JP2019084579A - 鋼板間の溶接部検査方法、鋼板間の溶接部検査装置および鋼板の溶接装置 - Google Patents

鋼板間の溶接部検査方法、鋼板間の溶接部検査装置および鋼板の溶接装置 Download PDF

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泰成 燈明
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洋一 松井
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Abstract

【課題】より高速に溶接部の検査を行うことができる鋼板間の溶接部検査方法、鋼板間の溶接部検査装置および鋼板の溶接装置を提供する。【解決手段】1対の電極11a,11bが、2枚の鋼板1a,1bの表面に、それぞれ電気的に接続可能に設けられている。電位差測定手段12が、各電極11a,11bにより、溶接時の温度変化による起電力が反映された各鋼板1a,1bの電位差を測定するよう構成されている。関係評価手段25が、溶接時の温度変化による起電力の変化に対応した電位差の変化を特徴付ける特徴パラメータと、各鋼板1a,1b間の接触寸法との関係を、測定によりあらかじめ求めて記憶しておくよう構成されている。接触寸法推定手段26が、電位差測定手段12で測定された電位差の変化から特徴パラメータを求め、関係評価手段25で記憶された関係に基づいて、各鋼板1a,1b間の接触寸法を推定するよう構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板間の溶接部検査方法、鋼板間の溶接部検査装置および鋼板の溶接装置に関する。
自動車や家電製品などの構造材料として鋼板が広く利用されており、その鋼板の接合には、抵抗溶接の一種であり、迅速で安価なスポット溶接が一般的に用いられている。例えば、自動車では、1台あたり数千のスポット溶接部が存在している。従来、このようなスポット溶接部などの鋼板間の接触部の品質や寸法を評価するために、超音波を使用する方法(例えば、特許文献1乃至3参照)や、探針プローブを使用して電位差を測定する方法(例えば、特許文献4または5参照)などが利用されている。
しかし、特許文献1乃至3に記載のような超音波を使用する方法や、特許文献4および5に記載のような探針プローブを使用して電位差を測定する方法では、スポット溶接の作業時間と比べて、超音波発生用のトーチや探針プローブを所定の位置に設置したり、探針プローブを走査したりするのに時間がかかり、測定時間が非常に長くなってしまうため、多数の溶接部を有する場合には実用的ではないという問題があった。例えば、自動車製造工程では、一点のスポット溶接がわずか数秒で行われており、そのような現場に適用するのは困難である。このため、自動車製造工程では、溶接電流、電流付与時間、加圧力の3因子を正確に制御することによりスポット溶接部の品質を保証しているのが実情であり、たがねを用いた溶接部の抜き打ち破壊検査が実施されている。
そこで、測定時間を短縮するために、鋼板を挟んで配置された溶接用の各電極を、電圧測定用の電極として使用する方法が開発されている。このような方法として、例えば、各電極間に印加される溶接電流と各電極間の電圧とを測定し、この測定値を用いて熱伝導モデルに基づく温度分布および通電径を数値解析して、溶接により生成されるナゲット(接触部)の径を推定するものがある(例えば、特許文献6参照)。しかし、この方法では、抵抗溶接などの際に鋼板の表面粗さが変化する可能性を考慮していないため、接触部(ナゲット)の寸法計算に誤差が発生するおそれがあり、正確な接触寸法を計算できないことがあるという問題があった。
そこで、この問題を解決するために、溶接用の各電極間に、一定の大きさの直流電流を流したときの各電極間の電位差を測定し、各電極と各鋼板との接触部の電気抵抗率を考慮して数値解析および/または測定であらかじめ求めておいた、各鋼板間の接触寸法と直流電流を流したときの各電極間の電位差との関係に基づいて、測定された電位差から各鋼板間の接触寸法を求める方法が、本発明者等により開発されている(例えば、特許文献7または非特許文献1参照)。この方法によれば、各電極と各鋼板との接触部の電気抵抗率を考慮することにより、抵抗溶接などの際に鋼板の表面粗さが変化する(増大する)場合等にも柔軟に対応することができるため、鋼板間の接触寸法を正確に測定することができる。
特開2011−220714号公報 特開2013−072798号公報 特開2012−093307号公報 特許第4822545号公報 特開2008−254005号公報 特開平11−47945号公報 特開2016−44998号公報
