JP2019074501A - 電池状態推定方法及び電池状態推定装置 - Google Patents

電池状態推定方法及び電池状態推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い精度でSOCとOCVとの相関特性を取得できる電池状態推定方法を提供すること。【解決手段】電池状態推定方法は、高圧バッテリのOCVとSOCとの相関特性を取得する方法であって、高圧バッテリが満充電状態になるまで充電する第1充電工程(S4)と、満充電状態から下限充電状態になるまで放電し、その間の放電電流を積算することによって高圧バッテリの電池容量を算出する放電工程(S6)と、下限充電状態から満充電状態になるまで再び充電するとともに、下限充電状態から満充電状態までの間において複数定義された測定点に到達する度に充電を待ち時間以上にわたり停止し、待ち時間以上時間が経過した後高圧バッテリのOCVを測定し、測定後に充電を再開する第2充電工程(S9〜S12)と、各測定点におけるSOCと各測定点で測定されたOCVとに基づいて高圧バッテリの相関特性を取得する相関特性取得工程(S13)と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、電池状態推定方法及び電池状態推定装置に関する。より詳しくは、その劣化によって変化する電池の開放端電圧と充電率との相関特性を取得する電池状態推定方法及び電池状態推定装置に関する。
ハイブリッド車両(HEV)、プラグインハイブリッド車両(PHEV)、及びバッテリ式電動輸送機器(BEV)等に搭載される二次電池の入出力性能は、その充電率、電池容量、及び抵抗等の二次電池の内部状態によって変化する。このため二次電池をその入出力性能に適した態様で用いるためには、このような内部状態を、とりわけ充電率(以下、「SOC(State Of Charge)」との略語を用いる場合もある)を高い精度で推定する必要がある。また二次電池の充電率とその開放端電圧(以下、「OCV(Open Circuit Voltage)」との略語を用いる場合もある)との間には相関特性が存在する。そこで走行中の車両において二次電池のSOCを推定する際には、二次電池のOCVを推定するとともに、推定したOCVを、上記相関特性をマップ化したSOC−OCVマップに入力することによって、SOCを推定する場合が多い。
ところで、二次電池におけるSOCとOCVとの間の相関特性は、一般的には、電池の種類だけでなく、その劣化状態によっても変化する。そこで特許文献1には、上記のようなSOC−OCVマップを予め複数作成しておき、これら複数のSOC−OCVマップの中から二次電池の劣化状態に応じた適切なものを選択し、この選択されたSOC−OCVマップを用いて二次電池の充電率を推定する技術が示されている。
特開2016−23970号公報
しかしながら特許文献1の技術によれば、その推定精度を向上するには、その分だけ多くのSOC−OCVマップを予め作成しておく必要があり、したがって膨大な作業時間を要する。また複数のSOC−OCVマップを用いる場合、これらマップを記憶させるメモリも大きなものを用いる必要がある。
本発明は、複数のマップを予め作成することなく高い精度でSOCとOCVとの相関特性を取得できる電池状態推定方法及び電池状態推定装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の電池状態推定方法は、劣化によって変化する電池(例えば、後述の高圧バッテリ2)の開放端電圧と充電率との相関特性を取得する方法であって、前記電池に電源(例えば、後述の外部電源95)を接続し、当該電池が満充電状態になるまで充電する第1充電工程(例えば、後述の図6のS4の工程)と、前記電池が満充電状態から下限充電状態になるまで放電し、その間の放電電流を積算することによって当該電池の電池容量を算出する放電工程(例えば、後述の図6のS6の工程)と、前記電池が前記下限充電状態から満充電状態になるまで再び充電するとともに、前記下限充電状態から満充電状態までの間において複数定義された測定点に到達する度に充電を所定時間以上停止し、当該所定時間以上経過後に前記電池の開放端電圧を測定し、当該測定後に充電を再開する第2充電工程(例えば、後述の図6のS9〜S12の工程)と、前記各測定点における充電率と前記各測定点で測定された開放端電圧とに基づいて前記電池の前記相関特性を取得する相関特性取得工程(例えば、後述の図6のS13の工程)と、を備えることを特徴とする。
(2)この場合、前記電池は、移動体(例えば、後述の車両V)に搭載され、前記電源は、前記移動体の外部に設けられた外部電源(例えば、後述の外部電源95)であり、前記第1充電工程、前記放電工程、前記第2充電工程、及び前記相関特性取得工程は、前記移動体の停止中に前記外部電源が接続されたことに応じて実行されることが好ましい。
(3)この場合、前記移動体は、前記外部電源から供給される電力で前記電池を充電する外部充電と、前記電池から前記移動体の外部に設けられた外部供給対象へ放電する外部給電と、を実行可能な双方向充電器を備え、前記第1充電工程及び前記第2充電工程における充電及び前記放電工程における放電は、前記双方向充電器を用いて行われることが好ましい。
(4)この場合、前記移動体には、前記相関特性を新しく取得することの可否を選択するために利用者が操作可能な取得可否決定手段が搭載され、前記第1充電工程、前記放電工程、前記第2充電工程、及び前記相関特性取得工程は、前記要否決定手段を介して前記相関特性の取得が可であると選択された場合にのみ実行することが好ましい。
(5)この場合、前記第1充電工程、前記放電工程、前記第2充電工程、及び前記相関特性取得工程は、前記電池の使用開始時点又は前回の相関特性の取得時点から少なくとも所定の使用期間が経過することを条件として実行されることが好ましい。
