JP2019068697A - 蓄電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】システム構成を簡略化しつつ、蓄電池の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現する。【解決手段】蓄電池システム1は、蓄電池パックB21〜B2Nの端子間電圧に関する電圧値VB、及び蓄電池パックB21〜B2Nの入出力電流に関する電流値IBを検出する蓄電池コントローラB3と、蓄電池パックB21〜B2Nの蓄積電力を用いて情報及び画像の表示が可能な制御部C2と、を備え、制御部C2は、蓄電池コントローラB3によって検出された電圧値VB及び電流値IBを取得して、電圧値VB及び電流値IBを含む情報を2次元コードで表示可能に構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、蓄電池を備える蓄電池システムに関する。
災害発生時における設備の稼働維持のための無停電電源用として、または、再生可能エネルギーの利活用のために、蓄電池の活用が進んでいる。蓄電池は、電気化学的な作用でエネルギーを充放電するため、環境温度または充放電の多様な反応に応じて、例えば、容量の低下あるいは抵抗の上昇等の劣化特性を示すことがある。そのため、例えば、防災設備向けの蓄電池設備は定期的に容量の点検を行うなど、蓄電池の運用には十分な管理が求められている。蓄電池の管理に関して、近年の無線技術などのICT(Information and Communication Technology)技術の進展に伴い、構成する蓄電池セル毎に個別に検出した状態量を、蓄電池設備から、常時接続したネットワークを通じクラウド上のデータベースに収集する監視システムなども提案されている。下記特許文献1には、個別に検出した内部抵抗情報を通信を利用して上位監視装置へ送信する技術が開示されている。
一方で、電気機器の情報を収集する手段として、QRコード(登録商標)などの2次元コードを活用する手法が提案されている。下記特許文献2には、エネルギー蓄積装置の蓄電池のエネルギー充電状態をコンテキストデータとして2次元光学コードで表示する技術が開示されている。
上述した特許文献1に記載の技術においては、個別に内部抵抗を演算して上位監視装置に送信する構成により、上位監視装置において精度よく電池の状態を管理できる。その一方で、蓄電設備を常時ネットワークに接続する必要があり、状態量の検出装置を個別に設ける必要があるので、全体のシステム構成が複雑化する。上述の特許文献2に記載の技術によれば、蓄電設備を常時ネットワークに接続する必要はないが、その分収集するデータ量が常時接続に比べ減少するため、状態監視の精度が低下する傾向にある。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、システム構成を簡略化しつつ、蓄電池の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現する蓄電池システムを提供することを目的とする。
本発明の一形態にかかる蓄電池システムは、蓄電池を備えた蓄電池システムであって、蓄電池の端子間電圧に関する電圧値を検出する電圧検出手段と、蓄電池の入出力電流に関する電流値を検出する電流検出手段と、蓄電池の蓄積電力を用いて情報及び画像の表示が可能な表示部と、を備え、表示部は、電圧検出手段によって検出された電圧値、及び電流検出手段によって検出された電流値を取得して、電圧値及び電流値を含む情報を2次元コードで表示可能に構成されている。
上記一形態の蓄電池システムによれば、蓄電池の端子間電圧及び蓄電池の入出力電流が検出され、それらに関する電圧値及び電流値を含む情報が2次元コードで表示部に表示される。これにより、2次元コードを読み取り可能な機器によって蓄電池の内部抵抗の演算するための情報が取得され、その情報がその機器を用いてサーバ等の監視装置に効率的に伝達可能とされる。この際、蓄電池システムに常時接続されたネットワークを準備する必要もないし、蓄電池の状態量の検出のための複雑な機能の装置も不要である。その結果、システム構成を簡略化しながら、蓄電池の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現できる。
上記一形態では、表示部は、電圧値の情報、及び電流値の情報を一括して単一の2次元コードで表示可能に構成されている、ことでもよい。このような構成により、蓄電池システムから、電圧値の情報と電流値の情報とを、一括して伝達することができる。その結果、例えば、これらの情報の同時性を担保することにより、内部抵抗等の蓄電池の状態量を精度よく算出させることができる。
