JP2019082726A - 積層体の製造方法、積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

積層体の製造方法、積層体、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造安定性に優れ、良好な防眩性を有しつつギラツキの発生を極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができる積層体の製造方法を提供する。【解決手段】光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体の製造方法であって、有機微粒子、無機微粒子、バインダー樹脂及び溶剤を含有する防眩層用組成物を上記光透過性基材の一方の面上に塗布して形成した塗膜を乾燥後、硬化させることで上記防眩層を形成する工程を有し、上記防眩層用組成物は、上記溶剤に上記バインダー樹脂及び上記有機微粒子を混合及び攪拌して中間組成物を調製した後、上記中間組成物に上記無機微粒子を混合、分散させることで調製されたものであることを特徴とする積層体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体の製造方法、積層体、偏光板及び画像表示装置に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、電子ペーパー、タブレットPC、タッチパネル等の画像表示装置においては、一般に最表面には反射防止のための光学積層体が設けられている。
このような反射防止用の光学積層体は、光の散乱や干渉によって、像の映り込みを抑制したり反射率を低減したりするものである。
反射防止用光学積層体の1つとして、透明性基材の表面に凹凸形状を有する防眩層を形成した防眩性フィルムが知られている。この防眩性フィルムは、表面の凹凸形状によって外光を散乱させて外光の反射や像の映り込みによる視認性の低下を防止することができる。
また、この光学積層体は、通常、画像表示装置の最表面に設置されるものであるため、取り扱い時に傷がつかないように、ハードコート性を付与することも要求される。
従来の防眩性フィルムとしては、例えば、光透過性基材の表面に、二酸化ケイ素(シリカ)等のフィラーを含む樹脂を塗工して防眩層を形成したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
これらの防眩性フィルムは、凝集性シリカ等の粒子の凝集によって防眩層の表面に凹凸形状を形成するタイプ、有機フィラーを樹脂中に添加して層表面に凹凸形状を形成するタイプ、あるいは層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写するタイプ等がある。
ところが、このような従来の防眩性フィルムは、いずれのタイプでも、防眩層の表面形状の作用により、光拡散・防眩作用を得るようにしていて、防眩性を高めるためには凹凸形状を粗く、多くする必要があるが、凹凸が粗く、多くなると、塗膜の曇価(ヘイズ値)が上昇して白ぼけが発生し、表示画像のコントラストが低下するという問題があった。
また、従来のタイプの防眩性フィルムは、フィルム表面に、いわゆるギラツキと呼ばれるキラキラ光る輝きが発生し、表示画面の視認性が低下するという問題もあった。ギラツキは、画像表示装置を点灯した際、背面からの透過光が画面に到達したときに、画面表面に細かい輝度のむらが現れ、観察者が見る角度を変えていくと、その輝度むらの位置が移り変わっていくように見える現象で、特に全面白色表示や全面緑色表示のときに顕著である。
特に、近年、4Kパネルの採用や、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末が益々高精細化してきているため、従来の防眩性フィルムでは充分にギラツキが制御できなくなってきた。
このような問題に対し、例えば、防眩層のギラツキを内部ヘイズで改善する方法(例えば、特許文献3、特許文献4参照)が知られている。しかしながら、防眩層の内部ヘイズを利用する方法では、近年の超高精細化パネルに対応すべく、よりギラツキの抑制のため内部ヘイズを大きくすると、表示画像の暗室コントラスト、解像度が悪くなるといった問題があった。
また、例えば、防眩層の表面形状を制御してギラツキやコントラストを改善する方法も知られている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、特許文献5に記載の方法では、無機微粒子を多量に添加しているため、防眩層形成用組成物の塗布性が悪くなりムラ状やスジ状の塗布欠陥が生じやすいという問題があった。
特開平6−18706号公報 特開平10−20103号公報 特開平11−305010号公報 特開2002−267818号公報 特許第4510124号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、製造安定性に優れ、良好な防眩性を有しつつギラツキの発生を極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができる積層体の製造方法、積層体、該積層体を用いてなる偏光板及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体の製造方法であって、有機微粒子、無機微粒子、バインダー樹脂及び溶剤を含有する防眩層用組成物を上記光透過性基材の一方の面上に塗布して形成した塗膜を乾燥後、硬化させることで上記防眩層を形成する工程を有し、上記防眩層用組成物は、上記溶剤に上記バインダー樹脂及び上記有機微粒子を混合及び攪拌して中間組成物を調製した後、上記中間組成物に上記無機微粒子を混合、分散させることで調製されたものであり、上記防眩層の表面の凹凸形状が、該防眩層の表面を100μm四方の測定領域に分割し、各測定領域における算術平均粗さSaを求め、上記算術平均粗さSaの平均値をMa、上記算術平均粗さSaの標準偏差をSqとしたとき、上記MaとSqとの比(Sq/Ma)が0.15以下となるように制御するものであり、形成された上記防眩層中の上記無機微粒子の含有量が1.0〜10.0質量%であることを特徴とする積層体の製造方法である。
また、本発明は、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体であって、上記防眩層の表面の凹凸形状は、該防眩層の表面を100μm四方の測定領域に分割し、各測定領域における算術平均粗さSaを求め、上記算術平均粗さSaの平均値をMa、上記算術平均粗さSaの標準偏差をSqとしたとき、該MaとSqとの比(Sq/Ma)が0.15以下であり、上記防眩層は、バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子を含有し、上記無機微粒子の含有量が上記防眩層中1.0〜10.0質量%であることを特徴とする積層体でもある。
本発明はまた、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体であって、上記防眩層は、バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子を含有し、上記無機微粒子は、上記有機微粒子の周囲に粗に分布しており、かつ、上記防眩層中で上記有機微粒子の周囲以外では均一に分布しており、上記防眩層の表面の凹凸形状は、該防眩層の表面を100μm四方の測定領域に分割し、各測定領域における算術平均粗さSaを求め、上記算術平均粗さSaの平均値をMa、上記算術平均粗さSaの標準偏差をSqとしたとき、上記MaとSqとの比(Sq/Ma)が0.15以下であり、上記無機微粒子の含有量が上記防眩層中1.0〜10.0質量%であることを特徴とする積層体でもある;ただし、上記「上記無機微粒子は、上記有機微粒子の周囲に粗に分布しており」とは、電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で上記防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から500nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占める上記無機微粒子の面積割合をMnとし、上記有機微粒子から500nm外側の円周より外側の領域での上記無機微粒子の面積割合をMfとするとMf/Mnが1.5以上である状態を意味し、上記「上記有機微粒子の周囲以外では均一に分布しており」とは、電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で上記防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察されない箇所から任意の断面10カ所を観察したときに、各断面ごとに5μm四方の観察領域中の上記無機微粒子の面積割合を測定したとき、その平均値をM、その標準偏差をSとしたとき、S/M≦0.1であることを意味する。
