JP2019082985A - 非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法、及び非線形応力ひずみ解析プログラム - Google Patents

非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法、及び非線形応力ひずみ解析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】部材の構成材料の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行うことができる非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法及び非線形応力ひずみ解析プログラムを提供する。【解決手段】非線形応力ひずみ解析装置10に、部材の構成材料の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性が材料特性として格納されている多軸応力下材料特性格納部26と、部材の構成材料の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を多軸応力下材料特性格納部26に格納された非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行う演算部24を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法、及び非線形応力ひずみ解析プログラムに関する。
構造物及び機械を安全かつ安心して使用するためには、構造物及び機械の経年変化による寿命や構造物及び機械に用いられる部材の劣化等に対する信頼性を評価することが重要となる。これらの評価を行うためには、部材の応力やひずみの集中する箇所における応力ひずみ特性を正確に把握することが重要となる。応力ひずみ特性を把握する場合において、部材が負荷される荷重に対して構成材料が弾性的に変形する状態であれば、線形破壊力学に基づいて応力ひずみ特性を把握することは有効である。これに対し、部材の構成材料に塑性変形やクリープ変形といった非弾性変形が生じた状態で荷重が負荷される場合は、非線形破壊力学に基づいて応力ひずみ特性を把握する必要がある。
下記特許文献1には、所定の試験片に繰返し荷重を作用させることにより荷重−変位曲線を得る準備工程と、材料試験に係る試験片の種類毎に与えられている非線形破壊力学パラメータの簡易式と当該荷重−変位曲線とにより非線形破壊力学パラメータを算出する算出工程と、を有する非線形破壊力学パラメータの算出方法が開示されている。具体的には、算出工程に先立ち、試験片に発生した亀裂の近傍の要素について有限要素解析を行うことにより応力多軸度を得る解析工程と非線形破壊力学パラメータの簡易式を構成する板厚に係るパラメータを応力多軸度で補正することにより当該簡易式を修正する修正工程とを経て非線形破壊力学パラメータが算出される。ここで、非線形破壊力学パラメータとは、疲労亀裂進展速度及び疲労寿命を推定するためのパラメータである。具体的には、非線形破壊力学パラメータにおける変数の一つである板厚が応力三軸度で修正されることにより、評価対象部材の板厚に依存しない非線形破壊力学パラメータと疲労き裂進展速度との関係式が得られている。応力三軸度は、有限要素解析により求めた三軸平均応力を相当応力で割った値として算出されている。
特開2008−185450号公報
特許文献1に記載された算出方法では、単軸引張の場合のミーゼスの降伏条件に基づいて応力三軸度が算出されており、この応力三軸度によって多軸応力状態における応力及びひずみは、単軸応力状態に相当する応力及びひずみに置き換えられている。このような応力ひずみ特性の取り扱いは、材料の降伏は、偏差応力に応じて生じることはあっても、平均応力(静水圧応力)に応じて生じることはないという仮定(塑性流れ理論)に基づいている。
しかしながら、塑性変形(塑性ひずみ)等の非弾性変形が生じて部材が局所的に変形した後の多軸応力状態では、部材における静水圧応力(平均応力)が、応力ひずみ特性に影響を及ぼす可能性がある。
また、有限要素解析によるひずみ集中部の解析においては、集中荷重が作用する節点や集中応力が発生する節点である、いわゆる応力特異点以外の節点において、きわめて高い垂直応力が生じることが散見される。有限要素解析においては、このような応力は異常値として無視されるのが一般的であるが、以下のように物理的に考えることができる。局所的にある方向(例えば、Y軸方向)に引張応力による非弾性変形が生じると、直交する方向(X軸及びZ軸方向)には圧縮変形が生じようとするものの、非弾性変形を生じた部分の近傍の変形していない部分(弾性部分)によって拘束されることにより圧縮変形は抑制される。これに伴い、Y軸方向の引張変形も抑制されるため、Y軸方向の引張応力は相対的に増加すると考えられる。このことから、有限要素解析の結果は、全ての結果が応力特異点による応力の異常によるものではなく、ひずみ集中部の周囲の三次元的な拘束により多軸応力状態となった結果、静水圧応力の影響により最大主応力方向の垂直応力が増加した場合も含まれると解釈することができる。このため、非弾性変形が発生してから破断に至るまでの部材の応力ひずみ状態を評価するうえで、静水圧応力の影響が無視できない可能性がある。
本発明は、上記事実を考慮し、部材の構成材料の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行うことができる非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法及び非線形応力ひずみ解析プログラムを得ることが目的である。
請求項1に記載の非線形応力ひずみ解析装置は、部材を構成する材料の非弾性変形時の特性が表現された非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行う非線形応力ひずみ解析装置であって、前記有限要素解析に用いるデータを入力すると共に前記有限要素解析を行うための指令を入力する入力部と、解析対象を構成する部材の構成材料の多軸応力状態における前記非線形応力ひずみ特性が、前記部材についての材料特性として格納されている多軸応力下材料特性格納部と、前記部材の前記構成材料の前記多軸応力状態における前記非線形応力ひずみ特性を前記多軸応力下材料特性格納部に格納された前記非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析を行う演算部と、前記演算部による前記有限要素解析の結果を出力する出力部と、を有する。
請求項1に記載の非線形応力ひずみ解析装置によれば、入力部は、有限要素解析に用いるデータを入力すると共に有限要素解析を行うための指令を入力する。また、材料特性格納部には、解析対象の部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に応じた非線形応力ひずみ特性が、当該部材の材料特性として格納されている。演算部は、入力部を介して指令に基づき、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を材料特性格納部に格納された非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行う。演算部による有限要素解析の結果は、出力部を介して出力される。これにより、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行うことができる。
請求項2に記載の非線形応力ひずみ解析装置は、請求項1に記載の非線形応力ひずみ解析装置において、前記演算部は、前記有限要素解析の計算ステップ毎に、材料の変形が局所的に拘束されることに起因して発生する多軸拘束状態を判定し、前記多軸拘束状態において発生する前記材料の硬化又は軟化の状態に応じて前記非線形応力ひずみ特性を補正し、前記有限要素解析の次の計算ステップにおいて使用される非線形応力ひずみ特性を算出する非線形応力ひずみ特性算出部を有する。
請求項2に記載の非線形応力ひずみ解析装置によれば、非線形応力ひずみ特性算出部は、前記有限要素解析の計算ステップ毎に、材料の変形が局所的に拘束されることに起因して発生する多軸拘束状態を判定する。また、多軸拘束状態において発生する材料の硬化又は軟化の状態に応じて当該計算ステップにおける非線形応力ひずみ特性が算出される。有限要素解析の次の計算ステップでは、算出結果に基づき補正された非線形応力ひずみ特性が使用される。これにより、例えば、材料が局所的に変形する過程において、逐次変化する多軸拘束状態に伴い変化する材料の硬化及び軟化の状態に応じた非線形応力ひずみ解析を行うことができる。
請求項3に記載の非線形応力ひずみ解析方法は、請求項2に記載の非線形応力ひずみ解析装置において、前記非線形応力ひずみ特性算出部は、応力3軸度を前記多軸拘束状態の判定指標とし、前記応力3軸度に応じて前記非線形応力ひずみ特性を補正する。
請求項3に記載の非線形応力ひずみ解析方法によれば、多軸拘束状態を応力3軸度という明確な指標で判定することができる。応力3軸度は、例えば、有限要素解析や材料試験により求めることができるため、多軸応力状態と多軸応力状態において発生する材料の硬化又は軟化の状態との関連付けを容易かつ明確にすることができる。これにより、例えば、材料が局所的に変形する過程において、逐次変化する多軸拘束状態に伴い変化する材料の硬化又は軟化の状態に応じた実用的かつ合理的な非線形応力ひずみ解析を行うことができる。
請求項4に記載の非線形応力ひずみ解析装置は、請求項1に記載の非線形応力ひずみ解析装置において、前記演算部は、前記部材のひずみ集中部における局所ひずみ分布を解析するための前記有限要素解析のメッシュとして局所ひずみ解析メッシュを用いると共に、前記ひずみ集中部に非弾性ひずみが発生した際に、前記ひずみ集中部が非弾性変形されていない前記ひずみ集中部の近傍の部材に拘束されることにより生じる前記多軸応力状態における前記非線形応力ひずみ特性を前記多軸応力下材料特性格納部に格納された前記非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析を行う。
