本開示は、概して、繊維プリプレグを用いる複合ラミネート構造体の製造に関し、より詳細には、不連続繊維プリプレグを所望の繊維方向で基板上に案内することにより複合構造特徴部を形成するための方法と装置を扱う。
複合ラミネート構造体の強度、剛性及び荷重伝達特性は、レイアップ工程中の繊維方向の制御を通じて最適化されうる。従来の複合ラミネートは、材料をレイアップするための自動繊維配置装置又は人手配置技法を利用して、プリプレグテープ、トウ又は幅広い商品を用いてレイアップされうる。概して、結果として生じる複合構造体は、至る所、実質的に一貫した構造上の特性を示す。しかしながら、場合によっては、構造上の特性を最適化するため及び/又はより強い局所応力に対処するため、複合ラミネートの局所領域において厚さ及び/又は繊維方向を制御することが必要又は望ましいことがありうる。
現在の製造プロセスを用いて局所的な厚さ/繊維方向を制御する能力は、限られている。例えば、自動繊維配置装置が、連続トウを基板上に案内するために用いられうるが、達成できる曲率半径は限られており、従って、タイトな輪郭を有する局所領域において繊維方向の制御を困難にする。ラミネートの局所領域において厚さ及び/又は繊維方向に対する精密な制御を達成することはまた、コストや時間もかかりうる。
従って、ラミネートの構造上の特性を最適化するために、複合ラミネートの厚さ及び/又は繊維方向をラミネートの局所領域において制御するための方法と装置に対する要求が存在する。効率的で、高度に制御可能であり、労働コストと材料コストを削減しうる、上記のタイプの方法と装置に対する要求もまた存在する。
開示される実施形態は、タイトな輪郭内及び/又はラミネートの厚さの移行部内などの、ラミネート構造体の局所領域において特徴部の厚さ及び/又は繊維方向に対する制御を増加させる、ラミネートの複合特徴部を製造するための方法と装置を提供する。繊維方向が、ラミネートの選択された局所領域において、荷重ベクトルと実質的に連続的に揃えられ、それによってラミネートの構造上の特性を最適化するように、複合材料が、レイアップされうる。
ラミネート構造体の局所領域に所望の構造上の特性を与えるために必要とされる複合材料の量は、他の産出物/工程から得られる廃物プリプレグを用いて複合特徴部を形成することによって、削減されうる。開示された方法における使用のための廃物プリプレグのリサイクリングは、材料コストを削減し、従って、実施形態の航空機応用例にとってのバイトゥフライ(buy−to−fly)比率(最終製品の重量に対する、調達された材料重量の比率)を最適化しうる。実施形態は、不連続繊維プリプレグの形態の複合材料が、所望の繊維方向を達成するために基板上に「案内」されることを可能にする。
不連続繊維プリプレグの使用は、ラミネートの局所領域におけるラミネートの厚さの変化に対するより強力な制御を可能にすると同時に、3次元でのラミネートの厚さの局所的な調整が、ラミネート構造体の様々な特徴部の間の滑らかな移行を提供することを可能にする。更に、不連続繊維プリプレグの使用は、タイトな輪郭及び/又はテーパの付いたエッジを有するダブラ又は他のパッドアップ(pad−ups)の形成が、構造体内での滑らかな荷重移行を達成することを可能にする。また、不連続繊維プリプレグの使用は、より高い繊維含有量を有する複合特徴部をもたらしうる。
一つの開示された実施形態によれば、不連続強化繊維を有する複合特徴部を形成する方法が提供される。本方法は、一方向性強化繊維を各々が有する複数の樹脂注入繊維セグメントを製造すること、樹脂注入繊維セグメントを基板上に配置すること、及び基板上に配置された樹脂注入繊維セグメントの強化繊維が、所望の参照方向に対して実質的に整列されるように、樹脂注入繊維セグメントを配列することを含む。樹脂注入繊維セグメントを製造することは、廃物繊維プリプレグを個片に切り刻むことを含み、これは、繊維プリプレグを強化繊維に沿って及び強化繊維の間で切断又は分割して個片にすることによって実行されうる。樹脂注入繊維セグメントを基板上に配置することは、基板の上方でアプリケータを移動させることと、アプリケータが基板の上方を移動しながら、樹脂注入繊維セグメントをアプリケータから基板上に分配することを含む。樹脂注入繊維セグメントを配列することは、樹脂注入繊維セグメントがアプリケータから基板上に分配されながら、樹脂注入繊維セグメントを整列させることを含む。樹脂注入繊維セグメントを製造することは、連続繊維プリプレグテープをアプリケータから引き出すことと、樹脂注入繊維セグメントがアプリケータから基板上に分配されながら、プリプレグテープを樹脂注入繊維セグメントに切り刻むことによって、実行される。樹脂注入セグメントをアプリケータから分配することは、ある帯幅の樹脂注入繊維セグメントを基板上に分配することを含む。樹脂注入繊維セグメントを基板上に配置することは、アプリケータヘッドから基板上に樹脂注入繊維セグメントを流れ出させることによって、形成される。樹脂注入繊維セグメントを流れ出させることは、樹脂注入繊維セグメントを空気流の中に導入することと、空気流を用いて、樹脂注入繊維セグメントを基板上に射出することによって、実行される。樹脂注入繊維セグメントは、樹脂注入繊維セグメントが基板上に配置された後に、実行される。本方法は、樹脂注入セグメントが基板上に配置される前に、樹脂を基板に塗布することを更に含んでよい。本方法はまた、樹脂注入繊維セグメントが基板上に配置される前に、樹脂注入繊維セグメントの各々の少なくとも一端に樹脂を塗布することを含んでよい。
