本発明の実施形態に係るホイールローダの全体構成及びその動作について、図1〜3を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係るホイールローダ1の外観を示す側面図である。
ホイールローダ1は、前フレーム1A及び後フレーム1Bで構成される車体と、車体の前部に設けられたフロント作業機2と、を備えている。ホイールローダ1は、車体が中心付近で中折れすることにより操舵するアーティキュレート式の作業機械である。前フレーム1Aと後フレーム1Bとは、センタジョイント10によって左右方向に回動自在に連結されており、前フレーム1Aが後フレーム1Bに対して左右方向に屈曲する。
前フレーム1Aには、左右一対の前輪11A、及びフロント作業機2が設けられている。後フレーム1Bには、左右一対の後輪11B、オペレータが搭乗する運転室12、エンジンやコントローラ、冷却器等の各機器を収容する機械室13、及び車体が傾倒しないようにバランスを保つためのカウンタウェイト14が設けられている。なお、図1では、左右一対の前輪11A及び後輪11Bのうち、左側の前輪11A及び後輪11Bのみを示している。
フロント作業機2は、上下方向に回動可能なリフトアーム21と、伸縮することによりリフトアーム21を駆動させる一対のリフトアームシリンダ22と、リフトアーム21の先端部に取り付けられたバケット23と、伸縮することによりバケット23をリフトアーム21に対して上下方向に回動させるバケットシリンダ24と、リフトアーム21に回動可能に連結されてバケット23とバケットシリンダ24とのリンク機構を構成するベルクランク25と、一対のリフトアームシリンダ22やバケットシリンダ24へ圧油を導く複数の配管(不図示)と、を有している。なお、図1では、一対のリフトアームシリンダ22のうち、左側に配置されたリフトアームシリンダ22のみを破線で示している。
リフトアーム21は、各リフトアームシリンダ22のロッド220が伸びることにより上方向に回動し、各ロッド220が縮むことにより下方向に回動する。バケット23は、バケットシリンダ24のロッド240が伸びることによりリフトアーム21に対して上方向に回動(チルト)し、ロッド240が縮むことによりリフトアーム21に対して下方向に回動(ダンプ)する。
このホイールローダ1は、例えば露天掘り鉱山等において、土砂や鉱物等を掘削してダンプトラック等へ積み込む荷役作業を行うための作業機械である。次に、ホイールローダ1が掘削作業及び積み込み作業を行う際の方法の1つであるVシェープローディングについて、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、ホイールローダ1によるVシェープローディングについて説明する説明図である。図3は、ホイールローダ1のライズラン操作を説明する説明図である。
まず、ホイールローダ1は、矢印X1で示すように、掘削対象である地山100Aに向かって前進し、バケット23を地山100Aに突入させて掘削作業を行う。掘削作業が終わると、ホイールローダ1は、矢印X2で示すように、元の場所に一旦後退する。
次に、ホイールローダ1は、矢印Y1で示すように、ダンプトラック100Bに向かって前進し、ダンプトラック100Bの手前で停止する。図2では、ダンプトラック100Bの手前で停止している状態のホイールローダ1を破線で示している。
具体的には、図3に示すように、オペレータはアクセルペダルをいっぱいまで踏み込む(フルアクセル)と共に、リフトアーム21の上げ操作を行う(図3において右側に示す状態)。次に、フルアクセルの状態のまま、さらにリフトアーム21を上方向に上げる(図3において中央に示す状態)。そして、オペレータはブレーキを作動させてダンプトラック100Bの手前で停止し、バケット23をダンプさせてバケット23内の積荷(土砂や鉱物等)をダンプトラック100Bに積み込む。なお、図3に示すこの一連の操作を「ライズラン操作」という。
積み込み作業が終わると、ホイールローダ1は、図2の矢印Y2で示すように、元の場所に後退する。このように、ホイールローダ1は、地山100Aとダンプトラック100Bとの間でV形状に往復走行し、掘削作業及び積み込み作業を行う。
(ホイールローダ1の駆動システムについて)
次に、ホイールローダ1の駆動システムについて、図4〜8を参照して説明する。
図4は、ホイールローダ1の油圧回路及び電気回路を示す図である。図5は、速度段毎の最高車速と駆動力との関係を示すグラフである。図6は、アクセルペダル61の踏込量と目標エンジン回転速度との関係を示すグラフである。図7は、リフトアーム21の上げ操作量とスプールの開口面積との関係を示すグラフである。図8は、エンジン3の実回転速度とトルクとの関係を示すグラフである。
本実施形態に係るホイールローダ1は、トルクコンバータ式の走行駆動システムによって車体の走行が制御されており、図4に示すように、エンジン3と、入力軸がエンジン3の出力軸に連結されたトルクコンバータ41(以下、「トルコン41」とする)と、トルコン41の出力軸に連結されたトランスミッション42と、エンジン3等の各機器を制御するコントローラ5と、を備えている。
