JP2019078193A - 回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具 - Google Patents

回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具 Download PDF

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健治 大竹口
篤彦 金箱
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篤彦 金箱
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Osamu Ueda
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Abstract

【課題】回転機械の翼面の補修を回転機械が設置されている現地で行うことで、従来と比べて短時間且つ低コストで翼面の補修を可能とする回転機械の翼面補修方法、形状転写治具及び形状転写治具の製造方法を提供する。【解決手段】回転機械の翼の翼面に発生した損傷を補修する、回転機械の翼面補修方法は、互いに並列に並べられた複数の針、および複数の針を複数の針の軸方向に個別に移動可能に保持する保持体、を含む型取り具を準備する準備ステップと、翼面の損傷が発生した箇所における損傷前の翼面の形状に対応する正常翼面形状を前記型取り具に転写する形状転写ステップと、翼面の損傷を補修する損傷補修ステップと、翼面の損傷が発生した箇所における補修後の翼面の形状を、正常翼面形状が転写された型取り具によって検査する検査ステップと、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、回転機械の翼の翼面に発生した損傷を補修する回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具に関する。
回転機械の翼は、回転機械の運転中に翼の翼面に摩耗や欠損あるいは変形などの損傷が発生する場合がある。例えば、特許文献1には、翼の外形に等しい内形を有する初期ゲージを用意しておき、定期的に翼の外形の磨耗をその初期ゲージで測定する技術について開示されている。
特開2006−161567号公報
しかしながら、従来技術では、回転機械の翼の翼面の補修は、精密な計測機材などの設備の整った工場で実施されるのが一般的であった。本発明の少なくとも幾つかの実施形態はこのような従来技術に鑑みなされたものであり、現地や簡易的な補修施設で簡便に補修できる回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法は、回転機械の翼の翼面に発生した損傷を補修する、回転機械の翼面補修方法であって、互いに並列に並べられた複数の針、および前記複数の針を前記複数の針の軸方向に個別に移動可能に保持する保持体、を含む型取り具を準備する準備ステップと、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における損傷前の前記翼面の形状に対応する正常翼面形状を前記型取り具に転写する形状転写ステップと、前記翼面の前記損傷を補修する損傷補修ステップと、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における補修後の前記翼面の形状を、前記正常翼面形状が転写された前記型取り具によって検査する検査ステップと、を備える。
上記(1)の方法によれば、損傷前の翼面の形状に対応する正常翼面形状を型取り具に転写し、この型取り具を用いて損傷が発生した箇所における補修後の翼面の形状を検査する。このような型取り具には、例えば、一般的に市販されているような型取りゲージを採用することが出来る。このため、補修後の翼面が正しい翼面形状に補修されているか否かを現地や簡易的な補修施設で確認することが出来る。よって、回転機械の翼の翼面の補修を現地や簡易的な補修施設で簡便に実行することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、前記準備ステップは、前記型取り具を複数準備し、前記形状転写ステップは、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における損傷前の前記翼の背側面の形状に対応する正常翼面形状を第1型取り具に転写する第1形状転写ステップ、及び、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における損傷前の前記翼の腹側面の形状に対応する正常翼面形状を、前記第1型取り具とは異なる第2型取り具に転写する第2形状転写ステップ、を含む。
上記(2)の方法によれば、翼面の損傷が発生した箇所における損傷前の翼の背側面の形状に対応する正常翼面形状が第1型取り具に転写され、翼面の損傷が発生した箇所における損傷前の翼の腹側面の形状に対応する正常翼面形状が第2型取り具に転写される。このため、第1型取り具と第2型取り具とを用いて、損傷が発生した箇所における補修後の背側面の形状及び腹側面の形状を確認することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、前記形状転写ステップによって前記型取り具に転写された前記正常翼面形状を保持した状態で前記複数の針の各々を支持金物に固定することで、前記型取り具に転写された前記正常翼面形状を固定する形状固定ステップをさらに備える。
上記(3)の方法によれば、形状固定ステップの後に、例えば、振動のような力学的な負荷が型取り具に与えられても、支持金物に固定された複数の針の互いの相対的な位置は変化しない。よって、型取り具は形状転写ステップで転写された正常翼面形状を保持することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の方法において、前記形状固定ステップの前に、前記複数の針の各々を仮止めする仮止めステップをさらに備える。(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の方法において、前記仮止めステップは、接着剤を塗布する塗布ステップである。
上記(4)及び(5)の方法によれば、形状固定ステップによって複数の針の各々を支持金物に固定する前に、複数の針の互いの相対的な位置を仮止めすることができる。このため、形状固定ステップにおいて、複数の針の各々を支持金物に固定する際に複数の針の各々が移動してしまい、正常翼面形状とは異なる形状で固定されてしまうことを防止できる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(3)から(5)の何れか1つの方法において、前記複数の針における前記支持金物を挟んで前記複数の針の先端とは反対側を切断する切断ステップをさらに備える。(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の方法において前記切断ステップは、前記複数の針における前記支持金物を挟んで前記複数の針の先端とは反対側を溶断する溶断ステップである。