(6)本発明の電池状態推定装置(例えば、後述の充電システムS)は、劣化によって変化する電池(例えば、後述の高圧バッテリ2)の開放端電圧と充電率との相関特性を取得するものであって、前記電池の電圧を検出する電圧検出手段(例えば、後述のバッテリ電圧センサ62)と、前記電池の電流を検出する電流検出手段(例えば、後述のバッテリ電流センサ61)と、電源から前記電池へ電力を供給し、当該電池が満充電状態になるまで充電させた後、前記電池から放電対象へ電力を供給し、当該電池が下限充電状態になるまで放電させる充放電手段(例えば、後述の充電ECU56)と、前記充放電手段により前記電池が満充電状態から前記下限充電状態になるまでの間に前記電流検出手段によって検出される放電電流を積算することにより前記電池の電池容量を算出する電池容量算出手段(例えば、後述のバッテリECU60及び電池容量算出部672)と、前記電源から前記電池へ電力を供給し、当該電池が前記下限充電状態から満充電状態になるまで充電させるとともに、前記下限充電状態から満充電状態までの間において複数定義された測定点に到達する度に所定時間以上にわたり充電を一時的に停止した後、充電を再開する間欠充電手段(例えば、後述の充電ECU56)と、前記各測定点において前記間欠充電手段により充電が一時的に停止されている間に前記電圧検出手段により前記電池の開放端電圧を取得する開放端電圧取得手段(例えば、後述のバッテリECU60の開放端電圧取得部673)と、前記各測定点における充電率と前記開放端電圧取得手段により前記各測定点で測定された開放端電圧とに基づいて、前記電池の前記相関特性を取得する相関特性取得手段(例えば、後述の相関特性取得部674)と、を備えることを特徴とする。
(1)本発明の電池状態推定方法では、始めに、満充電状態になるまで電池を充電し(第1充電工程)、さらに満充電状態から下限充電状態になるまで電池を放電するとともに、その間の放電電流を積算することによって電池の電池容量を算出する(放電工程)。従って本発明によれば、電池の電池容量を正確に推定できる。その後本発明では、下限充電状態から満充電状態になるまで再び電池を充電するとともに、下限充電状態から満充電状態までの間に複数の測定点を定義し、充電中に測定点に到達する度に充電を所定時間以上停止し、この所定時間以上経過後に電池の開放端電圧を測定し、測定後に充電を再開する(第2充電工程)。従って本発明によれば、各測定点における開放端電圧の測定精度の低下を抑制できる。また本発明では、先に放電工程を実行し、電池容量を推定しておくことにより、この電池容量を基準として測定点を定義でき、ひいては各測定点における充電率の推定精度の低下を抑制できる。また本発明では、以上のように得られた各測定点における充電率と開放端電圧とに基づいて、電池の開放端電圧と充電率との間の相関特性を取得する。以上のように本発明によれば、劣化によって変化する相関特性を精度良く取得することができる。また本発明の電池状態推定方法では、電池が満充電状態になった状態で相関特性の推定を終えることができるので、利便性が良い。
(2)上述のように本発明の電池状態推定方法では、相関特性を取得するためには充電と、放電と、再充電とを行う必要があるため、時間がかかる。そこで本発明の電池状態推定方法では、移動体の停止中、すなわち利用者が移動体を利用しない期間を利用して、上記第1充電工程、放電工程、第2充電工程、及び相関特性取得工程を行い、相関特性を取得する。これにより利用者による利便性が損なわれるのを防止できる。
(3)本発明の電池状態推定方法では、第1充電工程及び第2充電工程における充電と、放電工程における放電とを、双方向充電器を用いて行う。これにより放電工程において、満充電状態から下限充電状態になるまで電池から放電される電力を、双方向充電器に接続されている電力網や電気負荷等で有効に利用できる。
(4)電池の相関特性は、その劣化の進行とともに徐々に変化するため、頻繁に更新する必要はない。また本発明の電池状態推定方法では、放電と、再充電とを行う必要があるため、時間がかかる。そこで本発明の電池状態推定方法では、移動体に搭載された取得可否決定手段を介して、利用者から相関特性の新たな取得が可であると選択された場合にのみ、第1充電工程、放電工程、第2充電工程、及び相関特性取得工程を実行し、電池の相関特性を取得する。これにより、利用者の意図に反して新たに相関特性の取得が行われてしまい、利便性が損なわれるのを防止できる。
(5)上述のように電池の相関特性は、その劣化の進行とともに徐々に変化するため、頻繁に更新する必要はない。そこで本発明の電池状態推定方法では、電池の使用開始時点又は前回の相関特性の取得時点から少なくとも所定の使用期間が経過したことを条件として、第1充電工程、放電工程、第2充電工程、及び相関特性取得工程を実行する。これにより、必要以上の頻度で相関特性の取得が行われてしまい、利用者による利便性が損なわれるのを防止できる。
(6)本発明の電池状態推定装置によれば、上述の(1)の電池状態推定方法と同様の効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る電池状態推定装置を備える充電システムの構成を示す図である。 バッテリECUにおいて実現される制御モジュールのうち、高圧バッテリのSOCの推定に係る部分の構成を示す機能ブロック図である。 高圧バッテリのOCVを推定する際に用いられる高圧バッテリの等価回路モデルの構成を示す図である。 SOC−OCVマップの一例を示す図である。 間欠充電処理の手順を説明するための図である。 本発明の電池状態推定方法の具体的な手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る電池状態推定装置を備える充電システムSの構成を示す図である。充電システムSは、高圧バッテリ2及びこの高圧バッテリ2に接続されたインレット51を備える電動車両V(以下、単に「車両V」という)と、そのコネクタ91をインレット51に接続すると車両Vの高圧バッテリ2に対し電力の授受が可能な外部充電器9と、を組み合わせて構成される。
外部充電器9は、例えば車両Vの利用者の住宅に設置される。外部充電器9は、インレット51に接続可能なコネクタ91と、外部電源95と、外部電源95とコネクタ91とを接続する第1給電線92と、住宅に設置された電気負荷96と、電気負荷96と第1給電線92とを接続する第2給電線93と、を備える。
