JP2019058183A - 養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法 - Google Patents

養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スギ、ヒノキの育苗を行う場合において、苗木の伸長成長と病害虫の影響の無い健全な生育を促すようにしたものを提供する。【解決手段】養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出されるpHが4.4以下の極強酸性の木酢液・竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を混合した植生基盤を利用することによって苗木の伸長成長と病害虫の影響の無い健全な生育を促進する構成。【選択図】図1

Description

本発明は、牛糞、又は豚糞、又は鶏糞、米ぬか、又はコーヒー豆かす等(以下、牛糞等)という。)の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を植生基盤に利用することによって苗木の伸長成長と病害虫の影響の無い健全な生育を促すようにしたものである。
一般的にスギ、ヒノキ等の育苗を行う場合、海外において長い年月で堆積したココピートやピートモス等の有機質資材を日本に輸入して利用してきた経緯がある。しかし、一方でこれらの資材は、ココピートはココナッツ果実の堅い殻を形成しているファイバー状の層の部分を使ってマットやロープを作る際に出た残りの繊維を3〜5年ほど堆積、発酵させたものであり、その有機物の分解が均一でないことから生育不良の個体が多く見られて問題となってきた。また、海外の堆積資源を採掘して利用するものであることから、環境破壊が進んでいる状態である。
特開平6−039397号公報 特開平9−084452号公報 特開平8−308376号公報
(1)上記の特許文献1は、腐植による下水、屎尿の活性汚泥の処理法に関し、水、屎尿の生物学的処理で発生する活性汚泥の処理開始時に、腐植がフルボ酸を主体とするミセルコロイドの粉体からなる腐植ペレット又は粉体を加え、汚泥処理工程における汚泥臭気の発生を抑制し、農家が喜ぶコンポストを作ることを可能としている。
(2)特許文献2は、植物の育成あるいは保存等に使用される湿潤粉体物に関し、フルボ酸やフミン酸等の低分子物質又はその鉄錯体を含有する腐植質の形成に関与する微生物を生きた状態で保持する微生物保持体に対し、水を主体とする液体を流通させ、その流通によって前記微生物保持体中の前記微生物を前記液体中に生きた状態で混入させることにより得られる活性液体を無機物質粉体に含ませたものである。
(3)特許文献3は、植生生育基盤の造成工法に関し、腐植酸を含む植生用土を、法面岩盤基盤に圧着圧密客土し、当該客土表層に早衰退種の芝草と郷土種植物を疎播種し、生態学的手法によって自然植生を復元することで、裸地岩盤面法面に元の郷土種植物を回復させることができるとしている。
(1)特許文献1にあっては、腐植物質を利用することによってコンポスト処理の工程で空気の供給が中断された場合においても、活性汚泥処理中に臭気の発生が起こらないことを見出した発明であり、本発明のように植栽に用いる苗木等の植物の生育促進について言及したものとなっていないことから、本発明とは異なっている。
(2)特許文献2にあっては、無機物質粉体に微生物を液体中で生きた状態で混入させることによって得られる活性液体を含ませることによって、含有される微生物の作用によって、その植物の成長が促され、生育状態も良好に維持することができることを見出したものであり、本発明のように微生物の効果で無く、養生バークとフルボ酸によって植栽苗木の生育を促進するものとなっていないことから、本発明とは異なっている。
(3)特許文献3にあっては、木炭粉末、ベントナイト、腐植酸および塩類を添加した植生用土を斜面に吹き付けることによって、早期緑化植物と郷土種植物の生育を促進することを見出したものであり、本発明のように、養生バークとフルボ酸によって植栽苗木の生育を促進するものとなっていないことから、本発明とは異なっている。
そこで、本発明では、牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を植生基盤に利用することによって苗木の健全な生育を促すことを可能としたものである。
本発明の第1は、養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木,又は草、又は野菜屑,又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出されるpHが4.4以下の極強酸性の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を混合した植生基盤を利用することによって苗木の伸長成長と病害虫の影響の無い健全な生育を促すようにしたものである。
本発明の第2は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いることによって、苗の光合成の活性化を行うことを可能としたものである。
本発明の第3は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いることによって、苗の発根の促進を可能としたものである。
本発明の第4は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を挿し穂の植生基盤とすることで、母株の茎の一部を切り取った挿し穂の切断面におけるカルス形成、発根促進を可能としたものである。
本発明の第5は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用い、苗の生育過程で酷暑期の高温障害を起こして変色した苗に希釈したフルボ酸を散布することによって、生育障害を改善することを可能としたものである。
本発明の第6は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる前処理として、母株の茎の一部を切り取った挿し穂を希釈したフルボ酸溶液に浸水させて養生することによって、フルボ酸溶液が腐敗しないことから、流水を利用することなく挿し穂からのカルス形成〜発根を可能としたものである。
本発明の第7は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる時に、植生基盤に配合する肥料の吸収効率を高めることを可能としたものである。
