JP2019060707A - ストローク検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ストローク検出装置の検出精度を向上させる。【解決手段】ストローク検出装置100は、ピストンロッド30の表面に形成されるスケール60と対向する第1磁気検出器50A,50Bと、スケール60とは対向しない位置に配置された第2磁気検出器70と、第1磁気検出器50A,50Bの出力値と第2磁気検出器70の出力値とに基づいてシリンダチューブ20に対するピストンロッド30のストローク量を演算するコントローラ80と、を備える。第1磁気検出器50A,50B及び第2磁気検出器70は、それぞれ、ホール素子51,71と、ピストンロッド30の進退方向に直交する方向に磁界を発生させる磁石52,53,72,73と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ストローク検出装置に関するものである。
従来、シリンダなどの直動部品のストロークを検出するためにストローク検出装置が用いられている。特許文献1には、ピストンロッドの表面に設けられたスケールによって変化する磁界を検出する磁気検出器の出力値に基づいてシリンダのストローク量を演算するストローク検出装置が開示されている。このストローク検出装置の磁気検出器は、スケールに対向して配置される磁束検出部と、ピストンロッドの進退方向に直交する方向に磁界を発生させる磁石と、を有する。
特開平04−136713号公報
特許文献1に記載されたストローク検出装置では、スケールが設けられるピストンロッドが磁性材によって形成されるため、磁気検出器の磁石が対向する部分のピストンロッドは一時的に磁化されることとなる。ピストンロッドが変位し、磁石と対向する位置が変わることで磁化された部分の磁力は時間と共に徐々に低下するが、ピストンロッドが往復することで再び磁気検出器が同じ部分に対向した場合、磁気検出素子で検出される磁気の大きさは、ピストンロッドに残留した磁力、いわゆる残留磁気の影響を受ける。
つまり、磁気検出器がピストンロッドの同じ部分に対向する場合であっても残留磁気の有無によって磁束検出部で検出される磁束の大きさは変化する。このため、ストローク検出装置で演算されるピストンロッドのストローク量は、実際のストローク量に対してずれが生じるおそれがある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、磁界の変化に基づいてストローク量を検出するストローク検出装置の検出精度を向上させることを目的とする。
第1の発明は、ストローク検出装置であって、第1部材と、第1部材に対して進退自在に設けられる第2部材と、第2部材の進退方向に沿って第2部材の表面に形成されるスケールと、スケールと対向するように第1部材に設けられ、スケールによって変化する磁界に応じた信号を出力する第1磁気検出器と、第2部材と対向するように第1部材に設けられ、スケールとは対向しない位置に配置された第2磁気検出器と、第1磁気検出器の出力値と第2磁気検出器の出力値とに基づいて第1部材に対する第2部材のストローク量を演算する演算器と、を備え、第1磁気検出器及び第2磁気検出器は、それぞれ、第2部材の進退方向に直交する方向の磁束の変化を検出する磁束検出部と、第2部材の進退方向に直交する方向に磁界を発生させる磁界発生部と、を有することを特徴とする。
第1の発明では、スケールによって変化する磁界に応じた信号を出力する第1磁気検出器の出力値と、スケール60とは対向しない位置に配置された第2磁気検出器の出力値と、に基づいて第1部材に対する第2部材のストローク量が演算される。このように、スケールの影響を受けない第2磁気検出器の出力値を加味してストローク量の演算が行われるため、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が排除される。
第2の発明は、第2磁気検出器が、第2部材に残留する磁力に応じた信号のみを出力することを特徴とする。
第2の発明では、第2磁気検出器は、第2部材に残留する磁力に応じた信号のみを出力する。このため、第2磁気検出器の出力値を加味してストローク量の演算を行うことで、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差を排除することが可能となり、結果として、ストローク検出装置によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
第3の発明は、演算器が、第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値が差し引かれた値に基づいてストローク量を演算することを特徴とする。
第3の発明では、第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値が差し引かれた値に基づいてストローク量が演算される。このように、スケールの影響を受けない第2磁気検出器の出力値が第1磁気検出器の出力値から差し引かれた値に基づいてストローク量が演算されるため、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が排除される。この結果、ストローク検出装置によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
第4の発明は、演算器が、第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値を差し引く際に、予め設定された補正係数を第2磁気検出器の出力値に乗じることを特徴とする。
第4の発明では、予め設定された補正係数が乗じられた第2磁気検出器の出力値が、第1磁気検出器の出力値から差し引かれた値に基づいてストローク量が演算される。このため、第2磁気検出器の出力値が、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差に一致しない場合であっても、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が排除される。この結果、ストローク検出装置によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
第5の発明は、演算器が、第1部材に対して第2部材が所定の速度で進退している際に、進入時に第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値を差し引いた値と、退出時に第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値を差し引いた値と、が同じストローク位置において一致するように補正係数を設定することを特徴とする。
第5の発明では、補正係数は、進入時に第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値を差し引いた値と、退出時に第1磁気検出器の出力値から第2磁気検出器の出力値を差し引いた値と、が同じストローク位置において一致するように設定される。このように設定される補正係数が第2磁気検出器の出力値に乗じられた値は、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差にほぼ一致する。このため、補正係数を用いてストローク量を演算することで、ストローク検出装置によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
第6の発明は、演算器が、第1磁気検出器から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との第1差分と、第2磁気検出器から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との第2差分と、を算出し、第1差分と第2差分との比率の変化に応じて補正係数を更新することを特徴とする。
第6の発明では、第1差分と第2差分との比率の変化に応じて補正係数が更新される。つまり、第1磁気検出器または第2磁気検出器における残留磁気の影響によるヒステリシスの大きさが変化したとしても、その変化に応じて補正係数が更新される。このため、第2磁気検出器の出力値に補正係数が乗じられた値は、常に、第1磁気検出器の出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差にほぼ一致することとなる。このように、更新される補正係数を用いることで、ストローク検出装置によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
第7の発明は、演算器が、第1部材に対して第2部材が所定の速度で進退している際に第2磁気検出器から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との平均値を基準値として算出し、基準値と第2磁気検出器の出力値との差分を第1磁気検出器の出力値から差し引いた値に基づきストローク量を演算することを特徴とする。
第7の発明では、第2磁気検出器の出力値がオフセットした場合であっても、ストローク量は、第2磁気検出器の出力値に基づいて算出された基準値と第2磁気検出器の出力値との差分を第1磁気検出器の出力値から差し引いた値に基づいて演算される。このように、ストローク量は、第2磁気検出器の出力値のオフセットを考慮して演算されるため、ストローク検出装置によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
