A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における三次元造形装置100の構成を示す概略図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、重力方向とは反対の方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図1と対応するように、必要に応じて図示してある。
三次元造形装置100は、送出ユニット110と、造形ステージ部200と、制御部300と、を備える。三次元造形装置100は、制御部300の制御下において、送出ユニット110のノズル61から、造形ステージ部200の造形台220上に溶融材料を送出することによって、三次元造形物を造形する。溶融材料とは、熱可塑性を有する樹脂(熱可塑性樹脂)を溶融させた材料である。
送出ユニット110は、材料供給部20と、溶融部30と、溶融材料供給装置60と、を備える。材料供給部20は、ホッパーによって構成されており、下方の排出口が、連通路22を介して、溶融部30に接続されている。材料供給部20は、溶融部30に熱可塑性の材料を供給する。
材料供給部20に投入される材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)等を使用可能である。これらの材料は、ペレットや粉末等の固体材料の状態で材料供給部20に投入される。また、材料供給部20に投入される熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック等が混入されていてもよい。
溶融部30は、材料供給部20から供給された材料を溶融させて溶融材料供給装置60へと流入させる。溶融部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、フラットスクリュー40と、対面部50と、を有する。
フラットスクリュー40は、軸線方向(中心軸に沿った方向)の高さが直径よりも小さい略円柱状のスクリューであり、その回転軸RXと交差する面である下面48に、溝部42が形成されている。上述した材料供給部20の連通路22は、フラットスクリュー40の側面から、溝部42に接続されている。フラットスクリュー40の具体的な形状については後述する。
フラットスクリュー40は、その軸線方向がZ方向と平行になるように配置され、円周方向に沿って回転する。図1には、フラットスクリュー40の回転軸RXを一点鎖線で図示してある。第1実施形態において、フラットスクリュー40の中心軸とその回転軸RXとは一致する。
フラットスクリュー40は、スクリューケース31内に収納されている。フラットスクリュー40の上面47は、駆動モーター32と連結されている。駆動モーター32が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース31内においてフラットスクリュー40が回転される。駆動モーター32は、制御部300の制御下において駆動する。
フラットスクリュー40の下面48は、対面部50の上面52と対面している。下面48に備えられた溝部42と、対面部50の上面52との間に空間が形成される。送出ユニット110において、材料供給部20から供給された熱可塑性を有する材料が、この空間を流通する。
対面部50は、軸線方向(中心軸に沿った方向)の高さが直径よりも小さい略円柱状の部材である。対面部50の一方の円状の面がフラットスクリュー40の下面48と対向し、他方の円状の面には、溶融材料供給装置60が接続されている。対面部50には、材料を加熱するためのヒーター58が埋め込まれている。
溝部42内に供給された材料は、ヒーター58による加熱により溶融されて溶融材料へと転化されつつ、フラットスクリュー40の回転によって溝部42に沿って流動し、後述するフラットスクリュー40の中央部46へと導かれる。中央部46に流入した溶融材料は、対面部50の中心に設けられた連通孔56を介して、溶融材料供給装置60に供給される。
溶融材料供給装置60は、溶融部30に接続された溶融材料の供給装置である。溶融材料供給装置60は、第1流路62と、回転体63と、を備える。第1流路62は、溶融材料供給装置60の内部に備えられた空間であり、連通孔56と回転体63との間の溶融材料の流路である。本実施形態において、第1流路62は、重力方向に沿って直線状に構成される。溶融材料供給装置60は、対面部50から連通孔56を介して供給された溶融材料を、第1流路62とおよび後述する回転体63の内部に備えられた第2流路64とを流通させてノズル61から送出する。
回転体63は、第1流路62から供給された溶融材料の送出および停止を制御する機構を備える。回転体63は、ノズル61と、第2流路64と、流量調節機構70と、を有する。回転体63は、回転エアーシリンダーや電動モーター等によって構成される回転駆動部59によって駆動される。回転体63の詳細については後述する。
ノズル61は、回転体63の先端に設けられた、溶融材料を送出するための送出口である。ノズル61は、孔径Dnの開口であり、第1流路62と回転体63の内部に設けられた第2流路64とを通じて連通孔56と接続されている。
第2流路64は、回転体63の内部に備えられた空間であり、第1流路62とノズル61との間の溶融材料の流路である。第2流路64は、回転体63によって回転され、第1流路62と接続される位置と、第1流路62と接続されない位置とに制御される。図1において、第2流路64は、第1流路62と接続される位置(すなわち、第1流路62と連通可能な位置)に配されている。溶融部30において溶融された溶融材料は、連通孔56から第1流路62へと流通し、第2流路64を通じてノズル61から造形ステージ部200の造形台220に向かって送出される。第1実施形態において、第1流路62および第2流路64内における溶融材料の流通方向に垂直な断面の形状は、直径Wdの円形であり、その形状は互いに一致する。すなわち、本実施形態において、第2流路64における流路の内径の形状と、第1流路62における流路の内径の形状とが、互いに一致する。