他の開示された実施形態によれば、基板上に複合材料をレイアップする方法が提供され、本方法は、個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントを基板上に配置することと、基板上でプリプレグセグメントの方向を制御することを含む。プリプレグセグメントを基板上に配置することは、アプリケータヘッドを基板の上方で所望の経路に沿って移動させることと、アプリケータが基板の上方を移動しながら、プリプレグセグメントをアプリケータヘッドから基板上に分配することによって実行される。プリプレグセグメントの方向を制御することは、アプリケータヘッドから分配されているプリプレグセグメントを整列させることによって実行される。プリプレグセグメントの方向を制御することは、プリプレグセグメントが基板上に配置された後に、プリプレグセグメントの方向を変えることを含む。
更に他の実施形態によれば、整列された繊維方向を有する複数の個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントを層の各々が含む、複合材料の複数の層を含む複合ラミネート構造体レイアップが提供される。切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの繊維方向は、複合ラミネート構造体を通る非直線の荷重経路に実質的に揃えられる。個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの各々が、約6:1のアスペクト比を有しうる。複合材料の複数の層は、調整された断面形状を有し、レイアップの長さに沿って輪郭がつけられる。
更に他の開示された実施形態によれば、複合構造体をレイアップするための装置が提供される。装置は、基板の表面上方で移動し、実質的に整列された、切り刻まれた樹脂注入繊維セグメントの少なくとも一つのストリームを基板の表面上に分配するように適合されたアプリケータを含む。装置はまた、基板上方のあらかじめ選択された経路に沿ってアプリケータを移動させるためのコンピュータ制御のマニピュレータを含みうる。アプリケータは、連続樹脂注入繊維の供給部と、連続樹脂注入繊維を個々の樹脂注入繊維セグメントに切り刻むためのチョッパを含む。アプリケータは、樹脂注入繊維セグメントをアプリケータから基板上に運ぶための空気流発生器を更に含んでよい。アプリケータは、実質的に整列された、切り刻まれた樹脂注入繊維セグメントの複数のストリームを基板上に同時に分配するように適合されてもよい。特徴、機能及び利点が、本開示の様々な実施形態において独立に達成されることができ、または更に別の実施形態において組み合わせることができ、更なる詳細が、下記の説明及び図面を参照して理解することができる。
要約すると、本発明の一つの態様によれば、一方向性強化繊維を各々が有する複数の樹脂注入繊維セグメントを製造すること、樹脂注入繊維セグメントを基板上に配置すること、及び基板上に配置された樹脂注入繊維セグメントの強化繊維が、所望の参照方向に対して実質的に整列されるように、樹脂注入繊維セグメントを配列することを含む、不連続強化繊維を有する複合特徴部を形成する方法が提供される。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを製造することは、廃物繊維プリプレグを個片に切り刻むことを含む。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを製造することは、強化繊維に沿って及び強化繊維の間で繊維プリプレグを個片に分割することによって実行される。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを基板上に配置することは、基板の上方でアプリケータを移動させることと、アプリケータが基板の上方を移動しながら、樹脂注入繊維セグメントをアプリケータから基板上に分配することを含む。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを配列することは、樹脂注入繊維セグメントがアプリケータから基板上に分配されながら、樹脂注入繊維セグメントを整列させることを含む。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを製造することは、連続繊維プリプレグテープをアプリケータから引き出すことと、樹脂注入繊維セグメントがアプリケータから基板上に分配されながら、プリプレグテープを樹脂注入繊維セグメントに切り刻むことによって、実行される。
有利には、本方法において、樹脂注入セグメントをアプリケータから分配することは、ある帯幅の樹脂注入繊維セグメントを基板上に分配することを含む。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを基板上に配置することは、樹脂注入繊維セグメントを空気流の中に導入することと、空気流を用いて、アプリケータヘッドから樹脂注入繊維セグメントを基板上に流れ出させることによって、実行される。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを流れ出させることは、樹脂注入繊維セグメントを空気流の中に導入することと、空気流を用いて、樹脂注入繊維セグメントを基板上に射出することによって、実行される。
有利には、本方法において、樹脂注入繊維セグメントを配列することは、樹脂注入繊維セグメントが基板上に配置された後に、実行される。
有利には、本方法は、樹脂注入セグメントが基板上に配置される前に、樹脂を基板に塗布することを更に含む。
有利には、本方法は、樹脂注入繊維セグメントが基板上に配置される前に、樹脂注入繊維セグメントの各々の少なくとも一端に樹脂を塗布することを更に含む。
本発明の他の態様によれば、個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントを基板上に配置することと、基板上でプリプレグセグメントの方向を制御することを含む、基板上に複合材料をレイアップする方法が提供される。