本発明の積層体において、上記無機微粒子は、シリカ微粒子であることが好ましく、上記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径が100nm〜1μmであることが好ましい。
また、上記バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。
また、上記有機微粒子は、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子であることが好ましく、表面親水化処理されていないことが好ましい。
本発明はまた、偏光素子を備えてなる偏光板であって、上記偏光板は、偏光素子表面に上述の積層体を備えることを特徴とする偏光板でもある。
本発明は、最表面に上述の積層体、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、光透過性基材上に表面に凹凸形状を有する防眩層を備えた積層体について、鋭意検討した結果、積層体の防眩層を、特定の方法で調製した防眩層用組成物を用いて形成することで、凹凸形状が従来の積層体の防眩層と比較してより均一かつ均等に形成されたものとなり、このような防眩層を備えた積層体は、良好な防眩性を有しつつ、ギラツキの発生を極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、鋭意検討した結果、凹凸形状の算術平均粗さSaの平均値Maと、該算術平均粗さSaの標準偏差Sqとの比(Sq/Ma)が所定の範囲内となるように高度に制御された防眩層は、上記凹凸形状が極めて均一かつ均等に形成されたものとなることを見出し、本発明の積層体を完成するに至った。
更に、本発明者らは、鋭意検討した結果、従来の防眩層の表面の凹凸形状と比較してより均一かつ均等なものとなるように制御された凹凸形状を有する防眩層は、内部に含まれる有機微粒子と無機微粒子とを特定の状態となるように制御することで得られることを見出し、別の態様に係る本発明の積層体を完成するに至った。
本発明は、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体の製造方法である。
上記光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
上記光透過性基材は、上記熱可塑性樹脂を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板等の板状体のものを使用してもよい。
その他、上記光透過性基材としては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムが挙げられる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材の厚さとしては、フィルム状体の場合、5〜300μmであることが好ましく、より好ましくは下限が20μmであり、上限が200μmである。光透過性基材が板状体の場合には、これらの厚さを超える厚さであってもよい。
上記光透過性基材は、その上に上記ハードコート層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的又は化学的な処理のほか、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布が予め行われていてもよい。
また、LCD向けの光透過性基材として主に用いられることが多いトリアセチルセルロースを材料とし、かつ、ディスプレイ薄膜化を目指す場合は、上記光透過性基材の厚さとして20〜65μmが好ましい。
上記防眩層は、上記光透過性基材の一方の面上に形成されており、表面に凹凸形状を有するものである。
本発明の積層体の製造方法は、このような防眩層を形成する工程を有する。
本工程では、有機微粒子、無機微粒子、バインダー樹脂及び溶剤を含有する防眩層用組成物を上記光透過性基材の一方の面上に塗布して形成した塗膜を乾燥後、硬化させることで上記防眩層を形成する。
本発明の積層体の製造方法では、上記防眩層形成用組成物が、有機微粒子と無機微粒子とを含有するものであるため、形成される防眩層の表面に形成された凹凸形状が、単一の微粒子(例えば、有機微粒子等)又は単一粒子の凝集体(例えば、シリカ微粒子の凝集体)により防眩層の表面に形成された凹凸形状と比較して、より均一かつ均等に形成された形状となる。これは、後述するように、本発明の積層体の製造方法により製造される積層体では、上記無機微粒子と有機微粒子とが防眩層中で特定の状態で分布しているためであると推測される。
また、上記有機微粒子及び無機微粒子は、単粒子状態での形状が球状であることが好ましい。上記有機微粒子及び無機微粒子の単粒子がこのような球状であることで、製造する積層体を画像表示装置に適用した場合、高コントラストの表示画像を得ることができる。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
上記有機微粒子は、主に防眩層の表面凹凸形状を形成する微粒子であり、屈折率や粒径の制御が容易な微粒子である。このような有機微粒子を含むことで、防眩層に形成される凹凸形状の大きさや防眩層の屈折率の制御が容易となり、防眩性の制御並びにギラツキ及び白ぼけの発生を抑制することができる。
上記有機微粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子であることが好ましい。なかでも、スチレン−アクリル共重合体微粒子が好適に用いられる。
上記有機微粒子は、表面親水化処理されていないことが好ましい。上記有機微粒子が表面親水化処理されていると、上記無機微粒子との親和性が高まり過ぎ、該有機微粒子の周囲に上記無機微粒子を粗に分布させることが困難になる恐れがある。なお、上記「粗に分布」については、後で詳述する。
なお、上記親水化処理としては特に限定されず公知の方法が挙げられるが、例えば、カルボン酸基や水酸基等の官能基を有するモノマーを上記有機微粒子の表面に共重合させる方法等が挙げられる。
上記有機微粒子の含有量としては、上記防眩層用組成物中固形分で1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、製造する積層体の防眩性能が不充分となることがあり、50質量%を超えると、白ぼけの問題が生じることがあり、また、製造した積層体を画像表示装置に用いた場合に表示画像のコントラストに劣ることがある。より好ましい下限は5質量%、より好ましい上限は20質量%である。
また、上記有機微粒子は、粒子径が比較的揃った微粒子であることが好ましい。
ここで、上記「粒子径が比較的揃った微粒子」とは、重量平均による微粒子の平均粒径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下である場合を意味する。
なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。
上記重量平均による微粒子の平均粒径、累積25%径及び累積75%径は、コールターカウンター法による重量平均径として計測することができる。
上記防眩層形成用組成物がこのような有機微粒子を含有することで、均一かつ均等な凹凸形状を防眩層表面に好適に形成しやすくなる。
また、上記有機微粒子の大きさは、形成する防眩層の厚さ等に合わせて適宜決定されるが、例えば、平均粒子径が0.3〜6.0μmであることが好ましい。0.3μm未満であると、有機微粒子の分散性が制御できなくなる恐れがあり、6.0μmを超えると、防眩層表面の凹凸形状が大きくなって、面ギラの問題が生じることがある。より好ましい下限は2.0μm、より好ましい上限は4.0μmである。
また、上記有機微粒子の平均粒子径は、形成する防眩層の厚さに対して20〜90%であることが好ましい。90%を超えると、膜厚の偏差が凹凸形状に及ぼす影響が強くなり防眩層がムラ状に形成される恐れがある。20%未満であると、充分な凹凸形状を防眩層表面に形成できなくなって、防眩性能が不充分となることがあり。
なお、上記有機微粒子の平均粒子径は、有機微粒子単独で測定する場合、コールターカウンター法による重量平均径として計測できる。一方、防眩層中の有機微粒子の平均粒径は、防眩層の透過光学顕微鏡観察において、10個の粒子の最大径を平均した値として求められる。もしくはそれが不適な場合は、粒子中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい、以下同様)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される拡散粒子30個選択して(粒子のどの部位の断面であるか不明であるため選択粒子数を増やしている)その断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。いずれも画像から判断するため、画像解析ソフトにて算出してもよい。
上記無機微粒子は、主に防眩層中の上記有機微粒子を、均一な凹凸形状が形成できるような状態に安定的に存在させる働きがあり、上記防眩層用組成物中に均一に分散されていることが好ましい。
