JP2019065401A - 布シート - Google Patents
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Abstract
【課題】布を基材として低コストにカーボンを含有させるようにした布シートを提供することを目的とする。【解決手段】エポキシ樹脂5などを含浸させたCFRP3の廃材を粉砕し、粉砕物4を生成する。そして、その粉砕物4のエポキシ樹脂5などを軟化させる水溶液に布本体2を入れ、その後、その布本体2を取り出して加熱室7で200℃程度に加熱する。これにより、炭素繊維を粉砕させた際に、その粉砕物4に含浸しているエポキシ樹脂5によって炭素繊維が凝集することなく、そのエポキシ樹脂5を用いて布本体2に炭素繊維を付着させることができるようになる。【選択図】図5
Description
本発明は、カーボンを含有する布シートに関するものであり、より詳しくは、熱伝導性などを高めるようにした布シートに関するものである。
農業資材として用いられるマルチシートは、ポリエチレンやポリプロピレンなどからなる0.04mm〜0.5mmのフィルムシートで構成されているものが多い。このようなマルチシートは低温時における日中の地熱を上昇させるとともに、夜間は地熱の放出を防止して植物の育成を促進させたり、また、雑草の成育を抑制させたりするようにしたものである。このようなマルチシートとしては、例えば、カーボンブラックを含有させて熱伝導性を高め、地面に配線された温熱パイプからの熱を伝達させるようにしたものなども存在している。
ところで、このようなポリエチレンやポリプロピレンなどで構成されたマルチシートは、使用後に地面から剥がした後、「燃えないゴミ」として廃棄処理する必要があるため、廃棄費用がかかってしまう。また、樹脂の劣化に伴って、亀裂や破損を生じ、フィルムが飛散して環境汚染を招くことがあるばかりでなく、カーボンブラックを含有させている場合は、ストラクチャが切断されて、熱伝導性が悪くなる。
これに対して、ポリエチレンやポリプロピレンなどのマルチシートに代わって、生分解性を有するマルチシートなども提案されている。
このマルチシートは、土中で分解するポリ乳酸菌を用いて生成されるものであって、使用後に地面に埋設して分解させることができるようにしたものである。
しかしながら、このようなマルチシートも、原料となるトウモロコシなどの価格に影響されるばかりでなく、加工も難しいためコストが高くつく。また、生分解速度が土中に含まれる微生物や地中温度によってばらつきを生じてしまうといった問題がある。
一方、このようなポリエチレンや乳酸菌に替えて、綿などの布を素材としたマルチシートも研究されている(非特許文献参照)。
「綿製不織布を熱プレス加工した薄布マルチの特徴と野菜栽培への適応性」愛媛県農林水産研究報告 第9号(2017)-28-
しかしながら、このような布を素材とする場合、熱伝導性を高めるためのカーボンブラックなどを含有させようとすると、後工程でカーボンブラックを付着させなければならない上、布シートの屈曲によってカーボンブラックのストラクチャが切断されて、熱伝導性が悪くなってしまう。また、カーボンを布繊維に付着させつつ、布の柔軟性を維持させるための両立性を確保することが難しくなり、また、製造コストも高くつくという問題がある。
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、布を基材として低コストにカーボンを含有させるようにした布シートを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、布本体と、樹脂を含浸させたカーボンの粉砕物とを備え、前記カーボンの粉砕物の樹脂を介して布本体にカーボンを付着させるようにしたものである。
また、このような布シートを製造する場合、樹脂を含浸させたカーボンの粉砕物を生成する工程と、当該粉砕物を水溶液に入れて前記樹脂を軟化させる工程と、当該水溶液と布体を接触させ、その後、当該布体を加熱する工程とを用いて製造する。
また、このような発明において、前記カーボンの粉砕物として、好ましくは、廃材などのCFRPの粉砕物を用いるようにする。
本発明によれば、あらかじめカーボンに含浸している樹脂を用いて布本体にカーボンを付着させるため、布全体を樹脂でコーティングしてカーボンを封じ込める場合に比べて、布シートの柔軟性を確保することができるとともに、確実にカーボンを付着させて熱伝導性などを確保することができるようになる。また、廃材であるCFRPを用いることで原料費を抑えることができるとともに、あらかじめCFRPに付着しているエポキシやアクリルなどの樹脂を利用して布本体にカーボンを付着させることができるようになる。さらに、カーボンとしてCFRPの炭素繊維を用いるため、布本体が屈曲したとしても、カーボンブラックのようにストラクチャが切断されることがなくなり、熱伝導性を確保することができるようになる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