トルコン41は、インペラ、タービン、及びステータで構成された流体クラッチであり、入力トルクに対して出力トルクを増大させる機能、すなわちトルク比(=出力トルク/入力トルク)を1以上とする機能を有する。このトルク比は、トルコン41の入力軸の回転速度と出力軸の回転速度の比であるトルコン速度比(=出力軸回転速度/入力軸回転速度)が大きくなるにつれて小さくなる。これにより、エンジン3の回転を変速した上でトランスミッション42に伝達する。
トランスミッション42は、最高車速を図5に示すような1〜4速度段に対応した複数のソレノイド弁を有する変速機であり、トルコン41の出力軸の回転を変速する。1〜4速度段の選択は、運転室12に設けられた速度段スイッチ63(図4参照)により行われる。
オペレータが速度段スイッチ63で所望の速度段を選択すると、選択された速度段に係る速度段信号が速度段スイッチ63からコントローラ5に出力される。そして、コントローラ5は当該速度段信号をトランスミッション制御部420に出力し、当該速度段信号にしたがってトランスミッション42の複数のソレノイド弁がそれぞれ駆動する。
図5に示すように、1速度段では最高車速がS1に、2速度段では最高車速がS2に、3速度段では最高車速がS3に、4速度段では最高車速がS4に、それぞれ設定されている。なお、S1、S2、S3及びS4の間の大小関係は、S1<S2<S3<S4である。図5では、1速度段を実線で、2速度段を破線で、3速度段を一点鎖線で、4速度段を二点鎖線で、それぞれ示している。
本実施形態では、「1速度段」は、ホイールローダ1の掘削作業時に選択される速度段である。「2速度段」は、積込作業においてホイールローダ1がダンプトラック100Bに向かって走行する場合(図2において矢印Y1で示す場合)、すなわちライズラン操作時に選択される低速度段に相当し、最高車速は例えば9〜15km/時に設定されている。「3速度段」及び「4速度段」は、ホイールローダ1が搬送路を走行するとき等に選択される速度段である。
ホイールローダ1の進行方向、すなわち前進又は後進の選択は、運転室12に設けられた前後進切換スイッチ62(図4参照)によって行う。具体的には、オペレータが前後進切換スイッチ62で前進の位置に切り換えると、前進を示す前後進切換信号がコントローラ5に出力され、コントローラ5はトランスミッション42の前進クラッチを係合状態とするための指令信号をトランスミッション制御部420に出力する。トランスミッション制御部420が前進に係る指令信号を受信すると、トランスミッション制御部420に設けられたクラッチ制御弁が作動して前進クラッチが係合状態となり、車体の進行方向が前進に切り換わる。車体の後進についても、同様の仕組みによって切り換わる。
トルクコンバータ式の走行駆動システムでは、まず、運転室12に設けられたアクセルペダル61をオペレータが踏み込むとエンジン3が回転し、エンジン3の回転に伴ってトルコン41の入力軸が回転する。そして、設定されたトルコン速度比にしたがってトルコン41の出力軸が回転し、トルコン41からの出力トルクがトランスミッション42、プロペラシャフト16、及びアクスル15を介して前輪11A及び後輪11Bに伝達されることにより、ホイールローダ1が走行する。
具体的には、踏込量検出器610によって検出されたアクセルペダル61の踏込量がコントローラ5に入力され、コントローラ5からエンジン3へ目標エンジン回転速度が指令信号として出力される。エンジン3は、この目標エンジン回転速度にしたがって回転数が制御される。図4に示すように、エンジン3の回転速度は、エンジン3の出力軸側に設けられた第1回転速度センサ71で検出する。
図6に示すように、アクセルペダル61の踏込量と目標エンジン回転速度とは比例関係にあり、アクセルペダル61の踏込量が大きくなると目標エンジン回転速度は速くなる。これにより、トルコン41の出力軸の回転速度が上昇して車速が上昇する。図4に示すように、車速は、プロペラシャフト16の回転速度として第2回転速度センサ72で検出する。
なお、図6において、アクセルペダル61の踏込量0%〜20あるいは30%の範囲では、目標エンジン回転速度は、アクセルペダル61の踏込量にかかわらず最低目標エンジン回転速度Vminで一定となっている。また、アクセルペダル61の踏込量70あるいは80%〜100%の範囲では、目標エンジン回転速度は、アクセルペダル61の踏込量にかかわらず最高目標エンジン回転速度Vmaxで一定となっている。
このように、アクセルペダル61の踏込量と目標エンジン回転速度との関係において、アクセルペダル61の踏込量が少ない所定の領域では、目標エンジン回転速度が最低目標エンジン回転速度Vminに維持されるように、アクセルペダル61の踏込量が多い所定の領域では、目標エンジン回転速度が最高目標エンジン回転速度Vmaxに維持されるように、それぞれ設定されている。なお、これらの設定は、任意に変更可能である。