有利には、本方法において、プリプレグセグメントを基板上に配置することは、アプリケータヘッドを基板の上方で所望の経路に沿って移動させることと、アプリケータが基板の上方を移動しながら、プリプレグセグメントをアプリケータヘッドから基板上に分配することによって実行される。
有利には、本方法において、プリプレグセグメントの方向を制御することは、アプリケータヘッドから分配されているプリプレグセグメントを、所望の方向に対して実質的に整列させることによって、実行される。
有利には、本方法において、プリプレグセグメントの方向を制御することは、プリプレグセグメントが基板上に配置された後に、プリプレグセグメントの方向を変えることを含む。
本発明の更に他の態様によれば、層の各々が、実質的に整列された繊維方向を有する複数の個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントを含む、複合材料の複数の層を含む複合ラミネート構造体レイアップが提供される。
有利には、複合ラミネート構造体レイアップにおいて、切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの繊維方向が、複合ラミネート構造体を通る非直線の荷重経路に実質的に揃えられている。
有利には、複合ラミネート構造体レイアップにおいて、個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの各々が、約6:1のアスペクト比を有する。
有利には、複合ラミネート構造体レイアップにおいて、複合材料の複数の層が、調整された断面形状を有し、レイアップの長さに沿って輪郭がつけられている。
本発明の更に他の態様によれば、基板の上方で移動し、実質的に整列された、切り刻まれた樹脂注入繊維セグメントの少なくとも一つのストリームを基板上に分配するように適合されたアプリケータを含む、複合構造体をレイアップするための装置が提供される。
有利には、装置は、基板上方のあらかじめ選択された経路に沿ってアプリケータを移動させるためのコンピュータ制御のマニピュレータを更に含む。
有利には、本装置において、アプリケータが、連続樹脂注入繊維の供給部と、連続樹脂注入繊維を個々の樹脂注入繊維セグメントに切り刻むためのチョッパを含む。
有利には、本装置において、アプリケータが、樹脂注入繊維セグメントをアプリケータから基板上に流れ出させるための空気流発生器を含む。
有利には、本装置において、アプリケータが、実質的に整列された、切り刻まれた樹脂注入繊維セグメントの複数のストリームを基板上に同時に分配するように適合される。
例示的な実施形態を特徴付けると考えられる新規の特徴が、添付の特許請求の範囲に述べられる。しかしながら、例示的な実施形態と、好適な使用形態と、それの更なる目的及び利点とは、添付図面と併せて、本開示の例示的な実施形態についての下記の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるであろう。
タイトな輪郭に沿って基板に塗布されている不連続繊維プリプレグについての、ブロック図と図の組合せである。
プリプレグセグメントの一つの形状を示す平面図である。
プリプレグセグメントの別の形状を示す平面図である。
プリプレグセグメントの更に別の形状を示す平面図である。
航空機胴体のバレル部の斜視図であり、胴体に印加される荷重を示す。
図2の胴体の中の窓開口部の一つの図であり、窓開口部の周囲の荷重ベクトルも示す。
図2に示された胴体の中の窓開口部の一つの立面図であり、不連続繊維プリプレグから形成された周囲のダブラも示す。
図4の中の「図5」と指定された領域の図である。
図5の線6−6に沿って切り取った断面図である。
複合構造体の断面図であり、複合ラミネート構造体の厚み内部の隙間における不連続層間繊維充填材と移行部を示す。
開示された方法を用いて層間複合特徴部をレイアップする方法のフロー図である。
航空機胴体フレーム断片の一部分の斜視図であり、破線は、開示された方法を用いて層間構造特徴部が形成されうる領域を示す。
図9の線10−10に沿って切り取った断面図を示し、開示された方法を用いて形成される層間構造特徴部を示す。
図9の線11−11に沿って切り取った断面図である。
不連続繊維プリプレグを配置するためのシステムのブロック図と図の組合せである。
不連続繊維プリプレグを配置するためのシステムの代替的実施形態のブロック図と図の組合せである。
プリプレグ廃物から得られた不連続繊維プリプレグを用いて複合ラミネートをレイアップする方法のフロー図である。
図14に示された方法において用いられうるプリプレグ廃物の様々な形状を示す平面図である。
図15に示された廃物を切り刻むことによって形成される、ランダムに方向付けられた、繊維プリプレグセグメントを示す平面図である。
図16と類似の平面図であるが、基板への塗布に備えて揃えられた繊維プリプレグセグメントの繊維方向を示す。
繊維プリプレグ廃物をセグメントに変えて、基板への塗布のために準備する方法についての図である。
樹脂を基板上に塗布しているアプリケータの側面図である。
図19Aに示された基板に塗布された樹脂の平面図である。
切り刻まれた繊維プリプレグセグメントが、図19Bに示された樹脂の上に塗布されているのを示す側面図である。
図20Aの基板の平面図であり、切り刻まれた繊維プリプレグセグメントのランダムな方向を示す。
切り刻まれた繊維プリプレグセグメントを整列させている繊維セグメントアライナを示す側面図である。
図21Aの切り刻まれた繊維プリプレグセグメントが、繊維セグメントアライナによって整列されたことを示す平面図である。
