JP2019067868A - 撮像素子、撮像素子の製造方法、および、電子機器 - Google Patents

撮像素子、撮像素子の製造方法、および、電子機器 Download PDF

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香織 瀧本
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Abstract

【課題】レンズ設置高さを高精度に制御する。【解決手段】撮像素子は、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚のレンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、積層レンズ構造体の複数枚のレンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、撮像部を保護する保護基板と、保護基板と積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサとを備える。本技術は、例えば、カメラモジュール等に適用できる。【選択図】図143

Description

本技術は、撮像素子、撮像素子の製造方法、および、電子機器に関し、特に、レンズ設置高さを高精度に制御することができるようにした撮像素子、撮像素子の製造方法、および、電子機器に関する。
半導体装置やフラットパネルディスプレイ装置などの電子デバイスの製造に使用し得る基板にレンズを形成し、これにより得たレンズ付き基板を複数枚積層した、積層レンズ構造体を提供する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の積層レンズ構造体では、撮像素子からレンズまでの距離であるレンズ設置高さをエポキシ系の樹脂で調整しているが、エポキシ系の樹脂では、レンズ設置高さを高精度に制御するのが難しい。
特許文献2には、複数のレンズを一平面上に配置したレンズアレイと、各レンズを通過した入射光を電気信号に変換する撮像素子との間にスペーサを配置した撮像モジュールが開示されている。
国際公開第2017/022188号 特開2012−154825号公報
しかしながら、特許文献2には、スペーサにどのような材質ものを用いて、どのように形成するかが具体的に開示されていない。
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、レンズ設置高さを高精度に制御することができるようにするものである。
本技術の第1の側面の撮像素子は、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、前記撮像部を保護する保護基板と、前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサとを備える。
本技術の第2の側面の撮像素子の製造方法は、入射光を光電変換する撮像部を保護する保護基板の上面にスペーサを形成し、前記スペーサが形成された前記撮像部と、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体とを接合する。
本技術の第3の側面の電子機器は、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、前記撮像部を保護する保護基板と、前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサとを備える撮像素子を備える。
本技術の第1および第3の側面においては、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、前記積層レンズ構造体の数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、前記撮像部を保護する保護基板と、前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサとが設けられる。
本技術の第2の側面においては、入射光を光電変換する撮像部を保護する保護基板の上面にスペーサが形成され、前記スペーサが形成された前記撮像部と、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体とが、接合される。
撮像素子及び電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
本技術の第1乃至第3の側面によれば、レンズ設置高さを高精度に制御することができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術を適用したカメラモジュールの第1実施の形態を示す図である。 積層レンズ構造体の第1構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体と絞り板を示す断面図である。 レンズ樹脂部の構成をさらに説明する図である。 レンズ樹脂部の構成をさらに説明する図である。 積層レンズ構造体の製造方法を説明する図である。 積層レンズ構造体の製造方法を説明する図である。 積層レンズ構造体の製造方法を説明する図である。 直接接合を説明する図である。 レンズ付き積層基板の詳細構成を示す断面図である。 レンズ付き積層基板の平面図と断面図である。 レンズ付き単層基板の詳細構成を説明する図である。 レンズ付き単層基板の詳細構成を説明する図である。 レンズ付き単層基板の製造方法を説明する図である。 レンズ付き単層基板の製造方法を説明する図である。 レンズ付き単層基板の製造方法を説明する図である。 レンズ付き単層基板の製造処理を説明するフローチャートである。 レンズ付き積層基板の製造処理を説明するフローチャートである。 レンズ付き積層基板の製造方法を説明する図である。 レンズ付き基板の直接接合を説明する図である。 レンズ付き基板の直接接合を説明する図である。 5枚のレンズ付き基板を基板状態で積層する第1の積層方法を説明する図である。 5枚のレンズ付き基板を基板状態で積層する第2の積層方法を説明する図である。 積層レンズ構造体の第2構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第3構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第4構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第5構成例を示す断面図である。 飛び出しレンズ付き基板のレンズ樹脂部の形状を説明する図である。 積層レンズ構造体の第6構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第7構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第8構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第9構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第10構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第11構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第12構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第13構成例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第13構成例と第10構成例とを比較する断面図である。 平面形状が四角形の貫通孔を形成した例を示す図である。 貫通孔の断面形状の例を示す図である。 ドライエッチングを用いた貫通孔の形成方法を説明する図である。 貫通孔に加えて貫通溝を形成した担体基板の平面図である。 レンズ付き積層基板の製造方法を説明する図である。 レンズ付き積層基板の製造処理を説明するフローチャートである。 レンズ付き積層基板の製造処理を説明する図である。 レンズ付き単層基板の変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板の変形例を説明する図である。 レンズ付き単層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第1変形例を説明する図である。 レンズ付き単層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第2変形例を説明する図である。 レンズ樹脂部と貫通孔の他の構成例を示す断面図である。 段付き形状の貫通孔の形成方法を説明する図である。 レンズ付き単層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第3変形例を説明する図である。 レンズ付き単層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第4変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第1変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第2変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第3変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第4変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第5変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のレンズ樹脂部と貫通孔の第6変形例を説明する図である。 レンズ付き積層基板のさらなる変形例を用いた積層レンズ構造体の断面図である。 図59のレンズ付き基板の第1の製造方法を説明する図である。 図59のレンズ付き基板の第2の製造方法を説明する図である。 図61のAに示した担体構成基板の形成方法を説明する図である。 図59のレンズ付き基板の第3の製造方法を説明する図である。 溝部の変形例を示す断面図である。 溝部の変形例を示す断面図である。 溝部の平面方向の形状を説明する図である。 溝部の平面方向の形状を説明する図である。 積層レンズ構造体の第1変形例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第2変形例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第3変形例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第4変形例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第5変形例を示す断面図である。 積層レンズ構造体の第6変形例を示す断面図である。 絞り板の第1変形例を示す断面図である。 絞り板の第2変形例を示す断面図である。 絞り板の第3変形例を示す断面図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第2実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第3実施の形態を示す図である。 サスペンションの平面形状を説明する図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第3実施の形態の第1変形例を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第3実施の形態の第2変形例を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第4実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第5実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第6実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第7実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第8実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第9実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第10実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第11実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第12実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第13実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第14実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第15実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第16実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第16実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第16実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第16実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第17実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第18実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第19実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第20実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第21実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第22実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第23実施の形態を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第24実施の形態を示す図である。 カメラモジュールに備わる絞り板の平面形状の例を表す図である。 カメラモジュールの撮像部の構成を説明する図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第1の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第2の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第3の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第4の例を示す図である。 図108に示した画素配列の変形例を示す図である。 図110の画素配列の変形例を示す図である。 図111の画素配列の変形例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第5の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第6の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第7の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第8の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第9の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第10の例を示す図である。 カメラモジュールの受光領域の画素配列の第11の例を示す図である。 本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第25実施の形態を示す図である。 第25実施の形態における撮像部の構造を説明する図である。 第25実施の形態における撮像部の構造を説明する図である。 第25実施の形態における撮像部の構造を説明する図である。 本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第26実施の形態を示す図である。 第26実施の形態における撮像部の基板構成例を示す図である。 第26実施の形態における撮像部の処理例を説明する図である。 本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第27実施の形態を示す図である。 第27実施の形態における撮像部の駆動方法を説明する図である。 第27実施の形態における撮像部の基板構成例を示す図である。 撮像部の第1変形例を示す断面図である。 撮像部の第2変形例を示す断面図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第28実施の形態を示す図である。 図134のカメラモジュールの第1の製造方法の概略を説明する図である。 図134のカメラモジュールの第1の製造方法の詳細を説明する図である。 図134のカメラモジュールの第1の製造方法の詳細を説明する図である。 図134のカメラモジュールの第2の製造方法の概略を説明する図である。 図134のカメラモジュールの第2の製造方法の詳細を説明する図である。 図134のカメラモジュールの第3の製造方法を説明する図である。 図134のカメラモジュールの第4の製造方法を説明する図である。 図134のカメラモジュールの変形例を示す図である。 本技術を適用したカメラモジュールの第29実施の形態を示す図である。 図143のカメラモジュールの製造方法を説明する図である。 図143のカメラモジュールの製造方法を説明する図である。 図143のカメラモジュールの変形例を示す図である。 本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。 カメラモジュールの使用例を説明する図である。 体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である 内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。 カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。 車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。 車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.カメラモジュール1の第1実施の形態
2.積層レンズ構造体11の第1構成例
3.積層レンズ構造体11の製造方法
4.直接接合の説明
5.レンズ付き積層基板41の詳細構成
6.レンズ付き単層基板41の詳細構成
7.レンズ付き単層基板41の製造方法
8.レンズ付き積層基板41の製造方法
9.レンズ付き基板どうしの直接接合
10.積層レンズ構造体11の第2構成例
11.積層レンズ構造体11の第3構成例
12.積層レンズ構造体11の第4構成例
13.積層レンズ構造体11の第5構成例
14.積層レンズ構造体11の第6構成例
15.積層レンズ構造体11の第7構成例
16.積層レンズ構造体11の第8構成例
17.積層レンズ構造体11の第9構成例
18.積層レンズ構造体11の第10構成例
19.積層レンズ構造体11の第11構成例
20.積層レンズ構造体11の第12構成例
21.積層レンズ構造体11の第13構成例
22.レンズ付き単層基板41のその他の製造方法
23.レンズ付き積層基板41のその他の製造方法
24.レンズ付き単層基板41の変形例
25.レンズ付き積層基板41の変形例
26.レンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例
27.レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例
28.レンズ付き積層基板41のさらなる変形例
29.積層レンズ構造体11の変形例
30.絞り板51の変形例
31.カメラモジュール1の第2実施の形態
32.カメラモジュール1の第3実施の形態
33.カメラモジュール1の第3実施の形態の変形例
34.カメラモジュール1の第4実施の形態
35.カメラモジュール1の第5実施の形態
36.カメラモジュール1の第6実施の形態
37.カメラモジュール1の第7実施の形態
38.カメラモジュール1の第8実施の形態
39.カメラモジュール1の第9実施の形態
40.カメラモジュール1の第10実施の形態
41.カメラモジュール1の第11実施の形態
42.カメラモジュール1の第12実施の形態
43.カメラモジュール1の第13実施の形態
44.カメラモジュール1の第14実施の形態
45.カメラモジュール1の第15実施の形態
46.カメラモジュール1の第16実施の形態
47.カメラモジュール1の第17実施の形態
48.カメラモジュール1の第18実施の形態
49.カメラモジュール1の第19実施の形態
50.カメラモジュール1の第20実施の形態
51.カメラモジュール1の第21実施の形態
52.カメラモジュール1の第22実施の形態
53.カメラモジュール1の第23実施の形態
54.カメラモジュール1の第24実施の形態
55.撮像部12の画素配列と絞り板の構造と用途説明
56.カメラモジュール1の第25実施の形態
57.カメラモジュール1の第26実施の形態
58.カメラモジュール1の第27実施の形態
59.撮像部12の第1変形例
60.撮像部12の第2変形例
61.カメラモジュール1の第28実施の形態
62.カメラモジュール1の第29実施の形態
63.電子機器への適用例
64.体内情報取得システムへの応用例
65.内視鏡手術システムへの応用例
66.移動体への応用例
<1.カメラモジュール1の第1実施の形態>
図1は、本技術を適用したカメラモジュールの第1実施の形態を示す図である。
図1のAは、カメラモジュール1の第1実施の形態であるカメラモジュール1aの平面図であり、図1のBは、カメラモジュール1aの断面図である。
図1のAは、図1のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図1のBは、図1のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
カメラモジュール1aは、積層レンズ構造体11と撮像部12とを備える。積層レンズ構造体11は、複数のレンズを積層して構成され、入射光を撮像部12の受光領域12aに集光させる。撮像部12は、光電変換素子とトランジスタとを備えた半導体のチップまたは半導体のダイである。撮像部12は、受光領域12aに入射した光を光電変換することにより撮像信号(画素信号)を生成し、出力する。受光領域12aには、フォトダイオード等の光電変換素子と、複数の画素トランジスタ等を備える画素が行列状に2次元配置された画素アレイが形成されている。積層レンズ構造体11と撮像部12とを少なくとも含んで固体撮像素子が構成される。積層レンズ構造体11の詳細な構造については、図2を参照して後述する。
積層レンズ構造体11は、絞り板51とともに、レンズバレル(レンズホルダ)101に収納されている。絞り板51は、例えば、光吸収性もしくは遮光性を有する材料で形成された層を備える。絞り板51には、入射光を通過させる開口部52が形成されている。レンズバレル101は、樹脂または金属の材料を用いて形成されている。レンズバレル101の内周側には、積層レンズ構造体11が接着されて固定されており、外周側には、AF(オートフォーカス)用コイル102が接着されて固定されている。
レンズバレル101は、図1のBに示されるように、撮像部12から最も遠い上面において内周側に張り出した逆L字状の断面形状を有している。積層レンズ構造体11をレンズバレル101に接着固定する際、積層レンズ構造体11は、絞り板51とともに、逆L字状の内周側に張り出した張り出し部に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。AF用コイル102は、レンズバレル101の外周にらせん状に巻き付けられて、接着固定されている。
レンズバレル101は、その外側に配置された第1固定支持部104とサスペンション103a及び103bで接続され、積層レンズ構造体11及びAF用コイル102と一体となって光軸方向に移動可能となっている。
第1固定支持部104は、上部においてサスペンション103aを固定し、下部においてサスペンション103bを固定し、下面において第2固定支持部106と固定されている。サスペンション103a及び103bは、例えば、両端の一方を接着剤等によりレンズバレル101と固定された後、他方を接着剤等により第1固定支持部104と固定される。
第1固定支持部104は、四角形の筒状で、内部が空洞となっており、内周側の4面それぞれの側壁のAF用コイル102と対向する位置に、AF用の永久磁石であるAF用マグネット105が固定されている。AF用コイル102とAF用マグネット105は、電磁式のAF駆動部108を構成し、AF用コイル102に電流が流れることにより積層レンズ構造体11を光軸方向に移動させて、積層レンズ構造体11と撮像部12との間の距離を調整する。積層レンズ構造体11によって集光された光の焦点距離を調節するAFモジュール109は、積層レンズ構造体11とAF駆動部108とを少なくとも含む。
モジュール基板111は、第2固定支持部106を接着によって固定し、第2固定支持部106に固定されているサスペンション103b及び第1固定支持部104を介して、積層レンズ構造体11を間接的に固定する。また、モジュール基板111は、第1固定支持部104及び第2固定支持部106の外側を覆うカバー部材112も固定する。カバー部材112は、ノイズ対策のため、導電性の金属材料等で形成される。
モジュール基板111は、接続端子70により、撮像部12と電気的に接続されている。撮像部12は、生成した撮像信号を、接続端子70を介してモジュール基板111に出力したり、接続端子70を介して電源をモジュール基板111から受け取る。撮像部12からモジュール基板111へ出力された撮像信号は、モジュール基板111の外部端子72から、外部の回路基板に出力される。
第2固定支持部106は、積層レンズ構造体11と撮像部12との間に配置されたIRカットフィルタ107を固定する。IRカットフィルタ107は、積層レンズ構造体11を通過してきた入射光のうち、赤外光を遮断し、R,G,Bに対応する波長の光のみを通過させる。なお、IRカットフィルタ107は、撮像部12の最上面に配置してもよい。
カバー部材112の上面は、絞り板51の開口部52に入射される光を遮蔽しないように、円状または矩形状に開口されている。
以上のように構成されるカメラモジュール1aは、撮像部12が画像の撮影を行う際、AF駆動部108によって積層レンズ構造体11と撮像部12との間の距離を変更することができ、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
また、光軸方向に複数枚のレンズを積層する積層レンズの構成として、積層レンズ構造体11を採用しない場合には、カメラモジュールが備えるレンズの枚数分だけ、レンズ付き基板を1枚ずつレンズバレル内へ装填する工程が必要となる。
これに対して、光軸方向に複数枚のレンズを積層する積層レンズの構成として、積層レンズ構造体11を採用した場合には、複数枚のレンズ付き基板が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を、レンズバレル101内に1回装填するだけで、積層レンズとレンズバレルの組立てが終了する。従って、カメラモジュール1aは、モジュールの組み立てが容易である、という作用効果をもたらす。
<2.積層レンズ構造体11の第1構成例>
次に、図2を参照して、図1に示した積層レンズ構造体11の構成について説明する。
なお、図2に示す積層レンズ構造体11は、カメラモジュール1に組み込み可能な複数の積層レンズ構造体11の第1構成例を示している。
<2.1.積層レンズ構造体11を構成するレンズ付き基板>
図2に示される第1構成例の積層レンズ構造体11は、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを備える。5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを特に区別しない場合には、単に、レンズ付き基板41と記述して説明する。また、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを、上から順に、第1層または最上層のレンズ付き基板41a、第2層のレンズ付き基板41b、第3層のレンズ付き基板41c、第4層のレンズ付き基板41d、第5層または最下層のレンズ付き基板41eと称する場合がある。
なお、本実施の形態では、積層レンズ構造体11は、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを備えるが、レンズ付き基板41の積層枚数は2枚以上であれば特に限定されない。
積層レンズ構造体11を構成するそれぞれのレンズ付き基板41は、担体基板81にレンズ樹脂部82が追加された構成である。担体基板81は貫通孔83を有し、貫通孔83の内側に、レンズ樹脂部82が形成されている。したがって、レンズ付き基板41は、担体基板81とレンズ樹脂部82とを含む。レンズ樹脂部82は、レンズとしての機能を有する領域と、担体基板81と接続する領域とを含む。積層レンズ構造体11のレンズ樹脂部82の光軸84が、1点鎖線で示されている。
積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状は、下側(撮像部12を配置する側)に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となっている。
なお、レンズ付き基板41a乃至41eそれぞれの担体基板81、レンズ樹脂部82、または、貫通孔83を区別する場合には、図2に示されるように、レンズ付き基板41a乃至41eに対応して、担体基板81a乃至81e、レンズ樹脂部82a乃至82e、または、貫通孔83a乃至83eのように記述して説明する。
5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eは、担体基板81自体が、複数枚の基板(以下、担体構成基板という。)80を貼り合わせた構造となっている。この例では、2枚の担体構成基板80を貼り合わせた構造を採用しているが、3枚以上の貼り合わせ構造でもよい。
具体的には、担体基板81aは、担体構成基板80a1と80a2とを貼り合わせて構成され、担体基板81eは、担体構成基板80e1と80e2とを貼り合わせて構成されている。図2において、レンズ付き基板41aおよび41eそれぞれの担体基板81aおよび81e内に示される破線は、2枚の担体構成基板80の貼り合わせ面を表している。
これに対して、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、レンズ付き基板41b乃至41dは、1枚の担体基板81で構成されている。すなわち、1枚の担体基板81は、1枚の担体構成基板80を用いて構成されている。
図2に示す積層レンズ構造体11の第1構成例において、最上層のレンズ付き基板41aの貫通孔83aの内側に形成されたレンズ樹脂部82aは、担体基板81aの上面と下面との間に収まるように形成されている。換言すれば、レンズ樹脂部82aは、担体基板81aの上面および下面から飛び出さない厚みおよび形状となっている。その他の4枚のレンズ付き基板41b乃至41eについても同様に、それぞれ、レンズ樹脂部82b乃至82eの厚みおよび形状が、担体基板81b乃至81eの上面および下面から飛び出さない厚みおよび形状となっている。
以下では、複数枚の担体構成基板80の貼り合わせ構造で構成される担体基板81を、積層構造の担体基板81、または、積層担体基板81と称し、この積層担体基板81を備えるレンズ付き基板41を、レンズ付き積層基板41(第1のレンズ付き基板)と称する。
一方、上記の積層担体基板81のような貼り合わせ構造を持たない、基板1枚で構成された担体基板81を、単層構造の担体基板81、または、単層担体基板81と称し、この単層担体基板81を備えるレンズ付き基板41を、レンズ付き単層基板41(第2のレンズ付き基板)と称する。レンズ付き基板41は、レンズ付き単層基板41とレンズ付き積層基板41の両方を含む上位概念である。また、担体基板81は、単層担体基板81と積層担体基板81の両方を含む上位概念である。
<2.2.積層レンズ構造体11における光の進行方向>
図3は、図1に示した積層レンズ構造体11と絞り板51を備えた構成において、積層レンズ構造体11へ入射した光の進行方向を示す断面図である。
カメラモジュール1aでは、カメラモジュール1aに入射される光が絞り板51で絞られた後、積層レンズ構造体11の内部で広げられて、積層レンズ構造体11の下方に配置された撮像部12(図3では不図示)へと入射される。すなわち、積層レンズ構造体11全体について概観すると、カメラモジュール1aに入射された光は、絞り板51の開口部52から下側に向かって、ほぼ末広がりに広がって進行する。
<2.3.レンズ樹脂部82の構成>
図4および図5を参照して、レンズ樹脂部82の構成についてさらに説明する。
図4は、レンズ樹脂部82が、レンズ部91と担持部92を備える例を示している。
レンズ部91は、レンズとしての性能を有する部位、言い換えれば、「光を屈折させて集束もしくは発散させる部位」、あるいは、「凸面や凹面や非球面などの曲面を備えた部位、もしくはフレネルレンズや回折格子を利用したレンズで用いる複数個の多角形を連続して配置した部位」である。
担持部92は、レンズ部91から担体基板81まで延在してレンズ部91を担持する部位である。担持部92は、レンズ部91の外周に配置され、レンズ樹脂部82の上面または下面が、水平方向において、曲面ではなく、平面(水平)に形成されている。
図4のAおよびBは、レンズ部91の上面と下面が凸レンズで形成されているレンズ樹脂部82の例を示している。
図4のCは、レンズ部91の上面が凹レンズで下面が凸レンズで形成されているレンズ樹脂部82の例を示している。
図4のDは、レンズ部91の上面と下面が非球面レンズで形成されているレンズ樹脂部82の例を示している。
図4のA乃至Dには、各レンズ樹脂部82の形状における、上面側のレンズ領域A2、下面側のレンズ領域A1、レンズ部91の厚さT1、および、レンズ樹脂部82の厚さT2が、図示されている。
レンズ部91の上面側のレンズ領域A2は、レンズ樹脂部82の上面側において、水平に形成されている担持部92の内側の領域となり、レンズ部91の下面側のレンズ領域A1は、レンズ樹脂部82の下面側において、水平に形成されている担持部92の内側の領域となる。
なお、レンズ樹脂部82の形状によっては、レンズ樹脂部82の上面または下面が、水平に形成された領域が存在しない場合もある。
図5のA乃至Dは、レンズ樹脂部82の上面または下面のいずれか一方に水平に形成された領域が存在しないレンズ樹脂部82の形状の例を示している。
図5のAおよびBは、レンズ部91の上面と下面が凸レンズで形成されているレンズ樹脂部82において、下面に水平に形成された領域が存在しない例を示している。
図5のCは、レンズ部91の上面が凹レンズで下面が凸レンズで形成されているレンズ樹脂部82において、下面に水平に形成された領域が存在しない例を示している。
図5のDは、レンズ部91の上面と下面が非球面レンズで形成されているレンズ樹脂部82において、上面に水平に形成された領域が存在しない例を示している。
図4および図5において、レンズ部91の厚さT1は、上面側のレンズ領域A2のレンズ樹脂部82の最上部から、下面側のレンズ領域A1のレンズ樹脂部82の最下部までの光軸方向の厚さを表す。
また、図4および図5において、レンズ樹脂部82の厚さT2は、上面側のレンズ領域A2と、下面側のレンズ領域A1との間のレンズ樹脂部82の光軸方向の厚さを表す。
<2.4.担体基板81およびレンズ部91の厚さ>
図2の積層レンズ構造体11は、レンズ付き単層基板41とレンズ付き積層基板41のそれぞれを1枚以上含み、レンズ付き単層基板41は、単層構造の担体基板81で構成され、レンズ付き積層基板41は、積層構造の担体基板81で構成される。積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、最も光の入射面に近い側に配置されたレンズ付き基板41aと、最も撮像部12に近い側に配置されたレンズ付き基板41eとの双方がレンズ付き積層基板41となっている。レンズ付き基板41aと41eに、積層担体基板81aと81eを用いることにより、レンズ付き積層基板41aと41eに備わる担体基板81aと81eの厚さを、レンズ付き基板41b乃至41dに備わる担体基板81b乃至81dの厚さよりも、厚くすることが可能になる。
レンズ部91の厚さT1に関しては、レンズ付き基板41aと41eに、積層担体基板81aと81dを備えたレンズ付き積層基板41aと41eを用いることにより、レンズ付き積層基板41aと41eに備わるレンズ部91の厚さT1を、レンズ付き単層基板41b乃至41dに備わるレンズ部91の厚さT1よりも、厚くすることが可能になる。
レンズ付き基板41の、レンズ樹脂部82と担体基板81とが接触する領域において、レンズ付き基板41の平面方向と直交する方向のレンズ樹脂部82の厚さに関しては、レンズ付き積層基板41aと41eに係る厚さを、レンズ付き単層基板41b乃至41dに係る厚さよりも、厚くすることが可能になる。
レンズ樹脂部82の径方向における中心部(光軸84の位置)のレンズ樹脂部82の厚さに関しては、レンズ付き積層基板41aと41eに係る厚さを、レンズ付き単層基板41b乃至41dに係る厚さよりも、厚くすることが可能になる。
ここで、電子機器や電子デバイスの製造に使用される半導体基板の厚さは、一般的に、SEMI規格に則っている。例えば、直径300mmのシリコン基板の場合、その厚さは775±20umと定められている。
このため、図2の積層レンズ構造体11においては、最上層のレンズ付き基板41aの担体基板81aと、最下層のレンズ付き基板41eの担体基板81eの厚さは、それぞれ、775um以上となり得る。
また、2枚の担体構成基板80を貼り合わせ構造で構成される担体基板81aと81eの厚さは、それぞれ、1550um(775x2um)以下となる。この場合、レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82と担体基板81とが接触する領域(貫通孔83の側壁)の、レンズ付き積層基板41と直交する方向(厚み方向)のレンズ樹脂部82の厚さも、775um以上、かつ、1550um以下となる。レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82の中心部(径方向の中心)の厚さも、775um以上、かつ、1550um以下となる。
なお、担体基板81は、3枚以上の担体構成基板80の貼り合わせ構造で構成してもよく、例えば、3枚の担体構成基板80を貼り合わせ構造で構成した場合、担体基板81の厚さは2325um(775x3um)以下となる。この場合、レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82と担体基板81とが接触する領域(貫通孔83の側壁)の、レンズ付き積層基板41と直交する方向(厚み方向)のレンズ樹脂部82の厚さも、775um以上、かつ、2325um以下となる。レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82の中心部(径方向の中心)の厚さも、775um以上、かつ、2325um以下となる。
一方、最下層および最上層以外のレンズ付き基板41b乃至41dの担体基板81b乃至81dの厚さは、775um未満となっており、一定の機械強度を確保するためには、50um以上、100um以上、または、200um以上となっていることが好ましい。
レンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82と担体基板81とが接触する領域(貫通孔83の側壁)の、レンズ付き単層基板41と直交する方向(厚み方向)のレンズ樹脂部82の厚さも、50um以上、100um以上、または、200um以上となり、かつ、775um未満となる。レンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82の中心部(径方向の中心)の厚さも、50um以上、100um以上、または、200um以上となり、かつ、775um未満となる。
レンズに関しては、先に説明したように、図2に示す積層レンズ構造体11の第1構成例においては、レンズ樹脂部82a乃至82eの厚みおよび形状が、担体基板81a乃至81eの上面および下面から飛び出さない厚みおよび形状となっている。このため、2枚の担体構成基板80を貼り合わせたレンズ付き積層基板41のレンズ部91の厚さT1は、775um以上、かつ、1550um以下となる。3枚の担体構成基板80を貼り合わせたレンズ付き積層基板41のレンズ部91の厚さT1は、775um以上、かつ、2325um以下となる。
レンズ付き単層基板41のレンズ部91の厚さT1は、50um以上、100um以上、または、200um以上となり、かつ、775um未満となる。
単層担体基板81b乃至41dよりも厚い積層担体基板81aと81eを得る第1の手段として、積層担体基板81aを構成する担体構成基板80a1と80a2および積層担体基板81eを構成する担体構成基板80e1と80e2に、単層担体基板81b乃至41dの少なくとも1つよりも厚い基板を用いて、単層担体基板81b乃至41dよりも厚い積層担体基板81aと81eを得ることができる。
単層担体基板81b乃至41dよりも厚い積層担体基板81aと81eを得る第2の手段として、積層担体基板81aを構成する担体構成基板80a1と80a2および積層担体基板81eを構成する担体構成基板80e1と80e2に、単層担体基板81b乃至41dよりも厚さの薄い基板を用いて、かつ、積層後の担体基板81の厚さは、単層担体基板81b乃至41dよりも厚い積層担体基板81aと81eを得ることもできる。
単層担体基板81b乃至41dよりも厚い積層担体基板81aと81eを得る第3の手段として、積層担体基板81aを構成する担体構成基板80a1と80a2および積層担体基板81eを構成する担体構成基板80e1と80e2のいずれかに、単層担体基板81b乃至41dの少なくとも1つよりも厚い基板を用い、積層担体基板81aおよび81eを構成するその他の担体構成基板80には、単層担体基板81b乃至41dよりも厚さの薄い基板を用いて、かつ、積層後の担体基板81の厚さは、単層担体基板81b乃至41dよりも厚い積層担体基板81aと81eを得ることもできる。
なお、単層担体基板81と積層担体基板81のどちらも、後述するように、基板を薄肉化する処理を必要に応じて行うことができる。これにより、単層担体基板81と積層担体基板81のどちらも、上記に示した厚さの範囲内で、任意の厚さ(所望の厚さ)を取り得る。これに応じて、図2に示した積層レンズ構造体11の第1構成例においては、レンズ部91の厚さも、上記に示した厚さの範囲内で、任意の厚さ(所望の厚さ)を取り得る。
<2.5.積層レンズ構造体11がもたらす作用効果>
図2に示した積層レンズ構造体11の構造と、その構造がもたらす作用効果について説明する。
積層レンズ構造体11では、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aの担体基板81aの厚さと、最下層のレンズ付き基板41eの担体基板81eの厚さが、その他の3枚のレンズ付き基板41b乃至41dの担体基板81b乃至81dの厚さよりも厚い構造となっている。
また、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eは、レンズ付き積層基板41で構成され、その他の3枚のレンズ付き基板41b乃至41dは、レンズ付き単層基板41で構成されている。
言い換えれば、最上層のレンズ付き基板41aの担体基板81aと、最下層のレンズ付き基板41eの担体基板81eは、それぞれが、複数枚の担体構成基板80を貼り合わせた積層構造となっており、その他の3枚のレンズ付き基板41b乃至41dの担体基板81b乃至81dは、担体構成基板80を貼り合わせ構造を持たない1枚の基板で構成された構造となっている。
以上のように、少なくとも1枚の積層担体基板81を備える積層レンズ構造体11は、積層担体基板81を備えない積層レンズ構造体と比較して、厚さの厚いレンズを用いることが可能となる。これにより、積層レンズ構造体11において、製造し得るレンズの厚さについての選択の範囲が広がる。また、積層レンズ構造体11のレンズの設計の自由度と、これを用いるカメラモジュールの設計の自由度が高くなる。
例えば、スマートフォンに用いるカメラモジュールの場合、機器の小さな筐体内にカメラモジュールを収容するため、カメラモジュールの容積を小さくすることと、容積が小さなカメラモジュールでありながら高画質の画像を撮影できることの双方を、高いレベルで両立させることが望まれている。このため、この種の用途のカメラモジュールに用いられるレンズ群は、一般的に、最上層のレンズにおいて光を絞り、これよりも下層のレンズ群において絞った光を撮像素子の撮像面の大きさに広げ、撮像素子の撮像面の大きさに広げた光を、最も撮像素子に近いレンズにおいて、撮像素子に対してできるだけ垂直に入射するように光の入射角度を整えて撮像素子へ入射する構成となっている。図3を参照して説明したように、図1乃至図3に記載のカメラモジュール1aと積層レンズ構造体11も、同様の構成となっている。
このような構成のレンズ群においては、最も撮像素子に近いレンズは、撮像素子に対してできるだけ垂直に光を入射させるために、レンズの上面(第1の面)と下面(第2の面)との間の距離が大きい、言い換えれば厚さの厚いレンズを用いることが望まれる。このため、積層レンズ構造体11の構成を備えると、この構造を備えない積層レンズ構造体と比較して、厚さの厚いレンズを用いることが可能となり、これにより、撮像素子に対して、より垂直に近い角度で光を入射させることが可能になる、という作用効果がもたらされる。
また、積層レンズ構造体11のような構成のレンズ群において、レンズ群がどれだけの光を取り込むことができるかは、最上層のレンズの形状が大きく影響する。積層レンズ構造体11では、積層担体基板81を備えない積層レンズ構造体と比較して、厚さの厚いレンズを用いることが可能となる。これにより、例えば、最上層のレンズにおいて、より曲率半径の大きなレンズを用いることが可能となり、これにより、より多くの光を取り込むことが可能となる、という作用効果がもたらされる。
また、厚さの厚いレンズを必ずしも必要としないレンズについては、単層担体基板81を用いて担体基板81の厚さを薄くすることで、積層レンズ構造体11に備わる全てのレンズに積層担体基板81を用いた構成よりも、積層レンズ構造体11および、それを用いたカメラモジュール1の高さを小さくすることができる、という作用効果がもたらされる。
以上のように、本開示の積層レンズ構造体11によれば、多様な光学パラメータに対応可能な積層レンズ構造体を提供することができる。
<3.積層レンズ構造体11の製造方法>
次に、図6乃至図8を参照して、積層レンズ構造体11の製造方法について説明する。
積層レンズ構造体11は、それを構成するレンズ付き基板41a乃至41eそれぞれが、基板状態(ウエハ状態)で製造された後、積層されて、チップ単位に個片化されることにより、製造される。
本明細書および図面では、レンズ付き基板41a乃至41eが、それぞれ、チップ単位に個片化される前の基板状態(ウエハ状態)を、レンズ付き基板41Wa乃至41Weのように、符号に“W”を付加して表すこととする。担体基板81などについても同様である。
初めに、図6を参照して、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eで構成される積層レンズ構造体11のうち、レンズ付き基板41bを例に、レンズ付き単層基板41の製造方法について説明する。
初めに、図6に示されるように、基板状態の担体基板81Wbが用意される。基板状態の担体基板81Wbは、必要に応じて所望の厚さに調整されたものが用意される。
そして、基板状態の担体基板81Wbに対して、個片化する際のチップ領域単位に、貫通孔83bが形成される。
その後、チップ領域単位に貫通孔83bが形成された基板状態の担体基板81Wbに対して、各貫通孔83bの内側にレンズ樹脂部82bが形成される。これにより、基板状態のレンズ付き単層基板41Wbが完成する。
その他の基板状態のレンズ付き単層基板41Wcおよび41Wdについても同様に製造される。