溶融材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル61から送出される。例えば、ABS樹脂は、ガラス転移点が約120℃であり、ノズル61からの送出時には約200℃となる。このように高温の状態で溶融材料を送出するために、ノズル61の周囲にはヒーターが設けられてもよい。
流量調節機構70は、第2流路64に設けられており、第2流路64を流通する溶融材料の流量を制御する。流量調節機構70は、バタフライバルブ72と、バルブ駆動部74と、バルブ駆動軸76(図1において図示しない)と、を備える。バルブ駆動部74は、制御部300の制御下において駆動する。流量調節機構70による第2流路64の流量を調節する機構については、後述する。
造形ステージ部200は、3軸方向に移動する機構を備える三次元造形物を造形するための台である。造形ステージ部200は、溶融材料供給装置60のノズル61と対向する位置に備えられる。造形ステージ部200は、テーブル210と、テーブル210上に載置された造形台220と、造形台220を変位させる移動機構230と、を備える。移動機構230は、図1において「M」で示される3つのモーターを備える。移動機構230は、この3つのモーターの駆動力によって、造形台220をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。造形ステージ部200は、制御部300の制御下において、ノズル61と造形台220との相対的な位置関係を変更する。
制御部300は、例えば、CPUなどのプロセッサーと、メインメモリーと、不揮発性メモリーとを含むコンピューターによって実現可能である。制御部300内の不揮発性メモリーには、三次元造形装置100を制御するためのコンピュータープログラムが格納されている。制御部300は、送出ユニット110を駆動して、造形データに応じた造形台220上の座標の位置に溶融材料を送出することによって、三次元造形物を造形する造形処理を実行する。
図2は、フラットスクリュー40の下面48側の構成を示す概略斜視図である。図2には、溶融部30において回転するときのフラットスクリュー40の回転軸RXの位置が一点鎖線で図示されている。上述したように、対面部50(図1)に対向するフラットスクリュー40の下面48には、溝部42が設けられている。以下、下面48を、「溝形成面48」とも呼ぶ。
フラットスクリュー40の溝形成面48の中央部46は、溝部42の一端が接続されている凹部として構成されている。中央部46は、対面部50の連通孔56(図1)に対向する。第1実施形態では、中央部46は、回転軸RXと交差する。
フラットスクリュー40の溝部42は、中央部46から、フラットスクリュー40の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。溝部42は、螺旋状に延びるように構成されているとしてもよい。なお、図2には、3つの溝部42の側壁部を構成し、各溝部42に沿って延びている3つの凸条部43を有するフラットスクリュー40の例が図示されている。フラットスクリュー40に設けられる溝部42や凸条部43の数は、3つには限定されない。フラットスクリュー40には、1つの溝部42のみが設けられていてもよいし、2以上の複数の溝部42が設けられていてもよい。また、溝部42の数に合わせて任意の数の凸条部43が設けられてもよい。
溝部42は、フラットスクリュー40の側面に形成された材料流入口44まで連続している。この材料流入口44は、材料供給部20の連通路22を介して供給された材料を受け入れる部分である。なお、図2には、材料流入口44が3箇所に形成されているフラットスクリュー40の例が図示されている。フラットスクリュー40に設けられる材料流入口44の数は、3箇所に限定されない。フラットスクリュー40には、材料流入口44が1箇所にのみ設けられていてもよいし、2箇所以上の複数の箇所に設けられていてもよい。
フラットスクリュー40が回転すると、材料流入口44から供給された材料が、溝部42内において対面部50のヒーター58による加熱によって加熱されながら溶融し、溶融材料に転化される。溶融材料は、溝部42を通じて中央部46へと流動する。
図3は、対面部50の上面52側を示す概略平面図である。対面部50の上面52は、上述したように、フラットスクリュー40の溝形成面48に対向する。以下、この上面52を、「スクリュー対向面52」とも呼ぶ。スクリュー対向面52の中心には、溶融材料を第1流路62に供給するための連通孔56が、形成されている。
スクリュー対向面52には、連通孔56に接続され、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。複数の案内溝54は、溶融材料を連通孔56に導く機能を有する。上述したように、対面部50には、材料を加熱するためのヒーター58が埋め込まれている(図1参照)。溶融部30における材料の溶融は、ヒーター58による加熱と、フラットスクリュー40の回転と、によって実現される。以上のように、第1実施形態の三次元造形装置100によれば、フラットスクリュー40を用いることによって、装置の小型化や造形精度の向上が実現されている。
図4は、三次元造形物OBとノズル61との位置関係を示す説明図である。図4には、造形台220上において、三次元造形物OBが造形されていく様子が模式的に示されている。
三次元造形装置100では、ノズル61と、造形中の三次元造形物OBの上面OBtとの間に、ギャップGが保持されている。ここで、「三次元造形物OBの上面OBt」とは、ノズル61の直下の位置の近傍においてノズル61から送出された溶融材料が堆積される予定部位を意味する。