第8の発明は、第2部材は円柱状部材であり、第1磁気検出器及び第2磁気検出器は、第2部材の軸心を中心として45°以内の範囲に配置されることを特徴とする。
第8の発明では、第1磁気検出器及び第2磁気検出器は、ピストンロッドの軸心を中心として45°以内の範囲に配置される。このように、第2磁気検出器を第1磁気検出器の近くに配置することで、各磁気検出器と演算器とを接続するための配線の配索を簡素化することができる。
本発明によれば、ストローク検出装置の検出精度を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るストローク検出装置の構成図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図2のIII−III線に沿う第1磁気検出器の断面図である。 シリンダが伸長する際の第1磁気検出器周辺の磁界の変化を説明するための図である。 シリンダが収縮する際の第1磁気検出器周辺の磁界の変化を説明するための図である。 シリンダが伸縮する際の第1磁気検出器の出力を示すグラフである。 シリンダが伸長する際の第2磁気検出器周辺の磁界の変化を説明するための図である。 シリンダが収縮する際の第2磁気検出器周辺の磁界の変化を説明するための図である。 シリンダが伸縮する際の第2磁気検出器の出力を示すグラフである。 シリンダが伸縮する際の第1磁気検出器の出力から第2磁気検出器の出力を差し引いた値を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るストローク検出装置のコントローラによって実行される補正係数の設定手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るストローク検出装置のコントローラによって実行される補正係数の更新手順を示すフローチャートである。 ピストンロッドに対して第2磁気検出器が傾いている状態について説明するための図である。 図13に示される状態においてシリンダが伸縮する際の第2磁気検出器の出力を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係るストローク検出装置100について説明する。図1に示されるシリンダ10は、図示しない油圧ポンプから吐出される作動油によって作動する油圧シリンダである。ストローク検出装置100は、このシリンダ10に設けられる。
シリンダ10は、シリンダ10の本体である第1部材としてのシリンダチューブ20と、シリンダチューブ20に対して進退自在に設けられる第2部材としてのピストンロッド30と、を備える。つまり、シリンダ10は、シリンダチューブ20に対してピストンロッド30が進退運動する直動機構である。
シリンダチューブ20は円筒形であり、シリンダチューブ20の内部には軸方向に摺動自在であるピストン31が設けられる。また、シリンダチューブ20の端部には、ピストンロッド30が摺動自在に挿通するシリンダヘッド20aが設けられる。シリンダチューブ20の内部は、ピストン31によって二つの油室11,12に区画される。
二つの油室11,12は、図示しない切換弁を通じて図示しない油圧ポンプ又はタンクに接続される。二つの油室11,12の一方が油圧ポンプに接続された場合には、他方がタンクに接続される。シリンダ10は、油圧ポンプから二つの油室11,12の何れかに作動油が導かれてピストンロッド30が軸方向に移動することによって伸縮作動する。シリンダ10は複動式のシリンダであるが、単動式であってもよい。また、シリンダ10は、油圧式に限定されず、空気式,水圧式または電動機械式等であってもよい。また、シリンダ10は、アクチュエータとして作動するものに限定されず、緩衝器等として作動するものであってもよい。
ピストンロッド30は、基端部30aがピストン31に固定され、先端部30bがシリンダチューブ20から露出する円柱形の磁性部材である。ピストンロッド30は、ピストン31に作用する油圧の力によって作動する。
次に、シリンダ10に設けられるストローク検出装置100について説明する。
ストローク検出装置100は、ピストンロッド30の側面30cにピストンロッド30の進退方向に沿って形成される複数のスケール60と、スケール60と対向するようにシリンダヘッド20aに配設される2つの第1磁気検出器50A,50Bと、スケール60と対向しないように、第1磁気検出器50A,50Bから周方向に所定の間隔だけ離間した位置においてシリンダヘッド20aに配設される第2磁気検出器70と、第1磁気検出器50A,50Bの出力値と第2磁気検出器70の出力値とに基づいてシリンダチューブ20に対するピストンロッド30のストローク量を演算する演算器としてのコントローラ80と、を備える。
第1磁気検出器50A,50Bは、周囲の磁界の変化を検出するものであり、ストローク検出装置100においては、スケール60によって変化する磁界に応じた正弦波状の信号をコントローラ80へと出力する。これらは、互いの出力信号が4分の1周期だけずれるように、ピストンロッド30の軸方向に所定の間隔だけずらして配置される。2つの第1磁気検出器50A,50Bの構造は同一であるため、以下では、一方の第1磁気検出器50Aの構造についてのみ説明する。
図2に示すように、第1磁気検出器50Aは、ピストンロッド30の進退方向に直交する方向の磁束密度に応じた信号を出力する磁束検出部としてのホール素子51と、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう方向の第1磁界M1を発生させる磁界発生部としての第1磁石52と、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう方向の第2磁界M2を発生させる磁界発生部としての第2磁石53と、ホール素子51と第1磁石52と第2磁石53とが結合されるヨーク55と、を有する。
ホール素子51は、ホール効果を利用して磁界の大きさと方向とを出力する素子である。ホール素子51は、図示しない磁束検出面がピストンロッド30の側面30cに対向するように配置され、磁束検出面に対して垂直に通過する磁束の成分を検出し、基準電圧(例えば2.5V)を中心に磁束の通過量(磁束密度)に応じた電圧を出力する。
具体的には、ピストンロッド30から第1磁気検出器50Aに向かう方向の磁束が検出された場合、ホール素子51の出力は磁束検出面を通過する磁束密度に応じて基準電圧より大きくなる一方、第1磁気検出器50Aからピストンロッド30に向かう方向の磁束が検出された場合、ホール素子51の出力は磁束検出面を通過する磁束密度に応じて基準電圧より小さくなる。ホール素子51の出力は、図示しないアンプによって増幅されるとともに、基準電圧がゼロとなるようにオフセット処理され、第1磁気検出器50Aの出力値としてコントローラ80に入力される。
このように、第1磁気検出器50Aの出力値は、ゼロを中心として、ホール素子51を通過する磁束の方向に応じて、プラス側またはマイナス側に変化する。なお、ホール素子51は、ピストンロッド30から第1磁気検出器50Aに向かう方向の磁束が検出されたときに、基準電圧より小さい値を出力し、第1磁気検出器50Aからピストンロッド30に向かう方向の磁束が検出されたときに、基準電圧より大きい値を出力する設定としてもよい。
なお、磁束検出部としては、ホール素子に限定されず、磁気の強弱によって電気抵抗が変化するMR(Magneto−Resistive:磁気抵抗)素子やGMR(Giant Magneto−Resistive:巨大磁気抵抗)センサ、MI(Magneto−Impedance:磁気インピーダンス)効果を利用したMIセンサなどが用いられてもよい。また、磁束検出部としては、軸心がピストンロッド30の進退方向に直交する方向に配置されたコイルが用いられてもよい。この場合、励磁されたコイルのインピーダンスは、磁束密度に応じて変化するため、インピーダンスを検出することにより、磁界の変化を把握することができる。
第1磁石52及び第2磁石53は、ネオジム磁石やフェライト磁石といった永久磁石である。第1磁石52は、N極がピストンロッド30側を向くように配置され、第2磁石53は、S極がピストンロッド30側を向くように配置される。また、第1磁石52と第2磁石53とは、図2に示されるように、第1磁気検出器50Aがスケール60に対向していない状態において、第1磁石52が発生する第1磁界M1と第2磁石53が発生する第2磁界M2とが、ホール素子51において相殺されるようにホール素子51に対してそれぞれ配置される。
第1磁石52が発生する第1磁界M1の大きさと第2磁石53が発生する第2磁界M2の大きさとが同じであれば、第1磁石52と第2磁石53との間のちょうど中間にホール素子51を配置することにより、ホール素子51における磁界は相殺され、ホール素子51の出力電圧はゼロになる。つまり、ホール素子51では、ホール素子51が設けられる位置における第1磁界M1の大きさと第2磁界M2の大きさとの差分である磁束密度が検出される。
ホール素子51と第1磁石52との間と、ホール素子51と第2磁石53との間には、各磁石52,53の磁気がホール素子51に直接作用することを防止するためにそれぞれ空間が設けられる。これらの空間には、磁気を遮断することが可能な樹脂が充填されてもよい。
なお、磁界発生部としては、磁石に限定されず、鉄材にコイルを巻き回した電磁石であってもよい。この場合、コイルに流す電流を調整することによって発生する磁界の大きさを変更させることができるため、ホール素子51において磁界を相殺させることが容易となる。