また、ホイールローダ1は、図4に示すように、エンジン3により駆動され、フロント作業機2に作動油を供給する油圧ポンプ43と、当該作動油を貯蔵する作動油タンク44と、リフトアーム21を操作するためのリフトアーム操作レバー210と、バケット23を操作するためのバケット操作レバー230と、油圧ポンプ43からリフトアームシリンダ22及びバケットシリンダ24にそれぞれ供給される圧油の流れを制御するコントロールバルブ64と、を備える。
油圧ポンプ43は、傾転角に応じて押し退け容積が制御される斜板式あるいは斜軸式の可変容量型の油圧ポンプである。傾転角は、コントローラ5から出力された指令信号にしたがって、レギュレータ430により調整される。油圧ポンプ43からの吐出圧は圧力検出器73で検出され、検出された吐出圧に係る信号がコントローラ5へ出力される。
オペレータが、例えばリフトアーム21を上げる方向にリフトアーム操作レバー210を操作すると、その操作量に応じたパイロット圧が生成される。このパイロット圧はリフトアーム操作レバー210によるリフトアーム21の上げ操作量として操作量検出器74で検出され、検出された操作量に係る信号がコントローラ5へ出力される。
そして、生成されたパイロット圧はコントロールバルブ64に作用し、コントロールバルブ64内のスプールが当該パイロット圧に応じてストロークする。油圧ポンプ43から吐出された作動油はコントロールバルブ64を介してリフトアームシリンダ22に流入し、これによりリフトアームシリンダ22のロッド220が伸長する。
図7に示すように、リフトアーム21の上げ操作量[%]とコントロールバルブ64のスプールの開口面積[%]とは比例関係にあり、リフトアーム21の上げ操作量が増えるとスプールの開口面積も大きくなる。したがって、リフトアーム21を上げる方向にリフトアーム操作レバー210を大きく操作すると、リフトアームシリンダ22へ流入する作動油量が多くなり、ロッド220が速く伸長する。
なお、図7において、リフトアーム21の上げ操作量0〜20%の範囲では、スプールは開口せず、開口面積は0%である(不感帯)。また、リフトアーム21の上げ操作量85〜100%の範囲では、スプールの開口面積は100%で一定となっており、フルレバー操作状態が維持されている。
バケット23の操作についても、リフトアーム21の操作と同様に、バケット操作レバー230の操作量に応じて生成されたパイロット圧がコントロールバルブ64に作用することによってコントロールバルブ64のスプールの開口面積が制御され、バケットシリンダ24へ流出入する作動油量が調整される。
なお、図4では図示を省略しているが、リフトアーム21の下げ操作量やバケット23のチルト及びダンプ操作量をそれぞれ検出するための操作量(パイロット圧)検出器についても、油圧回路の各管路上に設けられている。
ここで、エンジン3における実回転速度に対する出力トルクの関係、エンジン3の実回転速度に対する油圧ポンプ43の入力トルクの関係、及びエンジン3の実回転速度に対するトルコン41の入力トルクの関係について、図8を参照してそれぞれ説明する。なお、以下では、「エンジン3の実回転速度」を単に「エンジン実回転速度」という。
図8における特性線Eは、エンジン3における実回転速度に対する出力トルクの特性を示す。特性線Eでは、エンジン実回転速度Viがローアイドル回転速度(最低回転速度)Vaから所定の回転速度Vbまでの間の範囲において(Va≦Vi≦Vb)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれてエンジン3の出力トルクも大きくなり、エンジン実回転速度Viが所定の回転速度Vbのときにエンジン3の出力トルクが最大値Nmaxとなる。すなわち、「所定の回転速度Vb」は、「最大出力トルク時の回転速度」となる。なお、「ローアイドル回転速度」とは、アクセルペダル61の非操作時におけるエンジン実回転速度のことである。
そして、特性線Eでは、エンジン実回転速度Viが所定の回転速度Vbよりも大きい範囲において(Vi>Vb)、エンジン実回転速度Viが大きくなるとエンジン3の出力トルクが減少し、定格点Rに達すると定格出力が得られる。エンジン実回転速度Viが定格点Rにおける定格回転速度Vrを超えて大きくなると(Vi>Vr)、エンジン3の出力トルクは急激に減少する(ドループ特性)。
図8における特性線A及び特性線Bは、エンジン実回転速度に対する油圧ポンプ43の入力トルクの特性を示す。特性線Aは、リフトアーム21を大きく上げ操作した場合、本実施形態ではリフトアーム21の上げ操作量が75%以上の場合の特性を示している。特性線Bは、リフトアーム21を小さく操作あるいは操作しない場合、本実施形態ではリフトアーム21の上げ操作量が75%よりも少ない場合の特性を示している。なお、図8では、特性線Bを一点鎖線で示している。なお、「リフトアーム21を大きく上げ操作した場合」とは、リフトアーム21を少なくとも水平姿勢時から上方向に上げ操作した場合をいう。
特性線A及び特性線Bではそれぞれ、アクセルペダル61の踏込量に応じた複数の特性線が設定されている。本実施形態では、アクセルペダル61の踏込量を「少ない」、「中程度」、及び「多い」の3段階に分け、踏込量が少ない場合が特性線A1及び特性線B1、踏込量が中程度の場合が特性線A2及び特性線B2、踏込量が多い場合が特性線A3及び特性線B3である。
