JP2019073482A - 組成物および医療用材料 - Google Patents

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岩沢 晴生
Haruo Iwazawa
晴生 岩沢
俊成 本田
Toshinari Honda
俊成 本田
純 諫山
Jun Isayama
純 諫山
愛 柴崎
Ai Shibazaki
愛 柴崎
政宏 上田
Masahiro Ueda
政宏 上田
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Abstract

【課題】ハイドロゲルを形成可能な組成物であって、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸等の硫酸基を有する多糖から得られるハイドロゲルのように、線維芽細胞増殖因子の担体として機能するハイドロゲルを形成可能な組成物を提供する。【解決手段】リン酸基(a1)を有する重合体(A)と、線維芽細胞増殖因子(B)とを含有する組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物および医療用材料に関する。
軟骨等の生体組織の一部が損なわれた場合、前記生体組織が損なわれた箇所において、ハイドロゲルを細胞外マトリックスとして用い、細胞を増殖や分化する治療が行われている。一方、線維芽細胞増殖因子は、血管新生、軟骨形成、神経形成に寄与することが知られていることから、線維芽細胞増殖因子を内包するハイドロゲルの研究が進められている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。
特開2000−178180号公報
Scientific Reports 6, Article number:20014(2016)
例えば、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸等の硫酸基を有する多糖は、線維芽細胞増殖因子の担体として機能することが知られている。しかしながら、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸は抗凝固作用があることから、これらの多糖由来のハイドロゲルを用いると、患部を止血できないという問題がある。
本発明は、ハイドロゲルを形成可能な組成物であって、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸等の硫酸基を有する多糖から得られるハイドロゲルのように、線維芽細胞増殖因子の担体として機能するハイドロゲルを形成可能な組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する組成物が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[7]である。
[1]リン酸基(a1)を有する重合体(A)と、線維芽細胞増殖因子(B)とを含有する組成物。
[2]前記重合体(A)が、リン酸基(a1)を有する変性多糖(A1)である前記[1]に記載の組成物。
[3]前記重合体(A)が、ラジカル反応性基(a2)をさらに有する前記[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記ラジカル反応性基(a2)が、ヒドロキシアリール基を有する基(a21)である前記[3]に記載の組成物。
[5]ヒドロキシアリール基の酸化カップリング酵素(C)および水(D)をさらに含有する前記[4]に記載の組成物。
[6]過酸化物(E)をさらに含有する前記[5]に記載の組成物。
[7]前記[5]または[6]に記載の組成物から形成されたハイドロゲルからなる医療用材料。
本発明によれば、ハイドロゲルを形成可能な組成物であって、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸等の硫酸基を有する多糖から得られるハイドロゲルのように、線維芽細胞増殖因子の担体として機能するハイドロゲルを形成可能な組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について好適態様も含めて説明する。
[組成物]
本発明の組成物は、リン酸基(a1)を有する重合体(A)と、線維芽細胞増殖因子(B)とを含有する。本発明の組成物は、ヒドロキシアリール基の酸化カップリング酵素(C)および水(D)をさらに含有することが好ましく、過酸化物(E)をさらに含有することが好ましい。
<重合体(A)>
重合体(A)は、リン酸基(a1)を有する。
重合体(A)は、リン酸基(a1)を有する変性多糖(A1)であることが好ましく、具体的には、多糖に、リン酸基(a1)が導入された変性多糖であることが好ましい。