このような無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子であることが好ましい。以下、上記無機微粒子をシリカ微粒子として説明する。
上記シリカ微粒子が防眩層用組成物中で均一に分布していることで、形成する防眩層中でも均一に分散していることとなり、その表面に均一かつ均等な凹凸形状を形成させることとができる。
上記「防眩層中で均一に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の有機微粒子が観察されない箇所から任意の断面10カ所を観察したときに、各断面ごとに5μm四方の観察領域中のシリカ微粒子の面積割合を測定したとき、その平均値をM、その標準偏差をSとしたとき、S/M≦0.1であることを意味する。
なお、このようなシリカ微粒子の分布は、上記防眩層の厚み方向の断面電子顕微鏡観察にて容易に判別することができる。例えば、図2は、実施例1に係る積層体の断面STEM写真であり、図3は、実施例1に係る積層体の別の断面STEM写真であるが、図2及び図3において、中央付近の濃色帯状領域が上記防眩層の断面であり、該防眩層の断面において、黒く斑に観察される部分が上記シリカ微粒子の凝集体であり、シリカ微粒子の凝集体が上記防眩層中で均一に分散していることが明確に確認できる。また、上記シリカ微粒子の凝集体の面積割合は、例えば、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
本発明において、上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましい。上記シリカ微粒子が表面処理されていることで、該シリカ微粒子の防眩層用組成物及び形成する防眩層中での分布を好適に制御することができ、また、有機微粒子の周囲に粗に分布する効果を適度な範囲に制御できる。また、シリカ微粒子自体の耐薬品性及び耐ケン化性の向上を図ることもできる。
上記表面処理としては、微粒子の表面を疎水性にする疎水化処理が好ましい。このような疎水化処理としては、例えば、上記シリカ微粒子を、メチル基、オクチル基等のアクリル基を有するシラン化合物で処理する方法等が挙げられる。
ここで、通常、上記シリカ微粒子の表面には水酸基(シラノール基)が存在しているが、上記表面処理がされることで上記シリカ微粒子表面の水酸基が少なくなり、上記シリカ微粒子が過度に凝集することを防止でき、シリカ微粒子が不均一に分散することを防ぐ効果が発揮される。
また、上記シリカ微粒子は、非晶質シリカからなることが好ましい。上記シリカ微粒子が結晶性シリカからなる場合、その結晶構造中に含まれる格子欠陥により、シリカ微粒子のルイス酸性が強くなってしまい、該シリカ微粒子の過度の凝集を制御できなくなることがある。
このようなシリカ微粒子としては、それ自身が凝集しやすく上述した粒子径の凝集体を形成しやすいことから、例えば、フュームドシリカが好適に用いられる。ここで、上記フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカをいい、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得られる。具体的には、例えば、ケイ素化合物、例えば、SiClを酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。具体的には、例えば、AEROSIL R805(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
上記シリカ微粒子の含有量としては特に限定されないが、上記防眩層中1.0〜10.0質量%であることが好ましい。1.0質量%未満であると、上述した有機微粒子を均一な凹凸形状が形成できるように存在させることができないことがあり、10.0質量%を超えると、防眩層用組成物の粘度が上がり過ぎ塗布適性が悪くなる恐れがある。より好ましい下限は3.0質量%、より好ましい上限は8.0質量%である。
上記シリカ微粒子は、平均1次粒子径が1〜100nmであることが好ましい。1nm未満であると、好ましい凝集体が形成できないことがあり、100nmを超えると、シリカ微粒子により光が拡散され、製造する積層体を用いた画像表示装置の暗室コントラストが劣ることがある。より好ましい下限は5nm、より好ましい上限は50nmである。
なお、上記シリカ微粒子の平均1次粒子径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率は5万倍以上が好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアーを用いて測定される値である。
また、本発明において、上記シリカ微粒子が凝集体を形成している場合、上記防眩層の断面電子顕微鏡中で上述したシリカ微粒子が真珠のネックレス状に連なった構造を形成している。
上記防眩層中で上記シリカ微粒子が真珠のネックレス状に連なった凝集体を形成していることで、有機微粒子が均一な凹凸形状が形成できるような状態に安定的に存在させる働きを効果的に発揮させることができる。
なお、上記シリカ微粒子が真珠のネックレス状に連なった構造とは、例えば、上記シリカ微粒子が直線状に連続して連なった構造(直鎖構造)、該直鎖構造が複数絡み合った構造、上記直鎖構造にシリカ微粒子が複数連続して形成された側鎖を1又は2以上有する分岐構造等、任意の構造が挙げられる。
また、上記シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm〜1μmであることが好ましい。100nm未満であると、上述した効果が発揮できなくなる恐れがあり、1μmを超えると、シリカ微粒子の凝集体により光が拡散され、製造する積層体を用いた画像表示装置の暗室コントラストが劣ることがある。上記凝集体の平均粒子径のより好ましい下限は200nm、より好ましい上限は800nmである。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。
なお、上記「シリカ微粒子の凝集体の粒子径」は、シリカ微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、上記シリカ微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
このような特定の状態でシリカ微粒子の真珠のネックレス状に連なった凝集体と有機微粒子とが防眩層用組成物に含有されていることで、製造する積層体における防眩層は、単一の微粒子又はその凝集体により形成された凹凸形状よりも、凹凸形状が均一かつ均等に形成されたものとなる。この結果、製造する積層体は、良好な防眩性を有し、ギラツキを抑え、かつ、コントラストを向上させることができる。
上記凹凸が均一かつ均等であることで、防眩性を充分に備えつつも、特異点となるような極端に大きな凸部が無くなる。そのため、透過光の著しい歪みが無くなるのでギラツキを抑えることができ、さらに、大きな拡散を無くすことができるのでコントラストに優れたものとすることができる。
これは、以下に挙げる理由によるものと推測される。
すなわち、防眩層用組成物を塗布後、乾燥して溶剤が蒸発する際、適度に凝集したシリカ微粒子が均一に分散していることで、凹凸を形成する有機微粒子も均一に分散した状態を保つことができる。さらに、上記無機微粒子が、上記有機微粒子の周囲に粗に分布していることで、上記無機微粒子が多く分布している箇所に比べてバインダー樹脂の硬化収縮が大きくなるため、良好な防眩性を発現させるのに充分な凸部が安定的に形成される。このため、上記有機微粒子により防眩層の表面に形成される凹凸形状(凸部)が、微粒子単体で形成される凹凸形状(凸部)に比べて均一かつ均等になるものと推測される。
上記バインダー樹脂としては、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。上記「分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とする」とは、上記バインダー樹脂の原料モノマー中、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーの含有量が最も多いことを意味する。
上記分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーは、疎水性モノマーであるため、本発明の積層体では、上記防眩層を構成するバインダー樹脂は、疎水性樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂が水酸基を持つような親水性の樹脂が主体となると、後述する極性の高い溶剤(例えば、イソプロピルアルコール)が蒸発しにくくなり、有機微粒子の周囲に無機微粒子を粗に分布させることができなくなる恐れがある。
上記分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。