ギャップGの大きさは、ノズル61の孔径Dn(図1参照)以上とすることが望ましく、孔径Dnの1.1倍以上とすることがより好ましい。こうすれば、ノズル61から送出される溶融材料が、製造中の三次元造形物OBの上面OBtに押しつけられない自由な状態で三次元造形物OBの上面OBtに堆積される。この結果、ノズル61から送出された溶融材料の横断面形状が潰れてしまうことを抑制でき、三次元造形物OBの面粗さを低減することが可能である。また、ノズル61の周囲にヒーターが設けられた構成においては、ギャップGを形成することにより、当該ヒーターによる材料の過熱を防止でき、三次元造形物OBに堆積された材料の過熱による変色や劣化が抑制される。
一方、ギャップGの大きさは、孔径Dnの1.5倍以下とすることが好ましく、1.3倍以下とすることが特に好ましい。これによって、溶融材料が配置される予定部位に対する精度の低下や、製造中の三次元造形物OBの上面OBtに対する溶融材料の密着性の低下が抑制される。
図5は、流量調節機構70を備えた溶融材料供給装置60を下面側から見た概略斜視図である。溶融材料供給装置60のY方向における一方の面の外表面から、回転駆動軸57が貫通されている。また、溶融材料供給装置60のY方向における他方の面の外表面から、バルブ駆動軸76が貫通されている。図5には、各部材のほか、バルブ駆動軸76が回転されるときのバルブ駆動軸76の中心軸AXと、回転駆動軸57が回転されるときの回転駆動軸57の中心軸SXと、が破線によって図示されている。
図6は、図5のVI−VI位置における溶融材料供給装置60の断面図である。具体的には、第2流路64における溶融材料の流通方向Fdの中心軸を含む面であって、回転駆動軸57の中心軸SXに垂直な面における断面図である。溶融材料供給装置60は、第1流路62と、回転体63と、を有する。図6には、各部材のほか、第2流路64内を流通する溶融材料の流通方向Fdと、バルブ駆動軸76の中心軸AXと、回転駆動軸57の中心軸SXと、が破線によって図示されている。本実施形態において、回転体63の位置およびバルブ駆動軸76の位置は、回転体63の中心軸SXとバルブ駆動軸76の中心軸AXとが一致するように、構成されている。また、回転体63の中心軸SXと、第2流路64における溶融材料の流通方向Fdとは垂直に交わるように構成されている。
回転体63は、中心軸SXを有する略円柱状の部材である。回転体63は、第2流路64と、ノズル61と、流量調節機構70と、を有する。第2流路64は、回転体63の内部に設けられ、重力方向に沿って直線状に構成される溶融材料の流路である。図6において、第2流路64の上端は第1流路62に接続されている。
回転駆動軸57は、中心軸が第2流路64における溶融材料の流通方向Fdと垂直となるように備えられた軸状部材である。本実施形態において、回転駆動軸57の中心軸と、回転体63の中心軸SXは一致している。以下、「中心軸SX」との表現には、回転体63の中心軸とともに回転駆動軸57の中心軸も含む。回転駆動軸57は、回転エアーシリンダーや電動モーター等によって構成される回転駆動部59によって駆動される。この回転駆動軸57の回転駆動力によって、回転体63が回転される。
流量調節機構70は、バタフライバルブ72と、バルブ駆動部74と、バルブ駆動軸76と、を備える。流量調節機構70は、第2流路64に設けられ、第2流路64を流通する溶融材料の流量を制御する。
バルブ駆動軸76は、中心軸AXが第2流路64における溶融材料の流通方向Fdと垂直となるように備えられた軸状部材である。バルブ駆動軸76は、その先端から予め定められた長さを有する部分を、回転体63の一方の円状の面から挿入されて回転体63の内部に備えられる。このとき、バルブ駆動軸76と第2流路64とが交わる位置と、バタフライバルブ72の位置とが一致するようにして、回転体63の内部に備えられる。
バルブ駆動部74は、回転エアーシリンダーや電動モーター等によって構成され、中心軸AXを中心にバルブ駆動軸76を回転させる機構を有する駆動部である。バルブ駆動部74が発生させるバルブ駆動軸76の回転駆動力によって、バタフライバルブ72が回転される。
バタフライバルブ72は、バルブ駆動軸76の一部が板状に加工された板状部材である。上述したように、バタフライバルブ72の位置は、バルブ駆動軸76と第2流路64とが交わる位置と一致するようにして備えられている。これにより、バタフライバルブ72は、第2流路64の流路の一部を構成し、第2流路64内において回転可能に配される。
バタフライバルブ72は、バルブ駆動軸76が回転されることによって、第2流路64内における溶融材料の流通方向Fdとバタフライバルブ72の面方向とが略垂直となる第1位置と、第2流路64内における溶融材料の流通方向Fdとバタフライバルブ72の面方向とが略平行となる第2位置と、第2流路64内における溶融材料の流通方向Fdとバタフライバルブ72の面方向とが0度より大きく90度より小さい角度のうちいずれかの角度となる第3位置と、のいずれかの位置になるように回転される。図6では、バタフライバルブ72の位置が第1位置である状態が示されている。
このバタフライバルブ72の回転により、第2流路64の流路中に形成される開口の面積が調節される。この「開口の面積」とは、溶融材料の流通方向Fdと略垂直な面に、第2流路64と、バタフライバルブ72を流通方向Fdに沿って投影した場合に、投影された第2流路64の面積から、投影されたバタフライバルブ72の面積を除いた残りの第2流路64の面積を指す。この開口の面積が調節されることによって、第2流路64を流通する溶融材料の流量が調節される。また、この開口の面積がゼロである状態(すなわち、バタフライバルブ72が第2流路64の流路を塞いだ状態)とすることによって、第2流路64を流通する溶融材料の流量がゼロの状態とすることもできる。
すなわち、流量調節機構70は、第2流路64を流通する溶融材料の流通の開始および停止と、溶融材料の流量の調節とを制御することができる。本明細書において、溶融材料の流量がゼロの状態(すなわち、溶融材料の流路が塞がれた状態)には、「溶融材料の送出の停止」との表現が用いられる。特に言及がない限り、「流量の変更」の表現には、溶融材料の流量がゼロの状態への変更は含まれない。
図7は、図5におけるVII−VII位置における溶融材料供給装置60の断面図である。溶融材料供給装置60は、第1流路62と回転体63とを備えている。第1流路62は、連通孔56に連通し、溶融部30から溶融材料が供給される(図1)。
