JP2019086497A - 検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】励磁コイル、検出コイル及び補償コイルを同軸上に配設し、補償コイルの検出結果と検出コイルの検出結果との差により、被測定物の検査を行うことで、装置を小型化すると共に、検出精度を安定化する検査装置を提供する。【解決手段】交流電圧源2に接続される励磁コイル4と、励磁コイル4の磁界により被測定物9に生じる渦電流の磁束量を検出する検出コイル5と、当該検出コイル5と略同一の磁気特性を有する補償コイル6と、検出コイル5及び補償コイル6の出力に基づいて、検出コイル5で検出された被測定物9の磁束量を計測する計測部とを備え、励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6が、励磁コイル4の磁束方向を同軸として並列に配置され、それぞれのコイルが空心コイルとなっており、被測定物9に対して検出コイル5と補償コイル6とが磁束方向に異なる距離となる位置に配設されている。【選択図】図1
Description
本発明は、渦電流探傷法を用いて被測定物を検査する検査装置に関する。
渦電流探傷法を用いた検査に関する技術が特許文献1、2に開示されている。特許文献1に示す技術は、非破壊検査装置は、被検体2に対向した励磁コイル101と、励磁コイル101に電磁的に結合した参照コイル105と、被検体2に対向した検出コイル104と、励磁コイル101を交番電圧で励振し、参照コイル105に発生する電圧と検出コイル104に発生する電圧との差である被測定信号の振幅および位相を、励磁コイル101または参照コイル105の電圧を基準信号として検出する測定処理部4と、を備えるものである。
特許文献2に示す技術は、被検査材1に近接する周方向に、各プローブが励磁コイルM及び検出コイルDを含む2つのプローブS1,S2を一定間隔で配置し、前記2つのプローブS1,S2の各励磁コイルM1,M2に交流電流を発振器3より供給して被検査材1に渦電流を発生させ、前記2つのプローブS1,S2の各検出コイルD1,D2による誘起電圧e1,e2の差分値e0を求め、このe0により欠陥を検出するものである。
しかしながら、特許文献1、2に示す技術は、いずれも複数の励磁コイルに対してそれぞれに対応する検出コイルや参照コイルを有する構造となっているため、装置の小型化に限界があると共に、それぞれの励磁コイルごとに異なる箇所での測定が行われるため、検出精度が安定しない可能性がある。
本発明は、励磁コイル、検出コイル及び補償コイルを同軸上に配設し、補償コイルの検出結果と検出コイルの検出結果との差により、被測定物の検査を行うことで、装置を小型化すると共に、検出精度を安定化する検査装置を提供する。
本発明に係る検査装置は、交流電源に接続される励磁コイルと、励磁コイルの磁界により被測定物に生じる渦電流の磁束量を検出する検出コイルと、当該検出コイルと略同一の磁気特性を有する補償コイルと、検出コイル及び補償コイルの出力に基づいて、前記検出コイルで検出された被測定物の磁束量を計測する計測部とを備え、励磁コイル、検出コイル及び補償コイルが、励磁コイルの磁束方向を同軸として並列に配置され、それぞれのコイルが空心コイルとなっており、被測定物に対して検出コイルと補償コイルとが磁束方向に異なる距離となる位置に配設されているものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、交流電源に接続される励磁コイルと、励磁コイルの磁界により被測定物に生じる渦電流の磁束量を検出する検出コイルと、当該検出コイルと略同一の磁気特性を有する補償コイルと、検出コイル及び補償コイルの出力に基づいて、前記検出コイルで検出された被測定物の磁束量を計測する計測部とを備え、励磁コイル、検出コイル及び補償コイルが、励磁コイルの磁束方向を同軸として並列に配置され、それぞれのコイルが空心コイルとなっており、被測定物に対して検出コイルと補償コイルとが磁束方向に異なる距離となる位置に配設されているため、1つの励磁コイルに対して、検出コイル及び補償コイルを同軸上に配設して装置を小型化することができるという効果を奏する。
また、それぞれのコイルを空心コイルとしているため、検出コイルと被測定物との距離、補償コイルと被測定物との距離をそれぞれ異ならせることで、検出コイルと補償コイルとで被測定物の渦電流による検出磁束の大きさを異ならせることができ、その差分により被測定物を正確に検査することができるという効果を奏する。すなわち、例えば、鉄心等の透磁率が高いコアを有する場合は、被測定物に対する検出コイルと補償コイルとの距離を異ならせた場合であっても、それぞれのコイルを同軸上に配設してしまうと、被測定物の渦電流による検出磁束を同じように検出してしまい、その差を正確に検出することができないが、本発明では、空心コイルとすることで、そのような問題を解消することができる。