1滴の樹脂が一端に配置されている、切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの側面図である。
図22Aに示された切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの底面図である。
基板上に配置されているが、回転前である、図22Aの切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの側面図である。
図23Aに示された切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの平面図である。
図23Aと類似であるが、切り刻まれた繊維プリプレグセグメントが回転させられた後の側面図である。
図23Bと類似の図であるが、繊維プリプレグセグメントが回転させられたことを示し、回転前の切り刻まれた繊維プリプレグセグメントの位置が、仮想線で示されている。
航空機の生産および保守方法のフロー図である。
航空機のブロック図である。
開示された実施形態は、ラミネート構造体の局所領域におけるラミネートの厚さ、輪郭、幅、断面及び/又は繊維方向に対する制御を増大させる、繊維強化樹脂ラミネートを製造するための方法と装置を提供する。図1を参照するに、複合特徴部30は、一方向性強化繊維25を有する切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32の形状でありうる不連続な樹脂注入繊維を含む。繊維プリプレグセグメント32の各々が、細長く、幅Wよりも長い長さLを有する。繊維プリプレグセグメント32の各々が、約6:1の範囲のアスペクト比(L/W)を有しうるが、この特定の比率は、単なる例示である。繊維プリプレグセグメント32は、構造上の要件及びセグメント32を位置付ける又は配置するために用いられる設備を含む応用のために選択される及び/又は最適化される他のアスペクト比を有しうる。幾つかの実施形態において、繊維プリプレグセグメント32は、幅に等しい又は幅より短い長さを有しうる。説明の都合及び容易さのために、以下で論じられる複合特徴部30の例は、一方向性繊維プリプレグを用いる。しかしながら、開示される実施形態の原理は、例えば、限定しないが、特定の応用に適合するように編まれている(クロスプリプレグ)又は他の方法で結合されている二方向性繊維などの、複数の繊維方向を有する繊維で強化されている樹脂を含む、他のタイプのプリプレグセグメント32を用いて複合特徴部30を形成するために利用されうるということに留意すべきである。
開示された実施形態は、種々の層間特徴部30、すなわち、2つの連続するプライの間に配置されている特徴部30、のうちの任意のものを形成するために、特によく適合する。しかしながら、実施形態はまた、外部特徴部などの、部分的に又は完全に露出されている複合特徴部30を形成するためにも用いられうる。幾つかの応用において、異なる長さの繊維を有するプリプレグセグメント32を用いることが、有益又は望ましいことがありうる。一つのセグメント32の中での異なる繊維長は、例えば、限定しないが、繊維のうちのあるものが他の繊維よりも長くなる又は短くなるように、切り刻むなどして、セグメント32を形作ることによって、実現されうる。異なる長さの強化繊維を生ずるように構成された形状を有するプリプレグセグメント32の3つの例が、それぞれ図1A〜図1Cに示されている。異なる繊維長をもたらす他のセグメント形状も、可能である。前記のように、図1A〜図1Cに示されたプリプレグセグメント32が、一方向性強化繊維を用いる一方で、編まれた繊維(図示せず)などの、他の繊維配列が可能である。
強化繊維25は、ガラス又は炭素繊維、グラファイト、芳香族ポリアミド繊維、繊維ガラス、又は他の適当な強化材料などの、高強度繊維を含みうる。繊維25が保持される樹脂母材は、熱可塑性又は熱硬化性高分子樹脂を含みうる。例示的な熱硬化性樹脂は、アリル、アルキドポリエステル、ビスマレイミド(BMI)、エポキシ、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン(PUR)、ポリ尿素ホルムアルデヒド、シアン酸エステル、及びビニルエステル樹脂を含みうる。例示的な熱可塑性樹脂は、液晶ポリマー(LCP);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及びポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテル(MFA)を含むフッ素プラスチック;ポリエーテルエーテルケトンを含むケトン系樹脂;ナイロン66、30%ガラス繊維などのポリアミド;ポリエーテルスルホン(PES);ポリアミドイミド(PAIS)、ポリエチレン(PE);ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリ(フェニレンテレフタレート);ポリスルホン(PSU);又はポリ(フェニレン硫化物)(PPS)を含みうる。
本明細書で、「プリプレグ」は、繊維を保持するための母材として働き、所望の形状に形成するのに十分な曲げやすさを有する、未硬化又は部分硬化樹脂を含浸させた繊維を意味する。樹脂は、その後、例えば、丈夫で強固な繊維強化構造に樹脂を硬化させるためのオーブン又はオートクレーブの中で加熱することによって、「硬化」される。一方向性繊維を有するプリプレグセグメント32の場合、繊維は、互いに実質的に平行に伸び、この説明の目的のために、0°の軸方向を有し、以後、これを、プリプレグセグメント32の繊維方位又は方向と呼ぶ。複数組の繊維方向を有するプリプレグセグメント32が用いられる場合、セグメント32がレイアップ工程中に基板34上に配置されながら、セグメント32を整列させ、方向付ける際に、通常、これらの組のうちの一又は複数の組の繊維方向が、用いられるであろう。
