JP2019084621A - 研磨装置及び研磨システム - Google Patents

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隆司 太田
芳久 古藤
Yoshihisa Koto
芳久 古藤
邦男 青木
Kunio Aoki
邦男 青木
勝可 小谷田
Masayoshi Koyata
勝可 小谷田
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Abstract

【課題】不慣れな作業者であっても、難度の高い調整作業を必要とせず、様々な形状や角度を有する刃先に対して高い精度で研磨作業ができる研磨装置を提供する。【解決手段】本発明の研磨装置3は、刃先21及び胴体部22を有する刃物2を保持するための保持具50と、研磨面30pで刃先21を研磨する研磨具30とを備える。保持具50は、刃物2の胴体部22を所定の向きを保持したまま挿入するスロット57と、スロット57に挿入した刃物を、向きを保持したまま一方向に並進移動させるプッシュレバー58とを有する。スロット57の向きは、胴体部22を該スロット57に挿入した際、刃先21の被研磨面21sが研磨具30の研磨面30pと略平行になるように設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、刃物の刃先を研ぐための研磨装置及び研磨システムに関する。
一般に、ノミ、かんな、はさみ、包丁、食品加工用カッター等の刃物は、継続的な使用によって刃先が磨耗して丸くなると、切れ味が悪くなり、加工精度に問題を引き起こすことがある。このような場合には、研磨装置で刃先を研磨することにより、刃物の切れ味を取り戻すことができる。
従来から刃物の研磨は熟練者による手作業が中心であったが、近年では、どのような種類の刃物であっても精度良く研磨することができる熟練者が不足しており、また、海外など熟練者が不在の場合でも対応できるよう、技能を持たない不慣れな作業者であっても精度良く刃物の刃先の研磨ができる研磨装置が各種提案されている。
例えば、特許文献1には、刃物と、刃物の刃先を研磨する研磨装置とを備える研磨システムが開示されている。不慣れな作業者であっても安全かつ確実に刃物の刃先を研磨することができるよう、研磨装置は、上下移動可能なポールと、ポールの先端部に設けられ、研磨を必要とする刃物を任意の角度に保持するとともに、ポール周りに回動自在な刃物ガイドと、刃物ガイドに一体に取り付けられた可動ハンドルと、刃物を研磨する砥石と、可動ハンドルの操作に応じて刃物を砥石に当接可能な刃物当接機構とを有する(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の研磨システムによると、研磨を必要とする刃物を刃物ガイドに取り付けて可動ハンドルを操作することで、刃物当接機構の動作により、刃物を砥石に当接させることができる。
そして、刃物を刃物ガイドに取り付けて、砥石の表面に刃物の刃先を押し当て、砥石の回転に合わせて可動ハンドルを上下に傾動し、また左右に回動させながら研磨することができるため、例えば砥石124が中央から外周方向に緩やかな曲面を有する砥石であっても、刃先に理想的な直線刃を形成することができる。
また、特許文献2には、初心者であっても様々な種類の彫刻刀の刃先を容易かつ均等に研磨することができるよう、刃物を固定部で支持固定することにより、研磨盤に対する刃先の当接角度を一定に保持することが開示されている(特許文献2参照)。
登録実用新案第3139372号公報 特許第4231010号公報
ところで、特許文献1においては、形状や刃先の角度が異なる刃物を取り付けた場合、刃先における被研磨面と研磨具の研磨面とを当接させたとき、両者が同一面上で接触せず、研磨が均一になされないおそれがある。このような場合、刃物の取付角度を微調整することにより、刃先における被研磨面と研磨具の研磨面とが当接したときに両者が平行になるよう調整する必要がある。このような微調整は、作業経験の浅い作業者にとっては難しく、角度の調整が十分でない場合には、研磨精度に影響を及ぼすこともある。
また、特許文献2においては、異なる種類の刃物を研磨する場合、固定部をスライド移動させて刃先と研磨盤との当接角度及び研磨盤と刃物の指示位置との距離を調節するようにしており、このような調節作業は、作業経験の浅い作業者にとっては難しく、調節が十分でない場合には、研磨精度に影響を及ぼすこともある。
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされてものであり、不慣れな作業者や外国の作業者であっても、難度の高い調整作業を必要とせず、様々な形状や角度を有する刃先に対して高い精度で研磨作業ができる研磨装置を提供するものである。