アクセルペダル61の踏込量が少ない場合における所定のエンジン実回転速度をV1とし、踏込量が中程度の場合における所定のエンジン実回転速度をV2とし、踏込量が多い場合における所定のエンジン実回転速度をV3とする。このとき、V1、V2、及びV3の大小関係は、Va<V1<V2<V3<Vbである。
特性線A1について、エンジン実回転速度ViがV1よりも小さい範囲では(Vi<V1)、油圧ポンプ43の入力トルクはエンジン実回転速度Viにかかわらず最小入力トルクNminで一定となる。エンジン実回転速度ViがV1以上の範囲では(Vi≧V1)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて油圧ポンプ43の入力トルクも最大入力トルクNAmaxまで大きくなり、油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNAmaxに達すると、エンジン実回転速度Viにかかわらず最大入力トルクNAmaxで一定となる。
特性線A2について、特性線A1と同様に、エンジン実回転速度ViがV2よりも小さい範囲では(Vi<V2)、油圧ポンプ43の入力トルクはエンジン実回転速度Viにかかわらず最小入力トルクNminで一定となる。エンジン実回転速度ViがV2以上の範囲では(Vi≧V2)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて油圧ポンプ43の入力トルクも最大入力トルクNAmaxまで大きくなり、油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNAmaxに達すると、エンジン実回転速度Viにかかわらず最大入力トルクNAmaxで一定となる。
特性線A3について、特性線A1,A2と同様に、エンジン実回転速度ViがV3よりも小さい範囲では(Vi<V3)、油圧ポンプ43の入力トルクはエンジン実回転速度Viにかかわらず最小入力トルクNminで一定となる。エンジン実回転速度ViがV3以上の範囲では(Vi≧V3)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて油圧ポンプ43の入力トルクも最大入力トルクNAmaxまで大きくなり、油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNAmaxに達すると、エンジン実回転速度Viにかかわらず最大入力トルクNAmaxで一定となる。
特性線B1について、エンジン実回転速度ViがV1よりも小さい範囲では(Vi<V1)、特性線A1と同様に、油圧ポンプ43の入力トルクはエンジン実回転速度Viにかかわらず最小入力トルクNminで一定となる。エンジン実回転速度ViがV1以上の範囲では(Vi≧V1)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて油圧ポンプ43の入力トルクも最大入力トルクNBmaxまで大きくなり、油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNBmaxに達すると、エンジン実回転速度Viにかかわらず最大入力トルクNBmaxで一定となる。
特性線B2について、特性線B1と同様に、エンジン実回転速度ViがV2よりも小さい範囲では(Vi<V2)、油圧ポンプ43の入力トルクはエンジン実回転速度Viにかかわらず最小入力トルクNminで一定となる。エンジン実回転速度ViがV2以上の範囲では(Vi≧V2)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて油圧ポンプ43の入力トルクも最大入力トルクNBmaxまで大きくなり、油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNBmaxに達すると、エンジン実回転速度Viにかかわらず最大入力トルクNBmaxで一定となる。
特性線B3について、特性線B1,B2と同様に、エンジン実回転速度ViがV3よりも小さい範囲では(Vi<V3)、油圧ポンプ43の入力トルクはエンジン実回転速度Viにかかわらず最小入力トルクNminで一定となる。エンジン実回転速度ViがV3以上の範囲では(Vi≧V3)、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて油圧ポンプ43の入力トルクも最大入力トルクNBmaxまで大きくなり、油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNBmaxに達すると、エンジン実回転速度Viにかかわらず最大入力トルクNBmaxで一定となる。
図8に示すように、特性線A(特性線A1,A2,A3)における油圧ポンプ43の最大入力トルクNAmaxは、特性線B(特性線B1,B2,B3)における油圧ポンプ43の最大入力トルクNBmaxよりも大きい値に設定されている(NAmax>NBmax)。