ヨーク55は、ホール素子51と第1磁石52との間と、ホール素子51と第2磁石53との間とに磁気回路を形成する鉄系部材である。また、ホール素子51と第1磁石52と第2磁石53とは、ヨーク55に結合されることによって一体的に形成される。
また、ホール素子51のピストンロッド30側には、ヨーク55と同様に、磁気回路を形成するための対向部56が設けられる。対向部56は、鉄系部材で形成され、対向部56のピストンロッド30と対向する面は、ピストンロッド30の側面30cの形状に合わせて、凹状に形成される。第1磁石52と第2磁石53とのピストンロッド30側にもそれぞれ対向部57,58が設けられる。上記構成の対向部56〜58を設けることにより、曲面状の表面を有するピストンロッド30に対して第1磁気検出器50Aをできるだけ接近させることができる。
対向部57,58を設けた構成に代えて、各磁石52,53のピストンロッド30と対向する面を、ピストンロッド30の側面30cの形状に合わせて凹状に加工した構成としてもよい。また、第1磁気検出器50Aが対向するピストンロッド30の表面が平坦状であれば、対向部56〜58を設けなくてもよい。
スケール60は、磁性体であるピストンロッド30の外周に溝状に形成される非磁性体である。スケール60は、ピストンロッド30の外周面を局所加熱装置としてのレーザー装置によって照射されるレーザーにより溶融するとともにNiやMnを添加してオーステナイト化することによって形成される。
なお、ピストンロッド30は、非磁性体からなるものであってもよく、この場合、スケール60は、ピストンロッド30をレーザー装置によって溶融するとともにSn等を添加することにより磁性体として形成される。局所的に加熱する手段は、レーザーに限定されず、電子ビームや高周波誘導加熱,アーク放電など、局所的に加熱可能な手段であればどのような手段であってもよい。
スケール60は、図2に拡大して示すように、ピストンロッド30の進退方向に沿って所定の幅W1を有し、ピストンロッド30の進退方向に沿って所定の間隔P1で設けられる。なお、第1磁気検出器50Aは、図2に示されるように、第1磁石52と第2磁石53とが並ぶ方向がピストンロッド30の進退方向と平行になるようにスケール60に対して配置される。
スケール60の幅W1とスケール60間の間隔P1とは、第1磁石52と第2磁石53とが対向する側のそれぞれの端面の間の長さ(内側端間の長さ)をL1とし、第1磁石52と第2磁石53とが対向する側と反対側のそれぞれの端面の間の長さ(外側端間の長さ)をL2とした場合に、L1<W1<L2、L1<P1<L2の関係をそれぞれ満たすように設定される。つまり、第1磁気検出器50Aは、ピストンロッド30が進退する際に、常に、第1磁石52と第2磁石53との何れか一方がスケール60に対向した状態となる。このため、後述のように、第1磁気検出器50Aの出力は、ピストンロッド30の進退に応じて変化することになる。なお、スケール60の幅W1とスケール60が設けられる間隔P1の大きさは、上述の関係を満たしていれば、同じ大きさであっても異なる大きさであってもよいが、ほぼ同じ長さとすることが好ましい。
次に、上記構成の第1磁気検出器50Aの出力の変化について、図4から図6を参照して説明する。図4は、シリンダ10が伸張するとき、すなわち、ピストンロッド30がシリンダチューブ20から退出するときの第1磁気検出器50Aとスケール60との位置関係を示しており、図5は、シリンダ10が収縮するとき、すなわち、ピストンロッド30がシリンダチューブ20に進入するときの第1磁気検出器50Aとスケール60との位置関係を示している。図6は、図4に示すようにピストンロッド30がシリンダチューブ20から退出し始めてから、図5に示すようにピストンロッド30がシリンダチューブ20に進入し退出開始位置に戻るまで間の第1磁気検出器50Aの出力の変化を示したグラフである。
まず、シリンダ10が停止状態から伸張するときの第1磁気検出器50Aの出力の変化について説明する。
図4の位置(a)では、シリンダ10が停止しており、この位置では、第1磁気検出器50Aは、第1磁石52から第2磁石53にかけての部分が、スケール60が設けられていないピストンロッド30の側面30cに対向した状態となる。ピストンロッド30は磁性体であるため、第1磁石52が生じる第1磁界M1と第2磁石53が生じる第2磁界M2とは、それぞれホール素子51を通過するように生成される。
ここで第1磁界M1と第2磁界M2とは、上述のように、ホール素子51が設けられる位置において相殺されるように形成される。したがって、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度はほぼゼロとなり、ホール素子51の電圧出力、すなわち、第1磁気検出器50Aの出力値はゼロとなる。
また、このとき、第2磁石53に対向するピストンロッド30の対向領域62は、第2磁石53によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。
図4の位置(a)からピストンロッド30がわずかに退出し、図4の位置(b)となると、第2磁石53からホール素子51にかけての部分がスケール60に対向した状態となる。このように、第2磁石53からホール素子51にかけての部分が非磁性体であるスケール60に対向すると、第2磁石53が生じる第2磁界M2が非磁性体によって弱められ、第2磁界M2がホール素子51に及ぼす影響が小さくなる。
一方、第1磁界M1は、ピストンロッド30を通じてホール素子51を通過するように形成される。このため、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう方向に大きい状態となる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度の方向をプラス方向とした場合、図6に示すように、プラス側に大きな値となる。
また、このとき、第1磁石52が対向するピストンロッド30の対向領域63には、第2磁石53によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域63の残留磁気によって第1磁界M1が弱められ、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、対向領域63に残留磁気が全くない場合と比較して小さな値となる。
そして、このときも、第2磁石53に対向するピストンロッド30の対向領域62は、第2磁石53によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。
なお、図4の位置(a)から位置(b)になるまでの間、ホール素子51における第1磁界M1の大きさは変化しない一方、第2磁界M2の大きさは、スケール60が第2磁石53に徐々に対向することによって、徐々に小さくなる。つまり、位置(a)から位置(b)になるまでの間、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう方向において次第に大きくなる。このため、位置(a)から位置(b)となるまでの間、第1磁気検出器50Aの出力値は、図6に示されるように、徐々に増加する。
図4の位置(b)からピストンロッド30がわずかに退出し、図4の位置(c)となると、第1磁石52から第2磁石53にかけての部分がスケール60に対向した状態となる。このように、第1磁石52から第2磁石53にかけての部分が非磁性体であるスケール60に対向すると、第1磁界M1と第2磁界M2との両方がスケール60により弱められるとともに、ホール素子51が設けられる位置において第1磁界M1と第2磁界M2とが相殺されることで、第1磁気検出器50Aの出力値はゼロに近い値となる。
また、このとき、第1磁石52が対向するピストンロッド30の対向領域63には、第2磁石53によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域63の残留磁気によって第1磁界M1はさらに弱められ、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう第2磁界M2の磁束密度がわずかに上回ることで、このときの第1磁気検出器50Aの出力値は、図6に示すように、わずかにマイナス側の値となる。
そして、このときも、第2磁石53に対向するピストンロッド30の対向領域62は、第2磁石53によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。
ピストンロッド30がさらに退出し、図4の位置(d)となると、第1磁石52からホール素子51にかけての部分がスケール60に対向した状態となる。このように、第1磁石52からホール素子51にかけての部分が非磁性体であるスケール60に対向すると、第1磁石52が生じる第1磁界M1が非磁性体によって弱められ、第1磁界M1がホール素子51に及ぼす影響が小さくなる。
一方、第2磁界M2は、ピストンロッド30を通じてホール素子51を通過するように形成される。このため、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度は、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう方向に大きい状態となる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度の方向をプラス方向とした場合、マイナス側に大きな値となる。