H. Tohmyoh, et al., "Inspection of the physical contact betweentwo steel sheets by means of a potential drop", NDT&E International, December 2014, Vol.68, p.28-32
特許文献6に記載の方法、ならびに、特許文献7および非特許文献1に記載の方法は、溶接用の電極を使用することにより、比較的迅速に溶接部の検査を行うことができるが、自動車等の製造工程中のインラインで検査を行うことを考慮すると、さらに高速に検査を行うことが求められている。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、より高速に溶接部の検査を行うことができる鋼板間の溶接部検査方法、鋼板間の溶接部検査装置および鋼板の溶接装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋼板溶接中の交流電流の付与下において、溶接用電極間の電位差を高精度で測定したところ、温度脈動に起因した起電力の存在を、今回初めて確認した。特許文献6のように、従来でも溶接用電極間の電位差を測定するものは存在しており、測定された電位差には、溶接時の温度変化による起電力も含まれていたと考えられるが、外部からのノイズや、溶接電流の変化により計測系に生じるノイズ等の影響により、また溶接電流と同期して高精度に電極間の電位差を測定するということが実現できていなかったため、その温度変化による起電力による変化は明瞭には認められず、温度変化による起電力が存在することは全く知られていなかった。本発明者等は、確認された温度変化による起電力の変化と、ナゲット(接触部)形成過程との間に相関があることを見出し、その起電力から算出したパラメータと溶接後のナゲットの接触面積との間に明瞭な相関があることも確認した。また、その起電力が、溶接中のスパッタの発生にも敏感に反応することも確認した。これらの結果に基づいて、本発明者等は、その温度脈動に起因した起電力を利用した溶接部の検査方法について検討を行い、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法は、2枚の鋼板間の溶接部の接触状態を検査する鋼板間の溶接部検査方法であって、それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続させた1対の電極により、溶接時の温度変化による起電力が反映された各鋼板の電位差を測定する電位差測定工程と、前記電位差測定工程で測定された、前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化に基づいて、前記溶接による各鋼板間の接触寸法を推定する接触寸法推定工程とを、有することを特徴とする。
本発明に係る鋼板間の溶接部検査装置は、2枚の鋼板間の溶接部の接触状態を検査する鋼板間の溶接部検査装置であって、それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続可能に設けられた1対の電極と、各電極により、溶接時の温度変化による起電力が反映された各鋼板の電位差を測定する電位差測定手段と、前記電位差測定手段で測定された、前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化に基づいて、前記溶接による各鋼板間の接触寸法を推定する接触寸法推定手段とを、有することを特徴とする。
本発明に係る鋼板間の溶接部検査装置は、本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法を好適に実施することができる。本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置は、溶接時の温度変化による起電力の変化に対応した、各鋼板の電位差の変化を利用することにより、溶接による各鋼板間の接触寸法を精度良く推定することができる。溶接時の各鋼板の電位差を測定することにより、各鋼板間の接触寸法を推定できるため、検査のために改めて測定を行う必要がなく、高速に溶接部の検査を行うことができる。
本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置で、測定する各鋼板の電位差は、溶接時の温度変化による起電力の影響が明瞭に認められるものであることが好ましく、溶接時の温度変化による起電力が支配的であるものがより好ましい。このような電位差は、外部からのノイズや溶接電流の変化により計測系に生じるノイズ等を徹底的に遮断すると共に、溶接電流と同期して溶接用電極間の電位差を高精度で測定することにより得ることができる。
