以下、この発明による移動型プロジェクションシステムの第1の実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に示す第1の実施形態の例は、何らかの物品や制作物などの展示会に適用した場合であり、展示スペースで展示物の観賞をする前に、展示物に関する説明などの情報を、投影画像として提供する場合を想定したものである。
図1は、この発明によるこの第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムの第1の実施形態の構成例の概要を説明するための図である。この例においては、図1に示すように、観視者HMが展示物の展示スペースEXHに入場する直前のスペースが、展示物の閲覧準備室PRSとされていて、この閲覧準備室PRSにおいて、展示物に関する説明などの情報が、観視者HMに対して投影画像として提供されるようにされている。
この第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムは、撮像画像送信装置の例としての監視カメラ200と、制御装置の例としての投影指示制御装置300と、複数台の移動型プロジェクタ装置1とからなる。
この実施形態においては、閲覧準備室PRSには、観視者HM(この例では展示物の閲覧希望者(入場者))の入場及び人数を検出するための撮像画像を取得する監視カメラ200が設けられている。
また、この例においては、閲覧準備室PRS及び展示スペースEXHとは別に、移動型プロジェクタ装置1用の基地スペースHPが設けられている。この基地スペースHPには、この例では、投影指示制御装置300が設けられていると共に、移動型プロジェクタ装置1の複数台が配置されるようにされている。
この場合に、この例では、移動型プロジェクタ装置1は、基地スペースHPにおける自装置の配置位置を、自装置のホームポジションとして定め、その位置を基地として離着陸するようにする。この例においては、各移動型プロジェクタ装置1はバッテリーを電源として駆動するように構成されており、基地スペースHPにおける各移動型プロジェクタ装置1の基地位置は充電ステーションの構成とされている。したがって、各移動型プロジェクタ装置1は、基地スペースHPに所在して待機しているときには、常にバッテリーが満充電の状態となるように充電されるように構成されている。
この例では、監視カメラ200は、観視者HMを検知すると、閲覧準備室PRS内に居る全ての観視者HMを撮像するように、撮像を開始する。そして、監視カメラ200は、撮像した画像(撮像画像)を、投影指示制御装置300に対して無線送信する。
投影指示制御装置300は、監視カメラ200から無線送信されてくる撮像画像を受信すると、その撮像画像から観視者HMを画像認識し、認識した観視者HMの人数を検出すると共に、検出した人数が複数人の場合にその観視者HMが閲覧準備室PRS内においてどのように分布しているかの所在分布を検出する。所在分布としては、複数人の観視者HMが一塊となって所在しているか、あるいは、てんでんばらばらに所在しているか、などを検出する。なお、観視者HMの塊り具合は、所在分布の密集度で判断できる。
そして、投影指示制御装置300は、検出した観視者HMの人数及び/または観視者HMの所在分布に基づいて、閲覧準備室PRS内の観視者HMの全て、あるいは所定の一部に、展示物に関する説明などの情報を提供するために適切な投影画像の数を決定する。例えば観視者HMの人数が所定数以下の場合には、投影画像の数は、1個と決定し、また、観視者HMの人数が所定数以上である場合には、その人数に応じた複数個の投影画像数と決定する。その場合に、同じ人数であっても、観視者HMがてんでんばらばらに所在している場合には、観視者HMが集中して所在している場合よりも、投影画像数を多く(大きく)するように決定する。
そして、投影指示制御装置300は、決定した数の投影画像が閲覧準備室PRSで表示されるように、移動型プロジェクタ装置1に対して、閲覧準備室PRSへ出動して投影画像を提供するように指示する制御指示を無線送信する。
この実施形態では移動型プロジェクタ装置1は、後述するように、投影指示制御装置300からの制御指示を受信する機能と、1台分のプロジェクタを備えていると共に、自律して空中を飛行して移動可能なように構成されている。そして、移動型プロジェクタ装置1は、投影指示制御装置300からの制御指示を受信すると、移動型プロジェクタ装置1は、閲覧準備室PRSに赴き、プロジェクタにより投影画像を表示して、観視者HMに対して提供するようにする。
この実施形態では、移動型プロジェクタ装置1は、1台分のプロジェクタを備えるものであるので、投影指示制御装置300は、決定した投影画像の数分の移動型プロジェクタ装置1に対して制御指示を送るようにする。
そして、移動型プロジェクタ装置1は、この実施形態では、表示して観視者HMに提供すべき投影画像の画像投影を終了すると、当該投影画像の終了を投影指示制御装置300に通知して、基地スペースHPのホームポジションに帰還するようにする。なお、この実施形態では、投影画像の終了前であっても、観視者が零人になったときには、投影指示制御装置300から帰還制御指示が移動型プロジェクタ装置1に送られてくるので、その帰還制御指示に基づいて、移動型プロジェクタ装置1は、画像投影を途中で停止して、基地スペースHPのホームポジションに帰還するようにする。
図2は、この第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムを構成する監視カメラ200と、投影指示制御装置300と、移動型プロジェクタ装置1との電気的な接続構成を説明するための図である。
[監視カメラ200の構成例の説明]
監視カメラ200は、コンピュータ(プロセッサ)からなる制御部201に対して、システムバス210を通じて、カメラ部202、人感センサ203、撮像信号処理部204、カメラ信号送信部205が接続されて構成されている。
カメラ部202は、制御部201の制御に基づいて閲覧準備室PRSの室内の動画を撮像し、その撮像画像信号は、撮像信号処理部204に供給する。人感センサ203は、閲覧準備室PRSへの入場者を検出し、その検出出力を制御部201に供給する。制御部201は、この人感センサ203で閲覧準備室PRSへの入場者が検出されると、カメラ部202に対して、動画撮影を開始するように制御指示する。撮像信号処理部204は、カメラ部202からの撮像画像信号を受けて、カメラ信号送信部205から送信する撮像画像情報を生成する。カメラ信号送信部205は、制御部201の制御に従って、撮像信号処理部204からの撮像画像情報を、投影指示制御装置300に対して無線送信する。なお、監視カメラ200から投影指示制御装置300に送信する撮影画像情報は、動画の撮影画像情報ではなく、所定時間間隔、例えば0.5秒間隔の静止画の撮影画像情報としてもよい。
[投影指示制御装置300の構成例の説明]
投影指示制御装置300は、コンピュータ(プロセッサ)からなる制御部301に対して、システムバス310を通じて、カメラ信号受信部302、画像認識部303、投影画像数決定部304、移動型プロジェクタ装置管理部305、制御指示生成部306、無線送受信部307が接続されて構成されている。
カメラ信号受信部302は、制御部301の制御に従って、監視カメラ200からの撮像画像情報を受信して、画像認識部303に供給する。監視カメラ200のカメラ信号送信部205と投影指示制御装置のカメラ信号受信部302との間の無線通信は、この例では、近距離無線通信が用いられる。
画像認識部303は、カメラ信号受信部302から受けた撮像画像情報に含まれる人物を画像認識により検出する。そして、画像認識部303は、その検出した人物の人数及び/または閲覧準備室PRS内における所在分布を検出し、その検出結果の情報を、投影画像数決定部304に供給する。
投影画像数決定部304は、検出した観視者HMの人数及び/または観視者HMの所在分布に基づいて、前述したようにして、閲覧準備室PRS内の観視者HMの全て、あるいは所定の一部に、展示物に関する説明などの情報を提供するために適切な投影画像の数を決定し、その決定結果を制御部301に供給する。
無線送受信部307は、移動型プロジェクタ装置1のそれぞれと無線通信するためのものであり、この例では、Wi−Fi(Wireless Fidelity(登録商標))通信規格の無線LAN通信が用いられる。
移動型プロジェクタ装置管理部305は、複数台の移動型プロジェクタ装置1のそれぞれについて、各移動型プロジェクタ装置1の識別情報と、無線LAN上のアドレス情報と、出動状況情報とを対応付けて記憶管理する。出動状況情報は、それぞれの移動型プロジェクタ装置1が出動中か、基地スペースHPで待機中かの情報である。移動型プロジェクタ装置1が出動中か、待機中であるかは、投影指示制御装置300から当該移動型プロジェクタ装置1に制御指示(後述の出動制御指示)を供給していて、未だ、投影画像終了の通知を受信していないか、あるいは、投影指示制御装置300から帰還制御指示を送っていないかどうかにより、移動型プロジェクタ装置管理部305が判断するようにする。
なお、この実施形態では、移動型プロジェクタ装置管理部305は、各移動型プロジェクタ装置1についてのバッテリーの充電状況(満充電、残容量無し、充電途中の場合には、その満充電に対する割合(充電割合(%)))をさらに管理するようにしている。移動型プロジェクタ装置1は、自装置のバッテリーの充電状況を検知する手段を備えており、その検知した充電状況の情報を、自装置の識別情報と対応付けて、投影指示制御装置300に送るようにする。なお、各移動型プロジェクタ装置1のホームポジションに設けられている充電ステーションが、移動型プロジェクタ装置1の充電状況を検知する手段を備え、その検知した充電状況を、移動型プロジェクタ装置1の識別情報と対応付けて投影指示制御装置300に送るようにしてもよい。
投影指示制御装置300は、後述する、出動させる移動型プロジェクタ装置1の選定の際には、この移動型プロジェクタ装置管理部305の各移動型プロジェクタ装置の充電状況を参照して、まず満充電のもの、次に充電割合の高いものから出動させるというように、充電状況が良好な移動型プロジェクタ装置1を優先して出動させるよう選定することができる。
制御部301は、投影画像数決定部304から受けた投影画像数の数だけ、移動型プロジェクタ装置1を出動させて、閲覧準備室PRSにおいて画像投影を行わせるように制御する。すなわち、制御部301は、制御指示生成部306を制御して、投影画像数決定部304で決定された投影画像数の移動型プロジェクタ装置1に対して閲覧準備室PRSへ出動して投影画像を提供するように指示する制御指示を生成させるようにする。
この場合に、この実施形態では、制御指示生成部306は、待機中の移動型プロジェクタ装置1に対して、出動して閲覧準備室PRSに移動して、閲覧準備室PRSにおける画像投影の準備をさせるように指示する出動制御指示と、閲覧準備室PRSに到着した移動型プロジェクタ装置1に対して、画像投影の開始時点を指示する画像投影開始制御指示とを生成するようにする。後者の画像投影開始制御指示は、複数の移動型プロジェクタ装置1により、閲覧準備室PRSにおいて同じ投影画像を観視者HMに提供する際に、いずれの投影画像を観視し、音声を聴取しても観視者HMに違和感が生じないようにするために、複数の移動型プロジェクタ装置1において、投影画像と音声とを、同期して観視者HMに提供するようにするためのものである。なお、投影画像や音声に時間ずれが生じ、同期していない場合は、観視者HMに違和感が生じないように、投影画像の表示される位置や、音声の出力されるスピーカ位置の距離をできるだけ離すようにする。
なお、音声については、複数の移動型プロジェクタ装置からの音声が干渉し合わないように、所定の移動型プロジェクタ装置、例えば隣接する移動型プロジェクタ装置は、どちらか一方のスピーカの音量を下げたり、消音したりしてもよい。
そして、制御指示生成部306は、出動制御指示には、閲覧準備室PRSへの出動を指示するだけでなく、閲覧準備室PRSにおいてどの壁に投影画像を表示させるかの投影画像表示壁の指示情報、また、その壁のどの位置に投影画像を表示させるかの投影位置の情報、更に、投影画像の大きさの情報をも含ませるようにする。また、投影画像の輝度やコントラスト等の情報をも含ませるようにしてもよい。
例えば、観視者HMが所定の閾値よりも少ない少人数で、投影画像の数は1個としたときには、制御指示生成部306は、制御部301の制御に基づき、投影画像表示壁の指示情報は閲覧準備室PRSの正面の壁WLa(図1参照)とし、投影位置の情報は、壁の中央とし、投影画像の大きさの情報は、標準の大きさとするように指示する出動制御指示を生成する。そして、観視者HMの人数が、投影画像の数が1個で良い人数であるが、その人数が比較的多いときには、投影画像の大きさを、標準の大きさよりも大きいものとするように指示する出動制御指示を生成する。
また、観視者HMの数が所定の閾値よりも多い人数であって、投影画像の数は2個以上としたときには、制御指示生成部306は、制御部301の制御に基づき、2個以上の投影画像の数分の出動制御指示を生成する。この2個以上の出動制御指示においては、少なくとも投影画像の投影位置の情報が異なる。投影画像表示壁の指示情報により指定される壁は、同じである場合と異なる場合とがある。また、投影画像の大きさは、それぞれの出動制御情報毎に定められ、同じである場合と異なる場合とがある。
例えば、制御指示生成部306が生成する出動制御指示が2個であった場合、その2個の出動制御指示は、共に、投影画像表示壁の指示情報は閲覧準備室PRSの正面の壁WLa(図1参照)とすると共に、投影画像の大きさの情報は、標準の大きさとして同じとするが、投影位置の情報は、一方の出動制御指示では壁の右側とし、他方の出動制御指示では壁の左側とする、というように生成することができる。