請求項4に記載の非線形応力ひずみ解析装置によれば、演算部は、ひずみ集中部における局所ひずみの分布を解析するための有限要素解析のメッシュとして局所ひずみ解析メッシュを用いて有限要素解析を行う。また、演算部は、ひずみ集中部に非弾性ひずみが発生した際に、ひずみ集中部が非弾性変形されていないひずみ集中部の近傍の部位に拘束されることにより生じる多軸応力状態においてひずみ集中部に発生する静水圧応力に対応する非線形応力ひずみ特性を材料特性格納部に格納された前記非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行う。これにより、ひずみ集中部の有限要素解析を行う場合に、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析が行うことができる。
請求項5に記載の非線形応力ひずみ解析方法は、有限要素解析の解析対象を構成する部材の構成材料の非弾性変形時の特性が表現されると共に多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を、前記部材の前記構成材料の前記多軸応力状態に応じて別個に取得された前記非線形応力ひずみ特性から求める材料特性算出工程と、前記材料特性算出工程により求めた前記非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析により前記部材の構成材料に発生する応力及びひずみを算出する応力ひずみ算出工程と、を含む。
請求項5に記載の非線形応力ひずみ解析方法によれば、材料特性算出工程において、有限要素解析の解析対象を構成する部材の非弾性変形後の特性が表現されると共に前記部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において前記部材に発生する静水圧応力に対応する非線形応力ひずみ特性を、前記部材の非弾性変形により生じる前記多軸応力状態において前記部材に発生する前記静水圧応力に応じて求められる。応力ひずみ算出工程では、材料特性算出工程により求めた非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析により部材に発生する応力及びひずみが算出される。これにより、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行うことができる。
請求項6に記載の非線形応力ひずみ解析プログラムは、コンピュータに、有限要素解析の解析対象を構成する部材の構成材料の非弾性変形時の特性が表現されると共に多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を、前記部材の前記構成材料の前記多軸応力状態に応じて別個に取得された前記非線形応力ひずみ特性から求める材料特性算出工程と、前記材料特性算出工程により求めた前記非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析により前記部材の構成材料に発生する応力及びひずみを算出する応力ひずみ算出工程と、を含む処理を実行させる。
請求項6に記載の非線形応力ひずみ解析プログラムによれば、材料特性算出工程において、有限要素解析の解析対象を構成する部材の非弾性変形後の特性が表現されると共に前記部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において前記部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を、前記部材の非弾性変形により生じる前記多軸応力状態において前記部材に発生する前記静水圧応力に応じて求められる。応力ひずみ算出工程では、材料特性算出工程により求めた非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析により部材に発生する応力及びひずみが算出される。これにより、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析をコンピュータにより行うことができる。
以上説明したように、請求項1に係る非線形応力ひずみ解析装置は、部材の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析である非線形応力ひずみ解析を行うことができるという優れた効果を有する。
請求項2に係る非線形応力ひずみ解析装置は、多軸拘束状態により発生する材料の硬化及び軟化の状態に応じて非線形応力ひずみ解析を行うことができるという優れた効果を有する。
請求項3に係る非線形応力ひずみ解析方法は、応力3軸度を多軸拘束状態の判定指標とすることにより、多軸拘束状態により発生する材料の硬化又は軟化の状態に応じた実用的かつ合理的な非線形応力ひずみ解析を行うことができるという優れた効果を有する。
請求項4に係る非線形応力ひずみ解析装置は、ひずみ集中部の有限要素解析を行う場合に、部材の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析である非線形応力ひずみ解析を行うことができるという優れた効果を有する。
請求項5に係る非線形応力ひずみ解析方法は、部材の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析である非線形応力ひずみ解析を行うことができるという優れた効果を有する。
請求項6に係る非線形応力ひずみ解析プログラムは、部材の多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析である非線形応力ひずみ解析をプログラムにより行うことができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置のブロック図である。 第1実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置を用いた非線形応力ひずみ解析のフローチャートである。 第1実施形態に係る変形データ計測装置の側面図である。 第1実施形態に係る変形データ計測装置の縦断面図である。 図3Aに示される変形データ計測装置をA−A線に沿って切断した状態を示す平断面図である。 供試材の単軸圧縮試験により得られた塑性域における非線形応力ひずみ特性及び材料の硬化又は軟化を想定して補正された非線形応力ひずみ特性である。 第1実施形態に係る変形データ計測装置の拘束パイプにより拘束された供試材の有限要素解析のメッシュである。 供試材の軸方向の応力と拘束パイプ外周部の径方向のひずみとの関係についての計測例及び解析例である。 供試材の応力3軸度と拘束パイプ外周部の径方向のひずみとの関係についての解析例である。 供試材の材料硬化率と軸方向の応力との関係についての計測例及び解析例である。 図7及び図8に示された結果に基づき算出された供試材の応力3軸度と材料効果が発生した供試材の補正率との関係についての算出例である。 第2実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置を用いた疲労き裂解析のフローチャートである。 第2実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置を用いた疲労き裂進展解析を含む疲労き裂解析のフローチャートである。 第2実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置を用いた疲労き裂解析の解析対象としたダンベル型試験片の側面図である。 図12に示されるダンベル型試験片の引張試験により得られた非線形応力ひずみ特性である。 中央平行部にき裂が設けられた図12に示されるダンベル型試験片の有限要素解析のメッシュである。 図14Aに示されるダンベル型試験片のメッシュの中央平行部の拡大図である。 図14Bに示されるダンベル型試験片のメッシュのき裂部の拡大図である。 図14Cに示されるダンベル型試験片のメッシュのき裂部の先端部の拡大図である。 図12に示されるダンベル型試験片に上下方向の引張応力が負荷された場合のき裂部の変形状態である。 図12に示されるダンベル型試験片のき裂部の先端近傍のミーゼス相当応力の分布である。 図12に示されるダンベル型試験片のき裂部の先端近傍のY方向応力の分布である。 図12に示されるダンベル型試験片のき裂部の先端近傍のX方向応力の分布である。 図12に示されるダンベル型試験片のき裂部の先端近傍のZ方向応力の分布である。 図12に示されるダンベル型試験片のき裂部先端近傍におけるJ積分値の分布である。 多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力を考慮しない非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析により算出したJ積分値と疲労試験から算出した疲労寿命との関係である。 本実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置により算出したJ積分値と疲労試験から算出した疲労寿命との関係である。
(第1実施形態)
以下、図1から図9を用いて、第1実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法、及び非線形応力ひずみ解析プログラムの一実施形態について説明する。について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置10は、演算処理が可能とされたコンピュータ12と、コンピュータ12に内蔵された記録媒体14と、を含んで構成されている。また、非線形応力ひずみ解析装置10には、入力部16及び出力部18が備えられている。なお、非線形応力ひずみ解析装置10の構成は、ハードウェアとソフトウェアのどちらで実現されてもよい。