さらに、それぞれのコイルを空心コイルとすることで、磁気ヒステリシスによる損失の影響を無視して高精度な検査を実現することができるという効果を奏する。
さらにまた、それぞれのコイルを空心コイルとすることで、コイルと被測定物との間に生じる磁力による吸引力を抑え、被測定物上でコイルを自由に動かすことができるという効果を奏する。
さらにまた、3つのコイル(例えば、コイル支持体に3つの銅コイルを巻回したもの)と電源と計測部のみで検査装置を構成することができるため、極めて簡単で安価に製造することができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、検出コイル及び補償コイルが、励磁コイル及び検出コイルの磁束方向の距離と励磁コイル及び補償コイルの磁束方向の距離とが同一となる位置に配設されているものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、検出コイル及び補償コイルが、励磁コイル及び検出コイルの磁束方向の距離と励磁コイル及び補償コイルの磁束方向の距離とが同一となる位置に配設されているため、検出コイルと補償コイルとが受ける励磁コイルによる励磁磁界の影響をほぼ同一にすることができ、測定結果に無関係な励磁磁界や外乱を打ち消して、検出磁束のみを測定することができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、検出コイルと補償コイルとが、相互の磁界を打ち消すように逆極性に接続されているものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、検出コイルと補償コイルとが、相互の磁界を打ち消すように逆極性に接続されているため、検出コイルや補償コイルに対する励磁磁界の影響や外乱の影響を排除して、被測定物からの磁束のみを高感度に検出することができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、励磁コイルが中心から順次径が大きくなる渦巻状に巻回されるものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、励磁コイルが中心から順次径が大きくなる渦巻状に巻回されるため、励磁磁界をコアの中心部分から生じさせることができ、被測定物に対してコイルの周縁部分だけではなく、中心部分から周縁部分まで面で検査することができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、励磁コイルに対する検出コイルの磁束方向の距離、及び/又は励磁コイルに対する補償コイルの磁束方向の距離を変化させる配置変更手段を備えるものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、励磁コイルに対する検出コイルの磁束方向の距離、及び/又は励磁コイルに対する補償コイルの磁束方向の距離を変化させる配置変更手段を備えるため、仮に検出コイルと補償コイルとの磁界特性に誤差があった場合であっても、励磁磁界の検出コイルや補償コイルへの影響を当該検出コイルや補償コイルの配置を変更することで調整し、誤差を最小限に抑えることができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、励磁コイル、検出コイル及び/又は補償コイルを超伝導コイルとするものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、励磁コイル、検出コイル及び/又は補償コイルを超伝導コイルとするため、超伝導コイルに流れる大電流で大きな磁界を作ることができ、検出感度を格段に向上させることができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、被測定物と検出コイルとの距離に応じて励磁コイルに印加する電圧を調整する調整手段を備えるものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、被測定物と検出コイルとの距離に応じて励磁コイルに印加する電圧を調整する調整手段を備えるため、被測定物に対して常に適正な励磁磁界を与えることができるという効果を奏する。