投影位置の情報を、左右に分けるのではなく、壁の下側と壁の上側との上下に分離して表示するように出動制御指示を生成するようにしてもよい。また、投影画像表示壁を、閲覧準備室PRSの正面の壁WLa(図1参照)と、閲覧準備室PRSの左側面の壁WLb(図1参照)というように指示して、2個の出動制御指示を生成するようにしてもよい。いずれの場合も、投影画像の大きさは、観視者HMの人数に応じた大きさとするように出動制御指示を生成するようにすることができる。
投影画像の数が3個以上の場合にも、同様にして、投影画像表示壁は同一で、投影位置を横方向や、上下方向に分けてもよいし、投影画像表示壁を変更してもよい。また、投影画像表示壁を複数個に分けると共に、投影画像表示壁における投影位置を1個または複数に分ける指示方法とを併用することで、3個以上の投影画像を表示するようにしてもよい。
そして、制御指示生成部306で生成される画像投影開始制御指示は、出動した移動型プロジェクタ装置1に対して共通のものとされ、画像投影開始時点の時刻情報が含まれる。後述するように、移動型プロジェクタ装置1には、電波時計からなる高精度の時計部が設けられており、その時計部の時刻が、画像投影開始時点の時刻情報と一致したときに、移動型プロジェクタ装置1における画像投影を開始するようにすることで、複数台の移動型プロジェクタ装置1が出動したときにも、当該複数台の移動型プロジェクタ装置1における画像投影及び音声出力が同期して実行されるようにする。
制御指示生成部306で出動制御指示を生成したら、制御部301は、移動型プロジェクタ装置管理部305を参照して、基地スペースHPで待機中の移動型プロジェクタ装置1の全てを把握し、その待機中の移動型プロジェクタ装置1の中から、決定された投影画像数の移動型プロジェクタ装置1を選定する。そして、制御部301は、その選定した移動型プロジェクタ装置1のそれぞれに制御指示生成部306で生成した出動制御指示を割り当てる。そして、制御部301は、出動制御指示を割り当てた移動型プロジェクタ装置1のそれぞれの無線LAN上のアドレス情報を、移動型プロジェクタ装置管理部305から取得して、そのアドレス情報を用いて、無線送受信部307を通じて、各出動制御指示を、割り当てた移動型プロジェクタ装置1のそれぞれに送信するように制御する。
そして、制御部301は、出動制御指示により出動した移動型プロジェクタ装置1からの投影場所である閲覧準備室PRSへの到着を確認したら、画像投影開始制御指示を、当該出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1に送って、画像投影を開始させるようにする。
なお、図2において、画像認識部303、投影画像数決定部304、移動型プロジェクタ装置管理部305、制御指示生成部306、の処理機能は、制御部301がソフトウエア処理機能として実現することもできるものである。
[移動型プロジェクタ装置1の構成例の説明]
次に、この発明による移動型プロジェクションシステムで用いられる移動型プロジェクタ装置1の構成例について説明する。図3は、この実施形態における移動型プロジェクタ装置1の機構部構成例を示す図であり、図3(A)は、移動型プロジェクタ装置1を、その上方から見た図であり、また、図3(B)は、移動型プロジェクタ装置1を、正面から見た図である。
この例の移動型プロジェクタ装置1は、いわゆるクワッドコプターの構造の空中飛行機構部2と、駆動制御ユニット3とを備える。空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3により駆動制御される。図3に示すように、空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3から延びる4本のアーム4A,4B,4C,4Dの先端に、回転翼(ローター)機構5A,5B,5C,5Dが取り付けられて構成されている。
回転翼機構5A,5B,5C,5Dは、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれにより回転翼シャフト(図示は省略)を回転駆動することにより、回転翼52A,52B,52C,52Dを回転駆動するように構成されている。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dは、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号により回転速度及び回転方向が制御される。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dや駆動制御ユニット3は、バッテリー(図示は省略)を回転駆動用の電源や駆動制御用の電源として用いている。後述するカメラ、マイクロフォン、各種センサ、ディスプレイ、制御部などもバッテリーから電源を供給される。また、後述するプロジェクタもバッテリーから電源が供給される。バッテリーは、例えば、充電可能な二次電池が用いられる。また、太陽電池を用いることもできる。太陽電池を搭載した場合、屋外で日中であれば、移動型プロジェクタ装置1は太陽光で充電しながら飛行できるという利点がある。
この例においては、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号によって、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれが独立に制御されることにより、移動型プロジェクタ装置1は、離陸、着陸、上昇(真上、斜め上)、下降(真下、斜め下)、右旋回、左旋回、前進、後進、右シフト、左シフトなどの各種移動動作をすることができるようにされていると共に、鉛直方向に対する傾き角などの姿勢制御及びホバーリング位置の位置制御ができるようにされている。
そして、この実施形態の移動型プロジェクタ装置1においては、駆動制御ユニット3と一体的に、後述するカメラ、マイクロフォンや各種センサなどが取り付けられると共に、制御部を含む駆動制御装置部10を内蔵する筐体6が形成されている。筐体6は、この例では、全体として箱型の形状に構成されている。
筐体6には、2個の脚部7A,7Bが互いに対向するように取り付けられている。この例では、脚部7A,7Bは、台形形状に成形されたパイプ部材からなり、図3(B)に示すように、着地面8において、安定して移動型プロジェクタ装置1を保持するように形成されている。脚部の形状や部材はこれに限らず、種々考えられる。例えば、筐体6の四隅に4本の脚部が円柱形上に成形された木材や金属材料であってもよい。また、着地面8での移動を容易にするため、脚部に可動輪を装着してもよい。
そして、回転翼52A,52B,52C,52Dの上方の、当該回転翼52A,52B,52C,52Dの回転の邪魔にならない位置には、プロジェクタ9が、筐体6の駆動制御ユニット3の部分の上面から植立されている支持柱91に支持された支持台92に固定されて設けられている。支持台92には、プロジェクタ9を遠隔制御するためのリモコン送信部93が取り付けられている。リモコン送信部93は、支持台92において、プロジェクタ9のリモコン受信部(図示は省略)がリモコン信号を受信可能な位置に取り付けられている。
この例のプロジェクタ9は、記憶媒体の一例としてのDVD(Digital Versatile Disc)の再生部(図示は省略)を備える。そして、プロジェクタ9は、再生部に装填されたDVDに記憶されている画像情報を再生して、その画像情報をプロジェクション画像として投影する機能を備える。9Lは、プロジェクション画像の投影用のレンズである。また、DVDに、画像情報と対応して記憶されている音声情報の再生音声は、プロジェクタ9が備えるスピーカ9SL及び9SRから放音される。
DVDには、観視者HMに提供するために予め用意されている複数個の画像情報及び音声情報が記憶されている。これらの複数個の画像情報及び音声情報のそれぞれは、リモコン信号により頭出しが可能である。
なお、以下の説明においては、プロジェクタ9の投影用のレンズ9Lが設けられている面側を、移動型プロジェクタ装置1の正面とする。
この例においては、図3(A),(B)に示すように、筐体6の正面には、カメラCM1が設けられていると共に、スピーカSPが設けられている。筐体6の左側面及び右側面には、図3(A)及び(B)に示すように、カメラCM2及びCM3がそれぞれ設けられると共に、筐体6の背面には、カメラCM4が設けられる。さらに、筐体6の底面には、図3(B)に示すように、カメラCM5が設けられる。
カメラCM1〜CM5の光軸(撮影方向に対応)は、カメラCM1〜CM5のそれぞれの取り付け面に直交する方向となり、それぞれ光軸方向を中心として所定の画角範囲が撮影可能となる。
筐体6内には、駆動制御装置部10が設けられている。図4は、この実施形態の移動型プロジェクタ装置1における駆動制御装置部10の構成例を示すブロック図である。なお、図4ではバッテリーを省略した。
図4に示すように、移動型プロジェクタ装置1の駆動制御装置部10は、コンピュータ(プロセッサ)からなる制御部101に対して、システムバス100を通じて、空中飛行駆動部102、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105、障害物センサ106、移動空間情報メモリ107、現在位置検出部108、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、カメラ群111、案内メッセージメモリ112、画像認識部113、音声インターフェース部114、時計部115、投影画像リストメモリ116、プロジェクタリモコンインターフェース117、リモコン信号発生部118、無線送受信部119、のそれぞれが接続されて構成されている。
音声インターフェース部114には、スピーカSPが接続されている。また、プロジェクタリモコンインターフェース117には、リモコン送信部93が接続されている。
空中飛行駆動部102は、制御部101の制御に従って、空中飛行機構部2の回転翼機構5A,5B,5C,5Dのモータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれに、駆動制御信号を供給する。
ジャイロセンサ103は、移動型プロジェクタ装置1の飛行中における加速度変化を検出するもので、移動型プロジェクタ装置1の飛行進行方向やその速度、また、姿勢を検出するために用いられる。地磁気センサ104は、移動型プロジェクタ装置1が、どの方位に飛行移動しているかを検出するために用いられる。高度センサ105は、移動型プロジェクタ装置1が当該時点で位置している高度を検出するためのもので、例えば気圧センサからなる。
障害物センサ106は、光や赤外線、ミリ波や準ミリ波、マイクロ波あるいは超音波などを発して、障害物からの反射波を検出することで、障害物の存在を検出すると共に、光や赤外線、あるいは超音波などを発してから、反射波を受信するまでの時間や減衰量を検出して、その時間や減衰量から、検出した障害物までの距離を算出することができるものとされている。この実施形態では、障害物センサ106は、移動型プロジェクタ装置1が使用される空間(以下、移動空間という)における障害物、例えば室内の壁やタンス、ベッド、机などの障害物や、戸外の移動空間における電柱、建物、樹木などの障害物を検知して、それらに対する衝突を回避して飛行するために用いられる。
移動空間情報メモリ107には、移動型プロジェクタ装置1が使用される移動空間に関する空間情報が記憶される。この例では、この移動空間情報メモリ107には、基地スペースHPから閲覧準備室PRSまでの移動空間の空間情報が記憶される。
この実施形態の移動型プロジェクタ装置1の制御部101のメモリには、パノラマ写真用のアプリケーションプログラム(例えばPhotosynth)が格納されており、事前に、移動型プロジェクタ装置1が、移動空間内を飛行して、カメラCM1〜CM5の全てあるいは一部を用いて、当該移動空間内のそれぞれの場所において360度の範囲で撮影する。そして、制御部101は、パノラマ写真用のアプリケーションプログラムを用いて、その撮影した撮影画像情報から移動空間内のそれぞれの地点での3D画像情報を生成し、当該生成した3D画像情報を移動空間情報メモリ107に記憶する。
移動空間情報メモリ107に記憶されている情報には、各移動型プロジェクタ装置1毎に定められた基地位置(ホームポジション)の位置情報も記憶される。また、移動空間情報メモリ107には、使用される閲覧準備室PRSの縦、横、高さの情報も予め記憶される。さらに、移動空間における梁やパイプスペース、柱など、使用される室の構造情報も予め記憶してもよい。
そして、移動空間情報メモリ107には、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を投影することができる室内の壁や、戸外の建物の壁などの場所(位置情報)も、その壁の縦×横×高さの情報と共に予め記憶される。
なお、移動空間情報メモリ107に記憶される移動空間情報は、この例においては展示会が催される室内としたが、移動型プロジェクタ装置1が用いられる場所に応じたものとされ、展示会が催される室内に限られるものではなく、また、戸外の場合もある。室内の移動空間の例としては、美術館、博物館、店舗などが挙げられる。また、映画館やプレゼンテーションルームのような、移動型プロジェクタ装置1の投影専用施設であってもよい。戸外の移動空間の例としては、例えばテーマパーク、アミューズメントパーク、動物園、コンサート会場、サッカースタジアム、野球場等の限られた範囲の空間を対象とする。もちろん、限られた範囲の空間に限定することなく、会社周辺、駅周辺、空港周辺など、移動型プロジェクタ装置1の飛行範囲内であれば、移動空間として移動空間情報メモリ107に空間情報が記憶される。移動空間が戸外である場合には、移動空間情報には、電柱や建物、樹木の位置も予め記憶してもよい。