入力部16は、非線形応力ひずみ解析の入力データの入力手段であり、キーボードや外部接続用の記録媒体から入力データを取得するためのインターフェイス等を含んで構成されると共にコンピュータ12に接続されている。また、出力部18は、非線形応力ひずみ解析結果及び構造健全性評価結果の出力手段であり、ディスプレイやプリンタ等を含んで構成されると共にコンピュータ12に接続されている。
なお、本実施形態では、記録媒体14は、コンピュータ12に内蔵されているとしたが、これに限らず、コンピュータ12に外部接続されたものであってもよい。また、記録媒体14は一台に限らず複数台設けられてもよい。
また、本実施形態では、非線形応力ひずみ解析装置10は、一台のコンピュータ12で構成されているが、これに限らず、大規模な有限要素解析を行うために、複数台のコンピュータを設けて、並列処理による演算処理で解析が実行されてもよい。
コンピュータ12には、非線形応力ひずみ解析を行うための演算部24が設けられている。また、記録媒体14には、入力部16を介して入力されたデータを格納するための入力データ格納部25と、多軸応力下での材料特性が格納された多軸応力下材料特性格納部26と、応力やひずみ等の非線形応力ひずみ解析結果及び非弾性変形やき裂が発生した場合の損傷状態を記憶するための結果データ記憶部22と、が設けられている。
入力データ格納部25には、非線形応力ひずみ解析の解析対象の幾何形状データ、負荷の設定条件及び解析対象を構成する部材のヤング率、ポアソン比、降伏強さ、非線形応力ひずみ特性等の材料特性データが非線形応力ひずみ解析の解析対象に係る基本情報として格納されている。非線形応力ひずみ特性は、多軸応力状態及び多軸応力状態で発生する静水圧応力毎に、応力とひずみの数値データ又は応力がひずみの関数として表された計算式として格納されている。
多軸応力下材料特性格納部26には、演算部24による非線形応力ひずみ解析の結果として得られた解析対象を構成する部材の多軸応力状態での非線形応力ひずみ特性が格納されている。有限要素解析において、演算部24は、入力データ格納部25に格納されている材料特性データに代えて多軸応力下材料特性格納部26に格納されている材料特性データを取得することができる。また、多軸応力下材料特性格納部26には、後述する多軸拘束状態の判定指標としての応力3軸度STと多軸拘束状態に応じて非線形応力ひずみ特性を補正するための補正率Fhとの関係を表すデータが材料毎に格納されている。
多軸応力下材料特性格納部26に格納されている非線形応力ひずみ特性は、例えば、部材の構成材料の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力が発生した非線形応力ひずみ解析の結果から算出された非線形応力ひずみ特性が多軸応力状態及び静水圧応力との対応がわかる状態で格納されている。有限要素解析を時間軸(時刻歴)で行う場合において、有限要素解析の解析対象の非弾性変形により多軸応力状態が生じて部材に静水圧応力が発生した際は、演算部24は、有限要素解析に用いている非線形応力ひずみ特性と発生した静水圧応力が対応しているかどうかを確認する。演算部24は、対応していないことを確認した場合には、静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を多軸応力下材料特性格納部26に格納されている非線形応力ひずみ特性の数値データを内挿または外挿することで求める又は格納されている非線形応力ひずみ特性の計算式を用いて求めて、これを入力とした次の計算ステップの有限要素解析を行う。
入力データ格納部25内の材料特性として格納されている多軸応力状態での非線形応力ひずみ特性は、以下に示される材料試験等に基づき取得することができる。
1.高気圧チャンバ内での引張試験
2.十字試験片を用いた引張試験
3.圧縮方向と直交する方向の変形を拘束した圧縮試験
4.圧入方向と直交する方向から荷重を負荷した状態で実施する硬さ試験
(1.高気圧チャンバ内での引張試験)
密閉空間でありかつ内部の圧力を大気圧よりも高い気圧に調整した高気圧チャンバ内に試験片を設置して引張試験を行うことにより、試験材料に静水圧応力を発生させた状態で引張試験を行うことができる。
引張試験では、引張試験機に取り付けたロードセル等の検力計により試験材料に負荷した荷重を計測すると共にマイクロメータ等を用いて試験材料の断面積を計測する。このように計測した荷重を試験材料の断面積で割ることにより応力を算出することができる。ひずみは、試験材料に設けられた標点間の荷重負荷後の距離を試験開始時における標点間の距離で割ることにより算出することができる。標点間の距離は、作動トランス式、ひずみゲージ式、レーザー式等の変位計を用いて計測することができる。これにより、静水圧応力が発生した状態での非線形応力ひずみ特性を取得することができる。
(2.十字試験片を用いた引張試験)
十字試験片を用いた引張試験により、二軸応力を受ける板材の非線形応力ひずみ特性を特定することができる。二軸の応力とひずみは、上記の引張試験と同様に検力計及び変位計により測定することができる。これにより、二軸応力を受ける板材の静水圧応力が発生した多軸応力状態での非線形応力ひずみ特性を取得することができる。
(3.圧縮方向と直交する方向の変形を拘束した圧縮試験)
圧縮方向と直交する方向を固定用治具等により拘束して圧縮試験を行うことにより、試験材料の圧縮方向と直交する方向に静水圧応力が発生している多軸応力状態での非線形応力ひずみ特性を取得することができる。静水圧応力は、固定用治具に検力計を取り付けて荷重を計測し、計測した荷重を固定用治具と試験材料との接触面積で割ることにより算出することができる。
(4.圧入方向と直交する方向から荷重を負荷した状態で実施する硬さ試験)
圧入方向と直交する方向から荷重を負荷した状態で硬さ試験を行うことで、静水圧応力が発生した状態での非線形応力ひずみ特性を取得することができる。圧入荷重は、圧子に検力計を取り付けることにより計測することができる。計測した圧入荷重を試験材料の断面積で割ることにより応力を算出することができる。また、圧子によって圧入される部分である試験材料の圧入部の変位は、変位計により計測することができる。ひずみは、計測した圧入部の変位を試験材料の長さ(厚さ)で割ることにより算出することができる。静水圧応力は、直交する方向から負荷した荷重より算出することができる。
結果データ記憶部22は、非線形応力ひずみ解析の結果が記憶される解析結果記憶部22Aと、非弾性変形やき裂が発生した場合の損傷状態データが記憶される損傷状態記憶部22Bと、非線形応力ひずみ解析結果や構造健全性評価結果が記憶される出力記憶部22Cと、を含んで構成されている。
解析結果記憶部22Aには、非線形応力ひずみ解析の結果として出力される応力やひずみ等のデータが、有限要素解析のメッシュを構成する要素と関連付けられた状態で記憶されている。損傷状態記憶部22Bには、非弾性変形やき裂が発生した場合の損傷状態データが記憶されている。本実施形態では、き裂に関する損傷状態データとして、き裂先端の位置、き裂面の方向、き裂面の寸法(き裂先端位置からの深さ、長さ)等のデータが記憶されている。出力記憶部22Cには、出力部18を介して表示される非線形応力ひずみ解析結果や構造健全性評価結果が記憶されている。
演算部24は、コンピュータ12のCPUやRAM、ROM等のメモリ等を備えると共に入力データ格納部25、多軸応力下材料特性格納部26及び結果データ記憶部22を構成する記録媒体14に接続されている。また、入力部16を介した解析者からの指令に基づき、非線形応力ひずみ解析や構造健全性評価を実行する。
演算部24には、非線形応力ひずみ解析及び構造健全性評価に必要なデータの入出力を処理する管理部32と、有限要素解析を行うFEM解析部34と、非線形応力ひずみ特性を算出する非線形応力ひずみ特性算出部35と、が設けられている。また、非弾性変形やき裂の発生の有無を判定する損傷判定部36と、き裂が発生した部分のき裂進展解析を行うき裂解析部38と、構造健全性を評価する構造健全性評価部40と、が設けられている。
管理部32は、入力データ格納部25に格納されている非線形応力ひずみ解析の基本情報の読取処理と共に非線形応力ひずみ解析結果及び構造健全性評価結果の出力記憶部22Cへの出力処理や出力部18への表示処理を実行する。また、入力データ格納部25から取得された解析対象の幾何形状データ及びメッシュデータをもとに解析対象のメッシュの作成処理を実行すると共に時間軸(時刻歴)で有限要素解析を行う場合や収束計算を行う場合の計算ステップの管理も行う。
FEM解析部34は、入力データ格納部25に格納されている非線形応力ひずみ解析の基本情報と管理部32で作成されたメッシュを用いて有限要素解析を行い、解析対象に発生する応力やひずみ等の算出処理を実行する。
非線形応力ひずみ特性算出部35は、直前の計算ステップにおける有限要素解析の結果から応力3軸度STを算出し、材料の変形過程で変形が局所的に拘束されることに起因して発生する多軸拘束状態の判定指標とする。ここで、応力3軸度STは、3軸の静水圧応力の平均値をミーゼス応力で割った値と定義する。算出された応力3軸度STが一つ前の計算ステップにおける応力3軸度STと異なる場合は、多軸拘束状態により生じる材料の硬化又は軟化の状態に応じて応力ひずみ特性の補正を行い、次の計算ステップにおける有限要素解析に入力する。具体的には、多軸応力下材料特性格納部26に格納された材料毎の応力3軸度STと硬化又は軟化の状態に応じた補正率Fh(硬化率及び軟化率)との関係(図9参照)を用いて非線形応力ひずみ特性を補正する。FEM解析部34及び非線形応力ひずみ特性算出部35において実行される処理は、有限要素解析プログラムを含んで構成された非線形応力ひずみ解析プログラム33により一括して処理される。