また、上記一形態では、蓄電池の周辺温度に関する温度値を検出する温度検出手段をさらに備え、表示部は温度検出手段によって検出された温度値を取得し、温度値を含む情報をさらに2次元コードで表示可能に構成されている、ことでもよい。このような構成とすれば、蓄電池の充電率等の状態量を演算するための情報が取得され、その情報が外部機器を用いてサーバ等の監視装置に効率的に伝達可能とされる。その結果、システム構成を簡略化しながら、蓄電池の充電率等の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現できる。
さらに、上記一形態では、表示部は、2次元コードとともに、2次元コードで表現された情報に含まれる数値を表示可能に構成されている、ことでもよい。かかる構成を採れば、外部機器に伝達される情報の妥当性をユーザに容易に検証させることができる。
またさらに、上記一形態では、電流値を積算した電流積、温度値から推定された容量値、及び電流積と容量値との比率のいずれかの数値を演算する機能をさらに備え、表示部は、該数値を含む情報をさらに2次元コードで表示可能に構成されている、ことでもよい。この場合、蓄電池の充電率を求めるための情報が内部における演算により取得され、その情報が外部機器を用いてサーバ等の監視装置に効率的に伝達可能とされる。その結果、システム構成を簡略化しながら、蓄電池の充電率の監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現できる。
さらにまた、上記一形態では、前記表示部は、前記2次元コードが表示された状態で、かつ、表示対象の前記情報の入力がない状態が所定期間継続した場合は、前記情報の数値による表示に移行する、ことでもよい。この場合、表示される情報のリアルタイム性が向上し、情報を読み取るユーザの誤解を防止できる。
本発明の一形態によれば、システム構成を簡略化しつつ、蓄電池の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現することができる。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
[第1実施形態]
[第1実施形態]
実施形態に係る蓄電池システムは、蓄電池セルを多数個内蔵し、蓄電池セルに蓄えられたエネルギーを負荷に供給するための電源システムである。蓄電池システムは、例えば家庭、オフィス、工場、農場等の様々な場所で利用され得る。
図1は、第1実施形態にかかる蓄電池システム1の構成を示す図である。この蓄電池システム1は、蓄電池セルを含む本体部B1と、本体部B1との間で入出力される電力を変換するとともに本体部B1内の蓄電池セルの監視機能を担う制御盤C1とを含んで構成されている。
本体部B1は、一対の直流端子B11を有している。一対の直流端子B11は、制御盤C1の一対の直流端子C12とそれぞれ電気的に接続されている。一対の直流端子B11と一対の直流端子C12との間の直流回路部を、以降直流バスと称する。
制御盤C1は、上記の一対の直流端子C12の他、交流端子C11を有している。この交流端子C11は、商用交流電力網である電力系統PSに電気的に接続されている。すなわち、交流端子C11には、蓄電池システム1あるいは電力系統PSから交流電力の供給を受ける交流負荷L1が電気的に接続される。このとき、電力系統PSにはスイッチSWを介して電気的に接続し、例えば電力系統PSに停電などの異常があった場合に、スイッチSWを遮断し、交流端子C11から交流負荷L1へ電力を供給することができる。
ここで、直流バスには、蓄電池システム1あるいは直流端子C12から直流電力の供給を受ける直流負荷L2が接続可能とされている。また、直流バスには、直流電力と交流電力とに相互に変換するインバータP1を介して、蓄電池システム1あるいは直流端子C12から交流電力の供給を受ける交流負荷L3が接続されてもよい。
上記の構成により、蓄電池システム1は、その内部の蓄電池セルに蓄積された電力を、交流負荷L1、L3および直流負荷L2に対して放電することが可能であり、また電力系統PSから受電する受電電力、あるいは負荷L1〜L3で発生する回生電力を、内部の蓄電池セルに充電することが可能となる。
次に、本体部B1の内部構成について詳細に説明する。