重合体(A)は、好ましくはラジカル反応性基(a2)をさらに有する。変性多糖(A1)は、ラジカル反応性基(a2)をさらに有することが好ましく、具体的には、多糖にリン酸基(a1)およびラジカル反応性基(a2)が導入された変性多糖であることが好ましい。
前記「変性」とは、多糖が有するアルコール性水酸基等の官能基に、有機基等の連結基を介さずまたは介して、リン酸基(a1)またはラジカル反応性基(a2)が結合していることを意味する。前記連結基における有機基としては、例えば、炭化水素基および置換炭化水素基が挙げられる。置換炭化水素基は、炭化水素基において一部がエステル結合、エーテル結合、アミド結合、カルボニル基、ヒドロキシ基等に置き換えられた基である。
例えば、多糖が有するアルコール性水酸基等の官能基に、前記官能基と反応しうる基とリン酸基(a1)とを有する化合物を反応させる、またはリン酸を反応させることで、多糖に前記基(a1)を導入することができる。また、多糖が有するアルコール性水酸基等の官能基に、前記官能基と反応しうる基とラジカル反応性基(a2)とを有する化合物を反応させることで、多糖に前記基(a2)を導入することができる。
重合体(A)は単独で又は2種以上用いることができる。
本発明の組成物において、重合体(A)の含有割合は、通常は90質量%以下、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸等の硫酸基を有する多糖と特異的に相互作用しやすいタンパク質である。ヘパリン等由来のハイドロゲルは、FGFの担体として機能することが知られており、前記ハイドロゲルからFGFが徐々に放出される。しかしながら、ヘパリン等には、前述したような抗凝固作用に関する問題がある。
本発明では、リン酸基(a1)を有する重合体(A)、特にリン酸基(a1)を有する変性多糖(A1)を用いている。このような重合体、変性多糖由来のハイドロゲルは、ヘパリン等由来のハイドロゲルと同様に、FGFを強固に担持し、担持されたFGFを適度な速度で徐放するとともに(FGFの担持性および徐放性)、抗凝固作用も低減されている。この適度な徐放性により、細胞の増殖および分化を長期間に渡って維持できると考えられる。
《多糖》
変性前、すなわちリン酸基(a1)導入前の多糖としては、例えば、ヒアルロン酸、プルラン、キサンタンガム、セルロース、グアーガム、フルクタン、マンナン、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、デキストリン、ゲランガム、アルギン酸;およびこれらの誘導体が挙げられる。
前記誘導体としては、例えば、前記例示の多糖が、リン酸基(a1)およびラジカル反応性基(a2)以外の基、例えば、メチルエーテル基、エチルエーテル基、ヒドロキシエチルエーテル基、ヒドロキシプロピルエーテル基、カルボキシメチルエーテル基、アセチル基、ステアロキシ基、グリセロール、プロピレングリコール等の置換基を有する誘導体が挙げられる。誘導体は、前記置換基を単独で又は複数の組合せで有してもよい。
前記誘導体としては、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、メチルグアーガム、エチルグアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルグアーガムが挙げられる。
多糖は、塩であってもよく、例えば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の周期表第2族金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が挙げられる。例えば、カルボキシ基を有する多糖の金属塩が挙げられる。
多糖の中でも、得られるゲルの強度の観点から、また、多糖に後述するヒドロキシアリール基を有する基(a21)を容易に導入しやすいことから、グルコース単位を有する多糖およびその誘導体が好ましく、プルランおよびその誘導体がより好ましい。例えば、後述するヒドロキシアリール基を有する基(a21)が導入された変性プルランおよびその誘導体では、例えばペルオキシダーゼ/過酸化物の触媒系によりゲル化させることができる。
《リン酸基(a1)》
重合体(A)は、リン酸基(a1)を有する。
リン酸基は、例えば−OP(=O)(OH)2で表され、pHによっては一部又は全部が−OP(=O)(O-2等の形態をとっていてもよく、また一部又は全部が塩であってもよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の周期表第2族金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。
リン酸基を有する重合体、特に変性多糖は、例えば、国際公開第2011/102530号の段落[0019]に記載された、多糖の水酸基をリン酸化する公知の方法により製造することができ、多糖をリン酸水溶液に加え加温および撹拌することで得ることができる。