上記(6)及び(7)の方法によれば、複数の針を切断することで、型取り具の寸法を小さくすることができる。このため、このような型取り具を狭隘部に配置された翼の翼面に対して容易にアクセスさせることができる。また、上記(7)の方法のように、溶断によって針を切断する場合には、例えば、回転するブレードを有するカッターなどによって針を切断する場合と比較して、針が動いてしまうことを抑制し、複数の針の互いの相対的な位置を変化させることなく複数の針を切断することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の方法において、前記溶断ステップは、前記形状転写ステップによって前記型取り具に転写された前記正常翼面形状を保持した状態で前記複数の針の各々を前記支持金物に固定する前記形状固定ステップを兼ねる。
上記(8)の方法によれば、溶断ステップにおいて、例えば複数の針における支持金物に近接した箇所を溶断することで、溶断と同時に、複数の針の各々を支持金物に固定(溶接)することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)から(8)の何れか1つの方法において、前記検査ステップは、前記正常翼面形状が転写された前記型取り具を、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における補修後の前記翼面に当接させた状態で、前記型取り具を挟んで一方側から前記型取り具を照らし、前記型取り具を挟んで他方側から前記型取り具の前記複数の針の先端および補修後の前記翼面によって形成された隙間を通過する光を確認する光検査ステップを含む。
型取り具に転写された正常翼面形状が補修後の翼面の形状とは異なる部分を有すると、型取り具の複数の針の先端及び補修後の翼面によって形成される隙間は大きくなり、その分だけ光が多く通過する。このため、上記(9)の方法によれば、正常翼面形状が転写された型取り具の複数の針の先端および補修後の翼面によって形成された隙間を通過する光を確認することで、補修後の翼面の形状を損傷前の翼面の形状と比較することができ、補修後の翼面の形状が正しい翼面形状に補修されているか否かを確認することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)から(9)の何れか1つの方法において、前記検査ステップは、前記翼面にマーキング可能な塗料を前記複数の針の先端に塗布した後に、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における補修後の前記翼面に、前記型取り具の前記複数の針の先端を当接させ、補修後の前記翼面にマーキングされた前記塗料を確認する塗料検査ステップを含む。
型取り具に転写された正常翼面形状が補修後の翼面の形状とは異なる部分を有すると、塗料を複数の針の先端に塗布した後に、これら複数の針の先端を補修後の翼面に当接させた場合に、補修後の翼面に不連続にマーキングされた塗料が確認される。このため、上記(10)の方法によれば、補修後の翼面にマーキングされた塗料を確認することで、補修後の翼面の形状を損傷前の翼面の形状と比較することができ、補修後の翼面の形状が正しい翼面形状に補修されているか否かを確認することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)から(10)の何れか1つの方法において、前記形状転写ステップは、前記複数の針のうちの一部の針の各々の先端に前記正常翼面形状が転写された形状保持部と、前記複数の針のうちの前記一部の針とは異なる他の針を前記翼に接触しないように軸方向に移動させることで、前記形状保持部に対して前記軸方向に突出するように形成される突出部と、を形成する。
上記(11)の方法によれば、形状転写ステップにおいて、複数の針の一部とは異なる他の針が翼に接触しないように軸方向に移動することで、形状保持部に対して軸方向に突出する突出部が形成される。このため、このような突出部を有する型取り具を用いて検査ステップを実行すると、この突出部を補修後の翼面に対する型取り具の位置決め部として機能させることができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)から(11)の何れか1つの方法において、前記回転機械の前記翼は、前記翼面に損傷が発生した第1翼および前記第1翼とは異なる第2翼を含み、前記形状転写ステップは、前記第1翼の翼面の損傷が発生した箇所を含む損傷領域に相当する位置における前記第2翼の翼面の領域であって、翼根からの距離及び前縁からの距離が前記損傷領域と等しい位置にある前記第2翼の翼面の領域における翼面形状を、前記正常翼面形状として前記型取り具に転写する。
回転機械の翼としては、翼根からの距離に関わらず等しい断面形状を有する二次元翼だけでなく、翼根からの距離によって断面形状が異なる三次元翼も多く採用されている。上記(12)の方法によれば、二次元翼だけでなく、三次元翼においても、第1翼の翼面の損傷が発生した箇所における損傷前の翼面の形状と略同一形状を有する正常翼面形状を型取り具に転写することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の方法において、前記回転機械は、軸線を中心とする周方向に複数の翼セグメントとして分割可能な翼筐体を備え、前記翼セグメントは、前記軸線を中心とする周方向に沿って配置される前記翼を複数有し、前記第2翼は、前記翼セグメントに配置された複数の前記翼のうち端に配置された端部翼である。
翼筐体を翼セグメントとして分割すると、端部翼の一方側には他の翼が隣接して配置されているが、端部翼の他方側には他の翼が隣接して配置されていない。このため、この端部翼の他方側からこの端部翼の翼面に対して容易にアクセスすることができる。上記(13)の方法によれば、形状転写ステップにおいて、端部翼を第2翼とすることで、第2翼の翼面から正常翼面形状を型取り具に容易に転写できる。
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る形状転写治具の製造方法は、回転機械の翼の翼面の形状が転写された形状転写治具の製造方法であって、互いに並列に並べられた複数の針、および前記複数の針を前記複数の針の軸方向に個別に移動可能に保持する保持体、を含む型取り具を準備する準備ステップと、前記翼の前記翼面の形状を前記型取り具に転写する形状転写ステップと、前記形状転写ステップによって前記型取り具に転写された前記翼面の形状を保持した状態で前記複数の針の各々を支持金物に固定することで、前記型取り具に転写された前記翼面の形状を固定する形状固定ステップと、を備える。