上記目的を達成するため、本発明の研磨装置は、刃先及び胴体部を有する刃物を保持するための保持具と、研磨面で前記刃先を研磨する研磨具と、を備え、前記保持具は、所定の向きを保持したまま前記刃物の前記胴体部を挿入するスロットと、前記スロットに挿入した前記刃物を、向きを保持したまま一方向に並進移動させるプッシュレバーと、を有し、前記胴体部を前記スロットに挿入した際、前記スロットの向きは、刃先の被研磨面が研磨具の研磨面と略平行になるように設定されている、ことを特徴とする。
上記構成の研磨装置においては、胴体部をスロットに挿入した際、スロットの向きが、刃先の被研磨面が研磨具の研磨面と略平行になるように設定されているため、スロットに刃物の胴体部を挿入するだけで、自動的に刃先の研磨面が研磨具の研磨面と略平行になる。そのため、刃先の角度を微調整することなく、プッシュレバーを操作するだけで、保持具を研磨具に平行に当接させ研磨することができる、という作用を有する。
上記記載の研磨装置によると、刃物の胴体部を保持具のスロットに挿入するだけで、刃先が自動的に最適な角度に保持され、刃先の角度を調整する必要がないため、不慣れな作業者であっても、安全に精度よく研磨をすることができるという効果を奏する。
また、本発明の研磨装置は、前記保持具が所定の位置に固定されており、前記所定の位置は、前記胴体部を前記スロットに挿入した際、前記刃先の被研磨面が、前記研磨具の研磨面を研磨面に対して垂直に投影した領域に入る位置であることが好ましい。
上記構成の研磨装置においては、保持具の位置は、胴体部を前記スロットに挿入した際、刃先の被研磨面が、前記研磨具の研磨面を研磨面に対して垂直に投影した領域に入る位置に設定されている。したがって、研磨する際には、プッシュレバーを操作して刃先を研磨面に対して垂直に動かすだけで、刃先の被研磨面を研磨具の研磨面に当接させることができる。つまり、刃先の角度だけでなく、刃先の位置も微調整することなく、プッシュレバーを操作するだけで、保持具を研磨具に平行に当接させ研磨することができるという作用を有する。
上記構成の研磨装置によると、角度の調整だけでなく、位置の調整も不要となるため、より容易に、安全に精度よく研磨をすることができるという効果を奏する。
また、本発明は、刃先及び胴体部を有する複数の刃物と、上記の研磨装置と、を含んで構成される研磨システムであることが好ましい。この研磨システムは、前記複数の刃物が、それぞれ異なる形状及び角度を有する刃先と、それぞれ異なる形状を有する胴体部と、を有し、前記研磨装置には、前記保持具が前記刃物の数と同数以上に設けられ、前記複数の刃物の前記胴体部は、前記研磨装置に複数設けられた前記保持具のスロットのうち、前記胴体部の形状に対応する一つのスロットにのみ挿入することができ、前記スロットの向きは、対応する胴体部を該スロットに挿入した際、刃先の被研磨面が研磨具の研磨面と略平行になるように設定されていることが好ましい。
上記構成の研磨システムにおいては、一の刃物は、複数備えられた保持具のスロットのうち、前記刃物の胴体部の形状に対応する一つのスロットにしか挿入することができず、他の保持具のスロットには挿入することができない。そのため、刃物を特定の保持具以外の保持具に誤って取り付けてしまうことを防止することができる。
さらに、刃物の胴体部を挿入することができるスロットの向きは、対応する胴体部を該スロットに挿入した際、刃先の被研磨面が研磨具の研磨面と略平行になるように設定されているので、刃物の胴体部を対応するスロットに挿入すれば、自動的に刃先の研磨面が研磨具の研磨面と略平行になる。そして、一の刃物は対応する特定の保持具にしか保持することができないため、刃物が誤った角度で取り付けられることがない。
上記構成の研磨システムによると、複数種類の刃物を研磨する場合であっても、取り付けることができる保持具が決まっており、かつ、刃物の胴体部を保持具のスロットに挿入するだけで、刃先が自動的に最適な角度に保持され、刃先の角度を調整する必要がないため、不慣れな作業者であっても、安全に精度よく研磨をすることができるという効果を奏する。
また、上記の研磨システムにおいて、挿入する刃物の種類に応じて前記保持具が色分けされていることが好ましい。
上記構成の研磨システムにおいては、挿入する刃物の種類に応じて保持具が色分けされていることにより、例えば同系統の種類の刃物が取り付けられる保持具を同じ色で統一することで、特定の刃物をどの保持具に取り付ければよいかを直感的に知ることができるという作用を有する。
上記構成の研磨システムによると、複数ある刃物のうち、どの刃物をどの保持具に保持するかを直感的に知ることができるため、不慣れな作業者であっても、戸惑うことなく適切な保持具に刃物を保持させることができるという効果を奏する。