例えば、多糖とリン酸とを、あるいはラジカル反応性基(a2)を有する変性多糖とリン酸とを反応させる。例えば、前記多糖または前記基(a2)を有する変性多糖とリン酸とを含む溶液から溶媒を留去し、次いで、残渣を加熱脱水縮合させる。溶媒留去は、例えば、減圧下、通常は0〜150℃、好ましくは20〜80℃で行う。加熱脱水縮合は、溶媒留去後の残渣を減圧下加温して行い、ここでの加熱温度は、通常は50〜150℃、好ましくは80〜130℃であり、反応時間は、通常は1〜92時間、好ましくは2〜48時間である。減圧条件は、例えば760mmHg未満、好ましくは1〜500mmHgである。加熱脱水縮合後の生成物を水に溶解させて、エタノール、酢酸エチル、n−ヘキサン等の貧溶媒で再沈殿により精製してもよい。
前記反応において、リン酸は、多糖100質量部、またはラジカル反応性基(a2)を有する変性多糖100質量部に対して、通常は10〜1000質量部、好ましくは50〜700質量部、より好ましくは100〜500質量部の量で用いることができる。なお、前記反応は、反応速度を調整するために、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物でpHを調整してもよい。
前記反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドが挙げられる。前記反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
《ラジカル反応性基(a2)》
ラジカル反応性基(a2)とは、ラジカルにより化学反応を起こす基を意味する。ラジカル反応性基としては、例えば、ヒドロキシアリール基を有する基(a21)、炭素−炭素不飽和二重結合を有する基(a22)が挙げられ、ハイドロゲル形成性の観点から、前記基(a21)が好ましい。
ヒドロキシアリール基は、後述するように酸化カップリングによる、ラジカル反応が可能な基である。ヒドロキシアリール基としては、例えば、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等の炭素数6〜14のヒドロキシアリール基が挙げられる。ヒドロキシアリール基における水酸基数は通常は1〜3、好ましくは1である。また、ヒドロキシアリール基は、水酸基の他に、アルコキシ基、置換基を有してもよいアルキル基等を有してもよい。
前記基(a21)は、下記式(1)に示す基であることが好ましい。例えば、変性多糖(A1)は、多糖中の水酸基残基に結合している式(1)に示す基を有することが好ましい。
Figure 2019073482
式(1)中の各記号について以下に説明する。
*は、多糖中の水酸基残基(−O−)との結合手である。多糖がグルコース単位を有する場合、例えば、グルコース単位中のヒドロキシメチル基における水酸基残基と、式(1)に示す基とが結合していることが好ましい。
1は、炭素数1〜20のアルカンジイル基または−(CH2n−O−(CH2m−で示される2価の基であり、nおよびmは、それぞれ独立に1〜10の整数を示す。
アルカンジイル基としては、例えば、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基が挙げられる。アルカンジイル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
2〜R6は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、アルコキシ基、または置換基を有してもよいアルキル基であり、ただしR2〜R6のうち少なくとも1つは水酸基である。後述するゲル化において酸化カップリングが優位に進み、機械的強度により優れたゲルが得られることから、R2〜R6のうち、R4のみが水酸基であることが好ましい。水酸基に対して少なくとも1つのオルト位置の炭素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。アルキル基における1以上の水素原子は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、フェニル基、水酸基、アセトキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
2〜R6のうち水酸基以外の残りの基は、水素原子またはアルコキシ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
