JP2019080087A - イヤピースおよび音響信号再生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者への負担を軽減する。【解決手段】イヤピース14は、耳に装着して使用されるイヤホン10等の音響信号再生装置に用いられるものである。イヤピース14は、気泡が互いに連通する連続気泡構造の多孔体によって、本体20が構成されている。多孔体としては、シリコーン多孔体が用いられる。そして、イヤピース14の本体20は、通気性および弾力性を有している。イヤピース14は、例えば、音響信号再生装置の音導管18に装着される。【選択図】図3

Description

この発明は、音響信号再生装置において耳に接触する部分を構成するイヤピースおよび該イヤピースを用いた音響信号再生装置に関するものである。
イヤホンとしては、イヤピースを使用者の外耳孔に挿入して使用する、密閉型あるいはカナル型と呼ばれるものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなイヤホンは、振動板を有するドライバユニットが収納されたハウジングと、ハウジングから突出する円筒形の音導管と、音導管に取り付けられたイヤピースとから基本的に構成されている。イヤピースは、音導管に合わせて筒状に形成された内環部と、内環部の一端から傘状に広がる外環部とを備え、外環部が、内環部の一端から外方へ広がりつつ該内環部の他端に向けて湾曲して内環部を囲う形状で形成されている。イヤピースは、外環部と内環部との間にあいた空間によって、外環部の内環部に向けた変形を許容する構成とすることで、外耳孔に装着した際に、外耳孔に合わせて外環部の形状が変わるようになっている。このように、イヤピースは、装着した際に使用者の外耳孔に合致した形状に変形できる弾力性が求められ、例えば、シリコンからなるソリッド状のゴムや、ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂などのソリッド状のエラストマーが用いられている。
特許第5360316号公報
ソリッドの弾性体からなるイヤピースは、変形し易くするため、外環部が薄く形成されている。このため、外耳孔に挿入した際に、硬質なプラスチックで形成された音導管の硬さが使用者に負担を与え、痛みや不快感の原因になっている。
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、使用者への負担が少ないイヤピースおよびこれを用いた音響信号再生装置を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明のイヤピースは、
耳に装着して使用される音響信号再生装置に用いられるイヤピースであって、
気泡が互いに連通する連続気泡構造のシリコーン多孔体によって、本体が構成され、
前記本体は、通気性および弾力性を有していることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、本体を連続気泡構造のシリコーン多孔体で構成しているので、本体が通気性を有すると共に、気泡同士が互いに連通していない独立気泡構造の多孔体や発泡体またはソリッド状のエラストマーと比べて、柔らかく、圧縮応力を小さくすることができる。しかも、連続気泡構造のシリコーン多孔体からなる本体は、圧縮変形させても応力の上昇が比較的小さいので、使用者に与える負担を軽減することができる。また、シリコーン多孔体からなる本体は、加水分解し難いので、洗浄することが可能である。
請求項2に係る発明では、前記本体は、その外面において耳と接触することになる装着面に、前記シリコーン多孔体の気泡に由来する凹凸が露出していることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、本体において耳と接触することになる装着面に気泡に由来する凹凸が露出しているので、装着面を滑り難して、イヤピースが耳から外れ難くすることができる。また、装着面から通気するので、イヤピースの装着時に蒸れ難くすることができ、使用者に与える負担を軽減することができる。
請求項3に係る発明では、前記本体は、耳の外耳孔に挿入して使用され、