本発明に係る検査装置は、被測定物を配置した状態で検出コイルの出力と補償コイルの出力とを較正する較正手段を備えるものである。
このように、本発明に係る検査装置においては、被測定物を配置した状態で検出コイルの出力と補償コイルの出力とを較正する較正手段を備えるため、例えば、被測定物が磁性体であるような場合には、励磁磁界が被測定物の透磁率により均等な分布でなくなり、検出コイルに対する励磁磁界の影響と補償コイルに対する励磁磁界の影響とがアンバランスになってしまうが、較正手段によりそのバランスを調整し、検出コイルに対する励磁磁界の影響と補償コイルに対する励磁磁界の影響を同一にすることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る検査装置について、図1ないし図4を用いて説明する。本実施形態に係る検査装置は、渦電流探傷法を用いて被測定物の板厚、腐食、磁気特性等を測定するものであり、磁気飽和しない低磁場で且つ低周波での測定を可能とするものである。
本実施形態に係る検査装置について、図1ないし図4を用いて説明する。本実施形態に係る検査装置は、渦電流探傷法を用いて被測定物の板厚、腐食、磁気特性等を測定するものであり、磁気飽和しない低磁場で且つ低周波での測定を可能とするものである。
図1は、本実施形態に係る検査装置の構成を示す回路構成図である。図1において、検査装置1は、被測定物9の近傍に配置され当該被測定物9に対して垂直な方向に磁界を生じる励磁コイル4と、当該励磁コイル4と同軸上に並列に配設される検出コイル5と、当該検出コイル5に対する励磁コイル4による磁場を打ち消して補償する補償コイル6と、励磁コイル4に交流電圧を印加する交流電圧源2と、交流電圧源2からの電圧による励磁電流を制御するための電流制限抵抗3と、検出コイル5で検出された信号を増幅する増幅器7と、増幅された信号の電圧を計測するロックインアンプ8とを備える。
検出コイル5と補償コイル6とは、それぞれに影響する励磁磁界を打ち消すために、同一の磁気特性を有する構成で逆極性に接続されている。また、検出コイル5への励磁磁界の影響と、補償コイル6への励磁磁界の影響とを同一にするために、励磁コイル4から検出コイル5までの距離と励磁コイル4から補償コイル6までの距離とが同一となる位置に配設されている。さらに、被測定物9の渦電流に誘導される磁束を確実に検出するために、励磁コイル4を挟んで検出コイル5を被測定物9が配置される側、補償コイル6を被測定物9が配置されない側に配設している。さらにまた、各コイルは空心コイルとなっており、コイルが巻回されたコイル巻枠は、非磁性・非導電性となっている。このような回路構成でロックインアンプ8により電圧を計測することで、被測定物の厚さや減肉等を推定することが可能となっている。
図1に示すように、本実施形態においては、励磁コイルとは別に検出コイルを設ける相互誘導法により励磁コイルの抵抗変化を間接的に検出する。相互誘導法においては、補償コイル6が排除され、励磁コイル4と検出コイル5のみで構成される回路が考えられるが、検出コイル5に鎖交する磁束に関して、励磁コイル4により発生する磁束の方が、被測定物9に流れる渦電流により誘導される磁束よりも大きいため、後者の磁束を測定することは困難である。そこで、図1に示したように補償コイル6を備える構成が極めて有効となる。補償コイル6を設けることで、励磁コイル4により発生する磁束の影響を打ち消して無視することが可能となり、励磁磁界により被測定物9に流れる渦電流で誘導される磁束のみを検出コイル5で検出することが可能となる。
また、仮に励磁コイルと検出コイルとが同一のコイルとなっている自己誘導法を用いる場合、測定される電圧は次式で表される。
ここで、Iは励磁コイルの励磁電流、Vは励磁コイルの電圧、ωは励磁電流の角周波数、R及びLは励磁コイルの抵抗及びインダクタンス、ΔR及びΔLは被測定物によって生じる励磁コイルの抵抗及びインダクタンスの変化量である。励磁コイルが一般の銅コイルで、低周波且つ低磁場で計測を行った場合、ΔRが励磁コイル自身の抵抗Rよりも遥かに小さくなるため、ΔRの計測が困難となる。また、ΔRにより生じる電圧|ΔRI|が、励磁コイルのインダクタンスLで生じる電圧|jωLI|よりも小さいため、ΔRの計測が困難となる。さらに、Rが温度により変化し、その変化量がΔRよりも大きいため、ΔRを計測する際には励磁コイルの温度を一定しなければならない等の問題がある。
