JP2019085608A - 電極材料、電極材料の製造方法および還元反応装置 - Google Patents

電極材料、電極材料の製造方法および還元反応装置 Download PDF

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Abstract

【課題】還元電極としての触媒活性および反応選択性が高い電極材料の提供。【解決手段】開端のカーボンナノチューブに担持された粒子を含み、粒子が金属粒子または金属酸化物粒子であり、カーボンナノチューブに担持された粒子のうちカーボンナノチューブの内側に存在する粒子の割合である内包率が60個数%以上であり、還元電極用である、電極材料;電極材料の製造方法;還元反応装置。【選択図】図2

Description

本発明は、電極材料、電極材料の製造方法および還元反応装置に関する。
有用ではない化合物を電極上で還元し、有用な化合物に変換する技術が知られている。例えば、二酸化炭素(CO)の大気中濃度は、近年急速に上昇しており、それに伴う諸問題が懸念されている。これに対し、COの処理方法として、回収したCOを電気エネルギーを用いて電極上で電気化学的に還元し、メタン、メタノールおよびエチレンなどの有用な炭化水素に変換する技術が注目されている。
還元電極用の電極材料としては主に銅(Cu)およびその酸化物がCO還元に活性を示すことが古くから知られている。
近年では、カーボンナノチューブ(CNT)やカーボンブラックなどの導電性有機多孔質材料の上にCu微粒子を担持することで、触媒の表面積を増大させて還元反応の効率上昇を図る研究が知られている(非特許文献1および2)。
CNTの内側ではなく外側表面にCu粒子を担持させた系でのCO電解の研究が知られている(非特許文献1および2参照)。非特許文献1および2中で作製されている電極触媒は、CNTの表面にサブミクロン〜数ミクロン程度のCuO結晶を担持したものである。
Chem. Eng. Sci. 2016, 152, 468−477 ACS Catal. 2014, 4, 3682−3695
通常の電極材料を用いて、ある化合物を電気化学的に還元する反応は、反応選択性が低い。特にCOを電気化学的に還元する反応は反応選択性が低く、メタン、メタノール、エチレン、一酸化炭素、ギ酸、ホルムアルデヒドなど多くの種類の生成物が発生してしまう。そこで、生成物の精製プロセスが複雑とならないように、反応選択性を高めることが求められている。
さらに反応選択性が低い電極材料を用いてある化合物を電気化学的に還元する場合、目的とする化合物の収率も高くならない。そのため、還元電極としての触媒活性を高めることが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、還元電極としての触媒活性および反応選択性が高い電極材料を提供することである。
非特許文献1および2に記載の触媒を還元電極用の電極材料として用いてCOの電解を行うとメタノールまたは一酸化炭素が生成することが確認されているが、反応選択性は低かった。
本発明者らは、電気化学的反応の場としてこれまで注目されてこなかったCNTの内部空間に着目した。
その結果、金属粒子または金属酸化物粒子を特定の範囲で開端のカーボンナノチューブの内側に担持させることにより、還元電極としての触媒活性および反応選択性が高い電極材料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明および本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
[1] 開端のカーボンナノチューブに担持された粒子を含み、
粒子が金属粒子または金属酸化物粒子であり、
カーボンナノチューブに担持された粒子のうちカーボンナノチューブの内側に存在する粒子の割合である内包率が60個数%以上であり、
還元電極用である、電極材料。
[2] 粒子がFe、Co、Ni、Cu、Zn、Au、Ag、Pt、Ru、RhおよびPdからなる群のうち1または2以上の金属を含む金属粒子、または、これらの金属の1または2以上の酸化物を含む金属酸化物粒子である[1]に記載の電極材料。
[3] 粒子がCu粒子である[1]または[2]に記載の電極材料。
[4] 粒子の平均粒径が6〜13nmである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の電極材料。
