JP2019061079A - 導光装置および表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハーフミラーの配列方向に対応する方向での表示ムラの発生を抑制することのできる導光装置、および表示装置を提供すること。【解決手段】表示装置100に用いた導光装置50は、一方端側から他方端側に向けて延在する導光体60と、導光体60の一方面62に配置された反射ユニット70とを有している。反射ユニット70は、互いに平行になるように導光体60の一方面62に対して傾斜して導光体60の延在方向に配列された複数のハーフミラー76と、隣り合うハーフミラー76の間に設けられた透光部77とを含んでいる。複数のハーフミラー76は、0.5mm未満のピッチで配列され、複数のハーフミラー76は各々、反射率が50%以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、入射した光を所定方向に反射するハーフミラーを備えた導光装置、および表示装置に関するものである。
画像光出射装置から出射された画像光を、導光装置を介して観察者の眼の入射させる表示装置が提案されている(特許文献1参照)。かかる表示装置において、導光装置は、一方端側から他方端側に向けて延在する導光体と、導光体の一方面に配置された反射ユニットとを有しており、反射ユニットでは、互いに平行になるように導光体の一方面に対して傾斜する複数のハーフミラーが設けられている。導光装置では、導光体の一方端側から入射した画像光は、導光体を介して反射ユニットに入射した後、ハーフミラーによって導光体とは反対側に反射され、観察者の眼に入射する。特許文献1では、画像光の干渉による波長分散等の起因する表示特性の低下を抑制するために、ハーフミラーのピッチを0.5mm以上、2.0mm以下に設定することが提案されている。
特開2017−3845号公報
しかしながら、ハーフミラーのピッチを0.5mm以上に設定した場合、画像において、ハーフミラーの配列方向に対応する方向に表示ムラが発生しやすいという問題点がある。
ここに、本願発明者は、特許文献1において、ハーフミラーのピッチを0.5mm以上に設定するという条件は、導光装置の出射部に多スリット回折素子を用いた場合の理論をそのまま適用した場合の条件であり、ハーフミラーを備えた反射ユニットでは、上記の画像光の干渉が問題となりにくい、という新たな知見を得た。
本発明の課題は、上記の新たな知見に基づいて、ハーフミラーの配列方向に対応する方向での表示ムラの発生を抑制することのできる導光装置、および表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る導光装置の一態様は、一方端側から他方端側に向けて延在する導光体と、前記導光体の延在方向に対して交差する方向で対向する前記導光体の2つの面の一方面に重なるように配置された反射ユニットと、を有し、前記反射ユニットは、互いに平行になるように前記導光体の一方面に対して傾斜して前記導光体の延在方向に沿うように配列された複数のハーフミラーと、前記複数のハーフミラーのうち、隣り合うハーフミラーの間に設けられた透光部と、を含み、前記複数のハーフミラーの前記延在方向におけるピッチが0.5mm未満であり、前記複数のハーフミラーは各々、反射率が50%以下であることを特徴とする。
本発明では、ハーフミラーのピッチを0.5mm未満に設定したため、反射ユニットから出射された画像光によって形成された画像において、ハーフミラーの配列方向に対応する方向での表示ムラの発生を抑制することができる。この場合でも、画像光の干渉が発生しにくいので、コントラストの低下が発生しにくい。また、ハーフミラーの反射率に上限(50%)を設けたため、ハーフミラーのピッチを0.5mm未満に設定したことに起因するコントラストの低下を抑制することができる。
本発明において、前記複数のハーフミラーは各々、反射率が40%以下である態様を採用することができる。かかる態様によれば、ハーフミラーのピッチを0.5mm未満に設定したことに起因するコントラストの低下をより抑制することができる。
本発明において、前記複数のハーフミラーは各々、前記導光体の一方面に対して45°以上の角度をなしている態様を採用することができる。すなわち、ハーフミラーのピッチに比して、反射ユニットの厚さが厚い態様を採用することができる。
本発明において、前記複数のハーフミラーでは、偏光に対する反射特性が異なるハーフミラーが前記延在方向に沿って交互に配置されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、画像光がハーフミラーを透過することに起因するコントラストの低下を抑制することができる。