本体部B1は、内部にN個(Nは2以上の整数)の蓄電池パックB21〜B2N、および蓄電池コントローラB3を備えている。蓄電池パックB21〜B2Nは順に直列に接続されており、直列接続された電池パックB21〜B2Nの両端の電極が、それぞれ、一対の直流端子B11に電気的に接続された構成となっている。
蓄電池コントローラB3は、一対の直流端子B11間に生じた直流電圧(端子間電圧)に関する電圧値VB、直流端子B11に入出力される直流電流(入出力電流)に関する電流値IB、本体部B1内の蓄電池パックB21〜B2Nの温度に関する温度値TBなどの情報(監視情報)を検出可能となっている。この蓄電池コントローラB3は、電圧値VBを検出する電圧検出手段として機能し、直流端子B11につながる導線に設けられた電流センサB31とともに電流検出手段として機能し、蓄電池パックB21〜B2Nの近傍に設けられた温度センサB32とともに温度検出手段として機能する。本体部B1には通信端子B4が設けられ、蓄電池コントローラB3は、検出した電圧値VB、電流値IB、及び温度値TBを含む監視情報を通信端子B4を介して制御盤C1に送信可能とされている。
なお、蓄電池コントローラB3に蓄電池パックB21〜B2Nと有線または無線で通信可能な通信機能が設けられて、蓄電池コントローラB3が、通信によって、各蓄電池パックから各蓄電池パックB21〜B2Nに関する監視情報を収集してもよい。この際には、蓄電池パックB21〜B2N側に、電圧検出手段、電流検出手段、及び温度検出手段が設けられてもよい。
次に、制御盤C1の内部構成について詳細に説明する。
制御盤C1は、交流端子C11と一対の直流端子C12との間で双方向の交流電力−直流電力間の電力変換を行い、これにより本体部B1内の蓄電池セルの充放電を可能にする。制御盤C1には、サイリスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)あるいはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などのパワー半導体を用いた電力変換部C3が設けられる。電力変換部C3は、パワー半導体の他、変圧器、巻線、あるいはコンデンサ等を内蔵し、パワー半導体を高速でオンオフして巻線あるいはコンデンサなどに蓄積する電力を調整することで、直流端子C12に発生する電圧あるいは電流を制御することができる。
また、制御盤C1には、制御部C2が設けられている。制御部C2は、電力変換部C3における電圧、電流、及び温度などの情報を収集(取得)する機能と、蓄電池コントローラB3との通信による本体部B1の監視情報を収集(取得)する機能とを有する。この制御盤C1は、本体部B1の蓄積電力で動作可能に構成されており、電力系統PSにおける停電が発生した場合であっても蓄電池システム1の運転を継続可能に構成されている。
制御部C2には、収集した監視情報等の情報及び画像を外部から視認可能に表示する表示部C21が設けられている。この表示部C21は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、あるいはそれらを用いたタッチパネルディスプレイである。液晶ディスプレイとしては、TFT(Thin Film Transistor)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In Plane Switching)などの方式を用いてもよく、バックライトとして電球、発光ダイオード、冷陰極管などを含むものを用いてもよい。
制御部C2は、本体部B1から収集した電圧値VB、電流値IB、及び温度値TBを含む監視情報を、2次元コードの画像に変換して表示部C21に表示する機能を有する。ここで、表示させる2次元コードとしては、QRコード、データマトリックス(DATA MATRIX)コード、PDF417コード、マキシコード(Maxi Code)などが用いられる。すなわち、制御部C2は、本体部B1あるいは電力変換部C3から収集した情報を2次元コードの画像に変換し、その画像を表示部C21に表示させる。このとき、制御部C2は、最低でも、同時に収集された電圧値VB及び電流値IBを、一括して単一の2次元コードに変換して表示することが好ましく、さらには、同時に収集された電圧値VB、電流値IB、及び温度値TBを、一括して単一の2次元コードに変換して表示することもより好ましい。
加えて、制御部C2は、2次元コードに加えて、あるいは、2次元コードに代えて、その2次元コードに表現された監視情報を含む情報の数値を、そのまま表示する機能も有する。例えば、制御盤C1に制御部C2に接続された入力ボタンC5が設けられ、表示部C21に表示される内容を、ユーザによる入力ボタンC5の操作に応じて切り替えてもよい。