前記本体は、その外面において前記外耳孔の内側に臨む先端面に前記シリコーン多孔体の気泡に由来する凹凸が露出し、該先端面から該外耳孔の挿入方向へ該本体を介して通気可能に構成されていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、本体が外耳孔の内側に臨む先端面から外耳孔への挿入方向に通気可能に構成されているので、外部の音をある程度聞こえるようにすることができる。また、イヤピースの装着時に蒸れ難くすることができ、使用者に与える負担を軽減することができる。
請求項4に係る発明では、前記本体には、前記音響信号再生装置のハウジングから延出する音導管が挿入される取付孔が、該本体を貫通して形成されると共に、耳の外耳孔に対して該取付孔の貫通方向へ挿入して使用され、
前記本体は、前記取付孔に挿入された前記音導管の先端よりも該取付孔の貫通方向へ先端が出っ張る大きさであると共に、該取付孔を画成する内壁面のうち、該音導管が該取付孔に挿入された際に露出する先端内壁面に、前記シリコーン多孔体の気泡に由来する凹凸が露出し、該先端内壁面から前記貫通方向へ該本体を介して通気可能に構成されていることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、外耳孔の内側に臨む取付孔の先端内壁面から、外耳孔への挿入方向となる取付孔の貫通方向に、本体が通気可能に構成されているので、外部の音をある程度聞こえるようにすることができる。また、イヤピースの装着時に蒸れ難くすることができ、使用者に与える負担を軽減することができる。
請求項5に係る発明では、前記本体は、該本体を貫通して形成された取付孔を備え、
前記本体は、その外面のうち前記取付孔を囲む装着面から該取付孔を画成する内壁面にかけて、前記シリコーン多孔体が連続して存在するように形成されていることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、気泡が互いに連通する連続気泡構造のシリコーン多孔体特有の柔らかさおよび低い圧縮応力により、使用者に与える負担を軽減することができる。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項6に係る発明の音響信号再生装置は、
請求項1〜5の何れか一項に記載のイヤピースが、該イヤピースに貫通して形成された取付孔に、ハウジングから延出する音導管を挿入して取り付けられていることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、気泡が互いに連通する連続気泡構造のシリコーン多孔体で本体が構成されたイヤピースによって、使用者に与える負担を軽減することができる。
本発明に係るイヤピースによれば、使用者に与える負担を軽減することができる。
本発明に係る音響信号再生装置によれば、シリコーン多孔体で本体が構成されたイヤピースによって、使用者に与える負担を軽減することができる。
本発明の好適な実施例に係るイヤホンを示す側面図である。 実施例のイヤホンを示す正面図である。 図1のA−A線でイヤピースを切断して示す断面図である。 図1のB−B線で切断して示す断面図である。 実施例のイヤホンを分解して示す説明図である。なお、イヤピースは、切断した状態で示している。 実施例のイヤホンを耳に装着した状況を示す説明図である。 実施例の試験片の表面を、倍率100倍で撮影した電子顕微鏡写真である。 実施例の試験片の断面を、倍率100倍で撮影した電子顕微鏡写真である。 比較例3の試験片の表面を、倍率50倍で撮影した光学顕微鏡写真である。 比較例3の試験片の断面を、倍率30倍で撮影した光学顕微鏡写真である。 変更例のイヤホンを分解して示す説明図である。なお、イヤピースは、切断した状態で示している。
次に、本発明に係るイヤピースおよび該イヤピースを用いた音響信号再生装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明では、音響信号再生装置として、耳(外耳孔)に差し込んで装着する、インナー型、耳栓型、密閉型あるいはカナル型などと呼ばれるイヤホンを例示している。