[5] 電気分解反応における還元電極用である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の電極材料。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の電極材料の製造方法であって、
開端のカーボンナノチューブにCu酸化物粒子を担持させる工程と、
Cu酸化物粒子をCu粒子に還元する工程を含む、電極材料の製造方法。
[7] 還元電極および対極を備え、
還元電極が[1]〜[5]のいずれか一項に記載の電極材料を含む、還元反応装置。
[8] COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のエチレン生成のファラデー効率が12%以上である[7]に記載の還元反応装置。
本発明によれば、還元電極としての触媒活性および反応選択性が高い電極材料を提供できる。
図1(A)は、実施例1の電極材料のSTEM観察像である。図1(B)は、実施例1の電極材料のCu分布像である。図1(C)は、実施例1の電極材料のO分布像である。図1(D)は、実施例1の電極材料のC分布像である。 図2は、実施例1の還元反応装置を用いてCOを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のH、CHおよびC生成のファラデー効率を示すグラフである。 図3は、比較例1の還元反応装置を用いてCOを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のH、CHおよびC生成のファラデー効率を示すグラフである。 図4は、COの還元反応の際の電解時間と電気量の関係を示すグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[電極材料]
本発明の電極材料は、開端のカーボンナノチューブに担持された粒子を含み、粒子が金属粒子または金属酸化物粒子であり、カーボンナノチューブに担持された粒子のうちカーボンナノチューブの内側に存在する粒子の割合である内包率が60個数%以上であり、還元電極用である。
この構成により、本発明の電極材料は還元電極としての触媒活性および反応選択性が高い。特に、本発明の電極材料は、Cu微粒子をCNT内部に選択的に担持した触媒であるため、還元電極としての触媒活性および反応選択性が高い。CNTの内部空間は数nm〜数十nmのマイクロポア〜メソポアに分類される細孔であり、ゲスト分子への多方向からのファンデルワールス力によって強い相互作用をもたらすため、CNTの内部はその外部に比べて基質濃度が高くなり触媒反応が加速される。また、COの還元反応など準安定化合物が副生成物として脱離してしまう反応では、CNTのチューブとしての形状によって反応中間体の脱離が阻害され、目的物の反応選択性が向上する。
本発明の好ましい態様では、COを還元する用途(より好ましくはCOの電気化学的還元反応)において、触媒活性および反応選択性が高いことが好ましい。
本発明のより好ましい態様では、還元電極として用いる場合に触媒としての耐久性も高いことがより好ましい。
以下、本発明の電極材料の好ましい態様を説明する。以下において、COの電気化学的還元反応について説明することがあるが、本発明の電極材料はCOの電気化学的還元反応の用途に限定されるものではない。
<開端のカーボンナノチューブ>
本発明では、開端のカーボンナノチューブを用いる。開端のカーボンナノチューブは、後述のとおり公知の方法で開端していないカーボンナノチューブから調製してもよく、商業的に入手してもよい。
カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでもよいし、多層カーボンナノチューブ(MWNT;multi−walled carbon nanotube)でもよい。本発明では、多層カーボンナノチューブを用いることが好ましい。
カーボンナノチューブの外径は、単層カーボンナノチューブの場合は0.8〜2nmであることが好ましく、多層カーボンナノチューブの場合は5〜50nmであることが好ましい。
開端のカーボンナノチューブの内径(孔の直径、すなわち開口部の直径)は、多層カーボンナノチューブの場合は5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、20〜30nmであることがより好ましい。
<粒子>