本発明を適用した導光装置を備えた表示装置は、画像光を出射する画像光出射装置を有し、前記画像光は、前記導光体の前記一方端側から前記導光体に入射して、前記複数のハーフミラーによる反射によって前記反射ユニットから出射されることを特徴とする。
本発明に係る表示装置において、前記画像光は、前記反射ユニットから出射される間に前記複数のハーフミラーを透過する枚数が8枚未満である態様を採用することができる。ハーフミラーを透過する枚数が多い程、コントラストが低下することから、透過する枚数の上限(8枚)を設定することにより、コントラストの低下を抑制することができる。
本発明に係る表示装置において、前記画像光出射装置では、前記反射ユニットの周波数特性を打ち消す画像処理が画像信号に施される態様を採用することができる。ハーフミラーを用いた場合、コントラストの指標であるOTF(光学伝達関数)が0になる周波数がないことから、ハーフミラーアレイで減衰した高周波数成分を強調した表示を行うことで情報を復元することができる。
本発明に係る表示装置において、前記画像処理は、高周波数強調フィルター処理である態様を採用することができる。
本発明において、前記高周波数強調フィルター処理のフィルター特性が、前記反射ユニットから出射される画像において、前記ハーフミラーの配列方向に対応する第1方向と、前記配列方向に対して直交する方向に対応する第2方向とにおいて異なる態様を採用することができる。
本発明を適用した表示装置の外観の一態様を示す外観図。 図1に示す表示部の光学系の平面図。 図2に示す導光装置の一部を拡大して示す説明図。 空間周波数とコントラスト感度との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置での各光線のハーフミラーの透過回数等を示す説明図。 図3に示す導光装置においてハーフミラーの透過回数と導光装置の各位置から出射される光の強度分布との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置においてハーフミラーの透過回数と出射光のOTF特性との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置におけるハーフミラーのピッチと導光装置の各位置から出射される光の強度分布との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置におけるハーフミラーのピッチと出射光のOTF特性との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置におけるハーフミラーの反射率と導光装置の各位置から出射される光の強度分布との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置におけるハーフミラーの反射率と出射光のOTF特性との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置の各波長の光に対するOTF特性を示す説明図。 多スリット回折素子を用いた参考例に係る導光装置の各波長の光に対するOTF特性を示す説明図。 図3に示す導光装置におけるハーフミラーのピッチと画像のシミュレーション結果との関係を示す説明図。 図3に示す導光装置における点像広がり関数PSFの算出結果を示す説明図。 点像を図15に示すPSFで画像変調した場合の説明図。 元画像にフィルター処理を行わないときの表示特性を示す説明図。 元画像にフィルター処理を行ったときの表示特性を示す説明図。 本発明の別の実施形態に係る表示装置の説明図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度や角度を実際とは異ならせしめている。
(全体構成)
図1は、本発明を適用した表示装置100の外観の一態様を示す外観図である。図2は、図1に示す表示部10の光学系の平面図である。なお、図1および図2では、前後方向にZを付し、横方向にXを付し、上下方向にYを付してある。また、前側にZ1を付し、後側にZ2を付し、上側にY1を付し、下側にY2を付してある。また、右眼用の表示部10aを示す図2では、右側(耳側)にX1を付し、左側(鼻側)にX2を付してある。また、図2および後述する図3では、画像光出射装置20から出射される画像光L0として、画角の中央の光線L1と画角の両端の光線L2、L3とを示してある。
図1に示す表示装置100は、シースルー型のアイグラスディスプレイ等の頭部装着型表示装置であり、画像光L0aを右眼Eaに入射させる右眼用の表示部10aと、画像光L0bを左眼Ebに入射させる左眼用の表示部10bとを有している。表示装置100は、表示部10a、10bを保持するフレーム90を有しており、フレーム90は観察者の頭部に装着される。フレーム90は、後述する右眼用導光装置50a、および左眼用導光装置50bを各々、保持する前部分91を有しており、フレーム90の右側のテンプル92a、および左側のテンプル92bの各々に、図2を参照して後述する画像光出射装置20等が保持されている。