また、その他のバインダー樹脂としては、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂が紫外線又は電子線の照射により硬化したものであることが好ましい。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明では、上記電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、防眩層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
また、上記防眩層用組成物は、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記防眩層用組成物において、上記シリカ微粒子は、該組成物中では均一に分散した状態であることが好ましく、図4に示したように、上記塗膜を乾燥させたときに上記有機微粒子の周囲に粗に分布することが好ましい。なお、図4は、実施例1に係る積層体の更に別の断面STEM写真である。
上記防眩層用組成物中で上記シリカ微粒子が均一に分散した状態でないと、形成する防眩層中での均一な分散とできないこととなり、また、上記防眩層用組成物中で凝集が過度に進んでしまい、上記シリカ微粒子の巨大な凝集体となって、上述した均一かつ均等な凹凸形状を有する防眩層を形成できないことある。
ここで、上記シリカ微粒子は、上記防眩層用組成物を増粘させることができる材料であるため、上記シリカ微粒子を含有することで、防眩層用組成物に含まれる有機微粒子の沈降を抑制できる。すなわち、上記シリカ微粒子は、上述した有機微粒子とシリカ微粒子との所定の分布の形成促進機能とともに、防眩層用組成物のポットライフの向上機能も有すると推測される。
また、上記シリカ微粒子が、上記防眩層用組成物中では均一に分散させて、かつ、上記塗膜中で上記有機微粒子の周囲に粗に分布させる方法としては、例えば、上記防眩層用組成物に添加する溶剤として、極性が高く、かつ、揮発速度が速い溶剤を所定量含有させる方法が挙げられる。このような極性が高く、揮発速度が速い溶剤を含有することで、上記防眩層用組成物中でシリカ微粒子が過度に凝集することを防止できる。一方で、上記光透過性基材上に塗布し乾燥させて塗膜を形成する際、上記極性が高く、揮発速度が速い溶剤は、他の溶剤よりも先に揮発するため、塗膜形成時の組成が変性し、その結果、該塗膜中で上記有機微粒子の周囲は疎水性が強くなり、上記シリカ微粒子との親和性が低下して該シリカ微粒子が存在しにくくなることで、上記有機微粒子の周囲に粗に分布した状態を形成することができる。
なお、本明細書において、「極性が高い溶剤」とは、溶解度パラメーターが10[(cal/cm1/2]以上の溶剤を意味し、「揮発速度が速い溶剤」とは、相対蒸発速度が150以上の溶剤を意味する。従って、上記「極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤」とは、上記「極性が高い溶剤」及び「揮発速度が速い溶剤」の両方の要件を充足する溶剤を意味する。
本明細書において、上記溶解度パラメーターは、Fedorsの方法で計算される。Fedorsの方法は、例えば「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著 株式会社情報機構発行、2005年)に記載されている。Fedorsの方法において、溶解度パラメーターは下記式より算出される。
溶解度パラメーター=[ΣEcoh/ΣV]
上記式中、Ecohは凝集エネルギー密度、Vはモル分子容である。原子団ごとに決められたEcoh及びVに基づき、Ecoh及びVの総和であるΣEcoh及びΣVを求めることによって、溶解度パラメーターを算出することができる。
また、本明細書において、上記相対蒸発速度とは、n−酢酸ブチルの蒸発速度を100とした時の相対蒸発速度をいい、ASTM D3539−87に準拠して測定される蒸発速度で、下記式により算出される。具体的には、25℃、乾燥空気下におけるn−酢酸ブチルの蒸発時間と各溶剤の蒸発時間を測定し算出する。
相対蒸発速度=(n−酢酸ブチル90重量%が蒸発するのに要する時間)/(測定溶剤の90重量%が蒸発するのに要する時間)×100
上記極性が高く、かつ、揮発速度が速い溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられるが、その中でも、イソプロピルアルコールが好適に用いられる。
また、上記溶剤におけるイソプロピルアルコールの含有量は、全溶剤中10質量%以上であることが好ましい。10質量%未満であると、防眩層用組成物中でシリカ微粒子の凝集体が生じてしまうことがある。上記イソプロピルアルコールの含有量は、40質量%以下であることが好ましい。40質量%超過であると、上記シリカ微粒子を上記有機微粒子の周囲に粗に分布させることができなくなる恐れがある。
上記防眩層用組成物に含まれるその他の溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
上記防眩層用組成物は、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、上記バインダー樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、上記バインダー樹脂がカチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、上記光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
上記防眩層用組成物における上記光重合開始剤の含有量は、上記バインダー樹脂100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、形成する防眩層のハードコート性能が不充分となることがあり、10.0質量部を超えると、逆に硬化を阻害する可能性も出てくるため、好ましくない。
上記防眩層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5〜70質量%、特に25〜60質量%とすることが好ましい。
上記防眩層用組成物には、防眩層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が挙げられ、好ましくはパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤等が、防眩層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する防眩層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
また、上記ベナードセル構造は、防眩層の表面の凹凸が大きくなりすぎて白ぼけ、面ギラに悪影響を及ぼす。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない凹凸膜が得られるだけでなく、凹凸形状の調整も容易となる。
また、上記防眩層用組成物は、光増感剤を混合して用いてもよく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
本発明の積層体の製造方法において、上記防眩層用組成物は、上記溶剤に上記バインダー樹脂及び上記有機微粒子を混合及び攪拌して中間組成物を調製した後、上記中間組成物に上記無機微粒子(シリカ微粒子)を混合、分散させることで調製されたものである。
すなわち、本発明において、上記防眩層用組成物は、該防眩層用組成物の必須の構成材料の中で、無機微粒子を最後に添加するものである。上記有機微粒子やバインダー樹脂を添加する前に、上記無機微粒子を溶剤に添加して防眩層用組成物を調製した場合、溶剤アタックによる無機微粒子の過剰な凝集が発生してしまい、均一かつ均等な凹凸形状を有する防眩層を形成できなくなる。また、上述の効果をより確実にするために、無機微粒子を最後に添加する際、該無機微粒子は上記溶剤に分散させた無機微粒子分散物であることがより好ましい。
上記中間組成物を調製する方法としては、上記溶剤に上記有機微粒子及びバインダー樹脂を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
また、上記中間組成物に無機微粒子を添加して防眩層用組成物を調製する方法も上記と同様の方法が挙げられる。
上記防眩層用組成物を光透過性基材上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
上記の方法のいずれかで防眩層用組成物を塗布した後、形成した塗膜を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で塗膜を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、有機微粒子及び無機微粒子の分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を所望の状態に調整することができる。
また、上記乾燥後の塗膜を硬化させる際の電離放射線の照射方法としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を用いる方法が挙げられる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