本発明では、粒子は、開端のカーボンナノチューブに担持された粒子である。開端のカーボンナノチューブに「担持された」とは、溶液中で電気化学的反応を行う場合に、実質的に固定されており、溶液中に実質的に遊離しないことを意味する。
(粒子の種類)
本発明では、粒子が金属粒子または金属酸化物粒子である。
粒子がFe、Co、Ni、Cu、Zn、Au、Ag、Pt、Ru、RhおよびPdからなる群のうち1または2以上の金属を含む金属粒子、または、これらの金属の1または2以上の酸化物を含む金属酸化物粒子であることが好ましい。
粒子がCu粒子、Zn/Cu複合粒子または、これらの1または2以上の酸化物を含む金属酸化物粒子であることがより好ましい。
粒子がCu粒子またはCu酸化物粒子であることがCO還元反応の際にメタノール、メタンおよびC生成の反応選択性を高める観点から特に好ましい。Cu粒子であることがCO還元反応の際にC生成の反応選択性を高める観点からより特に好ましい。
Cu粒子またはCu酸化物粒子は、CO還元電極用の触媒として用いられる。ただし、通常の状態では触媒としての熱的、電気的または光化学的な耐久性が低く、以下の平衡にしたがって容易にCu(0)、Cu(I)O、Cu(II)Oの変換が還元反応と競合的に生じることがある。これに対し、本発明では、開端のカーボンナノチューブの内側に多くの粒子を担持させることにより、Cu粒子またはCu酸化物粒子を還元電極として用いる場合に触媒としての耐久性も高くすることができる。
(内包率)
本発明では、カーボンナノチューブに担持された粒子のうちカーボンナノチューブの内側に存在する粒子の割合である内包率が60個数%以上である。
内包率の下限値は、80個数%以上であることが好ましく、85個数%以上であることがより好ましく、90個数%以上であることが特に好ましく、95個数%以上であることがより特に好ましい。
内包率の上限値は特に制限はない。内包率を100個数%としてもよいし、製造効率の観点から例えば99個数%程度としてもよい。すなわち、一部の粒子がカーボンナノチューブの外側に担持された態様も本発明の電極材料に含まれる。
(粒子の平均粒径)
粒子の平均粒径が6〜13nmであることが好ましく、8〜12nmであることがより好ましく、10〜11nmであることが特に好ましい。
<還元電極用(用途)>
本発明の電極材料は、還元電極用である。
本発明の電極材料は、電気分解反応における還元電極用であることが好ましい。例えば、年々増え続ける大気中のCOを処理する場合に、本発明の電極材料および電気エネルギー(この場合はクリーンエネルギーによって生産されることが好ましい)を用いてCOを還元し、COを固定化する用途で用いられることが好ましい。本発明では、COを還元して、石油化学において極めて重要なC(エチレン)ガスを生産することが好ましい。
(COの還元反応)
電気化学的反応により、COの還元反応を行う場合の反応式を説明する。
還元電極におけるCO還元は、下記式1〜5のうち1または2以上の反応式にしたがって進行する。安定な還元生成物が多く、反応選択性が鍵となる反応である。本発明では、本発明の電極材料の好ましい態様を用いることにより、式5にしたがってCを反応選択的に生成することが好ましい。
式1 CO+ 2H + 2e→CO+HO(E=−0.103V)
式2 CO+ 2H + 2e→HCOOH(E=−0.225V)
式3 CO+ 6H + 6e→CHOH+ HO(E=+0.020V)
式4 CO+ 8H + 8e→CH+2HO(E=+0.169V)
式5 2CO+12H +12e→C+4HO(E=+0.079V)
なお、水の還元は、下記式6の反応式にしたがって進行する。
式6 2H+2e→H(E=0V)
[電極材料の製造方法]
電極材料の製造方法としては特に制限はない。
その中でも、本発明では、電極材料の製造方法は、開端のカーボンナノチューブにCu酸化物粒子を担持させる工程と、Cu酸化物粒子をCu粒子に還元する工程を含むことが好ましい。
(開端のカーボンナノチューブの製造)
電極材料の製造方法は、開端のカーボンナノチューブの製造工程を含むことが好ましい。
開端のカーボンナノチューブの製造工程としては特に制限はない。
開端のカーボンナノチューブを開端していないカーボンナノチューブから調製する方法としては、主に酸化処理と加熱処理の2種類を挙げることができ、酸化処理が好ましい。カーボンナノチューブを酸化して、筒状のチューブの内外を貫通する開口部(孔)を形成して、開端のカーボンナノチューブを製造することがより好ましい。酸化処理には、例えば硝酸等を用いる酸処理を挙げることができる。