外部電源95は、交流、具体的には、例えばAC200Vを出力する家庭用の交流電源であるが、本発明はこれに限らない。電気負荷96は、住宅に設けられた特定の電気製品(例えば、照明や給湯器等)であるが、本発明はこれに限らない。電気負荷96は、車両Vの高圧バッテリ2の放電対象であればよく、特定の電気製品の他、家庭用二次電池や電力系統等であってもよい。
利用者は、外部充電器9と車両Vとを接続し、外部電源95から供給される電力で車両Vの高圧バッテリ2を充電させたり、車両Vの高圧バッテリ2から供給される電力を電気負荷96に給電させたりする際には、コネクタ91をインレット51に接続する。コネクタ91をインレット51に接続すると、第1給電線92と後述の電力線21p,21nとが電気的に接続される。これにより、外部充電器9の外部電源95から高圧バッテリ2への電力の供給(以下、単に「外部充電」ともいう)と、高圧バッテリ2から電気負荷96への電力の供給(以下、単に「外部給電」ともいう)と、が可能な状態になる。
車両Vは、図示しない駆動輪と機械的に連結された走行モータMと、この走行モータMに電力を供給する電源システム1と、電源システム1から供給される電力を変換するインバータ71及び電圧変換器(以下では、「VCU」との略称を用いる)72と、運転者が視認及び操作可能なタッチパネルPと、を備える。このタッチパネルPは、例えば車両Vに搭載されるカーナビゲーションシステムのものが用いられる。
走行モータMは、例えば、三相交流モータである。VCU72は、例えば、複数のスイッチング素子(例えば、IGBT)を備える双方向DC−DCコンバータである。VCU72は、後述の主電力線21p,21nを介して高圧バッテリ2から供給される直流の電圧を昇圧してインバータ71へ供給したり、インバータ71から供給される直流の電圧を降圧して高圧バッテリ2に供給したりする。インバータ71は、例えば、複数のスイッチング素子(例えば、IGBT)をブリッジ接続して構成されるブリッジ回路を備えた、パルス幅変調によるPWMインバータである。インバータ71は、その直流入出力側が主電力線21p,21nを介してVCU72に接続され、その交流入出力側が走行モータMのU相、V相、W相の各コイルに接続されている。走行モータMは、高圧バッテリ2からVCU72及びインバータ71を介して電力が供給されると駆動力を発生し、走行する。また走行モータMは、回生運転を行うことによって電力を生成する。走行モータMの回生運転によって生成された電力は、インバータ71及びVCU72を介して高圧バッテリ2に供給され、これを充電する。
電源システム1は、高圧バッテリ2と、高圧バッテリ2と上述のVCU72及びインバータ71とを接続する正極側主電力線21p及び負極側主電力線21n(以下、これらをまとめて「主電力線21p,21n」という)と、外部充電器Cが接続される外部充電ユニット5と、高圧バッテリ2の内部状態を推定する電子制御ユニットであるバッテリECU60と、高圧バッテリ2の状態を検出するセンサ61,62,63と、を備える。
高圧バッテリ2は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電と、及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電との両方が可能な二次電池である。以下では、この高圧バッテリ2として、電極間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う所謂リチウムイオン蓄電池を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。
主電力線21p,21nのうちVCU72よりも高圧バッテリ2側には、これら電力線21p,21nを接続又は遮断する正極側メインコンタクタ22p及び負極側メインコンタクタ22n(以下、これらをまとめて「メインコンタクタ22p,22n」という)が設けられている。
これらメインコンタクタ22p,22nは、外部からの指令信号が入力されていない状態では開成し、高圧バッテリ2とVCU72との接続を遮断するノーマルオープン型である。これらメインコンタクタ22p,22nは、バッテリECU60からの指令信号に応じて閉成又は開成する。より具体的には、これらメインコンタクタ22p,22nは、例えば、車両Vの走行中に高圧バッテリ2とVCU72との間で充放電を行う場合には、バッテリECU60からの指令信号に応じて閉成し、高圧バッテリ2とVCU72とを接続する。
バッテリ電流センサ61は、高圧バッテリ2から走行モータMや外部充電器9等の負荷へ電力を供給する際に高圧バッテリ2を流れる放電電流や、走行モータMや外部充電器9等から高圧バッテリ2に電力を供給する際に高圧バッテリ2を流れる充電電流を検出し、検出値に応じた信号をバッテリECU60へ送信する。バッテリ電圧センサ62は、高圧バッテリ2の端子電圧を検出し、検出値に応じた信号をバッテリECU60へ送信する。バッテリ温度センサ63は、高圧バッテリ2の温度を検出し、検出値に応じた信号をバッテリECU60へ送信する。
バッテリECU60は、メインコンタクタ22p,22nの開閉制御の他、高圧バッテリ2の内部状態(より具体的には、高圧バッテリ2のSOC[%])の推定に係る制御を担うマイクロコンピュータである。ここでSOCとは、高圧バッテリ2の残量の電池容量に対する割合を百分率で表したものである。バッテリECU60において、高圧バッテリ2のSOCを推定する具体的な手順については、後に図2を参照して説明する。
外部充電ユニット5は、外部充電器9のコネクタ91を接続可能なインレット51と、このインレット51を保護する充電リッド52と、コネクタ91のインレット51への接続を検出するコネクタセンサ53と、インレット51と主電力線21p,21nとを接続する正極側副電力線54p及び負極側副電力線54n(以下では、これらをまとめて「副電力線54p,54n」という)と、これら副電力線54p,54nに設けられた車載充電器55と、車載充電器55を制御する電子制御ユニットである充電ECU56と、を備える。