また、このとき、第1磁石52が対向するピストンロッド30の対向領域63には、第2磁石53によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域63の残留磁気によって第1磁界M1はさらに弱められ、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度はさらに減少することになる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、対向領域63に残留磁気が全くない場合と比較してマイナス側に大きな値となる。
そして、このときも、第2磁石53に対向するピストンロッド30の対向領域62は、第2磁石53によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。
図4の位置(e)は、位置(a)の状態と同じであり、第1磁気検出器50Aの出力値はゼロに近い値となる。しかし、位置(e)では、第1磁石52が対向するピストンロッド30の対向領域63には、第2磁石53によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域63の残留磁気によって第1磁界M1が弱められ、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう第2磁界M2の磁束密度がわずかに上回ることで、このときの第1磁気検出器50Aの出力値はわずかにマイナス側の値となる。
続いて、図4においてシリンダ10が伸張した後、シリンダ10が収縮する際の第1磁気検出器50Aの出力の変化について、図5及び図6を参照して説明する。なお、図5の位置(a)〜(e)は、図4の位置(a)〜(e)にそれぞれ対応する。
図5の位置(e)では、ピストンロッド30の移動方向が切り換わる間に、第1磁石52が対向するピストンロッド30の対向領域63の残留磁気が減少するため、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度はほぼゼロとなる。この結果、ホール素子51の電圧出力、すなわち、第1磁気検出器50Aの出力値はゼロとなる。
また、このとき、第1磁石52に対向するピストンロッド30の対向領域63は、第1磁石52によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。
図5の位置(e)からピストンロッド30がわずかに進入し、図5の位置(d)となると、第1磁石52からホール素子51にかけての部分がスケール60に対向した状態となる。このように、第1磁石52からホール素子51にかけての部分が非磁性体であるスケール60に対向すると、第1磁石52が生じる第1磁界M1が非磁性体によって弱められ、第1磁界M1がホール素子51に及ぼす影響が小さくなる。
一方、第2磁界M2は、ピストンロッド30を通じてホール素子51を通過するように形成される。このため、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度は、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう方向に大きい状態となる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度の方向をプラス方向とした場合、図6に示すように、マイナス側に大きな値となる。
また、このとき、第2磁石53が対向するピストンロッド30の対向領域62には、第1磁石52によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域62の残留磁気によって第2磁界M2が弱められ、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、対向領域62に残留磁気が全くない場合と比較して小さな値となる。
そして、このときも、第1磁石52に対向するピストンロッド30の対向領域63は、第1磁石52によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。
図5の位置(d)からピストンロッド30がわずかに進入し、図5の位置(c)となると、第1磁石52から第2磁石53にかけての部分がスケール60に対向した状態となる。このように、第1磁石52から第2磁石53にかけての部分が非磁性体であるスケール60に対向すると、第1磁界M1と第2磁界M2との両方がスケール60により弱められるとともに、ホール素子51が設けられる位置において第1磁界M1と第2磁界M2とが相殺されることで、第1磁気検出器50Aの出力値はゼロに近い値となる。
また、このとき、第2磁石53が対向するピストンロッド30の対向領域62には、第1磁石52によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域62の残留磁気によって第2磁界M2がさらに弱められ、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう第1磁界M1の磁束密度がわずかに上回ることで、このときの第1磁気検出器50Aの出力値は、図6に示すように、わずかにプラス側の値となる。
そして、このときも、第1磁石52に対向するピストンロッド30の対向領域63は、第1磁石52によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。
ピストンロッド30がさらに進入し、図5の位置(b)となると、第2磁石53からホール素子51にかけての部分がスケール60に対向した状態となる。このように、第2磁石53からホール素子51にかけての部分が非磁性体であるスケール60に対向すると、第2磁石53が生じる第2磁界M2が非磁性体によって弱められ、第2磁界M2がホール素子51に及ぼす影響が小さくなる。
一方、第1磁界M1は、ピストンロッド30を通じてホール素子51を通過するように形成される。このため、ホール素子51が設けられる位置における磁束密度は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう方向に大きい状態となる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう磁束密度の方向をプラス方向とした場合、プラス側に大きな値となる。
また、このとき、第2磁石53が対向するピストンロッド30の対向領域62には、第1磁石52によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域62の残留磁気によって第2磁界M2はさらに弱められ、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう磁束密度はさらに減少することになる。この結果、第1磁気検出器50Aの出力値は、対向領域62に残留磁気が全くない場合と比較してプラス側に大きな値となる。
そして、このときも、第1磁石52に対向するピストンロッド30の対向領域63は、第1磁石52によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。
図5の位置(a)は、位置(e)の状態と同じであり、第1磁気検出器50Aの出力値はゼロに近い値となる。しかし、位置(a)では、第2磁石53が対向するピストンロッド30の対向領域62には、第1磁石52によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域62の残留磁気によって第2磁界M2が弱められ、ホール素子51からピストンロッド30へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、ピストンロッド30からホール素子51へ向かう第1磁界M1の磁束密度がわずかに上回ることで、このときの第1磁気検出器50Aの出力値はわずかにプラス側の値となる。
このように、第1磁石52及び第2磁石53の対向領域62,63の残留磁気の影響によって、第1磁気検出器50Aの出力値は、図6に示すように、ピストンロッド30が退出する際の値と進入する際の値との間にヒステリシスとしての第1差分ΔV1Aが生じることとなる。なお、他方の第1磁気検出器50Bの出力値においても同様にヒステリシスとしての第1差分ΔV1Bが生じる。
ストローク検出装置100は、第1差分ΔV1A,ΔV1Bのような誤差を第1磁気検出器50A,50Bの出力値から排除するために、第2磁気検出器70を備えている。
第2磁気検出器70は、第1磁気検出器50A,50Bと同様に周囲の磁界の変化を検出するものであり、周囲の磁界に応じた信号をコントローラ80へと出力する。第2磁気検出器70は、第1磁気検出器50A,50Bとともにシリンダヘッド20aに配設されており、図1に示すように、第1磁気検出器50A,50Bと第2磁気検出器70とは、周方向に所定の間隔だけ離間した位置に配設される。つまり、第2磁気検出器70は、スケール60とは対向しない位置に配置され、常に、スケール60が設けられていないピストンロッド30の側面30cに対向した状態となる。
具体的には、第2磁気検出器70は、ピストンロッド30の軸心を中心として第1磁気検出器50A,50Bから周方向に90°離れた位置に配置される。このため、第2磁気検出器70によって検出される磁界は、スケール60の影響を受けることがない。なお、第2磁気検出器70は、ピストンロッド30の軸心を挟んで第1磁気検出器50A,50Bと対向する位置に配置されてもよい。このように、スケール60から離れた位置に第2磁気検出器70を配置することでスケール60が第2磁気検出器70の検出値に及ぼす影響を極力排除することができる。