また、上記の研磨システムは、研磨具がモータによって回転するものであり、前記複数設けられたスロットのうち前記刃物の胴体部が挿入されているスロットを識別する信号を発生し、識別されたスロットに応じて前記研磨具の回転方向を決定する制御装置を備えることが好ましい。
上記構成の研磨システムにおいては、研磨具がモータによって回転するものであることにより、刃先は回転する研磨具の研磨面で研磨される。
ところで、一般的に、刃物の刃先を研磨する方向は決まっており、仮に逆方向から研磨された場合、刃先に過度な負担がかかる、刃先が欠ける、刃先にバリが生じる、などの問題が発生することがある。
上記構成のシステムにおいては、複数設けられたスロットのうち刃物の胴体部が挿入されているスロットを識別する信号を発生することで、どのスロットに刃物の胴体部が挿入されているかを識別することができるという作用を有する。そして、識別されたスロットに応じて前記研磨具の回転方向を決定する制御装置を備えていることにより、どのスロットに刃物の胴体部が挿入されているかを識別し、挿入されている刃物に応じた適切な回転方向を決定することができる。
これにより、上記構成のシステムにおいては、刃物に応じて自動的に回転方向が決定されるため、間違った方向に研磨してしまうことを防止できるという効果を奏する。
以上、説明したように、本発明の研磨装置においては、刃物の胴体部を保持具のスロットに挿入するだけで、刃先が自動的に最適な角度に保持され、刃先の角度を調整する必要がないため、不慣れな作業者であっても、安全に精度よく研磨をすることができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る研磨システムの全体を表す概略斜視図である。 第1実施形態の研磨装置によって研磨される、食肉加工装置に使用される刃物の概略斜視図である。 第1実施形態の研磨システムに設けられた研磨装置における保持具の全体を示す立面図である。図3Aは、刃物を装着する前の状態を示す。 第1実施形態の研磨システムに設けられた研磨装置における保持具の全体を示す立面図である。図3Bは、刃物を装着した後の状態を示す。 上記保持具の平面図である。 上記保持具の立面図である。 図4において符号A−Aで示される部分の矢視断面図である。 図4において符号B−Bで示される部分の矢視断面図である。 上記保持具が備えるホルダの詳細を表す斜視図である。 上記ホルダに刃物を装着した状態の側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る研磨システムの全体を表す斜視図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<<第1の実施形態>>
<研磨システム1>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る研磨システム1の全体を表す概略斜視図である。研磨システム1は、刃物2と、研磨装置3とを含んで構成される。
〔刃物2〕
刃物2は、食鳥屠体の加工装置において用いられる、肉と骨とを分離処理するための切断刃である。このような食肉の加工装置に使用される刃物は、常に血や肉片にさらされており、また、骨と接触することもある。したがって、継続的な使用により、刃先の切れ味が悪くなり、場合によっては、刃先が欠けることもある。
そのため、定期的に刃物を加工装置から取り外し、研磨することで、切れ味を取り戻す必要がある。
ところで、このような加工装置は、鶏肉の生産国である中国やキューバ、ブラジルなどの外国で使用されることが多く、刃物の研磨も当該国で行われることになる。外国においては、刃物の研磨に熟練している作業者がいることが少なく、不慣れな作業者が多い。したがって、機械によって自動化された研磨装置が必要であるが、食肉の加工装置から取り外した刃物を研磨装置に取り付け、刃物と研磨面との位置を調整するにも技能が必要である。また、加工装置に備えられている刃物は一種類ではなく、骨から肉を分離させるための刃、肉を切断するための刃など、用途や使用箇所によって様々な形状や刃先の角度を有するものである。そのような様々な形状や刃先の角度を有する刃物を研磨装置に取り付けるには、それぞれの刃物の形状や刃先の角度に応じて、刃先と研磨面との位置や角度を調整する必要があり、不慣れな作業者には困難な作業である。したがって、高い技能を持たない作業者や不慣れな作業者であっても、高度な技能を要する角度調整を伴うことなく、刃物を簡易に研磨装置に取り付けることができ、適切に刃先を研磨できる研磨装置を提供する必要がある。
図2は、食肉加工装置に使用される刃物2の概略斜視図である。刃物2は、本実施形態の研磨装置3によって研磨される。
刃物2は、食肉を加工するための刃先21と、刃先21に接続され、略矩形状に形成された胴体部22とを含んで構成される。刃先21には、後述の研磨具30により研磨される被研磨面21sが設けられている。また、刃物2の刃先21と胴体部22とは、ボルトとナットによって締結されている。
