JP2019079532A - 健康推定システム、健康推定装置、健康推定プログラムおよび健康推定方法 - Google Patents

健康推定システム、健康推定装置、健康推定プログラムおよび健康推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】身体の状態と心の状態とに基づいて身体の疾患の予防又は重症化の回避のために健康推定する。【解決手段】通信端末とサーバとを有する健康推定システムであって、通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得する取得部と、音声データをサーバに送信する第1送信部と、音声データを用いてサーバにより推定された対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果をサーバから受信する第1受信部とを備える。サーバは、音声データを通信端末から受信する第2受信部と、受信した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、推定部が推定した対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する第2送信部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、健康推定システム、健康推定装置、健康推定プログラムおよび健康推定方法に関する。
人が患う病気には、心の健康状態が損なわれる疾病(以下、“精神疾患”とも称される)と、身体の健康状態が損なわれる疾患(以下、“身体の疾患”とも称される)とに分けられる。身体の疾患には、例えば、感染症、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍等がある。身体の疾患については、発病の原因、発生機序等が解明されつつあり、診断方法や治療方法も進歩している。
一方、精神疾患には、例えば、大うつ病性障害(うつ病)、双極性障害(躁うつ病)、パーソナリティ障害等がある。精神疾患については、fMRI(機能的核磁気共鳴画像)や光トポグラフィー等を用いた診断により、脳の活動状態との関連性が見出されている(例えば、非特許文献1、2参照)。精神疾患は、重度になると治りにくく、治療法も限定されるため、未病段階または早期の段階での発見が求められる。しかしながら、精神疾患は、通常の健康診断では見つけ難く、精神疾患の初期症状は、患者の性格(例えば、甘えや怠惰等)によるものと、周囲の人から見られる場合があり、重度になるまで患者本人も周囲の人も気づかないことが多い。
そこで、ストレス問診結果と健診結果を用いて健康状態の良否を判定し、判定された健康状態を提示する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、人が発話した音声を解析することにより、感情や心的状態を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開2016−4507号公報 特開2007−296169号公報 国際公開第2006/132159号
長谷川 澄,山縣 文,岩波 明,"精神疾患におけるMRI画像検査",昭和学士会誌,第74巻,第6号,pp.609-613,2014 "First do no harm",Nature,469,132,2011
身体の疾患の中には、うつ病等の精神疾患を併発する場合がある。この場合、抑うつ症状によって患者の治療意欲が低下し、身体の疾患が長引く、あるいは重症化する等のリスクが生じる。
例えば、糖尿病等の生活習慣病は、運動、食事、睡眠、その他の生活習慣の乱れから引き起こされる身体の疾患であるが、生活習慣の乱れは精神疾患のリスクも高めることが示されている。三浦 理恵,青木 邦男,“大学生の精神的健康に関連する要因の文献的研究”,山口県立大学学術情報,第2号,pp.175-183,2009年3月は、大学生を対象とした調査において、「食事の不規則性」、「起床時間の不規則性」等の生活習慣の乱れは、GHQ(The General Health Questionnaire)の高得点に寄与し、精神的な健康の度合いを低下させることを示す。
また、うつ病を合併する疾患としては、例えば、がんで20−38%、脳卒中で27%、冠動脈疾患で16−19%、糖尿病で24%、認知症で11−40%、甲状腺機能亢進症で31%、パーキンソン病で28−51%、クッシング症候群で67%等があり、身体疾患とうつが合併している場合は、抑うつ症状の原因となる身体疾患を治す必要がある一方、うつ状態により治療意欲が低下し身体症状を悪化させる場合もある(越野 好文,“特に注意すべき疾患の診療上の注意 うつ病”,臨床と研究,Vol.78,pp.2167-2170,2001年)。
例えば、糖尿病においては、(1)HPA系の亢進、(2)炎症性サイトカインの増加、(3)睡眠障害等、うつ病と共通する生理学的背景を有するために、双方向性に発症リスクが高まっていると報告されている(峯山 智佳,野田 光彦,“糖尿病とうつ”,日本老年医学会雑誌,Vol. 50,pp.744-747,2013年)。
また、心臓病や脳卒中などの循環器疾患患者においては、うつ病が合併発症しやすいこと、また、うつ病を合併した場合に予後が悪化することから、抑うつ症状合併患者を見落とさなくするために、系統的スクリーニング(PHQ−9こころとからだの質問票等)が有効であるとされている(横山 広行,“心不全患者におけるうつを考える”,日本老年医学会雑誌,Vol. 50,pp.748-751,2013年)。
また、国立精神・神経医療研究センターによる11876人を対象としたWEB調査において、うつ病患者は、正常人に対するオッズ比が、肥満1.61倍、糖尿病1.48倍、高脂血症1.53倍であるという報告がされている。また、この調査では、うつ病患者は、まれにしか朝食をとらない人に対して、ほぼ毎日朝食をとる人のオッズ比が0.65倍、まれにしか間食を取らない人に対して、ほぼ毎日間食を取る人のオッズ比が1.43倍であるという報告がなされている。さらに、強度の運動を行う人は正常人に対してうつ病のオッズ比が0.78であるという報告もなされている(Journal of Psychiatric Research Vol. 102, July 2018, pages 23-28)。
つまり、相対的に、肥満、糖尿病、高脂血症の人はうつ病に罹りやすく、ほとんど朝食を摂らない人、ほぼ毎日間食を取る人はうつ病に罹りやすい一方で、強度の運動を行う人はうつ病に罹りにくいことを示している。そして、うつ病は生活習慣病とも相関があり、うつ病自体が生活習慣病の様相を呈していることも示唆されている。
そして、臨床心理学的に見ると、通常体重の人は、摂食行動によらなくても、趣味、仕事、家族や友人関係などを通じて得られる満足が十分なので、一定の摂食量で満足できるが、肥満者においては、趣味、仕事、家族や友人関係などを通じて得られる満足感が相対的に少ないか、解消すべきストレスが多いために食べざるを得ない(肥満の心理療法:慶應医学 84巻4号 227〜236頁 2007年)。さらに、ストレスコーピングの観点から見ると、例えば、気晴らしにスポーツをするというコーピングも、スポーツを行う場所や時間を選択し実際に行動するまでという一連のコストが必要となる。一方で“食べる”という行動は、コストが低く満足感の得られる手段であり生起しやすいといえる(肥満の改善はなぜ難しいのか:心理臨床科学 第1巻第1号 53〜64頁 2011年)。
このように、肥満をはじめとする生活習慣病は、ストレスや精神状態に関連する生活習慣の偏りに起因し、また生活習慣病に伴って更に生活習慣の偏りが生じるという悪循環に陥る結果となる。そこで、身体的健康と精神的健康の両方を維持・増進するシステムが求められている。
本発明は、身体の状態と心の状態とに基づいて、身体の疾患の予防または重症化の回避を図ることができる健康推定システム、健康推定装置、健康推定プログラムおよび健康推定方法を提供することを目的とする。
一つの観点による健康推定システムは、少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムであって、通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得する取得部と、音声データをサーバに送信する第1送信部と、音声データを用いてサーバにより推定された対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果をサーバから受信する第1受信部とを備え、サーバは、音声データを通信端末から受信する第2受信部と、受信した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、推定部が推定した対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する第2送信部とを備える。
別の観点による健康推定システムは、少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムであって、通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得する取得部と、取得した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、メンタル値をサーバに送信する第1送信部と、メンタル値を用いてサーバにより推定された対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果をサーバから受信する第1受信部とを備え、サーバは、メンタル値を通信端末から受信する第2受信部と、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、推定部が推定した対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する第2送信部とを備える。
別の観点による健康推定装置は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを通信端末から受信する受信部と、受信した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、推定部が推定した対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する送信部とを備える。
別の観点による健康推定装置は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを用いて通信端末により算出された対象者における精神状態を示すメンタル値を、通信端末から受信する受信部と、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、推定部が推定した対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する送信部とを備える。
別の観点による健康推定プログラムは、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを通信端末から受信し、受信した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出し、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定し、対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する処理をコンピュータに実行させる。
別の観点による健康推定プログラムは、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを用いて通信端末により算出された対象者における精神状態を示すメンタル値を、通信端末から受信し、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信したメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定し、対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信する処理をコンピュータに実行させる。
別の観点による健康推定方法は、少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムの健康推定方法であって、通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得し、通信端末は、音声データをサーバに送信し、サーバは、音声データを通信端末から受信し、サーバは、受信した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出し、サーバは、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出されたメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定し、サーバは、対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信し、通信端末は、推定の結果をサーバから受信する。