次に、図7を参照して、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eで構成される積層レンズ構造体11のうち、レンズ付き基板41aを例に、レンズ付き積層基板41の製造方法について説明する。
初めに、図7に示されるように、基板状態の担体構成基板80Wa1と、基板状態の担体構成基板80Wa2が用意される。基板状態の担体構成基板80Wa1および80Wa2は、必要に応じて所望の厚さに調整されたものが用意される。
そして、基板状態の担体構成基板80Wa1と、基板状態の担体構成基板80Wa2が、直接接合されることにより、基板状態の担体基板81Waが製造される。
次に、基板状態の担体基板81Waに対して、個片化する際のチップ領域単位に、貫通孔83aが形成される。
その後、チップ領域単位に貫通孔83aが形成された基板状態の担体基板81Waに対して、各貫通孔83aの内側にレンズ樹脂部82aが形成される。これにより、基板状態のレンズ付き積層基板41Waが完成する。
その他の基板状態のレンズ付き積層基板41Weについても同様に製造される。
図8は、基板状態のレンズ付き単層基板41Wb乃至41Wdと、基板状態のレンズ付き積層基板41Waおよび41Weとを用いて、積層レンズ構造体11の製造方法を説明する図である。
初めに、図6および図7を参照した製造方法により製造された、5枚の基板状態のレンズ付き基板41Wa乃至41Weが、上下に接する基板状態のレンズ付き基板41Wどうしが直接接合されることにより、積層される。そして、積層された5枚の基板状態のレンズ付き基板41Wa乃至41Weがモジュール単位またはチップ単位に個片化されることにより、カメラモジュール1に組み込まれる単位としての積層レンズ構造体11が完成する。
<4.直接接合の説明>
図9は、2枚の基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの貼り合わせ、および、2枚の基板状態の担体構成基板80Wどうしの貼り合わせに採用される、直接接合を説明する図である。
積層される2枚のレンズ付き基板41Wは、一方の基板表面に形成した酸化物や窒化物による表面層と、他方の基板表面に形成した酸化物や窒化物による表面層と、の間の共有結合によって、直接接合される。具体例として、図9に示されるように、積層する2枚のレンズ付き基板41Wそれぞれの表面に、表面層としてシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜が形成され、これに水酸基を結合させた後、2枚のレンズ付き基板41Wどうしが貼り合わされ、昇温されて脱水縮合される。その結果、2枚のレンズ付き基板41Wの表面層の間で、シリコン−酸素共有結合が形成される。これにより2枚のレンズ付き基板41Wが直接接合される。なお、縮合の結果、2枚の表面層に含まれる元素どうしが直接共有結合を形成することも起こり得る。
本明細書では、このように、2枚のレンズ付き基板41Wの間に配置した無機物の層を介して2枚のレンズ付き基板41Wを固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41Wの表面にそれぞれ配置した無機物の層どうしを化学結合させることで2枚のレンズ付き基板41Wを固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41Wの表面にそれぞれ配置した無機物の層の間に脱水縮合による結合を形成することで2枚のレンズ付き基板41Wを固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41Wの表面にそれぞれ配置した無機物の層の間に、酸素を介した共有結合あるいは互いの無機物の層に含まれる元素どうしの共有結合を形成することで2枚のレンズ付き基板41Wを固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41Wの表面にそれぞれ配置したシリコン酸化物層もしくはシリコン窒化物層の間に、シリコン―酸素共有結合あるいはシリコン―シリコン共有結合を形成することで2枚のレンズ付き基板41Wを固定すること、を直接接合と呼ぶ。
この貼り合わせと昇温による脱水縮合を行うため、本実施の形態では、半導体装置やフラットディスプレイ装置の製造分野で使用される基板を用いて、基板状態でレンズが形成され、基板状態で貼り合わせおよび昇温による脱水縮合が行われ、基板状態で共有結合による接合が行われる。2枚のレンズ付き基板41Wの表面に形成した無機物の層の間を、共有結合によって接合させた構造は、基板どうしを接着樹脂で接合させた場合に発生する、基板全体に渡る樹脂の硬化収縮による変形や、実使用時の樹脂の熱膨張による変形を抑える、という作用または効果をもたらす。
2枚の基板状態の担体構成基板80Wどうしの貼り合わせについても同様である。また、基板状態の貼り合わせではなく、個片化した後での2枚のレンズ付き基板41どうしの貼り合わせ、および、2枚の担体構成基板80どうしの貼り合わせについても同様である。
<5.レンズ付き積層基板41の詳細構成>
次に、レンズ付き積層基板41の詳細構成について説明する。
図10は、レンズ付き積層基板41aの詳細構成を示す断面図である。
なお、図10では、レンズ付き積層基板41aおよび41eのうちの、最上層のレンズ付き積層基板41aが図示されているが、その他のレンズ付き積層基板41eも同様に構成されている。
図10に示されるレンズ付き積層基板41aには、担体基板81aに設けられた貫通孔83aに対して、上面からみて貫通孔83aを塞ぐようにレンズ樹脂部82aが形成されている。レンズ樹脂部82aは、図4を参照して説明したように、中央部のレンズ部91(不図示)と、その周辺部の担持部92(不図示)で構成される。
レンズ付き積層基板41aの貫通孔83aとなる側壁には、光反射を起因とするゴーストやフレアを防止するために光吸収性もしくは遮光性を有する膜121が成膜されている。これらの膜121を便宜的に遮光膜121と呼ぶ。
担体基板81aとレンズ樹脂部82aの上側表面には、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む上側表面層122が形成されており 、担体基板81aとレンズ樹脂部82aの下側表面には、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む下側表面層123が形成されている。
上側表面層122は、一例として、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した反射防止膜を構成している。反射防止膜は、例えば、低屈折膜と高屈折膜を交互に合計4層積層して構成することができる。低屈折膜は、例えば、SiOx(1≦x≦2)、SiOC、SiOFなどの酸化膜、高屈折膜は、例えば、TiO、TaO、Nb2O5などの金属酸化膜で構成される。
なお、上側表面層122の構成は、例えば、光学シミュレーションを用いて所望の反射防止性能が得られるように設計されていればよく、低屈折膜及び高屈折膜の材料、膜厚、積層数などは特に限定されない。本実施の形態では、上側表面層122の最表面は、低屈折膜となっており、その膜厚は、例えば20乃至1000nm、密度は、例えば2.2乃至2.5g/cm3、平坦度が、例えば1nm以下程度の二乗平均粗さRq(RMS)となっている。
また、詳細は後述するが、この上側表面層122は、他のレンズ付き基板41と接合される際の接合膜にもなっている。
上側表面層122は、一例として、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した反射防止膜であって良く、そのなかでも無機物の反射防止膜であって良い。上側表面層122は、別の例として、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む単層膜であっても良く、そのなかでも無機物の膜であっても良い。
下側表面層123も、一例として、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した反射防止膜であって良く、そのなかでも無機物の反射防止膜であって良い。下側表面層123は、別の例として、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む単層膜であっても良く、そのなかでも無機物の膜であっても良い。
遮光膜121の構造と成膜方法について説明を加える。
遮光膜121は、光を吸収し、遮光性を有し、光の反射を抑制する性質の材料からなる薄膜である。遮光膜121の膜厚は任意であるが、例えば、1μm程度としてもよい。例えば、遮光膜121は、黒色材料により構成される。この黒色材料は、任意であるが、例えば、カーボンブラックやチタンブラック等の顔料であってもよい。また、遮光膜121は、例えば、金属により構成される金属膜としてもよい。この金属は、任意であるが、例えば、タングステン(W)やクロム(Cr)等であってもよい。さらに、遮光膜121は、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)により成膜されるCVD膜であってもよい。例えば、カーボンナノチューブ等を用いたCVD膜であってもよい。また、複数の材料を積層するようにしてもよい。
遮光膜121の成膜方法は任意である。例えば、黒色の顔料等の黒色材料を遮光膜121の材料として用いる場合、スピンやスプレー塗布等により成膜するようにしてもよい。さらに、必要に応じてパターニングして除去する等のリソグラフィを行うようにしてもよい。また、インクジェットにより遮光膜121を成膜するようにしてもよい。また、例えば、遮光膜121の材料としてタングステン(W)やクロム(Cr)等といった金属を用いる場合、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)により成膜し、表面を研磨加工するようにしてもよい。さらに、例えば、遮光膜121の材料としてカーボンナノチューブ等を用いる場合、CVDにより成膜し、表面を研磨加工するようにしてもよい。
貫通孔83aの側壁にこのような遮光膜121を成膜することにより、側壁における光の反射や透過を抑制することができ、ゴーストやフレアの発生を抑制することができる。つまり、レンズ付き積層基板41a(積層レンズ構造体11)による画質の低減を抑制することができる。
また、この遮光膜121に、側壁とレンズ樹脂部82aとの接触性を向上させる密着助剤が添加されているようにしてもよい。この密着助剤の材料は、任意である。例えばレンズ樹脂部82aの材料(の特性)に応じた材料が用いられるようにしてもよい。例えばレンズ樹脂部82aが親水性の材料(例えばOH基を多く有する材料)よりなる場合、添加する密着助剤にも親水性の材料が用いられるようにしてもよい。また、例えばレンズ樹脂部82aが疎水性の材料よりなる場合、添加する密着助剤にも疎水性の材料が用いられるようにしてもよい。例えば、シランカップリング剤が密着助剤として用いられるようにしてもよい。
このように、遮光膜121の材料に密着助剤が添加されるようにすることにより、側壁とレンズ樹脂部82aとの接触性を向上させることができる。これによりレンズ樹脂部82aの保持安定性が向上するため、側壁とレンズ樹脂部82aとの接触面積が小さくても十分な安定性を得ることができる。
なお、上述したように密着助剤の材料は、レンズ樹脂部82aの材料に応じたものを用いるようにすることができるので、より多様な材料のレンズ樹脂部82aに対して接触性を向上させることができる。したがって、レンズ樹脂部82aの材料によって担体基板81の材料の選択肢が限定されることを抑制することができる。
<レンズ樹脂部の詳細説明>
次に、レンズ付き積層基板41aのレンズ樹脂部82aを例に、レンズ樹脂部82の形状について説明する。
図11は、レンズ付き積層基板41aを構成する担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図11に示される担体基板81aとレンズ樹脂部82aの断面図は、平面図に示されているB‐B’線とC‐C’線の断面図である。
レンズ樹脂部82aは、上述したようにレンズ部91と担持部92を備える。担持部92は、レンズ部91から担体基板81aまで延在してレンズ部91を担持する部位である。担持部92は、腕部113と脚部114で構成され、レンズ部91の外周に位置する。
腕部113は、レンズ部91の外側に、レンズ部91に接して配置し、レンズ部91から外側方向へ一定の膜厚で延在する部位である。脚部114は、担持部92のなかで腕部113以外の部分で、かつ貫通孔83aの側壁に接する部分を含む部位である。脚部114は、腕部113よりも樹脂の膜厚が厚いことが好ましい。
担体基板81aに形成された貫通孔83aの平面形状は円形であり、その断面形状は当然直径の方向によらず同じである。レンズ形成時に上型と下型の形によって決まる形状であるレンズ樹脂部82aの形状も、その断面形状が直径の方向によらず同じとなるように形成されている。
<6.レンズ付き単層基板41の詳細構成>
次に、レンズ付き単層基板41の詳細構成について説明する。
図12および図13は、レンズ樹脂部82の形状を統一して説明するため、図10および図11のレンズ付き積層基板41aを、レンズ付き単層基板41aに変更した形を示している。
図12および図13に示されるように、レンズ付き単層基板41aにおいても、遮光膜121、上側表面層122、及び、下側表面層123が、同様に形成される。また、レンズ樹脂部82aは、レンズ部91と担持部92を有し、担持部92は、腕部113と脚部114で構成され、レンズ部91の外周に位置する。
<7.レンズ付き単層基板41の製造方法>
次に、図14乃至図17を参照して、レンズ付き単層基板41の製造方法について説明する。
なお、図14乃至図17においても、レンズ樹脂部82の形状を統一して説明するため、レンズ付き積層基板41aを、レンズ付き単層基板41aに変更した形を用いて説明する。
初めに、複数の貫通孔83が形成された基板状態の担体基板81Wが用意される。担体基板81Wは、例えば、通常の半導体装置に用いる、シリコンの基板を用いることができる。担体基板81Wの形状は、例えば図14に示されるような円形で、その直径は、例えば200mmや300mmなどとされる。担体基板81Wは、シリコンの基板ではなく、例えば、ガラスの基板、樹脂の基板、あるいは金属の基板であっても良い。
また、貫通孔83の平面形状は、図14に示されるように円形であるとする。
貫通孔83の開口幅は、例えば、100μm程度から20mm程度まで採り得る。この場合、担体基板81Wには、例えば100個程度から500万個程度まで配置し得る。
貫通孔83は、図15に示されるように、担体基板81Wの第1の表面における第1の開口幅131よりも、第1の表面と対向する第2の表面における第2の開口幅132の方が、小さくなっている。
担体基板81Wの貫通孔83は、担体基板81Wをウェットエッチングにより、エッチングすることによって形成することができる。例えば、国際公開第2011/010739号などに開示された、結晶方位の制約を受けずに任意の形状にシリコンをエッチング可能な薬液を用いたウェットエッチングによって行うことができる。この薬液としては、例えば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液に、界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの少なくとも1つを加えた薬液、もしくは、KOH水溶液にイソプロピルアルコールを加えた薬液、などを採用することができる。
基板表面方位が(100)の単結晶シリコンである担体基板81Wに、上述したいずれかの薬液を用いて貫通孔83形成のためのエッチングを行うと、エッチングマスクの開口部の平面形状が円形である場合は、平面形状が円形であって、第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さく、一定角度の傾斜を持った貫通孔83が形成される。形成された貫通孔83の3次元形状は、円錐台もしくはこれに類似の形状となる。
<レンズ付き基板の製造方法>
次に、図16を参照して、基板状態のレンズ付き基板41Waの製造方法について説明する。
初めに、図16のAに示されるように、貫通孔83aが複数形成された担体基板81Waが用意される。貫通孔83aの側壁には遮光膜121が成膜されている。図16では、紙面の制約上、2個の貫通孔83aのみが示されているが、実際には、図14で示したように、担体基板81Waの平面方向に、多数の貫通孔83aが形成されている。また、担体基板81Waの外周に近い領域には、位置合わせのためのアライメントマーク(不図示)が形成されている。
担体基板81Wa上側の表側平坦部171と、下側の裏側平坦部172は、後の工程で行われるプラズマ接合が可能な程度に平坦に形成された平坦面となっている。担体基板81Waの厚みは、最終的にレンズ付き基板41aとして個片化され、他のレンズ付き基板41aと重ねられた際に、レンズ間距離を決定するスペーサとしての役割も担っている。
担体基板81Waには、熱膨張係数が10ppm/℃以下の低熱膨張係数の基材を用いるのが好ましい。
次に、図16のBに示されるように、凹形状の光学転写面182が一定の間隔で複数配置された下型181の上に、担体基板81Waが配置される。より詳しくは、凹形状の光学転写面182が担体基板81Waの貫通孔83aの内側に位置するように、担体基板81Waの裏側平坦部172と下型181の平坦面183とが重ね合わされる。下型181の光学転写面182は、担体基板81Waの貫通孔83aと1対1に対応するように形成されており、対応する光学転写面182と貫通孔83aの中心が光軸方向で一致するように、担体基板81Waと下型181の平面方向の位置が調整される。下型181は、硬質の型部材で形成されており、例えば、金属やシリコン、石英、ガラスで構成される。
次に、図16のCに示されるように、重ね合わされた下型181と担体基板81Waの貫通孔83aの内側に、エネルギー硬化性樹脂191が充填(滴下)される。レンズ樹脂部82aは、このエネルギー硬化性樹脂191を用いて形成される。そのため、エネルギー硬化性樹脂191は、気泡を含まないようにあらかじめ脱泡処理されていることが好ましい。脱泡処理としては、真空脱泡処理、または、遠心力による脱泡処理であることが好ましい。また、真空脱泡処理は充填後に行うことが好ましい。脱泡処理を行うことにより、気泡を抱き込むことなく、レンズ樹脂部82aの成形が可能となる。
次に、図16のDに示されるように、重ね合わされた下型181と担体基板81Waの上に、上型201が配置される。上型201には、凹形状の光学転写面202が一定の間隔で複数配置されており、下型181を配置したときと同様に、貫通孔83aの中心と光学転写面202の中心が光軸方向で一致するように、精度良く位置決めされた上で、上型201が配置される。
紙面上の縦方向となる高さ方向については、上型201と下型181との間隔を制御する制御装置により、上型201と下型181との間隔が予め定めた距離となるように、上型201の位置が固定される。このとき、上型201の光学転写面202と下型181の光学転写面182とで挟まれる空間は、光学設計によって計算されたレンズ樹脂部82aの厚みと等しくなる。
あるいはまた、図16のEに示されるように、下型181を配置したときと同様に、上型201の平坦面203と、担体基板81Waの表側平坦部171とを、重ね合わせても良い。この場合、上型201と下型181との距離は、担体基板81Waの厚みと同値となり、平面方向及び高さ方向の高精度な位置合わせが可能となる。
上型201と下型181との間隔が予め設定した距離となるように制御したとき、上述した図16のCの工程において、担体基板81Waの貫通孔83aの内側に滴下されたエネルギー硬化性樹脂191の充填量は、担体基板81Waの貫通孔83aと、その上下の上型201及び下型181とで囲まれる空間から溢れないようにコントロールされた量となっている。これにより、エネルギー硬化性樹脂191の材料を無駄にすることなく、製造コストを削減することができる。
続いて、図16のEに示される状態において、エネルギー硬化性樹脂191の硬化処理が行われる。エネルギー硬化性樹脂191は、例えば、熱またはUV光をエネルギーとして与え、所定の時間放置することで、硬化する。硬化中には、上型201を下方向に押し込んだり、アライメントをすることにより、エネルギー硬化性樹脂191の収縮による変形を最小限に抑制することができる。
エネルギー硬化性樹脂191の代わりに、熱可塑性樹脂を用いても良い。その場合には、図16のEに示される状態において、上型201と下型181を昇温することでエネルギー硬化性樹脂191がレンズ形状に成形され、冷却することで硬化する。
次に、図16のFに示されるように、上型201と下型181の位置を制御する制御装置が、上型201を上方向、下型181を下方向へ移動させて、上型201と下型181を担体基板81Waから離型する。上型201と下型181が担体基板81Waから離型されると、担体基板81Waの貫通孔83aの内側に、レンズ樹脂部82aが形成されている。
なお、担体基板81Waと接触する上型201と下型181の表面をフッ素系またはシリコン系等の離型剤でコーティングしてもよい。そのようにすることにより、上型201と下型181から担体基板81Waを容易に離型することができる。また、担体基板81Waとの接触面から容易に離型する方法として、フッ素含有DLC(Diamond Like Carbon)等の各種コーティングを行ってもよい。
次に、図16のGに示されるように、担体基板81Waとレンズ樹脂部82aの表面に上側表面層122が形成され、担体基板81Waとレンズ樹脂部82aの裏面に、下側表面層123が形成される。上側表面層122及び下側表面層123の成膜前後において、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)等を行うことで、担体基板81Waの表側平坦部171と裏側平坦部172を平坦化してもよい。
以上のように、担体基板81Waに形成された貫通孔83aに、エネルギー硬化性樹脂191を上型201と下型181を用いて加圧成型(インプリント)することで、レンズ樹脂部82aを形成し、レンズ付き基板41aを製造することができる。
光学転写面182及び光学転写面202の形状は、上述した凹形状に限定されるものではなく、レンズ樹脂部82aの形状に応じて適宜決定される。図3を参照して説明したように、レンズ付き基板41a乃至41eのレンズ形状は、光学系設計により導出された様々な形状をとることができ、例えば、両凸形状、両凹形状、平凸形状、平凹形状、凸メニスカス形状、凹メニスカス形状、更には高次非球面形状などでもよい。
また、光学転写面182及び光学転写面202の形状は、形成後のレンズ形状がモスアイ構造となる形状とすることもできる。
上述した製造方法によれば、エネルギー硬化性樹脂191の硬化収縮によるレンズ樹脂部82aどうしの平面方向の距離の変動を、担体基板81Waの介在によって断ち切ることができるので、レンズ距離間精度を高精度に制御することができる。また、強度の弱いエネルギー硬化性樹脂191を、強度の強い担体基板81Waによって補強する効果がある。これにより、ハンドリング性の良いレンズを複数配置したレンズアレイ基板を提供することができるとともに、レンズアレイ基板の反りを抑制できる効果を有する。
次に、図17のフローチャートを参照して、レンズ付き単層基板41の製造処理について説明する。
初めに、ステップS11において、必要となる担体基板81Wの厚さに応じて、単層担体基板81Wが薄肉化される。薄肉化の必要が無い場合は、このステップは省略することができる。
ステップS12において、担体基板81W(単層担体基板81W)に貫通孔83が形成される。
ステップS13において、下型181の上に担体基板81Wが配置される。ステップS14において、担体基板81Wの貫通孔83にエネルギー硬化性樹脂191が充填される。
ステップS15において、担体基板81Wの上に上型201が配置される。ステップS16において、エネルギー硬化性樹脂191の硬化処理が行われる。ステップS17において、上型201と下型181が担体基板81Wから離型される。これらの処理により、図16のFに示したように、担体基板81Wの貫通孔83にレンズ樹脂部82が形成される。
ステップS18において、担体基板81Wとレンズ樹脂部82Wの光入射側表面に上側表面層122が成膜され、光出射側表面に下側表面層123が成膜される。
ステップS19において、積層レンズ構造体11において最も光入射側に積層されるレンズ付き基板41Wを製造する場合、レンズ樹脂部82Wの担持部92の光入射側表面に、遮光膜121が成膜される。積層レンズ構造体11のその他の層として用いられるレンズ付き基板41Wを製造する場合、この処理は省略することができる。
以上により、レンズ付き単層基板41が完成する。
<8.レンズ付き積層基板41の製造方法>
次に、図18のフローチャートを参照して、レンズ付き積層基板41の製造処理について説明する。
なお、図18の説明に際しては、必要に応じて図19を参照して説明する。図19は、個片化された状態のレンズ付き積層基板41の製造工程を示す図であるが、基板状態のレンズ付き積層基板41Wであっても同様である。
初めに、ステップS41において、担体基板81a(積層担体基板81a)を構成する複数枚の担体構成基板80aが、所望の厚さに薄肉化される。薄肉化の必要が無い担体構成基板80aについては、このステップは省略することができる。
ステップS42において、複数枚の担体構成基板80どうしが接合される。例えば、図19のAおよびBに示されるように、2枚の担体構成基板80a1および担体構成基板80a2が、直接接合により貼り合わされる。貼り合わされた基板が、担体基板81a(積層担体基板81a)となる。
なお、ステップS41とステップS42の処理は入れ替えてもよい。すなわち、複数枚の担体構成基板80どうしを接合した後、所望の厚さに薄肉化する工程を実施してもよい。
ステップS43において、図19のCに示されるように、担体基板81aに貫通孔83aが形成される。
ステップS44において、下型181の上に担体基板81aが配置される。ステップS45において、担体基板81aの貫通孔83aにエネルギー硬化性樹脂191が充填される。
ステップS46において、担体基板81aの上に上型201が配置される。ステップS47において、エネルギー硬化性樹脂191の硬化処理が行われる。ステップS48において、上型201と下型181が担体基板81aから離型される。これらの処理により、図19のDに示されるように、担体基板81aの貫通孔83aにレンズ樹脂部82aが形成される。
ステップS49において、担体基板81aとレンズ樹脂部82aの光入射側表面に上側表面層122が成膜され、光出射側表面に下側表面層123が成膜される。
ステップS50において、積層レンズ構造体11において最も光入射側に積層されるレンズ付き基板41aを製造する場合、レンズ樹脂部82aの担持部92の光入射側表面に、遮光膜121が成膜される。積層レンズ構造体11のその他の層として用いられるレンズ付き基板41Wを製造する場合、この処理は省略することができる。
以上により、レンズ付き積層基板41が完成する。
<9.レンズ付き基板どうしの直接接合>
次に、複数のレンズ付き基板41が形成された基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの直接接合について説明する。
具体的には、図20のAに示される、複数のレンズ付き基板41aが形成された基板状態のレンズ付き基板41Waと、図20のBに示される、複数のレンズ付き基板41bが形成された基板状態のレンズ付き基板41Wbとの直接接合について説明する。
なお、図20および図21の基板状態のレンズ付き基板41Waでは、担体構成基板80の貼り合わせ面を示す破線が図示されていないが、レンズ付き基板41Waは、複数枚の担体構成基板80を貼り合わせた積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41Waである。
図21は、基板状態のレンズ付き基板41Waと、基板状態のレンズ付き基板41Wbとの直接接合を説明する図である。
なお、図21では、レンズ付き基板41Waの各部と対応するレンズ付き基板41Wbの部分には、レンズ付き基板41Waと同じ符号を付して説明する。
レンズ付き基板41Waとレンズ付き基板41Wbの上側表面には、上側表面層122が形成されている。レンズ付き基板41Waとレンズ付き基板41Wbの下側表面には、下側表面層123が形成されている。そして、図21のAに示されるように、レンズ付き基板41Waと41Waの接合される面となる、レンズ付き基板41Waの裏側平坦部172を含む下側表面全体、及び、レンズ付き基板41Wbの表側平坦部171を含む上側表面全体に、プラズマ活性処理が施される。プラズマ活性処理に使用されるガスは、O2、N2、He、Ar、H2などプラズマ処理可能なガスであれば何でもよい。ただし、プラズマ活性処理に使用されるガスとして、上側表面層122及び下側表面層123の構成元素と同じガスを使用すると、上側表面層122及び下側表面層123の膜自体の変質を抑制することができるので、好ましい。
そして、図21のBに示されるように、活性化された表面状態のレンズ付き基板41Waの裏側平坦部172と、レンズ付き基板41Wbの表側平坦部171とが貼り合わされる。
このレンズ付き基板どうしの貼り合わせ処理により、レンズ付き基板41Waの下側表面層123の表面のOH基の水素とレンズ付き基板41Wbの上側表面層122の表面のOH基の水素との間に水素結合が生じる。これにより、レンズ付き基板41Waとレンズ付き基板41Wbとが固定される。このレンズ付き基板どうしの貼り合わせ処理は、大気圧の条件下で行い得る。
上記貼り合わせ処理を行ったレンズ付き基板41Waとレンズ付き基板41Wbに、アニール処理を加える。これによりOH基どうしが水素結合した状態から脱水縮合が起きて、レンズ付き基板41Waの下側表面層123と、レンズ付き基板41Wbの上側表面層122との間に、酸素を介した共有結合が形成される。あるいは、レンズ付き基板41Waの下側表面層123に含まれる元素と、レンズ付き基板41Wbの上側表面層122に含まれる元素とが共有結合する。これらの結合により、2枚のレンズ付き基板41Wが強固に固定される。このように、上側に配置したレンズ付き基板41Wの下側表面層123と、下側に配置したレンズ付き基板41Wの上側表面層122との間に共有結合が形成され、これによって2枚のレンズ付き基板41Wが固定されることを、本明細書では直接接合と呼ぶ。例えば、複数枚のレンズ付き基板を基板全面に渡って樹脂によって固着する方法では、樹脂の硬化収縮や熱膨張とこれによるレンズの変形の懸念がある。これに対して、本技術の直接接合は、複数枚のレンズ付き基板41Wを固定する際に樹脂を用いないため、これによる硬化収縮や熱膨張を起こすことなく、複数枚のレンズ付き基板41Wを固定することができる、という作用または効果をもたらす。
上記アニール処理も、大気圧の条件下で行い得る。このアニール処理は、脱水縮合を行うため、100℃以上または150℃以上もしくは200℃以上で行い得る。一方、このアニール処理は、レンズ樹脂部82を形成するためのエネルギー硬化性樹脂191を熱から保護する観点やエネルギー硬化性樹脂191からの脱ガスを抑える観点から、400℃以下または350℃以下もしくは300℃以下で行い得る。
上記レンズ付き基板41Wどうしの貼り合わせ処理あるいは上記レンズ付き基板41Wどうしの直接接合処理を、仮に大気圧以外の条件下で行った場合には、接合されたレンズ付き基板41Waとレンズ付き基板41Wbを大気圧の環境に戻すと、接合されたレンズ樹脂部82とレンズ樹脂部82との間の空間と、レンズ樹脂部82の外部との圧力差が生じてしまう。この圧力差により、レンズ樹脂部82に圧力が加わり、レンズ樹脂部82が変形してしまう懸念がある。
上記レンズ付き基板41Wどうしの貼り合わせ処理あるいは上記レンズ付き基板41Wどうしの直接接合処理の双方を、大気圧の条件下で行うことは、接合を大気圧以外の条件下で行った場合に懸念されるレンズ樹脂部82の変形を回避することができる、という作用または効果をもたらす。
プラズマ活性処理を施した基板を直接接合する、言い換えればプラズマ接合することで、例えば、接着剤として樹脂を用いた場合のような流動性、熱膨張を抑制することができるので、レンズ付き基板41Waとレンズ付き基板41Wbを接合する際の位置精度を向上させることができる。
レンズ付き基板41Waの裏側平坦部172と、レンズ付き基板41Wbの表側平坦部171には、上述したように、上側表面層122または下側表面層123が成膜されている。この上側表面層122及び下側表面層123は、先に行ったプラズマ活性処理により、ダングリングボンドが形成されやすくなっている。即ち、レンズ付き基板41Waの裏側平坦部172に成膜した下側表面層123と、レンズ付き基板41Wbの表側平坦部171に成膜した上側表面層122は、接合強度を増加させる役割も有している。
また、上側表面層122または下側表面層123が酸化膜で構成されている場合には、プラズマ(O2)による膜質変化の影響を受けないため、レンズ樹脂部82に対しては、プラズマによる腐食を抑制する効果も有する。
以上のように、複数のレンズ付き基板41aが形成された基板状態のレンズ付き基板41Waと、複数のレンズ付き基板41bが形成された基板状態のレンズ付き基板41Wbが、プラズマによる表面活性化処理を施したうえで直接接合される、言い換えれば、プラズマ接合を用いて接合される。
図22は、図21を参照して説明した基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの接合方法を用いて、図2の積層レンズ構造体11に対応する5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを基板状態で積層する第1の積層方法を示している。
最初に、図22のAに示されるように、積層レンズ構造体11において最下層に位置する基板状態のレンズ付き基板41Weが用意される。
次に、図22のBに示されるように、積層レンズ構造体11において下から2層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Wdが、基板状態のレンズ付き基板41Weの上に接合される。
次に、図22のCに示されるように、積層レンズ構造体11において下から3層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Wcが、基板状態のレンズ付き基板41Wdの上に接合される。
次に、図22のDに示されるように、積層レンズ構造体11において下から4層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Wbが、基板状態のレンズ付き基板41Wcの上に接合させる。
次に、図22のEに示されるように、積層レンズ構造体11において下から5層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Waが、基板状態のレンズ付き基板41Wbの上に接合される。
最後に、図22のFに示されるように、積層レンズ構造体11においてレンズ付き基板41aの上層に位置する絞り板51Wが、基板状態のレンズ付き基板41Waの上に接合される。
以上のように、基板状態の5枚のレンズ付き基板41Wa乃至41Weを、積層レンズ構造体11における下層のレンズ付き基板41Wから、上層のレンズ付き基板41Wへと、1枚ずつ順番に積層していくことで、基板状態の積層レンズ構造体11Wが得られる。
図23は、図21を参照して説明した基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの接合方法を用いて、図2の積層レンズ構造体11に対応する5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを基板状態で積層する第2の積層方法を示している。
最初に、図23のAに示されるように、積層レンズ構造体11においてレンズ付き基板41aの上層に位置する絞り板51Wが用意される。
次に、図23のBに示されるように、積層レンズ構造体11において最上層に位置する基板状態のレンズ付き基板41Waが、上下を反転させたうえで、絞り板51Wの上に接合される。
次に、図23のCに示されるように、積層レンズ構造体11において上から2層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Wbが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41Waの上に接合される。
次に、図23のDに示されるように、積層レンズ構造体11において上から3層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Wcが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41Wbの上に接合される。
次に、図23のEに示されるように、積層レンズ構造体11において上から4層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Wdが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41Wcの上に接合される。
最後に、図23のFに示されるように、積層レンズ構造体11において上から5層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41Weが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41Wdの上に接合される。
以上のように、基板状態の5枚のレンズ付き基板41Wa乃至41Weを、積層レンズ構造体11における上層のレンズ付き基板41Wから、下層のレンズ付き基板41Wへと、1枚ずつ順番に積層していくことで、基板状態の積層レンズ構造体11Wが得られる。
図22または図23で説明した積層方法により積層した基板状態の5枚のレンズ付き基板41Wa乃至41Weは、ブレード若しくはレーザなどを用いてモジュール単位またはチップ単位に個片化されることで、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eが積層された積層レンズ構造体11となる。
<10.積層レンズ構造体11の第2構成例>
次に、カメラモジュール1に組み込み可能な、積層レンズ構造体11のその他の構成例について説明する。
図24は、積層レンズ構造体11の第2構成例を示す断面図である。
第2構成例では、上述した第1構成例と比較して異なる部分について、例えば、レンズ付き積層基板41aを、レンズ付き積層基板41a’のように、符号にダッシュ(’)を付加して表す。後述する第3構成例以降についても同様である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
これに対して、図24の第2構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a’乃至41eのうち、最下層のレンズ付き基板41eのみが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されており、他の4枚のレンズ付き基板41a’乃至41dは、単層担体基板81を用いたレンズ付き単層基板41で構成されている。
換言すれば、第1構成例における最上層の積層担体基板81aを用いたレンズ付き積層基板41aが、第2構成例では、単層担体基板81a’を用いたレンズ付き単層基板41a’に変更されている。
第2構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
以上のように、第2構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、最下層のレンズ付き基板41eに関して、第1構成例と同様の構造を備えている。これにより、第1構成例において最下層のレンズ付き基板41eに起因してもたらされる作用効果と同様の作用効果が、第2構成例においてももたらされる。
<11.積層レンズ構造体11の第3構成例>
図25は、積層レンズ構造体11の第3構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
これに対して、図25の第3構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41e’のうち、最上層のレンズ付き基板41aのみが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されており、他の4枚のレンズ付き基板41b乃至41e’は、単層担体基板81を用いたレンズ付き単層基板41で構成されている。
換言すれば、第1構成例における最下層の積層担体基板81eを用いたレンズ付き積層基板41eが、第3構成例では、単層担体基板81e’を用いたレンズ付き単層基板41e’に変更されている。
第3構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
以上のように、第3構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、最上層のレンズ付き基板41aに関して、第1構成例と同様の構造を備えている。これにより、第1構成例において最上層のレンズ付き基板41aに起因してもたらされる作用効果と同様の作用効果が、第3構成例においてももたらされる。
<12.積層レンズ構造体11の第4構成例>
図26は、積層レンズ構造体11の第4構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
これに対して、図26の第4構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a’乃至41e’のうち、中間層の1つである第4層のレンズ付き基板41d’のみが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されており、他の4枚のレンズ付き基板41a’乃至41cおよび41e’は、単層担体基板81を用いたレンズ付き単層基板41で構成されている。
換言すれば、第1構成例における最上層の積層担体基板81aを用いたレンズ付き積層基板41aと、最下層の積層担体基板81eを用いたレンズ付き積層基板41eが、第3構成例では、単層担体基板81a’を用いたレンズ付き単層基板41a’と、単層担体基板81e’を用いたレンズ付き単層基板41e’に変更されている。
また、第1構成例における第4層の単層担体基板81dを用いたレンズ付き単層基板41dが、第4構成例では、積層担体基板81d’を用いたレンズ付き積層基板41d’に変更されている。積層担体基板81d’は、2枚の担体構成基板80d1および80d2の貼り合わせで構成されている。
第4構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
第4構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、積層担体基板81d’を用いたレンズ付き積層基板41d’を備えることにより、積層担体基板81およびレンズ付き積層基板41を備えない積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1と比較して、より厚さの厚いレンズを用いることができる、という作用効果がもたらされる。
さらに、第4構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、厚さの厚いレンズを必ずしも必要としないレンズについては、単層担体基板81を用いて担体基板81の厚さを薄くすることで、レンズ付き基板41として全て積層担体基板81を用いた積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1と比較して、積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1の高さを小さくすることができる、という作用効果がもたらされる。
以上のように、第4構成例に係る積層レンズ構造体11によれば、多様な光学パラメータに対応可能な積層レンズ構造体を提供することができる。
<13.積層レンズ構造体11の第5構成例>
図27のAは、積層レンズ構造体11の第5構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、レンズ付き基板41a乃至41eにおいて、レンズ樹脂部82a乃至82eの厚みおよび形状が、対応する担体基板81a乃至81eの上面および下面から飛び出さない厚みおよび形状となっていた。
これに対して、図27のAの第5構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、中間層の1つである第3層のレンズ付き基板41c’のレンズ樹脂部82c’の厚みおよび形状が、対応する担体基板81cの下面から飛び出した厚みおよび形状となっている。
言い換えれば、レンズ樹脂部82c’は、担体基板81cの下面内側から下面外側へと、延在している。このように、レンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’の下面が、レンズ樹脂部82c’を担持する担体基板81cの下面よりも下側に延在しているレンズを、飛び出しレンズと称する。また、飛び出しレンズを備えるレンズ付き基板41を、飛び出しレンズ付き基板41とも称する。
なお、飛び出しレンズは、以下の(a)、(b)、または(c)のいずれかの延在構造を備えるものをいう。
(a)レンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’の下面が、レンズ樹脂部82c’を担持する担体基板81cの下面よりも下側に延在しているレンズ、
(b)レンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’の上面が、レンズ樹脂部82c’を担持する担体基板81cの上面よりも上側に延在しているレンズ、
(c)レンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82’cが、担体基板81cの厚みより上下方向へと延在しているレンズ
第5構成例に係る積層レンズ構造体11は、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部を、飛び出しレンズ付き基板41c’に隣接して配置されたレンズ付き基板41dの貫通孔83内へ配置した構造であって、隣接して配置されたレンズ付き基板41dは、単層担体基板81を用いたレンズ付き単層基板41で構成される構造を有する。
第5構成例に係る積層レンズ構造体11は、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、中間層の1つであるレンズ付き基板41c’が飛び出しレンズを備える飛び出しレンズ付き基板41であることを、第1の特徴とする。
第5構成例に係る積層レンズ構造体11は、飛び出しレンズ付き基板41(前者)と、その下方に隣接して配置した別のレンズ付き基板41(後者)とを備え、前者に備わる飛び出しレンズのレンズ樹脂部82が、前者の貫通孔83の内部から延在し、後者の貫通孔83内にも存在することを、第2の特徴とする。
以下、1枚の飛び出しレンズ付き基板41ともう1枚のレンズ付き基板41とを備えた構造において、下方のレンズ付き基板41に備わる貫通孔83内に、上方の飛び出しレンズ付き基板41に備わるレンズ樹脂部82の一部が存在している構造を、上方の飛び出しレンズを下方のレンズ付き基板41で受ける構造、あるいは、上方の飛び出しレンズ付き基板41を下方のレンズ付き基板41で受ける構造、と称する。
飛び出しレンズ付き基板41c’のレンズ樹脂部82c’のレンズ部91の厚さT1は、飛び出しレンズを備えない単層担体基板81を用いた他のレンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82のレンズ部91の厚さT1よりも、厚くすることができる。なお、レンズ部91の厚さT1の定義は、先に図4および図5を参照して説明したとおりである。
具体的には、図27のBに示されるように、飛び出しレンズ付き基板41c’のレンズ樹脂部82c’のレンズ部91の厚さT1cは、飛び出しレンズを備えない単層担体基板81を用いた他のレンズ付き単層基板41bおよび41dのレンズ樹脂部82bおよび82dのレンズ部91の厚さT1bおよびT1dのいずれか一方あるいは両方よりも、厚くすることができる。
第5構成例に係る積層レンズ構造体11は、上記の構造を備えることにより、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部が配置されるレンズ付き基板41dの貫通孔83内に存在するレンズ樹脂部82の厚さT2の合計は、他のレンズ付き単層基板41の貫通孔83内に存在するレンズ樹脂部82の厚さT2よりも厚くなり得る。
図27のCを参照して具体的に説明する。飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41dの貫通孔83d内には、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部と、レンズ付き基板41dが備えるレンズ樹脂部82dとが、存在する。この構造において、貫通孔83d内に存在するレンズ樹脂部82dの厚さは、飛び出しレンズ付き基板41c’の下面から飛び出たレンズ樹脂部82c’の厚さT2c2とレンズ樹脂部82dの厚さT2dの合計(T2c2+T2d)となる。これによって定義される貫通孔83d内に存在するレンズ樹脂部82dの厚さは、他のレンズ付き単層基板41bおよび41cの貫通孔83内に存在するレンズ樹脂部82の厚さT2bおよびT2c1のいずれか一方あるいは両方よりも、厚くなり得る。