図1〜図5に示すように、実施例に係るイヤホン10は、装置本体12と、この装置本体12に着脱可能に取り付けられたイヤピース14とを備えている。装置本体12は、振動板を有するドライバユニットが収納されたハウジング16と、ハウジング16から延出する円筒状の音導管18とから基本的に構成され、ABSなどの硬質な樹脂材料で形成されている。なお、実施例の音導管18は、ハウジング16において台状に形成された台状部16aの中央部から突出している。イヤホン10は、ミュージックプレイヤーなどの音響信号出力装置から供給される音響信号に基づいて振動板が振動することで、音が音導管18を介して外部に出力されるようになっている。
図2〜図5に示すように、イヤピース14は、本体20の中央部に貫通するように形成された取付孔22を備えている。また、イヤピース14には、取付孔22の貫通方向に凹む取付凹部20aが、ハウジング16の台状部16aの外形に合わせて本体20に形成されている。イヤピース14は、取付孔22に音導管18を挿入すると共に、取付凹部20aに台状部16aを嵌め合わせて、装置本体12に取り付けられる。イヤピース14は、装置本体12へ装着した際に、台状部16aにおいて外側から内側に向けて音導管18の突出方向に傾く支持面が取付凹部20aの底に当たることで取付孔22の貫通方向の位置が規定される。このとき、取付凹部20aを画成する周壁が台状部16aの周面を囲むようになっている。
図6に示すように、イヤピース14は、取付孔22の貫通方向(音導管18の突出方向)へ使用者の外耳孔Yに挿入して使用され、このとき、イヤピース14の根元側の一部およびハウジング16におけるイヤピース14から露出する部分が外耳孔Yの外側に配置される。なお、以下の説明では、取付孔22の貫通方向において、イヤピース14における外耳孔Yへの挿入端となる側を先端といい、ハウジング16側を根元と指称する。また、イヤピース14において、取付孔22の貫通方向の寸法を便宜的に高さといい、該貫通方向と直交する方向を径方向といい、イヤピース14の径方向の寸法を外径という。
図1および図3に示すように、イヤピース14は、本体20が根元と比べて先端が先細りになる所謂砲弾型であり、実施例では、取付孔22の中心を該取付孔22の貫通方向に通る仮想線を挟んで対称な形状で形成されている。イヤピース14は、その高さが音導管18のハウジング16からの突出寸法よりも大きく形成されており、本体20の先端が音導管18の先端よりも出っ張っている。イヤピース14は、取付孔22の内径が外耳孔Yよりも小さく、本体22の先端の外径が外耳孔Yよりも大きく形成されて、先端側よりも根元側の外径が大きくなっている。イヤピース14は、例えば、本体20の先端から音導管18の先端に対応する位置までの外径の変化よりも、音導管18の先端に対応する位置から音導管18の根元に対応する位置までの外径の変化が小さく設定されている。実施例のイヤピース14は、本体20の外面のうち使用時に耳と接触することになる部位を含む装着面24が先端から根元側に向かうにつれて外径が大きくなるように円弧状に変化している。そして、本体20は、取付孔22の貫通方向の途中から根元側に向けた範囲で外径が一定になっており、先端から根元にかけて外径が一定の割合で変化するテーパ形状とはなっていない。例えば、イヤピース14は、本体20の根元から70%の高さ位置において、外径が最大外径の10%〜30%程度小さくなる変化に抑えて、先端までの残りの30%の高さにおいて、外径を最大外径の60%〜90%程度まで小さくなるように変化させて、先端の外径を最大外径の10%〜40%程度にするようにしてもよい。
イヤピース14は、互いに気泡が三次元的に連通する連続気泡構造の多孔体によって、本体20が構成され、多孔体の中でもシリコーン多孔体が用いられている。本体20は、多孔体特有の弾力性を有すると共に、多孔体の連続気泡構造に由来する通気性を有している。シリコーン多孔体としては、架橋型を用いることが好ましく、架橋型の中でも例えばSi−H基とビニル基とが反応した付加架橋型のものが更に好ましい。また、多孔体としては、主材料であるシリコーン原料中に予め気泡形成材料を混入・分散した後に、該気泡形成材料を水等の溶媒に溶出させることで取り除いて気泡(空腔)を形成する抽出法によって得られるものを用いるとよい。