別の観点による健康推定方法は、少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムの健康推定方法であって、通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得し、通信端末は、取得した音声データを用いて、対象者における精神状態を示すメンタル値を算出し、通信端末は、メンタル値をサーバに送信し、サーバは、メンタル値を通信端末から受信し、サーバは、記憶部に予め記憶された対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信したメンタル値とに基づいて、対象者が患う可能性のある疾患を推定し、サーバは、対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を通信端末に送信し、通信端末は、推定の結果をサーバから受信する。
本発明は、身体の状態と心の状態とに基づいて、身体の疾患の予防または重症化の回避を図ることができる。
健康推定システムの一実施形態を示す図である。 図1に示した算出部により算出された元気圧の一例を示す図である。 図1に示した算出部により算出された活量値の一例を示す図である。 図1に示した記憶部に記憶される健診テーブルの一例を示す図である。 図1に示した推定部により判定された判定表の一例を示す図である。 図1に示した健康推定システムにおける推定処理の一例を示す図である。 図1に示した表示部に表示される推定の結果と助言との一例を示す図である。 図1に示した表示部に表示される推定の結果と助言との別例を示す図である。 健康推定システムの別の実施形態を示す図である。 図9に示した健康推定システムにおける推定処理の一例を示す図である。 図10に示した推定処理の続きを示す図である。 健康推定システムの別の実施形態を示す図である。 図12に示した健康推定システムにおける元気圧の推移の一例を示す図である。 図12に示した被験者における健康診断データの一例を示す図である。 図12に示した生活習慣についての問診票の一例を示す図である。 図12に示したストレス耐性度チェックリストの一例を示す図である。 図12に示したストレス耐性度及び生活習慣についての問診票の結果の一例を示す図である。 図12に示した表示部に表示される推定の結果と助言との一例を示す図である。
以下、図面を用いて実施形態について説明する。
図1は、健康推定システムの一実施形態を示す。
図1に示した健康推定システムSYSは、携帯通信端末100およびサーバ200を有する。携帯通信端末100は、携帯電話通信網またはWi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の通信規格に基づいて、ネットワークNWを介してサーバ200に接続される。なお、図1に示した健康推定システムSYSは、2以上の複数の携帯通信端末100がサーバ200に接続されてもよい。
携帯通信端末100は、スマートフォンやタブレット型端末等であり、マイク部110、制御部120、通信部130、表示部140および入力部150を有する。例えば、携帯通信端末100に含まれるCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置は、携帯通信端末100に含まれるメモリ等の記憶部に記憶される健康推定プログラムを実行することにより、制御部120として機能する。なお、制御部120は、携帯通信端末100に搭載されるハードウェアにより実現されてもよい。
マイク部110は、マイクロホン等であり、携帯通信端末100のユーザが発話する音声を受信し、受信した音声をアナログの電気信号に変換する。マイク部110は、例えば、マイク部110に含まれるAD(Analog-to-Digital)変換回路を用いて、アナログからデジタルの電気信号に変換し、デジタルの電気信号を制御部120に出力する。マイク部110は、取得部の一例である。携帯通信端末100のユーザは、対象者の一例である。
制御部120は、CPU等であり、携帯通信端末100の記憶部に記憶されている健康推定プログラムを実行することにより動作する。そして、制御部120は、携帯通信端末100の各要素の動作を制御する。例えば、制御部120は、マイク部110から受信した音声の電気信号とともに、受信した音声の電気信号を携帯通信端末100のユーザの音声データとしてサーバ200に送信する制御指示を、通信部130に出力する。また、制御部120は、入力部150を介して、携帯通信端末100のユーザによる操作に応じた入力指示を受信し、受信した入力指示に応じて各要素の動作を制御する。
通信部130は、例えば、携帯電話通信網またはWi−Fi等の通信規格に基づいて、音声データ等の情報を含む信号を、ネットワークNWを介して、携帯通信端末100からサーバ200に送信する。また、通信部130は、ネットワークNWを介して、サーバ200からのデータ等の情報を含む信号を受信する。通信部130は、第1送信部および第1受信部の一例である。
表示部140は、液晶等のディスプレイであり、サーバ200から受信したデータ等を表示する。
入力部150は、例えば、表示部140の表面に配置されるタッチパネル等であり、携帯通信端末100のユーザからの入力指示を受ける。入力部150は、例えば、ユーザから健康推定プログラムを実行する入力指示を受けた場合、受けた入力指示を制御部120に出力する。そして、制御部120は、携帯通信端末100のユーザが発話する音声を受信する制御指示をマイク部110に出力する。
本発明の特徴の1つは、対象者の発話による音声を用いて、対象者の精神的な健康状態(メンタル値として算出される)を主として測定することである。解析する音声のパラメータは特に限定されないが、基本周波数(F0)、調波成分対喉頭雑音比(HNR)、シマ―(Shimmer)、ジッタ―(Jitter)が好適に用いられる。また、発話の内容や意味(どのような言葉を発しているか)を解析してもよい。
なお、より的確に精神状態を測定することを考慮すると、不随意成分である声帯の振動による基本周波数(F0)とそれに関連するパラメータを、解析する音声のパラメータとして用いるのが好ましい。また、このような音声成分を用いることは言語に依らないという観点からも利点がある。
この場合、制御部120は、例えば、ユーザが発話する音声データを取得するために、表示部140に所定の定型文を表示し、ユーザに表示された所定の定型文を発話させてもよい。これにより、サーバ200は、定期的に、ユーザの音声データを取得でき、ユーザの精神状態を把握できる。また、表示部140に表示される所定の定型文は、特定の感情を含まない“いろはにほへと”や“ABCDEFG”等でもよく、感情を表出しやすい“心が穏やかです”や“怒りっぽいです”等でもよく、“あーーーーー”等の長母音や、口唇音、口蓋音、舌音の組み合わせである“ぱたかぱたかぱたか・・・”等でもよい。
また、ユーザに発話させる方法としては、例えば“あなたのお名前は?”や“あなたの誕生日はいつですか?”等の質問を表示部140に表示し、それに対する回答を求める方法としてもよい。つまり、発話は定型文に依らなくても、自由発話や、電話による自然発話であってもよい。
ここで、発話時間としては、音声の解析精度を上げるには10秒以上が好ましく、20秒以上が更に好ましく、30秒以上が特に好ましい。また、発話時間は、特に上限を設ける必要はないが、発話時間が長すぎると解析にも時間を要するため、5分以下が好ましく、3分以下が更に好ましい。なお、長時間発話した場合には、その一部を解析対象として採用することも可能である。
上述した所定の定型文を含むデータは、携帯通信端末100の記憶装置に記憶されてもよく、サーバ200に記憶されてもよい。なお、所定の定型文のデータがサーバ200に記憶される場合、制御部120は、ネットワークNWを介して、所定の定型文のデータをサーバ200から取得する。
図1に示したサーバ200は、CPU等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶部230とを有するコンピュータ装置等である。サーバ200は、通信部210、算出部220、記憶部230および推定部240を有する。例えば、サーバ200の演算処理装置は、記憶部230に記憶された健康推定プログラムを実行することにより、算出部220および推定部240として機能する。なお、算出部220および推定部240は、サーバ200に搭載されるハードウェアにより実現されてもよい。サーバ200は、健康推定装置の一例である。
通信部210は、例えば、インターネットの通信規格に基づいて、ネットワークNWを介して携帯通信端末100にデータ等の情報を含む信号を送信する。また、通信部210は、ネットワークNWを介して、携帯通信端末100から送信されたデータ等の情報を含む信号を受信する。通信部210は、第2送信部および第2受信部の一例である。
算出部220は、携帯通信端末100から受信した音声データを用いて、携帯通信端末100のユーザにおける精神状態を示す活量値を算出する。例えば、算出部220は、特許文献3と同様に、ネットワークNWを介して受信した携帯通信端末100のユーザの音声データを用いて、音声のピッチ周波数や基本周波数等を算出し、怒り、喜び、悲しみ、平常等の各感情が出現している度合いを発話単位毎に求める。そして、算出部220は、例えば、求めた各感情の度合いに基づいて、携帯通信端末100のユーザの元気の度合いを示す元気圧を算出する。
そして、算出部220は、例えば、元気圧を算出した時点を基準にして、所定の期間(例えば、14日間等)前までに算出した元気圧を用いて、所定の期間における元気圧の平均値と分散値とを算出する。そして、算出部220は、算出した分散値で平均値を重み付けした値を、活量値(すなわち、平均的な元気圧)として算出する。算出部220は、算出した元気圧および活量値を記憶部230に出力する。活量値は、メンタル値の一例である。
なお、算出部220は、サーバ200に配置されたが、携帯通信端末100に配置されてもよい。例えば、携帯通信端末100の制御部120は、携帯通信端末100の記憶部に記憶されている健康推定プログラムを実行することにより算出部220として動作する。そして、制御部120は、マイク部110から受信した音声データから携帯通信端末100のユーザの元気圧および活量値を算出する。そして、携帯通信端末100は、制御部120により算出された元気圧および活量値をサーバ200に送信し、サーバ200は、受信した携帯通信端末100のユーザの元気圧および活量値を記憶部230に記憶する。この場合、携帯通信端末100は、携帯通信端末100のユーザの音声データのサーバ200への送信を省略してもよい。
算出部220がサーバ200にある場合は、携帯通信端末100側に算出部220が必要ないので、携帯通信端末100の自由度が増すという点で利点があり、一方算出部220が携帯通信端末100側にある場合は、音声データ自体をサーバ200に送信しないので送信負荷が低減できるという利点がある。
記憶部230は、ハードディスク装置等であり、健康推定プログラムを記憶する。また、記憶部230は、算出部220により算出された携帯通信端末100のユーザの元気圧および活量値を受信し、受信した元気圧および活量値を携帯通信端末100のユーザを示す情報と対応付けして記憶する。また、記憶部230は、携帯通信端末100のユーザにおける血液検査等を含む健康診断で測定された健診データを、携帯通信端末100のユーザを示す情報と対応付けした健診テーブルKTを予め記憶する。健診テーブルKTについては、図4で説明する。
なお、健康推定プログラムは、例えば、光ディスク等に記録して頒布することができる。また、健康推定プログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記憶媒体に記録して頒布されてもよい。あるいは、サーバ200は、健康推定プログラムを、サーバ200に含まれるネットワークインタフェースを介して、ネットワークを通じてダウンロードし、記憶部230に格納してもよい。
推定部240は、記憶部230から検査対象の携帯通信端末100のユーザの活量値と健診データとを読み出し、読み出した活量値と健診データとに基づいて、携帯通信端末100のユーザの健康状態を推定する。推定部240は、推定の結果を通信部210に出力し、通信部210は、推定の結果を含む信号を携帯通信端末100に送信する。推定部240の動作については、図3から図8で説明する。
図2は、図1に示した算出部220により算出された元気圧の一例を示す。図2に示す横軸は日時を示し、縦軸は元気圧を示す。また、図2は、健康な(すなわち、少なくとも精神疾患を患っていない)ユーザの元気圧を示す。
図2に示すように、元気圧は、携帯通信端末100のユーザが発話し、マイク部110を介して音声データが取得される度に、算出部220により算出される。図2に示すように、元気圧は、1日のうちでも、携帯通信端末100のユーザがいる周囲の環境に応じて大きく変化する。例えば、ユーザが友達や家族等と会話する場合、ユーザはリラックスするため、元気圧は大きな値を示す。一方、ユーザが上司や顧客等と会話する場合、ユーザは緊張感等を感じるため、元気圧は小さな値を示す。なお、ユーザが精神疾患を患っている場合、元気圧は、図2に示した元気圧と比べて全体的に小さな値を示す傾向があり、元気圧の変動幅も図2の場合と比べて小さくなる傾向がある。