第5構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
第5構成例に係る積層レンズ構造体11で採用された飛び出しレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82c’の形状は、図27に示した形状以外にも、様々な形状を採用することができる。
第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1によれば、飛び出しレンズ付き基板41とこれを受けるレンズ付き基板41との双方を備えることにより、この構造を備えない積層レンズ構造体11(例えば第1構成例に係る積層レンズ構造体11)およびこれを用いたカメラモジュール1と比較して、同じ高さの積層レンズ構造体11および同じ高さのカメラモジュール1において、より厚さの厚いレンズを用いることができる、という作用効果がもたらされる。
一般的に、レンズはその直径を大きくするほど、レンズの厚さは厚くする必要がある。第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、この構造を備えない積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1と比較して、同じ高さの積層レンズ構造体11および同じ高さのカメラモジュール1において、より厚さの厚いレンズを用いることを可能にすることで、より直径の大きなレンズを用いることを可能にする、という作用効果ももたらされる。
あるいはまた、第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、この構造を備えない積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1と比較して、カメラモジュール1に備わるレンズを、その下方に隣接するレンズへより近い距離に配置することができる、という作用効果がもたらされる。例えば、先行技術文献として提示した特許文献1の図2に記載のように、大きく凸上に湾曲したレンズを、隣接するレンズと近接させるレンズ配置を、担体基板81中の貫通孔83にレンズ樹脂部82を形成した積層レンズ構造体11においても実現し得る、という作用効果がもたらされる。
以上のように、本開示の積層レンズ構造体11によれば、多様な光学パラメータに対応可能な積層レンズ構造体を提供することができる。
図28を参照して、飛び出しレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82c’の形状とそれによってもたらされる作用効果について、さらに説明する。
なお、図28では、比較を簡単にするため、3枚のレンズ付き基板41x乃至41zの積層構造を有する積層レンズ構造体11を用いて説明する。
図28の上段(図28のA乃至C)の積層レンズ構造体11は、中間層のレンズ付き基板41yが、両面が凸面形状のレンズ樹脂部82yを備える構造である。
図28の上段の3つの積層レンズ構造体11のうち、左側に配置された図28のAの積層レンズ構造体11は、中間層のレンズ付き基板41yが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41の例である。中央および右側に配置された図28のBおよびCの積層レンズ構造体11は、図28のAの中間層のレンズ付き基板41yを、飛び出しレンズ付き基板41に変更した例である。
図28の中段(図28のD乃至F)の積層レンズ構造体11は、中間層のレンズ付き基板41yが、一方の面が凸面形状、もう一方の面が凹面形状のレンズ樹脂部82yを備える構造である。
図28の中段の3つの積層レンズ構造体11のうち、左側に配置された図28のDの積層レンズ構造体11は、中間層のレンズ付き基板41yが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41の例である。中央および右側に配置された図28のEおよびFの積層レンズ構造体11は、図28のDの中間層のレンズ付き基板41yを、飛び出しレンズ付き基板41に変更した例である。
図28の下段(図28のGおよびH)の積層レンズ構造体11は、真ん中のレンズ付き基板41yが、非球面形状のレンズ樹脂部82yを備える構造である。
図28の下段の2つの積層レンズ構造体11のうち、左側に配置された図28のGの積層レンズ構造体11は、中間層のレンズ付き基板41yが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41の例である。中央に配置された図28のHの積層レンズ構造体11は、図28のGの中間層のレンズ付き基板41yを、飛び出しレンズ付き基板41に変更した例である。
図28のAとBに示すレンズ樹脂部82y、図28のDとEに示すレンズ樹脂部82y、あるいは、図28のGとHに示すレンズ樹脂部82yを比較すると分かるように、複数枚のレンズ付き基板41の少なくとも1枚に飛び出しレンズ付き基板41を用いた積層レンズ構造体11は、飛び出しレンズ付き基板41を用いない場合と比較して、レンズ部91の厚さT1(図4、図5)を大きくしたり、レンズ樹脂部82の厚さT2(図4、図5)を大きくしたり、レンズ部91の曲率を大きくしたりすることができる。
また、図28のAとCに示すレンズ樹脂部82y、あるいは、図28のDとFに示すレンズ樹脂部82yを比較すると分かるように、複数枚のレンズ付き基板41の少なくとも1枚に飛び出しレンズ付き基板41を用いた積層レンズ構造体11は、飛び出しレンズ付き基板41を用いない場合と比較して、レンズ付き基板41に備わる担体基板81yの厚さとレンズ部91の曲率を変えることなく、レンズ部91の曲率半径を大きくしたりすることができる。
さらに、隣接するレンズ付き基板41のレンズ間隔を小さくすることができ、これにより、カメラモジュール1の高さ方向の大きさを小さくすることができる。
また、図28のDとEの積層レンズ構造体11を比較して分かるように、隣接するレンズ樹脂部82の間隔を小さくすることで、レンズ部91の曲率を大きくすることができる、という1次的な作用効果がもたらされ、曲率の大きなレンズが使用できるようになることで、例えば、カメラモジュール1の高さ方向の大きさを小さくできる可能性が高まる、という2次的な作用効果がもたらされる。
<14.積層レンズ構造体11の第6構成例>
図29は、積層レンズ構造体11の第6構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図29の第6構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、中間層の2枚のレンズ付き基板41c’および41d’が、飛び出しレンズ付き基板41となっている。より具体的には、レンズ付き基板41c’は、単層担体基板81cに、飛び出しレンズであるレンズ樹脂部82c’を備える。レンズ付き基板41d’は、単層担体基板81dに、飛び出しレンズであるレンズ樹脂部82d’を備える。そして、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部が、飛び出しレンズ付き基板41c’に隣接して配置されたレンズ付き積層基板41dの貫通孔83d内へ配置されている。
第6構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図29の積層レンズ構造体11は、単層担体基板81cに飛び出しレンズを備える飛び出しレンズ付き基板41c’を、単層担体基板81dに飛び出しレンズを備える飛び出しレンズ付き基板41d’で受ける構造となっている。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’を、下側に配置されたレンズ付き基板41d’が受ける構造に関して、第5構成例に係る図27では、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’を、レンズ付き単層基板41dで受ける構造を例示した。これに対して、図29に示す第6構成例では、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’を、飛び出しレンズ付き単層基板41d’で受ける構造となっている。
第6構成例のように、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’も飛び出しレンズを備えると、この構造を備えない積層レンズ構造体11、例えば第5構成例に係る積層レンズ構造体11と比較して、レンズ付き基板41d’に備わるレンズを、より下方に配置することができる。飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’に備わるレンズを、より下方に配置できると、上側に配置された飛び出る側のレンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’は、より大きく飛び出ることが可能となる。言い換えると、飛び出る側のレンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’のレンズ部91の厚さT1を、より大きくすることができる。
このように、第6構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第5構成例と同様に飛び出しレンズを備え、なおかつ飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’も飛び出しレンズを備えることにより、第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図29に示した第6構成例において、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’に備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第6構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’に備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<15.積層レンズ構造体11の第7構成例>
図30は、積層レンズ構造体11の第7構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図30の第7構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第4層のレンズ付き基板41d’が飛び出しレンズ付き基板41となっている。そして、飛び出しレンズ付き基板41d’から飛び出たレンズ樹脂部82d’の一部が、飛び出しレンズ付き基板41d’に隣接して配置された最下層のレンズ付き積層基板41eの貫通孔83e内へ配置されている。
第7構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図30の積層レンズ構造体11は、単層担体基板81dに飛び出しレンズを備える第4層の飛び出しレンズ付き基板41d’を、積層担体基板81eを用いた最下層のレンズ付き基板41eで受ける構造となっている。
飛び出しレンズ付き基板41d’のレンズ樹脂部82d’のレンズ部91の厚さT1が、飛び出しレンズを備えない単層担体基板81を用いた他のレンズ付き単層基板41bおよび41cのレンズ樹脂部82のレンズ部91の厚さT1よりも厚い点は、図27と同様である。
第1構成例の積層レンズ構造体11がもたらす作用効果として図3を参照して説明したように、積層レンズ構造体11に備わる複数枚のレンズ付き基板41の中でも、最下層のレンズ付き基板41eは、厚さの厚い担体基板81を備えることが望ましい。最下層のレンズ付き基板41eが、厚さの厚い担体基板81を備えると、それに備わる貫通孔83の深さも深くなる。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41から飛び出たレンズ樹脂部82を、下側に配置されたレンズ付き基板41が受ける構造に関して、レンズを受ける側となるレンズ付き基板41が、最下層のレンズ付き基板41eである図30の第7構成例と、最下層以外のレンズ付き基板41(具体的には、第3層のレンズ付き基板41c’)である図27の第5構成例とを比較すると、飛び出しレンズを受ける基板が、深い貫通孔83を備えた最下層のレンズ付き基板41eとなる第7構成例の方が、これよりも浅い貫通孔83を備えた最下層以外のレンズ付き基板41となる第5構成例よりも、上側に配置した飛び出しレンズ付き基板41から飛び出すレンズ樹脂部82の大きさを大きくし得る、という作用効果がもたらされる。
このように、第7構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第5構成例と同様に飛び出しレンズを備え、さらに、飛び出しレンズを最下層のレンズ付き基板41eで受けることにより、第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図30に示した第7構成例において、最下層のレンズ付き基板41eに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41d’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第7構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、最下層のレンズ付き基板41eに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41d’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<16.積層レンズ構造体11の第8構成例>
図31は、積層レンズ構造体11の第8構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図31の第8構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第3層のレンズ付き基板41c’が飛び出しレンズ付き基板41となっている。すなわち、レンズ付き基板41c’のレンズ樹脂部82c’の一部が、隣接して配置されたレンズ付き積層基板41d’の貫通孔83d内へ配置されている。また、第4層のレンズ付き基板41d’が積層担体基板81d’を用いたレンズ付き積層基板41となっている。
第8構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図31の積層レンズ構造体11は、単層担体基板81cに飛び出しレンズを備える第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’を、積層担体基板81d’を用いた第4層のレンズ付き基板41d’で受ける構造となっている。
第1構成例として図2を参照して説明したように、積層レンズ構造体11において、レンズ付き積層基板41に備わる積層担体基板81は、レンズ付き単層基板41に備わる単層担体基板81よりも、担体基板81の厚さを厚く、かつ、担体基板81に備わる貫通孔83の深さを深くすることができる。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41から飛び出たレンズ樹脂部82を、下側に配置されたレンズ付き基板41が受ける構造に関して、レンズを受ける側となるレンズ付き基板41が、レンズ付き積層基板41(41c’)である図31の第8構成例と、レンズ付き単層基板41(41c’)である図27の第5構成例とを比較すると、飛び出しレンズを受ける基板が、深い貫通孔83を備えたレンズ付き積層基板41となる第8構成例の方が、これよりも浅い貫通孔83を備えたレンズ付き単層基板41となる第5構成例よりも、上側に配置した飛び出しレンズ付き基板41から飛び出すレンズ樹脂部82の大きさを大きくし得る、という作用効果がもたらされる。
このように、第8構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第5構成例と同様に飛び出しレンズを備え、さらに、飛び出しレンズをレンズ付き積層基板41で受けることにより、第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図31に示した第8構成例において、レンズを受ける側となるレンズ付き積層基板41d’に備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第8構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、レンズを受ける側となるレンズ付き積層基板41d’に備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<17.積層レンズ構造体11の第9構成例>
図32は、積層レンズ構造体11の第9構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図32の第9構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第3層のレンズ付き基板41c’が飛び出しレンズ付き基板41となり、かつ、積層担体基板81c’を用いたレンズ付き積層基板41となっている。そして、飛び出しレンズ付き積層基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部が、飛び出しレンズ付き積層基板41c’に隣接して配置されたレンズ付き積層基板41dの貫通孔83d内へ配置されている。積層担体基板81c’は、2枚の担体構成基板80c1および80c2の貼り合わせで構成されている。
第9構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図32の積層レンズ構造体11は、積層担体基板81c’に飛び出しレンズを備える第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’を、飛び出しレンズではない、単層担体基板81dを用いた第4層のレンズ付き基板41dで受ける構造となっている。
第1構成例として図2を参照して説明したように、積層レンズ構造体11において、レンズ付き積層基板41に備わる積層担体基板81は、レンズ付き単層基板41に備わる単層担体基板81よりも、担体基板81の厚さを厚くすることができる。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41から飛び出たレンズ樹脂部82を、下側に配置されたレンズ付き基板41が受ける構造に関して、レンズが飛び出す側となるレンズ付き基板41が、レンズ付き積層基板41(41c’)である図32の第9構成例と、レンズ付き単層基板41(41c’)である図27の第5構成例とを比較すると、レンズが飛び出す側となるレンズ付き基板41が、積層担体基板81を備えた第9構成例の方が、これよりも厚さの薄い単層担体基板81を備えた第5構成例よりも、飛び出しレンズ付き基板41に備わるレンズ部91の厚さT1を厚くすることができる、という作用効果がもたらされる。
このように、第9構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第5構成例と同様に飛び出しレンズを備え、さらに、レンズが飛び出す側となるレンズ付き基板41が積層担体基板81を備えることにより、第5構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図32に示した第9構成例において、レンズを受ける側となるレンズ付き積層基板41dに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第9構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、レンズを受ける側となるレンズ付き積層基板41dに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<18.積層レンズ構造体11の第10構成例>
図33は、積層レンズ構造体11の第10構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図33の第10構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第3層のレンズ付き基板41c’が飛び出しレンズ付き基板41となり、かつ、積層担体基板81c’を用いたレンズ付き積層基板41となっている。また、第4層のレンズ付き基板41d’が飛び出しレンズを用いた飛び出しレンズ付き基板41となっている。そして、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部が、飛び出しレンズ付き基板41c’に隣接して配置されたレンズ付き積層基板41d’の貫通孔83d内へ配置されている。
第10構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図33の積層レンズ構造体11は、積層担体基板81c’に飛び出しレンズを備える第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’を、単層担体基板81dを用いた第4層の飛び出しレンズ付き基板41d’で受ける構造となっている。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’を、下側に配置されたレンズ付き基板41d’が受ける構造に関して、第9構成例に係る図32では、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’を、レンズ付き単層基板41dで受ける構造を例示していた。これに対して、図33に示す第10構成例では、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’を、飛び出しレンズ付き単層基板41d’で受ける構造となっている。
第10構成例のように、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’も飛び出しレンズを備えると、この構造を備えない積層レンズ構造体11、例えば第9構成例に係る積層レンズ構造体11と比較して、レンズ付き基板41d’に備わるレンズを、より下方に配置することができる。飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’に備わるレンズを、より下方に配置できると、上側に配置された飛び出る側のレンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’は、より大きく飛び出ることが可能となる。言い換えると、飛び出る側のレンズ付き基板41c’に備わるレンズ樹脂部82c’のレンズ部91の厚さT1を、より大きくすることができる。
このように、第10構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第9構成例と同様に飛び出しレンズと積層担体基板81とを備え、さらに、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’も飛び出しレンズを備えることにより、第9構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図33に示した第10構成例において、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’に備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第10構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、飛び出しレンズを受ける側となるレンズ付き基板41d’に備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<19.積層レンズ構造体11の第11構成例>
図34は、積層レンズ構造体11の第11構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図34の第11構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第4層のレンズ付き基板41d’が飛び出しレンズ付き基板41となり、かつ、積層担体基板81d’を用いたレンズ付き積層基板41dとなっている。そして、飛び出しレンズ付き基板41d’から飛び出たレンズ樹脂部82d’の一部が、飛び出しレンズ付き基板41d’に隣接して配置された最下層のレンズ付き積層基板41eの貫通孔83e内へ配置されている。
第11構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図34の積層レンズ構造体11は、積層担体基板81d’に飛び出しレンズを備える第4層の飛び出しレンズ付き基板41d’を、積層担体基板81eを用いた最下層のレンズ付き基板41eで受ける構造となっている。
第1構成例の積層レンズ構造体11がもたらす作用効果として図3を参照して説明したように、積層レンズ構造体11に備わる複数枚のレンズ付き基板41の中でも、最下層のレンズ付き基板41eは、厚さの厚い担体基板81を備えることが望ましい。最下層のレンズ付き基板41eが、厚さの厚い担体基板81を備えると、それに備わる貫通孔83の深さも深くなる。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41から飛び出たレンズ樹脂部82を、下側に配置されたレンズ付き基板41が受ける構造に関して、レンズを受ける側となるレンズ付き基板41が、最下層のレンズ付き基板41eである図34の第11構成例と、最下層以外のレンズ付き基板41(41d)である図32の第9構成例とを比較すると、飛び出しレンズを受ける基板が、深い貫通孔83を備えた最下層のレンズ付き基板41eとなる第11構成例の方が、これよりも浅い貫通孔83を備えた最下層以外のレンズ付き基板41となる第9構成例よりも、上側に配置した飛び出しレンズ付き基板41から飛び出すレンズ樹脂部82の大きさを大きくし得る、という作用効果がもたらされる。
このように、第11構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第9構成例と同様に飛び出しレンズと積層担体基板81とを備え、さらに、飛び出しレンズを最下層のレンズ付き基板41eで受けることにより、第9構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図34に示した第11構成例において、最下層のレンズ付き基板41eに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41d’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第11構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、最下層のレンズ付き基板41eに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41d’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<20.積層レンズ構造体11の第12構成例>
図35は、積層レンズ構造体11の第12構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図35の第12構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第3層のレンズ付き基板41c’が飛び出しレンズ付き基板41となり、かつ、積層担体基板81c’を用いたレンズ付き積層基板41となっている。また、第4層のレンズ付き基板41d’が、積層担体基板81d’を用いたレンズ付き積層基板41となっている。そして、飛び出しレンズ付き基板41c’から飛び出たレンズ樹脂部82c’の一部が、飛び出しレンズ付き基板41c’に隣接して配置されたレンズ付き積層基板41d’の貫通孔83d内へ配置されている。
第12構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図35の積層レンズ構造体11は、積層担体基板81c’に飛び出しレンズを備える第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’を、積層担体基板81d’を用いた第4層のレンズ付き積層基板41d’で受ける構造となっている。
第1構成例として図2を参照して説明したように、積層レンズ構造体11において、レンズ付き積層基板41に備わる積層担体基板81は、レンズ付き単層基板41に備わる単層担体基板81よりも、担体基板81の厚さを厚く、かつ、担体基板81に備わる貫通孔83の深さを深くすることができる。
上側に配置された飛び出しレンズ付き基板41から飛び出たレンズ樹脂部82を、下側に配置されたレンズ付き基板41が受ける構造に関して、レンズを受ける側となるレンズ付き基板が、レンズ付き積層基板41d’である図35の第12構成例と、レンズ付き単層基板41dである図32の第9構成例とを比較すると、飛び出しレンズを受ける基板が、深い貫通孔83を備えたレンズ付き積層基板41となる第12構成例の方が、これよりも浅い貫通孔83を備えたレンズ付き単層基板41となる第9構成例よりも、上側に配置した飛び出しレンズ付き基板41から飛び出すレンズ樹脂部82の大きさを大きくし得る、という作用効果がもたらされる。
このように、第12構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1は、第9構成例と同様に飛び出しレンズと積層担体基板81とを備え、さらに、飛び出しレンズをレンズ付き積層基板41で受けることにより、第9構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1においてもたらされる作用効果を、より大きくもたらすことができる。
なお、図35に示した第12構成例において、レンズを受ける側となるレンズ付き積層基板41dに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合と、凹レンズまたは非球面レンズである場合とを比較すると、後者の方がレンズの上端を下方に配置することができる。
このため、第12構成例に係る積層レンズ構造体11およびこれを用いたカメラモジュール1がもたらす上述の作用効果は、レンズを受ける側となるレンズ付き積層基板41dに備わるレンズの上面形状(飛び出しレンズ付き基板41c’側の表面形状)が、凸レンズである場合よりも、凹レンズまたは非球面レンズである場合において、より大きくもたらされる。
<21.積層レンズ構造体11の第13構成例>
図36は、積層レンズ構造体11の第13構成例を示す断面図である。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、最上層のレンズ付き基板41aと、最下層のレンズ付き基板41eが、積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41で構成されていた。
また、第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのそれぞれが、飛び出しレンズではないレンズ付き基板41で構成されていた。
これに対して、図36の第13構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうち、第3層のレンズ付き基板41c’が飛び出しレンズ付き基板41となっている。また、第3層のレンズ付き基板41c’と第4層のレンズ付き基板41d’との間に、スペーサ基板42が挿入されている。ここで、スペーサ基板42は、レンズ付き基板41と同様に、担体基板81fに貫通孔83fが形成された構造を有するが、貫通孔83fの内側にレンズ樹脂部82が配置されない構成である。図36の例では、スペーサ基板42の担体基板81fは、単層構造の担体基板81であるが、積層構造の担体基板81であってもよい。また、第4層のレンズ付き基板41d’が飛び出しレンズを用いた飛び出しレンズ付き基板41となっている。
第13構成例のその他の構造は、第1構成例に係る積層レンズ構造体11と同様である。
したがって、図36の積層レンズ構造体11は、単層担体基板81cに飛び出しレンズを備える第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’を、レンズ樹脂部82がないスペーサ基板42で受ける構造となっている。
図37は、図36の第13構成例と、図33に示した第10構成例とを比較する断面図である。
図36の第13構成例と図33の第10構成例は、第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’において、同一形状のレンズ樹脂部82cを備える。
しかしながら、図33の第10構成例の第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’の担体基板81c’は、積層担体基板81c’である。一方、図36の第13構成例の第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’の担体基板81cは単層担体基板81cであり、スペーサ基板42によって、図33の第10構成例の積層担体基板81c’と同じ厚みとなっている。
図37では、図33の第10構成例の第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’の担体基板81cの形状の相違部分が、スペーサ基板42の内側に、破線で示されている。
第3層の飛び出しレンズ付き基板41c’の担体基板81cに形成された貫通孔83cの上面側の径は、図33の第10構成例と、図36の第13構成例とで同一である。
一方、スペーサ基板42の貫通孔83fの下面側の径と、破線で示された図33の第10構成例の担体基板81cの貫通孔83cの下面側の径とを比較すると、スペーサ基板42の貫通孔83fの方が径が大きい。このように、スペーサ基板42を用いることにより、同じ厚みの担体基板81を用いる場合よりも、入射光の通り道となる開孔径を大きくすることができる。
これにより、図36の第13構成例に係る積層レンズ構造体11によれば、最上層のレンズ樹脂部82aで光を絞った後、絞った光をレンズ樹脂部82aよりも下層のレンズ群で撮像部12の受光領域12aへと広げて撮像部12へ入射させる構成において、レンズ樹脂部82aで広げた光が担体基板81cに当たってしまい光路が狭くなることを、低減できるという、作用効果をもたらす。
図36の第13構成例に係る積層レンズ構造体11は、
飛び出しレンズ付き基板41c’と、その下面と接合されたスペーサ基板42とを備え、
飛び出しレンズ付き基板41c’の貫通孔83cの側壁と飛び出しレンズ付き基板41c’の下側表面とがなす角度を保ったまま、貫通孔83cの側壁を下側へ延在させて、
延在させた貫通孔83cの側壁がスペーサ基板42の下側表面の延長面と交差する面において、延在させた貫通孔83cの側壁により形成される開孔径よりも、スペーサ基板42の貫通孔83fの下側表面における開孔径が大きい、構造を有する。
なお、スペーサ基板42の貫通孔83fの上側表面における光を通過するための開孔径が、飛び出しレンズ付き基板41c’の貫通孔83cの下側表面における開孔径よりも、大きくてもよい。
さらに、スペーサ基板42の貫通孔83fの下側表面における開孔径が、飛び出しレンズ付き基板41c’の貫通孔83cの上側表面における開孔径よりも、大きくてもよい。
また、スペーサ基板42の貫通孔83fの上側表面における開孔径が、飛び出しレンズ付き基板41c’の貫通孔83cの上側表面における開孔径よりも、大きくてもよい。
<22.レンズ付き単層基板41のその他の製造方法>
次に、レンズ付き単層基板41のその他の製造方法について説明する。
図14を参照して説明したように、レンズ付き単層基板41の貫通孔83の平面形状は、円形で形成することができる他、図38に示されるように、四角形のような多角形でもよい。
図38は、基板状態の担体基板81Wに、平面形状が四角形の貫通孔83を形成した例を示している。
図15で説明したウェットエッチングの方法を用いて、エッチングマスクの開口部の平面形状を四角形とすると、平面形状が四角形であって、開口幅は第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さく、3次元形状が角錐台もしくはこれに類似の形状となる貫通孔83が得られる。貫通孔83の側壁の角度は、基板平面に対して、約45°の角度となる。
担体基板81Wの平面方向における貫通孔83の大きさを、開口幅と呼ぶ。開口幅は、特に断り書きがが無い限り、貫通孔83の平面形状が四角形である場合は一辺の長さ、貫通孔83の平面形状が円形である場合は直径を意味する。
貫通孔83は、図15で説明したように、上面の第1の開口幅131よりも下面の第2の開口幅132の方が小さい3次元形状となるが、図39のAに示される円錐台の形状であって良いし、多角形の角錐台の形状であっても良い。貫通孔83の側壁の断面形状は、図39のAに示されるような直線であって良いし、図39のBに示されるような曲線であってもよい。あるいはまた、図39のCに示されるように、段差があっても良い。
第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さい形状である貫通孔83は、貫通孔83内に樹脂を供給し、この樹脂を、第1の表面と第2の表面のそれぞれから対向する方向へ型部材で押すことでレンズ樹脂部82を形成する際に、レンズ樹脂部82となる樹脂が、対向する2つの型部材からの力を受けて、貫通孔83の側壁に押し付けられる。これにより、レンズ樹脂部82となる樹脂と担体基板との密着強度が高くなるという作用をもたらし得る。
なお、貫通孔83の他の実施の形態として、第1の開口幅131と第2の開口幅132が等しい形状、すなわち貫通孔83の側壁の断面形状が垂直となる形状であっても良い。
<ドライエッチングを用いた貫通孔の形成方法>
また、貫通孔83形成のエッチングには、上述したウェットエッチングではなく、ドライエッチングを用いることも可能である。
図40を参照して、ドライエッチングを用いた貫通孔83の形成方法について説明する。
図40のAに示されるように、担体基板81Wの一方の表面に、エッチングマスク141が形成される。エッチングマスク141は、貫通孔83を形成する部分が開口されたマスクパターンとなっている。
次に、図40のBに示されるように、エッチングマスク141の側壁を保護するための保護膜142が形成された後、図40のCに示されるように、ドライエッチングにより担体基板81Wが所定の深さでエッチングされる。ドライエッチング工程により、担体基板81W表面とエッチングマスク141表面の保護膜142は除去されるが、エッチングマスク141側面の保護膜142は残存し、エッチングマスク141の側壁は保護される。
エッチング後、図40のDに示されるように、側壁の保護膜142が除去され、エッチングマスク141が、開口パターンのパターンサイズを大きくする方向に後退される。
そして、再び、図40のB乃至Dの保護膜形成工程、ドライエッチング工程、エッチングマスク後退工程が、複数回繰り返し行われる。これにより、図40のEに示されるように、担体基板81Wは、周期性のある段差を持つ階段形状(凹凸形状)となるようにエッチングされる。
最後に、エッチングマスク141が除去されると、図40のFに示されるように、階段形状の側壁をもつ貫通孔83が、担体基板81Wに形成される。貫通孔83の階段形状の平面方向の幅(1段の幅)は、例えば、400nm乃至1μm程度とされる。
以上のようにドライエッチングを用いて貫通孔83を形成する場合には、保護膜形成工程、ドライエッチング工程、エッチングマスク後退工程が繰り返し実行される。
貫通孔83の側壁が周期性のある階段形状(凹凸形状)であることにより、入射光の反射を抑制することができる。また、仮に、貫通孔83の側壁がランダムな大きさの凹凸形状である場合には、貫通孔83内に形成されるレンズと側壁との間の密着層にボイド(空隙)が発生し、そのボイドが原因でレンズとの密着性が低下する場合がある。しかしながら、上述した形成方法によれば、貫通孔83の側壁は周期性のある凹凸形状となるので、密着性が向上し、レンズ位置ずれによる光学特性の変化を抑制することができる。
各工程で使用される材料の一例としては、例えば、担体基板81Wは単結晶シリコン、エッチングマスク141はフォトレジスト、保護膜142は、C4F8やCHF3などのガスプラズマを用いて形成するフロカーボンポリマー、エッチング処理は、SF6/O2、C4F8/SF6などFを含むガスを用いたプラズマエッチング、マスク後退工程は、O2ガス、CF4/O2などO2を含むプラズマエッチングとすることができる。
あるいはまた、担体基板81Wは単結晶シリコン、エッチングマスク141はSiO2、エッチングは、Cl2を含むプラズマ、保護膜142は、O2プラズマを用いてエッチング対象材を酸化させた酸化膜、エッチング処理は、Cl2を含むガスを用いたプラズマエッチングマスク後退工程は、CF4/O2などFを含むガスを用いたプラズマエッチングとすることができる。
以上のように、ウェットエッチング、または、ドライエッチングにより、担体基板81Wに、複数の貫通孔83を同時形成することができるが、担体基板81Wには、図41のAに示されるように、貫通孔83を形成していない領域に貫通溝151を形成しても良い。
図41のAは、貫通孔83に加えて貫通溝151を形成した担体基板81Wの平面図である。
貫通溝151は、例えば、図41のAに示されるように、行列状に配置された複数個の貫通孔83を避けて、行方向と列方向のそれぞれの貫通孔83の間の一部にだけ配置される。
また、担体基板81Wの貫通溝151は、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41どうしで、同一の位置に配置することができる。この場合には、積層レンズ構造体11として複数枚の担体基板81Wが積層された状態では、図41のBの断面図のように、複数枚の担体基板81Wの貫通溝151が、複数枚の担体基板81Wの間で貫通した構造となる。
レンズ付き基板41の一部としての担体基板81Wの貫通溝151は、例えば、レンズ付き基板41を変形させる応力がレンズ付き基板41の外部から働く場合に、応力によるレンズ付き基板41の変形を緩和する作用または効果をもたらし得る。
あるいは、貫通溝151は、例えば、レンズ付き基板41を変形させる応力がレンズ付き基板41の内部から発生する場合に、応力によるレンズ付き基板41の変形を緩和する作用または効果をもたらし得る。
<23.レンズ付き積層基板41のその他の製造方法>
次に、レンズ付き積層基板41のその他の製造方法について説明する。
次に、図42を参照して、レンズ付き積層基板41aを例に、レンズ付き積層基板41の製造方法について説明する。
初めに、図42に示されるように、複数の貫通孔83a1が形成された基板状態の担体構成基板80Wa1と、複数の貫通孔83a2が形成された基板状態の担体構成基板80Wa2が用意される。基板状態の担体構成基板80Wa1および80Wa2は、必要に応じて所望の厚さに調整されたものが用意される。
そして、基板状態の担体構成基板80Wa1と、基板状態の担体構成基板80Wa2が、直接接合されることにより、貫通孔83aが形成された基板状態の担体基板81Waが製造される。
その後、貫通孔83aが形成された基板状態の担体基板81Waに対して、各貫通孔83aの内側にレンズ樹脂部82aが形成される。これにより、基板状態のレンズ付き積層基板41Waが完成する。
その他の基板状態のレンズ付き積層基板41Weについても同様に製造することができる。
図43のフローチャートを参照して、図42で説明した製造方法によるレンズ付き積層基板41の製造処理について説明する。
なお、図43の説明に際しては、必要に応じて図44を参照して説明する。図44は、個片化された状態のレンズ付き積層基板41の製造工程を示す図であるが、基板状態のレンズ付き積層基板41Wであっても同様である。
初めに、ステップS71において、担体基板81a(積層担体基板81a)を構成する複数枚の担体構成基板80aが、所望の厚さに薄肉化される。薄肉化の必要が無い場合は、このステップは省略することができる。
ステップS72において、図44のAに示されるように、複数枚の担体構成基板80aそれぞれに貫通孔83aが形成される。図44のAでは、担体構成基板80a1に貫通孔83a1が形成され、担体構成基板80a2に貫通孔83a2が形成されている。
ステップS73において、複数枚の担体構成基板80どうしが接合される。例えば、図44のBに示されるように、貫通孔83a1が形成された担体構成基板80a1と、貫通孔83a2が形成された担体構成基板80a2が、直接接合により貼り合わされる。貼り合わされた基板が、担体基板81a(積層担体基板81a)となる。
ステップS74乃至S80の処理は、図18のステップS44乃至S50の処理と、それぞれ同様であるので、その説明は省略する。これらの処理により、図44のCに示されるように、担体基板81aの貫通孔83aにレンズ樹脂部82aが形成される。
以上により、レンズ付き積層基板41が完成する。
<24.レンズ付き単層基板41の変形例>
次に、レンズ付き単層基板41の変形例について説明する。
図45のAは、図12で示したレンズ付き単層基板41aの構成例を示す断面図であり、図45のBおよびCは、図12のレンズ付き単層基板41aの変形例を示す断面図である。
したがって、図45のB及びCのレンズ付き単層基板41aについては、図45のAに示したレンズ付き単層基板41aと異なる部分についてのみ説明する。
図45のBに示されるレンズ付き単層基板41aにおいては、担体基板81aとレンズ樹脂部82aの下側表面に形成されている膜が、図45のAに示したレンズ付き単層基板41aと異なる。
図45のBのレンズ付き単層基板41aでは、担体基板81aの下側表面には、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む下側表面層124が形成されている一方、レンズ樹脂部82aの下側表面には、下側表面層124が形成されていない。下側表面層124は、上側表面層122と同一材料でもよいし、異なる材料でもよい。
このような構造は、例えば、レンズ樹脂部82aを形成する前に、担体基板81aの下側表面に下側表面層124を形成しておき、その後、レンズ樹脂部82aを形成する製法により形成し得る。あるいは、レンズ樹脂部82aを形成した後に、レンズ樹脂部82aにマスクを形成し、担体基板81a上にはマスクを形成しない状態で、下側表面層124を構成する膜を、例えばPVDにより担体基板81aの下側表面に堆積させることで、形成し得る。
図45のCのレンズ付き単層基板41aにおいては、担体基板81aの上側表面に、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む上側表面層125が形成されている一方、レンズ樹脂部82aの上側表面には、上側表面層125が形成されていない。
同様に、レンズ付き単層基板41aの下側表面においても、担体基板81aの下側表面に、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む下側表面層124が形成されている一方、レンズ樹脂部82aの下側表面には、下側表面層124が形成されていない。
このような構造は、例えば、レンズ樹脂部82aが形成される前に、担体基板81aに上側表面層125と下側表面層124を形成しておき、その後、レンズ樹脂部82aを形成する製法により形成し得る。あるいは、レンズ樹脂部82aを形成した後に、レンズ樹脂部82aにマスクを形成し、担体基板81a上にはマスクを形成しない状態で、上側表面層125および下側表面層124を構成する膜を、例えばPVDにより担体基板81aの表面に堆積させることで、形成し得る。下側表面層124と上側表面層125は、同一材料でもよいし、異なる材料でもよい。
レンズ付き単層基板41aは、以上のように構成することができる。
<25.レンズ付き積層基板41の変形例>
次に、レンズ付き積層基板41の変形例について説明する。
図46のAは、図10で示したレンズ付き積層基板41aの構成例を示す断面図であり、図46のBおよびCは、図10のレンズ付き積層基板41aの変形例を示す断面図である。
したがって、図46のB及びCのレンズ付き積層基板41aについては、図46のAに示したレンズ付き積層基板41aと異なる部分についてのみ説明する。
図46のB及びCのレンズ付き積層基板41aにおいては、図45のB及びCのレンズ付き単層基板41aと比較して、担体基板81が、単層構造の担体基板81であるか、または、積層構造の担体基板81であるかのみが異なり、下側表面層124および上側表面層125の構成については同様である。
<26.レンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例>