また、第2磁気検出器70は、その検出値がスケール60の影響を受けない範囲において、できるだけ第1磁気検出器50A,50Bの近く、例えば、ピストンロッド30の軸心を中心として45°以内の範囲に配置されてもよい。このように、第2磁気検出器70を第1磁気検出器50A,50Bの近くに配置することで、各磁気検出器とコントローラ80とを接続するための配線の配索を簡素化することができる。
第2磁気検出器70の構成は、第1磁気検出器50A,50Bの構成と同じであるため、その説明を省略する。また、第2磁気検出器70は、図7に示されるように、第1磁気検出器50A,50Bと同様に、第1磁石72と第2磁石73とが並ぶ方向がピストンロッド30の進退方向と平行となるようにシリンダチューブ20に組み付けられる。
続いて、第2磁気検出器70の出力の変化について、図7から図9を参照して説明する。図7は、シリンダ10が伸張するとき、すなわち、ピストンロッド30がシリンダチューブ20から退出するときの第2磁気検出器70の出力の変化を説明するための図面であり、図8は、シリンダ10が収縮するとき、すなわち、ピストンロッド30がシリンダチューブ20に進入するときの第2磁気検出器70の出力の変化を説明するための図面である。図9は、図7に示すようにピストンロッド30がシリンダチューブ20から退出し始めてから、図8に示すようにピストンロッド30がシリンダチューブ20に進入し退出開始位置に戻るまで間の第2磁気検出器70の出力の変化を示したグラフである。
まず、シリンダ10が停止状態から伸張するときの第2磁気検出器70の出力の変化について説明する。
第2磁気検出器70は、シリンダ10が伸縮する間、常に、スケール60が設けられていないピストンロッド30の側面30cに対向した状態にある。このため、シリンダ10が停止している図7の位置(a)においても第2磁気検出器70は、第1磁石72から第2磁石73にかけての部分が、スケール60が設けられていないピストンロッド30の側面30cに対向した状態となる。ピストンロッド30は磁性体であるため、この状態において第1磁石72が生じる第1磁界M1と第2磁石73が生じる第2磁界M2とは、それぞれホール素子71を通過するように生成される。
ここで第1磁界M1と第2磁界M2とは、ホール素子71が設けられる位置において相殺されるように形成される。したがって、ホール素子71が設けられる位置における磁束密度はほぼゼロとなり、ホール素子71の電圧出力、すなわち、第2磁気検出器70の出力値は、図9に示すように、ゼロとなる。
また、このとき、第2磁石73に対向するピストンロッド30の対向領域64は、第2磁石73によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。
図7の位置(a)からピストンロッド30がわずかに退出し、図7の位置(b)となっても、第2磁気検出器70は、第1磁石72から第2磁石73にかけての部分が、スケール60が設けられていないピストンロッド30の側面30cに対向した状態となる。このため、ホール素子71が設けられる位置において第1磁界M1と第2磁界M2とが相殺されることで、第2磁気検出器70の出力値はゼロに近い値となる。
しかしながら、このとき、第1磁石72が対向するピストンロッド30の対向領域65には、第2磁石73によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域65の残留磁気によって第1磁界M1が弱められ、ピストンロッド30からホール素子71へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、ホール素子71からピストンロッド30へ向かう第2磁界M2の磁束密度がわずかに上回ることで、このときの第2磁気検出器70の出力値は、図9に示すように、わずかにマイナス側の値となる。つまり、第2磁気検出器70の出力値は、対向領域65に残留磁気が全くなければゼロとなるが、対向領域65に残留磁気があることでわずかにマイナス側の値となる。
そして、このときも、第2磁石73に対向するピストンロッド30の対向領域64は、第2磁石73によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。同様に、ピストンロッド30が徐々に退出し、図7の位置(c)、(d)となったときも第2磁石73に対向するピストンロッド30の対向領域64は、第2磁石73によって磁化され、一時的にN極が生成された状態となる。
このため、ピストンロッド30が退出し、図7の位置(c)、(d)、(e)となったときも、図7の位置(b)のときと同様に、第1磁石72に対向する対向領域65の残留磁気の影響によって、図9に示すように、第2磁気検出器70の出力値はわずかにマイナス側の値となる。
続いて、図7においてシリンダ10が伸張した後、シリンダ10が収縮する際の第2磁気検出器70の出力の変化について、図8及び図9を参照して説明する。なお、図8の位置(a)〜(e)は、図7の位置(a)〜(e)にそれぞれ対応する。
図8の位置(e)では、ピストンロッド30の移動方向が切り換わる間に、第1磁石72が対向するピストンロッド30の対向領域65の残留磁気が減少するため、ホール素子71が設けられる位置における磁束密度はほぼゼロとなる。この結果、ホール素子71の電圧出力、すなわち、第2磁気検出器70の出力値はゼロとなる。
また、このとき、第1磁石72に対向するピストンロッド30の対向領域65は、第1磁石72によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。
図8の位置(e)からピストンロッド30がわずかに進入し、図8の位置(d)となっても、第2磁気検出器70は、第1磁石72から第2磁石73にかけての部分が、スケール60が設けられていないピストンロッド30の側面30cに対向した状態となる。このため、ホール素子71が設けられる位置において第1磁界M1と第2磁界M2とが相殺されることで、第2磁気検出器70の出力値はゼロに近い値となる。
しかしながら、このとき、第2磁石73が対向するピストンロッド30の対向領域64には、第1磁石72によって磁化された影響により磁力が残留している。このため、対向領域64の残留磁気によって第2磁界M2が弱められ、ホール素子71からピストンロッド30へ向かう磁束密度が減少することになる。この結果、ピストンロッド30からホール素子71へ向かう第1磁界M1の磁束密度がわずかに上回ることで、このときの第2磁気検出器70の出力値は、図9に示すように、わずかにプラス側の値となる。つまり、第2磁気検出器70の出力値は、対向領域64に残留磁気が全くなければゼロとなるが、対向領域64に残留磁気があることでわずかにプラス側の値となる。
そして、このときも、第1磁石72に対向するピストンロッド30の対向領域65は、第1磁石72によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。同様に、ピストンロッド30が徐々に進入し、図8の位置(c)、(b)となったときも第1磁石72に対向するピストンロッド30の対向領域65は、第1磁石72によって磁化され、一時的にS極が生成された状態となる。
このため、ピストンロッド30が進入し、図8の位置(c)、(b)、(a)となったときも、図8の位置(d)のときと同様に、第2磁石73に対向する対向領域64の残留磁気の影響によって、図9に示すように、第2磁気検出器70の出力値はわずかにプラス側の値となる。
このように、第2磁気検出器70は、ピストンロッド30に残留する磁力に応じた信号のみを出力する。このため、ストローク検出装置100では、残留磁気の影響によって生じる第1磁気検出器50A,50Bの出力値のヒステリシスに相当する値が、第2磁気検出器70により、第2磁気検出器70の出力値のヒステリシスである第2差分ΔV2として検出される。換言すれば、第2磁気検出器70により検出される第2差分ΔV2は、第1磁気検出器50A,50Bにより検出される第1差分ΔV1A,ΔV1Bに相当する。
第1磁気検出器50A,50Bの出力値と第2磁気検出器70の出力値とは、コントローラ80に入力され、ピストンロッド30のストローク量を演算するために用いられる。
コントローラ80は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えるマイクロコンピュータで構成される。ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。
コントローラ80は、図1に示すように、第1磁気検出器50A,50Bの出力値と第2磁気検出器70の出力値とに基づいてシリンダチューブ20に対するピストンロッド30のストローク量を演算する演算部81と、演算部81での演算に用いられる係数等が記憶される記憶部82と、を有する。なお、これら演算部81等は、コントローラ80の各機能を、仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。
コントローラ80の演算部81では、第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bと、第2磁気検出器70の出力値V2と、からピストンロッド30のストローク量に比例した第1演算値S1が演算される。第1演算値S1は、下記(1)式から求められる。
[数1]
S1={atan2((V1B−V2),(V1A−V2))+π}/2π・・・(1)
atan2(x,y):原点を始点とし、座標(x,y)を終点とするベクトルとx軸との成す角度(−π〜π)を算出する関数(アークタンジェント関数)