図3は、図1に示した算出部220により算出された活量値の一例を示す。図3に示す横軸は月日を示し、縦軸は活量値を示す。なお、図3は、図2に示したユーザの活量値を示す。また、図3に示した活量値は、所定の期間を14日間とした場合の値を示す。
図3に示すように、活量値は、14日間という期間における元気圧の平均値と分散値とに基づいて算出されることにより、図2に示した元気圧と比べて、ほぼ一定の値を示す。しかしながら、携帯通信端末100のユーザが長期に亘ってストレスの影響を受けている、あるいは風邪等の身体的不調を患っている場合、図3に示すように、活量値も徐々に減少する傾向を示す。一方、ユーザに影響を与えていたストレスが緩和された、あるいは風邪等の疾患から回復した場合、活量値は徐々に上昇する傾向を示す。
推定部240は、図3に示した活量値を用いて、携帯通信端末100のユーザにおける精神状態を推定する。推定部240は、例えば、活量値が40以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において15以上低下している場合、または活量値が直近の2週間において10以上低下している場合、携帯通信端末100のユーザにおいて、身体の疾患を罹患するリスクが高いと推定する。また、推定部240は、例えば、活量値が30以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において20以上低下している場合、または活量値が直近の2週間において15以上低下している場合、携帯通信端末100のユーザにおいて、精神疾患及び/または身体の疾患を罹患するリスクが高く、罹患した場合に回復が困難と推定する。“40”または“30”は、第1の所定値の一例であり、“10”、“15”または“20”は、第2の所定値の一例である。
なお、これら所定値は使用する測定機器により適宜設定できるが、メンタル値として正規化した値を参照するのであれば、メンタル値が例えば−1σ以下である場合に、精神疾患および/または身体の疾患を罹患するリスクが高いと推定し、また−2σ以下である場合に、精神疾患および/または身体の疾患を罹患するリスクが極めて高いと推定することができる。
なお、本発明の出願時点におけるAndroid OS版MIMOSYSは、活量値が33以下の場合は抑うつ症状を呈している(要注意領域)可能性があると推定される。一方で個人毎の通常の活量値には幅があるので、絶対値とともに、一定期間における活量値の変化にも注目することも可能である。また、活量値が極めて高い場合(例えば75以上)については、現時点でのエビデンスは無いが、躁状態を呈しているとも考えられるので、他の指標と合わせて病態を観察することが好ましい。
一方、推定部240は、これら以外の場合、ユーザにおいて身体の疾患を罹患するリスクが低い、または精神状態がよいと推定する。
図4は、図1に示した記憶部230に記憶される健診テーブルKTの一例を示す。健診テーブルKTは、例えば、体格指数(BMI:Body Mass Index)、空腹時血糖、HbA1c、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪、クレアチンキナーゼ、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ−GTP、LD(LDH)、アルブミン/グロブミン比、尿素窒素、クレアチニン、尿酸および眼底検査等の格納領域を、ユーザ毎に有する。
体格指数(BMI)の格納領域には、例えば、健康診断において測定されたユーザの体重と身長とを用いて算出される、ユーザの肥満度を示す体格指数が格納される。空腹時血糖の格納領域には、例えば、9時間以上絶食した後の健康診断において採取された血液中のブドウ糖の量を示す値が格納される。HbA1cの格納領域には、例えば、健康診断において採取された血液を用いて測定される、赤血球中のヘモグロビンのうち糖と結合している割合の値が格納される。血圧の格納領域には、健康診断において血圧計を用いて測定されたユーザにおける収縮期血圧と拡張期血圧とが格納される。総コルステロールの格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれる全てのコルステロールの総量が格納される。HDLコルステロールの格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるコルステロールのうちHDLコルステロールの量が格納される。LDLコルステロールの格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるコルステロールのうちLDLコルステロールの量が格納される。
中性脂肪の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれる中性脂肪の量が格納される。クレアチンキナーゼの格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるクレアチンキナーゼの量が格納される。AST(GOT)の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼの量が格納される。ALT(GPT)の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるグルタミン酸ピルビン酸転移酵素の量が格納される。γ−GTPの格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるγ−グルタミルトランスペプチターゼの量が格納される。LD(LDH)の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれる乳酸脱水素酵素の量が格納される。
アルブミン/グロブミン比の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるアルブミンとグロブミンとの比率が格納される。尿素窒素の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中の尿素に含まれる窒素量が格納される。クレアチニンの格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれるクレアチニンの量が格納される。尿酸の格納領域には、健康診断において採取された血液を用いて測定される、血液中に含まれる尿酸の量が格納される。眼底検査の格納領域には、健康診断において行われる眼底検査により、ユーザの眼底の血管に異常があるか否かの判定結果が格納される。
推定部240は、図4に示した健診テーブルKTに格納された携帯通信端末100のユーザの健診データを記憶部230から読み出し、携帯通信端末100のユーザにおける身体の状態を推定する。例えば、推定部240は、読み出した健診データに含まれる各数値が、複数の疾患の各々について罹患する可能性があるか否かを判定する。推定部240による判定の動作については、図5で説明する。
なお、図4に示した健診テーブルKTに含まれる健診データは、体格指数(BMI)等に限定されない。例えば、健診テーブルKTには、睡眠時間の格納領域が含まれてもよい。睡眠時間は、例えば、携帯通信端末100のユーザによる入力部150の入力操作により、取得されてもよい。あるいは、例えば、携帯通信端末100との間で通信機能を有する腕時計等のウェアラブル端末が、ウェアラブル端末に含まれる加速度センサ等により検出されるユーザの動きからレム睡眠とノンレム睡眠との期間を求めることにより、携帯通信端末100は、ユーザの睡眠時間を算出してもよい。
また、健診テーブルKTには、食事による摂取エネルギーや1日の歩数等の格納領域が含まれてもよい。そして、食事による摂取エネルギーや1日の歩数等のデータは、例えば、携帯通信端末100のユーザによる入力部150の入力操作により取得されてもよい。あるいは、1日の歩数のデータは、例えば、携帯通信端末100や腕時計等のウェアラブル端末に含まれる加速度センサ等が検出したユーザの動きに基づいて取得されてもよい。
図5は、図1に示した推定部240により判定された判定表UAの一例を示す。判定表UAは、例えば、健診データ、条件、動脈硬化、脳血管疾患、虚血性心疾患、糖尿病、腎臓疾患および肝臓疾患等の格納領域を有する。健診データの格納領域には、図4に示した健診テーブルKTに格納される健診データの各々に対応する格納領域を有する。条件の格納領域には、健診データの各々において、健康上好ましくない、すなわちいずれかの疾患を罹患する可能性の高いことを示す基準値と比べて、高い値(高値)か低い値(低値)かの条件が格納される。なお、眼底検査については、医師により診断された眼底における血管の異常の有無が格納される。
図5に示した判定表UAでは、例えば、体格指数(BMI)の基準値は、18.5−24.9であり、18.4以下は低体重、25.0以上は肥満とされる。空腹時血糖の基準値は、99mg/dL以下であり、100−125mg/dLは要注意、126mg/dL以上は異常とされる。HbA1cの基準値は、5.5%以下であり、5.6−6.4%は要注意、6.5%以上は異常とされる。また、収縮期血圧の基準値は129mmHg以下であり、130−159mmHgは要注意、160mmHg以上は異常とされる。また、拡張期血圧の基準値は84mmHg以下であり、85−99mmHgは要注意、100mmHg以上は異常とされる。
また、総コルステロールの基準値は、140−199mg/dLであり、200−259mg/dLは要注意、139mg/dL以下、または260mg/dL以上は異常とされる。HDLコルステロールの基準値は、40−119mg/dLであり、30−39mg/dLは要注意、29mg/dL以下、または120mg/dL以上は異常とされる。LDLコルステロールの基準値は、60−119mg/dLであり、120−179mg/dLは要注意、59mg/dL以下または180mg/dL以上は異常とされる。また、中性脂肪の基準値は、30−149mg/dLであり、150−399mg/dLで要注意、29mg/dL以下または400mg/dL以上は異常とされる。
なお、LDLコルステロールが140mg/dL以上の場合には高LDLコルステロール血症、HDLコルステロールが40mg/dL以下の場合には低HDLコルステロール血症、中性脂肪が150mg/dLの場合には高中性脂肪血症と各々診断されることがある。これらは、合わせて脂質異常症とも称される。
また、クレアチンキナーゼの基準値は、30−200IU/Lである。また、AST(GOT)の基準値は、30IU/L以下であり、31−50IU/Lが要注意、51IU/L以上は異常とされる。ALT(GPT)の基準値は、30IU/L以下であり、31−50IU/Lが要注意、51IU/L以上は異常とされる。γ−GTPの基準値は、50IU/Lであり、51−100IU/Lで要注意、101IU以上は異常とされる。LD(LDH)の基準値は、120−240IU/Lである。また、アルブミン/グロブミン比の基準値は、1.0−2.0であり、尿素窒素の基準値は、8.6−22.9mg/dLである。また、クレアチニンの基準値(男性)は、1.00mg/dL以下であり、1.01−1.29mg/dLで要注意、1.30mg/dLは異常とされる。また、クレアチニンの基準値(女性)は、0.70mg/dL以下であり、0.71−0.99mg/dLで要注意、1.00mg/dl以上で異常とされる。尿酸の基準値は、2.1−7.0mg/dLであり、2.0mg/dL以下または7.1−8.9mg/dLで要注意、9.0mg/dLは異常とされる。
なお、健診データの各々の基準値は、携帯通信端末100のユーザの年齢、推定部240が推定する時間帯や季節等に応じて適宜変更および設定されることが好ましい。
動脈硬化の格納領域には、健診データのうち、動脈硬化の判定に用いられる各データにおいて、条件の格納領域が示す条件を満たすか否かの推定部240による判定の結果が格納される。例えば、体格指数(BMI)が高値の条件を満たす場合、動脈硬化の格納領域における体格指数(BMI)には、“1”が格納される。一方、体格指数(BMI)が高値の条件を満さない場合、動脈硬化の格納領域における体格指数(BMI)には、“0”が格納される。なお、動脈硬化の判定には、推定部240は、健診データのうち、体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪および尿酸のデータを用いる。一方、動脈硬化の格納領域において、推定部240が用いないデータは、網掛けで示される。
脳血管疾患の格納領域には、動脈硬化の場合と同様に、健診データのうち、脳血管疾患の判定に用いられる各データにおいて、条件の格納領域が示す条件を満たすか否かの推定部240による判定の結果を示す“1”または“0”が格納される。脳血管疾患の判定には、推定部240は、体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪、尿酸および眼底検査のデータを用いる。なお、脳血管疾患は、動脈硬化が原因となって引き起こるため、脳血管疾患の格納領域の体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪および尿酸の判定は、矢印が示すように、動脈硬化の格納領域における判定の結果を参照する。一方、脳血管疾患の格納領域において、推定部240が用いないデータの領域は、網掛けで示される。