本発明の第8は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いることによって、苗の枯死率を低減でき、得苗率を上げることを可能としたものである。
本発明の第9は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる時にバーク堆肥に対して,100倍以上に希釈したフルボ酸を浸み込ませることで苗の伸長成長と病害虫の影響の無い健全な生育を可能としたものである。
本発明の第10は、第1の発明に係る養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法において、バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる時には、その他の肥料として、高度化成肥料、下水汚泥コンポスト、無機資材としてバーミキュライト,パーライト,鹿沼土,火山性のシラス,ボラ,コラ,アカホヤ,花崗岩風化土を配合するようにしたものである。
本発明は上記の構成であるから、次の効果がある。牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ,ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草,又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸をスギ、ヒノキ等の苗木の植生基盤に用いることによって、苗の光合成の活性化、肥料の吸収効率、発根の促進等の機能を向上することが可能となり、枯死率の低減によって得苗率が上がり、健全な苗を安定的に生産することに効果がある。
容器内の植生基盤に挿し穂を挿し込んだ状態の正面図である。 図1の植生基盤に挿し込んだ挿し穂から発根した状態の正面図である。 容器内のフルボ酸希釈液に挿し穂を挿し込んだ状態の正面図である。 容器内のフルボ酸希釈液に挿し込んだ挿し穂から発根した状態の正面図である。
本発明に係る牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥に対して、木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を100倍以上に希釈して用い、その他の肥料として高度化成肥料、下水汚泥コンポストを配合するものとする。
バーク堆肥は、発酵の過程で添加物を加えずに、スギ、ヒノキのバークを1年以上切り替えして養生することによって製造されたものである。
木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の未分解の有機物を炭の製造過程で産出されるpHが4.4以下の極強酸性の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸の製造では,酢液が有機物に染み込むのに5時間以上で腐植含有量が5%以上になるのに、最低で600時間にわたって酢液に漬け込むものである。
次に、本発明の実施例を説明する。
図1及び図2において、1は植生基盤を収容する容器、2はバーク堆肥とフルボ酸からなる植生基盤である。その植生基盤2は、牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を混合してなるものである。3は挿し穂である。当該挿し穂3とは、母株の茎の一部を切り取った挿し穂に使う枝や茎のことをいう。図4において、4は挿し穂の発根した根である。図3及び図5において、フルボ酸希釈液である。当該フルボ酸希釈液5の希釈割合は、原液を500倍程度に水で薄めるものとしてある。
バーク堆肥の製造においては,以下により行う。
(1)スギ、ヒノキの樹皮を集荷する。
(2)集荷した樹皮を、野積み堆積する。
(3)堆積樹皮を半年に2回以上切り返して攪拌する。その後、1年以上経過した樹皮を破砕機で粉砕する。
(4)粉砕した樹皮を、12mmの回転スクリーンを通して袋詰め(製品化)する。
フルボ酸の製造においては,以下により行う。
(1)自然由来の木酢液又は竹酢液とは、木、竹、草、残滓等の未分解の有機物を炭の製造過程で産出されるものである。
(2)有機物に対する酢液の割合を次のとおりである。容量比で、木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の未分解の有機物に対して木酢液又は竹酢液が0.5以上の割合である。
(3) 酢液が有機物に染み込むのに5時間以上で腐植含有量が5%以上になるのに、最低でも600時間にわたって酢液に漬け込むものである。
[効果確認試験1]
(1) 本出願人の島根県松江試験場におけるハウス内で、1日1回の自動散水を行い、発酵の過程で添加物を加えずに、スギ、ヒノキのバークを1年以上切り替えして養生することによって製造されたバーク堆肥に500倍に希釈した木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み,長期間養生することで製造されるフルボ酸を浸み込ませた植生基盤に、母株の茎の一部を切り取ったスギ挿し穂30本挿し込み苗の発根を確認した。
(2) ピートモスを使用した植生基盤では,50%の発根であったものと比較すると80%以上の発根を確認できた(=発根促進)。
[効果確認試験2]
(1) 本出願人の島根県松江試験場におけるハウス内で,1日1回の自動散水を行い、発酵の過程で添加物を加えずに、スギ、ヒノキのバークを1年以上切り替えして養生することによって製造されたバーク堆肥に500倍に希釈した木,又は草,又は野菜屑,又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を浸み込ませた植生基盤に、スギ苗を10本植込み生育確認した。
(2) バーミキュライトを使用した植生基盤では、平均苗高が50cmであるのと比較すると,バーク堆肥にフルボ酸を混合した基盤で平均苗高が70cm以上となった(生長促進)。
[効果確認試験3]
本出願人の島根県松江試験場におけるハウス内で、500倍に希釈した木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸溶液に前処理として母株の茎の一部を切り取った挿し穂を浸水して3ヶ月経過した時点で発根を確認できている。
本発明は、牛糞等の発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸をスギ、ヒノキ等の苗木の植生基盤に用いることによって,苗の光合成の活性化、肥料の吸収効率、発根の促進等の機能を向上することが可能となり、枯死率の低減によって得苗率が上がり、健全な苗を安定的に生産することに効果がある。
1…容器
2…植生基盤(バーク堆肥+フルボ酸)
3…挿し穂
4…発根した根
5…フルボ酸希釈液