多糖にヒドロキシアリール基を有する基(a21)を導入する方法としては、例えば、アミノ基、アルコール性水酸基およびカルボキシ基等の官能基を有する多糖と、前記官能基と反応しうる官能基(例:カルボキシ基、その酸ハロゲン化物、アミノ基、アルコール性水酸基、エポキシ基、オキセタニル基)およびヒドロキシアリール基を有する化合物とを、反応させる方法が挙げられる。例えば、多糖中の水酸基と、下記式(21)に示す化合物(以下「化合物(21)」ともいう)中の−COXとを反応させることで、化合物(21)由来のヒドロキシフェニル基を、エステル結合を介して多糖に導入することができる。
Figure 2019073482
式(21)中、R1〜R6は式(1)中の同一記号と同義である。Xは、−OHまたはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
化合物(21)としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸、2−(2,5−ジヒドロキシフェニル)酢酸、およびこれらの酸ハロゲン化物が挙げられる。
例えば、多糖と化合物(21)とを、あるいはリン酸基(a1)を有する変性多糖と化合物(21)とを反応させる。例えば、前記多糖または前記基(a1)を有する変性多糖と化合物(21)とを含む溶液から溶媒を留去し、次いで、残渣を加熱脱水縮合させる。溶媒留去は、例えば、減圧下、通常は0〜150℃、好ましくは20〜80℃で行う。加熱脱水縮合は、溶媒留去後の残渣を減圧下加温して行い、ここでの加熱温度は、通常は50〜150℃、好ましくは80〜130℃であり、反応時間は、通常は1〜92時間、好ましくは2〜48時間である。減圧条件は、例えば760mmHg未満、好ましくは1〜500mmHgである。加熱脱水縮合後の生成物を水に溶解させて、エタノール、酢酸エチル、n−ヘキサン等の貧溶媒で再沈殿により精製してもよい。
前記反応において、化合物(21)は、多糖100質量部、またはリン酸基(a1)を有する変性多糖100質量部に対して、通常は1〜100質量部、好ましくは3〜80質量部、より好ましくは5〜60質量部の量で用いることができる。
前記反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドが挙げられる。前記反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
炭素−炭素不飽和二重結合は、好ましくはラジカル重合可能な二重結合であり、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等として変性多糖に含まれていればよく、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
炭素−炭素不飽和二重結合を有する基(a22)は、下記式(2)に示す基((メタ)アクリロイル基)であることが好ましい。例えば、変性多糖(A1)は、多糖中の水酸基残基に結合している式(2)に示す基を有することが好ましい。
Figure 2019073482
式(2)中、RAは水素原子またはメチル基を示す。
*は、多糖中の水酸基残基(−O−)との結合手である。多糖がグルコース単位を有する場合、例えば、グルコース単位中のヒドロキシメチル基における水酸基残基と、式(2)に示す基とが結合していることが好ましい。
多糖に炭素−炭素不飽和二重結合を有する基(a22)を導入する方法としては、例えば、アミノ基、アルコール性水酸基およびカルボキシ基等の官能基を有する多糖と、前記官能基と反応しうる官能基(例:カルボキシ基、その酸ハロゲン化物、アミノ基、アルコール性水酸基、エポキシ基、オキセタニル基)および炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物(以下「二重結合含有化合物(31)」ともいう)とを、反応させる方法が挙げられる。
二重結合含有化合物(31)としては、多糖が多く有するアルコール性水酸基と反応しうるカルボキシ基またはその酸ハロゲン化物(−COX(Xは塩素原子等のハロゲン原子)で表される基)を有する化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;前記不飽和ジカルボン酸の無水物;コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル;およびこれらの酸ハロゲン化物、例えば(メタ)アクリル酸クロライドが挙げられる。