なお、室内や戸外において、予め、プロジェクション画像を投影するためのスクリーンを設けておき、そのスクリーン位置を、移動空間情報メモリ107に記憶しておくようにしてもよい。
また、この発明の移動型プロジェクションシステムが用いられる場所が、幼稚園や保育園など、園児主体の施設などでは、園児の身長に合わせ、低い位置での投影をするよう、移動空間情報メモリ107にその旨の指示を入れられるようにすることもできる。高齢者の介護施設や、病院など、車椅子の方が多い施設でも、低い位置での投影をするよう、移動空間情報メモリ107にその旨の指示を入れられるようにしてもよい。
現在位置検出部108は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を備え、移動型プロジェクタ装置1の現在位置の緯度、経度、高度を検出する。より正確な位置情報を得るために、携帯電話基地局からの電波や、Wi−Fi(登録商標)通信のアクセスポイントからの電波を用いて現在位置を検出するようにしてもよい。
また、カメラCM1〜CM5の全てあるいは一部を用いて、移動型プロジェクタ装置1の周囲を撮影し、画像認識部113で、その撮影した撮影画像情報と移動空間情報メモリ107に記憶された3D画像情報を比較して画像認識することで、3D画像空間における相対位置を把握し、現在位置を検出するようにしてもよい。移動後の現在位置を検出するためには、現在位置検出部108は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105をも使用する。
飛行駆動信号生成部109は、制御部101により、投影指示制御装置からの制御指示に基づく起動指令を受けて、基地スペースHPのホームポジションから飛行を開始し空中移動するときには、移動空間情報メモリ107に記憶されている自装置のホームポジションの位置情報と、現在位置検出部108で検出された現在位置の位置情報とから、移動するための飛行駆動信号を生成するために、移動方向及び移動距離を計算する。また、飛行速度と移動距離に基づいて、飛行時間を計算することもできる。
そして、飛行駆動信号生成部109は、計算した方向及び距離に基づくと共に、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105などの情報を用い、さらに、カメラ群111のカメラCM1〜CM5からの撮影画像を参照しながら(画像認識部113の画像認識結果を参照しながら)、基地位置から、制御部101により指示された位置まで移動するための飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給する。この場合、飛行駆動信号は、4個の回転翼機構5A〜5Dのモータ駆動部51A〜51Dのそれぞれを駆動する信号からなる。生成された飛行駆動信号は、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2のモータ駆動部51A〜51Dのそれぞれに供給される。
空中飛行機構部2は、この飛行駆動信号を受けて、回転翼52A〜52Dのそれぞれを回転駆動して、基地から制御部101により指示された位置へ、あるいは、現在位置から基地へ、空中飛行による移動を行う。
位置姿勢制御信号生成部110は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105、並びにカメラCM1〜CM5の撮影画像に基づいて、後述するように、決定したプロジェクション画像を投影する場所の投影面に対する自装置の向き(方位角や仰俯角)や位置を、適切な向き及び位置となるように位置及び姿勢(プロジェクション画像を投影する壁面などに対して、プロジェクタ9のレンズ9Lの光軸が直交する方向となっているか、前後及び左右方向の位置は適切か、及び上下方向の位置(高さ位置)は適切かなど)を制御する位置姿勢制御信号を生成する。
この実施形態の移動型プロジェクタ装置1の制御部101は、前述したように、投影指示制御装置300からの制御指示により閲覧準備室PRSへの出動が指示されると共に、当該制御指示により指示された、閲覧準備室PRSにおける投影画像表示壁の、投影位置において、プロジェクション画像を投影するように制御する。
この場合に、制御部101は、飛行駆動信号生成部109を制御して、そのプロジェクション画像を投影する場所に、投影画像を投射するようにする位置(高さ位置を含む)において、ホバーリングするようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給する。そして、ホバーリングする高さ位置の制御用の信号の生成は、位置姿勢制御信号生成部110が行う。
移動型プロジェクタ装置1は、ホバーリングしている状態で、指示された場所に対して、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を投射して表示する。もしも、指示された場所に対してプロジェクタ9によりプロジェクション画像を投射するのに適した場所に、机等、着陸可能なスペースがあれば、移動型プロジェクタ装置1は、その場所に着陸して、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を、決定した場所に投射するようにしてもよい。なお、投射後、周囲の状況を判断し、決定した場所から上下左右に移動し、場所の調整することもできるし、場所自体を変えてもよい。例えば、画像認識部113での画像認識結果から、観視者HMの表情や視線、姿勢などを判断し、観視者HMが見づらそうにしていることを認定した場合には、見えやすい場所に移動するようにする。また、投影画像の大きさ(画面サイズ)を大きくしてもよい。
カメラ群111は、前述したカメラCM1〜CM5からなるものである。カメラCM1〜CM5のそれぞれは、動画の撮影画像情報を出力する。カメラCM1〜CM5のそれぞれから出力される撮影画像情報には、いずれのカメラからの撮影画像情報であるかを識別するための識別情報が付加されている。なお、カメラCM1〜CM5のそれぞれからの撮影画像情報は、動画の撮影画像情報ではなく、所定時間間隔、例えば0.5秒間隔の静止画の撮影画像情報としてもよい。
案内メッセージメモリ112には、移動型プロジェクタ装置1がプロジェクション画像を提供するサービスをすることや、当該サービスで投影する画像についての案内などの案内メッセージを記憶している。
画像認識部113は、カメラCM1〜CM5で撮影された撮影画像情報から観視者HM(人物)を認識すると共に、前述した飛行中の回避する障害物を認識する。画像認識部113は、図示は省略する画像メモリに記憶している人物を検出するための比較用画像や障害物の画像に基づいて撮影画像情報についてパターンマッチング処理をすることで観視者HM(人物)及び障害物を認識する。飛行駆動信号生成部109は、認識された人物や障害物を回避して空中移動するようにする飛行駆動信号を生成する。
また、この実施形態では、画像認識部113は、カメラCM1〜CM5で撮影された周囲環境の画像から、移動空間情報メモリ107に記憶されている、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を投影する閲覧準備室PRSの壁や、投影位置を探索するためにも用いられる。
音声インターフェース部114は、制御部101の制御に従って、案内メッセージ音声を観視者HMに伝達するための音声などをスピーカSPから放音する機能を備える。
時計部115は、この例では電波時計からなり、正確な時刻情報を発生する。制御部101は、後述するように、この時計部115の時刻情報を基準として投影画像の表示及び案内音声メッセージの放音開始するようにする。これは、移動型プロジェクタ装置1の複数個が、閲覧準備室PRSで投影画像サービスを提供する際に、同期を取って、投影画像の表示及び案内音声メッセージの放音開始することにより、閲覧準備室PRSに居る複数の観視者HMが、複数個の移動型プロジェクタ装置1のいずれの投影画像を観視するようにした場合にも、違和感がないようにするためである。また、案内音声メッセージは、同期が取られて再生放音されることで、遅延のためにエコーがかかった音声となることを防止することができるという効果もある。
投影画像リストメモリ116は、プロジェクタ9に装填されているDVDに格納されている画像情報の内容を示すテキスト情報(例えば題名)と、その再生順番番号と、そのDVD上の記録アドレスの開始点及び終了点とからなる投影画像情報のリストが格納されている。
プロジェクタリモコンインターフェース117には、リモコン送信部93が接続されている。そして、リモコン信号発生部118には、DVD用のリモコン信号が格納されており、制御部101は、このリモコン信号発生部118から、プロジェクタ9のリモコン信号を呼び出して、プロジェクタリモコンインターフェース117を通じてリモコン送信部93に送り、プロジェクタ9のリモコン受信部に対して送信するようにする。この例では、少なくとも、リモコン信号には、投影開始指示、投影終了指示、投影画像の大きさの制御指示(ズーム指示)などを含む。
無線送受信部119は、投影指示制御装置300との通信を行うためのもので、前述した無線LANに対応する構成を備えるものである。
なお、図4では、図示を省略したが、前述したように、この実施形態の移動型プロジェクタ装置1は、バッテリーの充電状況を検出する手段を備え、その検知した充電状況の情報を、無線送受信部119を通じて、自装置の識別情報と対応付けて、投影指示制御装置300に送るようにする。
なお、図4において、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、画像認識部113、の処理機能を、制御部101がソフトウエア処理機能として実現することもできる。
[第1の実施形態の移動型プロジェクタシステムにおける動作]
[監視カメラ200の処理動作の流れ]
図5は、第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおける監視カメラ200の処理動作の流れを説明するためのフローチャートである。この図5の各ステップの処理は、制御部201が実行するものである。
起動されると、制御部201は、監視カメラ200をスタンバイ状態とする(ステップS101)。そして、制御部201は、人感センサ203のセンサ出力を監視して、観視者HM(人物)の閲覧準備室PRSへの入場を検知したか否か判別する(ステップS102)。このステップS102で、観視者HM(人物)の閲覧準備室PRSへの入場を検知してはいないと判別したときには、制御部201は、処理をステップS101に戻し、スタンバイ状態を維持する。
ステップS102で、観視者HM(人物)の閲覧準備室PRSへの入場を検知したと判別したときには、制御部201は、カメラ部202による撮像を開始して(ステップS103)、その撮像画像をカメラ信号送信部205から投影指示制御装置300に送信するようにする(ステップS104)。
そして、制御部201は、人感センサ203のセンサ出力を監視して、閲覧準備室PRS内の観視者HMが零人になったか否か判別し(ステップS105)、零人になってはいないと判別したときには、処理をステップS104に戻して、カメラ部202からの撮像画像を、カメラ信号送信部205から投影指示制御装置300に送信する動作を継続するようにする。
ステップS105で、閲覧準備室PRS内の観視者HMが零人になったと判別したときには、制御部201は、処理をステップS101に戻して、監視カメラ200をスタンバイ状態にして、このステップS101以降の処理を繰り返す。
[投影指示制御装置300の処理動作の流れ]
図6及びその続きである図7は、第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおける投影指示制御装置300の処理動作の流れを説明するためのフローチャートである。この図6の説明においては、制御部301が、画像認識部303、投影画像数決定部304、移動型プロジェクタ装置管理部305、制御指示生成部306、の処理機能もソフトウエア処理機能として実現して各ステップの処理を実行した場合として説明する。
制御部301は、監視カメラ200から受信した撮像画像を画像認識して、閲覧準備室PRS内の観視者HMの人数を算出し(ステップS111)、観視者HMの人数は、投影画像を提供する観視者HMの人数の閾値人数以上か否か判別する(ステップS112)。ここで、投影画像を提供する観視者HMの人数の閾値である閾値人数は、利用者が投影指示制御装置300に対して任意に設定することができ、閾値人数を1人としてもよいし、2人以上の複数人としてもよい。
このステップS112で、観視者HMの人数が閾値人数より少ないと判別したときには、制御部301は、処理をステップS111に戻して、閲覧準備室PRS内の観視者HMの人数の算出を継続する。
ステップS112で、観視者HMの人数が閾値人数以上であると判別したときには、制御部301は、ステップS111で算出した観視者HMの人数と、その人数の観視者HMの閲覧準備室PRS内での所在分布から、必要な投影画像数を決定する(ステップS113)。