これに対して、本実施形態のように相互誘導法を用いる場合は、R及びLの影響を無視することができ、また、検出コイルの抵抗及びインダクタンスはその先に接続される増幅器の入力インピーダンスが十分大きければ無視できる。これは、入力インピーダンスが十分大きければ二次側、すなわち検出コイル及び補償コイルに電流が流れないからである。このことについて、以下に式を用いて説明する。
検出コイル5の電圧Vdは、次式で表される。
ここで、Mは励磁コイル4と検出コイル5との間のコイル相互インダクタンス、ΔRMは被測定物9によって生じる見かけ上の抵抗(以下、相互等価抵抗と言う)の変化量、ΔMは被測定物9によって生じる相互インダクタンス変化量である。一方、補償コイル6の電圧Vは、被測定物9の影響を無視すれば、次式で表される。
ただし、励磁コイル4と補償コイル6との間のコイル相互インダクタンスが励磁コイル4と検出コイル5との間のコイル相互インダクタンスMと等しいと仮定した。ゆえに、差分電圧ΔVMは、次式で表される。
上記式から、励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6自身の抵抗及びインダクタンスによる計測制度の悪化を回避することができる。
励磁コイル4を安定した電流を通電するため、コイルの線径を太く且つ巻数を少なくすることで励磁コイル4のインピーダンスを小さくし、さらに、励磁コイル4のインピーダンスに対し十分大きな電流制限抵抗3を直列に接続することで、安定した定電流を通電できるようになる。ただし、大電流を通電しても、電流制限抵抗3の温度変化による抵抗変化が生じないように放熱性を十分に高めておく。
より具体的なコイルの配置構成について説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置におけるコイルの配置構成を示す図である。図2に示すように、平板状の被測定物に対して、コイルの軸が垂直方向となるように、励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6が配置される。
上述したように、励磁コイル4による励磁磁界の影響が、検出コイル5と補償コイル6とで同一とする必要があるため、検出コイル5と補償コイル6との磁気特性は同一のものとなっている。また、励磁コイル4からの距離もそれぞれ同一の距離となる位置に配置されている。検出コイル5及び補償コイル6は励磁コイル4を挟んで両端に配置されており、検出コイル5は被測定物9に近い側、補償コイル6は被測定物9から遠い側に配置され、検出コイル5と補償コイル6とは極性が逆になるように接続されている。すなわち、励磁磁界の影響は相互に打ち消しあうことができると共に、被測定物9の渦電流に誘導される磁束の影響は検出コイル5と補償コイル6とで異ならせることができ、その差分により被測定物9からの磁束のみを検出することが可能となる。
このとき、それぞれのコイルのコアは空心となっている。つまり、コアが非磁性・非導電性となっていることで透磁率が極めて低く、被測定物9の渦電流に誘導される磁束が補償コイル6にまで影響を及ぼさないようになっている。したがって、検出コイル5では励磁磁界+被測定物9からの磁界が検出され、補償コイル6では励磁磁界のみが検出され、それらの差分を取ることで、被測定物9からの磁界のみを高感度に検出することが可能となる。
また、空心コイルとすることで、励磁コイル4により生じる磁力が被測定物9を吸引する力を抑え、被測定物9上で自由にコイルを移動させることができるため、検査時における操作性を格段に向上させることが可能となる。
なお、上記においては、検出コイル5及び補償コイル6の磁気特性を同一とし、励磁コイル4から検出コイル5までの距離l1と、励磁コイル4から補償コイル5までの距離l2とを同一(l1=l2)としたが、例えば図3に示すように、励磁コイル4から検出コイル5までの距離l1と、励磁コイル4から補償コイル5までの距離l2とは同一でなく(l1≠l2)てもよく、また、検出コイル5及び補償コイル6の磁気特性を同一としなくてもよい。この場合、励磁磁界の影響が検出コイル5及び補償コイル6の差分として検出されてしまうため、予めキャリブレーションを行うためのキャリブレーション手段(図示しない)を備える構成とする。すなわち、励磁コイル4を励磁した状態で、検出コイル5及び補償コイル6の差分が0となるように予め調整し、その状態で被測定物9にコイルを近づけることで、被測定物9からの磁束のみを検出することが可能となる。このときの検出コイル5及び補償コイル6の調整は、例えば、コンピュータ上で数値を補正をするようにしてもよいし、コイルの巻き数、導線の太さ、コイル径、コイル位置等を機械的に変更することで調整してもよい。