〔研磨装置3〕
図1に戻る。研磨装置3は、図示しないモータにより回転駆動する研磨具30と、研磨具30を載置する台座40と、台座40に立設された保持具50とを含んで構成されている。
[研磨具30]
研磨具30を駆動するモータの回転軸は、略鉛直に設けられ、研磨具30は、該回転軸周りに回転することができる略円筒状の砥石からなる。そして、研磨具30は、モータの回転軸と直交する向き、つまり、略水平に設定された略円環状の研磨面30pを有している。
刃物を研磨する際には、食肉加工用の切断刃等の刃物2を研磨装置3の保持具50に保持させたうえで、被研磨面21sを研磨具30に設けられた略円環状の研磨面30pに押し当て、研磨を行うものである。
[保持具50]
図3は、研磨装置3の保持具50の全体を示す概略模式図である。特に、図3Aは、刃物1を装着する前の状態を示し、図3Bは、刃物1を装着した後の状態を示す。
そして、図4は、保持具50の概略平面図であり、図5は、保持具50の概略立面図である。
研磨装置3の保持具50は、研磨装置3の台座40に固定される保持具台座51と、該保持具台座51に立設される左右一対の支柱52a,52bと、該一対の支柱52a,52b間に設けられた下部ステージ53、中間ステージ54及び上部ステージ55と、該上部ステージ55にボルトで取り付けられるホルダ56とを含んで構成される。ホルダ56には、刃物2を挿入するためのスロット57(図8参照)が設けられている。
また、保持具50は、刃物2を研磨具30に押し付けるためにホルダ56を並進移動させるプッシュレバー58と、砥石の減り具合に合わせて保持具全体の高さを調整するための上下調整ノブ59とを備える。
なお、図3〜図5においては、保持具50の構成の理解のため、スロット57の表示を省略している。
(上部ステージ55の詳細構成)
図5〜図7を参照しながら、保持具の上部ステージ55の詳細な構成について説明する。図5は、保持具50の概略立面図である。図6は、図4において符号A−Aで示される部分の矢視断面図である。図7は、図4において符号B−Bで示される部分の矢視断面図である。
図5〜図7に示すように、保持具の上部ステージ55は、上下方向に設けられた左右一対のロッド551a,551bと、それぞれのロッド551a,551bの外周に設けられたリニアブシュ552a,552bとを介して、中間ステージ54に接続されている。該リニアブシュ552a,552bは、下面に鍔部553a,553bを有する円筒形状であり、該鍔部553a,553bと上部ステージとを締結するボルト554により、上部ステージ55に固定されている。
ロッド551a,551bは、リニアブシュ552a,552bの円筒内を貫通するよう設けられており、下端には該ロッド551a,551bと中間ステージ54とを固定するためのボルト555a,555bが、上端にはリニアブシュ552a,552bとの相対移動を制限するためのボルト556a,556bが設けられている。すなわち、ロッド551a,551bの上端に設けられたボルト556a,556bは、ボルトの頭557a,557bの外径がロッド551a,551bの外径を上回っており、ボルトの頭557a,557bの下面と、リニアブシュ552a,552bの上面とが当接するようになっている。それによって、ロッド551a,551bの上端に設けられたボルト556a,556bは、リニアブシュ552a,552bがロッド551a,551bから抜けてしまうことを防止するよう、ストッパとして働く。上部ステージ55と中間ステージ54の間における該ロッド551a,551bの外周面にはスプリング558a,558bが設けられており、通常の状態においては上部ステージ55及びリニアブシュ552a,552bを上方向に押し上げるような圧力がかかっているが、ロッド551a,551bの上端に設けられたボルト556a,556bの頭557a,557bにリニアブシュ552a,552bの上端が当接することにより、上部ステージ55の上方への移動を規制している。
また、上部ステージ55には、プッシュレバー58が固定されており、該プッシュレバー58を押し下げることで、スプリング558a,558bの圧力に対抗して上部ステージ55を中間ステージ54に対して下方に移動させることができる。
このとき、上部ステージ55の移動量を制限することにより、研磨量を制限するためのストッパ560a,560b,560c,560dが、上部ステージ55の下面に設けられている。
プッシュレバー58の押し下げ動作によって上部ステージ55が押し下げられた際、該ストッパ560a,560b,560c,560dが中間ステージ54の上面に当接することにより、それ以上の移動が制限される。
そして、プッシュレバー58の押し下げを行わない通常の状態における、該ストッパ560a,560b,560c,560dと中間ステージ54の上面との距離は、研磨したい量の上限によって決められており、本実施例においては、1〜2mmに設定される。