そして、制御部301は、前述したようにして、決定した投影画像数と同数の移動型プロジェクタ装置1を選定すると共に、その選定した移動型プロジェクタ装置1のそれぞれに供給する出動制御指示(出動要請情報と、投影画像表示壁の指示情報と、投影位置の情報と、投影画像の大きさの情報を含む)を生成する。そして、制御部301は、その生成した出動制御指示のそれぞれを、対応する移動型プロジェクタ装置1のそれぞれに無線送信して、出動を要請する(ステップS114)。このとき、制御部301は、移動型プロジェクタ装置管理部305の機能により管理している情報を参照し、出動状況情報が待機中である移動型プロジェクタ装置のうちの、充電状況が満充電や充電割合の高いものなど良好な移動型プロジェクタ装置を優先的に選定して、出動制御指示を送信するようにする。そして、制御部301は、移動型プロジェクタ装置管理部305の機能により、出動制御指示を送信した移動型プロジェクタ装置1の出動状況情報を、待機中から出動中に書き替える。
この出動制御指示を受けた移動型プロジェクタ装置1のそれぞれは、空中飛行機構部2を駆動して出動し、閲覧準備室PRSに到着すると、その到着通知を投影指示制御装置300に送信する。
そこで、制御部301は、移動型プロジェクタ装置1からの投影場所への到着通知を監視し(ステップS115)、移動型プロジェクタ装置1からの投影場所への到着通知を受信したと判別したときには、出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1からの到着通知を受信したか否か判別する(ステップS116)。このステップS116で、出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1からの到着通知は受信してはいないと判別したときには、制御部301は、処理をステップS115に戻し、他の移動型プロジェクタ装置1からの到着通知の受信を待つ。
ステップS116で、出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1からの到着通知を受信したと判別したときには、制御部301は、出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1に対して、例えば当該時点から若干の時間後の時刻を指定した画像投影開始制御指示を送信するようにする(ステップS117)。
移動型プロジェクタ装置1のそれぞれは、投影指示制御装置300からの画像投影開始制御指示を受け取ると、指示された時刻から投影画像の提供を開始するようにする。そして、移動型プロジェクタ装置1のそれぞれは、提供すべき投影画像の表示を全て終了すると、投影指示制御装置300に当該投影画像の終了(画像投影終了)を通知して、基地スペースHPのホームポジションに帰還するようにする。
そこで、制御部301は、移動型プロジェクタ装置1からの画像投影終了の通知を受信したか否か判別し(図7のステップS121)、画像投影終了の通知を受信してはいないと判別したときには、制御部101は、監視カメラ200からの撮像画像の画像認識結果から、観視者HMが零人になったか否か判別する(ステップS122)。このステップS122で、観視者HMは零人にはなっていないと判別したときには、制御部301は、処理をステップS121に戻し、移動型プロジェクタ装置1からの画像投影終了の通知の受信の監視を継続する。
また、ステップS122で観視者HMが零人になったと判別したときには、制御部301は、投影画像の提供はもはや不要であるので、閲覧準備室PRSに出動中の移動型プロジェクタ装置1の全てに、基地スペースHPのホームポジションに帰還するように指示する(ステップS123)。その後、制御部301は、移動型プロジェクタ装置1の全てが、基地スペースHPのホームポジションに帰還するのに十分な所定時間が経過するのを待ち(ステップS124)、所定時間が経過したら、処理をステップS111に戻して、このステップS111以降の処理を繰り返す。
また、ステップS121で、移動型プロジェクタ装置1からの画像投影終了の通知を受信したと判別したときには、制御部301は、出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1からの画像投影終了通知の受信を待つ(ステップS125)。そして、このステップS125で、出動中の全ての移動型プロジェクタ装置1からの画像投影終了の通知を受信したと判別したときには、制御部301は、ステップS124に進んで、移動型プロジェクタ装置1の全てが、基地スペースHPのホームポジションに帰還するのに十分な所定時間が経過するのを待ち、所定時間が経過したら、処理をステップS111に戻して、このステップS111以降の処理を繰り返す。
なお、制御部301は、ステップS124で、所定時間の経過を確認したときには、移動型プロジェクタ装置管理部305の機能により、帰還した移動型プロジェクタ装置1の出動状況情報を、出動中から待機中に書き替える。
[移動型プロジェクタ装置1の処理動作の流れ]
図8は、第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおける移動型プロジェクタ装置1の処理動作の流れを説明するためのフローチャートである。この図8の説明においては、制御部101が、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、画像認識部113、の処理機能をソフトウエア処理機能として実現して各ステップの処理を実行した場合として説明する。
制御部101は、投影指示制御装置300からの出動制御指示の到来を監視し(ステップS131)、出動制御指示の受信を確認したら、空中飛行機構部2により閲覧準備室PRSへ移動するように制御する(ステップS132)。
次に、制御部101は、現在位置検出部108での現在位置の検出結果及び画像認識部113でのカメラ群111からの撮像画像の画像認識結果に基づいて、投影場所である閲覧準備室PRSへ到着したか否か判別する(ステップS133)。ステップS133で、投影場所である閲覧準備室PRSへ到着したと判別したときには、制御部101は、投影指示制御装置300に、投影場所への到着通知を送信する(ステップS134)。
前述したように、投影指示制御装置300は、出動中の移動型プロジェクタ装置1の全てから投影場所への到着通知を受信すると、画像投影開始制御指示を出動中の移動型プロジェクタ装置1の全てに送信する。
そこで、制御部101は、投影指示制御装置300からの画像投影開始制御指示の受信を待ち(ステップS135)、画像投影開始制御指示を受信したと判別したときには、当該画像投影開始制御指示に含まれる時刻情報で指定される時点で、プロジェクタ9による画像投影を開始する(ステップS136)。
そして、制御部101は、投影すべき投影画像の全てが終了したか否かを判別し(ステップS137)、投影すべき投影画像の全ては終了していないと判別したときには、投影指示制御装置300から帰還指示を受信したか否か判別する(ステップS138)。このステップS138で、帰還指示は受信してはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS137に戻して、投影画像の終了を監視する。
ステップS138で、投影指示制御装置300から帰還指示を受信したと判別したときには、制御部101は、プロジェクタ9による画像投影を停止して、空中飛行機構部2により基地スペースHPのホームポジションに帰還するように移動する(ステップS140)。その後、制御部101は、処理をステップS131に戻し、このステップS131以降の処理を繰り返す。
また、ステップS137で、投影すべき投影画像の全てが終了したと判別したときには、制御部101は、投影画像終了通知を投影指示制御装置300に送信する(ステップS139)。そして、制御部101は、処理をステップS140に進め、空中飛行機構部2により基地スペースHPのホームポジションに帰還するように移動する。そして、その後、制御部101は、処理をステップS131に戻し、このステップS131以降の処理を繰り返す。
[第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムの利用態様例]
次に、上述の第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおける利用態様の例を示す。なお、以下に説明する例では、投影画像を提供するように移動型プロジェクタ装置1を出動させる観視者HMの閾値人数は1人とし、また、投影画像数を2個以上とする観視者HMの人数は、6人とした場合である。
図9は、利用態様の例を説明するための図であり、図9(A)の例は、観視者HMが1人の場合を示すものである。この場合、投影指示制御装置300で決定される投影画像数は1個とされる。そして、出動制御指示に含まれる投影画像表示壁の情報は、閲覧準備室PRSの正面の壁WLaとされ、投影画像の投影位置は、当該観視者HMが観易いように、観視者HMの近傍の位置であって、その目線の高さ位置に略一致する高さ位置とされ、更に、投影画像の大きさ(画面サイズ)は、1人の観視者HMが一目で全体を見渡せる画面サイズにされている。すなわち、図9(A)の例では、投影場所は、壁面WLaの内、観視者HMの近くの、観視者HMの目線の高さ位置に一致する場所PS1とされ、指定された画面サイズ部分のプロジェクション画像Pj1が投影される。
この場合に、移動型プロジェクタ装置1の制御部101は、自装置を、指示された投影場所PS1の高さ位置になるように移動し、その高さ位置で、ホバーリングするように制御すると共に、リモコン信号によりレンズ9Lによるズーム処理と投影距離との組み合わせにより、画面サイズを指定した画面サイズになるようにプロジェクタ9を制御する。この結果、壁面WLaの場所PS1には、決定された画面サイズのプロジェクション画像Pj1が投射されて表示される。
次に、図9(B)の例は、観視者HMが5人の場合を示し、この場合も投影指示制御装置300で決定される投影画像数は1個とされる。そして、出動制御指示に含まれる投影画像表示壁の情報は、閲覧準備室PRSの正面の壁WLaとされるが、投影画像の投影場所PS2は、複数人の観視者HMが観易いように、観視者HMの目線の高さ位置よりも若干上の高さ位置とされ、また、投影画像の大きさ(画面サイズ)は、複数人の観視者HMが観易いように大きい画面サイズにされている。
この場合、移動型プロジェクタ装置1の制御部101は、自装置を投影場所PS2に応じた高さ位置になるように移動し、その高さ位置で、自装置1をホバーリングするように制御すると共に、リモコン信号によりレンズ9Lによるズーム処理と投影距離との組み合わせにより、画面サイズを決定したサイズとなるようにプロジェクタ9を制御する。この結果、図9(B)に示すように、壁面WLaの場所PS2には、指示された画面サイズのプロジェクション画像Pj2が投射されて表示される。
次に、図10の例は、観視者HMが10人以上であって、投影指示制御装置300で決定される投影画像数が2個とされた場合である。この例では、投影指示制御装置300から、2台の移動型プロジェクタ装置1Aと1Bとに出動制御指示及び画像投影開始制御指示が送信される。
図10の例では、移動型プロジェクタ装置1Aと1Bとは、閲覧準備室PRSの正面の壁WLaに画像を投影すると共に、移動型プロジェクタ装置1Aは、当該壁WLaの下方位置に、所定の画面サイズのプロジェクション画像PjAを投射するようにし、また、移動型プロジェクタ装置1Bは、当該壁WLaの上方位置に、所定の画面サイズのプロジェクション画像PjBを投射するようにする。
これにより、観視者HMが図10に示すように複数列になるような場合であっても前列の人が観視の邪魔にならない程度の人数の場合であれば、後方に居る観視者HMは、上段のプロジェクタ9Bによって投射されたプロジェクション画像PjBを観視することで、前列の観視者HMが邪魔にならずに観視することができるので、2個のプロジェクション画像PjA及びPjBにより、全ての観視者HMは、投影画像を良好に観視することができる。
なお、投射後、画像認識部113での画像認識結果から、後方に居る観視者HMの見づらそうな表情や視線、背伸びするような姿勢などを認定した場合には、移動型プロジェクタ装置1Bは、当該壁WLaの投射開始時の位置よりさらに上方位置に、所定の画面サイズのプロジェクション画像PjBを投射するようにし、後方に居る観視者HMの見づらさを解消する。また、画面サイズを大きくしてもよい。
なお、図10の例では、2個のプロジェクション画像PjA及びPjBは同一の画面サイズとされているが、下段におけるプロジェクション画像PjAの画面サイズと、上段におけるプロジェクション画像PjBの画面サイズとはそれぞれ独立に、異なるサイズに指示されてもよいことは勿論である。
また、図10の例では、2台の移動型プロジェクタ装置1A,1Bにより、同じ壁WLaの上下に2個の画像投影を行うように指示する場合としたが、左右に2個の画像投影を行うように指示してもよいことは前述した通りである。また、2台の移動型プロジェクタ装置1A,1Bにより、同じ壁WLaではなく、異なる壁に画像投影してもよいことも前述した通りである。
次に、図11の例は、閲覧準備室PRS内において、観視者HMが集中して存在しておらず、比較的広く分散して所在するような所在分布を考慮したもので、投影指示制御装置300で決定される投影画像数は3個とされる。投影指示制御装置300は、3台の移動型プロジェクタ装置1C、1D、1Eのそれぞれに出動制御指示及び画像投影開始制御指示を送信するようにする。
そして、図11の例では、3台の移動型プロジェクタ装置1C、1D、1Eのそれぞれに送信される出動制御指示のそれぞれに含まれる投影画像表示壁の情報は、共に閲覧準備室PRSの正面の壁WLaとされ、画面サイズも同様とされるが、投影位置の情報は、壁WLaの左右方向の中央の位置PSc、左側の位置PSd、右側の位置PSeというように、3台の移動型プロジェクタ装置1C、1D、1Eのそれぞれ毎に異なる位置が指示される。