上記(14)の方法によれば、形状固定ステップにおいて、形状転写ステップによって型取り具に転写された翼面の形状を保持した状態で複数の針の各々を支持金物に固定することで、型取り具に転写された翼面の形状を固定する。このため、振動のような力学的な負荷が形状転写治具に与えられても、形状転写治具の型取り具が有する複数の針の互いの相対的な位置は維持される。よって、形状転写治具は翼の翼面の形状を安定的に保持することができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る形状転写治具は、回転機械の翼の翼面の形状が転写された形状転写治具であって、互いに並列に並べられた複数の針であって、前記複数の針の先端を連続的に結んだ形状が、前記翼面の形状と略一致するように形成されている複数の針と、前記複数の針の各々が固定された支持金物と、を備える。
上記(15)の構成によれば、形状転写治具は、翼の翼面の形状が転写された型取り具における複数の針の各々が固定された支持金物を備える。このため、振動のような力学的な負荷が形状転写治具に与えられても、形状転写治具の型取り具が有する複数の針の互いの相対的な位置は維持される。よって、形状転写治具は翼の翼面の形状を安定的に保持することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、現地や簡易的な補修施設で簡便に補修できる回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の準備ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状転写ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の損傷補修ステップにおける肉盛り溶接補修ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の損傷補修ステップにおけるグラインダ補修ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち光検査ステップにおける当接ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち光検査ステップにおける光確認ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち塗料検査ステップにおける塗料塗布ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち塗料検査ステップにおける当接ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち塗料検査ステップにおける塗料確認ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の第1形状転写ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の第2形状転写ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状固定ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の塗布ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の溶断ステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状転写ステップを行なって形成された型取り具を示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状転写ステップを説明するための図である。 一実施形態に係る回転機械に配置された翼の配置を概略的に示す配置図である。 本発明の一実施形態に係る形状転写治具の製造方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る形状転写治具の構成を示す構成図である。 一実施形態に係る回転機械の翼に発生する損傷の一例を示す図である。 図17AのA−A断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法は、回転機械の翼の翼面に発生した損傷を補修する方法である。一実施形態では、例えば、ガスタービンの圧縮機における静翼の翼面に発生した損傷を補修する場合に適用される。
図17Aは、一実施形態に係る回転機械の翼に発生する損傷の一例を示す図である。図17Bは、図17AのA−A断面図である。
回転機械の翼は、回転機械の運転中に翼の翼面に摩耗や欠損あるいは変形などの損傷が発生する場合がある。例えば、図17Aに示すように、翼50の翼面52には、前縁54から後縁56に向かって延びる欠損(ワイヤーカット状の切り欠き部)である損傷53が発生する場合がある。この損傷53は、例えば、負圧面(背側面521)から圧力面(腹側面522)にわたって貫通している切り欠き状の損傷部である。
ここで図17Bを用いて、背側面521及び腹側面522について説明する。背側面521とは、翼50の外形のうち、高温ガスの流入方向と直交する直交方向の一方側に湾曲凸形状が形成されている面である。また、腹側面522とは、翼50の外形のうち、背側面521とは異なる部分であって、高温ガスの流入方向と直交する直交方向の他方側に湾曲凹形状が形成されている面である。
次に、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法のフローチャートである。図2は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法のフローチャートである。図3は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の準備ステップを示す図である。図4は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状転写ステップを示す図である。図5Aは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の損傷補修ステップにおける肉盛り溶接補修ステップを示す図である。図5Bは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の損傷補修ステップにおけるグラインダ補修ステップを示す図である。図6Aは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち光検査ステップにおける当接ステップを示す図である。図6Bは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち光検査ステップにおける光確認ステップを示す図である。図7Aは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち塗料検査ステップにおける塗料塗布ステップを示す図である。図7Bは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち塗料検査ステップにおける当接ステップを示す図である。図7Cは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の検査ステップのうち塗料検査ステップにおける塗料確認ステップを示す図である。