また、上部ステージ55には、刃物1を保持するためのホルダ56を図示しないボルトによって固定することができる。
(ホルダ56の詳細構成)
図8及び図9を参照しながら、ホルダ56の詳細な構成について説明する。図8は、ホルダ56の詳細斜視図であり、図9は、ホルダ56に刃物2を装着した状態の側面図である。
ホルダ56は、左右一対のユニット板561a,561bと、該ユニット板561a,561b同士を接続するための接続シャフト562と、刃物2を受け入れるスロット57を構成するための複数のボルト563と、挿入した刃物2の装着をロックまたは解除するためのレバー564とを含んで構成される。
複数のボルト563は、略矩形状の刃物2の胴体部22を、所定の向きで所定の角度をもって挿入することができるよう、配列されている。そのため、胴体部を別の角度で挿入することや、別の方向から挿入することはできない。
そして、刃物2の胴体部22を、所定の向きで所定の角度をもって挿入することにより、刃物2の刃先の被研磨面21sが、研磨具30の研磨面30pと略平行になるよう、スロット57の向きが設定されている。
また、その際、刃先の被研磨面21sが、前記研磨具30の研磨面30pを研磨面30pに対して垂直に投影した領域に入る位置に設定されている。
(上下構成ノブ59の詳細構成)
図5及び図6に戻る。図5及び図6を参照しながら、上下構成ノブ59の詳細な構成について説明する。
図5及び図6に示すように、上下調整ノブ59は、下部ステージ53、中間ステージ54及び上部ステージ55を貫通して設けられている。該上下調整ノブ59の外周面にはねじ山591が刻設されており、中間ステージ54の貫通孔に固定されたブシュ541の内周面に刻設されたねじ山と噛み合っている。
そして、上下調整ノブ59を回動させることにより、中間ステージ54の貫通孔に固定されたブシュ541を介して中間ステージ54を上下方向に移動させることができる。このとき、下記に詳述するように、中間ステージ54と上部ステージ55とは接続状態にあるため、上下調整ノブ59を回動させることにより、中間ステージ54のみならず、上部ステージ55も上下方向に移動させることができる。
なお、上下調整ノブ59は上部ステージ55の貫通孔とは接触せず、上部ステージ55の貫通孔との関係においては、自由に回転可能である。また、下部ステージ53の貫通孔には、中間ステージ54の貫通孔同様、ブシュ531が設けられているが、下部ステージ53の貫通孔に設けられたブシュ531にはねじ山は刻設されておらず、上下調整ノブ59は下部ステージ53の貫通孔との関係においても、自由に回転可能である。
〔研磨システム1の動作〕
このように構成された研磨システム1の動作を説明する。
まず、略矩形状に形成された刃物2の胴体部22を、研磨装置3の保持具50のホルダ56に設けられたスロット57に挿入し、該ホルダ56のレバー564をロック状態にことで、刃物2を保持具50に保持する。
このとき、ホルダ56に設けられたスロット57の向きが、刃物2の形状に合わせて所定の方向を向くよう予め設定されていることにより、刃物2の刃先の被研磨面21sと研磨具30の研磨面30pとが、自動的に略平行になる。
次に、刃物の刃先の被研磨面21sと研磨具30の研磨具30pとの当たり具体を見て、上下調整ノブ59を回動することにより、中間ステージ54と上部ステージ55の高さを調整する。上部ステージ55の高さが調整されることにより、被研磨面21sの高さも調整される。
そして、研磨具30がモータにより回転している状態で、プッシュレバー58を押し下げ、保持具50に保持された刃物1を上部ステージ55ごと押し下げることにより、刃先の被研磨面21sを研磨具30の研磨面30pに当接させ、研磨を実施する。
このとき、上部ステージ55の下面に設けられたストッパ560a,560b,560c,560dにより、想定以上に研磨されることが防止される。
本実施の形態においては、上記のような構成を有するため、研磨する際には、プッシュレバー58を押し下げて刃先を研磨面30pに対して垂直に動かすだけで、刃先の被研磨面21sを研磨具30の研磨面30pに当接させることができる。つまり、刃先の角度を調整することなく、また、刃先の位置も微調整することなく、プッシュレバー58を操作するだけで、被研磨面21sを研磨面30pに対して平行に当接させ研磨することができる。
<第1の実施形態のまとめ>
以上、第1の実施形態に記載の研磨システム1によれば、刃物2を保持する保持具50に設けられたスロット57の向きが、刃物2の胴体部22を該スロット57に挿入した際、刃先21の被研磨面21sが研磨具30の研磨面30pと略平行になるように設定されている。そのため、スロット57に刃物2の胴体部22を挿入するだけで、自動的に刃先21の研磨面21sが研磨具30の研磨面30pと略平行になる。そのため、刃先21の角度を微調整することなく、プッシュレバー58を操作するだけで、保持具50を研磨具30に平行に当接させ研磨することができる。