この実施の形態における布シート1は、例えば、図6に示すような地面を覆うマルチシート、ビニルハウスを覆うシートなどのような農業用シートなどとして使用されるものであって、布本体2と、この布本体2に付着されるカーボンの粉砕物4とを有するように構成される。そして、特徴的に、このカーボンの粉砕物4を生成する際、図1に示すように、廃材などのCFRP63を粉砕して、エポキシなどの樹脂5の付着した炭素繊維51の粉砕物4を生成し、その粉砕物4の樹脂5を軟化させて布本体2に付けて加熱させることにより、炭素繊維51を布本体2に付着させるようにしたものである。以下、本実施の形態における布シート1について詳細に説明する。
まず、布本体2は、織物、編み物、レース、フェルト、不織布などで構成されるものであって、好ましくは、綿や麻などの天然繊維であって可燃性を有する素材を原料として使用される。この布本体2としては、例えば、不要となったロール状の反物や、タオル、矩形状に細断された衣類などを用いることができる。
この布本体2に付着されるカーボンの粉砕物4は、プリプレグと称される炭素繊維に、エポキシやポリエステル、フェノール、熱硬化性ポリイミドなどの熱硬化性樹脂や、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレン、ポリサルファイド、熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂を含浸させた熱硬化性CFRPや熱可塑性CFRPを原料として生成されるものであって、製造コストを低減させるために、例えば、航空機の、ロケット、人工衛星、自動車のボディ骨格、鉄道車体、ヨット船体、釣竿、ゴルフシャフト、ラケット、自転車などに使用された廃材が好適に用いられる。このようなCFRP63を粉砕する場合、不要品から同種のCFRP63を分別収集した後、粗粉砕や中粉砕を行った後、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル、回転ミル、遊星ミル、ビーズミルなどで10〜30μm程度の大きさまで微粉砕させる。すると、CFRP63は、樹脂5が付着した状態となって粉砕されるようになり、樹脂5の存在によってCFRP63が均等に分散された状態となる。これに対して、樹脂5の含浸していないプリプレグのみの状態で粉砕させると、これを水溶液に入れた場合、炭素繊維同士で固まってしまい、均一に布本体2に炭素繊維を付着させることができなくなる。このため、この実施の形態では、あらかじめ樹脂5を含浸させたCFRP63を粉砕させることで、樹脂5と一体となった炭素繊維51の粉砕物4を生成し、これによって再び粉砕物4が凝集してしまわないようにしている。
このような粉砕物4は、その炭素繊維51に含浸している樹脂5を用いて布本体2に付着させられる。この布本体2にCFRP63の粉砕物4を付着させる場合の工程について、図1および図3などを用いて説明する。
まず、布本体2を投入させることのできる容器61(図3参照)に、CFRP63の樹脂5を軟化させるための軟化剤を投入し、その軟化剤の水溶液に粉砕物4を投入して撹拌させる。このような軟化剤としては、N−ビニルピロリドン、2−ピロリドン、ポリビニルピロリドンなどのピロリドン水溶液が用いられ、好適には、ポリビニルピロリドンが用いられる。このような軟化剤を生成する場合、適度に樹脂5が軟化しやすいように、CFRP63の粉砕物420〜40重量部に対して、軟化剤を60〜80重量部、その他、防虫剤としてフッ素などを1〜5重量部ほど配合させるようにする。
そして、このような軟化剤を入れた水溶液に布本体2を投入する。この布本体2を投入する際、反物などのロールで布本体2が構成されている場合は、ロールから1〜2m/秒の速度で布本体2を水溶液内の第二ローラー62を通し、その後、第三ローラー63で巻き取って布本体2を取り出す。そして、その取り出された布本体2を約200℃で加熱した加熱室7に通し、軟化した粉砕物4の樹脂5を布本体2の繊維にまとわり付かせる。
また、布本体2として、タオルや矩形状に細断された衣類などを用いる場合、その布本体2を水溶液に浸し、加熱室7の手前のコンベア71に、それぞれの布本体2を図4に示すようにオーバーラップさせるように載せる。そして、その状態で、加熱室7を通し、軟化させた樹脂5を布本体2の繊維にまとわり付かせるとともに、オーバーラップしている布本体2同士を溶着させる。そして、その後、短手方向に裁断して寸法合わせを行い、ローラーに巻き付けていく。
このようにCFRP63の粉砕物4が布本体2に付着すると、図5に示すように、炭素繊維51が絡み合うように折り重なり合い、熱伝導性を確保することができるようになる。
次に、このように製造された布シート1の使用例について説明する。
このような布シート1を農業用のマルチシートとして使用する場合、図6に示すように、畑の畝を覆うように布シート1を敷設する。その際、布シート1の短手方向の端部については、畝と畝の間に配設された保温パイプに接するように設けておくようにする。そして、その状態で、布シート1に穴を空けて作物を植え付け、水や液体肥料などを散布する。このとき、散布された水や液体肥料などは、編み込まれた布繊維の間を通って地中に染みこむことができるとともに、雨が降った場合であっても、土が跳ね返って作物に付着するようなことがなくなる。また、太陽が当たった部分(作物の影になっていない部分)からの熱を炭素繊維51によって布シート1全体に伝達させ、地面を温めるとともに、低温時においては、保温パイプからの熱を布シート1全体に伝達させて、布シート1を介して地面を温めることができるようになる。
