JP2019079959A - 磁壁移動型磁気記録装置及び磁気記録アレイ - Google Patents

磁壁移動型磁気記録装置及び磁気記録アレイ Download PDF

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Abstract

【課題】磁壁が斜めに形成されることを抑制できる磁壁移動型磁気記録装置及び磁気記録アレイを提供する。【解決手段】この磁壁移動型磁気記録装置は、強磁性体を含む第1強磁性層と、前記第1強磁性層の積層方向と交差する第1の方向に延在し、磁壁を含む磁気記録層と、前記第1強磁性層と前記磁気記録層との間に挟まれた非磁性層と、前記磁気記録層に沿って前記第1の方向に延在する磁界印加線路と、を備え、前記磁界印加線路は、前記磁気記録層に電流を流すことによって生じる磁界と反対向きの磁界を、少なくとも最近接する前記磁気記録層の端部に印加する。【選択図】図1

Description

本発明は、磁壁移動型磁気記録装置及び磁気記録アレイに関する。
微細化に限界が見えてきたフラッシュメモリ等に代わる次世代の不揮発性メモリとして、抵抗変化型素子を利用してデータを記憶する抵抗変化型の磁気記録装置に注目が集まっている。磁気記録装置の一例としては、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、ReRAM(Resistance Randome Access Memory)、PCRAM(Phase Change Random Access Memory)等がある。
メモリの高密度化(大容量化)の方法としては、メモリを構成する素子自体を小さくする方法のほかに、メモリを構成する素子一つあたりの記録ビットを多値化する方法がある。
特許文献1には、磁気記録層内における磁壁を移動させることで、多値のデータを記録することができる磁壁移動型磁気記録装置が記載されている。
国際公開第2009/101827号
磁壁移動型磁気記録装置は、パルス電流を磁気記録層に印加することで磁壁の位置を制御する。磁気記録層に流れるパルス電流は、アンペールの法則により自身も磁界の発生源となる。この磁界は、磁気記録層の磁化に影響を及ぼし、磁壁の形状を変化させる場合がある。磁壁の形状が変化すると、磁壁移動型磁気記録装置から読み出されるデータ(磁壁移動型磁気記録装置の抵抗値)を正確に検出できなくなる場合がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、磁壁が斜めに形成されることを抑制できる磁壁移動型磁気記録装置及び磁気記録アレイを提供することを目的とする。
(1)第1の態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、強磁性体を含む第1強磁性層と、前記第1強磁性層の積層方向と交差する第1の方向に延在し、磁壁を含む磁気記録層と、前記第1強磁性層と前記磁気記録層との間に挟まれた非磁性層と、前記磁気記録層に沿って前記第1の方向に延在する磁界印加線路と、を備え、前記磁界印加線路は、前記磁気記録層に電流を流すことによって生じる磁界と反対向きの磁界を、少なくとも最近接する前記磁気記録層の端部に印加する。
(2)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層を流れる電流の向きと、前記磁界印加線路を流れる電流の向きとが一致する構成でもよい。
(3)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層と前記磁界印加線路に電流を流すタイミングを同期させる制御部を備えてもよい。
(4)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁界印加線路が複数あり、複数の前記磁界印加線路のうち少なくとも2本の磁界印加線路は、前記磁気記録層を挟む位置にあってもよい。
(5)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層の前記積層方向における重心位置と前記磁界印加線路の前記積層方向における重心位置とが一致していてもよい。
(6)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層の前記積層方向における重心位置に対して、前記磁界印加線路の前記積層方向における重心位置が異なっていてもよい。
(7)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層を前記第1の方向と直交する面で切断した断面で切断した断面形状が下底の長さが上底の長さより長い台形である場合に、前記磁気記録層の前記積層方向における重心位置に対して、前記磁界印加線路の前記積層方向における重心位置が上方に位置してもよい。
(8)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層に接続され、前記第1強磁性層を前記第1の方向に挟む位置に設けられた二つの電極をさらに有し、前記磁界印加線路が前記第1の方向に延在する長さは、前記二つの電極の間の距離より長くてもよい。