副電力線54p,54nは、インレット51から延び、主電力線21p,21nのうちメインコンタクタ22p,22nとVCU72との間に至る。コネクタ91をインレット51に接続すると、外部充電器Cの第1給電線92と車両V側の副電力線54p,54n及び主電力線21p,21nとが電気的に接続される。
充電リッド52は、板状であり、車両Vの図示しない車体に設けられたヒンジ52aによって開閉可能に軸支されている。充電リッド52を閉じると、この充電リッド52は車両Vのアウタパネルの一部を構成するようになっており、これによりインレット51は保護される。また充電リッド52を開くと、インレット51が外部に露出し、これにより利用者はコネクタ91をインレット51に接続することが可能となる。
コネクタセンサ53は、コネクタ91がインレット51に接続されていない間はオフとなり、コネクタ91がインレット51に接続されるとその旨を示す信号を充電ECU56へ送信する。コネクタ91のインレット51への接続の有無は、このコネクタセンサ53からの検出信号に基づいて充電ECU56によって判別される。
車載充電器55は、力率改善回路、整流、平滑回路、及びインバータ回路等を備える。車載充電器55では、これら回路を用いることにより、外部充電器9の外部電源95から供給される交流を直流に変換し高圧バッテリ2に供給し高圧バッテリ2を充電する外部充電機能と、高圧バッテリ2から供給される直流を交流に変換し外部充電器9の電気負荷96へ放電する外部給電機能と、の2つの機能を、充電ECU56からの制御信号に応じて選択的に発揮することが可能となっている。
充電ECU56は、バッテリECU60において推定される高圧バッテリ2のSOCが所定値以下である場合には、コネクタセンサ53を介してコネクタ91がインレット51に接続されたことを検出したことを契機として車載充電器55に外部充電機能を発揮させることにより、外部電源95から高圧バッテリ2への外部充電を行う。また充電ECU56は、高圧バッテリ2のSOCが上記所定値以上でありかつ利用者によって外部給電の実行が要求されている場合には、コネクタセンサ53を介してコネクタ91がインレット51に接続されたことを検出したことを契機として車載充電器55に外部給電機能を発揮させることにより、高圧バッテリ2から電気負荷96への外部給電を行う。
また充電ECU56は、バッテリECU60において後述の学習処理の実行が要求されている場合には、車載充電器55に対し所定の順序で外部充電機能及び外部給電機能を発揮させる学習処理を実行する。なお、充電ECU56におけるこの学習処理の具体的な手順については、後に図2〜図6を参照して詳細に説明する。
またこれら充電ECU56やバッテリECU60等の制御装置は、各種の制御情報を授受するバス型ネットワークであるCANバス57を介して相互に接続されており、これらの間で必要な制御情報の送受信が適宜可能となっている。
図2には、バッテリECU60において実現される制御モジュールのうち、高圧バッテリ2のSOCの推定に係る部分の構成を示す機能ブロック図である。
バッテリECU60は、センサ61〜63の検出信号に基づいて高圧バッテリ2の開放端電圧(高圧バッテリ2に電流が流れていない状態における高圧バッテリ2の端子電圧であって、以下、「OCV」との略称を用いる)を推定するOCV推定部65と、高圧バッテリ2におけるSOCとOCVとの間の相関特性を規定したSOC−OCVマップに基づいて、OCV推定部65によって得られたOCV推定値に応じたSOCを推定するSOC推定部66と、SOC推定部66において規定されているSOC−OCVマップを、高圧バッテリ2の劣化に応じたものに更新する学習処理を実行するマップ学習装置67と、を備える。
OCV推定部65は、高圧バッテリ2に接続されているセンサ61〜63の検出信号に基づいて、高圧バッテリ2のOCVの推定値に相当するOCV推定値を算出する。OCV推定部65は、例えば、図3に示すような抵抗値Rの第1内部抵抗と、抵抗値Rの第2内部抵抗及び静電容量値Cの内部コンデンサから成るRC並列回路と、を直列に接続して構成される高圧バッテリ2の等価回路モデルに基づいて、OCV推定値を算出する。
図3の等価回路モデルによれば、バッテリを流れる電流をIとし、バッテリの端子電圧をCCVとし、バッテリの開放端電圧をOCVとすると、端子電圧CCVは、下記式(1)に示すように、開放端電圧OCVから、第1抵抗における第1電圧降下(RI)と、RC並列回路における第2電圧降下(V)とを減算したもので表される。また下記式(1)において、端子電圧CCVの値はバッテリ電圧センサ62の検出値に基づいて特定でき、電流Iの値はバッテリ電流センサ61の検出値に基づいて特定でき、抵抗値R及び電圧降下Vの値は、バッテリ電流センサ61の検出値やバッテリ温度センサ63の検出値に基づいて特定できる。そこでOCV推定部65では、これらセンサ61〜63の検出値と等価回路モデルとを用いることによって、通電中の高圧バッテリ2におけるOCV推定値を算出する。
CCV=OCV−RI−V (1)
図2に戻りSOC推定部66は、高圧バッテリ2のSOCとOCVとの間の相関特性をマップで表現したSOC−OCVマップ(例えば、図4参照)を備えており、OCV推定部65によって算出されたOCV推定値をこのSOC−OCVマップに入力することにより、OCV推定値に応じたSOC推定値を算出する。なお図4に示すように、高圧バッテリ2のSOCとOCVとの間の相関特性は、高圧バッテリ2の劣化の進行に応じて非線形な変化を示す。そこでSOC推定部66において規定されるSOC−OCVマップの内容は、マップ学習装置67において実行される学習処理により、高圧バッテリ2の劣化の進行に合せて適宜更新される。また、車両Vの走行中にSOC推定部66において算出される高圧バッテリ2のSOC推定値は、例えば、車両Vの図示しないエネルギマネジメント制御に用いられる。