虚血性心疾患の格納領域には、健診データのうち、虚血性心疾患の判定に用いられる各データにおいて、条件の格納領域が示す条件を満たすか否かの推定部240による判定の結果を示す“1”または“0”が格納される。虚血性心疾患の判定には、推定部240は、体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪、クレアチンキナーゼ、AST(GOT)、LD(LDH)および尿酸のデータを用いる。なお、虚血性心疾患は、脳血管疾患の場合と同様に、動脈硬化が原因となって引き起こされるため、虚血性心疾患の格納領域の体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪および尿酸の判定は、矢印が示すように、動脈硬化の格納領域における判定の結果を参照する。
なお、虚血性心疾患の代わりに、推定部240は、血圧のデータが条件の格納領域が示す条件を満たすか否かに基づいて、心疾患か否かを判定してもよい。
糖尿病の格納領域には、健診データのうち、糖尿病の判定に用いられる各データにおいて、条件の格納領域が示す条件を満たすか否かの推定部240による判定の結果を示す“1”または“0”が格納される。糖尿病の判定には、推定部240は、体格指数(BMI)、空腹時血糖、HbA1c、総コルステロール、LDLコルステロールおよび尿素窒素のデータを用いる。これらのうち、特に(1)空腹時血糖が126mg/dL以上であり且つ(2)HbA1cが6.5%以上である場合、糖尿病に罹患するリスクが高いと判定される。
腎臓疾患の格納領域には、健診データのうち、腎臓疾患の判定に用いられる各データにおいて、条件の格納領域が示す条件を満たすか否かの推定部240による判定の結果を示す“1”または“0”が格納される。腎臓疾患の判定には、推定部240は、尿素窒素およびクレアチニンのデータを用いる。
肝臓疾患の格納領域には、健診データのうち、肝臓疾患の判定に用いられる各データにおいて、条件の格納領域が示す条件を満たすか否かの推定部240による判定の結果を示す“1”または“0”が格納される。肝臓疾患の判定には、推定部240は、中性脂肪、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ−GTP、LD(LDH)、アルブミン/グロブミン比およびクレアチニンのデータを用いる。
そして、これら各種疾患を発症する要因となる高血糖、脂質異常、高血圧を呈する病態であるメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)の疾患概念が導入されており、診断指標としては、BMI、腹囲、血圧、中性脂肪、HDLコルステロール、LDLコルステロール、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ―GTP、空腹時血糖、HbA1c、尿糖、尿蛋白が用いられる。
推定部240は、判定表UAを用いて、動脈硬化等の各疾患を罹患する可能性を示す確率を算出する。例えば、推定部240は、動脈硬化の場合、体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪および尿酸のうち、条件の格納領域が示す条件を満たすと判定した、すなわち“1”が格納された割合に基づいて確率を算出する。あるいは、推定部240は、動脈硬化の場合、体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪および尿酸の各々に対する重み付けを予め設定する。そして、推定部240は、各データに対して設定された重み付けと、動脈硬化の格納領域に格納された“1”または“0”の数値とを加重加算して、動脈硬化を罹患する確率を算出してもよい。また、推定部240は、ニューラルネットワーク等の機械学習を、図5に示した判定表UAに適用することにより、各疾患を罹患する確率を推定してもよい。
なお、推定部240は、動脈硬化、脳血管疾患、虚血性心疾患、糖尿病、腎臓疾患および肝臓疾患以外の他の疾患の格納領域を有してもよい。例えば、健診テーブルKTには、腹痛、胃痛、下痢、便秘、嘔吐等の消化器系症状、呼吸苦、喘鳴、過呼吸等の呼吸器症状、胸痛、動悸等の循環器症状、かゆみ、発疹、脱毛等の皮膚症状、腰痛、頭痛、肩こり等の筋骨格系症状、不正出血、月経不順等の婦人科系症状、および頻尿等の泌尿器系症状の格納領域を有してもよい。この場合、推定部240が、消化器系症状、呼吸器症状、循環器症状、皮膚症状、筋骨格系症状、婦人科系症状および泌尿器系症状のいずれかを医師により診断された場合で、携帯通信端末100のユーザにおける活量値が40以下、または直近の2ヶ月間において15以上低下している場合、心身症を罹患する可能性が高いと推定することが好ましい。
図6は、図1に示した健康推定システムSYSにおける推定処理の一例を示す。図6に示した処理は、携帯通信端末100およびサーバ200の演算処理装置が健康推定プログラムを実行することにより実現される。すなわち、図6は、健康推定プログラムおよび健康推定方法の一実施形態を示す。なお、複数の携帯通信端末100が、ネットワークNWを介してサーバ200に接続される場合、複数の携帯通信端末100の各々とサーバ200との間で図6に示した処理が並列に実行される。
ステップS100では、制御部120は、入力部150を介して、携帯通信端末100のユーザによる健康推定プログラムの実行指示を受信した場合、マイク部110を用いてユーザが発話した音声データを取得する。
次に、ステップS110では、通信部130は、制御部120の制御指示に基づいて、ステップS100で取得した音声データをサーバ200に送信する。
次に、ステップS120では、通信部130は、ネットワークNWを介して、サーバ200により送信されたユーザに対する罹患するリスクの推定の結果と助言とを受信する。そして、制御部120は、受信された推定の結果と助言とを表示部140に出力し、表示部140は、推定の結果と助言とを表示する。表示部140が表示する推定の結果および助言については、図7および図8で説明する。
一方、ステップS200では、通信部210は、ネットワークNWを介して、ステップS110で携帯通信端末100により送信されたユーザの音声データを受信する。
次に、ステップS210では、算出部220は、ステップS200で受信されたユーザの音声データを用いて、携帯通信端末100のユーザの元気圧を算出する。また、算出部220は、元気圧を算出した時点を基準にして、所定の期間(例えば、14日間等)前までに算出した元気圧を用いて、平均的な元気圧である活量値を算出する。算出部220は、算出した元気圧および活量値を記憶部230に出力する。そして、記憶部230は、受信した元気圧および活量値を、携帯通信端末100のユーザを示す情報に対応付けして記憶する。
次に、ステップS220では、推定部240は、図4に示した健診テーブルKTに格納された携帯通信端末100のユーザの健診データを記憶部230から読み出し、携帯通信端末100のユーザが罹患する可能性のある疾患を推定する。例えば、推定部240は、読み出した健診データに含まれる各データが、複数の疾患の各々を罹患する条件を満たすか否かを判定し、携帯通信端末100のユーザに対して、図5に示した判定表UAを生成する。そして、推定部240は、判定表UAを用いて、動脈硬化等の各疾患を罹患する可能性を示す確率を算出する。例えば、推定部240は、動脈硬化の場合、体格指数(BMI)、血圧、総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール、中性脂肪および尿酸のうち、条件の格納領域が示す条件を満たすと判定した、すなわち“1”が格納された割合に基づいて、動脈硬化を罹患する確率を算出する。
次に、ステップS230では、推定部240は、ステップS210で算出された携帯通信端末100のユーザの活量値を記憶部230から読み出し、図3に示した活量値の時間変化に基づいて、携帯通信端末100のユーザにおける精神状態を推定する。
次に、ステップS240では、推定部240は、ステップS220で算出した各疾患を罹患する確率と、ステップS230で推定した精神状態とに基づいて、ステップS220で算出した確率が最も高い疾患を携帯通信端末100のユーザが罹患するリスクを推定する。
例えば、推定部240は、ステップS230で推定した携帯通信端末100のユーザの精神状態である活量値が40以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において15以上低下している場合、携帯通信端末100のユーザにおいて、確率が最も高い疾患を罹患するリスクが高いと推定する。また、推定部240は、例えば、活量値が30以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において20以上低下している場合、携帯通信端末100のユーザにおいて、確率が最も高い疾患を罹患するリスクが高く、罹患した場合に回復が困難と推定する。
一方、推定部240は、これら以外の場合、ユーザにおいて確率が最も高い疾患を罹患するリスクが低い、または精神状態がよいと推定する。
次に、ステップS250では、推定部240は、ステップS240で推定した疾患を罹患するリスクに応じた助言を決定する。例えば、記憶部230は、各疾患と精神状態との組み合わせに応じた助言を示す助言データを予め記憶し、推定部240は、推定した疾患を罹患するリスクに応じた助言を、助言データから決定する。
次に、ステップS260では、通信部210は、ステップS240で推定された携帯通信端末100のユーザが罹患するリスクの推定の結果と、ステップS250で決定された助言とを含む信号を、ネットワークNWを介して携帯通信端末100に送信する。
そして、健康推定システムSYSは、携帯通信端末100がユーザによる健康推定プログラムの実行指示を受ける度に、ステップS100からステップS120の処理、およびステップS200からステップS260の処理を繰り返し実行する。
なお、ステップS220の処理とステップS230の処理とは、図6に示した順序とは逆の順序で実行されてもよく、並列に実行されてもよい。
図7及び図8は、図1に示した表示部140に表示される推定の結果と助言との一例を示す。図7及び図8では、携帯通信端末100および表示部140を示し、携帯通信端末100に配置されるカメラや釦等の操作部材は省略される。なお、図7および図8に示した助言は、予め疾患毎に所定の形式で生成された文章を含むデータが、サーバ200の記憶部230に助言データとして記憶される。
また、助言データは、携帯通信端末100の記憶装置に記憶されてもよい。この場合、推定部240は、ステップS250で決定する助言として、助言データが記憶された携帯通信端末100の記憶装置におけるアドレスを決定する。
図7は、例えば、罹患するリスクが最も高い疾患として脳血管疾患が推定され、携帯通信端末100のユーザの活量値が40以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において15以上低下していると判定された場合の助言を示す。ここで、脳血管疾患に罹患しているリスクの判定は、例えば「(1)収縮期血圧が140mmHg以上」、「(2)拡張期血圧が90mmHg以上」、「(3)LDLコレステロールが140mg/dL以上」、「(4)HDLコルステロールが40mg/dL未満」、「(5)現在喫煙している」、「(6)BMIが25以上」の6項目が挙げられる。なお、これら6項目のうち4項目以上当てはまる場合に、脳血管疾患に罹患するリスクが高いと判定される。
図7に示した助言は、罹患するリスクが最も高いと推定された疾患を示す推定の結果(領域MS1)、推定された疾患に対する食事および睡眠等の改善を示す助言(領域MS2)、精神状態を高めるためのストレスコーピングを勧める助言(領域MS3)、および運動を勧める助言(領域MS4)等を含む。そして、図7に示した助言において、領域MS2の助言には、食生活を改善するための献立を示すウェブページ(例えば、URL(Uniform Resource Locator))が、“おすすめの献立”として表示されてもよい。また、領域MS3の助言には、例えば、ストレスコーピングを行うウェブページを示すURLが、“ストレスコーピングを行う”として表示されてもよい。また、領域MS4の助言には、例えば、おすすめの運動を示すウェブページを示すURLが、“おすすめの運動”として表示されてもよい。なお、URL等の情報は、助言データに含まれることが好ましい。
例えば、おすすめの運動であるウェブページでは、日常的な軽い運動と週に1−2回の有酸素運動を併せて行うことを提案する。例えば、毎日8000歩程度のウォーキングが日常的な軽い運動として提案される。なお、携帯通信端末100のユーザにより、ウォーキングが容易にできる場面が異なるため、勤労者や学生等の電車通勤や通学の場合には、一駅分を歩くことが提案されてもよい。また、主婦や主夫等の場合には、徒歩で買い物に行くことが提案されてもよい。また、休日には家族でのハイキング、オリエンテーリング、ウォークラリー等、ウォーキングを伴う屋外イベントが提案されてもよい。