また、本実施形態では、エンジン実回転速度Viの範囲が、「低速回転領域Z1」、「中速回転領域Z2」、及び「高速回転領域Z3」の3つの回転速度領域に分けられており、特性線Aでは中速回転領域Z2又は高速回転領域Z3の範囲において油圧ポンプ43の入力トルクが最大入力トルクNAmaxに達する。なお、「中速回転領域Z2」は、エンジン3の出力トルクが最大値Nmaxとなるエンジン実回転速度Vb(最大出力トルク時の回転速度Vb)を含む。
図8における特性線Cは、エンジン実回転速度に対するトルコン41の入力トルクの特性を示す。特性線Cでは、エンジン実回転速度Viが大きくなるにつれて、トルコン41の入力トルクがべき乗に大きくなっている。以上より、図8において、特性線Eは、特性線A又は特性線Bと特性線Cとを足し合わせたものである(特性線E=特性線A又は特性線B+特性線C)。
(コントローラ5の構成及び機能)
次に、コントローラ5の構成及び機能について、図8〜11を参照して説明する。
図9は、コントローラ5が有する機能を示す機能ブロック図である。図10は、コントローラ5で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図11は、油圧ポンプ43の吐出圧と油圧ポンプの押し退け容積との関係を示すグラフである。
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM、HDD、入力I/F、及び出力I/Fがバスを介して互いに接続されて構成される。そして、前後進切換スイッチ62や速度段スイッチ63といった各種の操作装置、及び踏込量検出器610や操作量検出器74といった各種の検出器等(図4参照)が入力I/Fに接続され、エンジン3やトランスミッション42のトランスミッション制御部420、油圧ポンプ43のレギュレータ430等が出力I/Fに接続されている。
このようなハードウェア構成において、ROMやHDD若しくは光学ディスク等の記録媒体に格納された演算プログラム(ソフトウェア)をCPUが読み出してRAM上に展開し、展開された演算プログラムを実行することにより、演算プログラムとハードウェアとが協働して、コントローラ5の機能を実現する。
なお、本実施形態では、コントローラ5の構成をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより説明しているが、これに限らず、ホイールローダ1の側で実行される演算プログラムの機能を実現する集積回路を用いて構成してもよい。
図9に示すように、コントローラ5は、データ取得部51と、記憶部52と、判定部53と、設定部54と、指令信号出力部55と、を含む。
データ取得部51は、前後進切換スイッチ62から出力された前進あるいは後進の前後進切換信号、踏込量検出器610で検出されたアクセルペダル61の踏込量、操作量検出器74で検出されたリフトアーム21の上げ操作量としてのパイロット圧Pi、第1回転速度センサ71で検出されたエンジン実回転速度Vi、及び速度段スイッチ63から出力された速度段信号に関するデータをそれぞれ取得する。
記憶部52は、図8に示す特性線Aにおける最大入力トルクNAmax及び特性線Bにおける最大入力トルクNBmaxを記憶すると共に、リフトアーム21の上げ操作に係る閾値として第1パイロット閾値P1及び第2パイロット閾値P2を記憶している。
第1パイロット閾値P1は、リフトアーム21が水平姿勢よりも上方向に上がっている状態のパイロット圧であり、例えば75%(P1=75%)である。なお、第1パイロット閾値P1は、リフトアーム21が上げ操作を行っている状況において、少なくともリフトアーム21が水平姿勢をとった時のパイロット圧であればよい。第2パイロット閾値P2は、リフトアーム21が上方向に上がりきった時のパイロット圧、すなわち100%である(P2=100%)。
判定部53は、データ取得部51で取得された前後進切換信号及びアクセルペダル61の踏込量に基づいて、ホイールローダ1が前進走行中であるか否かを判定すると共に、データ取得部51で取得されたパイロット圧Piに基づいて、リフトアーム21が上げ動作中であるか否かを判定する。以下、ホイールローダ1の前進走行中におけるリフトアーム21の上方向への動作を特定するための条件を「特定条件」とし、この「特定条件」を満たす場合とは、前述したライズラン操作を行っている場合である。
ここで、前後進切換スイッチ62及び踏込量検出器610はそれぞれ、ホイールローダ1の車体の走行状態を検出する走行状態検出器の一態様であり、操作量検出器74は、リフトアーム21の上げ動作を検出する動作検出器の一態様である。
なお、本実施形態では、前後進切換スイッチ62から出力された前進を示す前後進切換信号、及び踏込量検出器610で検出されたアクセルペダル61の踏込量によって車体の前進走行を判定しているが、これに限らず、車体に搭載された他の複数の走行状態検出器で検出された各走行状態を踏まえて総合的に車体の前進走行を判定してもよい。