これにより、図11に示すように、複数人の観視者HMが比較的広く分散して所在するような所在分布をしている場合にも、その複数人の観視者HMが観易いような数の投影画像が提供される。
[第1の実施形態の効果]
以上のようにして、上述の第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおいては、投影場所に居る観視者HMの人数及び/または観視者HMの所在分布に応じた数の投影画像が提供されるように、投影指示制御装置300により、1または複数台の移動型プロジェクタ装置に対して出動制御指示及び画像投影開始制御指示がなされる。したがって、上述の第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムによれば、投影場所に居る観視者HMが観易い投影画像を提供することができるという効果を奏する。
そして、上述の第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムによれば、観視者HMが所定人数以上になったときなど、画像投影が必要になったときに、移動型プロジェクタ装置が画像投影場所に飛行により移動して投影画像を提供するようにすることができる。
そして、観視者HMの人数や所在分布に応じて、投影画像数を決定するようにするので、全ての観視者HMが観視可能で、観易い投影画像を表示させることができるという効果もある。
[第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムの変形例]
上述の第1の実施形態では、移動型プロジェクタ装置は、投影画像が終了したら、自分自身で基地スペースHPのホームポジションに帰還するようにしたが、投影指示制御装置300の制御指示(帰還制御指示)により、基地スペースHPのホームポジションに帰還するようにしてもよい。その場合に、投影指示制御装置300は、投影画像が終了した後の所定時間が経過しても、閲覧準備室PRSに観視者HMが残っている場合には、閲覧準備室PRSに出動中の移動型プロジェクタ装置に対して、帰還制御指示ではなく、再度の画像投影開始制御指示を送るようにしてもよい。
また、上述の第1の実施形態の説明では、移動型プロジェクタ装置1は、出動制御指示に含まれる投影画像表示壁の情報、投影位置の情報及び投影画像の画面サイズで指定される壁、投影位置、画面サイズを、投影画像の最後まで、変更しないようにしたが、投影指示制御装置300が、投影画像の提供中の観視者HMの増減に応じて、それらを変更するように制御指示を、移動型プロジェクタ装置1に送信するようにしてもよい。
例えば、プロジェクション画像の投影開始時点では観視者HMは1人であったが、観視者HMが増加したときには、その観視者HMの増加に合わせて、投影場所(投影位置)及び/または画面サイズを変えるように制御してもよい。また、プロジェクション画像の投影開始時点では観視者HMが多人数であったが、観視者HMが減少して少人数になったときには、その観視者HMの減少に合わせて、投影場所(投影位置)及び/または画面サイズを変えるように制御してもよい。
その場合に、プロジェクション画像の投影場所として余裕領域及び広い画面サイズに対応する領域を備える場合には、投影場所として、同じ壁面内の異なる位置を決定することができる。しかし、投影場所として、同じ壁面内に適切な領域部分を確保することができない場合には、適切な投影場所を確保することができる別の壁面に、投影場所を移動させる必要があることは前述した通りである。この移動の場合には、この実施形態の移動型プロジェクタ装置1の制御部101は、観視者HMに対して、その移動を案内メッセージ音声により案内して、誘導するようにするようにしてもよい。なお、必要な画面サイズを確保できる適切な投影場所がない場合は、その投影場所に合わせて画面サイズを小さくするようにしてもよい。
また、移動型プロジェクタ装置1に対して出動制御指示を送って、投影画像の表示を開始した後に、観視者HMが増加して、更なる投影画像の追加をした方が良い場合には、投影指示制御装置300は、新たに待機中の移動型プロジェクタ装置1に出動制御指示を送って、閲覧準備室PRSに追加出動させるようにしてもよい。さらに、観視者HMが減少した場合は、投影中の移動型プロジェクタ装置1に帰還指示を出すこともできる。
また、出動した移動型プロジェクタ装置1が複数台である場合においては、投影指示制御装置300からの画像投影開始制御指示により、複数台の移動型プロジェクタ装置1で同期を取って、画像投影及び音声放音を行うようにした。しかし、出動中の複数台の移動型プロジェクタ装置1同士で通信を行って、画像投影の開始タイミングの同期を取るようにすることで、投影指示制御装置300からの画像投影開始制御指示によらずに、同期を取るようにしてもよい。その場合には、移動型プロジェクタ装置1は、投影指示制御装置300からの画像投影開始制御指示を受信する必要がなくなるので、閲覧準備室PRSへの到着通知を投影指示制御装置300に送る必要もない。
上述の第1の実施形態では、監視カメラ200の制御部201は、この人感センサ203で閲覧準備室PRSへの入場者が検出されると、カメラ部202に対して、動画撮影を開始するように制御指示を出していたが、入場者の検出は人感センサに限らず、閲覧準備室PRSの入口や天井、壁面などに設置したマイクロフォン(図示せず)による入場者の音声検出や、閲覧準備室PRSの床面などに設置した圧力センサ(図示せず)による入場者の重量検出であってもよい。また、カメラ部202は、これらのセンサからの開始トリガーで作動するのではなく、常時動画撮影するようにしてもよい。
なお、監視カメラ200は、観視者を監視するスペースの大きさや、観視者の移動を考慮して、複数台を設けるようにしてもよい。
また、上述の第1の実施形態では、画像投影場所としての閲覧準備室PRSにおける観視者HMの人数は、監視カメラ200からの撮像画像に基づいて検出するようにした。しかし、監視カメラ200を設置する代わりに、移動型プロジェクタ装置1の1台が、投影指示制御装置300の制御指示により、あるいは、所定時間毎に、定期的に閲覧準備室PRSへ飛行して移動し、装備しているカメラにより、閲覧準備室PRS内を撮像し、その撮像画像を、投影指示制御装置300に送るように構成してもよい。その場合には、監視カメラ200を閲覧準備室PRSに設ける必要はない。なお、閲覧準備室PRSへ飛行して移動し、装備しているカメラにより、閲覧準備室PRS内を撮像し、その撮像画像を、投影指示制御装置300に送るように構成する装置は、プロジェクタ9を装備しない専用の飛行装置であっても勿論よい。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおいては、画像投影場所を予め定めておき、その画像投影場所における観視者の人数及び/または所在分布に応じて投影画像を決定し、その決定した投影画像数となるように移動型プロジェクタ装置が、画像投影場所に飛行により移動して、プロジェクション画像の提供を行うようにした。これに対して、以下に説明する第2の実施形態では、観視者からの呼び出しに応じて、当該呼び出しをした観視者の場所を検知すると共に、その場所における観視者の人数及び/または所在分布に応じた数の投影画像を提供するように、1または複数の移動型プロジェクタ装置によりプロジェクション画像の提供を行うようにする。
そして、この第2の実施形態では、第1の実施形態の投影指示制御装置300を設けずに、複数の移動型プロジェクタ装置を、マスター移動型プロジェクタ装置とスレーブ移動型プロジェクタ装置とに分ける。そして、そのマスター移動型プロジェクタ装置は、第1の実施形態における監視カメラ200及び投影指示制御装置300の役割をもするように構成する。そして、スレーブ移動型プロジェクタ装置は、マスター移動型プロジェクタ装置からの制御指示を受けるスレーブ移動型プロジェクタ装置の構成とする。スレーブ移動型プロジェクタ装置は、第1の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおける移動型プロジェクタ装置1と同様の構成でよい。
この第2の実施形態では、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、投影場所に設けられている呼出装置を通じた観視者からの呼出を受ける機能を備え、観視者からの呼び出しを受けたときに、呼出装置が存在している場所(画像投影場所)に空中飛行して赴くようにする。そして、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、当該画像投影場所をカメラにより撮像し、その撮像画像を画像認識することで、当該画像投影場所の観視者の人数及び/または観視者の所在分布を判別して、必要な投影画像数を決定する。
そして、必要な投影画像数が、1個であるときには、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、自装置のプロジェクタにより、当該画像投影場所において、画像投影を実行する。また、必要な投影画像数が、2個以上であるときには、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、自装置により提供する投影画像に加えて必要な数(追加数)の投影画像を提供するために、その追加数のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対して、当該画像投影場所へ出動して画像投影をするように制御指示する出動制御指示を送信するようにする。
出動制御指示を受けたスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、当該出動制御指示で指示された画像投影場所に空中飛行して移動し、その到着をマスター移動型プロジェクタ装置1FMに通知する。そして、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、出動制御指示に含まれる投影位置及び投影画像の画面サイズで投影するように準備し、マスター移動型プロジェクタ装置1FMからの画像投影開始制御指示に基づいて、他の移動型プロジェクタ装置による画像投影及び音声放音と同期を取って、画像投影を開始するようにする。
そして、マスター移動型プロジェクタ装置1FM及びスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、画像投影を終了したら、待機基地410に帰還するようにする。この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、投影画像の終了前であっても、観視者が零人になったら、その時点で待機基地410に帰還するようにする。
この第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムの構成例を説明する前に、この第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムが使用される環境の例について、図12を参照しながら説明する。
図12の例は、この第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムを、美術館において適用して、種々の案内をプロジェクション画像により提供することを想定した場合である。この例の美術館は、壁により仕切られた複数の展示スペースを有する。すなわち、この例の美術館は、図12に示すように、洋画スペース401、日本画スペース402、書画スペース403、彫塑スペース404、特別展示スペース405、焼物スペース406からなる複数の展示スペースを備えると共に、エントランスホール407を備えている。入場者(観視者)は、外のチケット売り場408で、チケットを購入して、そのチケットをゲート409で提示することで、当該ゲート409を通ってエントランスホール407に入場することができる。
エントランスホール407には、移動型プロジェクタ装置用の待機基地410が設けられており、この待機基地410に、第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムで用いる移動型プロジェクタ装置の複数台が待機するように構成されている。
この場合に、上述したように、第2の実施形態では、待機基地410に配置する複数台の移動型プロジェクタ装置の内の少なくとも1台は、マスター移動型プロジェクタ装置1FMとする。マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、複数台を待機基地410に配置するようにしても勿論よい。待機基地410に配置する複数台の移動型プロジェクタ装置の内、マスター移動型プロジェクタ装置1FM以外は、全てスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSとする。スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、1台以上であればよい。
洋画スペース401、日本画スペース402、書画スペース403、彫塑スペース404、特別展示スペース405、焼物スペース406のそれぞれ、及びエントランスホール407には、入場者(観視者)が、マスター移動型プロジェクタ装置1FMを呼び出す呼出信号を送出する呼出ポスト411,412,413,414,415,416,417が設置されている。
呼出ポスト411,412,413,414,415,416,417のそれぞれは、呼出ボタン411BT,412BT,413BT,414BT,415BT,416BT,417BTを備える。入場者(観視者)により、当該呼出ボタン411BT,412BT,413BT,414BT,415BT,416BT,417BTが押されると、その押された呼出ボタンを備える呼出ポストが、自分を識別する識別情報を含む呼出信号を、マスター移動型プロジェクタ装置1FMに宛てて送出する。