マップ学習装置67は、学習要否判定部671と、電池容量算出部672と、開放端電圧取得部673と、相関特性取得部674と、を備え、これらによって学習処理を実行する。
学習要否判定部671は、タッチパネルPを介して利用者の意思を問い合わせることにより、学習処理の実行の要否を判定する。高圧バッテリ2の劣化は、その使用とともに徐々に進行するため、高圧バッテリ2のSOCとOCVとの間の相関特性も徐々に進行する。また後に詳細に説明するように、学習処理は、開始から終了まで数時間程度の時間を要する。このため、学習処理は、頻繁に実行しても利益が少ない。
そこで学習要否判定部671は、高圧バッテリ2の使用開始時点又は前回の学習処理の実行時点から所定の使用期間が経過した場合には、タッチパネルPに学習処理の実行の要否を利用者に問い合わせるメッセージ(具体的には、例えば「電池特性を学習しますか?」)を、例えば車両Vの停止時に表示させる。ここで、使用期間は、SOC−OCVマップの内容に有意な変化が表れると予想される期間であって、具体的には、例えば半年である。また学習要否判定部671は、タッチパネルPにメッセージを表示させた結果、利用者から学習処理の実行を要求しない操作(具体的には、例えば「NO」のボタンに触れる操作)を受け付けた場合には、学習処理の実行を要求しない。
また学習要否判定部671は、タッチパネルPにメッセージを表示させた結果、利用者から学習処理の実行を要求する操作(具体的には、例えば「YES」のボタンに触れる操作)を受け付けた場合には、充電ECU56及び電池容量算出部672に対し、学習処理の実行を要求する。
充電ECU56は、学習要否判定部671から学習処理の実行要求を受信した場合には、第1充電処理と、放電処理と、間欠充電処理と、をこの順で実行する。
先ず第1充電処理では、充電ECU56は、高圧バッテリ2が満充電状態になるまで高圧バッテリ2を充電させる。ここで満充電状態とは、高圧バッテリ2のSOCが100%になった状態である。高圧バッテリ2が満充電状態であるか否かは、例えば高圧バッテリ2の電圧が所定の上限電圧以上であるか否かに応じて判定できる。
また放電処理では、充電ECU56は、高圧バッテリ2が満充電状態から下限充電状態になるまで高圧バッテリ2を放電させる。ここで下限充電状態とは、高圧バッテリ2のSOCが0%になった状態である。高圧バッテリ2が下限充電状態であるか否かは、例えば高圧バッテリ2の電圧が所定の下限電圧以下であるか否かに応じて判定できる。
また間欠充電処理では、充電ECU56は、高圧バッテリ2が下限充電状態から再び満充電状態になるまで高圧バッテリ2を間欠的に充電させる。より具体的には、充電ECU56は、図5に示すように、SOCが0%である状態を示す下限充電状態から、SOCが100%である状態を示す満充電状態までの間に、後述の電池容量算出部672において算出される電池容量推定値を基準として、3以上の複数(N個)の測定点P,P,…,PN−1,Pを定義する。ここで、一番小さな番号の測定点Pは、下限充電状態に相当し、一番大きな番号の測定点Pは、満充電状態に相当する。充電ECU56は、下限充電状態から満充電状態になるまで充電する間に、高圧バッテリ2のSOCの推定値が測定点P,P,…,PN−1,P毎に定められたSOC閾値SOC(=0),SOC,…,SOCN−1,SOC(=100)に到達した場合には、その度に高圧バッテリ2への充電を所定の待ち時間(例えば、数分程度)以上にわたり一時的に停止し、この待ち時間以上の時間が経過した後に充電を再開する。
なお測定点の位置、すなわち測定点毎にSOCに対して定められるSOC閾値の大きさは、下限充電状態から満充電状態までの間において等間隔になるように設定してもよいし、SOCとOCVとの間の相関特性に大きな変化が表れると予想される特定の領域において特に密になるように設定してもよい。
図2に戻り、電池容量算出部672は、充電ECU56において放電処理が実行されることにより、高圧バッテリ2が満充電状態から下限充電状態になるまでの間に、バッテリ電流センサ61によって検出される高圧バッテリ2の放電電流を積算することにより、高圧バッテリ2の現在の電池容量の推定値である電池容量推定値を算出する。
開放端電圧取得部673は、充電ECU56による第1充電処理や放電処理が実行された後や、充電ECU56において間欠充電処理が実行されている間において、上述のように各測定点P〜Pにおいて待ち時間以上にわたり充電が一時的に停止されている期間内に、バッテリ電圧センサ62を用いて高圧バッテリ2のOCVの検出値を取得する。ここで開放端電圧取得部673は、バッテリ電圧センサ62を用いてできるだけ精度良くOCVを検出するため、各測定点P〜Pで充電が一時的に停止された直後ではなく、充電が一時的に停止されてから待ち時間以上の時間が経過してから、すなわち充電ECU56によって充電が再開される直前にバッテリ電圧センサ62の検出値を読み取ることが好ましい。以上により開放端電圧取得部673では、図5に示すように各測定点P,P,…,PN−1,P毎にOCV検出値OCV,OCV,…,OCVN−1,OCVが取得される。
相関特性取得部674は、各測定点P,P,…,PN−1,PにおけるSOC閾値SOC,SOC,…,SOCN−1,SOCと、開放端電圧取得部673により各測定点P,P,…,PN−1,Pにおいて取得されたOCV検出値OCV,OCV,…,OCVN−1,OCVとに基づいて、現在の高圧バッテリ2に則した新しいSOC−OCVマップを構築する。より具体的には、相関特性取得部674は、SOC閾値SOC〜SOC及びOCV検出値OCV〜OCVによって特定されるN個の検出点を通過するような曲線を既知の補間アルゴリズムを利用して作成することにより、新しいSOC−OCVマップを構築し、さらにSOC推定部66において規定されているSOC−OCVマップを、新しく構築したSOC−OCVマップで置き換える。
図6は、充電ECU56及びバッテリECU60において、高圧バッテリ2のSOCとOCVとの間の相関特性を学習する学習処理の具体的な手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、例えば、利用者により充電リッド52が開かれ、さらにコネクタ91がインレット51に差し込まれ、充電ECU56及びバッテリECU60が起動したことに応じて開始する。
