JP2019085783A - 養生型枠構造およびトンネル覆工体の施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような養生方法としては、例えば、脱型後のコンクリートの表面に散水する方法がある。ところが、散水養生は、コンクリートの上面等の水平面については水中養生に近い環境を作ることができるものの、側面(鉛直面や斜面など)に対しては、ムラなく均一に保水を行うのに手間がかかる。
そのため、特許文献1には、型枠本体と、型枠本体の内側面を覆う保水部とを備える養生型枠を使用した養生方法が開示されている。この養生方法は、養生型枠内にコンクリートを打設してコンクリートに所定の強度が発現した後、保水部に水を供給し、水中養生に近い環境でコンクリートを養生するというものである。
また、特許文献2には、コンクリートに所定の強度が発現した後、型枠の支保部材を一旦緩めてコンクリートとせき板との間に保水マットを挟み込み、この保水マットに水を供給する養生方法が開示されている。なお、特許文献2の養生方法では、コンクリートに埋め込まれた治具により型枠(せき板)を固定している。
このような観点から、本発明は、養生期間の経過を待たずに、他の工区におけるコンクリート打設作業を開始することが可能な養生型枠構造およびトンネル覆工体の施工方法を提案することを課題とする。
なお、前記養生水供給手段が、前記養生水を貯留する貯水槽と、前記貯水槽が上載された水槽用架台とを備えている場合には、前記透水型枠と水槽用架台との間に前記型枠支保材を介設すればよい。
また、前記透水型枠は、せき板と、前記せき板のコンクリート側に積層された保水層とを備えているのが望ましい。
かかる養生型枠構造によれば、透水型枠が養生水供給手段(貯水槽)の重量によって固定されているため、コンクリート打設時に使用した支保構造を養生期間中に使用する必要がない。そのため、支保構造を転用することで、養生期間中に他の工区の施工を開始することが可能となり、ひいては、工期短縮化を図ることができる。
かかるトンネル覆工体の施工方法によれば、透水型枠を残置させた状態でスライドセントルを次の工区に移動させることができる。つまり、本発明によれば、先行工区においてコンクリートの表面に養生水を供給しながら養生を行いつつ、後行工区におけるトンネル覆工体の施工を実施することができる。その結果、トンネル工事の工期の短縮化を図ることができる。
型枠組立工程では、図1に示すように、掘削孔2内にスライドセントル1を据え付ける。スライドセントル1は、トンネル軸方向に沿って移動可能であって、トンネルの覆工コンクリートを連続的に打設することを可能にしている。なお、本実施形態では、掘削孔2の孔壁(内面)に吹付けコンクリート21が吹付けられている。スライドセントル1は、掘削孔2の孔壁(本実施形態では吹付けコンクリート21)の表面から所定の間隔(トンネル覆工体に必要な厚さ)を確保した状態で据え付ける。なお、吹付けコンクリート21は、地山状況に応じて省略してもよい。
本実施形態のスライドセントル1は、上部フォーム11と、側壁フォーム12と、下部フォーム13とを備えている。上部フォーム11は、トンネルの天端部分に配設される。側壁フォーム12は、トンネル側壁部分に配設される。側壁フォーム12の上端は、上部フォーム11の端部に接続されている。下部フォーム13は、側壁フォーム12の下端に接続されていて、トンネル側壁の脚部に配設される。
上部フォーム11、側壁フォーム12および下部フォーム13の内空側(トンネルの中心側)には、支持部材14が配設されている。支持部材14は、上部フォーム11、側壁フォーム12および下部フォーム13を支持する部材であって、形鋼等を適宜組み合わせることにより門型に形成された枠組み構造体である。支持部材14は、下端に車輪15を備えていて、トンネル軸方向に沿って敷設されたレール上を走行する。つまり、スライドセントル1は、所定箇所に移動可能である。なお、支持部材14の走行手段は限定されるものではない。
支持部材14は、上部フォーム11、側壁フォーム12および下部フォーム13をトンネル径方向に進退可能あるいはトンネル軸方向に平行な回転軸まわりに回転可能に支持している。すなわち、スライドセントル1は、脱型時(移動時)に縮径が可能である。また、支持部材14は作業足場16を備えている。作業足場16は、コンクリート打設時の作業員の足場や資材機器等の仮置場として機能する。なお、作業足場16の配置等は限定されるものではない。
せき板4は、木製の板材により形成されている。せき板4は、透水型枠3を支持する際の力を分散させる。なお、せき板4を構成する材料は木材に限定されるものではない。また、せき板4は、必要に応じて設ければよく、保水層5が十分な耐力を有している場合には省略してもよい。
芯材51は、複数の中空凸部53,53,…が形成された2枚の熱可塑性樹脂シート54,54を互いの中空凸部53同士を突き合わせた状態で熱融着して形成されている。
熱可塑性樹脂シート54,54の中空凸部53,53,…は、円錐台状であり、同一の寸法を有している。複数の中空凸部53,53,…は、熱可塑性樹脂シート54の一方の面に規則的かつ千鳥状に間隔をあけて配設されていて、芯材51の内部には連続した内部空間55形成されている。なお、中空凸部53の形状は円錐台状に限定されるものではなく、例えば角錐台状や円柱状であってもよい。また、中空凸部53の大きさや配置も限定されない。また、熱可塑性樹脂シート54を構成する材料は限定されるものではないが、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂が、生産性、コスト面、物性、耐低温性、耐熱性等の特性とのバランス等の観点から好ましい。