繊維プリプレグセグメント32を基板34上へ「案内する」適当なアプリケータシステム38を用いて、繊維プリプレグセグメント32は、ツール又は基礎にある連続複合プライを含みうる基板34上にレイアップされうる。繊維プリプレグセグメント32の各々の中の繊維25の方位が、所望の方向に実質的に揃えられるように、アプリケータシステム38は、繊維プリプレグセグメント32を基板34上で分配し、配置し、整列させる。例えば、図1に示された例において、繊維プリプレグセグメント32の繊維方向が、比較的タイトな輪郭35を形成する曲がった中心軸36と実質的に揃えられており、セグメント32の繊維方向は、中心軸36に対して所望の方向に実質的に揃えられたままであるように、輪郭35に沿って方向を変える。プリプレグセグメント32の繊維方向の選択された組が、所望の方向、方位又は軸に対して揃えられる程度は、応用例に依存するであろう。幾つかの応用例において、プリプレグセグメント32の方向は、複合特徴部30の一又は複数の位置で、ある程度、変わってもよい。実際、幾つかの応用例において、所望の参照方向に対するプリプレグセグメントの方向のある程度の変動は、特定の変動許容範囲内で有益又は望ましいこともある。
一つの実施形態において、アプリケータシステム38は、事前に整列された繊維プリプレグセグメント32の一続きのストリーム40を分配し、これは、その後、アプリケータシステム38の一部を形成するアプリケータヘッド(図示せず)を、基板34上方の所望の経路で移動させることによって、基板34上へ案内され配置される。示された例において、経路は、中心軸36に沿っている、又は平行である。基板34上方でのアプリケータヘッドの通過の繰り返しにより、整列された繊維プリプレグセグメント32を各々含む連続した層又はプライがレイアップされる。このようにして、複合特徴部30は、樹脂を注入された不連続繊維の複数の層又はプライを含む。
図1に示されていないけれども、後の説明で明らかになるように、開示された実施形態はまた、切り刻まれた繊維プリプレグなどの樹脂注入不連続繊維を基板上に案内することによって、複合構造体の中のボイド又は空隙(図示せず)を充填するために、及びラミネートの厚さにおける移行部(図示せず)を形成するために、利用されうる。配置されているときに、繊維プリプレグセグメント32の方向を連続的に操作することによって、ラミネートの構造上の特性が、局所ベースで厳密に制御され、従って最適化されうる。これらのボイド又は空隙充填材、及びラミネートの厚さにおける移行部を含むバルクダブラ領域などの特徴部は、通常、(連続するプライ間に位置する)層間の特徴部であろうが、前述のように幾つかの応用例においては、それらは、露出した外部特徴部であることもありうる。
次に、航空機胴体44(図2)の製造と関連する、開示された方法と装置の使用を示す図2〜図6に注意を向ける。胴体44は、バレル形状のフレーム65及び長軸方向に伸びるストリンガ47を含む内部骨組み45上に支持される外板46を含む。外板46は、窓開口42、貨物口(図示せず)、他などの、一又は複数の不連続部を含みうる。胴体圧力49が、胴体44の周囲55に加えられ、外板46の中の窓48又は他の開口を通るフープ荷重50をもたらす。更に、飛行中、胴体44のクラウン54が、張力75を受けており、他方、胴体44のベリー56が、圧縮力77を受けており、このことは、窓開口42を横切らなければならない剪断荷重52(図3)をもたらす。図3に示されるように、フープ荷重50と剪断荷重52が、窓開口42の周囲を伝達される。その結果、窓開口42の周囲の角58は、フープ荷重50と剪断荷重52の両方を伝達しなければならないので、より大きな応力59を受ける。下記の通り、開示される方法と装置は、窓開口42の周囲に層間パッドアップ特徴部30を形成する複合ダブラをレイアップするために用いられることができ、この特徴部は、窓開口42の周囲の胴体44を堅くし、強くし、外板46が、必要な荷重を角58を通って伝達することを可能にする。
詳細には図5を参照すると、パッドアップ特徴部30は、図1に関連して前述された繊維プリプレグセグメント32と類似の、複数の案内された繊維プリプレグセグメント32を含む不連続繊維プリプレグから形成される。繊維プリプレグセグメント32が、ツール(図示せず)又は基礎にあるプライ(図示せず)上に配置されながら、それぞれの繊維方向が構造上の荷重経路に実質的に揃えられるように、案内される。この例では、荷重経路は、角58において輪郭軸36に沿っているか又は平行である。基板34上に案内される繊維プリプレグセグメント32の層又はプライの数は、応用例、及びパッドアップ特徴部30の所望の厚さによって変わるであろう。幾つかの応用例では、基板34上に繊維プリプレグセグメント32を案内することによって形成されるパッドアップ特徴部30の断面積を調整することが望ましいかもしれない。例えば、図6を参照すると、図4と図5に示されたパッドアップ特徴部30が、基礎にある一又は複数のフルプライ60上にレイアップされ、上にある一又は複数のフルプライ62によって覆われうる。パッドアップ特徴部30は、幅「W」において連続的に狭くなる繊維プリプレグセグメント32の層を置くことによって形成されるダブルテーパ64を含む。パッドアップ特徴部30のテーパリングは、その結果生ずるダブラが、フルプライ60、62とより上手く一致することを可能にする。