右眼用の表示部10aと左眼用の表示部10bとは、同一の構成をもって左右対称に配置されている。従って、以下の説明では、右眼用の表示部10aを中心に説明し、左眼用の表示部10bについては説明を省略する。また、以下の説明では、右眼用の表示部10aと左眼用の表示部10bとを区別せずに、表示部10として説明する。
図2に示すように、表示部10(表示部10a)は、画像光L0を出射する画像光出射装置20と、画像光出射装置20から出射された画像光L0を観察者の眼Eに向けて出射する導光装置50とを有している。また、表示部10は、画像光出射装置20から導光装置50に向かう光路に、画像光出射装置20から出射された画像光L0を導光装置50に向かわせる投射光学系30を有している。導光装置50は、眼Eの前側Z1に配置され、画像光出射装置20は側頭部に配置され、投射光学系30は、画像光出射装置20の前側に配置されている。
画像光出射装置20は、有機エレクトロルミネッセンス表示素子等の表示パネル21を備えている態様を採用することができる。かかる態様によれば、小型で高画質な画像表示が可能な表示部10を提供することができる。また、画像光出射装置20は、照明光源(図示せず)と、照明光源から出射された照明光を変調する液晶表示素子等の表示パネル21とを備えている態様を採用してもよい。かかる態様によれば、照明光源の選択が可能なため、画像光L0の波長特性の自由度が広がるという利点がある。ここで、画像光出射装置20は、カラー表示可能な1枚の表示パネル21を有する態様を採用することができる。また、画像光出射装置20は、各色に対応する複数の表示パネル21と、複数の表示パネル21から出射された各色の画像光を合成する合成光学系とを有する態様を採用してもよい。さらに、画像光出射装置20は、レーザー光をマイクロミラーデバイスで変調する態様を採用してもよい。
投射光学系30は、例えば、複数のレンズを有している。かかる投射光学系30には、例えば、自由曲面からなるレンズ面を備えたレンズが用いられる。
(導光装置50の構成)
図3は、図2に示す導光装置50の一部を拡大して示す説明図である。図2および図3に示すように、導光装置50は、横方向Xの一方側X1(一方端64)から他方側X2(他方端69)に向けて延在する導光体60と、導光体60の延在方向(横方向X)に対して交差する方向(前後方向Z)で対向する導光体60の2つの面の一方面62に重なるように配置された反射ユニット70とを有している。導光体60と反射ユニット70とは、透光性の接着剤(図示せず)によって接合されている。
導光体60は、前後方向Zの後側Z2に位置する一方面62と、前後方向Zの前側Z1に位置する他方面63とが平行に対向して横方向Xに延在する板状の導光部61を有している。また、導光体60の一方端64には、画像光L0の入射部65が設けられており、導光部61と入射部65とは一体の導光性部材からなる。
入射部65は、前後方向Zの後側Z2、かつ、横方向Xの一方側X1に向いた入射面66と、入射面66に対して前側Z1に配置された反射面67とを有しており、反射面67は、概ね、前側Z1に向いている。本形態において、入射面66および反射面67は、自由曲面になっている。ここで、入射面66は、空気と接する界面からなり、臨界角より小さい入射角の光線を透過する一方、臨界角より大きい入射角の光線を反射する。反射面67も、入射面66と同様、空気と接する界面によって構成してもよいが、本形態では、反射面67には、アルミニウム層等の金属層からなる反射層68が形成されている。
反射ユニット70は、導光体60の一方面62に接する前側Z1の第1面71と、第1面71に対向する後側Z2の第2面72とが平行に横方向Xに延在する板状部材であり、厚さは(第1面71および第2面72に対して垂直な方向の寸法)は、hである。反射ユニット70において、第1面71と第2面72との間には、互いに平行になるように導光体60の一方面62に対して傾斜して導光体60の延在方向(横方向X)にピッチpで配列された複数のハーフミラー76と、複数のハーフミラー76のうち、隣り合うハーフミラー76の間に設けられた透光部77とを含んでいる。複数のハーフミラー76は各々、誘電体多層膜や、アルミニウム薄膜等の金属薄膜からなる。本形態において、複数のハーフミラー76は各々、誘電体多層膜からなる。透光部77は、導光体60と屈折率が同一あるいは略同一である。本形態において、複数のハーフミラー76は各々、導光体60の一方面62に対して45°以上の角度をなしている。すなわち、ハーフミラー76のピッチpに比して、反射ユニット70の厚さhが厚くなっている。