このような本発明の積層体の製造方法により製造される積層体は、上述したように、防眩層形成用組成物中での無機微粒子(シリカ微粒子)の分散が高度に制御されているため、防眩層の表面に形成される凹凸形状が従来の積層体の防眩層の表面の凹凸形状と比較して、極めて均一かつ均等に形成されたものとなる。
このような凹凸形状を有する防眩層は、その表面に特異点となるような凸部が殆ど形成されていないため、良好な防眩性を有しつつギラツキを極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができる積層体とすることができる。
また、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体であって、上記防眩層の表面の凹凸形状は、該防眩層の表面を100μm四方の測定領域に分割し、各測定領域における算術平均粗さSaを求め、上記算術平均粗さSaの平均値をMa、上記算術平均粗さSaの標準偏差をSqとしたとき、該MaとSqとの比(Sq/Ma)が0.15以下であることを特徴とする積層体もまた、本発明の1つである。
人間の眼の分解能は100μm程度であるので、100μm四方ごとのばらつきが大きいと、人間の眼に透過光の歪みが認識されギラツキとして観察される。このため、上記MaとSqとの比(Sq/Ma)が0.15を超えると、本発明の積層体の透過光の歪みが認識されてギラツキとして観察される。上記(Sq/Ma)は0.12以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
なお、本発明の積層体において、上記Raの平均値(Ma)は0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。0.10μm未満であると、本発明の積層体の防眩性が不充分となることがあり、0.40μm超過であると、本発明の積層体のコントラストが悪化することがある。
なお、上記算術平均粗さSaは、JIS B0601:1994に記載されている2次元粗さパラメータである算術平均粗さRaを3次元に拡張したものであり、基準面に直交座標軸X、Y軸を置き、粗さ曲面をZ(x,y)、測定領域面の大きさをLx、Lyとすると、下記式(a)で算出される。
なお、上記式(a)中、A=Lx×Lyを表す。
また、X軸方向にi番目、Y軸方向にj番目の点の位置における高さをZi,jとすると、上記算術平均粗さSaは、下記式(b)で算出される。
なお、上記式(b)中、Nは、全点数を表す。
このような3次元での算術平均粗さSaを得る装置としては、接触式表面粗さ計や非接触式の表面粗さ計(例えば、干渉顕微鏡、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡等)が挙げられる。これらの中でも、測定の簡便性から干渉顕微鏡を用いて測定することが好ましい。このような干渉顕微鏡としては、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。
本発明の積層体において、上記防眩層は、バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子を含有することが好ましい。
上記バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子、並びに、上記光透過性基材としては、上述した本発明の積層体の製造方法で説明したものと同様のものが挙げられる。
また、本発明の積層体を製造する方法としては、防眩層の表面の凹凸形状が上記要件を充足するように制御できる方法であれば特に限定されないが、例えば、上述した本発明の積層体の製造方法により製造することができる。
また、光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体であって、上記防眩層は、バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子を含有し、上記無機微粒子は、上記有機微粒子の周囲に粗に分布しており、かつ、上記防眩層中で上記有機微粒子の周囲以外では均一に分布していることを特徴とする積層体もまた、別の態様に係る本発明の1つである。
上記別の態様に係る本発明の積層体は防眩層を有するものであり、該防眩層は、バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子を含有し、上記無機微粒子は、上記有機微粒子の周囲に粗に分布している。
ここで、上記防眩層の断面を電子顕微鏡観察した場合、上記有機微粒子の周囲に粗に分布した無機微粒子は、有機微粒子の中心を通る断面だけではなく、該有機微粒子の中心からずれた断面においても粗に分布している状態が観察される。
なお、上記「上記無機微粒子は、有機微粒子の周囲に粗に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から500nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占める無機微粒子の面積割合をMnとし、上記有機微粒子から500nm外側の円周より外側の領域での無機微粒子の面積割合をMfとするとMf/Mnが1.5以上である状態を意味する。
また、上記「上記防眩層中で上記有機微粒子の周囲以外では均一に分布している」とは、上述した本発明の積層体の製造方法において説明した「防眩層中で均一に分布している」と同様の意味である。
別の態様に係る本発明の積層体は、防眩層中で有機微粒子及び無機微粒子が上述の本発明の積層体の製造方法における防眩層用組成物で説明した関係で含有されているため、その表面に形成された凹凸形状が従来の積層体の防眩層の凹凸形状と比較して極めて均一かつ均等なものとなる。このような防眩層を有する別の態様に係る本発明の積層体によると、良好な防眩性を有しつつギラツキの発生を極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができる。
別の態様に係る本発明の積層体において、上記バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子、並びに、上記光透過性基材としては、上述した本発明の積層体の製造方法で説明したものと同様のものが挙げられる。
また、別の態様に係る本発明の積層体を製造する方法としては、防眩層中の有機微粒子及び無機微粒子を上述した状態で含有させるよう制御できる方法であれば特に限定されないが、例えば、上述した本発明の積層体の製造方法により製造することができる。
上述した本発明の積層体及び別の態様に係る本発明の積層体(以下、これらをまとめて、本発明の積層体として説明する)は、上述したように特定の防眩層を有するものであり、該防眩層の表面には、従来の積層体の防眩層と比較して極めて均一かつ均等な凹凸形状が形成されている。
上記防眩層の表面の凹凸形状としては、具体的には、上記防眩層表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の算術平均粗さをRaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとした場合に、下記式を満たすことが好ましい。θa、Ra、Rzが下限未満であると、外光の映り込みを抑えることができないことがある。また、θa、Ra、Rzが上限を超えると、外光の拡散反射の増加による明室コントラストの低下や、透過映像光からの迷光が増加することにより暗室コントラストが低下したりするおそれがある。本発明の構成においては、Smを下限未満にするとコントラストに劣るおそれがある。一方、Smが上限を超えると、ギラツキが充分に抑制できないおそれがある。
50μm<Sm<300μm
0.5°<θa<4.0°
0.05μm<Ra<0.40μm
0.30μm<Rz<2.50μm
また、上記防眩層の凹凸形状は、上記観点からより好ましくは、下記式を満たすことである。
50μm<Sm<200μm
0.8°<θa<2.0°
0.10μm<Ra<0.25μm
0.50μm<Rz<1.80μm
上記防眩層の凹凸形状は、更に好ましくは、下記式を満たすことである。
70μm<Sm<100μm
1.0°<θa<1.5°
0.12μm<Ra<0.18μm
0.80μm<Rz<1.30μm
なお、本明細書において、上記Sm、Ra及びRzは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、θaは、表面粗さ測定器:SE−3400 取り扱い説明書(1995.07.20改訂)(株式会社小坂研究所)に記載の定義により得られる値であり、図1に示すように、基準長さLに存在する凸部高さの和(h+h+h+・・・+h)のアークタンジェントθa=tan−1{(h+h+h+・・・+h)/L}で求めることができる。
このようなSm、θa、Ra、Rzは、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製等により測定して求めることができる。