本体20をなす多孔体は、JIS K7112に基づく密度が0.1g/cm〜0.6g/cmの範囲にあることが好ましく、密度が前記範囲にある多孔体を用いると、イヤピース14を軽量化できるメリットがある。多孔体は、気泡径が10μm〜400μmの範囲であることが好ましく、気泡径が前記範囲にある多孔体を用いると、気泡にゴミなどが入り難くすることができる。なお、抽出法による多孔体は、気泡形成材料の粒径によって気泡径が決定される。多孔体は、アスカーF硬度が10〜95の範囲にあることが好ましく、アスカーF硬度が前記範囲にある多孔体を用いると、適度な弾力性によって、外耳孔Yから抜け難くすることができると共に、使用者への負担を軽減することができる。
図3〜図5に示すように、実施例のイヤピース14は、取付孔22の一部に前記多孔体よりも硬い補強部28が設けられており、補強部28とこの補強部28の外側を囲む本体20との複層構造になっている。補強部28は、音導管18の外径と内径が同じまたは該音導管18の外径よりも内径が小さい筒状に形成されている。なお、実施例の補強部28の内面は、取付孔22の貫通方向に沿う方向へ直線的に延在するように形成されている。補強部28は、取付孔22において本体20の根元側の開口から該本体20の先端側へ向けて、音導管18に対応する範囲に亘って設けられている。補強部28は、オレフィン系やポリウレタンエラストマー(TPU)などの熱可塑性エラストマー、またはシリコーンなどのソリッド、あるいは本体20をなす多孔体よりも密度が大きい発泡体など、弾力性を有するものを用いることができる。なお、補強部28を有するイヤピース14は、筒状に成形した補強部28を本体20の内側に挿入する後付けや、補強部28を筒状に成形した後に多孔体(本体20)を成形する二色成形や、別途成形した補強部28を型内に挿入した状態で多孔体(本体20)を成形するインサート成形など、種々の方法で得ることができる。
図3に示すように、本体20は、取付孔22に挿入された音導管18の先端よりも該本体20の先端が出っ張る大きさであるので、取付孔22を画成する内壁面のうちの先端側(以下、先端内壁面23という)が、音導管18を取付孔22に挿入しても露出する。そして、先端内壁面23には、補強部28を設けていない。換言すると、イヤピース14は、取付孔22を画成する本体20の内壁面のうち、先端側の開口から根元側に向かう一部範囲である先端内壁面23を、補強部28ではなく、多孔体で構成している。
図3および図6に示すように、イヤピース14は、取付孔22に挿入された音導管18を囲うように、多孔体からなる本体20が配置されると共に、補強部28に嵌め込まれた音導管18の先端よりも外耳孔Yの挿入方向前側にも本体20が配置されている。本体20は、その外面のうち取付孔22を囲む装着面24から該取付孔22を画成する内壁面にかけて、多孔体が連続して存在するように形成されている。すなわち、本体20は、装着面24と取付孔22に差し込んだ音導管18との間にあけた空間部分により装着面24の変形が許容されるものではなく、本体20自体を圧縮して変形させる構成である。
本体20は、その外面において耳と接触することになる部位を含む装着面24に、多孔体の気泡に由来する凹凸が露出している。また、本体20は、その外面において外耳孔Yの内側に臨む先端面26に、多孔体の気泡に由来する凹凸が露出しており、先端面26から外耳孔Yの挿入方向へ該本体20を介して通気可能に構成されている。本体20は、先端面26と装着面24との間で通気可能である。本体20は、取付孔22を画成する内壁面のうち、少なくとも、音導管18が取付孔22に挿入されても露出する先端側の先端内壁面23に、多孔体の気泡に由来する凹凸が露出しており、先端内壁面23から外耳孔Yの挿入方向へ該本体20を介して通気可能に構成されている。本体20は、先端内壁面23と装着面24との間で通気可能である。実施例の本体20は、外面における装着面24および先端面26に加えて、取付孔22を画成する内壁面のうち補強部28が存在しない先端内壁面23を含めた面に、多孔体に由来する凹凸が露出している。このように、本体20は、スキン層を表面に有していないので、取付孔22の貫通方向(外耳孔への挿入方向)および径方向などの何れの方向にも通気可能になっている。