回転体63は、中心軸SXを有する略円柱状の形状を有している。回転体63は、溶融材料供給装置60内で、中心軸SXを中心に、予め定められた角度範囲内で回転可能に構成されている。回転体63の回転は、制御部300が回転駆動部59を駆動して回転駆動軸57を回転させることによって制御される。
回転体63は、ノズル61と、第2流路64と、流量調節機構70と、を有する。ノズル61は、回転体63の先端に設けられた、溶融材料を送出するための送出口である。ノズル61の孔径Dnは、第2流路64における流路の直径よりも小さい。
第2流路64は、第1流路62とノズル61との間の溶融材料の流路である。回転体63は、制御部300の制御によって、回転体63の基準位置に備えられる。本実施形態では、回転体63の基準位置とは、第1流路62と、第2流路64のうちノズル61を備えない他端側とが接続された位置である。すなわち、第2流路64は、回転体63の基準位置において、第1流路62とともに、重力方向に沿って直線状に構成される。ノズル61は、第2流路64の先端に位置することによって、重力方向に沿って下方向を向く。これにより、回転体63が基準位置にある場合、第1流路62と第2流路64とが連通した状態となってノズル61から溶融材料が送出される。この回転体63の基準位置を、「第1回転位置」とも呼ぶ。図6において、回転体63が第1回転位置にある状態が示されている。
本実施形態において、回転体63の一部には、平坦部65が備えられている。平坦部65は、回転体63の外周に形成された面であり、中心軸SXと平行であって流通方向Fdと平行に形成される。また、本実施形態において、溶融材料供給装置60は、ピン66を備える。ピン66は、中心軸SXに沿って延びる板状の部材である。ピン66は、溶融材料供給装置60のうち平坦部65と接触可能な位置に、その板状の面が水平方向と平行となるように備えられる。
平坦部65は、回転体63が第1回転位置にある場合、平坦部65の面のうちノズル61側の下端側に、ピン66が有する面のうち回転体63側の面が接触する。一方、回転体63が第1回転位置から予め定められた角度以上回転した位置にある場合、平坦部65の面のうちノズル61側とは逆の上端側に、ピン66が有する面のうち回転体63側の面が接触する。この平坦部65とピン66との接触により、回転体63の回転できる位置が、第1回転位置から第2回転位置のうち予め定められた位置の範囲内に規制される。なお、ピン66の平坦部65側への突出量を調整することにより、規制される回転体63の回転角度を調整することが可能である。これにより、ノズル61からの溶融材料の送出方向を微調整することが可能である。
図8は、回転体63が第1回転位置から回転された状態を示す溶融材料供給装置60の断面図である。図8には、回転体63が、第1回転位置から予め定められた角度以上回転した位置にある状態が示されている。この位置において、第1流路62と第2流路64とが非連通の状態となる。すなわち、回転体63が、第1回転位置から、第1流路62と第2流路64とが非連通の状態となる角度以上に回転された位置である。この第1流路62と第2流路64とが非連通の状態となる回転体63の位置を、「第2回転位置」とも呼ぶ。
第2回転位置は、第1流路62と第2流路64とが連通せず、第1流路62から第2流路64への溶融材料の供給が停止される状態である。よって、ノズル61からの溶融材料の送出が停止される。制御部300は、回転駆動部59を駆動して回転体63を第2回転位置に回転させることによって、溶融材料の送出を停止させることができる。なお、第1回転位置から第2回転位置までの回転角度は、第2流路64の長さや、第1流路62および第2流路64の流路の直径に応じて決定されるが、例えば、30度以下に設定することが可能である。
図7および図8に示すように、本実施形態では、溶融材料供給装置60は、各部材の他に、更に、切断部67を備えている。切断部67は、回転体63が第1回転位置にある場合におけるノズル61の位置に対して、回転体63が第1回転位置から第2回転位置に回転する際にノズル61が移動する側に配置されている。切断部67と回転体63の位置は、回転体63が第1回転位置から第2回転位置に回転する際に、切断部67がノズル61の開口を相対的に横断するような位置に構成されている。
切断部67は、溶融材料を切断するための刃68を備える。この刃68の刃先は、回転体63が第1回転位置備えられた状態において、ノズル61側を向いている。そのため、ノズル61から送出された溶融材料は、回転体63が第1回転位置から第2回転位置に回転される際に、この刃68の刃先がノズル61の開口を相対的に横断することによって切断される。切断された溶融材料は、三次元造形物OBの上面OBtに堆積する。
これにより、刃68を備えない態様に比べて、ノズル61外に送出した溶融材料の末端の形状を一定の形状に制御することができる。よって、三次元造形物の造形精度を高めることができる。また、ノズル61外に送出した溶融材料と、ノズル61の送出口に残留する溶融材料との間において、溶融した樹脂が糸状に伸びる糸引きの発生を抑制することができる。
また、第2回転位置では、ノズル61は、切断部67のうち回転体63と対向する内面によって閉塞される。制御部300は、溶融材料の送出を再開する場合には、回転駆動部59を駆動して、回転体63を、第2回転位置から第1回転位置に回転させる。こうすることにより、第1流路62と第2流路64とが再び連通状態となり、ノズル61からの溶融材料の送出が再開される。
以上のように、本実施形態の三次元造形装置100によれば、ノズル61を有する回転体63を回転させることにより溶融材料の送出を停止させることができるので、材料の送出を応答よく停止させることができる。また、回転体63を回転させることにより、送出の再開も行うことができるので、送出開始の応答性も高めることができる。従って本実施形態によれば、溶融材料の送出過多や送出遅れが抑制され、三次元造形物OBの造形精度および造形速度を高めることができる。