また、上記においては、検出コイル5及び補償コイル6を極性を逆にする接続としたが、検出コイル5及び補償コイル6を接続せずに、それぞれの検出結果から演算により差分を求めるようにしてもよい。この場合も、上記のようにキャリブレーション手段(図示しない)を備える構成とすることで、励磁コイル4を励磁した状態で、検出コイル5及び補償コイル6の差分が0となるように予め調整するようにしてもよい。これに関連して、例えば図4に示すように、検出コイル5及び補償コイル6の接続を切り替えるようにしてもよい。すなわち、検出コイル5及び補償コイル6を極性を逆にする接続とした状態と、検出コイル5と補償コイル6とをそれぞれ接続しない状態とに切り替える図4のようなスイッチ部40を備えるような構成としてもよい。
特に、被測定物9が磁性体である場合は、励磁磁界が被測定物9の透磁率により均等な分布でなくなり、検出コイル5に対する励磁磁界の影響と補償コイル6に対する励磁磁界の影響とがアンバランスになってしまうが、上記のキャリブレーション手段によりそのバランスを調整し、検出コイル5に対する励磁磁界の影響と補償コイル6に対する励磁磁界の影響を同一にすることができる。
(本発明のその他の実施形態)
本実施形態に係る検査装置について、図5ないし図8を用いて説明する。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
本実施形態に係る検査装置について、図5ないし図8を用いて説明する。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
図5は、本実施形態に係る検査装置におけるコイルの構成を示す第1の図である。図5において、励磁コイル4は、コイルの中心部分から順次コイル径が大きくなるように渦巻状に導線を巻回して形成されている。励磁コイル4がこのように巻回されることで、励磁磁界がコイルの中心部分からコイル周縁部分にかけて全体的に面で分布するため、被測定物9に腐食や減肉があった場合に、それを検出できる範囲を広げて検出精度を上げることが可能となる。
図6は、本実施形態に係る検査装置におけるコイルの構成を示す第2の図である。図6において、励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6の配置位置を機械的に可変できる構成となっている。この機能は、主に第1の実施形態において上述したキャリブレーション手段(図示しない)によりキャリブレーションを行う場合に利用される。すなわち、励磁コイル4が励磁する磁界が、検出コイル5及び補償コイル6に同じ磁束量だけ鎖交するように各コイルの配置を調整する。
第1の実施形態にも示したように、検出コイル5と補償コイル6とは磁気特性が同一で、励磁コイル4からの距離も同じ位置に配設されることで、励磁磁界を完全に打ち消すことが可能であるが、設計上はそのように構成されていても、製造誤差等により励磁磁界を完全に打ち消せない可能性がある。そのような場合には、キャリブレーション手段によりキャリブレーションを行い、図6に示すように各コイルの配置を微調整することで、励磁磁界を完全に打ち消すことが可能となる。
図7は、本実施形態に係る検査装置におけるコイルの構成を示す第3の図である。図7において、励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6が超伝導コイルとなっており、冷媒71に浸漬した状態で使用される。各コイルを超伝導にすることで、大電流で励磁することができ、検出感度を格段に向上させることが可能となる。また、コイルの抵抗や温度変化を無視することができるため、より高精度な検出が可能となる。さらに、検出回路としてSQUID(超伝導量子干渉計)を利用することで、さらに高精度且つ好感度に検出を行うことが可能となる。
なお、ここでは、励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6が全て超伝導コイルとしているが、例えば、励磁コイル4のみを超伝導コイル、検出コイル5及び補償コイル6を常伝導コイル(例えば銅コイル)としてもよいし、逆に励磁コイル4のみを常伝導コイル(例えば銅コイル)、検出コイル5及び補償コイル6を超伝導コイルとしてもよい。この場合、超伝導コイルのみを冷媒71に浸漬させてもよいし、全てのコイルを冷媒71に浸漬させてもよい。
図8は、本実施形態に係る検査装置の他の回路構成を示す図である。ここでは、検査装置1の持ち運びに便利なように小型化したハンドヘルド型の構成を示している。計測の原理は、前記第1の実施形態における図1の場合と同じであるが、図8の場合は、励磁コイル4のインピーダンスによる電流位相のずれを検出するため、シャント抵抗81を挿入し、その電圧を測定することで電流を求める構成となっている。その際、リレー回路82で接続を切り替えてシャント抵抗81の電圧及び検出コイル5の電圧を計測する。