また、保持具50が配設される位置が、胴体部22をスロット57に挿入した際、刃先の被研磨面21sが、研磨具30の研磨面30pを研磨面30pに対して垂直に投影した領域に入る位置に設定されている。そのため、研磨する際には、プッシュレバー559を操作して刃先21を研磨面30pに対して垂直に動かすだけで、刃先の被研磨面21sを研磨具30の研磨面30pに当接させることができる。
<<第2の実施形態>>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る研磨システム1’について、図10を参照しながら説明する。
<研磨システム1’>
〔研磨システム1’の概略構成〕
第1の実施形態では、1つの研磨具30に対して1つの保持具50があるものとして説明した。それに対し、第2の実施形態では、1つの研磨具30の周りに4つの保持具50a,50b,50c,50dを備えており、該保持具50a,50b,50c,50dには、それぞれ異なる形状及び角度を有する4つの刃物2a,2b,2c,2dを装着可能に構成されている。この点で、第2の実施形態は、第1の実施形態と異なる。
挿入することができる刃物の胴体部の形状は、図8に示すように、保持具50におけるホルダ56に複数設けられたボルト563の配列により特定できるものであるが、4つの保持具50a,50b,50c,50dのホルダ56a,56b,56c,56dにおいて、ボルト563の配列をそれぞれ異なるものとすることにより、4つの刃物のそれぞれの胴体部形状に応じたスロット57a,57b,57c,57dを設定することができる。
これにより、本実施の形態においては、一つのホルダには対応する一つの刃物の胴体部のみが挿入でき、他の刃物の胴体部は挿入できないように構成されている。
また、複数のボルト563は、該ホルダに対応する一つの刃物の胴体部を、所定の向きで所定の角度をもって挿入することができるよう、配列されている。そのため、胴体部を別の角度で挿入することや、別の方向から挿入することはできない。
そして、刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dを、前記所定の向きで所定の角度をもって挿入することにより、胴体部22a,22b,22c,22dをスロット57a,57b,57c,57dに挿入したときの刃先の被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdが、研磨具30の研磨面30pと略平行になるよう、スロット57a,57b,57c,57dの向きがそれぞれ設定されている。
また、それぞれの保持具50a,50b,50c,50dが配設される位置が、対応する刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dをスロット57a,57b,57c,57dに挿入した際、刃先の被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdが、研磨具30の研磨面30pを研磨面30pに対して垂直に投影した領域に入る位置に設定されている。
また、第2の実施の形態に係る研磨システム1’においては、保持具50a,50b,50c,50dにおける一対の支柱52aa,52ab,52ba,52bb,52ca,52cb,52da,52db及び/又は下部ステージ53a,53b,53c,53d、中間ステージ54a,54b,54c,54d、上部ステージ55a,55b,55c,55dは、それぞれに色が付されており、刃物2a,2b,2c,2dの種類に応じて色分けされていることが好ましい。
また、刃先の形状によっては、研磨の方向を誤ると、刃先に過度な負担がかかる、刃先が欠ける、刃先にバリが生じる、等の問題が発生することがある。そこで、第2の実施の形態に係る研磨システム1’において、研磨装置3は、研磨具の回転方向を決定する図示しない制御装置をさらに備え、装着される刃先によって、研磨する方向を予め決めておくことが好ましい。
〔研磨システム1’の動作〕
このような構成とした研磨システム1’を動作する際には、まず、食肉加工装置から取り外された刃物2a,2b,2c,2dを、研磨装置3の保持具50a,50b,50c,50dに装着する。具体的には、刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dを保持具50a,50b,50c,50dのホルダ56a,56b,56c,56dに設けられたスロット57a,57b,57c,57dに挿入することになるが、このとき、スロット57a,57b,57c,57dの形状がボルト563の配列によって特定されているため、該スロット57a,57b,57c,57dの形状に合う刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dのみ挿入することができる。(本実施形態においては、スロット57aには刃物2aの胴体部22aを、スロット57bには刃物2bの胴体部22bを、スロット57cには刃物2cの胴体部22cを、スロット57dには刃物2dの胴体部22dを挿入することができる。)