また、本実施形態では、切断部67によってノズル61から送出された溶融材料を切断することができるので、溶融材料の末端の形状を一定の形状に揃えることができる。そのため、三次元造形物OBの造形精度をより高めることができる。さらに、溶融材料の送出が停止された際には、切断部67によってノズル61が閉塞されるので、第2流路64内に残存した溶融材料がノズル61から漏洩することを抑制できる。従って、三次元造形物OBの造形精度をより一層高めることができる。
図9は、図7における領域Efにおける、バタフライバルブ72が第1位置にある状態の流量調節機構70を示した拡大断面図である。具体的には、第2流路64における溶融材料の流通方向Fdの中心軸を含む面であって、バルブ駆動軸76の中心軸AXに垂直な面における断面図である。図9には、各部材の他に、バルブ駆動軸76の中心軸AXと、バタフライバルブ72の厚みThと、第2流路64内を流通する溶融材料の流通方向Fdと、流通方向Fdと略垂直な向きにおける第2流路64の断面の直径Wdとが模式的に示されている。図9において、バタフライバルブ72は、バルブ駆動部74によりバルブ駆動軸76が中心軸AXに対して回転されることによって、面方向が流通方向Fdと略垂直になる位置(第1位置)に配されている。
第1実施形態において、バタフライバルブ72は、厚みThが第2流路64の直径Wdの3分の1の厚みである略正方形の板状の部材である。バタフライバルブ72の面方向における一辺の長さは、第2流路64の断面の直径Wdと略同一である。すなわち、バタフライバルブ72の面方向が溶融材料の流通方向Fdと略垂直になる位置(第1位置)に配されることによって、第2流路64における溶融材料の流路は、バタフライバルブ72の有する面によって塞がれる。
図10は、図7における領域Efにおける、バタフライバルブ72が第2位置にある状態の流量調節機構70を示した拡大断面図である。具体的には、図10は、第2流路64における溶融材料の流通方向Fdの中心軸を含む面であって、バルブ駆動軸76の中心軸AXに垂直な面における断面図である。図10には、各部材の他に、バルブ駆動軸76の中心軸AXと、バタフライバルブ72の厚みThと、第2流路64内の溶融材料の流通方向Fdと、流通方向Fdと略垂直な向きにおける第2流路64の断面の直径Wdと、バタフライバルブ72の一方の面と第2流路64の内壁とで挟まれた流路のX方向における幅W1と、バタフライバルブ72の他方の面と第2流路64の内壁とで挟まれた流路のX方向における幅W2とが、模式的に示されている。図10において、バタフライバルブ72は、バルブ駆動部74によりバルブ駆動軸76が中心軸AXに対して回転されることによって、面方向が流通方向Fdと略平行になる位置(第2位置)に配されている。
バタフライバルブ72が第2位置に配された状態において、流通方向Fdと略垂直な面に、バタフライバルブ72を流通方向Fdに沿って投影した場合、バタフライバルブ72の面積が最も小さくなる。逆に、第2流路64内において、溶融材料の流路は最も大きい。すなわち、バタフライバルブ72が第2位置にある状態は、流量調節機構70によって、第2流路64内の流量が最大にされた状態である。
図11は、図7における領域Efにおける、バタフライバルブ72が第3位置にある状態の流量調節機構70を示した拡大断面図である。具体的には、第2流路64における溶融材料の流通方向Fdの中心軸を含む面であって、バルブ駆動軸76の中心軸AXに垂直な面における断面図である。図11には、各部材の他に、バルブ駆動軸76の中心軸AXと、バタフライバルブ72の厚みThと、第2流路64内の溶融材料の流通方向Fdと、流通方向Fdと略垂直な向きにおける第2流路64の断面の直径Wdと、バタフライバルブ72の一方の面と第2流路64の内壁とで挟まれた流路のX方向における幅のうち最小となる幅W3と、バタフライバルブ72の他方の面と第2流路64の内壁とで挟まれた流路のX方向における幅のうち最小となる幅W4とが、模式的に示されている。図11において、バタフライバルブ72は、バルブ駆動部74によりバルブ駆動軸76が中心軸AXに対して回転されることによって、第2流路64内における溶融材料の流通する流通方向Fdとバタフライバルブ72の面方向とで形成される角度が、0度より大きく90度より小さい角度のうちいずれかの角度となる位置(第3位置)に配されている。
幅W3および幅W4は、バタフライバルブ72が回転されることによって変動される。第2位置における幅W1および幅W2(図10参照)と、第3位置における幅W3およびW4との関係は、0<W3<W1、0<W4<W2である。バタフライバルブ72が第3位置に配された状態において、流通方向Fdと略垂直な面に、バタフライバルブ72を流通方向Fdに沿って投影した場合、バタフライバルブ72の面積は、第2位置に配される場合の面積よりも大きく、第1位置に配される場合の面積よりも小さい。また、このバタフライバルブ72の面積は、上述した幅W3および幅W4の変動とともに変動する。すなわち、第2流路64内を流通する溶融材料の流通方向Fdとバタフライバルブ72の面方向とで形成される角度が0度より大きく90度より小さい角度となるように調整されることによって、第2流路64内のバタフライバルブ72を備える位置における流路の面積が、第1位置に配される際の面積よりも大きく第2位置に配される際の面積よりも小さい範囲内で調節されることができる。すなわち、流量調節機構70により第2流路64内の流量が調節されることによって、ノズル61から送出される溶融材料の量が制御されることができる。
以上のように、第1実施形態の溶融材料供給装置60によれば、溶融材料が流通される第2流路64に設けられたバタフライバルブ72によって、ノズル61からの溶融材料の送出の開始および停止と、ノズル61から送出される溶融材料の量とが制御できる。従って、ノズル61からの溶融材料の送出の開始タイミング、停止タイミングおよび溶融材料の送出量を、流量調節機構70を備えない態様に比べて、より高い精度で制御することができる。また、本実施形態では、フラットスクリュー40を備える溶融部30によって材料を溶融させるため、装置全体の大きさを小さくすることができる。