後述するように、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、この呼出ポスト411〜417からの呼出信号を受信する通信機能部を備えている。そして、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、受信した呼出信号に含まれる識別情報から、いずれの呼出ポストからの呼出信号であるかを認識して、その認識した呼出ポストが設置されているスペースの入場者(以下、観視者という)の傍らに飛行により移動して、プロジェクション画像の提供を実行するようにする。この例では、呼出ポスト411〜417と、マスター移動型プロジェクタ装置1FMとは、Wi−Fi(登録商標)規格の無線LANにより接続される。
次に、第2の実施形態の移動型プロジェクタシステムで用いられるマスター移動型プロジェクタ装置1FMの構成例について説明する。
なお、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの構成例については、図4に示した移動型プロジェクタ装置1と同様の構成とすることができるため、ここではその説明は省略する。ただし、移動空間情報メモリ107には、図12に示した美術館の移動空間情報が記憶されると共に、無線送受信部119が、マスター移動型プロジェクタ装置1FMからの制御指示を受信する構成とされる点は、移動型プロジェクタ装置1とは異なる。
以下に説明するマスター移動型プロジェクタ装置1FMは、機構的には、1台のプロジェクタを搭載する第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同様に構成する。マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、駆動制御装置部の構成が、第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と、一部異なっている。この第2の実施形態におけるマスター移動型プロジェクタ装置1FMの駆動制御装置部10FMについての以下の説明において、第1の実施形態と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図13は、マスター移動型プロジェクタ装置1FMの駆動制御装置部10FMの構成例を示すブロック図である。この図13に示すように、駆動制御装置部10FMにおいては、投影画像数決定部121と、スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122と、制御指示生成部123とを備える。
そして、このマスター移動型プロジェクタ装置1FMでは、無線送受信部119は、呼出ポスト411〜417及びスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSとの間での前述した無線LAN用の通信を行うための無線通信機能を備えている。無線送受信部119は、呼出ポスト411〜417のいずれかから呼出信号を受信すると、その受信信号に含まれる呼出ポストの識別情報を抽出して、このマスター移動型プロジェクタ装置1FMの制御部101FMに送る。
この駆動制御装置部10FMの移動空間情報メモリ107には、図12に示した美術館の複数の展示スペース401〜406及びエントランスホール407からなる移動空間情報が格納されていると共に、展示スペース401〜406及びエントランスホール407のそれぞれに設置されている呼出ポスト411〜417のそれぞれの識別情報と位置情報との対応情報が格納されている。
制御部101FMは、無線送受信部119から呼出ポストの識別情報を受け取った時には、移動空間情報メモリ107に記憶されている呼出ポスト411〜417の識別情報と位置情報との対応情報から、展示スペース401〜406及びエントランスホール407のいずれから、呼出信号を受け取ったかを判別して認識するようにする。そして、制御部101FMは、飛行駆動信号生成部109で、認識した呼出ポストが存在する展示スペース401〜406及びエントランスホール407のいずれかまで飛行移動するための飛行駆動信号を生成させ、空中飛行機構部2を制御して、その飛行移動を実行させるようにする。なお、呼出信号を受信して、当該呼び出しに応じて移動を開始したマスター移動型プロジェクタ装置1FMの制御部101FMは、移動開始してから待機基地410に戻るまでの間、他の呼出信号を受け取らないように、無線送受信部119をスリープ状態あるいは停止状態に制御する。
制御部101FMは、呼出ポスト411〜417からの呼出信号により、展示スペース401〜406及びエントランスホール407のいずれかに赴いたときには、カメラ群111による撮像を開始させると共に、画像認識部113及び投影画像数決定部121を起動させる。
このマスター移動型プロジェクタ装置1FMにおいては、画像認識部113は、カメラ群111から受けた撮像画像情報に含まれる人物を画像認識により検出する。そして、画像認識部113は、現在位置である画像投影場所において検出した人物(観視者)の人数及びその観視者の所在分布を検出し、その検出結果の情報を、投影画像数決定部121に供給する。
投影画像数決定部121は、検出した観視者の人数及び/または観視者の所在分布に基づいて、前述したようにして、画像投影場所内の観視者の全てに、展示物に関する説明などの情報を提供するために適切な投影画像の数を決定し、その決定結果を制御部101FMに供給する。
制御部101FMは、投影画像数決定部121から受けた投影画像数の数が1であるか、2以上であるかを判別し、投影画像数が1であれば、自装置(マスター移動型プロジェクタ装置1FM)のみで、当該画像投影場所での観視者に対する画像投影を行うように決定し、画像投影を実行する。
また、投影画像数の数Nが2以上である場合には、制御部101FMは、N−1個の投影画像分のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対して出動制御指示を送るように決定する。制御指示生成部123は、制御部101FMの制御の下に、N−1個の投影画像分のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対する出動制御指示を生成する。出動制御指示には、閲覧準備室PRSへの出動を指示するだけでなく、閲覧準備室PRSにおいてどの壁に投影画像を表示させるかの投影画像表示壁の指示情報、また、その壁のどの位置に投影画像を表示させるかの投影位置の情報、更に、投影画像の大きさである画面サイズの情報をも含ませるようにするのは、第1の実施形態と同様である。
スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122は、この例では、複数台のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSのそれぞれについて、その識別情報と、無線LAN上のアドレス情報と、出動状況情報とを対応付けて記憶管理する。出動状況情報は、それぞれのスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSが出動中か、待機基地410で待機中かの情報である。
なお、図13では、図示を省略したが、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、バッテリーの充電状況を検出する手段を備えると共に、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSもバッテリーの充電状況を検出する手段を備える。そして、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、バッテリーの充電状況を検出する手段で検知した充電状況の情報を、無線送受信部119を通じて、自装置の識別情報と対応付けて、マスター移動型プロジェクタ装置1FMに送るようにする。スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122は、このスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSからの充電状況の情報を受信し、更新保存することで、各スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの充電状況を管理するようにする。
制御部101FMは、このスレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122で、待機中となっているスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの中から、出動制御指示を供給するスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSを選定して、当該選定したスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに出動制御指示を供給するようにする。そして、出動制御指示を供給したスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSについては、出動状況情報を、待機中から出動中に変更する。なお、マスター移動型プロジェクタ装置1FMが複数個、用いられる場合には、マスター移動型プロジェクタ装置1FMのそれぞれは、他のマスター移動型プロジェクタ装置1FMが送信する出動制御指示を監視して、いずれのスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSが出動したかを判別し、当該出動したスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSについての出動状況情報を更新するようにする。
マスター移動型プロジェクタ装置1FMからの出動制御指示を受けたスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、前述の第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同様にして、画像投影場所に空中飛行して移動し、その到着をマスター移動型プロジェクタ装置1FMに通知する。
マスター移動型プロジェクタ装置1FMの制御部101FMは、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSからの画像投影場所への到着通知を受け取ると、前述の第1の実施形態の場合と同様にして、複数個の投影画像及び音声放音の同期を取るために、画像投影開始制御指示をスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの全てに供給するようにする。制御指示生成部123は、制御部101FMの制御に基づいて、この画像投影開始制御指示をも生成するようにする。
以上のように、第2の実施形態では、投影画像数として複数個が必要である場合には、マスター移動型プロジェクタ装置1FMとスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSとが協働することで、当該複数個の投影画像が観視者に対して提供される。
この第2の実施形態においては、投影画像リストメモリ116には、展示スペース401〜406及びエントランスホール407のそれぞれで観視者に提供すべき案内の画像情報や音声情報の識別情報と、そのDVD上のアドレス情報との対応情報が格納されている。マスター移動型プロジェクタ装置1FMの投影画像リストメモリ116のみではなく、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの投影画像リストメモリ116の格納情報も同様である。
その他は、図4に示した第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1の駆動制御装置部10の各部と同様の構成とされている。なお、画像認識部113、投影画像数決定部121、スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122、制御指示生成部123、の処理機能は、制御部101FMがソフトウエア処理機能として実現することもできるものである。
[第2の実施形態におけるマスター移動型プロジェクタ装置1FMの処理動作の流れ]
図14及びその続きである図15は、第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおけるマスター移動型プロジェクタ装置1FMの処理動作の流れの例を示すフローチャートである。以下の説明においては、制御部101FMが、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、画像認識部113、投影画像数決定部121、スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122、制御指示生成部123、の処理機能を、制御部101FMがソフトウエア処理機能として実現している場合として説明する。
先ず、制御部101FMは、ホームポジションにおいて自装置を待機状態にする(ステップS201)。この待機状態においては、制御部101FMは、無線送受信部119を動作状態にして、当該無線送受信部119での呼出信号の受信を監視する。