損傷判定部36は、FEM解析部34が算出した応力やひずみ等の算出結果を用いて、疲労損傷率の算出処理に基づくき裂発生の判定や解析対象を構成する部材に降伏や座屈が発生しているか否かの判定を行う。損傷判定部36には、これらの判定のために、疲労損傷率を計算するための算式、降伏や座屈の判定を行うための算式等が記憶されている。損傷判定部36における処理は、個別に設けられたプログラムにより実行される。
き裂解析部38は、損傷判定部36における判定の結果、き裂が発生したと判定された場合は、き裂の進展計算を実行する。き裂解析部38には、き裂の進展計算のために、疲労き裂進展速度の計算式や疲労き裂進展速度の計算に用いられる破壊力学パラメータの計算式等が記憶されている。き裂解析部38における処理は、個別に設けられたプログラムにより実行される。
構造健全性評価部40は、FEM解析部34、損傷判定部36及びき裂解析部38で算出された結果をもとに、降伏、座屈及び疲労によって破断するまでの寿命の評価に基づく構造健全性評価を実行する。構造健全性評価部40には、寿命評価のための算式が記憶されている。構造健全性評価部40における処理は、個別に設けられたプログラムにより実行される。
演算部24での非線形応力ひずみ解析及び構造健全性評価の結果は、出力記憶部22Cにテキストデータ及びコンター図表示された画像データの両方で記録されると共に出力部18を介して表示される。非線形応力ひずみ解析の結果としては、例えば、解析対象部材の応力や変位等のデータが、メッシュ上にコンター図表示された状態で出力部18を介して表示される。また、構造健全性評価の結果としては、例えば、評価対象部材の疲労構造健全性評価の結果等が出力部18における当該部材の表示位置に表示される。なお、図1に示した非線形応力ひずみ解析装置10の構成は、ハードウェアとソフトウェアのどちらで実現されてもよい。
次に、図2に示される本実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置10のフローチャートの説明を通じて、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
ステップ248では、管理部32は、入力データ格納部25に格納されている入力データのうち解析対象の幾何形状データ及びメッシュデータ、解析対象に作用する荷重、変位、温度等の負荷の設定条件等の読取処理を実行すると共に入力データ格納部25から取得された解析対象の幾何形状データ及びメッシュデータをもとに解析対象のメッシュの作成処理を実行する。
ステップ250では、管理部32は、計算ステップの管理を行う。疲労き裂解析は時刻歴で解析が実行されるため、有限要素解析の開始から終了までの時間が離散化されて解析が実行されている。有限要素解析の開始時点の計算ステップをN=0として、解析者あるいは有限要素解析プログラムにより設定された有限要素解析の終了時点の計算ステップN=Ne−1までの合計Neステップの有限要素解析が実行される。
応力ひずみ算出工程としてのステップ252では、FEM解析部34は、入力データ格納部25から取得された解析対象の幾何形状データと管理部32により作成されたメッシュを用いて、有限要素解析プログラムを実行することにより、解析対象に発生する応力やひずみ等の算出処理を実行する。ここでは、有限要素解析プログラムは、解析対象を構成する部材の変形状態及び解析対象に作用する負荷条件等に対応して、陰解法と陽解法とを切り替えて実行できるように設定されている。各計算ステップにおいて算出された応力やひずみ等のデータは解析結果記憶部22Aに記録される。
ステップ254では、非線形応力ひずみ特性算出部35は、直前の計算ステップ(N=0の場合を除く)における有限要素解析結果から応力3軸度STを算出し、材料の変形が局所的に拘束されることに起因して発生する応力3軸度STを判定指標として多軸拘束状態を判定する。また、入力データ格納部25に格納されている一つ前の計算ステップにおける応力3軸度STと同じかどうかを確認する。異なる場合(NO)は、ステップ256に移行して、新たに非線形応力ひずみ特性を読み取り、同じ場合(YES)は、ステップ258へ移行する。
ステップ256では、非線形応力ひずみ特性算出部35は、多軸拘束状態において発生する材料の硬化又は軟化の状態に応じて非線形応力ひずみ特性を補正する。非線形応力ひずみ特性は、予め推定されて多軸応力下材料特性格納部26に格納されている材料毎の応力3軸度STと硬化又は軟化の状態に応じて補正率Fhとの関係(図9参照)を用いて補正される。具体的には、後述するように元となる応力ひずみ曲線の応力の値に補正率Fhを乗ずることにより補正後の非線形応力ひずみ特性を算出する。このように求められた非線形応力ひずみ特性は、次の計算ステップにおける有限要素解析の入力とされる。
ステップ258では、管理部32は、有限要素解析における計算ステップN=Nを、次のステップであるN=N+1へと進める。ステップ260では、管理部32は、有限要素解析における計算ステップNが終了時点N=Ne−1を経過していないかを判断する。計算ステップNが終了時点N=Ne−1を経過していない場合(NO)は、ステップ252へ移行し、有限要素解析が継続される。また、計算ステップNが終了時点N=Ne−1を経過している場合(YES)は、後述するステップ262へ移行する。
ステップ262では、構造健全性評価部40は、FEM解析部34での解析結果をもとに、強度判定や疲労に対する寿命(余寿命)評価等を行う。算出された余寿命が、解析対象及び解析対象を構成する部材の設計寿命からこれらに荷重が負荷された期間(使用期間)を引いた期間と比較して長い期間を有している場合、解析対象及び解析対象を構成する部材は、使用期間後の構造健全性を有していると評価される。
以上説明したように、本実施形態によれば、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した部材の非線形応力ひずみ特性を入力とした有限要素解析である非線形応力ひずみ解析を行うことができる。
また、本実施形態によれば、部材の多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析である非線形応力ひずみ解析に基づき構造健全性評価を行うことができる。
(応力3軸度STと補正率Fhとの関係の算出方法)
さらに、図3Aから図9を用いて、応力3軸度STと補正率Fhとの関係の算出方法の一例の説明を通じて本実施形態の作用並びに効果について説明する。なお、各図において適宜示される矢印UPは、変形データ計測装置110の上方側を示し、矢印Wは、変形データ計測装置110の水平方向を示している。
多軸応力下材料特性格納部26に格納されている材料毎の応力3軸度STと補正率Fhとの関係は、多軸応力下での材料試験で得られたデータと当該材料試験と同じ条件で実施した有限要素解析のデータに基づき算出される。多軸応力下での材料試験は、材料の局所変形部などに発生する多軸応力状態において、変形データ計測装置110により計測される。これにより、複雑な機構を用いることなく容易に計測をすることができると共に得られたデータの解釈が容易かつ明確にすることのできる計測変形データを取得することができる。
はじめに、変形データ計測装置110の概要及びこれを用いた計測方法について説明する。図3Aには、変形データ計測装置110の主要部分が示されている。これらの変形データ計測装置110の主要部分は、箱型状に形成された図示しない鋼製のフレームの内側に固定されている。
図3Bに示されるように、変形データ計測装置110の主要部分は、供試材112を拘束するための拘束パイプ114及び圧子116と、供試材112の軸心を調整するための軸心調整機構120、122、124、126、128と、供試材112に荷重を負荷するための荷重負荷機構140、142と、を含んで構成されている。また、計測機能として、供試材112に負荷された荷重を計測するための荷重計測装置としてのロードセル144と、拘束パイプ114の軸方向と直交する方向のひずみを計測するパイプひずみ計測装置としてのひずみゲージ146と、を含んで構成されている。
変形データ計測装置110の略中心部には、中実の丸棒状に形成された供試材112を拘束するための金属製の拘束パイプ114が配置されている。拘束パイプ114は、軸方向に沿って円柱状に貫通された挿通孔118を備えた筒状に形成され、供試材112よりも高い剛性に設定されている。図3B及び図3Cに示されるように、供試材112は、挿通孔118に嵌入されて拘束パイプ114に外周部が拘束されている。
図3Bに示されるように、挿通孔118の装置上方側から供試材112よりも高い剛性を有する中実の丸棒状に形成された圧子116が嵌入されている。圧子116の下面は、挿通孔118に嵌入された供試材112の上面に当接されている。
圧子116の装置上方側には、板状に形成され供試材112装置水平方向の位置を調整する軸心位置調整板120が配置されている。圧子116は、軸心位置調整板120の略中心部に設けられた圧子嵌合部120Aに装置下方側から嵌合されている。
軸心位置調整板120の上面には、図示しない連結部材を介して装置上方側がフレームに固定された固定ロッド140が連結されている。連結部材の装置上方側には、荷重負荷機構40、42により供試材112の軸方向に負荷された荷重を計測するためのロードセル44が取り付けられている。
拘束パイプ114の装置下方側には、円筒状に形成されたガイド部としてのガイドパイプ122が配置されている。ガイドパイプ122の内側には、拘束パイプ114を支持するための試料台124と、試料台124を装置下方側から支持して荷重の軸心を調整するための球面座126と、が配置されている。