(9)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記第1の方向から見て、前記磁界印加線路の重心と前記磁気記録層の前記磁界印加線路側の第1端部との距離L1と、前記磁界印加線路の重心と前記第1端部と反対側の第2端部との距離L2とが、L2/L1≧1.1を満たしてもよい。
(10)上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置は、前記磁気記録層と前記非磁性層との間に、前記磁気記録層の磁化状態を反映する第2強磁性層を備えてもよい。
(11)第2の態様にかかる磁気記録アレイは、上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置を複数備える。
上記態様にかかる磁壁移動型磁気記録装置によれば、磁壁が斜めに形成されることを抑制できる。
第1実施形態に係る磁壁移動型磁気記録装置を模式的に示した斜視図である。 磁気記録層に流れる電流が生み出す磁界と、その磁界が磁気記録層に与える影響を示した図である。 磁気記録層及び磁界印加線路に流れる電流が生み出す磁界と、その磁界が磁気記録層に与える影響を示した図である。 第1強磁性層が磁気記録層の磁化に与える影響が大きい場合の磁気記録層と磁界印加線路の位置関係を示す図である。 磁気記録層の断面形状が台形の場合の磁気記録層と磁界印加線路の位置関係を示す図である。 磁気記録層の端部と磁界印加線路の重心の位置関係を説明するための模式図である。 第2実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置の斜視模式図である。 第1強磁性層及び磁気記録層の磁化容易軸がy方向である磁壁移動型磁気記録素子を模式的に示した斜視図である。 第3実施形態にかかる磁気記録アレイの平面図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(磁壁移動型磁気記録装置)
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置100を模式的に示した斜視図である。磁壁移動型磁気記録装置100は、第1強磁性層10と磁気記録層20と非磁性層30と磁界印加線路50とを備える。図1に示す磁壁移動型磁気記録装置100は、平面視で第1強磁性層10を挟む位置に、第1電極41と第2電極42とを備える。
以下、磁気記録層20が延在する第1の方向をx方向、磁気記録層20が延在する面内でx方向と直交する第2の方向をy方向、x方向及びy方向と直交する方向をz方向とする。図1に示す磁壁移動型磁気記録装置100の積層方向は、z方向と一致している。
<第1強磁性層>
第1強磁性層10は、強磁性体を含む。第1強磁性層10を構成する強磁性材料としては、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが挙げられる。
また第1強磁性層10を構成する材料は、ホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はハーフメタルであり、高いスピン分極率を有する。ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物であり、Xは周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、YはMn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又はXの元素種であり、ZはIII族からV族の典型元素である。ホイスラー合金として例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSi、CoMn1−aFeAlSi1−b、CoFeGe1−cGa等が挙げられる。
第1強磁性層10の膜厚は、第1強磁性層10の磁化容易軸をz方向とする(垂直磁化膜にする)場合は、1.5nm以下とすることが好ましく、1.0nm以下とすることがより好ましい。第1強磁性層10の膜厚を薄くすると、第1強磁性層10と他の層(非磁性層30)との界面で、第1強磁性層10に垂直磁気異方性(界面垂直磁気異方性)を付加できる。すなわち、第1強磁性層10の磁化の向きをz方向にできる。
<磁気記録層>
磁気記録層20は、x方向に延在している。磁気記録層20は、内部に磁壁21を有する。磁壁21は、互いに反対方向の磁化を有する第1の磁区22と第2の磁区23との境界である。図1に示す磁壁移動型磁気記録装置100は、第1の磁区22が−z方向に配向した磁化を有し、第2の磁区23が+z方向に配向した磁化を有する。
磁壁移動型磁気記録装置100は、磁気記録層20の磁壁21の位置によって、データを多値で記録する。磁気記録層20に記録されたデータは、第1強磁性層10及び磁気記録層20の積層方向の抵抗値変化として読み出される。磁壁21が移動すると、磁気記録層20における第1の磁区22と第2の磁区23との比率が変化する。第1強磁性層10の磁化は、第1の磁区22の磁化と反対方向(反平行)であり、第2の磁区23の磁化と同方向(平行)である。磁壁21がx方向に移動し、z方向から見て第1強磁性層10と重畳する部分における第1の磁区22の面積が広くなると、磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値は高くなる。反対に、磁壁21が−x方向に移動し、z方向から見て第1強磁性層10と重畳する部分における第2の磁区23の面積が広くなると、磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値は低くなる。