本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置で、各鋼板間の接触寸法を推定する方法としては、例えば、接触寸法の値をできるだけ正確に求める方法や、あらかじめ接触寸法の大きさに応じて複数の評価領域を設定しておき、どの評価領域に入るかを推定する方法、最低限必要とされる接触寸法を閾値としておき、その閾値より大きいか小さいかを推定する方法など、いかなるものであってもよい。なお、溶接時の温度変化による起電力の変化に対応して溶接部周辺の磁束も変化していると考えられることから、各鋼板の電位差を測定する代わりに、溶接部周辺の磁束変化を、ホール素子、磁気抵抗素子、磁気インピーダンス素子、超伝導量子干渉素子などの各種磁気センサにより測定するよう構成されていてもよい。この場合にも、溶接による各鋼板間の接触寸法を精度良く推定することができると考えられる。
本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法は、前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化を特徴付ける特徴パラメータと、各鋼板間の接触寸法との関係を、測定によりあらかじめ求めておく関係評価工程を有し、前記接触寸法推定工程は、前記電位差測定工程で測定された前記電位差の変化から前記特徴パラメータを求め、前記関係評価工程で求められた前記関係に基づいて、前記接触寸法を推定することが好ましい。本発明に係る鋼板間の溶接部検査装置は、前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化を特徴付ける特徴パラメータと、各鋼板間の接触寸法との関係を、測定によりあらかじめ求めて記憶しておく関係評価手段を有し、前記接触寸法推定手段は、前記電位差測定手段で測定された前記電位差の変化から前記特徴パラメータを求め、前記関係評価手段で記憶された前記関係に基づいて、前記接触寸法を推定することが好ましい。この場合、特徴パラメータと各鋼板間の接触寸法との関係をあらかじめ求めておくことにより、電位差の測定後に特徴パラメータを求めるだけでよく、数値解析などの複雑な計算が必要ないため、より高速に溶接部の検査を行うことができる。
特徴パラメータは、各鋼板間の接触寸法との相関が認められるものであれば、いかなるものであってもよい。また、1つの特徴パラメータにより各鋼板間の接触寸法を推定してもよいが、複数の特徴パラメータを併用して推定してもよい。複数の特徴パラメータを併用することにより、接触寸法の推定精度を高めることができる。特徴パラメータとして、例えば、溶接が各鋼板間に交流電流を流すスポット溶接のとき、スポット溶接の電流の向きが変わる半周期ごとに、その間の電位差の絶対値の積分値を求めたときの、その積分値の最大値と初期値との差を用いることができる。また、その他にも、半周期ごとの電位差の積分値の増分や積算値等、周期に対して電位差が変動することに着目した様々なパラメータを用いることができる。
本発明に係る鋼板間の溶接部検査方法および本発明に係る鋼板間の溶接部検査装置で、1対の電極は、それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続可能であれば、どこに接続されていてもよいが、特に各電極は溶接用電極から成る、または、溶接用電極を介して、それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続されていることが好ましい。この場合、溶接用電極を利用することができるため、電極の位置決めや設置の時間を省略することができ、より高速に溶接部の検査を行うことができる。
本発明に係る鋼板の溶接装置は、2枚の鋼板を溶接するよう、各鋼板の表面に接触可能に設けられた1対の溶接用電極と、各溶接用電極に電流を供給可能に設けられた電源部と、本発明に係る鋼板間の溶接部検査装置とを有し、各電極は、それぞれ各溶接用電極から成ることを特徴とする。
本発明に係る鋼板の溶接装置は、本発明に係る鋼板間の溶接部検査装置を有するため、溶接を行いながら、各鋼板間の接触寸法を精度良く推定して、高速に溶接部の検査を行うことができる。また、溶接用電極を利用して溶接部の検査を行うことができるため、電極の位置決めや設置の時間を省略することができ、より高速に溶接部の検査を行うことができる。
本発明によれば、より高速に溶接部の検査を行うことができる鋼板間の溶接部検査方法、鋼板間の溶接部検査装置および鋼板の溶接装置を提供することができる。