これにより、刃物を間違った保持具に保持してしまうおそれがない。
また、対応するホルダ56a,56b,56c,56dに保持された刃物2a,2b,2c,2dの刃先21a,21b,21c,21dにおける被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdと、研磨具30の研磨面30pとが平行となるように、ホルダ56a,56b,56c,56dのボルト563が配列されているため、いったんホルダ56a,56b,56c,56dに装着してしまえば、刃先21a,21b,21c,21dの角度調整をすることなく、プッシュレバー58a,58b,58c,58dを操作するだけで被研磨面を研磨面に当接させ研磨することができる。
さらに、保持具50a,50b,50c,50dが配設される位置が、刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dを対応する保持具50a,50b,50c,50dのスロット57a,57b,57c,57dに挿入した際、刃先21a,21b,21c,21dの被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdが研磨具30の研磨面30pを研磨面30pに対して垂直に投影した領域に入る位置に設定されているため、刃物2a,2b,2c,2dをいったんホルダ56a,56b,56c,56dに装着してしまえば、刃先の角度調整だけでなく、刃先の位置調整もすることなく、プッシュレバー58a,58b,58c,58dを押し下げて刃物を略鉛直方向に押し下げるだけで、容易に被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdを研磨面30pに当接させ、刃先を研磨することができるのである。
また、保持具50a,50b,50c,50dの各構成要素を、刃物2a,2b,2c,2dの種類に応じて色分けすることで、どの刃物2a,2b,2c,2dをどの保持具に保持させるのかが一目で分かるようになり、経験の浅い作業者でも、刃物2a,2b,2c,2dを適正な保持具50a,50b,50c,50dに間違えることなく装着することができる。
また、研磨装置3は、研磨具の回転方向を決定する図示しない制御装置をさらに備え、装着される刃先によって、研磨する方向が予め決まっている。
一つの保持具50a,50b,50c,50dに対して装着できる一つの刃物2a,2b,2c,2dが決まっているのであるから、装着される保持具50a,50b,50c,50dに応じて、研磨具30を回転する方向も決まっている。よって、装着される保持具50a,50b,50c,50dを識別する信号を生成し、その信号に応じて回転方向を決定すれば、装着される刃物2a,2b,2c,2dに応じた回転方向を設定することができる。
このような構成にすることにより、装着される刃物に応じて人手により回転方向を設定するのではなく、刃物を保持具に装着することにより、該保持具を識別する信号が生成され、該信号に応じて制御装置が研磨具の回転方向を決めるものであるから、人手によらず自動的に回転方向を決定することができ、回転方向を誤ることなく、適切に刃物を研磨することができるのである。
<第2の実施形態のまとめ>
第2の実施形態に記載の研磨システム1’によると、研磨装置3は、スロット57a,57b,57c,57dを備えた保持具50a,50b,50c,50dを複数備え、それぞれ異なる形状を有する胴体部22a,22b,22c,22dは、複数備えられた保持具50a,50b,50c,50dのスロットのうち、胴体部22a,22b,22c,22dの形状に対応する一つのスロット57a,57b,57c,57dにのみ挿入することができ、該スロット57a,57b,57c,57dの向きは、対応する胴体部22a,22b,22c,22dを該スロット57a,57b,57c,57dに挿入した際、刃先21a,21b,21c,21dの被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdが研磨具30の研磨面30pと略平行になるように設定されているのであるから、刃物2a,2b,2c,2dを誤った保持具50a,50b,50c,50dに保持させてしまうおそれがなく、さらに、刃物2a,2b,2c,2dをいったん保持具50a,50b,50c,50dに装着してしまえば、刃先21a,21b,21c,21dの角度調整をすることなく、プッシュレバー58a,58b,58c,58dを操作するだけで被研磨面21sa,21sb,21sc,21sdを研磨面30pに当接させ研磨することができる。