例えば、図7を参照すると、繊維プリプレグセグメント32が、ラミネート構造85の厚さの移行部で形成されうる空隙82などの、複合ラミネートの中の空隙又はボイド82を充填するのに適当な断面形状を形成するように、案内され、層にされうる。図7に示される例において、複合サンドイッチラミネート構造85は、二つの複合プライ60、62の間に挟まれたコア86を含む。空隙82は、ラミネート構造85がコア86から密なラミネート87に移行する際に、形成される。空隙82は、必要な荷重を伝えるために強化及び補強を必要としうる構造上の不連続部を形成する。空隙82は、繊維プリプレグセグメント32の層で充填され、不連続繊維プリプレグ充填材特徴部30を形成しうる。この例では、特徴部は、単一のテーパ84を有する。
図8は、繊維プリプレグセグメント32を基板34上に案内することによって、不連続繊維複合特徴部30を作る方法の全ステップを示す。66から開始し、繊維プリプレグセグメント32が、例えば、繊維プリプレグを所望の寸法と所望のアスペクト比に切り刻むことによって、製造される。ステップ70で繊維プリプレグセグメント32を基板34上に配置し、ステップ72で、強化繊維の繊維方向が所望の方向に揃えられるように、繊維プリプレグセグメント32を配列することによって、68で、不連続繊維プライが、レイアップされる。より詳細に以下で論じられるように、繊維プリプレグセグメント32は、繊維プリプレグセグメント32を案内し、構造体を通る荷重経路に沿ってそれらを整列させるために用いられることもできるアプリケータヘッドを用いて、基板34上に配置されうる。
概してZ形状の断面を有するフレーム断片74の一部を示す図9〜図11に、次に注意が向けられる。フレーム断片74は、図1に示される胴体44の中で用いられるようなバレル形状フレーム65の一部を形成しうる。フレーム断片74は、ウェブ80によって接続される、反対側に伸びる上方フランジ76と下方フランジ78を含む。胴体44の中の長軸方向に伸びるストリンガ47(図2)にクリアランスを提供するために、「マウスホール」開口82が、ウェブ80及びフランジ76の中に設けられうる。開示される方法と装置は、特に、より強い応力を経験しうる局所領域において、フレーム断片74の一部を選択的に強化する不連続樹脂注入繊維の特徴部30を形成するために、用いられうる。このように、フレーム断片74がレイアップされているときに、ウェブ上に案内される繊維プリプレグセグメント32を含む不連続繊維プリプレグの複数の層によって形成される、長軸方向に伸びる、輪郭に沿った、パッドアップ特徴部30aが、ウェブ80の中央部分の片側に、設けられうる。
示された実施形態においては、図10と図11から明らかなように、パッドアップ特徴部30aは、長さに沿って断面形状を変えるが、他の実施形態においては、パッドアップ特徴部30aの断面形状は、長さに沿って一定であってもよい。同様に、切り刻まれたプリプレグなどの繊維プリプレグセグメント32の層を含むパッドアップ特徴部30b、30cが、マウスホール82を囲む輪郭パターンでウェブ80上に案内されうる。パッドアップ特徴部30a、30b、30cは、フレーム断片74の局所的な構造特性を最適化するために選択された任意の所望の断面幾何学形状を有しうる。パッドアップ特徴部30b、30cのうちのいずれもが、長さに沿って、断面の大きさ及び/又は形状が変わりうる。
強化、補剛及び/又は補強を必要としうる構造体の局所的な特徴部を含む、前述のタイプの不連続樹脂注入繊維の特徴部30を形成するために用いられうるシステム88の一実施形態を示す図12に、次に注意が向けられる。システム88は、切り刻まれたプリプレグ32などの、繊維プリプレグセグメント32を基板34上に配置し、複数の層又はプライ96を形成するように適合されるアプリケータヘッド90を広く含む。アプリケータヘッド90は、例えば、限定しないが、ロボットを含みうる自動マニピュレータ92によって基板34の上方をX、Y及びZ方向に変位させられる。
マニピュレータ92もアプリケータヘッド90も、プログラムされたCNC(コンピュータ数値制御)コントローラ94によって操作される。アプリケータヘッド90は、一方向性繊維プリプレグテープ100をガイド102を通ってチョッパ103に供給するプリプレグテープ供給部98を含む。チョッパ103は、アプリケータヘッド90の動きと同期して、プリプレグ繊維テープ100を、所望のサイズと形の繊維プリプレグセグメントに切り刻むように動作する、従来のカッタ機構(図示せず)を含みうる。切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32は、アプリケータヘッド90上の空気流発生器106によって生成される空気流104の中へ送り込まれる40。アプリケータヘッド90が基板34上方にあるときに、空気流104は、事前に整列された繊維プリプレグセグメント32をノズル108を通って前進させ、基板34上に配置する。プリプレグセグメント32は、基板34に接触し付着する際に、所望の方向で基板34に塗布される。基板34上に配置されているときに、セグメント32を方向付けることは、その後にセグメント32の方向を調整する必要性を除去しうる。ヒータ105が、プリプレグ繊維セグメント32を加熱し、それによって粘着性を増加させるために、アプリケータヘッド90上に設けられうる。この増加した粘着性は、基板34上で所望の方向にプリプレグ繊維セグメント32を付着させ保持するのに役立ちうる。ヒータ105は、少しだけ例を挙げると、限定しないが、温風器、伝導ロッド、集束赤外線ヒータ又はレーザを含む、応用例にとって適切な種々の装置のうちの任意のものを含みうる。ヒータ105は、セグメント32の領域全体を概して加熱してもよいし、又は、配置される時に基板に付着するのに十分な「粘着性」を持つまで、セグメント32の一部のみを加熱する、レーザビームなどの集束ビーム(図示せず)を発生させてもよい。