図1及び図2に示すように、回転機械の翼面補修方法は、準備ステップS1と、形状転写ステップS2と、損傷補修ステップS6と、検査ステップS7と、を備える。
準備ステップS1では、図3に示すように、互いに並列に並べられた複数の針2、および複数の針2を複数の針2の軸方向D1に個別に移動可能に保持する保持体4、を含む型取り具6を準備する。
図3に示した実施形態では、複数の針2の各々は、針状のものであり、例えば金属からなり、互いに同じ長さを有している。このような複数の針2は、軸方向D1と直交する方向に互いに隣接して並列に並べられている。そして、保持体4は不図示の空洞を有しており、この空洞に複数の針2を通すことで、複数の針2を軸方向D1に個別に移動可能に保持している。
形状転写ステップS2では、図4に示すように、翼面52の損傷が発生した箇所における損傷前の翼面52の形状に対応する正常翼面形状を型取り具6に転写する。ここで、本開示における正常翼面形状とは、翼面52の損傷が発生した箇所における損傷前の翼面52の形状と同一または略同一の形状を意味する。
図4に示した実施形態では、複数の針2の各々を軸方向D1に個別に移動させ、複数の針2A(2)の各々の先端2Aa(2a)を正常翼面形状の取得対象翼面である翼面52に当接させている。これにより、複数の針2Aの各々の先端2Aaの相対的な位置関係によって、正常翼面形状を規定することが出来る。すなわち、型取り具6に正常翼面形状を転写することが出来る。
損傷補修ステップS6では、図5A及び図5Bに示すように、翼面52の損傷53を溶接補修によって補修する。尚、損傷補修ステップS6は、溶接補修によって翼面52の損傷53を補修する場合を例にして説明するが、溶接補修以外の補修であってもよい。
図2に示した実施形態では、損傷補修ステップS6は、肉盛り溶接補修ステップS61及びグラインダ補修ステップS62を含む。図5Aに示した実施形態では、肉盛り溶接補修ステップS61が行なわれた後の翼50が示されている。図5Bに示した実施形態では、グラインダ補修ステップS62が行なわれた後の翼50が示されている。
肉盛り溶接補修ステップS61では、翼面52の損傷53に対して、例えば翼50と同じ材料が埋められ、損傷前の翼面52の形状より翼50の外側に膨らんだ肉盛り部51が形成される。そして、グラインダ補修ステップS62では、肉盛り溶接補修ステップS61の後に、不図示のグラインダでこの肉盛り部51をならし、損傷53が発生した箇所における損傷前の翼面52の形状と略同一の形状を有する溶接補修部55が形成される。このように、肉盛り溶接補修ステップS61及びグラインダ補修ステップS62が行なわれることで、翼面52の損傷53を溶接補修によって補修している。
検査ステップS7は、図6A−図6B、及び図7A−図7Cに示すように、翼面52の損傷53が発生した箇所における補修後の翼面52の形状を、正常翼面形状が転写された型取り具6によって検査する。
図6A及び図7Bに示した実施形態では、検査ステップS7では、形状転写ステップS2によって正常翼面形状が転写された型取り具6を用いて、その型取り具6の複数の針2Aの先端2Aaを、損傷補修ステップS6によって溶接補修された溶接補修部55に当接させている。これにより溶接補修部55の形状を、正常翼面形状が転写された型取り具6によって検査し、溶接補修部55が正しい翼面形状に補修されているか否かを確認する。なお、検査ステップS7の詳細な説明については後述する。
このような本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法によれば、損傷前の翼面52の形状に対応する正常翼面形状を型取り具6に転写し、この型取り具6を用いて損傷53が発生した箇所における補修後(溶接補修後)の翼面52(溶接補修部55)の形状を検査する。このような型取り具6には、例えば、一般的に市販されているような型取りゲージを採用することが出来る。このため、溶接補修部55が正しい翼面形状(例えば、損傷前の翼面52の形状)に補修されているか否かを現地や簡易的な補修施設で確認することが出来る。よって、回転機械の翼の翼面の補修を現地や簡易的な補修施設で簡便に実行することができる。
図8Aは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の第1形状転写ステップを示す図である。図8Bは、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の第2形状転写ステップを示す図である。
幾つかの実施形態では、準備ステップS1は、型取り具6を複数準備する。そして、図1及び図2に示すように、形状転写ステップS2は、第1形状転写ステップS21及び第2形状転写ステップS22を含む。図8A及び図8Bに示した実施形態では、2つの型取り具(6A、6B)が準備されている。
そして、第1形状転写ステップS21は、図8Aに示すように、翼面52の損傷53が発生した箇所における損傷前の翼50の背側面521の形状に対応する正常翼面形状を第1型取り具6A(6)に転写する。第2形状転写ステップS22は、図8Bに示すように、翼面52の損傷53が発生した箇所における損傷前の翼50の腹側面522の形状に対応する正常翼面形状を、第1型取り具6Aとは異なる第2型取り具6B(6)に転写する。
このような方法によれば、翼面52の損傷53が発生した箇所における損傷前の翼50の背側面521の形状に対応する正常翼面形状が第1型取り具6Aに転写され、翼面52の損傷53が発生した箇所における損傷前の翼50の腹側面522の形状に対応する正常翼面形状が第2型取り具6Bに転写される。このため、第1型取り具6Aと第2型取り具6Bとを用いて、損傷53が発生した箇所における補修後の背側面の形状及び腹側面の形状を確認することができる。
図9は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状固定ステップを示す図である。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、回転機械の翼面補修方法は、形状固定ステップS4をさらに備える。
図9に示すように、形状固定ステップS4では、形状転写ステップS2によって型取り具6に転写された正常翼面形状を保持した状態で複数の針2の各々を支持金物8に固定する。これにより、型取り具6に転写された正常翼面形状が固定される。