二重結合含有化合物(31)としては、その他、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロへキシルメチル等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;o,m又はp−ビニルフェニルグリシジルエーテル、o,m又はp−イソプロペニルフェニルグリシジルエーテル、o,m又はp−ビニルベンジルグリシジルエーテル、o,m又はp−イソプロペニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有ビニル化合物;3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン等のオキセタニル基含有(メタ)アクリレート;3−(p−ビニルフェニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(p−イソプロペニルフェニルオキシメチル)−3−メチルオキセタン等のオキセタニル基含有ビニル化合物;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。
例えば、塩基性化合物の存在下又は非存在下に、多糖と二重結合含有化合物(31)とを、あるいはリン酸基(a1)を有する変性多糖と二重結合含有化合物(31)とを反応させる。前記反応の反応温度は、通常は−10〜50℃、好ましくは−5〜30℃であり、反応時間は、通常は1〜48時間である。
塩基性化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピペリジンが挙げられる。
前記反応において、二重結合含有化合物(31)は、多糖100質量部、またはリン酸基(a1)を有する変性多糖100質量部に対して、通常は0.1〜50質量部、好ましくは0.3〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の量で用いることができる。
前記反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドが挙げられる。前記反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
《好適態様》
重合体(A)としては、多糖にリン酸基(a1)およびヒドロキシアリール基を有する基(a21)が導入された変性多糖が好ましく、グルコース単位を有する多糖またはその誘導体に前記基(a1)および(a21)が導入された変性多糖がより好ましく、プルランまたはその誘導体に前記基(a1)および(a21)が導入された変性多糖が特に好ましい。
変性多糖(A1)は、多糖にリン酸基(a1)が導入されている。変性多糖における前記基(a1)による置換度(DSP)は、通常は0.1〜900であり、好ましくは10〜500、さらに好ましくは100〜300である。また、変性多糖(A1)に含まれるリン原子の含有割合は、通常は0.1〜25質量%、好ましくは1〜20質量%である。
変性多糖(A1)は、多糖にラジカル反応性基(a2)が導入されていることが好ましい。変性多糖における前記基(a2)による置換度(DSR)、好ましくはヒドロキシアリール基を有する基(a21)による置換度(DSAr)は、通常は0.1〜40であり、好ましくは0.5〜20、より好ましくは1〜15である。
リン原子の含有割合は、原子吸光分析法による元素分析より求めることができ、置換度(DSP)は、31P NMRより求めることができ、また置換度(DSR)は、1H NMRより求めることができる。変性多糖の置換度とは、変性多糖の構成単糖100単位あたりに導入されている基(例:前記基(a1)または(a2))の平均数を示す。変性多糖はこのような置換度を有することにより、変性多糖のゲル化速度が向上する。
変性多糖の前記置換度は、例えば、前述した反応の反応時間、反応温度、各反応成分の濃度を変えることによって制御することができる。例えば、反応時間を短くする、反応温度を下げる、各反応成分の濃度を低くすることで、前記置換度を低くすることができる。
重合体(A)、特に変性多糖(A1)の絶対分子量測定による数平均分子量は、通常は1,000〜10,000,000、好ましくは3,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000である。
<線維芽細胞増殖因子(B)>
線維芽細胞増殖因子(B)(以下「FGF」ともいう)は、細胞の増殖および分化を制御、促進する因子であり、血管新生や軟骨形成、肉芽形成、神経形成、創傷修復に寄与する因子である。
FGFとしては、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF−2)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGFまたはFGF−1)、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8が挙げられ、これらの中でも、線維芽細胞の増殖を促進するのみならず、血管内皮細胞、神経外胚葉系細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、血管平滑筋細胞、上皮細胞などの増殖を誘導することから、FGF−2が好ましい。