開口部を形成した後、加熱等の公知の処理を施して開端のカーボンナノチューブの置換基の除去をすることが、内包率を高める観点から好ましい。加熱処理の温度は、例えば573〜773Kとすることができる。
(開端のカーボンナノチューブに粒子を担持させる工程)
電極材料の製造方法は、開端のカーボンナノチューブに粒子を担持させる工程を含むことが好ましい。
カーボンナノチューブに粒子を担持させる方法としては、「充填法」と「同時蒸発法」の2種類に分類することができる。開端のカーボンナノチューブを製造した後に、その開口部より金属を導入する多段階の処理を必要とする方法が「充填法」である。一方、プラズマなどの高温(1000〜3000℃)の反応場中で金属などの粒子と炭素材料を同時に蒸発させることにより、カーボンナノチューブ成長と同時に粒子が内部に取り込まれる反応を利用した方法が「同時蒸発法」である。
本発明では、充填法を用いることが好ましい。
開端のカーボンナノチューブに粒子を担持させる工程は、カーボンナノチューブおよび粒子前駆体(好ましくは液体または気体状態)を混合する工程と、混合された粒子前駆体に由来する粒子をカーボンナノチューブに担持させる工程を含むことが好ましい。
カーボンナノチューブおよび粒子前駆体を混合する工程としては特に制限はない。混合する工程では、粒子前駆体として金属イオンを含む前駆体溶液と、カーボンナノチューブを混合してもよい。前駆体溶液としては、例えばCu(NO水溶液などを挙げることができる。
カーボンナノチューブおよび粒子前駆体を混合する工程は、ACS Catal. 2012, 2, 1958−1966などに記載の公知の方法で行うことができる。
本発明では、カーボンナノチューブおよび粒子前駆体を混合する工程を、溶媒(分散媒)を用いて含浸法で行うことが好ましい。例えば、カーボンナノチューブを粒子前駆体を含む前駆体溶液に浸漬し、開口部を通して粒子前駆体を少なくともカーボンナノチューブ内側(例えば、カーボンナノチューブの筒状の孔の内部)に導入して、粒子前駆体に由来する粒子を固定して担持させることが好ましい。カーボンナノチューブ内側とは、カーボンナノチューブのチューブ(筒状の孔)の中、その内面、チューブ壁内等が含まれる。前駆体溶液の量は、カーボンナノチューブの容積量に相当する量であることが好ましい。混合する際に超音波をかけつつ混合することが好ましい。
混合された粒子前駆体に由来する粒子をカーボンナノチューブに担持させる工程としては特に制限はない。
担持させる工程としては、例えば両者の混合が完了した後、乾燥および焼成を行うことが、粒子前駆体を粒子に変換して、粒子をカーボンナノチューブに担持させやすい観点から好ましい。
担持された粒子が金属酸化物粒子を含むことが好ましく、Cu酸化物粒子を含むことがより好ましい。ただし、担持された粒子が金属粒子を含んでいてもよい。
(金属酸化物粒子を金属粒子に還元する工程)
電極材料の製造方法では、金属酸化物粒子を金属粒子に還元する工程を含むことが好ましい。本発明では、Cu酸化物粒子をCu粒子に還元する工程を含むことがより好ましい。
金属酸化物粒子を金属粒子に還元する工程としては特に制限はない。例えば、金属粒子および金属酸化物粒子を含む電極材料を、負電圧をかけて還元する方法を挙げることができる。この場合の負電圧は、金属酸化物粒子を金属粒子に還元できる範囲であればよく、Cu酸化物粒子をCu粒子に還元できる範囲であることが好ましく、CuO粒子をCu粒子に還元できる範囲であることがより好ましい。例えば、本発明の電極材料を含む還元電極を用いて還元反応を行う際に、−2V vs SCE(飽和カロメル電極)の負電圧をかけて反応系中で電極材料を還元する方法が好ましい。
[還元反応装置]
本発明の還元反応装置は、還元電極および対極を備え、還元電極が本発明の電極材料を含む。
<還元反応装置の構成>
還元反応装置の構成としては、還元電極および対極を備え、還元電極が本発明の電極材料を含む以外は、特に制限はない。公知の還元反応装置の構成を用いることができる。
本発明では、電極(電極基材)の上に電極材料が積層された還元電極を用いることが好ましい。例えば、電極材料のフィルムおよびグラッシーカーボン電極の積層体を、還元電極とすることが好ましい。
還元反応装置は、還元反応槽、参照電極、イオン交換膜(好ましくはプロトン交換膜)を備えることが好ましい。