始めにS1では、充電ECU56は、双方向充電(すなわち、高圧バッテリ2の外部充電と外部給電との両方)を実行可能な外部充電器が接続されているか否かを判別する。S1の判別がYESである場合にはS2に移り、NOである場合にはS15に移る。
S2では、充電ECU56は、バッテリ温度センサ63を利用して現在の高圧バッテリ2の温度を取得し、このバッテリ温度が規定温度(例えば、0℃)以上であるか否かを判別する。S2の判別がYESである場合、高圧バッテリ2の温度は以下で説明する学習処理を実行するのに適した温度であると判断し、S3に移る。またS2の判別がNOである場合、高圧バッテリ2の温度は学習処理を実行するのに適した温度でないと判断し、S15に移る。高圧バッテリ2の温度が低すぎると、その性能が低下してしまうため、学習処理を実行するには適していない。
S3では、充電ECU56は、学習要否判定部671により学習処理の実行が要求されているか否かを判別する。上述のように学習要否判定部671では、高圧バッテリ2の使用開始時点又は前回の学習処理の実行時点から使用期間が経過し、かつ利用者によって学習処理の実行を要求する操作が行われている場合には、学習処理の実行を要求する。S3の判別がYESである場合には、S4に移り、一連の学習処理を開始する。またS3の判別がNOである場合には、S15に移る。
始めにS4では、充電ECU56は、第1充電処理を実行し、S5に移る。より具体的には、充電ECU56は、車載充電器55に外部充電機能を発揮させることにより、バッテリ電圧センサ62によって検出されるバッテリ電圧が上限電圧に到達するまで、すなわち高圧バッテリ2が満充電状態になるまで外部電源95の電力を高圧バッテリ2に供給し、高圧バッテリ2を充電させる。充電ECU56は、高圧バッテリ2が満充電状態になった場合には、車載充電器55を停止し、高圧バッテリ2の充電及び放電を停止する。
S5では、バッテリECU60の開放端電圧取得部673は、高圧バッテリ2が満充電状態になり、充電及び放電を停止してから、所定の待ち時間(例えば、数分程度)以上にわたり高圧バッテリ2に電流が流れない状態を維持した後、バッテリ電圧センサ62の検出値を読み取ることにより、満充電時開放電圧値OCVを取得する。
S6では、充電ECU56は、放電処理を実行し、S7に移る。より具体的には、充電ECU56は、車載充電器55に外部給電機能を発揮させることにより、バッテリ電圧センサ62によって検出されるバッテリ電圧が下限電圧に到達するまで、すなわち高圧バッテリ2が下限充電状態になるまで高圧バッテリ2から電気負荷96へ電力を供給し、高圧バッテリ2を放電させる。充電ECU56は、高圧バッテリ2が下限充電状態になった場合には、車載充電器55を停止し、高圧バッテリ2の充電及び放電を停止する。なお充電ECU56において放電処理を実行している間、バッテリECU60の電池容量算出部672は所定の周期でバッテリ電流センサ61の検出値を読み取り、さらにその積算値を算出する。
S7では、バッテリECU60の開放端電圧取得部673は、高圧バッテリ2が下限充電状態になり、充電及び放電を停止してから、待ち時間以上にわたり高圧バッテリ2に電流が流れない状態を維持した後、バッテリ電圧センサ62の検出値を読み取ることにより、下限充電時開放電圧値OCVを取得する。
S8では、バッテリECU60の電池容量算出部672は、上記放電処理において高圧バッテリ2が満充電状態から下限充電状態になるまでの間における、バッテリ電流センサ61の検出値の積算値を算出し、これを電池容量値Capaとする。
次にS9では、充電ECU56及びバッテリECU60は、高圧バッテリ2が下限充電状態から満充電状態になるまで、換言すれば後述のカウンタi(2からNまでの整数)の値が、測定点の個数であるNに到達するまで、S10〜S12の処理を繰り返し実行する。ここで、高圧バッテリ2が満充電状態になったか否かは、例えば、S4と同様にバッテリ電圧が上限電圧に達したか否かによって判断することもできるし、充電中におけるバッテリ電流センサ61の検出値の積算値がS8で算出した電池容量値Capaに達したか否かによって判断することもできる。
S10では、充電ECU56は、間欠充電処理を実行し、S11に移る。より具体的には、充電ECU56は、S9で算出された電池容量値Capaを基準として、下限充電状態から満充電状態までの間にN個の測定点P〜Pを定義するとともに、車載充電器55に外部充電機能を発揮させることにより、高圧バッテリ2がカウンタiによって特定される測定点P(ここでカウンタiは、初期値を2とした整数であって、後述のS12において1ずつインクリメントされる)に到達するまで、すなわち高圧バッテリ2が満充電状態になるまで外部電源95の電力を高圧バッテリ2に供給し、高圧バッテリ2を充電させる。充電ECU56は、高圧バッテリ2が測定点Pに到達した場合には、車載充電器55を停止し、高圧バッテリ2の充電及び放電を、待ち時間以上にわたり停止する。ここで高圧バッテリ2が測定点Pに到達したか否かは、例えば、充電中におけるバッテリ電流センサ61の検出値の積算値が充電量(Capa/N−1)×iに達したか否かによって判断できる。
S11では、バッテリECU60の開放端電圧取得部673は、高圧バッテリ2が測定点Pに到達し、充電及び放電を停止してから、待ち時間以上にわたり高圧バッテリ2に電流が流れない状態を維持した後、バッテリ電圧センサ62の検出値を読み取ることにより、測定点PにおけるOCV検出値OCVを取得する。S12では、充電ECU56は、カウンタiに1を加算し、S10に戻り、次の測定点Pi+1へ向けて充電を再開する。以上のように、S9〜S12の処理では、充電ECU56によって間欠充電処理を実行しながら、開放端電圧取得部673によって各測定点P〜PN−1におけるOCV検出値OCV〜OCVN−1を取得する。なお、OCV検出値OCV及びOCVは、それぞれ先に実行したS7及びS5において取得されているため、S9〜S12において積極的に取得する必要はない。