図9に示した実施形態では、軸方向D1において、複数の針2における保持体4より複数の針2の先端2aに近い側に、支持金物8が溶接金属部11を介して複数の針2に溶接されることで、複数の針2の各々を支持金物8に固定している。そして、これにより、型取り具6に転写された正常翼面形状が固定されている。この溶接金属部11は、例えば、TIG溶接によって溶加材を溶融し、支持金物8と複数の針2とを溶接した際に形成される部分である。また、軸方向D1と直交する方向において、最も一方側に配置される針2から最も他方側に配置される針2に亘って、つまりは全ての針2を支持金物8に溶接している。尚、このような支持金物8は、例えば、金属からなり、作業員によって型取り具6を把持可能であるように構成される。
また、幾つかの実施形態では、支持金物8は、互いに独立する一対の板状部材を含む。そして、形状固定ステップS4において、複数の針2の各々をこれら一対の板状部材によって挟持した後に、複数の針2の各々とこれら一対の板状部材とを固定する。
このような方法によれば、形状固定ステップS4の後に、例えば、振動のような力学的な負荷が型取り具6に与えられても、支持金物8に固定された複数の針2の互いの相対的な位置は変化しない。よって、型取り具6は形状転写ステップS2で転写された正常翼面形状を保持することができる。
図10は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の塗布ステップを示す図である。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように回転機械の翼面補修方法は、形状固定ステップS4の前に、複数の針2の各々を仮止めする仮止めステップS3をさらに備える。そして、幾つかの実施形態では、この仮止めステップS3は塗布ステップS31であり、図10に示すように、複数の針2の各々に接着剤10を塗布することで複数の針2の各々を仮止めする。
図1及び図2に示した実施形態では、仮止めステップS3は、形状転写ステップS2の後に行なわれている。
図10に示した実施形態では、軸方向D1において、複数の針2における保持体4より複数の針2の他端2bに近い側に接着剤10が塗布されている。尚、接着剤10を塗布する箇所は、複数の針2が互いに仮止め可能であるならば、この箇所に限定されないし、あるいは複数の箇所に接着剤10を塗布してもよい。ここで、仮止めとは、型取り具6に所定の力学的負荷が与えられても、型取り具6に転写された正常翼面形状が崩れない程度に、複数の針2Aの相対的な位置を固定することを意味する。
このような方法によれば、形状固定ステップS4によって複数の針2の各々を支持金物8に溶接等の方法により固定する前に、複数の針2の互いの相対的な位置を仮止めすることができる。このため、形状固定ステップS4において、複数の針2の各々を支持金物8に溶接等の方法により固定する際に複数の針2の各々が移動してしまい、正常翼面形状とは異なる形状で固定されてしまうことを防止できる。
図11は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の溶断ステップを示す図である。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、回転機械の翼面補修方法は、複数の針2における支持金物8を挟んで複数の針2の先端2aとは反対側を切断する切断ステップS5をさらに備える。そして、幾つかの実施形態では、切断ステップS5は、複数の針2における支持金物8を挟んで複数の針2の先端2aとは反対側を溶断する溶断ステップS51である。溶断ステップS51は、図11に示すように、複数の針2における支持金物8を挟んで複数の針2の先端2aとは反対側を溶断する。尚、幾つかの実施形態では、複数の針2における支持金物8を挟んで複数の針2の先端2aとは反対側の部分による他の部材(例えば、補修対象の翼に隣接する翼)への干渉が発生しない場合には切断ステップS5を実行しないで、次のステップに進んでもよい。
図1に示した実施形態では、溶断ステップS51は、形状固定ステップS4の後に行なわれる。そして、図11に示した実施形態では、複数の針2における支持金物8と保持体4との間を通過する溶断ラインM1に沿って複数の針2を溶断することで、複数の針2における支持金物8を挟んで複数の針2の先端2aとは反対側を溶断している。
このような方法によれば、複数の針2を切断することで、型取り具6の寸法を小さくすることができる。このため、このような型取り具6を狭隘部に配置された翼50の翼面52に対して容易にアクセスさせることができる。また、溶断によって針2を切断することで、例えば、回転するブレードを有するカッターなどによって針2を切断する場合と比較して、針2が動いてしまうことを抑制し、複数の針2の互いの相対的な位置を変化させることなく複数の針2を切断することができる。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、回転機械の翼面補修方法は形状固定ステップS4を兼ねる溶断ステップS51A(S51)をさらに備える。つまり、本実施形態にかかる溶断ステップS5Aは、形状転写ステップS2によって型取り具6に転写された正常翼面形状を保持した状態で複数の針2の各々を支持金物8に固定する形状固定ステップS4を兼ねている。
図11に示した実施形態では、溶断ラインM1は、支持金物8に近接した位置にある。したがって、溶断ラインM1に沿って複数の針2を溶断することで、これと同時に支持金物8と複数の針2とを溶接により固定することができる。
このような方法によれば、溶断ステップS5Aにおいて、複数の針2における支持金物8に近接した箇所を溶断することで、溶断と同時に、複数の針2の各々を支持金物8に固定(溶接)することができる。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、検査ステップS7は光検査ステップS7Aを含む。光検査ステップS7Aは、図6Aに示す当接ステップS7A1、及び、図6Bに示す光確認ステップS7A2を有する。
当接ステップS7A1では、正常翼面形状が転写された型取り具6を、翼面52の損傷53が発生した箇所における補修後(溶接補修後)の翼面52に当接させた状態にする。光確認ステップS7A2では、型取り具6を挟んで一方側から型取り具6を照らし、型取り具6を挟んで他方側から型取り具6の複数の針2の先端2aおよび溶接補修後の翼面52によって形成された隙間15を通過する光を確認する。尚、光確認ステップS7A2の説明のため、図6Bには、型取り具6を挟んで他方側から隙間15を視認するときの拡大図を示している。