本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査装置を示す側面図である。 図1に示す鋼板間の溶接部検査装置により測定された、(a)スポット溶接中の各鋼板の電位差ΔVおよび溶接電流Iの変化を示すグラフ、(b) (a)の1サイクル分を拡大したグラフである。 図1に示す鋼板間の溶接部検査装置によるスポット溶接中の各電極の周辺温度の測定結果を示すグラフである。 図1に示す鋼板間の溶接部検査装置による、(a)スポット溶接時の0.5サイクル毎の起電力εとサイクル数との関係を示すグラフ、(b)スポット溶接時のナゲット面積とサイクル数との関係を示すグラフである。 図1に示す鋼板間の溶接部検査装置による、(a)スポット溶接後のナゲット面積と特殊パラメータΔεとの関係を示すグラフ、(b) (a)に示すA〜Dの各等級の代表的なサンプルの、0.5サイクル毎の起電力εとサイクル数との関係を示すグラフである。 図1に示す鋼板間の溶接部検査装置による、図5(a)の等級Aのサンプルの内、スパッタの発生が観察されたもの(図中の黒丸)、および、スパッタが観察されなかったもの(図中の白丸)の、0.5サイクル毎の起電力εとサイクル数との関係を示すグラフである。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は、本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置を示している。
図1に示すように、鋼板間の溶接部検査装置10は、2枚の鋼板1a,1b間の溶接部の接触状態を検査する鋼板間の溶接部検査装置10であって、1対の電極11a,11bと電位差測定手段12と制御解析端末13とを有している。
各電極11a,11bは、銅製で、抵抗溶接の一種であるスポット溶接を行うための電極から成っている。各電極11a,11bは、先端に平坦面を有する砲弾形状を成している。各電極11a,11bは、互いに対向して重ね合わされた2枚の鋼板1a,1bの両側から、それぞれ各鋼板1a,1bの表面の対向する位置に、先端の平坦面を所定の圧力で押し付けて接触可能に設けられている。
電位差測定手段12は、1対の電圧測定用端子21a,21bと電圧測定器22とを有している。各電圧測定用端子21a,21bは、それぞれ各電極11a,11bの側面に接触可能に設けられている。電圧測定器22は、各電圧測定用端子21a,21bに接続されている。電圧測定器22は、溶接中の間の各鋼板1a,1bの電位差を、各電圧測定用端子21a,21bを介して各電極11a,11bにより測定するよう設けられている。電位差測定手段12は、外部からのノイズや溶接電流の変化により計測系に生じるノイズ等を徹底的に遮断すると共に、溶接電流と同期して溶接用の電極11a,11b間の電位差を高精度で測定可能になっている。これにより、電位差測定手段12は、各鋼板1a,1bの電位差として、溶接時の温度変化による起電力の影響が明瞭に反映された電位差を測定可能になっている。
制御解析端末13は、コンピュータから成り、電圧測定器22に接続されている。制御解析端末13は、その機能として、制御手段23と電圧入力手段24と関係評価手段25と接触寸法推定手段26とを有している。制御手段23は、各鋼板1a,1bの溶接中に、電圧測定器22で電位差を測定するよう、電圧測定器22の測定タイミングを制御可能になっている。電圧入力手段24は、電圧測定器22で測定された各鋼板1a,1bの電位差を入力可能になっている。
関係評価手段25は、あらかじめ設定しておいた、溶接時の温度変化による起電力の変化に対応した電位差の変化を特徴付ける特徴パラメータと、各鋼板1a,1b間の接触寸法との関係を、測定によりあらかじめ求めて記憶しておくようになっている。接触寸法推定手段26は、電位差測定手段12で測定された各鋼板1a,1bの電位差の変化から特徴パラメータを求め、関係評価手段25で記憶された特徴パラメータと各鋼板1a,1b間の接触寸法との関係に基づいて、接触寸法を推定するようになっている。各鋼板1a,1b間の接触寸法を推定する方法としては、例えば、接触寸法の値をできるだけ正確に求める方法や、あらかじめ接触寸法の大きさに応じて複数の評価領域を設定しておき、どの評価領域に入るかを推定する方法、最低限必要とされる接触寸法を閾値としておき、その閾値より大きいか小さいかを推定する方法など、いかなるものであってもよい。
鋼板間の溶接部検査装置10は、本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法を好適に実施することができる。本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法では、まず、1対の電極11a,11bを、それぞれ各鋼板1a,1bの表面に電気的に接続させ、スポット溶接を行いながら、電圧測定器22により、各鋼板1a,1bの電位差を測定する。次に、接触寸法推定手段26により、測定された電位差の変化から特徴パラメータを求め、関係評価手段25に記憶した特徴パラメータと各鋼板1a,1b間の接触寸法との関係に基づいて、各鋼板1a,1b間の接触寸法を推定する。