FGFとしては、例えば、ヒト、ウシ等の哺乳動物の脳または下垂体等の臓器から抽出された、天然型または遺伝子操作技術により作製された組換え型のFGFを用いることができる。また、FGFには、アミノ酸配列の一部が欠失し、もしくは他のアミノ酸に置換された、または他のアミノ酸配列が挿入された線維芽細胞増殖因子の変異体も包含される。
線維芽細胞増殖因子(B)は単独で又は2種以上用いることができる。
本発明の組成物において、線維芽細胞増殖因子(B)の量は、重合体(A)100質量部に対して、通常は0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。このような態様であると、形成されるハイドロゲル中にFGFが良好に担持される。
<ヒドロキシアリール基の酸化カップリング酵素(C)>
本発明の組成物は、ヒドロキシアリール基の酸化カップリング酵素(C)(以下「酵素(C)」ともいう)を含有することが好ましい。酵素(C)は、ヒドロキシアリール基の酸化カップリング反応を直接的または間接的に触媒しうる酵素である。
酵素(C)としては、例えば、ラッカーゼ、チロシナーゼ等のフェノールオキシダーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼが挙げられる。ラッカーゼおよびチロシナーゼは、ゲルの構成要素とならない他の薬品を加える必要がないので、ゲル化の際に機能発現物質が変性するおそれが全くない点で優れる。ペルオキシダーゼは、過酸化水素等の過酸化物(E)と併用することで瞬時にゲル化させることができる。ラッカーゼ、チロシナーゼ等の銅酵素類の起源は、例えばウルシ、キノコ(ツチカブリ、マッシュルーム)、カビ(Polyporus vericolor)が挙げられる。カタラーゼ、ペルオキシダーゼの起源は、例えば、ウシ肝臓、ウマ血球、ヒト血球、M. lysodeikticus、西洋ワサビ(ホースラディッシュ)、大豆、ダイコン、カブ、甲状腺、牛乳、腸、白血球、赤血球、酵母、Caldariomyces fumago、Steptococcus faecalisが挙げられる。これらの中でも、チロシナーゼとしてはマッシュルーム由来、ペルオキシダーゼとしては西洋ワサビ由来のものが好ましい。
本発明では、重合体(A)に好ましく含まれるヒドロキシアリール基の架橋反応を効率的に進める観点から、過酸化物(E)を用い、酵素(C)としてペルオキシダーゼおよびカタラーゼから選ばれる1種以上を少なくとも用いることが好ましく、過酸化物(E)を用い、酵素(C)としてペルオキシダーゼを少なくとも用いることがより好ましい。
酵素(C)は単独で又は2種以上用いることができる。
本発明の組成物において、酵素(C)の量は、0.01U/mL以上が好ましく、1U/mL以上がより好ましく;1,000U/mL以下が好ましく、500U/mL以下がより好ましい。なお、Uとは酵素活性の単位を示し、至適条件下で、温度30℃で毎分1マイクロモルの基質を変化させることができる酵素量である。
<水(D)>
本発明の組成物は、水(D)を含有することが好ましい。また、本発明の組成物は、さらに塩化ナトリウムを含有してもよい。このように本発明の組成物は、リン酸緩衝生理食塩水のような塩化ナトリウム水溶液を含有してもよい。
本発明の組成物中の水(D)の含有量は、通常は9〜99.9質量%、好ましくは40〜98質量%、より好ましくは70〜94質量%である。このような態様であると、生体に対して低浸襲性な条件でゲル化が可能な組成物となり、さらに得られるゲルの機械的強度が優れる傾向にある。
<過酸化物(E)>
本発明の組成物は、好ましくは過酸化物(E)を含有する。過酸化物(E)としては、例えば、過酸化水素が挙げられる。前記組成物において、過酸化物(E)の量は、重合体(A)中のラジカル反応性基(a2)1モル、好ましくはフェノール性水酸基1モルに対して、通常は0.01〜1000モル、好ましくは0.1〜500モル、より好ましくは0.5〜200モルである。前記フェノール性水酸基は、例えば、前記基(a21)におけるヒドロキシアリール基に含まれるフェノール性水酸基である。あるいは、本発明の組成物において、過酸化物の含有量は、通常は0.001〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.6質量%である。
<他の成分>
本発明の組成物は、前記変性多糖(A1)以外の多糖をさらに含有してもよい。この多糖としては、例えば、前記《多糖》の欄に記載した多糖が挙げられる。多糖は単独で又は2種以上用いることができる。
本発明の組成物は、その他、リン酸、ポリリン酸、pH調整剤、紫外線吸収剤、増粘剤、着色剤およびフィラーから選ばれる1種または2種以上を含有してもよく、ゲルの用途に応じた機能発現物質を含有してもよい。これにより、得られるゲル中に機能発現物質を含ませることができる。機能発現物質としては、例えば、薬剤、細胞が挙げられる。
<組成物の用途>