図6Aに示した実施形態では、正常翼面形状が転写された型取り具6の複数の針2Aの先端2Aaを、損傷補修ステップS6によって溶接補修された溶接補修部55に当接させた状態にしている。図6Bに示した実施形態では、照明を照らすことが可能な照明源12を翼根側58よりさらに下方に配置している。そして、当接ステップS7A1によって型取り具6の複数の針2Aを溶接補修部55に当接させている状態で、照明源12が型取り具6を挟んで翼根側から型取り具6を照らし、型取り具6を挟んで翼根側とは反対側から隙間15を通過する光を確認している。
型取り具6に転写された正常翼面形状が溶接補修部55の形状とは異なる部分を有すると、型取り具6の複数の針2の先端2a及び溶接補修部55によって形成される隙間15は大きくなり、その分だけ光が多く通過する。このため、このような方法によれば、正常翼面形状が転写された型取り具6の複数の針2Aの先端2Aaおよび溶接補修後の翼面52(溶接補修部55)によって形成された隙間15を通過する光を確認することで、溶接補修部55の形状を損傷前の翼面52の形状と比較することができ、溶接補修部55の形状が正しい翼面形状に補修されているか否かを確認することができる。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、検査ステップS7は塗料検査ステップS7Bを含む。塗料検査ステップS7Bは、図7Aに示す塗料塗布ステップS7B1、図7Bに示す当接ステップS7B2、及び、図7Cに示す塗料確認ステップS7B3を有する。
塗料塗布ステップS7B1では、図7Aに示すように、翼面52にマーキング可能な塗料16を複数の針2の先端2aに塗布する。当接ステップS7B2では、図7Bに示すように、翼面52の損傷が発生した箇所における溶接補修後の翼面52(溶接補修部55)に、型取り具6の複数の針2の先端2aを当接させる。塗料確認ステップS7B3では、図7Cに示すように、溶接補修部55にマーキングされた塗料16を確認する。
図7Aに示した実施形態では、複数の針2のうち正常翼面形状を型取り具6に転写する針2Aの先端2Aaに塗料16を塗布している。図7Bに示した実施形態では、塗料塗布ステップS7B1によって塗料16が塗布された複数の針2Aを、損傷補修ステップS6によって溶接補修された溶接補修部55に当接させている。図7Cに示した実施形態では、当接ステップS7B2によって溶接補修部55にマーキングされた塗料16を確認する。尚、幾つかの実施形態では、塗料塗布ステップS7B1において、全ての複数の針2の先端2aに塗料16を塗布してもよい。
型取り具6に転写された正常翼面形状が溶接補修部55の形状とは異なる部分を有すると、塗料16を複数の針2Aの先端2Aaに塗布した後に、複数の針2Aの先端2Aaを溶接補修部55に当接させることで、溶接補修部55に不連続にマーキングされた塗料16を確認することができる。このような方法によれば、溶接補修部55にマーキングされた塗料16を確認することで、溶接補修部55の形状を損傷前の翼面52の形状と比較することができ、溶接補修部55の形状が正しい翼面形状に補修されているか否かを確認することができる。
図12は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状転写ステップを行なって形成された型取り具を示す図である。
形状転写ステップS2は、図12に示すように、複数の針2のうちの一部の針2Aの各々の先端2Aaに正常翼面形状が転写された形状保持部7と、複数の針の一部2Aとは異なる他の針2Bを翼50に接触しないように軸方向に移動させることで、形状保持部7に対して軸方向D1に突出するように形成される突出部9と、を形成する。
形状保持部7は、一部の針2Aの先端2Aaの相対的な位置関係によって正常翼面形状を規定する一部の針2Aから構成されている。突出部9は、形状転写ステップS2において、翼50に接触することなく軸方向先端側に移動した他の針2Bの先端2Baであって、一部の針2Aの各々の先端2Aaよりも軸方向先端側に突出している他の針2Bの先端2Baを有する他の針2Bから構成されている。
図12に示した実施形態では、突出部9を構成する他の針2Bのうち、少なくとも最も形状保持部7側に位置する針2B1の先端2B1aは、形状保持部7を構成する一部の針2Aのうち最も突出部9側に位置する針2A1の先端2A1aよりも軸方向D1において保持体4側とは反対側に突出している。
このような方法によれば、形状転写ステップS2において、複数の針の一部2Aとは異なる他の針2Bが翼50に接触しないように軸方向D1に移動することで、形状保持部7に対して軸方向D1に突出する突出部9が形成される。このため、このような突出部9を有する型取り具6を用いることで、例えば、図6Aに示す当接ステップS7A1、又は図6Bに示す当接ステップS7B2において、この突出部9を翼50の前縁54に当接させて、この突出部9を溶接補修後の翼面52に対する型取り具6の位置決め部として機能させることができる。
図13は、本発明の一実施形態に係る回転機械の翼面補修方法の形状転写ステップを説明するための図である。
幾つかの実施形態では、図13に示すように、回転機械の翼50は、翼面52Aに損傷が発生した第1翼50A(50)および第1翼50Aとは異なる第2翼50B(50)を含む。図13に示した実施形態では、第2翼50Bは、第1翼50Aと同一寸法又は略同一寸法を有している。
そして、形状転写ステップS2は、第1翼50Aの翼面52Aの損傷が発生した箇所を含む損傷領域57に相当する位置における第2翼50Bの翼面52Bの領域59であって、翼根側58Bからの距離及び前縁54Bからの距離が損傷領域57と等しい位置にある第2翼50Bの翼面52B(上述した正常翼面形状の取得対象翼面である翼面52)の領域59における翼面形状を、正常翼面形状として型取り具6に転写する。
図13に示した実施形態では、第1翼50Aの翼面52Aには、翼根側58Aからの距離がL1の位置に、前縁54Aからの深さがL2に及ぶ損傷53が発生している。そして、形状転写ステップS2では、前縁54Bにおける翼根側58Bからの距離がL1の位置から、前縁54Bからの距離がL2である位置まで、を含む第2翼50Bの翼面52Bの領域59における翼面形状を、正常翼面形状として型取り具6に転写している。
回転機械の翼50としては、翼根側58からの距離に関わらず等しい断面形状を有する二次元翼だけでなく、翼根側58からの距離によって断面形状が異なる三次元翼も多く採用されている。このような方法によれば、二次元翼だけでなく、三次元翼においても、第1翼50Aの翼面52Aの損傷が発生した箇所における損傷前の翼面52Aの形状と略同一形状を有する正常翼面形状を型取り具6に転写することができる。
尚、正常翼面形状を型取り具6に転写可能であるならば、第2翼50Bの翼面52Bからではなく、第1翼50Aの翼面52Aのうち損傷53が発生した箇所を除く翼面52A(例えば、翼根側58Aからの距離がL1とは異なる)から正常翼面形状を型取り具6に転写してもよい。この場合、第1翼50Aは例えば2次元翼である。