本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置10は、溶接時の温度変化による起電力の変化に対応した、各鋼板1a,1bの電位差の変化を利用するため、溶接による各鋼板1a,1b間の接触寸法を精度良く推定することができる。溶接時の各鋼板1a,1bの電位差を測定することにより、各鋼板1a,1b間の接触寸法を推定できるため、検査のために改めて測定を行う必要がなく、高速に溶接部の検査を行うことができる。
また、本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置10は、関係評価手段25により、特徴パラメータと各鋼板1a,1b間の接触寸法との関係をあらかじめ求めておくため、電位差の測定後に、接触寸法推定手段26で特徴パラメータを求めるだけでよく、数値解析などの複雑な計算が必要ないため、より高速に溶接部の検査を行うことができる。また、電位差を測定する電極11a,11bとして溶接用の電極を利用するため、電極11a,11bの位置決めや設置の時間を省略することができ、さらに高速に溶接部の検査を行うことができる。これらのことから、本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置10は、自動車等の製造工程等でのインライン検査に利用することができる。
本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置10で、特徴パラメータは、各鋼板1a,1b間の接触寸法との相関が認められるものであれば、いかなるものであってもよい。また、1つの特徴パラメータにより各鋼板1a,1b間の接触寸法を推定してもよいが、複数の特徴パラメータを併用して推定してもよい。複数の特徴パラメータを併用することにより、接触寸法の推定精度を高めることができる。
なお、鋼板間の溶接部検査装置10に加えて、各電極11a,11bに電流を供給可能に設けられた電源部を備えることにより、鋼板の溶接装置を構成することができる。
図1に示す鋼板間の溶接部検査装置10を用いて、溶接中の各鋼板1a,1bの電位差を測定し、溶接時の温度変化による起電力の影響について考察した。また、その結果から、特徴パラメータの設定を行い、その特徴パラメータと各鋼板1a,1b間の接触寸法との関係を求めた。
[溶接時の温度変化による起電力の影響について]
鋼板1a,1bとして、板厚0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板を用い、加圧力を1.47kNとして、10.2kAの電流を周波数50Hzで5サイクル付与することにより、スポット溶接を行った。上部の鋼板1aに接触させた電極11aを+極、下部の鋼板1bに接触させた電極11bを−極とし、上部の鋼板1aから下部の鋼板1bに向かって電流が流れる際の各鋼板1a,1bの電位差を+とした。なお、一般的な溶接では、溶融亜鉛めっき鋼板の板厚が0.6mmの場合には、スポット溶接は5サイクルで行われているが、板厚が1.2mmの場合には、15サイクルで行われている。
スポット溶接中の各鋼板1a,1bの電位差ΔVを測定し、その結果を図2に示す。図2(a)に、測定された5サイクル分の各鋼板1a,1bの電位差ΔVおよび溶接電流Iを、図2(b)に、1サイクル分の拡大図を示す。なお、電流が正、負で1サイクルである。図2(b)に示すように、Iが正のときのΔVに着目すると、Iが増加する際、ΔVは正の大きな値を示し、Iの最大値を過ぎてからゼロとなり、さらにIが減少している間、負の値を示すことが確認された。また、Iが負のときのΔVの挙動は、Iが正のときの挙動と全く逆になっていることが確認された。
ファラデーの電磁誘導の法則(Faraday’s law of induction)によれば、Iが増加すると、磁束も増加するため、これを打ち消す方向に起電力が生じ、ΔVは負となるはずである。また、Iが減少する場合には、その逆となり、ΔVは正となるはずである。これに対し、図2に示すΔVの変化は、Iが増加する際に正、減少する場合に負となっており、ファラデーの電磁誘導の法則による変化とは逆になっている。このことから、ファラデーの電磁誘導の法則による起電力に加えて、これとは逆の起電力が生じていると考えられる。
スポット溶接中の各電極11a,11bの周辺温度を、赤外線サーモカメラにより観察し、その結果を図3に示す。図3には、スポット溶接3回分の測定結果(図中の「1」、「2」、「3」に対応)を示す。図3に示すように、1サイクル中に2回の温度(relative temperature)の上昇と下降が認められており、この温度変化が溶接電流の変化により誘発されているものと考えられる。このことから、図2に示すΔVの変化は、以下のように考えられる。