マイコン83のD/Aコンバータを用いて正弦波を生成し、パワーアンプ84を用いて信号を増幅する。励磁コイル4とパワーアンプ84との間には抵抗85を挿入し、所定の振幅の正弦波電流が流れるようにD/Aコンバータの出力電圧値を設定する。用いた励磁コイル4、検出コイル5及び補償コイル6は、第1の実施形態において説明したものと同一である。検出コイル5の電圧は、増幅器7で増幅を行い、その信号をロックインアンプ8で同期検波し、最後にマイコン83に内蔵のΔ−Σ方式のA/Dコンバータで電圧の計測を行う。
使用するマイコン83のΔ−Σ方式のA/Dコンバータが一機だけである場合は、マイコン83内のマルチプレクサで接続を切り替えながら、同相及び直交成分の電圧を計測する。計測された電圧値はパソコン等(図示しない)に転送し、パソコン上にΔRM及びΔMの計測結果を出力する。このような構成とすることで、持ち運びが自在のハンドヘルド型の検査装置1を実現することができる。
なお、前記第1の実施形態及び本実施形態における上記各構成においては、検出コイル5と被測定物9との距離(リフトオフ)に応じて励磁コイル4に印加する電圧を制御、又は励磁コイル4の励磁電流に応じてリフトオフを制御するようにしてもよい。例えば、本実施形態の検査装置の使用環境によっては、リフトオフをゼロ(被測定物9に検出コイルを接触した状態での計測)にすることができず、被測定物9から離隔した状態で検査が必要になる場合がある。このような場合に、リフトオフが大きいと検出感度がリフトオフに応じて低くなってしまうため、励磁電流が多く流れるように制御し、検出感度を維持するようにしてもよい。
逆に、励磁電流が多く流れているにも関わらず、リフトオフをゼロにしてしまうと検出精度が低下してしまう可能性があるため、コイルを被測定物9から浮かしてリフトオフを制御するようにしてもよい。
また、リフトオフを0より大きくした状態で安定したい場合は、例えば検出コイル5の被測定物9側のコイル面に一定の厚みを有する誘電体を設け、この誘電体を挟んで検出コイル5、誘電体及び被測定物9が接触した状態で計測することで、リフトオフを常に一定に保つことができる。
本発明に係る検査装置について、実際に検査装置を作製して以下の実験を行った。図9は、本実施例において用いた検査装置のシステム概要を示す図である。ファンクションジェネレータ(WF1974、NF Corp.)で正弦波を生成し、パワーアンプ(HSA4014、NF Corp.)で信号を増幅して励磁コイルを励磁した。なお、ファンクションジェネレータの電圧振幅や周波数は、コンピュータからUSBインタフェースを介して制御した。パワーアンプと励磁コイルとの間には抵抗(10Ω)を挿入し、振幅1Aの正弦波電流が流れるようにファンクションジェネレータの電圧値を設定した。
図10は、本実施例において用いた検査装置のコイル寸法を示す図である。補償コイルと検出コイルとは同一形状のコイルで逆接続としており、励磁コイルからの磁場を打ち消すようにした。励磁コイル、検出コイル及び補償コイルのいずれも、内径20mm、外形28mmであり、励磁コイルは50Turn、検出コイル及び補償コイルは600Turnである。
差動接続された検出コイルの電圧はプリアンプ(SA−400F3、NF Corp.)で増幅し、ロックインアンプ(LI5640、NF Corp.)で励磁電流と位相が同相および直交の電圧を取得し、GPIBインタフェースを介してコンピュータにデータを収集した。上記式(4)においてIはファンクションジェネレータへの電圧指令値と周波数より計算でき、ロックインアンプでΔVMを計測しているため、ΔRMおよびΔMを得ることができる。被測定物として、SM490A鋼板およびアルミ板を使用した。
図11は、試験体がSM490A鋼板の場合の板厚dに対するインピーダンス変化の測定結果を示すグラフである。図11(A)は相互等価抵抗変化、図11(B)は最大値で規格化した相互等価抵抗変化、図11(C)は相互インダクタンス変化、図11(D)は最大値で規格化した相互インダクタンス変化を示す。すなわち、図11(A)、(B)が板厚dに対するΔRMの結果、図11(C)、(D)が板厚dに対するΔMの結果である。また、図11(B)、(D)は周波数fを固定として板厚dを変化させた時の最大値で規格化している。なお、図11(A)、(C)は、f=1〜10Hzの結果を示しているが、図11(B)、(D)は、簡略化のためf=1〜4Hzの結果のみを表示している。