表示部C21に表示された2次元コードは、光学式コードのリーダ機能を備えた無線端末A1により読み取られることにより、無線端末A1において2次元コードに表現されていた監視情報が取得される。取得された監視情報は、無線端末A1から、無線通信を用いて、無線基地局N2、及びネットワーク回線N1経由して、ネットワーク回線N1に接続されたクラウドサーバN3に格納される。このとき、無線端末A1において2次元コードの情報を加工したうえで加工後の情報をクラウドサーバN3に格納しても構わない。またネットワーク回線N1には無線端末A1の他にもパーソナルコンピュータ等の管理端末A2が接続され、管理端末A2によってクラウドサーバN3に格納された監視情報が閲覧可能とされてもよい。
図2は、制御部C2を構成する演算回路100のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、演算回路100は、物理的には、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、入力デバイスである入力装置104、出力デバイスである出力装置105、信号送受信デバイスである通信モジュール106、半導体メモリ等の補助記憶装置108、などを含む情報処理プロセッサとして構成されている。
制御部C2の上述した処理機能は、図2に示されるCPU101、RAM102等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで入力装置104、出力装置105、及び通信モジュール106を動作させるとともに、RAM102または補助記憶装置108におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。なお、上記の表示部C21は、出力装置105によって実現され、上記の入力ボタンC5は、入力装置104によって実現され、制御部C2の通信機能は、通信モジュール106によって実現され、通信モジュール106は、制御盤C1の通信端子C4を介して本体部B1の通信端子B4と接続される。
図3には、本体部B1に内蔵される蓄電池パックB21の構成例を示している。なお、電池パックB22〜B2Nの構成も同様な構成とされる。蓄電池パックB21は、電池モジュールM1およびセルコントローラCC1を含んで構成されている。電池モジュールM1は、直列に接続された5個の蓄電池セルCe1〜Ce5を含み、直列接続された蓄電池セルCe1〜Ce5の各接続点における中間電位が、電池モジュールM1の外部に取り出し可能に構成されている。また、電池モジュールM1には、蓄電池セルCe1〜Ce5の周辺温度に関する温度値TAを検出する温度センサM2が設けられている。なお、電池モジュールM1は、5個の蓄電池セルを含むものには限定されず、1個〜16個等の任意の個数で直列接続された蓄電地セルを含むものであってもよい。
セルコントローラCC1は、コントローラU1および演算装置U2を含んで構成されており、コントローラU1には電池モジュールM1の中間電位を取り出すための各接続点が接続され、各接続点の電位差から各蓄電池セルCe1〜Ce5の端子間電圧であるセル電圧V1〜V5をモニタする。ここで、セルコントローラCC1において、各蓄電池セルCe1〜Ce5の端子間には、それぞれ、抵抗RR1〜RR5および半導体スイッチSR1〜SR5からなる直列回路が接続されている。コントローラU1は、半導体スイッチSR1〜SR5のオン/オフを制御可能とされている。
演算装置U2は、コントローラU1のモニタするセル電圧V1〜V5の情報を、通信ラインCOM1を介して受信する。また、演算装置U2は、温度センサM2から温度値TAの情報を収集し、外部との通信ラインCOM2を通じて蓄電池パックB21の外部との通信が可能となっている。コントローラU1および演算装置U2は、外部との通信を併用して蓄電池セルCe1〜Ce5の電圧バランシングを行うことができる。すなわち、コントローラU1および演算装置U2は、蓄電池セルCe1〜Ce5のセル電圧V1〜V5のうちで比較的高いセル電圧が発生したことを判断し、その判断に応じて比較的セル電圧の高い蓄電池セルCe1〜Ce5を放電するように制御する。例えば、蓄電池セルCe1〜Ce5のうち蓄電池セルCe5のセル電圧V5が他のセル電圧V1〜V4に比べて高い電圧を示した場合には、これを演算装置U2などが判断し、その判断に応じて蓄電池セルCe5に対応する半導体スイッチSR5をオンとすることにより、蓄電池セルCe5に対し抵抗RR5を並列に接続して放電を制御することができる。