S13では、バッテリECU60の相関特性取得部674は、先の処理で取得されたSOC閾値SOC〜SOC及びOCV検出値OCV〜OCVによって特定されるN個の検出点を通過するような曲線を既知の補間アルゴリズムを利用して作成することにより、新しいSOC−OCVマップを構築し、S14に移る。
S14では、相関特性取得部674は、現在のSOC推定部66において規定されているSOC−OCVマップを、今回S13で新たに構築したSOC−OCVマップで置き換え、S15に移る。
S15では、充電システムSをオフにし、図6の処理を終了する。なお、以上のような学習処理は、S4において開始してからS14において終了するまで、数時間程度の時間を要する。このため学習処理の実行中に、利用者によってコネクタ91が取り外され、車両Vが起動される場合もある。このような場合には、実行中の学習処理は中断し、SOC−OCVマップは引き続き古いものを用いるようにすることが好ましい。
本実施形態の電池状態推定方法によれば、以下の効果を奏する。
(1)電池状態推定方法では、始めに、満充電状態になるまで高圧バッテリ2を充電し(S4の第1充電工程)、さらに満充電状態から下限充電状態になるまで高圧バッテリ2を放電するとともに、その間の放電電流を積算することによって高圧バッテリ2の電池容量推定値を算出する(S6の放電工程)。ここで電池状態推定方法では、満充電状態から下限充電状態になるまでの放電電流の積算値を用いることにより、時間がかかるものの高圧バッテリ2の電池容量を精度良く推定できる。その後電池状態推定方法では、下限充電状態から満充電状態になるまで再び高圧バッテリ2を充電するとともに、下限充電状態から満充電状態までの間に複数の測定点P〜Pを定義し、充電中に各測定点に到達する度に充電を所定の待ち時間以上にわたり停止し、この待ち時間以上の時間が経過した後に高圧バッテリ2のOCVを測定し、測定後に充電を再開する(S9〜S12の第2充電工程)。ここで電池状態推定方法では、充電中に各測定点P〜Pに到達する度に待ち時間以上にわたり充電を停止してからOCVを測定することにより、その分だけ時間がかかるものの、各測定点P〜PにおけるOCVを精度良くに測定できる。また上述のように電池状態推定方法では先に放電工程を実行することで電池容量を精度良く推定できるので、この電池容量を基準として測定点P〜Pを定義でき、ひいては各測定点P〜PにおけるSOCを精度良く推定することもできる。また電池状態推定方法では、以上のように得られた各測定点P〜PにおけるSOC閾値SOC〜SOCとOCV検出値OCV〜OCVとに基づいて、高圧バッテリ2のSOC−OCVマップを新たに構築する。以上のように電池状態推定方法によれば、一旦満充電状態になるまで充電し、その後下限充電状態になるまで放電し、さらにその後満充電状態になるまで充電を行うことにより、時間がかかるものの劣化によって変化するSOC−OCVマップを精度良く構築することができる。またこのように正確なSOC−OCVマップを用いることにより、高圧バッテリ2のSOCも正確に推定することもできる。また電池状態推定方法では、高圧バッテリ2が満充電状態になった状態でSOC−OCVマップの構築を終えることができるので、利便性が良い。
(2)電池状態推定方法では、SOC−OCVマップを新たに構築するためには充電と、放電と、再充電とを行う必要があるため、時間がかかる。そこで電池状態推定方法では、車両Vの停止中、すなわち利用者が車両Vを利用しない期間を利用して、上記第1充電工程、放電工程、第2充電工程、及び相関特性取得工程を行い、相関特性を取得する。これにより利用者による利便性が損なわれるのを防止できる。
(3)電池状態推定方法では、第1充電工程及び第2充電工程における充電と、放電工程における放電とを、外部充電機能と外部給電機能とを発揮できる双方向型の車載充電器55を用いて行う。これにより放電工程において、満充電状態から下限充電状態になるまで高圧バッテリ2から放電される電力を、車載充電器55に接続されている電力網や電気負荷等で有効に利用できる。
(4)高圧バッテリ2の相関特性は、その劣化の進行とともに徐々に変化するため、頻繁に更新する必要はない。また電池状態推定方法では、放電と、再充電とを行う必要があるため、時間がかかる。そこで電池状態推定方法では、車両Vに搭載されたタッチパネルPを介して、利用者から相関特性の新たな取得が要求された場合にのみ、学習処理を実行し、高圧バッテリ2のSOC−OCVマップを取得する。これにより、利用者の意図に反して新たにSOC−OCVマップが新たに構築されてしまい、利便性が損なわれるのを防止できる。
(5)上述のように高圧バッテリ2の相関特性は、その劣化の進行とともに徐々に変化するため、頻繁に更新する必要はない。そこで電池状態推定方法では、高圧バッテリ2の使用開始時点又は前回の相関特性の取得時点から少なくとも所定の使用期間が経過したことを条件として、学習処理を実行する。これにより、必要以上の頻度で学習処理が行われてしまい、利用者による利便性が損なわれるのを防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態では、学習要否判定部671は、高圧バッテリ2の使用開始時点又は前回の学習処理の実行時点から所定の使用期間が経過した場合に、タッチパネルPを介して学習処理の実行の要否を利用者に問い合わせ、さらに利用者が学習処理の実行を要求する操作が行われた場合に、充電ECU56及び電池容量算出部672に対し、学習処理の実行を要求した。すなわち、上記実施形態では、使用開始時点又は前回の学習処理の実行時点から使用期間が経過したこと(第1の条件)、及び利用者が学習処理の実行を要求する操作を行ったこと(第2の条件)、の2つの条件を満たした場合に学習処理の実行を要求したが、本発明はこれに限らない。例えば学習要否判定部では、上記2つの条件のうちの何れかを満たした場合に学習処理の実行を要求するようにしてもよい。すなわち、学習要否判定部は、使用開始時点又は前回の学習処理の実行時点から使用期間が経過した場合には、利用者の意思によらずに学習処理の実行を要求するようにしてもよい。また学習要否判定部は、任意のタイミングで利用者がタッチパネルPを介して学習処理の実行を要求する操作を行った場合には、使用開始時点又は前回の学習処理の実行時点から使用期間が経過していなくても学習処理の実行を要求するようにしてもよい。