また、おすすめの運動のウェブページでは、継続性の観点からユーザ自身が進んで行えるものを選択可能に複数の有酸素運動が提案されてもよい。例えば、有酸素運動として、ジョギング、水泳、エアロバイク(登録商標)、エアロビクス、ヨガ、ピラティス等が挙げられる。また、これらの運動を通して友達が出来ることにより、継続性がさらに高まり、メンタルヘルスの改善にも効果的であるので、行きつけのジムを作って通うように勧めることが好ましい。また、エアロビクスに代わるものとして、おすすめの運動のウェブページは、社交ダンス、フラダンス、ベリーダンス等の各種ダンス教室、あるいはディスコやライブハウスで踊ることを提案してもよい。
図8は、例えば、罹患するリスクが最も高い疾患として脳血管疾患が推定され、携帯通信端末100のユーザの活量値が30以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において20以上低下している場合の助言を示す。すなわち、図8は、携帯通信端末100のユーザにおける脳血管疾患を罹患するリスクが、図7の場合と比べて高い場合の助言を示す。図8に示した助言は、図7に示した助言と同様に、罹患するリスクが最も高いと推定された疾患を示す推定の結果(領域MS1)、および推定された疾患に対する食事および睡眠等の改善を示す助言(領域MS2)を含む。また、図8では、脳血管疾患を罹患するリスクが図7の場合と比べて高い(すなわち、緊急性が高い)ことから、精神状態を高めるために心療内科医や精神科医の診察の勧める助言(領域MS5)を含む。そして、領域MS5の助言には、近くの心療内科医や精神科医等の医者を検索するためのウェブページを示すURLが、“近くの医者を探す”として表示されるのが好ましい。
なお、推定部240は、携帯通信端末100のユーザにおいて確率が最も高い疾患を罹患するリスクが低い、または精神状態がよいと推定した場合、現在の生活習慣を維持するように推奨する内容の助言を決定する。
以上、図1から図8に示した実施形態では、サーバ200は、図4に示した健診テーブルKTに格納された携帯通信端末100のユーザの健診データを用いて判定表UAを生成し、携帯通信端末100のユーザが罹患する可能性のある疾患を推定する。また、サーバ200は、携帯通信端末100のユーザが発話した音声データを用いて活量値を算出し、算出した活量値の時間変化から、携帯通信端末100のユーザにおける精神状態を推定する。そして、サーバ200は、推定した疾患と精神状態とに基づいて、携帯通信端末100のユーザにおいて罹患する疾患のリスクを推定し、推定したリスクに対する助言を決定する。サーバ200は、推定の結果と助言とを、ネットワークNWを介して携帯通信端末100に送信し、携帯通信端末100は、受信した推定の結果と助言とを表示する。
これにより、携帯通信端末100のユーザは、受信した助言に基づいて疾患を予防または重症化を回避できる。すなわち、健康推定システムSYSは、身体の状態と心の状態とに基づいて、携帯通信端末100のユーザにおける身体の疾患の予防または重症化の回避を図ることができる。
また、健康推定システムSYSは、携帯通信端末100のユーザの元気圧をモニタリングすることで、元気圧を上げるための休憩や運動等の気分転換を図ろうとする意識を、ユーザに対して起こさせることができる。これにより、毎日体重計に乗って体重を測るのと同様に、自己の健康維持のための意識を向上させ、脳血管疾患や糖尿病等を未然に防ぐことができる。
図9は、健康推定システムの別の実施形態を示す。なお、図1で説明した要素と同一または同様の機能を有する要素については、同一または同様の符号を付し、これらについては、詳細な説明を省略する。
図9に示した健康推定システムSYS1は、例えば、携帯通信端末100、サーバ200および端末装置300を有する。携帯通信端末100は、携帯電話通信網またはWi−Fi等の通信規格に基づいて、ネットワークNWを介してサーバ200および端末装置300に接続される。
なお、図9では、1つの携帯通信端末100がサーバ200および端末装置300に接続されるが、2以上の複数の携帯通信端末100がサーバ200および端末装置300に接続されてもよい。
携帯通信端末100は、図1の場合と同様に、スマートフォンやタブレット型端末等であり、マイク部110、制御部120、通信部130、表示部140および入力部150を有する。例えば、携帯通信端末100に含まれるCPU等の演算処理装置は、携帯通信端末100に含まれるメモリ等の記憶装置に記憶される健康推定プログラムを実行することにより、制御部120として機能する。なお、制御部120は、携帯通信端末100に搭載されるハードウェアにより実現されてもよい。
図9に示したサーバ200は、CPU等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶部230とを有するコンピュータ装置等である。サーバ200は、通信部210、算出部220、記憶部230および推定部240を有する。例えば、サーバ200の演算処理装置は、記憶部230に記憶された健康推定プログラムを実行することにより、算出部220および推定部240として機能する。なお、算出部220および推定部240は、サーバ200に搭載されるハードウェアにより実現されてもよい。
記憶部230は、ハードディスク装置等であり、健康推定プログラムを記憶する。また、記憶部230は、算出部220により算出された携帯通信端末100のユーザの元気圧および活量値を受信し、携帯通信端末100のユーザを示す情報と対応付けして元気圧および活量値を記憶する。また、記憶部230は、携帯通信端末100のユーザにおける血液検査等を含む健康診断で測定された健診データを、携帯通信端末100のユーザを示す情報と対応付けした健診テーブルKTを予め記憶する。
なお、記憶部230は、対象者に発話させる所定の定型文のデータ、および厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムで示される職業性ストレス簡易調査票等のアンケートのデータを記憶してもよい。すなわち、健診テーブルKTには、例えば、職業性ストレス簡易調査票等のストレスに関するアンケートに対する、携帯通信端末100のユーザによる回答が格納されてもよい。例えば、サーバ200は、ストレスに関するアンケートのデータを携帯通信端末100に予め送信する。そして、携帯通信端末100の制御部120は、入力部150を介して、健康推定プログラムの実行指示を受けた場合、マイク部110を用いてユーザが発話した音声データを取得するとともに、アンケートを表示部140に表示させる。制御部120は、入力部150を介して、アンケートに対する携帯通信端末100のユーザの回答を回答データとして取得し、回答データをサーバ200に送信する。
この場合、算出部220は、例えば、職業性ストレス簡易調査票等のアンケートに応じて定義される採点の処理を、受信した携帯通信端末100のユーザの回答データに実行し、ユーザが受けているストレスに関する情報を取得する。なお、ストレスに関する情報には、携帯通信端末100のユーザが受けるストレス強度の尺度、ユーザの自覚症状の尺度、ユーザのストレスに対する耐性の尺度、ユーザのストレス状態からの回復性の尺度、およびユーザに対する周囲のサポートの尺度の少なくとも1つが含まれる。そして、算出部220は、例えば、ユーザが受けるストレス強度の尺度、ユーザの自覚症状の尺度、ユーザのストレスに対する耐性の尺度、ユーザのストレス状態からの回復性の尺度、およびユーザに対する周囲のサポートの尺度の少なくとも1つを用いて、ユーザにおけるストレスリスク値を算出する。ストレスリスク値は、ストレス値の一例である。
なお、算出部220が携帯通信端末100に配置される、すなわち携帯通信端末100の制御部120が算出部220として動作する場合、制御部120は、取得した回答データに採点の処理を実行し、ユーザが受けているストレスに関する情報を取得してもよい。そして、制御部120は、ユーザにおけるストレスリスク値を算出し、携帯通信端末100は、制御部120により算出されたストレスリスク値をサーバ200に送信し、サーバ200は、受信した携帯通信端末100のユーザのストレスリスク値を記憶部230に記憶する。この場合、携帯通信端末100は、携帯通信端末100のユーザの回答データのサーバ200への送信を省略してもよい。
算出部220がサーバ200にある場合は、携帯通信端末100側に算出部220が必要ないので、携帯通信端末100の自由度が増すという点で利点があり、一方算出部220が携帯通信端末100側にある場合は、回答データ自体をサーバ200に送信しないので送信負荷が低減できるという利点がある。
なお、ストレスリスク値を算出するのに用いる尺度は、アンケートの内容や、携帯通信端末100のユーザが置かれている状況等に応じて、適宜決定されることが好ましい。そして、算出部220は、取得したストレスに関する情報および算出したストレスリスク値を回答データとともに記憶部230に出力し、携帯通信端末100のユーザを示す情報に対応付けしてストレスリスク値および回答データを健診テーブルKTに格納する。これにより、推定部240は、ストレスに関する情報、ストレスリスク値および回答データが含まれる健診テーブルKTと、活量値とを用い、携帯通信端末100のユーザの精神状態をより正確に推定できる。
また、携帯通信端末100のユーザが受けているストレス強度の尺度は、ユーザが質問に回答する時点でユーザが受けているストレスの強度を示す。ストレス強度の尺度は、例えば、職業性ストレス簡易調査票の場合、全57問のうち領域「A」に含まれる17問に対する回答から求められる。なお、ストレス強度の尺度は、職業性ストレス簡易調査票等のように職場における心理的な負担の原因だけでなく、私生活一般におけるストレス要因と合わせて求められてもよい。また、例えば、対人ストレスイベント尺度(橋本剛、“大学生における対人ストレスイベント分類の試み”、社会心理学研究、第13巻第1号、pp.64-75、1997)等を用いて、ストレス強度の尺度が求められてもよい。
また、ユーザの自覚症状の尺度は、ユーザが回答している時点における心理状態を示すもので、例えば、職業性ストレス簡易調査票の場合、領域「B」に含まれる29問に対する回答から求められる。自覚症状の尺度は、心理的な負担による心身の自覚症状をチェックするものであり、ストレスを受けた結果の状態を表す。なお、自覚症状の原因となるストレスの要因は、仕事に限らない。また、自覚症状の尺度は、例えば、Beck Depression Inventory (Beck et al.、“An Inventory for measuring depression”、Arch. Gen. Psychiatry、Vol.4、pp.561-571、1961)や、Self-Rating Depression Scale(Zunk et al.、“Self-Rating Deppression Scale in an Outpatient Further Validation of the SDS”、Arch. Gen. Psychiatry、Vol.13、pp.508-515、1965)等のうつ状態を測る尺度を用いて、求められてもよい。
また、ユーザへの周囲のサポートの尺度は、職場の上司や同僚、家族、友人、近隣の人々等、携帯通信端末100のユーザと接する人による協力の体制の状況を示す。ユーザへの周囲のサポートの尺度は、例えば、職業性ストレス簡易調査票の場合、領域「C」に含まれる9問の回答から求められる。周囲のサポートの尺度は、周囲のサポートが大きくなるに従って、携帯通信端末100のユーザが受けるストレスが緩和されやすいことを示し、ユーザのストレス耐性が高まる。なお、周囲のサポートの尺度は、大学生用ソーシャルサポート尺度(片受靖、大貫尚子、“大学生用ソーシャルサポート尺度の作成と信頼性・妥当性の検討”、立正大学心理学研究年報、第5号、pp.37-46、2014)等を用いて求められてもよい。
また、ユーザのストレスに対する耐性の尺度は、同じ程度のストレスを受けた場合に、精神的な障害を招きやすいかどうかを示す尺度であり、例えば、職業性ストレス簡易調査票の場合、領域「A」から領域「C」の設問の一部の回答を用いて求められる。なお、ストレスの耐性の尺度を求めるにあたり、どの設問の回答を用いて求めるかについては、適宜決定されることが好ましい。すなわち、ストレスの耐性の尺度については、ストレス脆弱性モデルで説明されているように、同じストレスを受けても発症する人と発症しない人が存在し、携帯通信端末100のユーザがストレスに対する脆弱性が大きければ(耐性が小さければ)、小さいストレスでも発症する可能性が高くなる。そこで、算出部220は、ストレスの負荷と同時に、ユーザのストレス耐性を算出することにより、病気に罹る危険度をより正確に求めることができる。