次に、図47乃至図52を参照して、レンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例について説明する。
なお、図47乃至図52では、図12および図13での説明と同様に、レンズ付き積層基板41aを、レンズ付き単層基板41aに置き換えて説明する。
図38を参照して説明したように、貫通孔83の平面形状は、例えば四角形などの多角形であっても良い。
図47は、貫通孔83の平面形状が四角形である場合の、レンズ付き単層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図47におけるレンズ付き単層基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
B‐B'線断面図とC‐C'線断面図を比較して分かるように、貫通孔83aが四角形の場合、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの上部外縁までの距離、および、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの下部外縁までの距離は、四角形である貫通孔83aの辺方向と対角線方向とで異なり、対角線方向の方が大きい。このため、貫通孔83aの平面形状が四角形の場合、レンズ部91を円形にすると、レンズ部91外周から貫通孔83a側壁までの距離、言い換えれば、担持部92の長さを、四角形の辺方向と対角線方向とで異なる長さにする必要がある。
そこで、図47に示されるレンズ樹脂部82aは、以下の構造を備える。
(1)レンズ部91の外周に配置した腕部113の長さは、四角形の辺方向と対角線方向とで同じである。
(2)腕部113の外側に配置し、貫通孔83a側壁まで延在する脚部114の長さは、四角形の辺方向の脚部114の長さよりも対角線方向の脚部114の長さの方を、長くしている。
図47に示されるように、脚部114は、レンズ部91に直接は接していない一方、腕部113は、レンズ部91に直接接している。
図47のレンズ樹脂部82aでは、レンズ部91に直接接している腕部113の長さと厚さを、レンズ部91の外周全体に渡って一定にすることで、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支える、という作用または効果をもたらし得る。
さらに、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支えることにより、例えば、貫通孔83aを取り囲む担体基板81aから、貫通孔83aの外周全体に渡って応力が加わるような場合には、これをレンズ部91全体に偏りなく伝えることで、レンズ部91の特定の部分だけに偏って応力が伝わることを抑える、という作用または効果をもたらし得る。
図48は、平面形状が四角形である貫通孔83のその他の例について示す、レンズ付き単層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図48におけるレンズ付き単層基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
図48においても、図47と同様に、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの上部外縁までの距離、および、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの下部外縁までの距離は、四角形である貫通孔83aの辺方向と対角線方向とで異なり、対角線方向の方が大きい。このため、貫通孔83aの平面形状が四角形の場合、レンズ部91を円形にすると、レンズ部91外周から貫通孔83a側壁までの距離、言い換えれば、担持部92の長さを、四角形の辺方向と対角線方向とで異なる長さにする必要がある。
そこで、図48に示されるレンズ樹脂部82aは、以下の構造を備える。
(1)レンズ部91の外周に配置した脚部114の長さを、貫通孔83aの四角形の4つの辺に沿って、一定にしている。
(2)上記(1)の構造を実現するために、腕部113の長さは、四角形の辺方向の腕部の長さよりも対角線方向の腕部の長さの方を、長くしている。
図48に示されるように、脚部114は腕部113よりも、樹脂の膜厚が厚い。このため、レンズ付き単層基板41aの平面方向の単位面積当たりの体積も、脚部114は腕部113よりも大きい。
図48の実施例では、脚部114の体積をできるだけ小さくし、かつ、貫通孔83aの四角形の4辺に沿って一定にすることで、例えば樹脂の膨潤のような変形が発生するような場合には、これによる体積変化をできるだけ抑え、かつ体積変化がレンズ部91の外周全体に渡ってできるだけ偏らないようにする、という作用または効果をもたらし得る。
図49は、レンズ付き単層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の他の構成例を示す断面図である。
図49に示されるレンズ樹脂部82と貫通孔83は、以下の構造を備える。
(1)貫通孔83の側壁は、段付き部221を備える段付き形状である。
(2)レンズ樹脂部82の担持部92の脚部114が、貫通孔83の側壁上方に配置されるだけでなく、貫通孔83に備わる段付き部221の上にも、レンズ付き単層基板41の平面方向に延在している。
図50を参照して、図49に示した段付き形状の貫通孔83の形成方法について説明する。
初めに、図50のAに示されるように、担体基板81Wの一方の面に、貫通孔開口の際のウェットエッチングに対する耐性を有するエッチングストップ膜241が形成される。エッチングストップ膜241は、例えば、シリコン窒化膜とすることができる。
次いで、担体基板81Wのもう一方の面に、貫通孔開口の際のウェットエッチングに対する耐性を有するハードマスク242が形成される。ハードマスク242も、例えばシリコン窒化膜とすることができる。
次に、図50のBに示されるように、ハードマスク242の所定の領域が、1回目のエッチングのために開口される。1回目のエッチングでは、貫通孔83の段付き部221の上段となる部分がエッチングされる。このため、1回目のエッチングのためのハードマスク242の開口部は、図49に記載のレンズ付き単層基板41の上側基板表面における開口に対応した領域となる。
次に、図50のCに示されるように、ウェットエッチングにより、ハードマスク242の開口部に応じて、担体基板81Wが所定の深さ分だけエッチングされる。
次に、図50のDに示されるように、エッチング後の担体基板81Wの表面に、ハードマスク243が改めて形成され、貫通孔83の段付き部221の下側となる部分に対応してハードマスク243が開口される。2回目のハードマスク243も、例えばシリコン窒化膜を採用することができる。
次に、図50のEに示されるように、ウェットエッチングにより、ハードマスク243の開口部に応じて、エッチングストップ膜241に到達するまで担体基板81Wがエッチングされる。
最後に、図50のFに示されるように、担体基板81Wの上側表面のハードマスク243と、下側表面のエッチングストップ膜241が除去される。
以上のように、ウェットエッチングによる貫通孔形成のための担体基板81Wのエッチングを2回に分けて行うことで、図49に示した段付き形状の貫通孔83が得られる。
図51は、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83aの平面形状が円形である場合の、レンズ付き単層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図51におけるレンズ付き単層基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
貫通孔83aの平面形状が円形である場合、貫通孔83aの断面形状は当然直径の方向によらず同じである。これに加えて、レンズ樹脂部82aの外縁、腕部113、及び脚部114の断面形状も、直径の方向によらず同じとなるように形成されている。
図51の段付き形状を有する貫通孔83aは、貫通孔83a内に段付き部221を備えない図13の貫通孔83aと比較して、レンズ樹脂部82の担持部92の脚部114が、貫通孔83aの側壁と接触する面積を大きくできる、という作用または効果をもたらす。
また、これにより、レンズ樹脂部82と貫通孔83aの側壁との密着強度、言い換えれば、レンズ樹脂部82aと担体基板81Wとの密着強度を増加させる、という作用または効果をもたらす。
図52は、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83aの平面形状が四角形である場合の、レンズ付き単層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図52におけるレンズ付き単層基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
図52に示されるレンズ樹脂部82と貫通孔83は、以下の構造を備える。
(1)レンズ部91の外周に配置した腕部113の長さは、四角形の辺方向と対角線方向とで同じである。
(2)腕部113の外側に配置し、貫通孔83aの側壁まで延在する脚部114の長さは、四角形の辺方向の脚部114の長さよりも、対角線方向の脚部114の長さが長い。
図52に示されるように、脚部114は、レンズ部91に直接は接していない一方、腕部113は、レンズ部91に直接接している。
図52のレンズ樹脂部82aでは、図47に記載のレンズ樹脂部82aと同様に、レンズ部91に直接接している腕部113の長さと厚さを、レンズ部91の外周全体に渡って一定にすることで、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支える、という作用または効果をもたらし得る。
さらに、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支えることにより、例えば、貫通孔83aを取り囲む担体基板81aから、貫通孔83aの外周全体に渡って応力が加わるような場合には、これをレンズ部91全体に偏りなく伝えることで、レンズ部91の特定の部分だけに偏って応力が伝わることを抑える、という作用または効果をもたらし得る。
さらに、図52の貫通孔83aの構造は、貫通孔83a内に段付き部221を備えない図47等の貫通孔83aと比較して、レンズ樹脂部82aの担持部92の脚部114が、貫通孔83aの側壁と接触する面積を大きくできる、という作用または効果をもたらす。
これにより、レンズ樹脂部82aと貫通孔83aの側壁部との密着強度、言い換えれば、レンズ樹脂部82aと担体基板81aとの密着強度が増加する、という作用または効果をもたらす。
<27.レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例>
次に、図53乃至図58を参照して、レンズ付き積層基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例について説明する。
なお、図53乃至図58では、図47乃至図52で説明したレンズ付き単層基板41aと比較して、レンズ付き積層基板41aのレンズ樹脂部82と貫通孔83の変形例について説明する。
図53は、図47で説明したレンズ付き単層基板41aと同様に、貫通孔83の平面形状が四角形である場合の、レンズ付き積層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図53のレンズ付き積層基板41aは、担体基板81aが2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせで構成される点を除いて、図47で説明したレンズ付き単層基板41aと同様である。
図54は、図48で説明したレンズ付き単層基板41aと同様に、貫通孔83の平面形状が四角形である場合の、レンズ付き積層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図54のレンズ付き積層基板41aは、担体基板81aが2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせで構成される点を除いて、図48で説明したレンズ付き単層基板41aと同様である。
図55は、図51で説明したレンズ付き単層基板41aと同様に、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83の平面形状が円形である場合の、レンズ付き積層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図55のレンズ付き積層基板41aは、担体基板81aが2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせで構成される点を除いて、図51で説明したレンズ付き単層基板41aと同様である。
担体基板81aにおいて、2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面は、貫通孔83aの段付き部221と同じ面となっている。
図56は、図51で説明したレンズ付き単層基板41aと同様に、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83の平面形状が円形である場合の、レンズ付き積層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図56のレンズ付き積層基板41aは、担体基板81aが2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせで構成される点を除いて、図51で説明したレンズ付き単層基板41aと同様である。
担体基板81aにおいて、2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面は、貫通孔83aの段付き部221と異なる面となっている。
したがって、図55のレンズ付き積層基板41aと、図56のレンズ付き積層基板41aとの相違点は、2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面の厚み方向の位置である。
図57は、図52で説明したレンズ付き単層基板41aと同様に、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83の平面形状が四角形である場合の、レンズ付き積層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図57のレンズ付き積層基板41aは、担体基板81aが2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせで構成される点を除いて、図52で説明したレンズ付き単層基板41aと同様である。
担体基板81aにおいて、2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面は、貫通孔83aの段付き部221と同じ面となっている。
図58は、図52で説明したレンズ付き単層基板41aと同様に、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83の平面形状が四角形である場合の、レンズ付き積層基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図58のレンズ付き積層基板41aは、担体基板81aが2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせで構成される点を除いて、図52で説明したレンズ付き単層基板41aと同様である。
担体基板81aにおいて、2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面は、貫通孔83aの段付き部221と異なる面となっている。
したがって、図57のレンズ付き積層基板41aと、図58のレンズ付き積層基板41aとの相違点は、2枚の担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面の厚み方向の位置である。
以上のように、積層レンズ構造体11に用いられるレンズ付き基板41は、レンズ付き単層基板41およびレンズ付き積層基板41のいずれの場合であっても、レンズ樹脂部82と貫通孔83の形状として、様々な形状を取り得る。
<28.レンズ付き積層基板41のさらなる変形例>
次に、図59乃至図67を参照して、レンズ付き積層基板41のさらなる変形例について説明する。
図59は、レンズ付き積層基板41のさらなる変形例を用いた積層レンズ構造体11の断面図である。
図59では、上述した第2構成例乃至第13構成例と同様に、第1構成例と比較して異なる部分について符号にダッシュ(’)を付加して表す。
図59の積層レンズ構造体11は、図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11と比較すると、最上層のレンズ付き基板41a’と、最下層のレンズ付き基板41e’が異なる。
より具体的には、最上層のレンズ付き基板41a’では、第1構成例に係る最上層のレンズ付き基板41aと比較すると、貫通孔83aの側壁に、溝部85aが新たに追加されている。溝部85aには、レンズ樹脂部82aが埋め込まれている。
最下層のレンズ付き基板41e’についても同様に、第1構成例に係る最上層のレンズ付き基板41aと比較すると、貫通孔83eの側壁に、溝部85eが新たに追加されている。溝部85eには、レンズ樹脂部82eが埋め込まれている。
レンズ樹脂部82は、図16を参照して説明したように、下型181上にエネルギー硬化性樹脂191を滴下し、滴下したエネルギー硬化性樹脂191を上型201と下型181とで間隔を制御して挟み込んで硬化させることで形成される。この際、エネルギー硬化性樹脂191の滴下量の制御性や最適化が重要となる。すなわち、滴下量が少ないとレンズ部91に凹み等が発生し、所望の光学特性が得られない。また、滴下量が多い場合には、上型201と下型181との空間からエネルギー硬化性樹脂191が溢れ、基板接合面を汚染させる心配がある。また、エネルギー硬化性樹脂191を硬化したとき、樹脂体積が減少(収縮)することもある。
そこで、図59のレンズ付き基板41a’のように、余分なエネルギー硬化性樹脂191を退避させるための溝部85aを形成することにより、エネルギー硬化性樹脂191を多めに充填したとしても、溝部85aに収納でき、上型201と下型181との空間からエネルギー硬化性樹脂191が溢れることを防止することができる。また、エネルギー硬化性樹脂191が硬化収縮する際には、溝部85aに収納されたエネルギー硬化性樹脂191が貫通孔83中央部に引き戻され、供給されるので、上型201と下型181の間にボイドが発生しない。すなわち、溝部85aを設けることにより、滴下量のばらつきを許容することができる。
また、溝部85a内で硬化したエネルギー硬化性樹脂191は、レンズ樹脂部82aの上下方向(光軸方向)の移動を固定するロック機構としても機能し、レンズ付き基板41a’において、担体基板81aの貫通孔83aの側壁との保持強度が向上する。特に、積層構造の担体基板81を用いた、レンズ樹脂部82の体積が大きいレンズ付き基板41ほど、貫通孔83の側壁との強度確保の必要性が高い。
なお、図59の例では、溝部85(85aおよび85e)が、積層構造の担体基板81を構成する2枚の担体構成基板80のうち、下側(撮像部12に近い側)の担体構成基板80の上面に形成されているが、上側(撮像部12に遠い側)の担体構成基板80の下面に形成してもよい。
図60を参照して、図59のレンズ付き基板41a’の第1の製造方法について説明する。
図60のAに示されるように、2枚の担体構成基板80a1および担体構成基板80a2が用意される。各担体構成基板80aは、必要に応じて所望の厚さに薄肉化される。また、貼り合わせて担体基板81aとしたときに下側となる担体構成基板80a2には、光軸(不図示)に対して対称な領域に、基板厚を所定の厚さだけ薄くした凹部261が形成されている。凹部261は、上述したウェットエッチングやドライエッチングにより形成することができる。
次に、図60のBに示されるように、担体構成基板80a1と、凹部261が形成された担体構成基板80a2が、直接接合により貼り合わされる。貼り合わされた基板が、担体基板81aとなる。
次に、図60のCに示されるように、担体基板81aに、貫通孔83aが形成される。ここで、破線で示される担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面における貫通孔83aの径は、凹部261の平面領域よりも小さく、貫通孔83aが形成された後、凹部261の残された部分が、溝部85aとなる。
最後に、図60のDに示されるように、担体基板81aの貫通孔83aにレンズ樹脂部82aが形成される。レンズ樹脂部82aの形成方法は、図16を参照して説明した方法と同様である。充填(滴下)されたエネルギー硬化性樹脂191(図16)は、溝部85aにも入り込んだ状態となって硬化する。
なお、エネルギー硬化性樹脂191は、必ずしも溝部85aの内部全体に入り込む必要はなく、図60のDにおいて灰色を付した領域のように、貫通孔83aの側壁から最も遠い部分には、空間(エアギャップ)が形成されてもよい。溝部85aの内部の一部に空間が形成されるか否かは、滴下されるエネルギー硬化性樹脂191の滴下量や硬化時の収縮などに依存する。
以上のようにして、溝部85aを備えるレンズ付き基板41a’を形成することができる。なお、溝部85aを、2枚の担体構成基板80のうちの、上側の担体構成基板80a1に形成する場合には、図60のAに示した工程において、上側の担体構成基板80a1の下面に凹部261を形成すればよい。
次に、図61を参照して、図59のレンズ付き基板41a’の第2の製造方法について説明する。
図61のAに示されるように、2枚の担体構成基板80a1および担体構成基板80a2が用意される。担体構成基板80a1には、貫通孔83a1が形成されており、担体構成基板80a2には、貫通孔83a2が形成されている。また、貼り合わせて担体基板81aとしたときに下側となる担体構成基板80a2には、溝部85aとなる凹部261も既に形成されている。各担体構成基板80aは、必要に応じて所望の厚さに薄肉化される。このような貫通孔83a2および凹部261を有する担体構成基板80a2の形成方法については図62を参照して後述する。
次に、図61のBに示されるように、貫通孔83a1が形成された担体構成基板80a1と、貫通孔83a2および凹部261が形成された担体構成基板80a2が、直接接合により貼り合わされる。貼り合わされた基板が担体基板81aとなり、貼り合わされた状態の貫通孔83a1と83a2が、一つの貫通孔83aを形成する。また、貼り合わせによって、凹部261の上方が担体構成基板80a1で覆われる状態となり、溝部85aが形成される。
最後に、図61のCに示されるように、担体基板81aの貫通孔83aにレンズ樹脂部82aが形成される。レンズ樹脂部82aの形成方法は、図16を参照して説明した方法と同様である。充填されたエネルギー硬化性樹脂191(図16)は、溝部85aにも入り込んだ状態となって硬化する。なお、エネルギー硬化性樹脂191は、必ずしも溝部85aの内部全体に入り込む必要はない点は、上述した第1の製造方法と同様である。
以上のようにして、溝部85aを備えるレンズ付き基板41a’を形成することができる。なお、溝部85aを、2枚の担体構成基板80のうちの、上側の担体構成基板80a1に形成する場合には、図61のAに示した工程において、上側の担体構成基板80a1の下面に凹部261を形成すればよい。
図62を参照して、図61のAに示した貫通孔83a1および凹部261が形成された担体構成基板80a2の形成方法について説明する。
初めに、図62のAに示されるように、担体構成基板80a2の一方の面(下面)に、貫通孔開口の際のウェットエッチングに対する耐性を有するエッチングストップ膜264が形成される。エッチングストップ膜264は、例えば、シリコン窒化膜とすることができる。
次いで、担体構成基板80a2のもう一方の面に、貫通孔開口の際のウェットエッチングに対する耐性を有する第1ハードマスク262および第2ハードマスク263が、貫通孔83a2の平面形状に合わせて形成される。第1ハードマスク262および第2ハードマスク263も、例えばシリコン窒化膜とすることができる。第1ハードマスク262と第2ハードマスク263は、エッチングレートが異なる。
次に、図62のBに示されるように、ウェットエッチングにより、第2ハードマスク263の開口部に応じて、担体構成基板80a2が所定の深さ分だけエッチングされる。
次に、図62のCに示されるように、第2ハードマスク263が除去された後、図62のDに示されるように、第1ハードマスク262の開口部に応じて、2回目のウェットエッチングにより、エッチングストップ膜264に到達するまで担体構成基板80a2がエッチングされる。
最後に、図62のFに示されるように、担体構成基板80a2の上面の第1ハードマスク262と、下面のエッチングストップ膜264が除去される。
以上のように、第1ハードマスク262および第2ハードマスク263を形成して、担体構成基板80a2のエッチングを2回に分けて行うことで、図61のAに示した担体構成基板80a2が得られる。
なお、図50を参照して説明した段付き形状の貫通孔83の形成方法を用いて、図61のAに示した担体構成基板80a2を形成することもできる。
次に、図63を参照して、図59のレンズ付き基板41a’の第3の製造方法について説明する。
図63のAに示されるように、2枚の担体構成基板80a1および担体構成基板80a2が用意される。担体構成基板80a2には、図60の凹部261と同様の領域に、ボロン等のP型イオンをイオン注入してアニールした拡散領域265が形成されている。
次に、図63のBに示されるように、担体構成基板80a1と、拡散領域265が形成された担体構成基板80a2が、直接接合により貼り合わされる。貼り合わされた基板が、担体基板81aとなる。
次に、図63のCに示されるように、ウェットエッチングにより、担体基板81aに貫通孔83aが形成される。このとき、P型イオンをイオン注入してアニールした拡散領域265のエッチングレートが高いので、貫通孔83aと同時に、溝部85aも形成される。
最後に、図63のDに示されるように、担体基板81aの貫通孔83aにレンズ樹脂部82aが形成される。レンズ樹脂部82aの形成方法は、図16を参照して説明した方法と同様である。なお、エネルギー硬化性樹脂191は、必ずしも溝部85aの内部全体に入り込む必要はない点は、上述した第1の製造方法と同様である。
以上のようにして、溝部85aを備えるレンズ付き基板41a’を形成することができる。なお、溝部85aを、2枚の担体構成基板80のうちの、上側の担体構成基板80a1に形成する場合には、図63のAに示した工程において、上側の担体構成基板80a1の下面に拡散領域265を形成すればよい。
なお、上述した第1乃至第3の製造方法以外の方法で、レンズ付き基板41a’を形成してもよい。例えば、2枚の担体構成基板80a1および担体構成基板80a2を貼り合わせた後に、貫通孔83aを形成し、その後、溝部85aを形成してもよい。貼り合わせ後の溝部85aの形成には、貫通孔83aの側壁の一部をマスクしてドライエッチングを行うドライプロセスや、レーザ加工、切削加工などを採用することができる。
ドライプロセスや、レーザ加工、切削加工などによって溝部85aを形成する方法は、単層構造の担体基板81に溝部85aを形成する場合にも適用できる。
(溝部85aの変形例)
図64及び図65を参照して、溝部85aの変形例について説明する。
溝部85aは、図64のAに示されるように、基板状態において、隣接する担体基板81aと貫通するように横方向(水平方向)に貫通する構造でもよい。
溝部85aは、図64のBに示されるように、縦方向(基板深さ方向)に形成された構造でもよい。
溝部85aは、図64のCに示されるように、縦方向(基板深さ方向)に担体構成基板80a2を貫通する構造でもよい。
また、溝部85aは、水平方向または垂直方向に限らず、所定の角度を持った斜め方向でもよく、貫通しても、しなくてもよい。
さらに、溝部85aは、図65のA乃至Cに示されるように、横方向(基板深さ方向)と縦方向(基板深さ方向)の2方向を含む構造でもよい。横方向と縦方向を組み合わせることにより、レンズ樹脂部82aの担体基板81aへの固定強度が向上する。
図65のAは、横方向と下方向を組み合わせた溝部85aの例を示している。
図65のBは、横方向、上方向、および下方向を組み合わせた溝部85aの例を示している。
図65のCは、横方向、上方向、および下方向を組み合わせで、かつ、上方向に担体構成基板80a1を貫通している溝部85aの例を示している。担体構成基板80a1を貫通することで、エネルギー硬化性樹脂191を充填する際の空気の逃げ道が確保される。図示は省略するが、反対に、横方向、上方向、および下方向を組み合わせで、かつ、下方向に担体構成基板80a2を貫通している溝部85aとしてもよい。
図65のDは、溝部85aを担体構成基板80a2の上側表面と下側表面の両面に形成した例を示している。上側表面と下側表面の2箇所に溝部85aを設けることで、担体構成基板80a1とレンズ樹脂部82aの接触面積が拡がるので、固定強度が向上する。
次に、図66及び図67を参照して、溝部85aの平面方向の形状について説明する。
図66のA乃至E、および、図67のA乃至Cは、担体構成基板80a1と80a2の貼り合わせ面の平面図であり、斜線を付した領域が溝部85aの平面領域を示している。
図66のAは、溝部85aを四角形の貫通孔83aの全周(周囲)に形成した例を示している。
図66のBは、溝部85aを四角形の貫通孔83aの四隅に形成した例を示している。
図66のCは、溝部85aを正方形の貫通孔83aの各辺の中央部に形成した例を示している。
図66のDおよびEは、溝部85aを長方形の貫通孔83aの各辺の中央部に形成し、かつ、長辺の溝体積が短辺の溝体積よりも大きくなるように形成した例を示している。
図66のDは、同じ形状の溝部85aを四角形の貫通孔83aの短辺と長辺で配置する個数を変えることにより、長辺の溝体積が短辺の溝体積よりも大きくなるように形成した例を示している。
図66のEは、四角形の貫通孔83aの短辺と長辺で溝部85aの形状(体積)を変えることにより、長辺の溝体積が短辺の溝体積よりも大きくなるように形成した例を示している。
一般に、エネルギー硬化性樹脂191は貫通孔83aの中心から滴下される。貫通孔83aの形状が四角形である場合、各辺までの距離が短い各辺の中央部に、エネルギー硬化性樹脂191が先に到達するので、図66のC乃至Eのように、各辺の中央部に溝部85aを形成することで、樹脂の溢れをより防止することができる。
図67は、貫通孔83aの形状違いに対応した溝部85aの例を示している。
貫通孔83aの平面形状が、図67のAのような正方形、図67のBのような長方形、図67のCのような円形のいずれの場合であっても、溝部85aの形成が可能である。なお、溝部85aの形状および配置は、図67の例に限られず、貫通孔83aの形状に関わらず、任意の形状および配置が可能である。
以上のように、レンズ付き基板41の貫通孔83の側壁に、レンズ樹脂部82の材料であるエネルギー硬化性樹脂191が入り込む溝部85を形成することにより、エネルギー硬化性樹脂191の滴下量の制御が容易となり、レンズ付き基板41の形成が容易となる。また、エネルギー硬化性樹脂191が硬化した後、レンズ樹脂部82の担体基板81との保持強度が増し、信頼性が向上する。
なお、上述したように、溝部85は、担体基板81が積層構造の担体基板81で有る場合に形成が容易であるが、単層構造の担体基板81であっても、ドライプロセスや、レーザ加工、切削加工などを用いて形成することができる。したがって、溝部85は、積層担体基板81を用いたレンズ付き基板41に限らず、単層担体基板81を用いたレンズ付き基板41にも適用できる。
<29.積層レンズ構造体11の変形例>
次に、図68乃至図73を参照して、積層レンズ構造体11の変形例について説明する。
図68は、積層レンズ構造体11の第1変形例を示す断面図である。
図68乃至図73の各変形例では、図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11と比較して異なる部分に注目して説明し、同じ部分についての説明は省略する。
図2に示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11では、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状が、下側(撮像部12を配置する側)に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となっていた。
これに対して、図68の積層レンズ構造体11の第1変形例では、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となっている。また、貫通孔83の断面形状に応じて、レンズ樹脂部82の貫通孔83との接続部分の形状が異なる。
カメラモジュール1の積層レンズ構造体11は、図3に示したように、入射した光が、絞り板51の開口部52から下側に向かって末広がりに広がって進行する構造であるため、貫通孔83の開口幅が下側向かって大きくなる末広がり形状は、貫通孔83の開口幅が下側に向かって小さくなる下すぼみ形状よりも、例えば、担体基板81が光路の邪魔になりにくい。これにより、レンズ設計の自由度が高いという作用をもたらす。
また、担持部92を含めたレンズ樹脂部82の基板平面方向の断面積は、貫通孔83の開口幅が下側に向かって小さくなる下すぼみ形状の場合、レンズ樹脂部82の下面においては、レンズ樹脂部82に入射した光線を透過させるために特定の大きさとなり、かつ、レンズ樹脂部82の下面から上面に向かって、その断面積が大きくなって行く。
これに対して、貫通孔83の開口幅が下側向かって大きくなる末広がり形状の場合、レンズ樹脂部82の下面における断面積は、下すぼみ形状の場合と概ね同じとなるが、レンズ樹脂部82の下面から上面に向かって、その断面積が小さくなって行く。
これにより、貫通孔83の開口幅が下側に向かって大きくなる構造は、担持部92を含めたレンズ樹脂部82の大きさを、小さく抑えることができるという作用または効果をもたらす。また、これにより、先に述べたレンズが大きい場合に生じるレンズ形成の難しさを、低減できるという作用または効果をもたらす。
図69は、積層レンズ構造体11の第2変形例を示す断面図である。
図69の積層レンズ構造体11の第2変形例においても、図2の第1構成例と比較して、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状と、レンズ樹脂部82の貫通孔83との接続部分の形状が異なる。
図69の積層レンズ構造体11は、貫通孔83の断面形状が、下側に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となったレンズ付き基板41と、貫通孔83の断面形状が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となったレンズ付き基板41と、の双方を備える。
貫通孔83が、下側に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となったレンズ付き基板41は、貫通孔83の側壁に当たった射入射光が、上側方向いわゆる入射側方向へと反射され、これにより迷光あるいはノイズ光の発生を抑える、という作用または効果をもたらす。
そこで、図69の積層レンズ構造体11においては、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、特に上側(入射側)の複数枚において、貫通孔83の断面形状が、下側に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となったレンズ付き基板41が用いられている。
貫通孔83の断面形状が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となったレンズ付き基板41は、レンズ付き基板41に備わる担体基板81が光路の邪魔となりにくく、これによって、レンズ設計の自由度が増す、あるいは、レンズ付き基板41に備わる担持部92を含めたレンズ樹脂部82の大きさを小さく抑える、という作用または効果をもたらす。
図69の積層レンズ構造体11においては、光は絞りから下側に向かって、末広がりに広がって進行するため、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、下側に配置した何枚かのレンズ付き基板41に備わるレンズ樹脂部82の大きさが大きい。このような大きいレンズ樹脂部82において、末広がりの形状の貫通孔83を用いると、レンズ樹脂部82の大きさを抑制する作用が大きく現れる。
そのため、図69の積層レンズ構造体11においては、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、特に下側の複数枚において、貫通孔83の断面形状が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となったレンズ付き基板41を用いている。
図70は、積層レンズ構造体11の第3変形例を示す断面図である。
図70の積層レンズ構造体11の第3変形例においても、図2の第1構成例と比較して、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状と、レンズ樹脂部82の貫通孔83との接続部分の形状が異なる。
図70の積層レンズ構造体11では、各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状が、光出射側から光入射側まで垂直な垂直形状となっている。
図71は、積層レンズ構造体11の第4変形例を示す断面図である。
図71の積層レンズ構造体11の第4変形例においても、図2の第1構成例と比較して、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状と、レンズ樹脂部82の貫通孔83との接続部分の形状が異なる。
図71の積層レンズ構造体11では、各レンズ付き基板41の貫通孔83の側壁が、貫通孔83の中央部から光出射側と光入射側との両方に向かって広がるような両テーパー形状に形成されている。このように貫通孔83の側壁の形状を両テーパー形状にすることにより、遮光膜121(図10)をより容易に成膜することができるようになる。また、この場合、貫通孔83の側壁のレンズ樹脂部82との接触部分が突起形状となるので、レンズ樹脂部82の保持安定性を向上させることができる。また、この場合、担体基板81の両面からエッチングを行って貫通孔83を形成するので、他の形状の場合よりも、貫通孔83の側壁のエッチングの処理時間を短くすることができる。
なお、図71の積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41aおよび41eにおいて、破線で示される担体構成基板80の貼り合わせ面が、貫通孔83の側壁の形状の切り替わり部分と一致しているが、必ずしも一致させる必要はない。
図72は、積層レンズ構造体11の第5変形例を示す断面図である。
図72の積層レンズ構造体11の第5変形例においても、図2の第1構成例と比較して、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状と、レンズ樹脂部82の貫通孔83との接続部分の形状が異なる。
図72の積層レンズ構造体11では、各レンズ付き基板41の貫通孔83の側壁が、貫通孔83の途中で段差が形成されるような段差形状に形成されている。また、各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状が、光出射側から光入射側まで垂直な垂直形状となっている。
なお、図72の積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41aおよび41eにおいて、破線で示される担体構成基板80の貼り合わせ面が、貫通孔83の側壁の段差部分と一致しているが、必ずしも一致させる必要はない。
図73は、積層レンズ構造体11の第6変形例を示す断面図である。
図73の積層レンズ構造体11の第6変形例においても、図2の第1構成例と比較して、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状と、レンズ樹脂部82の貫通孔83との接続部分の形状が異なる。
図73の積層レンズ構造体11では、各レンズ付き基板41の貫通孔83の側壁が、貫通孔83の途中で段差が形成されるような段差形状に形成されている。また、貫通孔83の段差形状の側壁の開口幅が大きい上側の断面形状が垂直形状となっている。
図73の積層担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41aおよび41eにおいて、破線で示される担体構成基板80の貼り合わせ面が、貫通孔83の側壁の段差部分と一致せず、開口幅が小さい下すぼみの形状の側壁の所定の位置となっている。
また、レンズ付き積層基板41aでは、レンズ樹脂部82aの上面の平面が、貫通孔83aの側壁の段差部分と一致しているのに対して、レンズ付き積層基板41bでは、レンズ樹脂部82bの平面が、担体基板81bの上面と一致している。これにより、レンズ付き積層基板41bでは、レンズ樹脂部82bが、貫通孔83aの段差部分上にも形成されている。
また、レンズ付き積層基板41cでは、貫通孔83cの側壁が段差形状に形成された上、段差形状の上段部分に、垂直方向に掘り込まれた溝270が形成されている。この溝270は、図59等で説明した溝部85と同様の作用効果を奏する。すなわち、エネルギー硬化性樹脂191を滴下した際の、余分なエネルギー硬化性樹脂191の退避場所となり得るスペースとなるとともに、担体基板81cの貫通孔83cの側壁に対するレンズ樹脂部82cの保持強度を向上させる。
貫通孔83の側壁の形状は、図68乃至図73を参照して説明した形状の他、任意の形状を採用し得る。
以上、説明した積層レンズ構造体11の第2乃至第13構成例および各変形例は、図1のカメラモジュール1に組み込まれた積層レンズ構造体11の第1構成例と任意に置き換えることができる。
<30.絞り板51の変形例>
次に、図74乃至図76を参照して、絞り板51の変形例について説明する。
積層レンズ構造体11の上部には、積層レンズ構造体11のレンズ樹脂部82の表面を保護するため、カバーガラスを設ける場合がある。この場合、カバーガラスに、絞り板51と同じ光学絞りの機能を持たせるようにすることができる。
図74は、カバーガラスが光学絞りの機能を備える第1構成例を示す図である。
図74に示されるカバーガラスが光学絞りの機能を備える第1構成例では、積層レンズ構造体11の上部にカバーガラス271がさらに積層されている。そして、積層レンズ構造体11とカバーガラス271の外側に、レンズバレル101が配置されている。
カバーガラス271のレンズ付き基板41a側の面(図中、カバーガラス271の下面)に、遮光膜272が形成されている。ここで、各レンズ付き基板41a乃至41eのレンズ中心(光学中心)から所定の範囲は、遮光膜272が形成されていない開口部273となっており、開口部273は、光学絞りとして機能する。これにより、例えば、図1のカメラモジュール1aで構成されていた絞り板51が省略されている。
図74に示したカバーガラスを用いた光学絞り機能の第1構成例によれば、塗布により光学絞りを形成するので、遮光膜272は1μm程度の薄い膜厚で形成することができ、絞り機構が所定の厚みを有することにより入射光が遮蔽されることに起因する光学性能の劣化(周辺部の減光)を抑えることができる。
遮光膜272の表面は粗くしてもよい。この場合、遮光膜272を形成したカバーガラス271表面の表面反射を減らすとともに、遮光膜272の表面積を増大させることができるので、カバーガラス271とレンズ付き基板41との接合強度を向上させることができる。
遮光膜272の表面を粗面にする方法としては、例えば、遮光膜272となる光吸収材料を塗布後、エッチングなどにより粗面に加工する方法、光吸収材料を塗布前のカバーガラス271を粗面に形成後、光吸収材料を塗布する方法、凝集する光吸収材料により成膜後に表面に凹凸が生じるようにする方法、固形分を含んだ光吸収材料により成膜後に表面に凹凸が生じるようにする方法、などがある。
また、遮光膜272とカバーガラス271との間に、反射防止膜を形成してもよい。
カバーガラス271が絞りの支持基板を兼用することにより、カメラモジュール1のサイズを小型化することができる。
図75は、カバーガラスが光学絞りの機能を備える第2構成例を示す図である。
図75に示されるカバーガラスが光学絞りの機能を備える第2構成例では、カバーガラス271が、レンズバレル101の開口部の位置に配置されている。その他の構成は、図74に示した第1構成例と同じである。
図76は、カバーガラスが光学絞りの機能を備える第3構成例を示す図である。
図76に示されるカバーガラスが光学絞りの機能を備える第3構成例では、遮光膜272が、カバーガラス271の上面、換言すれば、レンズ付き基板41aと反対側に形成されている。その他の構成は、図74に示した第1構成例と同じである。
なお、図75に示した、レンズバレル101の開口部にカバーガラス271を配置した構成においても、遮光膜272を、カバーガラス271の上面に形成してもよい。
<31.カメラモジュール1の第2実施の形態>
カメラモジュール1は、積層レンズ構造体11によって集光された入射光の焦点距離を調節する機構を備えるが、焦点調節機構は、図1で示した構成以外も採用し得る。
そこで、以下では、その他の焦点調節機構を採用したカメラモジュール1のその他の実施の形態について説明する。
初めに、カメラモジュールの第2実施の形態について説明する。
また、以下で説明するカメラモジュール1の第2実施の形態以降の各実施の形態についても、基本的には、積層レンズ構造体11としては、図2に示した第1構成例を組み込んだ構成例を用いて説明するが、上述した第2乃至第13構成例および各変形例に係る積層レンズ構造体11を組み込むことも可能である。
言い換えれば、本開示のカメラモジュール1において、積層レンズ構造体11の各構成例と、それを組み込むカメラモジュールに実装される焦点調節機構、光学絞りの機能、単眼構造または複眼構造など、任意の組み合わせで構成した構造が可能である。
図77は、本技術を適用したカメラモジュールの第2実施の形態を示す図である。
図77のAは、カメラモジュール1の第2実施の形態としてのカメラモジュール1bの平面図であり、図77のBは、カメラモジュール1bの断面図である。
図77のAは、図77のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図77のBは、図77のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図77では、図1に示したカメラモジュール1aと対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略し、異なる部分を重点的に説明する。図78以降で説明するその他の実施の形態においても、既に説明した部分については同様に適宜省略する。
図77に示されるカメラモジュール1bは、図1に示したカメラモジュール1aと同様に、AF駆動部108を構成するAF用コイル102とAF用マグネット105を備え、積層レンズ構造体11と撮像部12との間の距離を調整する焦点調節機構を備えたカメラモジュールである。
図77のカメラモジュール1bが図1のカメラモジュール1aと異なる点は、AF駆動部108を構成するAF用コイル102とAF用マグネット105の取り付け位置が、カメラモジュール1aと反対となっている点である。
即ち、図1に示したカメラモジュール1aでは、レンズバレル101の外周側にAF用コイル102が接着固定され、第1固定支持部104の内周側にAF用マグネット105が接着固定されているのに対して、図77のカメラモジュール1bでは、レンズバレル101の外周側にAF用マグネット105が接着固定され、第1固定支持部104の内周側にAF用コイル102が接着固定されている。
第1固定支持部104は、撮像部12から最も遠い上面において内周側に張り出した張り出し部を備え、略L次形状の断面形状を有している。AF用コイル102が第1固定支持部104に接着固定される際、AF用コイル102は、内周側の張り出し部に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。
また、カメラモジュール1bがカメラモジュール1aと異なる他の点は、AF用マグネット105の取り付け個数が異なる点である。
即ち、図1に示したカメラモジュール1aでは、AF用マグネット105は、四角形の筒状の4つの各内周面それぞれに取り付けられ、カメラモジュール1a全体では4個のAF用マグネット105を備えるのに対して、図77のカメラモジュール1bでは、AF用マグネット105がレンズバレル101の4つの各外周面のうち、対向する2つの外周面に取り付けられており、カメラモジュール1b全体では2個のAF用マグネット105を備える。
なお、AF用マグネット105の取り付け個数に関しては、2個または4個のどちらでもよい。即ち、図1のカメラモジュール1aが対向する位置に2個のAF用マグネット105を備えるようにしてもよいし、図77のカメラモジュール1bが4個のAF用マグネット105を備えるようにしてもよい。