前述したイヤピース14の本体20をなす多孔体は、例えば、特開2017−61592号公報に記載の方法に準拠して製造することができる。まず、主原料であるシリコーン原料に水溶性の気泡形成材料を投入し、100℃以下の温度で混練することで、該気泡形成材料が該シリコーン原料に均一に分散したシリコーン混合物を得る。なお、この段階では、シリコーン混合物は未架橋状態である。シリコーン原料としては、縮合反応架橋型や付加反応架橋型の原料を用いることができ、この中でも、架橋する際に副生成物を放出しない付加反応架橋型のシリコーン原料を採用することが好ましい。気泡形成材料としては、溶媒である水に可溶であるものであれば、NaCl(塩)、KCl、CaCl、NHCl、NaNO、NaNO等の水溶性無機物や、RO(CHCHO)の一般式で例示される水溶性有機物などが挙げられる。なお、Rは炭化水素基であり、Rは水素または炭化水素基を示し、RおよびRは、飽和または不飽和の何れであってもよい。シリコーン混合物を、イヤピース14の本体20に合わせたキャビティを有する型に注入し、本体20に合わせてシリコーン混合物を成形し、本体20の形状で成形された成形体を架橋する。次いで、成形体を水または所定温度の温水などの溶媒に浸漬して、気泡形成材料を溶媒に溶出させて、気泡形成材料を成形体から抽出除去することで、3次元の連続気泡構造を有するシリコーン多孔体からなる本体20が得られる。そして、例えば、別途成形した補強部28を、本体20の内側に挿入することで、イヤピース14を得ることができる。
イヤピース14によれば、本体20を連続気泡構造のシリコーン多孔体で構成しているので、三次元の何れかの方向に連通している気泡同士の繋がりにより、本体20が通気性を有している。イヤピース14は、気泡同士が互いに連通していない独立気泡構造の多孔体や発泡体と比べて、本体20が柔らかく、本体20の圧縮応力を小さくすることができる。しかも、シリコーン多孔体からなる本体20は、圧縮変形させても応力の上昇が、独立気泡構造の多孔体や発泡体と比べて小さいので、圧縮変形した本体20の反発による負荷を軽減することができ、不快感や耳が痛くなるなどの使用者に与える負担を軽減することができる。また、シリコーン多孔体からなる本体20は、加水分解し難いので、洗浄することが可能であり、イヤピース14を清潔に保つことができる。
イヤピース14は、本体20において耳と接触することになる装着面24に多孔体の気泡に由来する凹凸が露出しているので、装着面24を滑り難くして、イヤピース14が耳から外れ難くすることができる。このように、イヤピース14は、外耳孔Yから抜け出し難いので、外れないようにするためにイヤピース14を外耳孔Yの奥まで押し込もうとすることを抑えることができ、使用者の負担増加を回避できる。また、イヤピース14は、装着面24に通気を阻むスキン層を備えていないので、装着面24から通気して、イヤピース14の装着時に蒸れ難くすることができ、使用者に与える負担を軽減することができる。
イヤピース14は、外耳孔Yの内側に臨む先端面26に多孔体の気泡に由来する凹凸が露出し、該先端面26から外耳孔Yの挿入方向へ通気可能に構成されているので、本体20で外耳孔Yを密閉することを防いで、外部の音をある程度聞こえるようにすることができる。また、イヤピース14は、外耳孔Yの内側に臨む取付孔22の先端内壁面23に多孔体の気泡に由来する凹凸が露出し、該先端内壁面23から外耳孔Yの挿入方向へ通気可能に構成されているので、本体20で外耳孔Yを密閉することを防いで、外部の音をある程度聞こえるようにすることができる。従って、イヤホン10を装着した際に、外部の音を完全に遮断しないことで、安全性を増すことができる。また、イヤピース14の装着時に蒸れ難くすることができ、使用者に与える負担を軽減することができる。
イヤピース14は、装着面24から取付孔22を画成する内壁面に至るまでの全領域にかけて、多孔体が連続して存在するように形成されており、装着面24と取付孔22に差し込んだ音導管18との間にあけた空間部分により装着面24の変形が許容されるものではない。すなわち、イヤピース14は、多孔体からなる本体20自体を圧縮して変形させる構成であるので、連続気泡構造のシリコーン多孔体特有の柔らかさおよび低い圧縮応力により、使用者に与える負担を軽減することができる。換言すると、柔らかさおよび低い圧縮応力を有するシリコーン多孔体で本体20を構成しているので、装着面24の変形を許容するために空間部分を設けなくてもよいともいえる。
イヤホン10は、気泡が互いに連通する連続気泡構造のシリコーン多孔体で本体20が構成されたイヤピース14を用いているので、使用者に与える負担を軽減することができる。
(試験)