ここで、ハーフミラー76のピッチpは、ハーフミラー76に対して垂直な方向におけるハーフミラー76同士の対向距離ではなく、導光体60の延在方向におけるハーフミラー76の距離である。すなわち、ハーフミラー76のピッチpは、ハーフミラー76と第1面71とが接する位置、あるいはハーフミラー76と第2面72とが接する位置の間隔に相当する。
(動作)
このように構成した表示部10において、投射光学系30から出射された画像光L0は、投射光学系30を介して導光体60の入射部65の入射面66から入射部65の内部に進入した後、反射面67に向かう。次に、画像光L0は、反射面67で入射面66に向けて反射した後、入射面66で反射し、導光部61の他方面63に向けて進行する。次に、画像光L0は、他方面63で反射した後、入射面66に対して斜め方向に進行する。次に、画像光L0は、入射面66を透過した後、反射ユニット70の第1面71から反射ユニット70の内部に進行し、ハーフミラー76に入射する。
次に、ハーフミラー76に入射した画像光L0の一部は、ハーフミラー76で反射した後、反射ユニット70の第2面72から出射され、観察者の眼Eに到達する。ハーフミラー76に入射した画像光L0の他の一部は、ハーフミラー76を透過した後、隣りのハーフミラー76で反射し、反射ユニット70の第2面72から観察者の眼Eに向けて出射される。従って、観察者は画像を認識することができる。また、導光体60に対して反射ユニット70とは反対側(前側Z1)から入射した外光は、ハーフミラー76を透過して観察者の眼Eに到達する。従って、観察者は、外界の様子を視認することできる。
(反射ユニット70の詳細構成)
本形態では、以下の検討結果に基づいて、複数のハーフミラー76のピッチpを0.5mm未満に設定し、反射率を50%以下に設定してある。ここで、複数のハーフミラー76のピッチpについては、0.5mm未満、かつ、0.1mmを超えることが好ましい。また、複数のハーフミラー76の反射率は、40%以下、さらには30%以下であることが好ましい。また、図2に示す表示部10において、画像光L0は、反射ユニット70から出射される間に複数のハーフミラー76を透過する枚数が8枚未満であることが好ましい。
(基準周波数について)
図4は、空間周波数とコントラスト感度との関係を示す説明図であり、以下の文献を引用したものである。図4では、網膜照度が3td、10td、100td、1000tdのコントラスト感度特性を各々、実線L3td、L10td、L100td、L1000tdで示してある。
A.S.Patel,“Spatial resolution by the human visual system”,J.Opt.soc.Am.,vol.56,pp.689−694(1966)
以下の説明において、OTF(Optical Transfer Function:光学伝達関数)は、表示内容や表示明るさにより異なるが、ヒトの眼の特性を考えると、基準周波数におけるOTFが0.1以上であることが好ましい。また、基準周波数におけるOTFは、さらに好ましくは、0.2以上、さらには、0.4以上であることが好ましい。
ここで、図4に示すように、コントラスト感度は、照度によって変化し、照度が高い方がコントラスト感度が上昇する。従って、網膜照度が10tdを超える条件で概ね10%以上のコントラストを確保するという観点から、30cycles/degを基準周波数とする。また、視力1.0で1/60degの解像力なので、ラインペアで考えれば、1/30deg(30cycles/deg)を基準周波数とする。または、例えば、30degの画角に1280のドット表示する場合には、表示画素が区別できる周波数として、1280/30=43cycles/degを基準周波数にしてもよい。
(反射回数とOTFとの関係)
図5は、図3に示す導光装置50での各光線の各光線のハーフミラーの透過回数等を示す説明図である。図6は、図3に示す導光装置50においてハーフミラー76の透過回数と導光装置50の各位置から出射される光の強度分布との関係を示す説明図である。図7は、図3に示す導光装置50においてハーフミラー76の透過回数と出射光のOTF特性との関係を示す説明図である。なお、以下に説明するOTF特性を示すグラフにおいて、縦軸はOTFの絶対値(MTF(Modulation Transfer Function))であるが、以下の説明では、OTFとMTFを区別せずに、OTFとして説明する。また、図6および図7に示す結果は、波長550nmの光に対するデータである。