磁壁21は、磁気記録層20の延在方向に電流を流す、又は、外部磁場を印加することによって移動する。例えば、第1電極41から第2電極42に電流パルスを印加すると、第1の磁区22は第2の磁区23の方向へ広がり、磁壁21が第2の磁区23の方向へ移動する。つまり、第1電極41及び第2電極42に流す電流の方向、強度を設定することで、磁壁21の位置が制御され、磁壁移動型磁気記録装置100にデータが書き込まれる。
磁気記録層20は、磁性体により構成される。磁気記録層20を構成する磁性体は、第1強磁性層10と同様のものを用いることができる。また磁気記録層20は、Co、Ni、Pt、Pd、Gd、Tb、Mn、Ge、Gaからなる群から選択される少なくとも一つの元素を有することが好ましい。例えば、CoとNiの積層膜、CoとPtの積層膜、CoとPdの積層膜、MnGa系材料、GdCo系材料、TbCo系材料が挙げられる。MnGa系材料、GdCo系材料、TbCo系材料等のフェリ磁性体は飽和磁化が小さく、磁壁を移動するために必要な閾値電流を下げることができる。またCoとNiの積層膜、CoとPtの積層膜、CoとPdの積層膜は、保磁力が大きく、磁壁の移動速度を抑えることができる。
磁気記録層20に流れる電流は、アンペールの法則により磁界を生み出す。図2は、磁気記録層20に流れる電流が生み出す磁界と、その磁界が磁気記録層20に与える影響を示した図である。
図2に示すように、磁気記録層20に流れる電流は、電流の流れ方向に対して右ネジの方向に磁界H1を生み出す。磁界H1の影響により、図2に示す磁気記録層20の第1端部20a近傍の磁化Maは−z方向に配向しやすくなり、第2端部20b近傍の磁化Mbは+z方向に配向しやすくなる。
−z方向に磁化が配向する第1の磁区22は第1端部20a側で安定化し易く、+z方向に磁化が配向する第2の磁区23は第2端部20b側で安定化し易い。そのため、第1の磁区22と第2の磁区23の境界である磁壁21が曲がる。磁壁21が曲がると、磁壁21のy方向に対する傾斜角等も磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値に影響を及ぼす。つまり、磁壁21の位置だけで磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値を制御できなくなり、データを安定的に記録することが難しくなる。
<磁界印加線路>
磁界印加線路50は、磁気記録層20に沿ってx方向に延在する。図1に示す磁界印加線路50は2本あり、磁気記録層20をy方向に挟む位置に配設されている。磁界印加線路50は、導電性を有する材料により構成されている。例えば、アルミニウム、銅、銀、金等を磁界印加線路50に用いることができる。
図3は、磁気記録層20及び磁界印加線路50に流れる電流が生み出す磁界と、その磁界が磁気記録層20に与える影響を示した図である。上述のように、磁気記録層20に流れる電流は、電流の流れ方向に対して右ネジの方向に磁界H1を生み出す。同様に、第1磁界印加線路51に流れる電流は磁界H2を生み出し、第2磁界印加線路52に流れる電流は磁界H3を生み出す。
第1磁界印加線路51は、最近接する磁気記録層20の第1端部20aにおいて、磁気記録層20が生み出す磁界H1と反対向きの磁界H2を印加する。第2磁界印加線路52は、最近接する磁気記録層20の第2端部20bにおいて、磁気記録層20が生み出す磁界H1と反対向きの磁界H3を印加する。磁界H1と磁界H2及び磁界H1と磁界H3がそれぞれ打ち消し合うと、これらの磁界H1、H2、H3が第1端部20a近傍の磁化及び第2端部20b近傍の磁化に与える影響を抑制できる。
磁気記録層20が生み出す磁界H1が磁気記録層20の磁化に及ぼす影響を抑制すると、磁壁21がy方向に対して曲がることを抑制できる。また磁壁21の位置を磁界H1の影響を考慮せずに、電流パルスの回数、強度等により容易に制御できる。
磁気記録層20を流れる電流の向きと、磁界印加線路50を流れる電流の向きとは、一致することが好ましい。これらの電流の向きが一致することで、磁界印加線路50と最近接する磁気記録層20の端部に、磁気記録層20が生み出す磁界H1と反対向きの磁界H2、H3を容易に印加することができる。
また磁気記録層20と磁界印加線路50に電流を流すタイミングを同期させることが好ましい。これらのタイミングがずれると、磁界印加線路50が生み出す磁界H2、H3が磁気記録層20の生み出す磁界H1を適切に打ち消すことができなくなる。磁気記録層20と磁界印加線路50に電流を流すタイミングは、制御部により制御することが好ましい。
磁気記録層20のz方向における重心位置と、磁界印加線路50のz方向における重心位置とは、第1強磁性層10が磁気記録層20の磁化に与える影響の強さ、磁気記録層20の断面形状等によって制御することが好ましい。