また、判定部53は、本実施形態では、特定条件を満たすと判定された場合(ライズラン操作中)に、データ取得部51で取得されたパイロット圧Pi、及び記憶部52から読み出した第1パイロット閾値P1及び第2パイロット閾値P2に基づいて、パイロット圧Piと第1パイロット閾値P1及び第2パイロット閾値P2との大小関係をそれぞれ判定する。
さらに、判定部53は、データ取得部51で取得されたエンジン実回転速度Viが「中速回転領域」又は「高速回転領域」に含まれているかどうかを判定する(図8参照)。またさらに、判定部53は、データ取得部51で取得された速度段信号に基づいて、低速度段(本実施形態では、図5に示す2速度段に相当)が選択されているか否かを判定する。
設定部54は、判定部53で特定条件を満たさないと判定された場合(ライズラン操作以外の操作中)、エンジン実回転速度Viに対する油圧ポンプ43の最大入力トルク(以下、単に「油圧ポンプ最大入力トルク」とする)を所定の値NBmaxに設定し、判定部53で特定条件を満たすと判定された場合(ライズラン操作中)、油圧ポンプ最大入力トルクを所定の値NBmaxから所定の値NAmaxに変更(所定の値NAmaxに設定)する。
図8に示すように、特定条件を満たす場合に設定される油圧ポンプ最大入力トルクNAmaxは、特定条件を満たさない場合に設定される油圧ポンプ最大入力トルクNBmaxよりも大きい(NAmax>NBmax)。すなわち、設定部54は、少なくとも特定条件を満たす場合に、油圧ポンプ最大入力トルクを、特定条件を満たさない場合の油圧ポンプ最大入力トルクに比べて大きい値に変更する。
指令信号出力部55は、設定部54で設定された油圧ポンプ最大入力トルク(NAmax又はNBmax)に係る指令信号を油圧ポンプ43のレギュレータ430に出力する。
なお、コントローラ5は、データ取得部51で取得したアクセルペダル61の踏込量に基づいて、図8に示す油圧ポンプ43の入力トルクの特性線A1,B1、特性線A2,B2、及び特性線A3,B3の中から踏込量に応じた特性線を選択する選択部を含んでいてもよい。例えば、踏込量検出器610で検出された検出値が85%である場合にはアクセルペダル61の踏込量は多い場合に相当し、選択部は特性線A3,B3を選択し、設定部54は、特性線A3,B3に基づく油圧ポンプ最大入力トルク値を設定する。
次に、コントローラ5内で実行される具体的な処理の流れについて説明する。
図10に示すように、まず、データ取得部51は、前後進切換スイッチ62からの前後進切換信号、踏込量検出器610からのアクセルペダル61の踏込量、操作量検出器74からのパイロット圧Pi、第1回転速度センサ71からのエンジン実回転速度Vi、及び速度段スイッチ63からの速度段信号をそれぞれ取得する(ステップS501)。
次に、判定部53は、ステップS501で取得した前後進切換信号及びアクセルペダル61の踏込量に基づいて、ホイールローダ1が前進走行をしているか否かを判定すると共に、ステップS501で取得したパイロット圧Piに基づいて、リフトアーム21が上げ動作を行っているか否かを判定する(ステップS502)。すなわち、ステップ502において、特定条件を満たすか否かを判定する。
ステップS502において、特定条件を満たすと判定された場合(ステップS502/YES)、判定部53は、ステップS501で取得したパイロット圧Piが記憶部52から読み出した第1パイロット閾値P1以上であり、かつ第2パイロット閾値P2よりも小さいか否かを判定する(ステップS503)。
ステップS503において、パイロット圧Piが第1パイロット閾値P1以上であり、かつ第2パイロット閾値P2よりも小さい(P1≦Pi<P2)と判定された場合(ステップS503/YES)、判定部53は、ステップS501で取得したエンジン実回転速度Viが図8に示す「中速回転領域Z2」又は「高速回転領域Z3」に含まれるか否かを判定する(ステップS504)。
ステップS504において、エンジン実回転速度Viが「中速回転領域Z2」又は「高速回転領域Z3」に含まれると判定された場合(ステップS504/YES)、判定部53は、ステップS501で取得した速度段信号が「低速度段」であるか否かを判定する(ステップS505)。
ステップS505において、速度段が「低速度段」であると判定された場合(ステップS505/YES)、設定部54は、油圧ポンプ最大入力トルクをNAmax(>NBmax)に設定する(ステップS506)。したがって、ステップS502,S503,S504,S505のいずれにおいてもYESとなった場合、油圧ポンプ最大入力トルクがNBmaxからNAmaxに変更され、図8に示す油圧ポンプ43の入力トルク特性線は、特性線Bから特性線Aにシフトする。
一方、ステップS503において、パイロット圧Piが第1パイロット閾値P1以上であり、かつ第2パイロット閾値P2よりも小さい(P1≦Pi<P2)と判定されなかった場合(ステップS503/NO)、判定部53は、パイロット圧Piが第2パイロット閾値P2であるか否かを判定する(ステップS503A)。ステップS503Aにおいて、パイロット圧Piが第2パイロット閾値P2である(Pi=P2)場合には(ステップS503A/YES)、リフトアーム21は上方向に上がりきった状態であるので、コントローラ5は処理を終了する。
