部として情報格納領域130に記憶する(S54)。
具体的に、例えば、図25に示すように、所定の閾値が「0.0625(秒)」であって、S36の処理で算出した変化傾向が「0.09125(秒)」であった場合、S36の処理で算出した変化傾向は、所定の閾値よりも大きい(S42のYES)。そのため、送信指示部115は、この場合、仮想化ソフトウエア4aに対し、差分データ133の送信指示を送信する(S51)。
そして、例えば、図25に示すように、S34の処理において「項番」が「14」であるデータが履歴データ132に追加されている場合、情報蓄積部116は、図26に示すように、「項番」が「14」であるデータの「トリガ」に設定された情報を、S101からS103の処理を含む変化傾向の算出方法を示す「フィルタ1」に更新する。また、情報蓄積部116は、「項番」が「14」であるデータの「変化傾向」に設定された情報を、S36の処理で算出された「0.09125(秒)」に更新する。さらに、情報蓄積部116は、この場合、図24で説明した場合と異なり、「項番」が「14」であるデータの「差分データ」に設定された情報を、S52の処理で受信した差分データ133の識別情報である「Tag_0xx」に更新する(S54)。
これにより、情報蓄積部116は、情報処理装置2から取得した監視データ131の識別情報と、その監視データ131から算出した変化傾向と、その変化傾向に基づいて取得した差分データ133の識別情報とを対応付けることが可能になる。
そのため、情報蓄積部116は、情報格納領域130に記憶された差分データ133を世代別に区分けして管理することが可能になる。したがって、事業者は、情報格納領域130に記憶された履歴データ132を参照することで、例えば、運用VM3aが復元可能な過去の世代のうち、調査を行う必要がある世代を特定することが可能になる。
なお、送信指示部115は、S51の処理において、差分データ133の送信指示とともに、送信指示を行う差分データ133の識別情報を仮想化ソフトウエア4aに送信するものであってもよい。そして、仮想化ソフトウエア4aは、管理装置1に対して差分データ133を送信する際に、受信した差分データ133の識別情報と差分データ133とを対応付けて送信するものであってよい。
[デバッグ実行前の調査資料採取処理(1)]
次に、現在の運用VM3aのメモリ(情報処理装置2が有するメモリ202の一部)に記憶されたデータに対するデバッグ(以下、第1デバッグとも呼ぶ)の前に行われる調査資料採取処理(以下、第1デバッグ実行前の調査資料採取処理とも呼ぶ)について説明を行う。図14及び図15は、第1デバッグ実行前の調査資料採取処理の具体例を説明するフローチャートである。
VM生成指示部111は、図14に示すように、第1デバッグの開始指示を受信するまで待機する(S61のNO)。第1デバッグの開始指示は、例えば、事業者によって管理装置1に入力される指示である。
そして、第1デバッグの開始指示を受信した場合(S61のYES)、VM生成指示部111は、管理装置1の仮想化ソフトウエア4bに対し、情報格納領域130に記憶された差分データ133の全てを反映させた調査用VM3cの生成を指示する(S62)。具体的に、VM生成指示部111は、S12の処理で説明した指示に応じて情報格納領域130に記憶されたデータ(初回送信データ)を含む差分データ133の全てを反映させた調査用VM3cの生成を指示する。すなわち、VM生成指示部111は、この場合、情報格納領域130に記憶された差分データ133の全てを反映させることによって、現在の運用VM3aと同じ状態の調査用VM3cの生成を指示する。その後、送信指示部115は、調査用VM3cの生成が完了するまで待機する(S63のNO)。
続いて、調査用VM3cの生成が完了した場合(S63のYES)、送信指示部115は、デバッグ対象の変数の指定を受け付けるまで待機する(S64のNO)。具体的に、送信指示部115は、例えば、事業者が管理装置1に対してデバッグ対象の変数の指定を入力するまで待機する。
そして、デバッグ対象の変数の指定を受け付けた場合(S64のYES)、送信指示部115は、仮想化ソフトウエア4aに対し、S64の処理で受け付けた変数に対応する記憶領域(以下、デバッグ対象領域とも呼ぶ)に記憶されたデータ(差分データ133)の送信指示を送信する(S65)。その後、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4aからデバッグ対象領域に記憶された差分データ133を受信するまで待機する(S66のNO)。