次に、蓄電池システム1による2次元コードの表示を基にクラウドサーバN3に格納された監視情報を用いた、クラウドサーバN3における蓄電池システム1の内部抵抗推定アルゴリズムについて説明する。図4は、クラウドサーバN3における内部抵抗推定において用いられる監視情報である電圧値VBおよび電流値IBの時間遷移を示すグラフである。図4には、実際の電圧値VBおよび電流値IBの連続的な時間遷移が太線で示されている。以下の説明では、図4に示す時刻T1、T2のタイミングで無線端末A1を用いた2次元コードの読み取りが行われることが想定されている。
一般に、蓄電池システムの端子間電圧の電圧値VBは、起電力の値をE、直流抵抗の値をR、入出力電流の電流値をIB(放電の場合に正の値をとるものとする)とおくと次式;
VB=E−R×IB
で表される。ここで、時刻T1および時刻T2における起電力の値Eが概ね等しい場合、各時刻の電圧値V1、V2および電流値I1、I2を基に、次式;
R=(V2−V1)÷(I2−I1)
を用いて蓄電池システムの内部抵抗値である直流抵抗値Rを推定することが可能となる。
VB=E−R×IB
で表される。ここで、時刻T1および時刻T2における起電力の値Eが概ね等しい場合、各時刻の電圧値V1、V2および電流値I1、I2を基に、次式;
R=(V2−V1)÷(I2−I1)
を用いて蓄電池システムの内部抵抗値である直流抵抗値Rを推定することが可能となる。
電流値IBと電圧値VBの検出タイミングに時差があった場合には、推定する直流抵抗値Rに誤差が生じうる。例えば、電流値IBがステップ状に変化した場合、その電流値IBの変化直後の電圧値VBは、電池の分極作用によって曲線状に過渡変化を伴うことが知られている。このとき、例えば、電流値IBの変化直後の時刻T2近傍においては、電流値IBの検出時刻T2と電圧値VBの検出時刻に時間差D2が発生している場合、時間差D2の分だけ検出される電圧値VBにおいて電圧差ΔVが発生する。例えば、時刻T1が電流値IBの変動が比較的少ないタイミングであった場合は、この電圧差ΔVは十分小さいため、最終的に直流抵抗値Rの推定の精度は、電圧差ΔVの変化に大きく影響されることになる。
従って、可能な限り時間差なく同時に検出された電流値IBおよび電圧値VBを用いることで、直流抵抗値の推定誤差を減らすことが可能となることがわかる。本実施形態によれば、電圧値VBおよび電流値IBを含む監視情報を別のコードに分けることなく単一のコードとして表示する機能を有しているので、クラウドサーバN3における直流抵抗値の推定誤差を低減することができる。
図5は、本実施形態における制御部C2による表示部C21における表示イメージの例を示している。表示部C21には、蓄電池システム1内で検出した電圧値、電流値、温度値といった監視情報を含むデータを数値表示するほか、これらのデータを一括してQRコードなどの2次元コードの画像形式で表示することができる。なお、制御部C2は、表示部C21において、数値とQRコードの画像とを切替可に表示してもよいし、数値とQRコードの画像を並置して同時に表示してもよい。いずれにしても、表示部C21において数値を表示するように構成されることにより、無線端末A1でQRコードから読み取った情報が妥当か否かを、表示部C21に表示された数値と照会することで検証することができる。
ここで、QRコードなどの2次元コードは、ある特定の時間局面の情報を保持する機能を有するものである。そのため、瞬時値を常時更新することができる数値表示に比べ一般的にリアルタイム性が劣り、QRコードの表示画面を連続して表示させるとユーザに誤解を与える可能性がある。そこで、制御部C2においては、QRコードの表示に予め時限を設定するための所定時間が設定されており、表示部C21に1つの監視情報を含むデータがQRコードで表示された状態で、かつ、本体部B1から新たな監視情報の入力がない状態が所定時間後の時限まで継続した場合には、現在QRコードで表示している監視情報を含むデータを、強制的に数値による表示に移行する機能を有する。これによって、表示される情報のリアルタイム性が向上でき、情報を読み取るユーザの誤解を防止できる。
また、制御部C2は、第2の時限をバー表示等で表示部C21に表示させることにより、表示部C21に第2の時限まで所定時間連続してQRコードを表示させた場合に、強制的に監視情報を再取得してQRコードを再表示させるようにしてもよい。また、制御部C2は、QRコードに当該コードの取得時刻を付記するように表示してもよいし、当該QRコードの表示経過時刻を付記するように表示してもよい。