前述した実施例のイヤピースの本体に準じた試験片を作成し、実施例の試験片について、圧縮応力、アスカーF硬度、耐加水分解性、通気性、洗濯性および通音性(外部の音の聞こえ易さ)のそれぞれの試験を行った。また、比較例1〜3の試験片を用意し、実施例と同様に試験を行った。
実施例の試験片は、以下のように抽出法により作成した。二液付加反応型の液状シリコーン(Momentive社製、TSE3453T)を10vol%と、水溶性無機物(日本精塩(株)製、やき塩)を70vol%と、水溶性有機物(東邦化学工業(株)製、ペグノールL−4)を20vol%との総量5Lを、プラネタリーミキサー((株)愛工舎製作所)により回転数100rpmで20分間撹拌し、未架橋状態のシリコーン混合物を得た。なお、水溶性有機物の構造は、RO(CHCHO)で、R=炭素数12個の直鎖アルキル基、R=H(水素原子)、n=7である。得られたシリコーン混合物は、全ての材料が均一に混練された状態であった。なお、撹拌の際にプラネタリーミキサーの釜温度は40℃に温調されていた。シリコーン混合物を型において射出成形して、シー卜状の成形体を得た。次いで、得られたシート状の成形体を130℃に温度設定した乾燥炉に10分挿入し、成形体を架橋させた。架橋した成形体を40℃に温調した温水に24時間浸漬し、水溶性無機物と水溶性有機物とを抽出した。その後、乾燥機(50℃)で乾燥させることで、シリコーン多孔体からなる実施例の試験片が得られた。なお、実施例の試験片は、気泡が連通する連続気泡構造(連通)であって、厚みが5mmである。
比較例1の試験片は、モールド成形で得られたポリウレタン発泡体((株)イノアックコーポレーション製、商品名:MF−80A)であり、気泡が互いに連通する連続気泡構造(連通)である。比較例1の試験片は、厚みが10mmである。
比較例2の試験片は、モールド成形で得られたシリコーンゴムシート((株)イノアックコーポレーション製、商品名:クスパTK−20)であり、気泡を有していないソリッドである。比較例2の試験片は、厚みが5mmである。
比較例3の試験片は、モールド成形で得られたシリコーン発泡体((株)イノアックコーポレーション製、商品名:ゴムスポTT−4103)であり、気泡が互いに連通していない独立気泡構造(独泡)である。比較例3の試験片は、厚みが10mmであり、表面にスキン層が形成されている。
表1の試験項目は、以下のように評価している。また、表1に試験結果を示す。
・スキン層の有無
実施例および比較例のそれぞれについて、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM-IT100LA)または光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名:VHX-5000)にて表面および断面を観察し、スキン層の有無を目視で確認した。スキン層がない場合は、「無」とし、スキン層がある場合は、「有」とする。
・セル構造
実施例および比較例のそれぞれについて、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM-IT100LA)または光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名:VHX-5000)にて表面および断面を観察し、気泡の状態を目視で確認した。気泡が互いに連通している連続気泡構造を「連通」とし、気泡がないソリッド状態を「ソリッド」とし、気泡が互いに独立して連通していない独立気泡構造を「独泡」とする。
・圧縮応力
実施例および比較例のそれぞれについて、JIS K7181に準拠して、元の厚みから10%圧縮したとき(10%圧縮応力)と、元の厚みから50%圧縮したとき(50%圧縮応力)とを測定した。
・アスカーF硬度
実施例および比較例のそれぞれについて、縦100mm×横100mmのシートを重ねて厚み30mmとなるように試験片を準備し、アスカータイプF硬度計を試験片にゆっくり乗せて、30秒後の値を読み取った。
・通気性
実施例および比較例のそれぞれについて、JIS K6400−7 B法に準拠して、通気性を測定した。
・耐加水分解性