アプリケータヘッド90は、ある幅の切り刻まれたプリプレグセグメント32を所望の方向に塗布するために、(Y方向に)左右に移動してもよいし、他方、他の実施形態において、アプリケータヘッド90は、所望の幅の基板34を、各層又はプライ96について、切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32で覆うために、基板34上方でX方向に複数の直線の通過を行うように用いられてもよい。繊維プリプレグセグメント32を配置するための空気流発生器106を伴うアプリケータヘッド90が示されたが、他方、機械的機構などの他の手段が、アプリケータヘッド90が基板を横切って移動し、繊維プリプレグセグメント32を基板34上へ案内するときに、繊維プリプレグセグメント32を分配し、配置し、整列させるために用いられうる。上記のアプリケータヘッド90を含むシステム88は、プリプレグセグメント32を配置し位置付けるために用いられうる幅広い種類の設備についての他なる例示であるということに、ここで特に留意されたい。用いられるシステム88の特定の形態は、具体的な構造上の要件や利用されるレイアップ技法を含む、応用例に依存するであろう。更に、プリプレグセグメント32の製造及びセグメント32を基板34上に配置し位置付けるために使用される設備は、単一の機械を用いて実施されてもよいし、又は幾つかの異なる機械を用いて実施されてもよい。
図13は、図12に示されたアプリケータヘッド90の代替的実施形態を示し、本図において、基板34を横切ってアプリケータヘッド90が通過するごとに、個々の切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32の複数の列が、アプリケータヘッド90によって、同時に分配され、所望の方向に整列され、配置され、ある帯幅110のセグメント32を形成しうる。
次に、図14〜図17を参照すると、開示される実施形態が、廃物プリプレグ124(図15)を用いて不連続繊維プリプレグの層又はプライをレイアップするために用いられうる。図14を参照すると、ステップ112に示されるように、廃物プリプレグ124が、不適合/廃物部品から又は他の製造工程から生じる廃物プリプレグから得られうる。廃物プリプレグ124は、図15に示されるように、様々な形状のうちの任意の形状を取りうる。図14に示されるステップ116で、廃物プリプレグ124が、個々の繊維プリプレグセグメント32に切り刻まれ、この切断工程の後に、セグメント32は、図16に示されるように、不揃いの繊維方向126を有し、及び/又は異なる長さの繊維を有しうる。ステップ118で、切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32が、図17に示されるように、所望の繊維方向と、実質的に揃えられる128。ステップ120で、整列された繊維プリプレグセグメント32が、アプリケータに送り込まれる。ステップ122で、繊維プリプレグセグメント32の繊維方向が、所望の方向に揃えられるように、アプリケータが、繊維プリプレグセグメント32を基板34上に分配し、案内し、配置するために用いられる。
開示された方法において用いられる、廃物から得られる切り刻まれた繊維プリプレグ32は、幾つかの工程のうちの任意の工程を用いて、製造されうる。例えば、図18を参照すると、廃物プリプレグ124が、開放容器135の中に回転する刃を有する、ブレンダに類似しうるチョッパ装置130の中に導入されうる。刃132は、廃物繊維プリプレグ124を個々の繊維プリプレグセグメント32に切り刻み、切断し、強化繊維の線に沿って、及び強化繊維の間でプリプレグを切断又は分割し、不揃いの方向126を有する繊維プリプレグセグメントを生ずる。廃物プリプレグが、個々の繊維プリプレグセグメント32に切り刻まれると、不揃いに方向付けられた126繊維プリプレグセグメント32が、例えば、一続きの平行チャネル136を有するシェーカートレイ134の中に配置することによって、整列される。シェーカートレイ134は、左右に揺らされ138、トレイ134の上に載せられた不揃いに方向付けられた126繊維プリプレグセグメント32が、チャネル136の中に落下し、チャネルの中に整列し、整列された繊維プリプレグセグメント32の列140を生ずる。繊維プリプレグセグメント32の整列された列140は、繊維プリプレグセグメント32を所望の繊維方向で基板34上に分配し、配置し、案内するアプリケータヘッド90に送り込まれうる。
図19A〜図21Bは、切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32を基板34上に案内する方法の他の実施形態を示す。図19A〜図19Bに示されるように、アプリケータ140が、基板34を横切って移動150しながら、適当な樹脂144を基板34上に塗布する142ために用いられる。樹脂144が、基板34上に樹脂144を吹きかける、基板34上に樹脂144を伸ばす、又は他の塗布技法を用いることによって、塗布されうる。次に、図20A〜図20Bに示されるように、切り刻まれた繊維プリプレグセグメント32が、基板34上方を移動する150適当なアプリケータ146によって基板34に塗布される。最初この方法で塗布されるとき、繊維プリプレグセグメント32は、図20Bに示されるように、不揃いの方向を有しうる。その後、図21Aと図21Bに示されるように、繊維セグメントアライナ148が、基板34上方を移動し150、繊維プリプレグセグメント32を所望の方向に整列させる。この場合、軸36に沿った方向である。繊維セグメントアライナ148は、繊維プリプレグセグメント32と接し再整列させるための一又は複数の機械的装置を用いてもよいし、あるいは、所望のセグメント整列を達成するための空気流(図示せず)などの、非接触技法を用いてもよい。しかしながら、前述の通り、最初に基板34上に配置されているときに、セグメント32を方向付けることが、幾つかの応用例では望ましいかもしれない。この技法は、所望の繊維方向にセグメント32を再位置付けする追加のステップに対する必要性を除去しうるからである。