V1A,V1B:第1磁気検出器50A,50Bの出力値
V2:第2磁気検出器70の出力値
上記(1)式から求められる第1演算値S1は0から1の数値であり、図6及び図9の位置(a)から位置(e)までを1周期とするストローク長、すなわち、スケール60の幅W1とスケール60が設けられる間隔P1とを足し合わせた長さに対する比率を示している。このため、第1演算値S1に1周期のストローク長を乗ずるとともに、第1演算値S1が1から0に切り換わった数をカウントすることで、シリンダチューブ20に対するピストンロッド30の絶対的なストローク量を演算することができる。
ここで、第2磁気検出器70の出力値V2は、上述のように、残留磁気の影響による誤差に相当する値である。つまり、第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから第2磁気検出器70の出力値V2を減じた値は、第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから残留磁気の影響による誤差が排除された値となる。したがって、第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから第2磁気検出器70の出力値V2を減じた値は、例えば、図10のグラフに実線で示されるように、ピストンロッド30が進入する際であっても、ピストンロッド30が退出する際であっても、同じストローク位置に対して同じ値となる。なお、図10は、ピストンロッド30の位置が、図4及び図5で示される位置(a)と位置(e)の間のうち位置(b)と位置(d)の間で往復した際に、第1磁気検出器50Aの出力値V1Aから第2磁気検出器70の出力値V2を減じた値を示している。
このように、ストローク検出装置100では、第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから残留磁気の影響による誤差が排除された値を用いてストローク量が演算されるため、より正確なストローク量を検出することができる。
一方で、第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから第2磁気検出器70の出力値V2を減じても、例えば、図10のグラフに一点鎖線で示されるピストンロッド30が進入する際に算出された値や二点鎖線で示されるピストンロッド30が退出する際に算出された値のように、実線で示される理想的な曲線からずれ、互いに一致しない場合がある。
この原因としては、ピストンロッド30の側面30cと第1磁気検出器50A,50Bとの間の間隔の大きさと、ピストンロッド30の側面30cと第2磁気検出器70との間の間隔の大きさと、がわずかに異なることで第1差分ΔV1A,ΔV1Bの大きさと第2差分ΔV2の大きさとが互いに異なる大きさとなってしまうことや、第2磁気検出器70がピストンロッド30の進退方向においてピストンロッド30の側面30cに対してわずかに傾いてシリンダチューブ20に取り付けられることで第2差分ΔV2の中心値がオフセットしてしまうことなどが挙げられる。
ストローク検出装置100では、このような場合であっても正確なストローク量を検出するために、以下のような対処制御が行われる。
まず、ピストンロッド30の側面30cと第1磁気検出器50A,50Bとの間の間隔の大きさと、ピストンロッド30の側面30cと第2磁気検出器70との間の間隔の大きさと、が一致しない場合の対処制御について説明する。
ピストンロッド30の側面30cと第1磁気検出器50A,50Bとの間の間隔の大きさと、ピストンロッド30の側面30cと第2磁気検出器70との間の間隔の大きさと、は設計上では同じ大きさに設定される。しかしながら、シリンダヘッド20aに対する組み付け誤差やピストンロッド30とシリンダチューブ20との同軸度の誤差等によって、これらの大きさに多少のずれが生じることは避けられない。
そして、上述のような残留磁気は、ピストンロッド30の側面30cと磁気検出器50A,50B,70との間の間隔が小さいほど生じやすく、大きいほど生じにくくなる。このため、ピストンロッド30の側面30cと第1磁気検出器50A,50Bとの間の間隔の大きさと、ピストンロッド30の側面30cと第2磁気検出器70との間の間隔の大きさと、が異なる場合は、ヒステリシスの大きさもそれぞれ異なる大きさとなる。つまり、このような場合、第2磁気検出器70の出力値は、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差に一致しないため、単に第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を減算したとしても残留磁気の影響を排除することはできない。
そこで、コントローラ80の演算部81では、第2磁気検出器70の出力値に補正係数αを乗じた値を第1磁気検出器50A,50Bの出力値から減じることで得られた値を用いてストローク量を演算している。具体的には、第1演算値S1に代えて、下記(2)式から、ピストンロッド30のストローク量に比例した第2演算値S2が演算される。
[数2]
S2={atan2((V1B−α*V2),(V1A−α*V2))+π}/2π・・・(2)
atan2(x,y):原点を始点とし、座標(x,y)を終点とするベクトルとx軸との成す角度(−π〜π)を算出する関数(アークタンジェント関数)
V1A,V1B:第1磁気検出器50A,50Bの出力値
V2:第2磁気検出器70の出力値
α:補正係数
次に、演算部81で行われる補正係数αの設定手順について、図11のフローチャートを参照して説明する。なお、補正係数αの設定は、一定の速度でピストンロッド30を進退させることが可能な製品の出荷時などに行うことが好ましい。
まず、ステップS11において、所定の速度でピストンロッド30が進退しているときの各磁気検出器50A,50B,70の出力値が取得される。ここで所定の速度とは、残留磁気の影響により各磁気検出器50A,50B,70の出力値にヒステリシスが生じる程度の速度である。
続くステップS12では、検出された第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから第2磁気検出器70の出力値V2を減じた値が、ピストンロッド30が進入する方向に移動する際とピストンロッド30が退出する方向に移動する際とのそれぞれにおいて算出される。
そして、ステップS13では、ピストンロッド30が進入する方向に移動する際に算出された値と、ピストンロッド30が退出する方向に移動する際に算出された値と、の差分である往復差分ΔVrが算出される。なお、往復差分ΔVrは、所定の一点のストローク位置における値であってもよいし、複数のストローク位置における値の平均値であってもよい。
次にステップS14では、ステップS13で算出された往復差分ΔVrがゼロまたはゼロ近傍の値となるように、補正係数αの大きさが演算される。
具体的には、図10に示されるように、ピストンロッド30が進入する方向に移動する際に算出された値が、ピストンロッド30が退出する方向に移動する際に算出された値よりも大きい場合は、補正係数αを1から徐々に大きくし、往復差分ΔVrがゼロとなるときの補正係数αが演算される。一方、ピストンロッド30が進入する方向に移動する際に算出された値が、ピストンロッド30が退出する方向に移動する際に算出された値よりも小さい場合は、補正係数αを1から徐々に小さくし、往復差分ΔVrがゼロとなるときの補正係数αが演算される。
つまり、補正係数αは、ピストンロッド30が進入する方向に移動する際に算出された値と、ピストンロッド30が退出する方向に移動する際に算出された値と、が一致するように設定される。なお、厳密に一致させることが困難である場合は、これらの値をある程度一致させるような最適な補正係数αが演算されればよい。また、補正係数αは、2つの第1磁気検出器50A,50Bそれぞれに対して異なる値が設定されてもよい。
演算された補正係数αは、記憶部82に記憶され、それ以降のストローク量の演算に用いられる。
このように、ストローク検出装置100では、予め設定された補正係数αを用いてストローク量を演算することで、より正確なストローク量を検出することができる。
ここで、上述のように補正係数αを予め設定した場合であっても、ピストンロッド30が進退する際に算出される値は、磁石の劣化やホール素子感度の変化といった経時変化により、図10のグラフに実線で示される理想的な曲線からずれ、再び往復差分ΔVrが生じる場合がある。
このように往復差分ΔVrが生じる度に、出荷時に行われるような上述の補正係数αの設定を行うことは煩わしいため、コントローラ80の演算部81では、補正係数αの更新が随時行われる。
以下に、演算部81で行われる補正係数αの更新手順について、図12のフローチャートを参照して説明する。
ステップS21では、所定の条件でピストンロッド30が進退したときの第1磁気検出器50A,50Bの第1差分ΔV1A,ΔV1Bと、第2磁気検出器70の第2差分ΔV2と、が計測される。ここで所定の条件とは、残留磁気の影響により各磁気検出器50A,50B,70の出力値にヒステリシスが生じる程度の速度でピストンロッド30が進退する場合であり、補正係数αが設定されるときの条件と同じ条件であることが好ましい。なお、ピストンロッド30の進退量は第1差分ΔV1A,ΔV1B及び第2差分ΔV2が算出できる程度でよく、図6及び図9に示されるほどの進退量である必要はない。
続くステップS22では、第1差分ΔV1A,ΔV1Bと第2差分ΔV2との比率Rが算出される。