図14は、一実施形態に係る回転機械に配置された翼の配置を概略的に示す配置図である。
幾つかの実施形態では、図14に示すように、回転機械60は、軸線Oを中心として回転するロータ62と、軸線Oを中心とする環状形状を有する静翼環64であって、軸線Oを中心とする周方向に複数の静翼環セグメント66として分割可能な静翼環64(翼筐体)と、を備える。そして、静翼環セグメント66は、軸線Oを中心とする周方向に沿って配置される翼50を複数有し、第2翼50Bは、静翼環セグメント66に配置された複数の翼50のうち端に配置された端部翼である。図14に示した実施形態では、静翼環64は4つの静翼環セグメント66に分割可能に構成されている。そして、静翼環セグメント66は、各々6枚の翼50を有している。
静翼環64を静翼環セグメント66として分割すると、端部翼(静翼環セグメント66において最も端に位置する翼50)の一方側には他の翼50が隣接して配置されているが、端部翼の他方側には他の翼50が隣接して配置されていない。このため、このような端部翼の翼面に対して容易にアクセスすることができる。そして、このような方法によれば、形状転写ステップS2において、端部翼を第2翼50Bとすることで、第2翼50Bの翼面52Bから正常翼面形状を型取り具6に容易に転写できる。
また、幾つかの実施形態では、端部翼は、静翼環セグメント66に配置された複数の翼50のうち一端に配置された第1端部翼であって、静翼環64を静翼環セグメント66として分割すると、負圧面側(背側)には翼50が隣接して配置されていない第1端部翼と、静翼環セグメント66に配置された複数の翼50のうち他端に配置された第2端部翼であって、静翼環64を静翼環セグメント66として分割すると、圧力面側(腹側)には翼50が隣接して配置されていない第2端部翼と、を含む。そして、形状転写ステップS2では、負圧面の正常翼面形状を型取り具6に転写する際には第1端部翼から、圧力面の正常翼面形状を型取り具6に転写する際には第2端部翼から転写する。
このような方法によれば、例えば、第1端部翼を第2翼50Bとする場合には、第1端部翼の負圧面側には他の翼50が隣接して配置されていない。このため、負圧面の正常翼面形状を型取り具6(第1型取り具6A)に容易に転写することができる。同様に、例えば、第2端部翼を第2翼50Bとする場合には、第2端部翼の圧力面側には他の翼50が隣接して配置されていない。このため、圧力面の正常翼面形状を型取り具6(第2型取り具6B)に容易に転写することができる。
尚、本開示における回転機械の翼面補修方法について、負圧面で行なう場合を例にして説明しているが、圧力面で行なわれてもよい。
図15は、本発明の一実施形態に係る形状転写治具の製造方法のフローチャートである。
本発明の少なくとも一実施形態に係る形状転写治具の製造方法は、回転機械の翼50の翼面52の形状が転写された治具を製造する方法である。このような形状転写治具の製造方法は、図15に示すように、準備ステップS101(S1)と、形状転写ステップS102(S2)と、形状固定ステップS104(S4)とを備える。
準備ステップS101では、互いに並列に並べられた複数の針2、および複数の針2を複数の針2の軸方向に個別に移動可能に保持する保持体4、を含む型取り具6を準備する。形状転写ステップS102では、翼50の翼面(上述した正常翼面形状の取得対象翼面である翼面52)の形状を型取り具6に転写する。形状固定ステップS104では、形状転写ステップS102によって型取り具6に転写された翼面52の形状を保持した状態で複数の針2の各々を支持金物8に溶接することで、型取り具6に転写された翼面52の形状を固定する。
このような本発明の一実施形態に係る形状転写治具の製造方法によれば、形状固定ステップS104において、形状転写ステップS102によって型取り具6に転写された翼面52の形状を保持した状態で複数の針2の各々を支持金物8に溶接等の方法により固定することで、型取り具6に転写された翼面52の形状を固定する。このため、振動のような力学的な負荷が形状転写治具100に与えられても、形状転写治具100の型取り具6が有する複数の針2の互いの相対的な位置は維持される。よって、形状転写治具は型取り具6に転写された翼50の翼面52の形状を安定的に保持することができる。
図16は、本発明の一実施形態に係る形状転写治具の構成を示す構成図である。
本発明の少なくとも一実施形態に係る形状転写治具100は、回転機械の翼50の翼面52の形状が転写された治具である。このような形状転写治具100は、図16に示すように、互いに並列に並べられた複数の針2であって、複数の針2の先端を連続的に結んだ形状が、翼面52(上述した正常翼面形状の取得対象翼面である翼面52)の形状と略一致するように形成されている複数の針2と、複数の針2の各々が溶接等の方法により固定された支持金物8と、を備える。図16に示した実施形態では、支持金物8は、溶接金属部11を介して、複数の針2に溶接されることで固定されている。
このような本発明の一実施形態に係る形状転写治具100の構成によれば、形状転写治具100は、翼50の翼面52の形状が転写された型取り具6における複数の針2の各々が溶接された支持金物8を備える。このため、振動のような力学的な負荷が形状転写治具100に与えられても、形状転写治具100の型取り具6が有する複数の針2の互いの相対的な位置は維持される。よって、形状転写治具100は翼50の翼面52の形状を安定的に保持することができる。
以上、本発明の一実施形態にかかる回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
例えば、回転機械としては、上述したガスタービンや蒸気タービンなどの軸流回転機械や、遠心圧縮機などの遠心回転機械などであってもよい。また、翼は、静翼の他に動翼であってもよい。
また、本発明の一実施形態では、翼面にワイヤーカット状の切り欠きが形成された場合を損傷事例として説明したが、これに限定されない。例えば、異物の衝突により翼面が変形した場合の補修にも本発明を適用することが可能である。具体的には、損傷補修ステップにおいて、翼面が変形し、正常翼面に対して凸状になった部分はグラインダでならして補修する一方、正常翼面に対して凹状になった部分は肉盛り溶接後、グラインダでならすことにより補修し、本発明の形状転写治具を使用して補修部分の凹凸の検査をすることが可能である。
2 針
2a 先端
4 保持体
6 型取り具
6A 第1型取り具
6B 第2型取り具
7 形状保持部
8 支持金物
9 突出部
10 接着剤
11 溶接部
12 照明源
15 隙間
16 塗料
50 翼
50A 第1翼
50B 第2翼
51 肉盛り部
52 翼面
53 損傷
54 前縁
55 溶接補修部
56 後縁
57 損傷領域
58 翼根側
59 領域
60 回転機械
62 ロータ
64 静翼環
66 静翼環セグメント
100 形状転写治具
521 背側面
522 腹側面
D1 軸方向
M1 溶断ライン