円柱状に形成されたガイドパイプ122の内側の装置下方側には、調整部としての球面座126が配置されている。球面座126は、球状の球体部126Aと、球体部126Aの装置上方側に配置された円板形状の上側板材126Bと、球体部126Aの装置下方側に配置された円板形状の下側板材126Cと、を含んで構成されている。上側板材126Bと下側板材126Cの外径は、ガイドパイプ122の内径と略同一とされている。上側板材126Bは、上面が平面状に形成されると共に下面は球体部126Aの形状に合わせて装置下側へ向けて凹とされている。下側板材126Cは、下面が平面状に形成されると共に上面は球体部126Aの形状に合わせて装置上側へ向けて凹とされている。下側板材126Cの下面は、後述する負荷ロッド142の上面に当接されている。
上側板材126Bの上面には、下面を当接させた試料台124が配置されている。試料台124の外径は、ガイドパイプ122の内径と略同一とされており、試料台124の外周部はガイドパイプ122の内側面に当接されている。拘束パイプ114は、下面を当接させて試料台124の上面に配置されている。
ガイドパイプ122の装置下方側には、円筒状に形成された軸心調整フランジ128が配置されている。ガイドパイプ122は、軸心調整フランジ128の略中心部に形成されたフランジ嵌合部28Aに装置上方側から嵌入されている。これにより、ガイドパイプ122の装置水平方向の移動が拘束されている。
軸心調整フランジ128の装置下側には、円柱状に形成され変形データ計測装置110に固定された負荷ロッド142が結合されている。軸心調整フランジ128は、負荷ロッド142に対する装置水平方向の位置が調整された上で、固定用ボルト等により負荷ロッド142と結合されている。これにより、ガイドパイプ122の内側に配置されている試料台124と球面座126の装置水平方向における位置も調整される。また、負荷ロッド142の装置下側には、負荷ロッド142を装置上方側へ向けて押し上げるための図示しない油圧装置が連結されている。
挿通孔118に嵌入された供試材112の装置上下方向の略中間部の高さ位置となる拘束パイプ114の外周部において、拘束パイプ114の径方向に対向する2箇所にひずみゲージ146が貼付されている。これにより、供試材112及び拘束パイプ114に負荷ロッド142によって供試材112の軸方向に荷重が負荷された際に、拘束パイプ114の軸方向に直交する方向(径方向)のひずみが計測される。
変形データ計測装置110を用いた計測変形データの計測方法を、いかに具体的に説明する。以下の説明では、便宜上、供試材112及び拘束パイプ114の軸方向をZ軸方向(装置上下方向)と定義し、それと直交する方向(径方向)をX軸方向及びY軸方向(装置水平方向)と定義する。
図3Bに示されるように変形データ計測装置110の装置下方側に固定された負荷ロッド142の装置上方側には、軸心調整フランジ128が配置される。軸心調整フランジ128の装置上方側には、内部に球面座126と試料台124が配置されたガイドパイプ122が嵌入される。負荷ロッド142の装置上方側に配置された軸心調整フランジ128は、負荷ロッド142に対する装置水平方向の位置が調整された上で負荷ロッド142に結合される。
変形データ計測装置110の軸心は、固定ロッド140と負荷ロッド142の軸心とが一致するように調整されている。このため、軸心調整フランジ128の位置が装置水平方向に調整されることにより、ガイドパイプ122内に設けられた試料台124及び球面座126の軸心のXY面(変形データ計測装置110の軸方向に直交する面)における位置が、変形データ計測装置110の軸心のXY面(変形データ計測装置110の軸方向に直交する面)における位置と同じ位置となるように調整される。
装置水平方向の位置が調整された試料台124の上面側に、供試材112と軸心位置調整板120が嵌合された圧子116とが挿通孔118に嵌入された拘束パイプ114が配置される。拘束パイプ114の下面は、試料台124の上面に当接されている。
応力ひずみ特性の計測対象となる供試材112は、金属製の拘束パイプ114に嵌入される。これにより、供試材112の径方向(X軸方向及びY軸方向)の変形が、拘束パイプ114により拘束される。拘束パイプ114は、供試材112の変形に合わせて変形することを抑制したうえで供試材112の径方向の変形を抑制可能な程度に供試材112よりも高い圧縮剛性に設定されている。具体的には、拘束パイプ114の材質の弾性率と径方向の厚さ(外径)を大きくすることにより高い圧縮剛性に設定されている。供試材112の材料は、例えば、Sn−3Ag−0.5Cu(wt%)−焼鈍材、純度99%以上の工業用純アルミニウム焼鈍材及びJIS−AC2B合金−T6材などの一般的な金属材料が用いられる。また、金属製の拘束パイプ114は、例えば、外径が12mm、長さが10mm程度に形成され、挿通孔118は、例えば、内径が4.2mm程度に形成されている。挿通孔118に嵌入される供試材112は、例えば、外径が4mm、長さが8mm程度とされている。
供試材112が嵌入された拘束パイプ114の挿通孔118の装置上方側から、圧子116が嵌入される。圧子116の下面は、供試材112の上面に当接されている。圧子116は、供試材112と同程度の外径を有して、挿通孔118に嵌入可能とされており、例えば、外径4mm程度とされている。
圧子116の装置上方側は、軸心位置調整板120の略中心部に設けられた圧子嵌合部120Aに嵌合されている。軸心位置調整板120の上面は、固定ロッド140の下面に当接されている。固定ロッド140の軸心に対する圧子116のXY面(変形データ計測装置110の軸方向に直交する面)の位置を調整するために、軸心位置調整板120は装置水平方向にスライドされる。軸心位置調整板120を装置水平方向へスライドさせることにより、軸心位置調整板120に嵌合された圧子116と拘束パイプ114も装置水平方向にスライドされるため、拘束パイプ114に嵌入された供試材112のXY平面の位置が調整される。変形データ計測装置110の軸心は、固定ロッド140と負荷ロッド142の軸心とが一致するように調整されている。これにより、供試材112の軸心のXY平面の位置が、変形データ計測装置110の軸心のXY平面の位置と一致するように調整される。軸心位置調整板120は、供試材112の軸心のXY平面の位置が調整された上で、固定ロッド140に固定される。
供試材112の軸心のXY平面の位置が調整された上で、負荷ロッド142が油圧により押し上げられる。これにより、試料台124の上面に配置された拘束パイプ114及び供試材112は装置上方側へ向けて押し上げられる。供試材112は、装置下方側から試料台124を介して装置上方側へ向けて押圧されると共に装置上方側の固定されている固定ロッド140からは圧子116を介して装置下方側へ向けて押圧されることにより、圧縮荷重Fを受ける。このため、供試材112の内部には軸方向の応力が発生する。
供試材112に圧縮荷重Fが負荷された際に、供試材112の軸心方向が変形データ計測装置110の軸心方向に対して傾いている場合は、球面座126の上側板材126B及び下側板材126Cが球体部126Aに対して摺動する。これにより、試料台124が球面座126に沿って回転するため、供試材112の軸心方向が調整される。これにより、供試材112の下面は装置上方側へ向けて垂直に押圧されるため、供試材112には軸心方向に沿って荷重が負荷される。
圧縮荷重Fを受けた供試材112は、径方向へ向けて変形しようとするが、拘束パイプ114により抑制される。このため、供試材112外側面は、拘束パイプ114の挿通孔118を径方向外側へ向けて押圧する。これにより、拘束パイプ114の内部には、拘束パイプ114の径方向(拘束パイプ114の軸方向に直交する方向)に対して応力が発生する。発生した径方向のひずみは、拘束パイプ114の外周面に貼付されたひずみゲージ146により計測される。
円筒状の拘束パイプ114を備えた変形データ計測装置110を用いることで、供試材112全体の変形を抑制し、多軸応力状態を発生させることができる。また、外周方向への変形が拘束された供試材112は、拘束パイプ114を押圧するため、拘束パイプ114の径方向にひずみが発生し、拘束パイプ114の軸方向のひずみは殆ど生じない。これにより、多軸応力下の供試材112の軸方向に負荷された荷重から算出される応力と拘束パイプ114の径方向のひずみとの関係を容易かつ明確に把握することができる。
変形データ計測装置110は簡易な構成であり、計測も容易で精度管理も行いやすい。このため、大掛かりな静水圧負荷機構を構成することなく、容易かつ計測データの解釈が明確な多軸応力下の応力ひずみ特性を高精度で求めることができる。
このように、変形データ計測装置110は、材料の局所変形部などにおける多軸応力下において、複雑な機構を用いることなく容易に計測をすることができると共に得られたデータの解釈が容易かつ明確となる計測変形データの計測をすることができる。
また、変形データ計測装置110は、軸心調整機構120、122、124、126、128により、供試材112の軸方向負荷の偏心を抑制できると共に荷重の軸方向に対する供試材112の軸方向のずれも補正できるため、高精度の計測を行うことができる。これにより、偏心により拘束パイプ114と試料台124の間に隙間が生じ、その隙間から供試材112が押し出されてバリが生じ、十分な拘束が生じない状態も回避できる。
なお、ここでは、圧子116は、供試材112の装置上方側にだけ設けられたが、これに限らず、上記のバリの発生を抑制又は防止するために圧子が供試材の装置上方側と装置下方側の両側に設けられてもよい。
次に、変形データ計測装置110による計測と同じ条件で実施した有限要素解析により算出される予測変形データについて説明すると共に算出された予測変形データと変形データ計測装置110により取得された計測変形データとの対比により応力3軸度STと補正率Fhとの関係を算出する方法について説明する。
有限要素解析により、供試材112の軸方向の応力と拘束パイプ114の径方向のひずみの関係である多軸応力下の計測変形データが算出される。図6には、変形データ計測装置110を用いて取得された計測変形データが丸印で示されている。これにより、応力毎に補正率Fh(硬化率又は軟化率)が変動していることが分かる。