また、複数設けられた保持具50a,50b,50c,50dにおける一対の52aa,52ab,52ba,52bb,52ca,52cb,52da,52db及び/又は下部ステージ53a,53b,53c,53d、中間ステージ54a,54b,54c,54d、上部ステージ55a,55b,55c,55dは、刃物2a,2b,2c,2dの種類に応じて色分けされているため、どの刃物2a,2b,2c,2dをどの保持具50a,50b,50c,50dに保持させるのかが一目で分かるようになり、経験の浅い作業者でも、刃物2a,2b,2c,2dを適正な保持具50a,50b,50c,50dに間違えることなく装着することができる
また、研磨装置3の研磨具30がモータによって回転するものであり、複数設けられたスロット57a,57b,57c,57dのうち刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dが挿入されているスロット57a,57b,57c,57dを識別する信号を発生し、識別されたスロット57a,57b,57c,57dに応じて研磨具30の回転方向を決定する制御装置を備えているため、どのスロット57a,57b,57c,57dに刃物2a,2b,2c,2dの胴体部22a,22b,22c,22dが挿入されているかを識別し、識別されたスロット57a,57b,57c,57dに応じて、予め定められた最適な回転方向で研磨を行うことができる。
上記実施の形態においては、複数設けられる保持具及び刃物の数を4としたが、必ずしもこれに限るものではなく、その数は研磨する刃物の種類に応じて変更できるものである。
また、刃物の例として、食肉加工装置に用いられる切断刃を用いたが、必ずしもこれに限られるものではなく、包丁、はさみ、ノミ、かんななど、様々な種類の刃物に適用することができる。
また、保持具に装着された刃物を上下する機構としてプッシュレバーを使用したが、必ずしもこれに限るものではなく上下に並進運動する機構として、他の公知の機構を使用することができる。
本発明による刃物の研磨装置は、食肉加工装置に用いられる切断刃、包丁、はさみ、ノミ、かんななど、様々な種類の刃物の研磨作業に使用することができる。
1 研磨システム
2 刃物
21 刃先
21s 被研磨面
22 胴体部
3 研磨装置
30 研磨具
30p 研磨面
50 保持具
57 スロット
58 プッシュレバー

Claims (5)

  1. 刃先及び胴体部を有する刃物を保持するための保持具と、
    研磨面で前記刃先を研磨する研磨具と、
    を備え、
    前記保持具は、
    所定の向きを保持したまま前記刃物の前記胴体部を挿入するスロットと、
    前記スロットに挿入した前記刃物を、向きを保持したまま一方向に並進移動させるプッシュレバーと、
    を有し、
    前記胴体部を前記スロットに挿入した際、前記スロットの向きは、刃先の被研磨面が研磨具の研磨面と略平行になるように設定されている、研磨装置。
  2. 前記保持具が所定の位置に固定されており、
    前記所定の位置は、前記胴体部を前記スロットに挿入した際、前記刃先の被研磨面が、前記研磨具の研磨面を研磨面に対して垂直に投影した領域に入る位置である、請求項1記載の研磨装置。
  3. 刃先及び胴体部を有する複数の刃物と、
    請求項1又は2に記載の研磨装置と、
    を含んで構成される研磨システムであって、
    前記複数の刃物は、
    それぞれ異なる形状及び角度を有する刃先と、
    それぞれ異なる形状を有する胴体部と、
    を有し、
    前記研磨装置には、前記保持具が前記刃物の数と同数以上に設けられ、
    前記複数の刃物の前記胴体部は、前記研磨装置に複数設けられた前記保持具のスロットのうち、前記胴体部の形状に対応する一つのスロットにのみ挿入することができ、
    前記スロットの向きは、対応する胴体部を該スロットに挿入した際、刃先の被研磨面が研磨具の研磨面と略平行になるように設定されている、研磨システム。
  4. 前記保持具は、挿入する刃物の種類に応じて色分けされている、請求項3記載の研磨システム。
  5. 前記研磨具がモータによって回転するものであり、前記複数設けられたスロットのうち前記刃物の胴体部が挿入されているスロットを識別する信号を発生し、識別されたスロットに応じて前記研磨具の回転方向を決定する制御装置を備えた、請求項3又は4記載の研磨システム。

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