以上のように構成されるカメラモジュール1bは、図1のカメラモジュール1aと同様の作用または効果をもたらす。
すなわち、カメラモジュール1bは、撮像部12が画像の撮影を行う際、AF駆動部108によって積層レンズ構造体11と撮像部12との間の距離を変更することができ、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
また、光軸方向に複数枚のレンズを積層する積層レンズの構成として、積層レンズ構造体11を採用しない場合には、カメラモジュールが備えるレンズの枚数分だけ、レンズ付き基板を1枚ずつレンズバレル内へ装填する工程が必要となる。
これに対して、光軸方向に複数枚のレンズを積層する積層レンズの構成として、積層レンズ構造体11を採用した場合には、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を、レンズバレル101内に1回装填するだけで、積層レンズとレンズバレルの組立てが終了する。
従って、カメラモジュール1bは、レンズ付き基板41を1枚ずつ装填する場合と比較して、モジュールの組み立てが容易であるとの作用効果と、装填処理のバラツキに起因した各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させないという作用効果をもたらす。
また、積層レンズ構造体11のレンズバレル101への組み付けは、光軸方向に対して垂直な内周側の方向へ張り出した張り出し部に突き当てるように位置合わせするだけである。AF用コイル102の第1固定支持部104への組み付けは、光軸方向に対して垂直な内周側の方向へ張り出した張り出し部に突き当てるように位置合わせするだけである。これにより、積層レンズ構造体11及びAF駆動部108の位置合わせが容易となり、モジュールの組み立てが容易である。
なお、図77では、第1固定支持部104の上面に張り出し部を設け、AF用コイル102を、図中の上方向に突き当てるようにしたが、第1固定支持部104の下面に張り出し部を設け、AF用コイル102を、図中の下方向に突き当てる構成としてもよい。
上述した第2実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<32.カメラモジュール1の第3実施の形態>
図78は、本技術を適用したカメラモジュールの第3実施の形態を示す図である。
図78のAは、カメラモジュール1の第3実施の形態としてのカメラモジュール1cの平面図であり、図78のBは、カメラモジュール1cの断面図である。
図78のAは、図78のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図78のBは、図78のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図78のカメラモジュール1cが図1のカメラモジュール1aと異なる点は、積層レンズ構造体11を収納するレンズバレル101が省略されている点である。
即ち、図78のカメラモジュール1cでは、レンズバレル101が省略され、AF用コイル102とサスペンション103a及び103bが、積層レンズ構造体11を構成する一部のレンズ付き基板41と絞り板51に直接接着されて、固定されている。AF用コイル102は、積層レンズ構造体11を構成する一部のレンズ付き基板41の外周にらせん状に巻き付けられている。
レンズバレル101が省略されたことにより、カメラモジュール1cの大きさを、レンズバレル101を使用するカメラモジュール1aやカメラモジュール1bと比較して小さくすることができるという作用または効果をもたらす。また、レンズバレル101が省略されたことにより、カメラモジュール1cの製造コストも、カメラモジュール1aやカメラモジュール1bと比較して抑えることができるという作用または効果をもたらす。
カメラモジュール1cは、図1のカメラモジュール1aと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させない、という作用効果をもたらす。
図79を参照して、第3実施の形態に係るカメラモジュール1cを例に、サスペンション103a及び103bの平面形状について説明する。
図79のAは、図78のカメラモジュール1cを、サスペンション103aから撮像部12の方向(下方向)に見た平面図であり、図79のBは、サスペンション103bのみの平面図である。
図79のCは、AF用コイル102を流れる電流の経路を説明するためのカメラモジュール1cの断面図である。
サスペンション103aは、図79のAに示されるように、第1固定支持部104と接着固定される第1固定板331と、積層レンズ構造体11上部の絞り板51と接着固定される第2固定板332と、第1固定板331と第2固定板332とを4隅で接続する接続バネ333a乃至333dとで構成される。
第1固定板331には、第1固定支持部104と接着固定する際の位置決め用の位置決め穴341a乃至341dが設けられている。
第2固定板332には、積層レンズ構造体11上部の絞り板51と接着固定する際の位置決め用の位置決め穴341e乃至341hが設けられている。
一方、サスペンション103bは、図79のBに示されるように、光軸中心を通り、2個のAF用マグネット105を結ぶ線分で均等に2分割された2枚の分割固定板351A及び351Bで構成される。なお、2枚の分割固定板351A及び351Bの分割方向は、2個のAF用マグネット105を結ぶ線分と直交する方向でもよい。
分割固定板351Aは、第1固定支持部104と接着固定される第1固定板361Aと、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eと接着固定される第2固定板362Aと、第1固定板361Aと第2固定板362Aとを接続する接続バネ363aおよび363bとで構成される。
第1固定板361Aには、第1固定支持部104と接着固定する際の位置決め用の位置決め穴371aおよび371bが設けられている。
第2固定板362Aには、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eと接着固定する際の位置決め用の位置決め穴371eおよび371fが設けられている。
一方、分割固定板351Bは、第1固定支持部104と接着固定される第1固定板361Bと、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eと接着固定される第2固定板362Bと、第1固定板361Bと第2固定板362Bとを接続する接続バネ363cおよび363dとで構成される。
第1固定板361Bには、第1固定支持部104と接着固定する際の位置決め用の位置決め穴371cおよび371dが設けられている。
第2固定板362Bには、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eと接着固定する際の位置決め用の位置決め穴371gおよび371hが設けられている。
サスペンション103aおよび103bは、例えば、CuやAl等の金属板を成形して作製され、それ自体が、電流を流す電線としての機能を有する。
AF用コイル102を流れる電流は、例えば、図79のCに示される第2固定支持部106の外周部381を流れて、図79のBに示される第1固定板361Aの接続点382に到達する。そして、電流は、第1固定板361Aの接続点382から、接続バネ363a、第2固定板362Aへと流れ、接続点383から、図79のCに示される積層レンズ構造体11の外周部384を通って、AF用コイル102へ到達する。
その後、AF用コイル102を流れた電流は、図79のCに示される積層レンズ構造体11の外周部384を通って、第2固定板362Bの接続点385に到達する。そして、電流は、第2固定板362Bの接続点385から、接続バネ363d、第1固定板361Bへと流れ、接続点386から、図79のCに示される第2固定支持部106の外周部381を通って、モジュール基板111へ到達する。
上述した第3実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<33.カメラモジュール1の第3実施の形態の変形例>
図80は、本技術を適用したカメラモジュールの第3実施の形態の第1変形例を示す図である。
図80のAは、第3実施の形態の第1変形例に係るカメラモジュール1dの平面図であり、図80のBは、第3実施の形態の第1変形例に係るカメラモジュール1dの断面図である。
図80のAは、図80のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図80のBは、図80のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図80の第3実施の形態の第1変形例に係るカメラモジュール1dが、図78に示した第3実施の形態のカメラモジュール1cと異なる点は、図80のAと図78のAの平面図どうしを比較して明らかなように、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の4隅の角部が直線的に除去され、レンズ付き基板41の平面形状が略八角形とされている点である。
図81は、本技術を適用したカメラモジュールの第3実施の形態の第2変形例を示す図である。
図81のAは、第3実施の形態の第2変形例に係るカメラモジュール1dの平面図であり、図81のBは、第3実施の形態の第2変形例に係るカメラモジュール1dの断面図である。
図81のAは、図81のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図81のBは、図81のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図81の第3実施の形態の第2変形例に係るカメラモジュール1dが、図78に示した第3実施の形態のカメラモジュール1cと異なる点は、図81のAと図78のAの平面図どうしを比較して明らかなように、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の4隅の角部が曲線的に除去され、レンズ付き基板41の平面形状が角丸の四角形とされている点である。
上述した第3実施の形態の変形例に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<34.カメラモジュール1の第4実施の形態>
図82は、本技術を適用したカメラモジュールの第4実施の形態を示す図である。
図82のAは、カメラモジュール1の第4実施の形態としてのカメラモジュール1eの平面図であり、図82のB及びCは、カメラモジュール1eの断面図である。
図82のAは、図82のB及びCの断面図におけるC‐C’線の平面図であり、図82のBは、図82のAの平面図におけるB‐B’線の断面図であり、図82のCは、図82のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図82のカメラモジュール1eが図1のカメラモジュール1aと異なる点は、積層レンズ構造体11を収納するレンズバレル101が省略されている点である。
また、図82のカメラモジュール1eが図1のカメラモジュール1aと異なる他の点は、図80で説明した第3実施の形態の第1変形例に係るカメラモジュール1dと同様に、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の4隅の角部が直線的に除去され、レンズ付き基板41の平面形状が略八角形とされている点である。
ここで、各レンズ付き基板41の平面形状が略八角形とされているのに対して、図82のAにおいて破線で示されるように、絞り板51の平面形状は、4隅の角部が除去されない四角形とされており、絞り板51は、4隅の角部においてレンズ付き基板41よりも外周側に張り出した形状となっている。
AF用コイル102を積層レンズ構造体11に接着固定する際、AF用コイル102は、4隅の角部において張り出した絞り板51に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。
以上のように構成されるカメラモジュール1eは、図1のカメラモジュール1aと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させない、という作用効果をもたらす。
AF用コイル102が巻き付けられる積層レンズ構造体11のレンズ付き基板41の4隅の角部が直角より緩い角度になるので、コイル装着時にコイルに傷が付いて不良の原因となるのを防ぐことができる、という作用または効果をもたらす。
さらに、基板状態のレンズ付き基板41Wを個片化する前に、角部を除去することにより、ダイシングによる個片化時または個片化後のレンズ付き基板41(担体基板81)のチッピングを防止することができる、という作用または効果をもたらす。
また、AF用コイル102の組み付けは、4隅の角部においてレンズ付き基板41よりも外周側に張り出した形状の絞り板51に突き当てるように位置合わせするだけであるので、AF用コイル102の位置合わせが容易となり、モジュールの組み立てが容易となる、という作用効果をもたらす。
なお、図82に示したカメラモジュール1eの絞り板51に代えて、図74で採用したカバーガラス271と遮光膜272を採用してもよい。また、光学絞りの機能が不要である場合には、AF用コイル102の突き当て対象物としてカバーガラス271のみを設けてもよい。
上述した第4実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<35.カメラモジュール1の第5実施の形態>
図83は、本技術を適用したカメラモジュールの第5実施の形態を示す図である。
図83のAは、カメラモジュール1の第5実施の形態としてのカメラモジュール1fの平面図であり、図83のB及びCは、カメラモジュール1fの断面図である。
図83のAは、図83のB及びCの断面図におけるC‐C’線の平面図であり、図83のBは、図83のAの平面図におけるB‐B’線の断面図であり、図83のCは、図83のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図83のカメラモジュール1fを、図82に示した第4実施の形態に係るカメラモジュール1eと比較すると、最上層のレンズ付き基板41a以外のレンズ付き基板41b乃至41eが、レンズ付き基板41b1乃至41e1に置き換えられている。
即ち、図83の第5実施の形態に係るカメラモジュール1fの積層レンズ構造体11は、最上層のレンズ付き基板41aとレンズ付き基板41b1乃至41e1とで構成されている。図83のAにおいて破線で示されるように、最上層のレンズ付き基板41aの平面形状は、4隅の角部が除去されない四角形とされているのに対して、レンズ付き基板41b1乃至41e1の平面形状は、4隅の角部が除去された八角形とされている。その結果、4隅の角部において最上層のレンズ付き基板41aがレンズ付き基板41b1乃至41e1よりも外周側に張り出した形状となっている。
AF用コイル102を積層レンズ構造体11に接着固定する際、AF用コイル102は、4隅の角部において張り出した最上層のレンズ付き基板41aに突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。
以上のように構成されるカメラモジュール1fは、図1のカメラモジュール1aと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させない、という作用効果をもたらす。
AF用コイル102が巻き付けられる積層レンズ構造体11のレンズ付き基板41b1乃至41e1の4隅の角部が直角より緩い角度になるので、コイル装着時にコイルに傷が付いて不良の原因となるのを防ぐことができる、という作用または効果をもたらす。
さらに、基板状態のレンズ付き基板41Wを個片化する前に、角部を除去することにより、ダイシングによる個片化時または個片化後のレンズ付き基板41b1乃至41e1(担体基板81b1乃至81e1)のチッピングを防止することができる、という作用または効果をもたらす。
また、AF用コイル102の組み付けは、4隅の角部においてレンズ付き基板41b1乃至41e1よりも外周側に張り出した形状のレンズ付き基板41aに突き当てるように位置合わせするだけであるので、AF用コイル102の位置合わせが容易となり、モジュールの組み立てが容易となる、という作用効果をもたらす。
上述した第5実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<36.カメラモジュール1の第6実施の形態>
図84は、本技術を適用したカメラモジュールの第6実施の形態を示す図である。
図84のAは、カメラモジュール1の第6実施の形態としてのカメラモジュール1gの平面図であり、図84のBは、カメラモジュール1gの断面図である。
図84のAは、図84のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図84のBは、図84のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図84に示されるカメラモジュール1gは、積層レンズ構造体11を収納するレンズバレル101が省略された構造を有し、積層レンズ構造体11の外周側にAF用マグネット105が接着固定され、第1固定支持部104の内周側にAF用コイル102が接着固定されている。
換言すれば、図84のカメラモジュール1gは、図77に示した第2実施の形態に係るカメラモジュール1bと同様、AF駆動部108を構成するAF用コイル102とAF用マグネット105の取り付け位置が、図1のカメラモジュール1aとは反対となっている。
また、カメラモジュール1gの積層レンズ構造体11は、レンズ付き基板41a、41b2乃至d2、及び41eで構成されており、中間層のレンズ付き基板41b2乃至d2の平面形状は、最上層及び最下層のレンズ付き基板41a及び41eよりも、AF用マグネット105の取り付け部分が掘り込まれた形状を有している。これにより、AF用マグネット105は、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41に埋め込まれている。
以上のように構成されるカメラモジュール1gは、図77のカメラモジュール1bと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させない、という作用効果をもたらす。
また、AF用マグネット105の組み付けは、最上層及び最下層のレンズ付き基板41a及び41eと、中間層のレンズ付き基板41b2乃至d2との平面形状の違いにより発生する掘り込み部分に突き当てるように位置合わせするだけである。一方、AF用コイル102の第1固定支持部104への組み付けは、光軸方向に対して垂直な内周側の方向へ張り出した張り出し部に突き当てるように位置合わせするだけである。これにより、AF用コイル102とAF用マグネット105の位置合わせが容易となり、モジュールの組み立てが容易である。
さらに、カメラモジュール1gでは、AF用マグネット105が、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41に埋め込まれた状態となるので、カメラモジュールの小型化及び軽量化に貢献する。
なお、図84のカメラモジュール1gでは、AF用マグネット105の厚み方向の全てがレンズ付き基板41に埋め込まれるようにしたが、AF用マグネット105の一部が埋め込まれるようにしてもよい。
上述した第6実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<37.カメラモジュール1の第7実施の形態>
図85は、本技術を適用したカメラモジュールの第7実施の形態を示す図である。
図85のAは、カメラモジュール1の第7実施の形態としてのカメラモジュール1hの平面図であり、図85のBは、カメラモジュール1hの断面図である。
図85のAは、図85のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図85のBは、図85のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図85に示されるカメラモジュール1hは、図83に示した第5実施の形態に係るカメラモジュール1fと比較して、AF用マグネット105の取り付け位置が変更された構造を有する。
具体的には、図83に示したカメラモジュール1fでは、AF用マグネット105が、平面図において、四角形の第1固定支持部104の平面部分に配置されていたのに対して、図85のカメラモジュール1hでは、四角形の第1固定支持部104の4隅の角部分に配置されている。換言すれば、AF用マグネット105は、略四角形のレンズ付き基板41の四隅と対向する位置に配置されている
なお、第1固定支持部104の4隅の角部分にAF用マグネット105を配置するために、図85のAにおいて破線で示されるように、最上層のレンズ付き基板41a3の4隅の角部分も、図83のカメラモジュール1fのレンズ付き基板41aと比較して僅かに除去されている。レンズ付き基板41b1乃至41e1については、図83のカメラモジュール1fと同様である。
また、第1固定支持部104に取り付けられたAF用マグネット105の個数は、図83に示したカメラモジュール1fでは、四角形の第1固定支持部104の4面のうちの対向する2面に取り付けられ、2個であったのに対して、図85のカメラモジュール1hでは、第1固定支持部104の4隅の角部分に取り付けられ、4個である。
図85のカメラモジュール1hのその他の構成は、図83に示したカメラモジュール1fと同様である。
以上のように構成されるカメラモジュール1hは、図83のカメラモジュール1fと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させない、という作用効果をもたらす。
AF用コイル102が巻き付けられる積層レンズ構造体11のレンズ付き基板41b1乃至41e1の4隅の角部が直角より緩い角度になるので、コイル装着時にコイルに傷が付いて不良の原因となるのを防ぐことができる、という作用または効果をもたらす。
さらに、基板状態のレンズ付き基板41Wを個片化する前に、角部を除去することにより、ダイシングによる個片化時または個片化後のレンズ付き基板41(担体基板81)のチッピングを防止することができる、という作用または効果をもたらす。
また、AF用コイル102の組み付けは、4隅の角部においてレンズ付き基板41b1乃至41e1よりも外周側に張り出した形状のレンズ付き基板41a3に突き当てるように位置合わせするだけであるので、AF用コイル102の位置合わせが容易となり、モジュールの組み立てが容易となる、という作用効果をもたらす。
上述した第7実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<38.カメラモジュール1の第8実施の形態>
図86は、本技術を適用したカメラモジュールの第8実施の形態を示す図である。
図86のAは、カメラモジュール1の第8実施の形態としてのカメラモジュール1iの平面図であり、図86のBは、カメラモジュール1iの断面図である。
図86のAは、図86のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図86のBは、図86のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図86に示されるカメラモジュール1iは、図85に示した第7実施の形態に係るカメラモジュール1hと比較して、AF駆動部108を構成するAF用コイル102とAF用マグネット105の取り付け位置が反対となっている。
即ち、図85に示したカメラモジュール1hでは、積層レンズ構造体11の外周側にAF用コイル102が接着固定され、第1固定支持部104の内周側にAF用マグネット105が接着固定されていたのに対して、図86のカメラモジュール1iでは、積層レンズ構造体11の外周側にAF用マグネット105が接着固定され、第1固定支持部104の内周側にAF用コイル102が接着固定されている。
第1固定支持部104は、撮像部12から最も遠い上面において内周側に張り出した張り出し部を備え、略L字形状の断面形状を有している。AF用コイル102が第1固定支持部104に接着固定される際、AF用コイル102は、内周側の張り出し部に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。
AF用マグネット105は、積層レンズ構造体11を構成する4枚のレンズ付き基板41b1乃至41e1の4隅の角部分に配置されている。AF用マグネット105は、4隅の角部において張り出した最上層のレンズ付き基板41a3に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。
図86のカメラモジュール1iのその他の構成は、図85に示したカメラモジュール1hと同様である。
以上のように構成されるカメラモジュール1iは、図85のカメラモジュール1hと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させない、という作用効果をもたらす。
積層レンズ構造体11のレンズ付き基板41b1乃至41e1の4隅の角部が直角より緩い角度になるので、基板状態のレンズ付き基板41Wを個片化する前に、角部を除去することにより、ダイシングによる個片化時または個片化後のレンズ付き基板41b1乃至41e1(担体基板81b1乃至81e1)のチッピングを防止することができる、という作用または効果をもたらす。
また、AF用コイル102の第1固定支持部104への組み付けは、光軸方向に対して垂直な内周側の方向へ張り出した張り出し部に突き当てるように位置合わせするだけである。これにより、AF用コイル102の位置合わせが容易となり、モジュールの組み立てが容易となる、という作用効果をもたらす。
さらに、カメラモジュール1iでは、AF用マグネット105の少なくとも一部が、積層レンズ構造体11を構成するレンズ付き基板41b1乃至41e1に埋め込まれた状態となるので、カメラモジュールの小型化及び軽量化に貢献する。
上述した第8実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<39.カメラモジュール1の第9実施の形態>
図87は、本技術を適用したカメラモジュールの第9実施の形態を示す図である。
図87のAは、カメラモジュール1の第9実施の形態としてのカメラモジュール1jの平面図であり、図87のBは、カメラモジュール1jの断面図である。
図87のAは、図87のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図87のBは、図87のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図87に示されるカメラモジュール1jは、図1に示したカメラモジュール1aに対して、光学的手振れ補正(OIS:Optical Image Stabilizer)の機構を追加した構造である。
図87のカメラモジュール1jでは、図1に示したカメラモジュール1aと比較すると、AF用コイル102が、レンズバレル101ではなく、新たに設けられた可動支持部401の外周側に接着されて固定されている。可動支持部401の内周側には、OIS用の永久磁石であるOIS用マグネット403が接着されて固定されている。
可動支持部401は、積層レンズ構造体11が収納されたレンズバレル101を囲むように四角形の筒状となっており、上面においてサスペンション103aを介して第1固定支持部104に固定され、下面においてサスペンション103bを介して第1固定支持部104に固定されている。
また、可動支持部401は、上面から見て四角形のレンズバレル101の四隅において、円柱形状の金属弾性体で形成されたOISサスペンション404を介してレンズバレル101と接続されている。レンズバレル101の外周面であって、OIS用マグネット403と対向する位置には、OIS用コイル402が接着固定されている。
上面から見て四角形のレンズバレル101の外周の四辺のうち、所定の対向する二辺にそれぞれ接着固定されたOIS用コイル402Xと、それと向き合うOIS用マグネット403Xは、X軸OIS駆動部405Xを構成し、OIS用コイル402Xに電流が流れることにより積層レンズ構造体11をX軸方向に移動させる。他の対向する二辺にそれぞれ接着固定されたOIS用コイル402Yと、それと向き合うOIS用マグネット403Yは、Y軸OIS駆動部405Yを構成し、OIS用コイル402Yに電流が流れることにより積層レンズ構造体11をY軸方向に移動させる。
光軸方向の積層レンズ構造体11の駆動については、図1に示したカメラモジュール1aと同様である。即ち、AF用コイル102とAF用マグネット105とで構成されるAF駆動部108が、AF用コイル102に電流が流れることにより、積層レンズ構造体11と撮像部12との間の距離を調整する。
以上のように構成されるカメラモジュール1jでは、図1に示したカメラモジュール1aで奏することができる作用または効果に加えて、光学的手振れ補正機構を備えるので、手振れ補正動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
なお、図87のカメラモジュール1jでは、レンズバレル101の外周面にOIS用コイル402を接着固定し、可動支持部401の内周側にOIS用マグネット403を接着固定したが、上述したAF用コイル102とAF用マグネット105の位置関係と同様に、OIS用コイル402とOIS用マグネット403の位置関係を入れ替えてもよい。
上述した第9実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<40.カメラモジュール1の第10実施の形態>
図88は、本技術を適用したカメラモジュールの第10実施の形態を示す図である。
図88のAは、カメラモジュール1の第10実施の形態としてのカメラモジュール1kの平面図であり、図88のBは、カメラモジュール1kの断面図である。
図88のAは、図88に示されるカメラモジュール1kを、下面のサスペンション103bから撮像部12の方向(下方向)に見た平面図であり、図88のBは、図88のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図88に示されるカメラモジュール1kは、図78に示したレンズバレル101を備えないカメラモジュール1cのAF動作を行う電磁式のAF駆動部108を、圧電材を用いたアクチュエータに変更した構造である。
より具体的には、図88のカメラモジュール1kでは、図78のカメラモジュール1cにおいて電磁式のAF駆動部108であるAF用コイル102とAF用マグネット105が省略され、その代わりに、圧電素子を用いた4個の圧電駆動部411a乃至411dが設けられている。
カメラモジュール1kはAF用コイル102を備えず、電流を流す必要が無いため、下面のサスペンション103bは、上面のサスペンション103aと同様に、1枚板で構成される。具体的には、サスペンション103bは、図88のAに示されるように、第1固定支持部104と接着固定される第1固定板361と、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eと接着固定される第2固定板362と、第1固定板361と第2固定板362とを4隅で接続する接続バネ363a乃至363dとで構成される。
圧電駆動部411a乃至411dは、略四角形の平面形状の第2固定板362の各辺に1対1に接続される。
圧電駆動部411aは、第2固定支持部106と固定される圧電固定部421a、電圧印加により形状変化する圧電可動部422a、および、第2固定板362と固定される圧電固定部423aを備える。
圧電可動部422aは、圧電材を2枚の電極(対向電極)で挟んだサンドイッチ構造を有し、2枚の電極に所定の電圧を印加すると、板状の圧電可動部422aが上下方向に反ることにより、積層レンズ構造体11が光軸方向に移動される。
圧電駆動部411bも同様に、圧電固定部421b、圧電可動部422b、および、圧電固定部423bを備える。圧電駆動部411cおよび411dについても同様である。
図88に示されるように、4個の圧電駆動部411a乃至411dを対称に配置することで、駆動力を大きくし、かつ、光軸方向以外のへの力を減らすことができる。
以上のように構成されるカメラモジュール1kは、図1のカメラモジュール1aと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させないという作用効果をもたらす。また、レンズバレル101が不要であるので、カメラモジュールを小型化および軽量化することができる。
なお、圧電駆動部411a乃至411dには、例えば、バイメタルや形状記憶合金、特開2013−200366号公報で開示されている高分子アクチュエータなど、電圧印加で板状の圧電材が形状変化し、対象物を移動させる任意の構造を採用することができる。
上述した第10実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<41.カメラモジュール1の第11実施の形態>
図89は、本技術を適用したカメラモジュールの第11実施の形態を示す図である。
図89のAは、カメラモジュール1の第11実施の形態としてのカメラモジュール1mの平面図であり、図89のBは、カメラモジュール1mの断面図である。
図89のAは、図89のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図89のBは、図89のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図89に示されるカメラモジュール1mは、図78に示した第3実施の形態に係るカメラモジュール1cのAF動作を行う電磁式のAF駆動部108を、超音波駆動を利用したリニアアクチュエータに変更した構造である。
より具体的には、図89のカメラモジュール1mでは、図78のカメラモジュール1cにおいて電磁式のAF駆動部108であるAF用コイル102とAF用マグネット105が省略され、その代わりに、駆動体453を連結した圧電素子452と、3本のガイド体454とが設けられている。圧電素子452と3本のガイド体454は、固定支持部451に固定されている。
駆動体453と3本のガイド体454は、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41(の担体基板81)の4隅付近に形成された孔461に挿通されている(挿入され貫通されている)。駆動体453と3本のガイド体454は、例えば、金属または樹脂の円柱形状とされる。
圧電素子452は、所定の電圧が印加されると、伸びの速度と縮みの速度とを異ならせて、周期的に駆動体453を伸び縮みさせる。レンズ付き基板41(の担体基板81)の4隅付近に形成された孔461の内壁と、駆動体453またはガイド体454の外壁の形状は、最適な摩擦力が得られるように設計される。つまり、圧電素子452の駆動能力が高い場合は大きな摩擦力、圧電素子452の駆動能力が低い場合は小さな摩擦力を得るように形状が設計される。
例えば、図89の例では、図89のAに示されるように、孔461の内壁の三方にグルーブを設け、孔461の内壁の一部が駆動体453またはガイド体454と接触して所望の摩擦力が発生する形状が採用されている。孔461は、ウェットエッチング等を用いて貫通孔83と同時に形成することができる。これにより、各孔461の孔形状および位置関係を正確に形成できるため、積層レンズ構造体11の駆動の精度を向上させることができる、という作用または効果を示す。
圧電素子452の駆動速度が遅い場合は、静止摩擦力により、積層レンズ構造体11は駆動体453の動きに追従する。圧電素子452の駆動速度が速い場合は、積層レンズ構造体11の慣性や静止摩擦などの総和が駆動体453に圧電素子452から与えられる駆動力よりも大きいので、積層レンズ構造体11は動かない。遅い伸び駆動と速い縮み駆動を交互に繰り返す事によって、積層レンズ構造体11は上方または下方の光軸方向に移動する。
3本のガイド体454は、固定支持部451に直接固定されており、駆動体453の動きに追従する積層レンズ構造体11の移動方向をガイドする。押し付けバネ455は、駆動を効率的に伝えるため、積層レンズ構造体11を駆動体453に押し付け、適度な摩擦力を発生させる。
以上のように構成されるカメラモジュール1mは、図1のカメラモジュール1aと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いるので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させないという作用効果をもたらす。また、レンズバレル101が不要であるので、カメラモジュールを小型化および軽量化することができる。
第25の実施の形態で採用した超音波駆動を利用したリニアアクチュエータは、他の超音波駆動のアクチュエータを積層レンズ構造体11に外付けする場合に比べて、カメラモジュール1全体のサイズを小さくすることができる、という作用または効果をもたらす。
上述した第11実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<42.カメラモジュール1の第12実施の形態>
図90は、本技術を適用したカメラモジュールの第12実施の形態を示す図である。
図90のAは、カメラモジュール1の第12実施の形態としてのカメラモジュール1nの平面図であり、図90のBは、カメラモジュール1nの断面図である。
図90のAは、図90のBの断面図におけるB‐B’線から撮像部12の方向(下方向)に見た平面図であり、図90のBは、図90のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
これまで上述した第1実施の形態乃至第11実施の形態に係るカメラモジュール1a乃至1mが、すべて積層レンズ構造体11を光軸方向に移動させる方式であったのに対して、図90に示されるカメラモジュール1nは、積層レンズ構造体11を固定して、撮像部12を光軸方向に移動させる方式である。
積層レンズ構造体11は、レンズバレル481に収納され、レンズバレル481が第2固定支持部482に直接結合されることで、モジュール基板111に対して固定位置とされている。
撮像部12は、受光素子ホルダ491上に載置され、受光素子ホルダ491は、複数の平行リンク492で第2固定支持部482に結合しており、撮像部12が光軸方向に略平行移動可能となっている。
圧電アクチュエータ493は、圧電材を2枚の電極(対向電極)で挟んだサンドイッチ構造を有し、2枚の電極に所定の電圧を印加すると、板状の圧電アクチュエータ493が上下方向に反ることにより、受光素子ホルダ491上に載置された撮像部12が光軸方向に移動される。これにより、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離が調節可能となる。
圧電アクチュエータ493としては、その他、例えば、バイメタルや形状記憶合金、特開2013−200366号公報で開示されている高分子アクチュエータなど、電圧印加で板状の圧電材が形状変化し、対象物を移動させる任意の構造を採用することができる。
なお、カメラモジュール1は、焦点調節機構(オートフォーカス機構)として、撮像部12を積層レンズ構造体11の光軸方向に移動させる手段であれば、圧電アクチュエータ以外の手段を用いてもよい。例えば、図89に記載の超音波駆動を利用したリニアアクチュエータを撮像部12に取り付けて、撮像部12を積層レンズ構造体11の光軸方向に移動させてもよい。また別の例として、図1に記載の電磁式のAF駆動部108を撮像部12に取り付けて、撮像部12を積層レンズ構造体11の光軸方向に移動させてもよい。さらに別の例として、撮像部12に支持体を取り付けて、その支持体をコイルとマグネットを用いた電磁式の駆動機構を使って移動させることで、撮像部12を積層レンズ構造体11の光軸方向に移動させてもよい。
レンズバレル481は、図90のBに示されるように、撮像部12から最も遠い上面において内周側に張り出した張り出し部483を備え、略L字状の断面形状を有している。積層レンズ構造体11をレンズバレル481に接着固定する際、積層レンズ構造体11は、張り出し部483に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。これにより、積層レンズ構造体11とレンズバレル481との位置関係を精度良く組み立てることができる。
また、レンズバレル481は、図90のBに示されるように、第2固定支持部482との接続面に所定の凹凸形状を持たせた結合部484を備えることにより、精度良く位置合わせして、固定することができる。
以上のように構成されるカメラモジュール1nは、図1のカメラモジュール1aと同様に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。また、複数枚のレンズ付き基板41が光軸方向に一体となった積層レンズ構造体11を用いて、レンズバレル481の張り出し部483に突き当てるように位置合わせするだけなので、モジュールの組み立てが容易となり、複数枚のレンズ付き基板41の各レンズ樹脂部82の中心位置のバラツキを発生させないという作用効果をもたらす。また、レンズバレル101が不要であるので、カメラモジュールを小型化および軽量化することができる。
上述した第12実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<43.カメラモジュール1の第13実施の形態>
図91は、本技術を適用したカメラモジュールの第13実施の形態を示す図である。
図91に示されるカメラモジュール1の第13実施の形態としてのカメラモジュール1pにおいて、積層レンズ構造体11は、レンズバレル101に収納されている。レンズバレル101は、シャフト531に沿って移動する移動部材532と、固定部材533で固定されている。レンズバレル101が不図示の駆動モータによってシャフト531の軸方向に移動されることにより、積層レンズ構造体11から撮像部12の撮像面までの距離が調整される。
レンズバレル101、シャフト531、移動部材532、及び、固定部材533は、ハウジング534に収納されている。撮像部12の上部には保護基板535が配置され、保護基板535とハウジング534が、接着剤536により接続されている。
上記の積層レンズ構造体11を移動させる機構は、カメラモジュール1pを用いたカメラが、画像を撮影する際に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
上述した第13実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<44.カメラモジュール1の第14実施の形態>
図92は、本技術を適用したカメラモジュールの第14実施の形態を示す図である。
図92のカメラモジュール1の第13実施の形態としてのカメラモジュール1qは、圧電素子による焦点調節機構を追加したカメラモジュールである。
即ち、カメラモジュール1qでは、撮像部12の上側の一部に、構造材551が配置されている。その構造材551を介して、撮像部12と光透過性基板552が固定されている。構造材551は、例えばエポキシ系の樹脂である。
光透過性基板552の上側には、圧電素子553が配置されている。その圧電素子553を介して、光透過性基板552と積層レンズ構造体11が固定されている。
カメラモジュール1qでは、積層レンズ構造体11の下側に配置した圧電素子553へ電圧を印加および遮断することで、積層レンズ構造体11を上下方向に移動させることができる。積層レンズ構造体11を移動する手段としては、圧電素子553に限らず、電圧の印加および遮断によって形状が変化する他のデバイスを用いることができる。例えばMEMSデバイスを用いることができる。
上記の積層レンズ構造体11を移動させる機構は、カメラモジュール1qを用いたカメラが、画像を撮影する際に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
上述した第14実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<45.カメラモジュール1の第15実施の形態>
図93は、本技術を適用したカメラモジュールの第15実施の形態を示す図である。
上述したカメラモジュール1の第1実施の形態乃至第14実施の形態であるカメラモジュール1a乃至1qは、複眼構造の積層レンズ構造体11に対しても適用可能である。
図90に示したカメラモジュール1nを例に、複眼カメラモジュールの構造例を図93に示す。
図93のAは、図93のBの断面図におけるB‐B’線の平面図であり、図93のBは、図93のAの平面図におけるA‐A’線の断面図である。
図93に示されるカメラモジュール1n2は、2個の光学ユニット13が担体基板81で連結された積層レンズ構造体11を備える。光学ユニット13は、光軸方向に積層された複数のレンズ樹脂部82からなるレンズ群と絞り板51を含む。また、カメラモジュール1n2は、2個の光学ユニット13それぞれの下方に、IRカットフィルタ107および撮像部12を備える。2個の撮像部12は、それぞれの受光素子ホルダ491上に載置され、各受光素子ホルダ491は、複数の平行リンク492で第2固定支持部482に結合しており、独立して光軸方向に略平行移動可能となっている。
積層レンズ構造体11が2個以上の光学ユニット13を備える場合には、積層レンズ構造体11を構成する複数個の光学ユニット13が担体基板81で連結された状態で個片化されるため、光軸と直交するXY方向の位置関係をウエハプロセスで精度良く作製することができる。
そして、積層レンズ構造体11をレンズバレル481に接着固定する際、積層レンズ構造体11は、レンズバレル481の上面において内周側に張り出した張り出し部483に突き当てるようにして位置合わせされ、接着固定される。これにより、光軸方向の位置関係も精度良く組み立てることができ、特別な光軸合わせを省略することができる、という作用または効果をもたらす。
また、撮像部12を個別に光軸方向に駆動できるように独立して配置したので、バックフォーカスが異なる光学ユニット13の組み合わせであっても、正確なフォーカス合わせ可能である、という作用または効果をもたらす。
なお、図93を参照して、図90に示したカメラモジュール1nを複眼カメラモジュールとした構成について説明したが、これまで上述した第1実施の形態乃至第14実施の形態に係るカメラモジュール1a乃至1qの全てについて、複眼カメラモジュール構成を採用することができることは言うまでもない。
<46.カメラモジュール1の第16実施の形態>
焦点調節機構(オートフォーカス機構)は、上述したAF用コイル102とAF用マグネット105とからなる電磁式のAF駆動部108や、圧電アクチュエータ493の他、積層レンズ構造体11のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、レンズ形状を変形させることができる形状可変レンズ82Vとすることで実現してもよい。
以下では、積層レンズ構造体11の積層された複数枚のレンズ付き基板41のうちの少なくとも1つのレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、形状可変レンズ82Vとしたカメラモジュール1の構成について説明する。
図94乃至図97は、本技術を適用したカメラモジュール1の第16実施の形態としてのカメラモジュール1rを示す概略断面図である。
なお、図94乃至図97では、レンズ付き基板41のレンズ樹脂部82にのみ注目して説明するため、各レンズ付き基板41を、単層構造の担体基板81を用いたレンズ付き単層基板41として図示するが、積層構造の担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41でも成り立つことは言うまでもない。また、図94乃至図97では、図93と同様、複眼構造の例で説明するが、単眼構造でも適用可能であることは勿論である。
<第1の形状可変レンズの例>
図94のAは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最上層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第1の形状可変レンズ82V−1に置き換えた構成例を示している。
図90のBは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最下層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第1の形状可変レンズ82V−1に置き換えた構成例を示している。
第1の形状可変レンズ82V−1は、可逆的に形状変化可能な物質を用いたレンズ材621と、レンズ材621を挟み込むように上面と下面それぞれに配置されたカバー材622と、上面のカバー材622に接触して配置された圧電材料623とで構成されている。
レンズ材621は、例えば、ソフトポリマー(米国特許出願公開第2011/149409号明細書)、フレキシブルポリマー(米国特許出願公開第2011/158617号明細書)、シリコンオイル等の動体流体(特開2000-081504号公報)、シリコンオイル、弾体ゴム、ゼリー、水等の流体(特開2002-243918号公報)などで構成される。