図2および図3を参照して説明した表示部10において、画像光L0のうち、画角の中央の光線L1、画角のX方向の他方側X1の端の光線L2、および画角のX方向の一方側X2の端の光線L3は、反射ユニット70から出射されるまでのハーフミラー76の透過枚数が異なる。例えば、図3に示す例では、導光部61において入射部65からより遠い位置から眼Eに向けて進行する光線L3の方が、導光部61において入射部65に近い位置から眼Eに向けて進行する光線L2よりハーフミラー76の透過枚数が多く、光線がより多く分岐する。例えば、導光部61において入射部65から遠い位置から眼Eに向けて進行する光線L3は、ハーフミラー76の透過枚数が7枚であり、光線が8本に分岐する。導光部61において入射部65に近い位置から眼Eに向けて進行する光線L2は、ハーフミラー76の透過枚数が2枚であり、光線が3本に分岐する。導光部61の中央から眼Eに向けて進行する光線L1は、ハーフミラー76の透過枚数が3枚であり、光線が4本に分岐する。
また、図5において、ハーフミラー76の反射率をrとし、ハーフミラー76の透過回数をnとした場合、各光線の強度は、以下の式によって表される。
I(C(n))=r・(1−r)n−1
従って、図5に示す各光線C1、C2・・・の強度を比較すると、光線の強度は、以下に示すように、横方向Xの他方側X2にいくに従い、弱くなっていく。
C5<C4<C3<C2<C1
それ故、ハーフミラー76の反射率を20%とし、瞳径を3mmとし、分岐数nを4または8とした場合における横方向Xの各位置における強度分布をシミュレーションすると、図6に示す結果となる。図6には、分岐数nを8とした場合の結果を破線L51で示し、分岐数を4とした場合の結果を点線L52で示す。図6には、比較例として、多スリット回折素子を用いた場合の結果を実線L50で示してある。図6に示すように、ハーフミラー76を用いた場合、多スリット回折素子を用いた場合と違って、1枚のハーフミラー76に注目した表示状態(光強度)は、概ね鋸歯状になる。
そこで、図6に示す自己相関関数に基づいて、OTF(光伝達関数)特性を求めた結果を図7に示す。OTFは、瞳強度分布の自己相関関数であり、空間周波数に対する強度変調を示す。従って、OTFが小さいと、その周波数の情報は観察者に認識されなくなる。図7には、分岐数nを4とした場合の結果を点線L61で示し、分岐数を8とした場合の結果を点線L62で示す。また、図7には、分岐数nを12とした場合の結果を点線L63で示してある。また、図7には、比較例として、多スリット回折素子を用いた場合の結果を実線L60で示してある。
図7からわかるように、ハーフミラー76を用いた場合、多スリット回折素子を用いた場合と違って、OTFが極小値となる周波数においても、OTFが0となることがない。また、ハーフミラー76の透過回数が多い程、OTFの極小値が小さい値となる。
それ故、画像光L0が反射ユニット70から出射される間に複数のハーフミラー76のうち、8枚未満のハーフミラー76を透過するように構成することが好ましい。
(ハーフミラー76のピッチpとOTFとの関係)
図8は、図3に示す導光装置50におけるハーフミラー76のピッチpと導光装置50の各位置から出射される光の強度分布を示す説明図である。図9は、図3に示す導光装置50におけるハーフミラー76のピッチpと出射光のOTF特性との関係を示す説明図である。図8には、ハーフミラー76のピッチpを0.1mm、0.2mm、0.5mmに設定した場合の導光装置50の各位置から出射される光の強度を各々、実線L71、破線L72、点線L73で示してある。図9には、ハーフミラー76のピッチpを0.5mm、0.3mm、0.25mm、0.2mm、0.1mmに設定した場合のOTF特性を示してある。なお、図8および図9に示す結果は、波長550nmの光に対するデータである。
図8に示すように、ハーフミラー76のピッチpを0.5mmからさらに狭い0.2mm、および0.1mmに設定した場合でも、出射光の強度が0となることがない。また、図9に示すように、ハーフミラー76のピッチpを0.5mmからさらに狭い0.33mm、0.25mm、0.2mm、0.1mmに設定した場合でも、OTFが0となることがない。特に、ハーフミラー76のピッチpを0.5mm未満とした場合でも、ハーフミラー76のピッチpが0.33mm、0.25m、0.2mmであれば、適正な画像を表示できる空間周波数の上限である43cycle/degにおいても、OTFの極小値にならない。
それ故、図9に示す結果によれば、ハーフミラー76のピッチpを0.5mm未満としてもコントラストが高い画像を認識することができる。特に、ハーフミラー76のピッチpが0.5mm未満でも、0.1mmを超える値であれば、コントラストが高い画像を認識することができる。
(ハーフミラー76の反射率とOTFとの関係)