図12は、制御部300が実行する造形処理のフローの一例を示す説明図である。ステップS10は、ノズル61から溶融材料を送出させる送出工程である。ステップS10では、制御部300は、溶融部30の駆動モーター32を駆動して、フラットスクリュー40を回転させ、ノズル61から造形台220に向かって溶融材料を連続的に送出させる送出処理を実行する。このとき、制御部300は、送出処理を開始する際の溶融材料の流量の設定値(すなわち、送出開始時における初期設定値)を読み込んで、流量調節機構70を駆動し、バタフライバルブ72を第2位置もしくは第3位置のうち予め定められた位置に移動する処理を実行したうえで送出処理を実行する。また、制御部300は、回転駆動部59を駆動し、回転体63を第1回転位置に移動する処理を実行する。
制御部300は、送出処理を実行している間、造形ステージ部200の移動機構230を制御して、造形データに応じて造形台220をX,Y,Z方向の3軸方向に変位させる。これによって、造形台220上の目標位置に、溶融材料が堆積されていく。
本実施形態において、制御部300は、三次元造形物の造形データが平面状に展開された場合における1画素に相当する単位ごとに、この送出処理を行う。また、同様に、この1画素に相当する単位ごとに、ステップS20からS42の処理を実行するか否かについての判断も実行する。なお、制御部300は、ステップS10による吐出処理を実行している最中に、造形データに基づいて、次に処理すべき1画素に相当する単位におけるステップS10からS42の処理の判断をあらかじめ実行していてもよい。
ステップS20において、制御部300は、溶融材料の流量を変更する必要があるか否かを判定する。溶融材料の流量を変更する必要がある場合(S20:YES)、制御部300は、流量調節機構70を制御して、バタフライバルブ72を第2位置もしくは第3位置のうち予め定められた位置に移動する処理を実行する(ステップS21)。これにより、第2流路64内の溶融材料の流量が変更される。
制御部300は、例えば、造形物の複雑な部分や細部を造形するために、造形台220を移動する速度を低減させたうえで三次元造形物を造形する場合において、ノズル61からの溶融材料の送出量を低減させる判定を行う。制御部300は、造形物の単純な構造の部分を造形させるために設定されていたバタフライバルブ72の第2位置から、バタフライバルブ72を第3位置のうち予め定められた位置に移動させて溶融材料の流量を変更する。あるいは、制御部300は、ユーザーや上位の制御部からの流量変更の割込み指令を受け付けたときに、ノズル61からの溶融材料の流量を変更させる必要があると判定してもよい。
一方、溶融材料の流量を変更する必要がない場合(S20:NO)、制御部300は、溶融材料の送出を停止するタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS30)。制御部300は、例えば、それまで溶融材料を送出していた位置から、所定の距離だけ離れた位置に、溶融材料を分離して堆積させる場合などに、ノズル61からの溶融材料の送出を停止させるタイミングが到来したと判定する。あるいは、制御部300は、ユーザーや上位の制御部からの一時停止の割込み指令を受け付けたときに、ノズル61からの溶融材料の送出を一時的に中断させるタイミングが到来したと判定してもよい。
溶融材料の送出を停止させるタイミングではない場合には、制御部300は、ステップS10の溶融材料の送出処理を継続する(S30:NO)。一方、溶融材料の送出を停止させるタイミングが到来した場合には(S30:YES)、制御部300は、ステップS31〜S40の処理を実行する。
ステップS31〜S40は、ノズル61からの溶融材料の流出を制御する送出停止工程である。この送出停止工程では、制御部300は、流量調節機構70を制御して、バタフライバルブ72を第1位置に移動する。これにより、第2流路64のうちバタフライバルブ72を備える位置を閉塞させて、流量調節機構70よりノズル61側(すなわち下流側)への溶融材料の流通を停止させる(ステップS31)。
制御部300は、ステップS31において、流量調節機構70によって第2流路64を閉塞させた後に、回転駆動部59を駆動して、回転体63を第2回転位置に移動する(ステップS32)。この送出停止工程によれば、バタフライバルブ72によって第2流路64を閉塞した後に、回転体63が第2回転位置に移動する制御を実行することができる。制御部300は、ノズル61からの溶融材料の流出を止めている間に、例えば、ノズル61が次に溶融材料の送出を再開すべき造形台220上の座標に位置するように、造形台220に対するノズル61の位置を変更してもよい。
以上のように、制御部300は、流量調節機構70よりもノズル61側(すなわち第2流路64の下流側)への溶融材料の流通を停止したうえで、回転体63を第2回転位置へ移動させることができる。よって、流量調節機構70によって溶融材料の送出が停止されると、流量調節機構70よりも下流側において、溶融材料が連続的に供給されることによる溶融材料の圧送は停止される。すなわち、流量調節機構70によってノズル61よりも上流側の溶融材料の送出が停止されることによって、流量調節機構70より下流側に残存する溶融材料が流通される速度が低減される。これにより、流量調節機構70を備えない態様に比べて、回転体63は、ノズル61から送出される速度が低減された状態の溶融材料を切断することができる。従って、溶融材料の末端の形状を一定の形状に制御することができ、三次元造形物の造形精度を高めることができる。また、ノズル61外に送出した溶融材料と、ノズル61の送出口に残留する溶融材料との間において、溶融した樹脂が糸状に伸びる糸引きの発生を、より確実に抑制することができる。