はじめに、有限要素解析により、元となる供試材112の応力ひずみ曲線を用いて、硬化又は軟化の複数の状態を想定して補正された複数の供試材112の応力ひずみ曲線を算出する。元となる供試材112の応力ひずみ曲線は、供試材112の径方向の変形を拘束しない通常の単軸圧縮試験等により計測され、予めコンピュータ12の多軸応力下材料特性格納部26に記録されている。図4には、多軸応力下における硬化又は軟化を想定して補正された供試材112の応力ひずみ曲線の一例が点線で示されている。実線は、供試材112の径方向の変形を拘束しない通常の単軸圧縮試験に基づき求めた応力ひずみ曲線である。ここでは、同じひずみに対する補正後の応力を補正前の応力で割った値を補正率Fhと定義し、通常の単軸圧縮試験に基づき求めた応力の値に補正率Fhを掛けることにより多軸応力下における硬化又は軟化の状態に応じた供試材の応力ひずみ曲線が設定されている。図4の点線は、硬化を想定して補正率Fh=2.0として補正された例である。
次に、想定された硬化又は軟化の複数の状態毎に補正された供試材112の応力ひずみ曲線を用いて、有限要素解析を行う。有限要素解析は、変形データ計測装置110で用いられた供試材112及び拘束パイプ114のモデル(メッシュデータ)を用いて行われる。これにより、補正された応力ひずみ曲線毎に供試材112の軸方向の応力と拘束パイプの軸方向に直交する方向のひずみとの関係である多軸応力下の予測変形データが算出される。
図5には、有限要素解析に用いられたモデル(メッシュ)が示されている。モデルは、変形データ計測装置110による計測における拘束パイプ114及び供試材112と同じ形状と寸法の拘束パイプモデル66及びパイプモデル68がモデル化された。変形データ計測装置110による計測と同様に円筒形状を有するため、有限要素解析の精度を確保することができる円筒座標系を用いたモデル化が可能とされる。
有限要素解析を行う際には、複数の補正率Fhについて広範な解析を行うことから計算時間の短縮を図る事が望ましい。このため、円筒形状の拘束パイプ114及び供試材112に軸方向の荷重が作用する場合は、X軸、Y軸及びZ軸の3軸方向において、略対称の変形が生じるため、各軸に直交する面でそれぞれの中央部が切断されている。これにより、モデル(メッシュ)の要素数を全体の1/8まで減らしたモデルを用いて解析が行われている。
図6には、補正率Fh毎の有限要素解析により算出された供試材112の軸方向(Z軸方向)応力と拘束パイプ114の外周部の径方向のひずみとの関係である予測変形データの解析例が示されている。縦軸は応力を表し、横軸は径方向のひずみを表す。4本の線で示される解析結果は、硬化を想定して補正率Fhを1.0〜4.0とした場合の解析例である。また、丸印で示された値は、前述したようには、変形データ計測装置110を用いた計測変形データである。応力の発生初期においては、計測変形データは補正率Fh=1の予測変形データと合致しており、応力の増大に伴い、補正率Fh=2の予測変形データに合致していくことがわかる。このように、応力の発生状況によって、硬化や軟化の状態に応じて補正率Fhが変動することがわかる。
また、図7には、補正率Fh毎の有限要素解析により算出された供試材112の応力3軸度STと拘束パイプ外周部の径方向のひずみの関係についての解析例が示されている。縦軸は応力3軸度STを表し、横軸は径方向のひずみを表す。有限要素解析によれば、軸方向以外の応力及び静水圧応力も算出することが可能である。応力の発生状況によって、応力3軸度STも大きく変動する場合があることがわかる。
計測変形データと予測変形データを対比することにより、応力毎に変化する硬化又は軟化の状態を把握する。具体的には、元の応力ひずみ曲線よりも硬化又は軟化している割合である応力ひずみ曲線の補正率Fh(硬化率又は軟化率)を求める。図8には、図6及び図7で示された計測変形データ及び予測変形データから拘束パイプの径方向のひずみ毎(図8中のa1〜a9参照)に求めた応力と補正率Fhとの関係が示されている。図の縦軸は応力、横軸は補正率Fhを示す。
さらに、予測変形データから求めた応力と補正率Fhの関係と計測変形データとを対比することにより、図9に示されるように、応力3軸度STと補正率Fhの相関を明らかにすることができる。図の縦軸は補正率Fh、横軸は応力3軸度STを示す。これにより、供試材112の局所変形部等において応力の発生状態によって変化する応力3軸度STから多軸応力下で発生する硬化又は軟化を考慮して応力ひずみ曲線を補正するための補正率Fhを求め、図4に示されるように多軸応力下の補正された応力ひずみ特性を算出することができる。
材料(構造物)が局所的に変形することにより局所変形部では大ひずみが発生する。このため、このような材料の強度解析をするためには、局所変形部の周辺部に生じる小ひずみから大ひずみまでの広いひずみの範囲における応力ひずみ特性を解析の入力として用意する必要がある。しかしながら、例えば単軸の圧縮試験のような一般的な材料試験では、広いひずみ範囲における応力ひずみ曲線を一律に求めることは困難となる。ひずみゲージを用いたひずみの計測は数%程度の低ひずみ域において精度を確保することは可能であるものの、5%を超えるような大ひずみ域では、材料の断面の変形は大きくなるため、応力とひずみの両方の補正の必要となり、計測値を直接用いることはできない。また、伸び計や変位計を用いた計測では、低ひずみ域の計測精度が低下する。このため、一般的には、応力ひずみ特性は必ずしも必要十分なひずみの範囲に対して用意されることなく、近似的に求めたものが用いられることが多い。
本実施形態では、上記のような技術現状に基づき、限られたひずみの範囲での計測に基づく応力ひずみ曲線をベースに、多軸拘束状態における硬化又は軟化の影響を補正率という形で補正することにより非線形応力ひずみ特性が求められている。このように非線形応力ひずみ特性を求めることにより、広いひずみの範囲における応力ひずみ特性を算出できるため、局所変形部のように大ひずみが発生するような材料の解析が可能になる。また、補正率という形で実測データとの補正を行っているので、多軸拘束下の変形特性の変化に応じた解析が可能になる。
さらに、上述した方法による有限要素解析は、円筒座標系を用いたモデル化と供試材112の軸方向だけの荷重負荷であるため、解析も容易で精度管理も行いやすい。このため、予測変形データが迅速に得られ、容易かつ得られたデータの解釈が明確な多軸応力下の応力ひずみ特性を高精度で求めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、多軸拘束状態により発生する材料の硬化及び軟化の状態に応じて非線形応力ひずみ解析を行うことができる。
また、本実施形態によれば、応力3軸度を判定指標とすることにより多軸拘束状態により発生する材料の硬化又は軟化の状態に応じた実用的かつ合理的な非線形応力ひずみ解析を行うことができる。
(第2実施形態)
以下、図10から図22を用いて、第2実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置、非線形応力ひずみ解析方法、及び非線形応力ひずみ解析プログラムの一実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係る非線形応力ひずみ解析装置10は、第1実施形態と同様に演算部24に備えられた非線形応力ひずみ解析プログラム33を用いて非線形応力ひずみ解析を行う。一方、本実施形態では、部材のひずみ集中部における局所ひずみ分布を解析すると共に大規模な疲労き裂が進展した後であっても解析を可能にするための計算フローが非線形応力ひずみ解析プログラム33に設けられている。
本実施形態によれば、図10のフローチャートに示される材料特性算出工程としてのステップ274において、非線形応力ひずみ特性算出部35は、入力データ格納部25に格納されている非線形応力ひずみ特性が、直前の計算ステップ(N=0の場合を除く)における有限要素解析結果から得られた多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応しているか否かを確認する。
対応していない場合(NO)は、ステップ276に移行し、非線形応力ひずみ特性算出部35は、入力データ格納部25に格納されている非線形応力ひずみ特性が、直前の計算ステップにおける有限要素解析の結果から得られた多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応しているか否かを確認する。対応していない場合は、次の計算ステップで用いる非線形応力ひずみ特性を、多軸応力下材料特性格納部26に格納された非線形応力ひずみ特性から求める。具体的には、多軸応力下材料特性格納部26に格納されている非線形応力ひずみ特性の数値データを内挿または外挿することで求める又は格納されている非線形応力ひずみ特性の計算式を用いて求める。また、直前の計算ステップ(N=0の場合を除く)における有限要素解析結果から得られた多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応している場合(YES)は、ステップ258へ移行する。
また、材料特性算出工程としてのステップ276では、非線形応力ひずみ特性算出部35は、有限要素解析結果から得られた多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応している非線形応力ひずみ特性を多軸応力下材料特性格納部26に格納された非線形応力ひずみ特性から求める。演算部24は、対応していないことを確認した場合には、静水圧応力に対応した非線形応力ひずみ特性を多軸応力下材料特性格納部26に格納されている非線形応力ひずみ特性の数値データを内挿または外挿することで求める又は格納されている非線形応力ひずみ特性の計算式を用いて求めて、これを入力とした次の計算ステップの有限要素解析を行う。求められた非線形応力ひずみ特性は、次の計算ステップにおける有限要素解析の入力とされる。