還元反応槽に用いられる溶液としては特に制限はなく、例えば水溶液を用いることができ、COを含む水溶液を用いることが好ましい。
<還元反応装置の特性>
(ファラデー効率)
本発明の還元反応装置は、COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のエチレン生成のファラデー効率が12%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、18%以上であることが特に好ましい。COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のエチレン生成のファラデー効率が、CH生成のファラデー効率の3倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。
還元反応装置は、COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のCH生成のファラデー効率が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
還元反応装置は、COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のH生成のファラデー効率が75%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、65%以下であることが特に好ましい。
印加電圧を最適化することによってファラデー効率をより向上することができる。
(電気量変化)
本発明の還元反応装置は、還元反応の際の電気量変化が小さいことが好ましく、触媒電流値の失活が抑制されていることが好ましい。
例えば、COの還元反応の際の電解時間と電気量の関係を示すグラフの傾きが、電解時間0〜8000秒までの期間において0.00225(=19/8000)C/s以上であることが好ましく、0.00238(=19/8000)C/s以上であることがより好ましく、0.0025(=20/8000)C/sであることが特に好ましい。
<還元反応装置の製造方法>
還元反応装置の製造方法としては特に制限はない。公知の還元反応装置の製造方法を用いる。
電極材料を分散液(インク)として用い、電極(電極基材)の上に電極材料を積層して、還元電極を製造することが好ましい。例えば、グラッシーカーボン電極の上に、電極材料の分散液を塗布し、真空中などで乾燥して、還元電極を製造することが好ましい。電極材料の分散液としては特に制限はなく、分散媒と樹脂などを含むことが好ましい。
その他の電極や、その他の部材の配置については特に制限はない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、本実施例中の「%」は、特に断わらない限り質量%を示す。また、「部」は質量部を示す。
[実施例1]
<開端のカーボンナノチューブの調製>
5〜20nm内径のMWNTをHNO(65質量%)中に含浸させ、120℃で14時間加熱し、カーボンナノチューブを開端した。
なお、カーボンナノチューブが開端していることはTEM(STEM)観察の際に、CNT末端部分のコントラストが内径部分のコントラストと同じであることから確認できる。開端できていない場合は、CNT外壁(グラフェンウォール)のコントラストがCNT末端まで続くことになる。
また、本実施態様では開端部において内径5〜20nmの孔(開口部)が形成されていることを確認した。
開端のカーボンナノチューブを濾過してHNOを除いたあと、pH=7になるまで純水で洗浄し、真空中、60℃で12時間乾燥した。その後、真空中、80℃で12時間乾燥した。
置換基除去のため、Ar雰囲気で673Kで3時間アニールした。得られた生成物を、開端のカーボンナノチューブとして用いた。
<電極材料の調製>
その後、前駆体溶液である1mLのCu(NO水溶液(0.868mol/L)に対して、0.5gの開端のカーボンナノチューブを含浸させ、超音波をかけつつ、30分間撹拌し、混合した。前駆体溶液の量は、カーボンナノチューブの容積量に相当する量とした。
混合液に対して0.5mLの純水を滴下し、さらに30分間撹拌した。その結果、ほぼ全ての溶液が開端のカーボンナノチューブの内部に導入され、混合液が乾燥した。
さらに、100℃で10時間乾燥した。
その後、Ar雰囲気下、350℃で3時間焼成した。得られたものを、10.0質量%のCuおよびCu酸化物を含む電極材料とした。
<電極材料のSTEMによる確認>