図10は、図3に示す導光装置50におけるハーフミラー76の反射率と導光装置50の各位置から出射される光の強度分布との関係を示す説明図である。図11は、図3に示す導光装置50におけるハーフミラー76の反射率と出射光のOTF特性との関係を示す説明図である。図10には、ハーフミラー76の反射率を5%、10%、20%、40%に設定した場合の導光装置50の各位置から出射される光の強度を各々、実線L91、破線L92、点線L93、一点鎖線L94で示してある。図11には、ハーフミラー76の反射率を5%、10%、20%、30%、40%、50%に設定した場合のOTF特性を実線L5%、L10%、L20%、L30%、L40%、L50%で示してある。なお、図10および図11に示す結果は、ハーフミラー76のピッチpを0.5mmに設定した場合の波長550nmの光に対するデータである。
図10に示すように、ハーフミラー76の反射率を5%〜40%に設定した場合でも、出射光の強度が0となることがない。また、図11に示すように、ハーフミラー76の反射率を5%〜50%に設定した場合でも、OTFが0となることがなく、反射率が低い方が、OTFが大きい値になる。但し、反射率が50%を超えると、30cycle/deg〜43cycle/degにおいても、OTFが0.1以下になる可能性がある。
それ故、本形態では、ハーフミラー76の反射率は50%以下に設定してある。但し、ハーフミラー76の反射率は、40%以下、さらには30%以下であることが好ましい。
(ハーフミラー76の反射率とOTFとの関係)
図12は、図3に示す導光装置50の各波長の光に対するOTF特性を示す説明図である。図13は、多スリット回折素子を用いた参考例に係る導光装置50の各波長の光に対するOTF特性を示す説明図である。図12および図13には、波長が450nmの光に対するデータは実線L450nmで示し、波長が550nmの光に対するデータは実線L550nmで示し、波長が650nmの光に対するデータは実線L650nmで示してある。なお、図12に示す結果は、ハーフミラー76のピッチpを0.5mmに設定した場合のデータである。
図12に示すように、本形態の導光装置50では、いずれに波長においても、OTFが0になることはない。これに対して、多スリット回折素子を用いた場合、波長をλ、ピッチをpとしたとき、sinθ=λ/pで表される角度θに1次回折光が現れるため、それより細かい情報は覆い隠されてしまう。例えば、波長が550nm、ピッチpが0.5mmあれば0.063deg以下の情報が消失してしまう。また、消失する周波数が波長により変化するため色ずれが起きる。例えば、図13において、10cycles/deg付近の値をみると、青(波長が450nm)の情報が消失している一方、赤(波長が650nm)の情報は40%表示される。
これに対して、本形態のように、ハーフミラー76を用いた導光装置50によれば、多スリット回折素子を用いた場合と違って、いずれの波長の光においても、特定の周波数でOTFは小さくなるものの、OTFが0になるような著しい低下は起きにくい。それ故、色ずれも目立たない。
(ハーフミラー76のピッチpと画像の品位との関係)
図14は、図2に示す導光装置50におけるハーフミラー76のピッチpと画像のシミュレーション結果との関係を示す説明図であり、図14には、ピッチpを0.38mmとした場合の画像のシミュレーション結果、およびピッチpを1.1mmとした場合の画像のシミュレーション結果を示してある。
図2に示す導光装置50では、図14に示すように、ハーフミラー76の配列方向に表示ムラが生じることがわかっている。かかる表示ムラは、出射光の強度分布に起因しており、ハーフミラー76が眼Eのごく近傍にあるためほとんどぼやけてしまうのだが、ぼやけきらない部分が表示ムラとして知覚されてしまう。この表示ムラは射出面強度分布を細かくすることで知覚されにくくすることが可能であることもわかっている。図14から分かるように、ハーフミラー76のピッチpを0.38mmまで狭くすると、強度分布は細かくなる。それ故、ハーフミラー76のピッチpを0.5mm未満まで狭くすると、表示ムラが発生しにくくなる。また、ハーフミラー76のピッチpを狭くすれば、反射ユニット70の前後方向Zの厚さを薄くすることができるので、導光装置50、表示部10および表示装置100の軽量化を図ることができる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、導光装置50において、複数のハーフミラー76のピッチpを0.5mm未満に設定してある。このため、図14を参照して説明したように、表示ムラを低減することができる。ここで、ハーフミラー76のピッチpが狭い場合には、光線強度分布が顕著な鋸歯状になって、OTFの低下が目立つが、OTFは、ハーフミラー76の反射率等にも依存する。そこで、本形態では、ハーフミラー76の反射率に上限(50%)を設定している。このため、透過枚数が増えても光線強度の逓減は小さく、光線強度分布が矩形に近づく。その結果、全体の強度分布はより均一になるため、特定周波数におけるOTFの低下を抑制することができる。