カバー材622は、例えば、可撓性材料でできたカバーガラス(米国特許出願公開第2011/149409号明細書)、屈曲可能な透明カバー(米国特許出願公開第2011/158617号明細書)、珪酸ガラスからなる弾性膜(特開2000-081504号公報)、合成樹脂や有機材料を用いた柔らかい基板(特開2002-243918号公報)などで構成される。
第1の形状可変レンズ82V−1は、圧電材料623に電圧を印加することで、レンズ材621の形状を変形させることができ、これにより、焦点を可変することができる。
図94は、第1の形状可変レンズ82V−1を用いた1枚のレンズ付き基板41を、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41の最上層または最下層に配置した例であるが、最上層と最下層の間の中間層に配置してもよい。また、第1の形状可変レンズ82V−1を用いたレンズ付き基板41の枚数を、1枚ではなく複数枚としてもよい。
<第2の形状可変レンズの例>
図95のAは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最上層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第2の形状可変レンズ82V−2に置き換えた構成例を示している。
図95のBは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最下層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第2の形状可変レンズ82V−2に置き換えた構成例を示している。
第2の形状可変レンズ82V−2は、圧力印加部631と、凹部を有し光透過性を持った基材632と、基材632の凹部の上方に配置され光透過性を持った膜633と、膜633と基材632の凹部との間に封入した流動体634とで構成されている。
膜633は、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテレフタレートエチレン、ポリカーボネート、パリレン 、エポキシ樹脂、感光性ポリマー、シリコン、珪素、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、多結晶シリコン、窒化チタン、ダイヤモンドカーボン、錫酸化インジウム、アルミニウム、銅、ニッケル、圧電材料などで構成される。
流動体634は、例えば、プロピレンカーボネート、水、屈折率液体、オプティカルオイル、イオン性液体、または、空気、窒素、ヘリウムなどのガス等で構成される。
第2の形状可変レンズ82V−2は、圧力印加部631が膜633の外周近傍を押下することで、膜633の中央部が盛り上がる。圧力印加部631による押下の大きさを制御することで、盛り上がった部分の流動体634の形状を変形させることができ、これにより、焦点を可変することができる。
第2の形状可変レンズ82V−2の構造については、例えば、米国特許出願公開第2012/170920号明細書などに開示されている。
図95は、第2の形状可変レンズ82V−2を用いた1枚のレンズ付き基板41を、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41の最上層または最下層に配置した例であるが、最上層と最下層の間の中間層に配置してもよい。また、第2の形状可変レンズ82V−2を用いたレンズ付き基板41の枚数を、1枚ではなく複数枚としてもよい。
<第3の形状可変レンズの例>
図96のAは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最上層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第3の形状可変レンズ82V−3に置き換えた構成例を示している。
図96のBは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最下層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第3の形状可変レンズ82V−3に置き換えた構成例を示している。
第3の形状可変レンズ82V−3は、凹部を有し光透過性を持った基材641と、基材641の凹部の上方に配置され光透過性を持った電気活性材料642と、電極643とで構成されている。
第3の形状可変レンズ82V−3は、電極643が電気活性材料642へ電圧を印加することで、電気活性材料642の中央部が盛り上がる。印加する電圧の大きさを制御することで、電気活性材料642の中央部の形状を変形させることができ、これにより、焦点を可変することができる。
第3の形状可変レンズ82V−3の構造については、例えば、特表2011-530715号公報などに開示されている。
図96は、第3の形状可変レンズ82V−3を用いた1枚のレンズ付き基板41を、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41の最上層または最下層に配置した例であるが、最上層と最下層の間の中間層に配置してもよい。また、第3の形状可変レンズ82V−3を用いたレンズ付き基板41の枚数を、1枚ではなく複数枚としてもよい。
<第4の形状可変レンズの例>
図97のAは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最上層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第4の形状可変レンズ82V−4に置き換えた構成例を示している。
図97のBは、積層された複数枚のレンズ付き基板41のうち、最下層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82を、第4の形状可変レンズ82V−4に置き換えた構成例を示している。
第4の形状可変レンズ82V−4は、液晶材料651と、それを上下で挟み込む2枚の電極652とで構成されている。
第4の形状可変レンズ82V−4は、2枚の電極652が液晶材料651へ所定の電圧を印加することで、液晶材料651の配向が変化し、これにより液晶材料651を透過する光の屈折率が変化する。液晶材料651へ印加する電圧の大きさを制御して、光の屈折率を変化させることで、焦点を可変することができる。
第4の形状可変レンズ82V−4の構造については、例えば、米国特許出願公開第2014/0036183号明細書などに開示されている。
図97は、第4の形状可変レンズ82V−4を用いた1枚のレンズ付き基板41を、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41の最上層または最下層に配置した例であるが、最上層と最下層の間の中間層に配置してもよい。また、第4の形状可変レンズ82V−4を用いたレンズ付き基板41の枚数を、1枚ではなく複数枚としてもよい。
上述した第1の形状可変レンズ82V−1乃至第4の形状可変レンズ82V−4は、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11の任意のレンズ付き基板41と置き換えることができる。
<47.カメラモジュール1の第17実施の形態>
次に、図98乃至図101を参照して、固定焦点方式のカメラモジュールの実施の形態について説明する。
なお、図98乃至図101では、上述した他の実施の形態に係るカメラモジュール1において既に説明した部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は省略する。図98乃至図101では、図93と同様、複眼構造の例で説明するが、単眼構造でも適用可能であることは勿論である。
図98は、本技術を適用したカメラモジュール1の第17実施の形態としてのカメラモジュール1sを示す概略断面図である。
撮像部12の上側には、構造材73が配置されている。その構造材73を介して、積層レンズ構造体11と撮像部12とが固定されている。構造材73は、例えばエポキシ系の樹脂である。
撮像部12の積層レンズ構造体11側となる上側の面には、オンチップレンズ71が形成されており、撮像部12の下側の面には、信号を入出力する外部端子72が形成されている。
上述した第17実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<48.カメラモジュール1の第18実施の形態>
図99は、本技術を適用したカメラモジュール1の第18実施の形態としてのカメラモジュール1tを示す概略断面図である。
図99のカメラモジュール1tでは、図98に示したカメラモジュール1sにおける構造材73の部分が異なる構造に置き換えられている。
図99のカメラモジュール1tでは、図98のカメラモジュール1sにおける構造材73の部分が、構造材551a及び551bと、光透過性基板552に置き換えられている。
具体的には、撮像部12の上側の一部に、構造材551aが配置されている。その構造材551aを介して、撮像部12と光透過性基板552が固定されている。構造材551aは、例えばエポキシ系の樹脂である。
光透過性基板552の上側には、構造材551bが配置されている。その構造材551bを介して、光透過性基板552と積層レンズ構造体11が固定されている。構造材551bは、例えばエポキシ系の樹脂である。
上述した第18実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<49.カメラモジュール1の第19実施の形態>
図100は、本技術を適用したカメラモジュール1の第19実施の形態としてのカメラモジュール1uを示す概略断面図である。
図100のカメラモジュール1uでは、図99に示したカメラモジュール1tにおける構造材551aの部分が異なる構造に置き換えられている。
具体的には、図100のカメラモジュール1uでは、図99に示したカメラモジュール1tの構造材551aの部分が、光透過性を有する樹脂層571に置き換えられている。
樹脂層571は、撮像部12の上側全面に配置されている。その樹脂層571を介して、撮像部12と光透過性基板552が固定されている。撮像部12の上側全面に配置された樹脂層571は、光透過性基板552の上方から光透過性基板552に応力が加わった場合に、これが撮像部12の一部の領域に集中して印加されることを防ぎ、撮像部12全面に応力を分散させて受け止める作用または効果をもたらす。
光透過性基板552の上側には、構造材551bが配置されている。その構造材551bを介して、光透過性基板552と積層レンズ構造体11が固定されている。
図99のカメラモジュール1tと図100のカメラモジュール1uは、撮像部12の上側に光透過性基板552を備える。光透過性基板552は、例えば、カメラモジュール1tまたは1uを製造する途中で、撮像部12に傷が着くことを抑える、という作用または効果をもたらす。
上述した第19実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<50.カメラモジュール1の第20実施の形態>
図101は、本技術を適用したカメラモジュール1の第20実施の形態としてのカメラモジュール1vを示す概略断面図である。
図101のカメラモジュール1vは、図98に示したカメラモジュール1sにおける撮像部12の2個の受光領域12aを、受光領域12aごとの個別の撮像部12に分割した構成を有する。
撮像部12で生成された画素信号は、中継端子701と中継基板702を介して、外部端子72から出力される。各撮像部12の最上面には、IRカットフィルタ703が形成されている。
上述した第20実施の形態に係るカメラモジュール1の積層レンズ構造体11には、上述した第1乃至第13構成例および変形例に係る積層レンズ構造体11のいずれをも組み込むことができる。
<51.カメラモジュール1の第21実施の形態>
次に、図102乃至図131を参照して、複眼構造のカメラモジュールのその他の実施の形態について説明する。
図102は、本技術を適用したカメラモジュールの第21実施の形態を示す図である。
図102のAは、カメラモジュール1の第21実施の形態としてのカメラモジュール1Aの構成を示す分解斜視図であり、図102のBは、カメラモジュール1Aの断面図である。
カメラモジュール1Aは、図102のBに示されるように、光学ユニット13を複数個備えた複眼カメラモジュールであり、光学ユニット13は、光軸方向にレンズ樹脂部82を複数個備える。積層レンズ構造体11は、縦横それぞれ5個ずつ、合計25個の光学ユニット13を備える。積層レンズ構造体11は、3枚のレンズ付き基板41を積層して構成され、そのうちの最下層のレンズ付き基板41は、レンズ付き積層基板41となっている。
カメラモジュール1Aでは、複数個の光学ユニット13の光軸が、モジュールの外側に向かって広がるように配置され、これにより、広角の画像の撮影が可能とされている。図102のBでは、簡単のため、積層レンズ構造体11は、レンズ付き基板41を3層だけ積層した構造になっているが、より多くのレンズ付き基板41を積層して良いことは言うまでもない。
図102のC乃至Eは、積層レンズ構造体11を構成する3層のレンズ付き基板41それぞれの平面形状を示す図である。
図102のCは、3層のうちの最上層のレンズ付き基板41の平面図であり、図102のDは、中間層のレンズ付き基板41の平面図であり、図102のEは、最下層のレンズ付き基板41の平面図である。カメラモジュール1Aは、複眼広角カメラモジュールであるため、上層になるに従って、レンズ樹脂部82の径が大きくなると共に、レンズ間のピッチが広がっている。
図102のF乃至Hは、図102のC乃至Eに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。
図102のFに示されるレンズ付き基板41Wは、図102のCのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図102のGに示されるレンズ付き基板41Wは、図102のDのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図102のHに示されるレンズ付き基板41Wは、図102のEのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示している。
図102のF乃至Hに示される基板状態のレンズ付き基板41Wは、図102のAに示したカメラモジュール1Aを、基板1枚につき8個得られる構成とされている。
図102のF乃至Hの各レンズ付き基板41Wの間で、モジュール単位のレンズ付き基板41内のレンズ間のピッチは、上層のレンズ付き基板41Wと下層のレンズ付き基板41Wとで異なる一方、各レンズ付き基板41Wにおいて、モジュール単位のレンズ付き基板41を配置するピッチは、上層のレンズ付き基板41Wから下層のレンズ付き基板41Wまで、一定となっていることがわかる。
<52.カメラモジュール1の第22実施の形態>
図103は、本技術を適用したカメラモジュールの第22実施の形態を示す図である。
図103のAは、カメラモジュール1の第22実施の形態としてのカメラモジュール1Bの外観を示す模式図であり、図103のBは、カメラモジュール1Bの概略断面図である。
カメラモジュール1Bは、2個の光学ユニット13を備える。2個の光学ユニット13は、積層レンズ構造体11の最上層に、絞り板51を備える。絞り板51には、開口部52が設けられている。
カメラモジュール1Bは2個の光学ユニット13を備えるが、これら2つの光学ユニット13の光学パラメータは異なる。すなわち、カメラモジュール1Bは、光学性能が異なる2種類の光学ユニット13を備える。2種類の光学ユニット13は、例えば、近景を撮影するための焦点距離が短い光学ユニット13と、遠景を撮影するために焦点距離が長い光学ユニット13とすることができる。
カメラモジュール1Bでは、2つの光学ユニット13の光学パラメータが異なるため、例えば、図103のBに示されように、2つの光学ユニット13のレンズの枚数が異なる。また、2つの光学ユニット13が備える積層レンズ構造体11の同じ層のレンズ樹脂部82において、径、厚さ、表面形状、体積、または、隣接するレンズとの距離、のいずれかが異なる構成が可能となっている。このため、カメラモジュール1Bにおけるレンズ樹脂部82の平面形状は、例えば、図103のCに示されるように、2つの光学ユニット13が同じ径のレンズ樹脂部82を備えていても良いし、図103のDに示すように、 異なる形状のレンズ樹脂部82を備えていても良いし、図103のEに示すように、一方がレンズ樹脂部82を備えない空洞82Xとなった構造でも良い。
図103のF乃至Hは、図103のC乃至Eに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。
図103のFに示されるレンズ付き基板41Wは、図103のCのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図103のGに示されるレンズ付き基板41Wは、図103のDのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図103のHに示されるレンズ付き基板41Wは、図103のEのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示している。
図103のF乃至Hに示される基板状態のレンズ付き基板41Wは、図103のAに示したカメラモジュール1Bを、基板1枚につき16個得られる構成とされている。
図103のF乃至Hに示されるように、カメラモジュール1Bを形成するために、基板状態のレンズ付き基板41Wの基板全面に同じ形状のレンズを形成することや、異なる形状のレンズを形成することや、レンズを形成したり形成しなかったりすることが可能である。
<53.カメラモジュール1の第23実施の形態>
図104は、本技術を適用したカメラモジュールの第23実施の形態を示す図である。
図104のAは、カメラモジュール1の第23実施の形態としてのカメラモジュール1Cの外観を示す模式図であり、図104のBは、カメラモジュール1Cの概略断面図である。
カメラモジュール1Cは、光の入射面上に、縦横2個ずつ、合計4個の光学ユニット13を備える。4個の光学ユニット13どうしでは、レンズ樹脂部82の形状は同じになっている。
4個の光学ユニット13は、積層レンズ構造体11の最上層に、絞り板51を備えるが、その絞り板51の開口部52の大きさが、4個の光学ユニット13の間で異なる。これにより、カメラモジュール1Cは、例えば、以下のようなカメラモジュール1Cを実現することができる。すなわち、例えば防犯用の監視カメラにおいて、昼間のカラー画像監視用に、RGB3種類のカラーフィルタを備えてRGB3種の光を受光する受光画素と、夜間の白黒画像監視用に、RGB用のカラーフィルタを備えない受光画素と、を備えた撮像部12を用いたカメラモジュール1Cにおいて、照度が低い夜間の白黒画像を撮影するための画素だけ絞りの開口の大きさを大きくすることが可能となる。このため、1個のカメラモジュール1Cにおけるレンズ樹脂部82の平面形状は、例えば図104のCに示されるように、4つの光学ユニット13が備えるレンズ樹脂部82の径は同じであって、かつ、図104のDに示されるように、絞り板51の開口部52の大きさは、光学ユニット13によっては異なる。
図104のEは、図104のCに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。図104のFは、図104のDに示した絞り板51を得るための、基板状態での絞り板51Wを示す平面図である。
図104のEの基板状態のレンズ付き基板41W、及び、図104のFの基板状態の絞り板51Wでは、図104のAに示したカメラモジュール1Cを、基板1枚につき8個得られる構成とされている。
図104のFに示されるように、基板状態での絞り板51Wでは、カメラモジュール1Cを形成するために、カメラモジュール1Cが備える光学ユニット13毎に、異なる開口部52の大きさを設定することができる。
<54.カメラモジュール1の第24実施の形態>
図105は、本技術を適用したカメラモジュールの第24実施の形態を示す図である。
図105のAは、カメラモジュール1の第24実施の形態としてのカメラモジュール1Dの外観を示す模式図であり、図105のBは、カメラモジュール1Dの概略断面図である。
カメラモジュール1Dは、カメラモジュール1Cと同様に、光の入射面上に、縦横2個ずつ、合計4個の光学ユニット13を備える。4個の光学ユニット13どうしでは、レンズ樹脂部82の形状と絞り板51の開口部52の大きさは同じになっている。
カメラモジュール1Dは、光の入射面の縦方向と横方向のそれぞれについて2個ずつ配置した光学ユニット13に備わる光軸が、同じ方向に延びている。図105のBに示される1点鎖線は、光学ユニット13それぞれの光軸を表している。この様な構造のカメラモジュール1Dは、超解像技術を利用して、1個の光学ユニット13で撮影するよりも、解像度が高い画像を撮影することに適している。
カメラモジュール1Dでは、縦方向と横方向のそれぞれについて、光軸が同じ方向を向きながら、異なる位置に配置された複数個の撮像部12で画像を撮影することにより、あるいは1個の撮像部12の中の異なる領域の受光画素で画像を撮影することにより、光軸が同じ方向を向きながら、必ずしも同一ではない複数枚の画像を得ることができる。これら同一ではない複数枚の画像が持っている場所毎の画像データを合わせることで、解像度が高い画像を得ることができる。このため、1個のカメラモジュール1Dにおけるレンズ樹脂部82の平面形状は、図105のCに示されるように、4つの光学ユニット13で同じになっていることが望ましい。
図105のDは、図105のCに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。基板状態のレンズ付き基板41Wは、図105のAに示したカメラモジュール1Dを、基板1枚につき8個得られる構成とされている。
図105のDに示されるように、基板状態のレンズ付き基板41Wでは、カメラモジュール1Dを形成するために、カメラモジュール1Dが複数個のレンズ樹脂部82を備え、この1個のモジュール用のレンズ群が、基板上に一定のピッチで複数個配置されている。
<55.撮像部12の画素配列と絞り板の構造と用途説明>
次に、図104と図105で示したカメラモジュール1が備える撮像部12の画素配列と絞り板51の構成についてさらに説明する。
図106は、図104と図105で示したカメラモジュール1に備わる絞り板51の平面形状の例を示す図である。
絞り板51は、光を吸収もしくは反射することで入射を防ぐ遮蔽領域51aと、光を透過させる開口領域51bとを備える。
図104と図105で示したカメラモジュール1に備わる4個の光学ユニット13は、絞り板51の開口領域51bの開口径が、図106のA乃至Dに示されるように、4個とも同じ大きさであっても良いし、異なる大きさであっても良い。図106の図中の「L」、「M」、「S」は、開口領域51bの開口径が「大」、「中」、「小」であることを表す。
図106のAに記載の絞り板51は、4個の開口領域51bの開口径が同じである。
図106のBに記載の絞り板51は、2個の開口領域51bの開口径の大きさが「中」つまり、標準的な絞りの開口である。これは例えば図1に示したように、絞り板51が、レンズ付き基板41のレンズ樹脂部82にやや重畳していて良い、言い換えれば、レンズ樹脂部82の直径よりも絞り板51の開口領域51bの方がやや小さくて良い。そして、図106のBに記載の絞り板51の残りの2個の開口領域51bは、開口径の大きさが「大」つまり、先に述べた開口径の大きさが「中」のものよりも、開口径が大きい。この大きな開口領域51bは、例えば被写体の照度が低い場合に、より多くの光をカメラモジュール1に備わる撮像部12へ入射させるという作用をもたらす。
図106のCに記載の絞り板51は、2個の開口領域51bの開口径の大きさが「中」つまり、標準的な絞りの開口である。そして、図106のCに記載の絞り板51の残りの2個の開口領域51bは、開口径の大きさが「小」つまり、先に述べた開口径の大きさが「中」のものよりも、開口径が小さい。この小さな開口領域51bは、例えば被写体の照度が高く、ここからの光を開口径の大きさが「中」である開口領域51bを通してカメラモジュール1に備わる撮像部12へ入射させると撮像部12に備わる光電変換部で発生する電荷が光電変換部の飽和電荷量を越えてしまうような場合に、撮像部12へ入射する光量を減らすという作用をもたらす。
図106のDに記載の絞り板51は、2個の開口領域51bの開口径の大きさが「中」つまり、標準的な絞りの開口である。そして、図106のDに記載の絞り板51の残りの2個の開口領域51bは、開口径の大きさが1個が「大」、1個が「小」である。これらの開口領域51bは、図106のBと図106のCで述べた開口径の大きさが「大」および「小」の開口領域51bと同様の作用をもたらす。
図107は、図104と図105で示したカメラモジュール1の撮像部12の構成を示している。
カメラモジュール1は、図107に示されるように、4個の光学ユニット13(不図示)を備える。そして、これら4個の光学ユニット13へ入射した光を、それぞれの光学ユニット13に対応した受光手段でそれぞれ受光する。そのために、図104と図105で示したカメラモジュール1は、撮像部12が、4個の受光領域12a1乃至12a4を備える。
なお受光手段に関わる別の実施の形態として、カメラモジュール1に備わる1個の光学ユニット13へ入射した光を受光する受光領域12aを、撮像部12が1個備え、カメラモジュール1がこのような撮像部12を、カメラモジュール1に備わる光学ユニット13の個数分、例えば図104と図105に記載のカメラモジュール1の場合は4個、備える構成であっても良い。
受光領域12a1乃至12a4は、それぞれに光を受光する画素をアレイ状に配列した画素アレイ12b1乃至12b4を備える。
なお、図107では、簡単のため、画素アレイに備わる画素を駆動するための回路や画素を読み出すための回路を省略し、受光領域12a1乃至12a4と、画素アレイ12b1乃至12b4とを同じ大きさで表している。
受光領域12a1乃至12a4に備わる画素アレイ12b1乃至12b4は、複数の画素からなる画素の繰り返し単位801c1乃至801c4を備え、これら繰り返し単位801c1乃至801c4を縦方向と横方向との双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで、画素アレイ12b1乃至12b4が構成されている。
撮像部12に備わる4個の受光領域12a1乃至12a4上には、それぞれに光学ユニット13が配置される。4個の光学ユニット13は、その一部として絞り板51を備える。図107では、絞り板51の4個の開口領域51bの開口径の一例として、図106のDに示した絞り板51の開口領域51bが破線で示されている。
画像の信号処理の分野では、原画像に対して適応することでより解像度が高い画像を得る技術として、超解像技術が知られている。その一例は、例えば特開2015−102794号公報に開示されている。
図104と図105に記載のカメラモジュール1は、断面構造として、図98乃至図101等に記載の構造を取り得る。
これらのカメラモジュール1は、光の入射面となるカメラモジュール1の表面の縦方向と横方向のそれぞれについて2個ずつ配置した光学ユニット13に備わる光軸が、同じ方向に延びている。これにより、光軸が同じ方向を向きながら、異なる受光領域を用いて、必ずしも同一ではない複数枚の画像を得ることができる。
この様な構造のカメラモジュール1は、得られた複数枚の原画像を基に、これらへ超解像技術を利用して、1個の光学ユニット13から得られる1枚の画像よりも、解像度が高い画像を得ることに適している。
図108乃至図111は、図104と図105で示したカメラモジュール1の受光領域12aの画素の構成例を示している。
なお、図108乃至図111において、Gの画素は、緑色波長の光を受光する画素を表し、Rの画素は、赤色波長の光を受光する画素を表し、Bの画素は、青色波長の光を受光する画素を表す。Cの画素は、可視光の全波長領域の光を受光する画素を表す。
図108は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第1の例を示している。
4個の画素アレイ12b1乃至12b4では、それぞれ、繰り返し単位801c1乃至801c4が行方向及び列方向に繰り返し配列されている。図108の繰り返し単位801c1乃至801c4それぞれは、R,G,B,Gの画素で構成されている。
図108の画素配列は、可視光が照射された被写体からの入射光を赤色(R)・緑色(G)・青色(B)に分光してRGB3色からなる画像を得ることに適する、という作用をもたらす。
図109は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第2の例を示している。
図109の画素配列は、図108の画素配列とは、繰り返し単位801c1乃至801c4を構成する各画素が受光する光の波長(色)の組合せが異なる。図109では、繰り返し単位801c1乃至801c4それぞれは、R,G,B,Cの画素で構成されている。
図109の画素配列は、上述のようにR,G,Bに分光しないで可視光の全波長領域の光を受光するCの画素を備える。Cの画素は分光した一部の光を受光するR,G,Bの画素よりも受光する光量が多い。このためこの構成は、例えば被写体の照度が低い場合であっても、この受光量の多いCの画素で得られる情報、例えば被写体の輝度情報を用いて、明度がより高い画像あるいは輝度についての階調性がより多い画像を得ることができる、という作用をもたらす。
図110は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第3の例を示している。
図110では、繰り返し単位801c1乃至801c4それぞれは、R,C,B,Cの画素で構成されている。
図110に記載の画素の繰り返し単位801c1乃至801c4は、Gの画素を備えない。Gの画素に相当する情報は、C、R、及びBの画素からの情報を演算処理することによって得る。例えば、Cの画素の出力値から、Rの画素とBの画素の出力値を減じることによって得る。
図110に記載の画素の繰り返し単位801c1乃至801c4は、全波長領域の光を受光するCの画素を、図109に記載の繰り返し単位801c1乃至801c4の2倍となる2個備える。また、図110に備わる画素アレイ12bにおけるCの画素のピッチが、画素アレイ12bの縦方向と横方向の双方において、図109に備わる画素アレイ12bにおけるCの画素のピッチの2倍となるように、図110に記載の画素の繰り返し単位801c1乃至801c4は、2個のCの画素を繰り返し単位801cの外形線の対角線方向に配置している。
このため図110に記載の構成は、例えば被写体の照度が低い場合に、受光量の多いCの画素から得る情報、例えば輝度情報を、図109に記載の構成と比較して、2倍の解像度で得ることが可能となり、これにより解像度が2倍高くて鮮明な画像を得ることができる、という作用をもたらす。
図111は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第4の例を示している。
図111では、繰り返し単位801c1乃至801c4それぞれは、R,C,C,Cの画素で構成されている。
例えば、自動車に搭載して前方を撮影するカメラ用途の場合、カラー画像は必ずしも必要とされない場合が多々ある。前方を走行する自動車の赤色のブレーキランプと道路に設置された信号機の赤信号を認識できて、かつ、その他の被写体の形状を認識できることを要求される場合が多い。
このため図111に記載の構成は、Rの画素を備えることで自動車の赤色のブレーキランプと道路に設置された信号機の赤信号を認識し、かつ、受光量の多いCの画素を図110に記載の画素の繰り返し単位801cよりもさらに数多く備えることで、例えば被写体の照度が低い場合にも、より解像度が高くて鮮明な画像を得ることができる、という作用をもたらす。
なお、図108乃至図111に示した撮像部12を備えるカメラモジュール1は、そのいずれもが、絞り板51の形状として、図106のA乃至Dに記載のいずれを用いても良い。
図108乃至図111に示した撮像部12のいずれかと、図106のA乃至Dいずれかの絞り板51を備えた、図104と図105に記載のカメラモジュール1は、光の入射面となるカメラモジュール1の表面の縦方向と横方向のそれぞれについて2個ずつ配置した光学ユニット13に備わる光軸が、同じ方向に延びている。
このような構造のカメラモジュール1は、得られた複数枚の原画像へ超解像技術を適応して、より解像度が高い画像を得ることができる、という作用をもたらす。
図112は、図108に示した画素配列の変形例を示している。
図108の繰り返し単位801c1乃至801c4は、R,G,B,Gの画素で構成され、同色の2つのGの画素の構造が同一であるのに対して、図112では、繰り返し単位801c1乃至801c4は、R,G1,B,G2の画素で構成され、同色の2つのGの画素、即ち、G1の画素とG2の画素で、画素の構造が異なる。
G1の画素とG2の画素は、画素に備わる信号生成手段(例えばフォトダイオード)として、G1の画素よりもG2の画素の方が、その適正な動作限界が高いもの(例えば飽和電荷量が大きいもの)を備える。かつ、画素に備わる生成信号の変換手段(例えば電荷電圧変換容量)の大きさも、G1の画素よりもG2の画素の方が大きいものを備える。
これらの構成により、G2の画素は、単位時間当たりに一定量の信号(例えば電荷)が生成した場合の出力信号がG1の画素よりも小さく抑えられ、かつ飽和電荷量が大きいために、例えば、被写体の照度が高い場合にも、画素が動作限界には至らず、これにより高い階調性を有する画像を得られる、という作用をもたらす。
一方、G1の画素は、単位時間当たりに一定量の信号(例えば電荷)が生成した場合に、G2の画素よりも大きな出力信号が得られるため、例えば、被写体の照度が低い場合にも、高い階調性を有する画像を得られる、という作用をもたらす。
図112に記載の撮像部12は、このようなG1の画素とG2の画素とを備えるため、広い照度範囲において高い階調性を有する画像を得られる、いわゆるダイナミックレンジの広い画像を得られる、という作用をもたらす。
図113は、図110の画素配列の変形例を示している。
図110の繰り返し単位801c1乃至801c4は、R,C,B,Cの画素で構成され、同色の2つのCの画素の構造が同一であるのに対して、図113では、繰り返し単位801c1乃至801c4は、R,C1,B,C2の画素で構成され、同色の2つのCの画素、即ち、C1の画素とC2の画素で、画素の構造が異なる。
C1の画素とC2の画素も、画素に備わる信号生成手段(例えばフォトダイオード)として、C1の画素よりもC2の画素の方が、その動作限界が高いもの(例えば飽和電荷量が大きいもの)を備える。かつ、画素に備わる生成信号の変換手段(例えば電荷電圧変換容量)の大きさも、C1の画素よりもC2の画素の方が大きいものを備える。
図114は、図111の画素配列の変形例を示している。
図111の繰り返し単位801c1乃至801c4は、R,C,C,Cの画素で構成され、同色の3つのCの画素の構造が同一であるのに対して、図114では、繰り返し単位801c1乃至801c4は、R,C1,C2,C3の画素で構成され、同色の3つのCの画素、即ち、C1乃至C3の画素で、画素の構造が異なる。
例えば、C1乃至C3の画素も、画素に備わる信号生成手段(例えばフォトダイオード)として、C1の画素よりもC2の画素、C2の画素よりもC3の画素の方が、その動作限界が高いもの(例えば飽和電荷量が大きいもの)を備える。また、画素に備わる生成信号の変換手段(例えば電荷電圧変換容量)の大きさも、C1の画素よりもC2の画素、C2の画素よりもC3の画素の方が大きいものを備える。
図113及び図114に記載の撮像部12は、上記の構成を備えるため、図112に記載の撮像部12と同様、広い照度範囲において高い階調性を有する画像を得られる、いわゆるダイナミックレンジの広い画像を得られる、という作用をもたらす。
図112乃至図114に記載の撮像部12を備えるカメラモジュール1の絞り板51の構成としては、図106のA乃至Dに示した各種の絞り板51の構成や、それらの変形例を採用することができる。
図112乃至図114に示した撮像部12のいずれかと、図106のA乃至Dいずれかの絞り板51を備えた、図104と図105に記載のカメラモジュール1は、光の入射面となるカメラモジュール1の表面の縦方向と横方向のそれぞれについて2個ずつ配置した光学ユニット13に備わる光軸が、同じ方向に延びている。
このような構造のカメラモジュール1は、得られた複数枚の原画像へ超解像技術を適応して、より解像度が高い画像を得ることができる、という作用をもたらす。
図115のAは、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第5の例を示している。
撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4は、上述したように必ずしも同一の構造ではなく、図115のAに示されるように、異なる構造であっても良い。
図115のAに示される撮像部12においては、画素アレイ12b1と画素アレイ12b4の構造が同じであり、画素アレイ12b1と12b4を構成する繰り返し単位801c1と801c4の構造も同じである。
これに対して、画素アレイ12b2と画素アレイ12b3の構造は、画素アレイ12b1と画素アレイ12b4の構造と異なる。具体的には、画素アレイ12b2と画素アレイ12b3の繰り返し単位801c2と801c3に含まれる画素サイズが、画素アレイ12b1と画素アレイ12b4の繰り返し単位801c1と801c4の画素サイズより大きい。さらに言えば、画素に含まれる光電変換部の大きさが大きい。画素サイズが大きいため、繰り返し単位801c2と801c3の領域サイズも、繰り返し単位801c1と801c4の領域サイズよりも大きい。このため、画素アレイ12b2と画素アレイ12b3は、画素アレイ12b1と画素アレイ12b4と比較して、同じ面積ではあるが、少ない画素数で構成されている。
図115のAの撮像部12を備えるカメラモジュール1の絞り板51の構成としては、図106のA乃至Cに示した各種の絞り板51の構成、もしくは、図115のB乃至Dに示される絞り板51の構成、または、それらの変形例を採用することができる。
一般的に、大きな画素を用いる受光素子は、小さな画素を用いる受光素子よりも、信号ノイズ比(S/N比)の良い画像を得られる、という作用をもたらす。
例えば信号の読み出し回路や読み出した信号を増幅する回路でのノイズの大きさは、大きな画素を用いる受光素子と小さな画素を用いる受光素子とでほぼ同じであるのに対して、画素に備わる信号生成部で生成する信号の大きさは、画素が大きいほど大きくなる。
このため、大きな画素を用いる受光素子は、小さな画素を用いる受光素子よりも、信号ノイズ比(S/N比)の良い画像を得られる、という作用をもたらす。
一方、画素アレイの大きさが同じであるならば、小さな画素を用いる受光素子は、大きな画素を用いる受光素子よりも、解像度が高くなる。
このため、小さな画素を用いる受光素子は、大きな画素を用いる受光素子よりも、解像度の高い画像を得られる、という作用をもたらす。
図115のAに記載の撮像部12に備わる上記の構成は、例えば、被写体の照度が高くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られる場合には、画素サイズが小さく解像度が高い受光領域12a1と12a4を用いて、解像度の高い画像を得ることが可能となり、さらにこれら2枚の画像へ超解像技術を適応してより解像度の高い画像をも得る、という作用をもたらす。
また、被写体の照度が低くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られないために、画像のS/N比が低下する懸念がある場合には、S/N比の高い画像が得られる受光領域12a2と12a3を用いて、S/N比の高い画像を得ることが可能となり、さらにこれら2枚の画像へ超解像技術を適応してより解像度の高い画像をも得る、という作用をもたらす。
この場合、図115のAに示した撮像部12を備えるカメラモジュール1は、絞り板51の形状として、図115のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、例えば、図115のBに記載の絞り板51の形状を用いて良い。
図115のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、例えば、図115のCの絞り板51は、大きな画素を用いた受光領域12a2と受光領域12a3と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bが、他の受光領域と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bよりも大きい。
このため、図115のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図115のCの絞り板51を、図115のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1は、図115のBの絞り板51を、図115のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1よりも、例えば、被写体の照度が低くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られない場合に、受光領域12a2と受光領域12a3とにおいて、よりS/N比の高い画像を得ることが可能になる、という作用をもたらす。
図115のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、例えば、図115のDの絞り板51は、大きな画素を用いた受光領域12a2と受光領域12a3と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bが、他の受光領域と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bよりも小さい。
このため、図115のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図115のDの絞り板51を、図115のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1は、図115のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図115のBの絞り板51を、図115のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1よりも、例えば、被写体の照度が高くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られる場合に、受光領域12a2と受光領域12a3へ入射する光の量を抑える、という作用をもたらす。
これにより、受光領域12a2と受光領域12a3に備わる画素へ過大な光が入射してしまい、これにより受光領域12a2と受光領域12a3に備わる画素の適正な動作限界を超えてしまう(例えば飽和電荷量を越えてしまう)という事態の発生を抑える、という作用をもたらす。
図116のAは、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第6の例を示している。
図116のAに示される撮像部12においては、画素アレイ12b1の繰り返し単位801c1の領域サイズが、画素アレイ12b2及び12b3の繰り返し単位801c1及び801c2の領域サイズよりも小さい。画素アレイ12b4の繰り返し単位801c4の領域サイズは、画素アレイ12b2及び12b3の繰り返し単位801c1及び801c2の領域サイズよりも大きい。
即ち、繰り返し単位801c1乃至801c4の領域サイズには、繰り返し単位801c1<(繰り返し単位801c2=繰り返し単位801c3)<繰り返し単位801c4、という関係がある。
繰り返し単位801c1乃至801c4の領域サイズが大きいほど、画素サイズも大きく、光電変換部のサイズも大きい。
図116のAの撮像部12を備えるカメラモジュール1の絞り板51の構成としては、図106のA乃至Cに示した各種の絞り板51の構成、もしくは、図116のB乃至Dに示される絞り板51の構成、または、それらの変形例を採用することができる。
図116のAに記載の撮像部12に備わる上記の構成は、例えば、被写体の照度が高くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られる場合には、画素サイズが小さく解像度が高い受光領域12a1を用いて、解像度の高い画像を得ることが可能となる、という作用をもたらす。
また、被写体の照度が低くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られないために、画像のS/N比が低下する懸念がある場合には、S/N比の高い画像が得られる受光領域12a2と受光領域12a3を用いて、S/N比の高い画像を得ることが可能となり、さらにこれら2枚の画像へ超解像技術を適応してより解像度の高い画像をも得る、という作用をもたらす。
被写体の照度がさらに低くそれゆえ撮像部12において画像のS/N比がさらに低下する懸念がある場合には、S/N比のさらに高い画像が得られる受光領域12a4を用いて、S/N比のさらに高い画像を得ることが可能となり、という作用をもたらす。
この場合、図116のAに示した撮像部12を備えるカメラモジュール1は、絞り板51の形状として、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、例えば、図116のBに記載の絞り板51の形状を用いて良い。
図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、例えば、図116のCの絞り板51は、大きな画素を用いた受光領域12a2と受光領域12a3と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bが、小さな画像を用いた受光領域12a1と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bよりも大きい。また、さらに大きな画素を用いた受光領域12a4と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bは、さらに大きい。
このため、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のCの絞り板51を、図116のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1は、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のBの絞り板51を、図116のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1よりも、例えば、被写体の照度が低くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られない場合に、受光領域12a2と受光領域12a3とにおいて、よりS/N比の高い画像を得ることが可能になると共に、被写体の照度がさらに低い場合に、受光領域12a4において、さらにS/N比の高い画像を得ることが可能になる、という作用をもたらす。
図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、例えば、図116のDの絞り板51は、大きな画素を用いた受光領域12a2と受光領域12a3と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bが、小さな画像を用いた受光領域12a1と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bよりも小さい。また、さらに大きな画素を用いた受光領域12a4と組み合わせて用いる絞り板51の開口領域51bは、さらに小さい。
このため、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のDの絞り板51を、図116のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1は、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のBの絞り板51を、図116のAに示した撮像部12と組み合わせて用いるカメラモジュール1よりも、例えば、被写体の照度が高くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られる場合に、受光領域12a2と受光領域12a3へ入射する光の量を抑える、という作用をもたらす。
これにより、受光領域12a2と受光領域12a3に備わる画素へ過大な光が入射してしまい、これにより受光領域12a2と受光領域12a3に備わる画素の適正な動作限界を超えてしまう(例えば飽和電荷量を越えてしまう)という事態の発生を抑える、という作用をもたらす。
また、受光領域12a4へ入射する光の量をさらに抑え、これにより、受光領域12a4に備わる画素へ過大な光が入射してしまい、これにより受光領域12a4に備わる画素の適正な動作限界を超えてしまう(例えば飽和電荷量を越えてしまう)という事態の発生をも抑える、という作用をもたらす。