なお、ストレス耐性は、脆弱性(バルナラビリティ)と回復性(レジリエンス)との2つの要素を含み、2つの要素が互いに重なる部分もあると考えられている。ストレスの耐性の尺度を求めるにあたり、2つの要素のうち一方の要素が用いられてもよく、両方の要素が用いられてもよい。発症の過程では複数のリスク要因が関連することから、ストレスの耐性の尺度のうち、脆弱性の尺度を求めることについて、様々なリスク要因の観点から検討されている。例えば、脆弱性の尺度として、自己愛的脆弱性尺度短縮版(上地雄一郎、宮下一博、“対人恐怖傾向の要因としての自己愛的脆弱性,自己不一致,自尊感情の関連性”、パーソナリティ研究、第17巻、pp.280-291、2009)がある。また、別の脆弱性の尺度として、Rumination-Reflection Questionnaire 日本語版(高野慶輔、丹野義彦、“Rumination-Reflection Questionnaire 日本語版作成の試み”、パーソナリティ研究、第16巻、pp.259-261、2008)や、日本語版Brief Core Schema Scale(山内貴史、須藤杏寿、丹野義彦、“日本語版Brief Core Schema Scaleの信頼性・妥当性”、心理学研究、第79巻、pp.498-505、2009)等がある。
また、レジリエンス(回復性)は、心理学においては通常ストレスに対する防衛因子を意味しており、ストレスへの抵抗力と病気に罹った場合の回復力を示す。レジリエンスには、生来備わっている資質的レジリエンスと、生まれた後に獲得される獲得的レジリエンスとがあると考えられている。レジリエンスの尺度については、例えば、二次元レジリエンス要因尺度(平野真理、“レジリエンスの資質的要因・獲得的要因の分類の試み”、パーソナリティ研究、第19巻、pp.94-106、2010)等がある。なお、資質的レジリエンスは、楽観性、統御力、社交性、行動力の4因子、獲得的レジリエンスは、問題解決志向、自己理解、他者心理の理解の3要因がそれぞれ下位尺度として捉えられている。レジリエンスも対象者により異なることから、ストレスの負荷と同時に対象者のレジリエンスを合わせて測ることにより、病気に罹る危険度をより正確に求めることができる。
なお、アンケートの回答は、マークシート方式等のアンケートの紙面を用いて行われてもよい。この場合、携帯通信端末100のユーザの回答の結果は、マークシートを読み取る装置を用いて読み取られ、サーバ200に送信されてもよい。あるいは、ネットワークNWに接続されたコンピュータ装置等の端末装置を用いて、アンケートに対する回答を、携帯通信端末100のユーザに行わせてもよい。この場合、例えば、e−ラーニングのような、社内向けまたは一般向けにネットワーク上に供されたアンケートに回答する形式であれば、利便性の点から好ましい。
また、アンケートの回答は、携帯通信端末100のユーザ毎にスタンドアローンの状態で行い、採点もユーザ自身で計算し、採点結果(ストレスリスク値)のみをオンラインで入力する方法としてもよい。この場合、回答内容の詳細については、携帯通信端末100またはサーバ200上に記録されない。
上述した種々のストレス尺度や心理尺度のアンケートは、活量値が一定期間以上低いか、低下傾向を示している場合に、活量値が低下している原因を見出すツールとして用いることができる。これにより、問題焦点型ストレスコーピングと情動焦点型ストレスコーピングのどちらを優先的に提案するかを決定することができる。即ち、ストレスが症状に合わらわれる場合、その主たる原因がストレスの量が極端に大きくなったのか、または個人の物事に対する捉え方に歪があるのかにより、それぞれ問題焦点型ストレスコーピングと情動焦点型ストレスコーピングを提案することができる。
端末装置300は、CPU等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶装置と、キーボード等の入力装置と、液晶等のディスプレイとを有するコンピュータ装置である。端末装置300は、例えば、心療内科医、精神科医や産業医等の医療従事者により使用され、サーバ200の記憶部230に記憶された各携帯通信端末100のユーザの健診データ、元気圧、活量値、ストレスリスク値、回答データ等の情報を閲覧できる。また、端末装置300は、医療従事者による操作に基づいて、各ユーザの情報を表示するとともに、医療従事者により携帯通信端末100のユーザに対するカウンセリングや心理的介入等が必要と判断された場合、携帯通信端末100にその旨を通知する。
図10および図11は、図9に示した健康推定システムSYS1における推定処理の一例を示す。図10および図11に示した処理は、携帯通信端末100、サーバ200および端末装置300の演算処理装置が健康推定プログラムを実行することにより実現される。すなわち、図10および図11は、健康推定プログラムおよび健康推定方法の別の実施形態を示す。
なお、図10および図11に示した処理では、職業性ストレス簡易調査票等のストレスに関するアンケートに対する回答が、携帯通信端末100のユーザにより行われる場合を示す。
ステップS100aでは、制御部120は、入力部150を介して、携帯通信端末100のユーザによる健康推定プログラムの実行指示を受信した場合、マイク部110を用いてユーザが発話した音声データを取得する。また、制御部120は、サーバ200から予め受信した職業性ストレス簡易調査票等のアンケートを表示部140に表示させる。そして、制御部120は、入力部150を介して、アンケートに対する携帯通信端末100のユーザの回答を回答データとして取得する。
次に、ステップS110aでは、通信部130は、制御部120の制御指示に基づいて、ステップS100で取得した音声データおよび回答データをサーバ200に送信する。
次に、ステップS120では、通信部130は、ネットワークNWを介して、サーバ200により送信されたユーザに対する罹患するリスクの推定の結果と助言とを受信する。そして、制御部120は、受信された推定の結果と助言とを表示部140に出力し、表示部140は、推定の結果と助言とを表示する。
一方、ステップS200aでは、通信部210は、ネットワークNWを介して、ステップS110aで携帯通信端末100により送信されたユーザの音声データおよび回答データを受信する。
次に、ステップS210aでは、算出部220は、図4の場合と同様に、ステップS200aで受信されたユーザの音声データを用いて、携帯通信端末100のユーザの元気圧および活量値を算出する。そして、算出部220は、算出した元気圧および活量値を記憶部230に出力し、記憶部230は、受信した元気圧および活量値を、携帯通信端末100のユーザを示す情報に対応付けして記憶する。
また、算出部220は、ステップS200aで受信した回答データに、職業性ストレス簡易調査票等のアンケートに応じて定義される採点の処理を実行し、携帯通信端末100のユーザが受けているストレスに関する情報を取得する。算出部220は、取得したストレスに関する情報に含まれるユーザが受けるストレス強度の尺度、ユーザの自覚症状の尺度、ユーザのストレスに対する耐性の尺度、ユーザのストレス状態からの回復性の尺度、およびユーザに対する周囲のサポートの尺度の少なくとも1つを用いて、携帯通信端末100のユーザにおけるストレスリスク値を算出する。
そして、算出部220は、取得した携帯通信端末100のユーザのストレスに関する情報、および算出したストレスリスク値を記憶部230に出力する。記憶部230は、受信したストレスに関する情報およびストレスリスク値を、携帯通信端末100のユーザを示す情報に対応付けして健診テーブルKTに格納する。
次に、ステップS220では、推定部240は、図6の場合と同様に、図4に示した健診テーブルKTに格納された携帯通信端末100のユーザの健診データを記憶部230から読み出し、携帯通信端末100のユーザが罹患する可能性のある疾患を推定する。例えば、推定部240は、読み出した健診データに含まれる各データが、複数の疾患の各々を罹患する条件を満たすか否かを判定し、携帯通信端末100のユーザに対して、図5に示した判定表UAを生成する。そして、推定部240は、判定表UAを用いて、動脈硬化等の各疾患を罹患する可能性を示す確率を算出する。
次に、ステップS230aでは、推定部240は、ステップS210aで算出された携帯通信端末100のユーザの活量値およびストレスリスク値等を記憶部230から読み出し、図3に示した活量値の時間変化およびストレスリスク値等に基づいて、携帯通信端末100のユーザにおける精神状態を推定する。
次に、ステップS240では、推定部240は、ステップS220で算出した各疾患を罹患する確率と、ステップS230aで推定した精神状態とに基づいて、ステップS220で算出した確率が最も高い疾患を携帯通信端末100のユーザが罹患するリスクを推定する。
例えば、推定部240は、ステップS230aで推定した携帯通信端末100のユーザの精神状態である活量値が40以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において15以上低下している場合、携帯通信端末100のユーザにおいて、確率が最も高い疾患を罹患するリスクが高いと推定する。また、推定部240は、例えば、活量値が30以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において20以上低下している場合、携帯通信端末100のユーザにおいて、確率が最も高い疾患を罹患するリスクが高く、罹患した場合に回復が困難と推定する。
一方、推定部240は、これら以外の場合、ユーザにおいて確率が最も高い疾患を罹患するリスクが低い、または精神状態がよいと推定する。
次に、ステップS250では、推定部240は、ステップS240で推定した疾患を罹患するリスクに応じた、図7または図8に示すように、携帯通信端末100のユーザに対する助言を決定する。
次に、ステップS260では、通信部210は、ステップS240で推定された携帯通信端末100のユーザが罹患するリスクの推定の結果と、ステップS250で決定された助言とを含む信号を、ネットワークNWを介して携帯通信端末100に送信する。
次に、ステップS270では、推定部240は、ステップS240で推定した推定の結果において、確率が最も高い疾患を罹患した場合に回復が困難であると推定したか否かを判定する。回復が困難と推定した場合、サーバ200の処理はステップS280に移る。一方、回復が困難でないと推定した場合、サーバ200は、推定処理を終了する。
ステップS280では、推定部240は、回復が困難と推定した携帯通信端末100のユーザの推定の結果を、ネットワークNWを介して医療従事者の端末装置300に送信する。そして、サーバ200は、推定処理を終了する。
一方、ステップS300では、端末装置300は、ステップS280でサーバ200により送信された携帯通信端末100のユーザの推定の結果を受信する。端末装置300は、受信した携帯通信端末100のユーザの推定の結果を、端末装置300のディスプレイに表示する。そして、産業医等の医療従事者は、端末装置300を介して、罹患するリスクが高いと推定された疾患が罹患しないように、携帯通信端末100のユーザに対し精神状態を高めるためのケア等の処置を行う。これにより、携帯通信端末100のユーザに対する処置を迅速に始めることができ、罹患するリスクが高いと推定された疾患の予防や重症化の回避を図ることができる。この場合、医療従事者は、例えば、端末装置300を用いて、サーバ200の記憶部230に記憶された携帯通信端末100のユーザの健診データ、元気圧、活量値、ストレスリスク値、回答データ等の情報を閲覧することが好ましい。そして、医療従事者は、ユーザに対するカウンセリングや心理的介入等が必要と判断した場合、端末装置300を用いて、ユーザの携帯通信端末100にその旨を通知、あるいは医療従事者と面談するよう指示することが好ましい。
また、医療従事者は、携帯通信端末100のユーザにおける推定の結果から、ストレスが高いと判定した場合、端末装置300を用いて、ユーザに対していくつかの尺度によるテストを、ユーザの携帯通信端末100に出力し、ユーザによる回答の結果から、ストレスが高い原因や障害の程度等を判定し、ユーザに適切な介入プログラムを施してもよい。あるいは、医療従事者は、ユーザとの面談に基づいて、精神疾患のリスクがあると認められた場合、端末装置300を用いて、リスクの程度に応じて、ユーザに心理教育や心理療法等を行ってもよく、精神科医や心療内科医等の他の医師を紹介してもよい。さらに、医療従事者は、端末装置300を用いて、高いリスクのユーザと接する家族や友人等に対しても心理教育を行うことにより、メンタルヘルスに関する正しい認知と理解の向上とを図ってもよい。
そして、健康推定システムSYS1は、携帯通信端末100がユーザによる健康推定プログラムの実行指示を受ける度に、ステップS100a、ステップS110a、ステップS120の処理、ステップS200a、ステップS210a、ステップS220、ステップS230a、ステップS240からステップS280の処理、およびステップS300の処理を繰り返し実行する。
なお、ステップS220の処理とステップS230aの処理とは、図10に示した順序とは逆の順序で実行されてもよく、並列に実行されてもよい。
以上、図9から図11に示した実施形態では、サーバ200は、健診テーブルKTに格納された携帯通信端末100のユーザの健診データを用いて判定表UAを生成し、携帯通信端末100のユーザが罹患する可能性のある疾患を推定する。また、サーバ200は、携帯通信端末100のユーザが発話した音声データを用いて活量値を算出するとともに、ストレスに関するアンケートに対する回答データを用いてストレスリスク値等を算出する。そして、サーバ200は、算出した携帯通信端末100のユーザの活量値の時間変化およびストレスリスク値等に基づいて、ユーザにおける精神状態を推定する。そして、サーバ200は、推定した疾患と精神状態とに基づいて、携帯通信端末100のユーザにおいて罹患する疾患のリスクを推定し、推定したリスクに対する助言を決定する。サーバ200は、推定の結果と助言とを、ネットワークNWを介して携帯通信端末100に送信し、携帯通信端末100は、受信した推定の結果と助言とを表示する。