CuおよびCu酸化物を含む電極材料を、エネルギー分散型X線分光法(EDX)装置が付属する走査型透過電子顕微鏡(STEM/EDX)を用いて観察した結果を、図1に示した。図1(A)は、実施例1の電極材料のSTEM観察像である。図1(B)は、実施例1の電極材料のCu分布像である。図1(C)は、実施例1の電極材料のO分布像である。図1(D)は、実施例1の電極材料のC分布像である。図1より、開端のカーボンナノチューブの内側に粒子が存在することが確認され、またEDXの結果からCu元素が存在していることが確認された。
さらにランダムに選んだ75個の粒子の粒径分布、存在位置(カーボンナノチューブの内側または外側)を測定した。その結果、カーボンナノチューブの内側の粒子の平均粒径が10.41nmであり、カーボンナノチューブの外側の粒子の平均粒径が14.25nmであり、内包率は96個数%であった。
<電極材料の保存>
CuおよびCu酸化物を含む電極材料を、スクリュー管瓶に空気とともに6日間保存したサンプルについて、X線回折装置(XRD)を用いて定性分析を行った。その結果、Cu、CuOおよびCuOの存在が確認された。
CuおよびCu酸化物を含む電極材料を、スクリュー管瓶に空気とともに34日間保存したサンプルについて、X線回折装置(XRD)を用いて定性分析を行った。その結果、CuおよびCuOの存在が確認されたが、CuOのピークが消失していることが分かった。得られた生成物を、実施例1の電極材料とした。
<電極の調製>
実施例1の電極材料1.3mg、水200μL、イソプロピルアルコール200μL、Nafion(登録商標)2.6μLを、超音波をかけつつ分散させ、インクを調製した。
得られたインクのうち15μmLをグラッシーカーボン電極上へ塗布し、真空中、15分間乾燥した。得られた実施例1の電極材料のフィルムおよびグラッシーカーボン電極の積層体を、電極として還元反応装置に用いた。
<還元反応装置の製造>
還元反応槽の内部に、15分間COガスでバブリングを行った0.1mol/LのNaHCO水溶液(pH=6.6)を充填し、プロトン交換膜(プロトン透過膜)で還元反応槽の内部を仕切った。水溶液中に得られた電極をカソードとして設置し、プロトン交換膜(プロトン透過膜)でカソードと仕切った部分の水溶液中にPt電極をアノード(対極;CE)として設置し、カソードとアノードの間に電源を設置した。さらに、SCE電極(飽和カロメル電極)を参照電極(RE)として設置した。得られた装置を、実施例1の還元反応装置とした。
[比較例1]
カーボンナノチューブの外側にCu粒子を有する電極材料を以下の方法で調製し、比較例1の電極材料とした。
実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブの開端処理を行った後、置換基除去のため、Ar雰囲気で673Kで3時間アニールした。得られた開端のカーボンナノチューブ0.5gを2mLのキシレンに含浸させ、超音波をかけつつ1時間撹拌し、カーボンナノチューブ内にキシレンを充填した。その後、前駆体溶液である1mLのCu(NO水溶液(0.868mol/L)を更に加え、80℃で10時間乾燥した。その後、Ar雰囲気下、350℃で3時間焼成した。得られたものを、実施例1と同様の方法でグラッシーカーボン電極上へ塗布し、比較例1のカーボンナノチューブの外側にCu粒子を有する電極材料とした(参考文献:ACS Nano 2009, 3, 2081-2089.)。比較例1の電極材料は内包率が30個数%未満(具体的には多くとも21個数%)であることを、実施例1と同様の方法で確認した。
実施例1の電極材料の代わりに比較例1の電極材料を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の還元反応装置を製造した。
[評価]
<COの還元由来のファラデー効率>
各実施例および比較例の還元反応装置を用いて、LSV(リニアスイープボルタンメトリ)測定で負側の電位に掃引すると、触媒電流の立ち上がりが観測された。
−2V vs SCEで負電圧をかけて反応系中で電極材料を還元しながら、COを含む水溶液の定電位電解を2.5時間行った。その結果、気体生成物としてH、CO、CHおよびCが観測され、液体生成物は観測されなかった。気体生成物のうちH、CHおよびCについて定量を行い、ファラデー効率を計算した。