また、図10および図11から分かるように、反射率が40%以下であれば、基準周波数でのOTFをさらに高めることができる。また、反射率が30%以下であれば、基準周波数でのOTFをさらに高めることができる。それ故、ハーフミラー76のピッチpを0.5mm未満に設定した場合でも、OTFの低下が抑制することができる。
また、図6および図7を参照して説明したように、ハーフミラー76の透過枚数が増えると、基準周波数でのOTFの低下が目立つが、ハーフミラー76の透過枚数を8枚未満とすれば、基準周波数でのOTFの低下を抑制することができる。
[本発明の改良例1]
ハーフミラー76の透過枚数をさらに実質的に低減する方法として、ハーフミラー76の配列方向において、ハーフミラー76の偏光に対する反射特性を交互に設定してもよい。例えば、奇数番目のハーフミラー76については、S偏光成分の反射率Rs1が0.3であり、S偏光成分の透過率Ts1が0.7であり、P偏光成分の反射率Rp1が0であり、P偏光成分の透過率Tp1が1である。また、偶数番目のハーフミラー76は、S偏光成分の反射率Rs2が0であり、S偏光成分の透過率Ts2が1であり、P偏光成分の反射率Rp2が0.3であり、P偏光成分の透過率Tp2が0.7である。
かかる態様によれば、奇数番目のいずれかのハーフミラー76で反射して出射される光の強度と、かかる奇数番目のハーフミラー76を透過した後、隣りの偶数番目のハーフミラー76で反射して出射される光の強度とが同等となる。より具体的には、元の画像光の強度を1としたとき、奇数番目のいずれかのハーフミラー76からの反射光の強度は、奇数番目のいずれかのハーフミラー76で反射したP偏光成分の強度とS偏光成分の強度との和となり、0.3となる。これに対して、隣りの偶数番目のハーフミラー76で反射して出射される光の強度は、奇数番目のハーフミラー76を透過した後、偶数番目のハーフミラー76で反射したP偏光成分の強度とS偏光成分の強度との和となり、0.3となる。それ故、ハーフミラー76の透過枚数が増えても、基準周波数でのOTFの低下を抑制することができる。
[本発明の改良例2]
図15は、図2に示す導光装置50における点像分布関数PSF(Point spread Function)の算出結果を示す説明図であり、ハーフミラー76のピッチpが0.5mm、ハーフミラー76の透過枚数が8枚、ハーフミラー76の反射率が20%のときPSFである。図16は、点像を図15に示すPSFで画像変調した場合の説明図である。図17は、元画像にフィルター処理を行わないときの表示特性を示す説明図である。図18は、元画像にフィルター処理を行ったときの表示特性を示す説明図である。
本形態では、図2に示す画像光出射装置20において、反射ユニット70の周波数特性を打ち消す画像処理が画像信号に施す。かかる画像処理として、高周波数強調フィルター処理を行う場合を説明する。
本実施形態に係る導光装置50では、OTFが0になる周波数がないことが明らかになった。このことは、反射ユニット70で減衰した高周波数成分を強調した表示を行うことで情報が復元できることを示している。図15には、OTFに基づいて、点像分布関数PSFを求めたものを示してある。ここで、ハーフミラー76の配列方向に対応する第1方向の画面サイズが50degで画素数が1280ドットの表示において、1画素を表示した場合の見え方を図16に示す。このように、反射ユニット70を通過した後、どのように画像が変化するのかが計算できる。この結果を利用すれば、画像処理フィルターのフィルター特性を適正に設定することができる。
図16に示す例の場合、反射ユニット70を透過することで、上段に示す強度が1の信号が、下段および図17に示すように、0.02/0.07/0.82/0.07/0.02に変調されている。この場合、図18に示すように、元画像に−0.01/−0.1/1.22/−0.1/−0.01のフィルター特性を有するフィルター処理を行えば、反射ユニット70を透過した後でも、0.0092/0.0007/0.986/0.0007/0.0092の適正な信号を復元することができる。
かかるフィルター処理を行うにあたって、フィルターサイズは画面サイズおよび画素数によって変化する。画素数が同じで画面サイズを大きくするときにはフィルターサイズは小さくする。画面サイズが同じで画素数を増やすときにはフィルターサイズを大きくする。
ここで、OTFは、ハーフミラー76の透過枚数により変化するが、透過枚数は画角に対応する。従って、領域に応じて高周波強調フィルターを変えることで画像全域にわたり良好な画像を表示できる。より具体的には、透過枚数が多い画角の領域には、強調効果を強くしたフィルター処理を行う。効果を強くするには、係数の絶対値を大きくする、またはフィルターサイズを大きくする、もしくはその両方を行えばよい。