続いて、差分データ133を受信した場合(S66のYES)、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4bに対し、S66の処理で受信した差分データ133を調査用VM3cに反映させる(S67)。
その後、VM生成指示部111は、図15に示すように、調査用VM3cにおけるデバッグを継続するか否かを判定する(S71)。具体的に、VM生成指示部111は、例えば、事業者が管理装置1に対して調査用VM3cにおけるデバックを継続する旨の情報を入力しているか否かの判定を行う。
その結果、調査用VM3cにおけるデバッグを継続すると判定した場合(S71のYES)、管理装置1は、S65以降の処理を再度行う。一方、調査用VM3cにおけるデバッグを継続しないと判定した場合(S71のNO)、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4bに対し、調査用VM3cの削除を指示する(S72)。
その後、VM生成指示部111は、調査用VM3cの削除が完了するまで待機する(S73のNO)。そして、調査用VM3cの削除が完了した場合(S73のYES)、管理装置1は、第1デバッグ実行前の調査資料採取処理を終了する。
これにより、事業者は、運用VM3aのメモリに現在記憶されているデータに対する調査(デバッグ)を行うことが可能になる。
[デバッグ実行前の調査資料採取処理(2)]
次に、過去の状態の運用VM3aのメモリ(メモリ202の一部)に記憶されたデータに対するデバッグ(以下、第2デバッグとも呼ぶ)の前に行われる調査資料採取処理(以下、第2デバッグ実行前の調査資料採取処理とも呼ぶ)について説明を行う。図16及び図17は、第2デバッグ実行前の調査資料採取処理の具体例を説明するフローチャートである。
VM生成指示部111は、図16に示すように、第2デバッグの開始指示を受信するまで待機する(S81のNO)。第2デバッグの開始指示は、例えば、事業者によって管理装置1に入力される指示である。
そして、第2デバッグの開始指示を受信した場合(S81のYES)、VM生成指示部111は、例えば、情報格納領域130に記憶された履歴データ132を事業者端末5に出力する(S82)。その後、VM生成指示部111は、履歴データ132の指定を受け付けるまで待機する(S83)。すなわち、事業者は、この場合、事業者端末5に出力された履歴データ132から、デバッグを行う世代に対応する履歴データ132の選択を行う。
続いて、履歴データ132の指定を受け付けた場合(S83のYES)、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4bに対し、情報格納領域130に記憶された差分データ133のうち、S83の処理で受け付けた履歴データ132に含まれる差分データ133までの全てを反映させた調査用VM3cの生成を指示する(S84)。具体的に、VM生成指示部111は、VM生成指示部111からの指示によって情報格納領域130に送信されたデータ(初回送信データ)から、S83の処理で受け付けた履歴データ132に含まれる差分データ133までの全てを反映させた調査用VM3cの生成を指示する。その後、VM生成指示部111は、調査用VM3cの生成が完了するまで待機する(S85のNO)。
そして、調査用VM3cの生成が完了した場合(S85のYES)、VM生成指示部111は、図17に示すように、事業者によるデバッグが終了するまで待機する(S91のNO)。具体的に、VM生成指示部111は、例えば、事業者が管理装置1に対してデバックを終了する旨の情報を入力するまで待機する。
続いて、事業者によるデバッグが終了した場合(S91のYES)、VM生成指示部111は、仮想化ソフトウエア4bに対し、調査用VM3cの削除を指示する(S92)。
その後、VM生成指示部111は、調査用VM3cの削除が完了するまで待機する(S93のNO)。そして、調査用VM3cの削除が完了した場合(S93のYES)、管理装置1は、第2デバッグ実行前の調査資料採取処理を終了する。
これにより、事業者は、運用VM3aのメモリに現在記憶されているデータに対してのみでなく、過去の状態における運用VM3aのメモリに記憶されていたデータについても調査(デバッグ)を行うことが可能になる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態における調査資料採取処理について説明する。図27は、第2の実施の形態における調査資料採取処理を説明するフローチャートである。また、図28は、第2の実施の形態における調査資料採取処理を説明する図である。図28を参照しながら、図27に示す調査資料採取処理の説明を行う。