そしてステップS23では、算出された比率Rが、補正係数αを設定した際に算出された初期比率R1に対してどの程度変化したかが算出され、その変化度合に応じて補正係数αが更新される。
具体的には、演算部81は、第1差分ΔV1A,ΔV1Bに対する第2差分ΔV2の比率Rが初期比率R1に対して小さくなった場合には補正係数αを大きくし、第1差分ΔV1A,ΔV1Bに対する第2差分ΔV2の比率Rが初期比率R1に対して大きくなった場合には補正係数αを小さくする。比率Rの変化度合に対して補正係数αをどの程度変化させるかは、予めマップとして記憶部82に記憶されている。なお、更新された補正係数αは、記憶部82に記憶され、それ以降のストローク量の演算に用いられることとなる。
磁石の劣化やホール素子感度の変化といった経時変化の影響は、ヒステリシスの変化、すなわち、第1差分ΔV1A,ΔV1Bや第2差分ΔV2の大きさの変化に現れる。したがって、これらの比率Rの変化に応じて補正係数αを更新することで経時変化の影響を排除することが可能となる。
このように、ストローク検出装置100では、第1差分ΔV1A,ΔV1Bと第2差分ΔV2との比率Rの変化に応じて更新される補正係数αを用いてストローク量を演算することで、より正確なストローク量を検出することができる。
続いて、第2磁気検出器70がピストンロッド30の側面30cに対してピストンロッド30の進退方向に沿って平行に取り付けられていない場合の対処制御について、図13及び図14を参照して説明する。
図13に示すように、第2磁気検出器70がピストンロッド30の進退方向においてピストンロッド30の側面30cに対して平行に取り付けられていないと、第1磁石72及び第2磁石73の一方が他方よりもピストンロッド30の側面30cに近づくことになる。
このような状態では、ピストンロッド30の側面30cに生じる残留磁気は、第1磁石72に対向する部分よりも第2磁石73に対向する部分の方が強くなる。このため、ピストンロッド30が退出方向に移動する際に検出された第2磁気検出器70の出力値と、ピストンロッド30が進入方向に移動する際に検出された第2磁気検出器70の出力値と、の絶対値を比較すると、図14に示すように、ピストンロッド30が退出方向に移動する際の第2磁気検出器70の出力値の方が大きくなる。つまり、第2磁気検出器70の出力値は、マイナス側にオフセットした状態となる。
したがって、単に第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を減算した場合、ピストンロッド30が退出方向に移動する際には、必要以上に第1磁気検出器50A,50Bの出力値が減じられることとなる一方、ピストンロッド30が進入方向に移動する際には、第1磁気検出器50A,50Bの出力値が十分に減じられず、結果として、残留磁気の影響を正確に排除することができない。
そこで、コントローラ80の演算部81では、第2磁気検出器70の出力値のヒステリシスである第2差分ΔV2の中心値を随時算出し、算出された中心値を基準値V0とした第2磁気検出器70の出力値を用いてストローク量を演算している。
具体的には、ピストンロッド30が所定の条件で進退しているときに、ピストンロッド30が退出方向に移動する際に検出された第2磁気検出器70の出力値と、ピストンロッド30が進入方向に移動する際に検出された第2磁気検出器70の出力値と、の平均値(中心値)が算出される。
算出された平均値は、第2差分ΔV2の2分の1の値に相当するものであり、この値が基準値V0として設定されることになる。なお、所定の条件とは、残留磁気の影響により第2磁気検出器70の出力値にヒステリシスが生じる程度の速度でピストンロッド30が進退する場合であり、補正係数αが設定されるときの条件と同じ条件であることが好ましい。
そして、このように設定された基準値V0と第2磁気検出器70の出力値V2との差分が、上記(1)式及び(2)式において第1磁気検出器50A,50Bの出力値V1A,V1Bから差し引かれる第2磁気検出器70の出力値V2として用いられる。
このように、ストローク検出装置100では、随時更新される基準値V0を基準点(ゼロ点)としたときの第2磁気検出器70の出力値を用いてストローク量が演算される。このため、何らかの原因でピストンロッド30の側面30cに対して第2磁気検出器70が傾いた状態となったとしても、正確なストローク量を検出することができる。
以上の実施形態によれば、以下に示すような効果を奏する。
ストローク検出装置100では、スケール60によって変化する磁界に応じた信号を出力する第1磁気検出器50A,50Bの出力値と、スケール60とは対向しない位置に配置された第2磁気検出器70の出力値と、に基づいてシリンダチューブ20に対するピストンロッド30のストローク量が演算される。このように、スケール60の影響を受けない第2磁気検出器70の出力値を加味してストローク量の演算が行われるため、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が排除される。この結果、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
次に、上記実施形態に係るストローク検出装置100の変形例について説明する。
上記実施形態では、各磁気検出器50A,50B,70は、2つの磁界発生部と、2つの磁界発生部の間に配置される磁束検出部を有する。これに代えて、各磁気検出器50A,50B,70は、1つの磁界発生部と、磁界発生部とピストンロッド30との間に配置される磁束検出部と、を有する構成であってもよい。
このような構成であっても、磁界発生部は、ピストンロッド30の進退方向に直交する方向に磁界を発生させるため、ピストンロッド30は磁界発生部により一時的に磁化される。このため、残留磁気の影響を受け、演算されるストローク量にずれが生じるおそれがあるが、上記実施形態のように、残留磁気に応じた信号を出力する第2磁気検出器70の出力値をストローク量の演算に加味することで、ストローク検出装置100の検出精度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、スケール60は、ピストンロッド30の側面30cにピストンロッド30の進退方向に沿って複数形成されている。これに代えて、スケールは、ピストンロッド30の軸方向に沿って螺旋状に形成される帯状体であってもよい。この場合、第1磁気検出器は、ピストンロッド30のストローク量に応じて周方向に変位するスケールに対向するように配置される。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
ストローク検出装置100は、シリンダチューブ20と、シリンダチューブ20に対して進退自在に設けられるピストンロッド30と、ピストンロッド30の進退方向に沿ってピストンロッド30の表面に形成されるスケール60と、スケール60と対向するようにシリンダチューブ20に設けられ、スケール60によって変化する磁界に応じた信号を出力する第1磁気検出器50A,50Bと、ピストンロッド30と対向するようにシリンダチューブ20に設けられ、スケール60とは対向しない位置に配置された第2磁気検出器70と、第1磁気検出器50A,50Bの出力値と第2磁気検出器70の出力値とに基づいてシリンダチューブ20に対するピストンロッド30のストローク量を演算するコントローラ80と、を備え、第1磁気検出器50A,50B及び第2磁気検出器70は、それぞれ、ピストンロッド30の進退方向に直交する方向の磁束の変化を検出するホール素子51,71と、ピストンロッド30の進退方向に直交する方向に磁界を発生させる磁石52,53,72,73と、を有する。
この構成では、スケール60によって変化する磁界に応じた信号を出力する第1磁気検出器50A,50Bの出力値と、スケール60とは対向しない位置に配置された第2磁気検出器70の出力値と、に基づいてシリンダチューブ20に対するピストンロッド30のストローク量が演算される。このように、スケール60の影響を受けない第2磁気検出器70の出力値を加味してストローク量の演算が行われるため、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が排除される。この結果、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、第2磁気検出器70は、ピストンロッド30に残留する磁力に応じた信号のみを出力する。
この構成では、第2磁気検出器70は、ピストンロッド30に残留する磁力に応じた信号のみを出力する。第2磁気検出器70は、スケール60とは対向しない位置、すなわち、スケール60に対向して配置される第1磁気検出器50A,50Bから所定の間隔だけ離間した位置に配置される。このように、第2磁気検出器70をスケール60から離れた位置に配置することで、スケール60が第2磁気検出器70の検出値に及ぼす影響が排除され、第2磁気検出器70の出力は、ピストンロッド30に残留する磁力のみに応じた信号となる。このため、第2磁気検出器70の出力値を加味してストローク量の演算を行うことで、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差を確実に排除することが可能となり、結果として、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、コントローラ80は、第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値が差し引かれた値に基づいてストローク量を演算する。