例えば、磁気記録層20の断面形状がz方向に対称であり、第1強磁性層10が磁気記録層20の磁化に与える影響が充分小さい場合は、磁気記録層20のz方向における重心位置と磁界印加線路50のz方向における重心位置とは一致させることが好ましい。ここで、「第1強磁性層10が磁気記録層20の磁化に与える影響が充分小さい」とは、磁気記録層20内の磁化同士の相互作用が、第1強磁性層が磁気記録層20の磁化に与える影響より強く、z方向からの平面視で第1強磁性層10と重畳しない部分の磁化が第1強磁性層10の影響により傾かないことを意味する。
磁気記録層20と磁界印加線路50のz方向における重心位置が一致すると、磁気記録層20が生み出す磁界H1と磁界印加線路50が生み出す磁界H2、H3を効率的に打ち消すことができる。
これに対し、第1強磁性層10が磁気記録層20の磁化に与える影響が大きい場合、又は、磁気記録層20をyz平面で切断した断面形状が下底の長さが上底の長さより長い台形形状の場合は、磁気記録層20のz方向における重心位置に対して、磁界印加線路50のz方向における重心位置が上方に位置することが好ましい。重心位置の制御は、磁界印加線路50の厚みを磁気記録層20の厚みより厚くすることで行ってもよいし、磁界印加線路50の下方に下地層を積層して行ってもよい。
図4は、第1強磁性層10が磁気記録層20の磁化に与える影響が大きい場合の磁気記録層20と磁界印加線路50の位置関係を示す図である。また図5は、磁気記録層20の断面形状が台形の場合の磁気記録層20と磁界印加線路50の位置関係を示す図である。
図4に示す磁気記録層20の第1端部20a及び第2端部20bの近傍の磁化Ma、Mbは、第1強磁性層10が磁気記録層20の磁化に与える影響が大きく、第1強磁性層10に向かって傾斜している。また図5に示す磁気記録層20の第1端部20a及び第2端部20bの近傍の磁化Ma、Mbは、第1端部20a及び第2端部20bの界面の影響を受けて、第1端部20a及び第2端部20bに沿って傾斜している。
磁気記録層20のz方向における重心位置に対して磁界印加線路50のz方向における重心位置を上方に位置させると、第1端部20a及び第2端部20bに斜め方向の磁場成分を印加することができ、傾斜した磁化Ma、Mbがz方向に配向するように磁界H2、H3を作用させることができる。
また図1に示すように、磁界印加線路50のx方向に延在する長さは、第1電極41と第2電極42の間の距離より長いことが好ましい。磁壁21がz方向から見て第1強磁性層10と重畳する位置内を移動すると、磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値が変化する。一方で、磁壁21は、第1電極41の第1強磁性層10側の端部から第2電極42の第1強磁性層10側の端部まで移動できる。z方向からの平面視で、第1電極41と第1強磁性層10との間、及び、第2電極42と第1強磁性層10との間の領域は、磁壁21は移動できるが抵抗値変化には影響を及ぼさない領域である。これらの領域内で磁壁21が曲がったとしても直接的に磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値に影響を及ぼさない。しかしながら、これらの領域で磁壁21が曲がると、磁壁21が曲がった状態のままで第1強磁性層10と重畳する位置に磁壁21が伝搬しやすくなる。磁界印加線路50のx方向に延在する長さは、第1電極41と第2電極42の間の距離より長ければ、磁壁21が移動できる範囲全体で磁界印加線路50により磁壁21が曲がることを抑制できる。
また図6に示すように、x方向から見て、磁界印加線路50の重心と磁気記録層20の第1端部20aとの距離L1と、磁界印加線路50の重心と第2端部20bとの距離L2とが、L2/L1≧1.1の関係を満たすことが好ましく、L2/L1≧1.3の関係を満たすことがより好ましく、L2/L1≧1.5の関係を満たすことがさらに好ましい。図6は、磁気記録層20の端部と磁界印加線路50の重心の位置関係を説明するための模式図である。
磁界印加線路50は、磁界印加線路50を中心に同心円状に磁界を発生する。第1磁界印加線路51から生じた磁界は、磁界H2として第1端部20aに印加されるだけでなく、磁界H2’として第2端部20bにも印加される。磁界H2は磁気記録層20が生み出す磁界H1を打ち消す方向に生じるが、磁界H2’は磁気記録層20が生み出す磁界H1を強める方向に生じる。磁壁21が曲がることを抑制するためには、磁界H1を打ち消す方向に印加される磁界H2を強め、磁界H1を強める方向に印加される磁界H2’を弱めることが好ましい。
第1磁界印加線路51の重心と磁気記録層20の第1端部20aとの距離L1と、第1磁界印加線路51の重心と第2端部20bとの距離L2と、の差が小さい場合、磁界H2と磁界H2’の強度比は小さくなる。反対に距離L1と距離L2との差が大きいと、磁界H2と磁界H2’の強度比は大きくなる。磁界H2と磁界H2’の強度比を充分生み出すためには、距離L1と距離L2とはL2/L1≧1.1の関係を満たすことが好ましい。L2/L1≧1.1を満たせば、第1端部20aに印加される磁場強度と第2端部20bに印加される磁場強度と差を、第1端部20aに印加される磁場強度の10%以上とすることができる。またこの関係を実現する為には、磁界印加線路50のy方向の幅を、磁気記録層20のy方向の幅と同等とすることが好ましい。具体的には、磁界印加線路50のy方向の幅は、磁気記録層20のy方向の幅の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