これによって、表示される情報のリアルタイム性が確認でき、情報を読み取るユーザの誤解を防止できる。また、時限を表示させる場合には、時限に対する経過時間または残り時間の情報を数値あるいは百分率等の比率を表示するバーグラフ等を設けると、ユーザが無線端末A1の操作と表示部C21の表示を同期させることができるため、計測操作の誤りを防ぐことができる。
以上説明した第1実施形態にかかる蓄電池システム1によれば、直列接続された蓄電池パックB21〜B2Nの端子間電圧および入出力電流が検出され、それらに関する電圧値VB及び電流値IBを含む情報が2次元コードで表示部C21に表示される。これにより、2次元コードを読み取り可能な機器によって蓄電池パックB21〜B2Nの内部抵抗の演算するための情報が取得され、その情報がその機器を用いてクラウドサーバ等の監視装置に効率的に伝達可能とされる。この際、蓄電池システム1に常時接続されたネットワークを準備する必要もないし、蓄電池パックB21〜B2Nの状態量の検出のための複雑な機能の装置も不要である。その結果、システム構成を簡略化しながら、内部の蓄電池の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現できる。
上記第1実施形態では、蓄電池システム1から、電圧値VBの情報と電流値IBの情報とを、一括して伝達することができる。その結果、例えば、これらの情報の同時性を担保することにより、クラウドサーバ等の監視装置において、内部抵抗等の内部の蓄電池の状態量を精度よく算出させることができる。
また、上記第1実施形態では、蓄電池の充電率等の状態量を演算するために必要な蓄電池パックB21〜B2Nの周辺温度の情報が併せて取得され、その情報が外部機器を用いてクラウドサーバ等の監視装置に効率的に伝達可能とされる。その結果、システム構成を簡略化しながら、内部の蓄電池の充電率等の状態監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現できる。
さらに、上記第1実施形態では、表示部C21は、2次元コードとともに、2次元コードで表現された情報に含まれる数値を表示可能に構成されている。これにより、外部機器に伝達される情報の妥当性をユーザに容易に検証させることができる。
[第2実施形態]
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態にかかる蓄電池システム1Aの構成を示す図である。蓄電池システム1Aは、本体部B1内の蓄電池コントローラB3に、電圧値VB、電流値IB、および温度値TB等の監視情報を2次元コードで表示する表示部B33を設けた点で、第1実施形態にかかる蓄電池システム1と異なる。この蓄電池コントローラB3及び表示部B33の機能は、第1実施形態にかかる制御部C2及び表示部C21の機能と同様である。
なお、蓄電池コントローラB3は、管理情報の他にも2次元コードに表示させる情報として、各蓄電池パックB21〜B2Nを構成する蓄電池セルのセル電圧V1〜V5の情報、各蓄電池パックB21〜B2N内の温度センサM2の温度値TAの情報、蓄電池パックB21〜B2Nあるいは蓄電池コントローラB3の製品管理用の識別コード、又はそれぞれの製品情報を説明するためのインターネットWebサイトのURL情報などを同時に表示させても構わない。また、各蓄電池パックB21〜B2Nと蓄電池コントローラB3との間の通信ラインCOM2(図3)を含む接続は、有線接続には限定されず、WiFiあるいはブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの近距離無線通信による接続に変更しても構わない。また、例えば現場でメンテナンス等の作業員の作業を促すために、セルコントローラCC1に押ボタンを設けておき、この押ボタンの押下を検出した時にのみWiFiによってセルコントローラCC1から蓄電池コントローラB3にメンテナンス情報を転送し、これをQRコードを通じて無線端末A1に認識させてもよい。無線端末A1からクラウドサーバN3の基幹システムにこの情報を転送した後、メンテナンス対象の蓄電池パック固有の詳細情報をクラウドサーバN3等から無線端末A1に提供することができる。その結果、作業員は、メンテンナンス対象の蓄電池パックの近傍の場所で無線端末A1を参照しながら作業することで、蓄電池パック内の演算装置の機能を簡略化することができ、メンテンナンス作業用の書類等の持ち歩きを回避でき作業負担を軽減できる。