そして、制御部101FMは、無線送受信部119を通じた呼出信号の受信を検知したか否か判別し(ステップS202)、呼出信号の受信を検知しなかったときには、ステップS201に戻って待機状態を維持する。
ステップS202で、呼出信号の受信を検知したときには、制御部101FMは、受信した呼出信号を発信した呼出ポストの識別情報を認識して、当該呼出ポストの位置を画像投影場所として検知及び認識する(ステップS203)。そして、制御部101FMは、認識した呼出ポストがある展示スペース401〜406のいずれか、あるいはエントランスホール407を画像投影場所として、当該画像投影場所に移動する(ステップS204)。この移動に先立ち、制御部101FMは、無線送受信部119をスリープ状態あるいは停止状態に制御して、他の呼出信号に応答しないようにする。
呼出信号を発信した呼出ポストがある画像投影場所に移動したら、制御部101FMは、呼び出しをした観視者が所在する当該画像投影場所をカメラ群111で撮像し、そのカメラ群111の撮像画像を画像認識して、その認識結果から、観視者の人数及び所在分布を判定する(ステップS205)。そして、判定した観視者の人数及び所在分布から投影画像数を決定する(ステップS206)。
次に、制御部101FMは、決定した投影画像数が1か、あるいは2以上であるかにより、画像投影が自装置のみで可能かどうか判別する(ステップS207)。このステップS207で、決定した投影画像数が1であって、画像投影が自装置のみで可能であると判別したときには、制御部101FMは、カメラ群111の撮像画像から観視者の居場所を判定して、画像投影壁及び画像投影位置、更に、投影画像の画面サイズを決定して、画像投影を開始する(ステップS208)。
そして、制御部101FMは、投影画像が終了したか否か判別し(ステップS209)、終了してはいないと判別したときには、カメラ群111の撮像画像から判定した観視者の数が零人になったか否か判別し(ステップS211)、零人にはなっていないと判別したときには、処理をステップS209に戻して、投影画像の終了監視を継続する。ステップS211で、観視者の数が零人になったと判別したときには、制御部101FMは、画像投影を停止し、待機基地410に帰還するようにする(ステップS210)。そして、制御部101FMは、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
ステップS209で投影画像が終了したと判別したときには、制御部101FMは、ステップS210に進んで、画像投影を停止し、待機基地410に帰還するようにする。そして、制御部101FMは、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
ステップS207で、決定した投影画像数が2以上であって、画像投影は自装置のみでは可能でないと判別したときには、前述したように、制御部101FMは、必要数の出動制御指示を生成する。そして、スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122で待機中とされているスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの中から、(決定した投影画像数−1)個分のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSを選定し、その選定したスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSのそれぞれに、生成した出動制御指示を送信する(図15のステップS221)。スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの選定に当たっては、第1の実施形態と同様に、記憶しているスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの充電状況を参照して、充電状況が満充電や充電割合の高いものなど良好な移動型プロジェクタ装置を優先的に選定して出動制御指示を送信する。そして、制御部101FMは、スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122の機能により、出動制御指示を送信した移動型プロジェクタ装置1の出動状況情報を、待機中から出動中に書き替える。
そして、制御部101FMは、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSからの、指示された画像投影場所への到着通知の受信を判別して、出動制御指示を送信した全てのスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの画像投影場所への到着の確認ができたか否か判別する(ステップS222)。
そして、このステップS222で、出動制御指示を送信した全てのスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの画像投影場所への到着の確認ができたと判別したときには、制御部101FMは、同期して画像投影及び音声放音をするように、それらのスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対して画像投影開始制御指示を送って、画像投影を開始する(ステップS223)。
そして、制御部101FMは、投影画像が終了したか否か判別し(ステップS224)、終了してはいないと判別したときには、カメラ群111の撮像画像から判定した観視者の数が零人になったか否か判別し(ステップS225)、零人にはなっていないと判別したときには、処理をステップS224に戻して、投影画像の終了監視を継続する。ステップS225で、観視者の数が零人になったと判別したときには、制御部101FMは、共に画像投影中のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対して、画像投影を停止して待機基地410に帰還するようにする制御指示を、制御指示生成部123で生成して送信する(ステップS226)。そして、制御部101FMは、自装置の画像投影を停止し、待機基地410に帰還するようにする(ステップS228)。そして、制御部101FMは、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
また、ステップS224で投影画像が終了したと判別したときには、制御部101FMは、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSからの画像投影終了通知の受信を確認し(ステップS227)、その後、ステップS228に進んで、画像投影を停止し、待機基地410に帰還するようにする。そして、制御部101FMは、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
なお、制御部101FMは、ステップS228により待機基地410に帰還したときには、スレーブ移動型プロジェクタ装置管理部122の機能により、帰還したスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSの出動状況情報を、出動中から待機中に書き替える。
[第2の実施形態の効果]
この第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムによれば、上述した第1の実施形態と同様の効果が得られる上に、以下のような効果が得られる。すなわち、第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムによれば、画像投影場所には、第1の実施形態における監視カメラ200を設ける必要がなく、また、投影指示制御装置300も不要とすることができる。
[第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムの変形例]
上述の第2の実施形態の説明では、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSは、第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同様に、投影画像が終了したら、自分自身で待機基地410に帰還するようにしたが、マスター移動型プロジェクタ装置1FMの制御指示(帰還制御指示)により、待機基地410に帰還するようにしてもよい。
また、上述の第2の実施形態の説明では、画像投影の開始後、投影画像の追加が必要な程度に観視者が増加した場合については記載しなかったが、そのような場合、マスター移動型プロジェクタ装置1FMが、画像投影中であっても、他のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対して追加の出動制御指示をするようにしても勿論よい。また、マスター移動型プロジェクタ装置1FMは、観視者が増減したときには、その観視者の増減に合わせて、自装置及びスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSによる投影場所(投影位置)及び/または画面サイズを変えるように制御してもよい。
さらに、上述の第2の実施形態の説明では、マスター移動型プロジェクタ装置1FMとスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSとを設けて、それぞれ別個の機能を持つ装置としたが、全て、上述のマスター移動型プロジェクタ装置1FMと同一の機能を持つ構成としてもよい。その場合、全ての移動型プロジェクタ装置がマスター移動型プロジェクタ装置になれるが、出動した1つがマスター移動型プロジェクタ装置になると共に、その出動したマスター移動型プロジェクタ装置からの出動制御指示を受けた、残りの移動型プロジェクタ装置がスレーブ移動型プロジェクタ装置の役目を果たすようにする。
そして、この場合においては、マスター移動型プロジェクタ装置として機能していた移動型プロジェクタ装置がバッテリー切れを起こして、待機基地410に帰還した場合、残されたスレーブ移動型プロジェクタ装置の中の1台がマスター移動型プロジェクタ装置となるようにする。この場合には、移動型プロジェクタ装置には、マスター移動型プロジェクタ装置になる優先順位が、予め設定されている。
また、第2の実施形態の移動型プロジェクションシステムにおけるマスター移動型プロジェクタ装置の代わりに、プロジェクタ9は備えない構成のマスター装置を用いるようにしてもよい。その場合には、マスター装置は、図13の構成の内、投影画像リストメモリ116、プロジェクタリモコンインターフェース117、リモコン信号発生部118を備えない構成とすることができる。
ただし、その場合には、マスター装置は、呼び出しに応じて画像投影場所に一旦赴き、撮像画像情報に基づいて、投影画像の数を決定し、その投影画像数分のスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSに対して出動制御指示を送信するようにする。その後、マスター装置は、待機基地410に戻ってもよいし、投影画像場所に留まり、投影画像の終了により、スレーブ移動型プロジェクタ装置1FSと共に帰還するようにしてもよい。
以上の第2の実施形態では、移動型プロジェクタ装置の呼出による画像投影サービスは無料としたが、呼出装置に課金機能がついていてもよい。例えば、呼出ポスト411,412,413,414,415,416,417には、現金投入口が設けられており、当該現金投入口から、予め定められた所定の金額が投入したときに、呼出ポスト411,412,413,414,415,416,417は、上述したような呼出機能を起動させるようにすることできる。なお、呼出ポスト411,412,413,414,415,416,417に現金投入口ではなく、例えば非接触通信機能を設けて、ICカードや携帯電話端末による課金決済をするようにしてもよいし、電子マネー決済でもよい。
また、この第2の実施形態においても、投影画像の表示を開始した後に、観視者HMが増加して、更なる投影画像の追加をした方が良い場合には、マスター装置は、新たに待機中のスレーブ移動型プロジェクタ装置に出動制御指示を送って、画像投影場所に追加出動させるようにしてもよい。また、観視者HMが減少して、投影画像の数を減らしても問題ない場合、投影中のスレーブ移動型プロジェクタ装置に帰還指示を出すこともできる。
[その他の実施形態または変形例]
なお、上述の実施形態では、観視者の人数及び所在分布の両方から投影画像数を決定するようにしたが、観視者の人数のみから、あるいは、観視者の所在分布のみから、投影画像数を決定するようにしてもよい。
なお、上述の実施形態では、移動型プロジェクタ装置は、1台のプロジェクタを搭載するようにしたが、複数台を搭載するようにしてもよい。
図16は、2台のプロジェクタを上下に搭載した移動型プロジェクタ装置1ABを正面から見た図で、第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1の図3(B)に対応する。この例の移動型プロジェクタ装置1ABを、その上方から見た図は、図3(A)と同様となる。この図16に示す例の移動型プロジェクタ装置1ABにおいて、上述した第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同一部分には、同一参照符号を付与して、その説明は省略する。