ここで、ステップS502において特定条件を満たさないと判定された場合(ステップS502/NO)、ステップS503Aにおいてパイロット圧Piが第2パイロット閾値P2でないと判定された場合(ステップS503A/NO)、すなわちパイロット圧Piが第1パイロット閾値P1よりも小さい(Pi<P1)場合、ステップS504においてエンジン実回転速度Viが「中速回転領域Z2」又は「高速回転領域Z3」に含まれない(「低速回転領域Z1」に含まれる)と判定された場合(ステップS504/NO)、及びステップS505において速度段が「低速度段」でないと判定された場合(ステップS505/NO)にはそれぞれ、設定部54は、油圧ポンプ最大入力トルクをNBmax(<NAmax)に設定する(ステップS507)。
本実施形態では、ステップS502において特定条件を満たし(ステップS502/YES)、さらに、ステップS503、ステップS504、及びステップS505のそれぞれにおいて「YES」と判定された場合に、設定部54は、油圧ポンプ最大入力トルクを、特定条件を満たさない場合の油圧ポンプ最大入力トルクNBmaxに比べて大きい値NAmaxに設定しているが(ステップS506)、ステップS503、ステップS504、及びステップS505を省略してステップS506に進んでもよい。すなわち、少なくともステップS502において特定条件を満たす場合に(ステップS502/YES)、設定部54は、油圧ポンプ最大入力トルクを、特定条件を満たさない場合の油圧ポンプ最大入力トルクNBmaxに比べて大きい値NAmaxに設定すればよい(ステップS506)。
なお、コントローラ5内の処理において、ステップS503、ステップS504、及びステップS505の処理を省略した場合、コントローラ5内における処理の終了条件はステップS503Aの処理となる。
指令信号出力部55は、ステップS506又はステップS507で設定された油圧ポンプ最大入力トルク(NAmax又はNBmax)に基づいて、レギュレータ430に指令信号を出力する(ステップS508)。ステップS508において指令信号出力部55がレギュレータ430に指令信号を出力した後は、ステップS501に戻り、処理を繰り返す。
したがって、ライズラン操作以外の操作(あるいはライズラン操作においてリフトアーム21を小さく上げ操作した場合)からライズラン操作(あるいはライズラン操作においてリフトアーム21を大きく上げ操作した場合)に切り換わると、コントローラ5は、油圧ポンプ最大入力トルクをNBmaxからNBmaxに比べて大きい値であるNAmaxに変更する(NBmax→NAmax,NAmax>NBmax)。すなわち、コントローラ5は、図8に示すように、油圧ポンプ43の入力トルクの特性線を特性線Bから特性線Aにシフトするように油圧ポンプ最大入力トルクを制御する。
このとき、図8に示すように、ライズラン操作中の油圧ポンプ最大入力トルク(特性線A)とトルコン41の入力トルク(特性線C)とを足し合わせたトルク(図8に示す交点E2)は、ライズラン操作以外の操作中の油圧ポンプ最大入力トルク(特性線B)とトルコン41の入力トルク(特性線C)とを足し合わせたトルク(図8に示す交点E1)よりも大きくなる。したがって、ライズラン操作中のエンジン実回転速度Vy2は、ライズラン操作以外の操作中のエンジン実回転速度Vy1よりも小さくなる(Vy2<Vy1)。これにより、エンジン3の効率が良くなり、燃料消費の低減を図ることができる。
ここで、油圧ポンプ43の入力トルクは、油圧ポンプ43の吐出圧と押し退け容積との積で表されることから(入力トルク=吐出圧×押し退け容積)、油圧ポンプ43の入力トルクの特性線を特性線Bから特性線Aにシフトすると、図11に示すように、油圧ポンプ43の吐出圧Paに対する押し退け容積の値はq1からq2へと大きくなる(q1→q2、q2>q1)。
また、油圧ポンプ43から吐出される圧油の吐出流量Qiは、押し退け容積qiとエンジン実回転速度Viとの積で表されることから(吐出流量=押し退け容積×エンジン実回転速度)、ライズラン操作中における油圧ポンプ43の押し退け容積q2とライズラン操作以外の操作中における油圧ポンプの押し退け容積q1との比(q2/q1)が、ライズラン操作中におけるエンジン実回転速度Vy2とライズラン操作以外の操作中におけるエンジン実回転速度Vy1との比(Vy1/Vy2)以上となるように(q2×Vy2≧q1×Vy1)、コントローラ5は油圧ポンプ最大入力トルクを制御する(特性線Bから特性線Aにシフトさせる)。
これにより、ライズラン操作中における油圧ポンプ43の吐出流量Q2が、ライズラン操作以外の操作中における油圧ポンプ43の吐出流量Q1以上になる(Q2≧Q1)。したがって、ライズラン操作中における油圧ポンプ43の吐出量が増大し、リフトアーム21が上方向に上がりきるまでの時間(上昇時間)t2が、ライズラン操作以外の操作中におけるリフトアーム21の上昇時間t1以下となる(t2≦t1)。