本発明の組成物は、下記ゲル、特にハイドロゲルの原料組成物として好適に用いることができる。本発明の組成物の一実施態様は、重合体(A)および線維芽細胞増殖因子(B)を含み、過酸化物(E)および酵素(C)のいずれかを含むが両方は含まない第1の溶液と、前述の過酸化物(E)および酵素(C)のうち第1の溶液中で含まれない方を含む第2の溶液とを有する。第1、第2の溶液は、いずれも水溶液であることが好ましい。これらを混合することにより、ハイドロゲルを形成することができる。
前記ハイドロゲルは線維芽細胞増殖因子(B)を安定に担持しており、すなわち前記ハイドロゲル内に前記因子(B)が担持されており、担持されていた前記因子(B)が徐放されることにより、例えば線維組織形成および血管形成の誘発に有意な効果を示す。したがって、前記ハイドロゲルは患部において細胞外マトリックスとして機能し、この細胞外マトリックスに細胞が定着して、良好に増殖および分化することができる。
本発明の組成物から形成されたゲル、特にハイドロゲルは、例えば、軟骨および骨等の生体組織の一部が損なわれた場合の、人工軟骨および人口骨等として好適に用いることができる。
また、本発明の組成物は、変形性関節症の治療に用いられる関節腔内の潤滑剤や、損傷被覆材として用いることができる。変形性関節症は膝、肩、股、腰、足首、手首、指などの体の各関節に発生しうるが、本発明の組成物はいずれの関節にも適用しうる。
一実施態様において、前記ゲルは、重合体(A)に好ましく含まれるヒドロキシアリール基の酸化カップリングによる架橋構造を有し、すなわち重合体(A)由来の架橋体を含有する。例えば、重合体(A)中のヒドロキシアリール基が酸化され、前記基同士の酸化カップリング(架橋)が起こり、ゲル化が進行すると推測される。
一実施態様において、前記ゲルは、水分を通常は9〜99.9質量%、好ましくは40〜98質量%、より好ましくは70〜94質量%含有するハイドロゲルである。前記ハイドロゲルは、重合体(A)由来の架橋体を通常は91〜0.1質量%、好ましくは60〜2質量%、より好ましくは30〜6質量%含有する。前記ハイドロゲルは、機械的強度および柔軟性に優れる。
前記ハイドロゲルを適宜乾燥するなどして水分を除去することにより、キセロゲルを得ることができる。あるいは、前記ゲルは、例えば、Macromolecules(2015)2624−2630に記載のように、重合体(A)とともにエオシンY、メチレンブルー、ローズベンガル等の光増感剤を用い、光照射を行うことでゲル化させて得ることもできる。
本発明の組成物における各成分を混合し、水溶液温度(架橋温度)が、通常は4〜50℃、好ましくは10〜45℃、より好ましくは20〜40℃、反応時間が、通常は1分〜48時間、好ましくは5分〜30時間の条件で、ゲル化させることができる。前記各成分は、各成分の水溶液として用いることができる。ハイドロゲル形成は、加圧下、常圧(大気圧)下および減圧下のいずれで行ってもよいが、常圧下が好ましい。本発明の組成物を用いることにより、室温程度の温和な条件で、ハイドロゲルを形成することができる。
なお、所望の形状のキャビティーを有する金型を用意し、本発明の組成物の各成分を前記キャビティー中で混合して反応させることにより、前記形状を有するハイドロゲルを形成することができ、また所定の基材上に本発明の組成物をキャストすることにより、フィルム状のハイドロゲルを得ることができ、これを例えば円柱形状、多角柱状等に打ち抜いてもよい。
本発明の組成物から形成されたハイドロゲルは、医療用材料として好適に用いることができる。前記ハイドロゲルには、線維芽細胞増殖因子(B)が担持されているからである。医療用材料としては、例えば、軟骨および骨等の生体組織の一部が損なわれた場合に用いられるインプラント材料が挙げられる。
また、前記ハイドロゲルは、前述したような線維芽細胞増殖因子(B)の徐放性を有することから、組織再生用等の細胞培養基材として用いることもできる。細胞培養基材は、例えば、細胞培養プレート等の表面に本発明の組成物を塗布してハイドロゲルを形成して得られる。前記細胞培養プレートの被覆部分に目的とする細胞培地を配置してインキュベートすると、当該細胞の増殖が刺激される。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[合成例1]ヒドロキシフェニル基変性プルラン(P1)の合成
ナス型フラスコに、プルラン(CAS番号:9057−02−7、東京化成工業株式会社製)20.5gを入れ、蒸留水200gを加え溶解させ、ここに、4−ヒドロキシフェニル酢酸1.26gを加え撹拌し、均一液とした。この液を60℃で加温しながら減圧留去し、残渣を得た。この残渣の入ったナス型フラスコを400mmHgで減圧しつつ120℃で24時間加温した。