また例えば上記実施形態では、外部充電機能と外部給電機能との2つの機能を選択的に発揮できる車載充電器55を搭載する車両Vに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明に係る電池状態推定方法及び電池状態推定装置は、外部給電機能を備えずかつ外部充電機能を備える車載充電器を搭載する車両にも適用できる。またこのような車両に適用する場合、図6のS6における放電処理では、バッテリ電圧センサ62によって検出されるバッテリ電圧が下限電圧に到達するまで、すなわち高圧バッテリ2が下限充電状態になるまで高圧バッテリ2から車両に搭載される車載負荷(具体的には、例えば、走行モータMや、補機負荷や、ディスチャージ抵抗等)に強制的に放電することが好ましい。
S…充電システム(電池状態推定装置)
V…車両(移動体)
1…電源システム
2…高圧バッテリ(電池)
5…外部充電ユニット
55…車載充電器(双方向充電器)
56…充電ECU(充放電手段、間欠充電手段)
60…バッテリECU(電池容量算出手段、開放端電圧取得手段、相関特性取得手段)
65…OCV推定部
66…SOC推定部
67…マップ学習装置
671…学習要否判定部
672…電池容量算出部(電池容量算出手段)
673…開放端電圧取得部(開放端電圧取得手段)
674…相関特性取得部(相関特性取得手段)
61…バッテリ電流センサ(電流検出手段)
62…バッテリ電圧センサ(電圧検出手段)
P…タッチパネル(取得可否決定手段)
9…外部充電器
95…外部電源(電源、外部電源)
96…電気負荷

Claims (6)

  1. 劣化によって変化する電池の開放端電圧と充電率との相関特性を取得する電池状態推定方法であって、
    前記電池に電源を接続し、当該電池が満充電状態になるまで充電する第1充電工程と、
    前記電池が満充電状態から下限充電状態になるまで放電し、その間の放電電流を積算することによって当該電池の電池容量を算出する放電工程と、
    前記電池が前記下限充電状態から満充電状態になるまで再び充電するとともに、前記下限充電状態から満充電状態までの間において複数定義された測定点に到達する度に充電を所定時間以上停止し、当該所定時間以上経過後に前記電池の開放端電圧を測定し、当該測定後に充電を再開する第2充電工程と、
    前記各測定点における充電率と前記各測定点で測定された開放端電圧とに基づいて前記電池の前記相関特性を取得する相関特性取得工程と、を備えることを特徴とする電池状態推定方法。
  2. 前記電池は、移動体に搭載され、
    前記電源は、前記移動体の外部に設けられた外部電源であり、
    前記第1充電工程、前記放電工程、前記第2充電工程、及び前記相関特性取得工程は、前記移動体の停止中に前記外部電源が接続されたことに応じて実行されることを特徴とする請求項1に記載の電池状態推定方法。
  3. 前記移動体は、前記外部電源から供給される電力で前記電池を充電する外部充電と、前記電池から前記移動体の外部に設けられた外部供給対象へ放電する外部給電と、を実行可能な双方向充電器を備え、
    前記第1充電工程及び前記第2充電工程における充電及び前記放電工程における放電は、前記双方向充電器を用いて行われることを特徴とする請求項2に記載の電池状態推定方法。
  4. 前記移動体には、前記相関特性を新しく取得することの可否を選択するために利用者が操作可能な取得可否決定手段が搭載され、
    前記第1充電工程、前記放電工程、前記第2充電工程、及び前記相関特性取得工程は、前記取得可否決定手段を介して前記相関特性の取得が可であると選択された場合にのみ実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の電池状態推定方法。
  5. 前記第1充電工程、前記放電工程、前記第2充電工程、及び前記相関特性取得工程は、前記電池の使用開始時点又は前回の相関特性の取得時点から少なくとも所定の使用期間が経過することを条件として実行されることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の電池状態推定方法。
  6. 劣化によって変化する電池の開放端電圧と充電率との相関特性を取得する電池状態推定装置であって、
    前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電池の電流を検出する電流検出手段と、
    電源から前記電池へ電力を供給し、当該電池が満充電状態になるまで充電させた後、前記電池から放電対象へ電力を供給し、当該電池が下限充電状態になるまで放電させる充放電手段と、
    前記充放電手段により前記電池が満充電状態から前記下限充電状態になるまでの間に前記電流検出手段によって検出される放電電流を積算することにより前記電池の電池容量を算出する電池容量算出手段と、
    前記電源から前記電池へ電力を供給し、当該電池が前記下限充電状態から満充電状態になるまで充電させるとともに、前記下限充電状態から満充電状態までの間において複数定義された測定点に到達する度に所定時間以上にわたり充電を一時的に停止した後、充電を再開する間欠充電手段と、
    前記各測定点において前記間欠充電手段により充電が一時的に停止されている間に前記電圧検出手段により前記電池の開放端電圧を取得する開放端電圧取得手段と、
    前記各測定点における充電率と前記開放端電圧取得手段により前記各測定点で測定された開放端電圧とに基づいて、前記電池の前記相関特性を取得する相関特性取得手段と、を備えることを特徴とする電池状態推定装置。
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