<非磁性層>
非磁性層30には、公知の材料を用いることができる。
例えば、非磁性層30が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。また、これらの他にも、Al、Si、Mgの一部が、Zn、Be等に置換された材料等も用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であるため、スピンを効率よく注入できる。非磁性層30が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。さらに、非磁性層30が半導体からなる場合、その材料としては、Si、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se等を用いることができる。
上述のように、第1実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置100は、磁気記録層20の磁化に、磁気記録層20自体が生み出す磁界H1の影響を磁界印加線路50により抑制できる。磁界H1の影響を低減すると、磁壁21がy方向に対して斜め方向に曲がることが抑制される。つまり、磁壁21の位置だけで磁壁移動型磁気記録装置100の抵抗値を制御でき、データを安定的に記録することができる。
「第2実施形態」
図7は、第2実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置101の斜視模式図である。図7に示す磁壁移動型磁気記録装置101は、磁気記録層20と非磁性層30との間に、第2強磁性層60を備える点が、第1実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置100と異なる。第1実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
第2強磁性層60は、磁性体を含む。第2強磁性層60を構成する磁性体は、第1強磁性層10と同様のものを用いることができる。
第2強磁性層60は、磁気記録層20と隣接している。第2強磁性層60の磁化は、磁気記録層20の磁化と磁気結合している。そのため、第2強磁性層60は、磁気記録層20の磁気状態を反映する。第2強磁性層60と磁気記録層20とが強磁性カップリングする場合は第2強磁性層60の磁気状態は磁気記録層20の磁気状態と同一になり、第2強磁性層60と磁気記録層20とが反強磁性カップリングする場合は第2強磁性層60の磁気状態は磁気記録層20の磁気状態と反対になる。
磁気記録層20と非磁性層30との間に第2強磁性層60を挿入すると、第2強磁性層60と磁気記録層20とが、磁壁移動型磁気記録装置101内で示す機能を分けることができる。磁壁移動型磁気記録装置101のMR比は、非磁性層30を挟む2つの磁性体(第1強磁性層10と第2強磁性層60)の磁化状態の変化により生じる。そのため、第2強磁性層60にMR比の向上する機能を主として担わせ、磁気記録層20に磁壁21を移動させる機能を主として担わせることができる。
第2強磁性層60と磁気記録層20の機能を分けると、それぞれを構成する磁性体の自由度が高まる。第2強磁性層60に第1強磁性層10とのコヒーレントトンネル効果を得られる材料を選択することができ、磁気記録層20に磁壁の移動速度が遅くなる材料を選択することができる。
上述のように、第2実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置101においても、磁気記録層20自体が生み出す磁界の影響を磁界印加線路50により抑制できる。また第2強磁性層60を挿入することで、これらの層に用いる材料選択の自由度を高めることができる。また材料選択の自由度が高まることで、磁壁移動型磁気記録装置101のMR比をより高めることができる。
以上、本実施形態にかかる磁壁移動型磁気記録装置について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態においては、第1強磁性層及び磁気記録層の磁化容易軸がz方向である垂直磁化膜の場合を例に説明したが、図8に示す磁壁移動型磁気記録装置102のように、第1強磁性層10及び磁気記録層20の磁化容易軸がy方向に配向した面内磁化膜でもよい。磁界印加線路50がない場合は、磁気記録層20内を流れる電流が生み出す磁界の影響を受け、第1の磁区22がz方向下方にせり出し、第2の磁区がz方向上方にせり出す。その結果、磁壁21がyz平面に対して−x方向に傾斜する。これに対し、磁界印加線路50を磁気記録層20の上下の位置に設けることで、磁壁21が傾斜することを抑制できる。
また例えば、上述の実施形態においては、磁界印加線路50を2本としたが、磁界印加線路50は一つの磁気記録層20に対して1本又は3本以上設けてもよい。