実施例および比較例のそれぞれについて、JIS K6401に準拠して引張試験を行った。また、実施例および比較例のそれぞれについて、温度70℃、湿度95%の湿熱老化条件に、500時間さらし、その後、JIS K6401に準拠して引張試験を行った。そして、湿熱老化前後の引張強度から、保持率を算出した。保持率が小さくなると、加水分解により脆くなっているといえる。
・洗濯性
洗濯性は、実施例および比較例のそれぞれについて、耐加水分解性に基づいて評価したものであって、耐加水分解性(保持率)が95%以上を「○」と評価し、95%未満を「×」と評価する。
・表面滑り性
表面滑り性は、実施例および比較例のそれぞれについて、実際に指で表面を擦るように触り、5往復させて評価した。指の往復運動により抵抗がなく滑らかに滑りやすいものを「滑りやすい」とし、指の往復運動の際、指に若干抵抗が加わるものを「滑りにくい」と評価している。表面にスキン層が形成されているものは、表面にスキン層がなく気泡に由来する凹凸が形成されているものに比べると滑りやすい結果となった。
・外の音の聞こえやすさ
外の音の聞こえやすさは、実施例および比較例のそれぞれについて、通気性に基づいて評価したものであって、通気性があるものを「聞こえやすい」とし、通気性のないものを「聞こえにくい」とする。
図7および図8に示すように、連続気泡構造のシリコーン多孔体からなる実施例の試験片は、表面にスキン層を有しておらず、表面に気泡が露出していることが判る。また、実施例の試験片は、断面を撮影した図8から判るように、三次元の何れかの方向に気泡同士が連続して繋がっており、繋がった気泡によって図中上下左右に亘って連通していることが判る。これに対して、図9および図10に示すように、独立気泡構造のシリコーン発泡体からなる比較例3の試験片は、表面がスキン層により比較的平滑になっており、表面に気泡が露出していないことが判る。また、比較例3の試験片は、断面を撮影した図10から判るように、気泡同士が独立して繋がっておらず、図中上下左右に連通していないことが判る。
表1に示すように、連続気泡構造のシリコーン多孔体からなる実施例は、比較例1〜3と比べてF硬度が69と小さく、F硬度を指標とする硬さについて柔らかいことが判る。また、実施例は、比較例2および3と比べて、6.3kPaと低い。表1に示すように、連続気泡構造のシリコーン多孔体からなる実施例は、ソリッドのシリコーンゴムからなる比較例2や独立気泡構造のシリコーン発泡体からなる比較例3と比べて、低圧縮における応力(10%圧縮応力)が、6.3kPaと低く、柔らかいことが判る。従って、実施例は、使用者の耳にソフトにあたる。また、実施例は、50%圧縮応力が50kPa以下に抑えられているのに対して、比較例2および3は、50%圧縮応力が120kPa以上となる。すなわち、実施例は、外耳孔に圧縮変形させて装着しても、使用者に与える負担が、比較例2および3と比べてとても小さいことが判る。更に、50%圧縮応力と10%圧縮応力との差が、実施例では43kPaであるのに対し、比較例2では2950kPa、比較例3では98.1kPaと大きくなり過ぎる。このように、実施例は、圧縮変形させても応力の上昇(50%圧縮応力と10%圧縮応力の差)が、独立気泡構造の多孔体や発泡体と比べて小さいので、圧縮変形した本体の反発による負荷を軽減することができ、不快感や耳が痛くなるなどの使用者に与える負担を軽減することができる。なお、比較例1は、10%圧縮応力と50%圧縮応力との差が小さく、圧縮変形させても復元力が小さいことから、装着した際に外耳孔から外れ易く不都合がある。
表1に示すように、スキン層を有しておらず、連続気泡構造の実施例は、適度な通気性を有して、その通気性故に、外部の音を適度に通すことが判る。これに対して、ソリッドの比較例2および独立気泡構造の比較例3は、通気性がなく、外部の音を通し難いことが判る。図9および図10に示すように、比較例3は、スキン層を有し、気泡が連通していないことからも通気性がないことが判る。また、スキン層を有しておらず、表面に気泡が露出している実施例は、気泡の凹凸により表面が滑り難いことから、耳に装着したときに外れ難くすることができる。これに対して、スキン層を有している比較例2および比較例3は、スキン層による平滑な表面により滑りやすく、耳に装着したときに外れ易い。更に、表1に示すように、シリコーン多孔体からなる実施例は、ポリウレタン発泡体からなる比較例1と比べて、加水分解し難く、それ故に洗濯ができる。
(変更例)
前述した実施例に限らず、例えば以下のように変更してもよい。