この構成では、第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値が差し引かれた値に基づいてストローク量が演算される。このように、スケール60の影響を受けない第2磁気検出器70の出力値が第1磁気検出器50A,50Bの出力値から差し引かれた値に基づいてストローク量が演算されるため、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が確実に排除される。この結果、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、コントローラ80は、第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を差し引く際に、予め設定された補正係数αを第2磁気検出器70の出力値に乗じる。
この構成では、予め設定された補正係数αが乗じられた第2磁気検出器70の出力値が、第1磁気検出器50A,50Bの出力値から差し引かれた値に基づいてストローク量が演算される。このため、様々な要因により、第2磁気検出器70の出力値が、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差に一致しない場合であっても、第1磁気検出器50A,50Bの出力値から差し引かれる第2磁気検出器70の出力値に補正係数αを乗じることで、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差が確実に排除される。この結果、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、コントローラ80は、シリンダチューブ20に対してピストンロッド30が所定の速度で進退している際に、進入時に第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を差し引いた値と、退出時に第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を差し引いた値と、が同じストローク位置において一致するように補正係数αを設定する。
この構成では、補正係数αは、進入時に第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を差し引いた値と、退出時に第1磁気検出器50A,50Bの出力値から第2磁気検出器70の出力値を差し引いた値と、が同じストローク位置において一致するように設定される。このように設定される補正係数αが第2磁気検出器70の出力値に乗じられた値は、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差にほぼ一致する。したがって、補正係数αを用いてストローク量を演算することで、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、コントローラ80は、第1磁気検出器50A,50Bから出力された進入時の出力値と退出時の出力値との第1差分ΔV1A,ΔV1Bと、第2磁気検出器70から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との第2差分ΔV2と、を算出し、第1差分ΔV1A,ΔV1Bと第2差分ΔV2との比率Rの変化に応じて補正係数αを更新する。
この構成では、第1差分ΔV1A,ΔV1Bと第2差分ΔV2との比率Rの変化に応じて補正係数αが更新される。つまり、第1差分ΔV1A,ΔV1Bと第2差分ΔV2との比率R、すなわち、第1磁気検出器50A,50Bまたは第2磁気検出器70における残留磁気の影響によるヒステリシスの大きさが何らかの要因により変化したとしても、その変化に応じて補正係数αが更新される。このため、第2磁気検出器70の出力値に補正係数αが乗じられた値は、常に、第1磁気検出器50A,50Bの出力値に含まれる残留磁気の影響による誤差にほぼ一致することとなる。このように、更新される補正係数αを用いることで、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、コントローラ80は、シリンダチューブ20に対してピストンロッド30が所定の速度で進退している際に第2磁気検出器70から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との平均値を基準値V0として算出し、基準値V0と第2磁気検出器70の出力値との差分を第1磁気検出器50A,50Bの出力値から差し引いた値に基づきストローク量を演算する。
この構成では、何らかの要因により第2磁気検出器70の出力値がオフセットした場合であっても、ストローク量は、第2磁気検出器70の出力値に基づいて算出された基準値V0と第2磁気検出器70の出力値との差分を第1磁気検出器50A,50Bの出力値から差し引いた値に基づいて演算される。このように、ストローク量は、第2磁気検出器70の出力値のオフセットを考慮して演算されるため、ストローク検出装置100によるストローク量の検出精度を向上させることができる。
また、ピストンロッド30は円柱状部材であり、第1磁気検出器50A,50B及び第2磁気検出器70は、ピストンロッド30の軸心を中心として45°以内の範囲に配置される。
この構成では、第1磁気検出器50A,50B及び第2磁気検出器70は、ピストンロッド30の軸心を中心として45°以内の範囲に配置される。このように、第2磁気検出器70を第1磁気検出器50A,50Bの近くに配置することで、各磁気検出器50A,50B,70とコントローラ80とを接続するための配線の配索を簡素化することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100・・・ストローク検出装置、10・・・シリンダ、20・・・シリンダチューブ(第1部材)、30・・・ピストンロッド(第2部材)、50A,50B・・・第1磁気検出器、51,71・・・ホール素子(磁束検出部)、52,72・・・第1磁石(磁界発生部)、53,73・・・第2磁石(磁界発生部)、60・・・スケール、70・・・第2磁気検出器、80・・・コントローラ(演算器)

Claims (8)

  1. 第1部材と、
    前記第1部材に対して進退自在に設けられる第2部材と、
    前記第2部材の進退方向に沿って前記第2部材の表面に形成されるスケールと、
    前記スケールと対向するように前記第1部材に設けられ、前記スケールによって変化する磁界に応じた信号を出力する第1磁気検出器と、
    前記第2部材と対向するように前記第1部材に設けられ、前記スケールとは対向しない位置に配置された第2磁気検出器と、
    前記第1磁気検出器の出力値と前記第2磁気検出器の出力値とに基づいて前記第1部材に対する前記第2部材のストローク量を演算する演算器と、を備え、
    前記第1磁気検出器及び前記第2磁気検出器は、それぞれ、前記第2部材の進退方向に直交する方向の磁束の変化を検出する磁束検出部と、前記第2部材の進退方向に直交する方向に磁界を発生させる磁界発生部と、を有することを特徴とするストローク検出装置。
  2. 前記第2磁気検出器は、前記第2部材に残留する磁力に応じた信号のみを出力することを特徴とする請求項1に記載のストローク検出装置。
  3. 前記演算器は、前記第1磁気検出器の出力値から前記第2磁気検出器の出力値が差し引かれた値に基づいて前記ストローク量を演算することを特徴とする請求項1または2に記載のストローク検出装置。
  4. 前記演算器は、前記第1磁気検出器の出力値から前記第2磁気検出器の出力値を差し引く際に、予め設定された補正係数を前記第2磁気検出器の出力値に乗じることを特徴とする請求項3に記載のストローク検出装置。
  5. 前記演算器は、前記第1部材に対して前記第2部材が所定の速度で進退している際に、進入時に前記第1磁気検出器の出力値から前記第2磁気検出器の出力値を差し引いた値と、退出時に前記第1磁気検出器の出力値から前記第2磁気検出器の出力値を差し引いた値と、が同じストローク位置において一致するように前記補正係数を設定することを特徴とする請求項4に記載のストローク検出装置。
  6. 前記演算器は、前記第1磁気検出器から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との第1差分と、前記第2磁気検出器から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との第2差分と、を算出し、前記第1差分と前記第2差分との比率の変化に応じて前記補正係数を更新することを特徴とする請求項5に記載のストローク検出装置。
  7. 前記演算器は、前記第1部材に対して前記第2部材が所定の速度で進退している際に前記第2磁気検出器から出力された進入時の出力値と退出時の出力値との平均値を基準値として算出し、前記基準値と前記第2磁気検出器の出力値との差分を前記第1磁気検出器の出力値から差し引いた値に基づき前記ストローク量を演算することを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載のストローク検出装置。
  8. 前記第2部材は円柱状部材であり、
    前記第1磁気検出器及び前記第2磁気検出器は、前記第2部材の軸心を中心として45°以内の範囲に配置されることを特徴とする請求項1から7の何れか1つに記載のストローク検出装置。
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