図11(A)、(B)に示す通り、f<4Hzの場合、板厚dに対して単調増加であることが分かる。一方、f≧4Hzの場合、表皮効果によりd≧12mmでは単調増加にはなっていない。つまり、f<4であればΔRMを測定することで板厚dを推定できる。
図11(C)、(D)に示す通り、板厚dが変化してもΔMはほとんど一定あることが分かる。これは、強磁性体によるコイル鎖交磁束変化が、渦電流によるコイル鎖交磁束変化よりも大きいため、板厚dが変化したとしてもコイル鎖交磁束の大きさはほとんど変化しないからであると考えられる。このことは,板厚dの変化によらずリフトオフによりΔMが決まり、ΔMを計測してリフトオフを推定できることを示している。
図12は、試験体がアルミ板の場合の板厚dに対するインピーダンス変化の測定結果を示すグラフである。図12(A)は相互等価抵抗変化、図12(B)は最大値で規格化した相互等価抵抗変化、図12(C)は相互インダクタンス変化、図12(D)は最大値で規格化した相互インダクタンス変化を示す。すなわち、図12(A)、(B)が板厚dに対するΔRMの結果、図12(C)、(D)が板厚dに対するΔMの結果である。また、図12(B)、(D)は周波数fを固定として板厚dを変化させた時の最大値で規格化している。なお、図12(A)、(C)は、f=1〜10Hzの結果を示しているが、図12(B)、(D)は、簡略化のためf=1〜4Hzの結果のみを表示している。
図12(A)に示す通り、f≦8Hzの場合、板厚dに対して単調増加であることが分かる。一方、f>8Hzの場合、表皮効果によりd≧19mmでは単調増加にはなっていない。図12(B)に示す通り、表皮効果が小さいf≦4Hzの場合、fが変化してもほとんど変化がないことが分かる。
図11(A)と図12(A)との結果を比較すると、アルミ板の方がSM490A鋼板より表皮効果は小さいと言えるが、アルミも良導体で表皮効果が比較的強いため、板厚が20mm以上の場合では10Hz以上で板厚測定を行うことが困難であることを示唆している。
図12(C)、(D)に示す通り、計測時のノイズが大きかった1Hzの結果を除いて、ΔMは単調減少の傾向がある。これは、渦電流によるコイル鎖交磁束変化を表しており、板厚dの変化により変化するからであると考えられる。このことは、磁性体を試験体とした時の結果(図3(C)、(D))とは異なる特徴である。
次に、ハンドヘルド型の検査装置を作製して実験を行った。検査装置のシステム構成は、図8に示したものである。計測原理は、上記とほぼ同じである。マイコン(PSoC 5LP CY8CKIT−059、サイプレス・セミコンダクター社)のD/Aコンバータ(分解能:10bit)を用いて正弦波を生成し、パワーアンプ(OPA569、テキサス・インスツルメンツ社)を用いて信号を増幅した。D/Aコンバータとパワーアンプとの間には抵抗(5Ω)を挿入し、振幅800mAの正弦波電流が流れるようにD/Aコンバータの出力電圧値を設定した。用いた励磁コイルおよび検出コイルは図10に示すものと同一である。検出コイルの電圧は、計装アンプ(AD8429、アナログデバイセズ社)で増幅を行い、その信号をロックインアンプで同期検波し、最後に、マイコンに内蔵のΔ‐Σ方式A/Dコンバータ(分解能:20bit)で電圧の計測をした。使用したマイコンにはΔ‐Σ方式A/Dコンバータは一機だけであるので、マイコン内のマルチプレクサで接続を切り替えながら同相および直交成分の電圧を計測した。計測された電圧値はパソコン等に転送し、パソコン上にΔRMおよびΔMの計測結果を表示した。なお,試験体としてSM490A鋼板を使用した。
図13は、ハンドヘルド型の検査装置においてSM490A鋼板の板厚dに対するインピーダンス変化の測定結果を示すグラフである。図13(A)は相互等価抵抗変化、図13(B)は相互インダクタンス変化を示す。すなわち、図13(A)が板厚dに対するΔRMの結果、図13(B)が板厚dに対するΔMの結果である。図11の結果と同様、図13(A)においては板厚dに対して単調増加であり、図13(B)においては板厚dが変化してもほとんど一定あることが分かる。
以上のように、本発明に係る検査装置において、板厚が10mmを超える鉄鋼板の板厚測定ができることが分かった。また、実用化に向けてハンドヘルド型の検査装置を試作したが、こちらも10mmを超える板厚測定ができることが示された。有限要素解析により励磁電流量や周波数、コイルの巻数や寸法最適設計を行えばさらに安定した計測が見込めると考えられる。
1 検査装置
2 交流電圧源