本実施形態の透水シート6は、不織布である。なお、透水シート6を構成する材料は、透水性を有したシート材であれば限定されるものではなく、例えば、織布であってもよいし、多数の穴が形成されたビニールシートであってもよい。
コンクリートCの打設後に発生するブリージング水を含む余剰水は、透水シート6を介して、貫通孔56,56,…から透水型枠3の内部空間55に流出する。内部空間55内に流出した余剰水は、適宜排水してもよいし、内部空間55に貯留してもよい。なお、余剰水は、例えば、透水型枠3に予め形成された排水口(図示せず)から排水すればよい。コンクリートCに所定の強度が発現したら、スライドセントル1を脱型するとともに移動させる。このとき、透水型枠3は、コンクリートCの表面に残置させておく。
スライドセントル1を撤去したら、養生水供給手段9を配設するとともに、透水型枠3と養生水供給手段9との間に型枠支保材8を介設する。本実施形態の養生水供給手段9は、養生水を貯留する貯水槽91と、貯水槽91が上載された水槽用架台92とを備えている。水槽用架台92は、路盤上に立設されており、貯水槽91は水槽用架台92の上に設置されている。本実施形態では、型枠支保材8を、透水型枠3と水槽用架台92との間に介設する。なお、水槽用架台92を設けない場合(すなわち、貯水槽91を路盤上に直接設置する場合)には、型枠支保材8は、透水型枠3と貯水槽91との間に介設すればよい。
本実施形態の型枠支保材8は、いわゆる単管パイプとジャッキとを組み合わせることにより伸張可能に構成されている。なお、型枠支保材8を構成する材料は、養生時の透水型枠3を支持することが可能であれば限定されるものではない。
また、本実施形態の水槽用架台92は、枠組み足場により形成されている。なお、水槽用架台92の構成は、貯水槽91を支持することが可能であれば限定されるものではなく、例えば、単管パイプを組み合わせることにより形成してもよい。
コンクリートCの養生が終了したら、コンクリートCの表面から養生型枠構造7(透水型枠3)を撤去するとともに、養生水供給手段を撤去または移動させる。
透水型枠3は、コンクリート打設時から連続して使用するため、養生時に新たに養生型枠構造7を一から形成する必要がなく、施工性に優れている。
養生型枠構造7は、養生時に供給する養生水を貯留する貯水槽91を主体に構成されているため、別途支保構造を構築する必要がない。貯水槽91の重量により、透水型枠3を確実に押え付けることができる。また、養生型枠構造7は、枠組み足場や単管パイプ等の一般的に流通している資材を利用しているため、経済的で、かつ、取り扱いやすい。
コンクリートCの打設後に発生するブリージング水やコンクリートCの表面(コンクリートCと型枠との当接面)に生じる気泡を透水型枠3を介して排出することができるため、高品質に施工することができる。
前記実施形態では、トンネルの施工時について説明したが、養生型枠構造7の採用可能な工事はトンネル施工に限定されるものではなく、あらゆるコンクリート構造物の施工に採用可能である。
前記実施形態では、コンクリート打設時に使用した透水型枠3を残置させた状態で養生型枠構造7を形成する場合について説明したが、養生型枠構造7はコンクリート打設時に使用した型枠を脱型した後に改めて形成してもよい。
2 掘削孔
3 透水型枠
4 せき板
5 保水層
6 透水シート
7 養生型枠構造
8 型枠支保材
9 養生水供給手段
91 貯水槽
92 水槽用架台
Claims (4)
- コンクリートの表面に添設された透水型枠と、
前記透水型枠を固定する型枠支保材と、
前記透水型枠に養生水を供給する養生水供給手段と、を備える養生型枠構造であって、
前記型枠支保材は、前記養生水供給手段に反力をとって前記透水型枠を前記コンクリートの表面に押し付けていることを特徴とする、養生型枠構造。 - 前記養生水供給手段が、前記養生水を貯留する貯水槽と、前記貯水槽が上載された水槽用架台と、を備えており、
前記型枠支保材が、前記透水型枠と前記水槽用架台との間に介設されていることを特徴とする、請求項1に記載の養生型枠構造。 - 前記透水型枠が、せき板と、前記せき板のコンクリート側に積層された保水層と、を備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の養生型枠構造。
- スライドセントルによって支持された透水型枠を掘削孔内に据え付ける型枠組立工程と、
前記掘削孔の内壁面と前記透水型枠との間にコンクリートを打設する打設工程と、
前記スライドセントルを撤去するとともに、前記透水型枠を支持する型枠支保材を設置する支保材設置工程と、を備えるトンネル覆工体の施工方法であって、
前記支保材設置工程では、前記透水型枠に養生水を供給するための養生水供給手段を配設するとともに、前記透水型枠と前記養生水供給手段との間に前記型枠支保材を介設することを特徴とする、トンネル覆工体の施工方法。
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