制御部300は、ノズル61からの溶融材料の送出を再開するタイミングが到来したときに、ノズル61からの溶融材料の流出を開始させるための制御を行う(ステップS40:YES)。具体的には、制御部300は、回転駆動部59を駆動し、回転体63を第2回転位置から第1回転位置に移動する処理を実行する(ステップS41)。次に、送出処理を再開する際における溶融材料の流量の設定値を読み込んで、流量調節機構70を駆動し、バタフライバルブ72を第2位置もしくは第3位置のうち予め定められた位置に移動する処理を実行して(ステップS42)、ステップS10の溶融材料の送出処理を継続する。一方、制御部300は、ノズル61からの溶融材料の送出を再開しない場合(すなわち、造形処理が完了した場合)には、処理を終了する(ステップS40:NO)。
なお、ステップS31において、バタフライバルブ72によって第2流路64を閉じて、ノズル61からの溶融材料の送出を停止する場合には、制御部300は、フラットスクリュー40の回転を停止させることなく、継続させておくことが望ましい。これによって、ステップS40において、ノズル61からの溶融材料の送出を、より迅速に再開させることができる。
B.第2実施形態:
図13から図15を参照して、第2実施形態の三次元造形装置100bが溶融材料供給装置60bとして備える流量調節機構70bの構成を説明する。第2実施形態の三次元造形装置100bの構成は、第1実施形態の溶融材料供給装置60の代わりに、第2実施形態の溶融材料供給装置60bが設けられている点以外は、第1実施形態の三次元造形装置100の構成と同じである。
図13は、流量調節機構70bのシャッター部72bが第2位置に備えられた状態を示す断面図である。流量調節機構70bは、シャッター部72bと、シャッター駆動部74bと、シャッター駆動軸76bと、を備える。流量調節機構70bは、第2流路64bの一部を構成し、第2流路64bを流通する溶融材料の流量を制御する。
シャッター駆動部74bは、回転体63bが有する空隙内においてシャッター駆動軸76bを中心軸AXに沿って往復移動させる駆動力を発生する。このシャッター駆動軸76bの往復移動によって、シャッター部72bの位置が中心軸AXと平行に往復移動される。シャッター部72bの位置は、第2流路64bの流路を閉じた第1位置と、第2流路64bの流路を最大に開いている第2位置と、シャッター部72bと第2流路64bとが接続された場合において、シャッター部72bと第2流路64bとが接続された部分が流通方向Fdに沿って流通方向Fdに垂直な断面に投影された場合の面積が、第二位置の状態での面積よりも小さい第3位置と、のいずれかの位置に移動される。
シャッター駆動軸76bは、回転体63bの内部に備えられた中心軸AXに沿って延びる軸状部材である。シャッター駆動軸76bのうち回転体63bの内部に備えられる部分の外径は、第2流路64bの内径よりも大きい。シャッター駆動軸76bの一部には、略円柱状の空隙であるシャッター部72bが備えられている。このシャッター部72bの略円柱状の軸方向に垂直な円形の断面の内径と、第2流路64bの内径とが一致する。
シャッター駆動軸76bは、シャッター駆動軸76bと第2流路64bとが交わる位置と、シャッター部72bの位置とが一致する位置に備えられて、第2流路64bと接続される。このとき、シャッター部72bは、シャッター部72bの軸方向と第2流路64bの流通方向Fdとが一致するように接続されることによって、第2流路64bの流路の一部を構成する。これにより、シャッター部72bが第2位置の状態において、シャッター部72bを通じて、溶融材料をノズル61へと流入させることができ、ノズル61から溶融材料を送出させることができる。また、シャッター部72bと第2流路64bとが接続された部分が、流通方向Fdに沿って、流通方向Fdに垂直な断面に投影された形状の面積は、最も大きい。すなわち、シャッター部72bが第2位置に備えられた状態は、第2流路64b内の流量が最大にされた状態である。
なお、この回転体63bの内部におけるシャッター駆動軸76bを備えるための空隙を囲む内壁のうち回転駆動軸57側における内壁には、貫通孔(図示しない)が設けられている。これにより、この内壁とシャッター駆動軸76bとの間の空間における気圧の変動が小さい状態で、シャッター駆動軸76bが往復移動されることができる。
図14は、流量調節機構70bのシャッター部72bが第1位置に備えられた状態を示す断面図である。シャッター駆動部74bは、例えば、ステップS30(図12参照)において、溶融材料の送出を停止するタイミングが到来した場合に、シャッター駆動軸76bを、中心軸AXに沿って、第2流路64bとシャッター部72bとが非連通となる位置に移動される。これにより、第2流路64bからノズル61への溶融材料の流入がシャッター部72bによって遮られ、ノズル61からの溶融材料の流出が止められる。すなわち、シャッター部72bが第1位置に備えられた状態は、第2流路64bの流路を閉じた状態である。
図15は、流量調節機構70bのシャッター部72bが第3位置に備えられた状態を示す断面図である。シャッター駆動部74bは、例えば、ステップS20(図12参照)において、溶融材料の流量を変更する必要がある場合に、シャッター駆動軸76bを、中心軸AXに沿って、第2流路64bの一部とシャッター部72bの一部とが接続する位置に移動させる。具体的には、シャッター駆動部74bは、シャッター駆動軸76bを、シャッター部72bと第2流路64bとが接続された部分が流通方向Fdに沿って流通方向Fdに垂直な断面に投影された場合の面積が、第二位置の状態での面積よりも小さい位置(第3位置)に移動させる。このシャッター部72bと第2流路64bとが接続された部分は、第2流路64bからシャッター部72bへの溶融材料の流路である。
シャッター部72bと第2流路64bとが接続された部分のが流通方向Fdに沿って流通方向Fdに垂直な断面に投影された場合の面積は、第3位置のうち、シャッター部72bが第1位置に備えられた位置に近いほど小さく、第2位置に備えられた位置に近いほど大きくなる。シャッター駆動部74bは、シャッター部72bを第3位置のうち予め定められた位置に移動することによって、シャッター部72bと第2流路64bとが接続された部分(すなわち、溶融材料の流路)の外形を予め定められた外形に制御することができる。すなわち、シャッター駆動部74bは、第3位置においてシャッター部72bを移動させることによって、溶融材料の流量を調節することができる。