また、上記防眩層の厚さとしては、2.0〜7.0μmであることが好ましい。2.0μm未満であると、防眩層表面が傷付きやすくなることがあり、7.0μmを超えると、防眩層が割れやすくなることがある。上記防眩層の厚さのより好ましい範囲は2.0〜5.0μmである。なお、上記防眩層の厚さは、断面顕微鏡観察により測定することができる。
本発明の積層体は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。85%未満であると、本発明の積層体を画像表示装置の表面に装着した場合において、色再現性や視認性を損なうおそれがある。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましく、91%以上であることが更に好ましい。
なお、上記全光線透過率は、JIS K7361に従い、村上色彩技術研究所製「HM−150」等で測定できる。
また、本発明の積層体は、ヘイズが40%未満であることが好ましい。上記防眩層は、含有する微粒子による内部拡散による内部ヘイズ及び最表面の凹凸形状による外部ヘイズからなってよく、内部拡散による内部ヘイズは、5%以上30%以下の範囲であることが好ましい。5%未満であると、本発明の積層体のギラツキを充分に抑制できない恐れがあり、30%を超えると、本発明の積層体のコントラストが劣る恐れがある。また、本発明の積層体の内部ヘイズは、5%以上20%以下の範囲であることがより好ましく、5%以上15%以下の範囲であることが更に好ましい。最表面の外部ヘイズは、5%以上30%以下の範囲であることが好ましい。5%未満であると、本発明の積層体の防眩性が充分でない恐れがあり、30%を超えると、本発明の積層体のコントラストが劣る恐れがある。本発明の積層体の外部ヘイズは、5%以上20%以下の範囲であることがより好ましく、7%以上15%以下の範囲であることが更に好ましい。
なお、本発明の積層体において、上記無機微粒子としてフュームドシリカを用いることにより、上記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズをそれぞれ独立して制御することができる。例えば、フュームドシリカを用いることで、該フュームドシリカの平均粒子径が小さいために、内部ヘイズが発現せず、外部ヘイズのみを調整することができる。また、内部ヘイズの調整は、有機微粒子の屈折率とバインダー樹脂の屈折率との比を制御したり、バインダー樹脂のモノマーを有機微粒子に含浸させることで有機粒子界面の屈折率を変えることで調整したりすることができる。
上記ヘイズは、JIS K7136に従い、村上色彩技術研究所製「HM−150」等で測定できる。
また、上記内部ヘイズは、以下のように求められる。
積層体の防眩層の表面にある凹凸上に、表面凹凸を形成する樹脂と屈折率が等しいか屈折率差が0.02以下である樹脂をワイヤーバーで乾燥膜厚が8μm(完全に表面の凹凸形状がなくなり、表面が平坦とできる膜厚とする)となるように塗布し、70℃で1分間乾燥後、100mJ/cm2の紫外線を照射して硬化する。これによって、表面にある凹凸がつぶれ、平坦な表面となったフィルムが得られる。ただし、この凹凸形状を有する防眩層を形成する組成物中にレベリング剤等が入っていることで、上記防眩層の表面に塗布する樹脂がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩層の表面をケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液で55℃、3分浸した後、水洗し、キムワイプ(登録商標)等で水滴を完全に除去した後、50℃オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。
この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸をもたないので、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このフィルムのヘイズを、JIS K−7136に従ってヘイズと同様な方法で測定することで、内部ヘイズを求めることができる。
また、上記外部ヘイズは、(ヘイズ−内部ヘイズ)として求めることができる。
また、本発明の積層体は、白ぼけの発生をより好適に防止できることから、上記防眩層上に低屈折率層を有することが好ましい。
上記低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質の薄膜等のいずれかで構成される。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述した防眩層を構成するバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、上述したシリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
また、上記低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。上記2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
上記電離放射線で硬化する官能基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等もある。
上記熱硬化する極性基として好ましいのは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカ等の無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
更には、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、上記したフッ素原子を持つ重合性化合物や重合体とともに、上記防眩層に記載したような各バインダー樹脂を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
上記低屈折率層の形成においては、低屈折率剤及び樹脂等を添加してなる低屈折率層用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5mPa・s(25℃)、好ましくは0.7〜3mPa・s(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止層を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ、密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、上述した防眩層で説明したものと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
低屈折率層の層厚(nm)dは、下記式(1):
=mλ/(4n) (1)
(上記式中、
は低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記式(2):
120<n<145 (2)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
本発明の積層体は、また、本発明の効果が損なわれない範囲内で、必要に応じて他の層(帯電防止層、防汚層、接着剤層、他のハードコート層等)の1層又は2層以上を適宜形成することができる。なかでも、帯電防止層及び防汚層のうち少なくとも一層を有することが好ましい。これらの層は、公知の反射防止用積層体と同様のものを採用することもできる。
本発明の積層体は、コントラスト比が40%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。40%未満であると、本発明の積層体をディスプレイ表面に装着した場合において、暗室コントラストに劣り視認性を損なう恐れがある。なお、本明細書における、上記コントラスト比は、後述の実施例に記載の方法により測定された値である。
本発明の積層体は、偏光素子の表面に、本発明による積層体を該積層体における防眩層が存在する面と反対の面に設けることによって、偏光板とすることができる。このような偏光板もまた、本発明の1つである。
上記偏光素子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。上記偏光素子と本発明の積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材(トリアセチルセルロースフィルム)にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
本発明は、最表面に上記積層体又は上記偏光板を備えてなる画像表示装置でもある。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
上記の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、本発明の積層体又は本発明の偏光板が形成されてなるものである。