なお、別の実施形態として、例えば一般的なカメラで用いられるように、複数枚の板を組み合わせ、その位置関係を変えることで開口の大きさを変える絞りと同様の構造を用いて、開口領域51bが可変となる絞り板51をカメラモジュールが備え、被写体の照度に応じて絞りの開口の大きさを変える構造としても良い。
例えば、図115のAと図116のAに記載の撮像部12を用いる場合に、被写体の照度が低い場合には、図115のB乃至Dと図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図115のCと図116のCの形状を用いて、これよりも被写体の照度が高い場合には、図115のBと図116のBの形状を用いて、これよりもさらに被写体の照度が高い場合には、図115のDと図116のDの形状を用いる、という構造としても良い。
図117は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第7の例を示している。
図117に示される撮像部12では、画素アレイ12b1の全画素は、緑色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b2の全画素は、青色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b3の全画素は、赤色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b4の全画素は、緑色の波長の光を受光する画素で構成されている。
図118は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第8の例を示している。
図118に示される撮像部12では、画素アレイ12b1の全画素は、緑色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b2の全画素は、青色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b3の全画素は、赤色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b4の全画素は、可視光全体の領域の波長の光を受光する画素で構成されている。
図119は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第9の例を示している。
図119に示される撮像部12では、画素アレイ12b1の全画素は、可視光全体の領域の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b2の全画素は、青色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b3の全画素は、赤色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b4の全画素は、可視光全体の領域の波長の光を受光する画素で構成されている。
図120は、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第10の例を示している。
図120に示される撮像部12では、画素アレイ12b1の全画素は、可視光全体の領域の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b2の全画素は、可視光全体の領域の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b3の全画素は、赤色の波長の光を受光する画素で構成されている。画素アレイ12b4の全画素は、可視光全体の領域の波長の光を受光する画素で構成されている。
図117乃至図120に示したように、撮像部12の画素アレイ12b1乃至12b4は、画素アレイ単位で同一帯域の波長の光を受光するように構成することができる。
従来から知られるRGB3板式の固体撮像素子は、受光素子を3個備え、それぞれの受光素子が、R画像のみ、G画像のみ、B画像のみ、を撮影する。従来から知られるRGB3板式の固体撮像素子は、1個の光学ユニットへ入射した光を、プリズムによって3方向へ分光した後、3個の受光素子を用いて受光している。このため、3個の受光素子へ入射する被写体画像の位置は、3個の間で同一である。このためこれら3個の画像へ超解像技術を適用して、感度の高い画像を得ることは難しい。
これに対して、図117乃至図120に記載の撮像部12いずれかを用いる、図104と図105に記載のカメラモジュール1は、光の入射面となるカメラモジュール1の表面において、その面内の縦方向と横方向のそれぞれに2個ずつ光学ユニット13が配置され、かつこれら4個の光学ユニット13に備わる光軸が、平行となって同じ方向に延びている。これにより、光軸が同じ方向を向きながら、撮像部12が備える4個の異なる受光領域12a1乃至12a4を用いて、必ずしも同一ではない複数枚の画像を得ることができる。
この様な構造のカメラモジュール1は、上記の配置の4個の光学ユニット13から得られた複数枚の画像を基に、これらへ超解像技術を利用して、1個の光学ユニット13から得られる1枚の画像よりも、解像度が高い画像を得ることができる、という作用をもたらす。
なお、図117に記載の撮像部12によって、G、R、G、B、4枚の画像を得る構成は、図108に記載の撮像部12において、G、R、G、B、4個の画素を繰り返し単位とする構成によってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
図118に記載の撮像部12において、R、G、B、C、4枚の画像を得る構成は、図109に記載の撮像部12において、R、G、B、C、4個の画素を繰り返し単位とする構成によってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
図119に記載の撮像部12において、R、C、B、C、4枚の画像を得る構成は、図110に記載の撮像部12において、R、C、B、C、4個の画素を繰り返し単位とする構成によってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
図120に記載の撮像部12において、R、C、C、C、4枚の画像を得る構成は、図111に記載の撮像部12において、R、C、C、C、4個の画素を繰り返し単位とする構成によってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
図117乃至図120に示した撮像部12いずれかを備えるカメラモジュール1の絞り板51の構成としては、図106のA乃至Dに示した各種の絞り板51の構成や、それらの変形例を採用することができる。
図121のAは、カメラモジュール1の撮像部12に備わる4個の画素アレイ12b1乃至12b4の画素配列の第11の例を示している。
図121のAに示される撮像部12においては、画素アレイ12b1乃至12b4それぞれで、1画素の画素サイズ、または、各画素が受光する光の波長が異なる。
画素サイズについては、画素アレイ12b1が最も小さく、画素アレイ12b2と12b3が同サイズで、画素アレイ12b1よりも大きく、画素アレイ12b4が、画素アレイ12b2と12b3よりも、さらに大きく構成されている。画素サイズの大きさは、各画素が備える光電変換部の大きさと比例する。
各画素が受光する光の波長については、画素アレイ12b1、12b2、及び12b4は、可視光全体の領域の波長の光を受光する画素で構成され、画素アレイ12b3は、赤色の波長の光を受光する画素で構成されている。
図121のAに記載の撮像部12に備わる上記の構成は、例えば、被写体の照度が高くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られる場合には、画素サイズが小さく解像度が高い受光領域12a1を用いて、解像度の高い画像を得ることが可能となる、という作用をもたらす。
また、被写体の照度が低くそれゆえ撮像部12において大きな信号が得られないために、画像のS/N比が低下する懸念がある場合には、S/N比の高い画像が得られる受光領域12a2を用いて、S/N比の高い画像を得ることが可能となる、という作用をもたらす。
被写体の照度がさらに低くそれゆえ撮像部12において画像のS/N比がさらに低下する懸念がある場合には、S/N比のさらに高い画像が得られる受光領域12a4を用いて、S/N比のさらに高い画像を得ることが可能となり、という作用をもたらす。
なお、図121のAに記載の撮像部12へ、図121のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図121のBの絞り板51を組み合わせて用いる構成は、図116のAに記載の撮像部12へ、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のBの絞り板51を組み合わせて用いる構成によってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
また、図121のAに記載の撮像部12へ、図121のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図121のCの絞り板51を組み合わせて用いる構成は、図116のAに記載の撮像部12へ、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のCの絞り板51を組み合わせて用いる構成によってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
また、図121のAに記載の撮像部12へ、図121のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図121のDの絞り板51を組み合わせて用いる構成は、図116のAに記載の撮像部12へ、図116のB乃至Dに記載した絞り板51の形状に関わる3枚のうち、図116のDの絞り板51を組み合わせて用いることによってもたらされる作用と、同様の作用をもたらす。
図121のAの撮像部12を備えるカメラモジュール1には、図106のA若しくはDに示した絞り板51の構成、若しくは、図121のB乃至Dに示される絞り板51の構成、または、それらの変形例を採用することができる。
<56.カメラモジュール1の第25実施の形態>
図122は、本技術を適用したカメラモジュールの第25実施の形態を示す図である。
図122のAは、カメラモジュール1の第25実施の形態としてのカメラモジュール1Eの外観を示す模式図である。図122のBは、カメラモジュール1Eの概略断面図である。
カメラモジュール1Eは、図103に示した第22実施の形態に係るカメラモジュール1Bと同様、2個の光学ユニット13を備える。カメラモジュール1Eが、図103のカメラモジュール1Bと異なる点は、第22実施の形態に係るカメラモジュール1Bでは、2個の光学ユニット13の光学パラメータが異なる構成であったのに対して、第22実施の形態に係るカメラモジュール1Eでは、2個の光学ユニット13の光学パラメータが同じものとなっている。すなわち、カメラモジュール1Eに備わる2個の光学ユニット13において、レンズ樹脂部82の個数、径、厚さ、および、表面形状、材料、上下に隣接する2枚のレンズ樹脂部82の間の距離、などが同じになっている。
図122のCは、カメラモジュール1Eの積層レンズ構造体11を構成する所定の1枚のレンズ付き基板41の平面形状を示す図である。
図122のDは、図122のCに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。
図123は、図122に示したカメラモジュール1Eの撮像部12の構造を説明する図である。
カメラモジュール1Eの撮像部12は、2個の受光領域12a1および12a2を備える。受光領域12a1と受光領域12a2は、それぞれに光を受光する画素をアレイ状に配列した画素アレイ12b1および12b2を備える。
画素アレイ12b1および12b2は、複数もしくは単数の画素からなる繰り返し単位801c1および801c2を備える。より詳しくは、画素アレイ12b1は、繰り返し単位801c1を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成され、画素アレイ12b2は、繰り返し単位801c2を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成されている。繰り返し単位801c1は、R,G,B,Gの各画素からなる4画素であり、繰り返し単位801c2は、1つのCの画素で構成される。
したがって、カメラモジュール1Eは、カラー画像信号を出力する1組のセンサユニット、即ち、R,G,Bの各画素を有する画素アレイ12b1と光学ユニット13の組と、白黒画像信号を出力する1組のセンサユニット、即ち、Cの画素を有する画素アレイ12b2と光学ユニット13の組とを備える。
国際電気通信連合が定めた、R,G,Bの画素信号を輝度信号と色差信号へ変換する規格ITU―R BT.601―7の輝度信号Yに関する次式(1)からもわかるように、R,G,Bの画素信号の中で、Gの信号は輝度に関する感度が最も高く、Bの信号は輝度に関する感度が最も低い。
Y=0.299R+0.587G+0.114B ・ ・ ・式(1)
そこで簡単のため、図123に記載の受光領域12a1において、高い感度で輝度情報が得られる画素はGの画素だけだと仮定して、高い感度で輝度情報が得られる画素が配置された場所を示すと、図124に示されるようになる。
図124は、図123に示した撮像部12において、高い感度で輝度情報が得られる画素が配置された場所を示す図である。
輝度情報に関わる上記の仮定に基づくと、受光領域12a1において高い感度で輝度情報が得られる画素は、Gの画素のみとなる。これに対して、受光領域12a2では、画素アレイ12b2を構成する全ての画素が、可視光の全波長領域の光を受光することにより高い感度で輝度情報が得られる、Cの画素となっている。
図125は、各画素の画素信号の出力点を画素中心として、図124に示した撮像部12において、高い感度で輝度情報が得られる画素(以下、高輝度画素ともいう。)の配置ピッチを示した図である。
受光領域12a1と受光領域12a2の高輝度画素の配置ピッチを比較すると、行方向と列方向については、共通の配置ピッチP_LEN1となっている。
しかし、行方向および列方向に対して45°となる斜め方向については、受光領域12a1の配置ピッチP_LEN2と受光領域12a2の配置ピッチP_LEN3は異なる。具体的には、受光領域12a2の配置ピッチP_LEN3は、受光領域12a1の配置ピッチP_LEN2の1/2の幅になっている。言い換えれば、行方向および列方向に対して45°となる斜め方向については、受光領域12a2は、受光領域12a1よりも、解像度が2倍高い画像を得ることができる。
図122乃至図125を参照して説明した2眼構造のカメラモジュール1Eは、R,G,B,Gの画素配列を繰り返し単位801c1として有するいわゆるベイヤ―配列の受光領域12a1に加えて、画素アレイ12b2を構成する全ての画素がCの画素となっている受光領域12a2を併せて備える。
このようなカメラモジュール1Eの構造は、受光領域12a1のみから得られる画像よりも、鮮明な画像を得ることができるという作用をもたらす。例えば、受光領域12a2から画素毎の輝度の変化の情報が得られる。この情報に基づいて、受光領域12a1から得られる輝度の情報を補完すると、受光領域12a1のみから得られる画像よりも、解像度の高い画像を得ることができるという作用をもたらす。上述したように、斜め方向の解像度は、受光領域12a1から得られる画素情報のみの場合と比較して2倍となるので、受光領域12a1と受光領域12a2の両方の画素情報を組み合わせることで、2倍のロスレスズーム(画質劣化のない拡大画像)を実現することができる。異なる撮像範囲のレンズを使用する方法によりロスレスズームを実現する方法はあるが、その場合はカメラモジュールの高さが異なってしまう。カメラモジュール1Eによれば、モジュールの高さを変えずにロスレスズームを実現することができる。
また、RGB3種類のカラーフィルタを備えない受光領域12a2から得られる輝度信号は、カラーフィルタを備える受光領域12a1から得られる輝度信号の約1.7倍の信号レベルとなる。したがって、例えば、受光領域12a1で得られたGの輝度信号を、受光領域12a2で得られた対応画素の輝度信号で置き換えるなど、受光領域12a1と受光領域12a2の両方の画素情報を組み合わせることで、SN比(Signal to Noise ratio)を向上させた画素信号を生成して出力することができる。例えば、単眼のカラー撮像センサを用いて複数枚の画像を撮像し、それらの画像信号を合成することにより、SN比を向上させる技術があるが、そのような方法は、複数枚の画像を取得するまでの時間が長くなるため、動体や動画には不向きである。カメラモジュール1Eは、受光領域12a1と受光領域12a2を同期して撮像できるので、高SN比の画像を短時間で生成でき、動画、動体の撮像にも適している。
また、受光領域12a2の各画素の画素信号が、受光領域12a1の画素間の中間位置に対応する位置となるように、受光領域12a1と受光領域12a2の両方の画素情報を組み合わせることで、受光領域12a1のみから得られる画像の2倍の解像度の超解像画像を得ることができる。例えば、画素数が20メガピクセルで、4Kx2Kの8メガピクセルの動画像を撮像する単眼のカラー撮像センサがある。このカラー撮像センサと画素数が同一の2眼のカメラモジュール1Eを用いた場合、上述のように受光領域12a1に対して受光領域12a2の画素位置を水平垂直方向それぞれに1/2画素ずらして画素情報を補完することで、8Kx4Kの32メガピクセル相当の超解像動画を得ることができる。
以上のように、2眼のカメラモジュール1Eによれば、2つの受光領域12a1と受光領域12a2により得られる画素情報を用いて、画質劣化のない拡大画像、SN比を向上させた画像や、超解像画像など、様々な用途の画像を生成することができる。どのような用途の画像を生成するかは、例えば、カメラモジュール1Eが組み込まれた撮像装置の動作モードの設定によって選択決定される。
<57.カメラモジュール1の第26実施の形態>
図126は、本技術を適用したカメラモジュールの第26実施の形態を示す図である。
図126のAは、カメラモジュール1の第26実施の形態としてのカメラモジュール1Fの外観を示す模式図である。図126のBは、カメラモジュール1Fの概略断面図である。
カメラモジュール1Fは、図126のBに示されるように、光学パラメータが同じ3個の光学ユニット13を備える。
図126のCは、カメラモジュール1Fの撮像部12の構造を説明する図である。
カメラモジュール1Fの撮像部12は、その上側に配置されている3個の光学ユニット13に対応した位置に、3個の受光領域12a1乃至12a3を備える。受光領域12a1乃至12a3は、画素をアレイ状に配列した画素アレイ12b1乃至12b3を備える。
画素アレイ12b1乃至12b3は、複数もしくは単数の画素からなる繰り返し単位801c1乃至801c3を備える。より詳しくは、画素アレイ12b1は、繰り返し単位801c1を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成され、画素アレイ12b2は、繰り返し単位801c2を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成され、画素アレイ12b3は、繰り返し単位801c3を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成されている。繰り返し単位801c1は、R,G,B,Gの各画素からなる4画素であり、繰り返し単位801c2と801c3は、1つのCの画素で構成される。
したがって、カメラモジュール1Fは、カラー画像信号を出力する1組のセンサユニット、即ち、R,G,Bの各画素を有する画素アレイ12b1と光学ユニット13の組と、白黒画像信号を出力する2組のセンサユニット、即ち、Cの画素を有する画素アレイ12b2と光学ユニット13の組及びCの画素を有する画素アレイ12b3と光学ユニット13の組とを備える。
このようなカメラモジュール1Fの構造は、上述した2眼のカメラモジュール1Eと同様に、受光領域12a1のみから得られる画像よりも、鮮明な画像を得ることができるという作用をもたらす。すなわち、Cの画素で構成された画素アレイ12b2を有する受光領域12a2と、Cの画素で構成された画素アレイ12b3を有する受光領域12a3からの画素情報、例えば画素毎の輝度の変化の情報、を利用して、R,G,B,Gの画素配列を繰り返し単位801c1として有するベイヤ―配列の受光領域12a1から得られる輝度の情報を補完すると、受光領域12a1のみから得られる画像よりも、解像度の高い画像を得ることができるという作用をもたらす。上述したように、斜め方向の解像度は、単眼のカラー撮像センサと比較して2倍となるので、受光領域12a1乃至12a3の画素情報を組み合わせることで、2倍のロスレスズーム(画質劣化のない拡大画像)を実現することができる。異なる撮像範囲のレンズを使用する方法によりロスレスズームを実現する方法はあるが、その場合はカメラモジュールの高さが異なってしまう。カメラモジュール1Fによれば、カメラモジュールの高さを変えずにロスレスズームを実現することができる。
3眼のカメラモジュール1Fにおいても、上述した2眼のカメラモジュール1Eと同様に、受光領域12a1乃至12a3を同期して撮像することで、高SN比の動画、動体の撮像が可能である。また、受光領域12a1に対して受光領域12a2及び12a3の画素位置を水平垂直方向それぞれに1/2画素ずらして画素情報を補完することで、2倍の解像度の超解像画像を得ることができる。
さらに、カメラモジュール1Fの構造は、Cの画素で構成された受光領域12a2と12a3からの画像情報を用いて、例えば、特開2008‐286527号公報や国際公開第2011/058876号に開示された測距装置と同様に、複眼測距装置として距離情報を得ることができるという作用をもたらす。
Cの画素で構成された受光領域12a2と受光領域12a3では、カラー撮像センサよりも約1.7倍の信号レベルの輝度信号が得られる。したがって、受光領域12a2と受光領域12a3を用いて距離情報を得ることで、被写体の照度が低く、その結果、被写体の輝度が低い撮影環境においても、距離情報を高速かつ正確に得ることができるという作用をもたらす。この距離情報を用いて、例えばカメラモジュール1Fを用いた撮像装置において、オートフォーカス動作を高速かつ正確に行うことができるという作用をもたらす。
オートフォーカス機構としては、一般に、一眼レフカメラではオートフォーカス専用センサが用いられ、コンパクトデジタルカメラ等では、画像センサの一部に位相差画素を配置した像面位相差方式とコントラストAF方式の組合せが用いられる。位相差画素は、受光領域が通常画素の例えば半分となるような画素で構成されるため、像面位相差方式は低照度に弱い欠点がある。また、コントラストAF方式は、フォーカス時間が遅い欠点があり、オートフォーカス専用センサは、装置サイズが大きくなる欠点がある。
カメラモジュール1Fでは、距離情報を取得する2つの受光領域12a2および12a3の全画素が、受光領域が縮小されていない通常画素で構成されている。また、距離情報を得るための受光領域12a2および12a3の撮像を、カラー画像を取得できる受光領域12a1の撮像と同期して行わせることができる。したがって、カメラモジュール1Fによれば、コンパクトで、低照度に強く、高速に、オートフォーカスを行うことができる。
加えて、カメラモジュール1Fの構造は、例えば特開2006‐318060号公報や特開2012‐15642号公報に開示された距離画像と同様に、距離情報を用いて、濃淡の度合いによって距離を表現した距離画像を出力することができるという作用をもたらす。
以上のように、3眼のカメラモジュール1Fによれば、3つの受光領域12a1乃至12a3により得られる画素情報を用いて、画質劣化のない拡大画像、SN比を向上させた画像や、超解像画像、距離画像など、様々な用途の画像を生成することができる。受光領域12a2および12a3の視差に基づく距離情報を生成することもできる。3つの受光領域12a1乃至12a3から得られる画素情報を、どのような用途に用いるかは、例えば、カメラモジュール1Fが組み込まれた撮像装置の動作モードの設定によって選択決定される。
図127は、3眼のカメラモジュール1Fに用いられる撮像部12の基板構成例を示している。
3眼のカメラモジュール1Fに用いられる撮像部12は、図127に示されるように、3枚の半導体基板861乃至863を積層した3層構造で形成することができる。
3枚の半導体基板861乃至863のうち、光が入射される側の第1の半導体基板861には、3つの光学ユニット13に対応した3つの受光領域12a1乃至12a3が形成されている。
真ん中の第2の半導体基板862には、3つの受光領域12a1乃至12a3に対応した3つのメモリ領域831a1乃至831a3が形成されている。メモリ領域831a1乃至831a3は、例えば、第3の半導体基板863の制御領域842a1乃至842a3を介して供給される画素信号を所定時間保持する。
第2の半導体基板862の下層の第3の半導体基板863には、3つの受光領域12a1乃至12a3に対応したロジック領域841a1乃至841a3及び制御領域842a1乃至842a3が形成されている。制御領域842a1乃至842a3は、受光領域12a1乃至12a3から画素信号を読み出す読み出し制御、アナログの画素信号をデジタルに変換するAD変換処理、メモリ領域831a1乃至831a3への画素信号の出力などを行う。ロジック領域841a1乃至841a3は、例えば、AD変換された画像データの階調補正処理など、所定の信号処理を行う。
3枚の半導体基板861乃至863どうしは、例えば、貫通ビアやCu-Cuの金属結合により電気的に接続されている。
以上のように、撮像部12は、3つの受光領域12a1乃至12a3に対応して、メモリ領域831a1乃至831a3、ロジック領域841a1乃至841a3、及び制御領域842a1乃至842a3を、3枚の半導体基板861乃至863に配置した3層構造により構成することができる。
一般に、単眼のカラー撮像センサを用いて高速フレームレートで撮像すると、1フレームの露光時間が短くなるので、SN比が劣化する。これに対して、カメラモジュール1Fでは、2つの受光領域12a2及び12a3において、撮像開始タイミングを1/2露光時間ずらして撮像動作させることで、単眼のカラー撮像センサと同一のフレームレートで、2倍の露光時間を確保することができる。受光領域12a1のカラー画像信号から得られる輝度情報を、その2倍の露光時間に設定して得られる2つの受光領域12a2及び12a3の白黒画像信号(輝度情報)で交互に置き換えることで、高速フレームレートであっても高SN比な画像を出力することができる。
あるいはまた、3つの受光領域12a1乃至12a3のうちのいずれか1つのみを用いて撮像する場合には、1つの受光領域12aに対して3つのメモリ領域831a1乃至831a3を使用することができるので、メモリ容量が、通常の3倍になる。これにより、露光時間を短時間に設定して撮像するスーパースロー動画などにおいて、撮像時間を3倍に増やすことができる。さらに、AD変換処理も、3つの制御領域842a1乃至842a3の各ADC(analog/digital converter)を使用することができるので、3倍近い高速駆動が可能になる。
また、撮像部12は、3つの受光領域12a1乃至12a3に対応させて、メモリ領域831a1乃至831a3を備えることで、例えば、図128に示されるように、撮像画像全体のうち、ナンバープレートの領域の画像信号だけを後段に出力するなどの処理が可能となる。これにより、伝送するデータ量を圧縮することができるので、データ転送の負荷を低減し、転送速度の向上、消費電力の低減などの効果もある。
以上のように、カメラモジュール1Fの撮像部12を、3枚の半導体基板861乃至863を積層した3層構造で構成することで、撮像部12から得られる画像の用途も拡大する。
<58.カメラモジュール1の第27実施の形態>
図129は、本技術を適用したカメラモジュールの第27実施の形態を示す図である。
図129のAは、カメラモジュール1の第27実施の形態としてのカメラモジュール1Gの外観を示す模式図である。図129のBは、カメラモジュール1Gの概略断面図である。
カメラモジュール1Gは、光学パラメータが同じ4個の光学ユニット13を備える。
図129のCは、カメラモジュール1Gの撮像部12の構造を説明する図である。
カメラモジュール1Gの撮像部12は、その上側に配置されている4個の光学ユニット13に対応した位置に、4個の受光領域12a1乃至12a4を備える。受光領域12a1乃至12a4は、光を受光する画素をアレイ状に配列した画素アレイ12b1乃至12b4を備える。
画素アレイ12b1乃至12b4は、複数もしくは単数の画素からなる繰り返し単位801c1乃至801c4を備える。より詳しくは、画素アレイ12b1は、繰り返し単位801c1を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成され、画素アレイ12b2は、繰り返し単位801c2を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成されている。また、画素アレイ12b3は、繰り返し単位801c3を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成され、画素アレイ12b4は、繰り返し単位801c4を縦方向と横方向の双方にそれぞれ複数個アレイ状に配列することで構成されている。繰り返し単位801c1と801c4は、R,G,B,Gの各画素からなる4画素であり、繰り返し単位801c2と801c3は、1つのCの画素で構成される。
したがって、カメラモジュール1Gは、カラー画像信号を出力する2組のセンサユニット、即ち、R,G,Bの各画素を有する画素アレイ12b1と光学ユニット13の組及びR,G,Bの各画素を有する画素アレイ12b4と光学ユニット13の組と、白黒画像信号を出力する2組のセンサユニット、即ち、Cの画素を有する画素アレイ12b2と光学ユニット13の組及びCの画素を有する画素アレイ12b3と光学ユニット13の組とを備える。
このようなカメラモジュール1Gの構造は、上述した2眼のカメラモジュール1Eと同様に、受光領域12a1のみから得られる画像よりも、鮮明な画像を得ることができるという作用をもたらす。すなわち、Cの画素で構成された画素アレイ12b2を有する受光領域12a2と、Cの画素で構成された画素アレイ12b3を有する受光領域12a3からの画素情報、例えば画素毎の輝度の変化の情報、を利用して、R,G,B,Gの画素配列を繰り返し単位801c1として有するベイヤ―配列の受光領域12a1もしくは12a4から得られる輝度の情報を補完すると、受光領域12a1もしくは12a4のみから得られる画像よりも、解像度の高い画像を得ることができるという作用をもたらす。また、斜め方向の解像度は、単眼または複眼のカラー撮像センサと比較して2倍となるので、受光領域12a1乃至12a4の画素情報を組み合わせることで、2倍のロスレスズーム(画質劣化のない拡大画像)を実現することができる。異なる撮像範囲のレンズを使用する方法によりロスレスズームを実現する方法はあるが、その場合はカメラモジュールの高さが異なってしまう。カメラモジュール1Gによれば、モジュールの高さを変えずにロスレスズームを実現することができる。
カラー画像を撮像する2つの受光領域12a1および12a4で撮像範囲が重複するエリアでは、信号量が2倍になり、ノイズが1.4倍となるため、画素信号のSN比を向上させることができる。白黒画像を撮像する2つの受光領域12a2および12a3もさらに重複するエリアでは、輝度信号の信号レベルがカラー画像を撮像する受光領域12a1および12a4の約1.7倍あるため、さらにSN比が向上する。4つの受光領域12a1乃至12a4の画素情報を組み合わせた場合のSN比は、単眼のカラー撮像センサと比較して、約2.7倍に向上する。カメラモジュール1Gは、受光領域12a1と受光領域12a2を同期して撮像することができるので、高SN比の画像を短時間で生成でき、動画、動体の撮像にも適している。
さらに、カメラモジュール1Gの構造は、Cの画素で構成された受光領域12a2と受光領域12a3からの画像情報を用いて、例えば、特開2008‐286527号公報や国際公開第2011/058876号に開示された測距装置と同様に、複眼測距装置として距離情報を得ることができるという作用をもたらす。
また、輝度信号の信号レベルが高いCの画素で構成された受光領域12a2と受光領域12a3を用いて距離情報を得ることで、被写体の照度が低く、その結果、被写体の輝度が低い撮影環境においても、距離情報を高速かつ正確に得ることができるという作用をもたらす。この距離情報を用いて、例えばカメラモジュール1Gを用いた撮像装置において、オートフォーカス動作を高速かつ正確に行うことができるという作用をもたらす。
カメラモジュール1Gでは、距離情報を取得する2つの受光領域12a2及び受光領域12a3の全画素が、位相差画素のように受光領域が縮小された画素ではなく、通常画素で構成されている。また、距離情報が得られる受光領域12a2と受光領域12a3を、カラー画像を取得できる受光領域12a1及び12a4と同期して撮像することができる。したがって、カメラモジュール1Fによれば、コンパクトで、低照度に強く、高速に、オートフォーカスを行うことができる。
加えて、カメラモジュール1Gの構造は、例えば特開2006‐318060号公報や特開2012‐15642号公報に開示された距離画像と同様に、距離情報を用いて、濃淡の度合いによって距離を表現した距離画像を出力することができるという作用をもたらす。
また、カメラモジュール1Gは、画素の駆動方法を変えることで、ダイナミックレンジの広い画像(ハイダイナミックレンジ画像)を得ることもできる。
図130は、ハイダイナミックレンジ画像を得るための画素の駆動方法を説明する図である。
カメラモジュール1Gにおいて、R,G,B,Gの画素で構成された画素アレイ12b1を備える受光領域12a1と、Cの画素で構成された画素アレイ12b3を備える受光領域12a3は、被写体がある特定の照度下にある場合に、所定の露光時間(以下、第1の露光時間という。)で画像を撮影する。
一方、Cの画素で構成された画素アレイ12b2を備える受光領域12a2と、R,G,B,Gの画素で構成された画素アレイ12b4を備える受光領域12a4は、被写体が上記特定の照度下にある場合に、上記第1の露光時間よりも短い露光時間(以下、第2の露光時間という。)で画像を撮影する。なお、以下の説明では、第1の露光時間を長秒露光時間ともいい、第2の露光時間を短秒露光時間ともいう。
例えば、被写体の照度が高い場合、長秒露光時間で画像を撮影すると、被写体の中でも輝度が高いものを撮影した画素は、画素の適正な動作限界(例えば飽和電荷量)を越えた状態で撮影動作を行うことになり、撮影の結果得られる画像データが階調性を失っている、いわゆる画像が白飛びした状態になることがある。そのような場合においても、カメラモジュール1Gにおいては、受光領域12a2と受光領域12a4とから短秒露光時間で撮影した画像、言い換えれば、画素の適正な動作範囲内(例えば飽和電荷量以下)となる状態で撮影された画像を得ることができる。
カメラモジュール1Gは、このようにして得られた長秒露光時間で撮影した画像と短秒露光時間で撮影した画像とを、例えば特開平11‐75118号公報や特開平11‐27583号公報に開示されたダイナミックレンジ拡大のための画素信号の合成方法と同様にして合成することで、ハイダイナミックレンジ画像を得ることができるという作用をもたらす。
一般に、ハイダイナミックレンジ画像の生成方法には、単眼のカラー撮像センサ等を用いて、長秒露光時間で撮影した画像と短秒露光時間で撮影した画像とを時間差で取得し、合成する方法や、画素アレイを長秒露光画素と短秒露光画素とに分けて撮像する方法などがある。長秒露光時間で撮影した画像と短秒露光時間で撮影した画像の2枚の画像を合成する方法では、動体や動画に不向きであり、画素アレイを長秒露光画素と短秒露光画素とに分ける方法では、解像度の劣化が発生する。4眼のカメラモジュール1Gを用いてハイダイナミックレンジ画像を生成する方法によれば、解像度の劣化がなく、フレームレートの低下もないので、動体や動画にも適している。
以上のように、4眼のカメラモジュール1Gによれば、4つの受光領域12a1乃至12a4により得られる画素情報を用いて、画質劣化のない拡大画像、SN比を向上させた画像や、超解像画像、距離画像、ハイダイナミックレンジ画像など、様々な用途の画像を生成することができる。受光領域12a2と受光領域12a3の視差に基づく距離情報を生成することもできる。4つの受光領域12a1乃至12a4から得られる画素情報を、どのような用途に用いるかは、例えば、カメラモジュール1Gが組み込まれた撮像装置の動作モードの設定によって選択決定される。
図131は、4眼のカメラモジュール1Gに用いられる撮像部12の基板構成例を示している。
4眼のカメラモジュール1Gに用いられる撮像部12は、図131に示されるように、3枚の半導体基板861乃至863を積層した3層構造により形成することができる。
3枚の半導体基板861乃至863のうち、光が入射される側の第1の半導体基板861には、4つの光学ユニット13に対応した4つの受光領域12a1乃至12a4が形成されている。
真ん中の第2の半導体基板862には、4つの受光領域12a1乃至12a4に対応した4つのメモリ領域831a1乃至831a4が形成されている。第3の半導体基板863には、4つの受光領域12a1乃至12a4に対応したロジック領域841a1乃至841a4及び制御領域842a1乃至842a4が形成されている。
一般に、単眼のカラー撮像センサを用いて高速フレームレートで撮像すると、1フレームの露光時間が短くなるので、SN比が劣化する。これに対して、カメラモジュール1Gでは、4つの受光領域12a1乃至12a4を用いて、撮像開始タイミングを1/4露光時間ずらして撮像動作させることで、単眼のカラー撮像センサと同一のフレームレートで、4倍の露光時間を確保することができる。受光領域12a1または12a4のカラー画像信号から得られる輝度情報を、その4倍の露光時間に設定して得られる4つの受光領域12a1乃至12a4の輝度情報で順次置き換えることで、高速フレームレートであっても高SN比な画像を出力することができる。
あるいはまた、4つの受光領域12a1乃至12a4のうちのいずれか1つのみを用いて撮像する場合には、1つの受光領域12aに対して4つのメモリ領域831a1乃至831a4を使用することができるので、メモリ容量が、通常の4倍になる。これにより、露光時間を短時間に設定して撮像するスーパースロー動画などにおいて、撮像時間を4倍に増やすことができる。さらに、AD変換処理も、4つの制御領域842a1乃至842a4の各ADCを使用することができるので、4倍近い高速駆動が可能になる。
また、撮像部12は、4つの受光領域12a1乃至12a4に対応させて、メモリ領域831a1乃至831a4を備えることで、図128を参照して説明したように、所望の領域の画像信号だけを後段に出力するなどの処理が可能となる。これにより、伝送するデータ量を圧縮することができるので、データ転送の負荷を低減し、転送速度の向上、消費電力の低減などの効果もある。
以上のように、カメラモジュール1Gの撮像部12を、3枚の半導体基板861乃至863を積層した3層構造で構成することで、撮像部12から得られる画像の用途も拡大する。
<59.撮像部12の第1変形例>
上述のように、本技術を適用した第1乃至第27実施の形態では、カメラモジュール1が撮像部12を備え、撮像部12に備わる受光領域12aは、画素を行列状に2次元配置した画素アレイ12bを備え、画素アレイ12b内の各画素は、フォトダイオード等の光電変換素子と複数の画素トランジスタとをそれぞれ備えている。
ここで、画素アレイ12b内の各画素は、画素へ光が入射する方向、言い換えれば画素の深さ方向に、1個の光電変換素子を備える構成であってもよいし、複数個の光電変換素子を備える構成であってもよい。
図132では、撮像部12の第1変形例として、画素アレイ12b内の1画素内に、複数個の光電変換素子を備えた積層構造画素の例について説明する。
図132は、画素の深さ方向に複数個の光電変換素子を備えた積層構造画素の構成例を示す断面図である。
図132の撮像部12は、例えば、p型(第1導電型)の半導体基板(半導体領域)901に、例えば、n型(第2導電型)の半導体領域902及び903が、画素単位で深さ方向に積層して形成されることにより、PN接合によるフォトダイオードPD1およびPD2が、深さ方向に形成されている。半導体領域902を電荷蓄積領域とするフォトダイオードPD1は、青色の光を受光して光電変換する光電変換素子であり、半導体領域903を電荷蓄積領域とするフォトダイオードPD2は、赤色の光を受光して光電変換する光電変換素子である。
図132で下側となる半導体基板901の表面側には、酸化膜904が形成されるとともに、フォトダイオードPD1及びPD2を含む光電変換素子に蓄積された電荷の読み出し等を行う複数の画素トランジスタTr1乃至Tr5と、複数の配線層905と層間絶縁膜906とからなる多層配線層907が形成されている。なお、図132では、簡単のため、配線層905が1層しか図示されていない。
図132において、例えば、画素トランジスタTr1は、選択トランジスタであり、画素トランジスタTr2は、増幅トランジスタであり、画素トランジスタTr3は、リセットトランジスタであり、画素トランジスタTr4は、フォトダイオードPD2の蓄積電荷を転送する転送トランジスタであり、画素トランジスタTr5は、フォトダイオードPD1の蓄積電荷を転送する転送トランジスタである。
半導体基板901の表面側には、複数の画素トランジスタTr1乃至Tr5のソース領域またはドレイン領域となるn+型の半導体領域908、素子分離領域909などが形成されている。なお、n+型、p+型は、n型、p型よりも不純物濃度が高濃度であることを表す。
n型の半導体領域902と903の間にはp+型の半導体領域911が形成され、n型の半導体領域903の表面側界面には、暗電流抑制のためのp+型の半導体領域912が形成されている。
半導体基板901の裏面側には、暗電流抑制のためのp+型の半導体領域913が形成され、その上に、負の固定電荷を有する固定電荷膜914および透明絶縁膜915が形成されている。透明絶縁膜915は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化ハフニウム(HfO2)などの材料を用いて1層または複数層で形成される。
透明絶縁膜915のさらに上には、絶縁層916を介して、第1電極921、光電変換層922、および、第2電極923が積層されて構成される光電変換素子が形成されている。この光電変換素子は、緑色の光を受光して光電変換する。第1電極921と第2電極923との間に挟まれた光電変換層922は、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン誘導体、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)等からなる上層光電変換層922Aと、例えば、IGZOから成る下層半導体層922Bの積層構造で構成される。この光電変換素子は、第1電極921と離間して配置され、且つ、絶縁層924を介して光電変換層922と対向して配置された電荷蓄積用電極925を備えている。電荷蓄積用電極925は金属配線928を介して駆動回路に接続されており、電荷蓄積用電極925には、電荷蓄積時に所定の電圧が印加される。
第2電極923上面には、保護層931が形成されており、保護層931上に、オンチップマイクロレンズ932が形成されている。
第1電極921は、絶縁層916を貫通する金属配線926と接続されており、金属配線926は、半導体基板901を貫通する導電性プラグ927と接続されている。金属配線926は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの材料で形成される。
導電性プラグ927は、半導体基板901の表面側界面近傍にn+型の半導体領域908で形成された電荷蓄積部と接続されている。半導体基板901を貫通する導電性プラグ927の外周は、透明絶縁膜915で絶縁されている。
以上のように構成される図132の撮像部12の積層構造画素は、
(1)オンチップマイクロレンズ932の下方かつ半導体基板901の外部に配置され、第1電極921、電荷蓄積用電極925、上層光電変換層922A、下層半導体層922B、および、第2電極923を含み、緑色の光を光電変換する第1の光電変換素子と、
(2)第1の光電変換素子の下方かつ半導体基板901の内部に配置され、n型の半導体領域902を含み、青色の光を光電変換する第2の光電変換素子と、
(3)第2の光電変換素子の下方かつ半導体基板901の内部に配置され、n型の半導体領域903を含み、赤色の光を光電変換する第3の光電変換素子と
を積層した構造となっている。
図132に記載の積層構造画素は、上記の構成を備えることによって、1個の画素で、画素へ入射する光の中から、緑色の光、青色の光、および、赤色の光をそれぞれ独立に光電変換して、独立に出力することができる。また、これにより、光電変換の対象として各画素へ入射させる光を、緑色の光のみ、あるいは、青色の光のみ、あるいは赤色の光のみに限定する必要がないため、積層構造画素は、画素へ入射させる光を特定の波長の光へと限定してそれ以外の波長の光を入射させないためのカラーフィルタを備える必要がない。
本技術を適用した第1乃至第27実施の形態において、カメラモジュール1に備わる撮像部12の受光領域12aには、上記の積層構造画素を2次元配置した画素アレイ12bを備えることができる。この積層構造画素は、上述のように1個の画素で、画素へ入射される緑色、青色、および赤色の光をそれぞれ独立に光電変換して出力することができる。このため、本技術を適用した第1乃至第27実施の形態において、カメラモジュール1に備わる撮像部12の受光領域12aに、図132の積層構造画素を2次元配置した画素アレイ12bを備える場合、画素アレイ12bの各画素が、それぞれの画素へ入射する緑色、青色、および赤色の光をそれぞれ独立に光電変換して出力することができる。
例えば、撮像部12に形成された各画素が、緑色の光のみ、あるいは、青色の光のみ、あるいは赤色の光のみを光電変換して出力する構成である場合、一般的には、撮像部12の外部において、色毎に各画素間の出力を補間する演算処理が行われ、各画素に緑色、青色、赤色の各色の画素データを持たせて最終的な出力画像が生成される。これに対し、図132の積層構造画素の画素を用いた場合、各画素が緑色、青色、および赤色の光をそれぞれ独立に光電変換して出力することができるため、上記の色毎に各画素間の出力を補間する演算処理が不要であり、演算処理を行う撮像部12と比較して解像度の高い画像を撮像することができる。
なお、本技術を適用した第1乃至第27実施の形態において、カメラモジュール1に備わる撮像部12の受光領域12aが、可視光の全波長領域の光を受光する画素(上述のCの画素)を備える場合、積層構造画素が備える第1乃至第3の光電変換素子における光電変換結果を積層構造画素内で加えてからで出力する構成としてよい。あるいは、積層構造画素が備える第1乃至第3の光電変換素子の光電変換結果を独立して出力し、画素アレイ12bの外部で加えて出力する構成としてもよい。
<60.撮像部12の第2変形例>
上述のように、本技術を適用した第1乃至第27実施の形態では、カメラモジュール1が撮像部12を備え、撮像部12の受光領域12aは、画素を行列状に2次元配置した画素アレイ12bを備えている。ここで、画素アレイ12bの一部またはすべての画素が、偏光素子を備える構成とすることができる。
図133では、撮像部12の第2変形例として、画素アレイ12bの少なくとも一部の画素に偏光素子を備える撮像部12の例について説明する。
図133は、撮像部12の偏光素子を備える画素の断面図である。
撮像部12は、p型の半導体基板(半導体領域)951に、n型の半導体領域952を画素950ごとに形成することにより、光電変換素子であるフォトダイオードPDが、画素単位に形成されている。
半導体基板951の表面側(図中下側)には、フォトダイオードPDに蓄積された電荷の読み出し等を行う複数の画素トランジスタTr(不図示)と、複数の配線層953と層間絶縁膜954とからなる多層配線層955が形成されている。
半導体基板951の裏面側(図中上側)には、第1平坦化膜956、カラーフィルタ層957、オンチップレンズ958が、その順で積層され、オンチップレンズ958の上に第2平坦化膜959が形成されている。第1平坦化膜956は、例えば、SiO2で形成され、第2平坦化膜959は、例えば、アクリル系樹脂で形成される。
第2平坦化膜959の上方には、例えば、SiO2を用いた下地絶縁層960が形成されており、下地絶縁層960の画素境界には、タングステン(W)等から成る遮光膜961が設けられている。遮光膜961は、例えば、接地されている。