実施例1の還元反応装置を用いてCOを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のH、CHおよびC生成のファラデー効率を示すグラフを図2に示した。粒子の内包率が高い(Cu粒子がカーボンナノチューブの内部に担持された)電極材料を備える還元反応装置では、C生成のファラデー効率は18.5%であり、高い選択性でC生成が進行することがわかった。
比較例1の還元反応装置を用いてCOを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のH、CHおよびC生成のファラデー効率を示すグラフを図3に示した。粒子の内包率が低い(Cu粒子がカーボンナノチューブの外部に担持された)電極材料を備える還元反応装置では、C生成のファラデー効率は7.9%であった。
図2および図3より、本発明の電極材料によれば、還元電極(特にCOを還元する用途)としての触媒活性および反応選択性が高いことがわかった。具体的には、Cu粒子がカーボンナノチューブの内部に担持された電極材料を触媒とした用いた実施例1では、Cu粒子がカーボンナノチューブの外部に担持された電極材料を触媒とした用いた比較例1と比べ、COの還元由来(CH生成およびC生成)のファラデー効率が2倍以上向上した。また、COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のエチレン(C)生成のファラデー効率が12%以上を達成でき、CH生成のファラデー効率と比較して反応選択性が高いことがわかった。
<還元反応の際の電気量変化>
各実施例および比較例の還元反応装置を用いて、COの還元由来のファラデー効率の評価を行った場合における、還元反応の際の電気量変化を測定し、図4にまとめた。
図4は、COの還元反応の際の電解時間と電気量の関係を示すグラフである。図4の符号1は、実施例1の還元反応装置(粒子の内包率が高い(Cu粒子がカーボンナノチューブの内部に担持された)電極材料を備える)の系列を表す。図4の符号2は、比較例1の還元反応装置(粒子の内包率が低い(Cu粒子がカーボンナノチューブの外部に担持された)電極材料を備える)の系列を表す。
図4において、横軸が時間なので、グラフ(曲線)の傾き変化は電流値の変化を示す。図4の実施例1および比較例1の還元反応装置のグラフ(曲線)の傾き変化を比較すると、実施例1の方が傾きの低下の方が、比較例1の傾きの低下よりも遅いことが分かる。傾きの低下が遅いことは、触媒電流値の減衰挙動を抑制していることを意味する。したがって、本発明の還元反応装置では電流値の失活が抑制されており、本発明の粒子の内包率が高い電極材料は触媒としての耐久性が向上していることが示された。
1 実施例1の還元反応装置
2 比較例1の還元反応装置

Claims (8)

  1. 開端のカーボンナノチューブに担持された粒子を含み、
    前記粒子が金属粒子または金属酸化物粒子であり、
    前記カーボンナノチューブに担持された前記粒子のうち前記カーボンナノチューブの内側に存在する前記粒子の割合である内包率が60個数%以上であり、
    還元電極用である、電極材料。
  2. 前記粒子がFe、Co、Ni、Cu、Zn、Au、Ag、Pt、Ru、RhおよびPdからなる群のうち1または2以上の金属を含む金属粒子、または、これらの金属の1または2以上の酸化物を含む金属酸化物粒子である、請求項1に記載の電極材料。
  3. 前記粒子がCu粒子である、請求項1または2に記載の電極材料。
  4. 前記粒子の平均粒径が6〜13nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極材料。
  5. 電気分解反応における還元電極用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極材料の製造方法であって、
    開端のカーボンナノチューブにCu酸化物粒子を担持させる工程と、
    前記Cu酸化物粒子をCu粒子に還元する工程を含む、電極材料の製造方法。
  7. 還元電極および対極を備え、
    前記還元電極が請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極材料を含む、還元反応装置。
  8. COを含む水溶液中で電気化学的還元を行う場合のエチレン生成のファラデー効率が12%以上である、請求項7に記載の還元反応装置。
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