さらに、本実施形態によれば、大規模な疲労き裂が進展した後であっても非線形応力ひずみ解析も行うことができる。図11には、大規模な疲労き裂が進展した後の非線形応力ひずみ解析の一例が示されている。計算ステップ毎の有限要素解析の後に疲労き裂判定判定(損傷判定)及びき裂の進展計算(き裂解析)を行うことにより、大規模に疲労き裂が進展した場合の非線形応力ひずみ解析も行うことができる。以下では、有限要素解析後の疲労き裂判定及びき裂の進展計算について説明する。
ステップ300では、損傷判定部36は、ステップ252においてFEM解析部34が算出した応力やひずみ等の算出結果を用いて、解析対象を構成する部材毎に疲労損傷率等を算出すると共に算出した疲労損傷率に基づいて疲労き裂発生の有無を判定する。ここでは、疲労損傷率を計算するための算式は、応力の大きさごとに設定される破断サイクル数と当該応力の発生回数の関数で表される。算出した疲労損傷率が所定の値を上回った場合、当該部材については、疲労き裂が発生したと判定(YES)される。この場合、後述するステップ302へ移行する。これに対し、疲労損傷率が所定の値を下回った場合は、疲労き裂が発生しなかったと判定(NO)されるためき裂の進展計算を実行することなくステップ258へ移行する。
ステップ302では、き裂解析部38は、き裂による変形量を計算するためにき裂の進展計算を実行する。本実施形態では、破壊力学パラメタとしてJ積分値が算出される。き裂解析部38は、算出された破壊力学パラメタを入力とする疲労き裂進展速度の算式にもとづき、き裂進展速度及びき裂変形量を算出する。き裂進展速度は、例えば、パリス則にもとづく破壊力学パラメタの関数より算出することができる。き裂解析部38により算出されたき裂進展速度及びき裂変形量は、損傷状態記憶部22Bに記録される。
ステップ304では、管理部32は、ステップ302で算出されたき裂変形量にもとづき新たなき裂先端の位置、き裂面の方向、き裂面の寸法(き裂先端位置からの深さ、長さ)等を算出し、解析対象のメッシュの再作成処理を実行する。再作成されたメッシュは、き裂先端の位置、き裂面の方向、き裂面の寸法等のデータと共に損傷状態記憶部22Bに記録される。
さらに、図12から図22を用いて、多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力を考慮しない非線形ひずみ−応力特性を用いた有限要素解析と本実施形態との比較により、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
具体的には、疲労試験を行って試験片が破断する疲労寿命を算出すると共に、この疲労試験に用いた試験片を解析対象とする有限要素解析により破壊力学パラメタであるJ積分値を算出する。疲労き裂進展と強い相関があるJ積分範囲(J積分値の最大値と最小値の差)と疲労寿命との比較を通じて、多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力が非線形ひずみ−応力特性に及ぼす影響について検証する。
はじめに、疲労試験について説明する。図12には、疲労試験に用いられた試験片である、全長52mmの解析対象としてのダンベル型試験片70が示されている。ダンベル型試験片70の材料にはJIS−AC2B−T6材が用いられている。ダンベル型試験片70は、図示しない疲労試験機の上下方向に沿って延在されており、試験機上下方向の略中央部には直径4mm×長さ6mmの略円柱状に形成された中央平行部72が設けられると共に上下端部には略円柱状に形成された12mm×長さ5mmの上下一対のチャック部74が設けられている。また、チャック部74の試験片中央側には、直径6mmの略円柱状に形成された第1接続部76が設けられている。第1接続部76の試験片中央側には、第1接続部76から中央平行部72に向けて直線状に直径を減少させた状態で延在されると共に中央平行部72に接続される第2接続部78が設けられている。中央平行部72には、機械加工によりひずみ集中部としてのき裂部80が設けられている。
ダンベル型試験片70は、上下端部のチャック部74が疲労試験機の負荷軸に取付けられた状態で試験機上下方向の荷重が繰返し負荷された。荷重の振幅は、ダンベル型試験片70のき裂部80に所定の振幅の応力が繰返し発生するように設定された。また、疲労試験機が繰返し発生させる荷重の周波数は4Hzに設定された。
繰返し応力の最大応力と最少応力の比である応力比Rについて、ここでは、R=−1とR=0.2の2状態について疲労試験が行われた。応力比R=−1は、同じ絶対値の引張応力と圧縮応力が繰返された応力波形を意味し、応力比R=0.2は引張応力の範囲内で応力振幅が繰返された応力波形を意味する。
疲労試験では、それぞれの応力比での繰返し荷重において、試験片が破断するまでの繰返し荷重のサイクル数Nf(繰り返し回数)が低サイクル疲労領域の100〜10000サイクルとなるように応力振幅が設定されている。応力比と応力振幅の設定において、き裂部80が設けられた中央平行部72の断面のうちき裂部80以外の部分における平均的な応力を基準として設定されている。このように、疲労試験は、目標とする応力比と応力振幅になるように荷重が制御されて行われた。
繰返し荷重が負荷された結果、き裂が進展するとダンベル型試験片70の剛性が低下すると共にき裂部80の近傍を中心としてダンベル型試験片70の変位が大きくなる。この結果、荷重制御が追い付かなくなり、試験片は破断する。この疲労試験では、試験片が破断に至るまでの応力振幅のサイクル数Nfを疲労寿命と定義した(図21及び図22参照)。
次に、疲労試験に用いたダンベル型試験片70を解析対象として疲労試験を模擬した有限要素解析について説明する。有限要素解析は、非線形応力ひずみ解析装置10を用いて行った。
有限要素解析に先立ち、ダンベル型試験片70について引張試験を実施し、有限要素解析に用いる応力ひずみ特性を取得した。ダンベル型試験片70は、上下端部のチャック部74が図示しない引張試験機の負荷軸に取付けられて、試験機上下方向の単軸の荷重が負荷された。ひずみ速度は2×10−4 mm/secとなるように荷重が制御されている。これにより、単軸の応力ひずみ特性が算出された。ダンベル型試験片70の上下軸方向ひずみは中央平行部72に貼付した図示しない抵抗線ひずみゲージを用いて測定された。また、ダンベル型試験片70の上下軸方向応力は引張試験機に設置した検力計を用いて計測された荷重から算出された。
図13には、算出された単軸の応力ひずみ特性のうち塑性域部分に相当する非線形応力ひずみ特性が示されている。縦軸は応力σであり、横軸は塑性ひずみεが示されている。部材には非弾性変形が生じていることから、ひずみの増加に対して応力は大きく増加していない。
図14Aには、中央平行部72に、き裂部80が設けられたダンベル型試験片70の有限要素解析のためのメッシュ81が示されている。また、図14B及び図14Cには、ダンベル型試験片70のメッシュ81の中央平行部72及びき裂部80の拡大図が示されている。き裂部80には、き裂面の方向である中央平行部72の周方向に沿って外形が略長方形状となるように局所ひずみ解析メッシュ82が形成されている。
図14Dには、き裂部80の先端部82Aにおける局所ひずみ解析メッシュ82の拡大図が示されている。き裂部80の両側の先端部82Aには、先端90を中心として、複数の同心円C1〜C6の周方向及び半径方向に配置された節点と要素により放射状メッシュ82Bが形成されている。また、き裂部80の両側の先端部82Aの間を接続するように、き裂面に対して平行に平行部82Cが形成されている。
図15には、ダンベル型試験片70の上下方向に引張応力を負荷した場合の局所ひずみ解析メッシュ82の変形状態が示されている。き裂面に対して平行に形成された平行部82Cは、メッシュがねじれることなく、上下方向に安定して変形されている。このように、き裂変形が生じる方向に沿ってメッシュが形成されることにより、有限要素解析を数値的に不安定にすることなく、ひずみが集中するき裂近傍のひずみ分布と破壊力学パラメータを解析することができる。
有限要素解析の材料特性の一つである非線形応力ひずみ特性には、単軸の引張試験により算出された非線形応力ひずみ特性(図13参照)が用いられた。このため、有限要素解析(図21参照)において、多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力は考慮されていない。
非線形応力ひずみ解析装置10による有限要素解析では、ダンベル型試験片70の上下方向(長手方向)の両端面に上下方向に繰返し変位を負荷することにより、疲労試験と同様の状況が再現された。繰返し変位をダンベル型試験片70に負荷することによる応力ひずみ特性の硬化は、移動硬化則に基づくものとされた。移動硬化則では繰返し負荷時の応力反転に伴う降伏応力の移動を反映するものの、応力ひずみ特性の面積(降伏曲面)の大きさは変化しない。このため、有限要素解析において降伏の発生の有無の判定は、静水圧応力は材料の降伏に影響しないとの仮定に基づいて、ミーゼス応力に基づき判定された。
図16には、ダンベル型試験片70の上下方向に引張変位を負荷した際のき裂部80の先端部82A近傍のミーゼス相当応力の分布が示されている。縦軸は、ミーゼス相当応力を表し、横軸は、き裂部80の先端90(図14D参照)からの距離を表す。また、図17から図19には、Y軸方向(上下方向)及びY軸方向に直交するX軸方向及びZ軸方向の垂直応力の分布が示されている。横軸は、き裂部80の先端90からの距離xを表す。ミーゼス相当応力は、図13に示されている塑性域での応力の最大値よりも小さな値になっている。これに対して、各軸方向の垂直応力については、いずれの軸方向の最大値も図13に示されている塑性域での応力の最大値より大きな値になっている。このことから、各軸方向の応力は、有限要素解析における応力特異点の影響ではなく、偏差応力に加えて静水圧応力が発生しているため大きくなっていると考えられる。