図22A〜図24Bは、繊維プリプレグセグメント32を基板34上に配置し、整列させるための代替的技法を示す。図22Aと図22Bを参照すると、例えば1滴などの、少量の樹脂152が、繊維プリプレグセグメント32の各々の一端154に置かれる。その後、図23A〜図23Bに示されるように、繊維セグメント32が、基板34上に配置される。この時点で、繊維セグメント32の繊維は、軸36などの所望の方向に揃えられていないかもしれない。図24A〜図24Bに示されるように、繊維セグメント32の繊維方向が、軸36と揃えられるように、繊維セグメント32は、その後、回転される156。方向付け工程は、機械的装置49を用いて実行されてもよいし、又は基板34上方に空気を流れ出させるなどの非接触技法を用いて実行されてもよい。
開示の実施形態は、様々な潜在的応用例において、詳細には、例えば、航空宇宙、船舶、自動車の応用例及びタイトな輪郭、厚さの制御及び/又は断面の調整を必要とする局所的な特徴部を、複合構造が必要としうる他の応用例を含む、輸送産業において、用いられうる。ゆえに、ここで図25及び図26を参照するに、本開示の実施形態は、図25に示す航空機の製造及び保守方法158、及び、図26に示す航空機160に関して使用されうる。開示される実施形態の航空機の応用例は、例えば、限定しないが、少しだけ例を挙げると、フレーム、ビーム、スパー及びストリンガなどの機体176の様々な部品を含みうる。製造前の段階では、例示的な方法158は、航空機160の仕様及び設計162と、材料の調達164とを含み得る。製造段階では、航空機160の、部品及びサブアセンブリの製造166と、システムインテグレーション168とが行われる。その後、航空機160は、認可及び納品170を経て、運航172に供されうる。顧客によって運航される間、航空機160には、改造、再構成、改修、修理なども含みうる、定期的な整備及び保守174が予定される。
方法158の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施されうる。本明細書では、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システム下請業者を含み、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
図26に示すように、例示的な方法158によって製造された航空機160は、複数のシステム178および内装180を備えた機体176を含みうる。高レベルのシステム178の例には、推進システム182、電気システム184、油圧システム188、および環境システム190のうちの一または複数が含まれる。任意の数の他のシステムが、含まれてもよい。航空宇宙の例を示したが、本開示の原理は、船舶および自動車産業などの他の産業に適用されうる。
本明細書に具現化されたシステムおよび方法は、製造および保守方法158の段階のうちの任意の一又は複数の段階で用いられうる。例えば、製造工程166に対応する部品又はサブアセンブリが、航空機160の運航中に製造される部品又はサブアセンブリと類似の方法で作製又は製造されうる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせが、例えば、航空機160の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機160のコストを実質的に削減することにより、製造段階166及び168の間に利用することができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせのうちの一又は複数が、例えば、限定しないが、航空機160の耐用年数の間の任意の時点で、整備及び保守174を実行するために、又は構造体の修理又は改修を実施するために、航空機160が運航中に、利用することができる。
本明細書で使用する際、列挙された項目と共に使用される「〜のうちの少なくとも一つ」という表現は、列挙された項目のうちの一又は複数の種々の組み合わせが使用可能であり、かつ、列挙された各項目のうちの一つだけがあればよいということを意味する。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも一つ」は、限定しないが、項目A、項目Aと項目B、又は項目Bを含んでよい。この例はまた、項目Aと項目Bと項目C、又は項目Bと項目Cを含んでよい。項目とは、特定の対象物、物品、又はカテゴリでありうる。換言すると、「〜のうちの少なくとも一つ」とは、項目の任意の組み合わせ、及び任意の数の項目が、列挙された中から使用されうるが、列挙された項目の全てが必要となる訳ではないことを意味する。
上述した種々の例示的な実施形態の記載は、例示及び説明を目的とするものであり、網羅的であること、又は開示された形の実施形態に限定することを意図していない。当業者には、多数の修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、異なる例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態と比較して、異なる利点を提供しうる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の応用を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態と、考慮される特定の用途に適した様々な修正例との開示の理解を促すために、選択され記述されている。