反応終了後、反応残渣に蒸留水200gを加え溶解させ、この水溶液をエタノール300mlで再沈殿した。沈殿物を吸引濾過し、得られた沈殿物を60℃で加温しながら減圧して溶媒分を留去した。次いで、沈殿物を蒸留水80gで溶解して、48時間透析し(透析は再生セルロース透析チューブ「fisherscientific社製」)、次いで凍結乾燥して、ヒドロキシフェニル基変性プルラン(P1)を得た。
ヒドロキシフェニル基変性プルラン(P1)の、ヒドロキシフェニル基置換度(DSAr)を1H NMR(重溶媒はD2O)で算出したところ、1.8であった。
[合成例2]変性多糖(A1)の合成
ナス型フラスコに、ヒドロキシフェニル基変性プルラン(P1)1gを入れ、蒸留水10gを加え溶解させ、ここに、0.85Mリン酸水溶液(pH=5.5)28.7gを加え攪拌し、均一液とした。この液を60℃で加温しながら減圧留去し、残渣を得た。この残渣の入ったナス型フラスコを400mmHgで減圧しつつ120℃で24時間加温した。
反応終了後、反応残渣に蒸留水30gを加え溶解させ、この水溶液をエタノール100mlで再沈殿した。蒸留水への溶解、再沈殿を2回行った後、沈殿物を吸引濾過し、得られた沈殿物を60℃で加温しながら減圧して溶媒分を留去した。次いで、沈殿物を蒸留水3gで溶解して、48時間透析し(透析は再生セルロース透析チューブ「fisherscientific社製」)、次いで凍結乾燥して、白色固体を得た。HPLC分析および31P NMR(重溶媒はD2O)により、得られた白色固体は、リン酸基とヒドロキシフェニル基を有するプルラン(変性多糖(A1))であった。
変性多糖(A1)の、ヒドロキシフェニル基置換度(DSAr)を1H NMR(重溶媒はD2O)で算出したところ、1.7であった。
[調製例1]ポリマー溶液1〜2の調製
サンプル瓶に、下記表1に示す量の、ヒドロキシフェニル基変性プルラン(P1)または変性多糖(A1)と、リン酸緩衝生理食塩水(品名「PBS(−)」、和光純薬工業株式会社(製))とを入れ、ミックスローターで8時間攪拌することで、ポリマー溶液1〜2を調製した。
Figure 2019073482
[実施例1および比較例1]
2mlマイクロチューブに、それぞれ下記表2に示す量の、ポリマー溶液1またはポリマー溶液2と、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(和光純薬製、商品コード「169−10791」、HRPと略す)水溶液(濃度:150U/ml)と、過酸化水素水(濃度:882mM)と、FGF−2水溶液(和光純薬工業社製、濃度:100μg/ml)と、純水とを加え、ボルテックスミキサーで攪拌した。攪拌後のキャスト法により、厚さ1mmのハイドロゲルのフィルムを成形した(23℃1時間でゲル化した)。得られたフィルムを生検トレパンでくり抜き、直径5mmおよび高さ1mmの円柱形状を有する、実施例1および比較例1の評価用ゲルを製造した。
Figure 2019073482
[実験例1〜2]FGF徐放性
24ウェルプレート(Greiner bio−one社製)に、リン酸緩衝生理食塩水(品名「PBS(−)」、和光純薬工業株式会社(製))1mlを入れ、そこに評価用ゲルを漬けて、インキュベータで37℃に保温した。1日毎にリン酸緩衝生理食塩水中に含まれるFGF−2の濃度を測定した。測定結果を下記表3に示す。なお、FGF−2の濃度は、Sigma−Aldrich社製のFGF−2検出キット(製品名「Human b−FGF ELISA Kit、For serum plasma、cell culture supernatant and urine」)にて測定した。
Figure 2019073482
実施例1では、比較例1に比べて、いずれの測定日においてもFGF−2濃度が低い結果となった。このため、実施例1のハイドロゲルでは、その内部にFGF-2が良好に包含、担持されており、有利な徐放性を示すことが明らかとなった。

Claims (7)

  1. リン酸基(a1)を有する重合体(A)と、
    線維芽細胞増殖因子(B)と
    を含有する組成物。
  2. 前記重合体(A)が、リン酸基(a1)を有する変性多糖(A1)である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記重合体(A)が、ラジカル反応性基(a2)をさらに有する請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記ラジカル反応性基(a2)が、ヒドロキシアリール基を有する基(a21)である請求項3に記載の組成物。
  5. ヒドロキシアリール基の酸化カップリング酵素(C)および水(D)をさらに含有する請求項4に記載の組成物。
  6. 過酸化物(E)をさらに含有する請求項5に記載の組成物。
  7. 請求項5または6に記載の組成物から形成されたハイドロゲルからなる医療用材料。
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