図20には、き裂部80の先端部82A近傍のJ積分値の分布が示されている。J積分値は積分経路に依存しない性質があるため、応力特異点であるき裂部80の先端90(図14D参照)から十分に離れた経路で積分することにより精度よく算出することができる。積分経路を決定するために、放射状メッシュ82B上の同心円C1〜C6の円周上(図14D参照)をそれぞれ積分経路としてJ積分値を算出した。同心円C1〜C6の半径が大きくなるにつれてJ積分値は増加し、一番外側の同心円C6を積分経路とすることでJ積分値は収束している。このため、J積分値の積分経路は同心円C6の円周上とした。
図21には、J積分値から算出したJ積分範囲J1と疲労試験で算出した疲労寿命Nfの関係が示されている。図中に丸印及び三角印で示された点が、疲労寿命Nfに対応するJ積分範囲J1を表しており、これらの点を曲線近似した実線及び点線が同じく図中に示されている。応力比R=0.2(図中三角印)での有限要素解析によるJ積分範囲J1は、同じ疲労寿命に対応する応力比R=−1(図中丸印)での有限要素解析によるJ積分範囲J1に比べて、全体としてJ積分範囲J1が大きくなる側にずれている。このことから、応力比R=0.2の場合には、応力比R=−1の場合に比べて、最大応力が高くなると共にき裂部80の先端部82Aに生じる最大塑性ひずみが大きくなっていることが確認された。
J積分範囲と疲労寿命は強い相関があるといわれており、J積分範囲と疲労寿命の関係は、応力比に関係なく一定の関係になると考えられる。このことから、多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力を考慮しない非線形ひずみ−応力特性を用いた有限要素解析により算出されたJ積分範囲J1は、その元となる有限要素解析の結果と大幅に違っており、応力比R=0.2での疲労試験においてダンベル型試験片70に発生していた塑性ひずみは、有限要素解析の結果と比べて小さいものであると推定される。
ダンベル型試験片70にY軸方向(上下方向)に引張荷重が負荷されることにより、き裂部80の先端90(図14D参照)で降伏が生じた場合、き裂部80の先端90の近傍はY軸方向に非弾性変形を生じる。これに伴い、これと直交するX軸方向及びZ軸方向には収縮変形が生じようとするものの、き裂部80の先端90の近傍は、変形の小さな弾性変形部分に囲まれて拘束される。このため、X軸方向及びZ軸方向に反力としての引張応力が発生する。また、これに伴いY軸方向に生じる圧縮変形がY軸方向の引張応力により拘束されることで反力を生じさせるため、Y軸方向の引張応力は、単軸状態で同じひずみを生じさせるための引張応力と比べて高くなると考えられる。このように、X、Y、Z軸方向各々に引張り応力が発生する多軸応力状態が生じる。
このような多軸応力状態では、ダンベル型試験片70のき裂部80には、偏差応力だけでなく静水圧応力も作用すると考えられる。このことが、J積分範囲J1の元となる有限要素解析の結果が大幅に違っている原因であると推定される。また、このことは、図16から図19に示された各軸方向の垂直応力が大きな値となっていることと整合する。
上記についてさらに検証するために、静水圧応力による材料の硬化を仮定した非線形応力ひずみ特性を用いて非線形応力ひずみ解析装置10による有限要素解析を行った。図22には、図13に示された非線形応力ひずみ特性の応力値を元の値の2倍にして行った有限要素解析結果から算出したJ積分範囲J2と疲労試験で算出した疲労寿命Nfの関係が示されている。応力比R=0.2(図中三角印)での有限要素解析によるJ積分範囲J2と疲労寿命Nfの関係は、応力比R=−1(図中丸印)での有限要素解析によるJ積分範囲J2と疲労寿命Nfの関係とほぼ一致しており、妥当な結果が得られた。
この結果から、多軸応力状態において静水圧応力が発生した状況では部材の変形が局所的に拘束された結果、非線形応力ひずみ特性が変化する場合があることが確認された。静水圧応力の影響により部材の降伏応力や変形抵抗が大きくなった場合は、塑性ひずみが生じにくくなる。このことから、非弾性変形により生じる多軸応力状態において発生する静水圧応力を考慮して有限要素解析及び構造健全性評価を行う必要性があることが確認された。
このように、本実施形態によれば、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した当該部材の非線形応力ひずみ特性を用いることにより、疲労き裂により非弾性ひずみが生じたひずみ集中部の有限要素解析である非線形応力ひずみ解析及び構造健全性評価を精度よく行うことができる。
以上のことから、本実施形態によれば、部材の非弾性変形により生じる多軸応力状態において部材に発生する静水圧応力に対応した当該部材の非線形応力ひずみ特性を入力とした有限要素解析である非線形応力ひずみ解析が行うことができる。
本実施形態の解析対象とする部材の構成材料は、材料自体が静水圧依存の材料変形特性を持たない金属、セラミックス等の部材であることが望ましい。このような部材では、局所的にひずみが集中した部位で多軸応力状態が生じた場合も多軸化や静水圧の影響を考慮しない変形特性を用いて解析されるため、ひずみが集中する危険部の強度や耐久性を正しく評価できないという問題が生じるためである。
なお、本実施形態では、非線形応力ひずみ解析装置10は、塑性変形によるひずみ集中について用いられたが、これに限らず、クリープ変形が生じる場合の解析に適用されてもよい。
また、本実施形態では、非線形応力ひずみ解析装置10を用いた疲労き裂解析及び疲労き裂に対する構造健全性評価について説明したが、これに限らず、非線形応力ひずみ解析装置10を用いた静的な破壊や損傷に対する構造健全性評価が行われてもよい。
10 非線形応力ひずみ解析装置
16 入力部
18 出力部
24 演算部
26 多軸応力下材料特性算出部
33 非線形応力ひずみ解析プログラム
35 非線形応力ひずみ特性算出部
52 第3処理(応力ひずみ算出工程)
54 第4処理(材料特性算出工程)
56 第5処理(材料特性算出工程)
70 ダンベル型試験片(解析対象)
80 き裂部(ひずみ集中部)
82 局所ひずみ解析メッシュ
82A 先端部(局所ひずみ解析メッシュ)
82B 放射状メッシュ(局所ひずみ解析メッシュ)
82C 平行部(局所ひずみ解析メッシュ)

Claims (6)

  1. 部材を構成する材料の非弾性変形時の特性が表現された非線形応力ひずみ特性を用いた有限要素解析を行う非線形応力ひずみ解析装置であって、
    前記有限要素解析に用いるデータを入力すると共に前記有限要素解析を行うための指令を入力する入力部と、
    解析対象を構成する部材の構成材料の多軸応力状態における前記非線形応力ひずみ特性が、前記部材についての材料特性として格納されている多軸応力下材料特性格納部と、
    前記部材の前記構成材料の前記多軸応力状態における前記非線形応力ひずみ特性を前記多軸応力下材料特性格納部に格納された前記非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析を行う演算部と、
    前記演算部による前記有限要素解析の結果を出力する出力部と、
    を有する非線形応力ひずみ解析装置。
  2. 前記演算部は、
    前記有限要素解析の計算ステップ毎に、材料の変形が局所的に拘束されることに起因して発生する多軸拘束状態を判定し、前記多軸拘束状態において発生する前記材料の硬化又は軟化の状態に応じて前記非線形応力ひずみ特性を補正し、前記有限要素解析の次の計算ステップにおいて使用される非線形応力ひずみ特性を算出する非線形応力ひずみ特性算出部を有する請求項1に記載の非線形応力ひずみ解析装置。
  3. 前記非線形応力ひずみ特性算出部は、応力3軸度を前記多軸拘束状態の判定指標とし、前記応力3軸度に応じて前記非線形応力ひずみ特性を補正する請求項2に記載の非線形応力ひずみ解析装置。
  4. 前記演算部は、
    前記部材のひずみ集中部における局所ひずみ分布を解析するための前記有限要素解析のメッシュとして局所ひずみ解析メッシュを用いると共に、
    前記ひずみ集中部に非弾性ひずみが発生した際に、前記ひずみ集中部が非弾性変形されていない前記ひずみ集中部の近傍の部材に拘束されることにより生じる前記多軸応力状態における前記非線形応力ひずみ特性を前記多軸応力下材料特性格納部に格納された前記非線形応力ひずみ特性から求めると共に当該非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析を行う請求項1に記載の非線形応力ひずみ解析装置。
  5. 有限要素解析の解析対象を構成する部材の構成材料の非弾性変形時の特性が表現されると共に多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を、前記部材の前記構成材料の前記多軸応力状態に応じて別個に取得された前記非線形応力ひずみ特性から求める材料特性算出工程と、
    前記材料特性算出工程により求めた前記非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析により前記部材の構成材料に発生する応力及びひずみを算出する応力ひずみ算出工程と、
    を含む非線形応力ひずみ解析方法。
  6. コンピュータに、
    有限要素解析の解析対象を構成する部材の構成材料の非弾性変形時の特性が表現されると共に多軸応力状態における非線形応力ひずみ特性を、前記部材の前記構成材料の前記多軸応力状態に応じて別個に取得された前記非線形応力ひずみ特性から求める材料特性算出工程と、
    前記材料特性算出工程により求めた前記非線形応力ひずみ特性を用いた前記有限要素解析により前記部材の構成材料に発生する応力及びひずみを算出する応力ひずみ算出工程と、
    を含む処理を実行させる非線形応力ひずみ解析プログラム。
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