O 軸線
S1 準備ステップ
S2 形状転写ステップ
S21 第1形状転写ステップ
S22 第2形状転写ステップ
S3 仮止めステップ
S31 塗布ステップ
S4 形状固定ステップ
S5 切断ステップ
S51 溶断ステップ
S5A 溶断ステップ
S6 溶接補修ステップ
S61 肉盛り溶接補修ステップ
S62 グラインダ補修ステップ
S7 検査ステップ
S7A 光検査ステップ
S7A1 当接ステップ
S7A2 光確認ステップ
S7B 塗料検査ステップ
S7B1 塗料塗布ステップ
S7B2 当接ステップ
S7B3 塗料確認ステップ
S101 準備ステップ
S102 形状転写ステップ
S104 形状固定ステップ

Claims (15)

  1. 回転機械の翼の翼面に発生した損傷を補修する、回転機械の翼面補修方法であって、
    互いに並列に並べられた複数の針、および前記複数の針を前記複数の針の軸方向に個別に移動可能に保持する保持体、を含む型取り具を準備する準備ステップと、
    前記翼面の前記損傷が発生した箇所における損傷前の前記翼面の形状に対応する正常翼面形状を前記型取り具に転写する形状転写ステップと、
    前記翼面の前記損傷を補修する損傷補修ステップと、
    前記翼面の前記損傷が発生した箇所における補修後の前記翼面の形状を、前記正常翼面形状が転写された前記型取り具によって検査する検査ステップと、
    を備える回転機械の翼面補修方法。
  2. 前記準備ステップは、前記型取り具を複数準備し、
    前記形状転写ステップは、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における損傷前の前記翼の背側面の形状に対応する正常翼面形状を第1型取り具に転写する第1形状転写ステップ、及び、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における損傷前の前記翼の腹側面の形状に対応する正常翼面形状を、前記第1型取り具とは異なる第2型取り具に転写する第2形状転写ステップ、を含む請求項1に記載の回転機械の翼面補修方法。
  3. 前記形状転写ステップによって前記型取り具に転写された前記正常翼面形状を保持した状態で前記複数の針の各々を支持金物に固定することで、前記型取り具に転写された前記正常翼面形状を固定する形状固定ステップをさらに備える請求項1又は2に記載の回転機械の翼面補修方法。
  4. 前記形状固定ステップの前に、前記複数の針の各々を仮止めする仮止めステップをさらに備える請求項3に記載の回転機械の翼面補修方法。
  5. 前記仮止めステップは、前記複数の針の各々に接着剤を塗布する塗布ステップである請求項4に記載の回転機械の翼面補修方法。
  6. 前記複数の針における前記支持金物を挟んで前記複数の針の先端とは反対側を切断する切断ステップをさらに備える請求項3から5の何れか一項に記載の回転機械の翼面補修方法。
  7. 前記切断ステップは、前記複数の針における前記支持金物を挟んで前記複数の針の先端とは反対側を溶断する溶断ステップである請求項6に記載の回転機械の翼面補修方法。
  8. 前記溶断ステップは、前記形状転写ステップによって前記型取り具に転写された前記正常翼面形状を保持した状態で前記複数の針の各々を前記支持金物に固定する前記形状固定ステップを兼ねる請求項7に記載の回転機械の翼面補修方法。
  9. 前記検査ステップは、前記正常翼面形状が転写された前記型取り具を、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における補修後の前記翼面に当接させた状態で、前記型取り具を挟んで一方側から前記型取り具を照らし、前記型取り具を挟んで他方側から前記型取り具の前記複数の針の先端および補修後の前記翼面によって形成された隙間を通過する光を確認する光検査ステップを含む請求項1から8の何れか一項に記載の回転機械の翼面補修方法。
  10. 前記検査ステップは、前記翼面にマーキング可能な塗料を前記複数の針の先端に塗布した後に、前記翼面の前記損傷が発生した箇所における補修後の前記翼面に、前記型取り具の前記複数の針の先端を当接させ、補修後の前記翼面にマーキングされた前記塗料を確認する塗料検査ステップを含む請求項1から9の何れか一項に記載の回転機械の翼面補修方法。
  11. 前記形状転写ステップは、前記複数の針のうちの一部の針の各々の先端に前記正常翼面形状が転写された形状保持部と、前記複数の針のうちの前記一部の針とは異なる他の針を前記翼に接触しないように軸方向に移動させることで、前記形状保持部に対して前記軸方向に突出するように形成される突出部と、を形成する請求項1から10の何れか一項に記載の回転機械の翼面補修方法。
  12. 前記回転機械の前記翼は、前記翼面に損傷が発生した第1翼および前記第1翼とは異なる第2翼を含み、
    前記形状転写ステップは、前記第1翼の翼面の損傷が発生した箇所を含む損傷領域に相当する位置における前記第2翼の翼面の領域であって、翼根からの距離及び前縁からの距離が前記損傷領域と等しい位置にある前記第2翼の翼面の領域における翼面形状を、前記正常翼面形状として前記型取り具に転写する請求項1から11の何れか一項に記載の回転機械の翼面の補修方法。
  13. 前記回転機械は、軸線を中心とする周方向に複数の翼セグメントとして分割可能な翼筐体を備え、
    前記翼セグメントは、前記軸線を中心とする周方向に沿って配置される前記翼を複数有し、
    前記第2翼は、前記翼セグメントに配置された複数の前記翼のうち端に配置された端部翼である請求項12に記載の回転機械の翼面の補修方法。
  14. 回転機械の翼の翼面の形状が転写された形状転写治具の製造方法であって、
    互いに並列に並べられた複数の針、および前記複数の針を前記複数の針の軸方向に個別に移動可能に保持する保持体、を含む型取り具を準備する準備ステップと、
    前記翼の前記翼面の形状を前記型取り具に転写する形状転写ステップと、
    前記形状転写ステップによって前記型取り具に転写された前記翼面の形状を保持した状態で前記複数の針の各々を支持金物に固定することで、前記型取り具に転写された前記翼面の形状を固定する形状固定ステップと、を備える形状転写治具の製造方法。
  15. 回転機械の翼の翼面の形状が転写された形状転写治具であって、
    互いに並列に並べられた複数の針であって、前記複数の針の先端を連続的に結んだ形状が、前記翼面の形状と略一致するように形成されている複数の針と、
    前記複数の針の各々が固定された支持金物と、を備える形状転写治具。
JP2017203970A 2017-10-20 2017-10-20 回転機械の翼面補修方法、形状転写治具の製造方法及び形状転写治具 Pending JP2019078193A (ja)

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