すなわち、溶接電流Iが増加して溶接部の温度が上昇する際、溶接部周辺の電気抵抗が増加するため、電流を増加させる方向に起電力が発生する。この起電力は、ファラデーの電磁誘導の法則による起電力とは逆向きであり、この逆起電力が発生した際のΔVは正となる。一方、Iが低下して溶接部の温度が低下する際、溶接部周辺の電気抵抗が減少するため、電流を減少させる方向に起電力が発生する。この起電力も、ファラデーの電磁誘導の法則による起電力とは逆向きであり、この逆起電力が発生した際のΔVは負となる。このことから、各鋼板1a,1bの電位差ΔVは、ファラデーの電磁誘導の法則による起電力と、温度変化による起電力とから生じたものであり、温度変化による起電力が支配的であったために、図2に示すようなΔVの変化が観察されたと考えられる。なお、この機構によれば、図2に示すΔVの変化は、接触部周辺の温度変化を反映したものであり、溶接部のナゲット形成に重要な役割を果たしていると考えられる。
[特殊パラメータ、および、特徴パラメータと各鋼板間の接触寸法との関係について]
図2(b)に示す各鋼板1a,1bの電位差ΔVから、0.5サイクル毎の起電力εを、正の溶接電流が付与された場合には(1)式から、負の溶接電流が付与された場合には(2)式から求めた。
0.5サイクル毎のεとサイクル数(number of cycles)との関係を、図4(a)に示す。図4(a)には、3箇所の溶接部について得られた結果を示している。なお、図中の括弧内には、溶接後の断面観察により実測した溶接部のナゲット面積をmm単位で示している。図4(a)に示すように、2.5サイクルまでεが増加し、その後は飽和傾向にあることが確認された。
同じ鋼板1a,1bの複数の箇所を同一の条件でスポット溶接し、各サイクルごとに1つの溶接部を研削して溶接部のナゲット面積を測定した。測定されたナゲット面積(nugget area)とサイクル数との関係を、図4(b)に示す。図4(b)に示すように、ナゲット面積は、1サイクルと2サイクルとの間で最も増加し、それ以降はわずかずつ増加していることが確認された。サイクルの初期で値が増加する傾向が、図4(b)に示すナゲット面積の変化と図4(a)に示すεの変化との間で類似していることから、εの最大値と初期値との差Δε(図4(a)参照)に着目し、特殊パラメータとしてΔεを使用した。
75組の鋼板1a,1bのサンプルについて、5サイクルのスポット溶接を行い、Δεと、溶接後に実測した溶接部のナゲット面積との関係を求めた。その結果を、図5(a)に示す。図5(a)では、ナゲット面積の大きさによって、等級A:18.7mm以上、等級B:11.8mm以上18.7mm未満、等級C:7.6mm以上11.8mm未満、等級D:7.6mm未満、の4つの等級に分類している。図5(a)に示すように、ナゲット面積が増大するほど、Δεも増加することが確認された。
図5(b)に、A〜Dの各等級のサンプルのうち、代表的なサンプルのεの変化を示す。なお、図中の括弧内には、各等級のサンプルについて、溶接後の断面観察により実測した溶接部のナゲット面積をmm単位で示している。図5(b)に示すように、εの初期値はおおむね同程度であり、いずれのサンプルもおよそ2.5サイクル目で最大値となっていることが確認された。また、その最大値の値は、大きいものから等級A、B、C、Dの順になっており、その結果として、ナゲット面積が大きなものはΔεの値が大きくなっていることが確認された。特に、等級Aでは、εが初期値から最大値まで増加を続けるのに対し、等級CやDでは、最大値になる前に一旦減少することもあることが確認された。
図5の結果から、例えば、以下のようにして本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法を実施することができる。すなわち、図5(a)のグラフから、特殊パラメータΔεと溶接部のナゲット面積(各鋼板1a,1b間の接触寸法)との関係式を求めておき、実際の測定で得られた電位差ΔVから特殊パラメータΔεを求め、その関係式に基づいて、各鋼板1a,1b間の接触寸法を求めてもよい。また、図5(a)のグラフから、A〜Dの各等級について、特殊パラメータΔεの範囲を求めておき、実際の測定で得られた電位差ΔVから特殊パラメータΔεを求め、その値から各鋼板1a,1b間の接触寸法の等級を求めてもよい。このようにして、溶接による各鋼板1a,1b間の接触寸法を精度良く推定することができる。
なお、図6に等級Aのサンプルの内、3サイクル目にスパッタ(Spatter)の発生が目視により観察されたもの(図中の黒丸のデータ)、および、スパッタが観察されなかったもの(図中の白丸のデータ)のεの変化を示す。図6に示すように、どちらのサンプルでも、2.5サイクル目までεが上昇を続けているが、スパッタが発生しなかったものは、それ以降は値が飽和傾向にあるが、スパッタが発生したものは、スパッタの発生直後にεの値が大幅に減少していることが確認された。この結果から、εの値の変化から、スパッタ発生に関する有益な情報が得られるものと考えられる。また、スパッタの発生は、熱エネルギーの散逸に直結すると考えられるため、インラインでの溶接部の検査において、図6のような情報を有効に利用できると考えられる。