この例の移動型プロジェクタ装置1ABは、図16に示すように、筐体6の駆動制御ユニット3の部分の上面から植立されている支持柱91ABに支持された支持台92ABに固定されて設けられている。支持台92ABには、プロジェクタ9Aと、プロジェクタ9Bとを、上下2段に配置するように取り付けられている。そして、支持台92ABに取り付けられているプロジェクタ9A及び9Bのそれぞれを遠隔制御するためのリモコン送信部93A,93Bが、それぞれ取り付けられている。リモコン送信部93A,93Bは、支持台92ABにおいて、プロジェクタ9A,9Bのそれぞれのリモコン受信部(図示は省略)がリモコン信号を受信可能な位置に取り付けられている。その他は、第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同様に構成されている。
この図16の例の移動型プロジェクタ装置1ABの駆動制御装置部は、図示は省略するが、図4に示した移動型プロジェクタ装置1の構成とほぼ同様である。ただし、リモコン送信部93A,93Bは、制御部101に対して、それぞれプロジェクタリモコンインターフェースを介して接続されている点が、図4の構成とは異なる。
この例の移動型プロジェクタ装置1ABにおいては、投影画像数が1個で良い場合には、下段のプロジェクタ9Aにより、1個のプロジェクション画像PjA(図17参照)を投射するようにすることができる。そして、投影画像数が2個の場合には、図17に示すように、下段のプロジェクタ9Aのみでなく、上段のプロジェクタ9Bによってもプロジェクション画像PjBを投射するようにする。
なお、この例の実施形態の移動型プロジェクタ装置1ABにおいても、プロジェクション画像の画面サイズが変更できることは言うまでもない。その場合、下段におけるプロジェクタ9Aによるプロジェクション画像PjAの画面サイズと、上段におけるプロジェクタ9Bによるプロジェクション画像PjBの画面サイズとはそれぞれ独立に可変することができることは勿論である。
また、図16の例では、2台のプロジェクタ9A,9Bは、同じ光軸方向を向いている場合としたが、互いに異なる光軸方向を向かせるように配置してもよい。例えば、1台のプロジェクタは、正面方向を光軸方向とするように取り付けるが、他の1台のプロジェクタは、正面方向に直交する上方向(天井方向)や、左右方向を光軸方向とするように取り付けてもよい。
また、プロジェクタが2台の例であったが、プロジェクタは3台以上であってもよい。例えば、上中下3段にプロジェクタが設置されてもよい。
次に、図18は、複数個のプロジェクタを横方向に並べて搭載した例の移動型プロジェクタ装置1CDEを正面から見た図で、この図18も図3(B)に対応する。この図18の例の移動型プロジェクタ装置1CDEを、その上方から見た図は省略する。この図18の例の移動型プロジェクタ装置1CDEにおいて、上述した第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同一部分には、同一参照符号を付与して、その説明は省略する。
この図18の例の移動型プロジェクタ装置1CDEは、図18に示すように、筐体6の駆動制御ユニット3の部分の上面から植立されている支持柱91CDEに支持された支持台92CDEに固定されて設けられている。支持台92CDEには、3台のプロジェクタ9Cと、プロジェクタ9Dと、プロジェクタ9Eとを、支持台92CDEの同一平面上に、横並びの状態で並べられて配置されるように取り付けられている。もちろん、配置方法・取り付け方法はこれに限らない。例えば、同一平面上に取り付けられなくてもよいし、横並びの状態で並べられて配置されなくてもよい。
そして、支持台92CDEに並べられて取り付けられているプロジェクタ9C、9D、9Eのそれぞれを遠隔制御するためのリモコン送信部93C,93D,93Eが、それぞれ取り付けられている。リモコン送信部93C,93D,93Eは、支持台92CDEにおいて、プロジェクタ9C、9D、9Eのそれぞれのリモコン受信部(図示は省略)がリモコン信号を受信可能な位置に取り付けられている。その他は、第1の実施形態の移動型プロジェクタ装置1と同様に構成されている。
この図18の例の移動型プロジェクタ装置1CDEの駆動制御装置部は、図示は省略するが、図4に示した移動型プロジェクタ装置1の構成とほぼ同様である。ただし、リモコン送信部93C,93D,93Eは、制御部101に対して、それぞれプロジェクタリモコンインターフェースを介して接続されている点が、図4の構成とは異なる。
この図18の例の移動型プロジェクタ装置1CDEにおいては、投影画像数が1である場合には、中央のプロジェクタ9Cにより、プロジェクション画像PjCを投射するようにする。そして、投影画像数が2の場合には、図19に示すように、中央のプロジェクタ9Cによるプロジェクション画像PjCと、その両脇のプロジェクタ9D,9Eによるプロジェクション画像PjD,プロジェクション画像PjEの一方とによる2画面とする。また、投影画像数が2の場合には、中央のプロジェクタ9Cによるプロジェクション画像PjCと、その両脇のプロジェクタ9D,9Eによるプロジェクション画像PjD,プロジェクション画像PjEの両方とによる3画面を用いるようにする。制御部101は、1画面にするか、2画面にするか、3画面にするかを、制御指示に基づいて制御する。
なお、この図18の例の移動型プロジェクタ装置1CDEにおいても、プロジェクション画像PjC,PjD,PjEの画面サイズが変更できることは言うまでもない。その場合、プロジェクション画像PjC,PjD,PjEのそれぞれは、独立に可変することができることは勿論である。
また、上述の図18の例では、3台のプロジェクタ9C,9D,9Eは、同じ光軸方向を向いている場合としたが、互いに異なる光軸方向を向かせるように配置してもよい。例えば、1台のプロジェクタは、正面方向を光軸方向とするように取り付けるが、他の2台のプロジェクタは、正面方向に直交する上方向(天井方向)や、左右方向を光軸方向とするように取り付けてもよい。
また、図18の例では、プロジェクタが3台の例であったが、プロジェクタは2台でも4台以上であってもよい。
さらに、上述の図16の例のような上下2段にして、それぞれの段において複数のプロジェクタが左右に設置されてもよい。
なお、図16の例の移動型プロジェクタ装置1ABや図18の例の移動型プロジェクタ装置1ABCを第2の実施形態に適応した場合に、それらは、マスター移動型プロジェクタ装置として用いてもよいし、スレーブ移動型プロジェクタ装置としてもちいてもよい。マスター移動型プロジェクタ装置とスレーブ移動型プロジェクタ装置の両方を図16の例の移動型プロジェクタ装置1ABや図18の例の移動型プロジェクタ装置1ABCを用いてもよい。
また、以上の実施形態では、移動型プロジェクタ装置には、プロジェクタは、支持台に直接的に固定して動かないようにした。しかし、支持台に設けた水平方向に回転する回転台上にプロジェクタを載置して固定するようにしてもよい。その場合には、移動型プロジェクタ装置自身を水平方向に移動したり、回転させたりして、プロジェクション画像の投射位置を水平方向に移動させるのではなく、移動型プロジェクタ装置自身はホバーリング状態を維持したまま、支持台に設けた回転台を回転駆動してプロジェクタを回転させることで、プロジェクション画像の投射位置を水平方向に移動させることができる。
また、支持台上に、プロジェクタの光軸の方向を、支持台の底面に平行な面よりも下方(伏角の方向)を向くようにしたり、支持台の底面に平行な面よりも上方(仰角の方向)を向くようにしたりすることができるチルト機構を設け、このチルト機構にプロジェクタを固定することで、チルト機構を制御部101が制御することで、プロジェクション画像の投射位置を上下方向に移動させるように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、プロジェクタ9は、DVDに格納されている画像情報及び音声情報を再生して、プロジェクション画像及び付随音声を提供するためDVDドライブを備えるようにしたが、DVDドライブに限らず、BD(ブルーレイディスク)、HDD(ハードディスクドライブ)や、SSD(ソリッドステートドライブ)を備えたものであってもよい。また、USBやSDカードなど、フラッシュメモリーを備えたものであってもよい。さらに、インターネット上のクラウドから画像情報及び音声情報を入手するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、プロジェクタ9は、筐体6とは別体として設けるようにしたが、筐体6内に組み込む形式でもよいことは勿論である。その場合、筐体6に取り付けられるリモコン送信部及びプロジェクタリモコンI/Fや、プロジェクタ9に取り付けられるリモコン受信部は必要なくなる。
また、上述の実施形態では、プロジェクタは、記憶媒体から画像情報や音声情報を再生する機能を有するものとしたが、このようなものに限られるものではない。例えば、移動型プロジェクタ装置は、プロジェクション画像情報や音声情報が、無線通信により外部から送られてくるものを受信して、プロジェクタで投射すると共に、音響再生する機能を有するように構成することもできる。その場合に、外部から送られてくるプロジェクション画像情報や音声情報は、放送形式に送られるものの中から、移動型プロジェクタ装置が選局して受信するようにしてもよいし、移動型プロジェクタ装置が、提供サーバに対して要求することで、その要求に応じたプロジェクション画像情報や音声情報を提供サーバから取得することができるように構成してもよい。
なお、以上の実施形態では、投影画像が終了したら、移動型プロジェクタ装置は、即座に帰還するようにしたが、例えば投影画像終了時に、移動型プロジェクタ装置が「投影終了してよいですか?」等と表示し、観視者の意思表示に応じて、投影画像を最初からリプレイするようにしてもよい。この場合の観視者の意思表示の確認は、カメラ群11の撮像画像の画像認識によって、観視者の所定のジェスチャーを検出するようにしてもよいし、マイクロフォンを設けて、観視者からの音声を収納し、それを音声認識するようにしてもよい。また、移動型プロジェクタ装置は、投影画像が終了しても、帰還せずに、その場で着陸ないしホバーリングして、次の出動まで待機してもよい。さらに、移動型プロジェクタ装置は、投影画像が終了すると共に、次の投影場所に出動することもできる。
また、画像投影の開始後、観視者の人数が減少したときには、当該人数の観視者に対しては、投影画像の提供が不要になった移動型プロジェクタ装置は、投影指示制御装置300や、マスター移動型プロジェクタ装置1FMからの制御指示により、基地スペースHPのホームポジションや待機基地410に帰還するようにしたが、前記制御指示により、画像投影を停止してその場で待機したり、他の場所に移動したりするようにしてもよい。
なお、投影画像は、上述の実施形態では、展示スペースで展示する内容についての説明の場合を例に挙げたが、このようなものに限定される訳ではなく、種々の投影画像で良いことは言うまでもない。例えば、待機中の観視者に癒しをもたらす所定の環境画像や、移動方向を示す矢印などであってもよい。
なお、上述の実施形態では、移動型プロジェクタ装置の空中飛行機構部2は、4個の回転翼機構を有するヘリコプター型の機構部の例で説明したが、回転翼機構の数は3個以下でも5個以上でもよい。さらに、ヘリコプター型の機構部に限らず、飛行機型の機構部などであってもよい。
また、上述の実施形態では、カメラ群111のカメラの数は5個であったが、数が限定されないことはもちろんである。また、カメラを設ける位置も種々考えられる。カメラについても、標準的なカメラでもよいし、広角カメラ、魚眼カメラ、360度カメラでもよい。また、望遠カメラ、赤外線カメラなどであってもよい。もちろん、これらのカメラを併用してもよい。
さらに、ジャイロセンサ、地磁気センサ、高度センサ、障害物センサについても、複数個あってもよいことはもちろんである。
なお、この発明の移動型プロジェクションシステムは、前述した屋内のみではなく、テーマパークなどの屋外で利用するように構成することもできる。その場合において、投影場所には、専用の画像投影用の壁やスクリーン等を設けるようにしてもよいし、既存の壁等を画像投影用として用いるようにしてもよい。
なお、屋外利用が想定される移動型プロジェクタ装置の場合は、防水仕様とすることが望ましい。防水仕様が十分でない場合は、移動型プロジェクタ装置は、降雨や降雪時に雨や雪の当たらないところで待機し、飛行しないなどの防御対応が必要である。また、移動型プロジェクタ装置が、飛行途中で降雨や降雪となった場合、または降雨や降雪の可能性を検知した場合、移動型プロジェクタ装置は、速やかに雨や雪の当たらないところに着陸し、制御装置の指示を求めるようにする。この場合、降雨や降雪は、降雨センサや降雪センサで検知する。なお、移動型プロジェクタ装置が傘を装備している場合は、降雨や降雪時に傘を利用してもよい。また、移動型プロジェクタ装置は、風力または風速を計測できるようにし、風が強い場合は、事故発生の可能性が高いので、屋外では飛行しないようにしてもよい。また、墜落を防止するためにパラシュートを装備してもよい。
さらに、この発明の移動型プロジェクションシステムは、観視者が歩行や走行していても、移動型プロジェクタ装置が、カメラの撮像画像を用いて観視者を画像認識することで、観視者に追従することができるので、観視者の歩行や走行方向に継続して画像投影できる壁面があれば、移動型プロジェクタ装置は、移動しながらの画像投影が可能である。もちろん、観視者が動く歩道やエスカレーターを利用する際でも、対応可能である。また、観視者が自動車などの乗り物に乗っている場合は、移動型プロジェクタ装置がこの乗り物に追従しながら画像投影することで、乗り物内から移動しながら投影画像の観視が可能となる。なお、第2の実施形態においては、マスター移動型プロジェクタ装置1FM及び/またはスレーブ移動型プロジェクタ装置1FSが観視者に追従して移動しながら画像投影をする機能を備えるようにすればよい。
その他、移動型プロジェクタ装置は、その機構上、種々の変形例が考えられることはもちろんである。