これにより、携帯通信端末100のユーザは、受信した助言に基づいて疾患を予防または重症化を回避できる。すなわち、健康推定システムSYS1は、身体の状態と心の状態とに基づいて、携帯通信端末100のユーザにおける身体の疾患の予防または重症化の回避を図ることができる。
また、サーバ200は、携帯通信端末100のユーザに対する罹患するリスクが、確率が最も高い疾患を罹患した場合に回復が困難であると推定した場合、ユーザにおける推定の結果を医療従事者の端末装置300に送信する。これにより、医療従事者は、罹患するリスクが高い疾患の予防や重症化の回避のための携帯通信端末100のユーザに対する処置を迅速に始めることができる。
また、健康推定システムSYS1は、携帯通信端末100のユーザの元気圧をモニタリングすることで、元気圧を上げるための休憩や運動等の気分転換を図ろうとする意識を、ユーザに対して起こさせることができる。これにより、毎日体重計に乗って体重を測るのと同様に、自己の健康維持のための意識を向上させ、脳血管疾患や糖尿病等の疾患を未然に防ぐことができる。
<実施例>
図12は、健康推定システムの別の実施形態を示す。
以下、脳血管疾患や糖尿病などの推定を行う場合について説明する。例えば糖尿病等の生活習慣病は、運動、食事、睡眠、その他の生活習慣の乱れから引き起こされる身体の疾患であり、また、生活習慣の乱れは精神疾患のリスクも高めることに繋がる。
図12に示すように、推定システムSYS2は、図1と同様に、携帯通信端末100およびサーバ200を有し、これらは、ネットワークNWを介して接続される。図12における携帯通信端末100およびサーバ200の構成は、図1と同一の構成であることから、ここでは詳細については省略する。
携帯通信端末100やサーバ200には、血圧計260、歩数計270、睡眠計280などがネットワークNWを介して接続される。血圧計260は、例えばリストバンド式の機器が用いられ、ユーザの収縮期血圧と拡張期血圧とを測定する。血圧計260は、ネットワークNWを介して、携帯通信端末100又はサーバ200に接続される。血圧計260は、測定したデータをサーバ200に送信する。サーバ200は、血圧計260から送信されたデータを受信し、記憶部230の所定の記憶領域に記憶する。
歩数計270は、ユーザの体重・性別・年齢などを入力して運動消費量を表示するもの、1日の運動強度のグラフを作成できるもの、適切なウォーキングのピッチを教えるもの、歩幅を入力して歩行距離を表示するもの等のいずれかが用いられる。また、歩数計270としては、腰に装着するタイプ、ポケットに入れるタイプ、手首に装着するタイプ、ネクタイピンやベルトに内蔵させるタイプのいずれかが用いられる。なお、携帯通信端末100が歩数計270として機能するためのアプリケーション(プログラム)を携帯通信端末100の記憶部に記憶させておき、ユーザの選択操作により該プログラムを実行させるものであってもよい。歩数計270は、ネットワークNWを介して、携帯通信端末100又はサーバ200に接続される。歩数計270は、測定したデータをサーバ200に送信する。サーバ200は、歩数計270から送信されたデータを受信し、記憶部230の所定の記憶領域に記憶する。
睡眠計280は、ユーザが就寝するベッドや布団の近傍に配置され、内蔵された電波センサがユーザの就寝中の寝返りなどを測定するものや、ユーザの腕に装着され、内蔵された加速度センサ等によりユーザの動きを検出するものが挙げられる。なお、これら睡眠計280は、レム睡眠とノンレム睡眠との期間を求めることによりユーザの睡眠時間を算出する。なお、携帯通信端末100が睡眠計280として機能するためのアプリケーション(プログラム)を携帯通信端末100の記憶部に記憶させておき、ユーザの選択操作により該プログラムを実行させるものであってもよい。睡眠計280は、ネットワークNWを介して、携帯通信端末100又はサーバ200に接続される。睡眠計280は、測定したデータをサーバ200に送信する。サーバ200は、睡眠計280から送信されたデータを受信し、記憶部230の所定の記憶領域に記憶する。
ここで、上述した血圧計260、歩数計270、睡眠計280は、異なる装置とした場合を例に挙げているが、これら計測機器の機能を集約した機器を用いることも可能である。
図12に示す健康推定システムSYS2において実行される推定処理は、図1に示す健康推定システムSYSと同様に、携帯通信端末100およびサーバ200の演算処理が健康推定プログラムを実行することにより実現される。なお、図12に示す健康推定システムSYS2にて実施される健康推定プログラムは、図6に示す処理と同一であるので、ここでは省略する。ここで、罹患するリスクが最も高い疾患として糖尿病を取り上げる場合、(1)空腹時血糖が110mg/dL以上、(2)HbA1c(NGSP)が6.0%以上、(3)BMIが25以上、(4)腹囲が男性の場合85cm以上、女性の場合90cm以上、のうち2つ以上が当てはまるか否か、また、ユーザの活量値(メンタル値)が40以下を示す、または活量値が直近の2ヶ月間において15以上低下しているか否かを判定することで、糖尿病であるリスクが高いか否かの推定が実施される。なお、この他に、血圧、総コルステロール、LDLコルステロールおよび尿素窒素が基準値より高いか否かも上記推定に含めることも可能である。
なお、音声データの取得及びメンタル値の算出は以下の通りである。
被験者は、スマートフォンなどの携帯通信端末にて実行することができるアプリケーションソフトであるMIMOSYS(登録商標)を用いて、ほぼ毎日1〜2回通話を行い、通話内における発話を解析し、メンタル値を求めた。メンタル値としてはMIMOSYSの心の活量値を採用した。発話の解析は30日間行い、14日目から30日目までの「心の活量値(図3に示す活性値に相当)」の一例を図13に示す。図13に示した「心の活性値」は、上述した元気圧から求められる。
なお、元気圧は発話1回毎の元気度を表し、「心の活量値」は元気圧の直近14日分の平均と分散などから求められる値であって、「心の活量値」が低いときは感情が表出されていないことを示している。電話による自然発話では、話す相手や状況によって心の状態が異なるので、健常人は元気圧が上下するのが普通である。しかし大うつ病など抑うつ症状が続いている場合は、常に元気が無く感情が表出されないので、元気圧は低い状態が続き、その結果「心の活量値」が低くなる。
次に、被験者における健康診断データの一例を図14に示す。例えば、被験者は、従事している会社の健康保険組合において実施する健康診断を、少なくとも年に1回受けている。なお、図14は、各被験者において、平成29年4月から平成30年3月の間に受けた健康診断における血液検査等の各種検査の結果の一例を示す。なお、この健康診断データは、健診テーブルKTに含まれる健診データに相当する。
被験者は、生活習慣についての質問に回答している。生活習慣についての問診票の一例を図15に示す。生活習慣についての質問は、食事、睡眠、運動の少なくとも1つを含む。例えば食事については、「(1)間食:間食をとるのが週に3回以上である。」、「(2)夜食:睡眠前2時間以内に夜食をとることが週に3回以上である。」、「(3)朝食:週に3回以上朝食を抜く。」などが挙げられる。睡眠については、「(1)入眠障害:寝床に入ってから1時間以上寝付けないこと日が2日以上である。」、「(2)中途覚醒:夜中に起きることが週3日以上である。」、「(3)早朝覚醒:予定より1時間以上前に起きることが週2回以上である。」などが挙げられる。さらに、運動については、「(1)平均的に一日8000歩以上歩いている。」、「(2)息がはずむような運動を30分以上 週2回以上行っている」などが挙げられる。なお、生活習慣についての質問は、「はい」か「いいえ」で回答する。なお、図15中「0」は「いいえ」、「1」は「はい」に相当している。
同時に、被験者に対して、ストレス耐性度の試験を行った。なお、ストレス耐性度の試験は、例えば日本大学の林・村上氏らによって作成されたストレス耐性度チェックリストを用いて行った。図16は、ストレス耐性度チェックリストの一例を示す。このストレス耐性度チェックリストをおこなった試験では、点数が50〜80の場合、ストレスに強い(ストレス耐性が高い)と判定される。また、点数が40〜50の場合、ストレスに強くも弱くもないと判定される。また、点数が20〜40の場合、ストレスに弱い(ストレス耐性が低い)と判定される。
図12に示す健康推定システムでは、脳血管疾患や糖尿病などが被験者毎に推定される。この推定は、図13に示す心の活性値の推移と、ストレス耐性度及び生活習慣についての問診票の結果に基づいている。なお、図17は、ストレス耐性度及び生活習慣についての問診票の結果の一例を示している。図17におけるストレス耐性の値は、ストレスリスク値の値である。
例えば、被験者A及び被験者Bは、ストレス耐性が高く、適度な食事と良好な睡眠とを取っており、また、適度な運動をしていると判断される。したがって、被験者A及び被験者Bは、疾患リスクは高くないと判定される。一方、被験者C、D、E、Gは、ストレス耐性が低い。なお、被験者Cは、比較的良好な食事を取っているが、良好な睡眠をとれておらず、また、適度な運動を行っていないと判断される。したがって、対象者Cは、脳血管疾患や糖尿病に関して高リスクと判定される。また、対象者Dは、良好な食事を取っていないと判断できるが、入眠障害ではあるが良好な睡眠や適度な運動をしていると判断される。その結果、対象者Dは、糖尿病に関して高リスクと判定される。また、被験者Eは、ストレス耐性が比較的低く、生活習慣も比較的悪く、更にMIMOSYSの測定によるメンタル値は2週間に15以上低下していると判断される。その結果、被験者Eは、脳血管疾患や糖尿病に関して高リスクと判定され、さらに、継続して高ストレスの状態にあり精神疾患の罹患リスクが高いと判定される。なお、被験者Fについては、生活習慣が良好であることから、脳血管疾患や糖尿病に関する疾患リスクは低いと判定される。また、被験者Gについては、検診データとしては現時点では問題ないが、生活習慣が比較的悪くストレス耐性も低い。その結果、過度なストレスにさらされた場合に、過食が起こりメタボリックシンドロームから糖尿病に罹るリスクがあると判定される。被験者Hについては、検診データ及び生活習慣ともに問題なく、疾患リスクは低いと判定される。また、被験者Iについては中性脂肪とBMIが高く、糖尿病に関して高リスクと判定される。また、被験者A、B、C、D、F、H、Iについては、MIMOSYSの測定によるメンタル値は低くなく、また低下傾向にもないので、メンタル面は健康と判定される。そして、被験者Gのメンタル値は極めて高く、なんらかの気分障害のリスクがあると判定される。
被験者A〜Iには該当者はいなかったが、上述の各種疾患のリスクが高い場合に、メンタル値が低くなると、更にリスクが高くなるとともに、罹患した場合に回復が困難となるため、特に注意が必要である。
例えば、被験者Cに対しては、図18(a)に示す助言が提示される。助言は、被験者Cが有する携帯通信端末100及び表示部140aに表示される。領域MS1に表示される内容としては、「脳血管疾患の罹患リスクがあります。また糖尿病の罹患リスクが高いです。」等である。
また、領域MS2に表示される内容としては、「食事は控えめにし全体のエネルギー摂取量を抑えてください。夜食はとらないようにしましょう。特に糖分を摂取することは控えましょう。」等である。
また、領域MS3に表示される内容としては、「メンタルは特に問題ありませんが、メンタル値が下がってくると疾患リスクが高くなりますので、日ごろからストレスコーピングを行いましょう。」等である。さらに、領域MS4に表示される内容としては、「自分で続けられる運動を選び、習慣づけてください。」等である。
例えば、被験者Dに対しては、図18(b)に示す助言が提示される。助言は、被験者Dが有する携帯通信端末100及び表示部140に表示される。領域MS1に表示される内容としては、「糖尿病の罹患リスクがあります。」等である。
また、領域MS2に表示される内容としては、「食事は控えめにし全体のエネルギー摂取量を抑えてください。間食はなるべくとらないようにしましょう。特に糖分を摂取することは控えましょう。但し、甘いものが好きな場合には全くとらないでいるとストレスになるので、チョコレートなどを少量摂るようにしてください。」等である。
また、領域MS3に表示される内容としては、「メンタルは特に問題ありませんが、平均より少し低めですので、楽しい趣味を持ち日ごろからストレスコーピングを行いましょう。」等である。さらに、領域MS4に表示される内容としては、「運動することは、エネルギーの消費になり且つストレスコーピングにもなります。ハイキングやエアロビなどに挑戦してはいかがでしょうか。」等である。
なお、詳細は図示を省略するが、被験者E、G、Iに対しても、各被験者が有する携帯通信端末100及び表示部140に同様に、助言が表示される。