本発明が上記積層体を有する液晶表示装置の場合、光源装置の光源は積層体の下側から照射される。なお、液晶表示素子と偏光板との間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
上記画像表示装置であるPDPは、表面ガラス基板(表面に電極を形成)と当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置された背面ガラス基板(電極および、微小な溝を表面に形成し、溝内に赤、緑、青の蛍光体層を形成)とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又はその前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に上述した積層体を備えるものでもある。
上記画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に上述した積層体を備えるものである。
本発明の画像表示装置は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPCなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル、PDP、ELD、FED、タッチパネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
本発明の積層体の製造方法は、上述した構成からなるものであるため、良好な防眩性を有しつつギラツキの発生を極めて高いレベルで抑制でき、高コントラストの優れた表示画像を得ることができる本発明の積層体を製造することができる。
このため、本発明の積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPC等に好適に適用することができる。
θaの測定方法の説明図である。 実施例1に係る積層体の断面電子顕微鏡写真である。 実施例1に係る積層体の別の断面電子顕微鏡写真である。 実施例1に係る積層体の更に別の断面電子顕微鏡写真である。
本発明の内容を下記の実施例により説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(防眩層用組成物1の調製)
下記に示した配合をビーズミルにて分散させて中間組成物を得た。
次に、下記に示した配合をビーズミルにて分散し無機微粒子分散物を得た。
そして、中間組成物をディスパーで撹拌しながら、無機微粒子分散物を徐々に加えていき、防眩層用組成物1を得た。
(中間組成物)
有機微粒子(非親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径3.5μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製) 14質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製) 65質量部
ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製) 35質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 100質量部
イソプロピルアルコール 35質量部
シクロヘキサノン 20質量部
(無機微粒子分散物)
フュームドシリカ(オクチルシラン処理;平均1次粒子径12nm、日本アエロジル社製) 6質量部
トルエン 45質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
(防眩層用組成物2の調製)
中間組成物における有機微粒子を、非親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子(平均粒子径5.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製)とし、配合量を16質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物2を得た。
(防眩層用組成物3の調製)
中間組成物におけるイソプロピルアルコールの配合量を5質量部、シクロヘキサノンの配合量を50質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物3を得た。
(防眩層用組成物4の調製)
無機微粒子分散物におけるフュームドシリカの配合量を4質量部とした以外は、防眩層用組成物1と同様にして防眩層用組成物4を得た。
(防眩層用組成物5の調製)
防眩層用組成物1における中間組成物及び無機微粒子分散物に示した各組成を同時にビーズミルで分散させて、防眩層用組成物5を得た。
(防眩層用組成物6の調製)
下記に示した配合をビーズミルにて分散して防眩層用組成物6を得た。
有機微粒子(非親水化処理ポリスチレン粒子、平均粒子径3.5μm、屈折率1.59、綜研化学社製) 14質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名「PETIA」、ダイセル・サイテック社製) 100質量部
アクリルポリマー(分子量75,000、三菱レイヨン社製) 10質量部
重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 120質量部
シクロヘキサノン 30質量部
(防眩層用組成物7の調製)
防眩層用組成物6における有機微粒子を、非親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子(平均粒子径3.5μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製)とした以外は、防眩層用組成物6と同様にして防眩層用組成物7を得た。
(実施例1)
防眩層用組成物1を光透過性基材(厚み60μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム、富士フイルム社製、TD60UL)の片面に塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、6μm厚み(硬化時)の防眩層を形成し、実施例1に係る積層体を作製した。
(実施例2〜4)
防眩層用組成物1の代わりに防眩層用組成物2〜4を、それぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4に係る積層体を作製した。
(比較例1)
防眩層用組成物1の代わりに防眩層用組成物5を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る積層体を作製した。
(比較例2〜3)
防眩層用組成物1の代わりに防眩層用組成物6〜7を、それぞれ用い、硬化時の厚みを4.5μmとした以外は実施例1と同様にして、比較例2〜3に係る積層体を作製した。
得られた実施例、比較例及び参考例に係る積層体を下記項目について評価した。
全ての結果を表1に示した。
(防眩性)
得られた積層体の防眩性について、黒アクリル板、透明粘着、積層体(粘着側は光透過性基材の非塗工面)の順に貼付したものを、三波長蛍光灯が1.5m上方に配置された照度約1000Lxの明室環境下にて、蛍光灯の映り込みが気にならない程度を下記の基準により評価した。
◎:蛍光灯の像が完全にぼやけており、認識できない
○:蛍光灯の像が映り込むが、輪郭はぼやけており、輪郭の境界は認識できない
×:蛍光灯の像が映り込んでおり、輪郭もはっきり認識できる
(ギラツキ評価)
得られた積層体の面ギラについて、以下のように評価した。
積層体の防眩層が形成されていない面と、ブラックマトリクス(ガラス厚み0.7mm)のマトリクスが形成されていないガラス面とを透明粘着剤で貼り合わせて試料を得た。
こうして得られた試料に対し、ブラックマトリクス側に白色面光源(HAKUBA社製、LIGHTBOX、平均輝度1000cd/m)を設置することで、疑似的にギラツキ発生させた。
これを積層体側からCCDカメラ(KP−M1、Cマウントアダプタ、接写リング;PK−11A ニコン、カメラレンズ;50mm,F1.4s NIKKOR)で撮影した。CCDカメラと積層体との距離は250mmとし、CCDカメラのフォーカスは積層体に合うように調節した。CCDカメラで撮影した画像をパーソナルコンピュータに取り込み、画像処理ソフト(ImagePro Plus ver.6.2;Media Cybernetics社製)で次のように解析を行った。
まず、取り込んだ画像から200×160ピクセルの評価箇所を選び、該評価箇所において、16bitグレースケールに変換した。次に、フィルタコマンドの強調タブからローパスフィルタを選択し「3×3、回数3、強さ10」の条件でフィルタをかけた。これによりブラックマトリクスパターン由来の成分を除去した。
次に、平坦化を選択し、「背景:暗い、オブジェクト幅10」の条件でシェーディング補正を行った。
次に、コントラスト強調コマンドで「コントラスト:96、ブライトネス:48」としてコントラスト強調を行った。