(1)実施例では、音響信号再生装置として、イヤピースを耳の外耳孔に挿入して装着するイヤホンを挙げたが、これに限らず、イヤピース(イヤパッド)を、外耳孔を囲うように装着するヘッドホンにも適用可能である。
(2)実施例では、本体を砲弾型に形成したイヤホンを例示したが、これに限らず、本体が、音導管に合わせて筒状に形成された内環部と、内環部の一端から該内環部を包み込む外環部とを備える形状であってもよい。
(3)実施例では、抽出法により本体を形成したが、これに限らず、その他の方法により得られたシリコーン多孔体からスキン層を除去することで、本体を形成してもよい。
(4)実施例では、本体の先端面および先端内壁面の両方に、多孔体の気泡に由来する凹凸が露出する構成としたが、先端面および先端内壁面の何れか一方に、多孔体の気泡に由来する凹凸が露出するようにしてもよい。
(5)実施例では補強部を設けたが、補強部を省略した本体のみの構成であってもよい。
(6)音導管においてイヤピースに当たる外周面は、外周全周に亘る凹凸やこれよりも小さい凹凸、粗面、シボなど、イヤピースが外れ難くなる構造を有していてもよい。この際、音導管に対応する取付孔の内壁面(補強部の内面)は、実施例のように貫通方向に直線的であっても、音導管の凹凸に合わせて凹凸を形成してもよい。例えば、図11に示すように、変更例のイヤピース30において、補強部28の内周面には、音導管18の外周面の全周に亘って溝状に設けられた凹条18aに対応して、リング状の凸条28aが形成されており、凹条18aに凸条28aが嵌まるようになっている。なお、補強部28を弾性体で構成した場合には、補強部28の内周面に凸条を設けず平面としても、補強部28の内径を音導管18の外径よりも少し小さくしておけば、音導管18の凹条18aに補強部28が撓んで一部入り込む。
10 イヤホン(音響信号再生装置)、14,30 イヤピース、
16 ハウジング、18 音導管、20 本体、22 取付孔、
23 先端内壁面、24 装着面、26 先端面

Claims (6)

  1. 耳に装着して使用される音響信号再生装置に用いられるイヤピースであって、
    気泡が互いに連通する連続気泡構造のシリコーン多孔体によって、本体が構成され、
    前記本体は、通気性および弾力性を有している
    ことを特徴とするイヤピース。
  2. 前記本体は、その外面において耳と接触することになる装着面に、前記シリコーン多孔体の気泡に由来する凹凸が露出している請求項1記載のイヤピース。
  3. 前記本体は、耳の外耳孔に挿入して使用され、
    前記本体は、その外面において前記外耳孔の内側に臨む先端面に前記シリコーン多孔体の気泡に由来する凹凸が露出し、該先端面から該外耳孔の挿入方向へ該本体を介して通気可能に構成されている請求項1または2記載のイヤピース。
  4. 前記本体には、前記音響信号再生装置のハウジングから延出する音導管が挿入される取付孔が、該本体を貫通して形成されると共に、耳の外耳孔に対して該取付孔の貫通方向へ挿入して使用され、
    前記本体は、前記取付孔に挿入された前記音導管の先端よりも該取付孔の貫通方向へ先端が出っ張る大きさであると共に、該取付孔を画成する内壁面のうち、該音導管が該取付孔に挿入された際に露出する先端内壁面に、前記シリコーン多孔体の気泡に由来する凹凸が露出し、該先端内壁面から前記貫通方向へ該本体を介して通気可能に構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のイヤピース。
  5. 前記本体は、該本体を貫通して形成された取付孔を備え、
    前記本体は、その外面のうち前記取付孔を囲む装着面から該取付孔を画成する内壁面にかけて、前記シリコーン多孔体が連続して存在するように形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のイヤピース。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のイヤピースが、該イヤピースに貫通して形成された取付孔に、ハウジングから延出する音導管を挿入して取り付けられている
    ことを特徴とする音響信号再生装置。
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