第2の実施の形態における調査資料採取処理では、第1の実施の形態における調査資料採取処理と異なり、運用VM3aのCPU(CPU201の一部)に対して割り込みが要求された回数を用いて変化傾向の算出を行う。
なお、第2の実施の形態における調査資料採取処理は、第1の実施の形態における調査資料採取処理と比較して、S36の処理の内容のみが異なる。そのため、以下、S36の処理についてのみ説明を行う。
[第2の実施の形態におけるS36の処理の詳細]
図27は、第2の実施の形態におけるS36の処理の詳細を説明するフローチャートである。
変化傾向算出部113は、図27に示すように、S36の処理で取得した監視データ131のそれぞれから、運用VM3aのCPUに対して割り込みが行われた回数を抽出する(S111)。以下、第2の実施の形態における監視データ131の具体例について説明を行う。
[第2の実施の形態における監視データの具体例]
図28は、第2の実施の形態における監視データ131の具体例を説明する図である。
図28に示す監視データ131は、監視データ131に含まれる各データを識別する「項番」と、各データの識別情報が設定される「識別情報」と、各データの生成時における実際の時刻が設定される「実際の時刻」とを項目として有する。また、図28に示す監視データ131は、各データの生成時における運用VM3aの時刻が設定される「VMの時刻」と、前回監視データ131が生成された後に、運用VM3aのCPUに対して割り込みが行われた回数が設定される「割り込み回数」とを項目として有する。
具体的に、図28に示す監視データ131において、「項番」が「1」であるデータには、「識別情報」として「B001」が設定され、「実際の時刻」として「5:12:31」が設定され、「VMの時刻」として「5:12:31」が設定され、「割り込み回数」として「1021(回)」が設定されている。また、図28に示す監視データ131において、「項番」が「17」であるデータには、「識別情報」として「B017」が設定され、「実際の時刻」として「5:12:47」が設定され、「VMの時刻」として「5:12:38」が設定され、「割り込み回数」として「0(回)」が設定されている。
そして、図28に示す監視データ131において、「項番」が「8」であるデータから「項番」が「18」であるデータの「実際の時刻」には、全て異なる時刻が設定されているのに対し、「VMの時刻」に設定された時刻は、全て同じ時刻(5:12:38)が設定されている。その結果、図28に示す監視データ131において、「項番」が「19」であるデータから「項番」が「25」であるデータの「VMの時刻」に設定された時刻は、「項番」が「19」から「25」であるデータの「実際の時刻」に設定された時刻とそれぞれ異なっている。
また、図28に示す監視データ131において、「項番」が「8」であるデータから「項番」が「18」であるデータの「割り込み回数」に設定された値は、他のデータの「割り込み回数」に設定された値よりも小さい。特に、「項番」が「10」であるデータから「項番」が「17」であるデータの「割り込み回数」には、全て「0(回)」が設定されている。
すなわち、図28に示す監視データ131は、何らかの事象の発生によって運用VM3aの動作が一時的に停止したと判断できるデータである。図28に含まれる他の情報については説明を省略する。
そして、例えば、図11のS34の処理において情報格納領域130に記憶された監視データ131が、図28に示す監視データ131のうちの「項番」が「8」であるデータである場合、変化傾向算出部113は、S111の処理において、図28に示す監視データ131における「項番」が「1」であるデータから「項番」が「8」であるデータの「割り込み回数」に設定された値を抽出する。具体的に、変化傾向算出部113は、この場合、「1021(回)」、「1022(回)」、「1023(回)」、「1024(回)」、「1024(回)」、「1023(回)」、「1023(回)」及び「1023(回)」を抽出する。
図27に戻り、変化傾向算出部113は、S111の処理で抽出した回数を離散データとして離散フーリエ変換を行うことにより第1の値を算出する(S112)。そして、変化傾向算出部113は、S112の処理で算出した第1の値に対してフーリエ逆変換を行うことによって第2の値を算出する(S113)。続いて、変化傾向算出部113は、S113の処理で算出した第2の値の絶対値である第3の値を算出する(S114)。さらに、変化傾向算出部113は、S114の処理で算出した第3の値のルートの絶対値である第4の値を算出する(S115)。その後、変化傾向算出部113は、S115の処理で算出した第4の値の最大値を変化傾向として算出する(S116)。