[第3実施形態]
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態にかかる蓄電池システム1Bの構成を示す図である。
第3実施形態にかかる蓄電池システム1Bにおいては、制御盤C1内の電力変換部C3に、電力系統PS側からの入力電圧の値Vin及び入力電流の値Iinを検出可能なセンサが接続され、インバータP1内のコントローラP2に、インバータP1の出力電圧の値Vo及び出力電流の値Ioを検出可能なセンサが接続されている。
電力変換部C3及びコントローラP2の収集した情報は、通信線を介して制御部C2に送信することが可能とされている。そして、制御部C2は、これらの情報をQRコード等の2次元コードに変換して表示部C21に表示可能に構成される。上述した第1実施形態と同様にして、これらの情報は無線端末A1によって読み取られた後にクラウドサーバN3に格納される。クラウドサーバN3において、格納された入力電圧値Vin、入力電流値Io、出力電圧値Vo、及び出力電流値Ioを基に、下記式を演算することにより電力変換効率ηが演算される。
η=(Vo×Io)÷(Vin×Iin)
η=(Vo×Io)÷(Vin×Iin)
電力変換効率ηの演算の精度を高めるためには、上記式に含まれるパラメータの同時性も重要となる。本実施形態によれば、単一の2次元コードに入力電圧値Vin、入力電流値Io、出力電圧値Vo、及び出力電流値Ioを含めて同時に表示されるので、電力変換効率ηの演算精度が容易に高められる。一方で、単一の2次元コードに同時に表示させる情報は、電流値及び電圧値の代わりに、入力電力値Pin=Vin×Iin、及び出力電力値Po=Vo×Ioであってもよい。この場合も、電力変換効率ηの演算の精度を容易に高めることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
第1実施形態にかかる蓄電池システム1によってクラウドサーバN3に格納された監視情報は、直流抵抗値Rの演算に利用されることには限定されず、そのほかの様々な情報の演算に利用されてもよい。図8は、クラウドサーバN3における充電率(SOC:State Of Charge)の演算アルゴリズムを示すブロック図である。
図8に示すように、充電率SOCは、クラウドサーバN3に格納された電流値IB、電圧値VB、温度値TBをもとに演算される。この場合、クラウドサーバN3は、積算部S1、容量推定部S2、抵抗推定部S3、OCV推定部S4、Ah比算出部S5、SOC/OCVマップ部S6、及びSOC推定部S7を備える。
積算部S1は、電流値IBを積分することにより電流積Ahを求める。なお、積算部S1は外部のトリガ入力を受け付けた場合には積算した電流積Ahを特定の値にリセットする機能を備えてもよい。
容量推定部S2は、温度値TBから蓄電池の容量値Qを推定する。ここで、例えば容量推定部S2は内部に容量値Qと温度値TBとの対応を示すデータテーブルまたは近似式を予めメモリ内に記憶しておき、これを参照して容量値Qを推定してもよい。
抵抗推定部S3は、第1実施形態と同様のアルゴリズムにより蓄電池の直流抵抗値Rを推定する。OCV推定部S4は、電圧値VB、電流値IB、および直流抵抗値Rから電池の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を求める。これらのパラメータは電池の等価回路モデルから下記式で表すことができるので、下記式を逆算することにより解放電圧OCVを計算する(ここで、電流値IBの符号は放電の場合を正とする)。
VB=OCV−R×IB
VB=OCV−R×IB
Ah比算出部S5は、電流積Ahを容量値Qで除した値を比率SOCiとして出力する。SOC/OCVマップ部S6は、開放電圧OCVと温度値TBから値SOCvを推定する。ここで、例えば、SOC/OCVマップ部S6は、内部のメモリに値SOCvと温度値TBと解放電圧OCVとの対応関係を示すデータテーブルまたは近似式を予め記憶しておき、これを参照することにより値SOCvを推定する。
SOC推定部S7は比率SOCiおよび値SOCvの情報を元に充電率SOCを求める。 なお、SOC推定部S7は、求めた充電率SOCを元に積算部S1のリセット用トリガ信号を発生させてもよい。例えば、充電率SOCが100%になった場合には積算部S1で積算する電流積Ahを容量値Qの値にリセットすることで、積分時に累積される電流値IBの測定誤算を補正して精度を高めることができる。