なお、本発明の実施の形態の鋼板間の溶接部検査方法および鋼板間の溶接部検査装置10では、1対の電極11a,11bが溶接用の電極から成り、直接、各鋼板に接触して電位差を測定しているが、溶接中の温度変化による起電力が顕著に電位差に現れる測定箇所であればこの構成に限らず、例えば、1対の電極11a,11bが、溶接用の電極よりも溶接部からさらに離れたシャンクに接続されて電位差を測定してもよい。
1a,1b 鋼板
10 鋼板間の溶接部検査装置
11a,11b 電極
12 電位差測定手段
21a,21b 電圧測定用端子
22 電圧測定器
13 制御解析端末
23 制御手段
24 電圧入力手段
25 関係評価手段
26 接触寸法推定手段

Claims (8)

  1. 2枚の鋼板間の溶接部の接触状態を検査する鋼板間の溶接部検査方法であって、
    それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続させた1対の電極により、溶接時の温度変化による起電力が反映された各鋼板の電位差を測定する電位差測定工程と、
    前記電位差測定工程で測定された、前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化に基づいて、前記溶接による各鋼板間の接触寸法を推定する接触寸法推定工程とを、
    有することを特徴とする鋼板間の溶接部検査方法。
  2. 前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化を特徴付ける特徴パラメータと、各鋼板間の接触寸法との関係を、測定によりあらかじめ求めておく関係評価工程を有し、
    前記接触寸法推定工程は、前記電位差測定工程で測定された前記電位差の変化から前記特徴パラメータを求め、前記関係評価工程で求められた前記関係に基づいて、前記接触寸法を推定することを
    特徴とする請求項1記載の鋼板間の溶接部検査方法。
  3. 前記溶接は、各鋼板間に交流電流を流すスポット溶接であり、
    前記特徴パラメータとして、前記スポット溶接の電流の向きが変わる半周期ごとに、その間の前記電位差の絶対値の積分値を求めたときの、その積分値の最大値と初期値との差を用いることを
    特徴とする請求項2記載の鋼板間の溶接部検査方法。
  4. 各電極は、溶接用電極から成る、または、溶接用電極を介して、それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼板間の溶接部検査方法。
  5. 2枚の鋼板間の溶接部の接触状態を検査する鋼板間の溶接部検査装置であって、
    それぞれ各鋼板の表面に電気的に接続可能に設けられた1対の電極と、
    各電極により、溶接時の温度変化による起電力が反映された各鋼板の電位差を測定する電位差測定手段と、
    前記電位差測定手段で測定された、前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化に基づいて、前記溶接による各鋼板間の接触寸法を推定する接触寸法推定手段とを、
    有することを特徴とする鋼板間の溶接部検査装置。
  6. 前記起電力の変化に対応した前記電位差の変化を特徴付ける特徴パラメータと、各鋼板間の接触寸法との関係を、測定によりあらかじめ求めて記憶しておく関係評価手段を有し、
    前記接触寸法推定手段は、前記電位差測定手段で測定された前記電位差の変化から前記特徴パラメータを求め、前記関係評価手段で記憶された前記関係に基づいて、前記接触寸法を推定することを
    特徴とする請求項5記載の鋼板間の溶接部検査装置。
  7. 前記溶接は、各鋼板間に交流電流を流すスポット溶接であり、
    前記特徴パラメータとして、前記スポット溶接の電流の向きが変わる半周期ごとに、その間の前記電位差の絶対値の積分値を求めたときの、その積分値の最大値と初期値との差を用いることを
    特徴とする請求項5記載の鋼板間の溶接部検査装置。
  8. 2枚の鋼板を溶接するよう、各鋼板の表面に接触可能に設けられた1対の溶接用電極と、
    各溶接用電極に電流を供給可能に設けられた電源部と、
    請求項5乃至7のいずれか1項に記載の鋼板間の溶接部検査装置とを有し、
    各電極は、それぞれ各溶接用電極から成ることを
    特徴とする鋼板の溶接装置。
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