そして、情報蓄積部116は、図12及び図13で説明したように、算出した変化傾向が所定の閾値以上であると判定された場合(S41、S42のYES)、仮想化ソフトウエア4aから受信した差分データ133を情報格納領域130に記憶する(S51、S52のYES、S53)。なお、情報蓄積部116は、算出した変化傾向が所定の閾値未満であると判定された場合に、仮想化ソフトウエア4aから受信した差分データ133を情報格納領域130に記憶するものであってもよい。
すなわち、変化傾向算出部113は、S112からS116の処理を行うことにより、運用VM3aのCPUに対して定期的に行われる割り込み処理の乱れを示す値を算出し、算出した値を変化傾向として特定する。
これにより、管理装置1は、図12のS41の処理で説明したように、算出した変化傾向を用いることで、運用VM3aにおいて異常が発生する可能性があるか否かについての判定を行うことが可能になる。
具体的に、例えば、S111の処理において、「1021(回)」、「1022(回)」、「1023(回)」、「1024(回)」、「1024(回)」、「1023(回)」、「1023(回)」及び「1023(回)」が抽出された場合、S116の処理で算出された第4の値の最大値(変化傾向)は、「4.414214・・・」になる。そして、例えば、所定の閾値が「51.2」である場合、変化傾向である「4.414214・・・」は所定の閾値よりも小さい。そのため、この場合、情報蓄積部116は、仮想化ソフトウエア4aから差分データ133の取得を行わない(S41、S42のNO、S43)。
一方、例えば、図11のS34の処理において情報格納領域130に記憶した監視データ131が、図28に示す監視データ131のうちの「項番」が「9」であるデータである場合、変化傾向算出部113は、図28に示す監視データ131における「項番」が「2」であるデータから「項番」が「9」であるデータの「割り込み回数」に設定された値を抽出する。具体的に、変化傾向算出部113は、この場合、「1022(回)」、「1023(回)」、「1024(回)」、「1024(回)」、「1023(回)」、「1023(回)」、「1023(回)」及び「967(回)」を抽出する(S111)。
そして、この場合、S116の処理で算出された第4の値の最大値(変化傾向)は、「58.41421・・・」になる。そのため、例えば、所定の閾値が「51.2」である場合、変化傾向である「58.41421・・・」は所定の閾値よりも大きい。したがって、情報蓄積部116は、この場合、仮想化ソフトウエア4aから差分データ133の取得を行う。
すなわち、管理装置1は、運用VM3aにおいて異常が発生する可能性が低いと判定した場合、情報格納領域130に対する差分データ133の送信の指示を行わない。これにより、管理装置1は、情報格納領域130に対する差分データ133の送信による情報処理装置2の処理負担を軽減させることが可能になる。
一方、管理装置1は、運用VM3aにおいて異常が発生する可能性があると判定した場合、情報格納領域130に対する差分データ133の送信の指示を行う。これにより、事業者は、運用VM3aにおいて異常が発生した場合に、差分データ133を反映させた調査用VM3cを参照することで、運用VM3aの状態把握や運用VM3aに関する情報の取得を行うことが可能になる。
以上の実施の形態をまとめると、以下の付記のとおりである。
(付記1)
複数の期間のそれぞれにおける第1仮想マシンに関する複数の監視データを取得し、
取得した前記複数の監視データに基づいて、前記第1仮想マシンの動作状態の変化傾向を算出し、
算出した前記変化傾向に基づいて、前記第1仮想マシンが有するデータと、前記第1仮想マシンと同期を行う第2仮想マシンが有するデータとの差分データを、前記第2仮想マシンに送信させるか否かを判定し、
前記差分データを送信させると判定した場合、前記差分データの送信指示を行う、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記2)
付記1において、
前記複数の監視データは、前記第1仮想マシンにおけるCPU(Central Processing Unit)の動作時間をそれぞれ含む複数のデータであり、
前記算出する処理では、
前記複数の監視データにそれぞれ含まれる前記動作時間の平均値を算出し、
算出した前記平均値を時間で微分した値を前記変化傾向として算出する、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記3)
付記2において、