このように、ライズラン操作以外の操作中においては、油圧ポンプ43からの吐出流量Q1が、ライズラン操作中における油圧ポンプ43からの吐出流量Q2以下となるため(Q1≦Q2)、コントロールバルブ64のスプールで絞り捨てられる圧油量を低減することができ、エネルギーロス(燃料消費)の抑制が図れる。
本実施形態では、リフトアーム21の上げ動作に係るパイロット圧Piが第1パイロット閾値P1以上であって、かつ第2パイロット閾値P2よりも小さい場合に(P1≦Pi<P2)、コントローラ5の設定部54が、油圧ポンプ最大入力トルクをNAmaxに設定する。この場合、コントロールバルブ64のスプールの開口面積が、例えば75%以上と大きくなっていることから、油圧ポンプ43から吐出される圧油の吐出流量Qiが多くても、コントロールバルブ64のスプールで絞り捨てられる圧油量を低減することができる。これによりエネルギーロス(燃料消費)を最小限に抑えることが可能となる。
また、ライズラン操作中のエンジン実回転速度Vy2は、ライズラン操作以外の操作中のエンジン実回転速度Vy1よりも小さく(Vy2<Vy1)、かつライズラン操作中のリフトアーム21の上昇時間t2は、ライズラン操作以外の操作中のリフトアーム21の上昇時間t1以下となることから(t2≦t1)、ライズラン操作に必要な走行距離L2は、ライズラン操作以外の操作に必要な走行距離L1よりも短くなる(L2<L1)。このように、ライズラン操作に必要な走行距離が短くなることにより、燃料消費を低減することができる。
本実施形態では、ライズラン操作の後半、少なくともリフトアーム21が水平姿勢時から上方向に上がりきるまでの間(本実施形態では、リフトアーム21の上げ操作量が75%以上)に限り、コントローラ5は油圧ポンプ最大入力トルクを制御し、ライズラン操作の前半では、コントローラ5は油圧ポンプ最大入力トルクを制御しない。これにより、リフトアーム21の上げ動作を大きく行わない場合には、エンジン3の吹け上がりを良好に維持して加速性能を高めることができる。
また、本実施形態では、第1回転速度センサ71で検出されたエンジン実回転速度Viが「中速回転領域Z2」又は「高速回転領域Z3」に含まれる場合に限り、コントローラ5は油圧ポンプ最大入力トルクを制御し、第1回転速度センサ71で検出されたエンジン実回転速度Viが「低速回転領域Z1」に含まれる場合には、コントローラ5は油圧ポンプ最大入力トルクを制御しない。「低速回転領域Z1」では、リフトアーム21が大きく上げ動作を行うか否かにかかわらず油圧ポンプ43の入力トルク(図8に示す特性線A,B参照)を小さい値に制限できるため、エンジン3の吹け上がりの悪化の抑制を重視することが望ましいからである。
また、本実施形態では、ステップS505において速度段が「低速度段」(本実施形態では、図5に示す「2速度段」)でなかった場合(ステップS504/NO)、油圧ポンプ最大入力トルクをNBmaxに設定することとしている。例えば、速度段が「低速度段」でない場合として、掘削作業時に選択される所定の速度段(本実施形態では、図5に示す「1速度段」)があるが、当該所定の速度段が選択されている場合には、油圧ポンプ最大入力トルクを制御しない方が望ましい。仮に、掘削作業時においてコントローラ5が油圧ポンプ最大入力トルクをNAmaxに設定(変更)した場合には、油圧ポンプ43から吐出した圧油のうちコントロールバルブ64のスプールで絞り捨てられてしまう圧油の流量が多くなり、燃料消費量が増えてしまうからである。
なお、本実施形態では、アクセルペダル61の踏込量に応じて、特性線A1(踏込量が浅い場合)、特性線A2(踏込量が中程度の場合)、及び特性線A3(踏込量が多い場合)が設定されており(図8参照)、コントローラ5は、各特性線に基づいて油圧ポンプ最大入力トルクの制御を行っている。そのため、アクセルペダル61の踏込量が浅い場合や中程度の場合であっても、ライズラン操作中の油圧ポンプ43の吐出流量Q2は、ライズラン操作以外の操作中の油圧ポンプ43の吐出流量Q1よりも大きくなる。これにより、アクセルペダル61の踏込量が浅い場合や中程度の場合においても、踏込量が多い場合と同様にリフトアーム21の上昇速度を速くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、上記実施形態では操作量検出器74で検出したパイロット圧Piに基づいて、リフトアーム21が上げ動作中であるか否かを判定していたが、これらに限らず、圧力検出器73で検出した油圧ポンプ43の吐出圧Paに基づいて、リフトアーム21が上げ動作中であるか否かを判定してもよい。
また、上記実施形態では、ホイールローダ1は、トルクコンバータ式の走行駆動システムを搭載していたが、これに限らず、HST式走行駆動システムやHMT式走行駆動システム、EMT式走行駆動システムを搭載したホイールローダであってもよい。すなわち、ホイールローダ1の走行駆動システムの方式については、特に制限はない。
また、設定部54による油圧ポンプ最大入力トルクの設定は、運転室12に設けられた調整装置等によりオペレータが任意に設定値を調整可能としてもよい。これにより、オペレータの好みや現場の環境等に合わせて、油圧ポンプ最大入力トルクの制御を任意に調整することが可能となり、利便性が向上する。