そして、このような保温効果によって育成した作物を収穫した後は、この布シート1を地面から取り外し、可燃性ゴミとして廃棄したり焼却処理したりする。
このように上記実施の形態によれば、布本体2と、廃材であるCFRP63の粉砕物4とを備え、前記粉砕物4の樹脂5を軟化・加熱して布本体2に炭素繊維51を付着させるようにしたので、布全体を樹脂5でコーティングしてカーボンを封じ込める場合に比べて、布シート1の柔軟性を確保することができるとともに、確実にカーボンを付着させて熱伝導性などを確保することができるようになる。また、廃材であるCFRP63を用いることで原料費を抑えることができるとともに、あらかじめCFRP63に付着しているエポキシやアクリルなどの樹脂5を利用して布本体2にカーボンを付着させることができるようになる。さらに、カーボンとしてCFRP63の炭素繊維51を用いるため、布本体2が屈曲したとしても、カーボンブラックのようにストラクチャが切断されることがなくなり、熱伝導性を確保することができるようになる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
例えば、上記実施の形態では、農業用のマルチシートを例に挙げて説明したが、静電気を除去するカーテンやマットなどのシートとしても用いることもできる。
また、上記実施の形態では、布本体2をCFRP63の粉砕物4を含有する水溶液に浸すようにしたが、噴霧などによって布本体2に粉砕物4を均一に塗布するようにしてもよい。この場合においても、あらかじめCFRP63の粉砕物4の樹脂5を軟化させておくとよい。
さらに、上記実施の形態では、布本体2の両面にCFRP63の粉砕物4を付着させるようにしたが、塗布などによって片面側にのみ粉砕物4を塗布させておくようにしてもよい。
1・・・布シート
2・・・布本体
3・・・CFRP
4・・・粉砕物
5・・・樹脂
51・・・炭素繊維
61・・・容器
62・・・第二ローラー
63・・・第三ローラー
7・・・加熱室
71・・・コンベア
2・・・布本体
3・・・CFRP
4・・・粉砕物
5・・・樹脂
51・・・炭素繊維
61・・・容器
62・・・第二ローラー
63・・・第三ローラー
7・・・加熱室
71・・・コンベア
Claims (4)
- 布本体と、
樹脂を含浸させたカーボンの粉砕物とを備え、
前記カーボンの粉砕物を前記樹脂を介して布本体に付着させてなる布シート。 - 前記カーボンの粉砕物が、CFRPの粉砕物で構成されるものである請求項1に記載の布シート。
- 樹脂を含浸させたカーボンを粉砕して粉砕物を生成する工程と、
当該粉砕物を含有する水溶液に入れて前記樹脂を軟化させる工程と、
当該水溶液に布体を入れ、その後、当該布体を加熱する工程と、
を備えた布シートの製造方法。 - 前記粉砕物を生成する工程が、CFRPを粉砕する工程である請求項3に記載の布シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017188169A JP2019065401A (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | 布シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017188169A JP2019065401A (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | 布シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019065401A true JP2019065401A (ja) | 2019-04-25 |
Family
ID=66340337
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017188169A Pending JP2019065401A (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | 布シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019065401A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114680021A (zh) * | 2022-04-06 | 2022-07-01 | 上海碧垠环保工程有限公司 | 一种复合种植承载体、制备方法和用途以及沉水草毯 |
-
2017
- 2017-09-28 JP JP2017188169A patent/JP2019065401A/ja active Pending
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