前記判定する処理では、算出した前記変化傾向が所定の閾値以上である場合に、前記差分データを送信するか否かの判定を行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記4)
付記2において、
前記判定する処理では、算出した前記変化傾向が所定の閾値未満である場合に、前記差分データを送信するか否かの判定を行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記5)
付記2において、
前記算出する処理は、前記取得する処理において新たな前記監視データが取得されるごとに行われ、
前記判定する処理では、算出した前記変化傾向と、前記算出する処理において過去に算出した前記変化傾向との積が0よりも小さい場合に、前記差分データを送信するか否かの判定を行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記6)
付記1において、
前記複数の監視データは、前記第1仮想マシンに対して特定の処理の実行が要求された回数をそれぞれ含む複数のデータであり、
前記算出する処理では、
前記複数の監視データにそれぞれ含まれる前記回数を離散データとして離散フーリエ変換を行うことによって第1の値を算出し、
算出した前記第1の値に対してフーリエ逆変換を行うことによって第2の値を算出し、
算出した前記第2の値の絶対値である第3の値を算出し、
算出した前記第3の値のルートの絶対値である第4の値を算出し、
算出した前記第4の値の最大値を前記変化傾向として算出する、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記7)
付記6において、
前記判定する処理では、算出した前記変化傾向が所定の閾値以上である場合に、前記差分データを送信するか否かの判定を行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記8)
付記6において、
前記判定する処理では、算出した前記変化傾向が所定の閾値未満である場合に、前記差分データを送信するか否かの判定を行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記9)
付記1において、
前記取得する処理では、前記監視データの取得を定期的なタイミングで行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記10)
付記1において、
前記取得する処理では、前記監視データの取得を行う旨の指示を受信したことに応じて、前記監視データの取得を行う、
ことを特徴とする調査資料採取プログラム。
(付記11)
複数の期間のそれぞれにおける第1仮想マシンに関する複数の監視データを取得する監視データ取得部と、
取得した前記複数の監視データに基づいて、前記第1仮想マシンの動作状態の変化傾向を算出する変化傾向算出部と、
算出した前記変化傾向に基づいて、前記第1仮想マシンが有するデータと、前記第1仮想マシンと同期を行う第2仮想マシンが有するデータとの差分データを、前記第2仮想マシンに送信させるか否かを判定する送信判定部と、
前記差分データを送信させると判定した場合、前記差分データの送信指示を行う送信指示部と、を有する、
ことを特徴とする調査資料採取装置。
(付記12)
付記11において、
前記複数の監視データは、前記第1仮想マシンにおけるCPUの動作時間をそれぞれ含む複数のデータであり、
前記変化傾向算出部は、
前記複数の監視データにそれぞれ含まれる前記動作時間の平均値を算出し、
算出した前記平均値を時間で微分した値を前記変化傾向として算出する、
ことを特徴とする調査資料採取装置。
(付記13)
複数の期間のそれぞれにおける第1仮想マシンに関する複数の監視データを取得し、
取得した前記複数の監視データに基づいて、前記第1仮想マシンの動作状態の変化傾向を算出し、
算出した前記変化傾向に基づいて、前記第1仮想マシンが有するデータと、前記第1仮想マシンと同期を行う第2仮想マシンが有するデータとの差分データを、前記第2仮想マシンに送信させるか否かを判定し、
前記差分データを送信させると判定した場合、前記差分データの送信指示を行う、
ことを特徴とする調査資料採取方法。
(付記14)
付記13において、
前記複数の監視データは、前記第1仮想マシンにおけるCPUの動作時間をそれぞれ含む複数のデータであり、
前記算出する処理では、
前記複数の監視データにそれぞれ含まれる前記動作時間の平均値を算出し、
算出した前記平均値を時間で微分した値を前記変化傾向として算出する、
ことを特徴とする調査資料採取方法。