かかるフィルター処理は、画像において、ハーフミラー76の配列方向(画像の横方向X)に対応する第1方向のみに行えばよく、ハーフミラー76の配列方向に対して直交する方向(縦方向)に対応する第2方向についてはフィルター処理を行わない態様を採用してもよい。
[その他の態様]
画像全体を平滑化したいときには、その処理と組み合わせることができる。フィルターを組み合わせてもよいし、連続してフィルター処理を実施してもよい。連続して実施する場合には、ハーフミラーアレイの補正は最後に実施するのがよい。この画像処理は高域ノイズが増加するので、ウィナーフィルターと組み合わせてノイズを低減してもよい。
また、表示画像を撮影し、撮影像を基にデコンボリューション処理のフィルターを作成してもよい。その場合、精密な測定が必要である。これに対して、本形態では、ハーフミラー76の構成に対応する表示特性を明らかにしたため、デコンボリューション処理を利用しなくても最適な画像処理を容易に実施することができる。
[別の実施形態]
図19は、本発明の別の実施形態に係る表示装置100の説明図である。上記実施形態では、導光装置50において画像光L0を横方向Xに進行させたが、図19に示すように、導光装置50において画像光L0を上側Y1から下側Y2に進行させて観察者の眼Eに出射する表示装置100に本発明を適用してもよい。
10、10a、10b…表示部、20…画像光出射装置、21…表示パネル、30…投射光学系、50…導光装置、50a…右眼用導光装置、50b…左眼用導光装置、60…導光体、61…導光部、62…一方面、63…他方面、64…一方端、65…入射部、66…入射面、67…反射面、68…反射層、69…他方端、70…反射ユニット、71…第1面、72…第2面、76…ハーフミラー、77…透光部、90…フレーム、91…前部分、92a、92b…テンプル、100…表示装置、X…横方向、Y…上下方向、Z…前後方向。

Claims (9)

  1. 一方端側から他方端側に向けて延在する導光体と、
    前記導光体の延在方向に対して交差する方向で対向する前記導光体の2つの面の一方面に重なるように配置された反射ユニットと、
    を有し、
    前記反射ユニットは、互いに平行になるように前記導光体の一方面に対して傾斜して前記導光体の延在方向に沿うように配列された複数のハーフミラーと、前記複数のハーフミラーのうち、隣り合うハーフミラーの間に設けられた透光部と、を含み、
    前記複数のハーフミラーの前記延在方向におけるピッチが0.5mm未満であり、
    前記複数のハーフミラーは各々、反射率が50%以下であることを特徴とする導光装置。
  2. 請求項1に記載の導光装置において、
    前記複数のハーフミラーは各々、反射率が40%以下であることを特徴とする導光装置。
  3. 請求項1または2に記載の導光装置において、
    前記複数のハーフミラーは各々、前記導光体の一方面に対して45°以上の角度をなしていることを特徴とする導光装置。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の導光装置において、
    前記複数のハーフミラーでは、偏光に対する反射特性が異なるハーフミラーが前記延在方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする導光装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の導光装置を有する表示装置であって、
    画像光を出射する画像光出射装置を有し、
    前記画像光は、前記導光体の前記一方端側から前記導光体に入射して、前記複数のハーフミラーによる反射によって前記反射ユニットから出射されることを特徴とする表示装置。
  6. 請求項5に記載の表示装置において、
    前記画像光は、前記反射ユニットから出射される間に前記複数のハーフミラーを透過する枚数が8枚未満であることを特徴とする表示装置。
  7. 請求項5または6に記載の表示装置において、
    前記画像光出射装置では、前記反射ユニットの周波数特性を打ち消す画像処理が画像信号に施されることを特徴とする表示装置。
  8. 請求項7に記載の表示装置において、
    前記画像処理は、高周波数強調フィルター処理であることを特徴とする表示装置。
  9. 請求項8に記載の表示装置において、
    前記高周波数強調フィルター処理のフィルター特性が、前記画像光の前記ハーフミラーの配列方向に対応する第1方向と、前記配列方向に対して直交する方向に対応する第2方向とにおいて異なることを特徴とする表示装置。
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