以上のように、第2実施形態の溶融材料供給装置60bによれば、シャッター部72bによって第2流路64bが開閉されるため、ノズル61からの溶融材料の送出の開始や停止を、より適切なタイミングで行うことができる。また、シャッター部72bによる第2流路64bの閉塞によって、ノズル61からの溶融材料の送出を停止している間のノズル61からの溶融材料の漏洩が抑制される。さらに、シャッター部72bの開度を調整することによって、ノズル61から送出される溶融材料の量が制御されることができる。また、シャッター部72bによって第2流路64bが遮断されているため、駆動モーター32によるフラットスクリュー40の回転を継続させたままでも、ノズル61からの溶融材料の吐出を停止させることができる。
C.他の形態:
C1.他の形態1:
(1)上記実施形態においては、バタフライバルブ72は、バルブ駆動軸76の一部が板状に加工された略正方形の板状部材である。しかし、バタフライバルブは、例えば円形の板状部材のように、他の形状に加工された部材とすることもできる。すなわち、第1位置に配された際に第2流路の流路を塞ぎ、第2位置もしくは第3位置に配された際に第2流路内における溶融材料の流量が調整できるものであればよい。
(2)上記実施形態においては、バタフライバルブ72は、厚みThが第2流路64の直径Wdの3分の1の厚みである略正方形の板状の部材である。しかし、バタフライバルブの厚みは、これに限定されない。バタフライバルブの厚みは、3分の1未満である態様のほか、3分の1より大きい態様とすることもできる。そのような態様においては、バタフライバルブは、溶融材料の流通による圧力に耐えうる強度で構成され、第1位置に配された際に第2流路64の流路を塞ぎ、第2位置もしくは第3位置に配された際に第2流路64内における溶融材料の流量が調整できる態様とすることができる。
(3)上記実施形態においては、バルブ駆動軸76は、第2流路64における溶融材料の流通方向Fdと垂直となるように備えられている。しかし、駆動軸は、第2流路における溶融材料の流通方向と垂直でない方向を軸方向としていてもよい。そのような態様においては、例えば、バタフライバルブが開口を有する球体状のバルブである等、駆動軸が中心軸AXを中心に回転されて、溶融材料の流通方向に垂直な面に対して流通方向と平行に投影されるバルブの開口形状が変化することによって、第1位置に配された際に第2流路の流路を塞ぎ、第2位置もしくは第3位置に配された際に第2流路内における溶融材料の流量が調整できる態様とすることができる。
(4)上記実施形態では、溶融材料供給装置60は切断部67を備えている。これに対して、溶融材料供給装置60は、切断部67を備えていなくてもよい。そのような態様においては、回転体63が第1回転位置から第2回転位置に回転される際に、ノズル61を閉塞する部材が備えられる態様とすることができる。これにより、第1流路62と第2流路64とが非連通の状態になるため、溶融材料の吐出を応答よく停止させることができる。
(5)上記実施形態では、切断部67は、溶融材料を切断するための刃68を備えている。これに対して、切断部67は、溶融材料を切断するためのワイヤーを備えていてもよい。刃68やワイヤーによって切断を行えば、簡易な構成により溶融材料を切断し、ノズル61外に送出した溶融材料の末端の形状を一定の形状に制御することができる。
(6)上記実施形態では、溶融部30は、フラットスクリュー40を備えており、このフラットスクリュー40を用いて材料の溶融を行う。これに対して、溶融部30は、フラットスクリュー以外の手段によって材料の溶融を行ってもよい。例えば、溶融部30は、シリンダーと、シリンダー内に収容された長尺状のスクリューと、シリンダーの周囲に配置されたヒーターとを備えた一般的な射出装置として構成されていてもよい。
(7)上記実施形態では、回転体63に平坦部65が設けられているが、平坦部65およびピン66は省略してもよい。
C2.他の形態2:
(1)上記実施形態の流量調節機構70bにおいて、シャッター部72bは省略されることもできる。シャッター駆動軸76bは、その端部が第2流路64bを横断するように移動することによって第2流路64bを開閉してもよい。流量調節機構のシャッター部は、重ねて配置された複数の板状部材によって構成されてもよい。当該シャッターは、例えば、第2流路64bの開口面積を変更するように互いに異なる方向に移動することによって、第2流路64bを開閉する構成を有していてもよい。
(2)上記実施形態の流量調節機構70bにおいて、シャッター部72bの位置は、シャッター駆動軸76bの往復移動によって、中心軸AXと平行に往復移動される。しかし、シャッター部の位置は、中心軸AXと平行に往復移動されず、シャッター駆動軸が中心軸AXを中心に回転することによって、回転して移動される態様とすることもできる。また、シャッター部の位置は、中心軸AXと平行な往復移動と、中心軸AXを中心に回転する移動との双方を備える態様とすることもできる。
(3)上記実施形態の流量調節機構70bにおいて、シャッター部72bの軸方向に垂直な円形の断面の内径と、第2流路64bの内径とは一致している。しかし、シャッター部の軸方向に垂直な円形の断面の内径と、第2流路との内径は一致していなくともよい。例えば、シャッター部の内径が第2流路の内径より大きくすることで、第2流路とシャッター部との接続を容易にすることができる。また、例えば、シャッター部の軸方向に垂直な断面の形状が略正方形で、第2流路の断面の形状が円形のように、互いの形状が一致していなくともよい。
(4)上記実施形態の流量調節機構70bにおいて、シャッター駆動軸76bには一つのシャッター部72bが備えられている。しかし、シャッター駆動軸には複数のシャッター部が備えられる態様とすることもできる。例えば、内径の異なる複数のシャッター部のうち予め定められた内径のシャッター部と第2流路とが接続されることによって溶融材料の流量を制御することができる。