3 電流制限抵抗
4 励磁コイル
5 検出コイル
6 補償コイル
7 増幅器
8 ロックインアンプ
9 被測定物
40 スイッチ部
71 冷媒
81 シャント抵抗
82 リレー回路
83 マイコン
84 パワーアンプ
85 抵抗
2 交流電圧源
3 電流制限抵抗
4 励磁コイル
5 検出コイル
6 補償コイル
7 増幅器
8 ロックインアンプ
9 被測定物
40 スイッチ部
71 冷媒
81 シャント抵抗
82 リレー回路
83 マイコン
84 パワーアンプ
85 抵抗
Claims (8)
- 交流電源に接続される励磁コイルと、
励磁コイルの磁界により被測定物に生じる渦電流の磁束量を検出する検出コイルと、
当該検出コイルと略同一の磁気特性を有する補償コイルと、
検出コイル及び補償コイルの出力に基づいて、前記検出コイルで検出された被測定物の磁束量を計測する計測部とを備え、
励磁コイル、検出コイル及び補償コイルが、励磁コイルの磁束方向を同軸として並列に配置され、それぞれのコイルが空心コイルとなっており、被測定物に対して検出コイルと補償コイルとが磁束方向に異なる距離となる位置に配設されていることを特徴とする検査装置。 - 請求項1に記載の検査装置において、
検出コイル及び補償コイルが、励磁コイル及び検出コイルの磁束方向の距離と励磁コイル及び補償コイルの磁束方向の距離とが同一となる位置に配設されている検査装置。 - 請求項1又は2に記載の検査装置において、
検出コイルと補償コイルとが、相互の磁界を打ち消すように逆極性に接続されている検査装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の検査装置において、
励磁コイルが中心から順次径が大きくなる渦巻状に巻回される検査装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の検査装置において、
励磁コイルに対する検出コイルの磁束方向の距離、及び/又は励磁コイルに対する補償コイルの磁束方向の距離を変化させる配置変更手段を備える検査装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の検査装置において、
励磁コイル、検出コイル及び/又は補償コイルが超伝導コイルである検査装置。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の検査装置において、
被測定物と検出コイルとの距離に応じて励磁コイルに印加する電圧を調整する調整手段を備える検査装置。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の検査装置において、
被測定物を配置した状態で検出コイルの出力と補償コイルの出力とを較正する較正手段を備える検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017217297A JP2019086497A (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | 検査装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017217297A JP2019086497A (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | 検査装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019086497A true JP2019086497A (ja) | 2019-06-06 |
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ID=66762922
Family Applications (1)
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JP2017217297A Pending JP2019086497A (ja) | 2017-11-10 | 2017-11-10 | 検査装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019086497A (ja) |
-
2017
- 2017-11-10 JP JP2017217297A patent/JP2019086497A/ja active Pending
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