なお、充電率SOC等の蓄電池システムの状態量の演算においては、演算を実行する際に、電流値IBと電圧値VBの同時性、電流値IBと温度値TBの同時性が、精度維持の観点で重要となる。逆に言えば、容量値Q、電流積Ah、比率SOCi等は同時性が精度維持の観点で比較的重要ではない。そこで、蓄電池システム1の制御部C2あるいは蓄電池コントローラB3等に、積算部S1、容量推定部S2、及びAh比算出部S5のいずれかの機能を具備させ、制御部C2あるいは蓄電池コントローラB3等が、容量値Q、電流積Ah、及び比率SOCiのうちのいずれかの数値を含む情報を、表示部C21あるいは表示部B33上に2次元コードで表示可能に構成されていてもよい。
このような場合、蓄電池システムの充電率SOCを求めるための情報が内部における演算により取得され、その情報が無線端末A1等の外部機器を用いてクラウドサーバN3等の監視装置に効率的に伝達可能とされる。その結果、システム構成を簡略化しながら、蓄電池システムの充電率SOCの監視の精度を維持するに十分な情報の伝達を実現できる。
1、1A、1B…蓄電池システム、B1…本体部、B21〜B2N…蓄電池パック、B3…蓄電池コントローラ(電圧検出手段、電流電出手段、温度検出手段)、B31…電流センサ、B32…温度センサ、B33…表示部、C1…制御盤、C2…制御部、C21…表示部。
Claims (6)
- 蓄電池を備えた蓄電池システムであって、
前記蓄電池の端子間電圧に関する電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記蓄電池の入出力電流に関する電流値を検出する電流検出手段と、
前記蓄電池の蓄積電力を用いて情報及び画像の表示が可能な表示部と、を備え、
前記表示部は、前記電圧検出手段によって検出された電圧値、及び前記電流検出手段によって検出された電流値を取得して、前記電圧値及び前記電流値を含む情報を2次元コードで表示可能に構成されている、
蓄電池システム。 - 前記表示部は、前記電圧値の情報、及び前記電流値の情報を一括して単一の2次元コードで表示可能に構成されている、
請求項1記載の蓄電池システム。 - 前記蓄電池の周辺温度に関する温度値を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記表示部は前記温度検出手段によって検出された前記温度値を取得し、前記温度値を含む情報をさらに2次元コードで表示可能に構成されている、
請求項1又は2に記載の蓄電池システム。 - 前記表示部は、前記2次元コードとともに、前記2次元コードで表現された情報に含まれる数値を表示可能に構成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電池システム。 - 前記電流値を積算した電流積、前記温度値から推定された容量値、及び前記電流積と前記容量値との比率のいずれかの数値を演算する機能をさらに備え、
前記表示部は、該数値を含む情報をさらに2次元コードで表示可能に構成されている、
請求項3に記載の蓄電池システム。 - 前記表示部は、前記2次元コードが表示された状態で、かつ、表示対象の前記情報の入力がない状態が所定期間継続した場合は、前記情報の数値による表示に移行する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
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JP2021092464A (ja) * | 2019-12-11 | 2021-06-17 | 株式会社日立製作所 | 電池データの調整方法及びバッテリマネージメントユニットの製造方法並びにバッテリマネージメントユニット及びサーバー |
-
2017
- 2017-10-05 JP JP2017194984A patent/JP2019068697A/ja active Pending
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WO2021117300A1 (ja) * | 2019-12-11 | 2021-06-17 | 株式会社日立製作所 | 電池データの調整方法及びバッテリマネージメントユニットの製造方法並びにバッテリマネージメントユニット及びサーバー |
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