得られた画像を8ビットグレースケールに変換し、その中の150×110ピクセルについてピクセルごとの値のばらつきを標準偏差値として算出することにより、ギラツキを数値化した。この数値化したギラツキ値が小さいほど、ギラツキが少ないと言える。なお、測定は、ブラックマトリクスが画素密度200ppi相当のもので行った。
測定されたギラツキ値について、以下の基準で評価をした。
◎:上記ギラツキ値が14以下
○:上記ギラツキ値が14超、18以下
×:上記ギラツキ値が18超
(コントラスト比)
コントラスト比の測定では、バックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(サムスン社製 AMN−3244TP)を用い、該偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の輝度のLmaxを、クロスニコルに設置したときに通過する光の輝度のLminで割った値(Lmax/Lmin)をコントラストとし、積層体(光透過性基材+防眩層)を最表面に載置したときのコントラスト(L)と、光透過性基材のみを最表面に載置したときのコントラスト(L)とを求め、(L/L)×100(%)を算出することでコントラスト比を算出した。
なお、輝度の測定には、色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を用い、照度が5Lx以下の暗室環境下で行った。色彩輝度計の測定角は1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が3600cd/mになるように設置した。
◎:上記コントラスト比が60%以上
○:上記コントラスト比が40%以上60%未満
×:上記コントラスト比が40%未満
(Sq/Ma)
得られた各積層体の防眩層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、ガラス板に貼付してサンプルとし、白色干渉顕微鏡(New View7300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて、防眩層の表面形状の測定・解析を行った。なお、測定・解析ソフトにはMetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いた。
(測定条件)
対物レンズ:50倍
Zoom:1倍
測定領域:414μm×414μm
解像度(1点当たりの間隔):0.44μm
(解析条件)
Removed:Sphere
Filter:LowPass
FilterType:GaussSpline
High wavelength:2.5μm
Remove spikes:on
Spike Height(xRMS):2.5
上記の測定条件で測定したデータを「Mask Editor」を用いて100μm×100μmの大きさの領域に16分割して、各領域について上記の解析条件にてSurface Map画面上に表示させた「Ra」の数値を読み取り、Saの値とした。そして、それらの平均値をMa、それらの標準偏差をSqとし、(Sq/Ma)を算出した。
(ヘイズ、内部ヘイズ)
各積層体のヘイズについて、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、型名;HM−150)を用いてJIS K−7136(ヘイズ)に準拠した方法により測定した。内部ヘイズについては、上述した方法により測定した。
(凹凸の平均間隔(Sm)、凹凸の算術平均粗さ(Ra)、凹凸部の平均傾斜角(θa)、十点平均粗さ(Rz))
JIS B 0601−1994に準拠して凹凸の平均間隔(Sm)、凹凸の算術平均粗さ(Ra)及び十点平均粗さ(Rz)を測定し、図1に示した方法で凹凸部の平均傾斜角(θa)を測定した。なお、上記Sm、Ra、θa及びRzの測定には、表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製を用い、以下の条件で測定した。
(1)表面粗さ検出部の触針:
型番/SE2555N(2μ触針)、株式会社小坂研究所製
(先端曲率半径2μm/頂角:90度/材質:ダイヤモンド)
(2)表面粗さ測定器の測定条件:
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc:0.8mm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
触針の送り速さ:0.5mm/s
予備長さ:(カットオフ値λc)×2
縦倍率:2000倍
横倍率:10倍
表1に示したように、実施例に係る積層体は、いずれもギラツキ、コントラスト比及び防眩性の評価に優れており、製造安定性にも優れていた。
一方、比較例1に係る積層体は、中間組成物及び無機微粒子分散物の各組成を同時に分散させてなる防眩層用組成物を用いて製造されたため、ギラツキの評価に劣っていた。また、比較例2に係る積層体は、無機微粒子を使用しておらず、凹凸形状が均一かつ均等に形成されていないため、ギラツキの評価に劣っていた。また、比較例3に係る積層体は、内部ヘイズが大きいため、ギラツキは良好なものの、コントラスト比の評価に劣っていた。
本発明の積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、電子ペーパー、タブレットPC等に好適に適用することができる。

Claims (10)

  1. 光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する積層体であって、
    前記防眩層の表面の凹凸形状は、該防眩層の表面を100μm四方の測定領域に分割し、各測定領域における算術平均粗さSaを求め、前記算術平均粗さSaの平均値をMa、前記算術平均粗さSaの標準偏差をSqとしたとき、前記MaとSqとの比(Sq/Ma)が0.15以下であり、
    前記防眩層は、バインダー樹脂、有機微粒子及び無機微粒子を含有する
    ことを特徴とする積層体。
  2. 無機微粒子は、有機微粒子の周囲に粗に分布しており、かつ、防眩層中で前記有機微粒子の周囲以外では均一に分布している請求項1記載の積層体;ただし、前記「無機微粒子は、有機微粒子の周囲に粗に分布しており」とは、電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で前記防眩層の厚み方向の前記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、前記有機微粒子から500nm外側の円周内でかつ前記有機微粒子を除いた領域に占める前記無機微粒子の面積割合をMnとし、前記有機微粒子から500nm外側の円周より外側の領域での前記無機微粒子の面積割合をMfとするとMf/Mnが1.5以上である状態を意味し、前記「前記有機微粒子の周囲以外では均一に分布しており」とは、電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で前記防眩層の厚み方向の前記有機微粒子が観察されない箇所から任意の断面10カ所を観察したときに、各断面ごとに5μm四方の観察領域中の前記無機微粒子の面積割合を測定したとき、その平均値をM、その標準偏差をSとしたとき、S/M≦0.1であることを意味する。
  3. 無機微粒子は、シリカ微粒子である請求項1又は2記載の積層体。
  4. シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径が100nm〜1μmである請求項3記載の積層体。
  5. バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とする請求項1、2、3又は4記載の積層体。
  6. 有機微粒子は、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子である請求項1、2、3、4又は5記載の積層体。
  7. 有機微粒子は、表面親水化処理されていない請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層体。
  8. 積層体は、内部ヘイズが5%以上30%以下、外部ヘイズが5%以上30%以下である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の積層体。
  9. 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
    前記偏光板は、偏光素子表面に請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の積層体を備えることを特徴とする偏光板。
  10. 最表面に請求項1、2、3、4、5、6、7若しくは8記載の積層体、又は、請求項9記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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