そして、下地絶縁層960の上面に、ワイヤグリッド偏光素子970が積層構造により形成され、ワイヤグリッド偏光素子970の上面に、第1保護層971および第2保護層972が形成されている。第1保護層971を構成する材料の屈折率をn1、第2保護層972を構成する材料の屈折率をn2としたとき、第1保護層971および第2保護層972の屈折率は、n1>n2を満足する。第1保護層971は、例えば、SiN(n1=2.0)から成り、第2保護層972は、例えば、SiO2(n2=1.46)から成る。図面においては、第2保護層972の底面(ワイヤグリッド偏光素子970と接する面)を平坦な状態で示したが、第2保護層972の底面の形状は、凸状、凹状、または、楔状に凹んでいる状態でもよい。
ワイヤグリッド偏光素子970は、光反射層981、絶縁層982、および、光吸収層983の3層からなる複数のライン部980が、スペース部984で所定の間隔を保って、規則的に配列されている。ライン部980の3層のうち、フォトダイオードPDに最も近い側の光反射層981は、例えば、アルミニウム等の導電材料で構成され、中間の絶縁層982は、例えば、SiO2で構成され、第2保護層972に最も近い側の光吸収層983は、タングステン等の導電材料で構成される。
各ライン部980は、画素950の平面領域において、縦方向(垂直方向)、横方向(水平方向)、斜め方向などの所定の方向に反ってライン状に延在しており、隣接するライン部980の間に、スペース部984が配置されている。ライン部980の延在方向に対して直交する方向の幅(横幅)は一定である。図133の例では、左右に並んだ2画素のうち、右側の画素950のライン部980の延在方向は、図133の横方向であり、左側の画素950のライン部980の延在方向は、紙面に対して垂直な方向である。スペース部984は、一部または全部が空気で満たされた空間であり、例えば、スペース部984の全部が空気で満たされている。
ワイヤグリッド偏光素子970は、上述したように、複数の帯状のライン部980と、その間のスペース部984とからなり、ライン部980は、フォトダイオードPDに近い側から、光反射層981、絶縁層982、及び、光吸収層983で構成されている。光反射層981の上面全面に絶縁層982が形成されており、絶縁層982の上面全面に光吸収層983が形成されている。具体的には、光反射層981は、厚さ150nmのアルミニウム(Al)から構成され、絶縁層982は、厚さ25nmあるいは50nmのSiO2から構成され、光吸収層983は、厚さ25nmのタングステン(W)から構成されている。帯状の光反射層981の延びる方向(第1の方向)は、消光させるべき偏光方位と一致しており、帯状の光反射層981の繰り返し方向(第2の方向であり、第1の方向と直交する)は、透過させるべき偏光方位と一致している。即ち、光反射層981は、偏光子としての機能を有し、ワイヤグリッド偏光素子970に入射した光の内、光反射層981の延びる方向(第1の方向)と平行な方向に電界成分を有する偏光波を減衰させ、光反射層981の延びる方向と直交する方向(第2の方向)に電界成分を有する偏光波を透過させる。第1の方向はワイヤグリッド偏光素子970の光吸収軸であり、第2の方向はワイヤグリッド偏光素子970の光透過軸である。
第1の方向におけるライン部980の長さは、フォトダイオードPDの第1の方向に沿った長さと同じである。また、図示した例では、画素950の帯状の光反射層981の延びる方向(第1の方向)の、画素アレイ12bの垂直方向に対する角度が、例えば、0度の角度と、90度の角度を有する画素の例について示したが、その他、画素950の帯状の光反射層981の延びる方向は、画素アレイ12bの垂直方向に対して、45度の角度を有する画素、135度の角度を有する画素を配置することができる。
以上のように構成される図133の撮像部12の画素950は、
(1)光反射層981、絶縁層982、および、光吸収層983が積層された複数のライン部980と、ライン部980の間に位置するスペース部984となからなるワイヤグリッド偏光素子970と、
(2)光電変換素子であるフォトダイオードPDと
を重ねて備えた構造となっている。
なお、図133において、ワイヤグリッド偏光素子970は、オンチップレンズ958の上方に形成されているが、オンチップレンズ958の下方かつフォトダイオードPDの上方に形成されてもよい。
本技術を適用した第1乃至第27実施の形態において、カメラモジュール1が備える撮像部12の受光領域12aは、画素を2次元配置した画素アレイ12bを備え、画素アレイ12bの一部または全ての画素は、偏光素子として、上述したワイヤグリッド偏光素子970を備える画素とすることができる。
偏光素子を有する画素には、ワイヤグリッド偏光素子970のライン部980の延在方向と画素アレイ12bの2次元配列された画素の行方向とのなす角度が、0度となる画素と、90度となる画素との2種類があってよい。言い換えれば、偏光素子を透過する光の偏光方位が、0度となる画素と、90度となる画素との2種類の画素があってよい。
あるいはまた、偏光素子を有する画素として、ワイヤグリッド偏光素子970のライン部980の延在方向と画素アレイ12bの2次元配列された画素の行方向とのなす角度が、0度となる画素、45度となる画素、90度となる画素、および、135度となる画素の4種類の画素があってもよい。言い換えれば、偏光素子を透過する光の偏光方位が0度となる画素、45度となる画素、90度となる画素、および、135度となる画素の4種類の画素があってよい。
本技術を適用した第1乃至第27実施の形態において、カメラモジュール1が備える撮像部12の画素が偏光素子を有することにより、例えば、水面の近くに位置する被写体や、降雨により水がたまった道路上に位置する被写体を撮影する場合に、水面や水がたまった路面で反射する光を取り除き、撮影したい本来の被写体表面で反射した光のみを撮影することができる。あるいはまた、被写体の表面で反射してカメラモジュール1に入射する光の中から特定の偏光方位の光のみを検出することにより、被写体表面の形状を把握することができる。
<61.カメラモジュール1の第28実施の形態>
図134は、本技術を適用したカメラモジュールの第28実施の形態を示す図である。
図134は、カメラモジュール1の第28実施の形態としてのカメラモジュール1Hの断面図である。
図134では、上述したカメラモジュール1の他の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分についての説明は適宜省略し、異なる部分に注目して説明する。
図134のカメラモジュール1Hは、図98乃至図101で説明したカメラモジュール1s乃至1vと同様に、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離が固定された固定焦点方式のカメラモジュールの構成である。
カメラモジュール1Hに含まれる積層レンズ構造体11は、図2等で示した積層レンズ構造体11の第1構成例に、スペーサ基板1001が追加された構成を有している。より具体的には、積層レンズ構造体11は、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eの最下層に、レンズ樹脂部82が配置されない基板であるスペーサ基板1001が貼り合わされている。スペーサ基板1001は、例えば、シリコン基板またはガラス基板で形成される。
なお、図134の例では、積層レンズ構造体11として、レンズ付き積層基板41とレンズ付き単層基板41のそれぞれを少なくとも1枚以上含む積層レンズ構造体11の第1構成例にスペーサ基板1001を追加した構成を採用した。しかし、第28実施の形態に係る積層レンズ構造体11の構成としては、上述した第1乃至第13構成例の任意の積層レンズ構造体11にスペーサ基板1001を追加した構成を取り得る。言い換えれば、スペーサ基板1001の上面に接合される複数のレンズ付き基板41の構造は任意の構造を取り得る。
一方、撮像部12の受光領域12aの上面には、例えば、R(赤)、G(緑)、またはB(青)のカラーフィルタ(不図示)とオンチップレンズ71が画素単位に形成されている。オンチップレンズ71の上側には、シール樹脂1013を介して、オンチップレンズ71やカラーフィルタを保護するための保護基板1014が配置されている。保護基板1014は、例えば透明なガラス基板や光透過性樹脂基板で形成される。撮像部12上にシール樹脂1013を介して保護基板1014が配置された構成単位を、撮像チップ12Pと称する。
受光領域12aで生成された撮像信号は、撮像部12を貫通する貫通電極1011aや、撮像部12の下面に形成された再配線1011bから出力される。貫通電極1011aおよび再配線1011bからなる端子部以外の撮像部12の下面の領域は、ソルダレジスト1012で覆われている。
カメラモジュール1Hでは、撮像部12の上面に配置された保護基板1014の上面および側面と、撮像部12の側面の一部が、積層レンズ構造体11と貼り合わされることにより、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離が固定されている。より具体的には、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eの下面が、保護基板1014の上面と貼り合わされ、スペーサ基板1001の内周面が、保護基板1014の側面および撮像部12の側面と貼り合わされている。貼り合わせの方法は、上述した直接接合でもよいし、接着剤(接着樹脂)、接着テープを用いてもよい。直接接合で接合する際、保護基板1014の上面および側面に、酸化物や窒化物を必要に応じて形成してもよい。
上述した固定焦点方式のカメラモジュール1の構成においては、例えば、図98や図100で示したように、撮像部12は、最下層のレンズ付き基板41eの下面の一部の領域のみで接して固定されていた。
この場合、カメラモジュール1の縮小化が進み、チップサイズが縮小されると、当然に、積層レンズ構造体11と撮像部12との接合面積も縮小し、接合強度の低下が懸念される。
そこで、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hでは、積層レンズ構造体11が、最下層のレンズ付き基板41eの下面に、内側が開口されたスペーサ基板1001を備えた構造を有し、保護基板1014および撮像部12の側面とスペーサ基板1001の内周面とが貼り合わされる。これにより、保護基板1014の上面と、最下層のレンズ付き基板41eの下面の接合面だけでなく、側面においても、積層レンズ構造体11と保護基板1014および撮像部12とが接合するので、接合強度を増加させることができる。
撮像部12の側面を覆う積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の最下面の位置は、図134において一点鎖線で示されるように、撮像部12の上面から下面までの間となるようにするのが好ましく、さらには、受光領域12aよりも下の位置となるのが好ましい。一般に、受光領域12aの光電変換領域は、撮像部12の上面(光入射面)から10um以内に形成されるので、例えば、スペーサ基板1001の最下面は、撮像部12の上面から10um以上、下の位置であることが好ましい。スペーサ基板1001をシリコン基板で形成した場合には、スペーサ基板1001が、撮像部12の側面からの迷光を抑制することができる。
<カメラモジュール1Hの製造方法>
次に、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hの製造方法について説明する。
図135は、カメラモジュール1Hの第1の製造方法の概略工程を示す図である。
初めに、基板状態の複数枚のレンズ付き基板41Wとスペーサ基板1001Wが積層された、基板状態の積層レンズ構造体11Wが作製される。図135の積層レンズ構造体11Wでは、スペーサ基板1001Wの図示が省略されている。また、基板状態の積層レンズ構造体11Wは、3枚のレンズ付き基板41Wを積層した場合を示している。
一方で、基板状態の撮像部12全体にシール樹脂1013を塗布して保護基板1014を積層した基板状態の撮像チップ12PWが、基板状態の積層レンズ構造体11Wとは別に作製され、チップ単位に個片化される。
そして、基板状態の積層レンズ構造体11Wの各積層レンズ構造体11の上に、個片化された撮像チップ12Pが1個ずつマウントされる。図135では、撮像チップ12Pを見やすくするため、基板全体を上下反転したように、撮像チップ12Pを基板状態の積層レンズ構造体11Wの上面にマウントするように図示している。
最後に、個片化された撮像チップ12Pがマウントされた、基板状態の積層レンズ構造体11Wがチップ単位に個片化される。個片化された撮像チップ12P及び積層レンズ構造体11が、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hとなる。
図136および図137を参照して、カメラモジュール1Hの第1の製造方法について、さらに詳細に説明する。
図136は、カメラモジュール1Hに用いる積層レンズ構造体11の製造方法を示している。
図136に示されるように、図22および図23を参照して説明した方法を用いて形成された5枚の基板状態のレンズ付き基板41Wa乃至41Weに、基板状態のスペーサ基板1001Wが直接接合により貼り合わされることにより、基板状態の積層レンズ構造体11Wが作製される。
次に、図137のAに示されるように、個片化された撮像チップ12P(保護基板1014が接合された撮像部12)が仮基板1021に仮接合される。個片化された撮像チップ12Pは、仮基板1021に形成されたアライメントマークを基準に高精度に位置合わせされて、仮基板1021上に配置される。
そして、図137のBに示されるように、仮基板1021上の撮像チップ12Pそれぞれの上に、図136で説明した方法で作製された基板状態の積層レンズ構造体11Wが貼り合わされる。これにより、保護基板1014の上面と、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eの下面が接合され、保護基板1014の側面および撮像部12の側面と、スペーサ基板1001の内周面が接合される。接着方法は、上述した通り、直接接合、接着剤(接着樹脂)、接着テープ、等の任意の接着方法を採用し得る。
撮像チップ12Pの外形サイズを、積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の開口部のサイズに合わせて形成し、スペーサ基板1001の開口部に挿入して接着するだけで、受光領域12aの中心と、積層レンズ構造体11のレンズ樹脂部82の光軸84(図134)とを容易に合わせることができ、光軸精度を向上させたモジュールの組み立てが可能となる。
次に、図137のCに示されるように、撮像チップ12Pが仮接合されていた仮基板1021が剥離される。そして、図137のCにおいて破線で示されるスクライブラインに従って、基板状態の積層レンズ構造体11Wが、チップ単位に個片化されることで、図137のDに示されるように、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hが完成する。
図137の例では、仮基板1021を剥離してから、積層レンズ構造体11Wを個片化したが、積層レンズ構造体11Wを個片化してから、仮基板1021を剥離してもよい。
以上の例では、個片化された撮像チップ12Pに対して、基板状態の積層レンズ構造体11Wを貼り合わせ、その後、基板状態の積層レンズ構造体11Wを個片化する工程を採用したが、基板状態の積層レンズ構造体11Wを先に個片化してから、個片化された撮像チップ12Pと貼り合わせてもよい。
図138は、カメラモジュール1Hの第2の製造方法の概略工程を示す図である。
初めに、基板状態の複数枚のレンズ付き基板41Wとスペーサ基板1001が積層された、基板状態の積層レンズ構造体11Wが作製され、チップ単位に個片化される。図138において、スペーサ基板1001Wの図示が省略されている点、基板状態の積層レンズ構造体11Wが3枚のレンズ付き基板41Wを積層した構成例である点は、図135と同様である。
一方で、基板状態の撮像部12全体にシール樹脂1013を塗布して保護基板1014を積層した基板状態の撮像チップ12PWが、基板状態の積層レンズ構造体11Wとは別に作製され、チップ単位に個片化される。
そして、個片化された積層レンズ構造体11と、個片化された撮像チップ12Pとが接合され、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hとなる。
図139は、カメラモジュール1Hの第2の製造方法の詳細を示す図である。
図139のAに示されるように、まず、基板状態の積層レンズ構造体11Wから、チップ単位に個片化された積層レンズ構造体11が、仮基板1022に仮接合される。個片化された積層レンズ構造体11が仮基板1022に仮接合される際、仮基板1022のアライメントマークを基準に高精度に位置合わせされて、仮基板1022に配置される点は、撮像チップ12Pの仮接合と同様である。
そして、図139のBに示されるように、仮基板1022に仮接合された個片化された積層レンズ構造体11と、仮基板1021に仮接合された個片化された撮像チップ12Pとが、貼り合わされる。
最後に、積層レンズ構造体11を仮接合していた仮基板1022と、撮像チップ12Pを仮接合していた仮基板1021のそれぞれが剥離され、図139のCに示されるように、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hが完成する。
カメラモジュール1Hを作製する製造方法としては、以上の第1および第2の製造方法の他、図140および図141に示す第3および第4の製造方法も取り得る。
図140は、カメラモジュール1Hの第3の製造方法の概略工程を示す図である。
初めに、基板状態の複数枚のレンズ付き基板41Wとスペーサ基板1001が積層された、基板状態の積層レンズ構造体11Wが作製される。図140においても、スペーサ基板1001Wの図示は省略され、基板状態の積層レンズ構造体11Wは、3枚のレンズ付き基板41Wを積層した例とされている。
一方で、基板状態の撮像部12全体にシール樹脂1013を塗布して保護基板1014を積層した基板状態の撮像チップ12PWが、基板状態の積層レンズ構造体11Wとは別に作製される。
そして、基板状態の積層レンズ構造体11Wと、基板状態の撮像チップ12PWとが、貼り合わされた後、チップ単位に個片化され、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hとなる。
図141は、カメラモジュール1Hの第4の製造方法の概略工程を示す図である。
初めに、基板状態の複数枚のレンズ付き基板41Wとスペーサ基板1001が積層された、基板状態の積層レンズ構造体11Wが作製され、チップ単位に個片化される。図141においても、スペーサ基板1001Wの図示は省略され、基板状態の積層レンズ構造体11Wは、3枚のレンズ付き基板41Wを積層した例とされている。
一方で、基板状態の撮像部12全体にシール樹脂1013を塗布して保護基板1014を積層した基板状態の撮像チップ12PWが、別に作製される。
そして、基板状態の撮像チップ12PWに、チップ単位の積層レンズ構造体11がマウントされた後、基板状態の撮像チップ12PWがチップ単位に個片化され、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hとなる。
カメラモジュール1Hは、以上の第1乃至第4の製造方法のいずれを用いても作製することができる。
基板状態の撮像チップ12PWをチップ単位に個片化してから、基板状態の積層レンズ構造体11Wまたはチップ単位の積層レンズ構造体11と貼り合わせる製造方法を用いた場合には、貼り合わせる前の段階で、撮像チップ12PWの良品および不良品を選別することが可能となるので、カメラモジュール1Hの歩留りを向上させることができる。
<カメラモジュール1Hの変形例>
図142のA乃至Dは、第28実施の形態に係るカメラモジュール1Hの変形例を示している。
図134に示したカメラモジュール1Hは、撮像チップ12Pの側面の断面形状と、積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の内周面の断面形状が、いずれも垂直形状となっていた。
しかしながら、例えば、図142のAに示されるように、撮像チップ12Pの側面の断面形状と、積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の内周面の断面形状が、下すぼみまたは末広がりのいずれか斜めに傾斜したテーパー形状であってもよい。
また、図142のBに示されるように、撮像チップ12Pの側面の断面形状と、積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の内周面の断面形状のどちらか一方が、テーパー形状で、他方が、垂直形状であってもよい。
さらに、撮像チップ12Pの側面の断面形状と、積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の内周面の断面形状の両方がテーパー形状である場合、図142のCに示されるように、傾斜の角度が異なっていてもよい。
また、図134に示したカメラモジュール1Hでは、積層レンズ構造体11のスペーサ基板1001の高さ(積層方向の長さ)が、撮像部12の上面よりも下の位置となっていたが、図142のDに示されるように、撮像部12の上面よりも上の位置で、スペーサ基板1001が保護基板1014の側面のみと接する形でも良い。ただし、上述したように、撮像部12の側面からの迷光を抑制する効果を持たせるためには、スペーサ基板1001は、撮像部12の受光領域12aよりも低い位置まで接するように形成することが好ましい。
<62.カメラモジュール1の第29実施の形態>
図143は、本技術を適用したカメラモジュールの第29実施の形態を示す図である。
図143は、カメラモジュール1の第29実施の形態としてのカメラモジュール1Jの断面図である。
図143では、上述したカメラモジュール1の他の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分についての説明は適宜省略し、異なる部分に注目して説明する。
図143のカメラモジュール1Jは、図98乃至図101で説明したカメラモジュール1s乃至1vと同様に、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離が固定された固定焦点方式のカメラモジュールの構成である。
図143のカメラモジュール1Jは、図2等で示した第1構成例に係る積層レンズ構造体11と、撮像チップ12Pとの間に、スペーサ1032を備える。スペーサ1032は、シリコン、ガラスなどの無機材料で形成される。また、撮像チップ12Pの保護基板1014の上面には、無機膜1031が成膜されている。この無機膜1031は、スペーサ1032と保護基板1014とを接合する接合膜であり、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜で構成することができる。また、無機膜1031には、例えば、上述した上側表面層122(図10)と同様、反射防止膜としての機能を持たせてもよい。この場合、無機膜1031は、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した構成とすることができ、低屈折膜は、例えば、SiOx(1≦x≦2)、SiOC、SiOFなどの酸化膜、高屈折膜は、例えば、TiO、TaO、Nb2O5などの金属酸化膜で構成される。勿論、無機膜1031は、酸化物、窒化物、その他の絶縁物からなる単層膜であっても良い。
固定焦点方式のカメラモジュール1Jにおいて、スペーサ1032は、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離を高精度で制御して固定している。例えば、図98のカメラモジュール1sでは、例えばエポキシ系の樹脂などで構成される構造材73を用いて、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離が設定されていたが、エポキシ系の樹脂では、高さ方向の距離を高精度に制御することができない。カメラモジュール1Jでは、シリコン、ガラスなどの無機材料で形成したスペーサ1032を挿入することにより、積層レンズ構造体11と撮像部12との距離、すなわち、レンズ設置高さを高精度に制御している。スペーサ1032の材料として、特にシリコンを用いて形成した場合には、スペーサ1032によって、カメラモジュール1Jの外部からの迷光を抑制することができる。
このように、カメラモジュール1Jでは、スペーサ1032を用いて撮像部12との距離を高精度で制御する構成としたことにより、レンズモジュールを軽量化することができるので、レンズモジュールを駆動してオートフォーカス動作する際の低消費電力化および高速化にも貢献する。
さらに、カメラモジュール1Jでは、撮像チップ12Pの保護基板1014の上面に、反射防止膜の機能を有する無機膜1031を形成することにより、保護基板1014の表面反射を抑制することができる。
<カメラモジュール1Jの製造方法>
次に、図144および図145を参照して、第29実施の形態に係るカメラモジュール1Jの製造方法について説明する。なお、以下の説明では、スペーサ1032の材料としてシリコン(シリコン基板)を用いた場合について説明する。
初めに、図144のAに示されるように、例えば、ガラス基板等の保護基板1014が用意され、洗浄される。保護基板1014は、必要に応じて所望の厚みに厚さが調整されたり、平面度が調整される。
次に、図144のBに示されるように、保護基板1014の所定の一面に無機膜1031が形成され、図144のCに示されるように、無機膜1031を接合膜として、シリコン基板1032Aが、直接接合により貼り合わされる。そして、図144のDに示されるように、保護基板1014上のシリコン基板1032Aが、カメラモジュール1Jとしたときの積層レンズ構造体11と撮像部12の間の距離に合わせて研磨され、厚みが調整された後、洗浄される。シリコン基板1032Aの厚みの調整では、シリコン基板1032Aが貼り合わされた面ではない保護基板1014の下面が研磨されて、平面度が調整された上で、保護基板1014の下面を基準に、シリコン基板1032Aの厚さおよび平面度が調整される。
そして、図144のEに示されるように、シリコン基板1032Aが貼り合わされた面とは反対側の保護基板1014の下面に、シール樹脂1013を介して撮像部12が貼り合わされる。ただし、この段階では、撮像部12の下面側には、貫通電極1011a、再配線1011b、ソルダレジスト1012などの裏面配線が形成されておらず、図144のFに示されるように、保護基板1014に撮像部12を貼り合わせた後で、裏面配線が形成され、撮像チップ12Pが完成する。
図144のGに示されるように、撮像チップ12Pの裏面配線側に、接着テープ、接着剤、または、直接接合等により、支持基板1041が仮接合される。支持基板1041は、支持用の粘着テープでもよい。
図144のHに示されるように、シリコン基板1032Aの上面に、スペーサ1032の平面領域に合わせて、レジスト1042がパターニングされ、図144のIに示されるように、シリコン基板1032Aがエッチングされる。このとき、保護基板1014の上面に形成された無機膜1031が、エッチングストッパ膜としての役割も果たす。レジスト1042によってエッチングされずに残されたシリコン基板1032Aの部分が、スペーサ1032となる。
図144のJに示されるように、エッチング終了後、レジスト1042が剥離され、続けて、図144のKに示されるように、撮像部12に仮接合された支持基板1041も剥離されると、図144のLに示されるように、撮像チップ12Pの保護基板1014の上面に無機膜1031とスペーサ1032が形成された状態が出来上がる。
次に、図145に示されるように、積層レンズ構造体11と、無機膜1031とスペーサ1032が接合された撮像チップ12Pとが直接接合により貼り合わされ、第29実施の形態に係るカメラモジュール1Jが完成する。積層レンズ構造体11の最下層のレンズ付き基板41eの下面とスペーサ1032の上面との接合は、上述した直接接合により貼り合わされる。
以上のように、第29実施の形態に係るカメラモジュール1Jでは、全ての接合面が直接接合を用いて貼り合わされており、接着剤は使用されない。
図144および図145で説明した製造方法は、個片化された状態どうしの、積層レンズ構造体11と、スペーサ1032付きの撮像チップ12Pとを貼り合わせる例であり、上述したカメラモジュール1Hの第1乃至第4の製造方法で言えば、図138の第2の製造方法に相当する。
しかしながら、カメラモジュール1Jを作製する方法としては、カメラモジュール1Hの第1の製造方法、第3の製造方法、および、第4の製造方法と同様の方法を用いることもできる。すなわち、個片化したスペーサ1032付きの撮像チップ12Pと、基板状態の積層レンズ構造体11Wとを貼り合わせてから個片化する図135の第1の製造方法、基板状態どうしで貼り合わせてから個片化する図140の第3の製造方法、個片化した積層レンズ構造体11と、基板状態のスペーサ1032付きの撮像チップ12PWを貼り合わせてから個片化する図141の第4の製造方法のいずれでも、カメラモジュール1Jを作製することができる。
<カメラモジュール1Jの変形例>
図146のA乃至Cは、第29実施の形態に係るカメラモジュール1Jの変形例を示している。
図146のAに示されるように、撮像チップ12Pの保護基板1014とスペーサ1032との間に形成した無機膜1031は、省略した構成を採用することができる。
あるいはまた、図146のBに示されるように、保護基板1014とスペーサ1032との間に形成した無機膜1031を第1の無機膜として、その上に、第2の無機膜1051を形成してもよい。この場合、第2の無機膜1051は、スペーサ1032が形成されている場所では、スペーサ1032の上面に形成される。第2の無機膜1051には、反射防止膜としての機能を持たせることができる。この場合、第1の無機膜である無機膜1031は、例えば、エッチングストッパ膜としての機能のみで、反射防止膜としての機能はなくてもよい。あるいはまた、上述した無機膜1031の低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した構成の例のように、第1の無機膜である無機膜1031と、第2の無機膜1051の複数層により、反射防止膜としての機能を有するようにしてもよい。
また、第2の無機膜1051には、スペーサ1032の上面と、積層レンズ構造体11のレンズ付き基板41eの下面とを接合する際の接合膜としての機能を持たせることができる。
さらに、図146のCに示されるように、スペーサ1032より内側の保護基板1014上面の空間に、赤外光または紫外光の少なくとも一方を吸収する有機膜1052を形成してもよい。
<63.電子機器への適用例>
上述したカメラモジュール1は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像素子を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像素子を用いる電子機器に組み込んだ形で使用することが可能である。
図147は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図147の撮像装置4000は、カメラモジュール4002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路4003を備える。また、撮像装置4000は、フレームメモリ4004、表示部4005、記録部4006、操作部4007、および電源部4008も備える。DSP回路4003、フレームメモリ4004、表示部4005、記録部4006、操作部4007および電源部4008は、バスライン4009を介して相互に接続されている。
カメラモジュール4002内のイメージセンサ4001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。このカメラモジュール4002として、上述したカメラモジュール1が採用されており、イメージセンサ4001は、上述した撮像部12に対応する。DSP回路4003は、カメラモジュール4002から出力された信号を処理し、処理結果をフレームメモリ4004や表示部4005に供給する。
表示部4005は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、イメージセンサ4001で撮像された動画または静止画を表示する。記録部4006は、イメージセンサ4001で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
操作部4007は、ユーザによる操作の下に、撮像装置4000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部4008は、DSP回路4003、フレームメモリ4004、表示部4005、記録部4006および操作部4007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
上述したように、カメラモジュール4002として、少なくとも1枚の積層構造の担体基板81を用いたレンズ付き積層基板41と、少なくとも1枚の単層構造の担体基板81を用いたレンズ付き単層基板41とを含む積層レンズ構造体11を搭載した第1乃至第27実施の形態に係るカメラモジュール1を用いることで、高画質化及び小型化を実現することができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置4000においても、半導体パッケージの小型化と、撮像画像の高画質化の両立を図ることができる。
<カメラモジュールの使用例>
図148は、上述のカメラモジュール1の使用例を示す図である。
上述のカメラモジュール1は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
<64.体内情報取得システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムに適用されてもよい。
図149は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
光源部10111は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。図149では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/若しくは手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部10112に適用され得る。具体的には、撮像部10112として、第1乃至第29実施の形態に係るカメラモジュール1を適用することができる。撮像部10112に本開示に係る技術を適用することにより、カプセル型内視鏡10100をより小型化できるため、患者の負担を更に軽減することができる。また、カプセル型内視鏡10100を小型化しつつも、より鮮明な術部画像を得ることができるため、検査の精度が向上する。
<65.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
図150は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図150では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
図151は、図150に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、カメラヘッド11102のレンズユニット11401及び撮像部11402に適用され得る。具体的には、レンズユニット11401及び撮像部11402として、第1乃至第29実施の形態に係るカメラモジュール1を適用することができる。レンズユニット11401及び撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、カメラヘッド11102を小型化しつつも、より鮮明な術部画像を得ることができる。
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
<66.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図152は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図152に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図152の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図153は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図153では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図153には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、第1乃至第29実施の形態に係るカメラモジュール1を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、小型化しつつも、より見やすい撮影画像を得ることができたり、距離情報を取得することができる。また、得られた撮影画像や距離情報を用いて、ドライバの疲労を軽減したり、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
本技術は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像するカメラモジュールへの適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像するカメラモジュールや、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等のカメラモジュール(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を任意に組み合わせた形態を採用することができる。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、
前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、
前記撮像部を保護する保護基板と、
前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサと
を備える撮像素子。
(2)
前記スペーサは、前記保護基板の上面と直接接合により貼り合わされている
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記スペーサは、前記積層レンズ構造体の最下層の前記レンズ付き基板の下面と直接接合により貼り合わされている
前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記スペーサは、ガラスまたはシリコンで形成されている
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5)
前記スペーサと前記保護基板とを接合する無機膜をさらに備える
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)
前記無機膜は、エッチングストッパ膜としても機能する膜である
前記(5)に記載の撮像素子。
(7)
前記無機膜は、反射防止膜としても機能する膜である
前記(5)または(6)に記載の撮像素子。
(8)
前記スペーサの上面と、前記積層レンズ構造体の最下層の前記レンズ付き基板の下面との間に、無機膜をさらに備える
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の撮像素子。
(9)
前記無機膜は、前記スペーサの上面と前記レンズ付き基板の下面とを接合する接合膜である
前記(8)に記載の撮像素子。
(10)
前記無機膜は、反射防止膜として機能する膜である
前記(8)または(9)に記載の撮像素子。
(11)
前記スペーサより内側の前記保護基板の上面に、赤外光または紫外光の少なくとも一方を吸収する有機膜をさらに備える
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12)
前記積層レンズ構造体は、
前記レンズを形成するレンズ樹脂部と、前記レンズ樹脂部を担持する担体基板とを含む前記レンズ付き基板として、第1のレンズ付き基板と第2のレンズ付き基板のそれぞれを少なくとも1枚以上含み、
前記第1のレンズ付き基板の前記担体基板は、複数枚の担体構成基板を厚さ方向に積層して構成され、
前記第2のレンズ付き基板の前記担体基板は、1枚の担体構成基板で構成される
前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の撮像素子。
(13)
入射光を光電変換する撮像部を保護する保護基板の上面にスペーサを形成し、
前記スペーサが形成された前記撮像部と、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体とを接合する
撮像素子の製造方法。
(14)
基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、
前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、
前記撮像部を保護する保護基板と、
前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサと
を備える撮像素子
を備える電子機器。
(B1)
基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、
前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、
前記撮像部の上面に配置された保護基板と
を備え、
少なくとも前記保護基板の上面及び側面が、前記積層レンズ構造体と貼り合わされた構成とされる
撮像素子。
(B2)
前記保護基板の上面及び側面に加えて、前記撮像部の側面の一部でも、前記積層レンズ構造体と貼り合わされた構成とされる
前記(B1)に記載の撮像素子。
(B3)
前記積層レンズ構造体は、複数の前記レンズ付き基板が積層された最下層に、前記レンズが配置されない基板であるスペーサ基板が貼り合わされており、
前記最下層の前記レンズ付き基板の下面と前記スペーサ基板の内周面が、前記保護基板の上面及び側面と貼り合わされている
前記(B1)または(B2)に記載の撮像素子。
(B4)
前記スペーサ基板は、シリコン基板またはガラス基板で形成される
前記(B3)に記載の撮像素子。
(B5)
前記積層レンズ構造体の最下面は、前記撮像部の光電変換領域よりも下の位置である
前記(B3)または(B4)に記載の撮像素子。
(B6)
前記積層レンズ構造体の最下面は、前記撮像部の上面から10um以上、下の位置である
前記(B3)乃至(B5)のいずれかに記載の撮像素子。
(B7)
前記積層レンズ構造体は、
前記レンズを形成するレンズ樹脂部と、前記レンズ樹脂部を担持する担体基板とを含む前記レンズ付き基板として、第1のレンズ付き基板と第2のレンズ付き基板のそれぞれを少なくとも1枚以上含み、
前記第1のレンズ付き基板の前記担体基板は、複数枚の担体構成基板を厚さ方向に積層して構成され、
前記第2のレンズ付き基板の前記担体基板は、1枚の担体構成基板で構成される
前記(B1)乃至(B6)のいずれかに記載の撮像素子。
(B8)
基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体を、入射光を光電変換する撮像部の上面に配置された保護基板の上面及び側面と貼り合わせる
撮像素子の製造方法。
(B9)
前記積層レンズ構造体は、複数の前記レンズ付き基板が積層された最下層に、前記レンズが配置されない基板であるスペーサ基板が貼り合わされており、
前記最下層の前記レンズ付き基板の下面と前記スペーサ基板の内周面を、前記保護基板の上面及び側面と貼り合わせる
前記(B8)に記載の撮像素子の製造方法。
(B10)
個片化された前記撮像部の上面に配置された前記保護基板の上面及び側面に対して、基板状態の前記積層レンズ構造体を貼り合わせた後で、基板状態の前記積層レンズ構造体を個片化する
前記(B8)に記載の撮像素子の製造方法。
(B11)
基板状態の前記積層レンズ構造体を個片化し、個片化された前記積層レンズ構造体を、個片化された前記撮像部の上面に配置された前記保護基板の上面及び側面と貼り合わせる
前記(B8)に記載の撮像素子の製造方法。
(B12)
基板状態の前記積層レンズ構造体と、基板状態の前記撮像部の上面に配置された前記保護基板の上面及び側面とを貼り合わせた後、個片化する
前記(B8)に記載の撮像素子の製造方法。
(B13)
個片化された前記積層レンズ構造体を、基板状態の前記撮像部の上面に配置された前記保護基板の上面及び側面と貼り合わせた後、基板状態の前記撮像部および前記保護基板を個片化する
前記(B8)に記載の撮像素子の製造方法。
(B14)
基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、
前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、
前記撮像部の上面に配置された保護基板と
を備え、
少なくとも前記保護基板の上面及び側面が、前記積層レンズ構造体と貼り合わされた構成とされる
撮像素子
を備える電子機器。
1 カメラモジュール, 11 積層レンズ構造体, 12 撮像部, 12a 受光領域, 13 光学ユニット, 41 レンズ付き基板, 42 スペーサ基板, 51 絞り板, 52 開口部, 80 担体構成基板, 81 担体基板, 82 レンズ樹脂部, 83 貫通孔, 85 溝部, 91 レンズ部, 92 担持部, 111 モジュール基板, 121 遮光膜, 261 凹部, 265 拡散領域, 1001 スペーサ基板, 1014 保護基板, 1031 無機膜, 1032 スペーサ, 1051 無機膜, 1052 有機膜, 4000 撮像装置, 4001 イメージセンサ, 4002 カメラモジュール, 4003 DSP回路

Claims (14)

  1. 基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、
    前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、
    前記撮像部を保護する保護基板と、
    前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサと
    を備える撮像素子。
  2. 前記スペーサは、前記保護基板の上面と直接接合により貼り合わされている
    請求項1に記載の撮像素子。
  3. 前記スペーサは、前記積層レンズ構造体の最下層の前記レンズ付き基板の下面と直接接合により貼り合わされている
    請求項1に記載の撮像素子。
  4. 前記スペーサは、ガラスまたはシリコンで形成されている
    請求項1に記載の撮像素子。
  5. 前記スペーサと前記保護基板とを接合する無機膜をさらに備える
    請求項1に記載の撮像素子。
  6. 前記無機膜は、エッチングストッパ膜としても機能する膜である
    請求項5に記載の撮像素子。
  7. 前記無機膜は、反射防止膜としても機能する膜である
    請求項5に記載の撮像素子。
  8. 前記スペーサの上面と、前記積層レンズ構造体の最下層の前記レンズ付き基板の下面との間に、無機膜をさらに備える
    請求項1に記載の撮像素子。
  9. 前記無機膜は、前記スペーサの上面と前記レンズ付き基板の下面とを接合する接合膜である
    請求項8に記載の撮像素子。
  10. 前記無機膜は、反射防止膜として機能する膜である
    請求項8に記載の撮像素子。
  11. 前記スペーサより内側の前記保護基板の上面に、赤外光または紫外光の少なくとも一方を吸収する有機膜をさらに備える
    請求項1に記載の撮像素子。
  12. 前記積層レンズ構造体は、
    前記レンズを形成するレンズ樹脂部と、前記レンズ樹脂部を担持する担体基板とを含む前記レンズ付き基板として、第1のレンズ付き基板と第2のレンズ付き基板のそれぞれを少なくとも1枚以上含み、
    前記第1のレンズ付き基板の前記担体基板は、複数枚の担体構成基板を厚さ方向に積層して構成され、
    前記第2のレンズ付き基板の前記担体基板は、1枚の担体構成基板で構成される
    請求項1に記載の撮像素子。
  13. 入射光を光電変換する撮像部を保護する保護基板の上面にスペーサを形成し、
    前記スペーサが形成された前記撮像部と、基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体とを接合する
    撮像素子の製造方法。
  14. 基板に形成された貫通孔の内側にレンズが配置されたレンズ付き基板どうしが直接接合により貼り合わされて複数枚の前記レンズが光軸方向に積層された積層レンズ構造体と、
    前記積層レンズ構造体の複数枚の前記レンズにより集光された入射光を光電変換する撮像部と、
    前記撮像部を保護する保護基板と、
    前記保護基板と前記積層レンズ構造体との間に配置されたスペーサと
    を備える撮像素子
    を備える電子機器。
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