「第3実施形態」
図9は、第3実施形態にかかる磁気記録アレイ200の平面図である。図9に示す磁気記録アレイ200は、磁壁移動型磁気記録装置100が3×3のマトリックス配置をしている。図9は、磁気記録アレイの一例であり、磁壁移動型磁気記録装置100の種類、数及び配置は任意である。
磁壁移動型磁気記録装置100には、それぞれ1本のワードラインWL1〜3と、1本のソースラインSL1〜3、1本のリードラインRL1〜3が接続されている。
電流を印加するワードラインWL1〜3及びソースラインSL1〜3を選択することで、任意の磁壁移動型磁気記録装置100の磁気記録層20にパルス電流を流し、書き込み動作を行う。また電流を印加するリードラインRL1〜3及びソースラインSL1〜3を選択することで、任意の磁壁移動型磁気記録装置100の積層方向に電流を流し、読み込み動作を行う。電流を印加するワードラインWL1〜3、ソースラインSL1〜3、及びリードラインRL1〜3はトランジスタ等により選択できる。それぞれが多値で情報を記録できる複数の磁壁移動型磁気記録装置100にデータを記録することで、磁気記録アレイの高容量化を実現できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1強磁性層
20 磁気記録層
20a 第1端部
20b 第2端部
21 磁壁
22 第1の磁区
23 第2の磁区
30 非磁性層
41 第1電極
42 第2電極
50 磁界印加線路
51 第1磁界印加線路
52 第2磁界印加線路
60 第2強磁性層
100、101、102 磁壁移動型磁気記録装置
200 磁気記録アレイ
H1、H2、H3 磁界
Ma、Mb 磁化

Claims (11)

  1. 強磁性体を含む第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層の積層方向と交差する第1の方向に延在し、磁壁を含む磁気記録層と、
    前記第1強磁性層と前記磁気記録層との間に挟まれた非磁性層と、
    前記磁気記録層に沿って前記第1の方向に延在する磁界印加線路と、を備え、
    前記磁界印加線路は、前記磁気記録層に電流を流すことによって生じる磁界と反対向きの磁界を、少なくとも最近接する前記磁気記録層の端部に印加する、磁壁移動型磁気記録装置。
  2. 前記磁気記録層を流れる電流の向きと、前記磁界印加線路を流れる電流の向きとが一致する、請求項1に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  3. 前記磁気記録層と前記磁界印加線路に電流を流すタイミングを同期させる制御部を備える、請求項1又は2に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  4. 前記磁界印加線路が複数あり、
    複数の前記磁界印加線路のうち少なくとも2本の磁界印加線路は、前記磁気記録層を挟む位置にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  5. 前記磁気記録層の前記積層方向における重心位置と前記磁界印加線路の前記積層方向における重心位置とが一致している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  6. 前記磁気記録層の前記積層方向における重心位置に対して、前記磁界印加線路の前記積層方向における重心位置が異なる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  7. 前記磁気記録層を前記第1の方向と直交する面で切断した断面で切断した断面形状が下底の長さが上底の長さより長い台形である場合に、
    前記磁気記録層の前記積層方向における重心位置に対して、前記磁界印加線路の前記積層方向における重心位置が上方に位置する、請求項6に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  8. 前記磁気記録層に接続され、前記第1強磁性層を前記第1の方向に挟む位置に設けられた二つの電極をさらに有し、
    前記磁界印加線路が前記第1の方向に延在する長さは、前記二つの電極の間の距離より長い、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  9. 前記第1の方向から見て、前記磁界印加線路の重心と前記磁気記録層の前記磁界印加線路側の第1端部との距離L1と、前記磁界印加線路の重心と前記第1端部と反対側の第2端部との距離L2とが、L2/L1≧1.1を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  10. 前記磁気記録層と前記非磁性層との間に、前記磁気記録層の磁化状態を反映する第2強磁性層を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の磁壁移動型磁気記録装置を複数備える、磁気記録アレイ。
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