Claims (8)

  1. 牛糞、又は豚糞、又は鶏糞、米ぬか、又はコーヒー豆かすの発酵促進材を加えていないスギ、ヒノキのバークを1年以上養生することによって製造されたバーク堆肥と木、又は草、又は野菜屑、又は落葉落枝の微生物に分解されていない未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性(pH4.4以下)の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み、長期間養生することで製造されるフルボ酸を混合した植生基盤を利用することによって苗木の伸長成長と病害虫の影響の無い健全な生育を促進することを特徴とする養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  2. バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いることによって、苗の光合成の活性化を行うことを可能とした請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  3. バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いることによって、苗の発根の促進を可能とした請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  4. バーク堆肥とフルボ酸を挿し穂の植生基盤とすることで、母株の茎の一部を切り取った挿し穂の切断面におけるカルス形成、発根促進を可能とした請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  5. バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる時に、植生基盤に配合する肥料の吸収効率を高めることを可能とした請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  6. バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いることによって、苗の枯死率を低減でき、得苗率を上げることを可能とした請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  7. バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる時にバーク堆肥に対して、100倍以上に希釈したフルボ酸を浸み込ませることで苗の健全な生育を可能とした請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
  8. バーク堆肥とフルボ酸を育苗の植生基盤に用いる時には、その他の肥料として、高度化成肥料、下水汚泥コンポスト、無機資材としてバーミキュライト,パーライト,鹿沼土、火山性のシラス、ボラ、コラ、アカホヤ、花崗岩風化土を配合するものとする請求項1記載の養生バークとフルボ酸を用いた育苗方法。
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