これにより、ユーザの元気圧だけでなく、ユーザの血圧、睡眠、運動量、ストレス耐性等をモニタリングすることで、元気圧を上げるための休憩や運動等の気分転換を図ろうとする意識を、ユーザに対して起こさせることができる。これにより、毎日体重計に乗って体重を測るのと同様に、自己の健康維持のための意識を向上させ、脳血管疾患や糖尿病等の疾患を未然に防ぐことができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
100…携帯通信端末;110…マイク部;120…制御部;130,210…通信部;140…表示部;150…入力部;200…サーバ;220…算出部;230…記憶部;240…推定部;300…端末装置;KT…健診テーブル;MS1−MS5…領域;NW…ネットワーク;UA…判定表;SYS,SYS1,SYS2…健康推定システム

Claims (17)

  1. 少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して前記通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムであって、
    前記通信端末は、
    検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得する取得部と、
    前記音声データを前記サーバに送信する第1送信部と、
    前記音声データを用いて前記サーバにより推定された前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記サーバから受信する第1受信部とを備え、
    前記サーバは、
    前記音声データを前記通信端末から受信する第2受信部と、
    受信した前記音声データを用いて、前記対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、
    記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出された前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信する第2送信部とを備える
    ことを特徴とする健康推定システム。
  2. 請求項1に記載の健康推定システムにおいて、
    前記記憶部は、前記メンタル値と前記可能性のある疾患とに応じた前記対象者に対する助言を示す助言データを記憶し、
    前記推定部は、前記メンタル値と前記可能性のある疾患とに基づいて、前記対象者に対する助言を前記助言データから決定し、
    前記第2送信部は、前記推定の結果と、決定した前記助言とを前記通信端末に送信する
    ことを特徴とする健康推定システム。
  3. 請求項2に記載の健康推定システムにおいて、
    前記記憶部は、ストレスに関するアンケートに対する前記対象者の回答を示す回答データを記憶し、
    前記算出部は、前記回答データを前記記憶部から読み出して、前記対象者がストレスの影響を受けている度合いを示すストレス値を算出し、
    前記推定部は、前記ストレス値と前記メンタル値と推定した前記可能性のある疾患とに基づいて、前記対象者に対する助言を前記助言データから決定する
    ことを特徴とする健康推定システム。
  4. 請求項2に記載の健康推定システムにおいて、
    前記取得部は、ストレスに関するアンケートに対する前記対象者の回答を示す回答データを取得し、
    前記第1送信部は、前記回答データを前記サーバに送信し、
    前記算出部は、受信した前記回答データを用いて、前記対象者においてストレスの影響を受けている度合いを示すストレス値を算出し、
    前記推定部は、前記ストレス値と前記メンタル値と推定した前記可能性のある疾患とに基づいて、前記対象者に対する助言を前記助言データから決定する
    ことを特徴とする健康推定システム。
  5. 少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して前記通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムであって、
    前記通信端末は、
    検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得する取得部と、
    取得した前記音声データを用いて、前記対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、
    前記メンタル値を前記サーバに送信する第1送信部と、
    前記メンタル値を用いて前記サーバにより推定された前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記サーバから受信する第1受信部とを備え、
    前記サーバは、
    前記メンタル値を前記通信端末から受信する第2受信部と、
    記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信された前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信する第2送信部とを備える
    ことを特徴とする健康推定システム。
  6. 請求項5に記載の健康推定システムにおいて、
    前記記憶部は、前記メンタル値と前記可能性のある疾患とに応じた前記対象者に対する助言を示す助言データを記憶し、
    前記推定部は、前記メンタル値と前記可能性のある疾患とに基づいて、前記対象者に対する助言を前記助言データから決定し、
    前記第2送信部は、前記推定の結果と、決定した前記助言とを前記通信端末に送信する
    ことを特徴とする健康推定システム。
  7. 請求項6に記載の健康推定システムにおいて、
    前記取得部は、ストレスに関するアンケートに対する前記対象者の回答を示す回答データを取得し、
    前記算出部は、取得した前記回答データを用いて、前記対象者においてストレスの影響を受けている度合いを示すストレス値を算出し、
    前記第1送信部は、前記ストレス値を前記サーバに送信し、
    前記推定部は、前記メンタル値と、受信した前記ストレス値と、推定した前記可能性のある疾患とに基づいて、前記対象者に対する助言を前記助言データから決定する
    ことを特徴とする健康推定システム。
  8. 請求項3、請求項4および請求項7のいずれか1項に記載の健康推定システムにおいて、
    前記助言データの前記助言の各々が示す内容は、前記可能性のある疾患に応じて、前記対象者の前記メンタル値を上昇させる、または前記対象者の前記ストレス値を低下させる内容に予め決定されることを特徴とする健康推定システム。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の健康推定システムにおいて、
    前記ネットワークに接続され、医療従事者によって操作される端末装置をさらに備え、
    前記第2送信部は、前記推定の結果を前記通信端末とともに前記端末装置に送信する
    ことを特徴とする健康推定システム。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の健康推定システムにおいて、
    前記推定部は、前記健診データに含まれる体格指数、空腹時血糖、ヘモグロビンA1c、血圧、総コルステロール、LDLコルステロールおよび尿素窒素の各々が基準値より高く、HDLコルステロールが基準値より低く、かつ前記メンタル値が第1の所定値以下を示す、または前記メンタル値が所定の期間において第2の所定値以上低下している場合、前記可能性のある疾患として糖尿病を推定することを特徴とする健康推定システム。
  11. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の健康推定システムにおいて、
    前記推定部は、前記健診データに含まれる血圧が基準値より高く、かつ前記メンタル値が第1の所定値以下を示す、または前記メンタル値が所定の期間において第2の所定値以上低下している場合、前記可能性のある疾患として心疾患を推定することを特徴とする健康推定システム。
  12. 検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを通信端末から受信する受信部と、
    受信した前記音声データを用いて、前記対象者における精神状態を示すメンタル値を算出する算出部と、
    記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出された前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信する送信部と
    を備えることを特徴とする健康推定装置。
  13. 検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを用いて通信端末により算出された前記対象者における精神状態を示すメンタル値を、前記通信端末から受信する受信部と、
    記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信された前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信する送信部と
    を備えることを特徴とする健康推定装置。
  14. 検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを通信端末から受信し、
    受信した前記音声データを用いて、前記対象者における精神状態を示すメンタル値を算出し、
    記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出された前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定し、
    前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信する
    処理をコンピュータに実行させる健康推定プログラム。
  15. 検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを用いて通信端末により算出された前記対象者における精神状態を示すメンタル値を、前記通信端末から受信し、
    記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信した前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定し、
    前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信する
    処理をコンピュータに実行させる健康推定プログラム。
  16. 少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して前記通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムの健康推定方法であって、
    前記通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得し、
    前記通信端末は、前記音声データを前記サーバに送信し、
    前記サーバは、前記音声データを前記通信端末から受信し、
    前記サーバは、受信した前記音声データを用いて、前記対象者における精神状態を示すメンタル値を算出し、
    前記サーバは、記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、算出された前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定し、
    前記サーバは、前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信し、
    前記通信端末は、前記推定の結果を前記サーバから受信する
    ことを特徴とする健康推定方法。
  17. 少なくとも1つの通信端末と、ネットワークを介して前記通信端末に接続されるサーバとを有する健康推定システムの健康推定方法であって、
    前記通信端末は、検査対象の対象者が発話した音声を含む音声データを取得し、
    前記通信端末は、取得した前記音声データを用いて、前記対象者における精神状態を示すメンタル値を算出し、
    前記通信端末は、前記メンタル値を前記サーバに送信し、
    前記サーバは、前記メンタル値を前記通信端末から受信し、
    前記サーバは、記憶部に予め記憶された前記対象者に対する健康診断の結果を示す健診データと、受信した前記メンタル値とに基づいて、前記対象者が患う可能性のある疾患を推定し、
    前記サーバは、前記対象者が患う可能性のある疾患を示す推定の結果を前記通信端末に送信し、
    前記通信端末は、前記推定の結果を前記サーバから受信する
    ことを特徴とする健康推定方法。
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